トップスター・早霧せいな率いる宝塚歌劇雪組の勢いが止まらない。『ルパン三世』『るろうに剣心』といった人気漫画の舞台化から、日本物の名作となった『星逢一夜』まで常に100%を超える観客動員を記録。注目を集める大劇場公演4作目『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』の制作発表会が、7月19日に宝塚バウホールで行われた。宝塚歌劇雪組 宝塚大劇場公演『私立探偵ケイレブ・ハント』/『Greatest HITS!』チケット情報出演者からは主演の早霧せいな、雪組トップ娘役・咲妃みゆ、男役スター・望海風斗が出席。3人揃っての粋なダンスや、恋人同士の役柄に扮したトップコンビのデュエットナンバーなどが披露された。現在『ローマの休日』に出演中の早霧は、「ローマから(芝居の舞台となる)アメリカへ無事に行けているのだろうかと自問自答した」と言って笑わせながら、「曲が自分の中でしっくりきて私を助けてくれました」と話す。咲妃はそんな早霧のダンスシーンに、「煌びやかに登場するのを舞台袖で拝見してワクワクしました!」と。望海も「ふたりと一緒に踊りながら、『この呼吸が懐かしい。早く一緒に作品を作りたい』という気持ちになりました」と、声を弾ませる。ミュージカル『私立探偵―』はベテラン演出家・正塚晴彦の新作。正塚は早霧について「稽古での計算などを一切捨てて、舞台で“生きている”かのように演じる感覚が強い人」と話し、探偵仲間(望海風斗・彩風咲奈)と共に調査案件に立ち向かうケイレブ・ハント役をあてがった。早霧はこれまで敵対することが多かった望海との新たな関係に、「ふたりだからこそ描ける友情をお見せしたい」と笑顔。正塚は「事件解決だけでなく各々の私生活や想いも描いた人間ドラマ。シリアス一辺倒の探偵ものではなく、笑いも取り入れる」と言い、軽妙なやりとりでも魅了しそう。また恋人イヴォンヌ(咲妃)との大人の恋愛について、早霧は「温かいものがお客様に届けばいいなと思っています」と話す。結婚へ踏み出す前の繊細な男心にも注目だ。『Greatest HITS!』は心躍る名曲で綴るショー。「世界中で歌われている歌を集めて、雪組とお客様が心を通わせられる楽しいショーを作りたい」と作・演出の稲葉太地。「早霧の魅力は昔から元気なところで、久しぶりに稽古場で会ったらさらに振り幅、リアクションが大きくなっていた!」と語り、早霧がサンタクロースに扮するシーンも用意。12月25日の東京公演千秋楽に向けて、クリスマスソングで盛り上がる。早霧は「サンタにプレゼントをお願いしたときの気持ちを思い出し、子どもの心をお客様にお届けしたい」と意気込む。また咲妃にはドラマ的な要素が入るシーン、望海にはひと場面リアルな感情を歌で表現するシーンがあることも稲葉から発表され、雪組生の得意な分野を存分に活かしたショーを予感させた。公演は、10月7日(金)から11月7日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演。チケットは9月3日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2016年07月25日“Wish”(=願い)をテーマに、東京ディズニーシー15周年“ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ”を開催中の東京ディズニーシーでは7月9日より新ミュージカルショー「アウト・オブ・シャドウランド」が待望のスタート!制作シーンや新ショーの一部などを約80秒にまとめたスペシャルムービーが、TDR公式YouTube上で公開中だ。この「アウト・オブ・シャドウランド」の楽曲制作には、シンガー・ソングライターのアンジェラ・アキが参加しており、2014年夏以降、日本での音楽活動を休止してロサンゼルスの音楽大学に留学していたアンジェラさんが、主人公の少女が歌う曲など3曲の作詞をディズニーのスタッフとともに作曲。ミュージカル音楽作家としての活動を本格的に開始した。そして同ショーの本格スタートにあわせ、アンジェラさんやディズニーのスタッフたちによる「アウト・オブ・シャドウランド」の制作シーンや、ショーの一部などを約80秒にまとめたスペシャルムービーが、YouTubeのTDR公式チャンネルに登場した。「アウト・オブ・シャドウランド」は内気でおとなしい少女が、自分の心の中にも勇気が宿っていることに気づいて、その勇気と自分の想像力で不安と恐れを乗り越え、ことを学んでゆく姿を描く、東京ディズニーシーによるオリジナルのミュージカルショーのこと。アンジェラさんは「このプロジェクトに関われたことは奇跡であり、今後自身のミュージカル作品を手掛ける上で一生の財産になりました。総合芸術といえる未体験のショーを、ピュアな気持ちで細胞の隅々まで感じて欲しい」とコメント。強い自信で作品を送り出す。アンジェラさんの想い、そして“Wish”がつまった新ミュージカルショーは、絶賛上演中だ。■「アウト・オブ・シャドウランド」・公演場所:ロストリバーデルタ ハンガーステージ・公演時間:約25 分(1 日3~6 回公演)・出演者数:18 人※写真はすべてイメージです。過去の取材時に撮影した画像を再利用することがあります。(C) Disney(text:cinemacafe.net)
