療育園では保育中どんなことをする?療育園へ入園する前は、週2回の母子登園の療育に通っていたため、私は自家用車で送迎し、ずっとPのそばで一緒に過ごしていました。それが療育園に入園すると毎日登園になり、Pはバスに乗って1人で登園し、クラスで過ごして、またバスで帰ってくるという生活になりました。最初の方は園での生活に慣れるまで本当に大変で、集団でのルールにも従えなかったし、お友達とのトラブルもあったし、給食もほとんど食べられないなど、多くの困りごとがありました。でも療育園での生活は、障害のある子一人ひとりに合わせた保育をしてくれながらも、それだけにとどまらず、園での生活の中にABA、感覚統合療法、視覚支援などの療育をたくさん取り入れて実践してくれます。そして保育士だけではなく、週に1度は専門の療法士や心理士もクラスに入って関わってくれます。そのような手厚い環境で毎日過ごすうちに、Pもだんだん療育園に慣れ、生活も落ち着いてきたので、私も安心して通わせることができるようになってきました。Upload By みん療育園へ通わせると親も忙しい?そのように言うと、急に手が離れたかのようにも聞こえますが、Pの通った療育園は長男が通っていた幼稚園と比べると、保護者が園へ出向く機会がとても多かったです。クラス懇談、個別懇談、個別療育、勉強会、行事など、保護者が参加するような場面がたくさんあったし、普段の日でもいつでも自由にクラスを見学できたので、子どもの様子が気になったときや療育を見たいときには見学しに行っていました。でもそうやって何度も園へ行くからこそ、先生と親密になれるし、ママ友もできやすいので、私自身も相談できる人と場所が一気に広がり、知識も増えたように思いました。Upload By みん療育園は子どもだけではなく親にとっても成長できる場所そして何より、個別療育を受ける時間は子どもにとっての療育だけではなく、親にとっても子どもへの関わり方を学ぶ時間となります。私は障害のあるわが子にどうやって関われば良いのか?今こんな困りごとがあるんだけどどうすれば良いのか?などを先生に相談し、一緒に考えてもらい、対処法などを教えてもらったり、アドバイスをもらったりしていました。また、こんなことができるようになった、こんな言葉が出るようになったなど、Pの成長を先生と報告しあえるのもうれしくて良い時間となっていました。療育園へ通うことで、Pの成長はもちろん、私自身にとっても成長と学びの場になり、母子ともに本当に救われたと思っています。Upload By みん私にとって療育園は今まで足を踏み入れることのなかった知らない世界でしたが、実際に通ってみるとこんな暖かく素晴らしい園があるんだな…と実感し、とても充実した3年間になりました。今、子どもを療育園へ通わせるか?行く必要があるのか?と悩んでいる人も中にはいるかもしれません。でも、1度見学へ行ってみてください。療育園へのイメージが変わるきっかけになるかも?しれません。そして、母子ともに安心できる居場所となるような場所を見つけることができますように。執筆/みん(監修:鈴木先生より)以前学会で「療育」とは何ですかと聞かれたことがありました。単純に考えると医療と教育の造語かと思われますが、私は「科学と心」と答えました。最新の知識をもって優しい心で接することではないかと。そしてこれは療育園に限らず保・幼・小・中・高・大とその子の人生においてすべての場所で通じなければいけないことだと思っています。しかし、残念なことに現実は必ずしもそうではありません。保・幼と小学校の間には溝があり、切れ目のない療育が行われているとは言い難い現状があります。小学校からは各市町村の教育委員会が管轄になるからです。特別支援学校に進学した場合にはその限りではありませんが、一人ひとりに合わせて手厚い保育を受けていた療育園とは違い、地域の小学校ではカリキュラムと集団の中に埋もれてしまうお子さんが多いのです。理解してくれる先生にもばらつきが出てきます。そのため、未就学の時期から療育へ通っていたお子さんたちが地域の小学校へ進学する場合には、特別支援学級を利用するケースが多く見受けられますが、そこも担任次第となりがちです。校内連携がうまくいっていて、「科学と心」を持った担任に出会えれば、スムーズにいくのです。
2023年01月23日かかりつけの歯医者さんはありますか?きっかけは「親の会」でのお話Upload By べっこうあめアマミたとえ発達がゆっくりでも、甘いものは大好きな子どもたち。それなりの年齢になり、何でも食べるようになってくれば、虫歯などの口腔内トラブルに見舞われることもあるはずです。私もそんな不安はありましたが、何となくその不安には蓋をして、長らく息子を育ててきました。しかし、ある日参加した地域の「親の会」のお話し会で、考えを改めることになったのです。そのお話し会では、すでに成人した障害があるお子さんの親御さんたちが、ご自身の経験談などを話してくれていました。その中で、歯科治療の話題が出たのです。お話しくださった方のお子さんには知的障害があるということでしたが、あるとき、虫歯になってしまったそうです。しかし、街の歯医者さんでは暴れてしまって治療ができず、大きな専門の病院に通って治療をすることになり、とても大変だったそうです。知的障害に限らず、発達障害などさまざまな特性があるお子さんに言えることですが、虫歯になってもこのように暴れてしまい、治療にならないケースは少なくないのではないでしょうか。子どもたちにとっては口の中に不思議なものを入れられるだけでも不快なのに、変な味がしたり、痛かったり、その上長時間じっとしていなければならないのです。これは、受け入れがたい苦痛でしょう。でもだからこそ、子どもが小さいときから取り組んでほしいことがあるとも言われました。それは「虫歯になってから」ではなく、「虫歯になる前から」歯医者さんに通うことです。まずは診察台に座れるようになるところから始め、歯磨きだけだったり、フッ素を塗るだけだったり、子どもの様子を見ながらゆっくりと、「歯医者さんに慣れる」ことができるようにしていきます。かかりつけの歯医者さんを決めて定期的に通うことで、最初は入ることさえ抵抗があった子どもも、だんだん慣れていくのではないでしょうか。虫歯になってから初めて歯医者さんに行くと、どうしても痛い治療をせざるをえません。そうすると子どもの中に「歯医者さん=怖い」というイメージができてしまい、拒否感がより強くなってしまいます。でも、何も痛いことをされないときに、ただ楽しい気持ちで通う習慣をつけていけば、結果は変わっていくかもしれません。お子さんが、歯医者さんという場所やそこで会う人たちに心を開き、信頼関係ができていることは、スムーズな治療のために大切なことです。このお話を聞いて、私は大いに納得し、息子にもかかりつけの歯医者さんを探したいと思いました。障害があると診てもらえない?難航する歯医者さん探しUpload By べっこうあめアマミ「息子にかかりつけの歯医者さんを」と思いましたが、実際に探してみると、なかなか障害がある子どもを快く受け入れてくれる歯医者さんは見つかりませんでした。街の診療所ですと人手も限られますし、患者が暴れた場合にしっかり拘束することもできません。口腔内は繊細な治療が必要となりますから、やはり歯医者さん側も不安があるのでしょう。そんなある日、「小児歯科」と看板に掲げている歯医者さんに、当時1歳だった娘(息子の妹)の歯科健診に行きました。娘はおとなしく診察台に座って健診を受け、歯医者さんも褒めてくれました。そして、「今後も定期的にフッ素塗布などしにくるといいよ」とすすめてくれたのです。ちょうど家からも近くて良さそうな歯医者さんだと思った私は、息子のことが頭をよぎり、「今度、この子のお兄ちゃんも連れてきていいですか?」と聞いてみました。すると歯医者さんは何の迷いもなく「どうぞ連れてきてください」と言ってくれました。しかし、その後私が息子に障害があることを話し始めると、歯医者さんは急に別人のように歯切れが悪くなったのです。娘の通院はぜひにとすすめてくれるのに、息子の通院は、本人を見てもいないのに拒まれる。致し方ないかもしれませんが、親としてはわが子2人に明らかな差がある対応をされたようで、少し悲しくなりました。出会いは突然に!息子を受け入れてくれた歯医者さんUpload By べっこうあめアマミその後しばらくして、今度は娘が保育園で歯をぶつけてしまい、またどこかの歯医者さんで診てもらわなければならなくなったときのことです。前回の苦い思い出を踏まえ、今度は別の歯医者さんに行ってみました。そして娘の治療後、またしても私は、歯医者さんにおずおずと息子のことを切り出し、障害がある子どもでも通院は可能か聞いてみました。すると、歯医者さんはさらっと快諾してくれたのです。その歯医者さんも、自分は障害児「専門」ではないとおっしゃっていましたが、「とりあえず連れてきてください」と言ってくださり、後日息子を連れていきました。その歯医者さんは、私が親の会で言われたことと同じことをおっしゃっていました。「息子さんにとって歯医者さんが嫌な場所にならないように、まずは信頼関係をつくりたい、だから無理に何かをしようとせず、ゆっくり進めていきますね」と話してくれました。まずは診察室に入り、診察台に座るところからです。息子は最初は多少緊張があったと思いますが、歯医者さんの人柄もあって安心したのか、初日からおとなしく診察台に座ることができました。診察台が倒れることには少し抵抗があるようでしたが、歯磨きをしてもらい、口の中に異常などがないかも診てもらえました。最後、息子が少しだけ嫌なそぶりを見せたので、その日はそこで終わりました。息子はたくさん褒められて、ご機嫌で帰宅。私もホッとしたのを覚えています。歯医者さんの提案で、最初はお互いの信頼関係をつくることと慣れるために、1ヶ月に1回くらいのペースで通いました。そうして歯磨きや、適切なタイミングでフッ素塗布などをしてもらいつつ、息子がだいぶ慣れてきた今は2、3ヶ月に1回くらいのペースで通っています。鉄則!発達っ子の歯科治療は「治療」より「予防」Upload By べっこうあめアマミ息子は今、8歳の小学2年生ですが、これまで一度も虫歯になったことがありません。いろいろな要因はあると思いますが、良い歯医者さんに出会い、定期的に口の中を診てもらいながら、歯磨きやフッ素塗布などをしてもらっているおかげかもしれません。親の会だけでなく、私の周りの障害があるお子さんを育てる親御さんたちの間では、「かかりつけの歯医者さんを見つけて定期的に通う」ことをよくすすめられます。幼児期のうちから歯医者さんと信頼関係を築き、歯医者さんは怖くない、口の中を触られても大丈夫、と良いイメージをつくり上げていきたいものです。もし、それでも大きな虫歯になって、治療がかかりつけの歯医者さんでは無理ということになったら、そのときは最終手段として専門の口腔センターなどにお願いしましょう。そういう際にはかかりつけの歯医者さんが判断して、治療に適した病院に紹介状を書いてくれるのではないかと思います。発達に課題があったり、障害があったりするお子さんの歯科治療はどうしても大変です。そのため、「治療」より「予防」が何より大切です。虫歯になってから困るよりも、なるべく虫歯にならないように気を付けていきたいですね。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)良い歯科医院との出会いがあって良かったですね。信頼関係を築くために、1ヶ月おきにまめに通院されたのも良かったですね。治療となると、口腔内を安全にみるために身体を抑える必要が出てくることもあったり、場合によっては全身麻酔で入院されて治療する場合もあります。痛くない定期的なチェックを継続し、歯科医院の通院ができるようになっていることが、虫歯予防において大切です。今回のべっこうあめアマミさんのお話は、発達障害の特性があるお子さんの親御さんにはもちろんのこと、歯科検診を嫌がるお子さんをお持ちの親御さんにも知ってほしい内容です。
2023年01月23日熱性痙攣(熱性けいれん)とは?約38℃以上の発熱に伴って起きる痙攣のことを「熱性痙攣(熱性けいれん)」、「ひきつけ」などと呼びます。20〜30人に1人以上は発症するといわれており、生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いといわれています。そのうち生後12~18ヶ月が最も発症しやすいとされています。このページでは、熱性痙攣の治療や予防法、服薬は必要なのか、てんかんとの違いや検査についてなど小児科医に解説していただきます。Q:熱性痙攣の治療や予防法はありますか?後遺症などはありますか?A:熱性痙攣は一過性のものが多いため特に後遺症などはなく、治療をせずに成長と共に自然に治っていくのを待ちます。しかし、5分以上痙攣が続く場合には、鎮静薬の投与を要する場合があります。1度に起こる痙攣の時間が長かったりする場合は座薬(ダイアップ)などによる予防投与をすすめられる場合があります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣の予防策とは?熱性痙攣は高熱が出ない限り発症することはありません。高熱が伴う風邪やインフルエンザなどの感染症に感染することを予防してください。日々の手洗い・うがいを徹底することが大切です。なお予防接種などを積極的に受けることもおすすめします。発熱時に解熱剤を使用することも効果的です。しかし解熱剤自体には、熱性痙攣を抑える効能はありません。ジアゼパム投与(ダイアップ)の予防投与の対象は?ジアゼパムの予防投与は、熱性痙攣の再発を優位に減少させるとされています。下記の場合に使用します。・過去に熱性痙攣を認め、持続が長かった既往があるまたは、下記のうち二つ以上を満たした熱性痙攣が2回以上認めた場合・全身で痙攣せず、体の一部または左右非対称の痙攣が起きる・24時間以内もしくは発熱中に痙攣発作を数回にわたって再発する・熱性痙攣またはてんかんの家族歴・12ヶ月未満・発熱後1時間未満の発作・38度未満での発作Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:熱性痙攣とてんかんの違いを教えてくださいA:てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こる慢性的な脳の疾患のことで、熱性痙攣と同様に痙攣を症状とする疾患です。熱性痙攣が起こるのは主に発熱時に限られますが、てんかんの場合は発熱時以外にも発作が起こります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣は主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身を痙攣させる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしも痙攣を伴うものではないことも特徴です。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性痙攣が発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。このため、何らかの関係が存在すると考えられていますが、詳しいことは分かっていません。参考:熱性けいれんの定義|日本小児神経学会Upload By マンガで分かる発達障害のキホンまた、熱性痙攣と似ている病気として髄膜炎や脳症などがあります。熱性痙攣のように発熱と痙攣が伴います。髄膜は、脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、痙攣や意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。脳症はウィルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。髄膜炎と同様に高熱や痙攣、意識障害がおこります。Q: 熱性痙攣の検査にはどのようなものがありますか?A:単純型熱性痙攣の場合は自然と治るため特に問題はありませんが、複雑型熱性痙攣の場合はてんかんなどとの合併症の疑いがあるため検査を行います。検査を行うのは大体2回目の痙攣が起こったあとだといわれています。初めての痙攣でパニックを起こしている状態でよく観察できていない場合や、痙攣が1回だけで終わる人もいるためです。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんや急性脳症との鑑別が必要なとき発達の遅れ、発作後のマヒ、複雑型熱性痙攣で部分発作があった場合はCTやMRIを行います。細菌性髄膜炎との鑑別が必要なとき髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候)などがあります。そのほかにも医師が必要と認める検査を受けることがあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣が起こった場合、落ち着いた対応を熱性痙攣を初めて目の当たりにすると、保護者や周囲の人はパニックを起こしてしまうこともあります。熱性痙攣の70~85%が一過性のもので再発することはないといわれていますが、保護者は子どもが発熱する度に不安になってしまうかもしれません。しかし、痙攣は数分で治まり、脳の発達によって5~6歳までに発症しなくなるといわれています。大きな病気ではないので安心して、その都度落ち着いて対応することを心がけましょう。熱性痙攣のきっかけとなる風邪や感染症を予防することも大切です。子どもだけではなく、周囲の大人たちも予防につとめましょう。もし熱性痙攣が起こった場合には、#8000番(こども医療でんわ相談)を利用するなど冷静な判断で対処・判断をしてください。はじめて痙攣が起こった際や単純型・複雑型どちらの痙攣か判断できない場合などは、迷わず病院へ行くことをおすすめします。参考:子ども医療電話相談事業(♯8000)について|厚生労働省参考:熱性けいれんの定義|日本小児神経学会イラスト/taeko
2023年01月22日熱性痙攣(熱性けいれん)とは?熱性痙攣(熱性けいれん)とは、約38℃以上の発熱に伴って起きる痙攣のことを指し、「ひきつけ」と呼ばれることもあります。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いとされており、20〜30人に1人以上が発症します。なお、そのうち生後12~18ヶ月が最も発症しやすいとされています。気になる熱性痙攣の原因や予兆、種類、対応マニュアルなどについて小児科医に聞いてみました。Q:熱性痙攣の原因はなんですか?予兆などありますか?A:熱性痙攣は、いわゆる風邪といわれるようなウィルス性の感染症などによって体温が急激に上昇したときに、脳が痙攣を起こしやすい状態になるために起こります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣を発症する体質は、親やきょうだい間で家族性があるともいわれています。ただし家族に熱性痙攣を発症した人がいたとしても必ずしも発症するわけではありません。Q:熱性痙攣にはどのような種類があるんですか?A:熱性痙攣には「単純型熱性痙攣」と「複雑型熱性痙攣」の2つの種類があります。ほとんどの例が単純型で、複雑型は1割ほどといわれています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン単純型熱性痙攣・全身での痙攣(全身発作)が起こるが15分未満で治まる・意識を失うことがほとんど・24時間以内に2回以上起こらない単純型は良性の熱性痙攣なので後遺症が残ることはほとんどなく自然と治ります。単純型の場合、正しい対処を行えば後に大きな後遺症を負う危険性も少ないため、あまり大きな心配をする必要はありません。複雑型熱性痙攣・全身で痙攣せず、体の一部または左右非対称の痙攣が起きる・発作が15分以上持続する・24時間以内もしくは発熱中に痙攣発作を数回にわたって再発するこのいずれか1つがみられる場合は、複雑型熱性痙攣となります。複雑型の疑いがある場合、検査を受けることが推奨されています。また、表情の特徴として、単純型熱性痙攣は両方の黒目が上方に偏移していることが多く、 複雑型熱性痙攣は顔面が片側だけピクピクし、黒目が横に偏移しているなどの特徴があります。複雑型熱性痙攣は後にてんかんが発症する可能性があるので、場合によっては治療が必要になります。そのため、熱性痙攣が起きたときには複雑型かどうかを見極めることが重要です。その際、痙攣の様子、時間、回数が判断のポイントとなります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:子どもが目の前で熱性痙攣に!対応マニュアルなどありますか?A:子どもが熱性痙攣を起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。・首の周りなどを締めつけないように衣服を緩める・抱きかかえず、平らなところに寝かせる・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにする・口や鼻の周りの吐物を拭き取る・診察時にそなえて、痙攣の様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておく。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)Upload By マンガで分かる発達障害のキホンまた、してはいけないこととしては、・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、痙攣が長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(熱性痙攣で舌を噛むことはほとんどありません。また、噛む力はかなり強いため、ケガをする恐れがあります)などがあります。子どもが突然痙攣を起こし、意識を失ったりしたら、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:熱性痙攣で救急車を呼ぶ必要があるのはどんなときですか?A:多くの場合、熱性痙攣は数分以内に治まります。数分以内で治まる痙攣であれば、ほとんどのケースにおいて救急車を呼んだり病院に行ったりする必要はありません。ですが5分以上痙攣が続いたり、痙攣が終わった後に呼びかけても反応が乏しいなどの意識障害が続いている場合は救急車を呼んでください。保護者での判断が難しい場合には「小児救急電話相談(#8000)」に電話相談をして指示を仰ぎましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン多くの熱性痙攣は数分以内に治まりますが、中には緊急性が高く救急車を呼ばなければならないケースや、緊急性は高くないが複雑型の疑いがあり検査の必要があるため痙攣が治まった後に速やかに病院へ行ったほうがよいケースがあります。緊急性を判断する上では以下の目安を参考にしてみてください。救急車を呼ぶ・5分以上痙攣が続く・痙攣が終わったが、その後も呼びかけても反応が乏しいなどの意識障害が続く(睡眠とは別)病院へ行く・38℃より低い熱で痙攣を起こした・全身痙攣ではなく、体の一部または左右非対称な痙攣がある保護者で判断しにくい場合・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口につながります。そこで小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けることができます。熱性痙攣時以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンイラスト/taeko
