クラブ・ルーツを訪れたのは…クラブ・ルーツでようやくガバナーに会えたサシャ。話をしていると…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子執筆後記残すところあと2話(^▽^)vちなみにガバナーの名前の由来は“government(行政)”です^^執筆/荒木まち子
2022年04月12日保育園のママたち発達障害と診断を受け、やっと太郎とまっすぐ向き合える生活となった。自分に素直になった分、太郎のことにも少し余裕を持って関われるようになったからだと思う。しかし、この時期に別の悩みが出てきた。保育園のママたちとの関わり方だ。Upload By まゆん保育園のママたちとは、まだ密接な関係性はなく、送迎時に挨拶を軽く交わすくらいだった。みんな送迎時は仕事で慌てていたり、ゲッソリしていた。私もそのうちの一人で、ママたちと交友することはなかった。Upload By まゆん年少クラスは3歳から4歳のクラスであり、子ども同士の遊びも増えてくる時期だった。保育園に迎えに行くと、園児同士がごっこ遊びをしているのを目にした。太郎はというと、もっぱら一人で走り回ったり、大声で歌を歌っていたり、ひたすらブロック遊びをしたりしていた。私は「友達できるかな」「やはり浮いてるな」「周りのお母さんたちは太郎のことをどう思ってるかな」「しかし可愛いな」そういうことを思っていた。太郎が発達障害の診断を受けて、育児に対してきついと思っていた自分は間違いではなかったとほっとしていた反面…周りからどう思われるかという不安があった。「あの子ちょっと変わってるよね」「おやおや?」と見えてしまう行動をするのが太郎。ほかの保護者の人の目にどう映るのか心の中で引っかかっていた。誰からもそういう発言や冷ややかな目はないのに、当時の私の中では結構気になる問題だった。Upload By まゆん当時、保育園の中で一際目立った親子がいた。いつも明るくて周りからも声をかけられるようなキラキラした親子だ。Upload By まゆん太郎を保育園に迎えに行ったある日のこと。太郎はいつものように教室の走れるスペースでひたすら往復走りをしていた(やばい、今日も多動マックスだ…)。「あはは!教室壊れるんじゃない?」爽やかな笑い声の主はキラキラお母さんだった。キラキラお母さんは大きなお腹を抱えてどこか痛そうに歩いていた。第2子出産間近で腰痛を患っていたようだ。Upload By まゆんしばらくしてキラキラした親子は保育園の定員の関係もあり、いったん退園することになった。その後も、太郎は変わらずほかの園児への興味は薄く一人遊びが多かった。「今日も一人か…」と、私は少し切なくなっていた(本人は楽しかったのだと思う)。この切ない気持ちってなんだったんだろうと考えることがあった。私自身は一人で遊ぶよりも友達と遊んだ方が「楽しい」と思えて、一人で遊ぶことが「寂しい」と認識していたし、そういう経験があったからなんだと思った。でもそれは私の認識で、太郎にとっては全然違うもの。友達と遊ぶよりも自分の世界の中で自分を楽しんでいるのだと思った。クリスマスパーティーある日、街のスーパーでキラキラ親子とばったり出会った。胸には数ヶ月の第2子を抱え、退園した太郎と同じ年齢の子も連れていた。「太郎ちゃんママ!うちの子がさ!太郎ちゃんと遊びたいって言ってるんよ!今度クリスマスパーティーを園の友達とするから来ない?」私は驚いた。キラキラした親子から、しかも他人に興味を示さない太郎と遊びたいと声がかかるなんて人違いではないのかと疑った。それでも私はうれしくて「行きます!」と速攻返事をした。Upload By まゆんそして迎えたクリスマス当日。園の子どもたち、ママたちとは言えど、私はほぼ面識のない顔ぶれだった。それぞれが食べ物を持ち寄っていたが、太郎は偏食のためひたすらフライドポテトを食べるだけだった。私は太郎の偏食を理解していたので当たり前の光景ではあったが、世間的には「教育がなってない」と思われるのでは…とママ友の反応にソワソワしていた。「すごい!太郎ちゃん!ポテトから浮気せんね!(笑)ねぇねぇ!私にもちょうだい」と、一人のママ友が太郎に話しかけてくれた。Upload By まゆんこのやり取りを見て、ほかの人がどう感じるかは分からないが、私は安心感を覚えた。太郎に話しかけてくれたママから太郎への興味を感じ取れたし、偏食の太郎を否定せず、私にとって「おもしろい」方向へ向かわせてくれたからだ(こうして自分を振り返ると、私の考え方は自己中心的だなと思う。でもそれでいいと思う私もいる)。「保育園退園してから毎日どんなことして過ごしているの?」パーティーの途中でキラキラママに1人が声をかけた。「んー、主に公園で虫取りかなぁ。でもさ…」キラキラママは少しうつむいて語り出した。「保育園退園した途端に、うちの子とどう過ごしたらいいのか分からなくって」Upload By まゆんキラキラと彼女は心を言葉に表した。「仕事してるときは、朝早くから夕方遅くまで保育園に預けてて帰ってごはんを食べさせたらあっという間に寝る時間やん?その生活に慣れていたけど、退園した途端にうちの子がどんな遊びが好きなのかも分からんで…あれ?私、自分の子どものこと分かってない!って思った」この言葉を聞いたとき、診断を受けたときの私の心情を思い出した。子育てが楽しくない、わが子なのにきつい、苦しい、大変、そんなことを思っちゃいけないと思ってた。きついことをきついと言えないで苦しんで毎日もがいてた。けれど、彼女は自分の苦しさをためらわず伝えていた。「うちの子も『保育園に行きたい!』って言うのに行かせてあげれんし、どうしようもなく切なくてさ。どうにかしてあげたいっていう思いで今日はみんなに声をかけたよ。ありがとう!太郎ちゃんママも今日来てくれてありがとう!」彼女の弱気な本音はストレートで前向きだった。こんな弱音の吐き方もあるんだと初めて知った。彼女がキラキラまぶしい理由は自分の弱いところもまっすぐに出せるからかもしれない。そうだ…隠す必要なんてない。「あの、実は太郎のことなんだけど…ちょっと前に発達障害って診断を受けて…」ママたちは私の言葉に一瞬だまった。「なんか、ありがとう。すごいね、冷静に受け止められてる。私やったらめっちゃ否定するかも。太郎ちゃんママすごい」そう言ったのはフライドポテトのママ。「なんかうちらにできることある?発達障害について教えて」とキラキラママも続けた。あとがき人は自ら助けを求めたときに、必要とする助けを受けられるんだと思います。「これに困っている」と明確に伝えることで周りも支援理解や支援がしやすくなるし、目標も立てやすくなると考えています。このとき何よりも「弱さもあるから強さもある」と、ママたちから教えていただきました。いつも強くてキラキラしてるのは弱さも受け止めれているからなんだと…。今でも仲良くさせていただいてます。大切な出会いの一つでした。執筆/まゆん(監修:井上先生より)子育てのストレスには「孤立感」があります。子どもを介してのかかわりとなる「ママ友グループ」は心の支えになる場合もあれば、お付き合いがつらくなることもあります。まゆんさんのように、自分の本音を出し合える仲間の存在は子どもの障害の有無に関係なく互いの理解や心の支えになっていくと思います。
2022年04月12日あまりにも字が下手私は字を書くのが苦手でした。字をきれいに書くことができず、きれいに書こうと気をつけるとやたら時間がかかってイライラする。算数でノートの計算式がだんだん歪んでいって桁がわからなくなり、盛大に計算ミスする。私は手書きのノートで勉強するにあたって常にイライラしていました。その理由が当時は思い当たらず、自分のフラストレーションについて言語化もできず。ぼんやりと、皆こうして我慢しているものだと思っていました。あまりに球技ができなかった苦手な体育の中で特に苦手だったのが球技です。ともかくボールが怖い。ボールをよく見ろ、逃げるなと言われても、ボールを正しく「見る」というのがどういうことなのかわからないし、必死に目をひんむいて見ようとしたところで、怖くて反射的に目をつぶってしまう。自らボールを迎えにいけと言われても、やはり身体が勝手にボールを避けようとします。そんなこんなで、いくら練習しても、投げられたボールが取れない。ボールを力いっぱい投げても飛びません。ボールに的確に力がかかる方向に投げる動きができないのです。たとえば理屈で「◯度の角度で投げろ」「ボールがここに来た瞬間に手を離せ」という感じで説明してくれる人はおらず、ともかく「真面目に」「本気で」「やる気を出して」やれと叱咤されるばかりでした。同級生からのいじめ、先生からの叱責苦手な体育の種目は球技ばかりではありません。走るのも遅くて走り方が変、長縄が怖くていつまでも入れない。小学校時代は、ドッジボール、リレー、長縄などのクラス間競争で「お前のせいで負けた」「真面目にやらないからだ」とクラスメートから罵声を浴びせられる。突き飛ばされ、動きを真似されて笑われる。私の身体の不器用さは、私をいじめるための格好の理由になっていました。身体の不器用さにまつわる私の苦難は、中学生になっても続きます。中学生の頃、あるとき数学の先生が私の数学のノートを見て激怒しました。「こんなに汚く書くのには悪意があるに違いない。私をバカにしているのでしょう」と言います。私は心底驚きました。そんなふうに捉えられるなどとは思ってもみなかったのです。「いや、もともとノートを書くのが苦手なうえに数学が苦手なので、苦痛でこうなってしまうだけです」と説明しましたが、先生の怒りは治まらず。結局、反省文の提出を要求される事態にまで発展してしまいました。いま思えばこれらのできごとは30年前後前、発達障害について世間的な認知のない頃のこと。私はほかの教科の成績はよかったし、ともかく口は立ったので、特定の教科・特定のことだけ苦手かもしれないことに、クラスメートも先生も思い至らなかったのかもしれません。私としては精一杯頑張っているつもりなのに、悪意で手を抜いている、性格が悪いと解釈されるのです。私はこうしたできごとのせいでかなり傷つきましたし、どうしてわかってくれないのかと怒りも覚えました。そうしたモヤモヤの理由も、持っていきどころもわからず…。ITとの出会い、発達障害の自覚しかし、私は30歳を過ぎてようやく自分の発達障害を知ることに。発達障害者には字がうまく書けなかったり運動が苦手だったりする人が多いこと、その理由のひとつは協調運動障害(DCD)といって、頭の中のイメージと身体の動きが一致しなかったりすることによる身体の動きの不器用さだと知りました。私は初めて、自分が手書きのノートに対して長きにわたって感じていたフラストレーションの原因を知ることになりました。そうなのです。「頭の動きに手の動きがついてこない」感じ。頭の中でイメージしていることを手が思ったように出力してくれない、手が思考を出力するボトルネックになっている。そんな感じだったのです。そして、手の動きがボトルネックとならなければ、持ち前の頭の回転を存分に生かせるのが私でした。私は大学に入ってからタッチタイプを習得し、いろいろな文章をワープロソフトで書いていくようになりましたが、その小気味いいこと。考えると同時に手が出力してくれる、何にも邪魔されない感じ。どれほど雑にタイプしてもきれいに整った字で出力してくれるワープロソフト。今の私の生産性は確実にワープロソフトに支えられています。その後はPCをはじめ、さまざまなITを活用して自分の苦手をカバーしています。表計算ソフトを使えばきれいな表の作成や苦手な計算も思うまま。買い物メモは手書きだとあとで自分でも読めなかったりしてミスのもとなので、スマホで入力したり、スマートスピーカーと買い物リストを連携して音声入力したりしています。運動も、身体を動かすこと自体は好きなのだと気づいたので、ゆったりしたヨガやゆっくりめのダンスなどを日常的に楽しんでいます。使えるツールは使って「本人の楽」を大事に私の人生は、自分の苦手を把握し、苦手をカバーしてくれるツールと出会ってから格段に楽になりました。要らぬトラブルやストレスが減り、それまで誰も知ることのなかった本来の能力を発揮できるようになって自己肯定感もアップしました。私が子どもの頃には発達障害の世間的認知もなく、今のようなITツールも存在しませんでした。しかし、いまの子どもたちにはこれらの両方があります。いまの子どもたちにはぜひ、こうした環境を存分に享受させてあげてほしいと思います。障害のあるなしに関わらず、人にはそれぞれに苦手なこと、頑張ってもできないことがあり、それはツールで乗り越えられるならどんどん乗り越えていけばいいのです。文/宇樹義子(監修者・鈴木先生より)発達性協調運動症(発達性協調運動障害)は不器用さが根底にあり、球技が苦手だったり、字の上手く書けないことが多いです。ただ、ADHDの治療をすすめ、集中できるようになると字がきれいになったり、シュートが入るようになったりする人も多いのです。日本では根性論的な指導をされることが比較的多いのに対して、野球が盛んなアメリカではリトルリーグ時代から何度の角度で投げればいいなど具体的に教えてくれます。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)のある人は、周りの理解がないと責ばかり受け、自尊心が落ちてしまいがちです。感覚統合訓練や音楽療法が訓練法としてお勧めです。宇樹さんが行っていたダンスは音楽と感覚統合が組み合わさっているのでとてもいい方法だと思います。字が上手く書けなくても、今はPC等ITツールも普及しており、それに救われる人も多いのではないかと思います。書字障害のある方も学校でPCやタブレットを用いることでいじめや叱責から逃れられています。みんなと一緒でなくてもいいのです。
2022年04月11日ダウン症とは?タイプや診断についても紹介Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン注:転座染色体保因者は、遺伝情報が不足している訳ではないため、発達への影響はないとされています。また、片方の親が転座染色体を持っているからといって、生まれてくる子ども全員に転座型ダウン症がある訳ではありません。ダウン症とは?ダウン症は、正式名称をダウン症候群といいます。通常、ヒトの染色体は、1番目から22番目の染色体まではペアになっていますが、ダウン症がある場合は、21番目の染色体が1本多く3本あります。卵子や精子の分裂異常、または受精時に偶然に起こる染色体異常によるものが大半で、両親どちらの染色体にも問題ない場合がほとんどです。ダウン症は大きく分けて・標準型21トリソミー型・モザイク型・転座型の3種類に分かれます。ダウン症の約93%は「標準型21トリソミー型」と呼ばれるもので、これは通常であれば22本あるはずの常染色体が23本と1本多くなることで起こるものです。これは受精時に偶然起こるもので、両親の染色体に変異はありません。また、ダウン症全体のうち2%程度が、「モザイク型」という種類にあてはまります。モザイク型の人は2つの異なる細胞で体が構成されています。21番目の染色体が、通常の2本の細胞と3本の細胞の両方によって構成されることにより起こります。モザイク型ダウン症も、両親の染色体に変異がなくても発生します。正常の染色体の割合が多いほど、ダウン症の症状が軽くなります。さらに、「転座型」という21番目の染色体のうちの1本が他の染色体にくっついたことによって起こるダウン症もあります。これはダウン症全体のうち5%ほどにあたります。そして、この5%の発現率のうち、さらにその約半分が親に転座染色体保因がある場合、つまり遺伝によって起こるとわれています。ダウン症は精子や卵子、受精卵が分裂するときに偶発的に起こるものがほとんどであり、遺伝による可能性は極めて低いです。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)※注:『病因』項目内「約95%の症例で21番染色体全体の過剰(21トリソミー)がみられ、典型的には母親に由来する。そのような症例では47本の染色体がみられる。」この約95%内に「標準型21トリソミー型」「モザイク型」が含まれていると言われています。染色体異常が起こるメカニズムダウン症の原因は染色体異常によるものです。女性は生まれたときから一生分の卵子を卵巣に持っています。成熟してからほぼ毎月やってくる排卵の時期まで、ずっと分裂途中で待っています。しかしこの分裂がうまくいっていない場合があります。この卵子が受精した場合、ダウン症の子が生まれる原因となります。また、精子の分裂異常などが要因になる場合もあります。さらに、卵子や精子が正常に分裂できていても、受精してからの分裂段階で分裂異常が起こる事もあります。受精後、分裂しながら着床まで進む間の段階で、染色体がうまく分裂しないことが原因となることがあります。この発現は偶然であると考えられており、親の素質は関係ないと言われています。出生前診断について妊娠10~15週ころには、超音波検査で四肢や頭部などの発育を確認し、疾患などがないか確認をします。ダウン症のある赤ちゃんは、妊娠後期に後頚部のしわの厚さが著明になることが特徴としてあげられています。また、出生前診断にはいくつかの種類があります。ですが、診断を受けることは義務ではなく任意です。すべての妊婦が必ず出生前診断を受けているわけではありません。ほかに、下記のような検査があります。母体の血液中のホルモンやたんぱく質を調べます。成分濃度により、胎児の染色体異常の有無が分かります。腹部に注射器を指して羊水を採取する検査方法です。99%以上の確実性があると言われていて、ダウン症の確定診断に使われています。ただし、注射器を腹部にさす事になるため、流産リスクが0.3%ほどあります。腹部に針を刺し、胎盤になる前の組織を採取する検査です。羊水検査と同じく流産リスクがあります。母体の血液を採取し、赤ちゃんの染色体に異常があるかどうかを調べます。羊水検査や絨毛検査のような流産のリスクはなく、母体血清マーカーテストより確実性の高い検査方法です。羊水検査と絨毛検査は確定診断として使われる検査です。そのほかの非確定的検査を受け陽性反応が出た場合、これらの2つの検査のうちどちらかを受けます。まとめダウン症の原因は主に染色体異常により偶然発症することが多いですが、わずかに「転座型」という種類の場合に遺伝性の可能性があります。また、ダウン症がある女性がダウン症のある子どもを妊娠する可能性は50%ほどありますが、自然流産となることが多いといわれています。ダウン症がある男性は、モザイク型の場合を除くと、全例が不妊と言われています。出生前診断などにより、出生前にダウン症を診断できる機会もあります。しかし、出生前診断の結果によっては、ご家族に出産に際して大きな決断をする必要が発生します。検査を受けるかについては、事前にご家族とよく話し合い、決断するべきだといえるでしょう。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)
