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幼稚園で初めての発表会。楽しみにしていた母を待ち受けていたのは…運動会や発表会といった行事といえば、親にとってはわが子の頑張っている姿から成長を感じられ、一生の思い出となる輝かしいイベントたちですよね。分かる。でも発達に特性がある子どもたちにとっては普段と違う環境で、普段と違うことをしなければならない……場合によっては超絶苦手なイベントだったりします。思い出される最古の行事は、あー年少の時の発表会。この時の私はまだ、無邪気に発表会を楽しみにしていました。みんなの前で歌い踊る、楽しい姿が見られるんだろうなあと。この後何が起こるかなんて知らずに……。期待で胸を高鳴らせて待機列に並んでいると、担任の先生が駆け寄って来て私に告げました。「あーちゃんはすごく頑張っているし、楽しんでいるんです。もしかしたらほかの子とは違う動きがあるかもしれませんが、楽しんでいるので……!」……何それ? 途端に血の気が引きました。これは……ほかの子と同じようにはできないというフラグ……しかも、「どんな状態でもショック受けないでね」って予防線張りにきてるじゃん……!?さっきまでとは異なる不穏な胸の鼓動と共に幕が上がりました。すると目の前には……一人だけ衣装を着ておらず、お面だけつけているあーがいました。そして、明らかにあーの出演シーンではない、ほかの子の踊りの時も、あーは(端っこではあるけれど)ずーっと舞台の上に出ずっぱり……。途中で飽きたのか、教室外に走ってゆき、廊下で先生に捕まえられ、ひたすらそこにある跳び箱から飛び降りる常同行動。「これをやっていると落ち着くみたいで」と言いながら見守る補助の先生の横で、私は足もとがガラガラと崩れていくような感覚に陥っていました。Upload By よいこ誰よりも集団行動ができていない息子の姿を目の当たりに。現実を受け止めきれず…集団の中で浮きまくっているあーの行動を目の当たりにして、私は大きな衝撃を受けていました。みんなと同じ行動ができない。同じことをして楽しめない。その前に先生の言うことが聞けない。これは「個性」という言葉で片づけていい問題なんだろうか。そもそも人間はみんな個性的であるはずなのに、あーほど何もできていない子、していない子はいない。できなくて固まっている子、泣いている子はいるけれど、その子たちは「ここにいる」意味は分かっているように見受けられる。あーはそれすら怪しいのではないか……?この頃は、発達障害の疑いはありつつも、まだ医療機関での確定診断は出ておらず、グレーゾーンの段階でした。しかし、突きつけられた確かな現実を受け止めきれず、途方に暮れていたような記憶があります。発達障害の診断、療育通いを経て……1年後の年中の発表会では?そして1年後、年中の発表会が近づいてきました。この1年の間に、あーはASD(自閉スペクトラム症)と診断され、療育にも通い、相談先も増えるなど、さまざまな変化がありました。何より、1年間あーを見てきた私は、あーがとても成長したことを実感していました。しかし……いざ発表会を迎えるとなると、やっぱり親は不安。できれば、去年の悪夢を少しでも払拭したい……!Upload By よいこでも……と、療育を1年受けた母は考えます。できないこと、意欲の向かないことを無理にさせても仕方がないな、と。そわそわくらいは仕方ない、セリフなんか言えなくても構わない、劇の進行に不要なおしゃべりだけセーブできればいいのでは?と、求めるハードルをぐーんと下げたのです。療育や幼稚園の先生、医療機関にも相談して、例えば待っている間に何か小さな本を読んでもいいことにしたらどうか、声の大きさを調整する練習をしようか、などとアイディアもいろいろいただきました。あー本人が嫌がること、またはやる気にならないものは取り下げたり、なんとかできそうなものは少しずつ取り入れて……と1か月ほど試行錯誤しました。そして迎えた発表会の本番。やり切った……と本番前にすでに満足の母。こちらとしては打てる手は打ったし、あとはどうなってもいいし、どんなあーでも受け止められる気がする。1年前とは心構え自体が全然違ってきていたと思います。これが(親の)療育の成果か…… !?実際のところ、本番のあーは花丸のできでした。 程よい緊張が功を奏したのか、そわそわもおしゃべりもなく、自分の役もそつなくこなし……(ここで母大号泣!!)えらいなあ!すごいなあ!成長したなあ!ゆっくりだけど大きくなってるなあ!将来楽しみだなあ!喜びの感情が押し寄せ、頭の中は1人祭り状態でした……!!!今となっては懐かしくもある、幼稚園時代の試行錯誤の日々。振り返って得たものは年中の発表会の結果だけを見れば、あーは予想以上にできて私は大喜び……の大団円であるし、あー自身の成長、頑張りがあったのは大前提なんですが……、何をもって成功とするかは、親の心構えみたいなところでもだいぶ変わると思うんです。年少の発表会の衝撃からの1年間で私が緩やかに手に入れたのは、「許容する心」と「相談先」。発表会に向けていろいろ手を尽くしたことは無駄ではなかったと思いますが、その目的はあくまでも「あーの成功体験のため」であって、「発表会をうまくやり遂げること」ではありませんでした。「みんなと同じじゃなくていい」「ほかの子と比べず、わが子の成長を見る」「心配だと思ったらすぐに相談する」自らの育児を振り返ってみると、行事関連に限らず、このあたりの考え方を会得した頃からサバイブしやすくなったのかなと思います。とはいっても、いまだに上記の考え方が及ばないことは数多くあり、諦観の境地に至るにはまだまだ長い遥かな道のりがかかりそうなんですけどね……(現在あー中1です)!Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:井上先生より)当時は初めての行事参加で、親御さんはかなり緊張されたと思います。その後の1年間でさまざまな支援者とつながり、お子さんも親御さんも少し余裕を持って迎えられた2年目は、大きな成功体験になったのではないかと思います。親御さんだけでなく、お子さん自身も、不安なことや少しでも困ったことを周囲に相談できるスキルを身につけておくことは、思春期以降に大切になってくると思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月26日スポーツ少年団へ入部した私たちUpload By もっつん小学校に入学する頃、タクはとてもヤンチャで常に動き回っていました。楽しいことに夢中になると、指示が耳に入らなくなって勝手な行動をしてしまう。当時はまだ気が付かなかったけど、タクはADHD(注意欠如多動症)の多動の特徴が強く出ていました。体力が有り余っているようだったので、「何かスポーツをやらせた方がいい」と周りの知り合いや先生に言われていました。私たちが選んだのは、当時熱心に新規部員募集をしていた地元のスポーツ少年団でした。うちのヤンチャ坊主が入って、チームに迷惑かけてしまうんじゃ……と心配する気持ちもありましたが、タクの強い希望と勧誘に心を動かされ入部しました。スポーツは心と身体を鍛えてくれる。今は自分勝手に動いてしまっているタクだけど、ルールや規律を学んで成長してくれるだろう。スポーツを通して少しでも落ち着いてくれたらいいなと期待を込めて、習い事を始めることにしました。入部してからしばらくは、新しい環境で身体を動かす楽しさを思う存分味わっていました。不器用ながらに必死に練習する姿を見て、集団に溶け込んでいるように見えました。練習中でも自分勝手に遊んでしまう姿に不安Upload By もっつんしばらくすると、タクのマイペースぶりが気になり始めました。注意散漫で監督の指示を聞かずに、自分のやりたい遊びやグラウンドで砂遊びや石探しを始めてしまう……。小学生に入学したばかりとはいえ、このままチームにタクを任せていたら、全体に迷惑をかけてしまうかもしれない。私はグラウンドの近くで常に練習を見学するようにしました。私が見ている前では、少しは多動が落ち着いているようでした。周りの子は親がいなくてもちゃんと練習に参加しているのにな……と気持ちがモヤモヤすることもありました。同時期に入部した同級生が、的確に指示通りに動いたり先読みして行動できる姿を見る事も、どうしても精神的負担に感じてしまいました。下調べが甘かったのが悔やまれますが、私たちが入ったチームは、お茶当番や送迎やコーチへのおもてなしなど、一般的なチームよりも保護者持ち回りの仕事が多かった印象です。それでもわが子が望んで入ったチームですし、私はできる限り練習に参加したりサポートを頑張りました。タクも少しずつですが練習についていけるようになり、その頃の私は「どうにか周りと同じように普通に過ごしてほしい」と強く思っていたので、タクの成長がとてもうれしくて多少のストレスは感じないように意識していました。合わない環境で無理に続けた習い事…私の心には傷が残りUpload By もっつんチームの保護者の役割や練習の見守りなど、私なりに頑張ってきましたが……やはりタクの注意欠如と多動の特性がだんだん目立ち始めました。練習の切り替えが一人だけ遅い、試合中にボーッとしてしまって失点する。そんな事が続き周りからの目も厳しくなっていき、チームを辞めることになりました。タク本人はまだまだ続ける気でいたようですが、チームも私も限界でした。悔しい思いも悲しい思いもたくさんしましたが、今となっては無理に続けなかったのは正解だったと思います。習い事にも向き不向きがあり、合わないかも?と思う環境で長い間過ごすのはつらいものです。そして、保護者が健全な精神で応援できなければ本末転倒になってしまいます。また、本人が楽しんで過ごせているかに加えて、周りの子や先生に過度な負担を強いていないかなど、いろいろな角度から見て考えてみることも大切だと思います。一度始めた習い事を辞めるのは気が引けるかもしれませんが、つらかったら辞めてもいい。続けることで得られるものは確かにあるけど、デメリットのほうが大きくなったと思ったら甘えかなと思わずに環境を変えるのも大切ではないでしょうか。やってみたい!ダンスとの出合いが転機にUpload By もっつんタクがスポーツ少年団を辞めてからは、週末に家族で過ごす時間が生まれました。今まで休日返上で習い事中心の生活だったので、いろいろな所にでかけたり自由に過ごせたりすることにすごく感動したのを覚えています。しかし、うちのタクは身体を動かすのが大好きで体力が有り余っている様子。放課後等デイサービスにも通っていましたが、夕方に帰宅してからも落ち着かず、「今からランニングしたい!」と言うほどでした。何かほかの習い事を始めてみるべきか……でも集団スポーツは向いていないと言われてしまったから……タクのフラストレーションをどうにか解消できる方法がないかと模索していました。転機になったのは、家族でショッピングモールに出かけた時のこと。その日はイベントが開催されていて、近くのダンス教室の子たちがステージでダンスを踊っていました。大きな音の中でそれぞれが自由に身体を動かしたり同じ動きをしたりする姿に、タクは目を奪われていました。ステージを見終わったあと、私の予想通りタクは「ダンスやってみたい!」と言ってきました。ダンスだったら団体競技でありながら個人の練習も重要。協調運動の上達にも繋がるし、これなら向いてるんじゃないのかな?と思うことができました。習い事に対して少し恐怖心を持っていた私でしたが、タクの熱意を感じ取り、その場でダンス教室の先生と少しお話しをしてパンフレットを頂きました。合う環境が人生を輝かせる!Upload By もっつんその後、教室の情報や利用者の声などをしっかり調べてダンス教室の体験に参加しました。先生とも個別に話すことができて、タクの発達障害のことを打ち明けると「ほかにも特別支援学級に在籍している子がいるし、少人数制なので心配しないで大丈夫ですよ」と心強い返事を頂きました。そして、夫婦で熟考しダンスを習い始めることに。ダンスはとても向いていたようで、自宅での自主練習も熱心にやっていました。地域のイベントステージや年に一度の大きな発表会では、一生懸命取り組みチームの絆を感じる大切な思い出もつくれました。タクにはダンスが合っていたんだなぁ……としみじみと感じました。私の経験からですが、チームスポーツをやってみたいけれど不安がある場合は、まず少人数の教室で体験して大人数の中での立ち振る舞いを覚えていくとうまくいきやすい気がします。ほかにもオンラインの習い事など、今の時代だからこそたくさんの選択肢があります。親子がポジティブな気持ちで続けられるかどうかを大切にできると良いと思います。ダンス教室は残念ながら閉校してしまい今は辞めてしまいましたが、中学になってからは部活の卓球に熱中しています。卓球もほぼ個人スポーツなのでタクには向いているようで、なかなかの腕前です。わが子が何かに熱中している姿は、とっても輝いて見えます。執筆/もっつん(監修:室伏先生より)もっつんさん、スポーツ少年団でのタクくんの頑張りともっつんさんの葛藤、ダンス教室でのタクくんのご様子など、詳しく共有してくださり、ありがとうございました。もっつんさんのおっしゃる通り、習い事は親子ともにポジティブな気持ちで続けられることがとても重要ですよね。発達障害のあるお子さんは、学校でもとても頑張られていることが多いですので、お子さんの負担になりすぎないよう、気持ちの状態や疲れ具合に応じて、休憩を取ったり、頻度を調整したりしながら、無理なく続けられる環境があると安心ですね。また、学童期は周りのお子さんとご自身を比較する力がぐんと伸びる時期です。自己嫌悪に陥ったり、自己肯定感の低下につながることもありますので、ポジティブなフィードバックを与えてくれて、お子さんが楽しめる環境で、成長を支援できると良いですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月25日知的障害を伴う自閉症息子の就学先には、3つの選択肢が知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の長男りーは幼稚園に通っていましたが、年長から療育園に通うことになりました。そして転園してすぐの頃、とある案内が届きます。それは小学校入学の案内でした……。Upload By かし りりあ知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されているりーが行ける小学校は3種類ありました。地域の小学校の通常学級か特別支援学級、そして特別支援学校の小学部です。私たちが住んでいる地域の就学担当の方が、りーの様子を見たうえで、就学先についてアドバイスしてくれるとのことでしたが、まずは夫婦で入学先について話し合うことにしました。とはいえ、私たち夫婦二人の考えは特別支援学校小学部一択でした。Upload By かし りりあ特別支援学校がいいと考えていた理由まず、地域の小学校の通常学級は難しいだろうと考えていました。りーは身辺自立ができていないこと、集団での指示が通らないこと、授業中椅子に座っているのが難しいこと、また危険予測もできないので休み時間が不安ということがありました。そして、りーは人数が多いところが苦手です。次に特別支援学級ですが、通っている療育園では先生がほぼマンツーマンでりーの対応をしてくれていること、私の住んでいる地域では特別支援学級の先生によって指導内容の差が大きいこと(先生の転勤に合わせて転校する子もいるほどだと知り合いから聞いていました)から、特別支援学級も違うのかなあということになりました。私自身、地域の小学校に就学するとなると、幼稚園に通っていた時と同じように周囲の目が気になるという不安もありました。そこで、特別支援教育にくわしい先生方が多く、個別や少人数の対応ができる特別支援学校の小学部を希望先としました。検討した特別支援学校は2つ。決め手になったのは?早速療育園へ希望を伝えたところ、私たちの住んでいる地域には公立と私立の特別支援学校が1校ずつあるということが分かりました。そのため、今度はどちらの特別支援学校がりーにとって良いのか検討することになりました。調べてみると、どちらの特別支援学校でも、朝の準備や身支度をする時間、国語や図工などの教科学習の時間のほかに、個別の課題に取り組む時間や買い物体験に行く時間は共通してありました。違いとしては、私立の特別支援学校は制服登校(将来仕事で制服に着替えるのに慣れるため)、自宅からは近いのですが朝は保護者が送迎する必要がありました。また、保護者の手伝いが多く、地域交流がさかんであるほか、入学や中学への進学の際には面接とテストによる試験があることを聞きました。Upload By かし りりあ一方、公立の特別支援学校は私服登校、自宅からは遠いのですがバス送迎あり(中高校生と一緒)、入学・進学の時に特に面接もなし。面談時には夫が説明会に行ったことを覚えていてくれ、「せっかくなら皆さんで校内を見てみませんか」というお誘いを受け、家族で校内を見学させてもらいました。先生や上級生の子も温かく、りーを受け入れてくれました。そうしてもらうことで人見知り、場所見知りのりーがうれしそうにあちこちの教室を探索する、ということがありました。どちらも見学して良いところがありましたが、りーがより楽しそうに過ごす様子が見られた公立の特別支援学校が良いなという結論になりました。Upload By かし りりあ私たち家族の方針もかたまり、療育園へ希望を伝えると同時に地域の教育センターへ就学相談の予約をして、就学相談の日を待つことになりました。その後の就学相談については、また別の機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)知的な遅れの程度によりますが、療育手帳を持っているならば、特別支援学校のほうが学習面や生活面のきめ細やかな指導が期待できます。多くの先生方が「特別支援学校教諭」という免許状を持っているほか、地域の公立小学校に比べ生徒一人に対する先生の割合も高いので、生徒一人ひとりに密に関わることができるからです。一方、特別支援学校では、さまざまな地域から集まったお子さんと共に学ぶため、近所に住む同年代の子どもとの交流が少なくなる場合があります。地域の公立小学校に進学すれば、近所の子と一緒に遊んだり学んだりするので、顔を覚えてもらいやすいと言えるでしょう。また、特別支援学校へ進学すると、地域の公立小学校に転籍することが難しくなるという面もあります。このように、それぞれにメリット・デメリットがありますが、特別支援学校には特別支援教育を専門とする先生方がたくさんいらっしゃいますので、親子共に安心して過ごせる環境であると思います。特別支援学校で社会性を身につけ「生きる力」をはぐくむことで、将来の就職などにも役立つかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月24日「ただの元気な男の子」ではなかった……!多動が強く「交通事故を起こしかねない」と言われた息子わが家の息子は現在高校1年生です。小学校1年生の6月、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。息子は明るく前向きな性格ですが、幼少期は多動、衝動性が強く常に走ったり動きまわりがちでした。幼稚園の頃の息子は、自宅から幼稚園まで全力疾走で登園していました。息子の走りに追いつけず、私は自転車で並走して一緒に登園。赤信号で飛び出そうとする時は「信号をみてね!」と声掛けしていました。幸いにも声を掛ければきちんと信号を見てくれたので、道路への飛び出しはありませんでした。ただ、家ではチョウチョやトンボ、セミなどを追いかけて、窓からの飛び出し行為がありました。また、近所の公園の池にも3回程落ちたことがあります。その頃の私は、息子のことを「ただの元気な男の子だろう」と考えていました。それでも、ここまで落ち着きがないものなの?という心配も消えません……。そこで、小学校に入学した6月に専門医を受診。その場で多動の症状が強いとADHD(注意欠如多動症)と診断され、コンサータ内服の指示が出ました。心の準備ができていなかった私が「薬は飲まないといけないんですか?」と医師に聞いたところ、「多動を抑制しないと、注意散漫、多動で交通事故を起こしかねません。内服をお勧めします」と言われました。私は、医師の言葉にショックを受けながらも、薬物治療を開始しました。Upload By ユーザー体験談このような事を言われたので診断を受けたあと、私は息子が問題なく登下校できているのか不安になりました。そこで息子の2歳上になる娘に聞いてみたところ、思ってもいない状況になっていたのです。大丈夫ではなかった⁉登校する息子を全力でフォローしてくれていた6年生班長さんの存在わが家が通う小学校は、朝は班による集団登校、下校時は学童擁護員の方々が通学路で見守り、誘導をしてくれます。娘から教えてもらった集団登校での息子の様子は、やはり大丈夫ではありませんでした。「○○くん(息子のこと)がしょっちゅう道路を飛び出そうとするから、6年生の男の子の班長さんがガッチリ捕まえてガードしてくれてるよ。いつも、班長さんと手を繋いで登校してる」「6年生の班長さんが『○○くん(息子のこと)は、ちょっと注意が必要だね。ぼくが面倒をみるから、副班長と5、6年生で、下級生の見守りをしてくれないかな?』って言ってたよ」そんなことになっていたとは……。私はともかくお礼と事情を説明しなければと、ご近所にある班長さんのお宅へ行くことにしました。呼び鈴を鳴らすとお母さまが出てきてくださり、いままで息子のフォローをしてくださったお礼と、発達障害の診断が出たこと、多動の傾向が強いということをお話しました。すると途中、6年生の班長さんが出てきてくれました。彼は「僕が班長なので、任せてください!○○くん(息子のこと)は僕が面倒をみます」と笑顔で、力強く言ってくれました。お母さまも「そんなに気にしないでください。みんなで登校しましょう」と言ってくださいました。涙が出る程、嬉しかったことを覚えています。Upload By ユーザー体験談こちらのおうちは3人兄弟で当時の学年は6年生、4年生、3年生。みんな息子よりお兄さんでした。この3人のお兄さんたちはずっと息子を見守ってくれました。お兄さんたちが卒業したあとの息子は同級生の男の子と手を繋いで登校し、6年間事故なく登校することができました。下校時は優しい学童擁護員さんと手を繋いでまた私は、息子に診断が出たことを学校へ伝えました。下校についても心配があると相談すると先生は「下校見守りの学童擁護員の皆さんに伝えますね。お母さんも心配だったら一緒に下校してみますか?」と提案してくれ、私は息子の下校を見守ることにしました。学童擁護員は小学校の保護者や町内会から募っていて、主に仕事をリタイアしたおじさま、おばさまがボランティア活動として参加されています。場所ごとに担当が決まっているので、学童擁護員さんと息子は顔見知りのようでした。学童擁護員さんと息子が下校する姿をうしろから見守る私。息子は擁護員さんの言うことはキチンと聞くようで、おじさんと手を繋いで危ない場面もなく帰っていきました。息子を見てくださった学童擁護員さんはとても優しかったようで、息子はおじさんに懐き、楽しそうに下校しており、私の見守りなしでも問題ないようでした。Upload By ユーザー体験談地域の力のありがたさを痛感。そして高校では電車で登校できるように特訓して……このように、ご近所の皆さんのおかげで6年間、息子は私の付き添いなしで登下校ができました。地域の力のありがたさを痛感しました。娘も息子のことをよく気にかけてくれて、息子は恵まれていたと感じています。また、薬を内服し始めてから多動がかなり落ち着いたのも幸いしていたと思います。息子は中学校でも一人で登校することができていました。ですが、高校への登校は電車の乗り継ぎが必要だったため、合計7回、母子で高校への登校練習をしました。電車の乗り場、マナー、案内板、スマートフォンのアプリを使っての時刻表の確認など、いろいろなことを教えました。