2023年01月21日自閉スペクトラム症と構音障害のあるけんとが苦手なこと自閉スペクトラム症と構音障害のある長男けんと。表出言語が苦手で、その日あった出来事などを詳しくお話しできません。先生やお友達にも上手く伝えられないので、入学前に母が得意・不得意なことなどをまとめてサポートブックをつくり、先生にお渡ししました。Upload By ゆきみ4月、小学校に入学。特別支援学級に通い始めました。「今日学校でどんなことしたの?」と質問しても「算数だよ」というように、短い言葉での返答なので、細かい状況は分かりません。学校での出来事、先生やお友達に言われたことなどは本人から聞けないので、毎日のやりとりは「連絡帳」でさせていただいています。登校時に一緒に教室まで行っているので、先生とお話しできる機会も多く、先生が忙しくなさそうなときは、直接お話しさせていただくこともあります。普段から先生は、「何か気になることや分からないことがあった場合は、いつでも放課後に電話で質問しても、見学にいらしてもいいですよ」と声をかけてくださっているので、気になることがあるときは電話で状況を聞かせていただくこともあります。状況が分からない、緊急性を感じるときは…Upload By ゆきみ連絡帳だけではどうしても状況が分からない場合や、緊急性があると判断した場合、放課後に電話で質問させていただくときがあります。ある日、「お友達を押したり、引いたりしてしまいました」と連絡帳に書いてありました。友達トラブルは次の日も続いてしまうといけないなと緊急性を感じたので、どういう状況だったのか電話で聞かせていただきました。この日は、創立記念の行事が学校で行われた日。行事の日は「いつもと違う」からなのか不安定になることが多く、こども園に通っていたときも、お友達に手を出してしまうことがありました。今回の状況は、全校集会で児童が並んでいるときにパニックのようになってしまい、整列した子どもたちを押したり引いたりしながら走り回ってしまったということでした。電話のあと、けんとにも話を聞いてみましたが、結局、理由は分かりませんでした。でも状況を詳しく理解できたので、お忙しい中、電話対応してくださった学校の先生にとても感謝しています。対応策が分からない場合は児童精神科の先生に…Upload By ゆきみ「今日は落ち着きがありませんでした」と連絡帳に書いてあることが何日か続いたことがありました。最初はあまり気にしていなかったのですが、続いたので詳しく話を伺ってみることに。すると、落ち着きがなく、すぐ離席してしまう、とのことだったので見学に行かせていただきました。様子をみていると、姿勢が崩れたり離席したり、確かに落ち着きがない様子でした。対応策が私には分からなかったので、児童精神科の先生に相談。作業療法士さんにみていただくことになりました。作業療法士さんが実際にけんとの様子をみて、姿勢維持が難しい理由の可能性をいくつかあげてくださり、その対応方法なども教えてくださいました。ほかにも「こういう部分に苦手さがある」というのも含めて全て評価表(書面)にしてくださったので、許可を得て、学校や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の方にもお渡しして共有することに。すると、保育所等訪問支援の担当の方も、学校へ行った際に「落ち着きのなさ」のほかの原因を考えてくださり、別の視点でアドバイスをくださいました。通っている放課後等デイサービスからも、様子を教えてくださり、アドバイスをいただけたりしたので、抱えている悩みや困りごとを共有することは、大切なのかもしれないと思いました。サポートの先生方とのコミュニケーションUpload By ゆきみ気になることがあるときは担任の先生にお話をして、見学させていただくことがあります。先日も「体育の途中で教室に帰ってしまう」と連絡帳に書いてあったので、様子が知りたくて見学に行かせていただきました。担任の先生とは普段からコミュニケーションを取らせていただくことが多いのですが、サポートの先生とはなかなかお会いしません。なので見学に行かせていただいたときに、サポートの先生からみたけんとの様子を聞かせていただいて、新たな発見や、困りごとを知るときもあります。これからも、お話しが苦手なけんとの抱えている困りごとを理解していけるように、連絡帳を中心に、周りのみなさまとコミュニケーションを取らせていただきながら、力をお借りし、少しずつけんとにとっての困りごとを改善していけたらうれしいです。執筆/ゆきみ(監修:新美先生より)表出が少ないお子さんの場合、学校での様子が把握できず気になりますよね。先生方と丁寧なコミュニケーション・情報共有をなさるようすを詳しく教えてくださりありがとうございます。連絡帳などは、担任も保護者も信頼関係ができるまでは「どのように書くのが良いか」と、お互いに気を使うところではありますが、何らかの形でできるだけコンタクトを取って思いを伝えあっていくことは大事ですよね。連絡帳、電話、直接学校に足しげく通う、サポート手帳や場合によってはSNSツールなど、どのような手段を使うのがよいかについては、学校の方針や担任・保護者の方の使いやすさによって変わってくるかもしれません。また細かく情報共有したい場合もあれば、基本的には学校のことは学校に任せたほうがいいと考える方針を取ることもあるかもしれません。担当する人によって前年度と方向性が変わるなど、気を使う面もあるとは思いますが、できる範囲で大人同士・関係者同士のコミュニケーションが取れるのが理想ですね。
2023年01月20日コウの凸凹について言われがちなセリフTOP3!Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある人は、『大丈夫だよ、気にすることないよ』という善意からの言葉として「そんなの誰にだってあるよ」「凸凹があるようには見えないよ?」と言われることがしばしばあります。また、凸凹エピソードに対して「うちの子どもも同じ~!」「あるある。まだまだ〇年生ってそういう子どももいるよ」と言われることは多く、『それはそうだ。コウの苦手さや難しさの程度を知らなければ、そういうコメントになるよね』と内心でうなずいたりしています。そんな定番のコメント以外にも、コウの凸凹についてよくいただくコメントがあります。「〇〇だからいいじゃない」「□□なんだから大丈夫だよ!」というものです。コウの凸の部分を指して言われるその言葉に「…って思うじゃん!?」と内心でツッコミつつ、曖昧な笑顔で応えるほかない私です。それらの言葉の中には、慰めや励ましのつもりで言われたものも多いのだろうと思います。実際、私自身が優しさのつもりで同じような言葉をかけていることも多々あるはずです。とはいえ、普段コウの凸凹にコウ本人も周りも振り回されているのを知っていると「〇〇だからいいか~!」と本心から流すことはできない複雑な心境になることもしばしばです。「〇〇だからいいか~!」とは言い難いアレコレ…コウには確かに、凸と見なされやすいところがいくつかあります。「野菜が食べられる」「読書をする」「テストの点数が高い」「英語が好き」などの要素を見ていくと、彼には凹を補って余りある凸があるように見えます。けれども、それは『凸凹の差がゆるやかな子ども』を想定した上で見たコウの姿なのかもしれません。まず「野菜が好きならいいじゃない!」に関してですが、コウは小学校中学年のころまでほとんどの肉類が食べられませんでした。『苦手』ではなく『食べられない』なので、ミンチのひとかけらすら料理に入っていれば見つけ出します。「せめて出汁や油分だけでも」と思い、豚コマ入りの焼きそばをつくってからキャベツと麺だけを取り分けたこともありました。それでも、彼は5ミリもない小さな肉のかけらが口に入っただけで「ムリ…」と涙目になって飲み込めませんでした。そんな調子なので、一般的なお子様ランチは食べられません。冠婚葬祭や旅行中のホテルでの食事など自由にメニューを選べない場では、親の食事から取り分けながら何とか食事量を確保していました。Upload By 丸山さとこ小学校高学年に入ってからは少しだけお肉も食べられるようになりましたが、それも食べたり食べられなかったりといった調子で、いくらか安定して食べられるものはレトルトのミートボールと冷凍から揚げ(それぞれ特定の1商品のみ)でした。チーズと卵は食べられたので、それらの食品もアレルギーや感覚過敏で摂れないお子さんがいることを考えれば『何とかやっていける範囲の食べられなさ』だったのだろうと思います。とはいえ、コンディションによってはそれすら受けつけないこともあるコウがご飯と野菜だけの食事をとるのを見ていると、「これでは栄養が足りないだろうな~」と不安になることもありました。また、「コウ君は勉強ができるからいいよね!」に関しても、素直に「そうだね!」と言い難い現状があります。コウの成績表は4と3で構成されています。それだけを見ればこれといって大きな特徴のない普通の成績です。私も「この成績を高校受験までキープできたらいいな」と思っています。ですが、その一見普通の成績も、凸凹の激しいせめぎ合いの結果なのです。Upload By 丸山さとこ1学期の成績表について、スクールカウンセラーの先生から「コウ君の定期テストの順位でこの成績は通常あり得ないことです」と真剣な表情で言われたことがあります。地域の上位進学校を視野に入れられる学力にも関わらず、未提出課題があまりに多すぎて5が一つもなかったのです。これにはコウもショックを受けて、2学期は課題の提出を頑張りました。その甲斐あって2学期の成績は上がりましたが、学力に合った学校に進学できるほどの内申点にはまだ届いていません。1~3割だった提出率が5~8割になっただけで、十分な提出率とは言えないからです。これまでを知っている親から見れば快挙ですし、先生方も「1学期より頑張っているね」とコウに伝えてくださっています。それでも、進学についての話になると先生方もしぶい表情にならざるをえません。Upload By 丸山さとこ私立高校への進学を選べば、受験における内申点の影響は低くなります。ですが、入試に合格できたとしても、大学への進学率が一定以上ある高校であれば、入学後に課題や提出物の量に苦しむであろうことが予想されます。提出物をどうするかは「進学を乗り越えさえすれば何とかなる」とは言い切れないコウの課題で、親子共々(そして学校やスクールカウンセリングの先生も)頭を悩ませています。これらの食事や勉強の困りごとのように、コウの凸凹は『打ち消したり補ったりするのが難しい凸凹』であることが多く、「凸は凸でありがたいし、凹は凹で凄く困ってるんだよな~!」という状況になりやすい傾向があります。学校行事で保護者の方々と話していると、「うちの子どもは勉強は苦手だけど、サッカーは得意だからスポーツ推薦で私立高校に進学することにしたよ」などの「得意を活かして苦手をカバーした話」を聞くことがあります。コウも同じような話の枠として扱われているのだろうと感じることがありますが、彼の場合は「凸に合わせれば凹でつまずき、凹に合わせれば凸でつまずく」ことが多いようです。Upload By 丸山さとこ・多くの子どもが嫌いな野菜をモリモリ食べる姿を見て「お肉も少しくらいなら食べられるでしょ?」と強いられて吐いてしまう。・「Aが理解できるのにBが分からないのは、ちゃんと話を聞いていないからだ」と思われ叱られる。・「Bが分からないということはAを説明しても無駄だろう」と判断され、説明を受けられない。…などの出来事に困ったり混乱したりしているコウを見ると、『〇〇だからいいじゃない』『□□なら大丈夫だよ』とは言えないなと思います。スポーツが得意で勉強が苦手な子どもは理解されやすいのに、コウの場合はそうなりにくいのはなぜなのでしょうか。私は、『その存在が一般的な想定の範囲内なのかどうか』によるのではないかと考えています。コウの凸凹は一般的な想定の範囲を超えているため、「できないのではなく、しないだけだろう」と解釈されやすいのかもしれません。そんな風に理解されにくい凸凹に悩まされることの多いコウですが、理解されにくいことそのものに対してはザックリと捉えて気にしていないそうです。「分からないことは仕方ない。自分も周りの人の気持ちや考えは分からないことも多いし、すごく嫌なことを言われたりするんじゃなければいいや」とコウは言います。私もコウと似たような考え方をしているところがあり、その気持ちは少し分かるなと思います。理解を求めてジレンマを抱えたりストレスを溜めたりすることを思えば、自分が楽になる考え方と言えるのかもしれません。Upload By 丸山さとこその一方で、近年の私は「これはあまりにも『他者や社会』をバッサリと切り捨てている考え方なのかもしれないな」とも思うようになりました。理解を求めず「現状こうなのだから仕方ないね」と割り切れば、悩むことはなく気持ちは楽かもしれません。ですが、理解を得られないことによる誤解や、それに基づくトラブルや軋轢(あつれき)は解消しないままになるのだろうと思います。私がそう考えるようになったのは、近年、自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。Upload By 丸山さとこコウはこれからも自分自身の凸凹によってつまずくでしょうし、分かりにくい凸凹であることから周囲の理解を得られずに困ることもあるだろうと思います。そうしていく中で、彼がその時々に合った『自分の納得感』を大事にしながら、周囲とのズレも含めた凸凹と付き合っていけたらいいなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)発達障害のある方にとってよくある、「誰にだってあるよ」「〇〇だからいいじゃない」とよく理解していない人に軽く言われてモヤモヤするというエピソードを、具体的に紐解いて解説していただきありがとうございます。本当によくありますよね…。書いていただいたようにまさに「凸凹は一般的な想定の範囲を超えている」ので、なかなか分かってもらえないのだろうというところです。全員に分かってもらうのは難しいので、分かってもらえそうにない人には理解を求めるのを諦めてスルーした方が、こちらの精神衛生上はいいのでは?とお話しすることが多かったのですが、今回の記事の中に「自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。」という一文には、思わずハッとさせられました。誰にでも理解を求めていこうとするとこちらも疲れてしまいますが、味方になってもらいたい大切な相手には、丁寧に伝えることで理解してもらえることに越したことはありませんね。そういうときに、ここにあるさまざまな体験談・解説などの記事を参考にして自分のお子さんの場合と照らし合わせて、説明の仕方を工夫するのもいいのかもしれません。いつも分かりやすい記事をありがとうございます。
2023年01月20日定型発達だと思っていた次女私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。Upload By にれ検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。不安が膨らみ、長女の療育先に相談「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。半年経って、強まってきた特性そうして1歳半健診から半年が過ぎました。その間、多動ぶりに困らされることが多くなってきて、「定型発達だろう」から「何らかの特性があるかもしれない」に私の意識も変わりつつありました。さらに、2歳を迎えてイヤイヤ期も最高潮。外へ行きたがるので1時間半から2時間ほど散歩に出る日が多いのですが、帰宅して私がクタクタになっていても、あずさは玄関でひっくり返って「おさんぽーーー!!もっかい!!いこうよーーーーー!!!!」と30分近く大泣きする日もしばしばでした。日ごろはいつもニコニコして、スーパーへ行くと周りのおじいさんおばあさんから「愛嬌のある子だねぇ~」と人気者になることも多いあずさですが、ひとたび癇癪が大爆発すると、親を叩いたりおもちゃを投げたりと手がつけられないようになってきたのです。Upload By にれそれでも私は「これがイヤイヤ期かぁ。大変だけど、まゆみはイヤイヤ期がまだ来ていないから新鮮だなぁ」とのんきに考えていました。転機になったのは、あずさを観客として連れて行ったまゆみの療育先の運動会でした。特性が大爆発!もう一度診察を受けることになって地域の体育館を借りて行われた運動会で、外に出たがったあずさが大癇癪を起こしたのです。あずさをなだめるのに抱っこして外へ出ようとすると、母親がいなくなるのを察知したまゆみが泣き出すというカオスな状況で、先生方も2人を泣き止ませようとあの手この手を尽くしてくれました。Upload By にれあとから聞いたのですが、差し出された風船を怒りのまま叩き落とすあずさを見て、先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。いつもニコニコ人懐こい印象だったので、「あずさは物怖じしない性格なんだ」と思い込んでいたのです。そのまま療育をすすめられ、「療育に診断書の要る自治体だったら書いているところだけど、うちの市は診断書がなくても療育が受けられるので正式な診断はまだつけないでおきますね」と言われました。あずさはいわゆるグレーゾーンに当たる子どもなのだろうと思いました。ショックを受けつつも、心に芽生えた気持ち長女に続いて次女にも自閉傾向があるという事実はショックでしたが、2歳という早期から療育を受けられることになったのはあずさにとって良かったと思っています。指差しや受け答えができても自閉スペクトラム症とされる場合もあるのだと、私にとっても大きな学びになりました。あずさは今後、とりあえず1年間療育に通わせて様子を見るつもりでいます。Upload By にれ先生方にとって、保護者に子どもの発達の指摘をするのは勇気の要ることだと思います。元々相談実績があったとはいえ、運動会のあとに指摘してくださったことは本当に感謝しています。また、あずさの場合は気づきにくいタイプの自閉スペクトラム症だったこともあり、おそらく長女の存在なしには発達の違和感に気づけなかったんじゃないかとも思います。次女のあずさの特性の早期発見と、早期療育につながることができたのは、その前にお姉ちゃんのまゆみに発達障害があることが分かったことがきっかけで母親の私が徐々に理解を深めてこられたためでもあるので、まゆみにもありがとうと言いたいです。この先どうなっていくか未知な部分はたくさんありますが、姉妹の特性をよく理解して、親も子も笑顔を忘れないようにしていこうと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)次女あずさちゃんが療育につながったエピソードのシェアをありがとうございます。人の多い場面でじっと待てないことに違和感を感じたり、多動さや癇癪などに対応するのに苦労したり、そうしたことに瞬間瞬間でそう感じることはあっても、日々の子育てでそうしたことが流れていくなどして、なかなか相談する機会も持ちづらい面もあるかもしれません。にれさんが健診や長女まゆみちゃんの療育機関でそうした気配や不安をお話されたことがまずとても良かったと思います。にれさんも書かれているように、早期に療育につながったことは、あずさちゃんのより良い成長発達の面ではとても良いターニングポイントになったでしょう。相談して、何もないなら何もないで見守る。その後にまた違和感を感じたら、また改めて相談する。そうして複数の目で子どもの発達を見て、できることをする。そうした営みがとても良いなぁと感じました。
