チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (25/342)
“上海の薔薇”と呼ばれた日本人ダンサー・マヌエラ の半生を描いた舞台『マヌエラ』が2023年1月15日(日)から東京・東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)ほかで上演される。時は第二次世界大戦前夜。永末妙子はSKDで将来を期待されながらも、駆け落ちし、生きていくためにダンスホールの踊り子となった。そこで、かつてムーラン・ルージュのスターであったパスコラに見出され、国籍不明の一流スターダンサー“マヌエラ”が誕生する――。1999年に天海祐希の主演で初演された本作が、約24年ぶりに元宝塚歌劇団月組トップの珠城りょうの主演で蘇る。「作品が非常に興味深いなと思いました。もともとストレートプレイに挑戦したいという気持ちがありましたし、この作品はダンス、音楽も入ったエンターテインメントですが、ストレートプレイの要素も大きくあり、いつも拝見しているパルコのプロデュースだったので、その点でもぜひ挑戦したいと思いました」と、本作への出演を決めた理由を話す珠城りょう。自身、宝塚歌劇団在団中からいろいろな演出家の舞台に足を運んできたといい、「宝塚は華やかな夢の世界を一つのエンターテイメントとしてお届けすることに重きを置いていますが、ストレートプレイはリアリズムを追求して、人々の葛藤や醜い部分もリアルに表現されている。お芝居だから“嘘”ではあるのですが、現実のように感じられることが面白い」と魅力を語る。初演ではマヌエラ を天海祐希が演じていたが、珠城は「演出もキャストも変わり、また違う形でやらせていただきます。初演の方々への敬意はしっかり持った上で、自分なりの『マヌエラ』という舞台をつくっていけたら」と気を引き締める。現時点で感じるマヌエラの魅力を尋ねると「自分の意見をしっかり持っていて、それをはっきり言葉で人に伝えることのできる、強い人。悪い見方をすれば、きつい女性に見えがちなのですが、彼女なりに女性としての葛藤があったり、その時代その土地でどう生きていくかを模索していたり。弱さや儚さも感じます」。2022年は珠城にとって「俳優として新しい人生を歩み出した」年。「いろいろな作品などに挑戦させていただきました。特に、自分を応援してくださっている方々に喜んでいただけるものに挑戦できたことが非常に有り難い。自分もとても楽しく、やりがいを感じていました」と振り返る。本作が2023年最初の舞台。「『マヌエラ』というまた新しい挑戦から始まります。自分の新しい一面を模索しながらやっていけたらいいなと思っています」と抱負を語った。脚本は鎌田敏夫、演出は千葉哲也。そのほかの出演は、渡辺大、パックン(パックンマックン)、宮崎秋人、宮川浩ほか。東京公演は1月23日(月)まで。大阪公演は1月28日(土)、29日(日)、森ノ宮ピロティホール。福岡公演は1月31日(火)、北九州芸術劇場大ホール。取材・文:五月女菜穂
2022年10月21日フランス古典劇の代表作家であるジャン・ラシーヌ(1639-1699)の代表作で、浅利慶太が演出を手掛けた舞台『アンドロマック』が2022年10月22日(土)から自由劇場(東京都港区)で開幕する。ラシーヌの代表作である『アンドロマック』は、トロイ戦争後のギリシアで繰り広げられる男女の恋愛劇で、初演は1667年にまで遡る。350年以上も前に書かれたフランス劇ではあるが、登場人物の生き生きとした描写、心理の駆け引き、ドラマチックな筋立てなどは、いつの世にも通じる“現代性”を持つ。躍動的なダンスも、歌い上げるメロディもなく、舞台装置の転換もなく、ただひたすらに言葉を紡ぐ。言葉の一つ一つを正確に表現する、台詞の「朗誦術(ろうしょうじゅつ)」の極みともいえる作品。実際、本作の稽古の様子を見学させてもらっても、1行1行、いや、一言一言の発音に対するノート(※演出家サイドから俳優に対する指摘)の時間があり、俳優たちは正しく発音できるまでその場で何度も繰り返していた。言葉だけで魅せることの難しさと奥深さを感じた。ピラド役の坂本岳大も「朗誦術を駆使して、いかに言葉を届けるか。その戦いの日々です」と稽古の感想を話す。劇団四季や浅利演出事務所の作品にも出演経験がある坂本だが「初めての人よりは先発している分、メソッドを知っているかもしれませんが、知っているのとできるのは別なので......」と謙虚。「みんなで一歩一歩稽古をしています」と話す。ピリュス役の阪本篤は「初めてこの本を読んだときは、難しいと感じましたし、それなりに時間がかかりました。でも、これほどまで喋ってしまう熱量も感じて。自分の気持ちを純粋に相手に告げようとするエネルギーは見どころの一つだと思います」と本作の見どころを語る。観客へのメッセージとして坂本は「コロナ禍で配信作品も増えましたが、生はやっぱり特別なので、ぜひ劇場に来ていただきたいです。そして、すごくエネルギーがある作品なので、その圧を感じていただけたら」と話し、阪本は「本作は1日で起きる話。悲劇ですが、僕はこういう芝居を見たら結構元気もらえるかもしれないです。肩肘張って見るような芝居でもないと思うので、楽しんでいただければと思います。頑張ります」。公演は10月29日(土)まで。取材・文:五月女菜穂
2022年10月21日11月7日(月)、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催される『iCON DOLL LOUNGE 2022 ~Autumn Special Collection~』。個性あふれるアイドルの共演が決定した。『iCON DOLL LOUNGE 2022』 Autumn Special Collectionチケット情報出演は、まねきケチャ、わーすた、#ババババンビ、#よーよーよー、situasion、Ringwanderung、タイトル未定、FRUITS ZIPPER、メルクマールメルマール、美味しい曖昧、THE ORCHESTRA TOKYO、Mirror,Mirror、さとりモンスターの13組。チケットは、一般発売に先駆け、10月26日(水)23:59までオフィシャルHP先行(先着)実施中。
2022年10月20日2022年4月より本格始動したチケットぴあ主催の若手バンドを応援するライブハウス企画「Grasshopper supported by チケットぴあ」。8回目を迎える「Grasshopper vol.8」は、12月12日(月)に下北沢DaisyBarで開催することが決定した。今回の出演バンドは「The Gentle Flower.」、「マリースメック」、「輪廻」、「あるゆえ」の4組。チケットは、10月19日(水)21:00よりチケットぴあにて販売開始となる。The Gentle Flower.は質の高いパフォーマンスが魅力で着実にファンを増やし、マリースメックと輪廻は今年8月に、あるゆえは10月にそれぞれ1stミニ・アルバムをリリースして注目を集めている。そんな勢いを増す4組のライブをぜひ「Grasshopper vol.8」で体感してほしい。■「Grasshopper vol.8」チケット情報■「Grasshopper supported by チケットぴあ」イベントサイト