その甲斐あって、高校では自分で電車を乗り継ぎ、登校しています。Upload By ユーザー体験談そんな息子の頑張っている姿を見ていると「小学校の頃からいろいろあったけれど、日々息子も成長しているんだな~」としみじみと感じ入るこの頃です。イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)お子さんの登下校についての体験談をありがとうございます。実際、多動の傾向があるお子さんは、「興味のあるものが目に入ると安全確認をする前に駆け出してしまう」「信号をじっと待つのが苦手」といったことがあり、事故のリスクも高まってしまうことが考えられます。お母さんだけでなく、周囲の方々のあたたかい見守りもあってお子さんは安全に登下校ができたのですね。普段から周囲の方と良い関係を築いて、お礼を伝えたり、事情を説明して理解してもらうといった保護者の努力があって得られる手助けも多いことと思います。事故に遭うことなく無事に大きくなって、成長を実感されているとのこと、とっても素晴らしいですね。お子さん自身も、お母さんもよく頑張られましたね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月24日きょうだいで異なる発達支援施設の利用状況私には2人の息子がいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍しています。3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。構音障害があり、集団行動が苦手で不注意。好きな数字や興味のあるものに一直線のマイワールド全開な男の子です。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきは小学1年生。通常学級に在籍しています。発語が遅く、3歳の誕生日頃に話したいスイッチがオン。言葉が出始めたら一気に出ました。小さい頃から不安が強く、極度の負けず嫌いで、心配性な男の子です。2人とも幼少期からずっと発達支援施設を利用していますが、通っている日数は違います。Upload By ゆきみまず、就学前について。けんとは、こども園の放課後に児童発達支援事業所へ週4~5日(平日のみ)。ゆうきは、こども園の放課後に児童発達支援事業所へ週2日(平日のみ)通っていました(ゆうきは、残りの週3日はこども園の預かり保育を利用)。小学生になった今は、2人とも放課後等デイサービスに通っています。けんとは学校からの送迎があるA事業所、隣の市町村にあり送迎は保護者が行うB事業所の2か所。ゆうきは学校からの送迎があるC事業所に通っています。2人とも通うペースは就学前と変わらず、利用する日は15時頃~18時頃まで過ごしています。2人が一緒の事業所に通うと2人だけで遊んでしまう可能性が高かったので別の事業所にしました。そして、その子にとって、その時々で抱えている本人の困りごとや、身につけたいこと、日常生活を考えて、このペースになりました。長男にとっての放課後等デイサービスの存在Upload By ゆきみ長男けんとが、将来に向けて身につけたい課題は本当に山積みです。できるようになることが少しでも増えてほしい、どうすれば本人が安心して生活できるのか……など、私はけんとの将来について心配する日々です。けんとにとっての発達支援施設は、「できるようになってほしいこと」を、それが「今」必要か、「もう少し成長してから」なのか、「どのようにすれば、いつかできるようになるのか」……などを施設の先生からのアドバイスをいただきながら、一緒に整理している場所でもある気がします。手厚く、目の行き届いた放課後等デイサービス。先生と相談したりする中で親子で学んでいると思います。ちなみに今課題として掲げているのは、「人の物を勝手に触らない。触る前に許可を取る」です。けんとは、人の物を勝手に借りてしまったり、気になる物を見つけると、人の物でも触ってしまったりするのです。マイワールドが強いけんとは、以前は1人での遊びを好んでいましたが、放課後等デイサービスを利用していく中で、人と関わる遊びにも少しずつ興味をもつようになりました。通っている施設には定番のアナログゲームや、手先を使うおもちゃ、ボードゲームなどがたくさんあり、休み時間に遊べます。けんとの場合は「特定のお友だちと遊びたい」というよりは、「やりたい遊び」があって、それを誰かと遊びたいようで、最近よくボードゲームをしているそうです。同じ施設に何年も通い、安心できる先生、友だち、環境の中で過ごしながら、誰かと一緒に何かを楽しむという、家では体験できないことも、少しずつ楽しめるようになっている気がします。集団下校や習い事もしたい、次男の場合は…次男ゆうきにとっての放課後等デイサービスの役割は、少しけんととは違うところもあるように思います。ゆうきは、昔から集団行動はできますが、年中までは1人遊びばかりでした。しかし、年長になりこども園でお友だちと楽しそうに遊ぶようになりました。その様子を見て、同級生の子たちと同じように小学校からの集団下校に参加するのも必要だと思いました。また、習い事や、お友だちと遊ぶ時間もつくろうかなと思い、放課後等デイサービス利用は週2日にしています。Upload By ゆきみ通っている放課後等デイサービスでの休み時間、ゆうきは身体を動かして、よく遊んでいるそうです。ゆうきにとっての放課後等デイサービスは、本人の課題である気持ちのコントロールや社会性を学ぶだけでなく、ストレス発散の1つになっている気がします。ちなみに今課題として掲げているのは「負けても怒らない」と「自分の意見があっても、人の発表の番の時は聞いて待つ」です。「毎日でも行きたい」と言っているので、今後通うペースはいろいろな方とも相談しながら考えていこうと思っています。私にとっての放課後等デイサービスの存在わが家の子どもたちだけでなく、私にとっても発達支援施設はなくてはならない存在です。抱えている日頃の子どもについての困りごと、どのように対応したらいいのか分からないことを相談し、アドバイスをこれまでたくさんいただいてきました。相談したい時にすぐそばにある、心の安心に繋がる場所なのです。けんとの通っている放課後等デイサービスでは、保護者向けの勉強会や、ペアレントトレーニング、視覚支援グッズづくりをする会などが開催されています。先輩ママ・パパの体験談が聞ける会などもあるので、本当に勉強になります。Upload By ゆきみ放課後等デイサービスに通っていると「今日、こういうことでお友だちとケンカしてしまいました」「この課題には参加できませんでしたが、次回はこうやってみようと思います」など、自分の子どもに関する「うちの子データ」が少しずつ蓄積されるので、子どもが抱えている目の前の課題も見えやすいです。これからも、きょうだいそれぞれのペースで、少しずつ人との関わり方や社会のルールを学んでいけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)長男けんとくん、次男ゆうきくん、それぞれの発達支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)を利用する実際やゆきみさん一家にとってのその意義についてシェアありがとうございます。お子さんそれぞれの課題や利用する意味合いにあった内容が提供されていること、スタッフの方とのやりとりで親子共々支えていただいている感じがすること。読んでいて、そのような事業者さんにお願いできているのがとてもよかったなぁと思います。地域によって事業所の数や、対象としているお子さんの層がさまざまである面もあるので、お住まいの自治体で情報収集をしていただければと思いますが、こちらのエピソードで紹介されたような利用の在り方はとても理想的だなと感じました。お子さんが放課後等デイサービスや療育などで、「○○してしまいました」という話をスタッフの方から報告を受けると、保護者の方によっては、つらくなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。もちろんトラブルや未達成の課題がないことが望ましいですが、ただ、そうした“うまくできないこと”に取り組むこと、そもそもそうした苦手な状況をあぶり出すこと自体もそうした場ではとても大切な介入です。スタッフの方々は保護者と共に、お子さんの育ちを支えてくださる方々です。うまくできない報告も耳が痛い思いをするかもしれませんが、一緒にやっていくための報告です。それを聞きながら一緒にどうするか、どんな風に支援できそうか考えていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月23日部活しかない日も、約10kg!?激重リュックを毎日持ち歩くコウの謎Upload By 丸山さとこ現在中学生の息子のコウは、毎日異様に重たいリュックを背負って通学しています。学校で置き用具にしてよい物を入れっぱなしな上に、自宅でもプリントや宿題を出さないからです。小学生の頃から重かった彼の通学カバンですが、ランドセルの頃はまだ今ほど重くありませんでした。ランドセルは容量に限りがあるため、パンパンに入れてもまだ重さの上限があったのです。中学生になり大きな通学リュックを手に入れたことで、コウの登下校の荷物は相当な重さになっていき……帰宅したコウがリュックをおろすと、両肩に真っ赤なベルトのあとが残るようになってしまいました。リュックの中をコウと確認すると、『自宅でしか使わない宿題用のワーク』など学校に持っていく必要のないものがつぎつぎと出てきます。そして、持ち帰る必要のない教科書などもつぎつぎと出てきます。Upload By 丸山さとこ持っていく必要のないものはある程度家庭でブロックできますが、「学校に置いておいで」と言って持たせた荷物が連日リュックに残り続けるので、どうしてもリュックは重いままになりがちです。先生への連絡や確認も1週間忘れ続けるコウなので、難しいのだろうとは思います。解いて丸つけも終わっているのになぜか提出していない宿題のプリントも頻繁に発掘されるため、どうしたものかと頭を悩ませていました。ずっと気になっていたコウの通学リュックの重さを改めて認識しました先日、実家に遊びに行った時のことです。コウは宿題などを入れた学校のリュックを持っていたのですが、玄関に置かれたそれを母がどかそうとしたところ、重た過ぎて持ちあがりませんでした。Upload By 丸山さとこ驚いた母が「この重たさは体によくないよ!これ、一回体重計で量ろう?」と提案したため体重計に載せてみると、なんと教科書類だけで8kg超えの重量であったことが発覚!水筒などを足したら10kgに近い重さでした。「これ、宿題をやるためにたくさん入れてるの?普段もこんなに重たいの?」と目を丸くする母に「普段はもっと重たい日も多いよ」と答えた私が「そうだよね?」とコウに確認すると、コウはこともなげに「そうだよ」と頷きました。コウの答えに唖然とする母を見て、私は『段々感覚が麻痺してきていたけど、やっぱりこの重さは体によくないよね?』と危機感を覚えました。一息ついてから、改めてコウに「おばあちゃんも心配してたけど、やっぱリュック重すぎなんじゃないかな?」と言うと「そう?」と気にしていない様子でした。そんなコウに「背骨にも相当負担があると思うし、肩が圧迫されると、肩や胸郭の動きを邪魔するから息もしにくくなるよ」と重ねて言うと、「それはそう」と少し納得したようでした。Upload By 丸山さとこ彼にとって、納得するかどうかと行動を変えるかどうかはまた別の話なので、今回の話も流しておしまいかもな~と思っていましたが、先ほど抜き打ちで通学リュックの重さを量ってみたところ、6.4kgでした。ファスナーが開きっ放しのリュックの口から中をサッと見た感じでは、明らかに不必要なものがたくさん入っているようではありますが……ギリギリ合格点(?)だと思います!また、リュックの中で死蔵されがちな宿題についてコウに聞いたところ「最近はできるだけ学校でやって出すようにしてるよ」とのことで、リュックがごちゃごちゃでも宿題に関しては困らなくなったそうです。Upload By 丸山さとこ提出物問題に明るい兆しが見えてきたのはうれしいことですが、そうなるとさらに「リュックの中の荷物、ほとんどいらない物なのでは……?」という疑問が大きくなってしまう私です。とはいえ、この『通学リュック重た過ぎ問題』は物の管理スキルと大きく関わることだけに、コウにとってかなり対処が難しいことなのだろうと思います。土日の部活動ではリュックから教科書類を出していくようになったコウを見て、「その教科書たちはリュックに戻すべきなのかについても考えてほしいな~!」と思う欲張りな私です。「これも不要な荷物を持ち歩かないための第一歩なのかもしれないな」と思い、様子を見つつゆるく見守るよう心がけています。執筆/丸山さとこ(監修:森先生より)丸山さとこさん、お子さんの通学カバンが重すぎるという体験談をありがとうございます。さて、発達障害の傾向があるお子さんは、「要るもの」、「要らないもの」、「必要だけれどもすぐには使わないもの」などの整理・優先順位付けが苦手なことが多いため、忘れ物が多くなりがちです。そして、忘れ物を防ぐためにお子さんなりに編み出したライフハックが「要るか要らないか迷うものも含めて全部持ち運んでしまうこと」なのかもしれません。そのため、ただ荷物の量を減らそうとしても、もともとの困り事である「忘れ物」に再び悩まされるだけということになってしまいます。丸山さんのように、あまりにも重い荷物を毎日運んでいると身体に負担がかかることをさりげなく伝えて、荷物の整理・必要かどうかの見直しを行うことへの意識を本人に持ってもらうことが大切です。家族としては歯がゆさもあるかもしれませんが、お子さん自身の成長を見守っていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月22日就学先は通常学級?特別支援学級?特別支援学校?決め手や就学相談のエピソードをまとめてご紹介!年長のお子さんがいらっしゃるご家庭ではそろそろ次年度の就学先が決定する時期ではないでしょうか。通常学級、通級指導教室の利用、特別支援学級に特別支援学校……わが子の就学先をどこにしたらいいのか悩んだ、また今も悩んでいる保護者の方も多いと思います。今回は「就学先」についてのエピソードをピックアップしてご紹介します。就学先を選んだ決め手や就学相談の様子、就学時健診でのトラブルなど、ぜひ参考になさってくださいね。就学先を「通常学級(通級指導教室)」に決めたご家庭のエピソード3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けている七転八起さんの息子さん。幼稚園では特性に対しての理解を得られなかったため、就学に向けては親子でさまざまな準備をしたとのことです。ASD(自閉スペクトラム症)と診断をされたメイさんの娘のリンさん。幼稚園では特に配慮を受けなくても、ほとんど支障なく過ごせていましたが、母のメイさんとしては「特性なのかな?」と思う出来事も多く、就学先は特別支援学級と通常学級で悩み……。4歳でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子さんは現在6歳。幼稚園の頃から困りごとが多く、就学にはとても悩みました。そんな中、就学相談で「通級指導教室は必要ない」と言われて……。keikoさんのお子さん、しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。発達検査を受けたものの支援者の先生たちも発達グレーの子どもの就学先には悩んでしまい……頼みの綱の保育園の先生の思いがけない言葉にkeikoさんは固まってしまいました。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けているかけうどんさんの息子さんは、通常学級に在籍しながら通級指導教室(特別支援教室)に通う道を選びました。入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて……。就学先を「特別支援学級」に決めたご家庭のエピソード4歳の時、軽度の知的障害(知的発達症)と診断されているプクティさんの息子さん。年長になった4月から児童発達支援がスタートし、新しい環境でバタバタとしていたら……就学相談に乗り遅れた!?2歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたマミヤさんの娘さん、しぇーちゃん。幼稚園での行き渋りも心配なマミヤさんは就学相談で親子共に「特別支援学級」を希望しました。年中になり幼稚園での困り事が目立つようになってきた星あかりさんの息子さんのスバルくん。年中の冬に療育の先生から「就学相談」の資料をもらい、少人数で学べる「特別支援学級」を進路の候補として考えるようになりました。見通しがたたないととても不安になってしまう、ゆきみさんの長男・けんとくん。特別支援学級就学に向けた年長向けの児童発達支援施設での相談やアドバイスは、ゆきみさんの安心感につながったそうです。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)があるカタバミさんの息子さん・まちゃくん。療育手帳の更新で等級が軽度から中等度になり特別支援学級は無理だと思ったカタバミさんでしたが、最終的に特別支援学級を選んだその理由は……!?就学先を「特別支援学校」に決めたご家庭のエピソード知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のあるみんさんの息子さん・Pくん。ほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったとのことでした。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のあるほぺろうくん。母親のぼさ子さんは未就学時代の早い段階で進路は特別支援学校一択と決めていました。特別支援学校入学時の持ち物や学習内容、就学準備にあたり心強かった存在などを紹介いただきました。べっこうあめアマミさんの息子さんは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)があり、特別支援学校に通っています。入学にあたり「リュック」と「ランドセル」で悩んだべっこうあめアマミさん。説明会で聞いた第三のアイデアで一気に気持ちが楽になったそうです。就学時健診でのエピソード3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたゆきみさんの長男・けんとくん。年長になって就学時健診へ行ってみたら想像以上に健診する項目が多くビックリ!けんとくんもパニック&癇癪で大暴れしてしまい……。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のある息子・ほぺろうくんの就学時健診が想像以上に大変だったぼさ子さん。深く考えずに臨んだことを深く後悔し、「こうすれば良かった!」と振り返るぼさ子さんのまとめは必見です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月21日本物のハカセになりたい!息子の勉強法うちの息子、タケル(現在24歳)にはASD(自閉スペクトラム症)があり、その特性ゆえなのか、小さい頃から「覚えること」が大好きです。幼稚園に通っている頃から、鳥や虫の名前やその生態などをテレビなどで覚えては長尺で披露し、大人たちを驚かせていました。生き物の知識は好きなことだったので覚えたのだと思いますが、やがて漢字を大量に覚えたり、芸人さんのネタや名前の由来を100個も暗記したりもするようになりました。特にその芸人さんのファンというわけではなく、ただ「覚える」という行為そのものが楽しいという感じで、何かテーマを決めてそれに没頭するという「遊び」をしていたみたいです。Upload By 寺島ヒロそんなタケルも高校生になると、本当に生き物ハカセを目指して大学受験をすることになりました。好きな科目は何もしなくてもできるけど、そうでもない科目はほったらかしだったタケル。「受験のための勉強はしたくない」という哲学を持っていましたが、そうも言っていられなくなり3年生から重い腰を上げて受験対策を始めました。息子の勉強法は、教科書や用語集を読んでどんどん覚え込むというもの。受験勉強でも以前と全く同じようなノリです。息子にとって覚えることは遊びの延長のようなものらしく、一日何時間もニヤニヤしながら教科書や教育系動画を見ていました。高3になると様子がおかしくなってきた……Upload By 寺島ヒロしかし、3年生の夏頃から、息子の様子が少しおかしくなってきました。学校帰りに山道を通るのですが、彼は「そのルートなら危なくないから」と言って歩きながら単語帳を読んでいました。でもその単語帳には、2,700語も載っていたりするのです。普通ならそういう本は「10分割して読もう」「一日3ページだけ読もう」などと思うところですが、タケルはすべてを読み終えたくて、ぐるぐると山道を歩き続け、ついに日が落ちて「暗くて読めなくなったから」と帰って来るのでした。勉強ハイ?突然走り出す息子また、家にいるときも「走ってくる」と言って突然外出することがありました。私はてっきり気分転換に散歩がてら自販機で飲み物でも買って飲んだり、友だちと電話でもしたりしているのだろうと思って放っておいたのですが、あとで話を聞くと、本当に1〜2時間も走り続けていたそうです。私が「どうしてそんなことをしているの?」と聞いても、彼自身もよく分からない様子で、「なんだか楽しくて」とツヤツヤした笑顔で答えるのでした。Upload By 寺島ヒロそんな日々が続き、3年の秋になった頃、文法やリーディングなどの英検のためのテスト勉強が始まりました。英単語だけは喜々として覚えていたタケルでしたが、英検対策は彼にとってあまり楽しくない勉強だったようです。そのせいか、夏のような勉強ハイの状態は次第に治まりました今では、息子も「あの時はちょっとおかしかったね」と振り返っています。ASD(自閉スペクトラム症)の特性として、興味があることにはとことん没頭する一方で、そうでないことには全く関心を持たないことがよくあります。息子の場合は、受験期の周囲が勉強していることを奨励する空気の中で「覚える」ということに夢中になりすぎたのかもしれません。執筆/寺島ヒロ(監修:森先生より)寺島ヒロさん、お子さんの勉強法についての体験談をありがとうございます。タケル君は、「興味のあることはとことん極める」タイプなのですね。「好きこそ物の上手なれ」という言葉に表れるように、人は自分の興味があるものについては勉強も苦にならないものですが、発達障害の傾向のある方は本当に疲れを知らないかのように没頭してしまうことがあります。なんにしても受験勉強などで必要な勉強と興味の方向がマッチすると良い結果に結び付きやすいのです。お子さんの興味がどんなところにあるのかをよく見てあげて、好きなことを応援してあげるようにしましょう。そうすると、お子さんの学習への意欲が高まって、そのうちに苦手なものにも手を伸ばせるようになるのです。ただし、没頭しすぎて自分でも気づかぬうちにエネルギー切れを起こしてしまうと大変なので、あまりに集中して休憩を忘れていたら、「もう夜だし休んだら?」と声をかけてみるといいかもしれません。これからもタケル君が自分の好きなことを追求していけるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月20日契約社員として働く知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の24歳息子の一日現在24歳の息子は、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)です。