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場面緘黙の娘、高校卒業後の進路はどうする?現在24歳の娘は、4歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。こだわりが強く、場面緘黙があります。怒りの感情を抑えることが苦手です。地域の幼稚園に通いながら、月1で区の療育センターに、小・中学校は学区の学校の通常学級に所属し、週1で情緒障害等通級指導学級(現在の通級指導教室)に通いました。高校は特別支援をしてくれ、通学もできる通信制高校に入学。その後迷ったのは、高校卒業後の進路のことでした。将来何をしたいの?希望を聞きとることからスタート場面緘黙がある娘と進路の相談をすることは、大変でした。娘はなかなか言葉で意思表示をしてくれないので、こちらから質問をして娘の反応をみて判断するという形で話し合いを進めました。頷いたり首を横に振ってくれれば分かりやすいのですが、なにも反応しない時は(分からないという意思表示なの?)とその都度悩みました。聞き方を変えたり娘の意見をまとめていきました。Upload By ユーザー体験談このように娘の意思を確認していくと、みんなが大学に進むので興味はあるけれど、受験はしたくないし勉強は嫌いなのでやりたくない、かと言って、たとえバイトであっても、いきなり働くのは不安。とりたててやりたいこともないから、どんな専門学校に行くのがいいかも分からない……とのこと。学校の先生とも相談しながら話し合いを進め、就職後もやりたいことが見つかれば専門学校に通う道も選べること、のちのち支援に繋がりやすいことを優先しようと考え、就労移行支援事業所に通うことを選んだのでした。Upload By ユーザー体験談就労移行支援事業所は立地と雰囲気を大事に進路を決めた後は、就労移行支援事業所探しです。条件として、家から近く、公共交通機関を使って行く場所で、乗り換えが複雑ではない所を探しました。インターネットで検索しWebサイトで写真を見たりしましたが、Webサイトの写真では印象も雰囲気もよく分からず、「ここだ」と思ったところはありませんでした。そこで、高校の先輩方が通っていたという家からも高校からも近い事業所を見学、雰囲気もあたたかく娘に合っていそうだと思いました。好印象だったのでお試しで通ったのちこちらに通うことに決めました。Upload By ユーザー体験談そして娘は就労移行支援を経て、パートで清掃の仕事に就くことになりました。清掃のパートの就労条件は?娘に合っているところも多いけれど、心配なのは収入面……清掃の仕事は平日週5日勤務、祝日と年末年始は休み。10時から15時まで働き、昼休みは1時間あります。昼休みはほぼ一人で過ごしているそうですが、人との関わりが苦手だからか特に嫌ではないそうです。通勤も、ラッシュ時間にかぶらないのが助かっていると言っています。仕事内容は同じことの繰り返しとはいっても、娘はそういった作業的なことに苦を感じないそうです。職場の人とも職場外の人との関わりもない仕事なので、無理無く続けられています。もう3年目に入りました。慣れるまでに1~2年かかるタイプなので、かかりつけの精神科の先生から「転職は難しいかもしれないので、合ったところで長く続けるのがいい」と言われています。ただひとつ心配なのは収入面です。今のままでは一人になった時に生活していけるかどうかという金額なので……。収入を増やしたかったら今の職場で清掃以外の仕事もするという手があるので、追い追い挑戦していってもらえればと思っています。そしてやはり気になるのは親なきあとです。今は私がいるので、何か困ったことがあったら私に聞くことができますが、私以外にも頼れる他人がいると安心なので、公共のサービスと繋がる術を会得していって欲しいです。ともあれ毎日頑張って働いている娘、4歳で診断を受けたときから思い返すと本当に成長したと思います。これからも自立の道をサポートしていけたらと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/ネコ山※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:初川先生より)場面緘黙のある娘さんの高校卒業後の進路やその後についてのエピソードをありがとうございます。発達障害などがあるお子さんの場合、このご家庭と同じように、まずは高校卒業を目指して頑張って、その後どうしようかという局面を迎えることがあると思います。大学、専門学校への進学、あるいは就職。それぞれに必要とされること、そしてそこから数年がどんなふうになっていくかの見通しもそれぞれですね。本人の意志や思いがとても大事ですが、場面緘黙があるとそのあたりが確認しづらく話し合いが難しかったろうと思います。学校の先生にも入っていただきながら、さまざまな道を検討できたこと、よかったと感じます。さて、娘さんが選んだ道は就労移行支援事業所へ通うことでした。就労移行支援は、障害のある方が就労するための支援をする福祉の事業です。このあたりあまりご存知ない保護者の方もいらっしゃるかと思いますが、学校の進路担当の先生あるいは自治体の障害者就労に関する窓口等で聞いてみるといいでしょう。就労移行支援は2年間という有限の支援ですが、その間にビジネスマナーや各種スキルのトレーニング、あるいは本人の就労に関する得意不得意を見ていくことをし、実習などを通してその後の一般就労や福祉就労へとつなぐ支援機関です。事業所によって、利用者さんの数や習得するスキル、雰囲気などカラーがありますのでいくつか見学などするとよいと思います。娘さんは清掃の仕事に就き、じっくりと継続できているようで何よりです。収入面や親なきあとが気になることも、多くの方が悩まれるところだろうと思います。本人が就業継続できている中で、今後どうしていくかまたご本人や福祉の方などと相談するときも来るのではと感じました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月11日ここはあなたの居場所。多様な『個性』とともに、未来をつくるスクール2025年4月に開校する、一人ひとりの個性に合わせた日常生活や学習・進路の支援を行う通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」。今回は、LITALICO高等学院 毛利優介学院長に、設立への思いや学びの特徴について聞きました。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO高等学院 学院長毛利優介2013年、株式会社LITALICOに新卒入社。児童発達支援サービス「LITALICOジュニア」を経て、IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」の事業立ち上げに従事し、教室マネジメント・人事制度設計・カリキュラム策定などを担当。現在は、LITALICO高等学院 学院長、LITALICOワンダー事業部長として、VUCA時代に自分らしい人生を歩むための教育の実現を目指す。――いよいよ、2025年4月に通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」渋谷スクールがスタートしますね。どのような気持ちで、ここまで準備をしてきましたか?毛利学院長:私はこれまで、LITALICOジュニア(児童発達支援・放課後等デイサービス)やLITALICOワンダー(IT×ものづくり教室)のサービス提供に携わってきました。未就学~中学生を中心とした発達支援を通じてお子さんや保護者の方とお話しをする中で、日々の生きづらさや将来への不安をお聞きすることが多くありました。すでにLITALICOでは、成人の方を対象としたLITALICOワークス(就労移行支援サービス)やLITALICO仕事ナビ(障害のある方の就職サイト)も提供していますので、発達支援と就労支援の中間である「高校領域」の支援を手厚くするチャレンジをするべきだと強く感じるようになりました。昨今の不登校増加に伴い通信制高校や通信制サポート校が増えていますが、「LITALICO高等学院」を通じてLITALICOらしくお子さまの個性に合わせた教育を行い、進路を支える居場所をつくることは価値があると考えています。――福祉と教育、発達支援と就労支援、両方のナレッジを活かすことができそうですね。「LITALICO高等学院」の特徴を教えてください。毛利学院長:コンセプトは、「ここはあなたの居場所。多様な『個性』とともに、未来をつくるスクール」です。ポイントは3つあります。まず、一人ひとりの居場所をつくりたいということ。今、学校に対していろいろな不安や学びづらさを抱えるお子さまが、自分らしく居られて、心から安心して通える居場所をつくりたいと思います。そして、個性を見つけて広げていくこと。例えば、今までやったことがないけれど、プログラミングやデザインが好きかもしれない、この先生とだったら英語が好きになれるかもしれない、この仕事だったら目指してみたいかもしれない。お子さまの興味・関心を私たちが一緒に見つけ、一緒に広げていきたいと考えています。さらに、将来に向けて自立的な歩みをしていくフェーズになってくるので、自分の得意・好きだけではなく、苦手なことや気持ちよく思わない環境などについても自己理解を深めていくことを大事にしたいと思います。その上で、自分の個性に合った未来を見つけていく。「高校を卒業したら、大学に進学するよね」「大学受験をするなら、一般入試だよね」という道だけでなく、将来目指す職業と結びつける専門学校という選択肢や、就労移行支援を活用して働くという選択肢なども含めて、個性と進路をつなげるために徹底的に伴走することを目指します。Upload By 発達ナビ編集部在学中はもちろん、卒業後も自分らしい人生を歩めて幸せだと思えるように――3年間の学校生活や学びを、将来につなげていくことが重要なのですね。毛利学院長:そうですね。令和6年度 文部科学省「学校基本調査」の「高等学校(通信制)卒業後の状況調査」によると、進路未定(※)が28.2%、つまり、約3~4人に1人が卒業後の進路が決まっていません。また、進学した人の中退率も、通信制高校以外の卒業生と比べると高いというデータがあります。そこで本校では、卒業=高等学校卒業資格を取得することをゴールとするのではなく、その先どのような活動がしたいのか、何を学びたいのかを考えて準備をする過程を大切にしていきたいのです。卒業後、「LITALICO高等学院の時は楽しくて幸せだったけど、今は……」ということでは、役割を果たしているとは言えませんよね。在学中はもちろん、卒業後も自分らしい人生を歩めて幸せだと思えている、そんなお子さんを一人でも送り出せる学校でありたいと思います。(※)進学も就職もしていない者である(外国の大学等に入学した者,家事手伝いなど)文部科学省|令和6年度「学校基本調査」――LITALICO高等学院らしいプログラムが期待されますね。毛利学院長:例えば、「探求・未来スキル」「進路・未来選択」というカテゴリを設け、「好き・得意から未来に繋がるプログラム」を用意しています。探求・未来スキル科目例プログラミング基礎:プログラミング・ゲーム制作・デザインなどを学びます。未来につながるスキルを身につけながら、「カタチにする力」を楽しく身につけていきます。AI活用・PCスキル:ChatGPTなど生成AIの活用法を楽しみながら学び、自分の実現したいことのためにITを使いこなせることを目指します。進路・未来選択科目例キャリアラーニング:自分のキャリアの軸や考え方を育てていく時間です。いろいろな職業や生き方のメリット・デメリットを理解し、自分に合った選択につなげていきます。職業体験ゼミ:2年生以降、複数の職場体験に参加できる機会を用意しています。将来の進路選択に活かします。先ほどもお話ししたように発達支援と個性教育、そして就労支援における強みを活かした、まさにオールLITALICOだからこそ提供できるプログラムに磨き上げていきます。保護者の方の不安にも寄り添う――これまでも保護者の方へのサポートを大事にされてきたと思いますが、LITALICO高等学院ではどのように考えていますか?毛利学院長:そうですね。私たちはこれまで支援者として保護者の方の不安に寄り添うことを大事にしてきましたので、本学でもお子さんに寄り添うことはもちろんですが「保護者の方と共に歩む」スクールを目指します。保護者の方とお話しさせていただく中で、「もう高校生だから」家庭で解決しなければいけない、わが子に原因があるから仕方がないと思われる方や、お子さまが思春期を迎えてコミュニケーションをとることが難しい方も多いことを実感しています。私たちは、お子さまと環境の相互作用によって、何かしらの生きづらさや困りが発生すると考えています。入学後の保護者面談では、保護者の方やお子さまの思いやニーズをお聞きして、学習計画や学校生活での過ごし方、私たちの関わり方に反映させていきます。そして定期的な振り返りを行い、よりお子さまに合ったスクールライフを実現していきます。さらに、保護者の方向けにも、さまざまなバックグラウンドを持つ専門家が多様なテーマでセミナーや進路相談会を実施する予定です。――発達障害のある生徒さんへのサポートもあるのでしょうか?毛利学院長:まさにLITALICOの専門領域です。専門資格をもったスタッフによる個別サポートや、20年以上の就職支援実績を活用した進路支援をしていきます。――今後の展開について教えてください。毛利学院長:渋谷スクールだけでなく、まずは関東圏を中心に複数のエリアで生徒さんの受け入れを目指しています。お子さんを一緒に支えるチームの仲間になりたいUpload By 発達ナビ編集部――今の時代をどのように捉えていますか?また、毛利さんご自身が目指すものは何ですか?毛利学院長: 今の時代は、「VUCAの時代(※)」と言われています。変化が目まぐるしく不透明で曖昧で複雑だからこそ、自分の軸を持つことが重要になってきています。「社会に合わない」から社会から離れるのではなく、個性を起点に自分らしい人生を歩んでいける教育をLITALICO高等学院で目指します。これは、障害の有無にかかわらず、すべての人にとってすごく重要だと思います。(※)VUCA(ブーカ):Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉そして、教員である両親の姿から子どもたちを大切に見守る仕事の尊さを感じてきたからこそ、少しでも教育業界全体の未来や教育に携わる人たちの幸せに貢献していきたいと考えています。そんな私がうれしいなあと感じる瞬間は、私の関わりで子どもたちがクスっと笑ってくれた時なんです(笑)。「子ども扱いせずに話をしてくれるんだ」「こんな大人もいるんだ」そんなちょっとした喜びを、子どもたちに届けたいんですよね。――さいごに、保護者の方や進路について考えている中学生の皆さんにメッセージをお願いします。毛利学院長: 保護者の皆さんにお伝えしたいのは、「私たちは、お子さんを一緒に支えるチームの仲間になりたい」ということです。そのために、個別面談でもお子さまのことをたくさん教えてほしいですし、お子さんに対する願いもお聞かせください。もちろん願いどおりになるかは分かりませんが、とても大切な想いとして受け止めたいと思います。そして、中学生の皆さんへ。LITALICO高等学院は、「あなたの学校」でありたいと考えています。無理に何かを強いるようなことはありません。あなたの個性やペースを大事にしながら、あなたのチャレンジを応援します。「まだ、やりたいことが見つからない」と不安に思うかもしれませんが、心配はいりません。将来につながるきっかけを一緒につくっていきましょう。そして何より、一緒に楽しみましょう!個別相談会を開催中!LITALICO高等学院では、個別相談会を開催中です。カリキュラムや学校生活、学費など、なんでもお気軽にご相談いただけます。開校:2025年4月住所:東京都渋谷区神宮前6丁目19−21 井門神宮前六丁目ビル 3F提携校:鹿島山北高等学校・鹿島学園高等学校(申請中)Q.「LITALICO高等学院」を卒業すると、高等学校卒業の認定はもらえますか?A. 提携する通信制高校の所定の単位を取得することなどで、高等学校卒業の認定となります。LITALICO高等学院では単位取得と高等学校卒業の認定のサポートを実施します。Q. 通信制高校と通信制高校サポート校の違いは何ですか?A. 通信制高校とは、全日制高校と同じように卒業に必要な単位を修得して、高等学校卒業資格を取得する学校のことです。通信制高校サポート校とは、通信制高校を卒業するための学習サポートや日常支援を行う学びの場です。LITALICO高等学院(通信制高校サポート校)では、提携する通信制高校のご案内や、卒業までの日常サポートを実施します。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年02月10日一筋縄ではいかない!?発達障害児育児と仕事の両立、「もう無理だ」大学中退後の働き方や自立への道、義父母からのお年玉に困った!冬でも絶対半袖のこだわりに母はお手上げ……など【2025年1月】ただでさえ大変な育児と仕事の両立。お子さんに特性があるとその苦労もなおさらではないでしょうか。「こども園に行きたくない!」と言う息子さんに寄り添うためにフルタイムの仕事を辞め、働き方を変えて良かったことや苦労していること、大学の最寄駅で「もう無理だ」と感じ、身体が動かなくなってしまい、その後大学を中退。大学を辞めてからのさまざまな働き方のエピソード、義父母からの大金お年玉に困った!お金の使い方が分かっていない息子さんたちへの「お金は使えば減る」ということの伝え方、完璧主義のASD(自閉スぺクトラム症)息子の「冬でも夏服」のこだわり!?肌が乾燥してかきむしり出血まで……中学生になっての変化など、さまざまなエピソードが満載です。息子さんが生まれる前からフルタイムで働いていた苗さん。しかし年中になった息子さんの「こども園に行きたくない」という発言にショックを受け、フルタイム勤務を辞めます。「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と思い、お子さんに寄り添った結果、担任の先生やお友だちにも恵まれ、勉強も意欲的に取り組むことができ、学校生活は順調と感じたのもつかの間、その生活も一筋縄ではいかなくて……!?育児と子育てに悩む保護者の方にぜひ読んで頂きたいコラムです。24歳の時ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けたYOSHIMIさん。境界知能であることもその時分かりました。高校3年生の時に法律に興味を持ち法学部への進学を決めたものの、入学後半年で対人関係でのつまずきをきっかけに大学を中退。大学中退後は、障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどったYOSHIMIさん。進学や中退、就労ついてのリアルエピソードです。tomさんの悩みの種は「同居している義父母からのお年玉」問題!?11歳、どちらもASD(自閉スペクトラム症)の一卵性双生児の息子さんたちはお金の管理が大の苦手だそう。そんな息子さんたちに毎年お年玉と誕生日のプレゼントとして義父母から渡される「現金1万円」。孫を可愛がってくれるのはありがたいですが、「お金は使えば減る」ことを理解できていない息子さんたちに大金を持たせるのは、教育上よくないのでは……と思ったtomさんは、息子たちへのお金の教育を決心します。一体どんな方法をとったのでしょうか。幼い頃から、完璧主義。それゆえ目標が高く、無謀な目標を立ててはそれが「できて当たり前」と勝手なマイルールを作り、うまくいかないとイライラ……。ASD(自閉スペクトラム症)の息子さんのこだわりは小学生になっても続き、8~9歳の頃から、「冬でも夏服」というスタイルを徹底するようになりました。しかし、乾燥肌なこともあり、冬は掻きむしって出血することもしばしば……保湿剤も「面倒くさい」と塗ってくれません。コラム監修の医師による皮膚トラブルについての工夫や塗り薬などに関するコメントもぜひ参考にしてみてください。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年02月09日入学早々、進路を見据えて生活していかなくてはいけない学びの多様化学校小3の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されたわが家の息子・コチ丸は、小3から小学校卒業までほぼ不登校の状態で過ごした後、中学受験を経て学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の私立中学に入学しました。学校では入学当初から、「本校に入学した生徒は、一人ひとり通う理由もさまざまです。卒業後の進路をどうするか、早い段階から考えて行動して下さい」と言われていました。コチ丸の通う私立中学は同じ県内に系列の私立高校があったため、そちらに進学する子が多い印象でした。コチ丸も中1の時は、そこへの進学も視野に入れており、先生方からも「コチ丸は比較的安定して学校に通えているので、そのまま進学してみんなをまとめてくれたら助かる」という、うれしい話をいただいたこともありました。一概には言えないかと思いますが、コチ丸の通っていた中学は、「学校に毎日通えるようになること」が大きな目標であったため、基本的には宿題もなく、授業の進め方も私が公立中学に通っていた時とは全く違いました。私個人の感覚からすると、授業といっても勉強より遊びに近いのでは……?という印象でした。いじめなどの理由で学校に通えなくなってしまったけれど、将来的には大学まで進学したいと希望している子どもの保護者の中には、高校受験を見据えて学校以外に塾に通うなどして、学習面のサポートしている方もいました。わが家はというと……中1の終わりになんとなくコチ丸が受けた全国学力テストの散々な結果を見て、一般入試での高校進学はほぼ諦めていました(笑)。Upload By あき今の高校の仕組みは?まずは親が興味を持って進路について勉強することが大切!中1の終わりに差し掛かった頃、友だちが増えてきたコチ丸は、自分の貯めていたお年玉やお小遣いを使ってパソコンを自腹で買い、友だちとオンラインゲームをするようになりました。中学に入って、食事と寝る時間だけはちゃんと守るという約束で、ゲームの時間制限はしなくなったので、コチ丸は帰宅後から就寝まではほぼゲームをして過ごしていました(笑)。そして当時の私はというと、もし高校に入学するのが難しいなら違う進路も探さなくては……という思いで、時間があればインターネット検索をして、中学校から先の進路について模索していました。併せてシングルでコチ丸を育ててきていた私にとっては、それにかかる学費も大問題でした。小学校の頃は公立中学に進むことが当たり前と考えていたわが家が、中学受験をして私立中学に通っているだけでも予定外の出費だったので、ここから先はできたら「高等学校等就学支援金制度」の対象となる学校に進学して、恩恵にあやかりたいという思いも強かったです。Upload By あき最初は県内の私立高校に進学する道を模索していましたが、やはり受験からは逃れられず、どうしても付きまとってくるのは偏差値の問題……。そして学びは好きだけど勉強は好きではないコチ丸。興味のない勉強ばかりが続く高校に通っても続かないことだけは想像がつきました(笑)。コチ丸自身が自発的に学びたいと思ったことを学ばなければ意味がないということと、卒業後に専門的な仕事につけるような学びができたとしたら、普通科高校以外の選択肢もありだなと思っていました。そんな中で気になったのが、通信制高校とゲーム制作を学べる専門学校を同時に受講できる私立のA学校でした。当然学費も2倍かかりますが、高校卒業と専門学校卒業の資格が同時に取れるなら、高校以降の学費をまとめて払うと思えば、なんとかなるのでは……と思いました。私自身も高校卒業後は専門学校に進んでおり、自分の好きなことだったら勉強も頑張れるのではないかという思いもあり、ゲームが好きなコチ丸に「こんな学校があるよ」と話をしました。同じ頃、探究心旺盛なコチ丸は、ゲームで遊ぶうちに自分でもゲームをつくってみたいという思いが芽生え始め、3Dキャラクターをパソコンでつくる勉強を始めていました。初心者向けのプログラミング教室は自宅から片道1時間以上かかる場所でしたが、コチ丸が好きなことならと通い始めることにしました。そんなタイミングだったので、ゲーム制作という仕事が想像しやすかったのか、コチ丸もA学校に興味を持ってくれました。ADHD(注意欠如多動症)のコチ丸に負けず劣らず、せっかちな性分の私。中学受験の経験も相まって、ともかく体験入学に行ってみよう!となり、中2の早い段階から学校の説明会や体験入学には親子で何度も参加しました。実際に学校へ行き、最新設備の整った場所で体験授業を受ければ子どもは大興奮、親のほうもついその気になるのですが、反面、そんな設備が使えたり有名人を呼んで特別講座を開いたりできるくらいの学費を払うってことだよなーと現実も見え隠れ……(笑)。体験に来ているほかの親子の様子を見ると、ゲームが好きだから一刻も早く技術を身に付けたい!という子ももちろんいましたが、逆に現時点で中学校に通えていないから仕方なく……という親子も何組か来ていました。体験入学を何度か重ねる中で、楽しいゲーム制作の傍ら、おまけのように説明される通信制高校のカリキュラムは意外に大変そう……自己管理が苦手なコチ丸が続けていけるのか心配でした。Upload By あき突然の進路変更!しかも全くノーマークだった進路選択に戸惑う母……(大汗)そうはいっても時間は流れ、進路を決断する時は迫ってきます。