山崎育三郎が主演するミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が5月15日、東京・新国立劇場 中劇場で開幕した。劇作家ジェームズ・バリがある家族と出会い、『ピーターパン』を生み出し上演するまでを描く物語。アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演の同名映画(邦題『ネバーランド』)が原作で、2015年にブロードウェイで開幕したミュージカルの待望の日本版だ。ファンタジーとリアルが溶け合う繊細で美しい物語を、演出の小山ゆうなと山崎ら出演者が、温もりある作品として丁寧に描き出した。大人になりきれない大人と、大人にならざるを得なかった子ども舞台は19世紀後半のイギリス。新作を求められるも似たようなストーリーしか作れず行き詰っていた劇作家ジェームズ・バリは、ある日公園で海賊ごっこをしている未亡人シルヴィアとその4人の子どもと出会う。彼らと触れ合ううちにかつては自分も空想の世界で自由に遊んでいたことを思い出し、人に期待されるものではなく、自分自身が描きたいものを書きたいと思い始めるバリ。想像の世界では公園は湖になり、人魚が泳ぐ。犬は犬ではなく熊になる……。しかし当時のイギリス演劇界では子ども向けのファンタジーを上演するなど非常識、劇場主のフローマンや劇団員たちは大反対。一方、シルヴィアの4人の子ども、中でも三男のピーターは父を亡くしてから“大人”になろうと、無邪気さや純粋な心を閉ざしていたが、バリと出会ったことで、冒険心や純粋さを取り戻していく。そしてバリは子どもの頃に心に描いていた、大人にならない子どもたちが住む“ネバーランド”の物語に、ピーターたちのイマジネーションを重ね『ピーターパン』の物語を作り上げていくが、そんな中、シルヴィアが体調を崩し……。大人になりきれない大人と、大人にならざるを得なかった子どもが、現実に傷付きながらも自分たちの大切な信念を手放さずに前を向き、人生を歩んでいく物語だ。少年期に直面してしまう親しい人との別れという悲しみが通奏低音のように流れていながらも、人の温もりや強さが愛情たっぷりに描かれ、優しい気持ちが胸を満たす。一方で、あのフック船長は、ティンカーベルは、タイガーリリーはどうやって生み出されたのか――『ピーターパン』誕生秘話をユニークに描く作品でもある。バリを取り巻く人々の仕草や個性が、あのおなじみのキャラクターと重なるところはワクワクする楽しさ。さらに演出面も、心躍る驚きが次々と登場。空を飛ぶ子どもたちをフライングではなくリフトで表現するなど、想像力がファンタジーの実在を補強する、演劇ならではの魔法の数々が美しい。ブロードウェイ版もその美しい演出が評判だったが、小山手掛ける日本版も観客の想像力を活かした温もりある魅せ方で“不思議”を生みだしている。山崎育三郎「12歳で初めてステージに立ったときのことを思い出した」主人公のジェームズ・バリを演じるのは、新作ミュージカルには7年ぶりの出演となる山崎育三郎。繊細さと無邪気さに加え、子どもたちを見つめる優しいまなざしが印象的。ことミュージカルにおいてはキャラクター性の強い役柄が続いていたが、リアリティある人間臭い役を等身大で演じていて、俳優としての実力を見せつけた。シルヴィア役の濱田めぐみも、母親の強さをしなやかに表現。武田真治はバリに翻弄されるフローマンを人情味たっぷりに演じると同時に、空想の中のフック船長をユーモラスにパワフルに演じる。4兄弟(公開舞台稽古時は、ジョージ:ポピエルマレック健太朗、ジャック:豊田侑泉、ピーター:小野桜介、マイケル:奥田奏太。いずれもWキャスト)も生き生きと演じ歌い、愛らしい。ほかの出演者も実力派揃いで、キャストが一丸となって、心躍るファンタジーと、想像力を胸に現実の痛みを乗り越える人間の強さを見事に描き出した。初日前日に行われた囲み取材では、山崎は「この作品に出会って、自分が12歳で初めてステージに立ったときのことを思い出したり、改めて自分にとって一番大切なものに気づかされたりしています。たぶん観客の皆さんにとっても自分の原点に帰れるような作品であり、それぞれの人生と重ね合わせるような作品になっているはず。『こんな作品を待ってました!』と言いたいくらい大好きな作品になりました。演劇でしか作り出せない奇跡のステージが出来上がっていますので、ぜひ劇場で体感してください」とアピール。左から)小山ゆうな(翻訳・演出)、濱田めぐみ、山崎育三郎、武田真治濱田は「我々演じている側も楽しんで、ワクワクしながら演じています。客席と舞台上、みんなで素敵な時間を過ごせれば」、武田も「演じるたびに私たち自身がエネルギーをもらえる、そんな作品なので、このエネルギーが観客の皆さまにも伝わるはず。この数年のコロナ禍で諦めていた夢やできなかったことに改めてチャレンジしてみよう、そう思える作品になっていると思うので、劇場に元気をもらいにきてください」と話した。公演は同劇場で6月5日(月) まで。その後、大阪、久留米、富山、名古屋でも上演される。取材・文・撮影=平野祥恵ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』チケット情報
2023年05月16日2023年5月に上演されるミュージカル『ファインディング・ネバーランド』の子役キャストとツアー公演の詳細が発表された。本作は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題『ネバーランド』)を元に創られたミュージカル作品。2015年にブロードウェイで開幕し、 多数メディアから「何年も心に残るであろう必見の舞台」と絶賛された人気作だ。今回は注目の演出家・小山ゆうなによる新演出版での上演となる。子役キャストは、ジョージ役に越永健太郎、ポピエルマレック健太朗、ジャック役に生出真太郎、豊田侑泉、ピーター役に小野桜介、長谷川悠大、マイケル役に奥田奏太、谷慶人がそれぞれWキャストとして出演。子役の出演スケジュールは後日発表される。ツアー公演は、大阪公演が2023年6月9日(金)~12日(月) 梅田芸術劇場メインホール、久留米公演が6月17日(土)・18日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール、富山公演が、6月24日(土)・25日(日) オーバード・ホール、名古屋公演が6月30日(金)・7月1日(土) 愛知県芸術劇場 大ホールにて上演される。なお、東京公演のチケット最速抽選先行は1月21日(土) より開始される。また、12月14日(水) 18時30分より放送されるフジテレビ『FNS歌謡祭 第2夜』にて、山崎育三郎が『ファインディング・ネバーランド』の劇中歌「♪NEVERLAND」を初披露することが決定した。<番組情報>フジテレビ『FNS歌謡祭 第2夜』2022年12月14日(水) 18:30~詳細はこちら:<公演情報>ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』【キャスト】ジェームズ・バリ:山崎育三郎シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみフック船長/チャールズ・フローマン:武田真治メアリー・バリ:夢咲ねねデュ・モーリエ夫人:杜けあきキャナン卿:遠山裕介クローマー:廣川三憲ヘンショー:星 智也家塚敦子/石川 剛/伊藤かの子/榎本成志/大久保芽依/工藤 彩/塩川ちひろ/永松 樹/福島玖宇也/MAOTO/ルイス魅麗セーラ(50音順)ジョージ:越永健太郎/ポピエルマレック健太朗(Wキャスト)ジャック:生出真太郎/豊田侑泉(Wキャスト)ピーター:小野桜介/長谷川悠大(Wキャスト)マイケル:奥田奏太/谷慶人(Wキャスト)※子役の出演スケジュールは後日発表【スタッフ】原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 / アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』台本:ジェームズ・グラハム作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ演出:小山ゆうな【東京公演】期間:2023年5月15日(月)~6月5日(月)■チケット料金(全席指定・税込)S席:14,000円A席:8,000円Yシート:2,000円 ※20歳以下対象・当日引換券・要証明書・10月24日より枚数限定販売■チケット発売スケジュール・ホリプロステージプレミアム会員抽選先行:2023年1月21日(土) 12:00~1月29日(日) 23:59先着先行:2023年2月11日(土) 9:00~2月20日(月) 23:59・ホリプロステージ無料会員先着先行:2023年2月11日(土) 12:00~2月20日(月) 23:59・一般発売:2月22日(水) 11:00・ Yシート(20歳以下限定):2023年2月27日(月) 17:00~3月5日(日) 23:59※A席の販売は一般発売からとなります。(ホリプロステージ貸切公演を除く)※未就学児入場不可。※本公演のチケットは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。※やむを得ない事情により、 出演者並びにスケジュールが変更になる可能性がございます。※公演中止の場合を除き、 払い戻し、 他公演へのお振替はいたしかねます。 ご了承のうえ、 お申込みください。【大阪公演】期間:2023年6月9日(金)~12日(月)6月9日(金) 18:006月10日(土) 12:30 / 17:306月11日(日) 12:306月12日(月) 13:00会場:梅田芸術劇場メインホール問合せ:梅田芸術劇場06-6377-3800(10:00~18:00)【久留米公演】期間:2023年6月17日(土)・18日(日)6月17日(土) 12:30 / 17:306月18日(日) 12:30会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール問合せ:インプレサリオinfo@impresario-ent.co.jp(Mailto:info@impresario-ent.co.jp)【富山公演】期間:2023年6月24日(土)・25日(日)6月24日(土) 12:306月25日(日) 12:30会場:オーバード・ホール【名古屋公演】期間:2023年6月30日(金)・7月1日(土)会場:愛知県芸術劇場 大ホール※公演時間は後日発表『ファインディング・ネバーランド』PV公式HP:公式Twitter:
2022年12月12日2023年5月に上演されるミュージカル『ファインディング・ネバーランド』のメインビジュアルやチケット情報、プロモーション映像が公開された。本作は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題『ネバーランド』)を元に創られたミュージカル作品。2015年にブロードウェイで開幕し、 多数メディアから「何年も心に残るであろう必見の舞台」と絶賛され、2017年には東急シアターオーブにてツアー版招聘公演が上演されて大好評のうちに幕を閉じた。今回は注目の演出家・小山ゆうなによる新演出版での上演となる。物語の主人公は、名作『ピーターパン』の作者である劇作家ジェームズ・バリ。スランプから抜け出せないバリがある家族に出会い、子供たちとの出逢いを通じて物語を書き上げ、劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた実話に基づくストーリーとなっている。主役の作家J・M・バリ役を山崎育三郎が演じるほか、濱田めぐみ、武田真治、夢咲ねね、杜けあきが脇を固める。公開されたビジュアルは『ピーターパン』を生み出した作家の物語らしく、ファンタジックで遊び心の溢れるビジュアルとなった。当時のイギリスをイメージしたスーツを纏った山崎がその手にする本の中から広がる幻想的な世界は、バリが新しい物語を生み出していくことを予感させ、バリと親交を深めていくシルヴィア役の濱田めぐみは4人の子供を育てるたくましく自由な女性らしく、優しく温かな表情をみせる。また、フック船長とフローマンの2役を演じる武田真治は、11年振りとなるフック船長姿のお披露目となった。『ファインディング・ネバーランド』PV<公演情報>ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』【キャスト】山崎育三郎濱田めぐみ武田真治夢咲ねね杜けあき遠山裕介廣川三憲星 智也家塚敦子 / 石川 剛 / 伊藤かの子 / 榎本成志 / 大久保芽依 / 工藤 彩 / 塩川ちひろ / 永松 樹 / 福島玖宇也 / MAOTO / ルイス魅麗セーラ(五十音順)ほか【スタッフ】原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 / アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』台本:ジェームズ・グラハム作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ演出:小山ゆうな【東京公演】期間:2023年5月15日(月)~6月5日(月)■チケット料金(全席指定・税込)S席:14,000円A席:8,000円Yシート:2,000円 ※20歳以下対象・当日引換券・要証明書・10月24日より枚数限定販売■チケット発売スケジュール・ホリプロステージプレミアム会員抽選先行:2023年1月21日(土) 12:00~1月29日(日) 23:59先着先行:2023年2月11日(土) 9:00~2月20日(月) 23:59・ホリプロステージ無料会員先着先行:2023年2月11日(土) 12:00~2月20日(月) 23:59・一般発売:2月22日(水) 11:00・ Yシート(20歳以下限定):2023年2月27日(月) 17:00~3月5日(日) 23:59※A席の販売は一般発売からとなります。(ホリプロステージ貸切公演を除く)※未就学児入場不可。※本公演のチケットは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。※やむを得ない事情により、 出演者並びにスケジュールが変更になる可能性がございます。※公演中止の場合を除き、 払い戻し、 他公演へのお振替はいたしかねます。 ご了承のうえ、 お申込みください。【大阪公演】後日発表【久留米公演】期間:2023年6月会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール問い合わせ:インプレサリオinfo@impresario-ent.co.jp(Mailto:info@impresario-ent.co.jp)【富山公演】期間:2023年6月会場:オーバード・ホール【名古屋公演】期間:2023年6月会場:愛知県芸術劇場 大ホール公式HP:
2022年10月07日2023年5月に上演されるミュージカル『ファインディング・ネバーランド』の追加キャストが発表された。今作は、『ピーターパン』を生み出した劇作家J・M・バリと彼を囲む人々の物語を描く感動のミュージカル。スランプから抜け出せないバリがある家族に出会い、子供たちとの出逢いを通じて物語を書き上げ、劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた実話に基づくストーリーとなっている。主役の作家J・M・バリ役を山崎育三郎が演じるほか、今回4名のメインキャストが新たに公開された。バリの創作のもととなる4人の子供達の母親で、バリと親交を深めていくシルヴィア役を演じるのは、 濱田めぐみ。山崎と濱田は今回がミュージカルでは初共演となる。また、フック船長と劇場主・フローマンの2役を演じるのは、武田真治。2012年にミュージカル『ピーターパン』でフック船長を演じたが、今回11年ぶりに満を持しての“武田フック”復活となる。そのほか、バリの妻メアリー・バリ役を夢咲ねねが、シルヴィアの母親デュ・モーリエ夫人役を杜けあきが演じる。演出は第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し、ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』『ローズのジレンマ』『COLOR』など話題作を次々と手掛ける小山ゆうなが手掛ける。左から)山崎育三郎、濱田めぐみ、武田真治、夢咲ねね、杜けあきミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題『ネバーランド』)を元に創られたミュージカル作品。映画はアカデミー賞7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞。ミュージカル版は2015年にブロードウェイで開幕し、多数メディアから「何年も心に残るであろう必見の舞台」と絶賛された。2017年には東急シアターオーブにてツアー版招聘公演が上演され、 大好評のうちに幕を閉じた。音楽はイギリスの人気ポップスグループ「テイク・ザット」のゲイリー・バーロウと、グラミー賞受賞作曲家でシンガー・ソングライターのエリオット・ケネディが手掛けており、どんな世代でも楽しめるブロードウェイの人気作の新演出バージョンとなっている。■山崎育三郎(J・M・バリ役)コメント僕にとって7年ぶりの新作ミュージカルへの出演になります。こんな素敵な作品をずっと待っていました。ブロードウェイ版『ファインディング・ネバーランド』を観させていただきましたが、演出、脚本、振付、音楽、全てに引き込まれ、気が付けば作品の虜になっていました。久しぶりにミュージカル作品を観て涙が溢れ、心を打たれて、自分にとって大切な人を改めて考えさせられました。そんな魅力的な作品に出演させていただけることを心から光栄に思います。主人公である劇作家のバリは、自分の感性を信じ、芸術家として作品に誠実に挑んでいます。想像力や好奇心を大事に突き進むバリに、とても魅力を感じています。この作品のテーマでもある「想像力」は、人生を豊かにするためのヒントが隠されていると思います。ピーターパンの誕生物語を描いた作品ですが、子供達には勿論、元子供だった皆さんにこそ観ていただきたいミュージカルです。新演出版では日本初演となりますので、新しいカンパニーの皆さんと稽古場で一つ一つ丁寧に作り上げていき、長く愛される作品にしたいです。どんな方にも寄り添い、忘れかけていた大切なものをお届けします。劇場でお待ちしています。■濱田めぐみ(シルヴィア役)コメントこの素敵な物語が日本版でどんな煌めきを見せるのか、とてもワクワクしています。今回は初めて共演させて頂く方もいらっしゃるので、どんなお稽古になるのかも楽しみです。ピーターパンを通じて繋がった全てのご縁に感謝して取り組みます。■武田真治(フック船長 / フローマン役)コメント2012年、ミュージカル『ピーターパン』で演じた“フック船長″と、まさかこんなかたちで再会できるなんて!しかもピーターパン誕生秘話ってことは、フック船長の誕生の物語でもあるわけです!今度の春の大掃除の季節に、この美しい物語を通して、みんなで心のお洗濯ができたらなと願っています!!劇場でお逢いしましょう。■夢咲ねね(メアリー・バリ役)コメント以前、映画を拝見してとても感動し、エンターテイメントに携わる者として、夢がもつ力を改めて感じ、観終わったあと心が洗われたような、とても温かい気持ちになったことをおぼえています。そして今、この作品へ出演できる事を心から嬉しく思います。準備稿を読み、この作品がどう立体化するのか、とてもワクワクします。新作という事でキャストの皆さん、スタッフの皆さんと一丸となって、素敵な作品となりますよう努めて参ります。どうぞ、宜しくお願いいたします。■杜けあき(デュ・モーリエ夫人)コメント初めて映画『ファインディング・ネバーランド』を観た時、その余韻があまりにも静かに長く続き、自分でも驚いたのを覚えています。大切な人への愛おしさが波のように行ったり来たりして……そんな素敵な作品に参加させていただけること心より幸せに思います。山崎さんを中心にキャストの皆さん・子供達と力を合わせて、お客様にそれぞれの人生への愛おしさを感じていただけるよう精一杯がんばります。■小山ゆうな(演出)コメント『ファインディング・ネバーランド』は、今も毎年、話題作を送りだしている劇作家ジェームズ・グラハムの台本に、ゲイリー・バーロウとエリオット・ケネディによる作曲・作詞という、豪華なチームが生み出した作品です。2017年来日公演時の盛り上がりも記憶に新しく、演出的にも最高の形で完成されていたであろうこの作品を、今、ここで、上演するにあたって、どのような形で山崎育三郎さんをはじめとする新しいキャスト・クリエイターのメンバーと創作していけるかじっくり考えて準備していきたいです。本作は、映画『ネバーランド』から着想を得てミュージカル化された作品ですが、この映画の原作となった戯曲『The Man Who Was Peter Pan』は、以前に翻訳した『Little Women―若草物語―』の脚本家でもあるアラン・ニーが書きました。彼の作品には温かさ、力強さ、美しさ、遊び心が溢れています。この全ての作家達・作曲家・作詞家の研ぎ澄まされたセンスとユーモアと素晴らしい言葉と音楽を大切に楽しんで頂ける素敵な作品を作れるようベストを尽くせればと思っております。<公演情報>ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』【東京公演】期間:2023年5月~6月※その後ツアー公演あり主催:フジテレビジョン / キョードー東京 / ホリプロ企画制作:ホリプロ【キャスト】山崎育三郎濱田めぐみ武田真治夢咲ねね杜けあきほか【スタッフ】原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 / アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』台本:ジェームズ・グラハム作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ演出:小山ゆうな公式HP:
2022年07月03日『アナと雪の女王』といえば、松たか子や神田沙也加、『ファインディング・ドリー』といえば、室井滋や木梨憲武の声を思い浮かべる人は多いはず。その一方で、日本発信のアニメ映画が海外で公開される際には、意外とも思えるハリウッドスターたちが声優を務めている。例えば、スタジオジブリの『となりのトトロ』でサツキとメイの声を演じていたのは、あのダコタ&エルのファニング姉妹(2005年のディズニー版)。ご存じのように、現在2人とも女優として大活躍しており、特に今年4月に20歳になったエルは、『マレフィセント』や『20センチュリーウーマン』『パーティで女の子に話しかけるには』などのほか、主演作『メアリーの総て』が12月に日本公開されるなど、いまや若手実力派の筆頭株。彼女たちをはじめ、日本ではお馴染みの人気キャラクターの声を務めている有名スターや若手ブレイク俳優たちに注目してみた。「スター・ウォーズ」のあの人に“バルス!”スタジオジブリ作品を見てみると、宮崎駿監督が手掛けた『風の谷のナウシカ』の英語版では、主人公ナウシカの声を『ビッグ・フィッシュ』に出演していたアリソン・ローマン、ユパ様の声を『X-MEN』シリーズのパトリック・スチュワートが務めていたほか、シャイア・ラブーフがアスベル、ユマ・サーマンがクシャナ、ペジテの市長にはマーク・ハミルと錚々たる面々が揃っていた。さらにマークは、『天空の城ラピュタ』ではあの憎き悪役ムスカ大佐の声も担当。ちなみに、「スター・ウォーズ」シリーズのルーク・スカイウォーカーとしてだけでなく、TVアニメやゲーム版「バットマン」の“ジョーカー”としても有名なマークは、アニメ版「スパイダーマン」や「アベンジャーズ・アッセンブル」でも悪役の声を演じている。また、『魔女の宅急便』でキキの声を務めていたのは、『ドリーム』も記憶に新しいキルスティン・ダンスト。彼女自身の子どものころの愛称も“キキ”だったとか。マダム役の声は、レイア姫こと故キャリー・フィッシャーの実母で『雨に唄えば』でも知られる故デビー・レイノルズが務めていた。なお、今年4月に亡くなった高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』は2016年になってアメリカで初公開されたが、英語版の主人公・タエ子には、その前年『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のヒロイン・レイ役で一躍時の人となったデイジー・リドリーが、オーディションから起用されている。ジブリのヒット作にはハリウッドの主役級がずらり『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソの声を演じたのは、『スパイダーマン:ホームカミング』で“市民の悪役”バルチャーを好演したマイケル・キートン。『ゲド戦記』のハイタカ(ゲド)役には元“007”であるティモシー・ダルトン、『ハウルの動く城』でのハウル役には『ダークナイト』シリーズの“バットマン”クリスチャン・ベイルと、こちらも豪華。なお、マルクルの声は神木隆之介と同様、子役から活躍し『ハンガー・ゲーム』シリーズなどで知られるジョシュ・ハッチャーソンが務めた。『もののけ姫』でアシタカの声を担当したのは、『エイリアン・コヴェナント』などの渋メン俳優ビリー・クラダップで、「HOMELAND/ホームランド」のクレア・デインズ、「FARGO/ファーゴ」のビリー・ボブ・ソーントン、「X-ファイル」のジリアン・アンダーソンらが名を連ねている。英語版の製作総指揮は、かのワインスタイン兄弟だった…。英語版のボイスキャストがいっそう豪華になったのは、『千と千尋の神隠し』がオスカーを獲得して以降だろうか。アニー賞にノミネートされた『崖の上のポニョ』はジョン・ラセターが製作総指揮、ポニョ役はマイリー・サイラスの妹ノア・サイラス、リサ役にはティナ・フェイ、耕一役にはマット・デイモン、フジモト役にはリーアム・ニーソンが参加、そしてグランマンマーレの声にはケイト・ブランシェット!同作は、アメリカで公開された日本アニメ映画の中で歴代6位のヒット作となった(※Box Office Mojo調べ)。また、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『風立ちぬ』で、庵野秀明監督が声優に挑戦して話題となった主人公・堀越二郎には、『スノーデン』『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィット。加えて、『クワイエット・プレイス』のエミリー・ブラントが里見菜穂子役、ジョン・クラシンスキーが本庄役で夫婦共演。イライジャ・ウッドやスタンリー・トゥッチなども出演していた。そして、高畑監督の集大成にして遺作、アカデミー賞にもノミネートされた『かぐや姫の物語』で、かぐや姫の声を務めていたのはクロエ・グレース・モレッツ。捨丸には「glee/グリー」のブレイン役で知られるダレン・クリスほか、『くもりときどきミートボール』のジェームズ・カーン、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』のメアリー・スティーンバージェンといったベテランに、ルーシー・リュー、ダニエル・デイ・キム、ジョン・チョーなども出演。“ネクストジェネレーション”な作品には次世代俳優も『耳をすませば』のヒロイン・月島雫には『ピッチ・パーフェクト』シリーズのブリタニー・スノウが起用されていたが、アカデミー賞にノミネートされた米林宏昌監督の『思い出のマーニー』のアンナ役には、同じく『ピッチ・パーフェクト』シリーズや『バンブルビー』のヘイリー・スタインフェルド、マーニー役には人気海外ドラマ「MAD MEN/マッドメン」のキーナン・シプカと次世代を担う若手女優が抜擢。全米1,522館という大規模公開となり、アメリカ公開の日本アニメ映画の中で歴代4位(ジブリ作品では1位)を記録するのが、米林監督が手掛けた1作目『借りぐらしのアリエッティ』。英国版では翔役をマーベルの『スパイダーマン』新シリーズや『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のトム・ホランド、アリエッティ役を『ブルックリン』『レディ・バード』で2年連続アカデミー賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンほか、『女王陛下のお気に入り』でヴェネチア映画祭女優賞に輝き「ザ・クラウン」S3ではエリザベス2世を演じるオリヴィア・コールマン、『キングスマン』のマーク・ストロングらが参加、北米版ではディズニー・チャンネル「ウェイバリー通りのウィザードたち」のデヴィッド・ヘンリ-やブリジット・メンドラ-に、エイミー・ポーラーらが参加している。続いて宮崎吾郎監督の『コクリコ坂から』で、風間俊(岡田准一)役の声を務めたのは、2016年に惜しくも27歳の若さで亡くなったアントン・イェルチン。「ワンス・アポン・ア・タイム」や『スパイダーウィックの謎』のサラ・ボルジャー、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に続く青春ストーリー『ライ麦畑で出会ったら』が控えるアレックス・ウルフほか、『もののけ姫』に続いての参加となったジリアン・アンダーソンに、ロン・ハワード、ジェイミー・リー・カーティスらベテランも登場している。米林監督といえば、西村義明プロデューサーとスタジオポノックを設立してからの第1回長編作品『メアリと魔女の花』も、世界155の国・地域で公開に。西村プロデューサーがスタジオジブリ時代にプロデュースした『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』は2作品ともアカデミー賞長編アニメ映画部門にノミネートされており、各国の注目度も高かった。原作を意識して「全編イギリス英語で吹き替えた」(西村氏)という英語版メアリ役には、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』で巨匠スティーブン・スピルバーグに見出されたルビー・バーンヒル。マダム・マンブルチューク役はケイト・ウィンスレットが務め、ドクター・デイには『ハリー・ポッター』シリーズのジム・ブロードベント、フラナガンには『ワンダーウーマン』のユエン・ブレムナー、そしてピーターにはアンディ・サーキスの息子ルイ・アシュボーン・サーキスが抜擢。日本ではマダムの声を天海祐希が演じているが、『ポニョ』グランマンマーレのブランシェットに続いて、天海さんの声は“アカデミー賞女優のWケイト”が務める、という巡り合わせ。なお、片渕須直監督の『この世界の片隅に』の英語版では、主人公すずの夫・周作の声をマーベル映画の“ロキ”役でお馴染みのトム・ヒドルストンが務めている。(text:Reiko Uehara)
