「見た目イマイチの日に誘われたら…」23歳女性が憧れの彼の心をつかんだ「備え」とは
よかったらお茶しない?」
画面を覗き込んだ舞は、スーツケース片手にひらりと手を振った。
「まじか。愛しの悠斗くんじゃん。私、京急で帰るからさ、行ってきなよ」
そう、悠斗は桃の憧れの人。同じジムで何度か会ううちにいつのまにか惹かれてた。
(え、でもどーしよう、お風呂入ってない界隈だし、汗くさいし、髪ベタついてる)
昨日はシンガポールのホテルをチェックアウトしたあと、1日遊んで0時半の飛行機に乗った。7時間半のフライト中は寝るだけだし、誰にも会わない。ベタついててもいいやと思ってた。
急いでトイレに駆け込む。まずはドライシャンプーだ。シートで指の腹で地肌を拭いていく。ベタッとしていた前髪がサラサラに復活。
お次は汗拭きシート&化粧水の入った洗顔シート。そのあと下地の上に艶感のあるクッションファンデを重ねて、ちゃちゃっとパウダーで眉毛を整えた。レッドコーラルの色付きリップを唇と頬に軽く載せて伸ばす。首筋と脇の下も拭いて、デオドラントスプレーをシュー!すっぴん風だけど清潔感は死守。
よし、これなら会ってよし!
空港内のカフェで悠斗と合流。
「桃、おかえり。旅行帰りにごめんな。夜中フライト疲れただろ。