上下階へ移動するための動線として、階段というものがあります。
この場所のデザインは住宅の内部を演出し、さらにはその個性をかたちづくる部分が大きいと私は考えています。
階段が住宅空間を決めると言っても過言ではないと思います。
このことは十年以上住宅設計の仕事に携わり、建築写真を撮られているカメラマンの撮影に立ち会ったり、自分で住宅の写真を撮影していて気がつきました。
特にそれは狭小住宅であればあるほど感じます。
といいますのも、たとえば狭小3階建て住宅だと、平面プランのパターンがだいたい決まってきます。
ですので、部屋同士の平面的な関係よりも階と階の断面的な関係が見せ場となり、そこに階段の存在が大きく関係してくることが多くなるのです。
さあ!階段という存在に着目しながら住宅空間をいっしょに見ていきましょう。
■ 鉄骨階段から生まれる開放感
クライアントがこういう階段がいいと見せてくださる画像のほとんどは、鉄骨階段であることが多いです。
鉄骨階段は木製階段よりコストが高くなってしまいます。
しかしながら、やはり部材が木材ほどゴツくはならないので、デザインに軽やかさが生まれ、よりその置かれた空間に開放感を与えることができます。