2023年01月19日自閉スペクトラム症がある息子の入園時の様子Upload By まる先生の話によると、息子は入園当初の4月5月は、部屋にいることができず教室から出て行ってしまう、椅子に座っていることができない、登園後の支度も先生が一緒にやろうとしても嫌がる、などがあり、先生も必死で接してくれていた様子だ。今思い出すとそのころはお迎えに行くと子どもたちはみんな大きなホールで待っているが、息子だけ「ホールにいたくなかったみたいで…」と別の部屋から先生と2人で出てきたりすることが多かった。私も息子が座っていられない、教室から出たがるなどは絶対しているだろうなと思っていて、入園当初は加配保育といえども、「これではうちでは見れません、辞めてください」と言われるのではないかとハラハラしていた。ただ今思い出すと、入園してからずっと保育園側から「リュウちゃん全然座っていられなくて…」などのマイナスな連絡はいっさいない。送迎時はほかの保護者も多くバタバタしているので、そんなにお話しする時間もないということもあるだろうけど、「静かな部屋に入って行って絵本読んでました」や「今日はこんなことしてましたよ」などのお話だけでにこやかに対応してくれていた。今回面談をして4月、5月ごろの息子の様子を詳しく聞けて、改めて先生方に感謝すると共に、息子の成長がうれしくなった。現在の保育園での息子Upload By まる入園当初、座っていられず教室から出て行きたがっていた息子は、なんと今は朝の回も帰りの回もお昼ご飯の時間でさえしっかり座っていられるというのだ。登園後の支度なども、荷物をリュックから出してタオルはここに置く、着替えはここに置く、など一連の流れができているそう。ほかの子どものように完璧に1人でできるわけではないので、先生がある程度ついててくれているようだがきちんと動けているらしく、「リュウちゃんすごいんですよ!」と先生もうれしそうに教えてくれた。息子は食べることが大好きなので、お昼ご飯も保育園の楽しみの一つになっていると思う。ママとのご飯のときは自分が食べ終わったらすぐに動く!の息子だが、保育園の集団の中では、時間が来るまで席を立ってはいけないということが分かったようだ。食べるのが早いのですぐに食べ終わってしまい、以前は食べ終わったらウロウロ動き出して先生が介入していたようだが、「今はつまらなそうにしてるけど、ちゃんと席に座ってごちそうさまするのを待っているんですよ…!」と聞くことができ、私も嘘でしょ!?とビックリするほどだ。自分で考えて居場所を見つけているUpload By まる少人数の保育園から急に人数の多い園に入ったことによって居場所が分からず、環境にも慣れていないために教室から出て行くなどして逃げ回っていたようだが、今は保育園に慣れて楽しんでいる様子だ。話を聞いていると、自分なりに気持ちの落ち着く場所を探して移動したりしていることが分かった。息子はおっとりとしたおとなしい性格のため人が多い場所や騒がしかったり盛り上がっている空間が苦手なようで、教室で自分の周りが騒がしくなってきたりするとスッと教室内での居場所を変えるなどしているらしい。でも毎回いなくなるわけではなく、みんなと一緒になってキャーキャーはしゃいでいるときもある様子。同じ空間の中で不機嫌にならずに自分の気持ちで場所を移動して生活できていることに成長を感じた。友達と会話ができない息子、母が一番心配なことは…Upload By まる私が一番心配なのは友達関係だ。発語はあるがまだ言葉のやりとりが全くできないので、保育園では基本的に先生と一緒に行動していて、同年代の子どもと一緒に遊ぶ姿はなかなか見られない様子。会話が成立するまで友達関係を築くことは難しいだろうと私も思っているので、無理にでも子ども同士の関わりを持たせて欲しいなどは望まないが、毎回お迎えのときに子ども同士で遊んでいる中1人でいる息子を見ると少し寂しい気持ちにもなる。でも息子が保育園を休むとクラスのお友達が「今日リュウちゃんは?」と気にかけてくる様子があったり、たまにだが絡んでくる子どももいるようで、お友達との関係性は時間をかけて様子を見守ることとなった。保育園にお迎えに行くと「リュウちゃん!ママきたよー!」と叫んで教えてくれる子どもが多く、ちゃんと息子を認識してくれているんだなと分かり、今はそれだけでうれしい。執筆/まる(監修:初川先生より)入園から8ヶ月が経ち、リュウくんが保育園に慣れてきている様子で何よりです。環境の変化を理解して馴染みつつ、自分のできること・できないこととの折り合いのつけ方を少しずつ身につけているようですね。ただ座っている(座って待つ)は実は結構難しいことなのですが、それをそういうものだとして取り込んでいるのはすごいなと感じました。先生方がきっとそれができたら即時で褒めてくれるなど、本人にとっていいことがないと、なかなかそこは身につきにくい習慣ではあります。さて、お友達関係について。園生活にも慣れてきたので、友達について考えられるようになってきたということでもありますね。大人の思う「友達」と園児たちの思う「ともだち」とはおそらく違ったものを指していると思います。もしかしたら、園の子どもたちにとっては、同じ園にいるだけで「ともだち」であることに何の疑いも持たないかもしれません。友達なのかどうか、ほかの子どもと関わるには、ということを広く考えるとなかなか雲をつかむような話です。そこで要素に分けて考える。「友達」として外から見て分かりやすいところで言えば、挨拶をする、一緒に遊ぶ、声をかける・かけられる、話をするなどがあります。そういうそれぞれの場面において、まずどこなら取り組みやすそうか、どこならうまくいきそうか(相手の子どもたちがうまく対応できそうか)というところから見ていきましょう。そして、きっとこういうことは園の先生方はうまく仕組むのがとてもお上手ですし、そういう場面をつくりたいと日ごろから考えていらっしゃるのではないでしょうか。そういうことも日々の先生方とのやりとりや面談時などで話題にしてみると良いかもしれませんね。
2023年01月19日スバルは人が好き。検査結果通り「言葉が遅いだけ」?1歳半健診で言葉の遅れを指摘され、2歳から何度か受けた発達検査では「言葉が遅いだけ」と診断されたスバル。そうは言ってもやはり不安でインターネットに載っている「2歳ごろの発達障害チェック表」を確認せずにはいられませんでした。スバルは目が合い、好き嫌いなく何でも食べ、いつもにこやかで、抱っこが大好き、しゃべらないものの呼べば手をあげて返事をする子だったのでチェック表にはあまり当てはまりませんでした。当時当てはまると感じたところは人見知りをしない、言葉が遅い、落ち着きがないなどです。人見知りしないと言うより人が好き過ぎて、公園で知らないおじいさんと手を繋いでお散歩に同行しようとするくらいでしたが…。普段の生活の中で大きな困りごともなく、私の言っていることを理解してコミュニケーションもとれ、チェック表にはあまり当てはまらない、それならば診断通り「言葉が遅いだけ」なのだろうと胸をなでおろしました。言葉を増やすための次の一手スバルが2歳数ヶ月のころ。集団での刺激を期待しプレ幼稚園に通うことにしました。スバルと私にとって初めての集団生活です!余談ですが私はスバルを妊娠中にこの地へ引っ越してきたため、友達も知り合いもおらず、家庭内ではワンオペ育児、育児書に従いスマホもテレビもほとんど観ない孤独な生活を送っていました。公園で散歩中のおじいさんおばあさん、たまに同年代のお子さんを連れたママさんと交流することはありましたが、それはその場限りの関係。とうとうスバルと私に友達ができるのかと思うと心が踊りました。何よりも人が大好きなスバルにとって、右も左もお友達で溢れている環境はまさに楽園。これはかなりの刺激になって、言葉の爆発が起こるに違いない…期待でいっぱいです。いざプレ幼稚園へ最初の数ヶ月は母子同伴通園で、慣れてきたと先生が判断した子どもから順番に母子分離通園に切り替わって行くシステムでした。最初はどの親子もつきっきりで、集団生活を円滑に送るべくサポートしていました。自由時間には「お友達が順番待っているよ。もう少ししたら交代しようね。」と声をかけ、集団活動の時間には「このペンでここにお顔を描いて先生のところに持って行くんだって」と先生からの指示を分かりやすく伝え、お弁当の時間には「自分のコップを持って先生から水を注いでもらってバナナのシールが貼ってある席に座るんだよ」といつもの流れを先回りして説明します。それはスバルがプレ幼稚園に入園する前から、自然と私がしていたことでした。スバルはそれらの指示を理解しその通りに行動する事ができました。心配していた初めての集団生活は何も問題がなく、順風満帆だと思いました。そう、このときまでは…。3ヶ月後、周りを見渡すと…周りを見渡すと、母子通園している親子は私とスバルだけになっていました。入園から1ヶ月過ぎたころから次々と母子分離通園に切り替わっていき、ママの膝の上で泣いて離れられなかった女の子が先週から笑顔で登園できるようになり、残るはわが家だけになったのです。この3ヶ月で何があったのかと言うと…。Upload By 星あかり「お片づけの時間だよ」「お外に行くよ」など直接指示すると理解できるのに、先生がクラス全体に呼びかけた場合は全く指示が通らないのです。そのほかにも、私が膝の上でホールドしていないと絵本の時間に歩き回ってしまったり、そもそも話を聞いていなかったりと明らかにスバルだけ浮いていました。スバルが当初問題なく活動に参加できていたのは私が横で同時通訳していたからで、私が隣にいなければまるで周りに誰もいない空間であるかのように自由に振る舞うのです。クラスメイトたちは、3ヶ月で幼稚園のルールを学び、座るべきときに座り、先生が話し始めれば姿勢を正して聞き、プレ幼稚園での集団生活に馴染んでいきました。スバルにはそれができませんでした。条件つき母子分離通園母子同伴通園がわが家だけになり、焦っていました。少しでも、ほんの少しでもあの子たちのようにできるようになって…と願っていろいろな方法を試していましたが効果はいまいち。そんなとき、先生から「そろそろ母子分離通園をはじめましょう」と声をかけられたのです。喜んだのもつかの間、それは条件つきでした。朝の会、終わりの会、絵本の時間やイベントなど座っていなければならない時間は私も参加し、スバルを膝の上でホールドすることが条件でした。母子分離通園というより「ときどきフリータイムのある母子同伴通園」です。朝幼稚園に行き朝のホールド、一旦公園で時間を潰し幼稚園に戻ってきて絵本のホールド、ちょっと休憩を挟んで帰りのホールド。Upload By 星あかり公園でぼんやりと待機する時間はいろいろなことを考えて悩んで苦しむ時間でした。そのころには公園のベンチで「スバルは発達障害があるかもしれない」と考えるようになっていました。集団の中ではなく一対一なら話が通じ、人が好きで興味があることには集中して座っていられるスバル。周りに気が散るものがない個室で受けた発達検査では困りごとが見つかりにくく「言葉が遅いだけ」と診断されたのかもしれません。私もプレ幼稚園に入るまでは「言葉が遅い以外に困りごとはない」と思っていました。しかし本当はたくさんの困りごとを抱えていたのです。それでも「言葉が遅いだけ」と診断された事実から「言葉が出たら全てが良い方に変わるかも」というほんの少しの期待が捨てきれずにいました。そしてそれが心の底でゆらゆらして、次へ進む決断ができずにいたのでした。執筆/星あかり(監修:鈴木先生より)健診では目で見える多動や耳で聞こえる言葉の遅れに対して主眼を置いているため目や耳では分からない情緒面からのアプローチがほぼないのが今の日本の現状です。悲しいことにそれは乳幼児健診に限ったことではなく、学校健診においても同様なのです。個人名を呼んであげないと理解できないのも自閉スペクトラム症の特徴です。注目してあげないといけないのです。初めは様子を見ていてもいいのですが、親がほかのお子さんと何か違うなと思ったときがサインだと思います。気づいて医師に相談したときが早期発見だと思えばいいと思います。
2023年01月18日私はしのくんと二人で出かけるのが怖かったしのくんは4歳半ごろまで我慢が苦手で、じっとすることが難しかったので、しのくんとお出かけするには覚悟が必要でした。基本的に家族3人でお出かけするようにしていましたが、夫も仕事があるため、いつも3人でお出かけできるわけではありませんでした。なので、しのくんと二人きりでのお出かけは「私一人で大丈夫か!?」と不安になってしまい、いつも怖かったのを覚えています。Upload By keiko私は常に「しのくんが言うことを聞いてくれなかったらどうしよう?」「走っていってしまったらどうしよう?」「駄々をこねたらどうしよう?」「ムリに連れて帰ることになったら、私一人で大丈夫だろうか?」と心配していました。せっかく楽しくお出かけしているのに、私はいつも気が気じゃなく、「もしも〇〇なことが起こったら?」と想像しては怖がっていました。お出かけ前はいつも緊張していたUpload By keikoお出かけのときは、しのくんが脱走しないように、いつもぎゅっと手を握りしめます。また、服装や持ち物にも気を配り、走りやすい靴と服に、両手が空くリュック。すぐにお金を払えるよう、財布はショルダーバックに入れておくなど工夫していました。それでも、しっかりと握っていたはずの手を振りほどかれて逃げられることはしょっちゅうで、両手を空けるためにリュックを背負っていても、買い物した荷物を手に持っているときに限って、しのくんが駄々をこねだし、両手に荷物と暴れるしのくんを抱き抱えて帰る羽目になったこともありました。とにかく、家を出てから、無事に家に帰るまで気を抜くことができません。そして、どんなに準備をして気を張っていても、やっぱり心配していた事態は避けられないものです。ある夏の日も、やはり事件は起きたある夏の日、デパートの広場でお祭りイベントをやっていたので、しのくんと二人で行ってみることにしました。ヨーヨーや的当て、スーパーボールすくいなど、楽しいゲームができる出店にテンションが上がるしのくん。夢中になって遊んでいる様子を見て、私は「また帰るときに駄々をこねそうだな…。」と不安になりました。ひとしきり遊んで、しのくんが満足した頃合いを見計らってなんとか帰ろうとしたそのとき…タイミング悪く、デパートの広場の仕掛け噴水が動き始めたのです。Upload By keikoUpload By keiko仕掛け噴水を見たしのくんは、テンションが最高潮に!握っていた私の手を素早く振りほどき、仕掛け噴水めがけて一直線。あっという間にびしょ濡れになってしまいました…。こうなったらもう家に帰るどころではありません。しのくんが仕掛け噴水から離れようとしないため、最終的には私も一緒にびしょ濡れになり、ヘトヘトになったころ、ようやく家に帰りました。Upload By keiko4歳9ヶ月になった現在は変わった?4歳9ヶ月になった現在は、少しずつ自分の感情をコントロールできるようになって、我慢できる場面が増えてきたように感じます。今でも外出先で手を離すのは不安ですが、いきなり走り出すとか、駄々をこねて帰らないということは減ってきたので、しのくんと二人きりでお出かけするのが怖いという感情も少なくなってきました。これからは、勇気を出してもっといろんなところにお出かけして、しのくんにたくさんの経験をさせてあげたいなと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)母子二人でのお出かけにまつわるエピソードありがとうございます。似たような心境、似たような展開に見舞われた保護者の方も多いのではないでしょうか。噴水で母子ともどもずぶぬれになったのは大変でしたね。あぁどうしてこんなタイミングで…!なんなんだ、今日はコントなのか…?と頭の中で自分の声が響くようなとき、不思議とありますよね。しのくんの成長に伴って、ひやひやしながらお出かけすることが減ってきたのは何よりです。成長ののちに、大変だったこともちょっとほほえましく語れる思い出として振り返れる日が来るといいなぁと思います。
2023年01月18日作業に時間がかかる太郎Upload By まゆん4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている太郎は、小さいころから作業全般に時間を要す。特に、指先で行う細かい作業に苦手さがある。例えば小学校の体育祭。ハチマキを巻けずに友達にヘルプを出して結んでもらっていた。私はというと、その様子を見て、太郎がヘルプを出せることや手伝ってくれる友達の優しさに涙を流していた。そのほかにも「エプロンのひもを上手く結べない」と言い、家で繰り返し練習していた。あえてひものある靴を選び、ひもを結ぶ練習をさせたりもした。いまだに、ひもを結ぶのは時間がかかる。中学校の制服問題太郎は今年度から中学校の特別支援学級に進学した。それに伴い制服を着なければならなくなり、太郎にとって2つのつまずきが出てきた。その1、スクールシャツのボタン。学ランのボタンはわりと大きいためか、スムーズに間違いなくとめることができた。しかし、下に着るスクールシャツのボタンは時間がかかるし毎日のようにかけ違える。それを見てばあばは、ニコニコ愛おしそうな顔をする。「太郎?かけ違えないように印をつけとこうか?」そう助けを出そうとするが、太郎は首を縦には振らない。自分の力でなんとかしたいという思いがあるのだろうか。私たちは、毎日かけ違いがないか見守る毎日をいまだに続けている。Upload By まゆんその2、今まで経験のなかったベルト。ベルトについては、まずズボンに通すところから練習した。入学前の春休みに何回も練習した。通す技を習得したら、次はベルトをとめたり緩めたりすることを練習した。そうして、中学校生活が始まった。帰宅すると太郎は、ズボンを脱ぐときにベルトをズボンから外す。「ズボンに通したままにしておいたら、次に履くときに時間がかからないよ」と伝えたが、そこは太郎のこだわりらしい。ベルトはズボンから綺麗に外してハンガーへかける。Upload By まゆんそして余談になるが、よくスクールシャツと学ランの間に着る防寒着を学校へ忘れてくる。何度言っても忘れてくる。中学校の制服一つで、太郎の特性やこだわりが見えてくる毎日だ。あとがき太郎の作業に対する時間のかけ方、かかり方は幼少期からあまり変わりません。時間はかかるけれど、本人はまずまず気ままな性格であるため苛立ちは見えずに、ゆっくりと時間をかけて自分でなんとかできています。それにしても、シャツのボタンに対してここまでかけ違いが長く続くとは予想外でした。このように毎日予想内、予想外の連続で良い意味で刺激をもらっています。私のかたい頭がほぐされてるように思えます。執筆/まゆん(監修:鈴木先生)作業時間に影響するのは主に処理能力です。同時処理に苦手さがあると、たとえば板書の写しに時間がかかります。継時処理に苦手さがあると、段取りが悪くなります。また、ワーキングメモリの働きが弱いと、作業が覚えにくいので時間がかかります。今回書いていただいたボタンやベルトについては、ボタンの代わりにマジックテープにする、ベルトの代わりにゴムにする、などの工夫をすることもあります。また、発達性協調運動障害がある場合、リハビリの作業療法(OT)でやる感覚統合訓練が有効と一般的には言われています。発達が気になる子どもの将来を考えると、就職する前にできるだけ早く特性を知ることが大切です。たとえば、ADHDがあればそれを治療することで集中力をつけて覚えやすくしたり、忘れ物を減らしたりしていくことが重要なのです。小児科の神経外来など早く専門の医療に介入することで自尊心を下げずに済むことが期待されるのです。
2023年01月17日本人への障害告知以前コラムでも書きましたが、娘は中学2年生のときに主治医から障害の本人告知を受けています。告知は・娘自身が「自分の障害について知りたい」と思った・本人に“居場所”があり、精神的に落ち着いている・告知後、支援者(学校関係者)のフォロー体制ができていることを医師が確認したうえで行われました。そのおかげで娘は障害告知をポジティブに受けとめることができました。障害告知から6年後に、再告知その後、娘は高等特別支援学校を卒業し、特例子会社(※)に就職しました。そして20才になったある日、娘は再び私に「自分の診断名を知りたい」と言いました。私は娘に、中2のときに告知を受けているのになぜまた聞きたいのか尋ねました。娘は「診断名は知ってるけど、自分の障害の詳しい種類と程度を知りたい」と言いました。SNS上でも発達障害に関する情報や当事者として発信する人も多くなってきていましたし、娘もそういったものを見て何かしら思うところがあったのかもしれないと、このとき私は思いました。(※)特例子会社は、「障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社」のことです。【参考】厚生労働省特例子会社制度の概要Upload By 荒木まち子娘は社会人になってからは一人で通院をしていました。何か親が医師に伝えたいことがあるときは、手紙を書き娘から医師に渡してもらっていました。私は医師に『娘が自分の障害名や障害の程度を知りたがっている』旨の手紙を書きました。医師は中学生のときから娘を診ているので娘のことはよく分かっています。二度目の告知は通常診療とは別枠で予約を取り、親同伴で行われることになりました。一度目の告知のときは前回の告知のときは、娘と親がそれぞれ感じている“本人の長所と短所”を事前に書き出しました。・真面目で一生懸命。我慢強い・常識を学び、言われたことは直したいと考え努力している・ルーチンに強く、さぼらない・興味や関心が深く狭い。技術や知識は多い・自分から気持ちを伝えることは、落ち着いてるとできる・会話は苦手で、相手の言葉に不安になることがある・新しいことや状況の変化・変更に対して臨機応変に対応することが苦手これらのことを一緒に振り返りながら医師が娘の『特性』を文字に起こして障害の説明をしました。本人の理解力に合った言葉選びと文字を書きながらの説明は、視覚優位の娘にはとても有効な方法です。医師からは『これからどのようにして周りの人たちに助けを求めていくのが良いか』のアドバイスもありました。2度目の障害告知では二度目の障害の説明でも、事前に本人と親で『娘の長所と短所と思われることの書き出し』をしました。その内容は6年前とほとんど違いはありませんでしたが、新たに“自分のことばで相談を持ち掛けるのは、ハードルが高い。相談してくれる人が向いてくれたら話せる。自分から働きかけることが苦手”が加わりました。娘は自らに主治医に「自閉症」「発達障害」「アスペルガー症候群」「ADHD」の違いや「自分は何に当てはまるのか」「障害の重さはどの程度なのか」などを質問しました。娘の質問に対し、主治医は図を書きながら娘に分かるように説明をしました。そして診断名は大事な個人情報だということも娘に伝えました。娘をとりまく環境の変化私は当初、再度自分の障害についての説明を望んだ娘の心境がよく分かりませんでした。でも娘と医師のやり取りを見ているうちに、娘が“学生”から“社会人”になったことが大きく影響しているのだと感じました。『学生』でなくなると、選択の自由度が増し、煩わしいもの、嫌なことを避けることもできます。学生時代は限られていた交友関係や活動範囲を広げることが可能です。一方で、自ら行動を起こさなければ人間関係は希薄になりがちです。周りの人は本人の意思を尊重します。そして自身の行動には責任が伴なってきます。そんな中で娘が自分の障害を再確認したいと思うのは自然なことだったのかもしれません。これからも親は子どもが何歳になっても親ということには変わりありません。そして子どもに障害があると、子どもを守りたいという気持ちはことさら大きくなります。でも自分の障害を理解しようとしている娘の姿を見て、私は彼女を一人の大人としてもっと尊重し、対等なスタンスで接していくべきなのだろうと感じました。これからも人生の節目やターニングポイントを迎えるたびに、娘は自身の障害についていろいろと考えることでしょう。そしてそのとき、私もまた新たな気付きを得るのだと思います。いつになるか分かりませんが、そのときまで体も心も頭も(笑)元気でいたいものです。執筆/荒木まち子(監修:鈴木先生より)そもそも自閉スペクトラム症を「障害」ととらえずに「特性」ととらえればいいのです。特性を知ることで今後の人生や生き方に役立てればいいと思います。重要なのは会社や周りの人たちがその特性を理解してくれるかどうかです。理解してくれることによって優しく丁寧に具体的に肯定文で話してくれれば、娘さんにとって生きやすい社会になります。最近はSNSなどでさまざまな情報が飛び交っております。重要なのは信頼のできる主治医と向き合って自分独自の特性を正確に知り、どういう対策を取ったらいいか知っておくことです。そしてそれを理解してくれる仲間を増やすことです。