2022年04月10日クラスのみんなとの活動にも参加できるようになってきたしのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子です。年少さんクラスになって、加配の先生も一人しのくんについてくれて、だんだんとクラスに慣れてきた3歳4ヶ月ころのことです。以前は集団行動ができず、すぐにクラスから脱走してたしのくんでしたが、それも減りました。だんだんと律動(リズムを使った運動)などのクラスのみんなとの活動にも参加できるようになってきました。Upload By keikoそんなとき、運動会にむけて園歌をクラスで練習することになりました。最近はみんなでの活動ができるようになってきたと思っていたので、その様子を先生から聞き、私はショックを受けました。練習に参加せず一人暴走するしのくん先生に聞いたところ、運動会の練習の時間にみんなは園歌を歌っているのに、しのくんは絵本を広げて読んでみたり、歌ってるみんなの周りをぐるぐるまわってみたり、クラスの子にちょっかいを出しているのだそうです。Upload By keikoみんなの反応は…⁈私はこの話を担任の先生から聞いて、一人で勝手なことばかりするしのくんに、みんなは怒ってないのか心配になりました。クラスのみんなはしのくんのことどう思っているのかな?嫌われていたらどうしよう??…思わず先生に聞いてしまいました。Upload By keikoけれど、みんなしのくんに優しくて、誰も怒らず、ちょっかいを出された子も困った顔をするだけなんだそうです。Upload By keikoほかにも自由遊びの時間にみんなが頑張って積み上げた積み木をしのくんが倒したとしても、クラスの子たちは怒らないというエピソードを聞いて、みんなの優しさに感動し感謝しました。ですが、このままではダメだと思い、まずはみんなと園歌の練習はできるようにしようと先生から園歌の楽譜をもらい、家で練習をすることにしました。現在まだまだ集団行動が苦手なしのくんですが、これからも家でできることはやっていこうと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:井上先生より)雰囲気のよい園でkeikoさんも安心されたことと思います。行事の中でも得意なことと苦手なことはでてくると思うのですが、家で1対1で練習することで園で練習するときよりも覚えやすいと思います。お子さんが歌に親しむために家で行事で使う歌や音楽をかけたり、練習のときの動画を見せたりするのはいい方法だと思います。運動会という行事の中で本人が何をやったらいいか分からなかったり、長い時間待たなければいけないというのは、苦手なお子さんも多いと思います。このような場合は、競技の流れを視覚的に示すことで、参加しやすくなります。また待ち時間は、ほかの場所で遊びながら過ごすなど、特別なルールがあるとよいかもしれません。いっぺんに全部に参加させようとすると本人にも周りにもプレッシャーがかかります。参加できそうなところを中心に、本人に合った活動に部分的に参加しながら、年齢と共に徐々に参加できるものを増やしていけたらいいですね。じっとしながら歌うのは大変なことです。例えば、歌を歌う時間や、待ち時間などにお子さんに役割を与えというのもいいかもしれません。小学生のお子さんの例ですが、指揮者や歌詞をめくる係、得点係などを担って、運動会に参加したというお子さんもいます。また、感覚過敏などがあると大きな音がつらくなってしまうこともあるので、園などに相談し苦手なところに配慮しながら行事に楽しく参加できるといいですね。
2022年04月09日コウが「お母さんみたいにちゃんとしたいな」と言う理由は?Upload By 丸山さとこコウは、私が予定を組んだりリマインダーをかけたりタイマーを使ったりするのを見ながら「僕もお母さんみたいにちゃんとしたいなー」と言うことがあります。私は忘れっぽくミスもよくするので、「ちゃんとしてるといったらお父さんじゃない?」と聞くと、「確かにお父さんはちゃんとしてるけど、お母さんは僕みたいにウッカリなのに工夫してるよね!」と力説するコウ。「だからすごいなって思うし、参考になるのはお母さんだと思うんだよ」と語る彼に、「なるほど~、ウッカリ込みの評価か!」と笑いつつ、彼なりに考えて観察しているのだなと感心しました。その観察眼には拍手を送りたいところですが、観察しているだけで試したり取り入れたりはしないコウなので、「そう思うなら自分でも工夫してみよう?」と言うと「工夫か~…」と面倒そうにしています。Upload By 丸山さとこ親としては「そこは何とか頑張ってみなよ~」と思いますが、面倒くさがりな1人の人間としては、その気持ち…よく分かります!そして、コウを見ていると、『工夫をすることは今のコウにとって負荷が大きく、本当にとても面倒で気力のいることなのだろうなぁ』と感じます。”工夫”と感じてはいなかったけれど…私はコウ以外にも、いろいろな人から「よく工夫をしている」「頑張って工夫をしている」と言われることがあります。けれど、自分としては、ことさらに工夫している感覚はありません。そのことを話すとコウが意外そうに驚きました。そんな彼に、「コウはこうもりから『人間は超音波が使えないのに、暗いところでも動けるようにライトを使ったりして頑張って工夫してるね!』って言われたらどうする?」と聞くと、「それは…ん~?『ありがとうございます…?まぁ普通にそうしてます』って感じだねぇ」と笑いながらうなずきました。Upload By 丸山さとこ私も人から工夫を褒められたときに、前述のコウの言葉に近い感想を抱いている部分があります。好意的に評価されたり労われたりすること自体は全く不快ではないしありがたいなと思いますが、『普通にそうしている』自分の感覚とズレを感じることはあります。小さなニュアンスの違いですが、私としては『工夫』よりも『方法』の方が、言葉としてはしっくりする感覚があります。Upload By 丸山さとこ『工夫』という言葉自体に『いろいろと考えて出したよい方法』という意味も含まれているので、工夫は方法の一つと言えそうです。先の例えで言えば、「ライトを使うという『工夫』をしているのではなく、ライトという『方法』を使っているのだ」という認識が、私の中の自然な感覚なのかもしれません。とはいえ、「工夫という単語が用いられるのも分かるなぁ」と思います。『多くの人が備えていることを前提とされた能力』がない状態で暮らしていると、工夫と表現されるような方法が必要になるシーンは多いだろうなと考えられるからです。Upload By 丸山さとこ私はメガネで矯正可能な強度近視なので、メガネをかけて生活しています。夜道に対して『ライトという方法』を使うような感覚で、『メガネという方法』を使っています。そこに工夫の意識はありません。そんな便利なメガネですが、うたた寝や洗顔の際に外したまま置き場所を忘れてしまうことがあります。スマホのカメラで部屋を写しながら探すと見つけやすいのですが、私はこの方法のことを「工夫である」と感じます。『いろいろと考えて出したよい方法』だからなのかもしれません。自分に合った工夫をして、より快適に!こうして改めて考えてみると、『工夫をする必要のないやり方』だけが、ただのシンプルな『方法』であると言えるのかもしれません。それならば、確かに私の生活には無意識の工夫がたくさんありそうです。今はライフハックとして紹介されている工夫がたくさん見られる時代です。たくさんの書籍やSNSから…そして自分自身の経験から、コウが自分に合った工夫をして、より快適に暮らしていけたらいいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)工夫と方法について、一緒に考えながら読みました。なるほど、さとこさんにとっては、工夫とわざわざくくる必要もないような、ご自身やコウくんにあった方法を見つけ出しながら実践されているのですね。コウモリの話も、面白い視点だなと感じました。そのやり方が見つけ出せない人からすると、自然と出てきた方法もきっと工夫として映るのでしょう。文中にもあるように、今はSNSなどでさまざまな工夫(ライフハックと言われますね)が共有されている時代です。やりやすい方法の「呼び水」である工夫をそうして取り込みながら、自分に合った方法を考えられるといいですね。ところで、さとこさんがされている「スマホのカメラで探す」工夫、私は考えたことがなかったので、早速やってみたい気持ちでうずうずしています(たしかに、カメラで家の中を撮影すると、思っていたよりもずっとごちゃついているように見えたりして、自分の見ているものがいかに自分用に加工された映像であるかということを思い知りますもんね…。なくし物を探すときに使えるとは…面白いです!)。
2022年04月08日共感の言葉が欲しい幼い自閉スペクトラム症の子を育てている知人も次のように話していました。「今までで一番嬉しかったことは、オウム返しだった息子が、母親の声かけに対して『うん』と答えたこと」私には知人の嬉しい気持ちがとてもよくわかります。「う・ん」これはたった2文字の言葉ですが、立派な会話だからです。息子は2才ごろから言葉を話せるようになりましたが、動物園に連れて行くと、ゾウの展示の前で、全くゾウと関係ない、大好きなトイレの便器の型番をずっとブツブツと言っていました。Upload By 立石美津子「象がいるね」と話しかけたら、息子に「うん」と言って欲しかったものです。だから、知人の気持ちがとてもわかるのです。小さな成長がともかく嬉しいこうした、小さな出来事のように見えるかもしれないことに幸せを感じられるのは、障害のある子の子育ての醍醐味かもしれません。先日も45リットルのゴミ袋のストックがないのを見て「お母さん、ゴミ袋ないよ」と言ってきました。こんなことでいちいち、心が嬉しくて震えます。聞かれてもいないのに、「2023年8月3日は木曜日」なんて言えなくていいから、一緒におやつを食べながら、「お母さん、このアイスクリーム、冷たくておいしいね」と言って欲しい…。一緒に外に出たときに、自分から「お母さん、今日は暖かいね」と言って欲しい…。自閉スペクトラム症のある子どもを育てる親の願いです。言葉が出ない子どもでも表情で「うん」と答えてくれる、言葉が出るようになってもオウム返しではなく、「これ美味しいね」「今日は寒いね」と親に自ら共感を求める言葉を言ったとき、心が嬉しくて震えるのです。こういうことに幸せを感じられるとき、私も親として少しは成長をしているのかなと、思うのです。(監修者・鈴木先生から)以前私の患者さんでADHDの治療をしたら入浴後に「シャンプーがないよ」と言ってくれたお子さんがいます。治療を継続する中で、自ら気づくようになり、それを記憶して母親に言えるようになったのです。そういうところからも会話が増えることはあります。息子さんも成長してゴミ袋のストックがないのに気づき、忘れないうちに言えるようになったのかもしれません。返事に関しては周りの大人も気をつけなければいけません。相手に対して大人もきちんと返事をしていれば自然と子どももまねるものです。最初はオウム返しでも構いません。赤ちゃんのころからお子さんの口ずさんだことに対して無視せずにその子の顔の前で必ず反応してあげることが大切です。
2022年04月07日戦中生まれの母…発達障害なんて分からない!?私の母は戦中の生まれで、発達障害についてはほとんど知りません。普段、本を読むこともなく、テレビもほとんど見ないので、情報源といえば新聞ぐらい。発達障害がある私の2人の子どもたちのことも「ちょっと変わった子だから、いじめられないか心配」ぐらいの感覚のようです。ちなみに父は早くに亡くなりました。私は一人っ子です。子どもたちに発達障害があることを言ってみたけれど…Upload By 寺島ヒロ私の母のような人が、これから積極的に勉強して、発達障害や障害者福祉について理解し、孫たちのためになにか行動するとか、全く現実的ではないですし、期待しても仕方がないことだと思っています。あえて理解を得ないという戦略子どもたちの細かいケアを頼ることはできませんし、ときには心ない言葉で精神を削られることもありますが、子どもたちの進学先や所属する学級、支援の申請内容などを、私と子どもたちだけの判断で決められるなど、関わってこられなくて気楽という面もあるので、あまり「理解を得る」ことにリソースを使わないようにしています。そんな母ですが、孫のことはたいへん可愛がってくれ、よく観察しているなと感心することもあります。おばあちゃんの買ってきた服は嫌!いっちゃんが7~8歳ぐらいだったころ、母がこんなことを言いました。母「いっちゃんは本当にアンタに似てるねえ…」私「日がな一日絵を描いてるところとか?」母「それもあるけど、見た目が似てる」私「顔は似てないでしょ」母「服が似てる」母が言うには、いっちゃんが母の家に泊まりに行ったとき、私が持たせた服が足りなくなることがあるのだそうです。それで、予備で買っておいた服を着せるんだけど、大体すぐ脱いでしまうのだと。Upload By 寺島ヒロおそらく、いっちゃんには感覚過敏があるので、母が感じ取れないレベルの生地のケバ立ちが気になって、着られない服があったのでしょう。私も似たようなことをしていた!さらに母は「アンタも私が買ってやった服が気に入らないと、よくチクチクするってケチつけて着なかったよね」と言います。全く覚えていないのですが、幼いころの私も母が買ってくれた服を「チクチクする」と着なかったことが頻繁にあったようです。シュミが渋すぎる娘たち母「自分で選べばと思って、一緒に服を買いに行っても、地味な色のくたクタクタした服ばっかり選ぶのも一緒。なんていうか子どもらしくないのよ!」子どもがみな鮮やかな色の服が好きというのは、母の思い込みだと思いますが、たしかにそれも私と娘ではそっくりです。私たちは、明度と彩度の高い色の服が大の苦手。眩しいという感じと似ているのですが、例えばテラテラした素材のピンクのスカートなどが、視界に入ると目が「ケチャケチャ」して不快に感じてしまうのです。外に出るときは白いシャツとかも着るけど、基本家ではグレーのグラデーション。イラストにするときは、人物の区別がつかないので色を載せているんですけどね。「ちゃんとした服」を着て!と言われても…いっちゃんが15歳になった今でも、よく母に「いっちゃんに、ちゃんとした服を買ってあげなさいよ」と心配されます。というのも、いっちゃんは服が足りなくなると、私の服を「これほしい」と言っては持っていき、大抵いつも私のお古を着ているのです。新しい服を買いにお店などに行くよりは、私のチェックを通過した服から選んだ方が効率的ということらしいです。明るくて騒がしいお店での買い物が苦手ないっちゃん、賢いと言えなくもない判断です。Upload By 寺島ヒロ母に「服を買って送ってあげる!」と言われることもあるのですが、断固として断っています。気持ち的には「服を買ってあげる甲斐のない娘と孫でごめんなさい!」なのですが、ここは私たちにとってどうしても譲れないところなのです。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)祖父母や親戚の方が、発達障害のあるお子さん・孫についてどうご理解くださるかはなかなか難しい問題ですね。いつも一緒に生活しているわけではないと、発達障害のあるお子さんの多くの面をご覧になっているわけではないがゆえに、「大丈夫よ」「障害なんて気にしすぎなんじゃないの」といったことを言われることが多い気がします。そして最終的な責任のありかとしては保護者である親にかかってくるので、どこまでそうしたご意見を取り入れるのか、それ以前にどこまでお子さんの障害のさまざまな側面をご理解いただくかはとても悩ましいところではあります。ヒロさんのように、すべてを理解してもらうのは難しい、とある意味割り切って、障害についての理解はさておき、孫を可愛いと思っているその側面でお付き合いしていくのも一つの道だと思います。いっちゃんのお祖母さんは、ヒロさん(娘)を育てるときも地味な服ではなく子どもらしい色の服を着せたい(そのときにあまり肌触りは気にしない)という思いを持たれ、いっちゃんに対してもそう思っていらっしゃるのですね。鮮やかな服がきっと似合うと強く思われていらっしゃるのでしょう。ただ、実際には、ヒロさんもいっちゃんも地味な色味で肌触りや軽さが重要。いっちゃんにとってお母さん(ヒロさん)が良き理解者であることは、服をめぐるあれこれについてとても安心感を与えてくれることだろうと思います。
2022年04月06日特別支援学級で授業を受けてみた結果は…?小5のときに軽度知的障害、ASD、場面緘黙の診断がおりた長女ゆい。先生から苦手な算数の授業について特別支援学級で受けることを提案されました。私も先生も、ゆいの負担を考えると特別支援学級に移ることがベストだとは思いました。でも自分だけ別教室で授業を受けることについて、本人が嫌がったり周りに何か言われるようなことがあればやめておこうと話していました。(ゆいの通う小学校は「特別支援学級在籍」となっていても、普段は通常学級で過ごし、国語や算数などサポートが必要な科目だけ、特別支援学級の教室に集まって授業を受けます。※自治体により異なります)Upload By 吉田いらこお試しで通ってみた初日、私はドキドキしながらゆいに様子を聞いてみました。ゆいの返事は「別に何もなかったよ」でした。思いのほか気にしていなかったようです。初日は、特別支援学級での取り出し授業にも問題なく行けたので、翌日からも特別支援学級に通うようにしていましたが、特に問題は起きませんでした。Upload By 吉田いらこゆいは、通常学級で授業を受け、算数の時間になると別の教室へ移動します。別教室には、ほかのクラスからも集まり五人ほどで「特別支援学級」としての授業を受けます。授業の進度は通常クラスと同じですが、問題は基本だけをとても簡単に、ボリュームも少なくして教えてもらっていました。ゆいはサクサク進む通常の授業についていくのが難しかったのですが、ここでは個人のペースに合わせて待ってもらえるのでかなりラクになったのではないかと思います。また、友達から特別支援学級に通うことについて何か言われるのではないかという不安もありましたが、それも必要なかったと分かったことがありました。気になっていた友達関係Upload By 吉田いらこそれは、放課後友達が家に遊びに来て一緒に宿題をしていたときのことでした。ゆいと通常学級の友達とでは、算数の宿題が違います。ゆいの宿題は友達のものよりも易しく、量も3分の1ほどでした。みんながわが家に集まり、ダイニングテーブルの上にそれぞれの宿題を広げ、ワイワイとやり始めました。ゆいが行き詰っていると、友達が教えてくれます。それもとても自然に。宿題の種類が違うことなどだれも何も気にしていないのです。Upload By 吉田いらこ算数の授業を特別支援学級で受けるようになってから、もう一つ良いことがありました。Upload By 吉田いらこ算数以外の教科のテストの点数が以前よりも上がったのです。照れながらも嬉しそうに答案を見せてくるゆい。多分、算数の授業が易しくなって負担が減ったからなのかなと感じました。今までは毎日算数の授業にたくさんの気力を使い、とても疲れていたのでしょう。そして、必死に頑張っても結果がついてこないことに落ち込んでいたと思います。以前に発達検査を受けてから、私はいろいろ考えました。特別支援学級に行くか行かないかはもちろん自由でしたが、毎日勉強で無理して学校が苦痛になってしまうのは避けたかったです。そこで、小学校での目標を「楽しく学校に通うこと」にしました。そのためにできることを今はやることができているのかなと思います。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)ご本人にとって無理のない負荷に調整できたのはとても良かったですね。そのことによって手応えと自信をもって課題に取り組めるようになると、また日々の暮らしが楽しくなり、そして課題への取り組みがさらに良くなると思います。ともあれ、楽しそうに過ごしているお子さんの姿を見られるのは親としても安心ですね。
