5月30日、都内某所で、「ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー」の説明会&公開稽古が行われた。このショーは日本初の大型ライブエンターテインメントショーで、7月22日(金)の埼玉を皮切りに、全国5都市で計40公演を行う。説明会では、演出家の金谷かほりが模型やイメージ写真を用いて概要を語った。ステージの構成は、「アリーナのセンターステージを囲むように大小8つのステージを設けました」。また、ステージセットについて、「ステージ間を繋ぐブリッジはリフトによって可動。デザインは、北京&ロンドン五輪で開会式を手がけたレイ・ウィンクラーが率いるチームによるものです。また、可動式のロールスクリーンを使い、演者のアクションとシンクロさせながら物語を進める予定です。このスクリーンは中にいる人が透けて見えるようになっており、そこに映像を投映して呪文などを表現します」とのこと。他にも観客も一緒に参加する演出として、物語の展開などにあわせて光るリストバンドを配布していたり、演者が客席に話しかけたりするなど、会場が一体となって楽しめる演出の構想も明かされた。続いて行われた公開稽古には、勇者役の松浦司、剣士テリー役の風間俊介らが参加。「ドラゴンクエスト」歴代シリーズの主人公10人の中から「Ⅲ」の勇者が選ばれ、仲間たちと旅立つシーンで幕を開けた。その後、モンスターに襲われた街での戦闘など、計6つのシーンを公開。殺陣を交えたアクロバティックなアクションが連続し、実に迫力満点だった。その後、松浦、風間、金谷の3人は、報道陣への取材にも対応。松浦は、「観客の皆さんは、勇者の僕に"名前"を託してくださいます。一緒に冒険していると実感していただけるような勇者になりたいです」と力強く意気込んだ。一方、大の「ドラゴンクエスト」好きという風間は、「誰も知らないものを、誰もが知る『ドラクエ』という物語で作るコントラストが毎日刺激的で楽しいです」と満面の笑顔。報道陣から初めて遊んだ「ドラクエ」を質問されると、「一番最初に触れたのは『Ⅲ』と『Ⅳ』でしたが、当時は小さかったので、本当の意味で全部自力でクリアしたのは『V』が初めて。だから、ストーリーは『Ⅴ』、音楽は『Ⅶ』、システムは『Ⅲ』が、それぞれ一番好きなんです。『III』の職業システムは、RPGの歴史において本当に革命的だったんですよ。どなたか取材を申し込んでくだされば、1時間くらい語るんですけれど(笑)」と、「ドラゴンクエスト」愛を炸裂させていた。このように座長的な存在感を発揮する風間は、最後に今回のアリーナショーを「この夏だけの一発花火」と形容。「最高の夏の思い出を作りに来てください!!」と広く来場を呼びかけていた。取材・文:渡辺謙太郎(音楽ジャーナリスト)
2016年06月09日劇団四季の海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』の製作発表が6月8日、都内にて行われた。全キャストを公開オーディションで決定することも発表されていた本作だが、この日、主要5役の出演キャスト候補も発表に。主人公のカジモド役候補は、海宝直人、飯田達郎、田中彰孝。『ノートルダムの鐘』は文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作。15世紀末のパリ、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む異形の青年カジモド、彼を世話する大聖堂聖職者フロロー、警備隊長フィーバス、その3人が同時に愛する娘エスメラルダの間で繰り広げられる、切なくもドラマチックな愛の物語だ。1996年に公開されたディズニー長編アニメーションに基き、2014年にアメリカで開幕した作品を、今回日本で初めて上演する。複雑な人間心理や葛藤が描かれながらもハッピーエンドを迎えたアニメ版とは異なり、ミュージカル版はユーゴーの小説に回帰。シリアスで、しかし美しい、大人の作品となっている。劇団四季の吉田智誉樹代表取締役社長も、「従来のディズニーミュージカルの印象が“ファンタジックで幸福感に溢れるもの”とすれば、今回は“ドラマチックで宿命感に溢れるもの”になっている。明と暗、登場人物が抱える宿命を描き出すことで、立体的な人間ドラマが立ち上がっている」とその魅力を語り、「非常に大人向けの作品で、今の四季の上演活動を支える新たなレパートリーになりえる」と期待を話した。キャストは劇団内外を問わないオープンオーディションが行われ、その結果にも注目が集まっていたが、主人公のカジモドは、『レ・ミゼラブル』マリウス役などで人気を博す海宝直人が劇団外から参加、ほか『オペラ座の怪人』ラウル役などを演じている飯田達郎、『ライオンキング』シンバ役などを当たり役としている田中彰孝が選ばれた。出演者を代表し、フロロー役の芝清道は「私自身、この『ノートルダムの鐘』の音楽を初めて聴いた時、心が震え、鳥肌がたちました。そして原作を読んだ時、胸がいっぱいになりました。このような素晴らしい作品の開幕に携わることができて、大変光栄です」と挨拶。実力派が揃ったこのキャスト陣の熱演に期待したい。公演は12月11日(日)に東京・四季劇場[秋]にて開幕。チケットは10月15日(土)に一般発売を予定している。●『ノートルダムの鐘』出演候補キャスト【カジモド】海宝直人(※外部キャスト)/飯田達郎/田中彰孝【フロロー】芝 清道/野中万寿夫【エスメラルダ】岡村美南/宮田 愛【フィーバス】佐久間 仁/清水大星【クロパン】阿部よしつぐ/吉賀陶馬ワイス
2016年06月08日ミュージカル『魔界王子 devils and realist』が6月1日(水)に開幕した。本作は、月刊「コミックZERO-SUM」(一迅社)で連載中の同名マンガ(原作・高殿円、漫画・雪広うたこ)を原作にしたミュージカル。2013年にアニメ化され、舞台化は初。ミュージカル『魔界王子 devils and realist』チケット情報公開ゲネプロ前のフォトセッションには石渡真修(主人公・ウイリアム役)、鮎川太陽(ダンタリオン役)ら出演者10名が揃って登壇。賑やかに意気込みが語られた。河原田巧也は「魔界へようこそ、というよりも、僕たちが皆さんを魔界にお迎えする作品。立体感を出して、皆さんを包み込むように届けたい」、鮎川は「キャストだけでなく、すべての人を巻き込んで作り上げた作品。原作に忠実に、僕たちも役に一生懸命取り組んできた。お客様が入って完成。楽しんでください、ではなく、一緒に作り上げてください、とお伝えしたい」。最後に石渡が「何回も観てもらえるような作品になるように、千秋楽まで上を目指してがんばりたい」と語った。また、作品の内容についても「たくさん2.5次元の作品がある中で、ザ・ミュージカルと呼んでいいほどの作品になっている」(法月康平)、「見どころはクロス(布)を使った演出。他ではまだ観られないものを作っていると思います」(遠藤誠)と紹介した。物語の舞台は、19世紀の英国で選ばれた生徒のみが入学できるパブリックスクール。その中でも特に学力の高いストラドフォード校に通う名門貴族トワイニング家の跡継ぎ・ウイリアム(石渡)は、現代科学を愛するリアリストな自信家。しかし、叔父の事業失敗で財産を失ってしまい、学費捻出のために何か金目のものはないかと、屋敷の“開かずの扉”をこじ開ける。すると、ダンタリオン(鮎川)が現れ「自分は悪魔の代理王候補。お前はソロモン王の血を引く選定公で、代理王に投票する権利を持つ」と告げる。その日から、ダンタリオンら“代理王候補”が次々と学校に潜り込み――。ファンタジー要素満載の本作。しかし演出はアナログな手法にこだわり、引き起こされる超常現象なども、映像を使わず、クロスと役者の身体能力、音と光で魅せる。楽曲も、ポップなものからしっとりと聴かせるものまで幅広く、中には思わず笑ってしまうような曲も。さらに、原作の魅力のひとつでもあるコミカルなやりとりも随所で再現されており、衣裳やメイクももちろんのこと、『魔界王子―』の世界を丸ごと楽しめる仕上がりとなっていた。ミュージカル『魔界王子 devils and realist』は、6月5日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて上演。
2016年06月03日7月より東京・大阪で上演されるブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』。東京公演が即日完売したことをうけ、8月28日(日)より東京・東急シアターオーブで凱旋公演を行うことが決定した。【チケット情報はこちら】2005年に公開されたイギリス映画をミュージカル化した同作。経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーが、ドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程を描く。同作はシンディ・ローパーのパワフルで最高に魅力的な書き下ろしの楽曲の数々が大きな話題となり、2013年、トニー賞で最多となる13部門にノミネート。作品賞、主演男優賞、オリジナル楽曲賞など6部門を受賞。今もなおブロードウェイで人気を集めている。日本初上演となる今回、オリジナルの音楽・演出・振付はそのままに、岸谷五朗が演出協力・上演台本に参加。チャーリー役を小池徹平、ローラ役を三浦春馬が務める。初のドラァグクイーン役を務める三浦はアメリカ・ニューヨークに渡り、1か月間、シンディのヴォイストレーナーによるヴォーカルレッスンを受けるなど、気合十分。凱旋公演は8月28日(日)から9月4日(日)まで、東京・東急シアターオーブで上演。チケットの一般発売は6月25日(土)午前10時より。■ブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』7月21日(木)~8月6日(土)新国立劇場中劇場(東京都)8月13日(土)~8月22日(月)オリックス劇場(大阪府)8月28日(日)~9月4日(日)東急シアターオーブ(東京都)