2023年01月17日支援者のみなさまの意見を聞かせてください!フェリシモCCPでは、『ポケットの中が見えるメッシュリュックインナー』『タスクチェッカー』『両面すべり止めクッション&足もとマット』『お片づけ収納ラック』など、これまでさまざまなお助けグッズを発達ナビユーザーのみなさまと一緒につくってきました。それらのグッズを販売する中で「うちの施設にもこれを導入したい!」「こんな商品があったらよさそう!」など、支援者の方からも、あたたかいご感想やアイディアをいただくことが多くありました。Upload By 発達ナビ編集部そこで、コラボ第5弾となる今回は、ご家族や当事者とは違った視点で発達が気になる子どもを見守り支える支援者のみなさまに、お悩みや課題、アイディアをお聞きしたく、オンライン座談会を開催いたします!【参加者募集!】支援者座談会をオンラインで開催2023年2月20日(月)もしくは2月25日(土)にフェリシモ主催の座談会にご参加いただける方を募集いたします。座談会では、プランナーやスタッフ、参加者のみなさまで「こんなものが欲しかった!」「こんな困りごとがある」などの意見交換を行います。詳しくは以下の株式会社フェリシモのお申込みページをご覧ください。座談会および商品企画の様子は、発達ナビの記事やフェリシモのSNSなどでお伝えしていく予定です。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します開催内容座談会開催日:2023年2月20日(月)もしくは2月25日(土)開催時間:14:00~16:00場所:ビデオ会議アプリ「Zoom」を予定。(希望者多数の場合、株式会社フェリシモ本社( 兵庫県神戸市・三ノ宮駅から徒歩約20分)にて対面での座談会も検討しています。アンケート内でお答えいただけます)お礼:「フェリシモお買い物クーポン券」3,000円(税込み)分をプレゼント。募集要項応募条件:上記座談会にご応募いただけるのは、次の項目にあてはまる方です1. 発達が気になるお子さまを支援するお仕事をされている方(特別支援教育に携わる先生や保育士さん、放課後等デイサービスの指導員さんなど)2. 発達が気になるお子さまとご家族の「困った」を解決するグッズを一緒につくりたい方募集人数:上限約6名(応募者多数の場合は抽選となります)※友人・知人と一緒にご参加を希望される方はそれぞれお申し込みください。また、応募フォームにその旨を記載いただくと、参加選考の際に配慮いたします。※ご応募にはフェリシモ会員登録と、フェリシモモノコトラボメンバーへの登録が必要です。いずれも登録は無料です。案内に沿ってご登録ください。申し込み締切:2023年1月31日(火)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますフェリシモ|モノコトづくりラボ
2023年01月16日ASD息子とお笑いライブへ!?Upload By taekoASDのある小3ミミ。最近は動画サイトで関西弁を少し覚えて家や学校でも使っていました。ミミは関西弁に興味がある?それなら…!と本物の関西弁を体感させたいと思い、お笑いライブに連れて行こうと計画!早速1ヶ月後にあるお笑いのチケットを取りました。ライブ当日。ミミがきっかけでライブに行こう!と思い立ったので、「ミミのおかげだよ、ありがとうね」と伝えました。そして2人でいざ出発。会場までは電車で40分ほど。乗り物があまり好きではないミミは途中から靴を脱いで座席に足をのせていました。エレベーターに乗るときも、混んでいるのが好きではないので「嫌だなぁ」と言っていて不安だったのですが、ライブが始まると大きな声で笑うミミ。「めっちゃ面白いね!」と話しかけてくることもあり、楽しめているようで良かった!と思いました。ライブは前半1時間、休憩が入り後半1時間ほどあり、ミミは途中でちょっとお疲れ気味に…途中で帰ろうかとも思ったのですが、ところどころで笑っていたので最後までいることにしました。Upload By taekoライブが終わり、息子の言葉は…ライブが終わり今の時間を知ったミミは開口一番「もうそんな時間!?」と驚き、「え~終わった。休みが終わった~」と不満そうでした。あんなにもライブを楽しんでいたのに?ミミに話を聞くと「ゲームをやる時間がなくなっちゃった!」とのこと。そういえばミミに始まる時間は伝えていたけど終わる時間は教えていませんでした。ミミは大好きなゲームをする時間がなくなったと思い機嫌が悪くなってしまい…。「あーあ、ゲームの時間がなくなる」「お笑いなんてなければいいのに」と怒りの矛先をライブの方へ…。私は「お笑い芸人さんは頑張っているんだから悪くないよ、私が帰りの時間を伝えずにミミを連れてきたのが良くなかったね。ゲームできなくなっちゃってごめんね」と伝えると「全然楽しくなかった。休みが終わっちゃったよ」と何度も言いました。さすがに悲しくなってきた私は「ごめんね。でもあんまり何度もそういわれると悲しいな」と伝えると「なんで悲しいの?」と全然分かっていない様子。帰り道もぶつぶつと不満を口にするミミに「ミミも笑っていたのに」というと「ウソ笑いだよ」と。ミミは特性から、空気を読んだりするのが苦手です。そして長い時間の移動も頑張ってくれて疲れていることも分かっているのですが、ミミとの距離をとても遠く感じてしまいました。親子だけど私は私でミミはミミ。別の人間なんだな…とすこし物悲しい気持ちになりました。Upload By taeko帰宅後、早速ゲームで遊ぶミミ。仕方なく普段より長い時間OKにしたら機嫌も直ったようです。そして数日たったある日…雑談の中でお笑いライブ中のネタをミミが言ってきました!それ、ライブのネタだよね?と聞くと「うん、ちょっと楽しいところもあったよ」と。私はホッとしました。少しでも楽しかった記憶が残っていて良かった…。でも次に何かに誘うときには事前準備をしっかりして、ミミの気持ちと時間を大事にしようと思った出来事でした。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)お笑いライブに親子で行ったエピソードをありがとうございます。楽しい時間を過ごしていたはずなのに、ちょっとしたこと(本人にとっては重大なことですが)で、一気に「楽しくなかった」と語られる出来事、多くの保護者の方には思い当たる節があるのではないでしょうか。ミミくんはASDがあるので、taekoさんのほうで、移動中やライブ中もミミくんの「体力ゲージ」、つまりコンディションを細やかに観察されていますね。これはとても大事なことです。楽しいイベント(お笑いライブ)だからこそ、移動の多少の困難もライブ中の疲れも我慢できる…大人だからこそできる芸当で、子どもの場合、特に発達的な特性の強いお子さんの場合は特に、コンディションによって「楽しさ」が左右されます。楽しいこともつらいことになってしまう可能性もあるので、様子の変化は気を配っておきたいですね。さて、ミミくんは休日のルーティン的なお楽しみのゲームができないことで一気に悲しくなってしまいました。今まで楽しく過ごしていたとしても、注意が「ゲームができない」に向くと、オセロで一気に白黒反転するかの如く、「全部楽しくなかった」と捉えてしまいます。これは実際の楽しさがどうであったかというよりも、現在の「ゲームできない」という出来事についての悲しさの度合いだと理解しましょう。楽しみにしていたライブ、ライブ中も笑っていたなどの実際のミミくんの様子や事実がどうであるかは本人には今は重要事項として捉えられず、今の今は「ゲームできない」で頭がいっぱいで、そこそこ楽しめたライブとゲームのできなさを総じて、“だいたいこのくらい楽しかった”のようにくるっとまとめて理解することが苦手なのだと思います。なので、そこについて話し合いをしてもなかなかお互いが納得できるところへ行くのは難しいです。それよりも、「そうね、いつもの休日のようにゲームできなくて悲しいね」に焦点を絞って話をしたほうがイライラや悲しみは早く収まるだろうと感じます。こうしたイレギュラーなイベントで、ルーティンの楽しい時間を取れないかもしれないときは、例えば前もってスケジュール提示をしておくことがよさそうです。「このイベント(お笑いライブなど)は、このくらいの時間がかかって、いつものゲームは同じ時間帯にはできないけれど、どうしようか」を紙に整理しながら事前に話しておきたいですね。別日に少しだけ長くゲームをする、あるいは、その日はちょっと夜更かしを許して「今日はスペシャルだよ」と例外であることをしっかりと伝えたうえで、同じ時間を取る。イベントも、ルーティンのゲームも、どちらも楽しめることで、ようやくイベントの楽しさが(ゲームを邪魔したものと上書きされることなく)純粋な楽しさとして感じられるように思います。
2023年01月15日わが子にとっての「あたりまえ」とは?を考えるーー『自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界』この本では、発達ナビの連載ライターである「まゆん」さんと、自閉スペクトラム症があり特別支援級に在籍する息子の「太郎」くんの温かい日常のエピソードが描かれています。太郎くんとの生活は驚きの連続。ふとしたときに独特の感じ方、考え方を見せる太郎くんの特性を、まゆんさんも、まゆんさんのご両親やお姉さんも、否定することなく、やさしく受け止めてくれます。自閉スペクトラム症がある太郎くんのエピソードが中心に描かれていますが、そのほかにも看護師として夜勤で働くまゆんさん自身のお仕事のお話や、若くして亡くなったまゆんさんのお兄さんや病気が見つかったお姉さんのお話、先生や友達との人間関係などを含めて、「自閉スペクトラム症のある子どもの子育て」というテーマに限らず、生きるとは、子どもを持つこととは、その人にとっての「あたりまえ」とは、お互いを思うこととは、といった幅広いテーマについてじっくりと考えられる一冊になっています。感覚過敏、癇癪、抽象的な概念の理解の難しさなど、さまざまな特性があるものの、ときに大人が気づかないようなハッとするようなことを口にしたり、周りの人の言葉や行動を自分なりに解釈してやさしい言葉をかけてくれる太郎くんとの関わりを通して、太郎くんだけでなく、まゆんさんや太郎くんの周りの人が成長していく様子も垣間見ることができます。やさしさあふれる太郎くんとあたたかいご家族の日常から、自分にも人にもやさしくなれる生き方のヒントが得られるのではないでしょうか。一人にしない、立場を超えた対話の重要性ーー『対話から始める脱!強度行動障害』強度行動障害とは、他害や自傷など、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動を著しく高い頻度で起こすために、特別に配慮された支援が必要な状態を指します。近年、医療、教育、福祉、行政など、それぞれの分野でさまざまな取り組みが進められているものの、まだまだ家族や施設で孤立し、困り果ててしまうケースが多いといわれています。この本では、ライフサイクルを見据えたうえで、1. 思春期、2. 思春期~青年期、3. 成人期~高齢期と3つのパートに分け、強度行動障害の背景、予防のための工夫や支援、家族との関係性や自立生活のための支援についてなど、それぞれの時期にぶつかりやすい困りごとやその対処法について、座談会も交えながら、児童精神科医や介助職の方など幅広い立場の専門家により書かれています。大切なのは支援者も当事者も孤立させないこと。それぞれの立場を超えて対話を重ね、教育、福祉、医療など分野を超えて連携し、包括的に支援を行っていくことが強度行動障害を抜け出すための一歩になるのではないでしょうか。強度行動障害についてさまざまな悩みに直面したとき、この本は必要な情報を提供してくれるかもしれません。フリースクールについての疑問に答えてくれる一冊ーー『フリースクールを考えたら最初に読む本』近年では、不登校の子どもの数が年々増加し、フリースクールなど家や学校以外の「第三の居場所」の需要が高まっているといわれています。いざ子どもが不登校になり、フリースクールに通うという選択肢を考える段階になったときに、そもそもフリースクールとはどんな場所で、どんなスタッフがいるのか、どのように選べばいいのか、といったことについて情報を得ることが難しいという課題があるそうです。この本では、不登校新聞編集長の石井志昂さんにより、不登校について、フリースクールの必要性について、運営やスタッフについて、選び方についてなど、フリースクールに関して知りたい情報が分かりやすくまとめられています。Q&Aや当事者、保護者の方の体験談も掲載されており、幅広い視点から「フリースクールとはどんな場所か」について学ぶことができるような一冊となっています。不登校は決して他人事ではなく、何かのきっかけで急に学校に行けなくなってしまうことはいつでも起こりうることだと言えるでしょう。子どもが不登校になったとき、フリースクールは一つの選択肢になるかもしれません。フリースクールと言っても、中身はさまざま。子どもにとって最適な選択ができるよう、この本は必要な情報を提供してくれるのではないでしょうか。現在不登校状態にある方も、フリースクールについて知っておきたいという方も、さまざまな方におすすめの一冊です。強迫症の正しい理解と治療のためにーー『強迫症を克服するー当事者と家族のための認知行動療法』強迫症とは、自分の意思とは関係なく、ある考えやイメージが頭に浮かんで離れなくなり(強迫観念)、そこで生まれた不安を払拭するために同じ行動を何度も繰り返すこと(強迫行為)で日常生活に支障が出てしまう不安障害の一つです。強迫症は本人の生活に支障をきたし、そのことを自分で責めたりしてしまったり、家族や近くにいる人も巻き込まれてしまったりするケースが多く、とても苦しい病気であるといわれています。この本では、「洗浄強迫」「確認強迫」「整理整頓型強迫」「想像型強迫」などそれぞれのタイプごとに症状や原因が説明されているほか、強迫症の治療、家族の対応、関連するほかの障害などについて詳細に語られており、自分の症状に合った対処法を見つけることができるようになっています。強迫症の治療は「ひたすら我慢する」「ひたすら嫌なことをする」と考えられていることも多いですが、このようなイメージは誤解であるとこの本では述べられています。病気の実態や治療について正しい知識を得たいと思ったとき、この本はそっと寄り添ってくれるのではないでしょうか。誰もが参加し楽しめる、新しい体育のあり方ーー『合理的配慮にも活用できる!アダプテッド・スポーツで誰もが主役の楽しい体育』アダプテッドスポーツとは、身体活動をする際に配慮が必要な方(障害児者、高齢者、妊婦など)に対し、用具、ルール、環境などを工夫することで、誰もが身体活動に参加できるようにするための取り組みを指す言葉です。この本では、年齢、性別、障害などを問わず楽しめるアダプテッド・スポーツの考え方をベースに、誰もが主役になれる体育の在り方が分かりやすく解説されています。第1章では、理論編として、体育やアダプテッドスポーツの基本的な考え方を、第2章では、実践編として、器械運動、陸上運動、ボール運動など、それぞれの分野ごとにさまざまな運動の実践例が紹介されています。運動の効果・効用や評価の仕方など、実際に授業をデザインする際に参考になる内容もたくさん盛り込まれています。教室の中には、運動が苦手な子ども、身体を動かすことに制約がある子どももたくさんいるでしょう。体育の授業の時間に、誰かが我慢したりつらい思いをしたりする必要がない環境づくりのためには、みんなで楽しめる体育の授業を考えていくためには、どのようなことが必要なのか、この本と共に考えてみてはいかがでしょうか。「令和の日本型学校教育」と知的障害教育はどう交わる?ーー『知的障害教育における「個別最適な学び」と「協働的な学び」』2021年1月に中央教育審議会から「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が答申されました。この本では、答申の中で示された「個別最適な学び」と「協働的な学び」というキーワードについて、これらを知的障害教育においてどのように実現していくかについての提案がなされています。Ⅰ章で「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が示す内容を読み解き、Ⅱ~Ⅳ章では、知的障害教育の歴史、「学校生活の集団化と個別化」、教育目標「自立」をめぐる議論をもとに「個別最適な学び」と「協働的な学び」の在り方が検討されています。さらにⅤ章では「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する授業づくりについて、Ⅵ章では今後の課題と望ましい方向性について述べられています。知的障害教育の歴史を振り返ると、すでに「個別最適な学び」「協働的な学び」の多様で豊かな蓄積があることが示されています。今後の教育が目指す「令和の日本型学校教育」と知的障害教育はどのように結びつき、関わっていくのでしょうか。知的障害教育という観点からの「個別最適な学び」と「協働的な学び」について知りたい方、「個別指導」と「集団指導」、また教育目標「自立」との関係について考えたい方におすすめの一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年01月14日自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害のある息子。家庭や学校で暴れてしまい…わが家の息子は中学2年生。3歳のときに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害の診断がおりました。息子は、人を見て態度を変える一面があります。悪いことをしても許してくれそうな人を見極めて、叩く・暴れる・いたずらをするなど自分の思いを誤った方法で伝えてしまいます。小さいころから私には特に激しく、児童精神科の主治医には、「お母さんだから許されると思っている」「お母さんなら何をしても嫌われないと分かっていてやっている」と言われています。そんな息子が学校で荒れ始めたのは小学5年生のころ。小学校では特別支援学級に通っていたのですが、小学4年生までずっと一緒だった担任の先生が代わったことや新入生がたくさん入ってきたことで、ガラリと環境が変わり、落ち着かなくなってしまいました。そして、教室を脱走する、突然泣いて暴れる、教室のロッカーを蹴る・叩く、校外に出て電柱に登ってしまうように…。先生からは「どうしていいか分からず困っている」と言われ、解決できないまま卒業しました。Upload By ユーザー体験談中学生になって、特別支援学校に通い始めました。入学当初は笑いながら教室を脱走し、どんな先生なのかを試していたようです。ある日、先生が「そんなに走りたいなら一緒に行くよ!」と、息子が疲れるまで一緒に走ってくれて、それ以降は教室を脱走することがなくなりました。こうして経験豊富な先生が、息子のためにさまざまな方法を探ってくださることをありがたく思っています。中学校のスクールバスでの出来事特別支援学校にはスクールバスで通っています。小学校のときは私が送り迎えをしていたので、スクールバスの利用は幼児期以来。はじめのころは、帰りにバスを降りた途端に泣き出し、わざと車道に出ようとする危険行為もありました。「学校で嫌なこと、大変だったことを頑張ってきたんだよ!」という怒りを私にぶつけていたのかもしれません。今は、バスを降りるときに「あーー」と大きな声で叫びながら降りてきます。「帰りのバスを降りる→怒りたくなる」ということが習慣化されているような気もしますが、「暴れたり怒ったりすると先生に何か言われる」と理解しているようで、「大声を出す」というスタイルで発散するようになったように思います。そして、家に着くと突然泣き出し「わーー」と暴れ出してしまいます。Upload By ユーザー体験談母親を叩く・蹴るは続いているけれど私を叩く、足で蹴る、腕を強く引っ張るなどが中2になって激しくなってきたのは、思春期のイライラもプラスされているのかなと思います。私は真顔で「やらない」「痛い」と静かに伝えるよう心がけていますが、それで止むことはほぼなく…。1時間くらい諭したり、無視して落ち着くのを待ってもダメなときは、気分を落ち着けるための頓服を飲ませています。これまで、息子から離れて別の部屋に行く、私だけ外に出るなども試しましたが、どうしても暴れて本人の安全や家の安全(窓ガラスを割ったり壁を蹴って穴をあけたりしまう可能性があります)が確保できないので、今はやっていません。特別支援学校の担任の先生は「何かあればいつでも連絡してください」と言ってくださいます。お忙しいのであまり負担になっては申し訳ないと思い、本当に困ったときや解決法を一緒に考えてほしいときに電話をしています。あるときは、先生が「○○君と電話を代わってください」と言って、息子に「お母さんを叩いたり引っ張ったりするなら今から先生がおうちに行きます。いいですか?」と交渉してくださり…。息子が「ヤダ!」と言うと「じゃあお母さんを叩きません。分かった?」と諭してくださったこともありました。家で暴れたり私に手を挙げたときは、電話をしなくても連絡帳で必ず先生に伝えています。翌日に先生が「昨日は家でどうしたの?」と息子に聞くと、「暴れた」と答えることもあるそうです。また、学校で暴れて反省することがあると、息子が独り言で「ごめんね」とつぶやくことがあったそうです。先生からは「やってしまったことをちゃんと分かっているんですね」とお話がありました。Upload By ユーザー体験談「一人ではない」という救われた気持ち自閉スペクトラム症(ASD)があること、知的障害があり言葉で表すのがなかなか難しいこと、思春期であること…などが重なって、息子の暴力をすぐに解決するのは難しいかもしれません。私一人で闘うのは、とても心細くて耐えがたい!でも、先生方が「どんどん頼ってください」「チーム○○(息子の名前)をつくってみんなで協力していきましょう!」と言ってくださるのが、本当に支えであり、「一人ではない」のだと救われた気持ちになります。また、今は状況が再び大変になってしまっていますが、先生は息子のことを「とても頑張っている。まだまだ(息子には)可能性があり、これから伸びると思う」と言ってくださっています。良くなっては戻って…の繰り返しだなあと感じる日々ですが、息子も以前よりは気持ちの切り替えにかかる時間が短くなっているように思います。これからいろいろな出来事や気持ちを経験して、自分の思いとの折り合いをつけられるようになることを願っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/taekoエピソード参考/あかし