2018年09月13日日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」では2週連続でディズニー映画をオンエア。その第2弾として6月22日(金)今夜は、『ファインディング・ニモ』の続編で、2016年に公開され大ヒットした『ファインディング・ドリー』を本編ノーカットで地上波最速初放送する。カクレクマノミの親子マーリンが息子のニモを探す冒険を描いた『ファインディング・ニモ』の続編となる本作。今度は何でもすぐに忘れてしまうドリーを巡る旅の物語が展開。カクレクマノミのマーリンと息子のニモ親子と仲良く暮らすナンヨウハギのドリーは、大切なことでもすぐに忘れてしまうのが悩みだったが、ある日、激流に飲み込まれた瞬間に幼い頃に生き別れた両親の記憶を思い出す。ドリーは“激流”に巻き込まれ両親とはぐれてしまったのだ。両親と暮らしていた場所は“カリフォルニア州のモロ・ベイの宝石”…このわずかな手がかりを思い出したドリーは、家族を探す旅へ出ることに。大切な家族と一緒にいられない辛さをよく知るマーリンもニモを共に同行する。ドリーは旅の途中で幼い頃の記憶を取り戻していくが、カリフォルニアに着いてすぐに人間に捕えられてしまう。ドリーが連れていかれた場所は海の生き物を保護し展示している別名“モロ・ベイの宝石”と呼ばれる「海洋生物研究所」だった。自分がこの研究所で生まれたことを知ったドリーは新しい仲間の変装の達人、タコのハンクと一緒に両親を探す。ドリーは幼い頃“親友”だったジンベエザメのデスティニーと偶然再会、両親の住む場所を教えてもらう。またマーリンとニモも研究所の中に入り込みドリーの行方を捜す…というストーリー。日本語吹き替えキャストとして、ドリー役を室井滋が、マーリン役を木梨憲武が、ニモ役を菊地慶が担当するほか、ハンク役に上川隆也、デスティニー役に中村アンが参加。また番組内で放送される「4つのキーワード」を集めると『ファインディング・ドリー』キーチェーンなどのグッズが当たる企画も実施される。『ファインディング・ドリー』は6月22日(金)21時~日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で本編ノーカット地上波最速初放送。(笠緒)■関連作品:ファインディング・ドリー 2016年7月16日より全国にて公開© 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2018年06月22日日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」では、6月15日(金)より2週連続でディズニー映画の大ヒット作『ズートピア』『ファインディング・ドリー』を“地上波最速初放送”することが分かった。■まずは6月15日(金)に『ズートピア』まず最初に放送するのは、2016年に公開された洋画でNo.1のヒットを記録し、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『ズートピア』。本作は、動物たちが人間のように暮らす楽園“ズートピア”の危機に、「夢を信じる」ウサギと「夢を忘れた」キツネがコンビを組み大奮闘する物語。日本語吹き替えキャストには、ヒロイン・ウサギのジュディ役を女優の上戸彩、詐欺師のキツネ・ニック役をトム・クルーズの吹き替えでお馴染みの声優・森川智之が担当しているほか、「サバンナ」の高橋茂雄、三宅健太、竹内順子らが参加。また、主題歌「トライ・エヴリシング」を歌うDream Amiがズートピアのポップスター、ガゼル役も演じている。■続いて6月22日(金)に『ファインディング・ドリー』そして続く2週目は、『ファインディング・ニモ』の続編『ファインディング・ドリー』を放送。前作から一転、ニモとマーリン親子の親友で、昔のことはもちろん、ついさっき起きたこともすぐに忘れてしまうドリーが主役となり、ドリーの親を探す。舞台は、カクレクマノミのマーリンがナンヨウハギのドリーと共に、愛する息子ニモを“人間の世界”から救出した冒険の旅から1年後…。固い絆で結ばれた3匹は、平穏な日々を過ごしていたが、ある夜ドリーは夢で“家族の思い出”を思い出す――。前作でも声優を務めた木梨憲武と室井滋のゴールデン・コンビが、ニモのパパ・マーリン、ドリ―として続投したほか、上川隆也、中村アンらが参加したことで話題となった。なお、番組内で放送される「4つのキーワード」を集めると、『ズートピア』キャラクターのツムツムぬいぐるみ、『ファインディング・ドリー』キーチェーンなどのグッズが当たるチャンスも。劇場で楽しんだ方はもちろん、見逃してしまった方も、ぜひ、地上波最速初放送となるこの機会をお見逃しなく。『ズートピア』は日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて6月15日(金)21時~ノーカット放送。『ファインディング・ドリー』は日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて6月22日(金)21時~本編ノーカットで放送。(cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー 2016年7月16日より全国にて公開© 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2018年05月18日ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が日本初上陸し、9月8日に開幕。現実とファンタジーが混ざり合った感動作に、会場を埋め尽くした観客から何度も拍手が沸き上がった。【チケット情報はこちら】本作は、名作『ピーターパン』の誕生を描いたジョニー・デップの主演映画『ネバーランド』を基に制作されたミュージカル。劇作家J・M・バリが、美しい未亡人シルビアと4人の子どもたちとの出逢いを通じて「ピーターパン」を書き上げ、上演するまでを描いた物語。『ピピン』『ヘアー』などで知られるトニー賞受賞演出家のダイアン・パウルスが演出を手がけ、イギリスを代表するバンド、テイク・ザットのゲイリー・バーロウがすべての音楽を作曲。2015年にブロードウェイで開幕すると観る者すべてを魅了し、感動させた話題作だ。物語は、ロンドンのケンジントン公園で、バリとシルヴィア一家が出会うシーンから始まる。バリ役のビリー・ハーリガン・タイを中心に、演者たちが流れるようにストーリーを展開していく。そしてひとたびステージ上の演者がひとつになったミュージカルシーンが始まると、観客は釘付け。抜群の歌唱力と息の合った振付から目が離せなくなる。特に観客を興奮させたのは、第一幕の最後を飾る『Stronger』。バリを乗せた海賊船が大海原を越えていく、まるでテーマパークのアトラクションのような大迫力の演出の中、ビリーが全身を使って力の限り歌い上げる。ステージの熱は会場中に広がり、観客は一気にヒートアップした。他にも、シルヴィア役のクリスティン・ドワイヤーがひとり熱唱する『All That Matters』や、子ども4人だけで演奏しながら楽しく歌う『We’re All Made of Stars』など、見事な歌声とパフォーマンスに、観客は、度々、大きな拍手と大歓声を贈った。ファンタジー要素もたっぷりで、想像力豊かな子どもたちと過ごすうちに物語を作り始めるバリがたびたびインスピレーションを受けると、ステージの上はファンタジーの世界へ。子どもたちは宙に浮かび、大人たちには悪役の影が。物語のアイデアとなるシーンが随所に散りばめられ、それを見つけるのも楽しみのひとつだ。彼らを取り巻く人々は、一癖も二癖もあるユーモラスな登場人物ばかりで、ユーモアたっぷりの台詞や演技に、会場からは笑いが起こる。後半には厳しい現実が待っており、大きな壁にぶつかりながらも、信念を持って乗り越えるバリや子どもたちの演技と歌に、会場には涙があふれた。ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」は9月24日(日)まで東急シアターオブにて上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年09月11日ディズニー/ピクサーの待望の最新作『ファインディング・ドリー』のMovieNEXが、11月22日(火)よりついに発売中。今回は、そんな本作の監督を務めたアンドリュー・スタントンからコメントが到着している。舞台は『ファインディング・ニモ』の旅から1年後。忘れんぼうのドリーが突然思い出した家族の記憶――。ニモやマーリンたちに支えられて、ドリーがたどり着いたのは海の生き物たちにとって禁断の「人間の世界」…。そこで、ドリーは7本足のタコのハンクや泳ぎが苦手なジンベエザメのデスティニー、自分に自信がないシロイルカのベイリーなど、個性豊かな新しい仲間たちと出会う。“忘れんぼうのドリー”が、大切な家族と再会するための旅で出会う、仲間たちとの奇跡の冒険を描いた感動の冒険ファンタジーだ。日本では7月16日(土)に公開され、この夏興行収入68億円突破の大ヒットを記録し、10月9日(米現地時間)には世界興行収入が10億ドルの大台を突破した『ファインディング・ドリー』。日本語吹き替え版には、室井滋と木梨憲武を始め、上川隆也、中村アン、さかなクンらが出演。また、声優と日本版エンドソングの歌唱には八代亜紀が起用されていることでも話題にとなった。現在発売中の本作のMovieNEXには、MovieNEXだけに収録されたボーナス・コンテンツが収録!このコンテンツについてスタントン監督は、「最終的にお蔵入りとなったシーンがとても多いので、カットしなければならなかったシーンがたくさん見られますよ」と未公開シーンがオススメだと語る。また中でも、「ドリーの寝言」は一部が実際の予告編に使われながら、最後の最後で本編からカットされたというめったにないシーンで、「予告編を見ていた皆さんは『あれ、このシーンは本編になかった』と思うかもしれません」と冗談交じりに当時をふり返る。実際このほかにも、泣く泣くカットしたシーンが多数あると言い、これらの未公開シーンで作品の違う側面を楽しむのも面白いだろう。さらにピクサー作品は、本編内に別の作品のキャラクターが隠されていることでも有名。“隠れキャラクター”について監督は、「すぐには思い浮かびませんね。カンニングペーパーが必要です(笑)」とその数の多さを示唆し、「数字が出てきたときは、何か意味があります。隔離区域の壁の近くに、ピザ・プラネットのトラックも“A113”も出てきます。“A113”は少なくとも2回は登場しています」と一例を明かす。ピザ・プラネットは『トイ・ストーリー』に出てくるピザ屋で、“A113”はピクサーのクリエイターたちが卒業したカリフォルニア芸術大学の教室の部屋番号。どちらも彼らが手掛けた作品内でほぼ毎回出てくるお馴染みのものだ。最後に、海の底に沈んでいた古いビートルと「カーズ」の関連性を聞いてみると、「カーズ」からのネタだった可能性は否定せず、「本編に『カーズ3』をネタにしたものがあります。ただ、見つけるのはかなり難しいと思います。車ではありませんし…。とても小さい何かに車のイメージが付いているんです」となんと、今後劇場公開が予定されている『カーズ3』(原題)に関する隠れキャラクターも登場しているという。さて、あなたは“隠れキャラクター”を見つけることはできるのか?ぜひストーリーだけでなく、こちらもチェックしてみて欲しい。『ファインディング・ドリー』MovieNEXは発売&デジタル配信中。※Blu-ray&DVDレンタルも開始(cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年11月27日ディズニー/ピクサーの映画『ファインディング・ドリー』のブルーレイやDVDなどがおさめられたMovieNEXが本日発売されたのを記念して、監督が実現しなかった“幻のシーン”について語る特別映像が公開になった。公開された特別映像本作は、ニモの親友で、忘れんぼうのドリーが、幼い頃にはなればなれになってしまった家族に出会うため大冒険を繰り広げる物語。前作に引き続き、マーリンとニモの親子や、海亀のクラッシュなど、おなじみのキャラクターが再登場するが、アンドリュー・スタントン監督は“タンク・ギャング”も新作で活躍させる予定でいたという。“タンク・ギャング”とは、前作『ファインディング・ニモ』で、歯科医の水槽に閉じ込められてしまったニモが友達になる魚たちで、ニモが逃げ出すのをサポートするだけでなく、最終的には自分たちも水槽から脱出して自由を手に入れていた。このほど公開になる映像でスタントン監督は、脚本づくりの過程で存在した“幻のシーン”について解説している。それは、ドリー、ニモとマーリンが冒険に旅立つも、ドリーが人間に捕まってしまい、カリフォルニアの海洋生物研究所につれていかれた後の場面。当初、監督はあの“タンク・ギャング”を登場させ、彼らとマーリン親子を助けるシーンを考えていたという。映像では、幻のシーンが、簡単なイラストに音声をあわせた“ストーリーリール”で再現される。個性豊かなギャングたちが、それぞれのワザをいかしてドリーの居場所を突き止めようとする場面は必見だ。最終的に、監督たちは検討を重ねて、このシーンを削除し、別の展開を描くことになったが、その完成度は高く、スタントン監督はカットしたことを少しだけ後悔しているようだ。ピクサーの制作者たちは、脚本を何度も書き直しを繰り返す過程で、通常の映画であれば本編に採用されてもおかしくないクオリティのシーンを容赦なく削除することで知られており、MovieNEXには映画館では観られなかった“幻のシーン”や未公開映像がたっぷりと収録されている。『ファインディング・ドリー』MovieNEX 発売デジタルも配信中
2016年11月22日モデルで女優の佐野ひなことタレントのさかなクンが21日、都内で行われた映画『ファインディング・ドリー』MovieNEX(22日発売 4,320円税込 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン)発売記念イベントに出席した。ウォルト・ディズニー・ジャパンは、世界興収10億ドルを突破し、日本でも68億円突破の大ヒットを記録したディズニ/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』のMovieNEXを22日より発売。そんな本作の発売を記念し、本作の海洋生物監修を務めたさかなクン、本作の大ファンだという佐野ひなこを招いてトークショーを行った。黄色のワンピースに白のアウターを羽織って登場した佐野は、5回ほど見たという本作について「今回は泣いて笑ってって感じなんですけど、笑いの方が多い印象です、ハンクちゃんの運転がとても上手でワイルドだったので、そのシーンが大好きです。すごくハラハラしたので、ハンクちゃんの運転にも注目です」とアピール。また、会いたいキャラクターを「いっぱいいるんですけど、中でもエイ先生がかっこよかったです。好きだった先生に似ているイメージがあったので」と意外なキャラクターを上げた。クリスマスが1カ月後に控えており、クリスマスに会いたい人は? という質問に佐野は「毎回記念日になるとお母さんがケーキを用意してくれるので、お母さんに会いたいです。可愛らしいケーキを作ってくれるから、クリスマスらしいケーキを楽しみにしています」と笑顔。報道陣からは、長友佑都選手と結婚報道のある平愛梨の話題を振られ、「ますますキレイになってとても幸せなんだろうなって思います。本当に羨ましいですよね。私も是非続きたいです。来年ぐらいには」と羨望の眼差しで「今年のクリスマスは早すぎますね。もう少し時間をいただきたいです(笑)」と苦笑いを浮かべていた。