2016年05月27日濱田めぐみの活動20周年を飾るソロ・ミュージカル『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』が、6月の公演に先がけ制作発表会を開催。報道陣のほか、130名のオーディエンスが招待された。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報本作は『CATS』や『オペラ座の怪人』で知られる巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの作曲で、1979年にロンドンで初演され、現在も世界各国で上演されるソロ・ミュージカル。サラ・ブライトマンらが演じており、日本ではこれが初上演となる。濱田は、主人公・エマの設定「デザイナー志望でニューヨークに出てきたイギリスの女の子」をイメージした衣裳で登場。本編で1曲目に歌われる『放っておいてよ』と、『一通目の手紙』を、本番同様、江草啓太のピアノ伴奏で披露した。トークには、本作の演出を担当する市川洋二郎も登壇。日本、イギリス、アメリカで活躍中の市川は、濱田が所属していた「劇団四季」からの付き合い。本作のストーリーについて市川は「ひとりの女性・エマの自立を描く物語。夢と希望を胸にニューヨークに出てきた彼女が、さまざまな喜びと悲しみに遭遇しながら、人間として少しずつ成長していきます。そのエマの旅路を観客の皆様と辿る中で、生きるとは何か、人間が自分の足で立つとはどういうことなのか、考えていけたら」と解説。70分で25曲を歌唱する本作。ソロ・ミュージカルへの挑戦について濱田は「難しいです。一瞬たりとも気が抜けないことは、ソロ・ミュージカル以外ないと思う」と苦労を語った。エマというキャラクターについては「彼女が持っている夢を諦めないという信念や情熱、バイタリティーは、自分が今まで20年間やってこれた核心の部分とすごく似ている」と共通点を語る。「ひとり芝居の醍醐味として、舞台上に他の人間が出てこないという点はすごく大切だなと僕は考えていて。舞台の転換もやる濱田めぐみっていうのはなかなか新しいと思います」(市川)と、舞台上のことは全て濱田が行うことも明らかに。その後も、互いの印象などを語り合った。最後にはタイトル曲『サヨナラは日曜日に』を披露。「自分の中に持っている一番純粋な部分、夢を持っている情熱の部分、いろいろな部分をさらけ出して、誠心誠意、心を込めて、エマという女性と共に生き、皆さんと共に素敵な旅を毎公演したいと思います」(濱田)と挨拶した。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』は、6月10日(金)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年05月25日ウーピー・ゴールドバーク主演の大ヒット映画『天使にラブ・ソングを…』をミュージカル化した『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、5月22日(日)に東京・帝国劇場で開幕。前日に、主役のデロリス・ヴァン・カルティエをWキャストで演じる森公美子と蘭寿とむ、デロリスを匿う修道院のシスターを演じる春風ひとみ、浦嶋りんこ、宮澤エマ、修道院長を演じる鳳蘭が会見を開いた。舞台『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』チケット情報本作は、殺人事件を目撃してしまったことで命を狙われるハメになった破天荒な黒人クラブ歌手・デロリス(森/蘭寿)がカトリック修道院に囲われ、そこで暮らすシスターたちと聖歌隊の特訓を通じ友情を育んでいく物語。2009年にウーピー自身のプロデュースでミュージカル化。2014年に日本初上陸し、今回はその大ヒットを受けての再演となる。会見にはそれぞれ役衣裳で登場。前作に続きデロリスを演じる森は「素晴らしいミュージカル。五月病の方でも、本当に明るく、明日を生きる力になるのではないかと思います!」と挨拶。Wキャストでデロリスを演じ、初参加となる蘭寿は「私は帝国劇場に初めて立たせていただける喜びをかみしめながら、この超ハッピーなミュージカルでお客様と一緒に盛り上がっていきたいと思います」と笑顔を見せた。2014年からの再演について森は「2年経って少しは覚えているかと思いましたが、ゼロの状態から始まりました(笑)。でも今回はまたさらにグレードアップして素晴らしいものになったと思います」。蘭寿は「難しいところはたくさんありますが、アラン・メンケン氏の曲が本当に素晴らしくて心躍るものなので、それが歌える喜びを感じながらできたら」と語る。そんな蘭寿を宝塚歌劇団の先輩・鳳は「宝塚で培われた華やかさとか、大劇場に負けない大きさがあるので私は安心しています」と評価した。仙台出身の森は、東北公演に懸ける想いを聞かれ思わず涙を浮かべる場面も。「初演でも盛岡と宮城に行かせていただいて、みなさんからの『元気になった』『素晴らしかった』って言葉に、私たちはこの仕事やっててよかったねって。私たちが元気をもらった作品でもある。来年は九州公演もあるので、ぜひ観て頂きたい。復興にはまだまだいろんな問題がありますけども、心は楽しく、前にいくように。この作品で少しでもみなさんの心の中に温かいものが生まれれば」と話した。ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は、5月22日(日)から6月20日(月)まで東京・帝国劇場にて。その後、大阪、愛知、岩手、北海道、宮城を巡回。2017年には福岡、静岡、長野での公演も決定。取材・文:中川實穗
2016年05月24日劇団四季が上演しているミュージカル『オペラ座の怪人』が来年3月、横浜で上演されることが決定し、5月23日、製作発表会見が行われた。会見には劇団四季の吉田智誉樹代表取締役社長と、黒岩祐治神奈川県知事が出席。4年ぶりとなる四季の横浜公演に対する両者の熱い思いが語られた。名古屋公演 チケット情報『オペラ座の怪人』はパリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛の姿が描かれたミュージカル。巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの美麗な楽曲が全編を貫く、ミュージカル界を代表する傑作であり、全世界で30か国・13言語で上演され、1億4千万人以上が観たというメガヒット作だ。日本ではブロードウェイと同じ1988年に初演、以降現時点で6645回上演されている。首都圏では、東京・電通四季劇場[海]で上演されていた2013年6月以来の登場だ。また、劇団四季の横浜公演は2012年11月まで上演されていた『キャッツ』以来。吉田社長は「あざみ野に本社と稽古場を構える四季にとって、横浜はお膝もと。横浜に更なるマーケットを作り、微力ながら経済に貢献したい」と横浜での上演に気合を入れる。黒岩県知事も「私も『オペラ座の怪人』の大ファン。CATSシアターがなくなったときは、寂しいなと思っていました。神奈川県では“マグカル(マグネット・カルチャー)”の考えのもと、横浜をNYのブロードウェイのようにしたい、とやってきた。“ミュージカルが溢れる神奈川”というものが、一気に広がっていけば」と期待を寄せる。さらには「これをひとつのきっかけとして、劇団四季さんとは長い付き合いをし、色々な形で連携を深めていきたい。本当は劇団四季の全国の劇場を、すべて神奈川に持ってきて欲しいくらいです!」と話すほど、熱いラブコールを四季に送っていた。会場は、KAAT 神奈川芸術劇場 ホール。自主制作公演もさかんな公共劇場を、約5か月ものあいだ劇団四季が使うことになるが、「KAATの創造性ある作品が減るということは、まったくない。むしろ劇団四季さんから大いに刺激を受けたいと思っている」と眞野純館長。黒岩県知事も「KAATにはホール(大劇場)以外にも、スタジオやアトリエといった、公演が出来るスペースがある」と説明。劇団と県(及び横浜市)と劇場、それぞれにメリットがある公演であることを強調していた。『オペラ座の怪人』横浜公演は2017年3月開幕予定。同年8月までのロングランを予定している。なお、同演目は現在、愛知・新名古屋ミュージカル劇場にてロングラン上演中。こちらは8月21日(日)が千秋楽となる。
2016年05月24日2012年に韓国で誕生し、心理スリラーミュージカルという新たなジャンルを打ち立てた『ブラック メリーポピンズ』。小劇場オリジナルミュージカルでありながら、その年の韓国の公演ランキングトップ10に入る人気作となり、2014年には日本で初演。作品により深みを加え、シャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、鈴木裕美による巧みな演出で上演した日本版も高い評価を得、今回満を持しての再演が決定。そのタイトルロールを演じる一路真輝に舞台の話を聴いた。ミュージカルブラック メリーポピンズ』チケット情報「『メリーポピンズ』に『ブラック』が付いているようにちょっとサスペンス的、スリラー的な作品になっています。と言っても、オドロオドロしいとかではなく、心の中の痛みのようなものを表している作品。私はタイトルロールでありながら、そんなに出番がある訳ではなく、4人の兄妹を見守る役。でもその中で存在感を出さないといけないという、難しくて私自身とても勉強になった役でした」14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、そして失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語。今回、メリー役の一路真輝、養子の兄妹を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーに加え、新ヒロインとして中川翔子が初参加。彼女にとっては初舞台、初ミュージカルでの大役で、その辺りも見どころだ。「私は今年35周年になるんですが、小西遼生くんが『僕、生まれてなかった』とか言うんですね。兄妹の最年長ですら、私の芸歴にかなわない(笑)。私は舞台の上に立っている事が日常だったりするのですが、若い女優さんから『舞台に立つことが怖い』という話も聴いたり。私にできることがあれば力を貸してあげたいなって思う時期に、(中川)翔子ちゃんが入ってくるよとお聞きして。ご一緒できるのは本当に楽しみですし、できることがあればお手伝いさせていただきたいと思ってます」本作は舞台上に真ん中に大きな盆、そして小さな盆が4つあり、それぞれの回転や照明で、現在と過去を行ったり来たりする展開。「いきなり子どもになったり、現在に戻ったり、最初は驚くかもしれませんが、観る内にどんどん引き込まれる感じですね。音楽も主張しずぎず、でもとても効果的に使われていて、楽曲とセリフがきちんと融合していて自然。ミュージカルが苦手という方でも楽しんで頂けると思いますよ」新たなミュージカルの魅力を感じさせてくれそうな本作、5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。