2022年04月05日発達凸凹の困りごとを解決するヒントが分かる『でこぼこポン!』Upload By 発達ナビニュース発達障害や、発達に凸凹のあるお子さんが、社会生活で大切なスキルを学べる番組『でこぼこポン!』。2021年3月、12月の放送で大きな反響がありました。そして好評の声を受け、この春NHK Eテレでレギュラー放送が決定。放送時間は、火曜日午前 8:35~8:45(再放送:木曜 午前 7:20~7:30)。いよいよ2022年4月5日(火)から放送スタートします!『でこぼこポン!』は、お笑い芸人・俳優の鳥居みゆきさんが演じるはかせの「でこりん」、はかせの年の離れた友達「ぼこすけ」、不思議な生き物「ポン」の仲良し3人が繰り広げるドタバタ劇。発達に凸凹があるお子さんにとってよくあるシチュエーションや、そのサポート方法を描いたドラマを中心に、テレビの前で一緒に遊べるゲームやダンスなどの楽しいコーナーも通してお子さんの発達をサポートします。第1回の放送から「でこりん」役として出演する鳥居みゆきさんにお話を伺いました。Upload By 発達ナビニュースーー昨年3月、12月の「でこぼこポン!」放送後の周りの方からの反響はいかがでしたか?鳥居みゆきさん(以下、鳥居さん):周りの発達障害のある子どもを育てる親御さんは、今までカミングアウトしづらかったらしいんですね。それが、「でこぼこポン!」が放送されたあと「実は言ってなかったんだけど…」って話してくれる人が結構多くいました。その話を、私がまた「結構カミングアウトしてくれる人が増えたよ」と伝えると、それでまたそれぞれ安心してくださって。みんなに「すごく気が楽になった」と言われました。実は、私の親戚の子どもにも発達障害のあるんですけど、昔は「何で?」と思っていた行動も、「でこぼこポン!」を通して客観的にみることができてその行動も「あっ」と理解ができたんです。それに特性による行動って、みんなもあてはまることの延長だったり、それが強いか、弱いかだったりするだけなんだなと思いました。私も自分の親から「落ち着きがないな」とか「何でそんなことで怒るの?」とか「何ですぐパニックになるの?」とか、小さいころからよく言われてました。それもあって「でこぼこポン!」で取り上げる困りごとは、みんなそれぞれあてはまることじゃんって思って。だから私も「今まで何で(周りの人たちを)理解しようとしてなかったんだろう」と思いました。私も今回でこりん役をやらせていただきましたが、でこりんだけでなくて、ぼこすけの悩みとかも全部あてはまってて(笑)。「でこりん」みたいにみんなが発明品をつくることができるわけじゃないけど、こういう考え方をすればいいんだって言うのが分かりました。ーー番組を楽しみにしている方たちへのメッセージをお願いします。私の身近な人は、これまでの放送がきっかけでカミングアウトしてくれた人が結構いたんですが、カミングアウトすることだけが正しいというわけでないのかなと思うんですよ。だから別に「言う・言わない」はそれぞれだと思うんですけど、「でこぼこポン!」を通してちょっとでも気が楽になってくれたら、と言うか、そんなにあんまり「気が楽」とかも考えず、「でこぼこポン!」を楽しいなと感じてくれるだけでもいいなと思っています。ストーリーに出てくる「この発明品、おもしろいなあ」でも。みなさんに番組をフランクに楽しんでいただけたらなと思っています。4月5日放送「声の大きさ調節の発明品」Upload By 発達ナビニュースレギュラー放送の初回は2022年4月5日(火)午前8:35~8:45に放送。その気になるあらすじをご紹介します。〈あらすじ〉友達と電話をしているぼこすけ。「いま電話中だからね」と、でこりんに静かにしてもらうように促しますが、でこりんは大きな声で話をしてしまいます。「電話中とは聞いたけど、静かにして、とは言われなかった」と、でこりん。どうやらでこりんは、場面によって「適切な声の大きさが違う」 ということが分からないみたい。そこで、図書館や公園など、さまざまなシチュエーションで どんな大きさの声が適切かをロールプレイして試せる発明品をつくることに…仲良しだけど、いつでもうまくいくわけじゃない…!そんな「でこりん」「ぼこすけ」「ポン」の3人の関わり合いは発達が気になる子どもたちが毎日を過ごすためのヒントがいっぱいです。学びになるだけでなく、すべての人がみんな違った個性をもっているからこそ楽しい!ということに改めて気づくきっかけになるはずです。ぜひご覧ください!放送予定<NHK Eテレ>本放送 火曜 午前 8:35~8:45(初回放送 4月5日)再放送 木曜 午前 7:20~7:30※クリックすると発達ナビからNHKのホームページに遷移します
2022年04月04日言葉の発達にはどんな段階がある?おむつを替えても、おっぱいをあげても、ゆらゆら抱っこでも泣きやまない! 泣き続ける赤ちゃんを前に「言葉で気持ちを伝えてくれたら…」と途方に暮れた経験を持つ保護者のみなさんも多いのではないでしょうか。一般的に、赤ちゃんが意味のある言葉を話し始めるのは10ヶ月〜1歳半ごろですが、実はその前から言葉の発達は始まっています。赤ちゃんの言葉の発達の流れを見ていきましょう。新生児のころの赤ちゃんは、泣くことで、空腹や排泄など不快な状態を表しています。ただ、これはパパやママ、周りの大人に向けて訴えているわけではなく、単純に不快な状態にあることを表しているだけだと考えられます。泣くとおむつを交換してもらえる、おっぱいやミルクを飲ませてもらえる、やさしくあやしてもらえるという経験を重ねることで、「泣くこと」が表現手段になるということを学んでいきます。また、大人は赤ちゃんに語りかけるとき、自然に高い声になるかもしれません。「マザーリース」と呼ばれるもので、赤ちゃんにとって聞き取りやすい高音域の声です。少し高めの声で語りかけると、安心したような穏やかな表情を見せることもあります。赤ちゃんは名前を呼んであげると初めの字の母音に反応することが多いです。例えば「なお」という名前の赤ちゃんなら、初めの字は「な」であり、その母音は「NA」の「A」なので「あ」に反応するのです。「みさ」という赤ちゃんなら「み(MI)」の「い(I)」に反応します。名前を呼ぶことで親子の愛着は深まり、名前を聞いて脳が反応することで言語への準備が早くなるのではないかと推測できます。(発達障がいに困っている人びと鈴木直光著幻冬舎ルネッサンス新書刊より一部抜粋)参考:『発達障がいに困っている人びと』 (幻冬舎ルネッサンス新書 )著者:鈴木直光生後2ヶ月ごろになると、赤ちゃんは「くー」「あー」といった柔らかい声を出すようになります。これは、赤ちゃんが心地よさを感じているときに多く発するもので、クーイングと呼ばれています。クーイングは、音を発する器官の発達が進んできている証拠でもあります。まわりの人がが同じように「くーだね」「あーなんだね」などと返してあげると、さらに声を出したり、大人の真似をして大きな口を開けたりすることもあります。喃語とは、赤ちゃんが発する2つ以上の音を含む声のこと。喃語が出始めたころよく聞かれるのは、「あーあー」「うーうー」など、母音の発声です。徐々に「まんまん」「あむあむ」など母音と子音の組み合わさった声が出せるようになり、さらに「ぱっぱ」「ばばば」など、破裂音や濁音も発声できるようになります。赤ちゃんは喃語を通して、発声や音の調整、肺からの空気のコントロールなどを学んでいます。骨格がしっかりし、声帯も発達することで、喃語の発音もはっきり、長くなっていきます。喃語は出始めから3〜4ヶ月で徐々に少なくなり、その替りに指さしや身振り手振りが増えていきます。表情も豊かになり、嬉しい、楽しいなど自分の気持ちを伝えられるようになります。まだ意味のある言葉は出ませんが、赤ちゃんの中には周囲の大人の語りかけが蓄積されていて、言葉を話す一歩手前まで近づいています。「まんま」は食べ物を意味している、「ぶっぶー」は車のことというように、特定の音声と意味の結びつきが分かるようになると、一語文として発せられるようになります。喃語と似ているように思えますが、違いは意味のともなう言葉である、ということ。周囲の大人が赤ちゃんにたくさん語りかけをすることで、赤ちゃんの脳のなかにいろいろなものの名前がインプットされていきます。一語文が出る時期にも、かなりの個人差があります。遅くとも2歳までに意味のある言葉が出るようになれば問題ないと言われています。言葉がゆっくりめかなと思ってもあまり心配せず、たくさん話しかけ、この時期ならではの親子のコミュニケーションを楽しみましょう。二語文とは、「まんま、ちょうだい」など、2つの単語からなる文のこと。一語文が出るようになって6〜8ヶ月が経つと、徐々に二語文でのおしゃべりも盛んになっていきます。最初は片言で、大人からすると「宇宙語」のように思えるかもしれませんが、徐々にはっきりと話すことができるようになります。ほかの発達に特に心配がなく、大人の言葉を理解できているならば、二語文が出るのがゆっくりでもあまり心配せずに見守りましょう。遅くとも3歳までに二語文が出れば問題ないと言われています。いろいろな遊びや体験が言葉の芽を育む大人が新しい言語を習得したいと思ったら、何冊ものテキストで文法を学んだり、リスニングや発音の特訓をしたりと、猛勉強を覚悟しなければなりません。ところが、赤ちゃんたちは授業やトレーニングを受けることなく、自然と言葉を理解し、話せるようになっていきます。赤ちゃんが、意味のある言葉=一語文を話すようになるのは10ヶ月から1歳半ごろが目安ですが、一語文が出る以前から赤ちゃんはたくさんの言葉を理解しています。まわりの人たちが赤ちゃんにむかって自然に発する声かけを振り返ってみると、赤ちゃんの体験を言葉に置き換えてあげるものが多いですね。「おなかすいたね」「お外は気持ちいいね」「もう眠いかな?」。大人の声かけ、さまざまな遊び、日常生活のなかでの何げない体験が、すべて赤ちゃんの言葉の芽となってゆっくりじっくり育っていきます。8〜9ヶ月ごろになると、「あーあー!」など声を出しながら、気になるものを指さすことが増えてきます。ママやパパの注意をひくように、見てほしい方向を指しながら、コミュニケーションをとろうとするのです。また、このころから、まわりの人の言葉をマネするような光景もよく見られます。ママが「まんま」というと「まんまん!」と言ったり、「ブーブー来たね」と言うと「ぶっぶ!」と真似したり、まるで意味のある会話のようなやりとりもできるようになってきます。さらに、そろそろ意味のある言葉を話せるようになるころには、大人が指をさすと、その指ではなく指先がさし示すものを見るようになります。これは「共同注意」と言って、スムーズなコミュニケーションの土台ともなるものです。共同注意ができるようになれば、言葉が出てくるのもすぐそこです。言葉が出るようになるまでには、喉や骨格、口元の筋肉などの体の発達に加え、人や周囲に興味、関心を持ち、気持ちを伝えたいと思うようになる心の発達、そして毎日の中での言葉のインプットと、たくさんの要素が複雑に関係しあっています。発語がゆっくりめでも、無理に話すようにトレーニングしようとするのは逆効果になりかねません。その子なりの発達を見守りながら、たくさん語りかけ、その時期ならではの親子のコミュニケーションを楽しんでいくことが大切です。子どもが何か言葉を発したら、親はその都度反応してあげましょう。発達障害があると発語が遅れる?言葉の発達には、個人差が大きいものです。それだけに、周囲の子と比べて「わが子の発語が遅いかも?少ないかも?」と感じて心配になる方も多いでしょう。発語の遅れには、いくつかの原因が考えられます。まずチェックしたいのは、聴覚障害が隠れていないかどうかの確認です。赤ちゃんは、日々周囲の大人が話す言葉を聞くことで、物には名前があること、自分の気持ちを表現することを学んでいきます。けれど、聴覚に障害があると、言葉をインプットすることができません。聴覚障害の有無は、赤ちゃんに音を聴かせて脳の反応を見るABR(聴性脳幹反応)検査によって確認します。相手の口元を見ていることが多いです。聴覚障害がないのに著しく発語が遅れている場合は、何らかの知的発達の遅れの可能性があります。脳の機能に何らかの障害があることが原因で、言葉の意味は理解しているけれど、うまく発語につながらない、というケースもあります。また、知的発達症のある子どもには筋緊張が低下しているケースがあり、筋緊張が低下していると、口の周りの筋肉をうまくコントロールしづらくなるため、発語の遅れにつながることもあります。口や舌、声帯など、声を出すために重要な部位に何らかの異常があることで、決まった音を正しく発音できないことを「構音障害」と言います。不正咬合や口唇口蓋裂、舌小帯短縮症、脳性麻痺による顔面の筋肉の過緊張などが原因となります。適切な治療や言語療法士(ST)によるトレーニングによって改善をめざします。サ行がタ行になるケースが多いですが、マ行、ラ行、カ行などが含まれる言葉が言えるかどうかなどもポイントです。難聴や知的発達症などの原因がなく、運動発達に異常が見られないのに、言葉の発達だけが遅れるものを「発達性言語症(発達性言語障害)」と呼びます。発語の遅れはあるものの、指さしや身振りなどによる非言語性のコミュニケーションは問題なく行えるのが特徴です。発達性言語症のうち、言葉の理解は進んでいて、大人が言うことに身振りや手ぶりで答えられるタイプは「表出性言語障害」と言われます。このタイプは、保育園や幼稚園など、集団生活をすることで発語が出やすくなります。一方、発語だけでなく、言葉の理解も遅れる「受容性言語障害」の場合は、言語療法士(ST)による療育も検討する必要があります。赤ちゃんは、生まれた直後から自分に語りかけられる声、言葉をシャワーのように浴びて育ちます。そして、「あーあー」「ばばば」といったクーイングや喃語、宇宙語のような初めてのおしゃべりに大人が反応し、言葉を返してくれることで、双方向性のコミュニケーションを学びます。ところが、周囲から話しかけられることが少なかったり、テレビや動画の視聴時間が長かったりすると、赤ちゃんは双方向性のコミュニケーションを学ぶことができません。近年、生活環境による言語の発達遅延も指摘されるようになっています。この電子メディアの使いすぎが乳幼児の言葉の遅れにつながるとも言われています。テレビやゲームを利用すると子どもがおとなしく見てくれることが多いので、保護者は楽に感じますが、コミュニケーションの機会が減ってしまいます。また、テレビを見ていないのにつけっ放しにするのも雑音が多くなり、集中しづらい特性があるお子さんにとって生活しづらい環境となっているかもしれません。トランプ、かるた、ボードゲームなど会話のできるアナログ的な遊びや外の公園で遊具、ボール遊び、三輪車などができる機会をなるべく増やすようにしましょう。テレビを消し、赤ちゃんとコミュニケーションをとることは今すぐにでもできる方策だといえます。(一部日本小児科学会雑誌第108巻第4号平成16年「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 提言 | 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」より)このように、発語の遅れにはさまざまな原因が考えられます。1歳半健診、3歳健診などで言語の遅れを指摘されたときには、運動面を含めた全体の発達が遅れているのか、言語の発達だけに遅れがあるのかなど、その原因や背景を確認する必要があります。全体の発達が遅れている場合は、精神運動発達遅延と呼ばれ、何らかの基礎疾患が隠れている場合もあります。さまざまな検査によって原因を見極め、治療や療育を進めていきます。言葉の発達の遅れが気になったときは、まずは専門家のもとで聴力に問題がないかなど、原因を調べることが重要です。また、ご家族だけで不安や心配を抱え込まず、小児科医、保健師、専門家に相談してみましょう。必要なトレーニングがあれば、無理のない範囲で取り入れていくといいでしょう。参考:日本小児科学会雑誌|第108巻 第4号/平成16年4月1日参考:日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 提言 | 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です聴覚障害以外の原因によって言葉が遅れた子への接し方聴覚に問題はない場合は、次の1〜6のような接し方を意識してみるのがおすすめです。「矯正しよう」「早くしゃべれるように訓練しよう」と思うと、親子ともにコミュニケーションが苦痛になってしまうこともあります。日常のなかで、言葉を使ったコミュニケーションが増えるよう、楽しみながら取り組んでいけるといいですね。1言語刺激を豊富にして言語環境に子どもの分かりやすい言葉で繰り返し話しかけましょう。家族のも本来の自分よりおしゃべりになる意識で会話を増やしていきましょう。2子どもの発声や発語に必ず対応子どもが声を出したり、言葉を発したら、必ず「そうだね!」と相づちをうったり、「◯◯だね」とくりかえしたりして、親子の会話を楽しんで。コミュニケーションは楽しい、と思える状況をたくさんつくることが大切です。3言い直しをさせない間違いを指摘されてばかりでは、だんだんとしゃべることに苦手意識を持ってしまうことも。乳幼児期は言葉や発音が間違っていても、直す必要はありません。4発語器官の運動能力を発達させるような遊びを口やのどを使うような遊びや日常動作は、楽しみながら発語のトレーニングにもなっておすすめです。外から帰ってきたらうがいを習慣にしたり、ストローで飲み物を飲んだり、笛のおもちゃで遊んだりすることで、自然と発語器官の運動能力が向上します。5言葉を使わざるを得ない状況をつくる子どもが指さしやジェスチャーで伝えようとしてきたら、「ボールかな?くまさんかな?」など、子どもが答えやすい質問を投げかけておしゃべりを促しましょう。6社会性の発達を促す公園や支援センターなど、ほかの子どもたちの遊びの輪に混ざれるような場所に行くなど、家族以外の人と交流を持てる機会をつくりましょう。言葉の発達は個人差が大!ゆっくり見守って言葉の発達は早めの子どももいれば、ゆっくりの子どももおり、かなり幅があるものです。クーイング、喃語、一語文などが出る月齢の目安も、あくまで平均値ととらえましょう。言葉の発達が遅れる理由としては、大きく「個人差」「聴力の障害」「何らかの障害」などと考えらます。ただ、この中でも最も多いのは個人差です。3歳までなかなか言葉でのコミュニケーションができなかった子どもも、幼稚園に入園してしばらくすると、よくおしゃべりするようになった、というような例もたくさんあります。あせらずおおらかな気持ちで見守っていきましょう。