通信制高校については親の私が一生懸命サポートするしかないな……という気持ちと同時に、もし通いきれなかったらまた考えるしかない!という気持ちの両方を持って、中2の中頃からはA学校に進むことを信じて疑いませんでした。そんな中、わが家を揺るがす大事件が起きたのは中3の始め頃。「俺、北海道の高校に行きたいんだよね」と突然コチ丸に言われたのは今でもハッキリと覚えています。「北海道」!「高校」!まさに青天の霹靂です。何を今さら?(大汗)という思いも正直ありましたが、コチ丸の思いを聞き、意思がしっかりしているのを確認した上で担任の先生にも相談をしました。ここでもわが家のせっかちな性格が功を奏し(?)、それから2週間後には北海道行きの飛行機に乗っていました(笑)。なぜ突然北海道の高校だったのか……。コチ丸がその高校に興味を持ったきっかけ、そしてその後の受験までの道のりについては、また改めて書かせていただきます。Upload By あき執筆/あき(監修:藤井先生より)私立のA学校に行くのかなと読み進めていたのですが、最後の最後に北海道とは驚きました。あきさんが、コチ丸さんの思いに寄り添いながら学校選択をされていたことで、コチ丸さんも心強かったのではと思いました。今はWebサイトで全国の学校の情報を集めることができるようになりましたが、実際に体験授業を受けたり、見学したりするのはとても大切ですね。北海道の高校についての続きも気になります。楽しみにしております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年02月08日朝の準備は忍びのものでスタート朝、家の中がまだ静寂に包まれている時間に、私は息子ハジュのための準備を始めます。ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)のハジュは、時間や予定をきっちり守るのが大好きな性格です。そんな彼が落ち着いて一日を始められるように、私もできる範囲でサポートしています。私の朝は、アラームが鳴る前に起きるところから始まります。長年の経験で、アラームが鳴る直前になぜか目が覚める能力を身につけました。ハジュがまだ眠っている間に、忍びのごとく、できるだけ静かに起きてキッチンに向かい、彼の好きな朝ごはんを用意します。目玉焼きと野菜ジュースがハジュの定番メニューです。Upload By スパ山ハジュが起きると、テレビの星座占いを見るのが日課なので、チャンネルを合わせて準備しておきます。彼はこれを楽しみにしていて、欠かしたくない大切な時間です。その後、タブレットで今日の気温や日の入り時間を確認します。ただし、タブレットの充電が100%でないと不安になるので、前日にきちんと充電しておくのが大事です。もし忘れると、「充電が足りない!」と泣き出してしまうこともあります。ルーティンの試練朝食が終わると、ハジュは身支度を始めます。トイレ、歯磨き、着替え、水筒をランドセルに入れる、髪を結ぶ、そして7:55きっかりに玄関で靴を履く。これがハジュにとっての"完璧な順番"です。この流れを崩すと不安になってしまうので、私はできるだけ彼がスムーズに準備できるように手伝っています。トイレを促したり、着替えを用意したり、水筒をキッチンの所定の場所に置いたりと、先回りして動くことが多いです。Upload By スパ山とはいえ、ルーティンが崩れるとひと騒動です。ある朝、うっかりアラームをかけ忘れ、そんな時に限ってアラーム前に目覚める能力も発動せず……。私は寝坊をしてしまい、目を覚ますとハジュがすでに起きていて、「星座占いを見逃した!」と大慌て。私が「大丈夫、1時間後にまたあるから、ほらご飯食べよう?」と提案しても、「何位だったのか分からないと困る!」と泣いてしまい、結局スマホで急いで検索しました。起きて数分で、私はゲームで言うHP(体力)が削られました。とほほ。突然のルーティン変更と謎の儀式(笑)さらに、ハジュは時々、突然ルーティンを変えることがあります。新しいルーティンを覚えるのも一苦労です。最近追加された"水筒をランドセルに入れる前に振って泡を確認する"という工程を忘れた時、「泡見てないよ?」と、キッチンからやり直しになります。それ以来、 (泡を見るって何なんだ……?)と思いつつ私は毎朝「泡よし!」と確認する謎の儀式を取り入れました。Upload By スパ山ハジュの成長と親としての喜びしかし、そんなハジュも少しずつ変わってきています。以前は、準備が間に合わないと感情を爆発させることが多かったのですが、最近では「水筒をお願いします」と頼んだり、「着替えがないから自分で選ぶの?」と言えたりと、柔軟に対応できるようになりました。私自身も、ハジュができることが増えたおかげで、気持ちに余裕が持てるようになりました。朝の準備がスムーズに進むことで、私のHP(体力)も削られずに済んでいます(笑)。ハジュが少しずつ自立に向かって進んでいる姿に親としての喜びを感じます。Upload By スパ山ちなみに、長女や次女は…長女も実は自分のルーティンをしっかり持っています。順番が狂うと、その日はスイッチOFFになってしまうこともありましたが、成長する中で、自分のペースを守るコツや、崩されないための秘技(?)を自分なりに編み出したようです。最近では、もし順番が崩れても「まあ、なんとかなるか……」と自分で気持ちを立て直せるように。成長したなぁ、と感心しています。それでも体調不良などの“イレギュラーイベント”が発生する時は、私が「今日はいつもとちょっと違うから、これを先にやるね」と事前にアナウンスを入れておきます。すると「うん。いいよ」と落ち着いて対処できるので、事前の見通しって大事だなぁと実感します。一方、次女はと言えば……そういう順番とかルールとか、まったく気にしません!(笑)。とても自由にやってくれるので、その気ままさにたまに振り回されることもありますが、それが彼女の個性なんだなと微笑ましく見守っています。ハジュの朝のルーティンは、単なる習慣ではありません。それは彼が安心して一日をスタートするための大切な基盤であり、私たち親子の絆を深める時間でもあります。これからも彼のペースに合わせながら、一緒に成長していきたいと思っています。執筆/スパ山(監修:森先生より)スパ山さん、お子さんのルーティンについての体験談をありがとうございます。 ルーティンを日々こなす中でも、ルーティンが変化していったり、思わぬアクシデントが起きることで、かえってお子さんの成長が感じられてうれしいですね。さて、「ルーティンをこなすと安心する」というのは、誰しもあることかと思います。 たとえば「野球選手が試合前に素振りをして精神を統一する」とか、「受験生が毎回テスト前に深呼吸する」というようなことですね。 落ち着くための、いわばおまじないのようなルーティンを持っている方は多いのではないでしょうか。特に発達障害の傾向のあるお子さんでは、日々のルーティンが決まっていることも多いですね。学校に行って小さな社会に触れることは、お子さんにとっては大冒険です。外の世界では何が起きるか分かりませんから、安心して過ごせる家庭の中で「決まった手順」を踏むことで、外の世界に出る心の準備をしているのかもしれません。お子さんのルーティンを尊重することは、お子さんの気持ちを尊重することです。できる限りルーティンを守ってあげると結果的に準備がスムーズに進むことが多いでしょう。 とはいえ、保護者の方の生活もありますし、時間や体力、天候などもろもろの状況がルーティンを許さないこともあり得ます。 お子さんの求めに必ず毎回応えられるわけではないですよね。「ルーティンが崩れても大丈夫だった」という成功体験を積むと、お子さんはさらに自信を持って成長します。ルーティンをうまく使いながら、無理なく子育てをしていきましょう。これからもスパ山さんとお子さんが一緒に成長していけることを願っております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年02月07日感覚過敏の息子。小学校入学後に起きた変化は?Upload By プクティ小さい頃から洋服の素材や触感、太陽の光の眩しさなど、いろいろな感覚に敏感だった長男。何かを気にすることがきっかけで、ある行動が癖付いたりすることもよくありました。成長と共に行動の癖は変わったり、落ち着いたりしてきたのですが、小学校に入学して環境が変わったからか、いくつか新しい癖が出るようになりました。かなり気になる新しい癖……。ついつい注意してしまうこともUpload By プクティその中でも少し困っていたのが、舌を鳴らす癖でした。舌を口の中ではじいて音を出すのですが、それがなかなか大きな音で、出先などで鳴らされると目立ってしまい気になるほどに。Upload By プクティ家でもずっと舌を鳴らしているので、私もかなり気になってはいたのですが、注意するともっとひどくなったり、本人もストレスになったりするかもしれない……と考え、あえて指摘しないようにしていました。しかし、夫は我慢しきれず、舌鳴らしを強く注意してしまうこともありました。学校内でも影響が!?特別支援学校の先生の考えはUpload By プクティ長男の舌を鳴らす癖は学校でも出ていたようで、ある日先生からショッキングな連絡を受けました。長男が在籍している特別支援学級のクラスに聴覚過敏のある子がいたのですが、長男の舌鳴らしに耐えられず、別のクラスへ移動したと言うのです。お友だちにも迷惑を掛けてしまうことになり、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。しかし、特別支援学級の先生も、「癖を注意して無理やりやめさせるのは良くない」という考えで、癖が落ち着くまで見守ろうと判断してくださり、しばらくお友だちとは距離をとることで対応するという結論になりました。気になる癖、いつまで続くの?自然にやってきた終わりUpload By プクティこの舌を鳴らす癖は、しばらく気になって仕方がありませんでしたが、あえて触れないようにして過ごすうちに、数ヶ月後には気づいたらなくなっていました。おそらく、長男も学校に慣れてきて、ストレスが減ってきたことも影響したのかもしれません。最近は新たに鼻をむずむずさせる癖が出てきてはいますが、またいつかは落ち着くかと思うので、引き続き指摘しないようにしつつ見守っていきたいと思います。執筆/プクティ(監修:初川先生より)癖についてのエピソードをありがとうございます。癖やチックに関しては、基本的には見守ることが対応法の第一です。指摘すると、意識せずしてしまう癖等を止めようと思って意識してしまうこともあり、余計ストレスになり悪化することもあります。クラスのお子さんが長男くんの癖がつらくて教室を移動されたそうですが、環境調整としての対応は必要だった(上記理由により癖をすぐに止められるものではないため)と感じます。それを聞いたプクティさんは衝撃を受けられたかと思いますが、落ち着くまでの手立てとしてはお互い良かったと思います。さて、長男くんの舌を鳴らす癖は自然と落ち着いてきたとのこと。特にチックのような癖にはそうした展開が多くあるように思います。慣れない環境で頑張っている、不安なことがあるといったときのサインとしてそうした癖をとらえ、むしろそうした不安が安心に変わるような手立てを取っていく(チックや癖自体をなくそうとするのではなく)ということが基本方針だと思います。そうした癖やチックが出た場合には、何らか無理やストレスがあるのかもしれないなと日々の生活を点検してみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月06日発達障害のある人は、一般的にお金の管理が苦手?中2の娘の場合は……発達障害のある人は、一般的に、お金の管理が苦手な傾向にあると言われています。生活するのに、お金がどのくらいかかるのか見通しを立てることが難しく、計画的にお金を使えず、トラブルになりやすいようです。Upload By SAKURAもちろん、個人差はあります。わが家の中学2年生の娘の場合……私たちは、娘が生まれてから、いただいたお祝いやお年玉、お小遣いを、すべて娘名義の通帳に貯金し、成人したときに渡すつもりで管理しています。定期的なお小遣いをあげる習慣もなく、欲しいといったものは私たちが買ってあげていました。小学校低学年まではその状況が続いていましたが、小学4年生の頃、お手伝いを促し、自立力を鍛えるためにお手伝いカードを始めました。1回のお手伝いで1つのスタンプを押し、20個スタンプがたまったら、500円を渡すというものでした。このカードは大成功し、おかげで娘はお金の価値を学びました。今まで、すぐねだっていた物も、実際に労働して手に入れる経験をしたことで、「500円ってこんなに苦労しないと手に入らないんだ……」と分かってからはねだらなくなりましたし、自分で稼いだお金は、自分で好きに使っていいと言っても、「もったいない」と言って、なかなか使いませんでした。「お金を使う力」を身につけてほしい!親の思いとは裏腹に……お金の価値をしっかり理解したところで、私たちは小学5年生から、頂いたお年玉の一部やお小遣いを、娘に渡すようにしました。自分で考えてお金を使うという力を、身につけさせたかったのです。しかし娘は、もらったお金をなかなか使わず、どんどん貯めていき……Upload By SAKURA持っているお金を数えては、ニヤニヤする日々……。使いすぎて、お金がなくなった!→次からどうしたらいいか考えよう!という流れで、教えることを想像していた私たちでしたが、娘にそれを教える機会がなかなかきません。お金を使うのは、月に1回ぐらいのガチャガチャぐらい。元々、物欲があまりない娘は、こんなのあるよ!と提案しても「ん~……なくていい」と言い……おしゃれにもあまり興味がないので、洋服も新しいものは欲しがらず、私のお下がりや共有で満足します。Upload By SAKURA本当に、全然お金を使わない娘。そこで、わが家のお金の管理担当の夫が動きました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAお金を減らしたくないというこだわりが発生し、頑な……。それからしばらく私たちは、何も言いませんでした。出かける時、財布は持参しますが、何も使わず帰宅しても、黙っていました。そんな娘も中学に入ると、「私、これ欲しい!」「この本、興味あるんだよね!買おうかな!」と物に関心を持つようになりました。急激な変化に驚いた私たち、訳を聞いてみると……Upload By SAKURA部活にも入り、交友関係も広がって、娘の興味の範囲も広がったようでした。Upload By SAKURA娘は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性から、先の見通しを立てるのが苦手です。物事を進めていくときに、段取りを考えたり、先の予定を考えて取り組みことも難しいので、いつもサポートが必要です。しかし、お金に関しては当てはまらないようでした。いくらあるから、いくらまで使える……そしたらいくら残る……。次は〇〇を買いたいから、いくら貯める……と細かいことまで自分で考えることができるようです。「一人暮らしするのが夢」という娘のために、今できること私たち夫婦は、お金の話をよくします。家計の話ではなく、物価の上昇、国の経済事情、補助金のニュースをみながら、いろいろと詳しい夫に私が質問したり、説明を聞きながら意見を言ったりしています。長男と次男は寝る時間が早いため、夫婦の会話に娘が入り、3人で話すことが多いため、夫が娘に分かるように言い換えて説明してくれたりします。一人暮らしにどれくらいのお金がかかるのか、電気代、食費などの話にもなるため、娘はお金の話を聞きなれていました。娘は「将来、一人暮らしするのが夢」とよく言っています。一人暮らしには、お金の管理が不可欠。自分の稼いだお金を把握し、その中で生活をすることになります。娘が自分のしたい暮らしができるよう、話をしたり、自分たちの(一人暮らし)経験を話したり、今できるサポートを続けたい思います。執筆/SAKURA(監修:森先生より)SAKURAさん、発達の偏りのある方にとって大きな課題であるお金の管理についての体験談をありがとうございます。 ゲームのように楽しくお金の価値を分かるような教育をされていて素晴らしいですね。また、お金をただの数字ではなく、「苦労して稼ぐ」ことで、子どものうちから実感をもってお金の価値が分かったことは大きい成長ですね。さて、ご存知のように、発達障害の傾向がある方はお金の管理が苦手なことも少なくありません。いつまでにいくら必要なのか、今どのぐらい使っていいのかといったイメージを持ちにくく、使い過ぎてしまうのです。ひどいと、返済できないくらいの借金をしてしまうこともあります。「お金を使う」と、脳内の報酬系が刺激されるため、発達の偏りがあり刺激に弱い方はついつい「お金を使う」方向にいきがちなのです。ただ、逆に「お金を貯める」「節約する」ことで報酬系が刺激されるタイプの方もいます。 そのような場合、保護者からすると、「もっと楽しいことにお金を使ってみたら?」と思うこともあるかもしれませんが、使い過ぎと比べたら大きな問題とはなりにくいのではないでしょうか。もしかしたらお子さんもその傾向があったのかもしれませんね。SAKURAさんと旦那さんの働きかけ、お子さんも成長にともなって興味の幅が広がったこともあって、少しずつ計画的にお金を使うことを学べましたね。目標のために貯金することもできるくらいしっかりと成長されているということ、大変素晴らしいのではないでしょうか。 これからもお子さんが自分の夢や目標に向かって努力できることを願っております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月05日発達ナビユーザーの声から新アイテム3つが誕生!第6弾では、過去のコラボ企画の「こんなグッズが欲しい」などのアンケートに寄せられたお声からアイテム候補を挙げ、より発達ナビユーザーの皆さんにとって使いやすい仕様になるように、さらに詳しいアンケートやモニターを重ねました。その結果、「お出かけで荷物が増えると置き忘れてしまう」「レジ前で財布からお金を取り出すのにもたもたしてしまう」という、お出かけのお困りごとを解決する2つの新アイテムが誕生しました。さらに、第2弾のコラボ企画として発売した「デスクパーテーション」にサイズや仕様の改良を加え、リニューアルバージョンを同時発売しています。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します第6弾コラボ商品企画のプロセス1.アンケートをもとにアイテムを決定これまでの発達ナビ×フェリシモC.C.Pコラボ企画で寄せられたお困りごとのお声や、「こんなグッズが欲しい」のアンケート結果からニーズをピックアップ。放課後等デイサービスの先生にヒアリングを実施して、商品化アイテムを決定しました。2.発達ナビのライターさんによる試作モニター試作サンプルを発達ナビのライターさんにモニターしていただき、アンケートにご協力いただきました。そして、モニターの様子を発達ナビコラムで公開していただきました。3.「みんなのアンケート」発達ナビユーザーの皆さんにみんなのアンケートを実施。商品をどんなふうに使いたいか、ご意見をいただきました。さらに、モニターや追加アンケートで改良を重ね、新商品が完成しました。たくさんのご協力ありがとうございました!Upload By 発達ナビ編集部それでは、新アイテム3つについて詳しくご紹介します。コラボグッズ1.中がメッシュで取り出しやすいネックウォレット首から下げられて、カードやコインなど細々したものがサッと取り出せるお財布です。中身が見やすいメッシュ素材なので、「レジでお財布から必要なものがすぐに出てこない!」といった困りごとを解決してくれます。Upload By 発達ナビ編集部〈フレッシュブルー〉〈サクラベージュ〉の2色展開です。Upload By 発達ナビ編集部【商品の特徴】・首から下げられて、必要なものがサっと取り出しやすい・メッシュ素材で中身が見やすい・視覚的にマグネットを留める位置が分かりやすいバイカラーデザイン・ひもの長さを調節できるので、斜め掛けにもできる・やわらかなひもで首が痛くなりにくい・背面はパスケースになっているので改札でもスムーズ【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】過去に発達ナビで実施したアンケートなどで、「お金を支払う際、小銭の出し入れがしにくい」「小銭がたくさんあると混乱する」というお困りの声をいただいていました。このお困りごとをサポートする財布を作ろうと、放課後等デイサービスの先生たちにヒアリングを実施したり、発達ナビライターのSAKURAさんにサンプルモニターのご協力をいただいたりして、仕様を検討しました。Upload By 発達ナビ編集部・取り出しやすくて首から下げられる財布が欲しい・小銭入れが開きやすくて、お金が出しやすいといい・ICカードで支払うことが多いので、パスケース付きがいいなどの意見を参考に改良を重ね、メッシュ素材で中身が見えやすく、パスケース機能付きの仕様に仕上げました。小銭入れの開閉の向きや、カードポケットのサイズなど、細部にもこだわりの詰まったネックウォレットです。1個¥3,900(+10% ¥4,286)→うち40円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボグッズ2.手荷物まとめるゴムホルダー外出先で脱いだアウターや手袋、マフラーなどをハンズフリーで持ち運べるゴムホルダーです。いつものバッグに付けて荷物をひとまとめにできるので、うっかり置き忘れてしまうといったお悩みを解決してくれます。Upload By 発達ナビ編集部〈ブルー〉〈ブラウン〉の2色展開です。Upload By 発達ナビ編集部【商品の特徴】・荷物の置き忘れを防いでくれる・いつものバッグに取り付けられて、荷物をひとまとめにできる・手ぶらで動きやすい・2ステップで簡単に付け外しができる【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】暮らしのお困りごとを調査したアンケートで、「手荷物が増えると忘れものも増える」というお声をいただいたことから、荷物をひとまとめにして、忘れものを防ぐアイテムを企画しました。放課後等デイサービスの先生にヒアリングを実施したところ、・マフラーや上着を置き忘れる子が多い・子どもにも簡単に使えるようにしてほしいというお声をいただきました。発達ナビライターのよいこさんにもサンプルモニターをしていただきました。Upload By 発達ナビ編集部ヒアリングやモニター、アンケートを経て、バックルの大きさやゴムの太さなどの仕様に改良を重ね、長さ調節や付け外しが簡単で、荷物が落ちづらいゴムホルダーが完成しました。やさしい色合いでコーディネートにもなじみ、リュックやランドセルに付けて、荷物の置き忘れを防いでくれるアイテムです。1個¥1,600(+10% ¥1,758)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボグッズ3.集中できるデスクパーテーションコラボ第2弾で発売した「おうちで集中できるデスクパーテーション」。リビングでの学習で「まわりの目に入るものに気が散って集中できない」のお悩みに応えたアイテムが、今回はリニューアルして登場です。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部〈ターコイズブルー〉〈クリームイエロー〉の2色展開です。【商品の特徴】・折りたたみ式で、高さは54cmまでUPすることができる・サイドに、A4サイズの冊子や文具が入る収納と、文具が入る2段引き出し付き・コンパクトに折りたためて収納も◎・持ち手付きで軽いので、どこでも自分だけのスペースを作ることができる【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】前回商品の購入者アンケートやSNSでの「目の前に何もないほうがいい」とのお声から、書類や文具の入る収納スペースを正面からサイドにまとめて見た目もスッキリしてより安定感のあるデザインに仕上げました。発達ナビライターの丸山さとこさんにモニターいただいたところ、・何もない空間になるので、勉強をするしかなくなる・意外と圧迫感がなく、程よい囲まれ感があるというお声をいただきました。収納スペースは、「問題集の答えなど今必要なものの一時置き場に便利」と、使い方を工夫されていました。Upload By 発達ナビ編集部集中している本人だけでなく、周囲の人も気遣いなく過ごせるのもポイントです。また、放課後等デイサービスでもサンプルを使っていただきました。色について、「グリーン系、ブルー系や淡いカラーが刺激が少なくていい」とご意見をいただき、ターコイズブルーとクリームイエローの2色を選べるようにしました。写真付きの分かりやすい組み立て説明書をセット。組み立てが苦手な方には、組み立て済みの商品もご用意しました。Upload By 発達ナビ編集部1個¥2,900(+10% ¥3,188)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します就労支援継続B型事業所「ハッピーエリア」で組み立ててお届けします。1個¥3,200(+10% ¥3,518)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますフェリシモC.C.Pのサイトでは、これまで発売したコラボ商品を販売中。ぜひチェックしてくださいね!