2016年05月19日連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、世界で初めてミュージカル化される。5月16日、主演する浦井健治ほか、宮澤佐江、新妻聖子ら出演者が劇中衣裳で登壇した豪華な製作発表会見が開催された。ミュージカル『王家の紋章』チケット情報物語は、アメリカ人少女キャロルがピラミッド発掘に参加している中、古代エジプトにタイムスリップしてしまうことからはじまる歴史ロマン大作。現代へ帰ることを願いながら、その地で若きエジプト王・メンフィスとの愛憎を繰り広げるキャロル、キャロルを愛するヒッタイト王国のイズミル王子、メンフィスに報われない愛を注ぐ実姉アイシスらの運命が交錯していく。会見には原作者である細川智栄子氏&芙~みん氏も出席。累計部数4000万部を誇る、少女漫画界きっての人気連載の初の舞台化について、細川氏は「若いときにテレビドラマ化をやったことがありますが、テレビの放送と漫画を描くスピードが異なってきてとても苦労しました。ですので『王家の紋章』は今までアニメ化の話などもありましたが、一切お断りしようと妹(芙~みん氏)と話していました。でも今回は「4巻まで(の舞台化)だったらどうか」と言われ、それだったら(漫画の続きを)急かされることもないのでお受けしました。それに間に立っていただいたプロデューサーさんがとても素敵な方で、そちらに参ってしまって…」と、許諾の理由をチャーミングな笑顔で明かす。主人公のメンフィスは、ミュージカル界のプリンス・浦井健治が務める。「連載40年、先生方が生涯をかけて紡いできたこの漫画が、ミュージカルとして、帝国劇場で初めて舞台化される。このことこそがロマンであり奇跡」と感慨深げ。浦井は初の帝国劇場単独主演だが、「とても嬉しいのですが、今はド緊張しています。帝国劇場はレジェンドであり、この舞台に立てること自体がとても光栄なこと。そのセンターに立たせてもらえる機会を与えてくれた皆さんに感謝しつつ、その期待に応えていきたい」と気を引き締めていた。キャロルはSKE48を卒業したばかりの宮澤佐江と、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子がWキャストで演じる。「夢にも思い描かなかったくらい素晴らしい劇場に立たせていただく。自分が10年間(アイドルとして)やってきたものを形にしてこの舞台に捧げたい」と宮澤が緊張気味に語れば、新妻は「『王家の紋章』が大好きで、子どもの頃から夢と感動を頂いてきた。その魅力を語りだすと止まらない(笑)。メンフィスというのは、少女漫画の歴史における元祖・俺様男子。昨今、壁ドンとか顎クイとかありますが、メンフィスはキャロルの腕を折っちゃいますからね、“腕ポキ”ですよ、スゴイんですよ!」と原作愛を爆発させ、会場内を笑わせていた。出演はほか、宮野真守・平方元基(Wキャスト)、伊礼彼方、濱田めぐみ、山口祐一郎ら。公演は8月5日(金)から27日(土)まで、東京・帝国劇場にて。チケットぴあではぴあ半館貸切公演回の先行抽選「プレリザーブ」を受付中。受付は5月19日(木)11:00まで。
2016年05月17日2年前の日本初演時、ドラマチックな楽曲と深い物語性、予想を越えるスリリングな展開で話題を呼んだ『ブラック メリーポピンズ』。韓国で2012年にヒットした舞台の日本版だが、演出に鈴木裕美、上演台本に田村孝裕と、こちらも日本演劇界の実力者が集結した。今回の再演にあたっては、同じスタッフはもちろん、初演キャストの一路真輝と小西遼生、良知真次、上山竜治に加え、これが初舞台となる中川翔子が出演。注目の集まるなか、5月13日のゲネプロの前に囲み会見が行われた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報1920年代のドイツ。有名な心理学者として知られるグラチェン博士の屋敷で火事が起き、博士の遺体も燃え尽きてしまう。だが彼の養子たちーーハンス(小西)、ヘルマン(上山)、アンナ(中川)、ヨナス(良知)は、家庭教師のメリー・シュミット(一路)によって、猛火から救い出される。ところがその翌日、彼女は失踪し、子どもたちも次第に事件の詳細を忘れてゆく。それから12年後。ハンスたちは、博士が当時書きつけていたという手帳の存在を知る。そこに書かれていた驚くべき真実とは……。囲み会見では、キャストの5名が登場。中川は「(稽古中は)『皆様の足を引っ張ってはならない!』とガチガチになって。胃薬も飲んでました」と緊張の面もち。その一方で「コンサートと違ってお芝居は皆で作るものだなと。"ちゃんと(アンナの)人生を生きる"って思っていると、(芝居中も)涙が出てきたり、心が裸になる感じがします」と手応えを感じている様子だ。一路も「翔子ちゃんたちは、子ども時代と大人になった現在とを演じ分けなきゃいけないんですが、私は子ども時代のアンナちゃんがすごく可愛くて。メリーが母親のようにアンナたちを思う、そんな役の気持ちを翔子ちゃんからもらっています」と語った。小西や上山、良知も、揃って中川との顔合わせを新鮮に感じているという。「(中川の参加で)兄弟の関係性も前回とは全然違っていて。イチから新しいものを作っている感覚」と言うのは小西だ。続いて上山が「中川さんは最初全く目が合わなくて。最近はやっとコミュニケーションがとれるようになったんだよね」と優しく中川に言うと、恐縮する中川に一路たちは大笑い。本当の兄と妹のような温かい雰囲気に、思わず取材陣からも笑いが漏れた。とはいえ“心理スリラーミュージカル”と銘打つ本作では、歌や芝居のほかにも素早い舞台の進行など、多くのハードルがそびえるのも事実。それについても良知は、「中川さんは段取りを覚えるのが早くて、歌声も綺麗。堂々としてますよ」と太鼓判。最後は中川が「全力全身で挑みたい」と改めて表情を引き締め、心地よい緊張感のなか会見は終了した。5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年05月17日市村正親と大竹しのぶ。日本の舞台俳優として最強のコンビで上演されたブロードウェイ・ミュージカル『スウィーニー・トッド』が、4度目の上演を果たす。作品は、18世紀末のロンドンに実在したという恐怖の理髪師をモデルに描く、痛快だが哀しい復讐の物語。音楽は、現代ミュージカルの巨星スティ-ヴン・ソンドハイム。この作品は演出の宮本亜門が「一番好きなソンドハイム・ミュージカル」であり、大竹しのぶも「独特の音楽の世界がクセになる感じで、ずうっとやりたいぐらい楽しい!」と、今回の再演を喜ぶ。大竹を直撃、作品の魅力と意気込みを聞いた。ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報物語は衝撃的だ。無実の罪で流刑となり、脱獄してロンドンに戻った理髪師がスウィーニー・トッド(市村)と名乗り、元の店の階下でパイ屋を営む昔なじみのミセス・ラヴェット(大竹)と手を組んで、復讐を始める。正体を知る人間を次々とカミソリで首を切って殺し、死体は人間ミンチにしてパイ屋へ。ロンドン一まずいと評判のパイ屋は肉不足を解消、かくして行列のできる店に!独特のソンドハイムの音楽のなか、舞台セットを立体遊戯具のように巧みに使う演出。大竹はこの作品の魅力を「音楽が素晴らしいです。最初は、この音、間違ってるんじゃないの?と思うような音楽ですけど、音が全部計算されていて、深い。表面ではすごくきれいなバラードを歌いながら、その下では不気味な音が鳴っていたり。とても難しい音を出さなくちゃいけなくて大変でしたけど、だんだんおもしろくなってくるんです」。物語と役柄については「すっごく恐ろしい話を笑いながら楽しくやるところが魅力的。『殺しちゃいましょっ』って、恐ろしいことを笑顔で歌って(笑)。怖い話ですけど、楽しいんです。ミセス・ラヴェットは最初からスウィーニーを『好き好き』と思っていて、好きよ、楽しいわ、お金いっぱい、ハッピー!みたいな感じ(笑)。ドキドキして、最後はそんなぁ!!って(笑)」。2007年の初演では、ミュージカルはほとんど初めてながらこの作品に挑戦した。4度目となる今回は「もっと歌がうまくなりたい。芝居でしゃべるように歌うには、すごい技術がいるので、私、ほんとに頑張らなくちゃ。これまで観ていただいた方には、ソンドハイムの音楽を、さらにパワーアップしてお届けしたい。初めてご覧になる方には、これがミュージカルだったと思ってもらえるようなワクワク感を渡したいと思っています」。初回から大阪公演の会場はシアターBRAVA!。「劇場の思い出は、やはりここで何度も公演した『スウィーニー・トッド』が一番多いです」と語る大竹の想いを乗せ、これを最後の演劇公演としてシアターBRAVA!は5月末に閉館する。公演は、5月13日(金)から15日まで大阪・シアターBRAVA!、5月20日(金)から22日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年05月13日2014年に宝塚OGが世界初・女性キャストのみで上演したミュージカル『CHICAGO』。歴代トップスターをはじめ、華やかかつ実力のあるメンバーが、ブロードウェイのクリエイティブ陣と作り上げたこの舞台は大きな評判となった。この際の好評を受け、今夏、NYリンカーン・センター・フェスティバルでの公演が決定。横浜、NY、東京、大阪のワールドツアーとなる。5月11日、その制作発表が行われた。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョン チケット情報1920年代のシカゴを舞台に、殺人すらもチャンスに変えようとする野心溢れるヴェルマ、ロキシーら悪女たちと、悪徳弁護士ビリーを中心とした、スキャンダラスな物語。ジャズナンバーとクールなダンスに彩られたミュージカルだ。