特別支援学校高等部卒業後、就労移行支援事業所に3年間通い、職業訓練を受けました。現在は企業に契約社員として働いています。今年で3年目です。今日は息子の1日についてお話ししたいと思います。満員電車で1時間かけて通勤。勤務時間は9時から16時まで勤務時間は朝9時から16時まで、自宅から1時間位かかる会社に電車通勤しています。都内に住んでいるので朝は満員電車に乗るのですが、電車が好きな息子はそれは苦にならないようです。自宅には17時に帰ってきます。土日はお休みなので、大好きなトイレ便器を見に、東京以外の埼玉、千葉、神奈川まで出かけています。息子のトイレ便器好きについてはこちらをご参照ください。お給料事情、持たせているお財布の中身は?さて、お金についてなのですが、毎日9時から16時働いていますので、大体月に13万ほどもらっています。障害基礎年金6万ほどと合わせると、月20万円弱です。息子のお金の使い道はというと、毎月お給料をもらったときに買う5,000円以内のプラレール、そして週末のトイレ散策のための交通費に費やしています。息子はもともと数字が苦手で、自分がいくらもらっているのか把握していません。外出中、何かあったときに困るので、私は「お財布には常に1万円は入れときなさい」と言っています。そしてそれがなくなると、新たに1万円を入れることにしていて、息子には、息子用に作ったに1万円札が10枚ほど入れてあるチャック付きポリ袋から取るようにしてもらっています。会社とのやりとりは就労支援事業所を通して会社のほうからは「親御さんは子離れするように」と常々言われておりますので、3年間通っていた就労支援事業所の継続、就労定着支援制度を利用しています。会社への訪問前に私のほうに「●月●日に訪問しますが何か困ったことはありますか。家での様子を聞かせて下さい」と連絡があります。その後、月一回就労支援事業所の職員さんが会社訪問してくれて、息子の担当の上司と本人と面談をして困りごと、今後の課題などを話し合っています。例えば体調管理をきちんとする、意味なくニヤニヤしない(特定の人に対して、顔を見ると思い出し笑いをするようです。これはビジネスマナーに反するためコントロールするように言われています)などです。そしてその報告が私にあります。私自身が息子の会社の上長と話すことはなく、必ず第三者である就労移行支援事業所のスタッフが入っています。相当頑張っているから?仕事以外ではパニックを起こしてトラブルもこのように月曜日から金曜日、相当頑張って働いている息子。その疲れもあるのか家では私に暴言を吐くことがあります。先日は私が咳をしたところ、それに対してパニックを起こしました。それでも出勤時間が近づいてきたので、いつもの出勤時間にそのまま家を飛び出して行きました。ところが、3分ほどして戻ってきたときには、血だらけ……。パニックを起こしたまま、マンションの共用部分の自動ドアにぶつかり、ガラスが割れてしまったのです。会社では頑張っているのに、なんで家ではこんなになってしまうんだろう……。私はひどく落ち込みましたが、プラスに考えれば自動ドアがなかったら、そのまま道路に行って車にぶつかっていたり、また電車のホームで暴れてホームから落ちたりして大変なことになっていたかもしれません。自動ドアに助けられたんだと思いました。ともあれ共用部分ですので、すぐお詫びと修理を依頼しました。修理額は30万円ほどとなりましたが、障害者向けの損害賠償保険に入っていたので保険で賄うことができました。家と外では態度が違う息子ですが、それも息子なんだと受け入れて、私の修行は続きます。執筆/立石美津子(監修:鈴木先生より)契約社員として通勤して企業で働けるということは幸せなことだと思います。一般の社会人と溶け込んできちんと月給をもらい、好きな便器の趣味も続けられていることは順調な人生なのでしょう。ASDの方はパワハラや上司との相性の悪さから職を転々とする場合も見受けられますが、息子さんが3年間継続して働けているのは職場の人間関係がよく、ASDに対する理解があるからではないでしょうか。よい企業に巡り合われたのだと思われます。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月19日LITALICO発達特性検査の検査結果レポートを見て、これはもう「本」だと思った以前、LITALICO発達特性検査が「お子さまの特性と支援のノウハウをまとめたボリュームたっぷりの一冊の“本”になります」という話をしました。今日はその、“本”のような検査結果のレポートについて、詳しくお話ししようと思います。私は、LITALICO発達特性検査では、企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当しましたが、実際に検査結果のレポートを見たのは、開発が最終段階となった頃、サービスが発表される少し前でした。サンプルとして、レポートをプリントしたものを手に取った時、「検査結果だけど、これはもう、その子オリジナルレシピの“発達支援の本”だ」というふうに感じました。インターネット上でも見られますが、PDFをダウンロードして、プリントして綴じると、ボリュームも人によっては書籍と同じくらいのものが出力されるし、具体的な対応方法まで載っていて読み応えたっぷりで、「検査結果」というよりむしろ、その子について書かれた「本」に近いのではないかという印象でした。悩みや気になることが出てきた保護者の方へ、お子さまサポートの入門書としてこの検査結果レポートを「本」として捉えると、お子さまの発達が気になり始めた保護者の方に、とてもいいなと思っているんです。「うちの子の発達について、気がかりなことがある」「困りごとが目立ってきたり、園や学校の先生から指摘をされた」など、気になることや悩みが出てきたとき、まずはインターネットで検索したり、書店や図書館に行って書籍を探すという保護者の方も多いのではないでしょうか?その中で、「発達障害」や「ASD(自閉スペクトラム症)」・「ADHD(注意欠如多動症)」・「学習症」といった言葉に出合うかもしれません。今、書店に行くと、たくさんの発達障害関連の書籍が置かれていますよね。そうした書籍を何冊も買って、熱心に読まれたという方もいらっしゃると思います。でも、「何冊か読んで、なるほどというところもあったけれど、結局うちの子には、なんだかフィットしないな」と感じたりする保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、最近気になることが出てきて悩み始めた、というような保護者の方だと、書籍を自分で探してぴったりの情報を得るのはハードルが高いかもしれないですね。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は書籍と検査、それぞれの「いいとこどり」私自身、発達障害やお子さまの発達支援に関する著作が10冊以上あります。また、公認心理師として、実際に心理検査を含む臨床の現場にも立っています。その立場からすると、今回のこのLITALICO発達特性検査の検査結果レポートというのは、書籍と検査、それぞれでできたらいいなと思ったことと、それぞれでこれまでできなかったことを「いいとこどり」したようにも見えます。それぞれについて、少し説明しましょう。いろいろな発達障害の書籍を読まれている方、すごく多いと思うのですが、自分のお子さまに合うところと、自分のお子さまとは書籍に書いてあることがちょっと違うよな、ということもあると思うんですよね。先ほどフィットしないといったのは、例えば、「自閉症かもしれないな」と思って書籍を読んだけれど、うちの子はこだわりは強くて当てはまるけれども、感覚過敏性はなさそうだから、その点ではちょっと当てはまらないな、と感じるといったケースは多いと思います。発達特性は人によって違うし、困りごとの現れ方もそれぞれで違うからです。また、「そこまで強い困りではないが、傾向があるな」と感じている場合に、書籍などで使われる「障害」という言葉に違和感を覚えることもあるかもしれません。書籍は、よくあるケースや困りの強いタイプ、医学的に典型的なタイプについて書かれていることが多いと思います。もちろん、そうすることで多くの方に合う内容になりますし、よりイメージしやすくなっていると思います。でも、全ての症状や特性が強く満遍なく現れるケースはあまりありません。実際には、書籍に書かれている各障害の典型的なタイプで全ての症状が当てはまって、困っていることや程度も同じ、書籍に書かれているそのままの方法でサポートがフィットしたというお子さまは、そんなにいないと思うんですよね。一人ひとり、特性の現れ方も違いますし、困りごとになって現れることも違います。だから、本当は対応方法も人によってカスタマイズしないとうまくいかないこともあるんです。その意味では、書籍というのはどうしても、みんなが着られるようなフリーサイズの服のような情報になってしまって、その人に合わなかったり、着心地が悪いな、ということもあると思うんです。書かれている内容が、当てはまるところも一部あるけれども、ほとんど当てはまらないという人もいる。自分でも、書籍を書くときには、その点が悩ましいことでもありました。もっと一人ひとり本人に合うように書いてあげたいけれども、書籍だと、どうしても限界がありますよね。フリーサイズで書くしかない。たくさんの書籍の中から選んでもらって、さらにそれを何冊も読んだ中から、読者の方に情報を取捨選択してもらわないと、自分の子どもの特性を理解することは難しい、ということになります。自分でカスタマイズしてもらう必要があったと思うのです。それが、LITALICO発達特性検査では、質問項目に答えることで、アルゴリズムで必要な情報にカスタマイズしてオーダーメイドの「本」に仕立ててくれる。そういうイメージで捉えると、親子の困りごとに向けた「本」ができる、今までにないようなサービスだと思っています。もちろん、書籍は一般的な知識や専門的な内容を網羅的に得るために、とてもいいと思います。支援法や考え方もたくさんあるので、それぞれ読むことでヒントが得られることも当然あると思います。実際に検査を受けたあと、理解を深めるために書籍も併用していただくといいと思います。一般的な心理検査は、結果が大体A4くらいのレポート1枚にまとめられて渡されるというのが多いかもしれません。検査を実施している機関によっては、直接内容の説明を口頭でしたり、補足の内容をもらえることもあると思いますが、レポートとして詳しく伝えるというイメージではないですね。特に、結果を受けて、次の日から家庭でどう対応したらいいかという情報は、レポートだけでは、ほとんど触れられていないですし、専門家ではない保護者の方が自分で読み解いて情報を得るのは少し難しいかもしれないですね。保護者の方が読んで理解しやすくてすぐに役に立つためというよりは、専門家が評価して支援に役立てることを目的にしているということが前提にあるからです。こういった点から、保護者の方が具体的にどうするか、今できることは何かを見つけるという観点では、なかなか心理検査の結果だけでは足りないこともあるのではないか、と感じることもあります。LITALICO発達特性検査は、インターネットで気軽に受けて、その結果がフィードバックされるサービスです。名称に「検査」とついていますが、これまでの心理検査とはちょっと違って、フィードバックに重点が置かれていることが特徴です。困りごとや特性が現れる背景要因だったり、支援方法や環境調整のあり方の解説が中心になっています。つまり、保護者の方向けに、具体的なサポートに直接つながるような情報がまとめられている。そういう意味で、今までの、みなさんがイメージする「心理検査」とはちょっと違うものかもしれないですね。もちろん、その子の支援についてどうすればいいか、その子のことについてを調べるという意味での「検査」ではありますが、ある意味、一人ひとりにカスタマイズされたその子にあったオリジナルの発達支援の「本」になって現れるサービスだと思ってもらえるとイメージしやすいかもしれません。お子さまサポートの入門書としてUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO特性検査は、サポートの出発点になるような情報がまとめられています。最近気になることが出てきて、自分のお子さまの発達に疑問があるけれども、まだ相談機関に行くまでではない、という段階の保護者の方に特によいのではないかと思っています。インターネットで受けられて、結果がすぐに分かるという意味で、とりかかりやすい仕組みです。しかもLITALICO発達特性検査は障害の有無や診断を目的としたものではないので、受検に対しての心理的ハードルも比較的低いのではないかと思っています。保護者の方には、「明日からどうすればいいか」という示唆が得られる検査であると考えていただくと、受検しやすいかもしれません。検査結果は、全体で177万文字以上のテキストから、お子さまに当てはまる内容や、お子さまに合いやすい対応方法がアルゴリズムで出し分けられて出力されます。受検される保護者の方はお子さまの日頃の様子を振り返って質問項目に答えるだけで、何冊分もの情報から、自動的にそのお子さまの特性や困っていること、対応方法について必要なところだけまとめてもらえる、というイメージです。また、お子さまの困りがどのような背景要因から現れるかが説明されているので、お子さまについて理解するのにも役立ちます。保護者の方が理解しやすいような内容や、家庭で取り組みやすい内容が具体的に解説されているので、まさに「その子の発達支援の入門書」のようなイメージで読んでいただけるのではないでしょうか?もちろん、基本的な知識をお持ちの保護者の方や、すでにサポートを長くされている保護者の方にとっても、お子さまの特性や支援を再整理していくために活用していただけます。支援者や園・学校の先生といった周りの人にも検査結果レポートを共有して、読者になってもらうといいかもしれないですね。レポートの量が多いので、全て読んでもらうのは難しいかもしれないですし、内容がそのまま個別の支援計画や個別の教育支援計画になるわけではないのですが、共有しながら何を重点的に取り組むか、教育目標をつくるための参考になると思います。話し合ったり、家庭での見立てと園・学校での見立ての同じところ、違うところ、試してよかったことや合わなかったことを共有してすり合わせるための材料としても役立つと思います。お子さまの特性理解の入門ツールとして、もっと気軽に「検査」というと、保護者の方にとっては、何かを判定されたり、周りと比べられたりするのではないかというイメージがどうしてもあるかもしれませんが、LITALICO発達特性検査は、親子にカスタマイズされた1冊の「本」を手に入れるくらいの気持ちで、もっと気軽に受検していただけるといいなと思います。ちょうど、書籍1・2冊くらいの価格です(笑)。本屋さんに行ったり図書館で自分で書籍を探してたくさん読むのがちょっと大変だな、という方にとって、よりお子さまの特性に合うよう、おすすめの内容に編集された「本」がもらえる、そんなイメージです。もちろん、LITALICO発達特性検査を「入門書」のようなものとして、さらに知りたいときやサポートが必要なときには専門家や相談機関に繋がっていただいたり、書籍を手に取っていただいたりするのがいいと思います。これまでの心理検査と書籍、実際にお子さまの支援の場面で使うには難しかったところが解決できる、それぞれのいいところが組み合わさったツール。そんな使い方をしていただくことで、この検査は親子にとっての出発点になるのではないでしょうか。少しずつ読んで具体的な方法を試したり、実際に試してからまた読み返したり、結果レポートをずっと手元に置いていただいて、受検された保護者の方にとって、愛読書となるといいなと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月18日幼稚園での気になる行動。特別支援学級への就学も視野に入れていたけれどわが家の長男のトールは、小学1年生から2年生の間は通常学級に在籍し、小学3年生で特別支援学級に転籍しました。トールが小学校に上がる前、特別支援学級への就学について全く考えなかったわけではありませんでした。幼稚園では、お友だちとの関わり方が苦手で、手が出てしまうなどのトラブルや、おとなしく椅子に座っているのが難しいこともありました。年長の頃、担任の先生に就学について相談すると「絶対に特別支援学級でないと無理だとは思わない」と言われました。私自身も、実際に小学校に入ってみないことにはトールがどうなっていくか分からないなと感じていました。そのため、発達検査の予約をして、その結果を参考にしようと考えていました。ところがそんな中、トールが年長の夏に夫の転勤が決まり、小学校入学の時期に合わせて別の県に引っ越しすることになりました。引っ越し先には土地勘がなく、夫の職場から通える距離で、暮らしやすい地域はどのあたりなのか……など調べるところから始めなければなりません。新しく借りる家を契約するのは引っ越しの直前になるため、トールは2月の終わりまでどこの小学校に通うかまだ決まっていないという状態でした。引っ越しのバタバタで、予約していた発達検査もキャンセルせざるを得ませんでした。いろいろなことが重なって、トールが特別支援学級に進むかどうか、あまり具体的に検討することができないまま、引っ越し先の小学校では通常学級に進学することになりました。Upload By メイ小学校生活がスタート。1年生の間は大きな困りごとはなかったが……不安を抱えた中で始まった小学校生活でしたが、小学1年生の頃のトールは、毎日を楽しく過ごしているようでした。しかし、小さな問題はいくつかありました。授業中の発表の時にまだ先生に当てられてないのに話をしてしまったり、あたりをきょろきょろ見回したり、声の大きさが調節できなかったりなどです。それでも当時は、まだ小学1年生だったということもあり、「クラスで少し行動が目立つ子」というくらいの認識でした。Upload By メイ担任の先生が発達障害に理解のある先生だったというのも大きな助けになっていたと思います。先生は、トールを先生に1番近い席に座らせて、何かと気にかけて下さっていました。トールやほかの誰かが大きな声を出した時など、本人に適切な指導はしつつも、周りの子に対しては「あまり気にせず、自分のやるべきことをやりましょう」と伝えてくださっていたようでした。周りの人たちや環境に恵まれて、小学1年生の1年間は無事に過ぎていきました。問題が出てきたのは小学2年生になってからでした。感染症の流行で休校から始まった2年生の新学期。環境の変化で息子にも影響が……!?トールが小学2年生に進級する直前、新型コロナウイルスの流行で学校が休校になりました。トールの小学校は毎年クラス替えがあるので、新しいクラスのメンバーや新しい担任の先生と顔を合わせることもなく、新学期がスタートしました。休校が明けて少し経った頃、トールが「朝起きるのがつらい」と言い出しました。「あんまり学校に行きたくないなぁ」と言うこともありましたが、長いお休み期間もあったので、学校に行く毎日に体が慣れていないのかもしれないと思いました。しかし、トールはだんだん怒りっぽくなっていきました。1年生の頃までできていた宿題も何時間もかかるようになっていき、些細なことでイライラして怒ることが増えました。Upload By メイ担任の先生から連絡も来るようになり、学校でも非常にイライラしたり、怒ったり泣いたりすることがあるとのことで、初めて2年生の担任の先生と会い、面談を行うことになったのでした。発達障害の診断はあっても、学校での支援は手探り状態トールは小学1年生の終わりに病院を受診し、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けていました。そのため、1年生の頃の様子も含めて2年生の担任の先生にも申し送りをしてもらっていました。しかし新しい担任の先生は、発達障害にあまり詳しくないとおっしゃっていて、どのようにしたらトールが学校で穏やかに過ごせるようになるか、細かく情報共有をしながら取り組んでいこうということになりました。Upload By メイこうして、学校側も私たち保護者も、お互いに手探りのような状態で始まったトールの小学校生活2年目でしたが、最終的にトールは翌年、小学3年生で通常学級から特別支援学級へ転籍することになりました。その後の特別支援学級へ転籍するまでのことは、また別の機会に書かせていただきます。執筆/メイ(監修:鈴木先生より)教育と医療の連携が重要です。自治体によって神経発達症への取り組み方は違います。各自治体の教育委員会が医師会など医療と連携できているところは、ほとんどの先生が神経発達症についての正しく詳しい知識をもっており、どう取り組んだらいいかを理解しているのです。ただし、同じ自治体内であっても、学校によって取り組み方に差が見られる場合もあります。職員会議などで神経発達症のお子さんへの接し方などを共有している学校もあれば、残念ながらそのような取り組みが十分になされていない学校もあります。学校によって差が出ないように各自治体の教育委員会が指導していくのが望ましい形ですが、そのためにはまず、教育委員会と医療がしっかりと連携していることが重要なのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月18日不器用さをからかわれるようになったASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)息子。それはやがてイジメに発展して……現在高校2年生の息子は、小学1年生でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)と診断されています。中学1年生の時に不登校気味になりました。不登校気味になったきっかけは、入学後間もなくあった係、委員会決めでした。息子のクラスは、学級委員長がなかなか決まらず、話し合いが長引いたそうです。早く帰宅したかった息子は、仕方なく手をあげたそうで……。そして学級委員長になったのですが、息子はLD・SLD(限局性学習症)の特性から議題などを黒板に書くことが難しく、クラス目標を模造紙に書いて黒板の上に貼っても、「文字のバランスが悪くない?」「早く書いてよ!」という言葉が飛んでくることもたびたびあったそうです。それに加えて、不器用なため掃除の際にホウキを使ったりゴミを集めるのにも苦労し、給食の盛り方も上手くいかず……。これらについてクラスメイトからからかわれるようになり、そこから少しずつイジメに発展、息子は不登校気味になったのでした。Upload By ユーザー体験談息子にとって大きな存在だった発達障害のある親友A君。A君は中学校では完全不登校にここで、中学校入学前について少しお話をさせていただきたいと思います。息子には保育園年少から小学校6年間同じクラスだった親友のA君がいます。A君にはADHD(注意欠如多動症)があります。二人とも小学校は通常学級に就学をしたのですが、息子は小学校1年生の秋から通常学級に在籍をしたまま特定の教科だけ特別支援学級へ通うようになり、A君も息子と同様に小学校3年生から通常学級在籍のまま特別支援学級に通うようになりました。いつも一緒に授業を受け、お互いに得意な教科が違ったので教え合う仲でした。A君は朝起きることが苦手なため不登校気味な面がありましたが、二人はいいコンビだったと思います。※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さまについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。