2022年10月19日10月15日、東京芸術劇場 プレイハウスにて、森山未來と脳科学者の中野信子、イスラエル出身の振付家・ダンサー、エラ・ホチルドの共同制作による新作パフォーマンス『FORMULA』が開幕した。ダンサー、表現者として次々と新たなチャレンジにのぞむ森山が、中野の科学者としての膨大な知識とそれに基づく視点に刺激を受けて実現に至った、異色のコラボレーションだ。初日前日に実施されたゲネプロでは、舞台上のパフォーマンスのほか、劇場ホワイエにしつらえられたインスタレーションや映像作品も公開、「没入型アートコンプレックス」としての独自の世界観を打ち出した。客席に入ると、通路脇に建てられたいくつもの杭が視界に。舞台上の、木造住宅を想起させる装置がまるで客席にまでなだれ込んできたかのようだ。セノグラフィーを手掛けたのは川俣正。また衣裳の廣川玉枝、サウンドスケープの原摩利彦、グラフィックデザインの岡﨑真理子と、国際的に活躍するアーティストたちが集結した舞台だ。印象的な場面はいくつもある。川俣の舞台装置の延長ともいえる梯子や建具の断片らしきものを手にしたダンサーたちが紡ぐのは、jひとつつの家族を思わせる風景。森山の日常的なつぶやきのようなセリフから展開するシーンには、とても他人事とは思えない切実な思いが潜む。身近な人の死を思わせる場面は、誰もがいつかは経験する局面に真摯に向き合うダンサーたちの姿が、深く心に突き刺さる。クリエーションを振り返った中野は、「心理学、臨床心理学では、死を考えるということは、“生きたいから”だと解釈する。死にたいと口にするのは、いま生きている状態がすごくいやだというメッセージ──もっと良く生きたいという意味。未來くんはそこをもっと描いてもいいのではと思っていたが、それは実現できたのではないか」とコメント。東京、大阪公演では中野の作品である脳波測定体験アートが付いたチケットも発売され、話題に。プロジェクトの核となる森山も、「信子さんとの出会い、さまざまなアーティストとの出会いの中で見えてきたものがある。人間が人間たらしめるものとは何なのか──。人と人とが繋がっていくこと、関わっていくことが、その良し悪しは関係なく、僕ら人間に宿命づけられているもの。それによって僕らは生きていくのだということを、この1年近くのプロセスの中で感じてきました」と語った。さらに、ダンス作品としての強度を実現したのは、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック・ダンスカンパニー、バットシェバ舞踊団で活躍したダンサー、振付家、エラ・ホチルドだ。「誰もが共感できるようなストーリーです。作品を通して、自分自身を見るような気持ちになってもらえたら」と胸の内を明かした。さまざまな才能が集う独創的なプロジェクトだ。それを可能にした森山の創造力と、多くの才能を巻き込む求心力が、鮮やかな印象を放った。東京芸術劇場プレイハウスでの東京公演は10月23日(日)まで。その後、仙台、福岡、大阪、名古屋、高知での公演が予定されている。ライター:加藤智子
2022年10月19日今年で40回目を迎える『サントリー1万人の第九』が、3年ぶりに2000人の合唱団を大阪城ホールに迎えて開催される。『サントリー1万人の第九』チケット情報ゲストは、アーティスト活動歴40周年、「東京2020パラリンピック」開会式にて『TSUBASA』『HIKARI』の2曲を制作・出演したギタリストの布袋寅泰。そして、別名“かてぃん”(Cateen)としても活動し、昨年ワルシャワで開催された「ショパン国際ピアノ・コンクール」にも出演した人気ピアニスト・角野隼斗。40回目の記念公演にふさわしい豪華ゲストが参加する。チケットは、11月3日(木・祝)23:59まで先行先着プリセール実施中。
2022年10月18日11月30日(水)に8枚目となるオリジナルアルバム「虹色∞オクターブ」(ヨミ:にじいろオクターブ)の発売が決定したばかりのナオト・インティライミが、チャンネル登録者数370万人以上を誇り、今若者に大人気の新世代YouTuberコムドットの動画に出演した。コムドットのリーダーやまとと、ナオトが同じ高校出身ということもあり今回の出演が決定した。やまと、ひゅうが以外のメンバーはナオトが来ることを知らされておらず、サプライズでの登場となった。コムドットを代表するYouTube人気企画「サビ早歌いドライブ」にナオトは挑戦。ひゅうがが曲のタイトルを言い、その曲のサビを誰が一番早く歌えるか競うゲームで、YouTube内で人気を博している。果たして誰が優勝したのかは、是非動画をチェックして欲しい。ナオト・インティライミはニューアルバム「虹色∞オクターブ」(ヨミ:にじいろオクターブ)をひっさげ、12月3日(土)・4日(日)には6年ぶりとなるアリーナ公演「ナオト・インティライミ@ぴあアリーナMM ティライミワールド カップ2022~絶対に見逃せないLIVEがそこにはある~」を開催する。【コムドットYouTubeチャンネル】
2022年10月18日ナオト・インティライミの8枚目となるオリジナルアルバム「虹色∞オクターブ」(ヨミ:にじいろオクターブ)の発売が11月30日(水)に決定した。10周年イヤーを走り抜け新たなステージへ向かうナオトの、実に4年ぶりとなる今作は、「まんげつの夜」 「オモワクドオリ」「たいせつな」「Tokyo Summer」などのオリジナルアルバム未収録曲をはじめ、BS-TBS「帰らないおじさん」主題歌の「何度だってLalala」、TBSテレビ「まるっと!サタデー」テーマソング「You Make My Day」、80’sテイストの新境地ナンバー「Rule」ほか全13曲を収録した、まさにマスターピースと呼ぶにふさわしい1枚が完成した。ファンクラブ盤には、この春に行われたライブツアー「全国LIVEキャラバン2022-春-!ホップ・ステップ・スプリング!みんな引き連れ、おまっとぅり!!」のツアーファイナル公演をフルサイズで収録したBlu-rayも付属する。予約受付中で、10月26日(水)23:59までの第一回受付期間の予約者を対象に、アルバム先行試聴会の開催も決定したので是非チェックして欲しい。ナオト・インティライミはこのニューアルバムをひっさげ、12月3日(土)・4日(日)には6年ぶりとなるアリーナ公演「ナオト・インティライミ@ぴあアリーナMM ティライミワールド カップ2022~絶対に見逃せないLIVEがそこにはある~」を開催する。