ブロードウェイでは今年ロングラン20周年を迎え、今も絶賛上演中のため、宝塚OG版が上陸する7月にはNYでふたつの『CHICAGO』が同時上演されることになる。会見にはビリー役の峰さを理、姿月あさと、ヴェルマ役の湖月わたる、水夏希、ロキシー役の大和悠河が出席。「NYに行くことは今からドキドキワクワク。本場でどう受け止められるのか、楽しみだし、怖くもある。緊張感を持って挑みたい」と語るのは峰。2014年の宝塚OG版初演に際し、ブロードウェイの劇場に赴き「女性のみのCHICAGO」の上演を発表した姿月は「NYの方々に、女性が男性の扮装をすることに大変興味を持ってもらった。私たちの公演を受けて、ブロードウェイでもビリー(男性)役をやりたいという女優が出て来たら面白いね、と言われました。それほど、世界的にもチャレンジな公演です」と話す。また「宝塚ではスパンコールにラインストーン、これでもかというくらい華やかな衣裳と照明と装置でやってきたのに対し、この作品は衣裳も黒のワンピース1枚、セットもシンプル。自分の身ひとつで表現する怖さ、難しさを感じました。でも改めて、その怖さに今回も向きあいたい」(水)と語るように、彼女らにとっても挑戦の舞台となった。だが宝塚OG版の強みは、「ジェントルマン(男役)のかっこよさと、レディース(女役)の美しさ。そして団結力。これは絶対に世界に通用する」(湖月)、「どの『CHICAGO』より美しく、エレガントなものになる」(大和)。世界に『CHICAGO』は数多ある中、ここにしかない宝塚OGの『CHICAGO』をお見逃しなく。なお、NY公演では終演後、レビューショー『タカラヅカ・アンコール』が上演される。「せっかくトップスター経験者だらけ。彼女らが出身した宝塚というところがどんな場所か、一端でもいいから見せられるショーに」(演出・三木章雄)とのこと、こちらも必見だ。主要キャストはダブルキャストもしくはトリプルキャスト。ほかにビリー役に麻路さき、ヴェルマ役に和央ようか、ロキシー役に朝海ひかる。公演は7月9日(土)から14日(木)のKAAT 神奈川芸術劇場大ホールを皮切りに、7月20日(水)から24日(日)にはNYのデビット・H・コーク・シアターで上演。その後8月に東京・大阪公演を行う。国内チケットの一般発売は5月21日(土)より。
2016年05月13日2014年に日本初演され、高い評価を得た韓国発のミュージカル『ブラック メリーポピンズ』が、新ヒロインに中川翔子を迎えて再演される。登場人物は、かつて心理学者グラチェン博士の豪邸に住んでいた4人の養子たちと、家庭教師メリー・シュミットの5人だけ。豪邸の火事から12年後、当時の記憶を失くしている4兄妹が久々に再会し、事件の真相を探るうちに衝撃の事実に辿り着く心理スリラーだ。初日を約3週間後に控えた稽古場を訪れると、演出の鈴木裕美と振付の小野寺修二のもと、再演とは思えないほど丁寧な稽古が繰り広げられていた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報中川と兄役の小西遼生、良知真次、上山竜治が取り組んでいたのは、クライマックスとも言えるシーンの振付稽古。小野寺によって、“ミュージカルのダンスシーン”と聞いて通常思い浮かべるような華やかなダンスとは一味も二味も異なる、役の心理と密接に結び付いた繊細な振付が施されていく。それだけに、体の動かし方とその意図については、小野寺だけでなく鈴木からも細かい指示が。「この時点で4人は大人だが魂は子どもで」(鈴木)、「“他者との戦い”をイメージして」(小野寺)といったハイレベルな要求に、小西は頻繁に質問を投げかけて都度確認しながら、良知は黙々と繰り返しながら、上山は失敗を恐れず様々な動きを試してみながら応えていく。小西が思わず「前回より相当キツい!」と苦笑いするほど、初演から続投の3人にとっても難しい振付に、初参加で、しかも初ミュージカルとなる中川も必死に食らいつく。小野寺と鈴木の説明に、こぼれ落ちそうに大きな瞳を見開いて真剣に耳を傾ける一方で、「どのぐらいのテンションでいたらいいんですか?」などと積極的に尋ねる姿が印象的。また、このシーンで主に歌っているのが中川演じるアンナであることから、時には中川のアカペラの歌声に合わせて稽古が進む一幕も。軽く歌っているだけでもきれいにビブラートが効いたその歌声は、新たなミュージカル女優誕生を予感させるに十分だ。そうして稽古すること約2時間、台本にして4ページ弱のシーンがようやく形になり、いよいよ通してみることに。本番さながらのピアノ伴奏がついて回転舞台が廻ると、キャストにもスイッチが入り、和やかだった稽古場に緊迫感が満ちる。兄妹のなかに封印されていた過去の記憶が蘇ると同時に、見ていたこちらのなかにも初演でこのシーンを観た時の衝撃が生々しく蘇り、胸が苦しくなった。この衝撃が、力強い一篇のミュージカルに昇華された舞台に再び会える日まで、あとわずかだ。東京公演は5月14日(土)から29日(日)まで。その後、兵庫、福岡、愛知でも公演。取材・文:町田麻子
2016年05月06日川平慈英、長野博、松岡充、鈴木壮麻によるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』が4月末に開幕する。それに先駆け、都内で公開稽古と囲み取材が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、1990年の初演以来アメリカ各地で上演され続けているスチュワート・ロス脚本のコメディミュージカル。事故で亡くなったサウンドグループ“Forever Plaid”のメンバー4人が一晩だけ地上に戻り、できなかったショーを実現する、という物語。日本では2013年に上演され、今回は再演。川平、長野、松岡、鈴木の“Forever Plaid”メンバーが再び顔を揃えた。公開稽古では、本番同様のセットに揃いの衣裳に身を包んだ4人が登場。軽やかに奏でる美しいハーモニー、コミカルなマイクパフォーマンス、キャラクターらしさが伝わるトークと、ステージから溢れ出すように楽しさが伝わってくる。「一番楽しんでいるのはお客さんよりも僕たち4人なんじゃないのかっていう、そんな瞬間があるんですよ」(川平)という彼らの姿は、観ているだけで自然と笑顔になるはずだ。ミュージカル界、アイドル界、音楽界と、普段はそれぞれの場所で活躍するメンバー。3年ぶりとなる再演だが、ステージ以外でも終始仲のよさそうな様子を見せ、「同じメンバーで舞い戻れたのはミラクル」(川平)、「一人でも変わると“Forever Plaid”じゃなくなる気がする」(長野)と再集結を喜んだ。美しいハーモニーが印象的な本作。実力派揃いとはいえ絶妙な音のハモリを合わせるのには苦労しているそうで、川平は「譜面を見ただけで『これは危ない』という和音。でもそれが“Forever Plaid”の良さなんです」と解説。松岡も「相手の音を聴くと自分が歌えなくなるので、(相手のことを)嫌いになってもおかしくないほど」と大変さを語りつつ「でも座長(川平)がちゃんとまとめてくれるので、なんとか和音が奏でられる」と笑顔を見せた。余震の続く九州での公演も予定している本作。「舞台の間は違う世界にお連れします。いろんなことを忘れて、楽しくなっていただいて、それが元気の源になってくれたら」(長野)、「コーラスという形で想いを届けられたらいいなと思っています。だからこそ一音一音をすごく大事に僕たちは歌っているので、そのハーモニーが皆さんの心に届くことを願っての稽古の日々です」(鈴木)と想いを話した。『Forever Plaid』は、4月26日(火)の埼玉・志木市民会館パルシティでのプレビュー公演を皮切りに、全国13会場で公演。取材・文:中川實穗
2016年04月25日渡辺えりと戸田恵子が出演するミュージカル『わがまま』東京公演が4月20日(水)より東京・世田谷パブリックシアターで上演。開幕に先駆けて渡辺と戸田が囲み取材に出席した。【チケット情報はこちら】同公演は渡辺えり率いる「オフィス3○○(さんじゅうまる)」の最新作。作・演出を渡辺えりが務めるふたり芝居。渡辺はミュージカル初挑戦、また、戸田との共演も今回が初めてとなる。舞台はとある劇場の本番中の楽屋。渡辺と戸田演じる中年のミュージカル女優ふたりが、自分の人生を本音で愚痴り合ううちに、なぜ演劇をやりたいと思ったのか、今は一体なんのために続けているのかなどの疑問にぶち当たるが…。会見に舞台でも着用する派手な紫のスパンコールの衣装で出席した渡辺と戸田。渡辺は衣装について「今回は衣装のプランも私が考えたんですが、このスパンコールの衣装は見つけた時にこれだ!と思いました。戸田さんはそのまま使えたんですが、私は2着分の素材を使わないといけなくて(笑)。それでも、稽古、公演で少し痩せました(笑)」と話した。また戸田は「この衣装ばかりが独り歩きしているみたいですが、ずっとこの衣装でいるわけではありません(笑)。この衣装で出ている時はお互いの感情が一番爆発しているシーン。私の役は母親を介護している、えりさんの役は親しい友人が亡くなって、その友人が飼っていた犬の面倒をみなければいけないという、それぞれの境遇があって、それでも舞台に立たないといけない。それはどんな時でも舞台に立たなければいけない、普段の我々にも通ずるところですね」と語った。また、見どころについて戸田は「えりさんがやられている所は全て見どころですね。舞台上で化粧も落としますし、気ぐるみも着る、男装もする。そのほかにも見どころはたくさんありますが、普通、ミュージカルではアンサンブルといって、今回演じている役のような、何役もやられる方がいらっしゃって、その方々がいないとお芝居は成立しないんですね。なので、そういう方々の“私たちがいないとやっていけないんだよ”という心の声を代弁している所は見どころです」と話した。ミュージカル『わがまま』は東京・世田谷パブリックシアターで4月25日(月)まで上演。その後、兵庫、福岡、鹿児島、北海道、福井を周る。チケットは発売中。