Upload By ユーザー体験談中学校に進学する際、息子もA君も小学校時代同様に通常学級在籍で特別支援学級に通うような配慮が決まっていたので、学校へ「二人一緒のクラスとにしてほしい」とわが家もA君の家もお願いしていました。しかし、実際に入学してみると通常学級のクラスも、特別支援学級のクラスどちらも息子とA君は離れてしまいました。これが原因でA君は「学校を信用できない」と完全に不登校となりました。A君が登校していたら、息子も不登校気味にならなかったかもしれません……。「俺、なんで生きているんだろう……」このままではダメ、息子の居場所を見つけるために奔走し見つけたある場所不登校気味になった息子は、しばしば「俺、なんで生きているんだろう……」といった発言をするようになりました。なんとか二次障害を避けたいと思った私は、学校以外に通える場所を探しました。そしてある「発達障害や不登校の子を受け入れてくれる支援教室」を見つけそこへ通いだしました。そこは、もともと学校の先生をしていた方が運営されていて、家庭だけでなく学校側へもサポートをしてくださいました。息子はその教室を気に入ったようで、通う日を楽しみにするようになりました。余談ですが、現在はこの教室を卒業し、そちらでアルバイトをしています。不登校気味でつらい時期でしたが、そこであったご縁はかけがえのないものになりました。中学2年生のクラス替えで、ついにA君と一緒のクラスにこの学習支援教室に通ったり、行けるときは学校へ登校したりしながら1年が過ぎ、中学2年生になった息子。クラス替えが行われ、ついにA君と通常学級も特別支援学級も一緒のクラスになりました。すると、それがきっかけで不登校気味だった息子と完全不登校だったA君、二人とも学校に通えるようになったのです。前日に約束をして一緒に登校するようになり、お互いに携帯電話をもち始めたため、連絡をよくとりあって、お互いが心の支えになっているようでした。息子に学校はどうと聞くと、「二人で居るから大丈夫」という頼もしい言葉が返ってきました。Upload By ユーザー体験談嫌なことも好きなことも熟知している間柄が功を奏し、少しずつ友達関係もひろがっていきました。A君は、コミュニケーションに困難さがないので、息子はA君に引っ張ってもらい友達との関わり方を学んだようでした。A君は、息子から衝動的な行動は良くないことを学んだと聞きました。それぞれ違う通信制高校へ進学した今の二人は現在、息子は高校2年生です。息子とA君はそれぞれ違う通信制の高校へ通っています。息子は週3回スクーリングがある学校、A君はIT技術が身につけられる学校です。学校は違えど、A君の家には月1ペースで泊まりに行ったり、週末は遊びに行ったり仲良くやっています。アルバイトで貯めたお金で、A君を含めた数人で東京へ遊びに行くまでになりました。Upload By ユーザー体験談息子は得意不得意の差が大きく、これから乗り越えなければいけないハードルも高いものが多いかもしれません。ですが、A君のおかげで周りの人の助けを借りることを学んだ息子は、どんなつらいことも乗り越えることができると信じています。困っていることを困っていると言えることは、決して恥ずかしいことではありません。息子が今後進学を希望して一人暮らしを始めるのなら、大事な力になります。息子よ、学力だけでなく、生きる力を身につけていってください。母は応援してますよ。イラスト/マミヤエピソード参考/しのっぺ(監修:森先生より)不登校から脱することができた体験談を聞かせてくださってありがとうございます。発達障害の傾向があると、不器用な部分があることが多く、どうしても同世代の集団の中で目立ってしまうことがありますよね。そこで、理解しようと歩み寄ってくれるのか、からかいの対象とするのか、その集団の子ども達一人ひとりの性格によって、学校生活の送りやすさが変わってきます。一人でも理解してくれる友達がいるとだいぶ楽なのですが、クラスが離れてしまうと、傷付いてしまうことも多くつらいですよね……。そんなときには、学校以外の居場所を見つけることもひとつの手です。趣味や習い事の教室でもいいですし、ボランティア活動でもいいかもしれません。とにかく、どこかひとつでも「居場所がある」と感じることができると、傷付いた心の回復度合いがだいぶ違うのではないでしょうか。今回のように、学校とは別の「支援教室」に通うというのは、とても良い選択だったと思います。お子さんの特性に理解があり、学校生活に馴染むためのトレーニングも行うことができるところであれば、居場所にもなりサポートにもなりますね。お子さんが学校に行きたがらないときには、無理に学校に行こうとするのではなく、ほかに安心できる場所、勉強や集団行動を身につけることができる場所を探してみるといいでしょう。学校に通うことは、あくまでも手段であって目的ではありません。お子さんが健やかに育つことが目的なわけですから、お子さんの気持ちに寄り添いながら、一番良い方法を探していけると良いですね。これからも応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月17日児童発達支援ってどんなことをするの?2歳4ヶ月でいよいよ児童発達支援施設(療育)に通所開始!ねこ太の場合は運動発達の向上を一番の目標としていたので、PT(理学療法)で体全体を使う粗大運動の発達を促したり、OT(作業療法)で手先や指先を使う微細運動の発達を促すトレーニングをしていました。Upload By 鳥野とり子そのほかにも日常生活を送るために必要な能力の獲得や、就園や就学に向けて社会性を養うといった内容も支援計画に組み込まれていて、先生やお友達と日々関わっていく中でたくさんのことを学んでいきました。通わせて良かった!児童発達支援に通い始めてから急激に成長した息子。Upload By 鳥野とり子児童発達支援に通い始めてから息子の成長スピードが一気に加速したように思います。小さかった動きはどんどんダイナミックになり公園の遊具で遊べるようになったり、不器用だった手先の動かし方もスムーズになりスプーンや鉛筆を上手に持てるようになりました。ねこ太が通っていた施設では【お買い物体験】や【クッキング】などの活動もあり、活動を通じてたくさんの人と関わることによって社会性が養われたのか、語彙が増えたり多動が落ち着いてきたりして「成長したなぁ」と感じることが増えてとてもうれしかったのを覚えています。今まで食が進まなかった息子の食事がスムーズに!Upload By 鳥野とり子ねこ太は食に興味がなかったので、この頃はごはんを食べさせるのにかなり苦戦していました。自分でごはんを食べてくれず、私がスプーンでねこ太の口にごはんを運んでいて、離乳食から幼児食への移行も苦労していた時期だったのです……が!児童発達支援に通い始めてから私が手伝わなくても自分で食べるようになりました!ねこ太の通っていた児童発達支援では給食が提供されていたので、先生やお友達と給食を食べて触発されたのではないかなと思います。そして離乳食から幼児食への移行が一気に進み、食べられる食材がぐんと増えました。これは本当にありがたかったです。児童発達支援に通い始めて一番救われたのは子ではなく親でした。Upload By 鳥野とり子児童発達支援は子どものための施設だと思っていましたが、通い始めて思ったのが親のための施設でもあるということ。実は児童発達支援に通うようになる少し前までねこ太は保育園に通っていました。ところが保育士さんが一斉退職してしまい、ねこ太を通わせることができなくなって泣く泣く退園したのです。私は仕事を辞め、日中2人だけの生活に逆戻り。発達のことにかなり悩んでいた時期なのもあってどんどん病んでいきました。そんな状態から救ってくれたのが児童発達支援の存在でした。児童発達支援に通うまでは暗闇の中を手探りで育児している感覚だったのですが、児童発達支援に通い始めてからは一緒に子育てをしてくれているような安心感がありました。一人で悩んでいた発達の悩みを共有でき、困ったことがあればその都度アドバイスを頂ける存在がどれほどありがたかったか……。児童発達支援の先生方には感謝してもしきれません。児童発達支援には肉体的にも精神的にも助けられ、児童発達支援を必要としていたのは子どもだけではなく親もだったんだなと思いました。執筆/鳥野とり子(監修:新美先生より)ねこ太くんが2歳4ヶ月から通い始めた児童発達支援施設について詳しく聞かせて下さりありがとうございます。ねこ太くんは通われた児童発達支援施設がぴったりはまったようで、体の動かし方、手先の使い方から、食事面、社会性・言葉まですごく成長したんですね。発達の偏りがある場合、環境をご本人に合うように整えて、情報量や興味の向きの調節がフィットすると、さまざまに成長がググンと見られたりしますね。そして鳥野さんもおっしゃられているように、児童発達支援施設・療育につながることで、わが子に合ったかかわり方、環境、働きかけのタイミングなどを相談できて、いっしょに成長を喜んでもらえる伴走者に出会えることもすごくいいことですよね。児童発達支援施設については、公立/民間、施設数などの状況が地域によってかなり差があり、必ずしも求めるタイプの施設に出合えることばかりではないかもしれませんが、お住まいの地域でどんなところがあるのか、探してみるのもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月16日小2で学校に行けなくなった娘。親子でホームスクーリングを始めることに特別支援学級に在籍している娘は、小学校2年生の2学期、「約束と違う給食指導」や「交流学級の先生が注意する時の大きな声」などのストレスが引き金となり、学校へ行けなくなりました。私は娘の気持ちを尊重していったん学校を休むことを選択し、家での過ごし方を決めてホームスクーリングをすることにしました。それまでは、家の中ではわりと自由にゲームができる環境にしていましたが、ホームスクーリングを始めてからはきっちりと時間を制限するようにして、運動の時間なども取り入れ、1日のスケジュールをたてて過ごすようにしました。そして娘が学校を休むようになってから数日が経った頃、学校から呼び出しを受けて面談をすることになりました。面談に参加したのは私、特別支援学級の担任の先生、そして交流学級の担任で学年主任を兼務されている先生の3人です。私は娘が学校に行けなくなった原因として、「給食指導が事前に約束していた内容と違うこと、交流学級の担任の先生が大きな声で怒るのが怖いこと、特別支援学級では一つの教室をパーテーションで分けて2クラスで使っているが、それが聴覚過敏の娘にはつらいこと」の3点を伝えました(特別支援学級ではイヤーマフを着用しています)。先生方からは給食指導に関する謝罪と、週1回でも保健室登校でもいいから、少しでも学校に通えたら……と言われました。親としては、ホームスクーリングを始めたところでしたし、娘が望むなら不登校でも構わないと考えていたので、「家で娘と話してみます」と返答し帰宅しました。Upload By マミヤ学校の提案に対し、娘の考えは?Upload By マミヤ家に帰って娘に学校の先生との面談の内容を話しました。その時娘は何も言わなかったのですが、次の日に「私、給食がなければ行けるかも……」と言ってきたのです。半信半疑でしたが、娘はその言葉通り、翌週の月曜日から午前中のみ再登校をはじめました。再登校の理由は「友達に会いたい」「たくさん休んだから少し元気になった」そして「ママとすごすホームスクーリングが想像より大変だった」からでした。お休み中はわりとあちこちに行って娘の好きではない買い物に付き合わなければいけなかったり、ゲームの時間制限があったり……といったことが負担だったそうで……。いい感じで日中をすごせているものと思っていた私は、正直すぎる娘の発言に苦笑いをしてしまいました。再登校後にありがたかった学校の配慮。そして予想以上に大変に感じたこととは?Upload By マミヤ再登校を始めた後は、特別支援学級の先生に配慮していただき、授業は4時間目まで受けることにし、交流学級の授業は別室教室(通常の教室に入れない場合に授業を受ける場所)に行かせてもらうことにしました。娘が再登校するようになって、地味に大変だったのは送迎でした。朝に娘を学校へ送ったと思ったら、4時間目が終わる12時にはもうお迎えです。心の中で”幼稚園の年少の時よりお迎え早いな!”と思った日もありました。それでも娘本人が頑張っているのは分かっているので、急かすことのないように見守っていました。そうするうちに、徐々にですが、お弁当を持参して通うようになり、交流学級の教室での授業にも少しずつ参加できるようになっていきました。ちょうどこの頃に、娘が学校を休み始めた時期に予約を入れていた児童精神科の受診がありましたが、再登校できるようになっていたので、特に投薬などは希望せず様子見となりました。しかし、今後も相談できる場所が増えたことで、安心材料になりました。娘はいろんなことが重なり学校に行けなくなりましたが、この時は娘自身がホームスクーリングより学校を頑張るほうがいいと選択し、再び学校に通い始めました。また、娘が再登校しやすいように登校のハードルを下げてくださった学校の配慮にはとても感謝しています。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:井上先生より)娘さんが学校に行きたくないということを言われたとき、親御さんとしてはとても不安になられたことでしょう。休み中の生活リズムが乱れてしまうことを防ぐために、学校での時間割も意識したホームスクーリングを実施されたことは、良かったと思います。また、マミヤさんは娘さんとしっかりとお話しされ、娘さんが学校に行きづらい理由を具体的に把握されたことが学校の配慮に繋がったと感じました。この経験から、娘さん自身も自分の苦手なことだけでなく、それに対する対処法や対策を学習できると、その後の自己理解にプラスになるのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月16日3歳でトイトレスタート!結論から言うと……マユユは、4歳の終わりまで『トイレでおしっこを出す』という最初の目標を達成できませんでした。3歳でトイレトレーニングを開始した頃はまだ説明して教えられるほど理解が進んでいなかったのですが、それでも“トイレに頻繁に連れていき、おしっこが出そうなタイミングと合えば出るだろう”と思っていました。しかし何度トイレに座っても、長い時間座っても、オムツがしばらく濡れていなくても、おしっこが出てくることはなかったのです。いろんな方法やトイトレグッズも試してきましたがどれも成功はしませんでした。Upload By サチコ4歳のある日長時間オムツが濡れておらず、食事や水分も充分にとれている状態でトイレに誘うことができました。“これは絶対、おしっこが溜まっているはず!今日こそは!”と意気込む私。いつもより長めにトイレに座れるよう、普段は見せない動画(トイレ関連のもの)も見せて、「おしっこが出たらおやつを食べようね」など声をかけつつ心待ちにしていました。Upload By サチコしかし、やはりいくら待ってもおしっこは出せませんでした。“こんなに時間があいているのに、どうして?”そう思いながらあきめてトイレから出た直後……なんとオムツにおしっこをしたマユユ。それを確認した瞬間に私はポッキリと心が折れたのを感じました。Upload By サチコ“まだ今はトイレでできないんだ”“この子はまだまだずっと、トイレではできないのかもしれない”もともとトイトレを頑張る精神的な余裕が少なく、ほどほどでやっていたのですが、この時からさらにのんびりやることにシフトチェンジしました。Upload By サチコ「日々成長はしているから、マユユの理解面やコミュニケーション面が伸びてきて、よりスムーズにトイトレできる時期がいずれ来るはず」進展がないので焦っていましたが、少し待ってみようと決心しました。突然訪れたその時習慣的なトイトレをいったんやめたまま5歳になったマユユ。保育園にも入ることができ、改めてトイトレについて考えていた時でした。おしっこを溜められるようになっているし理解も伸びてきている。やはりさまざまな準備はできているように感じているけれど……この頃も余裕があればトイレに入ってみたり、かわいい服装に興味を示すことが増えたので「おねえさんパンツかわいいねぇ」など話してみたりはしていました。そして、5歳になりすぐの休日のこと。私はひとり買い出しに出かけたのですが「オムツがしばらく濡れてないからトイレに誘ってみて」と夫に言い残して家を出ました。すると、なんと……Upload By サチコ本当に突然の出来事でした。とくに前触れもなく、トイレへの誘導もいつものように気楽な気持ちで伝えていました。そこからは、あっという間に日中のおしっこがトイレでできるように。さらに、なんと数日後、トイレでおしっこをさせている時に「うんちも出してみる?」と軽い気持ちで伝えてみると……まさかの「うん」という返事。トイトレ絵本のうんちのページをお手本にして見ながら「う〜〜ん」と頑張りはじめ、初めてのトライで成功。とんとん拍子に進み、日中は基本的にパンツで過ごせるようになっていきました。マユユは“変化”がとても苦手ですこれがトイトレが進まなかった大きな要因なのでは?と思ったりします。ただ、最終的にはグッズも特別な方法もなく進みましたが、これまでの試行錯誤は無意味じゃなかったと思えています。ずっと見ていた動画や絵本から得ていた・おしっこが出そうな感覚はモジモジだと知っていること・トイレに入ってから手を洗うまでの一連の動作などの知識はしっかりマユユの中に入っていて、初めて出せた日からとてもスムーズにできるようになっていました。トイレという場所にすっかり慣れていたのも良かったです。Upload By サチコ体の準備・知識・興味・場所への慣れ・気持ちの整理など、私が一気に教えようとしてしまったものを、マユユが自分で自分なりにスモールステップで進んでくれていたのかもしれません。まだ課題はあるけれど今はまだ夜間はオムツで過ごしており、多くの場合朝までに排泄していることも確認しています。また「トイレに行きたい」という申告が間に合わず漏らしてしまうことも……まだまだコミュニケーションの問題や、感覚的な問題もあるのかもしれません。いつ頃までには頑張らないといけないのかな、と不安になることもあります。しかし、今回の経験を経て改めて「なにごともスモールステップ」「焦りすぎず適度に本人のタイミングを確認していこう」と思っています。執筆/サチコ(監修:井上先生より)排泄指導は、焦らずスモールステップでやっていくことが大切ですね。親御さんも便座に座る習慣づけやトイレ・排泄に対する知識を教えたり、時間を測ってどれだけおしっこをためられるかと調べられたり、細かくアセスメントしておられ、今回の成功は、そういったご努力もベースにあったのではないかと思います。昼間におしっこをためる力が徐々についていくと、夜間のオムツも取れていくと思います。オムツに対するこだわりや感覚過敏の強いタイプのお子さんについては、環境調整やより細やかなアセスメントとステップが必要になってくると思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月15日わが子の発達が気になる……保健センターなどの施設で早めに相談する理由は?わが家の次男Pは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。Pが1歳半を過ぎたあたりから、長男の時との違いをはっきりと感じるようになった私は、地域の保健センターへ行き、Pの発達について相談をすることにしました。Upload By みん保健センターでは、健診などを受けた後、市が開催している発達支援の親子教室や、児童発達支援センターなどの発達支援施設を紹介してもらい、必要な手続きを手伝っていただきました。しかし、私たちの住む地域では希望したからといってすぐに早期療育を開始できるわけではなく、手続きをしてから半年から1年ほど待たなければいけない場合も多いとのことでした。Pのように2歳と年齢が低く、まだ発達障害と診断されたわけでもない子どもは優先順位も低くなると聞いていたので、専門的な場所で児童発達支援を受けるためには、とにかく早めに動いて手続きをする必要がありました。早期療育を開始することはできたけれど、すぐには効果が出ないことを痛感……幸いにも3ヶ月ほど待ったところで、週2回の親子登園の枠に偶然空きが出たため、Pは2歳半から療育園と繋がることができました。しかし、早いタイミングで児童発達支援施設へ通所できたものの、すぐにその効果を感じられたわけではありませんでした。療育園に通い始めたばかりの頃、Pは療育園の門に入る前から泣き、玄関に入っても靴を脱ごうともしませんでした。何とか教室に入ることができても、外へ出たいとずっと泣き続けていました。発達支援を受けるようになってからもすぐには椅子に座ることはできませんでしたし、トイレへ行くことも、お茶を飲むことも、とにかく全てのことを拒否していました。支援を拒否している子どもはPだけではなく、ほかにもいました。中には数回通っただけで「受けても何も意味がない」「この施設はうちの子には合わないから良い効果が見られない」とすぐに辞めてしまう親子もいましたが、私自身は、焦らずゆっくりと場所や人に慣れて、まずは土台をつくることが大切だと考えていました。嫌がるPを連れて行くのは大変でしたが、あきらめず何度も通い、何度も同じことを繰り返し、やっと落ち着いて支援を受けられる形ができてきました。そうやって積み重ねるうちに、徐々にPの成長も感じられるようになってきました。早期療育は子どもにとっても親にとっても必要なことだったまた、早期療育は、親子の「居場所を見つける」という意味でも大切でした。児童発達支援センターなどの発達支援施設は、Pと同じように課題を抱えたお子さんと、私のように悩みを抱えた保護者たちが集まる場所です。だからPがどれだけ荒れていても、どれだけ何もできなくても周りの目はあたたかく、Pひとりだけが悪目立ちをしているというわけではありませんでした。「できなくても当たり前」という優しい空気が流れていて、わが子がわが子のまま自然体でいても受け入れてもらえる場所でした。通い続けていくうちにずっと孤独だった私たち親子の居場所が見つかり、救われたような気がしました。Upload By みん一般的には、できるだけ早期に発達支援を受けることで、より高い効果が期待できると言われています。保護者にとっても、日々の不安や悩みをほかの誰かと共有できる場所ができること、発達支援の先生たちの豊富な経験や知識に裏付けされたアドバイスを得られること、そしてスモールステップで子どもの発達を促し、成長の土台をゆっくりとはぐくんでいけることは、大きなメリットだと思います。Upload By みん時間は待ってくれない!一人で悩まずに前を向いてみてもしかしたら、発達支援について「まだ早い?」あるいは「今さら受けても遅い?」と悩んでいる方がいるかもしれません。ですが、親御さんとお子さんにとって、悩んでいる今こそが、発達支援をスタートするタイミングなのだと思うのです。私がPの通所を通じて得たものは、子どもの成長だけではなく、それを一緒に見守ってくれる人たちとの出会い、自分自身の知識や経験であったと思います。その結果、より良い支援を受けることができ、子どもの発達にもつながっていると実感しています。お子さんの発達に悩んでいる方は一人きりで悩まずに、まずは一歩、勇気をもって踏み出してみていただけたらと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)幼児期早期に発達支援につながったことで感じた思いなどを詳しく聞かせて下さりありがとうございます。発達支援というと、お子さんの苦手なところ、発達がゆっくりなところが、苦手じゃなくなる、追いついて「普通になる」というイメージを持たれるかもしれません。実は、発達支援はお子さんに適切な環境や関わり方を保護者の方が学んだり、子育ての不安を相談して、安心して子育てできるようにするという、保護者へのアプローチも大きいです。