妊娠期間の抗うつ薬が自閉症リスクを87%も高めるってホント?
この研究によれば、妊娠第2・3期(妊娠4~9ヶ月)の間に抗うつ薬(※特にSSRI=選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を服用すると、子どもが7歳までに自閉症を発症する確率が2倍になるといいます。
うつの症状は、セロトニンと呼ばれるホルモンの不足が原因であるといわれています。抗うつ薬は、このセロトニンの量をコントロールすることで症状を抑えています。しかしセロトニンはうつだけでなく、細胞分裂、ニューロンの遊走、細胞分化およびシナプス形成を含む、数多くの出生前後の発達過程に関与しているので、子宮内で胎児の脳に影響することは考えられなくはないのです。
■逆に関係性がないと考える調査結果も
仮に抗うつ薬が87%リスクを増加させるとしても、もともとの発症率は1%程度しかありません。つまり抗うつ薬によって増加したとしても、1.87%にしかならないのです。これを多いと考えるか少ないと考えるかは、議論の余地があるでしょう。
実際、2013年にデンマークで67万人の子どもを対象に行われた調査や、2015年にアメリカで数千人の子どもを対象に行われた調査では、抗うつ薬と自閉症のリスクに強い関係性があるとは認められない、という研究結果が出ました。