2023年01月13日娘の障害が分かったとき、夫は単身赴任中だったわが家の長女ゆいの障害認定が下りたころ、夫は3年間の単身赴任中でした。しかも当時はコロナで移動制限もあったころで、夫が帰宅できる回数は少なく、ほぼ私と子どもたちだけで過ごしていました。夫とはいつでもオンラインで連絡が取れるとはいえ、役所の手続きや通院、学校との打ち合わせも全部私一人で対応し、心細く大変だったことを思い出します。障害の診断が下りた当時は「うちの子は普通だ」「障害者の手帳なんかいらないのでは」「気にしすぎだ」と言っていた夫ですが、少しずつ心境が変わってきているように感じます。実は夫からちゃんとゆいについての思いを聞いたことはありません。でも、中学校の特別支援学級の説明会に参加したり、勤め先にゆいが療育手帳を取得したことも話したりしています。口にはしないだけで現実を受け入れつつあるのかなと感じているのですが…。Upload By 吉田いらこわが家の子育てバランスは、私が子どもたちに甘く夫が厳しいパターンでした。夫は甘やかすばかりでは子育てに良くないと思っていたようで、よく「俺が厳しい部門の担当になる」と言っており、ゆいの障害が確定するまでは、夫は子どもたちには特に勉強面で厳しくしていました。しかし今年に入り、単身赴任を終えて帰宅した夫は…とにかくゆいに激甘になっていました。特別支援学級に移ってから本人に合う勉強法に変えていただいているとはいえ、全員共通で受ける算数のテストの点数は相変わらず高くはありません。○が少ない答案用紙を見て、以前の夫だったら「しっかり勉強しないからだ」と注意していたと思うのですが、今はもう答案用紙を見ても微笑むだけです。Upload By 吉田いらこ夫の娘たちに対する接し方の違いが気になって…勉強面以外でも、次女のあいに接するときの夫は今までと変わらないのですが、長女のゆいに関しては「まあ、仕方ないか」という感じで流してしまうのです。ゆいが元々大人しい性格で怒られるようなことはあまりしないという事情もありますが、あいが対応に差を感じてしまうかも、と少し心配しています。夫を見ていて感じたのですが、怒るということは相手に対して期待する気持ちがあるからなのではないかということです。今よりもっと成長してほしいから怒る、ということもあると思います。このことをゆいに対しては無意識に避けているのでは、と感じました。Upload By 吉田いらこでも姉妹で対応に差をつけてしまうと、されている側は敏感に感じ取ってしまうので、二人に対して同じように接するよう、夫には気をつけてもらうようにしています。私としては二人とも優しく甘やかしてもいいのでは、と思っているのですが…。もうすぐ、長女のゆいは中学生、次女のあいは小学校高学年になります。これから勉強面だけではなく、精神面でも成長してきたときに、娘たちにどう対応していこうか悩んでいるところです。執筆/吉田いらこ(監修:藤井先生より)コロナ禍の単身赴任中に、ゆいさんはゆいさんのペースがあると、受け止められたのだと思います。一方で、次女のあいさんへの接し方が気になっているのですね。きょうだいの対応に差をつけるのは、されている側は敏感に感じ取ってしまうかもしれない、と相談されることもあります。しかし、きょうだいとはいえ、個々に個性があります。個別に対応を変えるのはあっても良いかと思います。しかし、必要な注意はあっても良いかと思いますが、成績に対して怒るという対応は工夫しても良いかもしれませんね。
2023年01月13日保育園での虐待が問題に最近、保育園での虐待事件がニュースになっています。「そんなことしていると赤ちゃん組にいってもらいますよ」「そんなことするのはひよこ組(←0歳児クラスのこと)だよ」という声かけも虐待にあたると、ニュースで解説されていました。赤ちゃんクラスやひよこ組の子どもに失礼じゃないか…と私は思ってしまいます。私は以前、保育園で働いていました。こういった声かけは、良く聞きました。私自身も、学習塾を経営していたころ、「そんなことしていると小学生になれないよ」と年長児に言ったことがあります。なかなか言うことを聞いてくれなかったときに、つい感情的になってしまったのです。でも、子どもの方が上手で「義務教育だから自動的に小学生になれる」と言い返されてしまいました。給食の完食報告、しかし…保育園でよく見かけた光景として、こんなこともありました。白飯やみそ汁に、残したおかずを混ぜたりして食べさせるという行為です。これも虐待のように感じるのは私だけでしょうか。好きな白飯やみそ汁に、嫌いで残しているおかずを混ぜられたら嫌ではないでしょうか。ですが、これで残さず食べられたとなれば、連絡帳に「今日も給食を完食しました」と報告されるわけです。親御さんには見えていない部分です。Upload By 立石美津子特別支援学級や福祉事業所でも、不適切な声かけがあると聞いたある人が言っていました。特別支援学級の先生から「そんな体調悪いだとか言ってると、特別支援学校に行けと言われますよ?」と言われたと。大人の障害者の場合、福祉事業所でこのように声をかけられたという話も聞きます。「そんなことでは、一般就労は無理ですよ」「B型の事業所に逆戻りになりますよ」前者は追い詰めたり焦らせたりすることにも繋がるでしょう。後者はB型事業所を侮辱しているように聞こえます。親は事業所内で交わされる言葉を聞くことはできませんし、利用者であるわが子には障害があり「こんなこと言われた」と家族に報告できない場合も多々あります。今回の事件をきっかけに、保育園では指針が示されつつあるようですが、障害福祉の領域でも見直してほしいと、障害がある子どもの親として強く感じました。執筆/立石美津子(監修鈴木先生より)最近は心理的な虐待やパワハラ、セクハラなど、(暴力での虐待のみでなく)見えづらいハラスメントにおいても、さまざまな問題が取り上げられるようになってきました。時代の流れもあり、以前は見過ごされてきたようなちょっとした一言も、虐待ととらえられるようになってきたと感じています。年末の伝統的な行事である秋田県の「なまはげ」などは、包丁を持った鬼が家に入ってきて言うことを聞かない子どもを連れ去ってしまうのですから、虐待ととらえられかねませんよね。そうした面から配慮され、もし地方のさまざまな文化や行事が伝承されていかなくなってしまうのであれば、それはとても寂しいことだと思います。子どもに関わる大人たちが、しっかりと子どもたちの様子や環境を見極め、「真の虐待」を見逃さないことが重要だと考えます。
2023年01月12日どんな方法を試しても、飲めない薬。現在小学6年生の広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、昔から苦手なものがあります。それは…粉&シロップの薬!Upload By SAKURA3歳くらいまでは、粉薬、シロップをまったく受けつけず、口に入れてもすぐ吐いてしまいました。なんとかいい飲ませ方がないかと、お医者さんや薬剤師さんに聞いた方法を試したのですが…食べ物に混ぜる方法:練乳、チョコアイス、抹茶アイス→全部×飲み物に混ぜる方法:牛乳、ミルク、ココア→全部×お薬を飲むために売られている専用のゼリー→×粉薬に超少量の水を垂らして団子にし、口の内側に貼り付ける→×ことごとく失敗。最終的にたどり着いたのは、親二人で抑えつけ、シリンジを使って、口に無理やり流し込むという方法でした。しかし、この方法も成功率100%ではなく、全部吐かれてしまうこともよくありました。さらに、この方法、親にも子にもストレスがかかるので、私たちもやりたくない気持ちを押し殺して、やっていました。Upload By SAKURA薬を飲まなくていいように頑張ったけれど…娘に処方される薬が恐怖だった私は、とにかく体調を崩さないように、病院にかかることがないようにしようと心がけたのですが…Upload By SAKURAそれでも娘はよく風邪を引き、熱を出してしまうことも多く、病院にかからざるを得ない状況でした。飲めない子が悪い?飲ませられない親が悪い?娘が2歳のある日…また体調を崩し、熱を出しました。私は病院に行くのが嫌で仕方なかったのですが、娘の熱はぐんぐん上がり、咳も出てきたため、私は重い腰を上げ、病院に向かいました。Upload By SAKURA診察後…いつものように薬を処方され、私は、これから薬を飲まなければいけないことを想像しただけで憂鬱になりました。何かアドバイスが欲しいと思った私は、先生に、娘が薬を飲んでくれないことを話しました。すると…Upload By SAKURA先生から返って来たのは、想像していたよりもきつい言葉でした。薬を飲めない子が悪いの?それを飲ませることができない親が悪いの?薬が飲めない子は、病院にかかってはいけないの?私は頭を抱えながら家に帰りました。帰宅後、もらった薬をなんとか娘に飲ませようと頑張りましたが…Upload By SAKURA娘はいつものように吐いてしまい、もらった薬は無残にも床に零れ落ちました。私はそれを拭きながら、涙が止まりませんでした。病院を変えてみると…その夜、帰宅した夫に、病院の出来事を話すと、「病院を変えてみたら?」と提案されました。正直、どこの先生も言うことは同じだろうと思っていたのですが、嫌なことを言われたいつもの小児科には、また行く気がせず、以前車で通りかかった小児科に変えることにしました。初めての病院でどんなお医者さんかと不安な気持ちを抱えて、診察室へ。先生は、物静かな感じの人でした。私はまた同じようなことを言われるかもしれないと覚悟を決め、診察が終わったあと、薬のことを聞いてみました。すると…Upload By SAKURA私は、この病院をかかりつけにすることにしました。その後も、この先生は、娘が受診すると、Upload By SAKURA娘の病状に合わせて、点滴をしてくれたり、病院のシステム上、「点滴は5時まで」というルールだったのですが、7時近くまでかかる点滴を受けてくれ、Upload By SAKURA申し訳なさそうにする私に、笑ってくれたりしました。私たちは、娘が3歳になり、沖縄県に引っ越すまで、この小児科の先生にお世話になりました。その後、娘は少しずつ言葉が通じるようになり、薬を飲むように説得ができるようになったことで、飲むまでに時間はかかりますが、何とか粉薬とシロップを飲めるようになりました。5歳になるころには、錠剤が選べるようになったため、娘はストレスなく薬を飲めるようになりました。小学6年生になった今も、娘は…Upload By SAKURA弟たちが、粉薬とシロップを飲む様子を見て、「おえっ」と、えずくほど、粉薬とシロップが大嫌いです。(弟たちは、おかわりを要求するほど、薬大好き)きっと嫌な思い出が蘇ってくるのでしょう。そんな様子を見て、私たちもあの日のことを思い出しています。執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)一般的には4、5歳から錠剤が飲めます。ただ、錠剤を噛んでしまうと苦いので要注意です。「良薬は口に苦し」と言われていたのは昔の時代です。今はドライシロップや小さい錠剤など以前に比べて大分飲みやすくなりましたが、それでも薬の構造式は変わらないので原末が苦ければどうしても後味に苦みは残ってしまいます。特にASDのお子さんは味覚過敏もあることが多いので、一度苦いと分かったら二度と飲みたくはないと思ってしまうこともあるでしょう。私の経験では、乳酸菌飲料が比較的飲み合わせがいいように感じました。漢方薬をはじめ、においの独特な薬なども苦手なお子さんが多いです。また、たとえ無味無臭であっても味や臭いが嫌だというASDのお子さんもいます。飲めない場合は今回のように点滴かまたは座薬という手もあります。座薬の抗生物質もあるので点滴が困難なお子さんには私はよく救急外来で処方していました。また、こういう場合も飲めたらシールなどを貼って1週間飲むことができたらご褒美をあげるというトークン法が有効なこともあります。
2023年01月11日人気漫画「リエゾンーこどものこころ診療所ー」がドラマ化!1月20日(金)より放送スタート!Upload By 発達ナビニュース人気漫画「リエゾン―こどものこころ診療所―」が全国テレビ朝日系の金曜ナイトドラマとして、1月20日(金)23時15分より放送されます(※一部地域で放送時間が異なります)。このドラマでは、児童精神科クリニックを舞台に、自らも発達障害がある院長と研修医が、様々な生きづらさを抱える子どもとその家族に向き合い、寄り添っていく姿が描かれています。原作は、「週刊モーニング」(講談社)で連載中の同名漫画であり、今や累計120万部を突破している大人気作です。発達ナビでも監修いただいている児童精神科医の三木崇弘先生が原作、ドラマともに医療監修を務めています。ドラマでは、自閉スペクトラム症(ASD)がある院長の「佐山卓」役を山崎育三郎さんが、注意欠如・多動症(ADHD)がある研修医の「遠野志保」役を松本穂香さんが演じます。児童精神科の現場、子どもたちやその家族が抱えるさまざまな苦悩や思い、そこに向き合う医師の姿を繊細に描く「リエゾン―こどものこころ診療所―」をこの機会にぜひご覧になってみてください。<放送予定>第1話1月20日(金)23時15分~0時15分(全国テレビ朝日系・一部地域で放送時間が異なります)多様な人が働く「久遠チョコレート」のドキュメンタリー映画「チョコレートな人々」が1月2日(月)より全国順次公開Upload By 発達ナビニュース障害、年齢にかかわらずさまざまな人が働く「久遠チョコレート」のドキュメンタリー映画「チョコレートな人々」が2023年1月2日(月)より全国順次公開されます。愛知県豊橋市にある「久遠チョコレート」は、余計な油を一切加えないピュアチョコレートを使用した、こだわりのフレーバーと鮮やかなデザインで人気を博しているチョコレート店です。いまではショップやラボなど全国に52の拠点を持っています。「久遠チョコレート」の特徴は、障害がある人やシングルペアレント、不登校経験者など多様な人が働き、稼ぐことができる職場環境であること。その始まりは、代表の夏目浩次さんが障害者雇用の促進と低工賃からの脱却を目的としてパン工房を開業したことでした。その後、トップショコラティエの野口和男さんとの出会いが大きな転機となり、現在の「久遠チョコレート」へと至りました。「チョコレートは失敗しても温めれば、作り直すことができる」という言葉が映画の中で、キーワードとして使われています。働く人たちがそれぞれの得意不得意の凸凹を補いあいながら生み出すチョコレート。さまざまなハンディキャップがある人と共に働くよろこびと、その難しさなど、「久遠チョコレート」がたどってきた山あり谷ありの19年間を描くドキュメンタリー映画をこの機会にぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。<劇場公開>2023年1月2日 (月)~ポレポレ東中野、第七藝術劇場、名古屋シネマテーク、 ユナイテッド・シネマ豊橋18、KBCシネマほか全国順次公開第34回日本ダウン症療育研究会「ダウン症の生涯を知る、未来にそなえる」が2月4日(土)に大阪大学医学部銀杏会館で開催Upload By 発達ナビニュース第34回日本ダウン症療育研究会「ダウン症の生涯を知る、未来にそなえる」が2023年2月4日(土)13:30-16:40に開催されます。会場は大阪大学医学部銀杏会館ですが、オンラインでもライブ配信およびアーカイブ配信が行われます。ダウン症がある人の平均寿命が60歳を越え、成人期における過ごし方の重要性が注目されつつある中で、ライフステージを広く見渡し、これから何が起きるのか、どのような点に注意すればよいのか、ダウン症がある人の生涯、未来についてさまざまな視点から考えられるプログラムが予定されています。<プログラム>●13:30-13:40大会長挨拶●13:40-15:10教育講演①一人ひとりに合わせた学びでどの子も伸びる~多くの事例から見えてきたこと~②ダウン症の人が社会の一員として参加できるように~内科医からのメッセージ~③成人後の暮らしとお金について〜福祉サービスの視点から〜●15:20-16:00ミニレクチャー①美味しく食べるお口を育てるために知っておきたいこと②ダウン症児の整容に関する発達評価表の作成●16:00-16:30基調講演「ダウン症のライフステージを知る~乳児期から老年期まで~」●16:30-16:40第35回大会の紹介、閉会の辞<詳細>【日時】2023年2月4日(土)13:30-16:40【場所】大阪大学医学部銀杏会館(大阪府吹田市山田丘2−2)/オンライン【料金】●会場参加(ライブ配信+アーカイブ視聴情報つき)(定員150名)日本ダウン症療育研究会会員:無料/非会員:¥2,000/同伴のお子様:高校生以下無料●ライブ配信+アーカイブ視聴日本ダウン症療育研究会会員:無料/非会員:¥2,000【アーカイブ視聴期間】2023年2月5日(日)10:00 ~ 2月19日(日)19:00まで※ライブ配信+アーカイブ視聴一括の申込みとなります。申し込みはこちらから子ども向けパラスポーツ体験プログラム「KIDS学べて 遊べる パラスポーツ体験会」1月28日(土)開催Upload By 発達ナビニュース子ども向けパラスポーツ体験プログラム「KIDS学べて 遊べる パラスポーツ体験会」が2023年1月28日(土)に保谷こもれびホール「小ホール」にて開催されます。当日は、パラアスリートである円尾敦子選手を講師に迎え、「夢をかなえるためにみんなができること」についてのお話を聞いたり、アイマスクを着用したリレーゲームを体験したりすることができます。また、1階カフェラウンジ・はなみずきにて「こども食堂もぐもぐ」も開催されており、プログラムに参加したお子さんと保護者の方全員に、こども食堂で利用できるランチチケットが用意されています。そのほか、特別プログラムとして、パラアスリートである小池岳太選手により「片手でできる生活クイズ」が上映されます。このイベントは、JTBコミュニケーションデザインが、パラアスリート・指導者の講師紹介プログラム「あすチャレ!メッセンジャー」を招いて開催されます。 パラアスリートの方々のお話や、パラスポーツ体験を通して、障害理解を深めるとともに、「夢をかなえるためにできること」を考えることができるのではないでしょうか。<プログラム>第一部:トークセッション「夢をかなえるためにみんなができること」第二部:アクティビティセッション「アイマスクdeリレー体験」●プログラム終了後、1階カフェラウンジ・はなみずき「こども食堂」にてお食事提供●特別プログラム:「片手でできる生活クイズ」をロビーにて上映(小池岳太選手あすチャレ!