2022年10月18日俳優の大倉孝二と、脚本家で演出家のブルー&スカイによるユニット「ジョンソン&ジャクソン」が、4年ぶり4度目となる新作『どうやらビターソウル』の上演を決定。そこで大倉とブルーに話を訊いた。実は彼ら、2年前にもイベントを企画。しかしコロナ禍の影響で中止に追い込まれていた。それだけに待望の上演かと思いきや、大倉から発せられたのは「いざやる時になるといつも嫌になっちゃうんです(笑)」という意外なひと言。「苦労を思い出すんだよね」とブルーが返すと、「俺の憂鬱さはあなたが書かないからだからね!」と大倉が反論。「だって共作じゃない?」とブルーが言うや否や、「それ勝手に決めたのあなただから!」と大倉。こんなやり取りが数分続いたが、それもジョンソン&ジャクソンらしさだと思えば微笑ましくもある。なんだかんだと彼らがユニットを続ける理由は、大倉の「ブルー&スカイという作家の作品に出たい」という願望と、「くだらないことがやりたい」というふたり共通の想いから。大倉は「だから僕ら、やりたいストーリーがあるとか、描きたいものがあるとか、そんなものは皆無なわけです。今回も一本のストーリーものではありますが、くだらないことをやるためにストーリーを考えるという、それこそ意味のないことをやっていて。だから苦しいんですよね」と笑う。「ただ今までよりちょっと大人っぽくしたいとは思っていて」とブルーが言うように、ゲストには「猫のホテル」の佐藤真弓、「はえぎわ」のノゾエ征爾、渡辺真起子という、40~50代の巧者が名を連ねる。中でも異色なのは、やはり渡辺の起用。「ずっと素敵な俳優さんだなと思っていたんです。でもまさか出てくれるわけがないし、ダメ元で聞いてもらったら、すぐ出てくれると返事をいただいて、逆にどうしようと焦っています」と大倉が苦笑いを浮かべると、ブルーも「プレッシャーが……」と言葉を詰まらせる。だが「でも渡辺さんみたいな方がくだらない芝居をやるからこそ、そのギャップの大きさが、笑いに繋がると思います」と自信も覗かせた。終始大倉からブルーへのツッコミは続いたが、大倉が誰よりもブルーのファンであることは、彼のこの言葉からも明白。「こんな稀有な作家がいることを、やっぱりもっとみんなに知って欲しいんですよね。それがジョンソン&ジャクソンを続けている、大きな動機のひとつなので。まぁナンセンスしか書けないですけど(笑)」。取材・文:野上瑠美子
2022年10月17日クラウス・マケラは魔法をかける。オーケストラが嬉々としてクリアに鳴り響く。音の鳴りが尋常ではない。あらゆる音がひらかれている。輝かしく精彩を放ち、すみずみまで細胞が目覚めるように、生き生きと湧き立ってくる。酵素が効いたみたいに。誇り高きパリ管の自由な面々が、マケラとの音楽づくりを生き生きと楽しみ、一心に音を出している。なんとも心地よさそうだ。マケラが抽き出す息づかいが、終始伸びやかで自然だからだろう。しなやかに明敏な指揮で、細かな工夫も克明に凝らすが、決して全体の呼吸を傷つけることなく、全曲を通じての大きな流れをエレガントに保っていく。だから、オーケストラの最上の音が優美に出てくる。適切な緊張を湛え、しかし余計な負荷はないから、あらゆる響きが汚れたり濁ったりせず、流麗に息づく。自分たちが美しい時間を創り出している、という誇りがオーケストラの面々に自ずと充ち満ちている。高精度のレンズで率直に作品をみるように、マケラは明瞭な像を鋭敏に描き出す。明けていく《海》から光彩と歓喜に溢れ、明快な響きが満ちてくる。とくに《ボレロ》が精妙で、胸のすく快演だった。管の名手のソロも優美でそれぞれに巧いだけでなく、素晴らしい節度をもって全体に奉仕するのが絶妙だ。弦の響きも輝かしく満ちて、ピチカートでリズムを刻むときも音を出す喜びに弾けている。《春の祭典》は鮮烈な生命を敏捷に躍動させ、光の舞踊と化す。しかし、それはまだ若く眩い焔なのである。いま26歳のスターは、名門の新たな希望だ。初共演が2019年で、音楽監督として2年目のシーズンをこの9月で幕開けしたばかり。今回の日本公演は言ってみれば、待ち焦がれたハネムーンのようなものだろう。つき合いはじめの季節だからこそのわくわくやドキドキ、新鮮な期待や予感がまざまざと伝わってきた。相思相愛の関係はいつだって熱く旬なのかもしれないが、特別ないまは、やはりいましかない。いま生で体験するほかない。日本を旅してコンサートを重ねるさなかにも、彼らの蜜月はみるみる幸福度を高めていくだろう。そして、クラウス・マケラが魔法をかけるのは奏者だけではなく、その場に立ち会う聴き手のまっさらな心すべてなのである。(青澤隆明(音楽評論))
2022年10月17日演劇プロデュースユニット・城山羊の会を 率いる山内ケンジが、新作『温暖化の秋 -hot autumn-』でKAAT神奈川芸術劇場に初登場する。その山内が、キャストの橋本淳と一緒に稽古前のタイミングでインタビューに応じた。人間の本能や欲望を、絶妙なユーモアを交えて活写する艶っぽい会話劇が定評を得ている山内。今回は、橋本以外のキャストに趣里、岡部たかし、岩谷健司、東野絢香、笠島智、じろう(シソンヌ)が名を連ね、婚約した男に対する女の、疑惑と追及の物語が繰り広げられる。岸田國士戯曲賞を獲得した『トロワグロ』(2014年)、『相談者たち』(2017年)と過去の城山羊の会作品で存在感を発揮した橋本は、山内が手がける戯曲の魅力を「登場人物のボソボソした会話の応酬に潜む毒っ気やエロ、ユーモアが淡い感じのグラデーションでほのかに滲んでいる様がとても好きで、魅力的だと思っています」と語り、城山羊の会を定期的に観劇している長いファン歴を明かした。そんな橋本とオーディションで出会った山内は、「設定がハッキリした役も、何の特徴もない普通の青年も、どちらも上手に演じてくれます」と橋本を褒め称える。その言葉に笑顔を見せた橋本は、本作の稽古を前に「登場人物それぞれの内情や関係性といった微妙な塩梅をすべて内包しているようなニュアンスたっぷりのセリフを何度も返して積み重ねることによって、山内さんの生み出す劇世界に貢献したい」と意気込んだ。観客だけでなく、演劇人にも愛されるセリフや笑いの源泉はどこにあるのか──。そう山内に尋ねると、「放り投げるように唐突に終わるラストが“落語”っぽいと言われます」とコメント。また「箱書き(プロット)を考えずに書かれている落語は、僕の創作と似ているかもしれませんね」と続き、「“そこまで言わなくても”的な過剰なセリフや、受け取る相手が誤解するような言い回しを、わざと散りばめるんです。そういう会話の齟齬を数パターン検証してから書き進めるので、つまらない内容が続いた途端に筆が進まなくなる」と苦笑した。試行錯誤の結晶のような山内の台本は、日ごと数ページずつキャストの元に届くという。本作もすでに10数ページが渡されたそうで、橋本は「本当におもしろくて、深夜に一人クスクス笑いながら拝読しました」と山内に感想を述べた。そして「セリフのおもしろさを“伝わるように”発する難しさ、苦しさ、大変さの向こう側におもしろい世界が待ち受けているので、稽古を重ねて早くその境地へたどり着けたら」と語り、インタビューを結んだ。公演は11月13日(日)~27日(日)に、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて。11月23日(水・祝)、25日(金)にて追加公演も決定。追加公演のチケット発売は10月23日(日)10:00より。取材・文:岡山朋代
2022年10月17日5月の『葵祭』、7月の『祇園祭』に続く、京都の三大祭のひとつ『時代祭』が10月22日(土)に開催される(雨天の場合23日に順延)。平安遷都1100年を記念して明治28年(1895年)に始まった平安神宮の大祭で、明治維新時代から平安京の造営された延暦時代までをさかのぼって文物風俗を再現する市民参加の祭だ。時代祭チケット情報見どころは、それぞれの時代のスタイルに扮した約2000人の市民が京都のまちを練り歩く、雅やかな時代風俗行列。維新勤王隊から始まり、徳川城使上洛列、織田公上洛列、室町洛中風俗列、藤原公卿参朝列など1000年の時代を絵巻物を開いていくようにさかのぼり、約2時間で見ることができる。坂本龍馬・西郷隆盛・織田信長・巴御前・吉野太夫・紫式部などの歴史上の偉人に扮した市民が豪華な装束で馬や牛車に乗って次々に通っていくのは壮観だ。この行列をゆっくりと楽しむことができる有料観覧席が、京都御苑、御池通、平安神宮道に設置される。「行列が間近で見られる」「隣との距離が確保できて安心・安全」「ゆっくりと座って鑑賞できる」「伝統行事の保存・継承に役立てられる」というメリットに加え、「時代祭パンフレット」と「オリジナル手提げ袋」が付いてくる。また、チケットぴあのみで販売されているまなび席は、京都観光に精通する株式会社らくたびの講師によるイヤホン生解説付き。チケットは発売中。