2016年11月21日ディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』MovieNEXの発売イベントが11月21日(月)、東京・カレッタ汐留地下通路で行われ、モデルでタレントの佐野ひなこ、本作で声優と日本版海洋生物監修を担当している魚類学者のさかなクンが出席した。小さなカクレクマノミのニモが、奇跡の大冒険を繰り広げてから1年後。今度は忘れんぼうのナンヨウハギ、ドリーが家族を探すため、大海原に旅立つ。世界興行収入が10億ドルの大台を突破し、ここ日本でも興収68億円を超える大ヒットを記録した。2人そろって大好きなキャラクターは「タコのハンク」だと言い、「ハンクは車の運転が上手いんですよ。ワイルドだし、そのシーンが大好きですね」(佐野さん)、「この作品の準主役。カッコいいですね。タコは私にとって原点。海の世界に興味をもつきっかけになった」(さかなクン)。また、さかなクンが自筆のイラストを使って、「皆さんがタコの頭だと思っている丸い部分は、実は胴体なんですね。映画でも生態がしっかり描かれています」と解説すると、佐野さんは「へえ」と興味津々だった。家族の絆がテーマの本作にちなみ、家族の思い出を聞かれると、佐野さんは「家族で伊豆に旅行し、釣ったタイをお刺身でいただきました」。さかなクンは幼少期、魚以上にトラックに興味があったそうで「ある日、母親が大好きなギョミ(ゴミ)収集車がズラッと並んだ駐車場に連れていってくれた」と楽しい思い出話を披露していた。イベント会場となったカレッタ汐留地下通路では、映画の世界観をイメージした高さ4mを超えるオーシャン・ドームが11月27日(日)まで展示されており、「かわいくて、テンションが上がります」(佐野さん)、「華やかでギョざいます」(さかなクン)と大はしゃぎだった。『ファインディング・ドリー』は先行デジタル配信中、11月22日(火)よりMovieNEX発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年11月21日ディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』MovieNEXの発売PRイベントが11月21日、東京・カレッタ汐留地下通路で行われ、モデルでタレントの佐野ひなこ、本作で声優と日本版海洋生物監修を担当した魚類学者のさかなクンが出席した。その他の画像物語の舞台は、前作で小さなニモが大海原で奇跡の冒険を果たした1年後。今度は忘れんぼうのドリーが、かすかな記憶を頼りに、愛する家族を探す旅に出かけることに。ドリーの親友であるニモ、そしてニモの父親・マーリンは無謀ともいえる彼女の冒険に同行するが…。果たして、ドリー出生の秘密とは?世界興行収入が10億ドルの大台を突破し、日本でも国内興収68億円超えを記録した。さかなクンのお気に入りキャラクターは、タコのハンクだといい「タコは原点でもあるし、海の世界に興味をもったきっかけ。今回、ハンクは準主役として活躍していてカッコいいですね」。自筆のイラストを使いながら、「皆さんがタコの頭だと思っている丸い部分は、実は胴体なんですね。映画には生態がしっかり描かれている」と太鼓判を押した。そんなさかなクンの生解説に耳を傾ける佐野も、「ハンクが大好き」と語り、「とても運転が上手なんですよ」と触手を巧みに使ってトラックを運転するタコのハンクにほれぼれ。「それにエイ先生がカッコいいし、ベイビードリーは可愛い。キャラクターも個性的だし、家族愛が描かれている」と魅力をアピールしていた。イベントが行われたカレッタ汐留地下通路では11月27日まで、映画の世界観をイメージした高さ約4メートルのオーシャン・ドームが展示中で、「かわいくて、テンションが上がりますね」(佐野)、「華やかでギョざいます」(さかなクン)とはしゃいでいた。『ファインディング・ドリー』デジタル先行配信中11月22日(火) MovieNEX 発売取材・文・写真:内田 涼
2016年11月21日この夏、興行収入68億円突破の大ヒットを記録し、10月9日(現地時間)には世界興行収入が10億ドルの大台を突破したディズニー/ピクサーの最新作『ファインディング・ドリー』。早くもデジタル配信中で、11月22日(火)にはMovieNEXが発売される本作から、主人公ドリーとニモ親子のコミカルなやりとりを描いた貴重な未公開シーンが、どこよりも先にシネマカフェに到着した。本作は、カクレクマノミのマーリンがナンヨウハギのドリーと共に、息子ニモを人間の世界から救出した『ファインディング・ニモ』の奇跡の冒険から1年後の世界が描かれる。いつも明るくてポジティブだけど、なんでもすぐに忘れてしまうドリーが、唯一忘れなかったのが家族の記憶。ドリーは家族を捜すため、ニモやマーリンと共にさらなる冒険の旅に出る。そんな本作から、MovieNEXのボーナス映像に収録されている、ラフスケッチの未公開シーンが到着!忘れんぼうで、せっかちで、何かと早合点してしまうことの多いドリーが、ニモ親子と共にたどり着いたある場所を、家だと勘違いしてしまうという1シーンだ。「戻ってきたわ」と大はしゃぎするドリーが目にしたのは、何かを背負っているヤドカリたち。「ハーイ、私を知ってる?」と無邪気に話しかけるものの、彼らはびっくりしてその場から逃げ出すばかり。思わずドリーは「私って魚臭い?」、さらには「ガキ大将だったの?」と頭を傾げる。さらに、「私たちが真っ裸だからいけないのよ」と、ヤドカリたちと同じように何かを身に着けようと思いつくドリー。無理やり体に金具をはめるドリーに、マーリンが「魚は服を着ないよ」と冷静にツッコむが、すっかりドリーのペースに巻き込まれてしまうところは思わず失笑。どんなときも明るく前向きな、ドリーの魅力の1つでもある“天然”ぶりが楽しめる映像となっている。このほかにもMovieNEXには、多数の未公開シーンをはじめ、ボーナス用に製作されたキャラクターたちのインタビュー集「突撃!海中インタビュー」や、非常に珍しいCGエラー映像集、メイキングなど、充実のボーナス映像を収録。本編と合わせて、『ファインディング・ドリー』の世界をより堪能することができる。『ファインディング・ドリー』は先行デジタル配信中、11月22日(火)よりMovieNEX発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年11月16日ディズニー/ピクサーの映画『ファインディング・ドリー』のデジタル配信が本日からスタートしたのを記念して、22日(火)に発売されるMovieNEXのリリースに収録されているボーナス映像が公開になった。『ファインディング・ドリー』特別映像本作は、ニモの親友で、忘れんぼうのドリーが幼い頃にはなればなれになってしまった家族に出会うため大冒険を繰り広げる物語で、ドリー、ニモ、マーリン、クラッシュなどおなじみのキャラクターだけでなく、新たに登場したタコのハンク、ジンベエザメのデスティニーなども人気を博した。このほど公開になったのは、キャラクター・アートディレクターを務めたジェイソン・ディーマーが、キャラクターデザイン法について語るメイキング映像。自分が納得がいくまで線を重ね、試行錯誤を繰り返しながらキャラクターを描く彼は、劇中に登場するキャラクターの形を“日常にあるもの”にたとえていく。ニモはある食べ物に、ドリーはスポーツで使うある道具のカタチを頭に浮かべながら描いているようで、正解は映像の中で明かされる。ちなみに『…ドリー』に登場するおなじみのキャラクターは、観客が違和感を感じないようにあえて前作『ファインディング・ニモ』と同じにデザインされ、進化したデジタル技術は7本足のタコ・ハンクなど新キャラクターで存分にいかされている。『ファインディング・ドリー』デジタル先行配信中11月22日(火) MovieNEX 発売
2016年11月15日2016年、創設30周年を迎えたピクサー・アニメーション・スタジオ。『ファインディング・ドリー』の大ヒットも記憶に新しいディズニー/ピクサー作品のうち、累計20万人以上を動員した代表4作の世界観を楽しめる体験型企画『ピクサー アドベンチャー 「もしも」から始まる、冒険の世界』がiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ にて開催されることになった。「もしも、あなたの知らないうちに、オモチャたちが動き出していたら…」(トイ・ストーリー)、「もしも、人間の子どもを怖がらせるモンスターの世界があったら…」(モンスターズ・インク)。大ヒット映画『トイ・ストーリー』の登場以降、ピクサー・アニメーション・スタジオは「もしも(What if)」という豊かな想像力から、常にその作品を生み出してきた。今回のイベントは、この「もしも」をテーマに、ディズニー/ピクサー作品の創造的な世界を独自の視点で再現し、まるで映画の世界の中に入り込んだように楽しむことができる“体験型”企画。ピクサー・アニメーション・スタジオ全面協力のもと、ディテールまで徹底的につくりこまれた創造的な世界が実現。ゲスト自身がウッディやバズの仲間となって、物語を振り返る『トイ・ストーリー』エリア、扉を開けて、モンスターたちの世界をのぞきこむ『モンスターズ・インク』エリア、マーリンやドリーと一緒に、海で巻き起こる危機を体験する『ファインディング・ニモ』エリア、そしてマックィーンやメーターたちが住む街に入り込む『カーズ』エリアと、ディズニー/ピクサーを代表する4作品の「もしも」が、目の前に広がることになる。また、会場内では、「ピクサー アドベンチャー」だけの限定グッズも200種以上展開されるという。『ピクサー アドベンチャー 「もしも」から始まる、冒険の世界』は12月21日(水)~2017年1月9日(月・祝)まで iTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズにて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年11月14日ディズニー/ピクサーの映画『ファインディング・ドリー』のデジタル配信とブルーレイやDVDなどが収録されたMovieNEXのリリースを前に、MovieNEXに収録されているメイキング映像の一部が公開になった。『ファインディング・ドリー』/特別映像『ファインディング・ドリー』は、ニモの親友で、忘れんぼうのドリーが幼い頃にはなればなれになってしまった家族に出会うために旅立ち、人間の世界を舞台に冒険しながら、家族と自身の謎に迫る姿を描いた作品。日本でも今夏に公開され、大ヒットを記録。ドリー、ニモ、マーリン、クラッシュなどおなじみのキャラクターだけでなく、新たに登場したタコのハンク、ジンベエザメのデスティニーなども人気を博した。前作『ファインディング・ニモ』に登場したドリーは、ニモを探す父親マーリンと行動を共にする“脇役”で、アンドリュー・スタントン監督は「金魚は5秒で忘れることをどこかで読んだ」ことから、ドリーが“忘れんぼう”の設定を思いつき、物語に活かしたという。しかし、本作でドリーは物語を引っ張る“主役”のため、監督はドリーについてさらに深く考え、「ドリーに自分自身を好きになって欲しい」という想いを込めて新たに語るべきキャラクター描写とストーリーを生み出した。その結果、人気キャラクターだったドリーは、さらに人気を獲得。間もなく発売になるMovieNEXでも、彼女の魅力に迫る様々なボーナス映像が用意されており、さらにファンが増えることになりそうだ。『ファインディング・ドリー』11月15日(火) 先行デジタル配信開始11月22日(火) MovieNEX 発売
2016年11月10日『ファインディング・ニモ』の奇跡の冒険から1年後の世界を描いたディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』が、早くも11月15日(火)より先行デジタル配信、続く11月22日(火)にはMovieNEXが発売される。この待望の続編でもドリーのボイス・キャストを務めた、全米で大人気の女優・コメディアンで司会者のエレン・デジェネレスが明かす“ドリー愛”が到着した。ポジティブだけど、何でもすぐに忘れてしまうドリーが、ただ1つ忘れなかった家族の記憶――自分はどこからやってきて、パパとママはいまどこに…?その謎を解く鍵は、10,000km離れた人間の世界にあった。ドリーやニモ親子、ウミガメのクラッシュやエイ先生といったキャラクターはもちろん、タコのハンク、ジンベエザメのデスティニー、シロイルカのベイリーなど、ユニークな新しい仲間も加わり、前作以上に壮大で、ドラマチックな大冒険を描き出す。本作で、前作『ファインディング・ニモ』に引き続き、主人公ドリーの英語版ボイス・キャストを務めたエレン・デジェネレス。コメディアン、女優、ベストセラー作家などさまざまな顔を持ち、レディー・ガガやジャスティン・ビーバーなどの大物セレブが続々と登場する人気トーク番組「エレンの部屋」の司会者としても知られる。彼女が司会を務めた第86回アカデミー賞授賞式では、授賞式の真っ最中にTwitterに投稿した、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ジェニファー・ローレンス、ブラッドリー・クーパーらと撮った自撮り画像がリツイート回数の新記録を樹立。会場に宅配ピザを呼んだことも話題となった。そんな全米で大人気の彼女が明かす、ドリーが世界中で愛されるワケとは?「ドリーが世界中で愛されるのは、相手に対する批判や意地悪な心がまったくないから。彼女はとても楽観的ですし、親切で無邪気です。そして、何事も決してあきらめません。もちろん自分を憐れむこともありません」とエレン。久しぶりにドリーの声を演じて、「本当に楽しかったです!」とふり返る。「ドリーはとてもかわいらしく無邪気で、子どものように純真なんです。また彼女を演じて、とても興奮しました。今作は、前作よりもドリーの感情を描いているので、本当のドリーが分かる感動的なストーリーです」。たくさん登場する魅力あるキャラクターのうち、実際に会ってみたいのは、「ハンクですね! 文句ばかり言ってるけど、愉快なキャラクターだと思います。私自身、彼とうまくやっていく自信があります!」というエレン。また、ドリーに聞いてみたいことを聞かれると、「あら、考えたこともなかったですけど、『あなたの声を演じたんだけど、どう思う?』ですかね!」と笑わせる。そして、MovieNEXを楽しみにしているファンに、「今作は、素晴らしいメッセージがつまった、楽しくて、独創的で、かわいらしくて、心温まる感動の物語です!それにピクサー作品ではおなじみの、隠れキャラクターがあちこちにあるので、そちらもぜひ楽しんでください!」とメッセージを贈ってくれた。『ファインディング・ドリー』は11月15日(火)より先行デジタル配信開始、11月22日(火)よりMovieNEX発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年10月30日カクレクマノミのニモ&マーリンの友達、ナンヨウハギのドリーが主人公となり、この夏、興行収入60億円突破の大ヒットを記録したディズニー/ピクサーの最新作『ファインディング・ドリー』。このほど、早くも11月15日(火)より先行デジタル配信、11月22日(火)にはMovieNEXの発売が決定。