2016年04月20日“心理スリラー・ミュージカル”という異色の魅力を持った舞台『ブラック メリーポピンズ』、その再演が5月、東京・世田谷パブリックシアターにて開幕する。韓国創作ミュージカルをもとに2014年に上演された日本版初演は、原作により深みを加えてシャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、ミステリーの興奮を引き出す小野寺修二の振付などを演出の鈴木裕美が巧みにまとめ上げ、高い評価を得た注目の舞台。14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語だ。今回、再び総指揮をとる鈴木、メリー役の一路真輝、養子の兄弟を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーが再集結するなかで、新加入となる妹アンナ役の中川翔子に熱い視線が集まっている。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報「チームワークでひとつの作品を作り上げる、その役として生きるということ自体が初めての世界で、とても新鮮です。ミュージカルは明るく楽しいというイメージがあったけど、これは孤独や哀しみ、心に負った傷とどう向き合うかといった作品。でもそれだけじゃなく、子供時代のシーンでは兄弟たちが笑顔で、幸せを噛み締める瞬間もあります。そのギャップがまた面白く、より哀しみが深まる繊細な舞台。すべてが学びの時間になりそうで、脳が『吸収したい!ゴクゴク飲みたい!』と言ってます(笑)!」(中川)長兄のハンス役を演じる小西遼生は「中川さんが入ることで、またゼロから作り上げようという新鮮な気持ちになれる。新たな原動力ですね」と妹に期待を寄せる。鈴木は「役は人と人との関係性からできてくるもの。“初演はこうだった”は禁止するところから始めます」と朗らかにひと言。それらの言葉を受けた中川からは「コミュニケーションが大事なんですね。脱・コミュニケーション下手!」と熱い誓いが飛び出した。「兄弟3人にとってはアンナを必死で助けようとする気持ちが大事なので、中川さんは“守ってあげたい妹”として気持ちが作りやすい。僕の想像ですが、中川さんはたぶん、とても自由に羽ばたく気がします。楽しみなのは、ほかのふたりの兄弟(上山、良知)がどういう変化を起こすのか。きっとすごく変わるんじゃないかな(笑)」(小西)「ソ・ユンミさんという才能ある作家が書いた、若いエネルギーにあふれたお話です。5人が演じるどの役も俳優の持つすべてを使わないとこなせない舞台。とにかく俳優を観ていただきたいですね」(鈴木)盤石のキャスト陣に迎えられる緊張はあれど、中川は「急にイケメン兄弟に囲まれて、まるで今の女子向けゲームでいきなりフィーバーモードみたいな感じですよね!?(笑)。素直に『お兄さん、教えて!』とぶつかっていきます!」と、持ち前の元気パワーで前進宣言。新たなアンサンブルで再生する心理スリラー・ミュージカル、期待の全容がまもなくお目見えする。東京公演は5月14日(土)から29日(日)まで。その後、兵庫、福岡、愛知でも公演。取材・文上野紀子
2016年04月20日観客も世代を問わずこぶしを振り上げジャンプ! という大熱狂のカーテンコール。好評を博したミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、2014年の日本初演に続き早くも再演される。主人公デロリス役は待望の続投となる森公美子と、新キャストの元宝塚歌劇団花組トップスター・蘭寿とむ。持ち味の異なるふたりを中心としたカンパニーが、帝国劇場公演を皮切りに全国を興奮の渦に巻き込む。ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」のチケット情報蘭寿は「初のアフロヘアです! 扮装した瞬間からテンションが上がりました」と、新しい分野への挑戦に目を輝かせる。破天荒な黒人クラブ歌手デロリスは、マフィアから逃れるために飛び込んだ修道院で、規律正しいシスターたちと次第に心通わせてゆく。「歌手として輝きたいと自分のことだけを考えていた彼女が、初めて自分を必要としてくれる人と出会い信頼関係を築いていきます。シスターたちとの絆、彼女のピュアさを出してゆきたい」。本作はウーピー・ゴールドバーグ主演の大ヒット映画を、ウーピー自身のプロデュースで2009年にミュージカル化し大成功した作品。蘭寿は招聘公演を観劇、「見た目はキュートなデロリスなのに、ダンスを踊りながら長いナンバーを歌って本当にパワフルでした。私も女性のキュートな面も表現できたら」と話す。『アラジン』『美女と野獣』などのアラン・メンケンが音楽を担当し、ソウル、ゴスペル、ディスコミュージックなど幅広いジャンルの楽曲が詰まっている。「素敵な曲ばかりですけど音域も広いし挑戦です。ゴスペルではリズムをしっかり出し、よりパンチのある声を出せるようお稽古していきたいです」。先頃出演した地球ゴージャス『The Love Bugs』でも、大劇場を埋める歌声で進化を見せた蘭寿。「退団後ボイストレーニングを続け、発声の仕方を変えています。自分の声がどんどん変わってくるのが楽しくて」。歌う喜びを全身全霊で伝えるデロリスはまさにぴったりだ。「自分自身も心をバーンと開いて歌えるんじゃないかな。そこに至るまでは大変だと思いますが、森公美子さんも“一緒に作っていこうね”と言って下さっていて心強いです」。デビュー20周年を迎えた今年、本作が転機になるのを予感している。「一つひとつ全力でやってきて今があるのを感じます。初めての帝国劇場で主演をさせて頂けるなんて本当に嬉しい。最後は歌って踊れる最高にハッピーな作品なので、アフロの鬘を持ってきていただいてもいいですし(笑)、皆さんと一緒に盛り上がりたいです!」。男役時代からの“熱い血”と、最近とみに増すキュートさが合わさり新境地の舞台となりそうだ。5月22日(日) ~ 6月20日(月)の東京・帝国劇場を皮切りに、7月2日(土)・3日(日)の大阪・梅田芸術劇場 メインホール、その後、愛知・北海道・宮城などを廻る。東京・大阪・愛知公演は発売中。北海道・宮城公演は4月23日(土)から一般発売。取材・文:小野寺亜紀
2016年04月20日1937年にロンドンで初演され、宝塚歌劇でも1987年の初演以来、再演を重ねてきた大ヒットミュージカル『ME AND MY GIRL』が、明日海りお率いる花組で上演される。宝塚歌劇花組『ME AND MY GIRL』チケット情報2008年に月組で上演された本作の新人公演で主役のウイリアム(ビル)に抜擢、本公演では娘役のジャッキーを演じたという、明日海にとって思い出深い作品。「前回は娘役でたくさんのことを学ばせていただきました。それと同時に、新人公演でビルを演じ、やっぱり自分は男役がすごく好きで、これから男役として頑張っていくんだ!と決意したことを覚えています」。そして今回はまた気持ちを新たに挑んでいる。「今の花組はとても個性的な組子が揃っており、今の花組にしかできないオリジナルのものを作り上げて、胸を張ってお見せできるように励んでいます」。1930年代のロンドンを舞台に、下町で育った名門貴族の世継の青年ビルが一人前の紳士に成長するまでを、恋人サリーとの恋物語を絡めて描いたコメディ。演じるビルについて「こんな男性がいたら本当に素敵だなと思います。普段はちょっとふざけている人なんですが、やる時はやる。中身がとても紳士で、サリーへの気持ちも揺るがないですし、誰に対しても誠実に向き合う。大らかで包容力があって、知らないうちにいろんな人を虜にして、いろんな人と絆を築いていける、すごく魅力的な男性だと思います。ラフでありながら誠実だという、その差があるほど素敵だと思いますので、大人しくまとまらないようにしたいです」と、力を込める。宝塚歌劇ならではの見どころは「特にランベスウォークの場面です。組子がほとんど総出演で客席降りもありますし、とても華やかです。お客様も一緒に楽しんでいただけるので楽しみにしていただきたいです」。さらに自身が好きな名場面を尋ねると「下級生が任されることが多いキッチンの場面。そこで、コーラスがいかにきっちりしているかとか、一人ひとりの芝居がはっきりと見えるので、その時の組の特色が分かるんです。みんなまだ苦労していますが、元気があるのでこれからまだまだ頑張って追求してくれると思います」と期待を込める。柔らかな笑顔の裏に、舞台への熱い思いが垣間見える明日海。トップ就任から3年目を迎える彼女が目指すトップ像は「舞台に立った瞬間に、空気を掴める人」。8年の時を経て成長した、より魅力あふれるビルに期待したい。公演は宝塚大劇場にて4月29日(金・祝)から6月6日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は6月24日(金)から7月31日(日)まで。5月22日(日)より一般発売が開始される。取材・文/黒石悦子
2016年04月19日村井良大、彩吹真央、駒田一の実力派キャスト3人が挑むロマンチック・コメディ・ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が、6月12日(日)より東京・読売大手町ホール、大阪・サンケイホールブリーゼで上演。トークショーの開催や、特典付きチケットの販売が決定した。『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』チケット情報本作は、2006年に韓国で幕を開け、2014年まで大ロングランを記録した韓国オリジナルミュージカル。彩吹演じる初恋の男性を忘れられない女性が、村井演じる“初恋探し会社”のさえない男性と共に初恋相手を探しに出るという物語で、村井は初恋の男性キム・ジョンウクと2役を演じ分ける。また、芸達者な駒田は女性の父母やインド人、若い女性など、ひとりで22役をこなす“マルチマン”。濃密な空間で3人が織りなす、笑って泣けて、最後はほっこりした気分になれるエンタテインメントだ。本公演では6月12日(日)14時・14日(火)14時の東京公演、29日(水)の大阪公演でミニイベントを、19日(日)18時・23日(木)19時の東京公演、30日(木)の大阪公演で出演者3人のトークショーを開催。また、日本版初演記念として、「バックステージ付きチケット」「サイン入りビジュアルチケットホルダーを探せ!」「舞台写真付きチケット」の、3種類の企画チケットも用意。「サイン入り~」は、対象公演来場者全員に、チケットホルダーをプレゼント。その中に、1公演につき5枚、出演者3人のサインが入ったチケットホルダーが含まれているというもの。貴重なサインをゲットできるチャンスだ。キャストの“素”の部分や裏話が聞けるトークショー、通常なら体験できない舞台裏をのぞくことができるバックステージ、記念に残せるチケットホルダーや舞台写真…。イベント付きなら楽しさも倍増すること間違いなし。ぜひ気になる公演をチェックして。<企画対象公演>■バックステージ付きチケット対象公演:6月17日(金)14:00/6月24日(金)14:00■サイン入りビジュアルチケットホルダーを探せ!対象公演:
2016年04月15日ミュージカル『グランドホテル』が4月9日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。演出は英国出身のトム・サザーランド。カンパニーを中川晃教・宮原浩暢・安寿ミラらが出演する<GREEN>と、成河・伊礼彼方・草刈民代らが出演する<RED>のふたつに分け、演出を変えて上演されることが話題となっていた作品だ。中でも結末は<GREEN=悲劇的エンディング><RED=ハッピーエンディング>とまったく異なるものになる……というところまで、事前に明らかにされていた。さっそく、両バージョンを観劇した。ミュージカル『グランドホテル』チケット情報物語は1928年ベルリン、ナチス台頭が近づく不穏な社会情勢の中、豪華なグランドホテルに行きかう人々のドラマを描く群像劇。ことさら飾り立てられてはいないが品のある舞台セットは、まさに高級ホテルの趣き。その美しいセットが回転し情景を変える中、ホテルを訪れる客たちの事情が点景のように綴られていく。重い病を患ったユダヤ人の会計士、借金だらけの男爵、引退興行中のバレリーナ……。それぞれの歌声が重なると同時に、彼らの人生が重なり、そして物語が一気に回りだすプロローグ「グランド・パレード」から、一気に心を掴まれる。それまで接点のなかった人々の人生が、グランドホテルという場所で奇跡のように交錯する。そこで愛が生まれ、友情が生まれ、事件が生まれる。その過程も、両バージョンで少しずつ異なる。それは目に見えて違うものから些細なものまで様々だ。だが、その些細な選択から、物語がボタンの掛け違いのようにずれていき、最後の運命を大きく変えていくよう。結末の演出はまさに180度違う。新しい世界への旅立ちを予感させるRED、このあと戦争へ走っていく当時のベルリンの重苦しさを描き出すGREEN。……だが、思うのだ。まったく違うようでいて、ふたつの物語は、実は同じものを描き出しているのではないか、と。希望を絶たれたようなGREENの中では、新しく生まれる命――それは希望である――が、ひときわ強く輝く。一方、希望を胸に幕切れを迎えるREDの登場人物もまた1928年のドイツに生きているのは間違いなく、彼らのその後に苦難が待ち受けていることは想像に難くない。どちらも、どんな状況であろうと、貪欲に生きることのエネルギーが描かれている。ふたつの『グランドホテル』は表裏一体なのだ。実際クライマックス、ある人物に死が訪れるシーンの演出は、まさに表と裏といった見え方のする演出がなされていて、興味深かった。とはいえ、同じ脚本と音楽で異なるドラマを生み出していく意欲作、その意図するところをきちんと見せきるには、役者には演じる力量、さらにはクレバーさが要求されるであろう。今回のキャストは全員が、その役目をきちんと担っていて、非常に見応えのある舞台を作り上げている。どちらを観ても満足のいく作品だが、できれば両バージョンを観て、そこから何かを感じ取って欲しい。公演は4月24日(日)まで同劇場にて。その後、愛知、大阪公演あり。
2016年04月14日東京・帝国劇場で開幕したミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』の初日前会見が4月7日、同劇場で開催され、出演する小池徹平、加藤和樹、神田沙也加、夢咲ねね、花總まり、凰稀かなめが意気込みを語った。【チケット情報はこちら】作品は2012年にフランスで初演し、フランス・ミュージカル界で大ヒットしたもの。フランス革命という史実を背景に、革命に燃える市民たちの情熱や、その中に生まれた愛、そして王侯貴族の衰退を描いていく物語だ。農村出身で、革命に身を投じる主人公ロナンは、小池と加藤のWキャスト。小池は伝統ある帝国劇場に初出演にして初主演。「稽古場から劇場に入って3日目くらいにして、やっと劇場に慣れてきました。エレベーター移動が多い劇場なのですが、全然来ない時は階段を使ったりして、そういうことすら楽しい。階段移動を楽しいと思っちゃうのは初めて(笑)。今のところは舞台の表も裏も、楽しくやれています!」と、環境を楽しんでいる様子。もうひとりのロナン、加藤は2014年の『レディ・ベス』以来、2年ぶり2度目の帝国劇場出演。「Wキャストなので客席で観る機会があるのですが、思った以上に派手で華やか。今やっていることすべてがひとつにつながった時にどうなるか、僕自身も楽しみにしています。間違いなく革命的な作品になる」と自信を語った。小池が「今回3組のWキャストがいて、全部で8通り、色々な『1789』が楽しめる」とアピールするように、ロナンに加え、ロナンと恋に落ちるヒロインのオランプ、王妃マリー・アントワネットの3役がWキャスト。オランプを演じるのは神田と夢咲で、「衣裳も華やかで、舞台セットや照明などもすごく見応えがある。楽曲も素晴らしいので、目にも耳にも楽しんで頂けるのでは」(神田)、「私も帝国劇場への出演が初めて。ずっと憧れていた劇場でこうやって舞台稽古をし、いよいよ始まるんだなと身の引き締まる思いです」(夢咲)とそれぞれ話す。さらに、花總、凰稀という元宝塚歌劇団トップのふたりがアントワネットを演じる。この日の会見もアントワネットの豪華な衣裳はひときわ目を引いたが「少し……少しどころか贅沢をし過ぎましたが(笑)、当時のファッションリーダーでもあったマリー・アントワネットの、これでもか!という素敵なお衣裳をお客さまにも楽しんで頂けたら」(花總)、「マリー・アントワネットの登場シーンは見どころです!」(凰稀)とのことなので、そちらも注目だ。公演は4月9日・10日のプレビュー公演を経て、4月11日(月)に開幕。5月15日(日)まで同劇場にて。その後大阪公演もあり。チケットは発売中。
2016年04月11日宮本亜門が演出するブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッドフリート街の悪魔の理髪師』が、今年で4度目の上演を迎える。2007年の初演から青年トバイアスを演じ続けているのは、武田真治。「役の幅が広がり、大人の扉を開いてくれた」という役柄について聞いた。ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報18世紀末のロンドンを舞台に、無実の罪で流刑され、愛する人を失った理髪師のスウィーニー・トッド(市村正親)が、パイ屋のラヴェット夫人(大竹しのぶ)と共謀し、商売道具のカミソリで人を殺して人肉パイを作り復讐するという物語。武田はラヴェット夫人を手伝う孤児のトバイアスを演じる。年齢不詳の青年だが「彼の純粋ささえ表現できていれば、年齢は特に気にしていない」という。同じ役を4回も重ねるのは、武田にとって「最長記録で大冒険。映画版では子役が演じていた役を僕は43歳で演じているぞ!というギャップもにじみ出れば」と笑うが、初演時には苦労したそうだ。「ミュージカルはこの作品が2本目で、しかも1本目は誰もが憧れる、様式美を徹底的に教え込まれた『エリザベート』のトート役。トバイアスはその真逆で、不作法でどちらかというと可愛らしいタイプ。亜門さんに『こんな役やっていたら彼女が出来ない』とまで言い放ちました(笑)。亜門さんは『そうか、困ったね』と笑っていらっしゃいましたが」。虐げられた最下層の役が理解できず「僕の履く靴に、亜門さんが血糊を付けて包帯を巻き、足が壊死したという設定にし、ドブネズミのようなキャラクターを引き出してくれたんです」。幕が開けると、トバイアスが『誰だか分らなかった』と言われ大評判になった。しかし、2回目の公演では足の不自由な設定はなくなった。「こんなもんだと形で演じているように思われたのかもしれない。心で演じなくてはいけないと亜門さんがハードルをさらに上げて下さった。今はもうその設定は僕に任せてくれています」。体を鍛え、その筋肉美でも知られる。「20代で顎関節症になるまで、僕は人より多くのものを与えられ、それだけで表現者として生きていけると思い込んでいた」。しかし、病気を克服するために体を鍛えて「痛みを知る」ことで、今までの自分は「人の痛みを知らない、ただのわがままなヤツだった」と認識したと言う。それは舞台にも通じる。「自分ひとりでは何も生み出せないと思い知った。お客様も含め全体との調和が必要なミュージカルに出会えて本当にラッキーでした」。スウィーニー・トッドは、愛する人を失った痛みから復讐が止められない。トバイアスはその復讐を断ち切る鍵となる。「復讐の連鎖を止めることは大切ですが、幕が閉じた後、事件が全てトバイアスのせいにされてしまうのではないかと気になるんです」。ラストシーンは衝撃的だが、武田は舞台終了後のトバイアスに思いを馳せている。4月14日(木)から5月8日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、5月13日(金)から15日(日)まで大阪・シアターBRAVA!、5月20日(金)から22日(日)まで愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年04月08日世界各国で上演されたフランス発のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が新キャストにより2017年1月から3月まで、東京、大阪で上演が決定した。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』公演情報本作は、2010年に宝塚歌劇団星組が大阪、博多で日本初演。その後、雪組、月組でも上演され、宝塚歌劇団においても大ヒット作品となった。2011年秋には、さきの宝塚歌劇団での上演を成功に導き、日本ミュージカル界を牽引する演出家、小池修一郎により、日本オリジナル本格ミュージカルバージョンを上演。2013年にも再演し、いずれも大ヒットを記録、16万人を動員した。主演のロミオ役は、『エリザベート』での皇太子ルドルフ役やミュージカル『黒執事』で主演を務めた古川雄大が、前回に引き続き出演する。