2022年04月03日パズルを解きながら「学習の土台」を育もうーー『医者が考案したコグトレ・パズル なぞときアドベンチャー編』「コグトレ」とは、認知機能を向上させるトレーニングのこと。ベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の著者でもあり、児童精神科医・医学博士の宮口幸治さんが考案しました。「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」などの認知機能は、基本的な社会生活を営むために必要なだけでなく、「学習の土台」でもあります。コグトレ・パズルで謎解きをして、遊びながら認知機能を育みませんか?授業についていきたい、漢字を覚えたい、計算力をつけたいと感じているお子さんにおすすめの1冊です。スモールステップで「できた」を増やそうーー『イラストでわかるDCDの子どものサポートガイド』「なんだか不器用」「よく人やものにぶつかる」「ボールをなげるのが苦手」「スキップができない」などお子さんの日常で気になることはありませんか?もしかしたらDCDが関係しているかもしれません。DCD(発達性協調運動障害)とは、脳機能の1つである「協調」の発達に問題がある神経発達障害です。まだ日本ではDCDへの認知度は低いため、DCDがあることに気づかず適切な支援を受けられないという子どもがたくさんいるといわれています。実は、DCDは子どもの約5〜6%に見られる障害です。ADHDの頻度である約5%と変わらず、ASDの約1%という頻度よりはるかに多い神経発達障害であるということが分かっています。『イラストでわかる DCDの子どものサポートガイド 不器用さのある子の「できた!」が増える134のヒントと45の知識』では、DCDとはいったいどのような障害なのか、DCDのある子どもたちの具体的な困りごととその解決のヒントを分かりやすく紹介しています。もしかしてわが子はDCDかもしれないと思った保護者の方、支援者の方におすすめの1冊です。誰かと真剣に向き合うとき、素敵な物語が生まれる。ーー『空から見える、あの子の心』エイプリルは、マーシャルビル学園小学部の6年生。周りの友達との価値観にずれを感じ、同級生と距離をとりたくて休み時間に年下の子のお世話をするボランティアを始めました。そのボランティアをする中で、校庭を一人で歩き回ったり、寝そべったり、人知れず壮大なアート作品をつくっている4年生のジョーイと出会います。ジョーイには自閉スペクトラム症の特性がありました。自分の言葉で気持ちを伝えることが苦手なジョーイ。そんなジョーイを理解しようと向き合うエイプリル。二人の出会いが、学校を巻き込む出来事につながります…!見ている景色はみんな違うけれど、向き合い、理解しようとすることで歩み寄ることができるということをこの物語から感じるでしょう。小学校高学年~大人までおすすめの1冊です。障害未満なのに生きづらいのはなぜ?ーー『発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法』数年前に比べて「発達障害」は広く認知されるようになりました。それに伴い自分も発達障害があるかもしれないと医療機関を訪れる人も増えています。しかし発達相談で「様子を見ましょう」と言われ、発達診断に行っても確定的な診断が出ないいわゆる「グレーゾーン」といわれている人もいる現状があります。この本では、さまざまな事例と共にタイプ別に発達障害未満の生きづらさの傾向とその対策について解説しています。
2022年04月02日「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。それぞれの加盟国が、自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うことなどが求められています。また、日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。自閉症(自閉スペクトラム症)について十数年前に比べ日本での認知度は高まったものの、今もなお偏ったイメージやあいまいな情報も存在しています。自閉症(自閉スペクトラム症)に関しての研究は世界で現在も続いており、はっきりとした原因はいまだ特定されていません。しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないことが分かっています。自閉症(自閉スペクトラム症)のある子どもはこだわりが強かったり、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性があります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる場合があります。しかし周囲の自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、自閉症(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活をすることができます。「世界自閉症啓発デー」は、自閉症(自閉スペクトラム症)に関する理解を深めることで、自閉症(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日なのです。「Warm Blueキャンペーン」に参加しよう!Upload By 発達ナビニュース「癒やし」や「希望」などを表すブルーを、自閉症(自閉スペクトラム症)のシンボルカラーとしています。毎年4月2日はナイアガラの滝やピラミッドなど世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。4月2日に向け青いものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください!#自閉症啓発デー #WB_2022 #2022TT #LIUB発達ナビ連載陣にも「青」をテーマにイラストを描きおろしてもらい、SNSで発信中です。ぜひチェックしてくださいね。東京都自閉症協会、Get in touchを中心としたTT2022実行委員会主催のオンラインイベントが予定されています。発達障害当事者のふわふわおさん、ミス日本グランプリの河野瑞夏さんが司会。ゲストとして自閉スペクトラム症のある方々、Get in touch代表で俳優の東ちづるさんが登場し、さまざまなブルーアクションを紹介します。日時:2022年4月2日16:40配信スタート予定※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからYouTubeに遷移しますUpload By 発達ナビニュース4月2日に向け日本でもさまざまな取り組みが行われます。東京都で行われる取り組みの一部をご紹介します。■東京都都庁、東京ゲートブリッジがブルーにライトアップされます。■渋谷区4月8日まで渋谷区役所本庁舎、渋谷区子育てネウボラ、中央図書館がブルーでデコレーションされます。また自閉スペクトラム症や発達障害について、理解を深めてもらうための啓発パネル展示や関連書籍の展示を行うほか、区内障害者施設で制作したオブジェの展示やシブヤフォントを使ったオリジナルの啓発ステッカーも配布しています。■丸井グループ商業施設運営を行う丸井グループでは、各店舗にて、Blueの装飾やBlue商品コーナーの展開を行い、スタッフもBlueのアイテムやバッジを着用して、お客さまへ自閉症啓発デーの周知を行います。■SHIPSセレクトショップのSHIPSでは、各お店のウインドーをブルーで色どり、スタッフもブルーのコーディネートに。また、異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニット「ヘラルボニー」とのコラボ商品の販売がされます。■日本障がい者サッカー連盟武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で東京のJクラブや障害者チームと一緒にまぜこぜウォーキングフットボールが開催されます。■アクサ生命ブルーのリストバンドと啓発ステッカーの制作、配布を行います。ほかさまざまな企業や自治体など100を超える団体がこのキャンペーンに参加しています。自閉症(自閉スペクトラム症)がある人だけでなく、どんな人もさまざまな個性をもっています。誰もが自分らしく日々を過ごせるように「世界自閉症啓発デー」を通して一人ひとりにできることを考えてみませんか。
2022年04月01日最近、一人で近所の公園に行くようになったミミUpload By taeko休みの日は家で過ごすことが多かったミミ。最近、午後になると自宅から1分ほどの公園に一人で行くようになりました。学校のお友達がいることがあるので、誰か来ていることを期待をしているのかも?帰宅したミミに聞くと、知り合いではない子と遊ぶときもあるようです。Upload By taekoある日の夕方、公園から帰ったミミは涙目。どうやら公園に持っていったおもちゃのクワガタ2匹をお友達が砂場に埋めてしまったようです。その日はもう遅い時間だったので「明日探そう」と約束しました。私は「大事なおもちゃは持って行かないほうがいいかもね。でもその子に反撃しなくてえらかったね」とミミに言いました。しかし…ミミ「絶対に許さない!仕返ししてやる!!」私「ミミも同じように相手の子を悲しませちゃうよ」…このやり取りは何度も続きました。Upload By taekoその夜ミミは、埋められたクワガタのおもちゃが砂場から出てくる夢を見たらしい。わが家に山ほどあるクワガタやカブトムシのおもちゃは、一つひとつの買った場所を覚えているほどミミにとって思い入れのあるおもちゃ。翌日の午前中にミミと私で1時間ほど公園の砂場を掘って探しましたが、クワガタのおもちゃは見つかりませんでした。その日の午後ミミは、また一人で同じ公園に行きました。夕方6時近いので迎えに行くと、偶然おもちゃを埋めてしまったお友達のお母さんがいて、話をすることができました。どうやらお友達の証言を聞いて、お友達のお母さんとミミも一緒に3人で探したところ、おもちゃのクワガタのうち1匹は見つかり、もう1匹が見つからず…そのあとお友達のお母さんがわざわざ新しいものを探して注文してくれたとのことでした。その日ミミは、砂場から見つけ出したおもちゃのクワガタ1匹と帰宅しました。Upload By taekoお友達のお母さんが新しいものを探してくれたとはいえ、埋められたクワガタのおもちゃがなんだかかわいそうに思えました。ミミが夢に見るほど悲しい出来事だったんだな、と私は切なくなり、その次の日もミミが言う砂場を掘りまくりました。1時間ほど掘ってみましたが、見つからず…。Upload By taeko翌週の放課後、相手のお母さんがミミに新品のクワガタのおもちゃを渡してくれました。セットになっていて、大きめ!なんだか相手のお母さんに申し訳ないけれど、ミミが同じようなことをしてしまったら、相手の子の気持ちを考えて私も同じことをするなと思い、ありがたく受け取りました。ミミのクワガタのおもちゃに対する思いが分かる出来事でした。そして、近ごろお友達とトラブルになると「絶対許さない!」と言うミミが心配ですが、今回突発的に相手のお子さんに仕返しなどせず少しほっとしています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは図鑑が好きな子が多く、特に虫の図鑑、その中でもカブトムシやクワガタの好きなお子さんが多いようです。見たこともない種類の虫の名前も言えることがあります。虫以外では、乗り物、恐竜、宇宙などある特定の領域に深く興味を持つことが多いのです。それだけ大切にしていたクワガタのおもちゃが砂場に埋められたら「絶対に許さない」と感じるかもしれません。一般的には月日が経つと記憶が薄れていきますが、自閉スペクトラム症のあるお子さんは些細なことも含めてずっと覚えていることが多いのです。突発的に仕返しをしなくても、忘れかけていた1週間後や1ヶ月後に「仕返しをする」という気持ちになってしまうこともありますので注意してお子さんの様子をみておくとよいと思います。
2022年03月31日小さいころの夢は、「体操選手になって大会に出る」ことUpload By スガカズADHDのある次男は5歳のころから11歳まで6年間体操教室に通っていました。本人のモチベーションが低迷する時期もありましたが、「大人になったら体操選手になって大会に出たい!」とはりきっていた時期もあるほど熱心にやっていました。10歳(小4の3学期)のころに、本人が希望していた器械体操のクラスにあがるという体験も積めました。本人なりに頑張って通い続けていたと思います。ですが、ある日の出来事がきっかけで、本人のモチベーションがすっかりなくなってしまいました。体操教室の駐輪場で、スタッフに注意されモチベーションがゼロに…Upload By スガカズ今から半年前、次男が11歳をむかえたころの出来事です。この日は習い事(体操)がある日だったのですが、私が直前でバタバタしていたので、次男だけ先に体操教室へ行ってもらうことにしました。私は次男が出かけてから20分ほど経って出発したのですが、道のりの途中で家へ引き返そうとする次男に出会いました。「これはきっと、次男の身にトラブルが起こったんだな…」と察し、次男に声をかけました。Upload By スガカズ話を聞くと、どうやら体操教室のある建物の前の駐輪場に自転車を停めたところ、次男はキレイに停められなかったようで、管理会社の人(初老の男性)に注意されたようでした。次男は5歳ころから癇癪の多い子で、小2になったころから少しずつ癇癪は減ったものの、高学年になってからもときどきこういった場面に遭遇します。人の感情に敏感で、「叱られている」と感じると、とっさに自己防衛本能が働き、反抗することがある次男。特に、『年上(30代以上)の声や体格が大きな人』や、『お互い面識の薄い相手』『一方的に(もしくは開口一番で)怒りの感情をぶつける人』との相性はよくありません。この日注意されたときは、怒って物にあたったり暴言をはくことはなかったようですが、次男は「叱られたから、もう体操を辞める!」と言い出しました。Upload By スガカズ心身の発達にさまざまな課題がある次男には、体操を通して適度に他者とのコミュニケーションをとることができ、感覚統合のトレーニングになっているのではと感じることも多くありました。また、次男は体を動かすことが得意な方なのですが、衝動的に危険な行動をとることもあるため、放課後の外遊びを頻繁にさせると、いつか大ケガをしてしまうのではないかといった心配もありました。そのため、体操は他者(大人)の見守りのもと、安心して体を動かせる貴重な時間だと私は感じていました。「習い事(体操)を辞めたい」と思うくらい嫌な気もちになったことは理解しますが、6年間見守っていた私としては「これからも、体操で得られることがたくさんあるはずなのに…」「せっかく長く続けているのに、もったいない…」「一時の感情に流されず、よく考えてから決断したほうよいのでは?」と思ったのが正直なところです。私の希望も伝えましたが、本人の意志はかたく…Upload By スガカズ私は今回次男を叱った人の状況や気もちを、次男から得た情報をもとに、説明しました。もちろん次男の気もちも分かるので、次男の状況や気もちも言語化しました。「叱った人は『ボクは他の自転車と同じように、まっすぐ停めてほしいんだ』って言ってくれたなら次男は悲しい気もちにならなかったのかも知れないね」「とはいっても管理する人は必要だから、その人と距離をおいて声をかけられづらい場所に停めるのはどう?」「お母さんが一緒にいるときは安心だと思うよ」「今、気が乗らないなら、しばらく体操を休会してみて、またやる気が出てきたらもう一度通うのでもいいと思うよ」私は体操教室に通い続けて欲しい気もちが大きかったので、いくつか解決策を提案しました。でも、本人の「辞めたい」という意志は変わりませんでした。Upload By スガカズ次男は不安定な感情ではあるものの、自分の考えをはっきりと言葉にしました。・叱られるのが本当に苦手だということ・自分が習い事をイヤがったり遅刻したりするときに、私(母)が複雑な気もちになっているのを知っていること・せっかく毎月お金を払っているのにお互い複雑な気もちになるのは意味がないし、自分もそんな経験をしたくないこと普段は自分の感情について、あまり深く考えたり、人に説明する機会が少ない次男ですが、この日の言葉は、話に筋が通っており、私の心にズシンと響きました。「確かにそうだなあ…私は次男のやる気の芽を育てたいと思ってたし、次男のためを思って6年間支えてきたけど、ふとした瞬間に、次男に余計な負担をかけていたんだな…」と納得しました。次男には「そっか、お母さんのことも考えてくれたんだね。ありがとう。分かったよ」と返事をしました。私がその場で次男に「辞めていいよ」と言わなかった理由私が次男が「体操を辞める」と言った日に、納得したものの「辞めていいよ」とはっきり伝えなかったのには理由があります。あの日次男は「辞める」という意思は変わらなかったのですが、時間をおいてから、経験者の「スポーツを続けてよかった」という話を聞かせてみてもよいのではと思ったのです。たまたま次男の身近(家族以外)に、「長年スポーツを続けている仲のよい大人」がいました。それは、当時次男を指導してくれていた家庭教師の先生です。先生は6歳からバドミントンを始めて、高校や大学もスポーツ推薦で通い、大学を卒業するまでの16年間本気で打ち込んでいた経験があります。先生は、次男が体操を辞めたがっていることを知ると、とても残念がっていました。「次男は運動神経がいいから運動は続けたほうがいいよ!」「スポーツを続けてよかったことがたくさんあるよ!」「いや~、ほんともったいないな~!」と、話をしてくれました。Upload By スガカズ次男の反応はというと、興味のない様子で「ふーん。でもオレは辞めるけどね」と一言。この一言で、「体操教室は辞めよう!」と私の中ですっぱり諦めがつきました。後日先生から「誰かにやらされるよりも、自然に熱中できる何かがあるといいですね!」とアドバイスがありました。これには心から共感します。私は次男の習い事(体操)をサポートする上で、「次男のためになるはずだから」「次男も楽しんでいるみたいだから」といった理由にこだわってしまっていたのだろうなと思います。もちろんそれが悪いわけでは決してないと思います。ですが、やはり本人の意志が大事なので、「通いたくない」とはっきり言うのであれば、それを尊重してあげた方がよいのではないかと感じますし、やはり自分から自然と熱中できるものを見つけることに勝るものはないと思います。4月には次男は小6になります。習い事(体操)を辞めて半年経ちますが、次男が言うとおり「体操が原因でお互い複雑な気もちになる」といった状況はなくなったので、心の負担が減ったような気がします。今のところ、ゲームやYouTubeに勝るものはでてきていません。以前は次男がゲームやYouTubeばかりに夢中になっていると気になっていた私ですが、今は以前ほど気にならなくなりました。ときどき新しいことに家族で挑戦して次男の反応を見たり、次男が友達がやっていることに興味をもったときに、話を聞くようにしています。そうやって、新しいことに挑戦したいと思えたなら、ラッキーですし、そのときも、できる限りサポートしていきたいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)長く続けている習い事を思春期に本人が辞めたいと言ったとき、親は「せっかく続けていたのにもったいないな」「一時の感情で辞めるのではなく、長い目で見たら続けてよかったと最後に思うのではないか」などと複雑な気もちになると思います。子どもが「辞めたい」と言っても続けるように促すのか、子どもの意思を尊重して辞めさせてしまうのか、どちらかに正解があるわけではないと思います。今回のスガカズさんのように「辞める」という子どもの意思に沿って決断した場合は、代わりになるものを一緒に探していくなど、親子共々前向きな気持ちで進んでいけたらいいなと思います。たぶん良くないのは、「だからやっておけばよかったのに(もしくは、あのとき辞めればよかった)」などと後からお互いに言ってしまうことかもしれません。今まで頑張ったことを認めて、どちらの決断をしたとしても、親子で決めた決断を肯定的に捉え、次に進んでいくことが大事だと思います。