メッセンジャー認定講師 )<詳細>【日時】2023年1月28日(土)10:00‐12:00【場所】西東京市立保谷こもれびホール「小ホール」(東京都西東京市中町1‐5‐1)【料金】無料/ランチチケット:こども(高校生以下)無料、大人(保護者)300円【定員】先着80名(3歳~15歳までのこどもと保護者)(事前登録制)【講師】円尾敦子選手あすチャレ!メッセンジャー 認定講師 (パラトライアスロン)申し込みはこちらから社会課題の解決を目指すimperfect、パッケージデザインに障害のあるアーティストの作品を使用した「アート&カカオ」第2弾を12月1日(木)より発売Upload By 発達ナビニュースウェルフードマーケット&カフェ「imperfect(インパーフェクト)」は、障害があるアーティストの所得支援を目指す「アートビリティ」と協業し、2022年12月1日(木)より、パッケージデザインに障害があるアーティストの作品を使用した「アート&カカオ」第2弾を表参道店とECサイトにて販売しています。アートビリティとのコラボレーション第1弾として2022年9月1日から発売された「アート&カカオ」が完売となり、今回新たにリニューアル発売されました。imperfectでは、世界の食と農を取り巻く社会課題の解決に取り組む「Do well by doing good.」(=いいことをして、世界と社会をよくしていこう)活動が展開されています。「実業を通じた社会課題の解決」を掲げ、社会や生産地・生産者にもよい、Well Food(ウェルフード)の提供が目指されており、「アート&カカオ」でも、森の保全に取り組みながら生産されたカカオが使用されています。第2弾のパッケージデザインに使用されているのは、石附若菜さんの「めでたい」という作品。線は全て手書きで、色はパソコンで塗られているそうです。「絵を見た方々が明るく元気な気持ちになって欲しい」という石附さんの思いから、鯛が泳いでいるところではなく元気に飛び跳ねているところが表現されているそうです。「私のように障害があって苦手なことが多くても好きなことで生きていっていいと、誰かの希望になれたら幸いです。」という石附さん。石附さんの描く元気な鯛の姿からパワーがもらえるのではないでしょうか。<詳細>【発売日】2022年12月1日(木)~【場所】imperfect表参道店/公式ECサイト( 東京都渋谷区神宮前四丁目12-10 表参道ヒルズ同潤館1 F)<商品詳細>【商品名】アート&カカオ【内容】クランチチョコレート3種類×3粒 計9粒 入り【販売価格】1,800円(税込)詳しくは公式サイトをご確認ください。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年01月10日私の毎朝のルーティーン私の毎朝のルーティーンはここ1年ぐらいずっと以下のような感じです。1.朝7時ごろ起きてトイレ。だいたい朝のお通じがある2.緑内障治療のための目薬をさす3.パジャマを脱いで体重をはかる4.部屋着に着替える5.歯磨きをする6.洗顔・スキンケアをする(ここまでで起きてから45分)7.猫のトイレの掃除、ゴミ捨て、昨晩洗った食器の片付けをする8.朝食(だいたいここで8時ぐらい)9.洗濯(終わるとだいたい9時過ぎ)きっちり決まりすぎていて自分で窮屈に感じることもありますが、結局はこのとおりに動かないと落ち着かないし、効率を欠くのでいつもこのとおりにしています。数年間変わらない、私の朝ごはんメニュー私の朝の食事メニューはいつも以下のとおりに決まっています。・カフェインレスのインスタント粉で作った、ミルクたっぷりのコーヒー(ミルクは必ず低脂肪乳)・小麦胚芽フレークのシリアルに無脂肪ヨーグルトをかけたもの(シリアルは必ず60g)シリアルは毎度必ず秤できっちり60g量ります。1g程度の前後は許しますが、2g以上違うとシリアルを1枚2枚つまんで調整します。メニューは栄養バランス的に理想的になるように考えて決めています。タンパク質、食物繊維、ビタミン、乳酸菌がとれて、なるべく低カロリーであるように。いつも同じメニューにしているのは、そのほうが安心して落ち着くし、健康管理もしやすくなるからです。準備の手間やコスト、味も含め、朝食として便利で身体によい最適解を今のところ他に見つけられないという理由もあります。毎朝とる栄養成分もカロリーも同じにしておけば、体調や体重の変化があったときに、変化がほかの理由(日中の食事や運動、ストレスなど)から来ていることが分かるので、これが最大のメリットだと思っています。このほか、水分補給も兼ねて好きなミルクティーを午前に1杯、午後に1杯飲むことに決めています。これもやっぱり飲まないと落ち着きません。たまには変えたほうがいいかなと思うけれど…夫も含め、周囲の人が「変わった人だなあ」という目で見るし、こんな私もたまにはトーストやらスムージーやら和食やら食べてみたいなと思うこともあるので、ときどき奮起してメニューを変えようかなと思うことがあります。でも、やっぱり落ち着かないし、手間はかかるし、材料の保存期間に気は遣わないといけないし、おなかの調子が変わって「朝食を変えたせいかな?」と思ったりするので、結局はすぐに元の習慣に戻ってしまいます。たまたま旅行などで朝食を外食にしたり、違う時間に食べたりするのもやはり落ち着きませんし、調子もイマイチな感じです。柔軟にいろいろ食べたい夫との折り合いのつけ方夫は「毎日同じものじゃつまらないじゃん」「毎回シリアルをきっちり秤で量るなんて面倒くさくないの?」と言います。うーん、つまらないはつまらないし、面倒くさいは面倒くさいんです。だけど、そういうデメリットを、「落ち着く」「便利で確実」「管理しやすい」というメリットが上回るんですよね。そこを何度説明してもなかなか分かってもらえないのでちょっと困っています。私は人より体力に余裕がないので、こういう小さなところで生活タスクの負担を減らしているのです。夫は私より早く起きて仕事に行き、昼間は家にいないのですが、夕食の準備は料理好きな夫が担当です。夫は私にいろいろなおいしいものを食べさせたいと思ってくれているようで、本当にいろいろなものを食べさせてくれます。私は朝と昼にいつも同じようなものを食べているし、食べること自体は実は好きなので「夜ぐらいは変化をつけてもいいかな、夫が愛情込めて準備してくれるし、おいしいし」という感じで喜んで食べさせてもらっています。夫がいなくて一人で夕食を食べる日はやはりいつも、納豆卵かけご飯みたいな「栄養バランスには優れているし準備も簡単なメニュー」になります笑夫が適度に食事に熱心で、昼間にいないからうまく回っていますが、たとえばこれが昼間もいてじゃんじゃんおいしくて変わったものを作ってくれるとなると私は疲れてきます。コロナ禍で夫が在宅勤務だったときがそうでした。おいしいし、作ってくれた夫に悪い気持ちがあってたくさん食べてしまうので、カロリーコントロールもしづらくて太ってしまって、実はかなり困りました。喧嘩になりかけたこともあって、あの状況がもう少し続いていれば、昼はお互い好きなものを食べるシステムにしていたかもしれません。「気持ちはありがたいんだけど健康・体重管理的には作らないでほしい」と言うと夫が寂しそうな顔をするのがつらかったです…。本人に負担がなくて栄養的にあまり問題なければ気にしなくてOK今はシリアルでもレトルト食品でも栄養補助食品でも惣菜でも、味や栄養に優れたものがたくさんあります。バラエティに富んだ家庭料理で育つのも素晴らしいことではあるのですが、私をはじめ、ASDのある人が決まったメニュー以外を拒否するのにはその人なりの筋の通った理由があるはずです。そこを理解してもらえるとうれしいです。食文化の豊かさは、本人が直接食べずとも見聞きすることで十分に身に入ってくるものだと思いますし、毎日の食事を必死に手作りしたりバラエティを出そうとしたりしなくても、愛情はきちんと伝わるものだと思っています。ASDのある子どもが偏食があったり決まったものしか食べなかったりしても、本人がそれで満足していて、栄養的に大きな問題がなければある程度安心して見守っておくのもよいことではないでしょうか。文/宇樹義子(監修 鈴木先生より)ルーティーンは悪くありません。例外的なことがなければ忘れることがないからです。ただ、健康的にいいルーティーンにすべきです。夜更かしやゲーム三昧の運動不足ではいけません。野球のICHIRO選手も打席で必ずバットを前に出します。ラグビーの選手のキックする前の指の動作も一時流行りました。スポーツ選手はそうすることでリズムをとっています。おまじないみたいなものもありますが、他人が迷惑でなければ構わないのです。定期的な健康診断で異常がなければ大丈夫です。朝食もご飯派やパン派があるのでシリアル派があってもいいかと。ただ、昼や夜は野菜や果物なども取り入れて季節の変化に応じてうまくローテーションしながらのルーティーンを考えてみてはいかがでしょうか?
2023年01月10日どうして癇癪(かんしゃく)を起こすの?癇癪にまつわるギモン子育てしていく中のお悩みとして多い「癇癪(かんしゃく)」。大声で泣き叫んだり、壁や床に頭を打ちつけるなど、激しい癇癪への対応に周りの保護者の方もヘトヘトになってしまうという声も多くあります。発達ナビQ&Aコーナーでも、これまで癇癪に関する質問の投稿が1,000件以上寄せられています。発達障害との関係や、家での対応策、服薬するボーダーラインまで、みなさんの疑問とは。「子どもはどうして癇癪を起こすの?」「優しく声をかけてもダメ、怒ってもダメでノイローゼになりそうです。子どもの癇癪はどう対応したらいいのでしょうか」「2歳3ヶ月の癇癪が激しく、切り替えが極端に苦手、落ち着きのないなどの特性もあり、発達障害があるのでは?と感じています」「癇癪がひどく、小児科医で薬を処方されましたが、飲み始めてから子どもの元気がないような気がしていてこのまま飲ませ続けてよいのか心配です」このコラムでは、癇癪のなぜ?から、癇癪への対応、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。癇癪(かんしゃく)とは具体的にどのような状態のことをいい、原因にはどのようなものがあるのでしょうか。◆癇癪(かんしゃく)とは癇癪(かんしゃく)とは興奮を伴う混乱状態を指します。個人差はありますが、大声で泣き叫ぶ、壁や床に頭を打ちつける、物を投げるなどの激しい行動が見られることが多くあります。赤ちゃんのころから幼児期、児童期にも見られ、人によっては思春期や大人になっても続くこともあります。気持ちのコントロールがうまくできないときに起こりやすく、コミュニケーションの手段として習慣化することもあります。◆癇癪(かんしゃく)の原因赤ちゃんの癇癪は、空腹や眠気、痛み、おむつが濡れたなど生理的に不快な刺激によって引き起こされることが多いです。幼少期以降になると発達段階やその場の状況によって原因は異なるものの、癇癪が起きているときには、「何か不都合を取り除こうとしている」そして「困っているというサインを発している」と考えられます。発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられた、具体的な悩みと解答について紹介します。年少の娘は自閉症です。上手くいかない事があれば、すぐ大声をだしたりグズグズします。原因不明の癇癪や、人形の靴が履かせれないなどなど…ささいな事でキーキー、グズグズ叫んで怒ります。(中略)私も主人もノイローゼになりそうです。助けてください。こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A. 保育園や療育先で相談してもわからないのは辛いですね…わかりやすい癇癪は、例えば自分の要求が通らない時がありますが、他にも大人には理解に苦しむ癇癪が多々ありますよね。まだ生まれて3年です。上手く表現出来ないのです。親としても3年。成長と共に少しずつ理解出来るようになりますよ。例えば息子ですが、保育園時代の昼寝が地獄だったと小学生になってから教えてくれました。 癇癪は言葉で対応しようとしても、興奮していたり、怒っていたりしている場合がほとんどであり、気が立ってる時に働きかけても悪い方向に物事がすすんでいきます。癇癪を起こしてるときは、ものを側におかない、ものをこわしたり投げさせないよう気をつける、頭を叩いたり、ぶつけたりしないように気をつける、などし、興奮がなるべく短い時間に済むようにすることが大事です。癇癪している場合は、さらっとかわす。わたしは、スルー、やり過ごす、これでのりきりました。怒っても、もっとひどくなるだけです。こえかけは火に油になることも多いです。癇癪の対応に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。聞いてみたい質問があればぜひQ&Aコーナーに投稿してみてください!癇癪(かんしゃく)と発達障害の関連とは。自閉スペクトラム症やADHDなどがある子どもの癇癪の特徴は?激しい癇癪に服薬は必要?癇癪にまつわるギモンとして発達障害との関連や薬の服用について気になっている方も多いと思います。発達ナビのQ&Aコーナーにも以下のような投稿が寄せられています。子どもについて初めて投稿します切り替えが極端に苦手、落ち着きのなさ、人を叩く引っ張る噛む等々、上の子よりも激しいことが多々…。特に切り替えの苦手さで言うと、床に寝そべって泣き喚くことは日常茶飯事、何かで釣るのも普段はしないウチですが仮にしたとしても無意味、他の提案も聞いてすらもらえず、機嫌を損ねて癇癪を起こしたら最後で、何をしても無駄です。私は落ち着くのをひたすら待ちます。(中略)診断してほしい!とかうちの子は発達障害!と言い切りたいわけではないのですが、もう少しこの子や周りが上手に楽しく過ごせる方法はないのかな…と日々考えています。こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A. 保育園児さんということで、年齢が分からないので何とも言えませんが、年長さんなら就学相談を含め早めに次の対応を考えられても良いのかな、と思います。年中さんなら、年長に上がる前に、担任や主任の先生とゆっくり、家庭と園の現状について話し合われれ、次のステップにいくかどうか相談されても良いのではないでしょうか。 親が大変かどうかで踏み込んで良いと考えています。「仮に何もなくても、相談して情報が得られるなら」と自治体の保健センターに相談しました。主治医からまさに「親御さんにしか困り感がわからないタイプだね」と言われて支援が始まりました。3歳すぎでASDの診断がおりています。初期の相談から2年経ち、息子も4歳過ぎましたが色々と形を変えた困りごとと向き合い続けているので当時の感覚は合ってたなという結論です。比較的早い年齢での着手でしたが、それでも児童精神科の受診や検査、療育先の契約までにそれなりの待ち時間がかかりました。逆算すればやはり早いに越したことはありません。癇癪がひどくわずかな事にイラつき暴言を吐いたり壁を殴ったりします。ストラテラを服用し始めて約2ヶ月たつのですが すごく改善されていた癇癪がまた元通りになってしまいました。こんな事ってありますか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A. 我が家の主治医からは、薬を服用した際、そのような事例があると聞いていますよ。なお、これはストラテラに限らず、他薬でも似たような結果となる話は聞きます。その薬がどのような働きをするのかなど専門的見解から考えると、現状の癇癪がまた元通りになったというのは、特別おかしな状況ではありません。あくまでも基盤となる生活が毎日同じような繰り返しであっても、些細な気候の変化など様々な動きが生じます。そのなかで、さらに本人自身の体調の変化なども合わさりますと、薬の効果が感じないという事はよくある話でもあり、この場合においてはもう一度病院を受診されるなど、医師にご相談が無難ではと思われますよ。癇癪を頻繁に起こすからといって発達障害があるというわけではありませんが、発達障害のある子どもに見られることが多い傾向が癇癪を起こしやすくしている場合があります。◆癇癪の原因となり得る発達障害のある子どもに見られる傾向・感覚の問題とこだわりの強さ・自分の意思や気持ちを他者に伝えるのが苦手・他者と自分の意図をすり合わせるのが苦手・気持ちのコントロールが難しいこれらの傾向が癇癪のきっかけになり得る場合があります。◆癇癪と自閉スペクトラム症(ASD)自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもには、感覚過敏がある場合が多くあります。周りの子どもにとっては気にならない刺激であっても過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。また、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものこだわりや不安の強さによって、普段と違うことが起きたり、突然の予定変更に気持ちがついていかず、癇癪につながってしまうこともあります。また、相手の気持ちや意図を理解するのが難しかったり、こだわりが強い、他人のペースに合わせるのが苦手、ということもあります。◆癇癪とADHD(注意欠如・多動症)ADHD(注意欠如・多動症)がある場合は、衝動性から「やりたい」という気持ちを抑えるのが難しいために、相手の気持ちが分かったとしても、その気持ちを譲ることができないことと、感情がすぐに表面化することで、爆発的に怒ってしまうことがあります。【小児科医に聞く】発達障害がある子どもの癇癪(かんしゃく)の対応のコツ、服薬のギモンここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。次に、小児科医の藤井明子先生に発達障害がある子どもへの対応のコツ、服薬のギモンについてお答えいただきます。A. 癇癪を起こす背景として、感覚の問題、こだわりの強さ、気持ちを伝える苦手さなどがあります。癇癪を起こした際に、なぜ癇癪を起こしているのか、お子さんの視線に立って少し考えてみましょう。物事が思い通りに進まなかった、暑かった、いつもと違った順序で嫌だった、など理由が思い当たるかもしれません。癇癪を起こしている最中には、まずはお子さんが落ち着く・クールダウンできるように見守り、少し落ち着いたら、「〇〇できなくて悲しかったね」「思い通りできなくて悔しかったね」と気持ちの言語化を代わりにして、声をかけてみましょう。つい、癇癪を抑えようとして、お子さんの言いなりになりそうになるかもしれませんが、まずはお子さんの言いたい気持ちを受け止めて、言語化してみましょう。事前の対策は、これから起こりうる物事に対して、見通しを持った声かけをしておくと良いでしょう。「今日はいつもと違う道を通って帰るよ」「スーパーに行くけど、おやつは一個だけ買います」など、事前に見通しを立てておくと、気持ちのコントロールの手助けになることがあります。Upload By 専門家インタビューA. 親もヘトヘト、という時点で病院に受診することをおすすめします。特に、お子さんが小さい場合には、親御さんがヘトヘトでも目は離せません。親御さんの疲れがたまると、その皺寄せがお子さんへのイライラにつながってしまうことも多々あります。どうか、一人で悩まずに、医療機関、療育機関などに相談してください。病院に相談したから、すぐに薬の内服が始まるわけではありません。私の外来では、選択肢の一つとしてお薬の話をし、それ以外ご家庭でできる工夫などもお話ししています。また、すぐに癇癪が減るわけではないですが、第3者に相談して、一人でないのだと親御さんが思われるだけでも、少し気持ちに余裕が出てきて、お子さんの癇癪に対して、適切な対応を取れるようになってくる親御さんもいらっしゃいます。Upload By 専門家インタビューA. 服用に際しては、メリット、デメリットについてバランスをみて、服用のメリットがあると判断される場合に処方されます。もし、副作用など疑問があれば、主治医の先生に相談することをおすすめします。小児科で処方する癇癪に対する内服薬は、眠気や怠さなどの副作用が少ない薬を選択することが多いです。副作用があったり、内服中に気になることがあった場合には、主治医の先生と相談のうえ、中止ないし、ほかの薬への変更など考えていきましょう。Upload By 専門家インタビュー癇癪(かんしゃく)の理由は?クールダウン方法や対応は?自閉スペクトラム症など発達障害があるわが子の癇癪エピソード発達ナビライターの方々の癇癪にまつわるエピソードをご紹介します。子どもの癇癪(かんしゃく)で親もつらくなってしまうようなときは、迷わず専門機関に相談を癇癪にまつわるみなさんの疑問や回答、癇癪と発達障害との関係や、癇癪が起こってしまったときのクールダウン方法や事前の対策、病院を受診するタイミングなどをご紹介しました。癇癪が起こると、本人はパニック状態になってしまうため、まずは安全な場所でクールダウンできるように見守り、落ち着いたタイミングで本人の心に耳を傾けることが大切です。また、癇癪には何かしらの理由が隠れています。お子さんがパニックを起こさないで済むように事前に見通しを持てるような説明をしておくことが、癇癪を防ぐことにつながることがあります。癇癪に対して「通院」や「服薬」を聞くと、不安を抱いたり、「自分が我慢すればよい」「そこまで必要かな?」と思うこともあるかもしれませんが、子どもの癇癪で親御さんもつらい状況にある場合は、迷わずに小児科などの専門機関に相談してみてください。Q&Aにぜひ投稿してください!発達ナビはみんなでつくるポータルサイトです。一人ひとりの質問や回答が誰かの支えになっています。参考になる質問や回答を投稿してくださるユーザーの方々いつもありがとうございます!「ぜひ参考にしたい!」というユーザーの方々の声も多いことから話題の投稿などをご紹介し、専門家の先生にもコメントいただければと思っています。子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。そんな質問をぜひ発達ナビのQ&Aに投稿してみてください!
