74年後には世界最大規模の宗教になる「イスラム教」の基礎知識
(4)異本がない「明確なルール」
著者が「イスラム教はシンプルだ」と語るもっとも大きな理由がこれ。
イスラム教には、聖典にあたるものとして「コーラン」と、預言者ムハンマドの言行録「ハーディ」があり、これら以外には存在しません。
この2つをもとに、規範を定めたイスラム法「シャリーア」があり、豚肉を食べてはいけない、お酒を飲んではいけない、といった慣習も、このシャリーアに定められています。
守るべき規範がひとつに集約されていて、異なるルールはいっさい存在しない。イスラム教はルールが非常に明確なのです。
■行動は個々人の判断に任されている
とてもシンプルで明快なイスラム教ですが、著者はもうひとつ、大きな特徴を指摘します。イスラム教は教団や宗派といった「組織」を持たないということです。
キリスト教徒が特定の教会に所属したり、仏教徒がどこかのお寺の檀家になったりということが、イスラム教徒にはないということ。
祈りをささげる「モスク」という施設はありますが、これはあくまで礼拝所。イスラム教徒なら誰でも利用できるものです。
組織がないため、イスラム教徒の行動は個々人の判断に任されている、といえます。