一方Wキャストは、大河ドラマ『花燃ゆ』やNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演中の大野拓朗。ミュージカルへの出演は、2012 年の『エリザベート』以来5年ぶり初主演だ。ジュリエット役には、『虹のプレリュード』や『リボンの騎士』で主役経験のある乃木坂46の生田絵梨花。Wキャストはテレビ番組『全日本歌唱選手権 歌唱王2015』の決勝戦に佐賀県から出場した期待の新人・木下晴香が挑むなど、キャストを一新。新ロミオ、新ジュリエットに対し小池は、「古川雄大君は再挑戦ですが、大作への出演が続いているので、今回は自分なりのロミオ像を完成させてくれるでしょう。 大野拓朗君はミュージカル『エリザベート』の後、4年間、秘かに歌のレッスンを重ねてきたというミュージカルへの情熱がオーディションで感じられ、リベンジのチャンスを勝ち取りました。 生田絵梨花さんはトップアイドルにも関わらず、本格的な音楽の勉強を続けていて、ミュージカル女優としての開花に大いに期待しています。 木下晴香さんは、テレビの歌番組で見て高校生ながら突出した歌唱力と新鮮さに懸けました」とコメント。そのほか、ロミオの親友・ベンヴォーリオ役は馬場徹、矢崎広。マーキューシオ役は平間壮一、小野賢章。敵対するティボルト役には、渡辺大輔、広瀬友祐。死のダンサーには、大貫勇輔、宮尾俊太郎(Kバレエカンパニー)が出演する。若者の情熱と、その純粋さを操る“死”の妖しい美しさ、失われた世界に燃え上がるひとすじの恋を描いた、永遠の感動のミュージカルの新たな歴史が生まれるはず。開幕の日を楽しみに待ちたい。■ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』【東京公演】8月27日(土)チケット発売予定▼2017年1月15日(日)~2月14日(火)赤坂 ACTシアター[問]0570-077-039【大阪公演】10月チケット発売予定▼2017年2月22日(水)~3月5日(日)梅田芸術劇場メインホール[問]06-6377-3800
2016年04月08日現代ミュージカルの巨星、スティーヴン・ソンドハイムの傑作を宮本亜門が演出。市村正親、大竹しのぶという名優の主演で、2007年、2011年、2013年に上演されたブロードウェイ・ミュージカル『スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~』が、4度めの幕を開ける!ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報18世紀末のロンドン、高名な判事に妻子を奪われ、無実の罪を着せられた理髪師が、脱獄をし、名をスウィーニー・トッドと変え、復讐の機会を狙う。その協力者となるのが、ロンドン一まずいと悪評のパイ屋のおかみ、ミセス・ラヴェットだ。トッドの企みを隠しながら、パイ屋も繁盛をする。そのためにふたりが考えだした、とんでもない作戦とは…!?ロンドンに実在したと言われる理髪師に扮するのは、市村正親。「またこの複雑でおもしろい作品で、ソンドハイムの音楽に身を委ねることができる。役者冥利に尽きますね」と、うれしそうに語る。大ベテランの市村も、初演時には、独特の変化の多い曲に苦労したのだとか。「非常に難しいのに、やっているうちに心地よくなる。多彩な変化が、ドラマチックな物語を表していて、まさにソンドハイムのミラクルが体感できる作品なんです」。トッドの残酷な運命を予感させるように、不安げなメロディで幕が開き、物語はスリリングに展開する。血なまぐさいトッドの企みを、ブラックジョークへと変え、コミカルな笑いで盛り上げるのがラヴェット役の大竹しのぶだ。「しのぶちゃんあっての『スウィーニー・トッド』」と市村が言うように、大竹のおかみぶりは、豪快でお茶目。憎しみの炎をたぎらせる市村のトッドと絶品のコンビで、観客をぐいぐいと引っ張っていく。ふたりがカミソリと鉈を手に歌い上げるシーンは、恐ろしくもおかしく、盛り上がりどころのひとつだ。恐怖と笑いが交錯する物語は、ハラハラドキドキの連続で目が離せないと市村。「特に2幕の後半はスピーディで見事です。あり得ない話だけどリアリティもあって、このハラハラドキドキ感は観る甲斐ありですよ」。宮本演出のもと、市村、大竹の巧みなタッグに見事なアンサンブルを添えるのが武田真治、芳本美代子、田代万里生、斉藤暁、安崎求ら個性派の共演者たち。いずれも本作品の出演経験者で、「芝居も歌も確実に深まっています。みんな音符に追われるのではなく、物語の中で生きている感じ」。2007年から10年が経ち、市村はふたりの子どもを持つ父親に。「僕自身も父になって、トッドの妻子を思う気持ちがリアルに体感できるようになりました。トッドは頭では妻と娘を思いながら、手ではすごく残忍なことをやっている。その二面性でお客様がジレンマに陥って、よりハラハラドキドキするような舞台にしたい。今回がファイナルだと思って、悔いのないよう、そしてお客様が喜んで下さるよう、精一杯つとめます」。東京公演は4月14日(木)から5月8日(日)まで東京・東京芸術劇場にて上演。その後、大阪、名古屋を巡演。取材・文:大西美貴
2016年04月07日市村正親と大竹しのぶがW主演、宮本亜門が演出を手掛けるブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』の公開稽古が行われた。2007年、2011年、2013年と3度にわたり、市村と大竹がW主演を務めてきた本作だが、今回の2016年度版がこのコンビでは最後となることが市村の口から発表された。ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』チケット情報本作は18世紀のロンドンに実在したという恐怖の理髪師をモデルにした、痛快で悲しい復讐のストーリー。妻と娘と共に幸せに暮らしていた理髪師ベンジャミン・バーカー(市村)は、ある日、妻を横恋慕する判事ターピン(安崎求)に無実の罪を着せられ、流刑に処せられる。15年後、街に戻った彼は、かつての自分の店の1階で今もパイ屋を営むラヴェット夫人(大竹)から、妻が狂死し、娘はターピンの養女になっていることを知らされる。怒りに燃える彼は「スウィーニー・トッド」と名乗り、再び理髪店を開店。ターピンへの復讐の機会を狙いながら、彼の正体を知る人間を次々と殺し、その肉を使ってラヴェット夫人はパイを焼く――。公開稽古で披露されたのは、オープニング曲の『スウィーニー・トッドのバラード』。亡霊たちが「スウィーニー・トッド」とは何者かを歌うナンバーで、その圧倒的なステージに稽古場は一気に不穏な空気に包まれた。公開稽古後の囲み取材には、市村、大竹、宮本が出席。市村が「僕としのぶさんの『スウィーニー・トッド』はファイナルです。うぅ」と泣きまねすると、すかさず宮本が「前回もファイナルって言ってた気がしたけど」とツッコミ。市村は「今回は本当のファイナルです」と断言した。宮本は「ふたりの人生のすごみが役に入り込んできて、だから毎回唸るような作品の濃さになっていく。このふたりが最後っていうのは演出家としても悔しいですよね」と悔やんだ。市村「ドラマはちょっと強烈だけども痛快な爽快感がある話です。亜門ちゃんの演出で、僕としのぶさんとカンパニーで、最高のものをお見せしたい」大竹「音楽も素晴らしいし、怖いだけじゃなくてワクワクして笑えるところもある楽しい作品。劇場という空間の中で、違う世界に連れてってもらえると思います」宮本「大人しかできない、本物が観たい人に観てほしいミュージカルです。特にこのふたりのコンビはこれが最後なので、演劇ファン、ミュージカルファン、映画ファン、劇場に行ったことない人にも必ず観てほしい。すごい瞬間をお届けできると思います」ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』は4月14日(木)から5月8日(日)まで東京・東京芸術劇場にて。その後、大阪、名古屋を巡演。取材・文:中川實穗
2016年04月06日オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』が6月30日(木)より東京・新宿 シアターサンモールで開幕。上演に先がけて、キャスト発表イベントが開催された。【チケット情報はこちら】同作はアメリカで初演され、数々の賞を獲得した人気作。日本では2014年12月に今回と同じく俳優の原田優一が演出を務め初演。今回、新たなキャストを迎え再演される。物語の舞台は全寮制のセント・セシリア高校。平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。いつかは自らを―bare―さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた…。ジェイソン役は鯨井康介、岡田亮輔、ピーター役は、田村良太、橋本真一がダブルキャストでそれぞれ務める。原田は再演を決めたきっかけについて「役者という仕事はさらけ出すという作業が必要だと思うのですが、初演の演出を行ってから1年、自分自身も色々な経験をしたので、そのうえでもう一度この作品と向き合ってみたいなと思いました。あと前回はありがたいことにチケットが取れないという方がいたので、今回再演する事でより大勢の方に見て頂きたいという想いもあります」と説明。初演ではピーター役を務め、今回はジェイソン役に役がわりする岡田について原田は「役者としての線が太くなったと印象を受けたのと、ピーターを経験した後の彼が演じるジェイソンを見てみたいと思ってオファーしました。最初は戸惑っていたようですが、今では堂々とジェイソンを演じていますね」と絶賛。また、ピーター役の橋本はオーディションからこの役を勝ち取ったが、原田は「初めて見た時にピーター発見!と思って、他の方の意見を聞く前に“はい!決まり!”って言いました。この母性をくすぐるような可愛らしさ。母乳が出てくるかと思いました(笑)」とこちらも絶賛。岡田と橋本はそれぞれ意気込みについて「新しいキャストも入って、ワクワクしています。前回とはまた違う、新しい『bare -ベア-』を作っていきたいと思います!」(岡田)。「本格的なミュージカルは初挑戦で、色々プレッシャーや不安もあるのですが、本番では皆さんと肩を並べて堂々と演じられるように頑張ろうと思います」(橋本)と語った。劇中には男性同士のキスシーンがあるが、「女性とのキスシーンは女性を美しく見せようと気を使いますが、男性同士ではそれがないので、よりリアルな気がします」(岡田)と語った。最後に原田は同作について「予習は特に必要ないです。現代の日本で生きる方々がどういう風にメッセージを受け取ってくださるか、というのがこの作品の肝だと思うので。自分自身の殻に気づいたり、人間関係を見直すきっかけになれば良いなと思います」と話した。オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』は7月10日(日)まで、東京・新宿 シアターサンモールで上演。なお、チケットぴあでは先行抽選プレリザーブを4月5日(火)午前11時まで受付中。なお、ぴあでは原田優一のファンクラブを好評受付中。詳しくは下記関連リンクより。