もちろんお子さん自身もご本人に適切な環境を提供されて、よいやり方をスモールステップで教えてもらえることで、ご本人もできることが増えていくことがたくさんあります。「早期療育」というワードが独り歩きして、こんなに大きくなってからでは遅いのでは?と焦ってしまうことがあるかもしれませんが、発達支援において、遅いということはそれほどはありません。みんさんもおっしゃっていたように、保護者の方が、必要性を感じた時につながっていけたらよいのではないでしょうか。何歳ぐらいでどのような施設で発達支援を受けることできるかは、地域差がとても大きく悩ましいところです。自らかなり調べて動いて訴えていかないとつながれないという地域も少なくないのが実情かもしれません。今回の記事でみんさんがご紹介いただいたことが、読者の方の動き出すモチベーションになるかもしれないですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月14日起立性調節障害とは?原因は?どんな症状があると診断される?起立性調節障害とは自律神経の不調により、朝の起床困難、倦怠感、動悸、頭痛、立ちくらみ、失神などの症状が表れる疾患です。英語では、「Orthostatic Dysregulation」と表記し、略して「OD」とも呼ばれます。起立性調節障害は10歳~16歳の思春期に発症することが多く、軽症例を含めると発症率は小学生では約5%、中学生では約10%とも言われています。また、不登校の子どもの3~4割は起立性調節障害が背景にあるともされています。起立性調節障害は循環調節機能の異常により、自律神経がうまく働かなくなることで引き起こされると言われています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、その働きのバランスが崩れることで起床困難や倦怠感などさまざまな不調が出てきます。起立性調節障害の要因はほかにもあり、学校や家庭でのストレスといった心理的要因や水分不足なども関係していると考えられています。起立性調節障害の症状は身体面、精神面にさまざまな形で表れます。以下の症状のうち3つ以上当てはまる、または2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害の可能性があるとされています。・朝の起床困難・午前に調子が悪く、午後に回復する・頭痛・腹痛・動悸・気分の不良・顔色の悪さ・立ちくらみ・失神・食欲不振・車酔いなどほかにも、集中力・思考力の低下やそれに伴う学業不振、日常の活動量の低下、生活リズムの昼夜逆転などがあります。当てはまる症状が多く起立性調節障害かもしれないと思ったときの受診先は、子どもの場合は小児科がいいでしょう。ほかには、循環器内科、脳神経内科など診察している場合もあります。 また、起立性調節障害に対応していることが病院のWebサイトなどに書いてある場合もありますので、近くにないか探してみるといいでしょう。参考:起立性調節障害対応ガイドライン|岡山県起立性調節障害は治る?治療法や薬について起立性調節障害の検査には起立負荷試験が行われます。この検査は、体を横に臥床している状態から、立ち上がった状態になった時に、血圧や心拍数がどのように変化するかを測定します。一般的に、測定は数分間続けて行います。血圧の低下が認められた場合は、起立直後性低血圧(INOH)と呼ばれる状態で、起立性調節障害の一つの症状です。心拍数が異常に上昇する場合も、起立性調節障害の特徴で、体位性頻脈症候群(POTS)タイプと診断されます。起立性調節障害の治療は症状の重症度によっても変わってきます。軽症の場合は、自身でできる取り組みから始めていくことが多いです。内容としては、以下のようなことが挙げられます。・起床時にはいきなり立ち上がらずに30秒ほどかけてゆっくり起立する・早寝早起きなど生活リズムを規則正しくする(怠くても日中は体を横にはしない、など)・水分を多めにとる(1日1.5L~2L目安)・塩分を多めにとる(1日10~12グラム目安)・毎日運動をする(15分程度の散歩から始めると良い)・加圧ソックスや腹部バンドを着用する(血圧低下を予防) など以上のような取り組みに加えて、薬を使った治療が行われることがあります。起立性調節障害に処方される薬は症状によって変わってきますので、次に紹介します。起立性調節障害の治療では、血圧を上昇させるために以下の薬が処方されることがあります。・ミドドリン塩酸塩(メトリジン錠、メトリジンD錠)・メチル硫酸アメジニウム(リズミック)起立性調節障害は朝に血圧が上がらないことで、さまざまな症状が表れるため、このような血圧を上昇させる薬が効果的と言われています。また、起立性調節障害に不安障害や抑うつ状態が伴う場合には、SSRI(向精神薬)が処方されることもあります。昼夜逆転など睡眠リズムが整わない時には、自然な睡眠サイクルを調整する役割を持っているメラトニン受容体作動薬を使用することもあります。起立性調節障害へは起立時のめまいなどに効果があるとして、以下のような漢方薬が処方されることもあります。・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 立ちくらみやめまい、頭痛など・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃弱、頭痛、ふらつき、めまいなど・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠など・小建中湯(しょうけんちゅうとう):腹痛、疲労倦怠など・真武湯(しんぶとう):冷え性、胃腸虚弱、神経衰弱など起立性調節障害への漢方薬の使用はエビデンスが少ないのが現状ですが、この中でも苓桂朮甘湯は4~8週間使用することで起床時のめまいなどが改善されたという報告があります。参考:平澤 一浩, 大塚 康司, 塚原 清彰 著「複数の臨床的指標を用いて苓桂朮甘湯の有効性を確認できた起立性調節障害の2例」日本東洋医学雑誌 73巻(2022年)4号 p. 375-381薬を飲んでも起立性調節障害がなかなか治らない…どうしたらいい?起立性調節障害の治療をしていても、なかなか改善しないと悩んでいる方もいると思います。一般的に起立性調節障害の治療は長くかかると言われています。軽症の場合は日常生活に影響が少なくなるまで数ヶ月、中程度の症状の場合は1年後の回復が約50%、2~3年後の回復が約70~80%程度です。重症の場合は、さらに期間が長くなることが考えられます。そのため、長い目で見て治療を進めていくという姿勢が大事になってきます。また、服薬だけで改善するわけではないため、合わせて生活の中でできる取り組みをしていくことも大切です。心理・社会的要因として、学習不振などが関係していることもあり、起立性調節障害だと思ったら、実は学習障害もあったなど、発達障害と診断されることもあります。生活習慣の改善に取り組んでも、なかなか症状が改善しない場合には、心理社会的要因へのアプローチも主治医と相談することが大切になります。まずは家族など周りの人が起立性調節障害のことを理解することが大事です。起立性調節障害があると、朝起きられずに学校に遅刻したり欠席したりするのに、午後からは回復してくる場合もあることから、「怠けているのでは」「学校をさぼりたいだけなのでは」と思われることがあります。しかし、起立性調節障害は身体的な疾患であり、気持ちや根性では改善しません。「早く起きなさい」などとってもよい結果にはなりません。まずは、この状態は起立性調節障害の症状で、本人もつらい思いをしているということを理解して、病院の受診を促すとともに、家庭でもできる改善のためのサポートをしていきましょう。起立性調節障害は生活リズムを整えることが大事です。そのために家庭でできる工夫としては以下のようなものがあります。・起こし方を本人と家族で相談しておく・昼間横にならないように声掛けをする・就寝時刻の30分前にベッドに入るように決めておき、時間になったら消灯する・夜9時以降のテレビ・ゲーム・スマートフォンの使用は控える・カーテンを開けて朝日を部屋に入れる・起床後シャワーを浴びる などすぐに早寝早起きをすることが難しい場合には、まずは無理なく起きられる時間から始め、徐々に起きる時間を早めていくなど工夫をしながら進めていくといいでしょう。また、現在ではスマートフォンで「夜9時以降に特定のアプリは使用できないようにする」など設定が可能です。ほかにも、時間になったら自動で照明を消す装置やカーテンを開ける装置も販売されています。このようなツールを活用することで、本人も家族も負担が少なく進めることができるでしょう。起立性調節障害により学校に行くことが難しい場合は、学校と連携することも重要です。必要に応じて病院で診断書を出してもらい、学校の担任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどと相談しながら、学校に通いやすいように配慮事項を決めていくといいでしょう。具体的な配慮としては、午後からの短時間登校、保育室などへの別室登校を認めてもらう、楽な姿勢で勉強できる環境を整えてもらうなどがあり、段階的に学校へ通えるようにしていくことがあります。午後からの登校は起立性調節障害の症状への配慮だけでなく、電車通学の場合はラッシュアワーなど負担となる状況を避ける意味合いもあります。周りの生徒の反応が不安な場合は、先生から遅刻の理由や起立性調節障害について周知してもらうという配慮もあります。ただ、知られることが負担という子どももいるため、家庭と学校でよく話し合って決めていくとよいでしょう。いずれにしても、本人や保護者だけが問題を抱え込むことがないように、家庭と学校がお互いに相談しあえる関係をつくっていくことが大事です。起立性調節障害への治療では、心理療法が行われることもあります。心理療法は臨床心理士などと話すことで、問題を整理したりストレスを軽減させたりする治療法です。カウンセリングとも呼ばれます。例えば学校を長期間欠席することや、ほかの生徒と違う通い方をしていることなどに不安や気分の落ち込みがある場合に、心理療法で精神的な問題を解消させていきます。不安が強く心理療法を希望する場合は、主治医に相談してみるといいでしょう。参考:カウンセリング / 心理療法|厚生労働省 e-ヘルスネットまとめ起立性調節障害は10~16歳の思春期に多く、自律神経が乱れることでさまざまな症状が表れる疾患です。症状は朝起きられない、めまい、頭痛などがあり、不登校の子どものうち3~4割は起立性調節障害があるとも言われています。起立性調節障害は小児科や循環器内科、脳神経内科などで診てもらうことができ、薬物療法や生活リズムの改善などを通して治療していきます。起立性調節障害の影響で学校に行けないという場合は、学校とも相談して午後からの登校、別室登校などの配慮を受けることもできます。起立性調節障害の治療期間は数ヶ月から数年と長くかかることがあるため、長い目で見ながら進めていくといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月13日「ママ」より先に数字を覚えた自閉症の長男ASD(自閉スペクトラム症)の長男「ハジュ」は、興味の幅は狭いものの、一度ハマると本当に夢中になります。特に数字への関心はとても強く、日々の生活でも数字に関わる場面が大好きです。今回は、そんな数字大好きハジュの日常生活で起きたちょっと困ったことや逆に役立ったこと、数字に夢中になるあまり起こったエピソードをお話したいと思います。2歳になる少し前、ハジュが、じーっとテレビのリモコンを見つめていました。ボタンを押したいのかな?と思いましたが、どうやらリモコンにあるチャンネルの数字に夢中になっていたようです。それから、床に敷いていたパズルマットの数字を見つめるようになり、どんどん数字に惹かれていきました。この頃、ハジュはまだあまり言葉を話していなかったのですが、「これはハチだよ」「これはロクだよ」と教えているうちに、「あち(8)」「おく(6)」と話し始めたんです。なんと、彼の初めての言葉は「ママ」ではなく、数字でした(笑)。Upload By スパ山数字に夢中すぎて心配…ママ友たちから「早くから数字に興味があっていいね!」とうらやましがられることもありました。でも、私は次第に心配を抱えるようになったのです。ハジュの数字への興味は、ただの好奇心を超えて、どんどん深い没頭へと変わっていきました。すると、思いもよらない困りごとが……。世の中には数字があふれているので、外出時は、あらゆる場所で足を止められてしまうようになりました。駐車場、エレベーター、看板……。数字のある場所に吸い寄せられるので、道路の速度表示を見つけて飛び出しそうになることも。青ざめながら慌てて止めた経験も一度や二度ではありません。スーパーに行けば値札に大興奮、ホームセンターではメジャーコーナーに釘付け、駐車場の数字を順番に踏んで進むこだわり。さらに、エレベーターに乗れば、一度最上階から最下階まで行かないと気が済まない。これでは、日常生活がまともに進まないと感じるほどでした。数字というものが、こんなにも日常を支配する存在になるとは想像もしませんでした。Upload By スパ山数字が大好きな長男との毎日を乗り切る方法!ハジュが数字まみれで過ごしていた頃、わが家はカオス状態。次女が生まれ、長女の小学校入学と、目が回るような忙しさでした。でも、目を回している場合ではなかったので、何とかしなければ!と、私は奮闘しました。当時通っていたグループ療育の先生や専門機関に相談したり、インターネットで情報をかき集め、試行錯誤の日々。「これは良さそう」と思ったものは、片っ端から試しました。そんな中、特にハジュに効果的だったのが、残り時間が見えるタイマーとメモ帳でした。例えば、ハジュが数字に夢中になっている時、タイマーで残り時間を見せてあげます。そして、次の予定をメモ帳に絵で描いて「ほら、次はこれだよ」と伝える。数字好きのハジュにとって、時間も数字の一部だからか、タイマーには全く抵抗がありませんでした。むしろ、タイマーを見て納得して動いてくれるのです。もちろん、外出先にタイマーを持っていくのを忘れることもあります。そんな時のために、スマートフォンにも見えるタイマーのアプリをインストール!「あ、忘れた!」と思っても、スマホさえあれば何とかなります。今思えば、数字が好きなハジュだからこそ、時間も数字で管理するというのは、彼にピッタリの方法でした。Upload By スパ山どうしても譲れない時もある現在小学4年生になったハジュは、今でも数字が大好きです。愛読書は、3歳上の姉の数学の教科書。ゲームに夢中になってもおかしくない年頃ですが、ハジュはむしろ、算数ドリルに夢中です。こう聞くと、まるで勉強好きな秀才のように思われるかもしれませんが、実際は少し違います。彼が得意なのは、あくまで「算数」だけ。ほかの教科に対しては、あまり興味がないようです。それでも、ハジュにとって算数は特別なもの。問題が解ける喜びを感じる一方で、どうしても解けない問題が出てくると、時には癇癪を起こしてしまうこともあります。さらに、もっとドリルをやりたい!と要求がエスカレートし、こちらの予定を伝えても聞き入れてもらえないことも……。そんな時は、私も腹をくくって、彼が納得するまで付き合うことにしています。夜遅くまで問題を解いていることもありましたが、算数に対する熱意を発散させることも、彼にとっては大切な時間だと思っています。Upload By スパ山普段から頑張っているハジュだからこそ、この「算数熱」が彼自身のバランスを保つ手助けになっているのかもしれません。親として、その熱を尊重しつつも、少しずつ上手に付き合っていく方法を見つけていきたいと思っています。執筆/スパ山(監修:新美先生より)自閉スペクトラム症の特性の一つに興味の偏り、興味あるものへの没頭というのがあります。ハジュくんの数字への興味、算数熱について聞かせてくださりありがとうございます。パパ、ママよりも数字から話し始めるとは、筋金入りの数字オタクですね!!!飽きることのない数字への興味が算数熱につながったのですね。ゲームより算数の問題を解くほうが楽しいなんて羨ましく感じてしまいます。この、興味の偏りの向きは、なかなか周りがコントロールできないものですよね。算数が好きになってほしいとか英語が好きになってほしいといくら思っても、周りの思うようにはならないものです。興味がありすぎてそこから離れられずに危険だったり大変だったりすることもありますが、例えばハジュくんがタイマーで時間管理をしたように……興味の偏りをうまくつかって日常を回しつつ、好きなことをとことん楽しむ時間も十分に確保して楽しんでもらうことが生活の安定につながりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月12日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶUpload By 発達ナビ編集部2022年に国連から日本へと推進が通達され、大きな注目を集めているインクルーシブ教育。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで、推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第5回は、江東区家庭教育支援チーム、通称「江東もっく」の本田和恵さんにお話を伺いました。地域の特性を活かした「木育」プログラム――本日はよろしくお願いします。まずは、本田さんが代表を務める江東区家庭教育支援チーム、「江東もっく」のことから伺えればと思います。江東もっくがスタートしたのは、令和2年。江東区でも、家庭と地域や学校をつなぐ「家庭教育支援チーム」を設置しようという声が上がったのが、最初のきっかけです。家庭教育支援チームとは、子育て経験者や元教員やPTAなど、地域のさまざまな人や専門家によって構成されるボランティア団体。文部科学省の認可を受け、子育ての相談にのったり、親子で参加できる講座やワークショップ、地域の情報の提供などを行うものです。ただ、当時は家庭教育支援チームといっても、まだあまり知られていなくて、設立当初は本当に手探りの運営でしたね。――江東もっくは、「木育」を取り入れているのが、大きな特徴ですね。このアイデアは設立当初から?江東区は、江戸時代から材木業で栄えたという歴史を持ちます。木のある街の家庭教育支援なんだから、「木育」も入れよう、ということで、ここはすんなり決まったんです。江東もっくには3つのルームがあって、そのうちの1つが木育の部屋。「もっくプレイルーム」という名で、子どもが木を使って遊び、学べるルームです。――木の香りがいいですね。気持ちが落ち着きますよね。大人もリラックスできます。やすりをかけただけのなんでもない木でも、いろんな形のものを並べたり、積み上げたりするだけで、子どもたちは楽しそう。子どもたちの感覚を育てるのにも、いい影響があると感じています。保護者にも子どもと離れてリラックスする時間を――設立当初は手探りの運営だったということですが、苦労されたことがあれば教えてください。まず、立ち上げの時期はコロナ禍でしたから、「誰も来ない」なんてことも多かったですね。ただ、私たちのメンバーには、保育士、保健師、手話の先生、元校長や保護士、それから不登校の子どもを育ててきたお母さん、本当にさまざまなバックグラウンドを持った人が集まっています。いろんな人がいるからこそ、誰がきても大丈夫。みんなでアイデアを出し合い、手話のワークショップ、就学相談など、少しずつプログラムを決めていきました。――プログラムなどを決めていくなかで、本田さんがいちばん大切にされていたことはなんですか?私自身も子どもに発達障害があり、不登校になった時期も経験しています。子育て中のお父さん、お母さんが、休める場所を作りたいという思いはずっと強くありましたね。とくに障害のあるお子さんを持つと、子どもから片時も目を離せない、という保護者が多い。でも、親にとっても、自分の時間を持つことって大事なんですね。いい意味で、子どものことを忘れられる時間が必要だと思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――確かに、親になると子ども中心で、自分の時間はなかなかとりにくいですね。たとえば、今日は「おしゃべりハンドメイドの会」といって、おしゃべりしながらハンドメイド作品を作るワークショップを開催しました。参加したお母さんたちは、みんな途中から真剣に黙々と作業されていましたね。「久しぶりにこんなに1人で集中しました」という感想もいただきました。それこそが、私たちが大切にしたいこと。だから、「悩み相談」みたいなことはあまり掲げていないんです。――お悩みへのアドバイスなどもしない?ええ。アドバイスというより、ただお話を聞く。でも、ひとときでも子どもと離れる時間が、何よりのリフレッシュになるんだと思います。手を動かしながら夢中になって、可愛い作品を制作して。そういうことって、なかなか家庭ではできないですから。――お母さん、お父さんと離れられない子も、ここではすぐに慣れて遊び始めるそうですね。今日来ていた男の子も、最初は恥ずかしがっていましたけれど、もうあっという間に走り始めましたね。私たちはあまり声をかけず、子どもが自然に興味を持ったもので遊ぶ、というのがいいなと感じています。続けることで「場」が認知される――「保護者の支援の場を作る」ということも、江東もっくの活動の大きな目的ですね。保護者同士のつながりを作ったり、支援を推進するために必要なことはなんでしょう?まずひとつは、「続ける」ということでしょうか。私たちにも「誰も人が来ない」という時期がありましたが、「何のために活動しているのか」というところから、何度も話し合いをしました。対象年齢を区切ったほうがいいのではないか、という案も出ましたね。でも、やはり年齢や、障害の有無などでボーダーを作りたくない、というのが結論。いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい。喋っても喋らなくてもいい。そういう自由な場所にしたいな、と思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――続けていくためのポイントはなんですか?やはり助成金の話なども知っておく必要がありますね。「お金がない」で終わってしまってはもったいないです。私たちも補助金を受けられるようになったので、利用者の方から参加費をいただかなくても運営できるようになりました。メンバーには教育関係の専門家も多く、運営についての情報収集もみんなでできるのは心強いです。それから、この場所があるということもポイント。「今週もあるよね」って来てくれる利用者さんも多いんですよ。――メンバーのみなさんは、どのようなつながりでチームに参加されることになったのですか?元校長のつながり、PTA役員をしていた人の紹介など、志を持つ人同士の地域のつながりがベースです。心理カウンセラーの方もいるし、本当に多彩なメンバーです。ひとつ課題をあげるとすれば、メンバーの高齢化かな(笑)。IT関係はみなさんちょっと苦手なので、SNSの発信などは私が一人で担当しています。PTA活動から始まった脱・孤育ての取り組み――江東もっくが掲げる「脱・孤育て」というフレーズにも大変共感します!私が子育て中、PTA活動をしていたときから、「脱・孤育て」という言葉を使っていたんです。PTA活動って、忙しい保護者には敬遠されがちな面もあるかと思いますが、学年をまたいだ交流ができるから、本当にいろいろな情報交換ができるんです。子育ての悩みや経験談なども話せて、私自身もPTAで孤独な子育てを抜け出せた一人です。これをもっと広げていきたいな、というのが江東もっくの思いです。