※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2025年02月05日学校から持ち帰り忘れる……忘れ物が多いとき、どう対策する?学校からの配布物や宿題、週末の体操着など、家に持ち帰るべきものを学校に置いてきてしまう――。持ち物の管理が苦手で、よく忘れ物をするお子さんへの対応に悩むご家庭も多いかもしれません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。直近では、学校からの持ち帰り物を忘れることが非常に多く、本人&母共に困っています。例えば、連絡帳(書いたのにおいてくる)、傘(雨の日家から差していける傘がない)、ノート・教科書(宿題ができない)、筆箱(鉛筆削りなど毎日のタスクができない)等上記の連絡帳・筆箱…など毎日定常で持ち帰る物も忘れてくるのが特徴です。また、毎日全部忘れてくるわけではなく、筆箱がない日、ノートがない日…など日によってバラつきがあります。あるあるですが、小学一年の我が子、忘れ物が多いのです。毎日ランドセルに付箋で持ち帰るものを書いていますが、3日間書き続けて言い続けてやっと持って帰ってくるような感じです。朝の提出物は全て連絡帳袋に入れ、これも付箋で「朝、連絡帳袋の中身を全部先生に渡す!」と書いていますがそれでも出し忘れることがあり…まあ、付箋を見忘れている&本人の中でランドセルの一部になってしまっている、または帰り支度の時にぼーっとする or 他のことをやっていて慌てて帰り支度をして忘れてしまうのだと思います。先生も帰りの支度の声かけはしていただいていますが、持ち帰るものまでは見ていただけず。でも、私もそこまではお願い出来ないと思っているので何とか自力で解決したいのです(>人<;)かろうじてランドセルは背負ってますが、手に他の荷物はもちませんし、教科書、連絡帳などは学校に置きっぱなしです。本人いわく、手荷物は、他のもの(通学路で拾う石ころや棒切れ)が持てないから持ちたくないし、忘れちゃう。連絡帳とかは面倒くさいし、学校で忘れる。とのこと。リスト作って確認しても、家から出るところまでは何とかなりますが、学校から帰り(学童クラブへ)は本人任せです。ちなみに私は働いているので、フォローできません。似たようなタイプのお子さんは、学校からの帰りに、どうやって持ち物や連絡帳を維持されてますか?今回はそのような持ち物管理のお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。学校からの持ち帰り忘れが多い中学生の息子。ADHD(注意欠如多動症)の忘れ物対策は?A:忘れ物対策は、学校から帰る前に持ち帰るものを点検する習慣付けや、持ち物をできるだけ一つにまとめるなどの工夫を、お子さんと一緒に考えていくことが大切です。家から学校に持って行くものはある程度保護者がサポートできますが、学校から持ち帰るシーンは保護者が直接関われないので、なかなか対策が難しいですよね。理想としては、学校で帰りの支度をする時間などに、持ち物を点検する習慣が付けられるといいですね。そうすると忘れ物をしにくくなると思います。例えば大人でも、出発前に「財布・携帯電話・カギを持ったか?」などを無意識に点検している方も多いのではないでしょうか。同様に、毎日持ち帰るものについては、点検することを1つずつ習慣化できると良いかもしれませんね。習慣化をサポートする際は、日によって持ち帰るかどうかが変わるものよりも、毎日必ず持ち帰るものから始めることがポイントです。スモールステップでまずは1つ、決めた道具を持ち帰ることを目標にしていきます。例えば、持ち帰るものを「連絡帳」と決めたら、ランドセルやカバンを開けたときに目に入る位置に「連絡帳を入れる」と書いた紙を貼るなどして、思い出せる工夫も大事になってくると思います。不注意による忘れ物は、注意したり叱ったりしても、なかなか改善することが難しいでしょう。「忘れないように頑張る」などの意識付けよりも、お子さん本人と一緒に工夫を考えていくことが大切です。例えば、宿題で必要なことが多い国語・算数は毎日全て持ち帰るというお子さんもいます。日によって持ち帰るかどうか変わるよりも、多少重くても毎日持ち帰るほうが忘れなくて良いという場合もあるでしょう。本人が使いやすい連絡袋にするのも一つの方法です。ファスナー付きだと開けることに手間取る場合はクリアファイルのほうが良いかもしれません。クリアファイルもあえて透明なものではなく、本人が好きなキャラクターや目立つ色のほうが目に留まりやすいかもしれませんね。発達ナビライターの丸山さとこさんは、息子さんの忘れ物やなくし物対策として、「なくすこと、忘れることを前提に準備」という対応をしたそうです。そのため、コウの入学に伴い『なくし物・忘れ物対策』として、私は大量の学校用具を用意しました。主に大量購入したものは、筆記用具・給食袋・ハンカチとティッシュ・水筒・歯磨きセットです。特に、消しゴムや鉛筆などの小さな消耗品は大量にストックが余っても困ることはありませんので、箱単位で多めにストックしておくよう心がけていました。残念ながら「予想よりストックは使わなかったな。余って困ったな~」と思う機会は全くなく、筆記用具はどんどん足していくスタイルのまま、コウは小学校を卒業しました。給食袋は4袋学校に置き忘れたことがありましたし、水筒は3本で足らずにペットボトルを持たせたこともありました。「持って帰るものを忘れないようにする」と大きな目標にするのではなく、お子さんが特に忘れやすいものや、忘れたときに困る度合いが大きいものから、1つずつ対策を考えていけると良いですね。Upload By 発達障害のキホン持ち物の管理が苦手で、大事なプリントも親に渡してくれないときは?A:プリント類を保護者に渡してくれないという場合には、まずはお家のなかで連絡袋を出す場所を決めて、帰宅したらすぐにランドセルから連絡袋を出すことから始めていくと良いかもしれません。学校でも、連絡帳を出す箱、宿題を出す箱が決まっていて、登校したらすぐ決められた箱に出すことを毎朝のルーティンにしている場合もあります。お家でもリビングの分かりやすい場所にトレーなどを置いて、その横にお子さんの好きなおやつなどを置いておいて、「帰宅したら連絡帳を出してその日のおやつゲット」という流れにするのも一つの方法です。また、プリント類を保護者に渡してくれないのは何が原因か?どこでつまずいているのか?を改めてお子さんと一緒に確認していくことも大切です。プリント類を保護者に渡すまでのステップの例としては、1:学校で配られたプリントをすぐに連絡袋に入れる2:連絡袋をランドセルの中に入れる3:帰宅後にランドセルから連絡袋を出す4:連絡袋から保護者に渡すべきものを選別し、保護者に渡しに行く大きくこの4つがあると思います。前述の連絡帳用トレーを置く工夫は、ステップ3〜4を行いやすくする工夫になりますが、お子さんはどこでつまずいているでしょうか。ステップ1でつまずいている場合にも理由はいくつか考えられると思います。例えば、「持ち帰るべきプリントと、学校に置いておくプリント」を選別することが難しい場合、「配られたプリントはすべて連絡袋に入れる」と手順を減らす工夫も選択肢になるでしょう。あるいは、実は連絡袋自体、家に忘れてしまうので学校で入れる袋がない、なんてこともあるかもしれません。このように今一度お子さんと一緒に手順を振り返ってみることで、お子さんに合う手立て・必要な工夫が見つかりやすくなるでしょう。Upload By 発達障害のキホンまとめ:持ち物管理アプリの活用にもチャレンジ学校からの配布物については、最近はスマートフォンのアプリ経由で、保護者に直接データを送信する学校も増えてきているのではないでしょうか。デジタルな方法が普及することで、ご家庭の困りごとが減っていく面もあるかもしれませんね。小中学校の校内では難しいかもしれませんが、大人になるにつれて、スマートフォンやスマートウォッチのリマインダー機能、音声デバイスの活用など、デジタルを駆使していくことも、忘れ物を減らすことに役立つと思います。持ち物管理アプリやリマインダーなど、まずはご家庭のなかで少しずつデジタルな手段を取り入れてみても良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年02月04日当初は幼稚園の年少で入園のつもりで……次男の妊娠が分かった時、長女が7歳、長男が5歳でした。わが家の場合、長女は年少から幼稚園に入園、長男は私が働き出したため2歳で保育園に通っていたのですが、次男は保育園に入れず幼稚園の年少で入園させようと思っていました。長男の登園渋りが始まった時期で、私自身も今後の働き方についてゆっくり考えたいという気持ちや、幼稚園まで次男とたくさんの時間を過ごしたいという思いがあり、夫とも話し合って妊娠を機に仕事を辞めることにしました。満3歳児クラスが気になり始めるそれからいろんな幼稚園の未就園児対象の子育て広場によく遊びに行きながら合う幼稚園を探しました。しばらくして良いなぁと思う幼稚園が絞られてきた頃、ある幼稚園に満3歳児クラス(3歳の誕生日を迎えた翌月から入園可能なクラスでした)があり、それが少し気になり始めました。早めに満3歳児クラスで幼稚園に慣れて翌年の4月からそのまま年少クラスに上がれる点に魅力を感じたのと、3人目なので1人目よりも私も活発に行動しておらず、やはり私と毎日いるより園に通った方がいろんな刺激があって楽しいのではないかと思ったからでした。しかし踏みとどまる自分がいました。年少までは一緒に過ごしたい気持ちがあったのも確かですが、1番の理由は、次男の言葉の成長がゆっくりだったこと。 当時の次男は、声はたくさん発するけれど「言葉」になっているものが少なく、2語文もほぼなかったので、親だから分かるけど……ほかの人だとやりとりは難しい状況でした。同じ年齢の子やきょうだいの同じ歳の頃と比べても、かなりゆっくりであると感じていました。満3歳児クラスに入園して、早すぎないだろうか、周りの子や先生とちゃんとやりとりできるだろうか、本人が困ってしまわないだろうか……そんなことを考えてしばらく決めきれない自分がいました。Upload By ねこじまいもみ言葉の成長がゆっくりなのが気がかりで……そんな中、次男の3歳児健診がやってきました。1歳半健診の時に言葉については相談しており、理解力の高さがあるため3歳まで様子を見ようということになっていました。しかし3歳児健診の時も1歳半からあまり言葉の成長に伸びがなく、療育も視野にいれてまずは保健センターの個別相談をすすめてもらい後日訪れました。相談では主に心理士さんと、今後次男の言葉の成長についてどのようにしていこうか、していきたいかという話をしました。私としては3歳まで様子を見てやはりまだ気になるようならば療育へ相談に行きたいと決めてること、通わせたい幼稚園に満3歳児クラスがあり、気になっているけれど言葉のことが心配で迷っていると伝えました。決断したきっかけ心理士さんと話をしている時に、私は普段感じている不安があふれ出して泣いてしまいました。ちょうどこの時期、次男への心配に加えて、長男の学校へ行きたくない問題や長男自身が不安定で私と衝突することも多く、どうしても手がかかってしまっていたため、私は毎日気持ち的に疲れていたのです。子どもたちに余裕を持って関われないなど、全てがうまくできていない気がして自己嫌悪の日々。もっとしてあげられることがあるはずなのにできていないのではないか、だから次男は言葉が伸びないのではないか……とだいぶネガティブになっていたため、心理士さんの前で涙が止まらなくなってしまいました。心理士さんは一通り話を聞いてくださったあとに、「さっきの入園をいつにするか迷っている話だけど……私は満3歳児クラスで入園した方がいいんじゃないかなと今の話を聞いて思うよ。言葉のことが心配だと思うけど、ちょっと1人で頑張り過ぎだから、周りの力を頼りながらやっていく方がお母さん自身も余裕が持てるようになるだろうし、その方がみんなにとっても良いのではないかなぁ」とアドバイスしてくださいました。私はなんだか肩の力がスッと抜けたような感じになり、満3歳児クラスへの入園に迷いはなくなりました。帰りに療育のパンフレットをもらい、保健センターから定期的に経過を尋ねる電話をしていくという話でこの日は終わりました。Upload By ねこじまいもみ入園後の様子と現在こうして満3歳児クラスに入園した次男は最初は泣いてしまうこともあったけれど、持ち前の社交性を活かしてお友だちとも楽しく遊び、本当にいろんなことを吸収して知らない間にできるようになったこともたくさんありました。言葉で伝えられないことは体を使ってうまく伝えたりすることが上手になり、大きな問題もなく過ごしていていました。私の心配は本当に不要だったなぁと今は感じています。満3歳児クラスで入園して本当に良かったです。しかし現在年少になり、満3歳児クラスでは問題なかったことも年少だと通用しないことも増え、少し戸惑う場面もあると担任の先生から聞くように。言葉はだいぶ増えてきたのですがまだ伝えられないことも多く、聞き取るのが困難な時もあります。療育での結果や言語聴覚士さんからのアドバイスを担任の先生とシェアしながら、共に次男に合った対応を考えていただき、大変心強く感じています。そして本当に毎日次男は頑張っています。たくさんの人と関わりながら次男の言葉が伸びていくことを願って毎日親子共々楽しく過ごしていきたいと思います。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)次男くんの幼稚園入園にまつわるエピソードをありがとうございます。次男くんの言葉の成長がゆっくりな面と、長男くんの登校渋りなどきょうだいの問題との兼ね合い。自分がうまく成長促進的なことができていないから次男くんの言葉の伸びがゆっくりなのではと感じるくらいに悩まれていたのですね。ちょうど3歳児健診があり、これまでの悩みと療育等への思いを話すきっかけがあってよかったと感じます。悩んでいることを棚卸しする場があり、一緒に考えてもらい、1つの方向性が出てきたのはよかったですね。大切なお子さんのために、またお子さんとの時間が大切で愛おしいものだということも相まって、保護者の方が自分で何とかする方向に考えること、よくあると思います。もちろんそれも1つの選択ですが、今回ご相談された心理士さんが提案されたように、園の先生や園という外部環境を活用することで発達促進的な関わりが望めたり、保護者にとってのレスパイト的な意味合いも持てたりすることも1つです。今回はちょうど健診があったことが相談のきっかけになったかなと感じますが、健診時以外でも、自治体の発達支援センターや子育て支援センターなどでぜひご相談いただければと思います。そして、次男くん、楽しく幼稚園に通っているようで何よりです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月03日5歳になっても人見知りと場所見知り。親戚の赤ちゃんを見て思い出す、大変だったあの頃……Upload By みかみかん今年のお正月。親戚が集まる中、たーちゃんは私にべったりくっついて離れませんでした。親戚のおじさんおばさんから話し掛けられても無視。同年代のはとこと遊びもせず。食事もそこそこに、自宅へ帰りたいと騒ぎ始めました。ASD(自閉スペクトラム症)の息子は不安感が強く、人見知りと場所見知りをしているのだろうなぁ、と夫と私はすぐに気がつきました。対して、久しぶりに会うはずの私にもニッコニコで抱っこされる親戚の赤ちゃん。じっと私の顔を見て、二本だけ生えた前歯を覗かせて笑ってくれました。そういえば、たーちゃんの人見知りと場所見知りが始まったのは、生後半年頃だったなと思い出します。生後半年から始まった人見知りと場所見知り。私と夫以外には懐かず、自宅以外ではどこでも泣いていた……人見知りと場所見知りの始まりは、生後半年頃でした。何度も訪れているはずの実母の家で突然泣き出したのを覚えています。1時間ほど経っても泣き止むことはなく、ずっと私が抱っこしていました。「赤ちゃんならよくあること」と実母は笑っていましたし、私もそこまで気にしてはいませんでした。「きっと1歳頃にはよくなるだろう」と、気楽に考えていました。Upload By みかみかんしかし、たーちゃんの人見知りと場所見知りは落ち着くどころか、ますます激しくなっていきました。1歳になっても、初対面の人だけでなく何度も会っている親戚や友人の前でも泣いてばかりでした。泣き声や暴れ方も激しくなり、抱っこで大人しくさせることも難しくなっていきました。近くに住む義母の家はさすがに慣れてほしいと思い、毎週のように義母の家へ通ってみた時もありました。しかし、あまりに激しく泣き暴れるので1時間も経たずに帰宅……なんてことがしばらく続きました。外だったら場所見知りもないのでは!?良かれと思って決行したピクニックでも……そんな状況のまま、たーちゃんは1歳半に。落ち着く気配のない人見知りと場所見知りに困った私と夫は、ある案を思いつきます。「家でなく、外で会えば大丈夫かもしれない!」と。私と夫とたーちゃんと公園に行き、そこで義母と義祖母と落ち合ってピクニックをすることに決めました。「閉鎖的でない場所なら場所見知りはないだろう。人見知りしてもすぐ泣き止むのでは」と思っていたのですが……。実際は、義母と義祖母と会った途端に泣き出し、車に戻ると言って聞かず。抱っこでもベビーカーでも落ち着かずに、地面に転がって暴れていました。義母も義祖母も反応に困っていたと思います。たーちゃん以外の大人は楽しい時を過ごせると思っていたけれど、たーちゃんにとってはつらい時間になってしまいました。結局、その日はピクニックどころではなく、すぐに解散しました。帰りの車内では、けろりとした顔をしているたーちゃん。私は準備したお弁当を見ながら、「どうして?」と悲しい気持ちになっていました。Upload By みかみかん2歳になるまでは、どこでも誰とでも泣いてばかりで外出や外食もほとんどできず、自宅に遊びに来た同世代の子にも泣くほどでした。よくなるばかりかひどくなる一方の人見知りと場所見知りに、「発達障害なのでは?」と私は思うようになりました。言葉の発達がゆっくりで、癇癪やこだわりもあったため、2歳になる前あたりから発達外来の受診へ向けて動き出しました。激しい人見知りと場所見知り。いつまで続く?この激しい人見知りと場所見知りは3歳頃まで続きました。言葉でのコミュニケーションがとれるようになっても、たーちゃんの不安の強さは変わりませんでした。子どもが喜びそうな遊び場についてすぐ、入り口で「いかない!」とUターンしたことも何度もありました。Upload By みかみかんしかし、その頃にはたーちゃんの扱いにも慣れてきましたし、「たーちゃんも周りの人も無理をしない」をモットーにしていたので、悲しんだり怒ったりせずにすぐ切り替えて別の場所で遊ぶように予定を変更したり帰宅していました。それでも、「どこにも出かけられない」、「誰とも会えない」、「出かけた先で『癇癪を起こさないだろうか?』といつも心配になる」……そんなマイナス思考になってしまう時が私にもありました。Upload By みかみかんわが家は想像していたより長く人見知りと場所見知りと付き合うことになりました。それに、5歳の今でも初めての場所では緊張しやすいですし、久しぶりに会う人とはあまり話そうとしません。けれど、時間をかけて、徐々に、確実に良くなっていきました。激しい人見知りと場所見知りに付き合う保護者の方は大変かと思いますが、お子さんも保護者の方も無理せずに過ごせれば……と思います。執筆/みかみかん(監修:藤井先生より)徐々に確実に良くなってきた激しい人見知りと場所見知りのコラムをありがとうございます。きっと、このコラムを読むことで、私一人だけではないのだと、人見知りと場所見知りが激しくて、対応に苦慮されている親御さんの励みになったと思います。すぐには解決するわけではないですが、お子さんの成長とともに、また、場所見知りがありながらもさまざまな場所に行って経験を重ねることで、少しずつ、少しずつ症状は軽減していきます。声かけや、視覚的な支援での見通しを立てたりすることで、落ち着いて過ごせる時間、場所が長くなっていくお子さんもいます。人見知り、場所見知りが激しくて、日常生活に大きく影響がある場合には、興奮を和らげる漢方薬などを検討されても良いでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月02日「学校に行けない」状態から、付き添い登校へ次女が小学校への通学を再開できてからは、次女の希望で朝はずっと付き添い登校でした。Upload By まりまり私自身仕事もあったので、毎朝次女に付き合って登校するのは負担に感じていましたし、正直いつまで一緒に登校するのか?やめ時はいつなのか?というのがよく分かりませんでした。結局、次女の気持ちを最優先にして、次女が納得いくまで付いていくしかないと思い、付き添い登校を続けていました。運動会の練習を機に、朝起きられなくなってきた次女5年生の1学期から五月雨登校ながらもなんとか学校に通っていた次女。夏休みでゆっくり休めて、2学期は比較的スムーズに登校することができていて安心していました。ただ、運動会の練習が始まってからは、胃痛を訴えるようになったり、朝起きられなくなってきたりと、あまり良くない状態が続くようになりました。Upload By まりまりそれでも、次女の休みは増えることなく(週1回くらいでキープ)、なんとか運動会の練習に参加することはできていたし、運動会自体は楽しみにしていたのでした。私が見ている限り、この時の次女は以前より少し身体面でも精神面でも体力がついてきたように感じていたので、心配ながらも見守っていくことにしました。朝起きられないことで険悪な雰囲気に…次女が不安ながらも運動会を楽しみに練習を頑張っていて、でも疲れて朝起きにくくなっているというのは見ていてよく分かりました。ただ、次女が朝起きられずに出発時刻が遅くなると、私が仕事の時間に遅れてしまうことになります。それでは困るので、次女に私の仕事のことも伝え、少し早めに起こすことに。次女もそのことについては理解してくれていましたが、私が焦ってイライラしていると、次女も急かされていることでイライラ……。朝の時間が険悪なものになってしまったのでした。Upload By まりまり今となっては、疲れている次女に対してもっと余裕をもった対応ができれば良かったと思いますが、この時は変わらず五月雨登校が続いている次女の状況をストレスに感じていたり、仕事への責任感もあったりで、どうしても余裕のある対応ができませんでした……。次女が一人で登校するようになったきっかけそんな中、次女が一人で登校するようになったきっかけは、私の寝坊でした。Upload By まりまり朝に大寝坊をしてしまい、「このまま次女を送って行ったら確実に仕事に間に合わない……!」となり、次女に一人で行けるか聞いてみたところ、少し戸惑った様子でしたが了承してくれました。こうして5か月ぶりくらいに、次女は一人で学校へ行くことになりました。翌日の朝、一緒に登校しようと次女を誘うと、「大丈夫、一人で行ける」とここで急に付き添い登校が終わりを告げることになりました。その後…最初は、イライラしていた私に気を遣っているのかな?無理してないかな?と思い、何度か次女と話し合いましたが、「もう大丈夫」と。Upload By まりまりストレスを感じながらも運動会を無事にやり遂げ、その後も現在まで一人で登校を続けています。たまたまの無理やりなきっかけでしたが、次女の気持ちを切り替える良い機会になったようでした。このきっかけがなかったらいつまで付き添っていたのか、何をきっかけに変化が訪れていたのかは全く分かりませんが、なにかしら良いタイミングだったのかもしれません。人生ではじめて、寝坊して良かったと思いました!執筆/まりまり(監修:初川先生より)付き添い登校の終わりについてのエピソードをありがとうございます。五月雨登校や付き添い登校は、まりまりさんも書かれているようにいつまで続くんだろうか……と大人が焦ったり、途方に暮れたりすることもあると思います。朝は大人も子どもも気持ちに余裕がないことが多く(だって、これから長い一日が始まるので、よほど楽しみであれば別ですが、そうでないなら、おっくうな気持ちがあることも多く、ましてや行きたくないなぁという気持ちがあるとなおのこと。そして大人の場合仕事は責任が伴うので時間を気にする度合いが高まりますね)、落ち着いている時なら話し合えることも、ついとげとげイライラつんつんしてしまうこともあるでしょう。さて、次女さんの場合には、まりまりさんが予期せぬ大寝坊をしたことをきっかけに一人で登校できるようになったとのこと。わざとではないその大寝坊が奏功したのでしょう。そして、一人で行ってみたら意外と大丈夫だったからこそ、翌日以降も一人で行けたと感じます。そこまでの付き添い登校でエネルギー的にも十分に充電されていたのだなと感じます。もし、一人で行ってみて、とてもつらい思いをしたというのであれば翌日はまた付き添い登校になるかもしれないですし、もしかしたら休みたいと言うかもしれません。こういう局面では、予想しきれない、想定しきれない要素がたくさんあるので、単に保護者が寝坊したらお子さんが一人で登校できるというほどの法則性はないでしょう。何がきっかけでお子さんがステップアップするかは、予想しきれないですが、しかし、一つ言えるのは、ずっと同じことが永遠に続くほうがよほど難しいというか、良くも悪くも何かしらハプニングやぐんと成長するタイミングが来るのではないか、という感じがします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年02月01日東京都放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報もみのきでは、一人ひとりに寄り添い、お子さんの未来を大切にした発達支援を行っています。