バンコク中央駅(ファランポーン駅)に残る日本の足跡
1979年には、2両のC56型がタイから日本へ「帰還」し、1両は東京都の靖国神社の遊就館に保存、もう1両は静岡県の大井川鉄道で今も活躍している。
レールが使用されているホームの屋根 著者撮影
もうひとつの足跡を探すのは少し大変である。それは駅の柱に使われている古レールである。レールは一定期間使用すると擦り減るので交換するが、強度は十分にあるので駅のホーム屋根の柱などに転用されることが多い。ファランポーン駅の柱にも多くの古レールが使用されているが、その中に「RSRYAWATA1936」と刻印されたものがある。そう、日本の八幡製鉄所製のレールである。私が確認したところ少なくとも2本のレールにこのマークが刻印されているのを発見した。「RSR」はタイ国鉄の旧名称、「1936」は製造年を表している。
つまり、1936年に八幡製鉄所で製造され、タイ国鉄に納入されたレールということになる。泰緬鉄道の建設前のことなので、おそらく日本がタイの鉄道輸送網を増強させるために輸出したレールであろう。
「YAWATA」の刻印が入ったレール 著者撮影
このレールが貴重なのは「YAWATA」の文字があることである。