ピクサー作品でお馴染みのキャラクターが隠れていたことが判明する、MovieNEX収録ボーナス映像の一部が解禁となった。マーリンとドリーが、マーリンの愛する息子ニモを“人間の世界”から救出した冒険の旅から1年後。ポジティブだけどなんでもすぐに忘れてしまうドリーが、ただひとつ忘れなかった家族の記憶――。その謎を解く鍵は、1万kmも離れた“人間の世界”にあった!?ドリーやニモ親子、ウミガメのクラッシュやエイ先生といったキャラクターはもちろん、タコのハンク、やジンベエザメのデスティニー、シロイルカのベイリーなど、ユニークな新しい仲間も加わり、前作以上に壮大なドラマチックな冒険を描いた本作。このたび、MovieNEX発売決定を記念して解禁となった映像には、本作でのさまざまな“隠れキャラ”の存在が明らかにされている。◆『トイ・ストーリー』シリーズのピザ屋、ピザプラネットのトラック!迷子になってしまったドリーが海底をさまよっているシーンでは、『トイ・ストーリー』シリーズのアンディ一家がよく利用するピザ屋、ピザプラネットのトラックを発見!周りと同化していてかなり見つけにくいので、一時停止でチェックしてみてほしい。◆ピクサー作品のオープニングでお馴染みの電気スタンド、ルクソーJr.のアレ!ドリーを乗せたハンクがトラックを運転して暴走するシーンで、ピクサー作品のオープニングで登場する電気スタンドの“ルクソーJr. ”が遊ぶボールのマークが、ハンドル中央に描かれている。この“ルクソーボール”は、『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』などにも登場して(転がって)いるが、これも注意深く見ていないと気づかないかも。手に汗握るスリリングなシーンにも、ピクサーならではの遊び心がしっかりと描かれている。このほかにもMovieNEXには、ボーナスコンテンツ用オリジナル短編、非常に珍しいCGエラー映像集、そしてメイキングや未公開シーンなど、ボーナス映像を多数収録。なお、MovieNEX初回限定版には、見る角度で絵柄が変わる「ドリーのミラクル!3Dカード」が付く。『ファインディング・ドリー』は11月15日(火)より先行デジタル配信開始、11月22日(火)よりMovieNEX発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年09月27日ディズニー/ピクサーの映画『ファインディング・ドリー』のブルーレイやDVDなどが収録されたMovieNEXが、早くも11月にリリースされることが決定し、ボーナス映像の一部が公開になった。劇中に登場する“ピクサー好き必見のシーン”が収録されている。公開されたボーナス映像『ファインディング・ドリー』は、ニモの親友で、忘れんぼうのドリーが幼い頃にはなればなれになってしまった家族に出会うために旅立ち、人間の世界を舞台に冒険しながら、家族と自身の謎に迫る姿を描いた作品。日本でも今夏に公開され、大ヒットを記録。ドリー、ニモ、マーリン、クラッシュなどおなじみのキャラクターだけでなく、新たに登場したタコのハンク、ジンベエザメのデスティニーなども人気を博した。このほど公開になったボーナス映像は劇中に登場する“ピクサー映画おなじみのアイテム”について解説したもの。ピクサー作品には、ピザプラネットのトラックや、星のマークが印象的なルクソーボール、“A113”の文字など、“楽しい仕掛け”がいくつか存在するが、映像では『…ドリー』での登場シーンを解説。映画館ではドリーやニモの冒険に夢中で思わず見逃してしまった場面も、MovieNEXでは何度も戻って確認することができる。また、MovieNEXにはオリジナル短編や、メイキング、未公開シーン、CGエラー映像集などが収録される予定。さらに、11月15日(火)から対象商品を購入して応募すると、来年春に東京ディズニーシーに誕生する、新アトラクション『ニモ&フレンズ・シーライダー』のプレビューに抽選で50組100名が招待されるキャンペーンもスタートする。『ファインディング・ドリー』11月15日(火) 先行デジタル配信開始11月22日(火) MovieNEX 発売
2016年09月27日この夏の映画業界は興行成績の面ではもちろん、話題性においても『シン・ゴジラ』と『君の名は。』が圧倒的な強さを見せた。当初は『ファインディング・ドリー』と『ONE PIECE FILM GOLD』の金メダル争いを予想していたが、いまとなってはまったくの的外れだった。予想は的外れに終わったが、東宝が優れた企画力と宣伝力を発揮し、この夏巻き起こした2大旋風は、続編ものに頼りがちだった映画業界にゴジラ級、そして1000年ぶりの彗星並みの強烈なインパクトを残した。もちろん『シン・ゴジラ』は「ゴジラ」シリーズの最新作ではあるが、作品の成り立ちが非常に個性的であり、「ゴジラを見たことない」ファン層の取り込みに成功した点で、オリジナル性の勝利。『君の名は。』旋風は、もはや説明不要だ。SNSを通じた口コミも、大ヒットの要因になっており、今年で言えば『ズートピア』にも同じ現象が起こった。もちろん、映画業界もその重要性は承知しており、プロモーションの段階で「SNS発信力の強い10代~20代前半の女性にアピールすべし」と各社が躍起になっている。合言葉は「とにかく、バズりたい!」。確かに公開前は、仕掛けが功を奏し“バズる”こともあるが、いざ駄作だとわかれば、その反動たるや恐ろしいものがある。そして、こじつけだとしても『ズートピア』『シン・ゴジラ』『君の名は。』には、「音読するとタイトルが5文字」という共通点があり、人から人に伝わる文字通りの“口コミ”を検証する上で、見逃せない。職場や学校、電車のなかや街中で…。5文字のタイトルは、現代人の耳にスーッと入る語感の良さがあるのだろうか?同時にネットニュースの見出しの文字数を考えると、「最大でも題名は5文字」という意識が働きつつあるかもしれない。今後公開される映画のなかでは、『デスノート』(正式タイトル『デスノート Light up the NEW world』)、『ローグ・ワン』(正式タイトル『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』)に注目。もしどちらも大ヒットを記録すれば、「タイトル5文字=ヒットする」説が認めてもらえるかも?『ファンタビ』(正式『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)も文字数をカウントすると5文字なので、こちらのヒットにも期待したい!(text:Ryo Uchida)
2016年09月17日『ファインディング・ニモ』の13年ぶりの新作『ファインディング・ドリー』の興行収入が60億円突破を記録。併せてディズニー映画初のバリアフリー上映が8月23日から上映開始することが分かった。『ファインディング・ニモ』の奇跡の冒険から1年。カクレクマノミのニモの親友で、何でもすぐに忘れてしまう、忘れんぼうのドリーがただひとつ忘れなかったのは“家族の思い出”。「今度は僕がドリーを助けてあげる」――ニモと父マーリン、そしてカメのクラッシュや個性豊かな新しい仲間たちも加わり、ドリーの家族を探す感動の冒険が始まる。その秘密を解く鍵は、海の生き物にとっての禁断の場所=“人間の世界”に隠されていた…。アニメーションのみならず実写作品も含む2016年公開の洋画オープニングNo.1の記録を樹立した本作。公開6週目となった現在もその勢いは止まらず、興行収入は60億円を突破し、まもなく動員500万人を超える勢いを示している(8月21日時点で動員4,961,653人、興行収入60億4,405万2,900円)。このほど決定した、ディズニー映画では初の試みとなるバリアフリー上映は、「耳や、目が不自由な方にも映画を楽しんでほしい」という本作で監督を務めたアンドリュー・スタントンの想いから実現。アメリカなど数か国では既に実施されていたが、日本においてもTOHOシネマズとの相互協力のもと、晴れて実現される運びとなった。バリアフリー上映では、目が不自由な方向けにはラジオを手持ちもしくは貸与し、FM局から音声ガイドを拾って聴くことができ、耳が不自由な方向けには吹き替え版日本語字幕付き(通常の字幕に、さらに情報量を増やしたキャプチャーが付加されているもの)での鑑賞が可能となる。ディズニーは、今後も他作品でのバリアフリー上映を視野に入れており、将来的には通常上映の中で一緒に鑑賞できる形に発展させていくことを目指しているとのこと。大人から子どもまで幅広いファンを持つ同スタジオの新たな展開として、大きな注目が集まりそうだ。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月22日「くじけそうな時もありましたけど、アニメーターにならないっていう選択肢はなかったので。なれるだろうと思ってたし、根拠のない自信みたいなものを持つのは大事だと思うんですよね」。ピクサー・アニメーション・スタジオで働く原島朋幸さんは、ピクサーに入社するまでに、サラリーマンやデジタルハリウッドやアメリカでの大学生活、そして「ドリームワークス・アニメーション」にて『ヒックとドラゴン』に関わるなど、様々な経歴を持つアニメーターだ。「自分が本当にやりたいのは、キャラクターアニメーションだ」という確信と共にアメリカに渡ったという原島さんは、まさに夢を叶えた日本人クリエイターである。シネマカフェが実施したピクサー現地取材レポート最終回の今回は、前回の小西園子さんに引き続き、『ファインディング・ドリー』で活躍している日本人スタッフの原島朋幸さんのインタビューをお届けする。1993年、『ジュラシック・パーク』を観たことをきっかけにハリウッド映画とVFXに興味をもち、エンジニアとして勤めていた会社を退職した原島さん。その後デジタルハリウッド東京本校に入学し、2001年にアメリカへ語学留学、2003年には「Academy of Art University」(サンフランシスコ)の大学院に進学し、通称“ピクサークラス”でピクサー・アニメーション・スタジオのアニメーターからキャラクターアニメーションを学ぶ。2006年より「DreamWorks Animation」にて『ヒックとドラゴン』などの制作に参加し、2015年3月に晴れてピクサー・アニメーション・スタジオへ移籍している。『ファインディング・ドリー』では、キャラクター・アニメーターとして様々なキャラクターの制作に関わったという原島さんは、ピクサーならではの入念なリサーチ活動を経て、ニモやマーリン、ドリーをはじめとする様々なキャラクターたちが水中で動き回る姿を、リアリティと共にキャラクターとして生き生きと表現する過程に大きく寄与している。「『ファインディング・ニモ』の時と同じく、今回も水槽で魚を飼って観察したり、実際に魚が泳いでいる映像を撮ってきて、海の中の物理や魚の動きをキャラクターの動きとして表現するためのアサインメントを実施しました。魚がヒレを動かしているタイミングをはじめ、魚は実は左右のヒレをバラバラに動かしているということや、前に進む時も後ろ向きにヒレを動かしていることなど、実際にちゃんと見てみないとわからないんです。ほかにも、ドリーとマーリンでは魚の動きの質が違うので、アニメーターたちはそういうことにも気をつけて作っています」。制作過程の話を伺う中で印象的だったのは、魚がターンする動きを制作する際に使われたという“ある言葉”に関するエピソードだ。「よく“it looks like fish on a stick(これは魚と棒の動きみたいだね)”という言い方をされることがあるんです。魚がターンする動きを表現するときに、魚がスティック(棒)の上に乗って動いているように見えてしまうことがある。実際の魚は、ヒレを動かして棒の周りを回るようにターンしてるんです。経験のあるアニメーターでも、気にしていないとそういう表現をしてしまいがちなんですよね。実際に魚の動きを見てからじゃないと、何か足りない、違う動きになってしまうんです」。ほかにも、ヒレを動かしていない時に魚たち自らの重みで沈む動きや、生き物たちの大きさや重さの違いを表現することが、全編に渡って海の中の世界が舞台である本作のリアリティへと大きく影響しているのだとういう。「重さっていうのはすごくキーになるので、アニメーターにとってはチャレンジですね。ウミガメのクラッシュとスクワートでも重さが違いますし、デスティニーや、ニモ、ドリーではスケールが全然違うんですね。例えば、デスティニーがヒレを動かすときに起こる対流を受けて、ドリーやニモが動く表現をしなくちゃいけない。だって、波が来たのに魚が流されたり横揺れする表現がないとおかしいじゃないですか。そういった微妙なこだわりが、すごくリアリティに貢献していると思います」。前作『ファインディング・ニモ』に引き続き、アンドリュー・スタントンが監督を務める本作。傑作として知られる『ウォーリー』なども手掛けるアンドリュー監督の仕事ぶりは、アニメーターとして参加した原島さんの目線からはどう映ったのだろうか。「アンドリューがよく言ってたのは、“ナショナルジオグラフィックのようにリアルに”ということでした。演技は当然大事なんですが、キャラクターが演技をした上で、動きはきちんとリアルな魚じゃないとダメだということです。キャラクターが演技しているのはほかのアニメーションでもあると思うんですけど、本作ではキャラクターたちが魚だっていうことが、観客が観ていて疑いのないレベルで説得力がないといけない。そこにすごくこだわりがありましたね」。さらに、『アーロと少年』にて監督を務めたピーター・ソーンとアンドリューの監督としての違いについて、興味深い比較を原島さんは語る。「アンドリューはあるシーケンスを制作する前に、監督の中でキーとなる部分だけ説明して、細かい説明はあんまりしないんですよ。すごく“loose(ゆるい)”な状態で、アニメーターはいろいろ考えながら、ラフなアニメーションを監督に見せるんですね。監督はそれを見てから個別に細かく作り込んでいく。ピーターの時は最初からすごく細かったですね。でも彼はオープンだったので、アニメーターの方から監督に意見を提案すると、受け入れてくれる部分もあるし、『そのアイデアはすごくいいけど採用できない』っていう時もある。アンドリューもそうですね。彼は彼のアイデアがあるので、曲げないときは曲げない」。「諦めたら終わりじゃないですか。壁に当たっても、とにかく好きなことがあるんだったら、それに向かって続けることですね」。そう語る原島さんは、昨年の入社に至る前にも、一度ピクサーの面接を受けたことがあるそう。その時は採用に至らなかったが、「ドリームワークス・アニメーション」のサンフランシスコ郊外のオフィスで7年半の間働いた後、『アーロと少年』の制作スタッフとしてピクサーへの入社が実現。晴れて念願のスタジオでのキャリアをスタートさせた。「“努力すればば報われる”っていう言葉と同じくらい、“努力しても全てが報われるわけではない”っていう言葉を聞くんですけど、どっちも正しいと思うんですよね。でも努力は裏切らない。もし目標にたどり着けなくても、努力したことは自分の血と肉になるし、何をやっても人生損はないんですよね」。脱サラを経て、世界一のアニメーション・スタジオで働く原島さんの言葉には、ずしんとくるものを感じた。観客である私たちにとって、『ファインディング・ドリー』のキャラクターたちの生き生きとした姿の裏に、原島さんをはじめとする夢を叶えたクリエイターたちの表現する喜びがあると思うと、鑑賞後にはまた異なる感動が生まれてくる。これまでも、シネマカフェが実施した現地取材レポートを通して、本作に関わった様々なクリエイターたちの思いを紹介してきたが、本特集を通して、『ファインディング・ドリー』があなたにとって忘れられない作品になってくれることを切に願う。