2022年03月30日癇癪の理由、分かるときはまだいいけど…Upload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるほぺろうは、痛い・眠い・空腹などとにかく何でも癇癪で伝えてきます。それらはまだ理由が分かるけど、ニコニコの1秒後に急に怒り出したり原因不明なことも多々あります。癇癪の理由を探るとは、想像のバリエーションを広げることぼさ子(以下、――):癇癪の原因を解消してあげたくても、何もできないときもあって…悩んでいます。三木先生:う~~~ん、まぁ言ってしまうと子どもってそういうものなのかなって気がするんですけど、赤ちゃんへの対応と一緒で思い当たるものを一つひとつ、つぶしていくしかないかな。ただそのとき、こうかな?っていう想像が必要なんですけど、想像を通り越してむしろ『妄想』でもいいくらいです。結局大人の予想とは違ってたってことはよくあるんですけど、想像のバリエーションを幅広く持てると、癇癪の理由を10回のうち1回はつぶせた、2回はつぶせた、というふうに可能性が増えていきます。Upload By ぼさ子三木先生:でも、発語があったとしても6歳なら自分で説明するのは難しいので、ある程度は理解できなくても仕方ない部分もありますね。あとはフラッシュバックしてる可能性もあるかもしれません。ただ、何がフラッシュバックしているのかは本人の頭の中を覗かない限り分からないので、大人側の心の準備としては「フラッシュバックかも」という視点を持っておくことで「理由の分からないものは仕方ない」と思うこともできます。子どもは思うよりワケ分からないもの。突拍子もない想像をしてみよう三木先生:メジャーな理由を考えてもダメだったときは、「突拍子もない想像をしてみる」ことです。「まさかこんな理由で!?」みたいな先入観なしに。ありえないと思う可能性でも意外にスッと当てはまることもあるので、一応頭の隅っこに捨てずに取っておくといいですね。例えば「カラスが鳴いていたのが気に入らなかった」とか、もっととんでもない理由でもいいのですが、そういう可能性を考えておくと積み重ねていくうちに3回目くらいに「やっぱり関係あるかも?」みたいに、その子に対する理解の幅が広がります。Upload By ぼさ子三木先生:結構大人が理解できないようなことで子どもの癇癪は起こるので、先入観がない状態で自由に想像してもらうといいかなって。それでも100%理解するのは絶対ムリなので、気が済むところまで考えたら諦めるのもアリかなと思います。大人同士であっても定型発達の子どもであっても100%は分かり合えないですからね。喋れない子どもだったら余計「分からないものだ」という前提を持っておくことも大事かな。保育園の先生が発見した意外な理由ーー実は、保育園でほぺろうは午睡から起きると機嫌が悪いことが多いのですが、最近先生から「原因が分かりました!」という報告をもらったんです。その原因というのが「午睡後のおやつが好きか嫌いか」だったという…三木先生:原因は昼寝じゃなかったと。ーーはい、寝起きの悪さじゃなかったと。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:いやぁ、でも「寝起き」という先入観があるとなかなか気づきにくいですけど、発見した保育士さんたちすごいですね!そういうところまで広げていくと面白い発見がありますよね。感想最近だと「ほぺろうは保育園から帰るとき、どんなに機嫌良くても、自宅の玄関を入った途端に泣き出す」というのが悩みの一つで、私としては理由が全く分からなくて泣き止むのを待つしかない…という毎日なんですけど、三木先生のお話を参考に突拍子もない想像をしてみたいと思います。Upload By ぼさ子ほぺろうはまだ6歳ですし自閉スペクトラム症もある。私の想像をはるかに超えていて当然なのかも知れません。こちらも思い込みを捨てて観察してみると面白い発見がありそうです。そして今回も、お話の中で印象に残った三木先生の言葉があります。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年03月30日最長で20時間以上、泣いて怒っていたころUpload By かさはらあやこ自閉スペクトラム症と中度知的障害のある息子が3歳のころは、・眠いのにうまく寝つけない・思い通りに遊べない・嫌なことを上手に避けられない・行事などいつもと違う状況・怪我や風邪などの体調不良・気圧や天候、温度や湿度の変化上記のような理由で癇癪を起こし、1~2時間、長い時は3~4時間、最長で20時間以上、泣いて怒る。発語もなく、意思の疎通も難しいので、その時点で理由を推測するしかなく、真相は分からない。という状況でした(きっとどの理由も正しい)。一度スイッチが入ってしまうと、最終的に全力でスルーして耐えるしか策がなく、泣き叫んで暴れるわが子と共に涙を流し、ただただ心が擦り減る日々を過ごしていました。医師と相談してはじめた投薬治療Upload By かさはらあやこ3歳6ヶ月から4歳6ヶ月の一年、偏食は酷くなり、体調もずっと崩しがちで小さな成長すら感じることも少なくなりました。癇癪も、瞬間湯沸かし器のように、一瞬の激しい怒りで床に頭を打ちつけたり、壁に激突したり…。力も強くなったことで怪我の心配もあり、一日中イライラして苦しそうな息子を見ていることもつらく、4歳を過ぎたころから医師と相談して投薬療法を始めました。飲めば、穏やかになり癇癪は起こさなくなる。薬は、それぐらい精神に作用する強烈なもの。息子が息子でなくなったらどうしようという不安と、これでやっと癇癪から解放されるという期待。9ヶ月経った今、どちらも当てはまらず。心配していた副作用も特になく、息子は息子のままで、昼間に何時間も続くような癇癪はなくなったものの、小さなイライラは相変わらず起こっている状態です。薬に完全に頼るのではなく、家での環境も見直し、できるだけ落ち着けるような空間にするために努力したり、母親である自分のメンタルを崩さぬよう仕事をセーブし(コラムもお休みをいただいておりました)、とにかく無理をしないように過ごしています。癇癪を起こす理由が少しずつ分かるようになった出来事Upload By かさはらあやこ息子は12月に入り、年末が近づいてくると荒れる傾向にあります。2020年から2021年にかけての年越しで、起きている間はずっと泣いている、という過酷な状況を経験したこともあり、2021年の年末は気合を入れて臨みました。予想通り昨年もクリスマスを過ぎたころから段々と雲行きが怪しくなり、一日中イライラして泣くようになりました。そんな状態だったある日、キッチンに立っている私を見つめ、息子が「ぐぅにゅー、ぎゅうにゅう」と言ってきたので、コップに牛乳を注いで渡すと、ごくごくと牛乳を飲み干し、満足そうにニコッと笑いました。牛乳を飲まなくなって半年以上経っていたので驚いたのと同時に、彼の中で〝ぎゅうにゅう〟と〝牛乳〟がマッチした瞬間かもしれないと感じました。それをきっかけに段々、言葉と実物がマッチするようになり、癇癪を起こす理由も少しずつ分かるようになってきました。『これじゃなくてあれが食べたいんだ』『いまこのアニメが観たいんだ』『あのおもちゃで遊びたいんだ』今までまったく分からなかった〝怒っている理由〟が分かるようになると、癇癪が起きる前に防ぐことができたり、癇癪を起こしても最短で切り替えさせることに成功したり、おさまるまでただただ耐えながら全力で無視するしかなかった時間に選択肢がうまれました。一瞬のSOSを見逃さないUpload By かさはらあやこ不快な音が流れると耳を塞ぎ、見たくないものがあると隠れたり、目を閉じたり、発語が増えると共に、3歳のころはうまく避けられなかったことも、息子なりに意思表示ができるようになりました。今は、その一瞬のSOSをできるだけ見逃さないように毎日を過ごしています。まだまだ考えても分からないようなことや失敗した!と思うことも山ほどあります。オムライスを出して烈火の如く怒り出した理由が、顔を描いたのがいけなかったのか、チキンライスを卵で巻いたことに腹が立ったのか、ケチャップが嫌いなのか…考えても考えても分からないのだけれど、オムライスが原因で怒っていることが分かっただけ息子と私にとってはとても大きな進歩です。今までは、それが原因だと気づかず、無理やり食べさせようとしつこく口に運び、食べないストレスで叱り、余計に怒らせて長引かせていたからです。でもいつか聞いてみたい。アイスやかき氷をすすめると、食べるまでに警戒して凄く時間がかかるのに、雪に速攻で食らいつくのはなぜ?って。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)お母さんは息子さんの優秀な通訳になれたのです。もしあなたが今、一人で言葉が違う国へ行ったら、通訳がいないと生活できません。通訳の中でも知識のある通訳は、今晩何を食べたいか3、4種類候補が出るのに対して、知識がない通訳だと今日は1種類しか提示できず選択できなくなります。優秀な通訳ならこちらの言いたいことも察してくれてそろそろトイレですねとか、喉が渇きませんかなどと聞いてくれます。お母さんはそれと同じようなことができたのです。苦手でも相手の立場に立って考えていく努力が実を結ぶのです。癇癪は自閉スペクトラム症の易刺激性が原因の場合があります。ちょっとしたことでイライラしやすく、自他傷行為や汚言などがみられることがあります。環境整備をしても生活や教育に支障が出ている場合は抗精神病薬の投与によって抑えることが可能です。副作用の心配などおありでしょうが、お子さんの将来のことを考えて集団の中でつらい思いをさせないように早めの対策も必要だと思います。
2022年03月29日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2022年2月オープンしたウイズ・ユー横浜すすき野には、社会性を身につけるためのさまざまなプログラムがあります。身体面では、ビジョントレーニングやコーディネーショントレーニング・手先運動、認知機能の面ではコグトレ、そのほか音楽療法、個別対応の学習面の支援、工作、生活機能向上に向けたプログラム、課外活動などを行っています。「自信というスキルを育てる」をテーマに、一人ひとりの個性や可能性を尊重し、失敗も一緒に分かち合うことを大切にしています。お子さんにとって居心地の良い場所、安心して過ごせる場所になることを目指している施設です。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報りんく 読売ランド前駅教室は、小田急線「読売ランド前」駅から徒歩2分のところにある施設です。一人ひとりと真摯に向き合うスタッフが保護者と相談しお子さんの個性に合った支援計画を作成。オリジナル教材などを活用しながら文字や数の認識、身の回りの自立へ向けた練習を行い、就学へ向けて少しでも多くのことができるよう支援しています。また、こちらの施設では「SST(ソーシャルスキルトレーニング)/コミュニケーション」「運動」「工作」などのプログラムを中心に、それぞれの活動の中で「活動内容の理解」や「話を聞いたり伝える能力」の向上を目指しています。Upload By 発達ナビ施設情報Lii sports studio鴨居は2022年4月にオープン予定のデジタルスポーツ療育×マンツーマン×運動療育施設です。楽しくスポーツすることを通して運動能力を高め ①強くて健康なカラダ ②いろんなことにチャレンジするココロ ③仲間と目標を達成するヨロコビを育み、できることを1つずつふやしていくことを大切にしています。こちらの施設には、スポーツ・運動を人生の軸にしてきた、元気で運動が大好きなスタッフが在籍。児童指導員や保育士としての専門性だけでなく、スポーツ・運動に向き合ってきたスタッフがお子さんをサポートする施設です。神奈川県の児童発達支援事業所をもっとみる愛知県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2021年11月1日にオープンしたごーうぃずは、発達障害児専門の空手教室に特化した放課後等デイサービスです。武道の動き(主に空手)の動きを基本にした運動療法で「明るく・楽しく」をモットーに身体の動かし方を学び、集中力や忍耐力などの精神のコントロール方法も学ぶことができます。また知育玩具などを使って「勝っても楽しい・負けても楽しい」気持ちや「強度の新規不安」に対する支援もしています。活動の中で『結果より経緯を楽しむ』『最後まであきらめない粘り強さ』という気持ちを大切にし、子どもたちの「人生のはじめの一歩」をサポートする施設です。愛知県の放課後等デイサービスをもっとみる静岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報konoki石田は、お子さんの経験を大切にしている施設です。色を使った創作活動を通して自分を表現すること、相手に伝えること、表現することの楽しさを知る「色育」、諸外国の文化を知る「英語」、講師の先生といろいろな曲に合わせた「ダンス」、疑似体験で経験値を高めていく「VR」、そのほか「クッキング」といったプログラムを日々実施しています。どんなことも、まずはやってみる!!そして、できたときの達成感、みんなで何かを成し遂げたときの気持ちを大切にし、経験からの学びを支援している施設です。静岡県の放課後等デイサービスをもっとみる兵庫県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援・放課後等デイサービス レプタは2022年3月にオープンした施設です。経験のあるスタッフや、資格所有者が多数在籍し、お子さんの成功体験を増やせるよう支援を行っています。集中してプログラムに取り組むための個別療育室も完備。こちらでは、未就学児のお子さん向けにストローや絵カードなどを使用した発語トレーニング、就学したお子さん向けに気持ちを言葉で表現するためのトレーニング・他者の気持ちの理解し学校などでも円滑なコミュニケーションが取れることを目指すトレーニングも行っています。兵庫県の児童発達支援事業所をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2022年03月28日小3でついたアダ名は「忘れ物の女王」Upload By 桑山 知之筆者と広野さんとの出会いは2019年に遡る。ドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』の取材のため、連絡を取ったのがきっかけだった。底抜けに明るい性格について触れると、広野さんは「このくらいじゃないと生きていけない」と笑い飛ばした。その言葉の重みに、筆者の胸が苦しくなったのを今でも覚えている。Upload By 桑山 知之広野さんは幼少期から、目の前にあるもの以外はすぐに忘れてしまう子どもだった。小学校に入ってからは管理しなければいけないものが増え、何かをこなすことは「全く無理だった」。宿題を出され、その場ではやる気でいても、家に帰れば宿題を出されたことすら忘れている。翌日提出を求められて初めて思い出す。小学校2年生の通知表に「忘れ物が多い」とはっきり書かれ、3年になると周囲からは「忘れ物の女王」とアダ名をつけられた。「どうしてみんなができるのか分からないんですよ。頑張らなきゃいけないんだけど、どう頑張ったらいいのか分からない。困るんですよね、『ちゃんとやって』って言われると。ちゃんとやっているつもりなので。一人だけ違うことしてたりするんですけど、それを問題だとも思っていない。だから怒られますよね」(広野さん)Upload By 桑山 知之学校のあちこちには、広野さんの持ち物が散らばっていたという。5年生ぐらいのころには、遠足で河原に行った際、飯盒炊飯でカレーをみんなでつくって食べるとき、広野さんは肉を持ってくる係だったが、肉を忘れてしまい、広野さんの班だけベジタブルカレーになってしまったこともあった。成績や勉強よりも「生きていくこと自体が難しかった」といい、時間に遅れないようにするなど社会生活に食らいつくのに必死だった。片づけできず夫から罵倒…「私はいても意味ない」地元の中学を経て静岡県内の高校を卒業後、青山学院大学に進学。当初は国語の教員になろうと思っていたが、LD(学習障害)の傾向があるのか、時折、字が正確に書けないことがあった。ずっと続けて文字を書いていると、例えば「春」の横棒が四本になってしまうことがあるらしい。「これでは黒板の字が不正確になってしまう」と思い、教師の夢を諦めた。落ち込んでいたところ、ゼミの教授の紹介で、都内の大学病院の教授の秘書になった。しかし、当時は自身がADHDとは知らず、自分のスケジュールの管理も難しく、何より察して動くことが全くできず、とんちんかんなことばかりしてしまい、周囲から「使えない」と言われ、思い悩むことも多かったという。Upload By 桑山 知之「若いときは、できなくても頑張らなきゃいけないとか、頑張ったらできるかもしれないとか、そういう気持ちが強かったんです。でも半年でおかしくなっちゃって。電車に乗っていられなくなったり、起きたら午後だったり、色々できなくなっていきました。生きていてもしょうがないと、思いつめていました……」(広野さん)生きることもできず、死ぬこともできず、「しんどい」毎日を過ごしていたが、23歳で当時交際していた男性と“デキ婚”。実家の両親からサポートを受けながら家事や育児に勤しんでいたが、やはり片づけがどうにも苦手だった。家の中は物で溢れかえり、食卓には書類などが大量に積まれ、食事を摂ることもままならなかった。そして29歳のころ、鬱病と診断された。Upload By 桑山 知之「旦那からは『こんな家に帰ってくる俺の気持ちになってみろ』とか『お前、一日家にいて何してるんだ』とか言われて。そのときは診断も受けていなかったので、『私はいても意味ないな』ってどんどん落ち込んでいきましたね。頑張って専業主婦をしていたときが一番つらかったです」(広野さん)そんな中、2000年に刊行された『片づけられない女たち』(WAVE出版/サリ・ソルデン著)を読み、驚いた。自分によく似た人がこんなにいる。そして、対処方法がある。そこから、発達障害というものがあることを知り、同じ悩みを抱える人とともに当事者グループをつくって理解を深めた。「最初は自分がとにかく喋りたいからつくった」と笑うが、家庭の悩みなどを打ち明けられる居場所ができたのだった。「言い訳だ」夫から度重なる暴力、そして離婚30歳を過ぎてからADHDと診断を受けた広野さん。発達障害のことを夫に打ち明け、「家事を一緒にやってほしい」「手伝ってほしい」と伝えたが、「そんなのは言い訳だ」と理解してもらえなかった。むしろ、診断を打ち明けたことをきっかけに、夫との関係は余計に悪化。物を投げられ、時には暴力を受け、外に出られないぐらいひどいあざが顔面にできることもあった。「自分が(夫の)ストレスの捌け口になっていたんだと思います。私が反論するようになって、ストレス解消ができないから、手が出るようになったのかなって。でも自分の両親はサポートしてくれたし、ママ友たちも『子どもの迎え忘れているよ』とか教えてくれるようになって、すごく助かりましたね。私自身も、ADHDがあると分かってからは、子どもに怒らないようになりました」(広野さん)Upload By 桑山 知之夫と別居するために2年ほど準備期間を経て、娘2人とともに小学校の校区の端から端に引っ越した。すぐに弁護士を立て、34歳で離婚に踏み切った。別居するとすぐさま、ストレスから解放された気分になった。そして2008年、「発達障害をもつ大人の会(現・NPO法人DDAC)」を立ち上げた。「こんな感じでも今NPO法人の代表をしていたりとか、全部ができないわけじゃないんですよね。発達障害はできることできないことにものすごく差があるけれども、できないことばかりではないということを知ってもらいたいです。あと、周りの人は何でもできるようにさせようとするじゃないですか。それをやられると、みんなだめになっていくんです。二次障害を引き起こしたりとか。何でもできる人間にならなくていいんです」(広野さん)現在広野さんは、キャリアカウンセラーとして同じ悩みを抱える若者や仕事を探している人への就労支援を行っている。発達障害があるかもしれない人や、障害者手帳を取るかどうか悩んでる人、仕事を何回も辞めさせられたり、仕事が長続きしない人など、広野さんのもとにはあらゆる相談が舞い込んでくる。