日本人は損したくない!だから「最安値から3番目」を選びがち?
メーカーからの仕入れ価格に利益を乗せた上代が、百貨店が販売する価格、すなわち定価。値段交渉はほとんどないと聞いた著者は「それで商売として大丈夫なんでしょうか?」とたずねます。
すると百貨店の生き字引は、微笑みながらこう答えます。
「商売というより、定価がないとみんな困るでしょ。割引するにしても定価がなければ、どれくらいの割引なのかわからないでしょ」と。
いまではだいぶ変わってきましたが、百貨店は定価で売るのではなく、「定価を売るところ」だったのです。
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また、寿命に損も得もない気もしますが、高齢になれば「あそこが痛い」「ここが痛い」となり、気がつけば「えっ俺、80歳なの?」という心境になっているのかもしれません。
著者の父親も、「長生きは損だろうね」としみじみとつぶやいたそうです。
それは、「薬で生かされたり、子どもの世話にはなりたくない」から。長生きすると病気や介護のリスクが高くなり、損する可能性が高くなるというのです。
人生の幕引きにまで、損得勘定が働く日本人。
「結果より過程に意味がある」「努力することが大事」という言葉にも、無駄なことをして損したくない日本人の気持ちが表れていますよね。