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月21日夏休み映画の大本命として大ヒットを記録している『ファインディング・ドリー』。これまで、シネマカフェが実施したピクサー・アニメーション・スタジオの現地取材レポートを通して、本作で活躍している数々のクリエイターのインタビューを紹介してきたが、実は本作には、ピクサーで働く日本人のスタッフも制作に関わっている。現地取材レポート第7弾の今回は、本作でキャラクター・テクニカル・ディレクターを務めた小西園子さんのインタビューをお届けする。「ニモにもう一度会いたい!」――前作『ファインディング・ニモ』への参加後も、長らくニモたちとの再会を待ち望んでいたという小西さん。本作で小西さんは、水中に漂うプランクトンや塵を表現するシミュレーションを担当しており、『ファインディング』シリーズの大部分を占める、水の中の世界のリアルな表現に一役買っている。小西さんがテクニカル・ディレクターのアシスタントとしてピクサー・アニメーション・スタジオで働き始めたのは、世界初の長編CGアニメーションとして公開された『トイ・ストーリー』の、まさに制作真っ只中だったという1994年8月のこと。「その時は、ピクサーがソフトウェアの会社だっていうのはわかってたんですけど、アニメーション作品としては短編『ルクソー Jr.』を作っていたのを知っていたぐらいで、『CGで長編作品?』っていう感じでしたよ」と当時を述懐する。その後、セット美術や照明、コマーシャル制作、キャラクター・モデリング、モデリングの関節制御など、様々な仕事を通して『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『Mr. インクレディブル』『メリダとおそろしの森』『インサイド・ヘッド』といった、ほぼすべてのピクサーの長編作品に関わっている。本作の制作にあたって、13年前となる前作の制作時との技術的な変化について尋ねると、「使っている技術はかなり進歩して変わっているんですけど、続編としての世界観を壊さないようしています。前作よりもキャラクターたちの泳ぎは綺麗になったし、表情も豊かになって、水中や水面の表現も、かなり本物のように見えると思いますよ」と、表現力の向上と複雑さを増したという制作過程について語る。これまでの様々なクリエイターのインタビューにおいても、本作で登場する新キャラクター、ハンクのチャレンジングな制作過程について語られてきたが、小西さんも同じくハンクの制作について、「ぬるぬるとしたタコの皮膚感や、吸盤が吸い付いて離れる様子を表現しています。それぞれが早いショットであまり見えないかもしれないですけど、ちゃんとやってるんですよ」と、その大変さとやりがいについて語った。「私たちシミュレーションの仕事は、『気づかなかった』と言われるのが一番いいんです」と話す小西さん。「パイプの中などの狭いシーンでも、きちんと水が流れていることがわかるような表現や、キャラクターの動きに合わせた水の流れを加えたりしながらも、決して画面上がうるさくならないようにしています」。観客である私たちが、キャラクターやストーリーに夢中になることができるのは、あまりに自然すぎて意識することがないほど繊細な表現を担っているシミュレーションという影の立役者のおかげなのだ。年々フォトリアルと呼ばれる本物と見紛うほどアニメーション表現すらも実現しているピクサーだが、『ファインディング・ドリー』の同時上映作品である『ひな鳥の冒険』でも、実写と勘違いしてしまうほどのリアリティが多くの観客を驚かせている。今後のピクサー作品における表現と技術の関係について小西さんは、「デザインやお話によって世界観が変わっていくので、全部がフォトリアルにはならないです」と語る。「『アーロと少年』の時に本当にリアルな世界を作ったんですけど、それがずっと継続するかというと、そうじゃないんですね、全てストーリー次第なので」。これまでのインタビューでも何度か同様の質問を投げかけてきたが、全てのクリエイターがキャラクターとストーリーの重要性についてまず指摘し、あくまで技術はそれを表現するためにあることを共通して語っており、改めてピクサーで働くスタッフが同じ価値観のもとでチームワークを発揮しているのだという事実に驚かされる。世界初の長編CGアニメーション作品である『トイ・ストーリー』に関われたことを、「おそらく人生で一番の経験です」と語る小西さん。ピクサーで働く上での心意気について尋ねると、「仕事のほかにも、自分の趣味とか興味を必ず持っていないと、燃え尽きちゃう人も多いと思います。自分らしさを持っていないと新しいことにも興味が湧かなかったり、与えられた仕事で満足して、そこから先に進めなくなってしまうと思うので」と話す。そんな小西さんは、もともと裁縫やコスチューム作りが趣味のようで、それがそのまま服の質感などを表現するシミュレーションへの興味へとつながっているようだ。ちなみに最近は3Dプリンターに夢中なのだそう。ピクサーがその歴史的な歩みを刻み始めた『トイ・ストーリー』から、20年以上に渡ってクリエイティブに関わり続けている小西さん。同じ日本人であることにどこか誇らしい思いも感じながら、ぜひ劇場で『ファインディング・ドリー』の美しい世界を体感してみて欲しい。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。次回で最後となる現地取材レポートでは、ピクサーで働くもうひとりの日本人クリエイター・原島朋幸さんのインタビューをお届けする。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月20日本格的な夏休みシーズン真っ只中、『ファインディング・ニモ』待望の続編として公開中の『ファインディング・ドリー』は公開からますます動員数を伸ばし続けている。これまで、シネマカフェが実施した現地取材レポートを通して、本作に関わる様々なクリエイターたちのインタビューをお届けしてきた。レポート第3弾にて、“ブレイントラスト”と呼ばれるディズニー/ピクサー流のストーリー構築方法についてご紹介したが、ストーリー部門のクリエイターたちが複数人集まり、アイデアを出し合うことでストーリーがブラッシュアップされていくその過程は、チームメイト間の共通認識や意思疎通はもちろん、スタッフたちが自由にアイデアを出し合えるフラットな関係性がなければ成立しない方法である。果たして、ピクサー・アニメーション・スタジオのクリエイターたちは、どのようにしてそのチームワークを育んでいるのだろうか?現地取材レポート第6弾となる今回は、カリフォルニア州エメリービルに位置する、ピクサー・アニメーション・スタジオ訪問記をお届けする。数多くの傑作が生まれたこの場所で、彼・彼女たちのチームワークが育まれる秘密に迫った。美しいフォントで綴られた大きな「PIXAR」の文字が飾られたゲートをくぐると、右手には豊かな緑が広がっている。左右に生い茂る樹々に囲まれた緑道を歩くと、目に飛び込んでくるのはピクサーの作品の冒頭に必ず登場する「ルクソーJr.」と「ルクソーライト」の巨大オブジェ。それらの向かい側に、ピクサー・アニメーション・スタジオのメインビルディングである「THE STEVE JOBS BUILDING」の美しいガラスの壁面が視界いっぱいに広がる。アップルの社屋をはじめ、アップルストアの建物の美しいガラス張りのデザインにこだわったジョブズの哲学がここにも表れている。「THE STEVE JOBS BUILDING」という名称は、スティーブ・ジョブズが亡くなった2011年の翌年、彼への追悼の意を込めて名付けられた。建物に入ると、まずその空間的な広がりと開放感に驚かされる。広い天井に、左右に分かれた2階部分のオフィス、1階のカフェテリアや、ショップ、ソファ、カフェテーブルなど、全体の様子が一望できるアトリウムの天井からは光が差し込み、空間全体に風通しの良い雰囲気が感じられる。それぞれ別のプロジェクトで働くスタッフの間でも、1階に訪れば、偶然の対話や自然なコミュニケーションが生まれるような空間としてデザインが施されている。広々とした1階ラウンジの右手には、ソファスペースにディズニー/ピクサーのグッズショップ、スタッフのメールボックス、テーブルが並べられた休憩スペースが配置され、左手には受付、ビリヤード台やテーブルフットボール台などが並べられたリフレッシュスペースらしき空間、カフェテリアが配置され、奥側の正面のスペースにもゆったりとしたソファが並べられいる。全体としてたっぷりと幅をとった余裕のあるレイアウトであり、リラックスした雰囲気が漂う。また、奥側の左右の上空には幾つものスピーカーが縦に積まれており、仕上がった作品が上映される際などに使用されるようだ。そして何より目を引くのは、訪れた者たちを明るく出迎えるように並べられたピクサー作品に登場するキャラクターのオブジェの数々。エントランス周辺に並べられた『カーズ』のルイジ&グイド、『インサイドヘッド』のビンボンをはじめ、受付横のレゴブロックでできた『トイ・ストーリー』のウッディ&バズ、ビリヤード台の横には『Mr.インクレディブル』の一家が並び、スタッフたちがキャラクターたちを身近な存在と感じているような印象だ。ほかにも、壁面にかけられた巨大な『ファインディング・ドリー』のコンセプトアート、トイレの表札にこっそり忍ばされたウッディとブルズアイのシルエットなど、至るところに作品の数々が散りばめられ、エントランス横に並べられたトロフィーの数々からは、アニメーションスタジオとして自負と気概が感じられる。大きく左右に分けられた2階スペースは、それぞれ“右脳”と“左脳”をイメージしされているようで、右脳部分を司るのは、キャラクターやデザインなど芸術的なクリエティブを担当する部門であり、左側の左脳部分には、作品におけるテクニカルなパートに携わるクリエイターたちの仕事場となっているようだ。2階の右脳部分に足を運ぶと、アートスペースのごとく壁一面には『ファインディング・ドリー』のアートワークの数々が飾られていた。キャラクターたちが生まれる原型となったスケッチやコンセプトアートをはじめ、立体のオブジェや美しいグラフィックに至るまで、作品の制作過程における膨大な量のアーカイブが展示されており、まるで美術館の特別展のような佇まいが感じられる。また、これらの展示は新作の公開ごとに入れ替わるようで、これまでの作品分のアートワークがアーカイブされているかと思うと、あまりの贅沢さにため息が出る思いだった。「THE STEVE JOBS BUILDING」を出て、左に続く緑道を抜けた左手に見えるのは、「ブルックリン」と呼ばれる第二の建物だ。中に入ると、「THE STEVE JOBS BUILDING」におけるガラスや鉄などの無機的なイメージとは一転、レンガや木材による壁面や絨毯敷きの空間などが広がり、どこか暖かい雰囲気漂う空間が印象的だった。こちらにおいても、『モンスターズ・インク』のサリー&ボブのオブジェや、石畳にこっそり隠されたウッディのシルエットなど、キャラクター愛が感じられる配置はもちろん、ガラスケースに保管されたスティーブ・ジョブズとジョン・ラセターがやりとりした手紙や(ジョブズのハンドライティングの美しさには驚かされた)、ソファラウンジのようなリラックススペースには、かつて野球場だったという本スタジオの土地の歴史を記すギャラリー展示が壁面に飾られるなど、常に新しいクリエイションが生み出される場としての「THE STEVE JOBS BUILDING」に対して、こちらは時間の蓄積によって育まれる歴史の息遣いが感じられる空間が広がっていた。ほかにも、敷地内にはプールやサッカー場、テニスコートなど、体を動かすことができるスペースも確保されており、スタッフたちが気軽にリフレッシュできる環境が整えられている。また、「THE STEVE JOBS BUILDING」内のカフェテリアはオーガニックな野菜中心のメニューで、スタッフの健康への配慮がここでも行き届いている。「THE STEVE JOBS BUILDING」2階に設けられているアーティストたちのプライベートな作業部屋は、それぞれが個性的に装飾すること推奨されているという。存分にリラックスできるカフェや緑道などのパブリックな空間と、自分の好みに合わせてデコレーションされた空間で制作に打ち込むことができるプライベートな空間、そのどちらもが揃うこの場所は、まさにクリエイターたちにとっては理想的な職場と言えるだろう。「ここには、とても一生懸命働いている素晴らしい人々がすごくたくさんいて、彼らと一緒に仕事が出来ることは、モチベーションを維持させるよ」――マーク・ソンドハイマー 『ひな鳥の冒険』プロデューサー「ピクサーは、自分たちはこの映画に関わっている、とみんなに感じさせるのがとてもうまいの」――リンジー・コリンズ『ファインディング・ドリー』プロデューサー「自分の周りを、自分が敬意を感じる仕事をしている人たちで固めて、一緒に仕事をしながら、素晴らしいアーティストになるために自分自身を駆り立てることが大事なんだ。仲間のグループからの正直なフィードバックは、成功するための鍵だよ」――アンガス・マクレーン『ファインディング・ドリー』共同監督「いい日には一緒に喜び合い、一緒にその日を過ごすことができる、まるで家族のようです。いいチームメイトがいるときには、どんなことでも一緒にできるんです」――ロナ・リュー『ファインディング・ドリー』シェーディング・リード現地取材を通して実施したインタビューにて、誰もがピクサーで働くことの喜びとやりがいを笑顔で語っていたのがとても印象に残っている。ピクサーの作品から感じ取ることができる、困難や苦しみに決して覆われることのない生きることの喜びや、人生への力強い肯定は、何よりここで作品を生み出すことへの喜びに溢れたクリエイターたちあってのことなのだろう。そしてそれは、映画作りの仕事に限られたことではない。幸福に働くことのヒントが、ここにはたくさんあるように思えた。『ファインディング・ドリー』は、全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月20日現在大ヒット公開中の『ファインディング・ドリー』。これまで、シネマカフェが実施したピクサー・スタジオ現地取材レポートをご紹介してきたが、ディズニー/ピクサーにて活躍中のアーティストたちへのインタビューにおいて共通して登場していたのが、彼らが制作に先立ってリサーチ活動を行ったというモントレーベイ水族館である。シネマカフェの現地取材レポート第6弾では、実際にモントレーベイ水族館に赴き、ピクサーのクリエイターたちのリサーチのサポートを行ったという水族館のスタッフの方々に実施したインタビューをご紹介する。もともとはイワシの缶詰工場だったというモントレーベイ水族館は、アメリカ西海岸、カリフォルニア州サンフランシスコのモントレーベイにて1984年にオープン。年間200万人もの来館者数を誇る同水族館は、取材当日も多くの人々で賑わっており、中でも子ども達の姿が多く見られた。そのことについてスタッフに触れると、学校の課外授業としての来館を多く受け入れているとのことで、子どもの頃に授業で訪れた人々がやがて親になると、自分たちの子ども達を連れてくるという人が多いという。このエピソードからも、観光スポットとしてはもちろん、地元の人々にも愛されている水族館であることがわかる、どこかアットホームな雰囲気が感じられた。