2022年10月14日今月の芸術祭十月大歌舞伎の第二部は『祇園恋づくし』で幕を開ける。幕開きは京都の茶道具屋大津屋の店先。朝顔に蚊遣りが置かれ、祇園祭の時期の蒸し暑さが漂ってくる。祭り見物のために江戸から逗留している指物師の留五郎は、ここ大津屋の主人次郎八ゆかりの人の息子。ねっちりした物言いの大津屋の人々と、留五郎のべらんめえな物言いの対比が面白くて、上方の和事と江戸の世話物を交互に観ているようだ。そして次郎八の妻おつぎは、夫が浮気しているのではと疑っており、客人の留五郎に詮議を頼むのだが・・・。コンコンチキチと祇園囃子が聴こえる中、鴨川の床で、次郎八と留五郎の京と江戸のお国自慢が繰り広げられる場面が楽しい。神田の祭、上野の桜、両国の花火、江戸紫の助六、と留五郎が江戸自慢すると、次郎八も京や奈良、近江八景の名所旧跡を並べたて、次第にエスカレートしていく。また、おつぎや染香はもちろん、お筆、おげん、おその、大津屋の女中たちに至るまで、この狂言に登場する京女たちの誰もが、それぞれイケずなのも面白い。次郎八とおつぎの二役を中村鴈治郎が、留五郎と染香の二役を松本幸四郎が勤める。鴈治郎のおつぎは扇子で仰ぐ姿が色っぽく、「似たもの夫婦」という台詞に「そりゃそうだ!」とばかりに客席が沸く。また幸四郎は、肌色の顔の留五郎から手足まで白く塗った芸者に、なんと劇中二度も替わる。いったいどんなスピードで化粧を落とし、また塗り替え着替えているのだろう。染香が出るたび、いわゆる早替りの時とはまた違う驚きの声が客席に広がった。落語の『祇園会』を題材に作られた一幕だが、この演出は歌舞伎ならでは。二幕目は松羽目物の『釣女』。ユーモラスな舞踊劇だ。西宮の戎神社に「妻を娶りたい」という願掛けにやってきた大名と太郎冠者。さっそくご利益があり、大名は釣り竿で美しい上臈を吊り上げる。太郎冠者も後に続こうとするがそううまくはいかず・・・。太郎冠者に尾上松緑、太郎冠者が釣り上げた醜女に幸四郎。歌舞伎にはいわゆる三枚目系の女の役がよく出てくる。この『釣女』の醜女、『伊勢音頭恋寝刃』のお鹿、『紅葉狩』の腰元岩橋、三枚目ではないが『身替座禅』の玉の井などなど。いったん惚れたら一筋、どこかピュアな役どころばかりだ。これらの役では紅白三段の前挿しを頭にすることが多いのだが、そんな性根のためか、この愛らしい挿し物が本当によく似合う。『祇園恋づくし』と『釣女』、マスク着用とはいえ、思いきり笑って発散できる狂言立てとなった。10月27日(木)まで。
2022年10月14日安田章大の主演舞台「閃光ばなし」が10/8(土)池袋・東京建物 Brillia HALLにて開幕した。劇作家・演出家の福原充則と安田がタッグを組み、1作目「俺節」(2017年)、2作目「忘れてもらえないの歌」(2019年)では、昭和の市井の人々がたくましく生きる姿をあぶり出してきた。「閃光ばなし」はその3作目となる。開幕に先駆けて行われた囲み取材には、安田章大、黒木華、片桐仁、佐藤B作が登場。9/26(月)〜の京都公演を終えての東京公演開幕に、安田章大は「京都を無事に終えられたことが奇跡だね、ってみんなで話していました。このご時世、日本ではまだまだエンターテインメントが『第一』とは言えない環境下にある。『日本のエンターテインメント大事だよね』と言われるように、想いを込めて今回ステージに立っています」と答えた。今回、福原組初参加となる黒木華も「演出の福原さんも『観に来てくださる方に力を与えられるような舞台にしたい』とおっしゃっていて、東京公演でも皆さんの力になれるように駆け抜けていきたいと思っています」とコメント。今回、黒木と夫婦役を演じる片桐仁は「京都公演を観ていただいた方たちの評判がすごく良いんですよ!初めて舞台を観に来た人でも楽しんでいただける舞台。生の良さを知ってもらいたいです」と話し、佐藤B作は「昭和を題材にしたアツい舞台。若い役者に気持ちだけでも負けないように取り組みたいと思ってます」と意気込みを語った。終戦から18年を迎えた高度成長期の昭和を舞台に、自転車屋を営む佐竹是政(安田)と、妹の政子(黒木)が、エンジンをつけた改造自転車でバイクタクシー会社を起こし、無鉄砲ながらも街の権力者に立ち向かう姿を描く。冒頭からラストまで、昭和を閃光のように駆け抜けるキャストのエネルギーと時代のパワーに巻き込まれていく物語。東京公演は10/30(日)まで開催。舞台『閃光ばなし』<脚本・演出>福原充則<出演>安田章大/黒木 華/片桐 仁 桑原裕子安藤 聖小林けんいちみのすけ/佐藤B作稲葉俊一今國雅彦加瀬澤拓未久保貫太郎熊野晋也後東ようこ高山のえみ竹口龍茶畑中 実葉丸あすか石崎竜史菊池夏野田原靖子永滝元太郎長谷川仁愛福山健介古木将也松永健資松本一歩優妃東京公演:10/8(土)~30(日)東京建物Brillia HALL
2022年10月13日世界に誇るサーカス・エンターテインメント「シルク・ドゥ・ソレイユ」が、2023年2月、およそ5年ぶりに日本に上陸する。彼らの代表作「アレグリア」が、さらにパワーアップして帰ってくるという。東京公演の幕開けを前に、10月11日、フジテレビで記者発表会が行われ、アーティスティックディレクターを務めるマイケル・G・スミスがあいさつを行った。新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックの後、シルク・ドゥ・ソレイユにとってもつらい日々が続いた。しかし、アーティストたちは日々のトレーニングを欠かすことなく、公演の再開に向けて準備をし続けてきたのだという。パワーアップした「アレグリア」について、スミスは次のように語った。「アレグリアは、スペイン語でジョイ(歓喜、喜び)という意味です。パンデミックを経験し、人々がいま何を求めているのかを再考したとき、やはり世界にジョイを届けたい。そう思い、メイクや衣装も一新してアレグリアをリスタートすることにしました。アーティストたちは、お客さんにより近くなり、会場が一体となります。完全に生まれ変わった私たちの「アレグリア-新たなる光-」。アーティストからのジョイを受け取り、ぜひ楽しんでいただきたいと思います」また、日本公演の豪華なサポーターも登場。モデルでありタレントのアンミカ、女優の伊藤沙莉、キャスターの小倉智昭、お笑いのサンドウィッチマン(伊達みきお、冨澤たけし)、チョコレートプラネット(長田庄平、松尾駿)、AKB48の本田仁美が登壇し、シルク・ドゥ・ソレイユ愛を熱弁。なかでも、最も長くサポーターを務める小倉は、アーティストのたゆまぬ努力やコロナ禍での苦労をねぎらい、「シンガー、ミュージシャンを含め、パフォーマンスする人全体をぜひ見てほしい。シルク・ドゥ・ソレイユには柱がないため、いろんな角度から見てみてほしいですね」と話し、5回は足を運んでほしいとアピールした。記者発表では、今回の演目のなかから「ハンド・バランシング&コントーション」「ハンド・トゥ・ハンド」、そしてアレグリアのテーマ曲の歌唱が披露された。パフォーマンスはどちらも人間業とは思えぬ圧倒的な身体能力と訓練の賜物。シンガーによる美声は、会場を大きく震わせる。その演技と音楽が融合し、シルク・ドゥ・ソレイユの世界観が完成するのだ。進化を遂げて、ついに帰ってきた「アレグリア」。来年の公演に向け、大きく期待が高まる。シルク・ドゥ・ソレイユ「ダイハツ アレグリア-新たなる光-」東京公演会場:お台場ビッグトップ(2023年2月8日~6月4日)※大阪公演7月14日開幕決定!取材・文/飯塚さき