座って話を聞く・自分で着替えるなど一人ひとりに合わせたステップで達成できるようにお子さんに寄り添った支援や、個別・自由活動を通して楽しみながら社会性やコミュニケーションスキル、生活動作を身につけ、継続的に成長を支援していきます。休日は楽しいイベントを毎日開催しており、室内イベントだけでなく工場見学、芋ほり体験など外出イベントも多数用意されています。学校・ご自宅への送迎や延長支援にも対応しています。東京都の放課後等デイサービスをもっとみる東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー北品川は、2025年2月にオープンする、児童発達支援、放課後等デイサービスを併せもった多機能型の事業所です。スタッフは、お子さん一人ひとりの特性や性格の理解、成功や失敗を大切にした上で支援を行い、「将来、お子さんが自信を持って力が発揮できる」「ご家族・お子さんが安心した生活を送れる」ようにサポート行います。また、施設内の時間だけでなく、保護者の方と過ごす時間や保育園・学校で過ごす時間などお子さんの生活全体を見据えた支援を大切にしています。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報TAKUMI高津教室は、専門性の高いスタッフが”体幹・姿勢・ストレッチ・体操・運動のコツ・切り替え・集中力・手先訓練”を取り入れた発達支援を行っています。利用時間の中で楽しみながら、苦手を段階的に改善していくことを常に考えています。運動以外にも、学校や社会で必要となるソーシャルスキル(挨拶、返事、躾やマナー)の習得も支援も行っています。また、教室が30平米と広く、お子さんがたくさん動けるスペースがあります。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報TAKUMI川口教室は教室が30平米と広く、運動プログラムを中心に、お子さんの苦手や得意を見つけ、身体能力の向上はもちろん、自己肯定感やソーシャルスキルの向上を目指していきます。また、小集団(6名前後)クラスがあります。無料体験を受付中とのことですので、子育ての悩みや発達について気になることがあれば、お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。埼玉県の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと須磨板宿教室では、小集団で音楽に合わせて歩く・走る・止まる等脳を活性化させる動きや、挨拶やお友だちと一緒に季節の歌を歌ったり、待つ・座る・順番を守る・ルールの理解などを行います。また、個室にてABA(応用行動分析学)を中心としたお子さんに合わせた個別支援も行っています。おもちゃでの遊びや他者との関わり合いを楽しみながら、「できるようになった!」と成長を実感できることを大切にしています。教室の内装は、床壁天井が杉の無垢材でできていて、日差しも入り、自然の香りがする心地良い教室です。Upload By 発達ナビ施設情報TAKUMI西宮教室は、阪神西宮駅から徒歩約1分、JR西宮駅から徒歩約12分の場所にあります。預かり型の要素は少なく、 専門家が監修したプログラムや教材を使用し、それぞれのお子さんに最適な計画を立て、「体幹・姿勢・ストレッチ・体操・運動のコツ・切り替え・集中力・手先訓練」を取り入れた発達支援を行っています。スキルアップはもちろんのこと、保育園や学校、ご自宅などの環境にも配慮し、必要に応じて地域とも連携し、 お子さんたちが自分らしく成長できるように、お手伝いをしているそうです。Upload By 発達ナビ施設情報ドキドキキッズにこにこ園では、「生きていく力を育む支援」を行っています。お子さん一人ひとりに合わせた個別計画のもと、お子さんの「やってみたい!」という思いや好奇心を尊重し、得意なところを伸ばし「できた!」をたくさん増やしていきます。また、施設にはさまざまな職種の職員が在籍しているため、日頃からそれぞれの職員の専門分野での知識などを意見交換しながら、お互いに学びを得る機会を大切にしています。併設している学童保育や系列園のお子さんたちとの交流も定期的に行っています。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2025年01月31日不登校の子どもの卒業式、どんな形が正解?息子が本格的な不登校になったのは、コロナ禍1年目の小学校6年生の時でした。相次ぐ臨時休校や分散登校、マスク登校というこれまでの日常からかけ離れた生活の中で、もともと息苦しかった学校生活がさらに息苦しくなりました。それでも「友だちに会いたい」と頑張って登校していた時期もあったのですが、日々変わりゆく学校の決まりごとに戸惑い、特別支援学級の新しい先生の指導方法が息子には合わず、支援教室にたった一人で取り残されることが多くなり、とうとう限界が来て登校できなくなってしまいました。「卒業式をどうするか」という話を持ちかけられたのは、3学期の始めでした。その頃、特別支援学級に所属はしていたものの、担当の先生とのコミュニケーションが難しく、ほとんど会話ができない状態だったため、提案してきたのは学校管理職である教頭先生でした。私は息子の気持ちと心身の状態が第一だったので、正直卒業式などどうでもよく「息子が出たいなら全力でサポートするけども、出たくないなら出なくてもよい」というスタンスでした。学校側から出していただいた提案はこんな感じでした・頑張って卒業式に出る・卒業証書授与だけでも出る・卒業式終了後に校長室で卒業証書授与を行う・卒業式終了後に体育館にて教職員のみで簡易卒業式を行う全てが出席を前提とするもので、人前や集団が難しい息子の状態を考えるととてもじゃないけれど現実的と思えませんでした。「とにかく卒業式には出てほしい」という学校の意思だけは伝わりましたが、私は「大変申し訳ありませんがどれも難しいと思います」と答えました。すると教頭先生はこのような提案をしてきました。「じゃあお母さんだけ!教職員一同と体育館でお母さんに卒業証書を授与させてください!」それではただの見せ物でしかないように思えました。泣きたい気持ちを抑えながら、「では出れたら出る。これでいいですか?」とその場限りの答えを出しました。学校側も一旦それで納得してくれました。Upload By 花森はなそれぞれの未来へと向かう卒業式小学校の卒業式当日。私はすぐにでも家を出られるよう、メイクも洋服もそれなりに整えた状態で、息子にどうしたいか、最終的な気持ちを聞きました。結果はやはり「行きたくない」とのことでした。式はもうとっくに始まっていましたが、卒業証書と記念品を受け取るためだけに、私は下の娘だけを連れて学校に向かいました。ちょうど学校に着いた頃、卒業生たちがたくさんの拍手と祝福を浴びながら、体育館を出てくるところでした。顔見知りの子どもたちに写真撮影を頼まれて、「おめでとうー!」と言いながら笑顔で何度もスマホのシャッターを押しましたが、心の中ではずっと泣いていました。息子の出席を望んでいた訳ではないのですが、『どうして息子はここにみんなといられないのだろう。みんなと卒業したかったのに』という思いが拭いきれませんでした。息子が「行きたくない」と言ったのは『卒業式』で、みんなと『卒業』はしたい気持ちはあったのです。みんなは地元の公立中学校に進むけれど、息子が進学するのは特別支援学校で、道は完全に別れてしまいます。友だちと笑い合うことのできる、最後の機会でした。卒業式が終わったばかりでお忙しいだろうと思い、廊下で隠れるように卒業証書を受け取りました。教頭先生は「せめてちゃんと授与を……」と最後まで仰ってくださいましたが、私は固辞しました。小学校の半分を、行き渋りや不登校、付き添い登校からの再登校、そしてまた不登校と輝かしい学校生活を送ることができなかった私たちには、この形が一番ふさわしいと思いました。担任の先生に感謝の気持ちをお伝えして、未来への喜びあふれる学舎を後にしました。それが私たちの卒業式でした。Upload By 花森はな特別支援学校の卒業式は…?特別支援学校中等部に進学した息子ですが、環境が変わったからといってすぐに登校できるようになったわけではありませんでした。大人への信頼を失くしてしまった息子が、もう一度『大人』や『先生』に心を許すことは難しく、それでも特別支援学校の先生方は根気強く息子と向き合ってくださいました。小学校高学年の時は、私の付き添いなしでは授業が受けられなかった息子が、登校できた日は1人で1日学校で過ごしてくることができたのです。特別支援学校の先生の細やかな気遣いや配慮が、息子の固く冷たく閉ざされた心を溶かしていくのが分かりました。1人の人間として尊重し、成長をサポートしてくださるその姿勢がありがたくてしょうがありませんでした。中学3年生の3学期を迎え、卒業式が近づいてきましたが、正直なところ、卒業式のことを考える余裕は全くありませんでした。息子も私も、特別支援学校高等部への進学ではなく、外部の通信制高校を受験するための試験対策でいっぱいいっぱいだったのです。作文や面接の練習には先生も付き合ってくださり、なんとか受験を終えることができた私たちは、そこでやっと「卒業式」の話し合いをすることとなりました。小学校の卒業式のことを先生方に話しました。特別支援学校の先生方の意見は「今の息子くんの状態でも卒業式はしんどいんじゃないかなと思うんです。でも、僕たちはここで息子くんとお別れになってしまうので、せめてさよならは言いたいです。卒業証書がもし受け取れそうなら、教室で。担任陣と息子くんとお母さんでお別れ会をしましょう。無理はしなくていいです。息子くんがもし来れなかったら、何人かだけでも息子くんにお別れを言いに行かせてください」と仰ってくださいました。息子の答えは「行きたい。最後やから、先生に会いたい」でした。Upload By 花森はな本当の卒業は、過去からの卒業だった卒業式当日の放課後、私と息子は特別支援学校へと向かいました。教室では、担任の先生だけではなく、これまでお世話になった1年生や2年生の時の担任の先生まで来てくださいました。息子の到着に合わせて、校長先生が教室まで来てくださり、卒業証書授与が行われました。名前を呼ばれると、息子が大きく「はい!」と返事をして前に出て、証書を受け取りました。一度も練習したことがないのに、しっかりとした大きな声で、最後にはガッツポーズまでして。その様子に涙ぐんでいる先生もいらっしゃいました。そのあとは先生方と写真を撮ったり、思い出話をしたり。息子と先生方の思い出は、ほとんどが家庭訪問の時のものでしたが、担任の先生は数少ない登校日に撮った写真を、手作りのアルバムにまとめて「息子くんの卒業アルバムだよ」と渡してくださいました。そこには、先生方の思いがしっかりと感じられました。「息子くんなら大丈夫だよ」「パソコンでゲーム作ったらまた教えてな」「学校にもいつでも遊びに来てくれていいんやで」と楽しく笑いながら、正門前に呼んだタクシーのところまで、先生方がお見送りしてくれました。小学校の卒業式では複雑な思いを抱えながら帰った道を、今度は未来への希望と共に息子と帰りました。今度は間違いなく『卒業』したと思いました。小学校の卒業式の時に感じた、孤独や失望感、学校への未練のようなものも全てこの卒業式で取り払われたような気がしています。卒業式はこれまでの信頼の積み重ね節目として、卒業式というのは大切なものです。もちろん、学校式典としての卒業式に参加できることが理想ではありますが、うちの息子のように集団が難しかったり、人が多い場所とだとパニックになってしまったり、長時間の待機や雑音が気になってじっとしていられない子どももいると思います。多くの児童が在籍する学校では、対応が難しいケースもあるかもしれませんが、「誰のための卒業式か」というのを考えていただけたらなと思います。「ぜひ卒業式に!」と言うならば出席を前提とせず、無理なら無理で、本人の状況に合わせて、『できそうなこと』と『難しいこと』を丁寧に検討していただきたいです。3学期を迎え、いよいよ卒業式のことを学校と話し合う時期になったという方もいらっしゃるかもしれません。全ての子どもにとって卒業式は大切なもので、その気持ちは尊重されるものです。「卒業式に出ない」という選択も、同じように尊重されるべきだと思います。私が学校側に提案していただいたような部分参加や、少人数での卒業式、別室での卒業証書授与、卒業式にもいろいろな形があります。過去の事例なども含め、実現可能なものがあるかどうか学校管理職の方に一度相談してみるのも良いと思います。今春、卒業を控えた子どもたちが後悔のない卒業式が迎えられるよう、心から願っております。執筆/花森はな(監修:鈴木先生より)私は、学校の先生方に「子どもファースト」で物事を考えてほしいと常々感じています。例えば、対人・視線恐怖や社交不安により人前に出るのがはばかれる場合は、個別で卒業式をやるという選択肢があるのです。また、卒業式に参加しなければ証書がもらえないわけではありません。宿題についても一律で出すのではなく、不登校などで授業に遅れているお子さんの場合は、その子のレベルに合った宿題を出すことが望ましいのです。少しでもハードルを下げてできた達成感を味わえることが重要です。また、「中学進学にあたり、IQの結果がないと特別支援の教育委員会で議論できない」といった理由で2年前にやったばかりのIQテストを受けるように言うなど、本人のためを思っているとは考えられないケースも見受けられます。型にはめた教育の時代はもう終わりなのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月30日発達障害のある私。大学入学、そして退学。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました30代の当事者です。24歳の時、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能です。ADHD(注意欠如多動症)の傾向もあります。また軽度脳性麻痺があるため、身体障害者手帳を持っています。特性としては、言語が比較的得意、目からの情報処理の力が低く、抽象的な指示が苦手……などといった点があります。周りからは「真面目で頑張り屋」と言われる性格です。私は高校3年生の時法律に興味を持ち、法学部への進学を決めました。自宅から通える大学のオープンキャンパスで「ここなら頑張れそう」と感じ、志望校としました。でも、入学後わずか半年も経たないうちに、対人関係でつまずいてしまいました。大学中退後は、障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました。今回はそのお話をさせていただきます。人間関係がストレスに。通学時、大学の最寄り駅で糸が切れてしまった私1年次からゼミがある学校だったのですが、ゼミ内での人間関係がとてもぎくしゃくしてしまいました。何とか通学しよう、勉強を続けたいと頑張ろうとしましたが、ある日、大学の最寄駅で糸が切れてしまいました。「もう無理だ」と感じ、身体が動かなくなってしまったのです。Upload By ユーザー体験談その時、思わず電話したのは、卒業式の時に『何かあったらいつでも先生に連絡してきなさい』といってくれた高校時代の担任の先生でした。朝早い時間帯でしたが、藁をもすがる気持ちで電話をかけると、電話に出てくれた先生は、私の様子でただごとではないと察したのか、『とにかく休め、今はとにかく休め』と電話越しに強く言ってくれたのを覚えています私はそのまま休学することになりました。Upload By ユーザー体験談「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみては?」とのアドバイスを受けてしばらく休んだ私、やがて『この先どうしようか?』と考えられるようになりました。そこで、休学してやり直すか、思い切って退学するか、とても悩みました私は高校1年生の頃から社交不安症で、メンタルクリニックに通院していました。その時からの主治医に相談すると、「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみて、メリットが大きい方を選んでは?」とアドバイスをいただきました。担任の先生は『休学してやり直しても良いんだぞ、そういう道もある』と言ってくれましたが、私なりに考え、納得して、退学を選びました。それでも、応援してくれた先生方に申し訳ない気持ちや、志した道を途中であきらめざるを得なかったことへの悔しさは消えませんでした。大学中退後の模索。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型などでの働き方と感じたこと大学を辞めてから、私はさまざまな働き方を経験しました。それぞれで行ったこと、感じたことをお話しします。私は身体障害者手帳を持っていたので、障害者雇用でいくつかの人事総務系の仕事に就きました。雇用形態は契約社員かパートです。高校では挨拶の大事さを学んでいたので、挨拶だけはどこに行っても褒めていただきました。あとはWord、ExcelなどのOffice系のソフトにも高校から触れていたので、その点も困らずに済みました。会社によっては任せる仕事がないのか、電話の応対以外はただぼーっとパソコンを眺めたり、書類整理の単純作業が多かったです。逆に信頼していただけたことでは、いろいろ任せていただき、その結果キャパオーバーに……。さまざまなことがありました。この時、私は抽象的な指示が通りにくいと感じるようになりました。少しでも強みが増えればと、ビジネス系の検定を取得しました。※「Word」「Excel」は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。就労移行支援は複数利用しました。どこも出だしこそ順調なのですが、「通院後にも来て欲しい」とか「目標を高く持って欲しい」と少しずつ要求が高くなると、体力的にも精神的にもついていけなくなりました。また、「相談しすぎです」というスタッフと「もっと頼ってもらっていいい」というスタッフの板挟みになったり、ほかの利用者さん同士の口論で過呼吸を起こしたこともあります。実習で、「姿勢が悪い」とフィードバックを受けたこともあります(脳性麻痺の特性で座位の保持が大変なのを、支援する側も、企業側にも理解いただけていないことを痛感しました)。Upload By ユーザー体験談A型では事務補助全般をやらせていただきましたが、個人情報を扱っている入力メインの職場だったので常に緊張感がある職場でした。当時新規で新たに施設を増やしたところだったので、スタッフも利用者も皆手探り状態で、ストレスを強く感じました。学びなおしへの一歩、通信制短大を卒業このように働く中で私は発達障害の可能性を指摘され、24歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能や視覚認知に困難さがあることも分かりました。その後、精神保健福祉手帳を取得しています。医師から「一般的にこんな簡単に仕事を辞めない」と言われ、自分の社会性の弱さに気づかされましたが、逆に「これで自分の特性を知ることができた」とほっとした部分もありました。そんな中も、私は法学を学び直したいという気持ちが消えませんでした。ただ、独学で法律を勉強するのは難しいとわかっていたので、次に興味のあった、高齢者福祉と心理学を通信制短大で学び、何とか2年間で卒業することができました。基本的にスクーリングは金土日の週末で開催され、さまざまな年齢や立場の方が参加されていました。「一緒にがんばろう!」と過ごす3日間はとても貴重な時間でした。中でも特に手話のスクーリングは印象的で、最後の単位認定試験が手話の自己紹介だったので、仲良くなった方々と何度も練習したのが良い思い出です。また学生同士の集まりも多く、年齢的にまだ一番年下くらいだった私は、いつもありがたいことにいろんな先輩に可愛がっていただけました。周りには短大を卒業後、そのまま大学3年次に編入される方も多かったのですが、私は経済面に加え、残り2年間をこのまま突き進むには体力面で不安があるため、一旦編入は見送りました。選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる今、私は創作活動を中心とする就労継続支援B型事業所で、イラスト制作やピアノ演奏に取り組んでいます。最近ではクリスマスカードが商品化され、これからもっと多くの作品を作っていきたいと思っています。これまでの経験で感じているのは、「選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる」ということです。そう考えることで、開く道があるのだと思います。大学への登校中、「もう無理だ」と糸が切れたあの日から思いもしなかった道を歩む自分がいます。今後の目標は、通信制大学で学び直し、最終的に卒業することです。Upload By ユーザー体験談今も自分の特性に悩むことは多いです。でも「頑張る」のではなく、自分が笑顔でいられることを指標にした「顔笑る(がんばる)」気持ちで、一歩ずつ進んでいこうと思っています。エピソード提供/YOSHIMIイラスト/マミヤ(監修:初川先生より)卒業、そして福祉的就労の今という流れを共有ありがとうございます。さまざま大変な思いをされたり、理解されないつらさもありながらもご自身がつらくない道を開拓され、また学びたいことを大事に持ち続けられていることが印象的です。発達ナビをご覧の保護者の方には、高校・大学や特別支援学校高等部などをお子さんが卒業したら、そのままどこかしらに就職し、そこでずっと働いていくものだというイメージを持たれていることもあるかもしれません。もちろんそうした場合もありますが、お子さんの発達的な特性や得意不得意と仕事やその職場が合っているかどうかは、予想しきれない面もありますし、つらいところで無理して働くことがよいわけでもありません。さまざまな経験の中で、自分にはこれが合っている、これができる、こうしてくれると助かるということをつかみながら、仕事や職場を変えることもあることは知っておきたいところですね。また、仕事をするうえでは、発達的な特性や得意不得意がなかなか作用してくる面もあります。指示の出し方1つにしても、言葉での指示がよいのか、文字による視覚的なものがよいのか。1つずつがよいのか、あらかじめリストのように見通しを持ちつつまとまった指示出しがあるとよいのか。そうしたあたりについて、今は民間事業者でも合理的配慮が義務になりましたが、まずは本人が自分の特性や得意不得意をわかったうえで、事業者や企業側と話し合っていくプロセスを経由するということです。YOSHIMIさんも語られているように、経験の中でこうしてくれると助かった、こういった配慮がないと難しかったなどを、できれば学齢期から積みながら仕事選びや大学での学びの継続等に活かしていけるとよさそうですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月29日いつから?何から?わが家の場合の入学準備私には2人の息子がいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍しています。3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきは小学1年生。通常学級に在籍しています。以前、病院の先生に「ASD(自閉スペクトラム症)の診断をするかどうかの境界付近」と言われたことがあります。Upload By ゆきみ次男ゆうきは勝負で負けてしまったり、うまくできないことがあったりすると切り替えができず、立ち直るまでに時間がかかってしまいます。こども園に通っていた時から集団行動を離れてクールダウンが必要になることがありました。特別支援学級に在籍することも考えたのですが、長男けんとと同じクラスになる可能性が高く、いろいろな方に相談し考えた結果、通常学級に在籍することに決めました。長男けんとの場合は、年長の春頃から入学に向けていろいろと準備を始めたのですが、次男ゆうきの場合は、就学時健康診断を終え、年長の1月頃から放課後等デイサービスと保育所等訪問支援施設を探し始めました。担当の相談支援専門員の方に相談して…次男ゆうきは週2~3日、放課後等デイサービスに通わせたいと考えていました。そして、もしも担任の先生が許可してくださるなら、専門知識のある方が保育所や学校で子どもの様子をみてくださり、担任の先生とお話をしてくださる保育所等訪問支援を利用したいと思っていました。しかし、通常学級の担任の先生に、次男ゆうきの特性についてお伝えしたり、配慮の希望を出したりしたい場合、どこまでお願いしていいのか分かりませんでした。Upload By ゆきみ担当の相談支援専門員の方と、通っていた児童発達支援施設の方に相談し、放課後等デイサービスと保育所等訪問支援施設を探すことにしました。そして保育所等訪問支援施設が無事に決定(※わが家の場合、保育所等訪問支援を実際に利用できるかどうかは、入学後に担任の先生に確認をとったあとになるとのことだったので、正式に契約をしたのは入学後でした)。そして、相談支援専門員の方にご紹介いただいた放課後等デイサービスへ、次男ゆうきと一緒に見学へ行くことにしました。こども家庭庁|「保育所等訪問支援ガイドライン (令和6年7月)」保育所等訪問支援は、保育所・幼稚園・認定こども園、小学校・中学校・高等学校、特別支援学校、乳児院、児童養護施設、放課後児童クラブ(以下「保育所等」という。)など、こどもが集団生活を営む施設を訪問し、集団生活への適応のために専門的な支援を行うものである。即決?放課後等デイサービスでの見学で…Upload By ゆきみ見学へ行く前は、とても緊張していた様子の次男ゆうき。