2023年01月09日息子の偏食に気づかなかった未就園児の時期Upload By カタバミ小学1年生のまちゃは、自閉スペクトラム症と知的障害があり、偏食と睡眠障害もありますが、赤ちゃんのころは母乳もミルクもよく飲み、何も問題はないと思っていました。2歳上にいるお姉ちゃんのほうが母乳を飲むのが上手でなく苦労しました。まちゃは、離乳食になってからも柔らかく煮た野菜をよく食べていましたし、お姉ちゃん向けに出したミニトマトやきゅうりのぬか漬けも食べていました。言葉が出ないのが心配で2歳半で入れた預け合いのサークルでも、お弁当づくりにはそれほど苦労はしていませんでした。家ではカレー、納豆、シラス、お鍋のあとの雑炊などを好んで食べていましたし、食欲もあるので、心配していませんでした。あんこやチョコレートなどの甘味は比較的いつでもほしがるので食べ過ぎないように注意をしているくらいでした。就園したら偏食が加速?Upload By カタバミ食事に関して、家庭で困ることがなかったまちゃの偏食がはっきりと問題になったのは幼稚園の年少のときでした。幼稚園の最初の面談で先生から「麦茶と少しのご飯しか食べず、ごくまれにメインのおかずを少し食べる程度です」と報告されたのです。介助が必要な子どもを集めたグループで食べていたそうですが、隣の席の男の子もいつも全く食べずに器を全部よけてしまうそうで、まちゃも同じことをするので2人の間には給食が境界線のように並んでいることがよくあったのだそうです。ただ、まちゃはカレーのときだけは全く介助がいらずよく食べていると聞きました。同時期から、通っていた児童発達支援事業所に持たせるお弁当も残すことが増えました。今まで食べていたウィンナーもミートボールもハンバーグも食べなくなり、食べるものといえば、味つけが塩コショウで脂身のない肉だけ。それまでは食べていたコロコロの小さな丸いおにぎりも食べなくなり、残してくることが増えました。家では朝晩よく食べているから良いかと思っていましたが、長距離ドライブ中にコンビニに寄っても、外食しても、帰省しても、まちゃの食べる物で困りました。空腹でも食べないの?いよいよ偏食と向き合うことにUpload By カタバミ年中からは近所の児童発達支援事業所に週5で通うことにしました。そこでは給食が出ていましたが、まちゃは1ヶ月以上の間全くその給食に手をつけず、毎日廃棄する状況が続いていたので、私がつくったお弁当を持たせることになりました。これには、さすがに焦りました。まちゃは、ご飯よりもパンを食べるので栄養のある食パンを焼き、焼き芋は必ず食べるので毎日お弁当に入れました。サツマイモがあまり売っていない夏の間は焼き芋の代わりにトウモロコシを入れました。毎日同じお弁当でしたが「食べてくれれば…」と全く恥ずかしいとは思いませんでした。まちゃは家でも決まった物しか食べませんでしたが、外の世界ではさらに気難しくなりました。行動療法の本を読んで偏食が治る方法も試しました。まちゃは10分くらい大泣きで嫌がったあとで小指の先程の大きさの苦手な物を食べてくれましたが、毎回大泣きさせてまで続けることに私が疑問を感じてしまい2ヶ月ほどでやめました。年長からは給食が美味しいと評判の療育園に通いましたが、まちゃの連絡帳の今日食べた物の欄には「米3粒」や「お茶のみ」などとよく書かれていました。療育園に参観に行ったとき、まちゃ以外にも海老反りになって給食を激しく拒否するお子さんがいて、先生はその子を抱えて食べさせようとしていました。まちゃはその先生の前でいつも通り静かに全部拒否しているのを見て、私はあきらめる気持ちになりました。偏食は一進一退。それでも、大きく構えて感謝してUpload By カタバミまちゃは、小学1年生になり特別支援学級に通っていますが、なんと登校2日目で給食はほぼ完食して帰ってきました。生徒の数が少ないので、担任の先生は1人ひとりの様子をよく見て少しだけよそったり、小まめに声をかけてくれているおかげだと思います。それからこれは私の考えですが、まちゃは小学校の大きな建物や、大勢のお子さんたちと過ごすことで何か感じ取っているのではないかと思います。学校の給食は食べるようになっても、家でのまちゃの偏食は全く変わらず、毎日家族とは別のまちゃ専用のメニューです。でも今まで食べなかった豚汁は給食で大好物だと聞いたので家で出してみたら抵抗なく食べてくれるようになりました。まちゃの偏食について私が考えていることは、理屈で考えても仕方がないということと、食べてくれる物もあるのだから感謝しようということです。以前好んで食べていた物も急に食べなくなります。少し食べたら思い出すのではないかと無理に食べさせたら暴れて嫌がって吐き出しました。まちゃが見て嫌だと感じたらそれはもう無理なんだとあきらめることにして、大体必ず食べるメニュー(まちゃの場合は納豆、しらす)は冷凍庫に切らさないようにしています。何年か経ったとき、食べるメニューが増えていたらいいなと大きく構えることにしたらだいぶ楽になりましたし、一進一退ですが少しずつ食べる物は増えてきていると思います。執筆/カタバミ(監修:藤井先生より)1日3回ある食事、食べてくれないと心配になりますよね。「米3粒」という記録が、偏食の強さを物語っています。この偏食は発達外来でもよくある相談です。口腔内の触覚、味覚、嗅覚、咀嚼の音への聴覚などの感覚の過敏や、食事をとる環境が落ち着かないなどが関係していることがあります。ご自宅や、療育園や事業所などでさまざまな工夫をしても、食事が進まないときがあります。カタバミさんの表現では「あきらめる気持ちになった」とありますが、偏食はダメということから少し離れて、食べられるものがあることに感謝という視点で、大きく構えることができたのがよかったと思います。
2023年01月08日臨月に行ったノンストレステストでひっかかった娘には重度の知的障害や身体障害があります。言葉はほとんど話すことはできません。発達の遅れは感じていたものの、2歳直前で障害があると診断されるまでは、そんなに重い障害があるとは思ってもいませんでした。妊娠中は、後期になるまではとても順調でした。ですが、臨月になり、ノンストレステストを行ったところ、いつまでたっても胎児が起きないのです。通常は、おなかの中の赤ちゃんは20分おきくらいで起きたり寝たりしているそうなのですが、ずっと寝ている状態とのこと。ほかの妊婦さんが30分ほどでテストを終えていくのに、私だけ3時間たっても終わりませんでした。産院の先生はなんども超音波で胎児の様子を見ては「脳もあるし、身体に異常は見当たらない。なんでだろう」と頭をひねらせていました。大学病院に紹介状を書くか迷っていた様子でしたが、予定より2週間ほど早く陣痛が来て、紹介する間もなくかかりつけの産院で出産することになりました。出生後すぐチアノーゼに出産時も、上の子の時とは違いました。生まれてすぐ一声泣いたものの、そのあとはぐったり…胸に抱かせてもらった娘の顔色がだんだん悪くなるのを見て、私は「先生、この子おかしいです!」と叫びました。スタッフが慌てて血中酸素濃度をチェックすると、とても低い数値。あわてて酸素ボックスの中に入れられました。ですが翌日になると落ち着いたので、予定通り3日ほどで退院となりました。Upload By ユーザー体験談泣かない、手がかからない、乳児時代その後は特に問題はないように見えた娘ですが、上の子と比較して違ったのは「泣かない」ということでした。上の子がとにかく泣いてずっと抱っこをしていて大変だったのに、娘は寝かせておいたらずっと寝ているし、泣いてアピールすることもほとんどありませんでした。出産祝いに来てくれたママ友に、「こんなに手がかからないなんて、なんか変じゃない?」と言って「楽なのに心配するなんて、心配しすぎだよ」と言われたのを覚えています。今思えば、自己主張するほど脳も発達してなければ、泣くために必要な身体の力も未熟だったのだろうと思います。Upload By ユーザー体験談4ヶ月を過ぎたころから発達の遅れが目立ち始めた首すわりまでは順調だったのですが、そこから先はつまづきました。寝返りしない、ハイハイしない、座れない、伝い歩きしない…7ヶ月健診で要観察、9ヶ月健診のときにもお座りが安定しない娘をみて、産院の先生に子ども病院を紹介されました。上の子のときを思い返せば、9ヶ月ではしっかり座り、座ったまま体をひねったり、両手でおもちゃで遊んだりしていたし、ずりばいやつかまり立ちもしていました。人見知りも始まっていました。娘は人見知りをすることもありませんでした。原因不明の発達遅延といわれて子ども病院にはかかったものの、原因不明の発達遅延と言われただけ。発達センターを紹介され、1歳になるころから、PT(理学療法)を受けることになりました。センターの先生は、おそらく一目見て娘の障害に気づいていたのでしょう。その後、同じ自治体に娘と同じ障害がある子が複数いると分かりましたし、そうした子どもたちはみんな、就学前はこのセンターに通っていたからです。ですが、立場もあるからでしょう、障害名について口にすることはなく、「ウォーカーをつくって歩行練習をしたほうがいいと思います。障害者手帳をつくれば、公費でつくれるので手帳をつくりませんか?」と提案されました。おそらく、歩行に困難がある障害だから、はやめにウォーカーをつくってリハビリを始めたほうがいいと考えてくださったのだろうと思います。1歳半健診で感じた周りの子どもとの違い1歳半健診にもいったものの、ハイハイもせず、模倣もせず、もちろん積み木もつめず。「おかあさんが髪をとかしていたら、それをまねしますか?」といわれ、1歳半の子どもってそんなことできるんだっけ、と思ったのを覚えています。そうした模倣をするようになったのは、娘の場合は小学校に入ってからでした。健診で、すでに発達センターに通っていることを伝えると、それならと特に要観察の指示もありませんでした。てんかん発作が診断のきっかけに結局、障害が分かったのは、1歳半を過ぎたころにてんかん発作を起こしたことがきっかけでした。地域の中堅病院にしばらく入院し、その後主治医になったのが、ある大学病院から月に何回か来ている脳神経の専門の先生で、その先生は脳波をみて娘の障害に気づき、大学病院への転院手続きをしてくださったのです。大学病院での遺伝子検査の結果、先天性の希少疾患があることが分かりました。Upload By ユーザー体験談3歳児健診はパス、大学病院での配慮がうれしくて3歳児健診には、娘を連れては行きませんでした。障害も分かっていたし、すでに毎月大学病院で見ていただいていたからです。役所に電話したら、「大学病院で毎月見ていただいているなら大丈夫ですよ」と言われました。定期通院のときに、看護師さんに「3歳児健診は行くのやめたんです」と伝えると、いつも計測している身長体重に加えて、詳しく計測をしてくれ、母子手帳に記載してくれたのがとてもうれしかったです。Upload By ユーザー体験談障害告知はつらかったけれど生後1ヶ月くらいから感じていた「何か気になる」というカンは、結局当たっていました。わが家の場合、てんかん発作で入院した病院に、娘の障害に詳しい先生がきていたことから、早めに障害を見つけてもらうことができました。障害が分かったときはその重度さに落ち込みもしましたが、今は早く見つけてくださった先生に感謝しています。あれから10年以上経ちましたが、私たち家族は娘を中心に幸せに暮らしています。イラスト/にれエピソード参考/あき(監修:鈴木先生より)1歳までは運動面での発達が主なので、遅れのあるお子さんはとりあえず「運動発達遅滞」という病名で定期的にフォローしながら病因検索をしていきます。この時点で一般の小児科医から神経専門の小児科医のいる病院へ紹介されるのが普通です。娘さんは運動発達を遅らせることで親にイエローカードを出していたのです。それをいち早く察知するために乳幼児健診(基本コラム「0歳児健診」参照)があります。早めに診断するメリットとしてさまざまな合併症に対する検査・診断・治療が早くできることが挙げられます。1%程度の病気の面は主治医が診るので家族のみなさんは残り99%の健康的な娘さんのできるところを見て伸ばしてあげてください。
2023年01月07日運動会の保育園からの配慮Upload By まる運動会数日前に保育園より面談の話が出た。通常の面談の時期なので運動会後に面談でもいいのだが、息子は加配保育でほかの子どもとは対応が違ってくるため、ついでに運動会のことも話したいという感じだった。私も運動会の対応が気になっていたのでちょうどいいと思い面談の日にちを決めたのだが、ちょうど面談の日に息子が体調を崩してしまったのだ。面談は延期になったが担任の先生が電話で詳細を話してくれた。基本的に先生が一人息子につくこと、競技でポックリをやるのだが、息子のポックリだけほかの子どものものより面積が広く高さが低くなっていること、かけっこの競技は先生と手をつないで走ることになるだろうということ。大体予想通りのお話だったので特に驚くこともなかったが、ポックリを息子の分だけ形を変えてつくってくれていたことは知らなかったので、その配慮がとてもうれしかった。運動会当日、いつもと違う雰囲気に息子のテンションはみるみる下がり…Upload By まる運動会当日、保護者2人まで参加可能ということでわが家はまたじぃじが一緒に行くことになった。前回一緒に行った保育園のイベントの夏祭りは、息子が大泣きで何も参加できずに帰宅。イベントをよく見に来てくれるがいつも不機嫌な孫しか見せられていないので、今回も期待しないでね…と伝えて出発した。保育園に着くや否やいつもと違う雰囲気を感じ取ったのか息子のテンションがみるみる下がっていく。園児は一度玄関で待機して保護者は園庭で観覧なのだが、玄関から大泣きが始まった。ほかには泣いている子など一人もいない。大泣きの息子を抱えながら「お母さんたちは園庭に行ってください!」と言う保育士さんにすみません…と思いながら観覧席で待つことにした。先生に手を引かれながら参加したリズム競技Upload By まる先生の紹介により年少さんの子どもたちが園庭に入場してくる。みんなしっかりと整列してニコニコ笑顔の中、一番最後に先生に手を引かれながら泣き顔の息子が出てきた。立つこともしたくないのか先生の膝の上に座って一人だけベソベソしている。そのまま最初の競技のリズムが始まった。リズムはピアノの音に合わせてウサギの真似をしたり馬の真似をしたりしながら園庭を走る。みんな上手に走り回っている中、息子は先生に手を引かれてゆっくりと歩きながらスタイで顔を隠していた。せっかく動画を撮っているのにまったく顔が映らない。それはそれでおもしろかったが、まったく顔を写すことができないまま、リズムの競技は終わってしまった…。最後までこのままかと思いきや…?Upload By まるポックリの競技が始まった。園児が一人ずつポックリに乗ってコースを一周する。息子は相変わらず先生の膝の上に座っていた。もう今日は最後までこのまま不機嫌かもね…とじぃじに言うと「うーんまぁ仕方ないね」と慣れた返答が来た。さすが自閉スペクトラム症のある孫をもう数年見ているだけある。しかしできれば少しでも参加しているところを見せてあげたいなぁと思っていたら、いつのまにかポックリに乗って笑顔でスタート地点に立っている息子がいた。いつの間に泣き止んだの!?というかできるの!?とカメラを構え見守っていると、上手にポックリに乗って歩いているではないか。隣でうれしそうにじぃじがシャッターを切る音が聞こえてきた。ポックリのコースは保護者の前をぐるっと一周するようになっている。息子は笑顔でこちらを見ながら途中までコースを歩き、そのままコースを外れて一直線にママの元へ来てくれた。息子が楽しそうにしていることも、途中までだけどしっかりと競技に参加できたことも、ママのもとに一直線に来てくれたことも全てものすごいうれしかった。先生も無理に制御することはせずに、息子のやりたいことに合わせて付き添ってくれ、いいタイミングで次の競技に連れて行ってくれた。最後の競技はかけっこ。息子のペースで走り切ったUpload By まる最後はかけっこだ。もう息子は調子を取り戻したようでニコニコで先生に手をつながれながら順番が来るのを待っている。かけっこはそのまま先生と一緒に走るのかと思っていた。よーい、ドン!の合図と共に駆け出す子どもたち、息子は先生に背中を押されてワンテンポ遅れてゆっくりとスタートした。そしてそのまま先生の手を離れのんびりした走りだが一人で走り切ることができた。今日は最初から最後まで泣いてても仕方ないや、そう思いながら来たのに息子は思った以上の成長を見せてくれた。今回成長の喜びと同時に、分かってはいたけれども、ほかの子どもと比べてだいぶ発達の差があるなということも強く感じてしまった。かけっこでみんな同時にスタートして、みんながゴールしたあとゆっくり走りきる息子を見て、このかけっこの差くらい発達の差があるんだろうなとしみじみ感じた。これから先、無理にほかの子どもに合わせて進むよりも、息子に合ったスピードでゆっくり進んでいける場所をちゃんと探していってあげたい。執筆/まる(監修:初川先生より)息子くんにとって初めての運動会。成長を感じる機会となったようで何よりです。これまでの行事での息子くんのコラムも拝読していたので、今回のコラムは読んでいて私もとてもうれしい気持ちになりました。さて、運動会のような行事に関しては、発達的な難しさのあるお子さんに関しては園・学校の先生と事前によく打ち合わせしておけると良いですね。今回も面談の機会を設定いただき良かったなぁと思います。練習の中で、ここはみんなと同じように、ここは特別な配慮をして、ということを先生方は掴んでいらっしゃるので、そこを共有し、保護者の方も承知したうえでのさまざまな配慮がなされることが安心につながります。行事では普段はいない保護者がたくさん参集したり、みんなテンションが高かったり、「いつもと違う」が多いので自閉傾向の強めのお子さんにはしんどい面もあります。ですが、一度経験することで、次回は少し予想がつくため、より一層、取り組みやすくなるでしょう。今回撮られた動画や写真を来年度の運動会の前に予習として見ながら、心の準備もきっと進むことと思います。