――そもそも本田さんがPTA活動に取り組もうと思われたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?子どもが1年生のときに「もしかして発達障害かな?」と、気になる様子が見えるようになったんですね。私はせっかちなのですぐに病院に行ったところ、診断が出ました。理由がわかれば、あとは対策をするだけ。学校生活が送りやすいようにと先生に相談をしたのですが、当時はまだ合理的配慮という言葉も知られていないし、先生の理解も得られなかったんです。子どもも学校に行けなくなってしまって。――まだインクルーシブ教育という概念もない頃ですね。そうなんです。でも、子どもがまた学校に通うには、学校全体で理解を深めてもらう必要がある、と痛感して。学校にいろいろお願いするなら、自分もできることをしなきゃいけない。それに親である私が、学校のことを何も知らないのではダメだな、とも考えました。それまでPTAへの興味はまったくなかったのですが、180度転換!PTA会長まで務めることになりました。――学校と話を進めるなかで、最も大変だったのはどんなことですか?人それぞれに考え方が違うことですね。わが子の障害を認めたくない、という保護者の方もいる。「障害=できない子」ではなくて、親や学校がちょっと動いてあげれば楽になる、生きやすくなることがたくさんあります。でも、なかなかそれが理解されないハードルは感じていました。だから、脱・孤育てにもつながりますが、保護者教育が大切なのではないか、と思うんです。Upload 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発達ナビ編集部――保護者の方が情報を得られる場所が必要だ、ということですね。その通りです。孤独に子育てをしていると、なかなか情報も入ってこないし、一人で抱え込んで親子共に苦しくなってしまう。――PTA活動をするなかで、手応えを感じたエピソードがありましたら教えてください。子どもが不登校になる前に、担任の先生とうまく話し合いができないことがありました。それで、学校の全クラスの授業を見学したんです。そうすると、「もっとこうしたらいいのではないか」という点がたくさん見えたんですね。それをまとめて、校長先生に渡しました。すると、ガラッと学校全体の授業が変わったんです。校長先生がちゃんと向き合ってくれて、先生も研鑽をしてくださったんだな、と。――全クラスの授業を見学するのは、それだけでも大変ですよね。そのモチベーションはどこから?元々はわが子のためですが、学校に入ってみると困っている子がたくさんいることを目の当たりにして。そしたら、自分の子だけでなく、すべての子にとっていい環境になればいいな、と思うようになりました。どうせやるなら、みんなのために、という感じですね(笑)。アートで人々をつなぐ「アートパラ深川」――アートパラ深川の取り組みについても、教えてください。江東区には、東京オリンピック・パラリンピックの会場がたくさんありました。それで、アートのパラリンピックを江東区でやろう、東京工芸大学の教授が中心となって立ち上げたのが、「アートパラ深川」です。私は、最初の年はボランティアで、翌年から実行委員会のメンバーに加入しました。――多忙ななか、実行委員として参画することにした決め手はなんですか?やはり作品のすばらしさです。美術館でシーンと黙って鑑賞するのではなく、コミュニケーションを大切に、おしゃべりをしながらアートに触れられるのがアートパラ深川。観に来られたアーティストの皆さんと話をすると、本当にその内容がおもしろくて。全国公募をするのですが、全国から集まる作品を最初に拝見できる感動も実行委員の醍醐味です。――すてきですね。街を歩くように、おしゃべりしながらアートを観られるんですね。はい、深川の街中を美術館にしようという試みですから。今年で5回目を迎え、認知度も上がってきました。『共に生きる』社会をめざすという趣旨に賛同して協力してくださる企業も増えています。多様な人々が当たり前に共に暮らす社会へ――江東もっく、PTA活動、アートパラ深川、どの活動にも共通する本田さんの教育観についても教えてください。アートパラ深川のコンセプトは、共生社会。ただ、残念ながら、現在の社会のあり方はまったく共生社会にはなっていない。口で言うのは簡単ですが、どう実現していくかですよね。学校も、特別支援学級と通常学級って分断されていて、もっと一緒にやる機会を増やすべきだということは、ずっと言い続けてきました。障害のある子もない子も一緒にいるのが当たり前の環境だったら、特別扱いもしないし、どういう助けをしてあげたらいいかが自然に身につくはずです。大阪でも実践している学校がありますね。――『みんなの学校』という映画にもなった、大阪市立大空小学校ですね。ええ。実現できている学校もある。でも、多くの場合、学校でも社会でも分断されてしまっているから、たとえば親切のつもりで車椅子に勝手に押してしまったりするようなことが起こるんです。車椅子って、その人にとっては体の一部のようなもの。急に体に触られたら誰だっていやですよね、そういうことが想像できなくなってしまう。――どういう手助けが必要なのかわからない、ということは多いと思います。なんでも手助けすればいいわけではなくて、必要なのは心配りなんだと思うんですよね。多様な人々が当たり前に共生する社会の実現のために、共に生きる場をもっともっと増やしていかなければ、と思います。Upload By 発達ナビ編集部――本日はありがとうございました!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月11日こだわり強めのASD(自閉スペクトラム症)小5息子、怒ると「出ていく!こんな世界嫌だ!」と癇癪現在小学校5年生の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けています。基本的には優しい性格で、車が大好きです。ただ、許容範囲が狭めで、怒ると大きい声で「出ていく!こんな世界嫌だ!」と言うなど、癇癪が出てしまいます。また、マイルール=こだわりが強いという面があります。例えば『宿題をしなくてはならない』という、一見(それならいいことなのでは?)と思えるようなマイルールがあるのですが、これは体調不良でも、疲れていても眠くても、絶対に絶対にやらなければならないと決めているので厄介です。宿題がどうしてもできない……となると怒ってしまい、どうにもなりません。「具合が悪いときはやらなくていいんだよ。やめていいんだよ」と説得しても聞いてくれず、大変です。また、学校では勝ちにこだわり、負けたらその後の授業に参加ができず、教室にこもってしまうこともあります。Upload By ユーザー体験談そんな息子は、幼稚園の頃からスクールバス通学。バスが好きなのでそれはいいのですが、つい先日、このバス通学に対して息子のこだわりが出て、トラブルがおこりました。「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」突然玄関から聞こえた声息子は、朝ごはんをのんびり食べがちです。そしてもうすぐバスの時間だと大急ぎで準備をして、時間ギリギリセーフ!が日課なのですが、その日は余裕でごはんを食べ終わり、私は「今日はせかさなくてもいいわ~、良かった~♪」と思っていました。そして登校準備を済ませた息子が玄関を出た時のことです。「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」と、突然息子が大声で怒鳴り散らす声が聞こえてきたのです。機嫌が良かったのに、何事!?私は慌てて息子の様子を見ました。Upload By ユーザー体験談興奮して、肩で息をしている状態の息子。タブレット、ランドセルを投げて……わが家の前には道路があり、その道路の反対側にバス停があります。扉を開ければバス停が見えるのですが、その時バスが定刻より早く着いていたのです。どうやら『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というマイルールがあったようで、バスが見えた瞬間、息子はパニックになってしまったのでした。息子はすぐ室内に引き返し、手に持っていたタブレットをクッションの上に、そしてランドセルも床に投げました。とても興奮して、肩で息をしている状態です。室内にいた幼稚園年長の妹は、兄の怒鳴り声を聞きいて両耳を両手で押さえていました。妹は兄が癇癪を起こす様子は見慣れているものの、少し怯えていましたので、私は妹を抱きしめ「大丈夫だよ。バスが早く来てたから怒っちゃったみたい」と伝えました。その後私は運転手さんのところへ向かい、今日はバスに乗りませんと話しました。バスに乗っていたほかの児童や運転手さんは、何事なのか不思議そうにこちらを見ていました。きっとバスの中でも息子の怒鳴り声が聞こえていたと思います。申し訳ないやらいたたまれないやら……なんとも言えない気持ちでした。「行きたい」「でもやだ」「こわい」独り言を言う息子。でも、自分で立て直そうとする姿に感動リビングで怒っていた息子に対して私は「学校行かなくてもいいよ。休んだら?」とだけ言って、あとは何も声をかけずクールダウンするのを待ちました。こんな時にさらに声をかけると、どんどんヒートアップしてしまうからです。私は(仕事は遅刻確定だな……)と諦めました。息子はしばらく突っ伏したり、うろうろしたりしていました。そして、「行きたい」「でもやだ」「こわい」と独り言をぶつぶつ。怒りでいっぱいだった気持ちが弱くなり、そして自ら深呼吸をして自分を落ち着けているようでした。Upload By ユーザー体験談その後息子は「学校へ連れていって」と自分から私に言ってきました。私は「分かった」と車で息子を学校へ連れていきました。今までは一緒に昇降口まで行き、担任の先生に迎えにきてもらって教室に行っていた息子でしたが、今回は「一人で大丈夫」と、車から降りて一人で昇降口へ入って行きました。こだわりから癇癪を起こしてしまったけれど、その後自分でクールダウンして、一人で学校へ入って行った息子の後ろ姿を見た私は、(小さい頃はこんな風に一人で落ち着けなかったのに……まだ困ったことはあるけれど、息子はどんどん成長しているんだな。すごいな)と、とてもとても感動しました。Upload By ユーザー体験談そういえば、最近は勝ちへのこだわりも少なくなり、応援したりできる場面も増えたように思えます。いつも気持ちを立て直すことができるとは限りませんが「まぁいっか!」と思えることがどんどん増えていってくれればこんなに嬉しいことはありません。『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というこだわりが出て今回はパニックになってしまいましたが、こういうことも今後は少しずつ減っていくのかもしれないなと思った出来事でした。イラスト/星河ばよ※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:井上先生より)投稿者の方も書いていらっしゃるように、思わぬ癇癪というものは100%防ぎきることはできません。ですが、なってしまったあとに親御さんも冷静に対処して、ご本人も一人で時間をかけながら落ち着くことができて本当によかったと思います。こうした経験を積み重ねていくことによって、イレギュラーなことに対しても少しずつ対応できるようになっていくことでしょう。年齢を重ねていく中で、一人で落ち着けるスキルを身に付けていけるといいですね。日々の出来事の中では大変なこともありますが、少し長い目でも見ながら子育てしていけるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月10日発達障害のある娘の1人行動。どこまで許可したらいいの?タイミングは?広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学2年生。現在娘は、歩いていける場所、道が分かる場所であれば、1人で外出します。また、何度も行ったことのあるショッピングセンターでは、家族と別行動して、1人で買い物もします。Upload By SAKURA発達障害あるなしに関わらず、子どもの1人行動をどこまで許可するかというのは、親にとって悩みどころ。許可する年齢や、範囲は家庭によってさまざまです。特に発達障害がある子の場合、特性の内容も違うため、年齢では判断できません。今回は、娘がいつ、どのタイミングで、どれくらいの1人行動をするようになったかの話をしたいと思います。娘は、小学校に入学した当初、登下校にスクールバスを利用していました。バスが止まる場所は、家から徒歩10分ぐらいのところだったので、1人で歩けるようにと付き添い、練習したのですが……。Upload By SAKURA何か注意を引かれるものがあると、止まってしまったり、前を見ず歩いたりするため、朝はバスの乗り遅れを防ぐため、1人で行かせることを断念しました。そのうちに、長男が保育園に通うことになったため、朝は2人一緒に学校に送ることになりました。スクールバスは帰りのみの利用になりましたが、それでも私の心配はつきませんでした。まず、無事にバスに乗れるかが心配でした。もし、乗り遅れたとしたら、それは娘にとって不測の事態です。娘は、小さな頃から、予測不能の事態が苦手。パニックを起こしていないか、どうしていいか分からないのに、誰にも助けを求めず、その場に一人佇んでいないか、私はとにかく不安でした。Upload By SAKURAバスに乗れたとしても、その先も心配でした。バスから降りる場所は、家のすぐそばで、徒歩2、3分でしたが、それでも私は気が気ではありませんでした。バスの時間は正確ではなく、10~20分遅れることもありましたが、私は家の前の道まで出て、バスをずっと待っていました。そのうち娘が、Upload By SAKURA私が待っていることを嫌がるようになりました。本心を言えば……無理に決まってる!ですが……せっかく娘に自立する心が芽生えているのに無視するのはよくないと思い、Upload By SAKURA次の日から、隠れて娘を見守り、何も知らなかったふりして、娘を褒めるというパターンになりました。そのうち、娘が少しずつ周りを見るようになったことに気がつき、これなら、1人で大丈夫かも……と思えるようになり、こっそり見に行くのをやめました。小学2年生からは、短時間の留守番を頼むように小学2年生からは、放課後等デイサービスの利用が始まり、朝は私が車で送り、帰りは放課後等デイサービスの送迎があったため、1人で歩くことはなくなりました。この頃から私たちは娘に、短時間の留守番を頼むようになりました。Upload By SAKURA誰か来ても、例え知っている人でも鍵を開けないことを約束させ、20分、30分、40分と留守番の時間を増やしていきました。小学4年生になる頃、数時間の留守番ができるようになっていたので、夫の提案で、1人外出の練習を始めることになりました。Upload By SAKURA最初は、近所の自動販売機まで。思った以上に娘はノリノリで、喜んで1人で出発しましたが、待つ間、私はソワソワしっぱなしでした。Upload By SAKURA鬱陶しいほどに心配し、夫は呆れていました。片道15分ぐらいの道だったので、娘は30分ちょっとで帰宅しました。Upload By SAKURAこのおつかいを、私は今でも忘れません。娘の成長を感じた瞬間でした。おつかいをきっかけに、増えていった娘の行動範囲そのおつかいをきっかけに、娘の行動範囲は増えていきました。学校への迎えが遅くなる時、学校に近いおばあちゃんの家まで歩いたり……近所のコンビニまで行ったり……ショッピングセンターで別行動したり……時間を決めて、お店で待ち合わせしたり……回数を重ねるたび、私の娘に対する心配度は減っていきました。中学2年生の今は、1人行動の心配もほとんどありませんし、丸一日の留守番も、安心して任せることができます。留守番中、家事もこなしてくれるので、とても助かっています。Upload By SAKURA私たちが住んでいる沖縄県は、電車がなく、家は田舎でバスの本数も少ないため、公共の交通機関を使って、1人で行動したことはまだありません。しかし娘も、もう1年半ほどで、高校生。高校生になると、公共機関のバスを使って学校に通うことになります。まだ1人でのバスは未経験なので、中学生のうちに練習したいと思っています。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)スモールステップで少しずつ一人でお留守番したり外出したりする練習をされたことと、それを始められるタイミングもお子さんの気持ちを尊重されたのが良かったと思います。一人での外出を何歳から始めるかはお子さんの状態やご家庭の事情だけでなくその地域の環境も関係してきます。特に女の子の場合は、夜道や人通りの少ない道を避ける、携帯電話などで通話をしているふりをして通り過ぎるなど、時間帯や道順などにもルールを決めて進めていくことが大切だと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月09日自閉スペクトラム症の弟と暮らす兄、謎の少年が織りなすヒューマンサスペンス!TBS系金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」10月11日(金)スタートUpload By 発達ナビニュースTBSドラマ初主演の柳楽優弥さん、今注目の若手俳優・坂東龍汰さんの初共演が話題のTBS系金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」が10月11日(金)よりスタートします。小森洸人(柳楽優弥さん)は、市役所で働く真面目な心優しい青年。両親を事故で亡くした後、ASD(自閉スペクトラム症)の弟・美路人(坂東龍汰さん)と共に暮らしています。変化が苦手でイレギュラーな出来事への対応が難しい美路人に合わせて、洸人も日々決まったルーティーンの中で平穏に過ごしていましたが、「ライオン」と名乗る謎の男の子と出会ったことをきっかけに、2人は“ある事件”に巻き込まれて……というストーリー。本作は兄弟の絆や繋がりを描くヒューマンドラマでありながら、先が読めない展開でサスペンス的要素もある完全オリジナルドラマです。脚本は、火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』や『おっさんずラブ』シリーズを手掛けた徳尾浩司さん、そして今回が連続ドラマデビュー作となる一戸慶乃さんが共同で担当します。きょうだいの前に突然現れた男の子「ライオン」は何者なのか、いったい誰が、なぜ彼をおいていったのか?戸惑いつつも徐々にライオンを受け入れていく中で、洸人と美路人の関係性にも変化が……?どんな境遇にあっても「大切なものを守りたい」と願う人々の、家族愛にあふれたドラマをぜひご覧ください。【詳細】放送予定:2024年10月11日(金)スタート(毎週金曜22:00放送)脚本:徳尾浩司、一戸慶乃出演:柳楽優弥、坂東龍汰齋藤飛鳥、佐藤大空、柿澤勇人、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、桜井ユキ、岡山天音/でんでん、向井理 ほか※クリックすると、発達ナビのWebサイトからTBSテレビのWebサイト 金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」ページに遷移します。フリースクール運営NPO法人・見晴台学園「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」10月12日(土)~13日(日)愛知県立大学長久手キャンパスにて開催Upload By 発達ナビニュース愛知県名古屋市でフリースクールなどを運営する「見晴台学園」は、LD・SLD(限局性学習症)の子どもの父母による”手づくり教育”の先駆けとして、1990年に無認可の5年制の「高校」から始まりました。その後NPO法人となり、卒業後の生活・自立をサポートする「自立支援センターるっく」を開始、2013年10月にはさらなる学びの場として「NPO法人見晴台学園大学」を開校しました。この度開催される「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」は、2023年の見晴台学園大学創立10周年、そして第32回「ペスタロッチー教育賞」受賞を記念して、洲崎福祉財団助成事業として企画されたものです。※「ペスタロッチー教育賞」は、広島大学などにより、毎年優れた教育を行っている人や団体に、スイスの教育思想家「ペスタロッチー」にちなんで贈られている賞です。2日間にわたって行われるイベントのオープニングを飾るのは、海洋ゴミで楽器をつくる“海洋ゴミ楽器集団”「ゴミンゾク」によるバリアフリーコンサート。その後も、全国各地で先駆的な活動を行っている方々によるシンポジウムや、ワークショップ「聞いて、食べて、体験してきゃ~!名古屋名物“青柳ういろう”を深堀り」、見晴台学園大学10周年記念の実践報告など、気になるプログラムが満載です。障害のある青年たちの「大学教育」「社会参加」「自己実現」といった、豊かな人生のあり方について知見を深めると共に、さまざまな立場の方と交流し、コミュニティを広げる機会です。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【詳細】開催場所:愛知県立大学長久手キャンパス開催日時:2024年10月12日(土)~13日(日)参加費用:一般3000円(当日受付は+500円)障害者・学生無料(ただし大学院生は含まず)Upload By 発達ナビニュース※クリックすると、発達ナビのWebサイトからPeatixのWebサイト「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」ページに遷移します。産官学の体験型コンテンツを多数展示!「みんなの脳世界2024~超多様~」10月12日(土)~13日(日)開催Upload By 発達ナビニュース最近よく聞く「ニューロダイバーシティ」という言葉。経済産業省のWebサイトによると以下のように定義されています。ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念でもあります。個人の特性の違いを尊重しながら、一人ひとりがそれぞれの場所で各々の「ちから」を発揮できる社会の構築を目指して発足した「ニューロダイバーシティプロジェクト」。その取り組みの一つとして開催されるイベント「ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGE TOMORROW-」の中で、「みんなの脳世界2024~超多様~」の体験型展示が10月12日(土)・13日(日)に行われます。本展示では、5つの展示エリア(多様な世界・多彩な世界・個の拡張・環境の調整・社会の創造)を巡りながら、私たちは「個人」と「環境」の相互作用で構成されている「脳世界」に生きていること、私たちは「超多様」な存在なのだということを、さまざまなアプローチから体験することができます。例えば、「多様な世界」エリアでは、実際に脳波計を付けて画像を見て、画像のどの要素に着目していたのかを脳波で捉える「あなたのモノの見方」、「多彩な五感」エリアでは、ASD(自閉スペクトラム症)の方に多く見られる感覚過敏が体験できる「ASD知覚体験シミュレータ」などがあります。「個の拡張」エリアでは、色覚特性を持つ人の色覚補助ツールや多様な色の見え方を体験できる「色のめがね・色のシミュレータ」、「環境の調整」エリアでは、環境の変化が個人の強みや弱みにどのように影響するのか、”ちょっと変わった三輪車”で体感できる「環境によって変わるってどういうこと?」などがあります。また、「社会の創造」エリアでは、お子さまを特性から理解する「LITALICO発達特性検査」の展示もしていますよ。