部屋へ入ると集団課題の「転がしドッジボール」が行われていました。しばらく見学していると、指導員の方が「ゆうき君も一緒にやってみる?」と声をかけてくださいました。ゆうきは心配性で、新しいところに飛び込んでいくのが苦手なのですが、その時はすんなり参加することができました。同い年くらいのお子さんが多く、楽しそうな雰囲気だったこともあるかもしれません。本人が帰り際に「また来たい!」と話してきたので即決!「行きたい!」という気持ちが次男ゆうきの場合は必要かなと思い、その放課後等デイサービスに通うことに決めました。提出するか悩んだサポートブック長男けんとが特別支援学級に入学する時は、サポートブックを作成し、学校に提出しました。サポートブックとは、その子の情報や特性、困りごとがあった際に有効な関わり方などを記す資料のことです。私はインターネットで見つけたサポートブックのテンプレートを自分でダウンロードし、印刷して記入しましたが、私の住んでいる地域では、地域の役所で記入できるサポートブックをいただけるようです。次男ゆうきもサポートブックを作成しようかと思い悩んでいましたが、通っていた児童発達支援施設の先生が、ゆうきの施設での様子を記した資料を作成し、入学前の3月頃、小学校宛てに送ってくださったので、サポートブックの作成はしませんでした。私からも担任の先生に伝えておきたいことを厳選して……・ゆうきの困りやすいシーン(失敗したり負けたりすることがとても苦手で、立ち直るまでに時間がかかること……など)・その場合は、こうやるとうまくいくことが多いという情報(クールダウンが必要になるかも、など)というような内容を、ご挨拶も含めて1枚の紙にまとめ記入し、入学式の日の帰り際に担任の先生にお渡ししました。心配性で、見通し不安のある次男のためにUpload By ゆきみ次男ゆうきが年長の2~3月頃、図書館で小学校生活について書いてある本を何冊も借りてきて、一緒に読みました。どんな科目があるのか、どんな教室があるのか、どんな行事があるのか……何となくでも見通しがたったほうが安心につながると思ったからです。長男けんとの時は学校からのご提案で、入学式前日に学校へ見学に行き、入学式の流れを聞いたり実際に座る場所の確認をしたりしてくださいました。次男ゆうきは通常学級ということもあったのでこちらからもお願いしませんでしたが、入学式のだいたいの流れは家庭で説明しました。次男ゆうきは通常学級に在籍しているので、今でもどこまで学校にお願いしていいのか分からなくなる時があります。悩んだ時は1人で悩まず、次男ゆうきを支えてくださるいろいろな方々に相談をさせていただきながら、これからも成長を見守っていけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:新美先生より)次男さんの就学に向けた準備について詳しく教えてくださりありがとうございます。通常学級在籍ということで、どこまで学校側にお願いできるのかを迷いながら進めていかれたことが伝わってきました。地域差もあり一概には言えませんが、通常学級であろうが特別支援学級であろうが、お子さんに必要な合理的配慮は求めていくことはそんなに遠慮しなくてもよいと思います。必要だと思う支援を求めたうえで、学校側との相談、交渉し、過度に負担にならない範囲の合意を得ていくプロセスが合理的配慮には必要ですよね。とはいえ保護者としては迷うからこそ、記事に出てきたように、保育所等訪問支援を使うのはいい方法ですね。保育所等訪問支援の担当者なら、その地域のほかの学校の状況もある程度把握しているので、その地域のスタンダードを参考にしながら、通常学級内でできる、お子さんに必要な支援を具体的に提案していただけるのではないでしょうか。通常学級だからといって保育所等訪問支援の利用を断られることはあり得ないのでおすすめです。長男さんの時に書いたサポートブックは次男さんの時には使わず、児童発達支援施設からの資料提出と、保護者の方からは1枚の紙に厳選してまとめてお伝えしたとのことでした。これもすごく重要なポイントで、サポートブックのように情報量が多すぎるとかえってしっかり見てもらえないリスクもあり、特に通常学級と言うことを考えると、1枚の紙にまとめるというのは得策だと思いました。また、入学前に、小学校生活の本を読んだり、入学式も分かる範囲で流れを説明するなど事前の準備もばっちりですね。保育園と小学校では雰囲気ががらりと変わるので、入学初日~始まった当初に面食らってしまわないように、事前にご本人が小学校生活をイメージできるように知らせておくことはとても大切だと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月28日現場に合った制度を目指して介護・障害福祉の事業やサービスは、多くの法律や規定に基づいて運営されています。しかし、法律策定や運用の見直しでは、現場の声が十分に反映されないことも少なくありません。こうした状況を変えようと立ち上がったのが、一般社団法人 全国介護事業者連盟。さまざまなニーズやサービスのある介護・福祉業界の声を取りまとめ、現場の声を政策に活かせるようにと提言活動を行っています。今回は、理事長の斉藤正行さんに、連盟の活動内容や保護者の皆さんに注目してほしいポイント、メッセージを伺いました。Upload By 発達ナビ編集部――2018年に全国介護事業者連盟を設立されました。設立当初の思いを教えてください。斉藤理事長:私たち、全国介護事業者連盟は、その名の通り、最初は高齢者介護の分野からスタートしました。介護や福祉に携わる人の中には、実態に即していないガイドラインの見直しに、「なぜこういうルールになるんだろう?」と首をかしげ、不満を感じた人も多いと思います。私自身も、介護・福祉の業界に身を置いて20年以上になりますが、現場の声が届かないことに危機感を抱いてきました。そうした現状を変えようと2018年6月に設立したのが、全国介護事業者連盟です。のちに障害福祉事業部会を立ち上げ、現在は介護と障害福祉の両輪で活動しています。――2018年以前には、介護・福祉事業者の声を取りまとめる団体はなかったのでしょうか。斉藤理事長:いえ、実はその反対で、たくさんの団体がそれぞれに活動している状況でした。例えば障害者福祉であれば、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援、放課後等デイサービス……と、法人の種類やサービスごとに団体がありました。その結果、意見が集約されず、発言力が小さくなってしまう傾向があったのです。しかし、社会保障全般が大きく変化していく中、今後も現場の声が法律策定や運用に反映されないままでは、働く人たちや利用者さんを守ることはできません。介護・福祉の事業者が大同団結して、現場の声をきちんと届けようという思いで、全国介護事業者連盟を設立し、障害福祉事業部会も立ち上げました。驚異的なスピードで全国的な組織に拡大――現在では、大きな組織へと成長されました。斉藤理事長:構想段階では、「必要性は分かるけれど……」と難色を示される事業者さんも多かったのです。ですが、なんとか形を作ってスタートしてからは、組織の拡大は非常に速いペースで進みました。現在、全国5,800社、約3万5,500事業所 (2024年12月末時点)の皆さんに、一般会員として参画いただいています。介護では200万人、障害福祉では100万人が働く、重要なインフラサービスです。合わせて300万人の皆さんの声を代表し、現場主導での介護・障害福祉のルールづくりを進めるために、さらなるシェア拡大を目指していきたいと考えています。――全国各地に広がっていることも、全国介護事業者連盟の大きな特徴ですね。斉藤理事長:そうですね。介護・福祉ともに、都市部と地方とでは、運営のあり方や課題も異なります。業界を代表する団体となるには、全国的な組織でなければいけないということは、設立当初からの構想でした。高齢者介護については、昨年、47都道府県すべてに支部を設立することができました。3年半遅れてスタートした障害福祉事業部会は、現在、33支部です。2025年度には、47都道府県すべての支部設立を目指しています。大きな規模の事業者だけでなく、地域密着型で中小事業者の皆さんの声も吸い上げていくことが、私たちの使命だと考えています。介護・福祉業界で働く人の生活を守る――全国介護事業者連盟の活動の成果としては、どのようなものがありますか。斉藤理事長:私たちの活動の中心は、政策提言です。たとえば障害者就労についての委員会、障害児の通所系サービスのあり方についての委員会などを設置し、全国各地の専門家も交えて意見交換したうえで、要望書にまとめて、厚生労働省やこども家庭庁に提出しています。また政府や厚生労働省、こども家庭庁が設置している委員会にも、全国介護事業者連盟から委員として参画しています。また、全国介護事業者連盟の全国大会では、最先端の介護や障害福祉の取り組みや事例を発表しています。いずれは学会のように発展させ、エビデンスに基づいた情報を発信していく場としていきたいと考えています。Upload By 発達ナビ編集部――令和6年度は、報酬改定(介護や障害福祉の事業に必要な報酬を国が見直すこと)の面でも、介事連の働きかけの成果があったと伺っています。斉藤理事長:はい、介護報酬は1.59%、障害福祉サービス等報酬は1.12%のプラス改定となりました。物価高騰の状況なども鑑みれば十分とは言えませんが、比較的大きめのプラス改定を勝ち取ることができたのは、政府や厚生労働省に何度も足を運び、現場の状況を訴え続けてきた成果だと感じています。――介護・福祉に情熱を持って働く人たちが適切な報酬を得ることは、サービスを利用する側にとっての願いでもあります。斉藤理事長:もともと介護・福祉業界は、ほかの産業に比べて低賃金であることが課題でした。さらに給与差が拡大すれば、人手不足に拍車がかかり、必要なサービスが提供できなくなります。その改善のために、従来3種に分かれていた処遇改善加算(職員の給与を改善するための加算制度)を一本化し、その金額についても上増する方針が決まりました。――煩雑な仕組みをシンプルにしていくことで、現場の皆さんの負担を減らす効果も期待できるのですね。斉藤理事長:処遇改善加算を一本化することは、計画書や実績報告書を作成する時間の削減にもつながります。結果として、利用者さんと向き合う時間が増え、より質の高いサービスの実現にも貢献する取り組みだと考えています。とはいえ、介護・福祉の制度は、まだまだ複雑だと感じます。働く人や利用する人にとっても分かりやすい制度にしていくことが求められます。障害福祉分野の課題は?――障害福祉の分野で、斉藤さんが現在、特に課題だと感じていることはなんでしょう?斉藤理事長:今回の報酬改定では、就労継続支援A型について「生産活動に取り組んでいなければマイナス評価」という、非常に大きな変更がされました。この変更で、すでにこの半年で約7%の事業所が閉鎖するか、就労継続支援B型に移行しました。これによってA型の事業所で働いていた障害者の方が、約5,000人解雇されています。これはかなり深刻な問題です。このほかにも、放課後等デイサービスや生活介護などでも、マイナス改定の影響が出ています。成果重視、生産性向上という視点からの改定でしたが、これによって切り捨てられるサービスがないようにしなければなりません。――福祉的就労で働いている方、またこれから福祉的就労を考えている保護者の方にとっても心配なニュースです。今後、どのような対応が必要だとお考えですか?斉藤理事長:この先には、さらなる大改革が待っていると思います。高齢者が増える一方で、2040年には現役世代の人口が今より2割も減少すると予測されています。社会保障を使う人は増えるのに、サービスを支える労働者人口はどんどん減っていくわけです。ルールや制度の見直しに加え、我々事業者も経営や運営のあり方などの面で変化に対応する取り組みが必要です。共生社会実現にむけての取り組み――全国介護事業者連盟の今後の活動の展望について教えてください。斉藤理事長:組織をより拡大するとともに、現場で働いている皆さんにまで取り組みを共有し、裾野を広げていきたいと考えています。そして、最大のミッションである現場の処遇改善に向けて、きちんと声を届けていきます。また、2025年のトピックとしては、大阪・関西万博が挙げられます。万博のテーマである「いのち輝く 未来社会のデザイン」は、介護や福祉とも密接につながります。全国介護事業者連盟としてもパビリオンのプロデュースなどを行い、介護や福祉の未来について情報発信をしていきたいと思っています。――より多くの人に関心を持っていただけるチャンスでもありますね!斉藤理事長:はい。また、介護と障害福祉の連携もテーマです。共生型サービスの最新事例などを発信し、共生社会の実現を加速するための取り組みや事例を広めていきたいですね。――介護・福祉業界を活性化するためには、啓蒙活動も大切ですね。斉藤理事長:いま、介護や福祉では、人手不足が大きな問題となっています。これは保護者の皆さんにとっても、心配な状況だと思います。私たちの取り組みによって業界全体の健全化が図られ、持続的に発展できる仕組みがつくられていけば、職員にとってはもちろん、利用者さんや保護者の皆さんにもとっても大きなプラスになると思います。働いている人の所得が上がり、モチベーションが高まり、介護や障害福祉で働きたいという人がもっと増えることは、サービスの質や専門性の向上にもつながります。私たちも、現場に即した制度づくりに加え、教育や研修にも力を入れ、より安心して、お子さんがのびのびと成長できる場を提供していきます。――自身が高齢になったあとのことを不安に思われている保護者の方も多くいらっしゃいます。将来の福祉活用のヒントを教えてください。斉藤理事長:どうしてもお子さん優先になりがちですが、介護を含めてご自身が必要になると思う情報をしっかりキャッチしていただきたいですね。そして、お子さんについても、適切なサービスをきちんと利用できるように準備していただきたいと思います。また、障害のある方が加齢とともに介護が必要となったときには、介護保険へスムーズに切り替えることが大切です。介護と障害福祉の連携団体である私たちも、積極的に情報発信していきたいと思います。――最後に、発達ナビの読者の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。斉藤理事長:超高齢社会と言われる今、お子さんの将来について考えるとどうしても不安が先立つという方も多いでしょう。しかし、私は明るい超高齢社会の構築は、絶対に実現できると考えています。高齢者や障害がある方、誰もが安心して過ごせる共生社会をつくっていく。そのためには地域共生社会づくりが、何よりも重要です。悲観せずにそれぞれの立場で考え、手を取り合って、一緒に頑張っていきましょう。――ありがとうございました。取材・編集:発達ナビ編集部執筆:浦上 藍子大学卒業後、ベンチャー企業のコンサルティングをおこなう企業に入社。2003年に介護業界に転身。異業種から介護業界を見る中で、さまざまな課題を感じる一方、社会を支える介護や福祉に魅了される。介護・福祉業界の健全な発展をめざし、2018年に全国介護事業者連盟を設立。※ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから「一般社団法人 全国介護事業者連盟」のWebサイトに遷移します
2025年01月27日小学校での生活を振り返ってUpload By もっつん息子のタクは小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されました。小学校の6年間は長いようであっという間でした。子育てと仕事、タクのサポートや習い事など大変かつ充実した日々を送っていました。高学年の頃のタクの学力は、真ん中くらいだったのではないかと思います。好きな教科や分野はすごい記憶力を発揮してどんどん理解できるのに対して、苦手意識のある教科はほとんど学習拒否状態でした。例えば算数の暗算や公式の暗記は得意ですが、筆記が苦手なので途中の式を何度言っても省略して減点になってしまったり文章問題になると意図が読み解けずに固まってしまったりすることがありました。そんなタクをなんとか机に向かわせてくれたのが、特別支援学級という居場所でした。授業参観で何度も見学に行きましたが、タクに構いすぎず放任しすぎずちょうど良いタイミングでアドバイスの声かけをしてくださる先生を見て「さすがだなぁ」と感心しました。おかげで学力テストを受ける際は得意教科は通常学級で受けることができました。仲が良い友だちと点数を競い合ったのは、タクにとって学習への自信がつくきっかけになったと思います。学習面以外でも学校での過ごし方は高学年になるにつれて、分かりやすい問題行動は目立たなくなっていきました。家庭で全力で向き合ってきたことに加えて、特別支援学級で過ごした時間がタクの情緒も成長させてくれたのだと思います。通常学級に戻りたいと思っていたあの頃Upload By もっつん小学1年生の後半にスクールカウンセラーの先生と相談しながら特別支援学級へと転籍を決めたわが家ですが、「学力と生活態度次第で通常学級に戻れるかもしれない」ということだけが当時の私には希望のように思えていました(入学した時が通常学級だったのでタクの本来の居場所だと思い込んでいました)。早く通常学級で過ごせますように……と思いながら、3年生・4年生と進級する度に引き続き特別支援学級が相応しいと学校から知らされる度に落胆していました。今となっては特別支援教育への知識や理解が乏しく、気持ちの余裕がなかったからそんな思考になっていたのだと分かります。ですが、当時はマイナス思考になってしまうことについて、さらに悩むというループに入ることもありました。そして5年生・6年生へと進級する頃にはだんだん受け入れられるようになっていきました。途中で何度も大きなトラブルが起きて投げ出したいほどつらい時期もあったけどなんとか乗り越えて、ありのままのタクを受け入れる覚悟が積み上がってきたのではないかと思います。中学校進学に向けて6年生の後半に学校で面談した際に「中学校も引き続き特別支援学級が相応しい」と言われた際には何の躊躇もなく受け入れられました。タクにとって過ごしやすくて、実力を伸ばしてくれる環境が何よりも大切だと実感した結果だと思います。ちなみにタク本人は「どっちでもいい」と言っていました。タクにとっては特別支援学級で学習することはとても自然な日常になっていたので、中学でもこの調子で過ごしてほしいと思いました。中学校でも特別支援学級?Upload By もっつん小学生から中学生になる際に心配なことはたくさんありました。学習内容が難しくなり授業時間も伸びるので、今まで以上に困難を感じるのではないか?慣れ親しんだ支援の先生とタイプが全然違う厳しすぎる方針だったらどうしよう?あとは中学卒業後の進路について特別支援学級だということが不利にならないか(内申点の有無など)。私たちが住んでいる地域は、子どもの数が少なく進学先は地元の公立中学校の1択で同級生全員持ち上がりでしたが、中学生特有の人間関係の複雑化によるいじめなども心配していました。入学前には特別支援学級の担任になる予定の先生と面談をしました。中学の特別支援学級の教室も少人数制でクールダウンのためのソファが置いてありました。内申点についてはいろいろな対応をとっている学校があるかと思いますが、タクの通う中学では通常学級と同じように評価されるということでした。心配事がたくさんありましたが、直接教室を見学して話すことで心配事をどんどん消化することができました。事前に小学校から引き継ぎがあり、タクの大まかな性格や、学力を把握してくださっていました。そして小中交流授業の際に、すでにタクは担任予定の先生と挨拶を済ませていました。改めて私からもタクの得意不得意や要注意してほしい点などを直接伝えることができて、面談をやってよかったなと思いました。中学校は学習量が増えていきます、求められる自主学習Upload By もっつんタクが中学校に進学した頃は世の中はちょうどコロナ禍で、行事や面談が簡略化されたりリモートに切り替わっている時期でした。濃厚接触者とみなされた方もいらっしゃるので、慎重に慎重を重ねて入学式は何度かに分けて少人数で行われました。PTAなどの仕事も控えめだったので私としても助かりました。入学してみて小学校との一番の違いは学習量の多さだと思いました。中学校は毎月のように定期テストや実力診断テストがあります。それは(個別に配慮はありますが)特別支援学級でも同じでした。クラス全体での成績の順位も具体的な数字で出るので、本人のやる気がかなり重要だと思いました。宿題は自主学習を提出することになっていたのですが、自ら課題を考えてこなすのが苦手なタクは、市販のテキストを使って勉強していました。それをそのまま提出しても自主学習とみなす配慮をいただき助かりました。勉強は好きじゃないようでしたが、先生やお友だちに恵まれて過ごすことができました。たくさんの人のサポートのおかげで充実して過ごせた事に感謝Upload By もっつん中学生活を振り返ると、大変なトラブルも何度かありましたが、きっと楽しく生活できたのではないかと思います。これまで、タクの気になる行動に対して、私も間違った接し方をしてしまった事もありますが、その時はタクの子育てや躾を自分でしっかりしなくちゃいけない!と過度にプレッシャーを感じすぎていたのが原因の一つになっていました。一人で抱え込もうとして失敗したのをきっかけに自身の通院やカウンセリングを受けて、中学校生活では自分自身の恥を捨てて多方面に相談するように意識しました。学校外で起こったトラブルも包み隠さず、速やかに先生に報告して翌日から注意して見てもらったりと協力してもらいました。児童相談所と家庭支援センターで定期的に面談をしたり、教育委員会の窓口に行ったりしたことがあります。ただでさえ思春期に差しかかると子育ては難易度が増す傾向にあるので、たくさんの人の力をお借りするのが大切だと思います。わが子がより充実して幸せな人生を歩むためという視点を忘れなければ、「支援を受ける・制度を活用する」という選択はすごく素敵なことだと思います。タクは中学校の3年間で身長もぐんぐん伸びたし内面も成長してくれたと思います。今は中学・高校卒業後にやりたい道も定まってきたようです。やりたい事が見つかってからはあれだけ苦手だった勉強を自主的に勉強をするようになり、自ら湧き上がってくるヤル気の大切さが見えました。これからもタクのことを応援していきたいと思います。執筆/もっつん(監修:新美先生より)息子さんの中学進学時について詳しく聞かせてくださりありがとうございました。通常学級と特別支援学級を比べて、なんとなく、通常学級のほうが上、できれば通常学級に行きたいけどやむを得ず特別支援学級に行っているみたいなイメージを持ってしまうことはあるとは思いますが、本来そこに上下関係はなく、お子さんにとって一番学びやすい、過ごしやすい場所を選ぶという意識が大事ですよね。通っていると、お子さんの様子を見て、こうしたことが実感できてくるのかなと思います。タク君は、小学校中学校と特別支援学級の先生やそのほか周囲のさまざまなサポートもあって、大きく成長されたのですね。お子さんの成長には、家庭の支えが何より大事ですが、家族以外の他者との関わりも非常に大事です。苦手なことや、心配な行動があっても隠したりごまかしたりしないで、さまざまな方に関わってもらうことが、ご本人の成長につながることは多いですね。素敵なエピソードを聞かせてくださり感謝です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月26日具体的な解決策が満載!『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に体調管理するための本』Upload By 発達ナビBOOKガイド大人になってから発達障害の診断を受けたという方の中には、日頃から疲れやすさや体調不良に悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。実は、多動性や不注意、こだわりといった特性や、感覚過敏や感覚鈍麻が、その原因のひとつかもしれません。本書では、発達障害当事者の方が抱えやすい「睡眠」「食生活」「病気」「健康」「生活の乱れ」「メンタル」などの悩みについて、体調管理をしやすくなるためのアイデアを数多く紹介しています。例えば、デジタル機器を使った管理方法や、100円ショップのアイテムで実践できる内容など、紹介されているアイデアはご自身のペースで取り入れやすいものばかり。こんなサービスがあるんだ!こんな便利なものがあるの?と新たな発見があるかもしれません。ぜひ本書を参考にためしてみてはいかがでしょうか。早期発見で適切な支援へつなげる!『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』Upload By 発達ナビBOOKガイド学校に行くのを嫌がる、勉強をやろうとしない……そんなお子さんの困りごとの背景には、もしかしたら学習障害(LD・SLD/限局性学習症)があるのかもしれません。学習障害(LD・SLD/限局性学習症)は、発達障害の一つです。読み書きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。知的な遅れはないため、幼児期では気づきにくく、就学後に初めて「みんなと同じように読み・書き・計算ができない」という事態に直面してから判明する場合も多いため、適切な支援がないまま勉強が嫌になり、登校渋りにつながることもあります。本書は、学習障害(LD・SLD/限局性学習症)に関する基礎知識だけでなく、学校で受けられる合理的配慮、家庭でのサポート方法、お子さんの困りごとに合わせた具体的な学習の工夫なども紹介しています。