2023年01月06日家ではお調子者な息子の意外な一面!?Upload By 丸山さとこコウは、黙っていると大人しく真面目な子どもに見られることもありますが、基本的にお調子者ですし落ち着きがありません。そんな彼が「僕、学校ではクールだと思われてることあるんだよね」と言うので、あまりの意外性に私は「えっ…クール…コウが…?」と固まってしまいました。そんな私を見たコウは「多分話すのが苦手だからだと思う」と笑い、「だから話すようになるとツンデレって言われたりする」と言いました。私はそれを聞いて『少しずつ中学校生活に慣れて話すようになっていったのだな』と安心しつつ、『それにしてもクールに見られるなんてこと、あるかな?』と首を傾げました。ASDがあるコウは、オープンクエスチョンに答えたり『言いたいこと』をまとめたりするのが苦手です。小学校低学年のころは「ポケットティッシュを使い終わったので新しいのがほしい」と思っても上手く文章にできずに困るくらいでした。なので、周りに慣れるまでは無口になりがちなのは想像できます。Upload By 丸山さとこ今では「ティッシュ新しいのちょうだい」と私に言うことはできるコウですが、病院での診察中、医師からの「最近どうですか?」に答えられないなど、今でも『普段あまり話さない相手』に対しては特に言葉が出にくい傾向があります。「緊張はしないんだけど、単純に何て言ったらいいか分からないんだよ」と本人も少し困っているようでしたが、小学校も6年生になれば大半の児童が顔見知りであるため「コウはそういうヤツだから」として何となく受け入れられていたそうです。そのため、担任の先生もスクールカウンセラーの先生も「中学校に入ってからは、半数はコウ君のことを知らない生徒になります」と心配していましたが、中学校入学後は意外にも大きなトラブルが起きることはありませんでした。Upload By 丸山さとこそんな中で聞いた「言葉数の少ないクールな人」というコウへの評価だったため、私は『やはり最初はそうなるね。大丈夫かな?』と思うと共に、『だからトラブルが起きていないのかもしれないな』と安心する気持ちもありました。それにしても、クールなイメージは遠くない?と思っていたら…そのようなわけで、新しい環境では口数が少なくなるであろうコウのことを考えれば「黙っていたらクールに見えることもあるのかな?」と一応は理解できました。けれども、「静かでおとなしい印象ならともかく、クールってコウからはかなり遠いイメージなのでは…?」と不思議に思う部分もありました。私の友人にその話をすると、彼女は「あ~、確かに黙っていたらクールって見えるの分かる」とうなずいていたので、「えー!どうして?」と詳しく聞いてみました。Upload By 丸山さとこ「コウ君って背が高いでしょ?あと勉強が得意で物知りだよね。大人びた感じの表情してるし、黙ってるとクールに感じるよ」と友人は話してくれました。それらの『クールに見える理由』をもとにコウの姿を想像すると、「あ~…そんなクールなクラスメイトっていたりするね!」と納得感が湧きました。思い返してみれば、私自身もかつては『黙っているときとしゃべるときでイメージの違う子ども』でした。読書が好きで髪型はおさげで、当時今よりは少なかった眼鏡をかけた小学生だった私は、「家で本ばかり読んでいる大人しい子ども」と思われがちでした。ところが、実際はかなり多弁で外遊びが好きな子どもでした。Upload By 丸山さとこ大人しく本を読んでいることも多かったので「読書が好きな大人しい子ども」のイメージも間違いではありませんが、木に登ったり、竹馬を限界まで高くしたり、ジャングルジムから飛び降りたりしている姿は、『読書好きのおとなしい子ども』からはかなり離れた印象だっただろうと思います。コウの「黙っているとクール」も、子どものころの私と似たようなものなのかもしれないと思うと、「クールに見える人の内面もいろいろなのだろうな」と面白く感じました。そうして、中学校入学後しばらくはクールと言われることがしばしばあったというコウでしたが、次第にクラスメイトと打ち解けていく中で『よくしゃべるお調子者』な一面が少しずつ出てきたようで、1学期の終わりごろには「ツンデレ」と言われることもあったそうです。会話の中から意図を読み取ることが苦手なコウですが、会話のパターンが蓄積された相手であれば「この人が『最近どう?』って言ったら〇〇についてのことだな」とある程度予測はできるようになります。Upload By 丸山さとこクラスや部活など同じコミュニティに属する相手だと『自分も相手も知っていること』が多くなるため、さらに話しやすくなるようです。多分、そうなれるくらい時間が過ぎたのと同時に、口数が少ない間も会話の輪の中に入れてもらえる機会があったのだろうと思います。環境が合い、安定しているコウを見て今思うこと先日行なわれた2学期末の個人面談で聞いたところによると、現在のクラス内でのコウは「勉強が得意で部活を頑張っているコウはちょっと凄いヤツ」という評価を得ている一方で、お調子者なところもしっかり認識されているそうです。「調子に乗り過ぎてやらかさないだろうか…」と親としては心配になりますが、今のクラスではそんなところも含めて「コウってそういうヤツだよな」と受け入れられているそうで、『本当にありがたいな』と今の平穏をかみしめています。環境が合うときの安定したコウからは想像できないほどの『負荷がかかって荒れるコウ』を知っているだけに、今の平穏はこれから先も約束されたものではないのだろう…と私は考えています。それでも、今の安定した状況の間に経験したことはコウの一部になって、今後も助けてくれるかもしれません。先の予測はつかない毎日ですが、そうなることを願っています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)人見知りが強いお子さんは一見クールに見えることがあります。環境に慣れ、場慣れしてくると本領を発揮するお子さんも少なくありません。以前にも述べましたが、ASDのお子さんは「最近どうですか」では通じないことが多いのです。「学校の授業はどうですか」などともっと具体的に聞く必要があります。ASDのお子さんは行間や空気が読みにくいからです。さらに周りからいろいろ言われたり、不安が強くなったりすると緘黙に転じてきやすいので注意が必要です。
2023年01月04日乳児揺さぶられ症候群が起きてしまう原因って?予防のためにできることは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンどうして乳幼児揺さぶられ症候群が起こってしまうの?乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は、乳幼児が激しく揺さぶられたときに、脳が損傷してしまうことです。乳幼児揺さぶられ症候群が起きた過去の事例を見てみると、赤ちゃんを揺さぶってしまった原因として多いものは「育児ストレス」です。保護者など、子どもの周りにいる大人が子どものことでイライラしたり、腹を立ててしまったりするときに激しく揺さぶってしまうようです。特に、子どもが泣きやまないときに、激しく揺さぶってしまった、というケースが過去の事例で多く挙げられています。参考:子ども虐待による死亡事例等の検証についてどのくらいの強さで揺らすと乳幼児揺さぶられ症候群(揺さぶられっ子症候群・SBS)になりやすい?たかいたかいやベビーカーも危険?では、具体的にどの程度激しいと赤ちゃんが乳幼児揺さぶられ症候群になってしまうのでしょうか。1秒間に2往復以上させる暴力的な揺さぶりは危険です。これは周りから見ると誰もが子どもの安全を危ぶむほど、かなり激しい揺れです。赤ちゃんの身体を支えてゆっくりと揺らす、膝の上でピョンピョンとさせてあやす、などといった通常のあやし行為で乳幼児揺さぶられ症候群が起きることはありません。また最近、「ベビーカーに子どもを乗せているときに段差がありガクンと揺れてしまった」「バウンサーを使用するのは危険なの?」「チャイルドシートに子どもを乗せているときに大きな振動を与えてしまったが大丈夫?」というような、保護者からの心配の声が増えつつあります。ですが、ベビーカーやバウンサー、チャイルドシートなどによる乳幼児揺さぶられ症候群の発症の多くは使用方法の間違い、過剰な使い方によるものです。正しい使い方を守り、注意事項を十分に理解していれば、このような機器による乳幼児揺さぶられ症候群のリスクを過剰に心配する必要はありません。乳幼児揺さぶられ症候群を防ぐには?乳幼児揺さぶられ症候群は子どもの周りの大人の意識によって十分に防ぐことができます。以下で、何に気をつければよいのかについて説明します。・子育てにおける知識・注意事項を家族全員で共有する乳幼児揺さぶられ症候群を引き起こしてしまう原因の一つとして、子育てに関わる大人が赤ちゃんをどのように扱えばいいのか、どういったことが危険なのか分からないということが挙げられます。家族の誰であっても安心して赤ちゃんの抱っこやあやしをお願いできるように、以下のようなことを子育てする家族全員で共有することが大切です。・赤ちゃんをどのくらい揺さぶってしまうと揺さぶられ症候群を発症してしまうのか?・赤ちゃんとどう接すればよいのか?・抱っこやあやす際には何に気をつければよいのか?など赤ちゃんとの安全な接し方を家族全員が知っておくことで、乳幼児揺さぶられ症候群のリスクを減らすことができます。・自分なりのストレス解消法・リラックス方法を知っておく乳幼児揺さぶられ症候群は、保護者が「ついカッとなって」、「ストレスが溜まって我慢の限界に達して」という精神状態に陥ることで起きてしまうことも多くあります。「自分だって疲れているのにこの子はどうして泣きやんでくれないの」「泣き声のせいでまともに寝ることができない」など、子育てはうまくいかないことやイライラしてしまうことが誰しもあるものです。そんな状態になったときに、つい子どもに八つ当たりしてしまった。それが原因で、乳幼児揺さぶられ症候群になり、子どもにけがや後遺症などを引き起こしてしまった…。そのような悲しいことが起きてしまう前に、自分が疲れたとき・ストレスを感じているときにどうリラックスするかをあらかじめ考えておきましょう。・ストレスでカッとなりそうになったらほかの家族に赤ちゃんの面倒を頼み、自分は赤ちゃんと距離を置いて一人になってみる・短時間でも自分の趣味を楽しむ時間をつくってみる・小児科や保健所で専門家に相談してみるなど自分にあったリラックス方法、ストレス解消法などが見つけられるとよいでしょう。赤ちゃんが泣きやまない原因は、空腹やおむつなどの生理的なものから、特に理由もなく泣いている、外からの刺激にびっくりして泣いているといったものまでさまざまです。特に、生後1~2ヶ月の赤ちゃんは泣く頻度がピークに達するといわれています。泣いている原因が何かいろいろ確かめても分からないときは、ただ見守ってみる、優しく抱っこし続けると自然と泣きやむ場合もあります。
2023年01月03日乳児揺さぶられ症候群とは?症状や注意したいことを解説Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン乳幼児揺さぶられ症候群とは?症状や原因は?乳幼児揺さぶられ症候群とは、乳幼児が激しく揺さぶられることによって脳内が傷ついてしまう状態、またそれによって重大な障害が残る状態を指します。乳幼児揺さぶられっ子症候群、Shaken Baby Syndrome (SBS)とも呼ばれます。■乳幼児揺さぶられ症候群が起こる原因赤ちゃんは頭が重く首の筋肉が未発達のため、激しい揺れで脳が衝撃を受けやすい状態にあります。また、新生児の脳の大きさは大人に比べて小さく、成長と共にどんどん大きくなっていきます。このような脳の発達に備えて、頭蓋骨と脳の間にはある程度のすきまがあります。つまり、赤ちゃんの頭の中は、頭蓋骨の中に脳が浮いているような状態にあるのです。そのため、激しく揺さぶられると頭蓋骨の内側に何度も脳が打ちつけられ、脳の血管や神経に損傷が起きてしまいます。このため、保護者が赤ちゃんをあやしたり抱っこしたりするときは、新生児期・乳児期を通じて頭がぐらぐら揺らされていないかどうか、力強くすばやく揺らしてしまってはいないか、注意する必要があります。■何歳くらいに起こるものなの?新生児~生後6ヶ月ごろまでは、首の筋力が弱く安定していないことから特に注意が必要です。それ以降も頭蓋骨の成長が完了する2歳ごろまでは、頭蓋骨と脳の間に少しのすきまがあるため激しく揺さぶってはいけません。乳幼児揺さぶられ症候群の症状赤ちゃんが激しい揺さぶりを受けると、脳細胞が破壊され、脳の中が低酸素状態になります。揺さぶりを受けたあと、赤ちゃんが以下のような症状を見せた場合、乳幼児揺さぶられ症候群の可能性があります。・元気がなくなる・機嫌が悪くなる・傾眠傾向(すぐに眠ってしまう状態)・嘔吐(ウイルス感染による嘔吐症と間違われやすいです)・けいれん・意識障害(呼んでも、応えない)・呼吸困難・昏睡(強く刺激しても目を覚まさない状態)・死このように、乳幼児揺さぶられ症候群は死に至る可能性もあります。赤ちゃんを激しく揺さぶってしまい、このような症状が現れた場合は、すみやかにかかりつけの小児科か最寄りの救急救命センターへ子どもを連れていきましょう。乳幼児揺さぶられ症候群の後遺症は?目が見えなくなったり、言葉が遅れたりする?また、命が助かった場合でも、以下のような症状・後遺症を起こしてしまうこともあります。・脳の周りの出血(硬膜下血腫、クモ膜下出血など)や脳の中の出血・失明、視力障害・言葉の遅れ、学習の障害・後遺症としてのけいれん発作・脳損傷、知的障害・脳性麻痺硬膜下血腫やクモ膜下出血とは、脳の表面で起きた出血が原因で起こります。頭蓋骨と脳の間には、頭蓋骨側から「硬膜」「クモ膜」「軟膜」の3つの膜があります。硬膜下血腫やクモ膜下出血は、硬膜・クモ膜と脳の間に血液が溜まってしまう状態を指します。乳幼児期という脳の発達においてとても重要な時期に、乳幼児揺さぶられ症候群で脳内が傷ついてしまうと、身体機能や精神機能、学習機能などさまざまなところに影響が出てきてしまうことがあります。乳幼児揺さぶられ症候群はストレス対処で未然に防ぐことができます乳幼児揺さぶられ症候群は赤ちゃんを激しく揺さぶると発症する脳の損傷です。脳へ大きなダメージが与えられるので、子どものその後の発達に大きな影響が出ることがあります。赤ちゃんをあやす際には頭や首をしっかり支え、激しく揺らしたりしないようにしましょう。乳幼児揺さぶられ症候群は保護者の育児ストレスが背景にあることが多く、そのストレスに対処することで未然に防ぐことができます。疲れたとき、ストレスが溜まっているときなど、一人で抱え込まず相談することも大切です。イラスト/taeko
2023年01月02日新年あけましておめでとうございます新年あけましておめでとうございます。編集部一同、2023年がみなさまにとって素晴らしい一年となることを願っております!さて、2022年、発達ナビはさまざまな取り組みを行ってきました。ここで、この一年を振り返り、取り組みについてご紹介したいと思います。新たな連載ライターも多数加わり、発見や共感がたくさんあるコミックエッセイをお送りしてきました。また、発達ナビの会員のみなさまの体験をもとにしたコミックエッセイも数多くリリースしました。こんな場面、ご自身も経験した…というエピソードも多くあるのではないでしょうか。そこでの思いや対応、どのように乗り越えたのかなどはきっとヒントになるはずです。みなさまの体験されたエピソードもぜひお寄せください!また、専門家による体験談を漫画形式でつづる企画もスタートしました。最前線の臨床で、専門家のみなさんが、当事者である子どもやご家族にどのような助言や治療を行い、子どもたちがどのように変化していったのかを追体験できるコラムに仕上がっています。発達ナビのQ&Aコーナーには、毎日たくさんの疑問や不安が寄せられ、会員のみなさま同士でのやり取りが活発に行われています。そうしたコーナーの中から、多くの人が悩んでいる話題をピックアップし、発達ナビの監修の先生方に助言をいただく新企画がスタートしました。保護者のみなさま同士のアドバイスに加え、専門家の助言、基礎知識まで詰め込んだコラムです。ぜひお読みください!皆さんのQ&Aコーナーへの投稿、引き続きお待ちしています!イラストや図入りで分かりやすく解説する記事も毎月公開しました。みなさまのご意見、発達ナビとの関わりをコラムに!Upload By 発達ナビ編集部2023年1月26日は発達ナビの7歳の誕生日です。この日を記念して、ユーザーのみなさま参加型のコラムもリリースさせていただきたいと考えています!「発達ナビと出合って変わったこと」「こんな風に使っています」「こんな機能があったらうれしいな」発達ナビを活用いただくことで変わったこと、変わるといいなと思っていることをぜひお寄せください!いただいたエピソードやご意見は、7周年記念コラムでもご紹介させていただければと考えています。アンケートを実施していますので、ぜひご協力ください。
2023年01月01日帰省、お手伝い、冬ならではの悩み…年末年始に読んでほしいコラムをピックアップ!長期休暇でご実家に帰られたり、普段は会わない親戚や友人と集まったりする機会も多くなる時期。お子さんの障害について伝えることが難しい…と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ウチノコさんは、ADHDと自閉スペクトラム症の診断のある小学3年生、むっくんのお母さん。まだむっくんが小さいころ、一緒に暮らす家族以外の人にむっくんの特性を理解してもらいたいとき、伝え方に気をつけていたことがあると言います。もう一つは発達ナビ会員さんから寄せられた体験談です。自閉スペクトラム症やDCD(発達性協調運動症)などの診断がある息子さん。ある日、家族旅行で実家のある県へ行く機会があり、7年ぶりに帰省することになったのですが…。祖父母が障害のある孫と初めて会ったときのエピソードです。加藤路瑛さんには感覚過敏があります。感覚過敏のない人たちが普段当たり前のようにできたり、楽しんだりしていることが、感覚過敏のある人にとっては耐えられないほどつらいこともあると言います。このコラムでは、冬ならではの感覚過敏の困りごとや、当事者視点での「あるある」エピソードをご紹介します。次は、発達ナビ会員さんの体験談をご紹介します。重度知的障害がある娘さんには「水が大好き」という特性があります。娘さんが3歳の冬のある日、お母さまが深夜に帰宅したところ、ヒヤリとする場面に遭遇してしまったそうで…。お正月と言えばおせち。昨年末、簡単につくれるおせちの材料を買ったものの、いざとなると面倒になってしまった丸山さとこさん(お気持ちよく分かります…)。しかし、そこで丸山さんはひらめきました。「もしかしてコウならつくれるのでは…?」知育菓子と家庭科の授業で鍛えられたコウ君の料理能力に期待して、おせちづくりをまかせてみた結果はいかに!?さいごに今年もたくさんの方に発達ナビをご利用いただきありがとうございました。来年もみなさまのお役に立つコラムや企画をお届けできるよう、発達ナビ編集部一同頑張ってまいりますので、変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。それでは、どうぞ良いお年をお迎えください!
2022年12月31日