くらし情報『「植物は自身を分解することでリン酸欠乏に即座に対応する」』

2022年4月1日 11:45

「植物は自身を分解することでリン酸欠乏に即座に対応する」

しかし、土壌中のリン酸は少ない上に、カルシウムイオンやマグネシウムイオンといった金属イオンと結合して植物が吸収できない形態を取ってしまうため、植物はしばしばリン酸欠乏に晒されてしまいます。植物は、このようなリン酸欠乏ストレスに対して、細胞内の核酸や生体膜を構成するリン脂質を分解することで、そこに含まれているリン酸をリサイクルしていることが知られていました。
これまで、リン酸リサイクル機構はリン酸を含む細胞内成分を酵素反応によって分解すること、そこで働く酵素が欠損した植物はリン酸欠乏下での生育が抑制されることが知られていました。しかし、細胞内成分を液胞(注2)へと輸送して分解するオートファジーがリン酸のリサイクルおよびリン酸欠乏下の生育にどのような影響を与えるのか、その詳細は分かっていませんでした。

■ 2.研究手法と成果
本研究では、まず、10日間生育させたシロイヌナズナの野生株およびオートファジー不能体をリン酸欠乏培地に移植し、8日間生育させ、表現型を観察しました。その結果、オートファジー不能体では生育が野生株よりも著しく抑制されていることを発見しました (図1A)。また、リン酸欠乏培地に移植後、経時的に葉に含まれるリン酸含量を測定したところ、移植後2、3日目という早期のリン酸欠乏時において、オートファジー不能体のリン酸含量が野生株よりも低下していることを見出しました (図1B)。

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