2022年10月12日2023年2月4日(土)、2月5日(日)名古屋市栄、新栄、大須地区15会場以上で開催される冬のサーキットフェスRAD CREATION & RAD ENTERTAINMENT presents "でらロックフェスティバル 2023の第一弾アーティストが発表された。amanojac / anewhite / FaM / かずき山盛り / クジラ夜の街 / シュレーディンガーの犬(BAND SET) / シンガーズハイ / シンデレラ宣言! 誰もシラナイ。/ 南無阿部陀仏 / ねぐせ。/ バウンダリー / モノクローン / ルサンチマンの14組。第一弾の発表では次世代ロックシーンに台頭するアーティストが多く発表された。でらロックフェスティバルは地元名古屋栄、新栄、大須地区にて開催 してきたサーキットフェスティバルである。Withコロナの時代に寄り添う形で2020年以降は感染対策やキャパ制限を行った中でも積極的に開催し、名古屋冬の大型サーキットフェスティバルとして音楽シーンを盛り上げ続けてきた。第一弾発表先行チケットはチケットぴあにて受付中。今後も発表されるでらロックフェスティバル 2023の 情報を是非チェックしてみよう。
2022年10月12日cinema staffが日比谷野外音楽堂ワンマン公演のステージにて、新曲『flugel』のリリース、ワンマンライブ「two strike to(2) night ~捲土重来の三茶編~」&主催フェス「OOPARTS 2023」の開催を発表した。cinema staffチケット情報5年を経て再び戻ってきた日比谷野音。この日アンコールで披露された新曲『flugel』が、10月12日(水)デジタルリリースされる。ライブでその熱を目撃したリスナーには待ちきれないリリースとなる。また、同時に発表された人見記念講堂でのワンマンは、2020年に同会場にて予定されていた「two strike to(2) night ~覚醒の三茶編~」の延期、振替公演も改装のため、別会場での開催となった経緯があり、ファンだけでなくメンバーにとっても待望の公演となる。10月23日(日)23:59までオフィシャルHP先行(抽選)を受付中。先行特典として「two strike to(2) night ~回天の渋谷編~ at LINE CUBE SHIBUYA」LIVE DVD+「two strike to(2) night ~捲土重来の三茶編~」ステッカー付きとなっている。「OOPARTS」は2013年よりメンバーの地元・岐阜にて開催している主催フェス。毎年cinema staffならではのラインアップも注目され、年々規模を拡大していっている中、今回は10周年ということもあり、期待が高まっている。来年にはデビュー15周年を迎えるcinema staff。彼らがどんな進化をし続けていくのか、今後の動向から目が離せない。
2022年10月11日大阪市と文楽協会が主催し、文楽の新たなファン獲得のため中之島中央公会堂で開催している『中之島文楽』。一昨年は公演中止、昨年は人数制限で上演、3年ぶりに元の規模で開催する8回目の今回、文楽初心者に向けての取り組みを練り直した。ひとつの公演で、文楽で代表的なふたつの「道行(みちゆき)」を同じ演者がやるという、本公演では観られない特別プログラムだ。三角関係の恋のバトルを展開する『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の「道行恋の苧環(みちゆきこいのおだまき)」と、切ない愛の逃避行を描く『曽根崎心中』の「天神森(てんじんのもり)の段」。この「道行」2本同時上演の2日間に挑む技芸員たち、太夫・竹本織太夫、三味線・鶴澤燕三(えんざ)、人形遣い・吉田玉男と吉田一輔(いちすけ)が記者会見を行い、「道行」の魅力や企画公演への意気込みを語った。中之島文楽 チケット情報大河ドラマのような“時代物”の芝居で、全編で10時間超という長編大作の『妹背山』。その中で「道行」は約30分だ。また、トレンディドラマ風な“世話物”の代表格『曽根崎』は2時間半の芝居で、「道行」は25分。前後の物語を知らない観客のために、公演の冒頭に映像を用いて人物相関図や物語を解説、パンフレットにも掲載する。また、公演中は舞台上部に字幕スーパーも設置。4人が初心者に向けて「道行」を語った。「旋律の美しさ、三味線の手数のきれいさ、よどみのない太夫の美声を聴いていただけたら」(燕三)、「人形は、わかりやすいように少し大きめの振りでやろうかなと」(玉男※出演は『曽根崎心中』のみ)。「きれいだし、『妹背山』は人形3体で踊るので華やかです」(一輔)、「“時代物”の三大道行のひとつ『妹背山』の「道行」と、“世話物”のザ・道行を1800円で2度おいしいです(笑)」(織太夫)。2演目の間にはトークコーナーがあり、ゲストの作家・大島真寿美が技芸員と「道行」の魅力を語る。初日は話慣れている織太夫と燕三、2日目は「しゃべらなくていいから人形遣いになった」と言う一輔が「玉男兄さんも私も話すことが得意でないふたりでトークします(笑)」。当日ロビーには、開演の少し前までToday’s Cast的に人形を展示、記念撮影できる。また、今回からSNSで広報を開始、技芸員のコメント動画を毎日発信中だ。ポップなしおりはSNSで問い合わせが多く、来場者全員にプレゼントされることになった。「この公演をきっかけに文楽に興味を持ってもらい、ひとりでも多くの人たちが国立文楽劇場に来ていただければうれしい」と全員が願い、「全力を尽くす」と声をそろえた。公演は10月14日(金)・15日(土)、大阪市中央公会堂大集会室にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2022年10月11日現代演劇を代表する作家トム・ストッパードの最新作『レオポルトシュタット』が新国立劇場にて日本で初めて上演される。9月下旬に稽古の様子が公開された。ストッパードが「最後の作品になるかもしれない」と語り2020年1月のロンドン初演前から大きな話題を呼んだ本作は、ストッパード自身の家族の歴史をモデルに、オーストリア・ウィーンに住むあるユダヤ人の一族が激動の20世紀前半を生きる姿を描き出す。これまでも数々のストッパード作品に携わってきた小川絵梨子が演出を務める。1899年の12月から1955年までおよそ半世紀の時間が全五幕で4世代の家族を通じて描かれる本作。シオニズム運動(ユダヤ教、ユダヤ文化の復興、ユダヤ人国家建設を目指す運動)の勃興、第一次世界大戦後の混乱やナチスの台頭、そしてホロコーストの悲劇といった激動の歴史が登場人物たちのセリフを通して語られる。この日、稽古が行われたのは第三幕と最終の第五幕。