学習障害(LD・SLD/限局性学習症)への理解と適切な支援に役立つ一冊です。自分らしさに自信を持って『あなたがあなたであるために 補注新装版 自分らしく生きるための自閉スペクトラム・ガイド』Upload By 発達ナビBOOKガイド2005年の初版刊行以来、累計発行5万部のロングセラーとして親しまれてきた『あなたがあなたであるために 補注新装版 自分らしく生きるための自閉スペクトラム・ガイド』が、この度補注新装版としてアップデートされました。本書は、臨床医として多くの子どもたちに関わってきた著者による、ASD(自閉スペクトラム症)の当事者、主に中高生を対象に書かれたガイドブックです。ASD(自閉スペクトラム症)を脳の特徴として捉え、自分自身や周囲の人との付き合い方、暮らしやすくするための工夫を解説しています。本書の大きな特徴は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性のポジティブな面が強調されていることです。個性を大切にしながら、その人らしい人生を謳歌していくために、まずは自分自身を知り、サポーターを見つけ、暮らしやすくなる工夫を実践していく……そういった一連のプロセスについて、分かりやすい言葉で、具体的な手立てが記されています。もっと自分自身のことを知りたいと思い始めたお子さんに、おすすめしたい一冊です。読む楽しみを一人でも多くの子どもに!『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩学校図書館10の事例』Upload By 発達ナビBOOKガイド目が見えない・見えにくい、活字の図書を読むのが難しいなど、さまざまな事情で本を読みたくても読めない子どもたちがいます。そんな「本の飢餓」の状態を解消するために、いま「読書バリアフリー」へのニーズが高まっています。2019年、「読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)」が施行されましたが、今でも十分な環境整備が進んだとは言えない状況です。本書では、読書バリアフリーを学校で推進するための環境づくりのポイントや、読書バリアフリーに取り組んでいる学校図書館の10の具体的な事例を、実際の写真と共に紹介しています。また、学校の先生方から寄せられた疑問について、Q&A方式で分かりやすく解説しています。さらに、高知県と高知市の図書館等複合施設「オーテピア」が備える多様なバリアフリー図書、国立国会図書館の取り組み、日本点字図書館・サピエ図書館の教育機関との連携などをコラムで取り上げ、読書バリアフリーについてより理解を深めることができます。「みんなが読める」を理想で終わらせないために、読書バリアフリーにどのように取り組んでいくべきか示してくれる一冊です。誰もが読書をできる社会を目指して~読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」~(啓発用リーフレット)|文部科学省LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月25日【放課後等デイサービス・児童発達支援探し、その後の短期入所、ショートステイなど】アンケートの結果発表!発達ナビ利用者の皆さんから寄せられたコメントも紹介!Upload By 発達ナビ編集部施設探しはおおむねスムーズにいった:50%施設探しは大変だった:38%その他 :12%発達ナビでは利用者の皆さんへアンケートにて「放デイ(放課後等デイサービス)、児発(児童発達支援)」についての体験を募集いたしました。「施設探しはおおむねスムーズにいった」が50%、「施設探しは大変だった」が38%、「その他」が12%という結果になりました。今回は「施設をどのように探したか」についてのコメントを抜粋してご紹介いたします。・施設探しは大変だった二人とも、特性が違うため、それぞれの特性に合わせたデイサービスを探すのが難しかったです。ひとつは、相談できる場所としてのデイサービス事業所を選び、二人ともが利用して、さまざまな課題について相談しました。また、特性に合わせて、姉弟分離し、子供達それぞれが、デイサービスで生き生きと過ごせるような時間を作ってもらいました。常に、姉弟のセットでは、個々への対応が中途半端になると考えたからです。・施設探しはおおむねスムーズにいった入学前に2つの放課後デイを見学させてもらい、より息子が好きそうな方の放課後デイに決め小学4年生の現在も利用しています。 By 発達ナビ編集部短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある (21%)短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことはない (79%)長期休みなど、ずっと子どもと一緒だと仕事や家事が進まない、体力的に厳しい、叱ることが多くなって反省ばかり……などといった場面も増えるのではないでしょうか。発達ナビでは「長期休みでの子どもの障害者支援施設や児童福祉施設などの短期入所(ショートステイ)、家族のレスパイトケア」についてのアンケートも行いました。「短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある」が21%、「短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことはない」が79%と約2割の方が短期入所を利用したことがあるという結果になりました。短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアの利用については以下のようなコメントが寄せられています。・短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある子どもが支援学校中学部に進学した頃からレスパイトを利用し始めました。友人(支援学校の先生)から「今後のことを考えて、先生、親以外の大人と接する経験をした方が良いと」アドバイスを受けたこともきっかけの一つです。・短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがないかかりつけの児童精神科へのレスパイト入院を申し込んでいるが、なかなか空きが出ないのと、本人が超絶拒否(必要性が云々というよりとにかく嫌だ)。必ずしも入院が必要な程の問題行動があるわけではないので、強制入院させるのも抵抗はあるが、個人的にはシンドイのが正直な気持ち。児童発達支援や放課後等デイサービスもですが、短期入所(ショートステイ)も地域によって探し方の難しさに差があるようです。短期入所など、今のお子さんの年齢などを考えると「まだ早い」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、事前に自治体のサービス内容などを確認しておくと安心かもしれません。放課後等デイサービス、児童発達支援、短期入所(ショートステイ)などの関連コラムはこちら公立の特別支援学校を希望することに決定したかしりりあさんの長男のりーくん。就学先は決定し、次に待っていたのは放課後等デイサービス探し!理想通りの施設にはなかなか出合えない……でも求める条件は譲れない……りーくんに合っていそうなところやご夫婦の希望を話し合った結果……。幼児期から外遊びを嫌がる傾向が強く、体を動かす機会が少なかった娘さん。体育の時に走るのが遅いことをからかわれてからは学校を休みたがり、「みんなの声がうるさいから」と体育を見学するようになってしまいました。静かな環境で運動の経験を積んだほうが良いのかも?と運動療育の放課後等デイサービスに通うことになりましたが……。2つの事業所を経験して感じたエピソードは施設探しの参考になりそうです。放課後等デイサービス探しを意識したのは息子さんが年長の夏、就学相談を経て特別支援学級への進学を決めた時だったという苗さん。そんな苗さんの住む地域にはなんと36の放課後等デイサービスが!特色もそれぞれ。放課後等デイサービス探しは「やることが多い」「関係者が多い」「出向く場所が多い」「よく分からない用語がいっぱい」と大変だったと振り返っていただきました。みんさんの住む地域には、近所に特別支援学校があるので、放課後等デイサービスの数は比較的多いほうだとのことでした。でも多いからこそ、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の次男Pくんにどの施設を選べば良いのか分からず悩むことになりました。まずは利用可能な放課後等デイサービスの情報を集めましたが全ての施設を見学する時間も余裕もありません。みんさんの考える、数ある放課後等デイサービスの中からわが子に合う施設を選ぶポイントとは何だったのでしょうか。4歳で知的障害(知的発達症)と診断された現在33歳の息子さん。中学生からレスパイトを利用し、20歳でショートステイに登録、現在はグループホームで暮らしています。レスパイトの想定外だったメリットや「お守り」になったショートステイ、特別支援学校高等部卒業後の進路など「親なきあと」に備えた準備は必見です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月24日長男とは全く違った次男の乳幼児期次男かーは長男りーとは3つ違いの兄弟です。妊娠中の経過は良好でしたが、当時は新型コロナウイルスが流行中だったため、家族は出産時の立会いや入院中の面会ができず、孤独な入院期間でした。ですが退院してからは、初めての育児だった長男の時よりも自分の気持ちに余裕があり、楽しんで育児ができていたと思います。かーは赤ちゃんの頃から表情が豊かな子でした。また人の輪の中に入るのが好きなようで、家族(特に母親の私)にスキンシップを求めてくる様子が見られました。当時はちょうど、3歳を過ぎても発語がなかった長男りーが、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた頃でした。りーの乳児期とは全く違うかーの様子に、私は「これが定型発達の子の育児なのかな……?」と期待をしていました。定型発達?発達障害?次男の成長に戸惑いもかーの育児が大変だと感じ始めたのは1歳を過ぎてからでした。平均的な時期に歩き始めたかーでしたが、よちよち歩きでどこまでも一人で行ってしまうような、ものすごく活発な男の子だったのです。買い物に連れて行き、ショッピングカートに乗せようとすると激しく拒否。一緒に歩きたがるので仕方なくカートから降ろすと、つないでいる私の手をさっと振りほどき、店内を走り回ります。幸い、私と触れ合っていると安心するのか、抱っこやおんぶは嫌がらない子だったので、買い物にはおんぶひもが必須でした。Upload By かし りりあ店内を走り回るという行動は、幼少期の長男りーにもありました。しかし、りーは自分が楽しいから走る(後ろを振り返らない)という様子だったのに対し、かーは「親が追いかけてくれる」のを期待して走っているように見えました。私がすぐに追いかけずに待ってみると、ピタっと止まって振り返り、私の表情を見ているように感じました。また、かーは手遊びやダンスが好きで、テレビの子ども向けの歌や私の手遊びを楽しそうに真似していました。りーも歌や手遊びが好きですが、自分でやるのではなく、人の歌やダンスを見聞きするほうが楽しいようでした。そういった点もりーとは違い、これも定型発達児の反応なのかな……と、私を迷わせることになります。1歳半まで発語なし……でも「指差し」が希望にUpload By かし りりあかーは1歳半になってもまだ言葉を話すことはありませんでしたが、少しずつ指差しをするようになっていました。この「指差しができる」ということは、私の中ではかなり大きなポイントでした。というのも、長男りーはなかなか指差しができず、1歳半健診で発達を見てもらった際にも、指差しができるようになると言葉の発達につながるということを聞いていたためです。かーは発語こそないものの、りーが1歳半の時にはできなかった指差しができていたので、話せないのは環境の影響か、個人差の範囲かなと考えていました。Upload By かし りりあ1歳半健診では要観察。しかしある日突然……!?そうして1歳半健診を迎えたのですが、その時点でもかーの言葉は出ていなかったので、経過を見ることになりました。しかしある日かーが……Upload By かし りりあ「マンマ」「ママ」と言い出したのです。ごはんの時や私と一緒にいる時に、まるで私に呼びかけているかのように言い続けたのです。うれしさのあまり、かーの経過を見てくれていた保健師さんには「言葉が出たのでこれからはもう大丈夫です!」と伝えました。早速私は「言葉が出る」「言葉が増える」という絵本や玩具を買い与え、かーの好きな手遊びや歌で言葉を引き出そうとしました。しかし、そこからかーの言葉が増えることはなかったのです……。かーのそれからについては、また別の機会に書いていこうと思います。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)発語がない場合、初めに否定しなければいけないのは難聴の有無です。先天性のものから中耳炎後の後天性のものまであります。正確にはABR(聴性脳幹反応)という検査で確認できます。難聴以外でも言葉の出方が奥手なお子さんはいます。表出性言語障害と言われており、集団に入ってから発語が増えていくのが特徴です。一般的には2歳までに単語が、3歳までに2語文が出ればいいとされています。難聴がないのであれば、早めに集団の中に入れてあげることもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月24日孫との同居で義父母は体調を崩したけれど。お年玉は高額、誕生日プレゼントも現金で⁉現在11歳の一卵性双生児の息子たちTとYは、2人ともASD(自閉スペクトラム症)です。Tは慎重派。嫌なことがあったり希望が通らない時は全部人のせい。自分の考えや言う通りにならないと貧血を起こすまで絶叫し続けて気絶するように眠っていました。最近急に成長して、分別ある行動がとれるようになりびっくりしています。Yは発言が一方的で、コミュニケーションに難があり。過集中で聴覚過敏があり、学校が騒々しすぎるとときどき行けなくなります。本人もコミュニケーションの難しさに最近気づき、イライラが募って勉強に支障が出たり、叫んだり、自傷行為が出てきたり、大変な時期になってきました。そんなわが家と同居を始めた義父母。発達障害がどういうものか知らない状態で、息子たちの言動の壮絶さを目の当たりにして、最初は体調を崩してしまいました。それでもASD(自閉スペクトラム症)について一生懸命に調べてくれ、今では子どもたちに愛情たっぷり。「優しくも厳しい祖父母」として接してくれています。でも、毎年子どもたちへのお年玉と誕生日のプレゼントとして渡される「現金1万円」に頭を抱えています。孫がかわいいのはありがたいのですが、両方合わせたら年に2万円……私としてはあげすぎだと思うんです……。「お金は使えば減る」って発達障害の子どもにどうやったら伝わる?Upload By ユーザー体験談子どもたちはお年玉をもらえば「わーい!お金!」と大はしゃぎ。さっそく「これでゲーム課金ができる!」と喜びます。ですが、私としてはそれをそのままスルーすることはできません。「お金は使えば減る」ことを理解できていない息子たち。そんな状態で大金を持たせるのは、教育上よくないのではと思うのです。毎年、私が預かって子どもたちの口座に貯金しているのですが、子どもたちから「あのお金、出して!」と何度もねだられる日々が始まります。「なんとかお金の教育をしなくては!」と覚悟を決めたのですが、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちと向き合いながらのお金教育は、決して簡単ではありませんでした。特性のある息子たちへのお金の教育!わが家の作戦5年生になってから「お金の教育」のためにいろいろな方法を試しました。「使えば減る」を見える化するために、家計簿のようなお小遣い帳を持たせました。なにかあったらその都度お小遣い帳へ書き込んでもらい、月末には手持ちの現金とすり合わせて支出を確認しています。お年玉が高額なため、毎月のお小遣いは300円にすることに。そして片付けへの意識、お金の使い道などについてじっくり考える時間を持たせたいとも考え、以下のようなルールを設けました。・ゴミ放置:大きさにかかわらず1つ10円徴収・本放置:1冊につき5円徴収・月に2回設けている「学校休める」権利を使わなかった場合:1日100円で買い取り・課金をしたい場合は、1日考えてそれでもするか考えた上で課金・お手伝いは無償:家族の一員として、家庭内の役割を担う意識を持ってもらいたいのでこれらのルールを通じて、慎重派のTは「使うと減る」ということを少しずつ理解し始めました。むしろ「減るのが嫌だから使わない」というケチ(?)の境地に到達。漫画を買うにしても自分のお金は使わず「あの漫画面白いんだよ、お父さんも読んでみてよ」と父におねだりをし親のお金で楽しむという高度なテクニックも身につけました。しかし、衝動性が強いYにはあまり響かず……。一度ハマると課金衝動が止まらない彼は、1日たっても1週間経っても「やっぱり課金したい!」と2千円もポンと課金。Tとの所持金差は1万5千円にもなってしまいました。そして先日は、ゲーム中に怒りが爆発し、タブレットを殴って破壊!手首を痛める事態に。そこで親が介入し、イライラを抑える方法を一緒に見つけられるまではタブレットを没収、課金も全て禁止としました。そしてYの所持金からタブレットを買うために1万円を徴収。それでも「ゲームやりたい!課金したい!」と言うY。まいってしまいました……。「課金したい!」が止まらない息子へのわが家の対策は?Upload By ユーザー体験談ゲーム、課金欲を抑えられないY。どうすればいいか頭を悩ませた結果、視覚優位の彼にとってグラフが有効ではと思い当たりました。それまでは「お金の減り」を視覚化するために出納帳を使っていましたが、見えるのは数字だけ。これにさらにグラフを導入することで分かりやすくなると思うのです。さっそくグラフ化を続けていますが、心なしか前よりは落ち着いてくれたような……。これからも継続していきたいと思います。発達障害のある息子たちに「お金」について伝えたい私自身、普段の買い物はほぼキャッシュレスで、現金に触れる機会も減ってきています。子どもたちは、もっと現金に触れることが少なくなっていくでしょう。「お金」という実態が昔よりも捉えづらくなっている今、特性のある息子たちが「お金」を学ぶハードルは高くなっているのかもしれません。それでもお金について学ぶことは、将来自立するためにも必要な力です。ファイナンシャルプランナーなどに相談して適切な金銭教育を模索しながら、根気強く向き合っていきたいと思います。そしてやはりお年玉や誕生祝いが現金1万円というのは我が家にとっては大きすぎると思うのです……。勇気を振り絞って「誕生祝いは図書カードにしていただけませんか?」とお願いしようと思っています。正直、気まずさもあります。でも、子どもたちの成長のためには必要なステップだと信じています。イラスト/志士ノまるエピソード提供/tom(監修:室伏先生より)お子さんへの金銭教育について共有くださり、ありがとうございます。お小遣い帳の導入とグラフによる視覚化、お小遣い制度とそれに伴うルール作りなど、具体的に共有してくださって参考にしたい保護者の方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。さまざまな工夫をされて根気強く向き合われるご家族のお姿、とても素晴らしいです。ゲームの課金は特に現物として物が増えるわけではないので、大人でもお金を使った実感がしにくいこともあり、制限が余計に難しいかもしれませんね。また、キャッシュレスの生活が中心となり、家族が意識的に伝えていかなければ、普段実際に手にしているもの、食べているものの値段を経験する機械が減ってしまっているかもしれませんね。現金でのお小遣いは、金銭感覚を育てるという意味でとても有意義なものだと思います。さらに、自分が欲しいものだけでなく、生活に必要なものの金銭感覚を身につけたり、やりくりすることを身につけるための方法として、お買い物をお願いするというのも有効な一つの手段かもしれません。例えば、これとこれを買ってお会計して残った分はお小遣いにする、買い物の内容をみて合計金額を当てるゲームのようにして楽しむ、などです(年齢や特性によって工夫が必要かもしれません)。私たちも、特性のあるお子さんへの金銭教育について、考えていきますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月23日大学院生の兄と自宅学習中の妹わが家のASD(自閉スペクトラム症)きょうだい、お兄ちゃんのタケルは修士課程の2年生です。朝早くフィールドワークに出かけ、昼頃には帰宅します。授業がある日は午後から大学に行くこともありますが、家が近いこともあって授業が終わればすぐに帰宅し、データ入力や分析を繰り返しています。妹のいっちゃんは通信制高校の3年生。睡眠障害があるため起床時間が不規則ですが、勉強も趣味のゲームも自宅でできるため、外出する機会は少なめです。ただし、習い事に通ったり私の買い物に同行したりすることもあるので、「外に出たくない」というわけではなく、「暇だから街に出かける」という発想がないだけのようです。そんな二人は、必然的に家に同時にいることが多くなります。Upload By 寺島ヒロそれは遊びなのか?お兄ちゃんの「カテキョごっこ」よく見かける二人の「遊び」は、いっちゃんがタケルに何かを教えてもらう場面です。内容は数学や漢字などの勉強に限らず、役に立たないけれど面白い雑学が多いです。こうした雑学こそ、子どもたちにとっては楽しいようです。Upload By 寺島ヒロタケルの話し方には、ASD特有の早口や長いセンテンスという特徴がありますが、同じASDのいっちゃんはそれを気にせず、身振り手振りを交えて楽しそうに聞いています。「私は説を言います」きょうだいで検証タケルが話題を振ることもあります。それはたいてい「私は説を言います」という言葉で始まります。もちろん、取り立てて大きな「説」ではないのですが……。Upload By 寺島ヒロいっちゃんは兄の考えたネタを手早く画像や音楽に落とし込み、それをタケルが自身のSNSの掲示板に投稿することもあります。その反応やコメントを二人で楽しむのが日常です。スポーツやショッピングも嫌いじゃないけれど…二人が言葉や表現で「遊び」を生み出すようになった背景には、漫画やゲーム、インターネット動画の影響が大きいと思います。特に、科学的な考察や検証をテーマにした自然系動画はきょうだいの普段の口調や興味に大きな影響を与えています。友だちとスポーツをしたり、街に出かけて刺激を受けたりすることがなくて大丈夫なのか、と心配されることもありますが、ASD特有の事情があります。たとえば、「友だちと時間を合わせて定期的に練習するのが難しい」「感覚過敏のため街に出るのは控えたい」といった理由です。その結果、「そもそもそこまでスポーツやショッピングに興味がないので頑張りたくない」という結論に至るようです。家の中に閉じこもっているだけに見える二人ですが、それぞれの視点で世界を捉え、独自の楽しみを見つけています。私はその様子を見ながら、わが家が「ゆりかご」となり、何か大きなものが育っていくといいなあと期待しているのです。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)ごきょうだいの関係性やご自宅での過ごし方について、詳しく共有くださりありがとうございました。きょうだいは、小さい頃は一緒に遊んでいても、年齢が離れるごとにコミュニケーションが減っていってしまいがちですが、今でもとても素敵な関係性を維持されているのですね!お互いに得意なことを持ち寄って、お二人で素晴らしい世界を育てている姿に感銘を受けました。家庭の内外にかかわらず、強く信頼で結ばれていて、一緒に楽しむことのできる人間関係を持っていることは、これから生きていく上で大きな強みになりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月22日「こども園に行きたくない」にショック!フルタイム勤務を辞めた私特別支援学級に通う7歳の息子がいます。医療機関での診断はまだ受けていませんが、3歳で受けた発達検査の結果などを見ると、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がそれぞれあるような気がしています。私は、息子が生まれる前からフルタイムで働いていましたが、息子がこども園の年中になった頃、発達特性が目立ってきて、登園をぐずるようになったことに伴い、働き方をフリーランスに変えました。目立ってきたのは「不器用さ」と「認知のゆがみによるネガティブ思考」です。息子が年中さんになったあたりから、周囲の子たちに比べて不器用さが目立ってきました。教室に飾ってあるお絵かきや塗り絵が飛び抜けて拙かったのを覚えています。縄跳びは今もできませんし、ボール遊びも苦手でした。息子は自分でもそれが分かるみたいで、「下手だからやりたくない」という発言が増えていました。また、この頃から被害妄想的な発言、「○○くんが僕のこと笑ってる。僕のことをバカにしてる!」などと主張することが増えたのです。ですが、園への送迎の時に友だちとのやり取りを見ていても、先生から園での様子を聞いても、そのような事実はなく、何やら本人が誤解しているという感じでした。