すみだ北斎美術館、10/12~展覧会を開催 北斎作品の研究者かつコレクター ピーター・モースと浮世絵研究の第一人者・楢崎宗重のコレクションを展示
、右側に三囲稲荷(現:三囲神社・同)が配され、それぞれ参詣に向かう人々の賑わいが細かな風俗描写とともに表されています。
◆鮮明な空摺(からずり)が白眉 ピーター・モースコレクションの「冨嶽三十六景 武州玉川」
葛飾北斎「冨嶽三十六景 武州玉川」すみだ北斎美術館蔵(前期)
「冨嶽三十六景 武州玉川」は、川面の波に凹凸だけで表す空摺(からずり)が使われた作品です。
空摺は後摺(あとずり)では省略されることの多い手の混んだ技法です。現存する同じ構図の作品は、版木の摩耗により空摺がはっきりとしないものや、波形を藍色の線で摺った後摺が多いことから、空摺が鮮明に見える本図は、初摺か初摺に極めて近い稀少性の高い逸品といえます。
◆ピーター・モース氏が単著にまとめたシリーズ作品「百人一首乳母かゑとき」より「猿丸太夫」
葛飾北斎「百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫」すみだ北斎美術館蔵(前期)
「百人一首乳母かゑとき」は、北斎の大判錦絵(*1)のシリーズの中で最後に制作されたものにあたり、現在27図が確認されています。それまでの北斎の大判錦絵シリーズと比較すると、色数が多いことや細部にわたって凝らされた表現が特徴です。