Upload By 桑山 知之「とにかく“フツウになろうとしない”ことをオススメします。自分なりの生き方、生活の仕方を編み出していくのが必要なので、落ち込みすぎずにうまく周りに助けてもらいながらできることをやっていく。私も20代のころは『どうやったらうまく死ねるのかな』とか思っていたんですけど、今はこの人生も割と悪くないと思っていて。発達障害があっても楽しく生きていけるような生き方をみんなにもしてほしいと思います」(広野さん)新型コロナウイルス対策で、在宅勤務やリモート授業などが推進され、家族が一緒にいる時間が増えた。発達障害のある人にとって、毎日決まった時間に通勤・通学することの煩雑さを感じなくていいのは非常に楽だと広野さんは言う。ただし、「家の環境が良くないと地獄」とも指摘している。できないことは恥ずかしいことじゃないUpload By 桑山 知之広野さんはなぜこれほどまでに明るく前向きなのか。どうやら心理学の勉強をした上で、「訓練をした」という。「世の中落ち込むことばかりでうまくいくことよりも失敗することの方が多いんです。でも、いちいちそれを真に受けて反省して頑張ろうと思っても、また失敗しちゃうんです。そんな人生を普通のメンタルでやっていけない。いちいち落ち込んでいたら生きていけないだろうってことで、それを転換して、できる方に目を向けるように、自分を変えていきました。とにかく、自分が快適に生きていける状態がどこか?が大事であって、みんなと同じようにできるかは関係ないんです」(広野さん)できないことを「否定しない」。それは2人の娘の子育てでも実践していた。娘には、自身の障害のこともオープンに話した上で、スーパーの惣菜を買うなど家事をなるべく減らし、対話の時間を増やした。時には、娘が母である広野さんのサポートにも回った。現在、長女(25)はIT企業でデザイナーの仕事に就き、次女(23)は海外の大学に進学し、心理学を学んでいる。Upload By 桑山 知之「個を重視する世の中になりましたよね。個の時代というか。発達障害のある人たちが受け入れられるような方向に行っている気がします。でも、例えば子どもに発達障害があると診断されて、周囲に分かってもらわなきゃとか、説明しなきゃとかやっちゃうと、子どもの自尊心が下がるんですよ。あ、人と違っちゃいけないんだ、って。でも開き直って、文句ある人は近寄ってこないで!ぐらいでいいんです。分かってくれる人とやっていけばいい。大人が変わらないと子どもが変わりませんから。発達障害のあるなしに関わらず、娘たちにはやりたいことを自由にさせてあげたいと思ってきましたし、すべての子どもたちにそういう環境があることを願っています。発達障害のある子どもが生まれるということは、楽しいんだって思ってほしいです」(広野さん)Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海(監修・井上先生から)広野さんのお話のように、発達障害がある人に対する支援や制度、仕組みは少しずつ充実してきています。しかしながら、現在そうした支援や制度を利用しようとすると、その多くは発達障害があるという診断や障害者手帳などが必要です。これを第一段階とすれば、その次の段階は発達障害の診断がなくても、その支援を必要とする人が必要な時にいつでも受けられるような支援や制度が広がっていくことではないかと思います。このような「障害という診断を必要としない社会」から最終的に「障害のない社会」につながっていくのだと思うのです。
2022年03月28日ほんとうに児童精神科に行っていいのか?次女が小2のときに児童精神科に行くとは決めたものの、ずっと心に引っかかっていたのが「この程度で病院に行ってもいいのだろうか」ということでした。スクールカウンセラーの先生には「学校に来ることもできて、勉強も問題なくできている。支援センターに行くほどではない」ということを言われていたので、ましてや病院なんて…という気持ちがありました。Upload By まりまりそれでも、次女自身が困っていて話したいと思っている、私自身も一人で支援していく限界を感じていたのでなんとか行動に移すことができました。予約を取るたまたま通える範囲に児童精神科クリニックがあったのでそちらに予約を取ることに。なかなかつながらない電話に諦めそうになりながらも何とかつながり、「娘に場面緘黙があるかもしれない」と事情を話しました。Upload By まりまりそこではこんな感じで言われました。病院へ行けばすべてが解決するわけじゃない、と分かってはいても、現実を見せられた感じで、なんとなく落ち込みつつも、なんとか予約を取ることができました。次女ちゃんに話す場面緘黙についてはあらかじめ話していましたが、病院に行くことについてはまた改めて話をすることにしました。知り合いのお子さんで、児童精神科への通院に関して「自分は病気じゃない」「病院へ行かない」と拒否しているという話も聞いたりしていたので、次女の通院にあたり、どう感じるのか心配はありました。Upload By まりまり次女の最初の反応はかなり拒否的でした。ただ、次女自身も話したいという気持ちがあること、私もずっと一緒にいること、ママ自身もほかに協力してくれる人がいるとうれしいな~心強いな~という感じで説明。とりあえず行ってみて、嫌だったらやめてもいいことを伝えました。次女はしぶしぶ了承してくれる…という感じで、なんとか行けることになりました!ついに病院へ。先生の言葉。嫌がる次女と一緒に何とか病院へ。膨大な量の問診票に記入。母子手帳にそんなに熱心にいろいろと記入していなかったので、小さいころの様子がなかなか思い出せず、育児日記を持ってくれば良かったと反省…。そして診察室へ。Upload By まりまりUpload By まりまりUpload By まりまり「学校も行けてる」し「勉強もできている」から問題ないと言われることが多く、ずっと、本当に児童精神科に来ても良かったのか?という不安な気持ちでいました。きっと、私の言葉の端々にそれが出ていたのか、この先生の不安を和らげてくれる言葉はとても心強く感じました。ただ、ここですぐに診断が出るわけではなく、このあとにいくつか検査をすることになりました。この間、次女は、私のうしろに顔を隠したままほとんど先生の顔を見ることなく、一言も話さずに終わったのでした…。検査の内容、診断の結果などはまた別の機会に詳しく描いていければと思います。執筆/まりまり(監修:井上先生より)場面緘黙の症状は分かっていても、医療機関に行くということについては、やはり多くの不安があったかと思います。子どもさんにとっても、初めて行く医療機関は怖いと思いますが、まりまりさんがそのことを理解し、医療機関に行く前に2人で「場面緘黙」について現時点でできる共通理解を丁寧にされていたことがとても重要に感じました。悪いところを治すために行く所ではなく、一緒に何とかしようと考えてくれる人がいる所という説明はすごく良かったと思います。医療機関、専門機関に子どもさんを連れて行く前に、どのように子どもに説明したら良いのか、多くの親御さんが悩まれると思います。そのような親御さんの参考になるコラムだと思いました。
2022年03月27日集団行動が苦手なしのくん3歳になったばかりのころ、しのくんは集団行動が苦手で、すぐにクラスから脱走してしまったり、順番を守ることができませんでした。この当時、しのくんはしゃべることができる言葉も少なくて、こちらが言った言葉も理解できていないような状態でした。不安になった私は…Upload By keiko保育園の担任の先生に、家で何かできることはないか?と聞いてみましたが、「家で集団行動を学ぶのは難しい」と言われてしまいました。ですが、先生に任せっきりにする罪悪感と、焦りが合わさって、このまま何もしないということは私にはできませんでした。そんな中「しのくんが集団行動できるようにしたい!どうにかしたい!」という思いからひらめいたアイデアが「ドールハウス」と「お人形」でした。Upload By keikoお人形ごっこしのくんに集団行動を教えるために、保育園と同じ状況をつくる必要があると考えた私は、ドールハウス(学校)を購入しました。クラスのお友達も用意して、ピアノと椅子も用意して、家の中に保育園を再現することに成功しました。Upload By keikoそして、お人形ごっこを通して、しのくんに遊びながら、おうちで集団行動を教えていこうと試みました。しかし…Upload By keikoUpload By keikoUpload By keikoしのくんは、自分の持ってる人形をドールハウスの保育園から脱走させ、私が追いかけるのを楽しむという遊びをし始めました。現実でもごっこ遊びでもしのくんはクラスから脱走し、上手くいきませんでした。「ドールハウス」と「お人形」の話を言葉の教室の先生にしてみたらUpload By keiko後日、「ドールハウス」と「お人形」の話を言葉の教室の先生に相談してみました。すると、「同じように、人形を使って行う療育がある」と先生。この返答に私はびっくりしました!それと同時に、「今はまだうまくいかないけど、やってることに間違いはない」と自信にもなりました。現在もうすぐ4歳になるしのくんですが、今でもドールハウスとお人形を使って、ごっこ遊びをしています。今では、学校のほかも、家とデパートも用意して、実際の生活を再現したいろいろな状況のごっこ遊びもしています。ほかにも生活に生かせるような家庭でできる遊びはないかな?と思い、おうちの遊びでおままごとにも力を入れています。オモチャの大きなキッチンでしのくんは、毎日楽しく遊んでいます。しのくんの成長ためにもこれからも楽しみながら続けていこうと思っています。執筆/keiko(監修:初川先生より)ドールハウスと人形を使って集団生活を学ぶ。なるほど、面白いですね!子どもにとって、園での生活はすなわち「実践」の場です。いきなり実践の場に入ってしまうと、不安も緊張もわくわくも興奮もあるし、なかなか自分がどう振舞えばいいのか、何を見て聞いて判断して過ごせばよいのかは分からなくなるのも無理はないと思います。ドールハウスつまり保育園の教室場面のミニチュアを使って、教室の中では何をするのか、どう振舞うのがいいのか、文字通り俯瞰しながら「予習」・「心の準備」ができたことがとてもよかったのだと思います。例えば「教室の中では○○をやるよ」という言葉での予告だけだと、想像しきれないお子さんもいると思います。その意味で、かわいらしいドールハウスや人形を使って、視覚的にも情報として入りやすい形で、そして、実践的な内容を聞くことができ(先生の声かけ例、園児の反応例も聞けますね)、良きモデリングとして機能していることでしょう。しのくんを育てる中で、このアイデアを思いついたということが素晴らしいですね。確かに、こういうやり方を助言する専門家もいるかもしれませんが、こうしたらうまくいくかも、と思われた保護者としての鋭い直感、素晴らしいです。
2022年03月26日息子の癇癪パターンはいろいろUpload By かなしろにゃんこ。自分が思い描いた目標に達成できないと怒ったり、何かに夢中になっているところを横から干渉されると癇癪を起こすわが家の息子。学童期は、「もうやだー」と家具を蹴ったりする始末……その度、「あぁ~また始まっちゃった。リュウ太が怒りだすと近所に聞こえるような大きい声で怒鳴るからヤダな~」と母の私も暗くなったりイライラすることがあります(涙)。中学生になっても癇癪のときの声の大きさは変わらず「くそーーーなんでだよーーー!」と何に対して言っているのか分かりませんが、乱暴な言葉で怒鳴り散らすのでたまりませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。成人した息子に癇癪について聞いてみると「暴言は自分に対してだったりするよ、うまくいかない自分に腹が立つ」のだそう。さらに「癇癪はなくすことはできないんだ。『ほかの人は怒るときに大声なんて出さないで怒るんだよ。だからあなたも声を出さないようにしなさい』って親や先生に注意されてきたけれど、オレは声を出さないで怒りを消すことはできないんだ」と話してくれました。息子は、怒りが発生して数秒でピークに到達する→ 怒りをリセットするにはなるべく遠くに怒りを放つ感じで吐き出すから大声になる→ 大声を出すと気持ちが収束に向かうだから怒ると大声を出してしまうんだと知りました。Upload By かなしろにゃんこ。私自身は「怒りの感情」というのが時間をかけてジワジワと来たりします。そのため瞬間湯沸かし器のようになる息子の状態が今まで私には分かりませんでしたが、息子の話を聞いて「自分の中にわいてくる”嫌なもの”を早めに排除する行動だったのね!」と知りました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子は、「ものによっては声を出しても怒りが収まらないときがあるけれど、『ま、いっか!』という言葉をつぶやいて全てどうでもいいことに変えるようにしてるよ。『ま、いっか!』は小学生のころからやっていて、”怒り”に区切りをつけることができる」とも言いました。小中学生のころはまだ心のコントロールができていないように見えましたが、息子は自分なりに心の調整をする方法を見つけていたと分かりました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)「怒りの感情」は、リュウ太さんが言われていたように成長と共に少しずつ制御可能になっていきます。小さいころは「制御する」というよりは、周りの大人が「我慢させようとする」ことが多いかもしれません。子どもの場合、我慢する方法を具体的に教えてあげないと「我慢しなさい」とだけ言われたことが、火に油を注ぎエスカレートして悪循環に陥ることもあります。「叩いたり壊したりするよりは、声に出すほうがいい」「声に出すよりも、走ってみるのはどうか」「壊れないものを投げてみるのはどうか」…など怒りを鎮めるやり方を一緒に考えてあげるといいかもしれません。「怒り」を押さえつけるのではなく、怒りをうまく手なずけるための代替案を一緒に考えたり、うまく怒りを鎮められたときに褒めることが大切だと思います。
2022年03月25日入園式でのパニック回避をしたくて…Upload By ゆきみ3歳のときに自閉スペクトラム症と診断を受けた長男けんと。年中から転園したこども園には制服がありました。以前、写真スタジオでスーツのような服を着たとき、早く脱ぎたくて大号泣。シャツやスーツといった普段と違うものを着るのが大の苦手でした。当日いきなり、初めての制服を着る!となると絶対にパニックになると思い、時間をかけて様子をみていくことに。制服を初めて見たとき、警戒している様子だったので、まずは目につくリビングにずっとかけて「この洋服、新しい園に着ていく洋服なんだよ」と声をかけるのを続けてみました。それから数日、制服を見慣れたころに「着てみようか?」と誘ってみると、ズボンは全く嫌がらず、すぐにはいたのですが、上着は抵抗があったようで着たらすぐに脱いでしまいました。そこからは、毎日1回。数秒でも上着を羽織ってくれたら褒めるというのをくり返し、慣れてくれたようで、入園式も嫌がらずに着てくれました。制服でのパニックは回避することができ、一安心。みんな静かに座ってる!周りと違いすぎて…Upload By ゆきみ年中からの転園だったので、入園式は1つ年下の年少の子どもたちが大多数。会場に入ると、保護者の方と静かに座っていてビックリ。けんとは、動きたくてソワソワしていました。式が始まるまでの待ち時間が長かったので、その間はスマホの中の写真を一緒に見たり、しりとりや、じゃんけんなどのプチゲームで気を紛らして、なんとかギリギリ静かに過ごせました。式が始まると、スマホを出すわけにも、しりとりなどのゲームをするわけにもいかず、けんとも退屈そうな様子。まっすぐ座っていられず、椅子にグデーと伸びきったり、床に寝転がろうとしたりするので抱っこしたら、膝の上で伸びきった体勢に。周りの子とは様子が全然違ったけど、奇跡的に静かにはしていてくれたので良かったです。式が短かったのでなんとか大丈夫でしたが、みんなが最後まで静かに座っていられていることにビックリ。けんとは、式の最中全く先生の話を聞かず、ただただ時間が過ぎるのを待っているかのようでした。通園スタート!マイペースが止まらないUpload By ゆきみ遂にこども園生活がスタート!新しい環境が不安でしたし、パニックになってしまった場合の対応法を先生にお伝えしたかったこともあり、園にお願いして2~3日間、私は廊下から見学させていただくことにしました。初日!年少さんと一緒に「園の散策ツアー」に参加。気になる教室があると勝手に入っていってしまうけんと。年少の子たちは廊下から順番に教室を覗いて、先生のお話しを聞いている姿を目の当たりにし、改めて集団行動の難しさを感じました。年中のクラスでは、みんなが先生のお話しを聞いて座っている中、けんとは壁に貼りつけてある紙類が気になるらしく、一つひとつ読み歩いてマイペースに過ごしていました。入園したのが、コロナの流行がはじまったくらいのとき。すぐに園がお休みになってしまいました。そこで園が「リモート幼稚園」を開催してくださり参加してみることに。パソコンの画面越しに「〇〇ちゃんだ!元気?」などと子ども同士が会話をしている姿に驚愕。けんとは全く興味がなかったようで、ほかの遊びを始めてしまい、ママ1人で参加している様子が画面に映されてしまいました。園生活の不安を消してくれたものは…Upload By ゆきみ「今日、園で何があったか」などを話せない子なので心配していましたが、担任の先生が連絡帳で様子を教えてくださり安心感につながりました。園であった困りごと、質問、相談などの細かいことまで連絡帳を通してやりとりしてくださったので園トラブルも把握し、対応策を考えることもできて感謝しています。そして、参加できそうなことには参加させてくださり、苦手なものは無理をせず、少しずつ様子をみながら誘っていただく形にしてくださったので、年中、年長と進むにつれてお友達と一緒に参加できるものも増えていきました。集団行動は今も苦手なままですが、私の不安をよそに、けんとは毎日楽しそうに通ってくれて、けんとの特性を理解しようとしてくださった園、受け入れてくれたお友達には感謝です。もうすぐ小学1年生。特別支援学級の情緒クラスに決定しました。幼稚園でのさまざまな経験を生かして、小学校にも楽しく通えたらいいなと願っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは、制服を好む傾向があります。毎日洋服を選ばなくて済むからです。制服でなくとも、恒常性のこだわりから毎日同じ洋服を着ることが多いのです。ただ、感覚に敏感なお子さんの場合、洋服の生地の肌触りやにおい、重さなどが合わないと嫌がります。中学校へ進学するとき、詰襟は首が絞めつけられるのが嫌で、わざわざブレザーの制服のある学校を選ぶこともあります。入園式や冠婚葬祭などじっとしていなければならない場面では、ポケットの中に本人の好きな手触りのいいものを入れて握らせていると落ち着くこともあります。園も小学校も担任の先生次第です。連絡帳しかり、苦手なものを無理しないことしかり、少しずつのスモールステップしかり、です。