Upload By ユーザー体験談そして息子は「こども園に行きたくない」と言うようになりました。これまでにはそんなことはまったくなく、楽しそうに登園していたので、少なからずショックでした。何となくの直感なのですが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない。息子が今抱えているしんどさに気づかないふりをして無理にこれまで通りのペースを保とうとすると、あとで余計にこじれるのでは」という気がしたのです。持ち帰り仕事で私が深夜に作業していることも、息子への対応で苦慮していることも夫は心配してくれていたので、「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と言っても、特に反対はありませんでした。Upload By ユーザー体験談児童発達支援、宿題対応……フリーランスになって受けた恩恵時間調整がしやすい働き方に切り替えたことで、就学準備や息子のケアに充てられる時間が確保でき、平日昼間の児童発達支援利用もできるようになったので、息子の不安定さは目に見えて落ち着きました。現在息子は小学校1年生で、知的障害特別支援学級に在籍していますが、担任の先生やお友だち達にも恵まれ、心理的安全性を確保しながら過ごせているためか、勉強も意欲的に取り組めていて、いい感じに子育てできていると思います。今息子が苦戦しているのは「宿題」です。1問解くのに時間がかかっているのですが、問題が分からないというよりは宿題に取り掛かるための気持ち作りに時間がかかっている印象です。息子は私が隣にいることで宿題への負担が軽減されているようなので、私は「待つ」姿勢に徹して一緒に宿題を見ています。宿題を見る時間をじっくり取れるのも、時間に比較的融通がきくフリーランスだったからかなと思います。その結果、時間がかかりますが、息子は「宿題しんどいな~」と言いながらも必ず最後まで取り組むことができています。授業参観などでは先生の質問に積極的に発言し、担任の先生からも「授業に楽しんで参加できていますよ。朝のスピーチなども自分から進んでやってくれるし、とてもいい状態です!」とのお言葉。年中時代のネガティブ&無気力な姿を見ていただけに、その言葉がとても嬉しかったです。Upload By ユーザー体験談いいことばかりじゃない⁉経済的な不安しかし、その代償と言いますか、今、私の貯金が大大大ピンチです。仕事に充てられる時間が激減したため、今は会社員時代の貯金を取り崩している状態です。夫婦の生活費はほぼ折半ですが、私が育児にかける時間が多いため、負担割合は「夫6:私4」としています。それでも、貯金が底をつくのは時間の問題です。今後の働き方を再検討しなければなりません。Upload By ユーザー体験談子どもが生まれる前、夫に代わって私が生活を支えていた時代があったので、夫は私に「働き方を変えて、もっとしっかり稼いで」とは言いにくいんじゃないかと思います。とはいえ、「休みの日は、もっと俺が息子を見るわ。息子の送迎とかも、できる限り協力するし」と言われるので、私にもうちょっと働いてほしいと思っているのかな~とも感じています。今は、息子の登校に付き添いをしていたり、平日の午後に、送迎が必要な個別療育の放課後等デイサービスに通っています。まとまった収入を得やすい週5の時短勤務や、フルタイムなどの働き方にシフトすると、おそらくこれらを続けることは難しく、こだわりの強い息子を説得するのは大変だろうなぁ……と悩みは尽きません。あと、転職適齢期を大幅に過ぎた自分が、どこで働くかという問題もありますよね(汗)。母子分離不安がある息子。障害者手帳の取得も視野に入れてさらに、働きかたを変えていくための第一歩は、息子の「母子分離不安」を軽減することです。息子は「6年生になるまで一緒に登校して!」と言うほど、私への依存が強い状態。どうしたらいいか考えていたのですが、今後障害者手帳の取得に向けて、児童精神科を受診しようと思っています。これまでは特に必要性を感じる場面がなかったので手帳の取得を検討していなかったのですが、手帳取得によってなにか現状が変わればいいな、との思いからです。手帳取得によって手当が得られるわけではないことは知っていますが、収入を増やすことと支出を減らすことについて、いろいろな角度から考え続けたいと思っています。エピソード参考/苗イラスト/keiko(監修:室伏先生より)息子さんの特性や、お母様のお仕事についての悩みなど詳しく共有くださり、ありがとうございました。フルタイムからフリーランスでのお仕事に変更される時には、大きなご不安やさまざまな葛藤があったことと思いますが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない」と息子さんに全力で向き合われてきたお姿、とてもかっこいいなと思いました。発達障害のあるお子さんへの経済的な支援の一つに、特別児童扶養手当があります。特性はあるものの生活への支障がそれほど強くないお子さんや、知的障害(知的発達症)の軽いお子さんでは手当を受けるのが難しい場合が多いですが、生活に一定程度以上の困難さを伴う場合には手当を受けることができます。児童精神科の受診には、手帳の取得や、手当に関する相談以外にも、医師、医療スタッフによる問診、お子さんの観察、発達・知能検査などを通して、ご本人の特性の理解を深めたり、その子に合った支援の方法を一緒に考えることができるというメリットもあります。息子さんとお母さまが共に安心して過ごせる道が見つかりますことを、私もお祈りしております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月21日先生の得意分野もさまざま……学校での支援、どう連携していくと良い?学校の先生の中でも、その先生の得意分野やサポートが必要なお子さんへの支援経験などはさまざまです。場合によっては、わが子の担任の先生について、「困っていることをなかなか理解してもらえない」「対応方法がうちの子に合っていない気がする」といったように感じることもあるかもしれません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。特別支援教育自体が全然わかっていない先生が担任になってしまい不安です。中度の自閉症でADHDの中3の息子は、支援級の情緒学級です。息子の担任のA先生についてなのですが、あまり発達障害の知識がなくて、子どもたちが言うことをきかないと、たびたび怒鳴ります。普段は優しく穏やかなのですが、怒ると別人で、かなり怖いです。普通学級ならそれでも良かったのかもしれないですが、支援学級では、もう少し別の指導もできるのではないかと感じていました。小学一年生の母ですが、支援学級の先生との話が噛み合わなくて悩んでます。子どもが何となく家で言っていることで、親として少しSOSを出していると思われる事があるのに先生は例えで話としかとらえてくれなくかったり、お友だちから隠れて叩かれたり蹴られたり等している事については、お母さんの見たことではなく子どもの意見はどうなんですかと言われ嫌がっていると答えるとそれはお母さんの感じていることではと言われます。今回は、学校と連携していくときのコツについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。経験の浅い先生に特別支援の専門性を高めてほしい……効果的な支援のための伝え方は?A:支援の経験が少ない先生の場合には、具体的に要望を伝えると良いかもしれません。例えば、「去年こういう支援がうまくいったので、今年も最初のうちはお願いできますか?」というように、具体的な対応方法や手立てを提案しながら相談すると良いでしょう。また家庭で使用しているスケジュールなど、教材をお渡しするのも1つの方法です。まずはお子さんが今何に困っているか、現状についての認識を先生とすり合わせます。その上で「口頭だけでなく、昨年使ったカードを今年も使っていただけますか?そのほうが、子どもも見返せるので自分でできると思います」など、できるだけ具体的な対応を相談してみると、先生も対応しやすいかもしれません。またお子さんの特性を共通理解しやすくするためのツールを活用するという方法もあります。その1つとして、LITALICO発達特性検査があります。LITALICO発達特性検査はお子さまの特性について、背景要因と支援のアイディアがカテゴリごとに得られるものです。印刷して学校と共有することで、個別の教育支援計画の参考にしていただいたり、話し合いのときに活用したりすることができます。担任の先生と保護者とでお話をするだけではなかなか支援が進まない、理解が得られないなどの場合、特別支援学級のほかの先生や主任教員、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどを入れた複数のチームで相談を進めてもらうという方法もあります。学校での配慮や支援は、その学校や教室の物理的環境や人的資源によっても変わってきます。チーム体制で話し合うことで、お子さんを取り巻く環境の中での実行可能な手立てが見つかりやすくなるかもしれません。Upload By 発達障害のキホンまとめ:学校での支援事例を参考にしてみよう保護者が学校での支援についていろいろな事例を知ることも、わが子に合う支援を見つけていくことに役立つかもしれません。国立特別支援教育総合研究所による支援例なども参考にしてみても良いでしょう。◇参考:指導・支援|国立特別支援教育総合研究所・発達障害教育推進センター(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月20日「受験生の親としてどうしたらいいですか?」Upload By 丸山さとこ息子のコウは、現在高校受験生です。中学1~3年の頭まで家庭学習は主にタブレットで行っていましたが、2年生の夏期講習と冬期講習をきっかけに3年生からは塾に通うようになりました。講習や体験授業を経て選んだ今の塾にコウは満足しているそうです。「今日は相似をやったよ~」「休憩中に自分が考えたゴロ合わせを出しあって盛り上がった」と塾であったことを帰りの車中で楽しそうに話してくれたりします。そんな現在の塾に入塾して間もない頃、塾長先生と電話でお話しする機会がありました。「ご質問はありますか?」と聞かれ「受験生の親としてしたほうがいいことや、しないほうがいいことはありますか?」と伺うと、先生は意外なことを教えてくださいました。アドバイスを求めた私への、先生からの意外な言葉は?アドバイスを求めた私は「口うるさく言わない」とか「過去問をあまり早くに解かせない」などの定番の言葉を想定していたのですが、先生からのアドバイスは「お子さんの味方でいてあげてください」というものでした。Upload By 丸山さとこ「これから受験生として頑張っていく中で、コウ君は学校の先生や塾講師など周囲の大人たちから『こんな成績ではダメだ』『ここができていない状態では志望校は受からない』などと否定的なことをたくさん言われると思います」「そんな風に周りからは厳しいダメ出しが増えてしまうからこそ、保護者の方は『応援してるよ』と肯定的に伝えて、味方でいてあげてください」そう先生がおっしゃるのを聞いて、私は目から鱗が落ちるようでした。「そうか……周囲から現実的で否定的なアドバイスが続く中、肯定的な味方でいられるのはその子の親なんだ!」と深く納得しました。Upload By 丸山さとこそうして、私は彼に対して否定的なことを言わないようにし、常に味方であるよう努めることにしました……となるわけもなく、私は相変わらず毎日コウに口やかましく小言を降らせています。それでも、意識の片隅に『味方でいてあげてください』が残っていることで、『追撃の手を緩めて応援するスタンスを示そう』という考えを持ちやすくなっていると感じます。「勉強しないなら志望校を変えなさい。嫌なら勉強しなさい」ではなく、「志望校変えるか勉強するかどっちかにしようよー。受かりたい?じゃぁ頑張ろう」と言えるのは、『彼の志望を応援することが大事なのだ』という意識のおかげです。Upload By 丸山さとこ祖母からも「受験生の空気がないねぇ」と言われるほどノンビリムードのコウですが、最近は彼なりに頑張っているのが見て取れます。以前は受験勉強が嫌になると「志望校変えようかな?」と迷うこともあったコウですが、3年生の2学期に入ってからは「志望校合格のために頑張る」と言うようになりました。模試では第一志望校がB判定のため「あと少し頑張れば受かる可能性があるのに」とヤキモキしてしまう私ですが、2学期が終わろうとしている今、一周回って「やるかやらないかも含めて現在のコウの実力だからな~」と良い意味で(?)諦めが生まれています。焦る時も諦める時も、『応援しているよ』の気持ちを第一にコウの受験を見守っていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)受験生の親の心構えとして大事な視点を教えていただきありがとうございます。塾の先生のアドバイス、「お子さんの味方でいてあげてください」というのはとてもいい言葉ですね。受験に関しては、誰かがシビアな情報を提示することが必要になります。でもそういうことは学校の先生や塾の先生など受験について詳しい外部のプロに任せることが大事です。どうせ親の言うことなど聞きません。現在の成績から予想される志望校の合格可能性の提示や、勉強の仕方のアドバイスなどは外部に任せるのがいいでしょう。任せられる相性の良い塾の先生に出会えたことはラッキーだと思います。受験勉強の期間は、シビアな現実に直面したり、思うようにいかなかったりすることがあるものです。そんな時に、どんなあなたも応援しているよという姿勢で、安心できる家庭環境を提供することが保護者にできるいちばん大事なことかもしれません。受験真っただ中にダラダラしている様子に見えると、小言を言いたくなる時もありますが、丸山さんが記事の中に書かれていた「やるかやらないかも含めて現在の実力」というスタンスで、本人丸ごとを応援して、一番の味方でいてもらえるといいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年01月20日不登校、行き渋りとは?160人以上が回答!読者アンケート結果や令和5年度の統計結果など不登校とは、心理的な問題や人間関係など、病気や経済的な理由以外で年間30日以上の欠席があり、学校に行けない状態のことを指します。不登校の原因は一人ひとり異なり、さまざまなタイプが考えられます。早期の介入と適切な支援が重要です。行き渋りとは、学校に行きたがらない、または登校に時間がかかる状態のことです。毎日登校していても、本心としては「学校に行きたくない」「学校がつらい」などと感じており、新しい環境への適応の難しさ、人間関係の悩み、学習の遅れなどが原因として考えられます。お子さんの様子をよく観察し、何がつらいのかを一緒に探ることが大切です。Upload By 発達障害のキホン子どもに不登校がある…約25%子どもに行き渋りがある…約31%子どもに不登校があった…約7%子どもに行き渋りがあった…約17%不登校も行き渋りも特にない…約19%※2024年12月16日時点の結果です発達ナビ利用者の皆さんへのアンケートの結果は、「子どもに行き渋りがある」が約31%で、次いで、「子どもに不登校がある」(※発達ナビ利用者へのアンケートのため、年間30日以上の定義を満たしてない可能性もあります)の約25%と続きました。過去に不登校、行き渋りがあった人数も含めると、約8割近くの方が不登校や行き渋りに悩まれているという結果になりました。不登校、行き渋りは発達に特性があるお子さんにとっては身近にある大きな悩みと言えそうです。「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(文部科学省)によると小・中学校における不登校児童生徒数は346,482人(前年度299,048人)であり、11年連続増加し、過去最多となりました。増加の背景としては、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」など児童生徒の休養の必要性を明示した法律が浸透し、保護者の学校に対する意識の変化などがあげられます。また、引き続きコロナ禍の影響なども考えられます。しかし、特別な配慮を必要とする児童生徒に対しての早期からの適切な指導や必要な支援にもまだまだ課題があると言われています。参考:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省小学校からの行き渋り・不登校は中学進学後も続き……試行錯誤の結果は【発達ナビ読者体験談】Upload By 発達障害のキホン小3の頃の担任の先生の対応がきっかけで行き渋りが始まったASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。その後発達障害をクラスメイトにからかわれるようになり不登校に。中学に進学後も行き渋り、不登校は続いていましたが中学生になった息子さんには小学校の頃とは違う「ある思い」があり……。不登校や行き渋りのさまざまな原因、背景要因、保護者の方も心配されるところです。どのように息子さんが乗り越えたのか……気になった方も多かったようです。不登校からの進学先は?学びの多様化学校(不登校特例校)やフリースクール、通信制高校などさまざまな学びの場所出席日数と内申点に重点を置いている高校などでは受験が難しくなる場合もあります。 ただ、それらを重視しない高校や、不登校でも通いやすいさまざまな高校があります。例えば通信制高校、フリースクール、学びの多様化学校などです。単位制ではない高校の場合、各科目ごとの出席日数が重視されるので、3年間通えるかも考えて親子で相談しながら進路を選ぶことが重要です。通信制高校とは、インターネットやテレビなどの通信手段によって教育を行う高校です。学校教育法第4条において、通信制課程は「通信による教育を行う課程」とされています。さらに、通信制課程における教育の方法等については、「高等学校通信教育規定」に定められています。自分のペースで学ぶことができることが特徴の通信教育。近年では学習時間や時期、方法などを自ら選択してスタートラインも目指すゴールも異なる多様な生徒に対して教育機会を提供しています。参考:高等学校通信教育の現状について|文部科学省フリースクールは法や制度などによって定められた学校でないため、その定義はさまざまです。文部科学省では「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」と示しています。フリースクールは国からの助成金などはないですが、自治体からの助成金がある場合もあります。例えば東京都では小・中学生1人につき月額最大2万円の助成金が適用されます。※利用料が月2万円を下回っている場合は、利用料と同額となります。自治体によって助成の有無や内容は違うので一度問い合わせをしてみましょう。参考:フリースクール・不登校に対する取組|文部科学省参考:利用者向け東京都フリースクール等利用者支援事業を開始フリースクール等の利用料を助成します!|東京都学びの多様化学校(不登校特例校)とは、不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校です。不登校児童生徒の学習状況に合わせた少人数指導や、勉強の進み具合によって指導方法を変えるなど一人ひとりの生徒に合わせた支援を行います。また、学校外での学習プログラムの積極的な活用など工夫されたプログラムが組まれている学校が多く見られます。学びの多様化学校(不登校特例校)は、一般の学校と同様に卒業資格や、大学や専門学校等の進学資格を得られるなどのメリットもあります。令和6年度現在、学校数は35校となっています(公立学校:21校、私立学校:14校)。参考:不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要参考:学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧|文部科学省専門家が解説!発達障害と不登校、行き渋りは関連あるの?対策や支援の方法などもQ:子どもの発達障害と不登校や行き渋りに関連はあるのでしょうか?A:かならずしもそのような訳ではありませんが、発達障害のない子どもと比較してそのようなリスクは高いと言えます。ASD(自閉スぺクラム症)の子どもは社会性(対人関係)やコミュニケーションに苦手さがあったり、こだわりが強いなどの特性があることが多いと言われています。それらの特性から友だち関係がうまくいかない・環境に慣れないなどのトラブルやストレスが生じ、行き渋りや不登校のきっかけになる場合もあるとされています。Upload By 発達障害のキホンQ:不登校や行き渋り、保護者のできる対策や支援の方法が知りたいですA:不登校に関してはできるだけ早期の対応をすることが重要です。登校したくない・休みたいなどの言葉が増える、朝起きない、食事や着替えに時間がかかる、学校を出る時間が遅れる、遅刻早退が増える、保健室で休む時間が多くなる、休み時間に孤立するなど兆候が見られた場合は何か学校でしんどいことがあるのかな、など本人のしんどさについて話を聞くことが大切です。学校に行くように指示するだけではなく、本人の視点に立ってその気持ちを理解し、学校場面の環境調整や合理的配慮を進めていくことが大切です。Upload By 発達障害のキホン不登校・行き渋り関連コラムはこちらから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月19日相模女子大学「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」2024成果報告会が2月1日(土)に開催Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース神奈川県の相模女子大学では、相模原市と共に、文部科学省委託事業の一環として発達障害や知的障害のある若者を対象としたインクルーシブな生涯学習プログラム(「インクルーシブ・プログラム」)の開発を行ってきました。4年目となる2024年度の成果について、当事者や在校生が中心となり、企画・運営した実践内容、メンバー同士で議論したプログラムの意義などを発表します。また、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の梅永雄二先生によるオープニング講演や、発達ナビの記事監修やセミナー登壇されている相模女子大学人間心理学科教授の日戸由刈先生による本事業のねらいについてなど、第一線で活躍されている専門家のお話も聞くことができます。障害の有無にかかわらず、誰もが生涯を通じて学びを続け、人生をより豊かなものとするために、大学がどのような取り組みを行っているのか知ることのできる貴重な機会です。ご興味のある方はぜひ聴講してみてはいかがでしょうか。【詳細】イベント名:さがみはら・学ぶ楽しみ発見プログラム(インクルーシブ・プログラム開発事業)2024成果報告会「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」日時:2025年2月1日(土)13:00~16:00(12:30より入室可能)場所:相模女子大学7号館711教室または、オンライン※どちらかを選択申込方法:専用フォームより申し込み※お申し込みの方には、2025年1月末日を目途に、会場でご参加の方には会場案内を、オンラインでご参加の場合にはZoomのURLが運営側から共有されます。申込締め切り:2025年1月24日(金)※定員500名(会場100名、オンライン400名)定員に達した時点で締め切り※ZoomおよびZoom(ロゴ)は、Zoom Video Communications, Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。※クリックすると、発達ナビWebサイトから相模女子大学の『さがみはら・学ぶ楽しみ発見プログラム(インクルーシブ・プログラム開発事業)2024成果報告会「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」』申込フォームに遷移します。診療待機期間の短縮へ!ファストドクター「小児発達オンライン」サービス提供開始Upload By 発達ナビニュース子どもの発達が気になった時、児童精神科などの専門医療機関を受診したいと思っても、予約の電話がなかなかつながらない、ようやく予約ができても診察は数か月先、そもそも近くに専門の医療機関がほとんどない……といった方も多いのではないでしょうか。そのような課題を解決するため、ファストドクター株式会社は、提携医療機関の専門医の協力のもと、オンラインでの相談・診断が可能なサービス「小児発達オンライン」の提供を2024年12月2日より開始しました。本サービスでは、発達障害が疑われる、またはすでに診断を受けたものの、専門医療機関への受診が難しい3歳から18歳までの子どもを対象として、オンラインでの重症度判定(トリアージ)と初期治療、必要に応じて地域の医療機関で対面診療を受けられる支援を行います。また、公認心理師や臨床心理士に相談できるオンラインカウンセリングの関連サービスで、心理検査や個別支援を受けることも可能とのことです。場所や時間といったさまざまな制約で、専門医の受診をあきらめていた方も、早期に必要な支援へつながることができる本サービス。自宅からいつでも発達の悩みを専門医に相談できる……そんなことが当たり前になる日も近いかもしれませんね!※クリックすると、発達ナビWebサイトからファストドクター株式会社『小児発達オンライン』Webサイトに遷移します。