Upload By 発達ナビニュースたくさんの展示の体験を楽しみながら、ニューロダイバーシティへの理解を深めるきっかけにしてはいかがでしょうか。日時:2024年10月12日(土)~13日(日)11:00〜17:00場所:東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー1 階ポートホール 東京都港区海岸 1-7-1入場料:無料 「ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGE TOMORROW-」内で開催※クリックすると、発達ナビのWebサイトから「みんなの脳世界2024~超多様~」のWebサイトに遷移します。映画『まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~』10月18日(金)より公開!レジェンド声優11人が歌うエンディング曲「Get in touch!」もUpload By 発達ナビニュース一般社団法人Get in touchのエンターテイメント集団「まぜこぜ一座」による映画「まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~」が、10月18日(金)より全国の劇場で公開されます。一般社団法人Get in touchは、誰も排除しない「まぜこぜの社会」をめざし、2011年に俳優の東ちづるさんらが中心となり活動をスタートしました。2017年には、車椅子ダンサー、全盲のシンガーソングライター、義足のダンサー、ドラァグクイーン、こびとレスラーなど、多様なパフォーマーからなる「まぜこぜ一座」を旗揚げ。今回公開される映画は、「まぜこぜ一座」の舞台『歌雪姫と七人のこびとーず』の公演後に起きた座長・東ちづる殺人事件をドラマチックに描いたサスペンス仕立てのストーリー。事件の真相に迫るうちに見えてきた劇団員たちの不満と本音、果たして犯人はーー。笑いと涙、極上のエンターテイメントの背後にあるメッセージに、観た後はモヤモヤしてしまうかも!?ほとんどの俳優が本人役で出演するというユニークな設定の映画本編はもちろん、三ツ矢雄二さん、山寺宏一さん、日髙のり子さんほか11人の超豪華声優陣が無償ボランティアとして参加したエンディングテーマソング「Get in touch!」も必聴です!Upload By 発達ナビニュース【詳細】映画「まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~」10月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森他、全国順次公開監督:齋藤雄基企画・プロデューサー:東ちづる脚本:エスムラルダ出演:東ちづる、大橋弘枝、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以 / 石井正則、芋洗坂係長、山野海※クリックすると、発達ナビのWebサイトから映画『まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~』のWebサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月09日自閉症中2息子、将来なりたいものはある?Upload By かなしろにゃんこ。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の息子リュウ太は小さい時から電車と車が大好きで、その話ばかりしているような子どもでした。中学2年生の秋に「来年度は進路を決めることになるけど、何かやりたいことあるの?」と聞いてみると「将来は、鉄道関係か車業界の仕事がしたいかな~」と言いました。ちょうどオープンスクールの時期だったこともあり、見学を兼ねて行ってみることにしました。Upload By かなしろにゃんこ。向かったのは、自宅から電車で40分、都心にある私立の高校です。見学した当時、普通科と鉄道の運輸科、自動車の整備を学ぶ機械科の3つの科がありました。その高校のオープンスクールでは、学生が作るお好み焼きや焼きそばやなどの屋台があって、老若男女さまざまな人が集い、楽しい雰囲気でした。運輸科では鉄道サービスを学ぶカリキュラムについて、機械科では自動車の仕組みをじっくり学んでいくカリキュラムについてなど、生徒の方々が丁寧に説明してくれました。実際に授業で使っている機械や道具、教室も見ることができました。Upload By かなしろにゃんこ。「もうすぐ受験なんだから」「勉強しないと!」と言われてもピンと来ていなかったオープンスクールがきっかけとなりリュウ太は進路を真剣に考えるようになったのですが、数年後にこの時どう思っていたのか本人に聞いてみました。リュウ太は「オープンスクールスクールに行く前は『もうすぐ高校受験なんだから進路を決めないと』『将来やりたいことはなに?』『受験に向けて本腰入れて勉強しないと!』とか親に言われても全くピンときてなかった。『受験』そのものがイメージできなくて、その時期が来たら流されるままになんとかするんだろうな、くらいにしか考えていなくて。まず受験って何をするのか、どんなことが待っているのかも分からないのに親が勝手に騒ぎすぎ!受験なんて経験していないから本当にリアルに感じられなかった」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そして「オープンスクールに行って学校見学をして『自分も進学したらこんな風になるのかな』とビジョンが見えたよ。興味がある学科とか学校を体感することで高校で何をやりたいか考えることができたかもしれない」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。そうなんだ、体験していないことを親が先回りして受験だからとアレコレ勉強しろと伝えても子どもって何も分からなかったし、感じてなかったのか!とこのとき初めて分かりました。そして、言葉よりも経験が必要だったのねとも思いました。中学2年生でオープンスクールで学校を見に行ったのは思いつきからの行動でしたが、もっと早くからほかにも学校見学をしていたら意識が変わって、何か違う道も開いたかもしれませんね。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、オープンスクールで見学した高校に進学したいと決めますが、成績や提出物などの問題で内申書的に難しく、担任の先生の判断でその学校を受験することを断念。代わりに自動車整備士を目指すための専修学校を目指すことにしました。オープンスクールで行った高校に入学することは叶いませんでしたが、このことがきっかけとなりリュウ太は好きなことを職業にしたいと専修学校に進み、その後その分野で就職もしたので、結果として良かったのかもしれません。オープンスクールでの学校見学は、リュウ太の人生のターニングポイントになっていたのかな?と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くんの進路選択における学校見学のエピソードをありがとうございます。大人になったリュウ太くんが言っていましたが、子ども本人にとって、「高校」「受験」「進路」「そのための勉強」など、あまりピンとこないものです。場合によっては、必要以上に恐ろしいものと受け止めてしまう場合もあります。まずは、高校というものがイメージできない場合もありますので、まさに百聞は一見に如かず、実際に高校へ行ってみたことが良かったと思います。また、本人の興味関心のある学科・コースがあったり、入りたい部活があったりするところから行ってみたのもすばらしいですね。遠出が苦手なお子さんは近くの(頑張ったら入れそうな)高校から見に行くのでもいいと思います(興味もそんなにないのに遠くの学校に行ってしまうと、緊張と疲れで“高校”全てについていい印象から遠ざかってしまう可能性もあります)。実際には、はじめに見学に行った高校には進学しなかったようですが、そういう場合もあると思います。「ここにする!」と決めきらずに、要素として見ていく(好きな学科がある、近い、入りたい部活がある、制服が素敵など)中で、次なる候補も複数見ておけると良さそうです。秋は文化祭や体育祭など、公開される行事も多い時期。ぜひ親子で見に行ってみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月08日わが子を中心に学級崩壊?環境が変わり、席に座っていることが困難に……小3になり、コチ丸は授業をおとなしく受けられなくなってきました。新しく担任になった先生は、授業の進め方がやや一方的だったこともあり、ただでさえ興味ないことには無関心なコチ丸は、授業への興味がすっかり薄れてしまったようです。落ち着きのない性格も相まって、じっと座っていることが苦痛になったのだと思います。ある日、担任の先生から呼び出しを受けて学校へ行くと、「コチ丸くんを中心に学級崩壊が始まっている」と言われました。授業を座って受けていられないコチ丸は、授業中に教室内を歩いたり、担任の先生が授業をしている横で、教卓の上に腰掛けたりとやりたい放題で、ほかの子どもたちもつられて落ち着きがなくなってきているとのことでした。Upload By あき学校には発達障害の診断が出たことは伝えていましたが、小さな学校で特別支援学級の設置はなく、通級指導教室などの仕組みもまだ整っておらず、担任の先生は「コチ丸くんにおとなしくしてもらうしか方法がない」の一点張りでした。このままではらちが明かない!と思った私は、県の教育委員会に直接電話して現状を伝えました。すると、翌日には市に話がいき、小学校に伝わったのか、すぐに校長先生と面談をすることになりました。母子家庭の中で、コチ丸にとっても私にとっても大きかった祖父の存在その後は頻繁に学校から連絡をもらうようになり、担任の先生と校長先生とコチ丸と私で話し合いをしました。「席を立ちたい時は先生に断ってから行く」「授業1時間のうち、〇分以上は席に座る」など、ルールを決めて授業を受けるという話し合いを行いましたが、毎回守れるのは数回だけ。下手したら一度も守られることはないまま、コチ丸は教室を出ていったり歩き回ったりしてまた呼び出しを受ける……そんな繰り返しでした。学校が面白くなくなってきたコチ丸は休むことも増えていきました。実家には私の祖父が一日中家にいたので、コチ丸は祖父に面倒を見てもらっていました。祖父は昔ながらの考え方の人だったので、コチ丸が学校に行かないことを随分と心配していました。同時に、母子家庭で育ったコチ丸にとって同性の祖父の存在は大きく、祖父のことをとても慕っていました。祖父はコチ丸が中学に入った年の夏に亡くなりましたが、最後までコチ丸が学校に通えないことを案じていたように思います。コチ丸は中3になる頃には欠席もなく学校に通えるようになり、さらに生徒会長も務め上げて中学を卒業したので、あと数年生きてくれていたら自信に溢れたコチ丸の姿を祖父に見せることができたのにと思うと、今も心残りです。Upload By あき体育館で昼寝!図書館におこもり!マイペースな学校生活小4になったコチ丸は、学校に行かない日もありましたが、学校に行ったら行ったで教室を抜け出し、体育館で眠っていたり、図書館に入って本を読み漁ったり……校内を縦横無尽に歩き回って自由気ままに生活していました。この年に、学校内に特別支援学級ができましたが、コチ丸は友達の手前、特別支援学級に行くのは抵抗があったようで、所属することはありませんでした。ただフラフラと校内を歩いていると、たまに特別支援学級の先生に声をかけてもらい、ちょっとした手伝いをしたりしていたようです。またこの時期、地元の放課後等デイサービスを土曜日だけ利用してみたこともありました。当時は今ほど放課後等デイサービスも多くなく、市の外れにある田舎の学校に送迎してくれる施設もありませんでした。平日フルタイムで働いている私としては、土曜日だけでもSSTなどを受けられるなら……と思って何度か通ってみましたが、この放課後等デイサービスでは期待していたような支援を受けることはできず、私もコチ丸もそこに通い続ける理由を見つけられなかったので辞めてしまいました。何を尊重するのか?一か八かで決めた育児方法当時のコチ丸は「やりたいことしかやりたくない」という、一方だけ見たらワガママなような、でも違う視点から見たら発達障害の特徴のような、判断がつけ難い特性を持っていました。宿題は一切やらなかったし、放っておくとゲームは隠れて何時間もやっていたりするし……。叱るところなのかもしれませんが、宿題をやらない、時間割に従わない、学校へ行かない、わが家は全てOKにしました。もちろん、後々のことを考えたら将来の不安もめちゃくちゃありました。しかし、無理をさせてコチ丸が心を壊してしまうほうがつらいという思いと、好きなことだけやっていったら自分の道を見つけられるかもしれないという願いもありました。Upload By あき私がこのような考えに至った理由の一つが、コチ丸の記憶力の高さでした。コチ丸は小学校の図書館の本をほぼ全部読み漁るくらいの読書家で、歴史から生物・天体・化学まで、いろんなことに興味がありました。例えばテレビを見ていて動物が映った時に、私には「鹿か何かの仲間かな?」くらいしか分からないような動物の名前を正しく言え、さらにはその動物の特徴まで全て、テレビの解説よりも先に話してしまうということが多々あり、「頭の中はどうなってるんだ?」と驚かされました。Upload By あきまるで図鑑を読み上げるように一気に正確に話す様子をみると、親バカですが「この子は何か特別なことができるのでは?」と思ってしまい、思い込みの激しい私の性格が災い(?)して、好きなことだけとことんやらせてみよう!と無謀にも思ったのでした(笑)。その後、コチ丸は地元を離れ私立中学へ進む道を決め、中学卒業後は馬の勉強をするため北海道の高校を選び、今はいきいきと学校生活を送っています。中学生になっても「〇〇は……」の「は」と「わ」も区別がつかない、九九もまともに言えないコチ丸に、やはり多少なりとも勉強はさせたほうが良かったのか?と中学を卒業するまではハラハラしていましたが、高校生になった今、自ら勉強をするようになり、成績も上位に入っています。今になって、自分が望む進路には勉強が必要だと悟ったようです。中学受験や趣味のドラムを続ける過程で「自分の好きなことをやるためには、これだけはやらなくてはいけないということが時にはある」と、自然と気づいていったのだと思います。まだ道は半ばですが、今のところありがたいことに、母が伝えたかったことを自ら学んでくれているのかなと実感しています。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)シングルで子育てをされている中で、お子さんが「学校に行きたくない」と言われた時の混乱とショックは大きかったのではないでしょうか。その中で、おじいさんの存在は、お母さまにとってもコチ丸くんにとっても大きかったことと思います。学校の中で障害特性に配慮してもらうことが困難な場合、在宅という選択肢を選ばざるを得ないこともあると思います。子どもが不安定な時期は短期的な視点に陥りがちですが、少し離れた目線から長期的な視野で見守っていくことも大事になります。そういった意味でも、おじいさんのような方が側にいてくださったことは、大きな安心になったのではないでしょうか。同じような状況で悩まれている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、一人で悩まずに、勇気を出して相談できる方をつくっていかれると良いかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月07日『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編が完結。はるき編、みき編のエピローグも公開。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど【2024年9月】読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラムです。今回は2024年9月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。大反響!『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がついに完結。はるき編、みき編のその後を描いたエピローグも必見です。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど、ぜひご覧ください。苗さんの息子さんは特別支援学級に通っている小学校1年生。全領域DQ(発達指数)が境界域です。「夫は息子に関心がないわけではないのですが、息子との絡み方が不得手で……」とパートナーと息子さんとの関係性が悩みの種の苗さん。パートナーへの伝え方など、専門家のアドバイスも参考になりそうです。現在14歳、中学3年生のまんまゆうままさんの娘さん。11歳直前でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。中学校の一時期学校へ行けなくなる事がありましたが今は楽しく通えるようになりました。学校に行く「きっかけ」となった出来事とは一体何なのでしょうか?発達ナビユーザーの体験談をもとにしたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」。みき編の第3話です。ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみき。学校の勉強についていけず自己肯定感は下がり「学校へ行きたくない」というようになりました。その様子を見た母は――。「発達障害の子どもと私たち」みき編の第4話(最終話)です。学校の勉強につまづき、つらい思いをしているみき。保護者とみきは自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望したのですが、判定委員会の結果は「不可」。転学できないと知ったみきは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」と泣きじゃくり……。1話から4話まで、マンガ発達障害の子どもと私たち「みき編」の一気読みはこちらから!発達ナビユーザーの投稿を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けている小学2年生のはるきさんは、今は「元気をためる期間」だと学校へ無理に行くことを辞めました。ASD(自閉スペクトラム症)の小学4年生のみきさんは、通常学級の学習についていけず、知的障害特別支援学級へ転籍しました。 二人はその後、どのように過ごしているのでしょうか?今回はエピローグ、そして中学校、高校進学について専門家からのコメントをお届けします。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月06日学童?放課後等デイサービス?長男の小学校入学を翌年に控えた11月。就学相談の結果、無事に希望が通り、特別支援学級へ就学することが決まりました。ホッとしたのも束の間、次なる悩みが出てきました……。Upload By プクティそれは長男の「放課後の居場所」をどうするか?ということでした。わが家は共働きのため、小学校が終わった後、長男が過ごす場所が必要になります。小学校内に設置されている学童へ通うのか、はたまた放課後等デイサービスを利用するのか……。私たち夫婦はその2択で悩んでいました。児童発達支援センターへ相談自分たちだけでは決めかねたので、児童発達支援センターで相談させていただくことにしました。Upload By プクティ調べてもらうと、わが家から近くて通いやすい場所には、放課後等デイサービスが1つもないということが分かりました。少し遠くになってよいならいくつかあるけれど、どこも人気があるので、すでに満員でキャンセル待ちになる可能性が高いということでした。Upload By プクティ放課後等デイサービスが近くになく、遠いところでもどこも激戦という話を踏まえて、私たちは再び考えました。長男が通うのは特別支援学級だし、やはり通常学級の子たちとの関わりも持ってもらいたいという願いもあり、学童に入ることを決めました!そして学童に通い出し…Upload By プクティ幸い、学童には空きがあり、小学校入学と同時に入ることができました。入学してすぐの時期は学校に慣れることを優先し、放課後に学童は利用せず自宅で過ごしていた長男。私も長男に合わせ仕事量を減らし、帰宅した長男に学校の様子を聞いたり、宿題を見てあげたりしていました。そして特別支援学級に通い出して1ヶ月経ち慣れてきた頃、まずは様子を見るため1時間から学童の利用を始めました。学童への引き渡しは学校側で行ってもらえるということでしたが、初めての日は特別支援学級の担任の先生から離れようとせず、なかなか学童へ行くことができなかった長男。落ち着くまで、しばらく担任の先生が付き添ってくれていたそうです。しかし、1度行ったことで学童の楽しさを感じられたからか、行き渋ったのは初日だけで、2回目からは一人で学童へ行くことができるようになりました。長男の様子を見て大丈夫そうだと感じたので、学童に通い始めてから1ヶ月後には、2時間程預けることも多くなりました。Upload By プクティ学童に通い始めて半年ほど経った今では、すっかり環境に慣れたようで、通常学級の子とも一緒に遊ぶなど関わる時間が増えて、本人も学童の時間を楽しんでいるようでした!今のところ毎日学校にも学童にも嫌がらず楽しそうに通ってくれているので、とても安心しています。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)長男さんが学童の時間を楽しんでいるとのこと、本当にうれしいですね。学童か放課後等デイサービスの選択で迷われる親御さんは多いですが、お子さんが快適に楽しく過ごせることが一番大切ですよね。学童のメリットは、プクティさんもおっしゃってくださった通り、通常学級のお子さんとの交流ができる点です。一方で、ケアできる大人の数に対してお子さんの人数が多いため、サポートが行き届かず、お子さんの特性によっては過ごしにくい場合もあります。放課後等デイサービスでは、施設ごとに異なる療育やプログラムが提供されており、お子さんに合った場所を見つけやすいです。ただ、希望する施設に空きがないことや、複数の施設に通う必要が出てくる場合もあります。また、送迎が必要だったり、利用時間が学童より短いこともあり(特に長期休暇など)、保護者の勤務に影響を与えることも考えられます。どちらを選ぶにしても、実際に見学して、親子で安心して過ごせる場所を見つけられるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月05日夏休みは恒例の三世代旅行へ!子どもが喜びそうなプランを計画Upload By みかみかん今年の夏休み。わが家はたーちゃんと夫と私、そして私の両親の三世代で旅行をしました。大好きなじぃじ、ばぁばと思い出をつくってほしくて、毎年1回はこのメンバーで安近短の旅行をしています。今回は、近くにファミリー向けの遊園地のある、プール付きのホテルに2泊することにしました。遊園地やプールに喜ぶたーちゃんの姿を想像しつつ、私も旅行の計画を楽しく練っていました。旅行1ヶ月前。不安感が強いたーちゃんの心づもりができるように、旅行の話をよく持ち出したり、泊まるホテルや遊びに行く遊園地の動画を見せました。その時のたーちゃんは「早く旅行にいきたい!」