2022年03月25日できないで困っている子を助けたい私は児童精神科医として、2009年から現在まで少年院に勤務し、非行少年と言われる多くの少年たちに出会ってきました。「非行少年」というと粗暴で、周囲を「困らせる子」のイメージがあるかもしれませんが、実際に私が出会った少年たちは違っていました。ひとことでいえば、その少年自身が「困っている子」だったのです…。下の図は、私が少年院で出会った中学生が描いた立体図です。彼は見本を見ながら「難しいなあ」とつぶやいてなんとか描き上げたのですが…。私は彼の苦労する姿を見て、この少年に今必要なのは、反省の念もさることながら、立体図がしっかり描けるような力、つまりは正しく物事を「認知する力」だと感じ入りました。Upload By 宮口幸治約5年間かけて開発した認知機能強化トレーニング立体図の模写は見る力の問題ですが、ほかにも調べてみると、聞く力が弱くて、簡単な文章も聞き取れない、復唱できないという少年たちも数多くいました。そこで少年院の「実科」(授業)では、見る力・聞く力をトレーニングする教材を使おうとしたのですが…なかなか納得できるものにめぐり合えませんでした。だったら、「自分で納得のいくものをつくってみよう!」と思い立ち、試行錯誤の末、完成まで約5年間の歳月がかかりました。目の前にできないで困っている少年を、なんとかできるようにしてあげたい。ただそれだけの思いで、私は「コグトレ」を考案しました。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭の文字を合わせた言葉です。認知機能の弱さが学習のつまずきにつながることも漢字が苦手、黒板が写せない、九九や計算が苦手、文章題が苦手といった子どもたちは、「写す力」「覚える力」「数える力」「見つける力」「想像する力」(=認知機能)の弱さが背景にある可能性があります。例えば、「覚える力」や「写す力」「見つける力」が弱いと、黒板を写せなかったり、漢字の書き取りができなかったりするかもしれません。「数える力」が弱いせいで、算数のうっかりミスにつながっているかもしれません。でも、たとえ基礎的な認知機能が弱かったとしても、あきらめてはいけません。トレーニングにより高められる可能性はあります。見る力・聞く力をトレーニングみなさん、「ワーキングメモリ」という言葉を聞いたことがありますか?これは、別名「心のメモ帳」と呼ばれ、短い時間に心のなかで情報を保持し、同時に処理する能力のことを指します。ワーキングメモリには「見る」と「聞く」の2種類があります。概して、記憶するには見て覚えるか、聞いて覚えるかの2つです。視覚性のワーキングメモリを使う場面は、例えば、黒板をノートに書き写すとき。黒板を見て、覚えられる情報量が少なかったり保持できる時間が短かったりすると、何度も黒板を見直さなければなりません。視覚の短期記憶や基礎力、情報整理の力を鍛えるそこで、「コグトレ」では、以下のような「覚える」課題で、視覚の短期記憶をトレーニングします。ほかにも、視覚認知の基礎力(模写・形の把握)をアップする「写す」課題、視覚情報を整理する力をアップする「見つける」課題もご紹介しましょう。「写す」「見つける」力も黒板を書き写すのに役立ちます。文字の位置を10秒間しっかり見て覚えてね。10秒たったら何があったか書いてみよう。Upload By 宮口幸治上の絵と同じように、点をつないで下に写してね。Upload By 宮口幸治下の絵のなかにはみほんと同じ絵が1枚あるよ。見つけて番号をこたえてね。Upload By 宮口幸治ワーキングメモリで大事な「聞く力」ワーキングメモリには、視覚性と聴覚性の2つがありますが、実は、パッと見て覚える分にはみなさん、そう大差はありません。人は、聞いて覚えるよりも、見て覚えるほうが得意な人が多いもの。だから支援教材には「見て分かる」系のものが多いのですね。差がつくのは「聞く力」のほうです。例えば、学校で先生から「教科書の25ページを開いて、3番と4番の問題を解いてください」と言われたら、「25ページ」「3番と4番」と言葉を順に覚える必要があります。先生の話を聞き取っては覚え、覚えながら次の話を聞き取るわけです。ただし、「聞く力」が弱かったとしても、トレーニング次第で高められる可能性はあります。次に、そのための課題を紹介しましょう。聞く力をトレーニングする「最初とポン」一例として、「最初とポン」という課題を紹介します。文章理解力と聴覚性(言語性)ワーキングメモリを鍛えていくのが狙いです。まず、出題者が3つの文章を読み上げます。ただし、お約束ごとが2つあります。1つは、文章内の最初の単語だけを覚えること。2つめは、「決められた単語」(動物、食べ物、色など)が出てきたら、手をポンと叩くこと。ここでは「動物」の名前が出てきたら手を叩きます。Upload By 宮口幸治この場合、覚えてもらうのは「牧場」「池」「カエル」で、下線の「ウシ」「アヒル」「カエル」で手を叩くのが正解です。もしも覚えづらい場合には、言葉を頭のなかで映像に結びつける工夫をしたり、グループで行う場合には、うまくいった人にどのような工夫をしたのかを聞いてみたりするといいでしょう。もしも、がんばっているのに、「今ひとつ学習が身につかない」「テストの点に結びつかない」…そう感じておられるとしたら「認知機能」の弱さが原因かもしれません。ぜひ「コグトレ・パズル」をお試しください。遊び感覚で解きながら「認知機能」を高めていくことができるでしょう。
2022年03月24日娘の自傷行為娘は高校生のころにイライラがとても強い時期がありました。高等特別支援学校(高等部単独の特別支援学校)に通い、放課後等デイサービスや地域の基幹相談支援センター、医療ともつながっていた娘。障害に理解がある環境の中で過ごしていたにも関わらず頻繁に起きる感情の爆発がありました。それは、娘自身ではどうにもできない就職に関する悩みや女性特有の体調の悩みともあいまって、幼稚園のころのイヤイヤ期や小一の壁、10歳の壁や中一ギャップのときとは一味も二味も違う、ヘビーで複雑なものでした。学校に行きたがらなくなったり、物を壊したり、母親だけに当たったり、衝動的に家を出たり…。どの行動にも手を焼きましたが、一番対応に困ったのは自傷行為でした。親のダメージの大きさたるや今から6年間ほど前の娘が高校生だった当時は、思春期の発達障害がある子どもの自傷行為についての情報が極めて少なかったということも私の悩みを深くしていました。娘の自傷行為を知ったとき、私はまず信頼のおけるママ友や親の会の仲間に相談をしました。すると「自分自身も過去に自傷の経験がある」という人が意外と多くいました。今は頑張っていたり、輝いている人たちも、過去にはつらい経験をしていたということや、その行為には理由(原因)があるということなどを知って、私のショックは少し和らぎました。じゃあ実際どうしたら良いの?では具体的に親はどう子どもに接したら良いのか?私は、ケアする側の専門家に相談するのが良いと思い、学校の先生方や放課後等デイサービスの先生に対応策をたずねました。「傷口部分をさすってあげるとか、絆創膏を貼ってあげると良いというのを本で読んだことがある」「その話題には直接触れない方が良い」など先生によってさまざまな意見がありましたが、私はその中で“わたしたち親子が置かれている状況下”で“不自然ではなく”できそうなことを考えました。考えた結果…娘には年の離れた弟がいます。当時、弟は小学校に入学して間もないころで、まだ幼さなさが残る年ごろでした。過去に娘は私に「お母さんは弟に甘いんじゃない?」と言ったことがありました。私からすると娘の方がずっと手がかかり、弟には不便をかけているぐらいの気持だったのですが、娘はそう感じていたようです。そこで私は娘に「最近お父さんが、私が小さい息子にばかり気を掛けることにヤキモチをやいているみたいなので『だっこだっこキャンペーン』というのを始めようと思う」「これは、玄関で帰宅した家族全員を私(母親)が抱っこ(お帰りなさいのハグ)をするというキャンペーンです」と伝えました。本当は『娘を』抱っこすることが目的だったのですが、自然な感じ(?)にするため『お父さんが、私が息子ばかりかまうことにヤキモチをやいている』というていにしたのです(この件に関しては主人にも協力してもらいました)。娘の反応Upload By 荒木まち子「え?いいの?」と言う娘。私は、娘のこの反応にとても驚きました。娘は小さいころからだっこが苦手でした。反り返って嫌がるので、私は娘を落とさないように全身の力を込めてだっこしていました(いつも汗だく)。また、娘がいつ激しく反り返るか予測不能なので、わが家ではおんぶも危険だと思いほとんどしませんでした(おんぶで子どもが親に身を任せるなんて夢のまた夢)。手をつなぐのも苦手で、私が娘の手を握ると娘は必死に私の手の中から指を抜こうとしました。そのため私は、娘は人に触られることが嫌(苦手)なんだとずっと思っていました。それなのに娘のこの反応って…⁉子どもは変わる実際娘に『お帰り』のハグをすると、娘は脱力し私に身を任せていました。表情は見えませんでしたし娘は無言ではありましたが、まんざらでもなさそうなのは感じ取ることができました。私たち親は「食べ物」や「音」「色」「特定のシチュエーション」などで、いったん子どもが嫌がると「この子はこれが苦手(嫌い)なんだ」と思い込んでしまいます。特に子どもが癇癪やパニックを起こした経験があるとなおさらです。でもそれらは時と共に変わる場合がある、ということを私はこのとき実感したのです。子ども自身の体調にも影響されるので一概にそれを『成長』と言って良いのかは分かりませんが、ともかく『変わる』のだと感じました。じゃあそのあと『だっこだっこキャンペーン』のおかげで娘のイライラや自傷がすぐに収まったかというと、まあそんな簡単なわけもなく(笑)医療や各方面の支援者のサポートと粘り強いアプローチなども受け、長い時間をかけて娘は徐々に徐々に落ち着いていったのでした(娘が落ち着いたタイミングでわが家のだっこだっこキャンペーンは終了しました)。失敗も無駄じゃない子育てで困ったことがあると、親は解決策や情報を探しいろいろなことを試します。それが上手くいけば万々歳です。しかしながら自分の子には分かりやすい効果がでなかったり(場合によっては逆効果だったり)親がしんどくなって続かないこともしばしばです。でもその失敗や試行錯誤は決して無駄ではないと思うのです。つらい中でもたまにクスッと笑えることがあったり、ほんの些細な子どもの成長を感じたり、暗闇の中で小さな光の道筋が見えた(ような気がした)りしたらそれって結構イケてるのではないかと私は思っています。首の皮一でつながっている様な状態だとしても、今回のケースのように意外な気づきを得ることもあります。失敗を含めすべての経験はすべて後の糧になると私は考えています。執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)青年期に多い自傷行為の原因は個々さまざまです。しかも本人自身もそのことを言葉でうまく説明できない場合は、親としてとても不安になり、心配されると思います。今回の「だっこだっこキャンペーン」のような方法が直接当てはまらなかったとしても、ユニークな関わりを取り入れることで家族全体の関係性がピリピリしたものからやわらかいものに変わっていったのではないかと思います。また荒木さんもご指摘のように、幼児期のこだわりや感覚過敏なども成長と共に変わっていくことが多いです。お子さんの様子を見ながら、それに合わせていろいろな関わり方を試みることはお子さんの新たな成長や変化に気づくきっかけにもなるのではないでしょうか。
2022年03月23日暖房器具に張りつくコウに効いたのは「定番の視覚支援」!?Upload By 丸山さとこ暦の上では春を迎えても私が住む地域では、まだまだ寒い日が続いています。冬の間はエアコンをつけていても足元から冷えるわが家なので、家族が過ごすことの多いLDKにはガス暖房器具を置いています。「暖房の前には絶対に物を置いてはいけないよ。暖房の前に衣類を置いて火事になったお家もあるんだよ」と口を酸っぱくして言い続けていたためか、コウは暖房器具の前に物を置くことはありません。ところが、コウ本人は火が出そうなほど暖房器具に張りついて手や足を擦り合わせていたりするので、火事&火傷の危険性でハラハラしていました。同じく近づきすぎて困るテレビには『敷物の端に合わせて座布団を敷き、そこに座って見る』という方法が有効でしたが、暖房の前に座布団を置くわけにはいきません。ほかに使えそうな目印を考えたところ、ビニールテープが思い浮かびました。Upload By 丸山さとこ「暖房周りを囲む用のベビーゲートを買うしかないのか…それかエアコンのみにするか…」と悩む夫に「1回、ビニールテープで床に目印つけてみない?」と提案すると、「ビニールテープか…そんなんで効くかな?」とあまり乗り気でない反応が返ってきました。その気持ちは分かります。今までに効かなかった視覚支援の数々…『どうせダメだろう』という気になるのも当然です。Upload By 丸山さとことはいえ、たまに「えっ、今更こんな手立てが効くの!?」というベタな手法が効くのもコウのあるあるパターンなので、「まぁまぁ、ビニールテープなら安価だしやってみようよ」と試してみることにしました。ときどきはまることもある「境界線システム」そうして試してみた結果、コウの暖房前への張りつきはピタリと止まりました!正に「えっ、今更こんな手立てが効くの!?」な結果となり、私も夫も「こんな方法でいいんだ…?」と驚きました。Upload By 丸山さとこコウには『一瞬効くけどすぐ無効になるパターン』もあるため、「一瞬でも平穏を得られたのならそれだけでもいいよね…」と心に予防線を張っていた私と夫でしたが、3ヶ月経った今でもコウへの効果は持続しています。来年のことは分かりませんが、ひとまず今ある寒さが終わるまでは通用するのではないかと思います。※「暖房器具の前にビニールテープを貼って大丈夫かな?」と迷いましたが、床を触って温度を確かめたところ温まっていないことが分かったため、貼ってから数日様子を見て剥がれないことを確認した上で行っています。視覚支援として行っているビニールテープの境界線は、小学校低学年のころは全く効かなかったものの、高学年に入ってからはたまに効くようになっていました。ただし、効果があるのは『テーブルの端に物を置いて落とす』などの無意識にとってしまう行動がほとんどで、『ゲームをしたい』『箱の中身を触りたい』など”コウの具体的な意思”が明確にある場合は全くと言っていいほど効果はありませんでした。Upload By 丸山さとこそのため、『暖房の近くであたたまりたい』という明確な欲求の行動には効かないだろうと思っていたのですが、今回予想外に効果があったことから「方法があるなら1回試してみなければもったいないのかもしれないなー」と改めて思いました。1回でも効いたら儲けもの?ゆるく続ける視覚支援現在小学6年生のコウ。近年は、自らメモを貼ったりチェックリストをつくったりすることもありますが、視覚支援などの工夫をする際は受け身でいることが多く、親まかせになりがちな現状です。視覚支援は手がかかる割に『空振り』や『1回限り有効』も多く、続けていく中で心が折れることもあります。けれども、「1回でも効いたら儲けもの!」のスタンスで、これからも無理のない範囲で続けていきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)視覚支援にまつわるトライアンドエラー、そして考察をありがとうございます。今回のストーブ前のような、環境にまつわる視覚支援は、なかなか機能しやすい面があるのだろうと感じます。大人にとっても、コロナ禍でのレジ前の並ぶ場所を示すちょっとした線があると、すっかりそこに合わせて並んでしまいますね。さとこさんの考察では、無意識的な行動かどうかで機能するかどうかが分かれるとの見立てですが、それも面白い視点だなと感じます。視覚支援に限らず、あらゆる支援はうまくいくかどうかが確定したものではありません。一度うまくいっても、時間の経過や本人の成長につれて変化することはよくありますし、同じ種類の支援でも効くものと効かないものも同時に出てきたりもします。そういう意味では、とりあえず試してみる、「1回でも効いたら儲けもの」くらいの軽い気持ちでやってみるのはとても良いと思います。大切なのは、言葉での指示だけになってしまうと、お互い疲弊してゆくので、声掛けだけではない、視覚支援のような、本人の自覚に依拠するのではなく、「うっかり」適応的な行動を取ってしまう仕組み作りをどう仕掛けてゆくか、ということですね。
2022年03月22日学校では何度も話し合いを重ねていましたUpload By 吉田いらこゆいの勉強の遅れについては学校と何度も話し合いを重ねていました。遅れている子も取りこぼさず見てくれようとしている学校には感謝しています。その中で、担任の先生から「ゆいさんは現在の算数の授業についていくのはとてもキツそうです」と言われたことがありました。ゆいは授業をまじめに聴いてはいるのですが、理解できていませんでした。それでも、必死に授業のノートを取ろうとしていました。しかし、それさえも間に合わないのです。ゆいがノートを取り終わる前に板書は消され、次に進んでしまいます。現在の授業はゆいにとってはかなりのハイペースで、ついていけないのでした。Upload By 吉田いらこ私は今までゆいの成績が悪いことに一度も残念な顔をしたことはありません。ましてや叱ったことなんかありません。勉強はそこそこでいいから、毎日を楽しく過ごしてほしかったのです。Upload By 吉田いらこテストの結果や成績表を見ても「これだけできていたら充分!また次に頑張ろうね!」と明るく言うように努めてきました。それでも本人はいつも浮かない顔をしていました。親が何も言わなくても、自分が周りの子に比べて勉強が苦手なことはゆい自身気づいていたようです。Upload By 吉田いらこ「わたしはバカなの」勉強の遅れが目立ち始めてからのゆいは…「わたしはバカなの」ゆいは自分のことをそう言うようになったのは、勉強の遅れが目立ち始めてからでした。こう思わせるようになったのも私の責任だと感じています。いくら頑張っても勉強についていけず、毎日の算数の授業がつらかったのだと思います。今となっては、私があのときやるべきだったのは「頑張ろう」と励ますことではなく、早急に周りに相談してゆいに合った環境を探すことだったのだと分かりますが…。遠回りをしてしまったなと反省しています。Upload By 吉田いらこ診断が下り、私が決めた「現在のミッション」発達検査を受け診断が下りた現在、私のミッションは「ゆいがつらい思いをせずに学校へ通うこと」になりました。将来のことを考えると不安でいっぱいです。とくに就職がどうなるのか分かりません。勉強をすっぱりとあきらめていいのか…など考えればキリがありません。けれど、ゆいには笑顔で学校に通ってほしい。そう思っている私にとって、目の前の課題は今のところこれなのです。ゆいの通う小学校は「特別支援学級在籍」となっていても、みんな普段は通常学級で過ごします。そして、国語や算数などサポートが必要な科目だけ、特別支援学級の教室に集まって受けることになります。(※)保護者の私と学校の先生との間で話し、算数の授業だけは特別支援学級でサポートを受けるのがベストではないかという結論になりました。あとはゆい本人がどう思うかです。わたしはゆいにお試しでサポートを受けることを提案してみました。その結果は…?また別の機会に描きたいと思います。※自治体によって異なります執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)自分ができないことが分かってしまうというのは、ご本人にとってもとてもつらいことだったと思います。ただ、どこまでが限界でどこからは要支援なのかは、じっくり取り組んでみないと分からないことも多いです。子どもにつらい思いをさせないことも大切なのですが、しっかりと「できなくなるところまでやり切ったか」も同じくらい大切です。そこまでいったからこそ、今のように「つらいなく、でもしっかりと学びになるギリギリはどこか」を探していけるのだと思います。