第三幕の舞台は、第一次世界大戦の敗戦(1919年)から数年を経た1924年。かつての帝国の見る影もなく、敗戦国の苦しみで国民の不満が高まる中で“反ユダヤ主義”の影が忍び寄る…。本作の主人公であり、一族の中心人物であるヘルマンを演じるのは浜中文一。ヘルマンは第一幕(1899年)から第四幕(1938年)まで登場し、浜中はそれぞれの幕で異なる年齢のヘルマンを演じており、この第三幕では60代という設定。一族、そして会社のトップとして舵取りを行なうが、時代の不穏な空気を感じ、一族と祖国の行く末を案じている。演出の小川からは俳優陣に「明日、明後日がどうなるかわからない空気、時代の岐路に立っているという緊張感をお腹の中に持ってください」と指示が飛ぶ。そして、最終の第五幕の舞台は戦後の1955年。第一幕から第四幕までの登場人物の多さ(=一家の繁栄)とは打って変わって、大戦とホロコーストという地獄を生き延びたわずか3名の会話で物語が進んでいくところに、凄惨な歴史がうかがえる。命からがらガス室行きを免れたナータン(田中亨)、アメリカに暮らすローザ(瀬戸カトリーヌ)、イギリス人としてユダヤのルーツを知らずに生きてきた若きレオ(八頭司悠友)と、同じ一族とはいえ、全く違った人生を歩み、ユダヤ人としてのアイデンティティも抱える心の傷の大きさも異なる3人。彼らが断絶を超えて、か細いながらも“家族”の繋がりを見出していくさまが描かれるのがこの最終章である。差別と迫害の歴史の中で怒り、哀しみ、絶望を抱え、それでもなお連綿と命を繋いでいく家族の姿はいまの時代を生きる我々に何を訴えかけるのか? 完成を楽しみに待ちたい。「レオポルトシュタット」は10月14日(金)新国立劇場中劇場にて開幕。取材・文:黒豆直樹
2022年10月11日圧倒的なグルーブ感、ドラムボーカル・4ピースという個性的な編成から繰り出される圧巻のライブ・パフォーマンスと、洋邦の垣根を超えたサウンドでロック・シーンに唯一無二の存在感を放ち続ける8otto(オットー)。8ottoチケット情報2017年のアルバム『Dawn On』から5年、「Ganges-Fox」の別アレンジや、ライブなどでは新曲を披露していた彼らが、遂に新曲をドロップ!『FUZIN ⚡︎ RAIZIN』と名付けられたこの曲は、!!!やAC/DCなどの空気感を感じさせ、今までの8ottoテイストはもちろん、今までにない8ottoも感じ取れる“今の8otto”が詰まった楽曲に仕上がっている。マエノソノがふと見かけた風神・雷神をモチーフに、メンバーのアイデアが結集して仕上がったという新曲。サウンドプロデュース&ミックスにクメユウスケ(NOKIES!/Special Favorite Music/Barbara)を迎え、楽曲に新たな風が吹き込まれた。レコーディング過程では風神パート、雷神パートなるものも現れ、ギターのレコーディング時には、アンプから煙が出るという、まさに雷神が降臨するようなハプニングも。5年ぶりの新曲に寄せ、メンバー&マネージャーによる気合あふれる長文セルフ・ライナーノーツもoidのオフィシャルサイトに掲載されるので、ぜひ曲と合わせて読んでほしい。また、1月には東名阪でリリースツアー「8otto「FUZIN ⚡︎ RAIZIN」Release Tour 2023 ~疾風迅雷-like a lightning storm~」を開催することも決定。チケットは、10月16日(日)23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。8ottoの今をぜひ、会場で体感して欲しい。
2022年10月11日2022年4月より本格始動したチケットぴあ主催の若手バンドを応援するライブハウス企画「Grasshopper supported by チケットぴあ」。9月に開催した「Grasshopper vol.5」はイベント初のSOLD OUTを記録するなど盛り上がりを見せる中、11月28日(月)に「Grasshopper vol.7」を開催することが決定した!今回は下北沢CLUB Queでの開催となり、「アカネサス」と「chef’s」の2組の出演も決定。チケットは現在、チケットぴあで発売中。高知県四万十発の3ピースバンド、アカネサスはリアルで等身大な想いを綴った歌詞と力強い歌声、熱いライブパフォーマンスが注目を集めている。一方、「おいしいおんがく」をコンセプトに活動するchef’sは、ジャンルにとらわれない演奏とその楽曲の世界観を表現するアヤナ(Gt/Vo)の歌声がファンを魅了し話題を呼んでいる。今後さらに活躍の場を広げていくであろうこの2組の今のライブを、この機会に見てほしい。※出演バンドは今後追加になる可能性あり。■「Grasshopper vol.7」チケット情報■「Grasshopper supported by チケットぴあ」イベントサイト
2022年10月11日大阪・堺出身のTHE→CHINA WIFE MOTORSとGOOD4NOTHINGが「地元に恩返しをしたい!」という強い想いで2013年3月にスタートした、堺発ロックフェス『SAKAI MEETING』。今年はイベント発足10周年を記念して、12月3日(土)・4日(日)に始まりの場所、泉ヶ丘ビッグ・アイにて、初めての2DAYS開催となる。「SAKAI MEETING 2022 10th ANNIVERSARY」 チケット情報このたび日割りが発表された。3日(土)に、a flood of circle、BURL、BUZZ THE BEARS、Dizzy Sunfist、dustbox、EGG BRAIN、HAWAIIAN6、Hump Back、Left、locofrank、POT、SABOTEN、SECRET 7 LINE、SIX LOUNGE、SKA FREAKS、ハルカミライ。4日(日)にENTH、FULLSCRATCH、GARLIC BOYS、HEY-SMITH、HOTSQUALL、Northern19、SHADOWS、SHANK、SHIMA、STOMPIN’ BIRD、SUNSHINE DUB、THE CHERRY COKE$、THE DISASTER POINTS、THE FOREVER YOUNG。GOOD4NOTHING、THE→CHINA WIFE MOTORSは両日出演する。チケットは、10月16日(日)23:59までオフィシャルHP4次先行(抽選)受付中。