と言っており、場所見知りはしないだろうと私も夫も考えていたのです。Upload By みかみかん準備は完ぺき!のはずが、旅行にトラブルはつきもので……そして、旅行当日。自宅から車で1時間ほどの場所でまずは大好きなじぃじばぁばと合流し、レストランで食事をするはずが……。なんと、じぃじばぁばと会って早々、たーちゃんは「おうちに帰りたい」とぐずり出してしまいました。たーちゃんの好きな食べ物もありましたが、「食べたくない、帰りたい」と言って聞かず。ほかのお客さんの迷惑にもなりかねないので、私と夫とたーちゃんの3人はお昼ごはんを食べず、早々にホテルへ向かいました。Upload By みかみかんまだチェックイン時間前のロビーでぐずぐずのたーちゃんと時間を潰しながら、「たーちゃんの無理のない旅行にしたいけど、楽しみにしていた予定が変更になってがっかり……」と私は心の中で大人げなく思っていました。初日には観光する予定もありましたが、たーちゃんの機嫌が直りそうにないので、チェックインしてからも3人でずっとホテルで過ごすことに。ホテルの部屋はすぐに気に入ったたーちゃん。大好きなカードゲームをして、たーちゃんの気持ちが上向いてきたところで、私も気を取り直して、ホテル併設のプールへと誘ってみます。しかし、たーちゃんは「プール行かない!」の一点張り……。気持ちは上向いても、切り替えることは苦手なたーちゃん。カードゲームをやめることができずにいました。Upload By みかみかん結局、じぃじとばぁばがホテルに来てからも、部屋でカードゲームばかりでした。ホテルの広い食事会場での夕飯は、慣れない場所やたくさんの人に緊張しているのか、ほとんど食べてくれず、早く部屋に戻りたいとぐずります。そして、戻ってきた部屋でお菓子をポリポリ……。「絶対喜ぶはず」と思った遊園地でも、まさかの入園拒否!?2日目。予定していた遊園地では、看板に書いてあったキャラクターが怖かったらしく、入口で大泣き。「絶対入らない!」と、断固拒否でした。「たーちゃんの好きな乗り物や、かき氷もあるよ!」と説得しましたが、ホテルにトンボ返りすることに。以前の私ならば、想像していた旅行にならずにイライラしてしまったかもしれません。しかし、たーちゃんの特性を理解したうえで、たーちゃんが楽しんでくれることをこの旅行では最優先にしていたので、気持ちを切り替えることができました。特性がなければ、「たーちゃんは入れるかな?遊んでくれるかな?泣かないかな?」という心配をすることはないのに……と思うことはありますが、予定通りにいかないこともあると分かっていました。私の父と母には迷惑をかけましたが、スケジュール通りに旅行を完遂することが目的ではないと共通認識を持っていたので、突然の予定変更でも受け入れてもらえました。結局、たーちゃんは旅行のほとんどをホテルの部屋でカードゲームをして過ごしました。2日目の午後。たーちゃんにつきっ切りでホテルに籠っていた私たち夫婦を見かねてか、「たーちゃんを預けて2人で出かけてきたらどうか」と父と母が提案してくれました。どうせならば、と子連れでは行けないような場所へ、数時間出かけさせてもらうことに。想像していた家族旅行ではなかったけれど、予定を柔軟に変えて、たーちゃんも大人も楽しめる旅行になったのではないかと思います。予定通りにはいかなかったけれど。楽しめたのなら結果オーライ!3日目。帰りの車内で「旅行、何が楽しかった?」とたーちゃんに聞くと、「カードゲーム!」と返してくれました。じぃじやばぁばと、大好きなカードゲームができて楽しかったようです。Upload By みかみかん大人が想像していたような旅行にはならなかったけれど、たーちゃんがホテルステイをエンジョイしてくれたのなら、それで良かったのだと思うことにしました。旅行は良くも悪くも刺激がたくさんあります。予想しない事態になった時も、大人が気持ちを切り替えてプランを変更し、本人に無理のない旅行にすることが大事だなと学びました。もしかすると、旅行への心づもりが必要だったのは、たーちゃんではなく私のほうだったのかもしれません。難しいこともあるかもしれませんが、障害のあるお子さんも保護者の方も旅行を楽しんで、たくさんの素敵な思い出をつくることができたら良いな、と思います。執筆/みかみかん(監修:井上先生より)4歳半という年齢から考えると、家以外の場所に行くということだけでも、お子さんにとっては大きな刺激になります。ましてや泊りがけの旅行に行くということは、本人にとってもご家族にとっても、大きな冒険だったと思います。おじいさんおばあさんも一緒ということで、そういう面でも気を遣われたと思いますが、みんなで一緒に楽しむということを唯一の目標にするのではなく、それぞれが行った先で楽しみを見つけていくという点からは、素晴らしい旅行体験だったのではないでしょうか。今後お子さんが成長していく中で、行ける場所や楽しめる場所は広がってくると思いますし、その中で少しずつ良い思い出が重ねられるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月04日自閉症息子、悪循環の無限ループで不登校に現在12歳、中学1年生の息子は、9歳でASD(自閉スペクトラム症)、反抗性挑戦障害(反抗挑発症)と診断を受けています。完璧主義で衝動性が強い息子は、興味の限局性があり、他責的、怖がり、人見知り、分離不安、自己肯定感の低さなど、母親としては心配な面が多々あります。そんな息子は、小学校3年生の後半からまだら登校が始まり、4年生からは完全に不登校となりました。勉強についていけなくなったことが不登校に繋がったと感じています。勉強についていけなくなった→完璧な自分じゃない→劣等感→不登校→学校へ行けない自分が許せない→劣等感→みんなに白い目で見られたくない→怖い→さらに行けない……という悪循環の無限ループに陥った息子。ただ、「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」と担任の先生と約束したため、一人で登校できなくなってしまった息子に私は毎日付き添いをしました。イライラしながらも学校へ顔を出しに行ける日もあれば、途中で引き返すこともある日々でしたが、この母子登校でさまざまなことがありました。Upload By ユーザー体験談信号を渡れないと「最悪!」。歩行者を「あの人避けてくれなかった!」常にイライラしながら歩く日々一人で登校できない理由について、本人は「虫がいるから怖い」と言っていました。ですが、虫除けや、帽子や上着を勧めても全て拒否。「この世から虫を全部消して!」と騒ぐので困りました。ただ、本当の理由は虫ではなかったのだと思います。以前は1人で登校できていたので、不登校になってしまったことが原因なのでしょう。また、幼少期はそれほどでもなかったこだわりが、この不登校期間に強くでるようになりました。一番困ったこだわりは「信号が青だったら絶対に渡る」こと。これは、信号までの距離が離れていたとしても、青の信号が見えたら適用されます。数十メートル先の信号に向かって急に走りだし「お母さん!早く!」と私に怒り出します。到底間に合わない距離なのにです。結局渡れず次の青信号を待つことになると「お母さんが遅いから!」と怒りながら、「さっきの青で渡れなかった!最悪!」と責め立てるので困りました。「別に急ぎの用事もないから、次の青で大丈夫だよー」と話しても、納得してくれませんでした。Upload By ユーザー体験談また、自分のペースで目的地まで行きたい息子は、歩くペースを乱されることを極度に嫌がりました。出会い頭で自転車の人やほかの歩行者がいて、お互い右に避けるか左に避けるか……という場面になると「あの人避けてくれなかった!」と不機嫌になりました。私は「仕方ないよ。相手の人も上手く避けられない場合があるからね……。息子君は運動神経がいいから避けるのが上手いでしょ?避けてあげたら良いんじゃない?」と、持ち上げてみましたが、あまり変わりませんでした。我慢できず「そんなことで今後どうするの?」と言ってしまった私。息子はパニックに毎日毎日、家でも外でもこのようなことが繰り返され、私は息子と一緒にいること自体憂鬱になっていました。それでも厳しい言葉を浴びせてはいけないと気持ちに蓋をしていましたが、ある日の登校中、その蓋が壊れてしまいました。通学路に虫がいることに対して怒り始めた息子に対して「世の中の虫を全部消すなんてできないのは分かるよね?ある程度は克服しなきゃいけないことなんだよ。外に出ない生活なんて無理だし、自分ができることをするしかないんだよ」いけないと分かっていましたが、耐えられなくなってしまったのです。そしてこれを聞いた息子はパニックになってしまいました。私に「生まれてきたくなかった!」と叫び走って家に帰ってしまいました。私は息子を追いかけながら、やはり言ってはならなかったと心底後悔しました。Upload By ユーザー体験談息子は機嫌のいい日は私と手を繋ぎたがったり、おちゃらけたりすることがありました。通学路でのトラブルの後、私は息子が繋ぎたければ繋ぐし、離したければ離す、息子が安心して学校までたどり着けるように心を砕き続けました。中学校でリセット!学区外の特別支援学級へ進学すると、登校できるように!小学生中はこのような日々でしたが、中学に進学するにあたっては学区外の特別支援学級のある中学へ進学しました。その中学にはなかなか学校に行くことができなかった小学校時代の知り合いがいなかったため、気が楽だったようです。また、自分に合ったクラスに入り、自分に合わせた勉強の進め方をしてくれることが安心につながったようで、中学からは登校できるようになり、私は本当に安心しました。今も朝は私が送っていますが、帰りは1人で帰宅するようになりました。そして次第に「虫が~」や「すれ違う人が~」などの不満も言わなくなりました。Upload By ユーザー体験談登校できるようになってよかったと思いますが、今後も息子の様子を慎重に気にかけていきたいと思います。今までは「家族」しか世界になく、家族に依存をしがちでしたが、これから中学、高校と成長するにつれて息子の交友関係も広がるはずです。自分のことは自分で考えて、自分で決めて自分で行動し、相手の気持ちを考え、望んでいた結果ではなくても受け入れることができるようになって欲しいです。イラスト/志士ノまる※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)母子登校についての貴重な体験談をありがとうございます。登校渋りがでるお子さんは、完璧主義だったりこだわりがあったりして、失敗することへの不安が強い傾向にあります。学校へ向かう道ですれ違う人や虫にイライラするのは、学校に行くことへの不安や、自分が学校になかなか行けないことによるプレッシャーが根底にあるのかもしれませんね。発達に偏りがあると、「他人との境界線をうまくひけない」、「気持ちの切り替えが苦手」といった特性が出ることがあります。他人や環境など、自分以外のものが自分の予想と違う動きをしたときに不安になってしまうのです。そして気持ちの切り替えがうまくできずに、パニックになってしまいがちです。お子さんがそのようにパニックになってしまった場合は、「そんなこともあるよね」というように、気持ちを切り替えて問題解決していけるような考え方を教えていけるといいですね。とはいえ、お子さんも成長するにしたがって保護者に対して反発心も感じますし、保護者としてはつらい日が続きますよね。しかし、家族としてお子さんのフォローをできる期間は限られています。お子さんもいつかは外の世界の厳しさに直面することになりますので、その日までに保護者が少しずつ教えていく必要があります。外の世界と関わっていけるようになるためのサポートは、お子さんとの信頼関係のある保護者だからこそできることなのではないでしょうか。お子さんに寄り添い続けた結果、中学校に進んで登校できるようになったとのこと、とっても素晴らしいですね。これからもお子さんが自分らしく成長できるよう、応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月03日電車嫌いだったASD(自閉スペクトラム症)長男が急に電車好きにASD(自閉スペクトラム症)の長男のミミは、9歳から急に電車に興味を持つようになりました。そんなミミの乗り物遍歴はこちら。Upload By taeko5歳までは電車に乗ることがきたのですが、6~8歳は酔ってしまうからと拒否。そこから9歳、急に電車好きになったのです。乗り物が大好きな弟のふーとは真逆で、今まで基本的に乗り物嫌いだったミミ。休日は電車が好きなふーと私の2人で電車に乗りに出掛けて、ミミは自宅でゲームをすることが多かったですが……。もしかしたら、ふーがもっていた電車のおもちゃがきっかけかも?また、動画などの影響かもしれません。ミミは、どこからか都会の地名を覚えたようで、新宿や渋谷などに行きたいとのこと。私はミミの希望を叶えるために、週末などに電車でミミと出かけるようになりました。自分で撮影した動画を自らアップロード。漢字の勉強にもなる!電車に乗るとミミは私のスマ―トフォンで電車からの景色を撮影します(ミミは自分のスマートフォンをまだ持っていません。また一人で電車に乗るときは撮影NGにしています)。そして帰宅後、自分で動画配信サイトへアップロードし、文字を打ち込んでいます。これはローマ字入力や駅名の漢字を覚えられるので、とても良い効果になっていると思います。Upload By taekoですが、いい面ばかりではありませんでした。私はミミの「衝動性」が心配なのです。周りを見られない、衝動を抑えられない長男。いつかトラブルになりそうまず、周りのペースに合わせることができないところが気になります。電車に乗るときはだいたいふーも一緒です。ミミとふーの歩くペースは違うのですが、ミミは気にせずずんずん先に行ってしまいます。何度もミミに「団体行動だから、仲間と一緒に行動するよ。仲間を気にして歩いてね」と伝えるのですが、つい夢中になって先に行ってしまいます。先日乗り換えをする時、こちらを待たず先に行ってしまったミミを見失ってしまいました。慌ててホームを探すと、ふーがミミを発見。私はミミに注意をし、それからは後ろの様子を気にしてくれるようになったのですが……まだまだ心配です。また小学5年生になったある日の帰路、電車が混んでいて思ったような撮影ができず、モヤモヤが溜まっていたミミ。乗り換えた電車は空いていたものの、撮影スポットの先頭列車の一番前の窓のところには、新聞を読んでいる男性が居ました。すると我慢ができなくなったのか、ミミはスマートフォンを持ったまま、新聞を読んでいる男性の新聞に突進!!私は(なんで!?)とびっくりしつつすぐにミミの首根っこを引っ張りました。ですが、時すでに遅く、ミミは新聞を読んでいた男性にぶつかってしまいました。私はその人に「すみません!」と謝りました。Upload By taeko「なんで⁉」頭が真っ白に!ミミの行動に絶望的なものを感じた過去を思い出して……Upload By taekoこのようなミミの「周りにいる人に意識を向けられない」「相手がどうなるか気にならない、または気にしない」という行動には覚えがありました。ミミが3歳の頃「なんで!?」と頭が真っ白になった印象的な出来事があったのです。ある日、私とミミがお店を出ようとしたところ、目の前で当時のミミより少し幼い女の子が転びました。するとミミは女の子を助けることもなく、なんとまたいでいこうとしたのです……。幸いにも相手にぶつかることはなかったのですが、ぶつかっていたらと思うと……もうどうしたらいいのか……。私はそんなミミの行動を見て(人を人として見ていないようだ……)と絶望的なものを感じたのでした。今もまた同様の行動をしてしまうミミ。このような行動もASD(自閉スペクトラム症)の特性の一つだと分かっているのですが、どんなに本人なりの理由があっても許されないと思います。私は強い危機感を感じています。どうすればいいのでしょうか。ヘルプマークを持たせ、「コミュニケーションが苦手で、失礼なことを言うことがあるかもしれません」とコメントを書いたほうがいいのかもしれないと検討しているところです。Upload By taekoこれからもミミが「楽しいと思えること」は応援したいので、しばらくは一緒に電車に乗って、周りに気をつけながら楽しみたいと思います。執筆/taeko(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは「線」に興味を持つのが多いことから、電車好きが多くみられます。またASDのお子さんを育てていると数々の困ったことに遭遇します。困ったことに対しては保護者が正しいお手本を見せることが重要です。やって見せ、説明して、やらせてみて、できたら褒めることです。スモールステップで些細なことから始めていきましょう。改善したら、「できたよ カード」に電車のシール等を貼って5つたまったら好きな電車に乗れるなどのご褒美をあげるというトークン法で試してみてください。次からはこうしようねと絵や図で示すことです。ASDのお子さんは比較的視覚認知が高いので言葉で言う耳からの情報よりも絵で示す目からの情報の方が分かりやすいからです。耳からの情報でも、「転んだ子がいたら助けます」と何度も同じことを肯定文で言い続けることも必要です。ASDのお子さんは否定文よりも肯定文のほうが分かりやすいからです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月02日行事を嫌がるわが子。無理させたくないけれど……園や学校では、運動会や学習発表会、音楽発表会、参観日、遠足など、さまざまな行事があります。行事に向けて毎日みんなで練習をしたり、日課が変更になるなどのイレギュラーが続いたりすることもあるでしょう。行事を楽しみにしているお子さんもいれば、慣れない場面での不安などで行事が苦手という場合もあります。行事を嫌がるわが子に、どう対応したらいいか悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも、行事の参加についての質問が複数寄せられています。運動会には出たいけど、みんなと一緒にできない&やりたくなくて本人も辛いと思うのですが…私も嫌がる事は無理強いさせたくない反面、嫌な事はやらなくていいと学習させてしまわないか心配です。本当に苦痛で嫌な事は仕方ありませんが、できるけど面倒な事もサボってしまわないかと。週末、息子が学校行事の中で1番苦手な学習発表会があります。聴覚過敏があるので体育館での群読、合唱、劇などなど、なかなか耐え難い内容です。練習して頑張ろうとしていますが、耳触りと口歪め、ダブルチック症が出てます…。「もうやらなくていいよ、学校休もう」って私が言いたくなってしまいます。どこまでやらせるかの見極め、皆さんはどうしてますか?伺いたいのですが、本人がいやがる行事など(今回は合同遠足)は嫌がっても行かせたほうが良いでしょうか?今回は、わが子が行事への参加や練習を嫌がるときの対応について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。園や学校での行事を嫌がるとき、どうしたらいい?A: 子どもが行事への参加を嫌がっているときに、少し無理やりにでも参加を促したほうがいいのか、無理させないほうがいいのかというお悩みかと思います。お子さんによっては、自分のペースではなく集団で一斉に動くこと自体が苦手な場合もあります。今回いただいた行事に参加したがらないというご相談は、特に保育園や幼稚園から小学校低学年くらいまでによくある大きな悩みの一つかもしれません。「本人が嫌がっているのに参加したところで子どもにとって意味があるのだろうか」という保護者のお気持ちをお聞きすることもあります。子どもの背中を押したほうがいいのか、無理せず休んだほうがいいのか、とても悩ましいところだと思います。お子さんが行事を嫌がる場合の対応ポイントとしては、「行事に参加する・しない」の2択ではなく、行事の一連の流れを次のような3つに分けてみることです。①本人が自分でできること②少しサポートがあればできること③サポートがあっても難しいことそのうえで、一番最後の「サポートがあっても難しい」場面については無理をせず、「自分でできる・少しサポートがあればできる」場面で参加できたらまずは十分である、という風に考えていきます。「少しサポートがあればできる」という場面については、・スケジュールや手順を見える化する・タイマーなどを使って“終わり”を明確にする・待つ時間が苦手なときは休憩スペースを作る、役割を作る・感覚過敏性に配慮する・部分的に参加する・(集団練習ではなく)個別練習の時間を作るなどがよく取り入れられる工夫の例です。お子さんが部分的にでも参加できた場面については、本人と先生やご家族みんなで喜び合って、お互いの成功体験にしていけるといいですね。初めから「行事にすべて参加できる」を目指すというよりは、「本人が自分でできる・少しサポートがあればできる」場面を少しずつ増やしていけるといいでしょう。お子さんにとって良い体験で終われることが、次につながっていきます。Upload By 発達障害のキホン行事の練習への拒否感が強いときは?A: 練習への参加は、本番への参加よりも対応の優先度を下げるのも一つの考え方ですが、練習せずに本番に臨むというのも本人にとって大変ですよね。そこで練習では、まずはほんの一部分参加する、先生がしっかりサポートする(支援の量を増やす)などから始めるといいかもしれません。どの場面でどんな支援があれば安心して参加できそうかお子さんと一緒に対話をしながら進めていくこともいいと思います。毎日行事のことばかり話題になったり練習をしすぎたりすると、かえって不安が高まる場合もあります。その子に合わせて、本番に備えて控えめにしておくという対応もあるでしょう。練習がお子さんにとって嫌な経験になってしまうと、やはり本番にも影響するかもしれません。できるだけ本人にとって楽しく練習できたという経験を積み重ねて、本番に備えられるといいですね。例えば、まずは一部分、お子さんが現時点でも無理なくできる場面から練習に参加し、参加できたことを認めたり褒めたり一緒に喜んだりしていきます。そこから少しずつ参加できる部分を増やしていけるといいと思います。毎年の行事については、学年が上がるとともに参加できる幅が広がっていくお子さんも多いものです。毎年経験するうちに、流れの見通しを持てるようになったり、本人がとれる対応の選択肢が増えたり、自分なりの参加の仕方が分かってきたりするためです。その意味では、やはり就学前から小学校低学年くらいが、親子共に大きいお悩みになっていることが多いかもしれませんね。お子さんも成長していきますので、次につなげるためにも無理をしすぎず「良かった・楽しかった」で終われることを優先してみてもいいのではないでしょうか。Upload By 発達障害のキホンまとめお子さんによっては、普段と違う慣れない状況そのものが不安だったり、感覚特性により集団活動の負担が大きかったり、活動のルールが分からず参加しづらかったりすることもあります。行事や練習への参加を嫌がる場合には、「参加する・しない」の選択というよりは、嫌がる理由を聞いて、参加しやすい工夫を考えていくことが大切です。先生と連携しながら「少しサポートがあればできること」の幅を少しずつ増やしていけるといいでしょう。支援や工夫がないままに“無理やり”参加ということになると、お子さんにとっては「嫌だった経験」となり、次の行事も前向きに考えにくくなるかもしれません。環境調整やさまざまな工夫をすることによって参加しやすくなることや、部分的な参加でも「良かった・楽しかった」経験になると、お子さんの自信につながります。園や学校での行事は、やはり先生との連携も必要になってくるため、お子さんの嫌がる様子がみられるときには、家庭だけで抱えずに先生に相談することも大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月01日