くらし情報『「植物は自身を分解することでリン酸欠乏に即座に対応する」』

2022年4月1日 11:45

「植物は自身を分解することでリン酸欠乏に即座に対応する」

このことから、オートファジーは早期リン酸欠乏時のリン酸リサイクルに関与していることが分かりました。
次に、早期リン酸欠乏時のオートファジーが何を分解しているのか明らかにするために、緑色蛍光タンパク質によって標識した各細胞内小器官の挙動を共焦点レーザー顕微鏡により観察しました。その結果、早期リン酸欠乏時に小胞体が特異的に液胞へと輸送されている様子が観察され (図2)、オートファジーによる小胞体の特異的な分解(ERファジー)が引き起こされていることが明らかとなりました。また、早期リン酸欠乏時に小胞体ストレス(注3)が引き起こされており、この小胞体ストレスによってERファジーが誘導されていることも明らかにしました。
さらに、早期のリン酸欠乏時に生育環境中の鉄の量を制限すると、小胞体ストレスが緩和され、ERファジーが抑制されることも見いだしました。また、ガスクロマトグラフィーによる解析の結果、早期リン酸欠乏時において、小胞体の主要構成膜脂質は鉄を介して酸化され、過酸化脂質として蓄積されることが分かりました。加えて、過酸化脂質蓄積の阻害剤を処理したところ、早期リン酸欠乏時にERファジーが抑制されたことから、早期リン酸欠乏時に鉄を介した小胞体ストレスがERファジーを引き起こしていることが示されました。

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