前回、『ファインディング・ドリー』におけるセットの制作過程についての記事で、本作で印象的に登場する「ケルプの森」について触れたが、本水族館は世界で初めてケルプの育成に成功した水族館であり、ピクサーがリサーチ先として選んだことも頷けるほど、研究機関としても充実した設備を構えている。ほかにも、本館は海洋生物の保護にも力を入れており、案内されたバックヤードでは、保護されたラッコについてのエピソードなどが披露された。本作品内で、ドリーとハンクの関係性における重要なキーとなる、ドリーが研究所のスタッフに捕らえられた時に付けられてしまう“タグ”のエピソードも、本水族館のリサーチを通して生まれたのかもしれない。本取材では、ピクサーのスタッフが同水族館へのリサーチを実施するにあたって、数年に渡り協力したというモントレーベイ水族館飼育繁殖部長のジョン・ホーシュさんのインタビューを実施。ピクサーのクリエイターたちが、リサーチ活動においてどのような仕事ぶりを発揮していたのかについてお話を伺った。「僕らは、3、4年前に、ピクサーのスタッフからアプローチを受けた。彼らは『ファインディング・ニモ』の続編をやる可能性があるので、リサーチをしているところだった」とジョンは話し始める。「そして彼らは、モントレーベイ水族館には、彼らにとって興味のある施設と展示があると結論を出したんだ。彼らは、当水族館の施設や展示が、新しいキャラクターを開発する上でインスピレーションを与えてくれたり、また、公共の水族館がどう運営されているかとか、自然史や、ここにいる生き物たちの生物学(生態)を学ぶことが出来るかもしれないと思ったんだ」。そうジョンが語るように、新キャラクターのハンクのインスピレーションのもととなったと思われるタコについての展示スペースが、本館に置いては広く設けられており、タコそのものの展示はもちろん、映画や絵画など、様々な文化の中でモチーフとして登場してきたタコの歴史についても数多く展示されている。「最初は、監督たちやプロデューサーたちがここに来て、そのうち、彼らのチームが大きくなっていくと、もっともっと、人がやって来るようになった。アニメーターたちや、照明の人たち、セットデザインの人たちがここにやってきて、何時間も使って、歩き回ったり、観察したり、システムの中の動物たちのディテールについて話したりした。そういったことが、しばらくの間続いていたよ」。これまでの記事でも触れたとおり、とにかく微に入り細に入り徹底したリサーチ活動を実施するのがピクサー流だ。同水族館のスタッフ達とのやり取りは、きっとピクサーの面々の知的好奇心を大いに刺激したに違いない。「彼らはとてもクリエイティブな人たちのグループで、エリアを歩き回りながら、常にアイディアを生み出していたよ」。さらに、まるで科学者のような目線で生物や建物の構造についての質問を投げ掛けれたというジョンだが、やはりフィルムメーカーとして独創的な視点を持つピクサーの面々には驚かされるところもあったという。「僕らは、水族館と結びついたものの見方をしているけれど、彼らは、私たちとかなり違った見方をする。ここには、プロテイン分留装置(水をきれいにするフィルターのこと)というものがあるんだけど、彼らはそれを見たときに『火山だ!』と言ったんだ。彼らは、僕らとは別の視点から刺激を受けるんだ」。また、実際に作品を鑑賞したというジョンに、とりわけハンクの印象について尋ねてみると、「ハンクはとてもおかしくて、チャーミングだったよ。興味深いキャラクターで、見ていてとても楽しい存在だ。間違いなくね」と賛辞を寄せる。「タコがアニメーションのキャラクターになっているのは見ていてとても楽しかったよ。彼らはとてもよく科学的情報や、動物について理解すると同時に、それをキャラクターたちのコミック・リリーフのために大げさにして、映画をエンターテイニングなものにしたんだ」。タコという生物の複雑さを理解しているジョンだからこそ、どれだけハンクの描写が複雑であり、それを成し遂げた上で魅力的なキャラクターに仕上げるピクサーの手腕には、やはり私たち観客とはまた違う感動があるに違いない。ジョンのインタビューの後は、同水族館のバックヤードに案内された。幾つかの扉を抜けて披露された水族館の裏側でまず大きく目を引いたのは、巨大なダクトの数々。ピクサーのスタッフが調査を続ける中で注目していたという巨大なダクトは、本水族館内に取り入れられる海水や、フィルターを通した水の流れなどが、計算された回路として設計されているのが一目でわかり、水族館の心臓部を目撃しているような、ダイナミックな景観が広がっていた。さらに歩みを奥に進めると、至るところに見覚えのあるビビットなイエローの手すりの数々が視界に飛び込んでくる。この手すり、本編を見るとなんとも印象的なハンクとドリーの脱出シーンで、まさにそっくりな手すりが登場するので、ぜひこれから鑑賞する際には注目してみて欲しい。バックヤード探訪を終えて、いざ水族館の展示スペースに足を運ぶ。600種類もの生き物が展示されている水族館だけあって、広大な館内には見応えのあるダイナミックな展示の数々が来場者を飽きさせない。中でも、『ファインディング~』シリーズファンにとってはもはやお馴染み、マーリンとニモのモデルとなったクマノミや、ドリーのモデルであるナンヨウハギが同じ水槽の中で泳ぐ展示には注目したいところだ。ほかにも、思わず目を見張ってしまうイワシの大群が堪能できる巨大水槽や、圧巻のケルプの森、数多くの美しく幻想的なクラゲの展示や、ラッコやペンギン、ウミガメなど、日本の水族館とはまた違うスケール感が楽しめる展示ばかりだった。そして、なによりも窓の外に広がるモントレーベイの海の美しさに目を奪われる。実際に波打際が間近で見られる建物の外のバルコニースペースに足を運び、改めて建物全体を仰ぎ見てみると、なるほど、海と直結する本水族館が、いかに『ファインディング・ドリー』の世界に影響を与えているのかがわかる。ピクサーのクリエイターたちの頭の中でみるみるビジョンが広がっていく過程を、ほんのすこしだけ追体験ができる気分にもなれる、壮大な光景が広がっていた。もしカリフォルニアに訪れる機会があったら、ぜひ足を運んでみて欲しい。『ファインディング・ドリー』は、全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月15日「もし実写映画を作る場合なら、この部屋を描くときに、テーブルや椅子などについて考える必要もありません。それらのものはここにあって、ただ撮影すればいいわけです。でも、僕らがアニメーションを作るときには、すべてをデザインして、材料を自分で用意しないといけません。もしそれをやらなければ、全てのものはそこにはないわけです」。海の中の生き物たちの活躍を描いた『ファインディング・ニモ』の待望の続編として公開中の『ファインディング・ドリー』で、セット・アートディレクターを担当したドナ・シャンクがそう語るように、アニメーションの世界では、キャラクターたちが生活を営む世界そのものを生み出さなくてはいけない。これまでに、様々な人気キャラクターを生み出してきたディズニー/ピクサーだが、それらが生き生きとストーリーの中で動き回る姿に私たち観客が夢中になれるのは、美しくデザインされた背景やセットの存在があってのことなのだ。シネマカフェが実施した現地取材レポート第5弾では、『ファインディング・ドリー』の舞台のデザインに関わった2人のアーティストのインタビューをお届けする。本作で、映画の中の世界の撮影セット及び周辺環境を開発していくセット・アートディレクターを務めたドン・シャンクは、TVアニメの製作を経て、フリーランスのアーティストして長編作品『モンスターズ・インク』『Mr.インクレディブル』のデザイン開発に携わり、その後2004年よりピクサーに所属。引き続きデザイン開発班のアーティスト及びアートディレクターなどを務め、アカデミー賞受賞作『カールじいさんの空飛ぶ家』及び『インサイド・ヘッド』ではセットを担当した。シェーディング・リードを担当したロナ・リューは、2011年に美術部門におけるスケッチ&シェーディングアーティストとしてピクサー・アニメーション・スタジオでのキャリアをスタート。『アーロと少年』や『ファインディング・ドリー』などの作品に関わり、主にキャラクターや風景、小道具の色付けやテクスチャーのデザインを担当した。10歳の時にカリフォルニアに引っ越してきたという中国生まれのロナは、小さい頃からディズニー映画のファンだったという。「これから、『ファインディング・ドリー』の世界をデザインすることについて少しお話ししましょう」と、まずはドンがプレゼンテーションを始める。彼の仕事は、リサーチを元にコンセプトアートを描き、それを物語とカメラワークに合わせて洗練させていくことだ。前回ミズダコのキャラクター、ハンクが生まれる過程をご紹介したが、今回のセット作成においても同様に、制作のはじめには緻密なリサーチが実施されたという。「僕らがリサーチ旅行に行ったとき、何千という写真を撮りました。特定の場所にだけにある、独自の、本物のディテールを、出来るだけ集めようとしたからです」。ここでも、モントレーベイ水族館の協力のもと、ケルプの森や人工水槽など様々な写真や映像素材を用意したという。スクリーンに映し出された美しいケルプの森の写真を眺めながらドンは話す。「ほとんど抽象画のようですね」。その後、それらのリサーチをもとに、コンセプト画が作成される。本作のように規模の大きい作品の場合は、いくつかの分野に分けた制作が行なわれるようで、今回は、マーリンやニモたちが暮らすサンゴ礁をはじめ、魚たちにとって恐ろしいところでもある外洋の空間、ドリーたちが冒険していく中で訪れるケルプ(海藻)の森、そしてドリーがハンクと出会うことになる海洋生物研究所の4つにカテゴライズされて制作が進められた。取材陣が眺めるスクリーンには、プロダクション・デザイナーが作成したそれらの場面を描いた美しいグラフィックが映し出された。それらのグラフィック画を元に、アーティストたちは「モデル・パケット」と呼ばれる、作品の中での舞台セットを作成する。コンピュータを使って繰り返し同じ背景が使われたような仕上がりにならないためには、一つのセットに対して、様々なバリエーションが作成されるのだ。「僕らは、ただどういうふうに見えるものになるかとか、それらをどのように作るかとか、どんな色にするかということを考えるだけじゃなくて、映画全体における、アーティスティックな影響を考えるということです」。そうドンが語るように、ディズニー/ピクサーでは、その空間を生きるキャラクターたちとの感情的な結びつきや、実際にストーリーの展開によってセットに変化を加えるという。「たとえば、ドリーがケルプの森で、水面に向かっていくとき、近づいていくにつれて、もっと希望に満ちてくるように感じたいわけです。多分、彼女は、彼女の疑問に対する答えを見つけようとしているんだ、とね」。さらに、アーティストたちは様々なディテールを描くことにも決して手を抜かない。海洋生物研究所にける非常口のサインや、排水溝、天井、さらには、キャラクターの視点から見た世界など、ありとあらゆる細部にまで注意を払っていく。「たとえば、ここで働いている人々は、あの小さなフックに、ホースをかけたりします。そういう小さなディテールを探しているんです。出来る限りこういったアイディアをたくさん集めて、信ぴょう性があって、生き生きと感じさせるようにします」。次に、「コンテクスト・ペインティング」と呼ばれる行程で、デザインするセットの具体的な長さや高さ、幅など、機能的なデザインについて監督や撮影監督らとの話し合いが行われた後に、具体的に映画のシーンの中でどのようにその場面が見えるのかが描かれていく。また、ここで照明が与えるセットへの影響や、描かれるセットの素材がどのように見えるかなどについても議論が交わされる。ディズニー/ピクサーの映画で描かれる舞台は、ワンシーンの中で、キャラクターたちが動き回る背景として必要な分だけが描かれるだけではなく、監督の要請や新たなアイディアに対応するために、そこに実際にカメラを入れて、どんなカットが撮れるかがシミュレートすることができるように、リアルな空間的な広がりのある舞台として描かれていくのだ。さらに、ドンに続きロナから「カラー・スクリプト」についての説明が行われた。あらゆるデザインに対して一旦監督の承認が下されると、ロナたちシェーディングのスタッフによって、デザインされたセットに色や質感が加えられていく。「カラー・スクリプトの主な目的は、そのシーンのムードを確立することです。そのために、照明はどんな色で、どこに照明が置かれているのか、その照明の強さはどれくらいか、という情報をデザインしていきます」。その後、粘土で図形を作るクレー・スカルプチャーが舞台模型を作成し、それをもとにコンピュータ上で3Dモデラーが作成され、そこにペインティングが施されていくという。そこでも、ストーリーの中を生きるキャラクターたちとの感情的な結びつきを忘れないのが、ディズニー/ピクサーのクリエイションだ。「キャラクターたちは生命に満ち溢れているので、環境も生きているというように感じてもらいたいんです。だから、光が通ったり、カメラがパンする時、これらのキラリとした輝いた金色のものが見える。このエリアに命を吹き込むためです」。「多分、スクリーン上にこの部屋自体が出てくるのは3秒だけだと思います」。仕上げられたセットの画像が映し出された画面を眺めながら、ドンは話す。「でも、もし映画の中のすべての部分のために、これらの作業を全部やらなければ、ストーリーから気持ちがそがれたりするんです。そういうことは出来ません」。たった数秒しか出番がないセットだったとしても、決して手を抜くことがないその姿勢を、なんてことないように語るドンとロナの姿には、なんとも眩しい思いがした。「ここでやっているすべてのことは、常にストーリーをサポートするということです」。これまでの現地取材レポートでも、ディズニー/ピクサーの最先端の技術によるクリエイションの行程を見てきたが、それらがある種の技術的なプレゼンテーションに終始してしまう描写になることを、ディズニー/ピクサーは徹底して否定し続けている。あくまでそこにはストーリーとキャラクターがあり、それらにいかに生命を与えるかということ、それがアニメーションスタジオとしての彼・彼女たちの至上命題なのだ。それが見失われることは決してない。「そこでキャラクターが何をしていて、それがセットにどのように影響しているかということを考えるんです。僕らはいつもストーリーについて考えています。すべてが関連していますからね」。『ファインディング・ドリー』で描かれるあらゆる世界は、一見してとにかく美しいものばかりだ。海の中に漂う細かな塵や、海底に差し込む光の揺らめき、さらに海洋生物研究所内の精緻な描写に至るまで、それらはあくまでストーリーの裏側の役目を果たしながらも、ふとした時に私たちの目を奪うほどの存在感をも発揮している。魅力的なキャラクターに感動的なストーリーはもちろんだが、それらを包み込むセットにも、ぜひ注目してみて欲しい。ディズニー/ピクサーが描きたい美しさが、そこには感じられるはずだ。『ファインディング・ドリー』は、全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月13日『アナと雪の女王』を超えて全米歴代アニメーションNo.1記録達成した現在公開中の映画『ファインディング・ドリー』。この度、8月9日(火)にTOHOシネマズ 梅田にて行われた大ヒット御礼舞台挨拶に、本作で声優・日本版海洋生物監修を担当したさかなクンが登場した。現在公開中の本作は、日本ですでに360万人動員、興行収入44億円を突破。週末の映画ランキングでは、公開週に2016年洋画No.1の成績を記録し、現在4週連続のTOP3入りをしており、まだまだ勢いは止まらない。