ラッピングバスも走行中!JR東海グループ、障害者アーティストのアール・ブリュット作品を採用Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース「生(き)の芸術」を意味するフランス語である 「アール・ブリュット」。その解釈はさまざまですが、「専門的な美術教育を受けていない人による、既存の作品や文化、流行などに左右されない芸術表現」とも言われます。JR東海グループでは、多様性のある社会の実現を応援すべく、国内で活躍する障害者アーティストのアール・ブリュット作品を、各グループ会社のサービスやプロダクトなどで採用してきました。アーティストの作品採用に関しては、JR東海の特例子会社であり、共働共生を理念に掲げる株式会社ジェイアール東海ウェルがコーディネーターを務めています。JR東海グループの一つであるジェイアール東海バス株式会社では、2025年4月8日まで、1台の高速バスに東海地区で活躍する障害者アーティストの作品をラッピングし、各地を走行する取り組みを行っています。また、JR東海バスのグッズのデザインにもアール・ブリュット作品を取り入れ、JR東海公式通販Webサイト「JR東海MARKET」内にある同社のオンラインショップ「JR東海バス部」やイベントなどで販売しているとのことです。障害者アーティストの活躍の場がますます広がる本取り組みによって、街中で作品を目にする機会も増えていきそうですね。※クリックすると、発達ナビのWebサイトから株式会社ジェイアール東海ウェルのWebサイト『JR東海グループにおけるアール・ブリュット作品の採用について』のページに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2025年01月18日高級ウールのニットが着られず母に叱られていた幼稚園〜小学校時代当時は自覚もなく、誰も知らなかったものの、小さな頃から感覚過敏のあった私。着る服には苦労しました。秋冬になると特に、暖かい獣毛でできたニットなどの服が増え、これらが私にはチクチクするのでしんどかったのです。祖母が質のいいウールの毛糸を使い、素敵なセーターなど編んでくれるのですが、これがどう着てもチクチクする。特に、祖母が腕をふるって編んだ模様編みのところなど、デコボコ部分のゴロゴロした感じもあいまって、本当につらいのです。チクチクしてしんどい、と訴えても、当時は誰も感覚過敏などという言葉は知りません。「高級なウールを使っているのに。おばあちゃんが愛情込めて編んでくれたのに、あんたはなんてワガママなの」と母に叱られ、無理に頑張って着ていましたが、首などの皮膚は真っ赤になってしまい、学校が終わる頃には不快刺激に耐え続けたことでぐったり疲れ切ってしまうほどでした。周りとは体感気温の感じ方が違いすぎてつらかった中高校時代中高になると、もともとの自律神経の不安定さに加え、二次障害での自律神経の乱れも加わったのか、まだティーンなのに更年期? と思うほどのひどい冷えのぼせを感じるように。夕方、教室に西日が入ってくる時間帯など、クラスの私以外みんながセーターを着込んでいるのに私は顔を真っ赤にしてブラウス1枚になり、ブラウスの腕をまくりあげ、ネクタイをゆるめて下敷きで顔をあおいだりしていました。それで手足は氷のように冷たいという……。通学電車でも、車内が暑くてクラクラしてくるほどで、コートを脱ぎジャケットを脱ぎセーターを脱ぎ……という感じでした。今でこそ、自分には自律神経の問題があったのだろうと推測することができますが、当時はともかく漠然と「自分がだらしないからだ。みんなこういうのを顔色にも出さないように我慢してるんだ。それに比べて私は……」と思っていました泣制服のセーター、ブレザー、コートにはウールが使われており、これらはやはりチクチクしました。ウールなんてみんながチクチクするものだろうと思っていたので、みんな文句も言わず我慢して着ていて偉いなあ、などと思っていたものです。大人になっても、不快なものを我慢して着ていた大人になっても、自分が何が着られて何がダメなのかが分かっていませんでした。というか、「世間の皆さんはたとえしんどくてもお洒落とかのために我慢して着るという強靭な精神を持っているのだ」と思い込んでいたのです。このため長いこと、のぼせやすいし首が痒くなりやすいからタートルネックは鬼門なのに頑張ってタートルネックを着たり、高級なウールなんだからこれぐらいはみんな耐えてるんだと思ってやはり首を真っ赤にしたりしながらウールのセーターを着たりしていました。長袖Tシャツの重ね着が流行れば、ゴソゴソして嫌なのに頑張って着てみたり、重たいし立ったり座ったりのときにもたついてしんどいロングコートを一生懸命着てみたり。30代後半、ついに化学繊維のニットが心地よいと気づく30代になってようやく自分のASD(自閉スペクトラム症)を自覚した私。同時に自分の感覚過敏にも気づきました。それで、タートルネックを避ける、ゴワゴワした素材のものを避ける、重たいものも避けるなど工夫を重ねていきましたが、「快適に着られるニットが見つからない問題」には引き続き頭を悩ませていました。しかしある日、私はついに「化学繊維で作られたニットは実は獣毛よりも肌が敏感な人に向いている可能性がある」という情報を目にします。確か発達障害関連の英語の記事がソースだったと思います。なんでも、ウールなどの獣毛は、高級かどうかにかかわらず意外と繊維が太くて刺激が強いことがあるのだそうです。化学繊維は獣毛よりも細くて柔らかく、かつ強いものが非常に安価に作れる。けれど獣毛の場合、化学繊維並みに繊維の細いものとなると極端に脆くて高価なものになってしまう。結果的に「ウールだとチクチクする人が、快適に着られるニットを選ぶ場合、化学繊維で作られたものを選ぶと着られることが多い」ということになるようです。それで、試しに原材料に「毛」と書かれていないニットを探して着てみたら……チクチクしない! 感激しました。個人的な感想としては、アクリルは膨らみ感があって温かく、ナイロンは滑らか、レーヨンはテロテロとして気持ちよく吸湿放散性もあるので蒸れずに快適、といった感じです。「私の定番」を見つけていく化学繊維のニットはともかくチクチクしないので、「とりあえず着られる」のが最大の利点です。次に、安価なのが魅力。ただもちろんデメリットもあります。だいたいの化学繊維は帯電しやすい、蒸れやすい。それから、獣毛と比べて暖かさや素材感に劣る、少しでも高級志向のブランドやラインになるとそもそも獣毛の入っていないニットの取り扱い自体がない、といった点があるかな。それでも、「獣毛のほうがチクチクする場合がある」という情報は、私の秋冬の服選びを劇的に変えました。トップスはアクリルなどの化学繊維のニットにするか、綿のブラウスやカットソーなどの下に暖かく感触のよいババシャツを着る。ボトムスは通年素材のものの下に厚手のなめらかなタイツやレギンスを重ねる。どうしても獣毛入りのものを着たいときはジャケットなどにして、襟元の首に触れるところに不織布テープを貼ってガードする。冬のアウターは、しっかり暖かい、機能性に優れた薄手のダウンジャケットに落ち着きました。軽い、フィットしてかさばらない、下に薄手のニット1枚でも暖かい。かといって歩いていて汗をかいてきても蒸れなくて快適、ストレッチがきいていて楽。もうフェルトとかのロングコートには戻れません。着られるものを、着たいように着ていきたい本当に、服はしんどいものを我慢して着る必要ないと思います。自分の素材に対する反応をよく吟味してみて、自分が何がダメなのかわかったら、あとは自分を責めることなく、そのダメな要素をいかにして避けられるかを考えて服選びをすればいい。そう思えるようになって、私はとても楽になりました。宇樹義子/文(監修・鈴木先生より)感覚過敏のあるASDの方にとって、チクチクや静電気はつらいものです。自分に合った服を着るのが一番です。同じメーカーで同じ素材の服を好んで着る方も大勢います。学校の制服が嫌な方もいます。男性だと詰襟が嫌でブレザーの学校へ転校した方もいます。女性でもジャージーが好きで卒業アルバムもジャージー姿で写った方もいます。最近私の外来ではASDの方に自律神経失調症(起立性調節障害)を併存している方を多くみかけます。天候にも左右されやすく、特に季節の変わり目が苦手で調子をくずす方が多いです。今回の「私」のような方は決して珍しくないのです。ただ、神経発達症を診断できる医師が少ないので、30代以降の大人になってようやくASDやADHDを自覚する方が増えています。神経発達症の症状は子どもの時からあるので、「大人になってしまった神経発達症」なのです。そのような方々には、さまざまな問題を解決し、今後の人生をより生きやすくするためにも一度神経発達症を専門にしているクリニックに出向いて相談することをお勧めいたします。きっと生きやすくなるヒントが見つかるはずです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月18日ずっと頭の片隅にあった「就学先選び」2歳10か月でASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)の診断がついたまゆみも年長さんとなり、わが家も避けては通れない決断の時期を迎えました。そう、就学先の選定です。「いずれこの子の人生の岐路を私が選ぶ時が来る」という思いは診断がついた頃からずっと頭にありましたが、具体的に就学に向けた情報収集を始めたのはまゆみが4歳になる頃でした。少し早めに動いた理由は、居住地における情報を得ることが何よりも重要だと思ったからです。インターネットで得た情報も無駄にはなりませんが、福祉に関しては地域差が大きいため、あくまで参考という位置づけです。Upload By にれこれらのことを正確に知ろうと市の発達支援室に就学相談を申し込むと、「年少児の年齢で就学相談に来た人は初めてです」と驚かれてしまいました。私自身は、早いうちから地域の事情を確認したのはじっくり考えるために正解だったと思っています(ただし私の住む地域の場合、学校見学に行けるのは年長になってからでした)。最初の就学相談から約2年、まゆみの成長と発達にいろんな涙をこぼしながら、頭の中には常に「特別支援学校か、特別支援学級か」の選択肢が浮かんでいました。どちらかを希望しているわけではなく、あくまで「まゆみにとって一番いい場所を探したい」という思いだけで、「やっぱり特別支援学校が安心かな」「特別支援学級の方が本人は喜ぶかも……?」と、日によって気持ちは揺れ動いていました。そして遂に、本腰を入れて考える時期がやってきたのです。いよいよ本格リサーチを開始!まずは特別支援学校から年長の春。最初に見学へ向かったのは特別支援学校でした。住んでいる自治体には施設がないため、特別支援学校を選ぶなら隣の自治体にある特別支援学校へバス通学することになります。理由は後述しますが、この頃には親の目から見ても「就学先を特別支援学級にした場合も、おそらく1~2年後には特別支援学校へ転校することになるだろう」と考えるようになっていたため、まゆみの手を握りながら「時期をいつにするかだけで、いずれこの子もここに通うんだなぁ」とドキドキしながら門をくぐりました。見学させてもらった結果、個別の手厚さで考えるなら特別支援学校を選べば間違いないと思いました。先生方もさすがの知識豊富さで、適切な環境も整っており、支援についての不安な部分は感じられません。仮に特別支援学校を選ばなかった場合でも、在住の市では特別支援学級から特別支援学校への転校は難しくないため、「18歳までなら、こんなにサポートを得られる場所がまゆみにはあるんだ」と知れたことは、就学先選びの枠を超えてまゆみを育てる中での大きな安心になりました。一つ気にかかったのは、生徒数が少ない上にほとんどが男子児童ということで、お友だちが好きなまゆみには少し寂しいかもしれない、ということです。けれど先生方は優しく、高学年にはまゆみに話しかけてくれるような女の子もいて、可愛がってもらえそうな環境だと感じました。特別支援学級の評判が良いA小学校へ次に向かったのは、自宅から二番目に近く、「特別支援学級がとても良い」という評判が療育先ネットワークから聞こえてきているA小学校です。通常学級のクラスと同じならびにある特別支援学級は、視覚支援やクールダウンスペースなどの配慮が行き届き、一目見ただけでもよく環境調整されていると感じました。授業風景を見学していても、心得のある方が指導されているのが分かります。さらに、校長先生が自ら案内してくださる中で知って驚いたのは、校長先生ご自身に県の子どもの発達医療センターの前身施設で勤務されたご経験があり、しかも赴任されたばかりということでした。障害児の保護者の界隈では「特別支援学級の評判がいくら良くても、年度が替わって担任が異動になるとガラッと変わることがある」なんて話はよく聞きますが、校務を司る校長先生が特別支援に明るい方であれば、特別支援学級においても一定のレベルが担保されるのでは?と、その辺りの突っ込んだ質問もさせてもらいました。すると、「人員配置の都合があるので絶対とは言えませんが、仮に初任者であっても意欲ある人をと考えていますし、在任中は特別支援の質を保つつもりです。また、仮に教室を出てしまうようなことがあっても、補助員は必ずつくので特別支援学級のお子さんを一人にすることは絶対にありません」との心強い答えが。前向きに取り組まれているのが感じられ、信頼できると思いました。二度目の見学からはまゆみも連れていったのですが、テンションが上がり切って飛び跳ねているまゆみを見た校長先生は「かなりよく動く子ですね……まぁルーティンが確立すれば大丈夫かな」と苦笑されていました。本来の校区であるB小学校へ最後に本来の校区であるB小学校の特別支援学級へも見学へ行き、こちらでも校長先生が丁寧に質問に答えてくださいました。こちらの特別支援学級は通常学級とは階が違い、場所も校舎の端っこでした。率直な感想を言うと、「どうして特別支援学級だけこんな離れた場所にあるんだろう。お友だちが好きなまゆみにとっては、通常学級と階が違うのは寂しいかもしれない」と思ったのですが、あとから先輩ママのフォロワーさんに教えてもらった話では、特別支援学級に通う子の中には通常学級に近いと落ち着かない子も多いので、あえて離れた場所に教室を設置しているケースがあるそうです。中を覗くと特別支援学校を模したと思われる造りになっており、室内に手洗い場や畳スペースがありました。教室の場所もトイレの真ん前……と、ハード面だけでいうなら幅広い障害程度の子を受け入れられそうなポテンシャルを感じます。少し考える必要があったのは、授業見学をする中で聞いた「現在、特別支援学級には3年生以下の児童はおらず、今年は特別支援学級の見学申し込みもほかにないため、もしうちにするならまゆみさんは1名だけの特別支援学級になる可能性が高い」という言葉です。校長先生は「まゆみの不利益になり得る」という話しぶりで教えてくれたことでしたが、マンツーマンの手厚い支援が望めるという点では決して悪いことではありません。重要なのはどんな先生が担当してくれるかですが、これは私が希望を出せることではないので祈るのみ……。また、B小学校へは何事もなければ次女のあずさも通うことになるため、この点をどう考えるかも悩むポイントでした。難しいのは、何を重視するか当初は三番目に近い小学校へも見学に行く予定でしたが、歩きで通うには少し距離があるのと、近隣小学校の特別支援学級が2校とも良かったため、特別支援学校・A小学校・B小学校の3つに絞って考えることにしました。それぞれに通った場合のメリットとデメリットを紙に書き出して考え始めると……これがもう、脳ミソから煙が出るんじゃないかというほど悩みました。何を重視するかで結論が変わるのです。Upload By にれそもそも、1~2年で転校することになるだろうと思いつつ、特別支援学級を選択肢から外せない理由がこれでした。まゆみの人生を俯瞰して考えた時に、今現在で何を優先すべきかの答えが出せなかったのです。「まゆみのコミュニケーションの取りづらさを考えると特別支援学校がいいだろう。本人も無理なく過ごせそう」と思っても、保育園でお友だちとまゆみとのほのぼのエピソードを聞くたびに「年長になってお友だちのことが目に入るようになった」という事実が私の心を揺さぶりました。主治医に就学先の相談をした時に言われた「特別支援学校にするなら、同級生の集団の中に入る機会はもうなくなりますよ」という言葉が頭の中でリフレインします。定型発達児の模倣や集団行動ができるようになり、やっと子ども同士でのコミュニケーションの萌芽が見えてきた大切な時期なのに、同級生の集団と離れるのは果たしてまゆみのためになるのだろうか……。一番迷っていたのはこの点でした。また、言動からは想像がつきにくいのですが、まゆみは拗音や促音を含むひらがな・カタカナの読み書きと、数の合計・分解がある程度できます。これは療育先での先生と本人の努力が積み重なった結果なのですが、1年生のお勉強に関しては少しだけ貯金があったことも迷いに拍車をかけました(こんな言い方をしていますが、特別支援学級を選択肢に入れられる水準にまで学力を伸ばしてくださった療育の先生には感謝ばかりです……!)。自分だけで考えていると落とし穴がありそうなので、療育先や主治医の先生とも相談を重ねましたが、みんな揃って「見た感じの印象よりもできることが多いので、判断に迷うんですよねぇ……」という回答。やはり最終的に決めるのは親である自分なんだというプレッシャーで夜眠れなくなることもありました。困ったら、いろんな視点から検討する結論から言うと、就学先は「A小学校の支援学級」で申請しました。メリット・デメリットで考えていても決められなかったので、リスクから考えてみた結果です。確定している環境変化を前に、障害児の保護者が一番懸念することは【わが子がこれまで積み上げてきたものが崩れること】ではないでしょうか。現在の神経発達症育児の主流は「迷ったら、子ども本人に負担がかからない道を選んであげる」という考え方ですが、これは上記のリスクを回避すべく言われているように思います。言い換えるなら「不適応を起こして二次障害になるくらいなら、最初から伸び伸びできるほうを選んであげましょう」ということで、私もこの考えにはおおむね賛成です。わが家の場合も、安全策でいくなら特別支援学校に軍配が上がります。しかし……・特別支援学級の評判がよいA小学校が近くにあること・A小学校は児童数が少なく、先生と児童に丁寧な関わりが持てる土壌があること・赴任されたばかりの校長先生が特別支援に理解が深く、在任中は特別支援の質を保つつもりだと明言されていること・まゆみ自身に他害や自傷といった面での困難さがなく、排泄がほぼ自立していること・サポートは必要なものの、1年生の勉強ならどうにかついていけそうなことこれらの条件が揃っている幸運の中、果たして懸念するようなリスクは高いといえるのか?むしろ、同級生集団からの学習機会の損失のほうが、まゆみの人生をトータルで見た時のリスクになるのでは?そんな考えが頭をよぎります。ちなみにこの段階で、不確定要素の多いB小学校はリスクが排除しきれず候補から外しました。あとは、特別支援学校とA小学校のどちらにするかですが……。ここで改めて夫と意見のすり合わせを行いました。各校へ一緒に見学へ行った夫は最初からずっとA小学校を推しています。話し合いの結果、以下の点からまずはA小学校の特別支援学級へ通い、まゆみの成長を見ながら翌年以降は特別支援学校へ移るタイミングを慎重に見るという方針で決まりました。Upload By にれ教育委員会の出した判定と親の希望が違う!どうする⁉しかし、ここからまた一波乱ありました。教育委員会から出された判定は「特別支援学校が望ましい」というもので、固まったはずの方針はグワングワン揺らぎました。月曜に判定の電話をもらい、金曜日までに就学先の最終回答をしなくてはいけないということで、考える時間は5日間しかありません。もう一度、全てイチから検討し直そう!!と、白紙の状態から考え出しましたが、数か月かけて悩んできた道のりを数日間で再現するだけで夫婦の結論はやはり「A小学校の特別支援学級」になります。でも、教育委員会がそう判定するからには特別支援学校にしたほうがいいんだろうか?社会性が伸びつつある今、もう少しだけ同級生集団と過ごさせてあげたい私の考えは間違っているんだろうか?特別支援学校が妥当と判定された子が特別支援学級へ行くと、先生やほかの子の迷惑になってしまうだろうか……?どうにも苦しい気持ちになり、A小学校の校長先生に事情を話すと、キョトンとした声で「そもそも、どういう理由で特別支援学校という判定になったんですか?」と聞かれてハッとしました。確かに、その理由を知らないことには悩んでいても仕方がありません。けれど、膨れ上がった不安はもう止まらず、言葉が次々と口を突いて出てしまいました。「ですが先生、重ねてのお伝えになるんですが……希望通りにA小学校へ入学させていただけたとしても、親を含めた周囲の支援者全員が『1~2年で特別支援学校へ転校するのが現実的なところだろう』と考えているんです。そんな境界上にいる子が腰かけのように特別支援学級に在籍することで先生方やほかのお子さんに迷惑がかからないでしょうか。私も夫もA小学校にお願いしたいと考えていますが、その点をとても心配しています」すると校長先生はこんな言葉を掛けてくださいました。「それは親御さんが考えることじゃないんですよ。それをどうにかするのが我々の仕事です。お母さんはまゆみさんにとって一番だと思える道を考えてください。まゆみさんがうちに6年間通ってもらう中で私たちも可能な限りのことはしていきます。一緒に成長を見守っていきましょう」「6年間」という言葉に、腰かけのつもりで受け入れるのではなく、可能な限りまゆみの新しい居場所になろうとしてくださっている意思が伝わって恥ずかしながら号泣しました。いずれA小学校を去る時が来るとしても、この時の気持ちはきっと忘れません。こうしてまゆみは【A小学校の特別支援学級】へ就学することになりました。就学先選びを振り返ってドキドキしながら教育委員会に最終回答を伝えると、「特別支援学級ですね、分かりました!」とアッサリした返事。拍子抜けして電話を切った瞬間、全身に震えが来てボタボタと涙が止まらなくなったことに自分で驚きました。何年も頭の中にあり、身を引き絞るほどにわが子の未来を考えて選び取ったまゆみの進路です。人ひとりの人生に関わる決断の重さを知りました。周りを見ていると、就学先選定は「まったく迷わなかった」という人と、「ノイローゼになりそうなほど迷った」という人に二分される気がします。子どもの発達や家庭の事情はそれぞれですし、どちらが良いということはありません。わが家よりもっと判断の難しいケースもあるでしょう。ただただ、この関門を通る全ての親御さんにお疲れ様ですと言いたい気持ちです。余談ですが、特別支援学校と判定された理由はその後に思いがけず知る機会がありました。おそらく自治体によって判定方法が異なるのと、正規の手続きで知らされたわけではないため詳細は伏せますが……わが家と同じ状況になった人の参考になるかもしれないので個人的な感想だけ書いておきます。Upload By にれ教育委員会に不満があるのではなく、日頃の本人を知らない方々が限られた資料と20分の面談で進路を決めるシステムに限界があるのです。まゆみのような、医師やベテランの先生方でも判断に迷うような子はなおさらで、日頃から本人に接している知識と経験のある人の意見をよく聞いて、チームを組んで就学先選びを進められたら理想だなと思います。わが家の選択が良かったかどうかは時間を重ねてみないと分かりませんが、「考えるべきことは考えつくしてまゆみの人生のコマを進めた」という完全燃焼感があります。今後もこんなことはあるのでしょうが、きっとその積み重ねが親を強くしてくれるんだろうなぁ……なんて燃え尽きた頭で思いました。当事者の意向が最大限に尊重されるようになったのも2013年の学校教育法施行令の改正からで、それまでは決して当たり前ではありませんでした。涙を呑んだ人も多かったはずです。4月からの一年を当たり前だと思わず、多くの幸運と多くの人の厚意の結果与えられたものと感謝して、小学生になるまゆみの伴走を務めたいと思います。執筆/にれ(監修:新美先生より)就学時の学校選びについてとても詳しく書いていただきありがとうございます。にれさんの行動力がすごいです。まずは候補になる学校・学級はどんなところがあるのかについての情報収集ですね。普段通っている病院の主治医・リハビリ担当者や、療育施設担当者などに複数聞いてみるとよいでしょう。一人だけだと偏ることがないとはいえないので、複数の人に聞いてみるといいかもしれません。候補の学校がいくつかめどがついたら、見学に行きましょう。本人を連れていくと突っ込んだ質問をゆっくりする時間がとりにくいと思ったら、保護者のみで行く日と、本人も連れて行く日を別に日程をとってもらえるといいかもしれません。にれさんも話題にされていたように、学校は異動があるというのが盲点になります。見学して、この先生なら信頼できると思って決めたのに、年度が替わったらお目当ての先生が異動してしまって話がぜんぜん違うよ……というのはあるあるです。「この人」と一人の人のみで決めるのはリスクがあります。赴任してどれぐらいか、お住まいの地域で異動が何年単位かといった情報は参考にしつつ、異動はあるかもしれないということも考慮に入れておきましょう。もっとも大切にするのは、お子さんが毎日そこに、楽しくのびのび通えそうかという視点です。見学に行った際の保護者の直感や、お子さんのことをよく知っている病院・療育・園の担当の先生などの意見も参考に、保護者が最善と思える選択をしていくしかないですよね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月17日