「実は五股だった」たくさんの愛を育む男と、彼に恋した女心の春夏秋冬
レストランに行き、楽しい会話をしてお酒も進んだのですが、彼は決して手を握ったりはしませんでした。
ただ、椅子を横にくっつけて楽しそうに無邪気に笑っていました。
眩しくて、まともに目を開けていられなかったわたし。思わずドキドキしてしまいます。
初々しいデートに、うっかり手が触れただけで、恥ずかしくて猛スピードで手を引っ込めてしまうほど。
何回かデートをして、やっと手をつなぎました。夏祭りの帰り、手のひらに「すき」と書かれ、赤面したのを思い出します。
後ろから抱きしめられ、「大好き」とロマンチックに言われたのに、恥ずかしさが勝り、ヘラヘラ笑うことしかできなかったり。
ちょっと気持ち悪い女だったに違いありません。
■別れの秋
こんなにたくさんデートしていて、これからもっと楽しいはずと期待していた矢先でした。
秋のお祭りの帰り、「名古屋に転勤が決まった」。その一言は、別れの宣告なのだとすぐにわかりました。
秋なのに、まだ暑いからと気合を入れて着た浴衣が虚しく感じられます。
わたしは何も言えなかったのですが、コンビニで売れ残っていた花火を買い、最後に線香花火をすることになりました。
別れる時、お互いに背を向いたまま「いっせーの!」