本作は、子どもから大人まで幅広い客層に支持され、日本中で“ドリー現象”が巻き起こっている。この日、さかなクンは映画に登場するキャラクターモデルになったお魚を自ら描いた特製の白衣で登場。白衣の前面左には水タコ、ナンヨウハギ、カクレクマノミ、背中にはジンベエザメがあしらわれていた。まず始めに「ドリーとニモが大好きなさかなクンです!今日はドリーちゃんの魅力をお話しに参りました!」と挨拶。客席からは歓声が上がり、子どもたちからは「ナンヨウハギー!」と声援も上がっていた。ドリーのモデルとなったナンヨウハギがどんな魚なのか聞かれると、「ナンヨウハギは、泳ぎ方に特徴があり、身体をまっすぐにしながら胸ビレを鳥の羽のようにパタパタして泳ぎます。早く泳ぐときは尻尾も使います。青い体に黒い模様、真ん中に穴が開いてる模様です。画家さんが使うパレットのような形をしていて英語の名前ですと“パレットサージョンフィッシュ”と言います。パレットのような黒い模様、サージョンというのは尻尾の近くのトゲで、これは外科の手術で使うメスに似ているのでパレットサージョンフィッシュと言われます」と説明。また、カクレクマノミについて聞かれると「カクレクマノミは体全体をくねくねしながら泳ぎます。名前の由来は歌舞伎役者の顔の模様、“クマドリ”の模様に似ているのでクマノミになりました」と説明し、子どもだけでなく、大人も真剣に耳を傾けていた。そして、声優を担当したことについては「超うれしいでギョざいます! 僕のアタマのフグちゃんの親玉的存在のマンボウの声を担当しています!マンボウちゃんが小さいドリーちゃんに道を尋ねられるところで一言だけしゃべっています!あのマンボウ、さかなクンかな?と気づいて頂ければ嬉しいです!」と呼びかけた。最後にこれから映画を観る方に向けて「もう本当に注目は~…全部ぅっ! さかなクン的にはまばたきするのがもったいない!っていうぐらいの一瞬一瞬が感動でギョざいます!海の輝き、イキイキとしたお魚たち、海の仲間たちの友情の素晴らしさ。ずっと観てたい感動です!」と魅力を語り、「さかなクンも、ギョ(5)回観ていますが、ギョジュッ(50)回ぐらい観たいです!」と鑑賞目標を掲げていた。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月10日2016年8月6日、7日の全国映画動員ランキングは、『シン・ゴジラ』(全国348館)が公開2週目も首位を守り、2位の『ファインディング・ドリー』(全国362館)、3位の『ONE PIECE FILM GOLD』(全国346館)も順位をキープした。その他の画像/動員ランキング週末に封切られた『劇場版仮面ライダーゴースト100の眼魂とゴースト運命の瞬間』(全国302館)は初登場4位。『ルドルフとイッパイアッテナ』(全国332館)は初登場5位。『秘密 THE TOP SECRET』(全国304館)は初登場6位につけており、次週、TOP3内がどのように変動するのか注目だ。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『シン・ゴジラ』2位『ファインディング・ドリー』3位『ONE PIECE FILM GOLD』4位『劇場版仮面ライダーゴースト100の眼魂とゴースト運命の瞬間』5位『ルドルフとイッパイアッテナ』6位『秘密 THE TOP SECRET』7位『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』8位『ターザン:REBORN』9位『HiGH&LOW THE MOVIE』10位『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』
2016年08月08日おもちゃのウッディやネズミのレミー、モンスターのサリーにロボットのウォーリーなど、これまでに様々な種類の魅力的なキャラクターを生み出してきたディズニー/ピクサー。そのどれもがユーモアと個性に溢れ、主人公のキャラクターでなくても、ファンの心を掴む魅力を備えているのが、同スタジオの何よりの手腕と言えるだろう。アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞し、ピクサーの数々の名作の中で日本における興行収入No.1の記録を持つ『ファインディング・ニモ』。主人公として描かれるクマノミのマーリンをはじめ、はぐれた息子のクマノミのニモ、アオウミガメのクラッシュ、マダラトビエイのエイ先生など、本作では海の中を舞台に、様々なキャラクターが登場する。待望の続編として公開中『ファインディング・ドリー』では、主人公であるナンヨウハギのドリーをはじめとするお馴染みのキャラクターに加え、ジンベエザメのデスティニー、シロイルカのベイリーなど、海の生物を保護し、治療して海に帰す海洋生物研究所を舞台に様々な生き物たちが登場する。そして、本作で何より新たな存在感を発揮するのは、ドリーが両親の居場所を探しに冒険を繰り広げる海洋生物研究所で出会う新キャラクター、ミズダコのハンクだ。シネマカフェが実施したピクサー現地取材レポート第4弾では、本作で大活躍するハンクが生まれるまでの過程を、キャラクター・アートディレクターを務めたジェイソン・ディーマーと、スーパーバイジング・アニメーターのマイケル・ストッカーのインタビューを通して紹介する。両親の居場所を探して海洋生物研究所までたどり着いたドリーだが、ひょんなことで研究所のスタッフによって捕まえられてしまい、クリーブランドの水族館行きのタグを付けられてしまう。研究所のバックヤードの水槽の中で戸惑うドリー。すると、壁にかかった猫のポスターの目がぎょろりと動き出す…ポスターに擬態して身を潜めていた、ミズダコのハンクの登場だ。「私はピクサーに勤めて18年になりますが、ハンクのデザインは私がこれまでに関わった中で最も誇りに思えるものであると同時に、最も大変な仕事でした」。本作でハンクのキャラクター・アートディレクターを務めたジェイソン・ディーマーはそう語る。フリーランスの編集イラストレーターとして活躍していた彼は、ピクサーに入社後、『モンスターズ・インク』のスケッチアーティストとしてそのキャリアをスタート。その後、『ファインディング・ニモ』『レミーのおいしいレストラン』『ウォーリー』など多くの作品でキャラクターデザインを担当し、『モンスターズ・ユニバーシティ』ではキャラクター・アートディレクターを手掛け、監督とともに、少数のピクサーアーティストからなるチームを率いて、キャラクターデザインを作り上げる役割を担っている。一方、スーパーバイジング・アニメーターとして、ハンクの誕生に大きく寄与したマイケル・ストッカーは、アニメーション業界に入る前は、広告代理店やデザイン会社でのイラストレーター、ボーイング社向けのコンセプト画を手掛けるなど、様々な企業で仕事をこなしてきたという。1992年にディズニーにて『ライオン・キング』の動画マンの研修としての仕事を始め、その後ワーナーブラザース・アニメーションの一部となるターナー&アソシエイツで最初のアニメーションの仕事を手掛けた。その後、ディズニー・アニメーション・スタジオにて10年間勤務し、『ヘラクレス』『ターザン』『ファンタジア2000』などの作品への参加を経て、2002年にピクサーに入社。『Mr. インクレディブル』『カーズ』『レミーのおいしいレストラン』『カールじいさんの空飛ぶ家』にアニメーターとして参加し、『トイ・ストーリー3』『モンスターズ・ユニバーシティ』ではディレクティング・アニメーターを務めている。「キャラクターをデザインする際にいつも最初にすることは、その生き物についてできる限り知るということです」。そうジェイソンが語るように、ピクサーは入念なリサーチを経てから作品制作に入ることで知られている。今回もハンクの制作にあたって、サンフランシスコのモントレーベイ水術館の協力のもと、タコの生態についてあらゆる研究を実施したという。「デザインのインスピレーションとなるビジュアル面での情報を得るようにしています。タコを調べていく中で最も惹きつけられたのは、触手の裏側の白い部分と、マットなグレーの柔らかく丸い部分ですね。そこに魅力を感じたので、こだわりました」。劇中でハンクは、様々な姿に擬態することで人間の目をかいくぐり、ドリーとともに冒険を続けていく。周囲にカモフラージュするハンクの姿はなんともユーモラスであり、いつ見つかるか分からないというハラハラ感が観客を楽しませてくれるのだが、これが映画的な演出というわけではなく、あくまでタコの実際の生態に基づいているというから驚きだ。「ミミック(擬態)・オクトパスは、肌の色を変えられるだけでなく、テクスチャーさえも変えられるのです。この映像のどこにタコがいるかわかりますか?」リサーチにあたって使用されたという実際のタコの映像が披露され、取材陣にジェイソンが語りかける。砂や岩の表面に見事に擬態したタコは、動き出すまではそこにいるとは気づかないほどであり、取材陣からはおもわず声が漏れる。「何度見ても飽きることがありません。信じられないですよね」と笑みを浮かべるジェイソン。「タコが小さな割れ目からでも逃げられるという話を聞いたことがあるでしょう?」とジェイソンは続ける。「タコは小さな瓶の中にも入れるし、自動販売機の後ろにも隠れられる。それからぺったんこになれるのも魅力的でした。パンケーキのように平たくなるかと思えば、真っ直ぐ伸びて細長くもなれます」。これらのタコの生態へのつぶさな観察を経て、ハンクというキャラクターをかたち作るための具体的なアイデアが提案されていく。「そこで、彼は究極の脱出名人だというアイデアを提案したのです。劇中で実際に披露される、ハンクが観葉植物に成りすますというアイデアも、このときに提案しました」。さらに、これらのアクション要素だけでなく、ハンクの口の位置や身体の表面のテクスチャー、色など、キャラクター化するにあたっての細部に至るまでの設計も行われる。なお、リアリティーのある表現をどこまでも突き詰めるというわけではなく、あくまでキャラクターとして仕上げるため、実物のタコの特徴の中からどの要素をデザインするかについても議論が行われるという。「タコは気持ち悪いキャラクターになってしまう部分もたくさん持っていますからね(笑)」とジェイソン。次に、デザインされたキャラクターを実際にアニメーションとして動かしていく舵取りをするのが、アニメーション・スーパーバイザーのマイケルだ。「アンドリューがこのデザイン画をボードに貼り付けたときに、これはものすごい挑戦でエキサイティングだと思いました。それと同時に、とても手強い課題だということも分かっていました」。ジェイソンと同様に、まずはタコをアニメーションとして描くことのやりがいと難しさについて語り始めるマイケル。「とにかく、我々はタコの吸盤がどのように動いているのかを分解していかなければなりませんでした。タコは、それぞれの触手を別々に動かせるだけでなく、吸盤ひとつひとつもバラバラに動かすことができ、意図的にコントロールすることができます。これには驚きますね。その動きをアニメーションで真似ることは、ほんとうに難しい作業です」。タコの動きの入念な観察を経て、スタッフは実際にこの動きをアニメーション化するために手を動かし始める。幾つかのテスト映像の検証を経て、自然な動きが追求されていく。「もし何かアイデアがあったら、そのアイデアをなるべく早くやってみなければなりません。もし2Dでやるなら、すぐに描くことができますが、3Dの場合、このようなモデルを作る際、素早くできるわけがありません。ひとつのポーズを作るのに1時間かかることもあります」。ここで、幾つかテスト段階の映像が取材陣に披露された。シンプルな触手の動きが、少しずつスムーズで伸びのある動きへとブラッシュアップされていく様が段階的に示され、私たち観客が楽しむことができるキャラクターたちの生き生きとした仕草が、いかに多くの行程を経た上で作成されているのかが分かる。そのほかにも、目と眉の動きによって作られる表情や、実際にアニメーターとともに作成したシークエンスの中でのハンクの動きなど、様々なテスト映像が披露される。ハンクは通常のタコよりも1本足が少ない“セクトパス”という設定だが、彼が登場する全てのシーンにおいて7本の触手の動きがアニメーションとしてコントロールされているかと思うと、途方もない思いがする。続けて、キャラクターのコンセプトアートに基づいたアニメーションを作るにあたり、コンピューター上のパペット(人形)を使用してキャラクターの演技を作り出す、キャラクター・スーパーバイザーの仕事について、マイケルが解説した。「自然な動きをコンピューターで作るのはとても難しいのです。我々は、何を作ればいいのかということから考えなければなりません」。この段階でストーリーはまだなくとも、チームのスタッフはキャラクターに要請されるであろう動きを想像しながら、アニメーターたちがその動きを作ることを可能にする正しい装置を設計していく。コンピューター上のインタフェースを設計し、実際に使用したアニメーターのフィードバックを加えながら改良を加えていくというその過程には、科学的であり数学的なアプローチが施される。触手の複雑な動きのほかにも、ハンクの肌の色のテクスチャーをコントロールするシステムなど、コンピューターによるアニメーション表現の洗練化が行われていく。そして、アニメーションの最終的なブラッシュアップの作業をシミュレーションチームが担っていく。ここでは、ハンクの吸盤が地面と接触した際に生じる細かな動きなどが、シミュレーション・ツールよって再現されていく。「ハンクには全部で350個の吸盤があります。ですからこの問題を解決するために、全部を手描きで作業するのは難しいですね。そこで、より良い方法を探していました」。チームのスタッフは個体力学の技術を利用したという特別なシミュレーターを作成し、くっつく、剥がれる、つぶれる、といったひとつひとつの吸盤の動きを実際の物理的な動きとして再現することで、自然な動きをするための加工をアニメーションに施していく。この行程を経ることで、ハンクはより柔らかく肉付きのよいものになり、アニメーターたちが仕上げたハンクの動きがより緩やかで親しみやすいものに仕上げられ、私たちがディズニー/ピクサーのキャラクターたちに感じる、ユーモラスで楽しい印象が生まれるのだ。「最初に取り掛かってから、ここまでで約1年かかっています」。テスト映像とともに話を伺った時間はほんの10数分だったが、その裏にはとてつもない時間と労力が費やされていると思うと、出来上がった数秒のシーンに感じられる重みが随分と変わってくる。実際にハンクを生み出したスタッフの数は、約50人にも上ったという。「あらゆる人たちが、それぞれ違うタイミングで貢献している。テストだったり、表面のペイントだったり、ソフトウェアを描くことだったりね」。「タコの触手の動きには、いろいろなものが混じっています。とても素晴らしく、美しい混沌です」。そう語るマイケルの言葉には、テクノロジーによってさまざまな自然を描写してきたピクサーが、何より自然に対する尊敬と畏怖の念を抱きながらアニメーションという表現に向き合ってきたことがわかる。「自然のものには、私が紙とペンを持って想像して書くよりも、ずっと興味深い部分があります」とジェイソンが語るように、ディズニー/ピクサーのアニメーションは、自然が持つ美しさへの驚きと発見の喜びに満ち溢れている。ピクサーが新たに生み出したハンクの活躍を、ぜひ劇場で目撃して欲しい。『ファインディング・ドリー』は全国にて公開中。協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファインディング・ドリー(原題)
2016年08月07日