2022年03月21日マンガで癇癪を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。今回は悩んでるご家庭も多い「癇癪」についてまとめてご紹介!癇癪ってどのような状態のこと?原因や背景をはじめ、起こさないようにご家庭でできる環境調整方法、起きてしまったときのクールダウン方法、発達障害との関係性など、公認心理師の井上先生の解説とともにご説明します。癇癪とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。癇癪行動の例やどのような気持ちの変化で起きてしまうのか、癇癪について原因を2つに分けて専門家が解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありませんが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。そんな発達障害のある子どもに見られる4つの傾向と癇癪の関係を解説します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいポイントや起きてしまったときのクールダウン方法などをご紹介します。まとめ子どもが癇癪を起こす背景には必ず理由があります。普段の生活や癇癪の起きるきっかけなどを探し、子どもに合った配慮を行うことで癇癪を抑えることもできます。もちろん全ての癇癪を抑えることは難しいです。ですが、どのようなときに癇癪が起きやすいか、クールダウン方法を知っておくことで保護者も安心して過ごすことができます。それでも子どもの癇癪に悩むときには一人で悩まずに周りの人や相談できる施設を頼ることが重要です。
2022年03月20日Get in touchの最初の活動が、「ウォームブルー・デー」、世界自閉症啓発デーのイベントだった発達ナビ牟田暁子編集長(以下――):発達ナビの読者には、東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get ㏌ touch(ゲットインタッチ)の活動について、あらためてGet ㏌ touchはどういう団体なのかお話しいただいてもいいでしょうか。東ちづるさん(以下、東):Get ㏌ touchは、「誰も排除しないまぜこぜの社会」を目指すプロボノ団体です。主にアート、音楽、映像、舞台などのエンターテイメントを通じて活動しています。私たちは、まぜこぜ・多様な社会で暮らしているということを見える化・体験化していきます。メンバーはそれぞれ本業があり、さまざまな職種においてプロフェッショナルで、それぞれが培ってきたスキルやアイディア、人脈などを提供しています。特徴的なのはクリエイターやエンタメ業界に関わる人たちが多い、という点です。私個人は、30年前から社会的な活動をしていますが、ずっと何かモヤモヤしていたんですよね。それは、講演やシンポジウムに参加すると、同じような顔ぶれになりがちということ。社会課題への意識が高い人たちは集まっているけれど、本当は、こうした課題について無関心な人たちをどう巻き込むかを考えなくちゃいけないんじゃないの?と。――どんな活動がスタートだったんですか?東:最初は自閉スペクトラム症を啓発する活動からでした。4月2日の世界自閉症啓発デーのイベント「ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)」の企画ですね。この4月2日には、先進国ではさまざまな形で「青くなっている」と知ったとき、「私は20年以上活動しているのに知らなかった」ということがショックだったんですよね。それが10年前です。「青くなる」というのは、街のライトアップをはじめ、新聞の文字をブルーにしたり、アーティストや芸能人、ニュースキャスターが、その日はこぞってブルーの服を着たり、ブルーのものを身につけたりしてメディアに登場するということなんです。そして、ブルーにするのは自閉スペクトラム症の啓発であることをみんな分かってやっている。これって、日本でもできるんじゃない!?と思ったんです。それも楽しみながら。はじめてのウォームブルー・デーのプロジェクトは批判が殺到!?Upload By 発達ナビ編集部――それが10年前なんですね。東:それまでも、自閉症協会さんや厚生労働省の働き掛けで、全国各地で青くライトアップされたり、青を使ってアピールしたりといった動きはあったけれど、「世界自閉症啓発デー」だからということは、一般の人にはほぼ知られていないという状況でした。なぜならメディアになかなか取り上げられないから。メディアに取り上げられるにはどうすればいいの?と考えて、エンタメでやっていこう!となったわけです。第1回は、東京タワーでウォームブルー・デー(Warm Blue Day)と名づけて、全国各地の自閉スペクトラム症があるお子さんのご家族や当事者、そうではない人たちが「まぜこぜ」に集まるというイベントを開催しました。ショップのウィンドウをブルーにデコレイトしてもらったり、ブルーにペイントされたスーパーカーのパレードがあったり、コスプレイヤーがブルーの服を着て歩いたり。にぎやかな祭典となりましたが、その裏では、警察や厚生労働省、自閉症協会をはじめ、さまざまなところに、私たちは一から企画の説明をして、文字通り泥臭い地道な調整をして実現したイベントでもありました。…でもね、この初回は、叩かれたりもしたんです。――そうだったんですか?それは、なぜでしょうか。東:エンターテインメントでしたから。こうした啓発活動をするときには、真面目にやらなくてはならない、というムードが日本にはありますよね。楽しいことは後ろめたい、というような。だから、「お祭り騒ぎをして何が啓発だ!」というお叱りをたくさん受けました。当事者ご家族、支援団体さん、厚生労働省からも、それはもうかなり賛同を得られませんでした。ところが、です。実際に蓋を開けてみたら、ものすごくたくさんの人が集まりました。そして、自閉症協会さんはじめ、自閉スペクトラム症や発達障害に関するサイトが問い合わせでパンクしたのです。そこでようやく、「ああ、これも啓発なんだ」と理解していただけました。今振り返ると、本当によく闘ったなと思います。――そうだったんですね。今やGet ㏌ touchは、自閉スペクトラム症や発達障害の啓発活動ではすっかり頼りにされている存在ですよね。東:ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)に関しては、現在は東京都自閉症協会さんが都内の関連団体に呼びかけて集まった「東京タワー実行委員会(TT実行委員会)」に引き継いでいます。もはや私たちが始めたということも忘れられているくらいの盛り上がりになりました。これはGet ㏌ touchの成果の一つだと思っています。社会的に知ってもらうということが最初の目標でしたから。でも、4月2日には日本全国でさまざまな人たちが自発的に青い服を着たり、SNSで発信するのがあたりまえのように日常に溶け込んだ社会になったらいいなと思っています。たとえば、ハロウィンのようにね。障害がない人だけにマーケットが用意されているということへのモヤモヤUpload By 発達ナビ編集部――まぜこぜの社会を顕在化することを達成して、10年で解散することが目標ということでしたが、解散していないのはまだまだ課題があるということですね?東:新たなことがどんどん出てきますからね。でも、確実に社会はアップデートされています。その半面、分断はまた広がっているというか、生きづらさを抱える人が増えているのが現実です。私は、芸能界がグレードアップするといいなと思っています。「まぜこぜ一座」を立ち上げたときに、マイノリティの表現者たちのすごいスキルを目の当たりにしました。彼らの才能と努力は素晴らしい、けれども発揮する場が限られている。その才能を広く披露するチャンスがあらかじめ絶たれているという現実があります。最近気づいたことなんですが、私には、マイノリティの表現者たちに対する「後ろめたさ」もあるのだと思います。私は劇団出身でもないし、偉大な師匠について修行したわけでもない。そういうベースがなくても、芸能界で仕事をさせてもらってきたんですよね。もちろん、努力はしてきましたけどね。一方でマイノリティの表現者には、プロダクションもなく、活躍できるチャンスがまずない。私にはそれがあったんです、障害がないから。フラットにみんなにチャンスがある方が、私自身も気持ちよく仕事ができると思っています。ドラマや映画で当たり前のように共演したいんですよ。「まぜこぜ一座」のように、私が脚本を書いて演出するステージではなくて、オファーをいただいてドラマに出てみたら、私の上司がマメ山田さんで、部下が後藤ひとみさんで、同僚にかんばらけんたさんがいる、なんていう設定。すごく面白いと思う。海外では実際にそういう風にキャスティングされた映画やドラマがあって、いろいろな人たちが出演しています。海外のドラマを見ていると、普通にLGBTQの設定の役柄がある。主役ではなくて、障害やマイノリティを「克服する」といったテーマでもなくて。社員の一人だったり、近所の住人だったり、学校の生徒の一人とか、そういう方がいる日常が表現されているんです。それこそが多様性ですよね。日本でもそういうドラマや映画が増えたら、見る側の意識もかなり変わるはず。家族や友達、同僚の間でも、「そういえば、うちの学校・会社にはこういう人がいないよね、なんでだろう」とか、そういう話題が出てほしいと願っています。――当たり前だと思っていることについて、見直してみるといいんですよね。東:そうですね。見える人が見えない役を、聞こえる人が聞こえない役を演じるのもいいけれど、実際に聞こえない俳優もいるし、見えないタレントもいるので、チャンスはあった方がいいですよね。社内研修は、社会貢献じゃなくて社内貢献だった!Upload By 発達ナビ編集部――これから2022年度、やっていこうと思っていることは?東:やりたいことは、やっぱり解散ですよ、本当に。解散して、「まぜこぜ一座」も寄付による運営ではなく、ビジネスとして進めていけたら最高ですね。それから、今年はGet ㏌ touchとつながってくださっている企業さんでの、「まぜこぜの社会」についての社内研修に力を入れたいです。オンラインで研修ができるので、私とGet ㏌ touchのメンバーから、LGBTQの専門の人、自閉スペクトラム症に詳しい人などのチームで研修プログラムを展開します。実際に研修を行った企業さんからは、「社会貢献だと思っていたら、社内貢献だった」と言われるんです。家族に障害者がいる人が、実はこんなに社内にいたんだと気づかれたそうなんです。それまではあえてオープンにしていなかったんですね。うちの子は耳が聞こえないとか、発達障害のある子どもを育てているとか、親戚にダウン症のある子どもがいるんだということを。それが、社内研修をしてみると、多くの社員がそういう話をし始める。人事や取締役の方たちはびっくりしています。――そうしたことを言えないと、周りに遠慮したり、休みたくても休めなかったり、無理がたたって会社を辞めてしまうことだってありますよね。東:そうなんですよね。研修のディスカッションでそういう話がシェアできたら、その後は言いやすくなることもあります。だから社内貢献。そういう意味でも、発達ナビのユーザーさん、保護者のみなさんは、ものすごく頑張っていますよね。頑張り過ぎていない?ということが気になっています。グチを言ったり弱音を吐いたり、そういうことを発信できる場はあるので、そこでのびのびと心身を開放して、リフレッシュしてほしいと思います。――サードプレイスは大事です。肩書きとか立場とか関係なく弱音を吐けるところは必要です。そういう意味では、エンタメとしての劇場に、「まぜこぜ一座」の舞台がサードプレイスになりうるんじゃないかと。東:なると思います。劇場にはなかなか来られない方たちも多いので、ライブ配信したり、編集した映像をYouTubeで気軽に見られるようにしたりもしています。『月夜のからくりハウス渋谷の巻』4月2日には、#世界自閉症啓発デー#ブルーコーデをつけて発信をUpload By 発達ナビ編集部――今年の4月2日、ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)も、みんなで楽しんで発信していきたいですね!東:そうですね。まずは、4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デーであると知ってもらうことが大事なので、青いものを見つけてハッシュタグをつけてSNSなどで発信していきましょう。Get in touchからは、#ブルーコーデ#世界自閉症啓発デー#WB_2022をつけて、青い服を着たり、青いアイテムを身につけたりした写真を、ぜひ投稿してほしいという提案をしています。――発達ナビ編集部でも盛り上げていきますね!文/関川香織撮影/鈴木江実子俳優。一般社団法人Get in touch 代表。広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。ドラマから情報番組のコメンテーター、司会、講演、出版など幅広く活躍。プライベートでは骨髄バンクやドイツ平和村、障がい者アート等のボランティアを30年間続けている。2012年10月、アートや音楽、映像、舞台等を通じて、誰も排除しない、誰もが自分らしく生きられる“まぜこぜの社会”を目指す、一般社団法人「Get in touch」を設立し、代表として活動中。自身が企画・インタビュー・プロデュースの記録映画「私はワタシ~over the rainbow~」が順次上映。『東京2020 NIPPONフェスティバル』のひとつとして世界に配信されている「MAZEKOZEアイランドツアー」の総合構成・演出・総指揮を担当。「私はワタシ~over the rainbow~」「MAZEKOZEアイランドツアー」
2022年03月20日癇癪がない?Upload By まる昨年末に自閉スペクトラム症の診断を受けた息子リュウ(3歳)。今までひどい癇癪やパニックがない、おっとり鈍感タイプだ。友人たちにも「リュウちゃんは本当におっとりしてて優しいよね~」とよく言われる。叱っても泣くのを我慢することがあったり、泣いていてもそんなに長時間泣くことはなく親の私でも驚くほど切り替えが早い。人見知りや場所見知りで困ったこともほとんどない。こう言うとすごい楽な子じゃん!と誤解されがちだがそれなりに心配がある。癇癪などで、嫌な気持ちを今の小さいうちに表現したりすることで気持ちの切り替えや伝え方などを学んでいくと聞く。「小さいうちに体験して学んでおかないと、大人になって力が強くなってから思い通りにいかなくて暴れたりするとママの力じゃ抑えられないから今癇癪がある方がいいんだよ」と言われたことがある。息子はすでによく食べるお陰で年齢よりも大きく成長している、親戚中から将来はお相撲さんかな〜⁇と言われるくらい。これで将来手がつけられない癇癪などされたらたまったもんじゃない。息子が診断される前の私の中の自閉スペクトラム症のイメージが「癇癪、こだわりが強い、多動」などがあった。2歳ごろのリュウは癇癪とこだわりがあまりないが多動ではあった。静かに移動するので外で本当にすぐ見失う。私が買い物の棚を見ているほんの一瞬でいなくなるのだ。忍者か。それは保育園でも同じようで公園などでもそろ~っといなくなるらしい。迎えに行ったときに先生から「静かな多動」といわれて笑ってしまった。息子はおっとりタイプの性格…そうなると保育園ではUpload By まる発達障害かもと言われてから初めて支援センターで心理士さんと面談した際、「この子はおとなしいしぼーっとしているタイプの子なので、大人数の保育園などに入れると放置されやすくなるかもしれない。自ら学びを吸収しようと動くタイプでもない、そうなるとこれまで以上に発達が遅くなる危険があるのでちゃんと大人が一緒に関わるようにした方がいい」と言われた。現在通っている保育園は少人数制で先生の人数も多くよく見てもらえ、息子にとても合っていた。母子家庭ということもあり先生方にもすごく気にしてもらっていたので感謝しかない。2歳児までの保育園なので残念ながら3月で卒業だが、来年度からは、新しい保育園に転園するが、そこでは加配保育士(※)をつけていただけることが決まっている。※加配保育士とは:障害の診断を受けた子どもを対象に配置される保育士で、子ども2人につき1人を基準として配置されることが一般的。ついにきたイヤイヤ期(3歳前後)Upload By まるおとなしいと思っていた息子だが、徐々に3歳ごろからイヤイヤで大騒ぎするようになった。バナナを食べると言うのでむいてあげ、黒ずみを見つけたのでそこだけ取ると欠けたバナナが気に入らなくて泣いて投げつけてきたり、パンを食べるときに半分にして渡すと半分にしたことに怒って泣きじゃくったり。お散歩中駅に電車を見にいきたいと道路でひっくりかえって大泣きしたり、スーパーであっちこっち行く息子と買い物ができなくて手をがっちり捕まえると離せと大泣きして転がったり…私も思ったように動けず買いたいものも買えなく、泣きながら帰宅することも多々あった。療育でのイヤイヤもUpload By まる1番大変だったのは2歳9ヶ月ごろ療育に通い出したとき。最初は週1回通っていた(現在週2回)ので慣れるのに時間がかかったせいもあるかもしれない。行くたびにリトミックに参加したくない、教室から出たいと怒って大泣き、なにも参加できず「この療育に通って何の意味があるんだろう」と毎週ぐったりしていた。何ヶ月か過ぎたとき、不機嫌に泣いている息子を見てため息をついていると先生に「癇癪とまではいかないけど、ちゃんと自分の嫌なことは嫌って表現できているから大丈夫よ。それに前より『聞く』ことができていますね。これをお片づけしたらそっちのおもちゃ出そうね、とか聞き分けて自分で納得して動くこともできるようになってきているから!」と言ってもらえて安心したことを覚えている。もうすぐ4歳の息子、最近は…Upload By まるリュウはもうすぐ4歳になる。スーパーや道端で寝っ転がって泣くことやスーパーであっちこっち行くことも、1年ほどの間で少なくなってきた(日によってはある)。お陰で私が泣きながら買い物から帰宅することもなくなったし、療育でもすべてではないが多少参加できるようになってきた。先日療育で絵本の読み聞かせ中に座って居られなくて笑いながら逃げ回っている息子にちょっとイライラしていると先生が「でもさ!リュウちゃん変わったよ!最初のころ思い出してみて!ずっとドアのところで泣いてたんだよ!?」と言われてハッとした。一つできるようになるとできなかったことを忘れてしまう。この記事を書くまでイヤイヤで外で泣いて転がっていたことも忘れていて、うちの子大変なときあったっけ…?と考えていたほどだ。今も大変なことは多いが、少し前を思い出すと成長しているなぁと思える。執筆/まる(監修:井上先生より)癇癪が強いか弱いかというのは、周囲の受け止め方の違いもあったりするので、大きな癇癪がないことに対して過度に気にされる必要はないかと思います。リュウくんはその理由が比較的はっきりしていますね。そのような場合大人も原因が推測できるので、癇癪の代わりになる周囲に伝わる言葉や行動を教えていくチャンスにしていくこともできると思います。ただ、大人の要求水準が高すぎるとバトルになってしまうので、まるさんのように事前に予告をしたり、100%できなくても25%で良しという行動にしたり(25%ルール)、できている部分ややろうとしている部分に注目してそこを少しずつ増やしていけるようにすると良いと思います。まるさんの努力によって、リュウくんも少しずつ自分の感情をコントロールしたり、コミュニケーションに置き換えたりすることができてきたのだと思います。
2022年03月19日