「好きだったけどもう無理…!」彼氏への「愛が一瞬で冷めた瞬間と対処法」
温度調整しやすい服で来てね。楽しみにしてるよ」
気遣いができるところを見せたくて、丁寧に伝えた。
そして、当日。よく晴れて、気持ちのいいお天気だ。剛が車で迎えに来てくれて、山の麓まで。そのあと車を停めて登山道を歩いていく。
普段からバスケや筋トレをしている剛は、足取りが軽い。上着を脱いで、半袖から覗く上腕二頭筋にキュン。
「あー、あの腕に腕枕してもらいたい」と、ついつい妄想してしまう。胸筋も広くてこんもり盛り上がってていい感じ。
「さすがにこんだけ歩くと暑いね」
初デートなのに汗だくで引かれないかな? と思いながら、美穂はハンカチで汗を拭う。
「だね。ちょっと俺にもそれ貸して」
「あ、うん」
なんの気なしにタオルハンカチを渡すと、剛はゴシゴシと顔とうなじの汗を拭いはじめた。
(えっ…?)
せめて、ぽんぽんと押して拭きとる程度かと思っていたのに。皮脂までたっぷりつくくらい、しっかり拭く。アスリート系なのに自分のタオルとかハンカチ持ってないの?固まる美穂。
一昨日「結構気温が上がるよ」って言ったはずなのに。服装のことに加えて「ハンカチもタオルも水筒も忘れずにね」って言わないといけなかった?それって、まるで遠足の前日のお母さんみたいでいやだよ。