2016年04月01日村井良大、平方元基らが出演する舞台『SHOW ル・リアン』が、3月31日、東京・天王洲 銀河劇場にて開幕する。開幕を目前に控えた30日、舞台稽古が公開された。演出は本間憲一。舞台『SHOW ル・リアン』チケット情報作品は、夜毎ショーが開催されている“ル・リアンの館”に、ひとりの少年・タクミが迷い込んでくることからはじまる。少年とともに、観客も夢の世界に誘われていくような幻想的な雰囲気を纏ったショーだ。披露されるナンバーは『ショーほど素敵な商売はない』(アニーよ銃をとれ)、『Too Darn Hot』(キス・ミー・ケイト)、『All That Jazz』(CHICAGO)といった、スタンダード化しているミュージカルソングの数々。その王道ナンバーを、時にシックに、時にチャーミングに魅せていくのが、村井、平方ら人気若手俳優を中心としたメンバーだ。これまであまりショー作品への出演イメージのない彼らの個性が素敵に光り、なんとも温もりあるステージを作り上げている。村井はストーリーテラー的役割も担いつつ、後半の重要なタップダンスの場面もしっかりと見せ、平方は豊かな歌声を劇場いっぱいに届け、若手ミュージカルスターらしいきらめきを放った。さらにダンサー・大貫勇輔が『SINGIN’ IN THE RAIN』(雨に唄えば)でジーン・ケリーもかくやといったダンスを披露したり、元宝塚トップスター・大空祐飛はジャズのスタンダードナンバー『Stardust』でオーラ全開のディーバの顔を見せたと思えば、真っ赤なミニドレスでキュートなペアダンスを披露したり……と、出演者それぞれの魅力が存分に楽しめるショー。演出を手がける本間が日本を代表するタップダンサーということもあり、タップダンスも重要な要素で、HIDEBOHの印象的なソロ・タップ、出演者全員の迫力のタップも見どころだ。そして本作のテーマ曲の作曲も手がけた14歳の天才ピアニスト、奥田弦の超絶テクニックも必見。郷愁を誘うスタンダードナンバーを繋げ、奇を衒わず丁寧に作り上げたた舞台は、古き良きショー作品の趣きだが、奥田とタクミ役の松本拓海というふたりの少年の存在が、エンターテインメントの未来の輝きを予感させる。ショー作品の原点と未来を同時に体感できる、上質のステージである。公演は4月3日(日)まで同劇場にて。その後、4月5日(火)・6日(水)には大阪・サンケイホールブリーゼでも上演される。
2016年03月31日フランス生まれのポップでセンセーショナルなミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』の開幕が、いよいよ来月に近づいてきた。フランス革命という史実を背景に、革命に燃える市民たちの情熱や、その中に生まれた愛、そして王侯貴族の衰退を描いていく作品。グルーブ感溢れるサウンドと、ファッションショーさながらのカラフルな衣裳などが評判となり、2012年の初演時、フランスを熱狂の渦に巻き込んだ。日本では昨年宝塚歌劇団で初演され、演出も新たに今年、帝国劇場に登場。3月某日、その稽古場を取材した。チケット情報はこちら取材したのは、「武器を持って起ち上がれ」と動き出した主人公ロナンら革命家(市民)たちを、将校・ペイロール(岡幸二郎)が蹴散らさんとするシーンの稽古。動きの激しいダンスナンバーのようだ。中心にいるのは、ペイロールと因縁のあるロナン(小池徹平、加藤和樹のWキャスト)、革命家のロベスピエール(古川雄大)、ダントン(上原理生)、デムーラン(渡辺大輔)。若きミュージカルスターたちが、ものすごい勢いで振付を覚えていく。反発しあう市民と兵士だが、振り上げた足をよけ、相手を飛び越え……といったダンスは、息を合わせないと出来ないもの。そして出来上がるそのシーンは躍動感と迫力に満ち、今までの“帝国劇場ミュージカル”とはひと味違う、フレッシュで力強いものが生まれてきそうだった。おそらく実際の舞台上では、わずか数分のシーンであろう。それを、3時間ほどかけて作り上げていく作業。その積み重ねで出来上がる、新しいミュージカル『1789』の誕生を、楽しみに待ちたい。ほか、出演は神田沙也加・夢咲ねね(Wキャスト)、花總まり・凰稀かなめ(Wキャスト)ら。公演は4月9日(土)・10日(日)のプレビュー公演を経て、4月11日(月)から5月15日(日)まで、東京・帝国劇場にて。その後大阪公演もあり。チケットは発売中。
2016年03月29日映画化もされた、韓国発のロマンチック・コメディ・ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が、日本版として初上演される。わずか3人の俳優が織り成す心温まる本作は、韓国では老若男女問わず愛され、2006年の初演から2014年までロングランを続けた。注目の日本版の出演者は、村井良大、彩吹真央、駒田一。物語は仕事を失い、親からは早く結婚しろと言われている女性が、なんとも頼りなくさえない男性がやっている「初恋探し株式会社」の扉を叩き、ふたりで初恋の人“キム・ジョンウク”を探す旅に出る……というもの。初恋の人“キム・ジョンウク”と“初恋を探してあげる男”の2役を演じる主演男優は村井良大、初恋を忘れられない女性を演じるのが彩吹真央、そしてお父さん・お母さんからインド人まで、実に22役をこなすマルチマンと呼ばれる役を駒田一が演じる。出演する村井は、「この作品のお話をいただいたとき、まず、“ミュージカル”、“三人芝居”、“ひとり2役、22役(!!)”……「なにそれ、すごく面白そう!」って思ったんです。作品のアウトラインだけでこんなにワクワクできるってスゴイですよね。きっと3人だけだからこその密な芝居作りができるんだろうと思います。ラブコメも好きなジャンル。これまでにもラブコメの要素のある作品には出演してきましたが、ここまでの“ザッツラブコメ”はないので、新しい自分を見てもらえれば」とコメントしている。公演は6月12日(日)から26日(日)まで東京・よみうり大手町ホール、6月29日(水)・30日(木)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケットは明日、3月26日(土)10:00に一般発売を開始する。なお、尚、東京・平日夜公演に限り、お得な当日引換券(ミュージカルgogo ticket-5500円)もあり。
2016年03月25日宝塚歌劇団星組公演のミュージカル『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』とショー『THE ENTERTAINER!』が、3月18日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。本公演は第102期初舞台生のお披露目公演でもあり、幕開きには羽織袴姿で口上を行い、ショーではラインダンスを披露した。宝塚歌劇星組『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』/『THE ENTERTAINER!』のチケット情報『こうもり』は、ヨハン・シュトラウス二世の傑作オペレッタ『こうもり』をミュージカル化したもので、笑いがたっぷり散りばめられた大人の喜劇だ。ある夜、友人のアイゼンシュタイン侯爵と共に仮装舞踏会へ出かけた、高名な物理学者・ファルケ博士。美酒に溺れ、酔いがまわった彼らは飲み明かす約束をするが、侯爵は迎えにやってきた執事アルフレードから、妻が鬼の形相で帰りを待っていることを聞かされ、我に返る。妻が怖くて帰宅すると言いにくい侯爵は、こうもりの扮装をしたままの博士を公園のニケ像に縛り付けて置き去りに。翌朝目覚めた博士は“こうもり博士”と笑われて怒りが収まらず、侯爵に仕返しをすることに…。いたずらを仕掛けていくファルケ博士を演じるのはトップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)。歌、ダンス、芝居と3拍子揃った北翔は、クラシックの発声を使いながら、聴き心地のいい温かみのある歌声で歌いこなす。そしてこの笑いたっぷりの喜劇で魅力を発揮したのが、アイゼンシュタイン侯爵役の紅ゆずるだ。博士にいたずらされているとは気づかず、翻弄される姿をコミカルに演じ、楽しませてくれる。侯爵家に仕えるメイド役を務めるトップ娘役の妃海風(ひなみ・ふう)も、高音域の歌を安定した歌唱力で歌い届ける。ファルケ博士との恋模様も宝塚らしいアレンジとして取り入れられ、見どころのひとつとなっている。さらに、専科から参加の星条海斗(せいじょう・かいと)が、ロシア皇太子オルロフスキー侯爵役を務め、芸達者な演技で笑いを誘い、歌唱力の高さでも魅せる。第二幕のショーでは、北翔を中心とした星組のメンバーがそれぞれに“エンターテイナー”ぶりを発揮。シルクハットにケーン、羽根扇を持つ王道スタイルで、幕開けから観客を宝塚らしいショータイムに引き込んでいく。他にも、北翔扮するエンターテイナーになりたい男の子が、どんどん成長していく過程をショーで表すストーリー性のあるシーン、ラテンの中詰め、セリと盆を使って100人以上で魅せる壮大なシーン、北翔がピアノで弾き語るシーンなど、盛りだくさんで展開。両作共に、個性あふれる星組の魅力が余すところなく引き出されたステージになっている。兵庫・宝塚大劇場公演は4月25日(月)まで。また、5月13日(金)から6月19日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。取材・文:黒石悦子
2016年03月25日