2022年10月09日11月8日に、ものまね100連発ライブを控えるハリウッドザコシショウ(『ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4収録ライブ』)。彼のものまねは幅広いジャンルの時事ネタを扱うが、「これはイジらないでおこう」なんていう境界線は、彼には全くない。コンプライアンスの制限は一切気にせず「(100連発は)もうなんでもありですね」と語る。芸歴29年。「自分が面白いと思ったことをやるしか、自分の火力の強さが出せない。だから、やりたい仕事しかやらない努力をしている」と、こだわりを語る。その努力の結果が『R-1ぐらんぷり2016』優勝だ。「あの優勝で、こういう芸人もいるっていうのが世間に広まったじゃないですか。それが広まらないと、やりたくない仕事も入ってくるんですよ」と振り返る。「何か一個結果を残せば、自分がやりたい仕事だけやっても文句を言われなくなる。売れなきゃ、自分のやりたいことだけができるようには絶対にならない」。今の彼は、並々ならぬ努力の賜物なのだ。さらに、2009年から自身のYouTubeチャンネルに毎日動画をアップしている。これは“仕事”ではなく“趣味”だと言う。一番心が休まる瞬間は?という質問に「動画編集かも」と答えるほど。「これをやっていないと僕自身不安なのかもしれない。毎日アップするって言ったのに、それを守らないのが気持ち悪い」とプロ意識を見せる。ザコシショウが思うプロとアマの違いは「何事も、最後までやり通せるかどうか」。ストイックにプロの道を歩み続ける彼だが、プライベートでは6歳になる双子の女の子のパパでもある。二人のお子さんから「お笑いショーをやる!」と声をかけられた日のこと。「僕が普段作業している地下室を舞台に見立てて、照明まで焚いて、“みんなの憧れ、ハリウッドザコシショウさんが出てきます!”って言ったら、パパ出てきてって言われました。付き合いましたよ、一応(笑)」そう話す彼の顔は、少し緩んでいたように見えた。そして、そのお笑いショーは2~3時間続いたという。唯一無二の破天荒な芸風とは裏腹に、『R-1』で真摯に審査員を務めたり、時には優しいパパの顔を見せたり……。その多面性にファンは魅了されているのだが、彼は「褒められるとか、もっと認めてもらいたいとかない。好きな芸人として名前を挙げてもらえれば本望です」と謙虚な姿勢を見せた。取材・文:佐々木笑
2022年10月07日創立43年を迎えた劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下:SET)による、第60回本公演『堕天使たちの鎮魂歌 ~夢色ハーモニーは永遠に~』。10月21日(金)の開幕を約3週間後に控えたタイミングで合同取材会が行われ、座長の三宅裕司、劇団員の小倉久寛、野添義弘が参加した。“ミュージカル・アクション・コメディ”を旗印に活動してきたSETが、音楽や歌に特化したステージを届ける本作。ヒット曲に恵まれずキャリアを重ねた女性ソウルシンガー3人組・ディーバのもとに、ビジュアルとダンスは抜群だが歌唱力が著しく低いアイドルグループの替え玉依頼が舞い込む。仕掛け人のプロデューサー(小倉)、ディーバの所属事務所社長(三宅)、担当マネージャー(野添)、ライバルらそれぞれの思惑が交錯する中で、極秘プランが始動して─。「40年以上やってきた歌とダンスをお客さんにご覧いただく記念碑的な作品」「歌とダンスがうまくいかなかったら失敗、という覚悟で取り組む」と“音楽”を前面に打ち出した作品であることをアピールする三宅。一方で「ギャグの連続に、ラストは歌でホロっと感動させるストーリーの構成は従来と変わりません」とSETらしさも覗かせる。自身がギターを演奏するシーンもあるらしく、「小倉と歌のギャグを繰り広げるシーンでは、一曲ずつ爆笑をかっさらっていきたい」と意気込む。三宅から「声は二枚目」と言われた小倉は、渋みのある低音ボイスをつくって「ありがとうございます」とコメントし、報道陣を和ませた。敏腕プロデューサー役に対して、小倉は「きちっとした感じを出したい」としつつ、三宅からは「声がよく歌も上手だが、それがネタになっていて笑えるようにしたい」といじられる始末だ。さらに三宅は「声だけなら二枚目なのに、登場するだけで大爆笑を生み出す」「普通の役者では表現できないような落差(ギャップ)に満ちた存在」と畳みかけ、小倉の魅力を強調する。そんな二人を微笑ましく眺めていた野添は、大河ドラマ『鎌倉殿の十三人』における源頼朝の従者・安達盛長役で存在感を発揮した。三宅は「大河ドラマの現場を経験した野添は、一回りも二回りも大きく強くなりました。だからどんなことがあっても常に全力でお客さんを大爆笑させてくれると思います」と太鼓判を押す。それを受けた野添は「ちょっと待ってください!」と笑顔で座長を制しつつ、「SETファンの方はもちろん、初めてのお客さんも楽しめる作品です」と誘いかけるメッセージを送り、取材会を結んだ。公演は11月6日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて。その後、11月9日(水)に秋田・鹿角市文化の杜交流館 コモッセ 文化ホールと巡演する。ぴあでは座席指定できる東京公演のチケットを販売中。取材・文:岡山朋代
2022年10月07日12月16日(金)、17日(土)、18日(日)に広島グリーンアリーナにてライブイベント『結びの夢番地』の開催が決定。「結びの夢番地」は、イベント企画制作会社・プロモーターの夢番地が主催する対バンイベントで、3回目の開催となる。出演アーティストは16日(金)にCreepy Nuts、Saucy Dog、マカロニえんぴつ、17日(土)にクリープハイプ、SUPER BEAVER、緑黄色社会、18日(日)に[Alexandros] 、Vaundy 、WANIMA。チケットの最速先行(先着)を10月16日(日)23:59まで受付中。▼公演情報結びの夢番地202212月16日(金)OPEN17:00/START18:00[出演]Creepy Nuts/Saucy Dog/マカロニえんぴつ12月17日(土)OPEN16:00/START17:00[出演]クリープハイプ/SUPER BEAVER/緑黄色社会12月18日(日)OPEN16:00/START17:00[出演][Alexandros]/Vaundy/WANIMA広島グリーンアリーナ指定席-6800円一般発売11月12日(土)~
2022年10月07日ヒプノシスマイクへの楽曲提供でも話題になった、INNOSENT in FORMALが活動休止中のロックンロールバンドTHE PINBALLSのギタリスト中屋智裕を迎え、10月19日、11月16日と2ヵ月連続配信リリースすることを発表した。今作は、レーベルメイトであり、これまでもINNOSENT in FORMALのライブに何度もゲスト出演するなど、親交の深いTHE PINBALLSのギタリスト、中屋智裕がサウンドプロデュース&ギタープレイヤーとして参加している。ヒップホップ、ガレージ、オルタナ、パンクなどあらゆる音楽を詰め込んでファンキーなビートで味付けしたハイテンションなサウンドに、Vo.ぽおるすみすのRap が絡まり、ジャンルの垣根を超えた、ロックンロールミクスチャーがここに完成した。また、12月15日(木)にリリースイベントが渋谷Milkywayで開催される。URL:【Release】■INNOSENT in FORMAL■配信日:10月19日(水)リリース:第1弾 Digital Single「EVERYBODY」11月16日(水)リリース:第2弾 Digital Single「タイトル未定」【LIVE】INNOSENT in FORMAL presents Everybody’s gonna Be alright12月15日(木)【東京】渋谷Milkyway
2022年10月07日公益財団法人東京二期会と株式会社二期会21は、二期会創立70周年を迎えた本年、これを記念したオペラ・ガラ・コンサートを10月18日(火)に東京文化会館大ホールにて開催する。2020年春から長期化していた新型コロナ・ウイルスによる世界的なパンデミックを乗り越え、“新しい時代に本物のオペラの歌声を届けたい”という想いを込めて、今回のガラ・コンサートの開催を決定した。出演する歌手は、幸田浩子・佐々木典子・田崎尚美・種谷典子・宮地江奈(以上、ソプラノ)、池田香織・加納悦子(以上、メゾソプラノ)、樋口達哉・福井 敬・山本耕平(以上、テノール)、今井俊輔・宮本益光・与那城 敬(以上、バリトン)だ。東京二期会のみならず、日本のオペラ界を率いるスターたち。長きにわたってオペラ界の第一線で輝くベテランから、次代を担う新星まで、幅広い世代の第一線歌手がステージに並ぶ。なお、司会は宮本益光が務める。演奏曲は、二期会の上演史を飾ってきたモーツァルト、ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナーなど、大作曲家の名曲ぞろいだ。誰もが知る「誰も寝てはならぬ」(『トゥーランドット』)をはじめ、耳馴染み深いアリアも多く、オペラ・ファン、クラシック音楽ファンだけではなく、オペラ名曲集を生演奏で聴ける機会として、オペラ初心者でも存分に楽しめる豪華なプログラムとなっている。指揮は、セントラル愛知交響楽団常任指揮者、仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者の角田鋼亮。学生時代より音楽スタッフとして東京二期会オペラ公演に貢献し、次代のホープと評される若きマエストロを、指揮者として迎える。管弦楽は、東京交響楽団。数々の東京二期会オペラ公演のほか、二期会創立60周年記念ガラ・コンサート、一昨年のスペシャル・ガラ・コンサート「希望よ、来たれ!」でも共演し、東京二期会と縁の深いオーケストラと今回もタッグを組む。東京二期会、日本を代表するオペラ歌手と若手筆頭株の指揮者、オペラを知り尽くしたオーケストラによる豪華な一夜を満喫しよう。
2022年10月07日ミュージカル『新テニスの王子様』Revolution Live 2022が10月6日(木)から幕張メッセ 幕張イベントホールで開催される。“新テニミュ”として初のライブイベントで、総勢37名のキャストたちがThe First StageとThe Second Stageで披露された楽曲を会場中に響き渡らせる。今回のライブの見どころについて、越前リョーマ役の今牧輝琉(いままき・ひかる)は「キャラクターも曲もライブ仕様になっていて、舞台とはまた違った演出なんです。僕ら自身も予想していなかった演出がいっぱいあったので、お客さんから見てもいろいろと発見があると思います」と語る。「本編では見られないような組み合わせで歌う曲もあるので、結構驚くんじゃないかな。僕自身も驚きましたし、『こんなことするんだ!』と胸が熱くなりました」。越前リョーガ役の井澤勇貴(いざわ・ゆうき)は「見どころは、岸(祐二)さん。歌がハンパないです。多分、当日は幕張近くの海が荒れるんじゃないかな」と笑う。自身がライブで楽しみにしていることについては「リョーガの『遊んでやるぜ』という曲があるんですけど、初めて音源を聞いたときから、ミュージカルの楽曲というよりライブのパフォーマンスとして披露するような曲調だなと思っていたんです。だから今回のライブでどういう風になるのか。僕も楽しみですし、皆さんにも楽しみにしていてほしいです」。改めてお互いの印象を尋ねると、井澤は「普段の彼のSNS投稿を見ていると、かわいい要素が多いじゃないですか。でも、ステージに立つと頼もしい。安心感があるんですよね」と話し、一方の今牧は「直接的な言葉で教えてもらったことよりも、見せて教えてくれることが多いです。The Second Stageの本編の稽古中もダンスがすごいなと思ったんですけど、今回のライブの稽古はもっとすごい!『僕はこの後にパフォーマンスをしなくてはいけないのか』とある意味、こちらのやる気がなくなるぐらいです(笑)」などと仲睦まじく語っていた。公演は10月10日(月・祝)まで。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年10月07日the band apart主催イベント『SMOOTHLIKE GREENSPIA 2022』が、10月9日(日)服部緑地野外音楽堂で開催される。本公演のタイムテーブルが発表された!「the band apart SMOOTHLIKE GREENSPIA 2022」チケット情報Age Factoryに続き、MUSIC FROM THE MARS、そしてthe band apartがトリを務める。緑に囲まれた会場で気持ちの良い風を感じながら、生ライブを堪能してほしい。なお、本公演はオンライン配信も実施。チケットは発売中。
2022年10月06日日本演劇界の不朽の名作『女の一生』。森本薫が文学座に書下ろし、終戦直前の1945年に初演、杉村春子が主人公の布引けいを947回も演じたことで知られる作品だ。今回、2020年に段田安則の演出で杉村の当り役を大竹しのぶが演じた舞台が再演、初演時は公演中止となった京都・南座に2年を経て登場する。物語は、1905年から1945年までの40年間。孤独な少女だった布引けいが堤家に拾われ、その後長男の妻となって家業を守り成長、明治・大正・昭和とふたつの戦争を経て激動の時代をたくましく生き抜いていく姿を描く。京都・南座は初出演の大竹が来阪し、意気込みを語った。「女の一生」チケット情報「歌舞伎の人たちがすごく愛している劇場に立てるだけでうれしい」と、2年前に来るはずだった南座への初出演を喜ぶ大竹。初演時は「最初はどこか、杉村さんの代表作に挑戦する気持ちがあったかもしれないですが、稽古していくうちにだんだん自分のものになっていって。今は、もっともっと自分のものとして向き合える気がしているので、初演よりもっとおもしろく深くなっていく、と断言します(笑)」。出演は、堤家の長男に段田、次男は高橋克実、ほかに銀粉蝶、風間杜夫ら実力派がそろう。数多く共演している演出の段田とは「すごく信頼し合えています」。充実した稽古の中、大竹が演じる上で大切にしたいのは「生活感」だと言う。芝居は三幕。「最初のみすぼらしい感じの女の子が、最後の方でこうやって人生を終えるんだなと。お客様に、流れた時間の幸せも不幸せも全部分かるようにできたらと思うので、一幕ごとにきちんと演じたいです」。77年前の作品が今も支持される理由を「この戯曲には心が洗われるようなすごく素敵なセリフがたくさんあるので、人の心に残るんだと思います」と話す。特に有名なのが『誰が選んだのでもない、自分で選んだ道ですもの』というセリフ。『間違いと知ったら自分で間違いじゃないようにしなくちゃ』と続く。「初めて言った時、体にクーッと力が入って、背筋がピーンと伸びる気がして。自分の言葉によって人間は強くなっていくんだと思いました。その強さが作品全体に流れていますが、強く生きることは決して本人が幸せな気持ちで生きられるものではないんだなと感じます」。この芝居を初めて観る方へ。「結婚や仕事とか、誰もが人生で経験するだろうことを細かく描いた芝居です。布引けいがどれだけ必死になって生きてきたかを観てほしいですし、40年間を目の前で生き抜く役者のエネルギーももらっていただけたらうれしいです」。公演は10月18日(火)から23日(日)まで東京・新橋演舞場、10月27日(木)から11月8日(火)まで京都・南座、11月18日(金)から30日(水)まで福岡・博多座にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2022年10月06日