2016年07月23日ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が、7月21日(木)に東京・新国立劇場にて開幕した。本作は、2013年にトニー賞で6部門を受賞する快挙を成し遂げた話題作。オリジナルスタッフ陣が集結し、シンディ・ローパーが全曲作詞作曲した音楽や演出、振付はそのままに、森雪之丞が訳詞を手掛け、全編日本語で上演。主演は小池徹平と三浦春馬が務める。【チケット情報はこちら】物語の舞台は、イギリスの田舎町の老舗靴工場「プライス&サン」。その4代目・チャーリー(小池)は、フィアンセと共にロンドンに移住した矢先に父親が急死。地元に戻り工場を継ぐことになってしまう。しかし、その工場も倒産寸前。なんとか生き残るために、ロンドンで出会ったドラァグクイーンのローラ(三浦)にヒントを得て、ドラァグクイーンのためのブーツ“キンキーブーツ”をつくる決意をする。早速ローラを専属デザイナーに迎え、ミラノの見本市への出品に賭けるが――。小池演じるチャーリーは、父親の「継いでほしい」という願いを振り切って工場を飛び出したにも関わらず、あっという間に呼び戻されるお人好し。“飛び出した”という前提がありながら、工場への想いや従業員を愛する気持ちが真っ直ぐに伝わるのは、小池の歌唱力の賜物だ。三浦は、3年前にブロードウェイで観劇して以来の念願だったというローラ役。十数センチのピンヒールで走り回るだけでも大変なことだと思うが、華やかな衣装をまとい、迫力あるドラァグクイーンを生き生きと演じる姿は、まるでそうであるのが当然かのような強さ、そしてどこか切なさも感じさせ、とても魅力的だった。ブロードウェイのオリジナルスタッフが手掛ける本作。ドラァグクイーンたちによるクラブでのショーや、キンキーブーツの完成に沸く靴工場で全員が歌い踊るシーンなどは本当に華やかで、格別の楽しさを味わえる。同時に、囲み取材で三浦が「『他人を受け入れれば自分が変わる、世界が変わるよ』という大切なメッセージをしっかりお客様に届けることができる素晴らしい作品です」と話した通り、観終えた頃には大切なものを受け取っているはずだ。10月には、現在アメリカツアー中の『キンキーブーツ』<来日版>も初来日予定。本作と来日版、是非両方楽しんで!ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』は、8月6日(土)まで東京・新国立劇場にて上演。その後、8月13日(土)より大阪・オリックス劇場にて上演し、8月28日(日)より東京・東急シアターオーブで凱旋公演を行う。取材・文:中川實穗
2016年07月22日る・ひまわりと明治座による新企画のミュージカル『TARO URASHIMA』。おとぎ話「浦島太郎」をモチーフにした、劇作・脚本は池田鉄洋、演出は板垣恭一のオリジナルファンタジーミュージカルで、8月に東京・明治座で上演される。ミュージカル『TARO URASHIMA』チケット情報主演で浦島太郎役・木村了、ダイオウグソクムシ参謀役・辻本祐樹、深海王子役・原田優一に話を聞いた。辻本「“浦島太郎のお話”って聞くと、なんとなく想像つくじゃないですか。でも制作会社がる・ひまわりって聞いて…ひねってくるぞ、と(笑)。脚本を読んでみたらまさしくそうだったんで、ワクワクしました」木村「イケテツ(=池田鉄洋)さんワールド炸裂で、めちゃくちゃだなと思いましたね(笑)。今回、板垣さんとも初めてなので、どんな演出をつけられるのか、(脚本を)どうまとめていくのか、すごく楽しみにしてます」誰もが知る『浦島太郎』の物語をベースに、なぜ太郎は竜宮城に行ったのか、なぜ乙姫は浦島太郎に玉手箱を渡したのかなど、おとぎ話には描かれない部分を掘り下げることで新たな世界観へとつなげる池田鉄洋の脚本。そしてそのユニークな脚本を、板垣がミュージカルとして演出する。原田「板(=板垣)さんも、音楽の伊藤(靖浩)さんも、擦れてることが大好きなグランドミュージカル好き。邪道好きな王道好きっていうか。そこがおもしろいなって思うんですね。イケテツさんの脚本と、板垣さんの演出と、伊藤さんの音楽。枠がしっかりしているので、その中で大いに暴れられる。楽しみでしょうがないです」また、出演キャストも「暴走する人ばかり。どうやってまとめるんだろう」と原田や辻本が話す通り個性豊か。「坂元健児さんは暴走注意報ですよ!(笑)」(原田)など盛り上がる中、木村は「座長としてそりゃ…見守りますよ!」と笑う。特に今回は芝居とショーの二部構成。自由で実力派の面々が作り上げる新たな世界が楽しめそうだ。木村「すごくツイてない浦島太郎くんなんですけども、それがまた現代に通ずる部分もどこかにあって。観に来たお客様もどこか共感する部分があると思います。まず、チラシからしていろいろ裏切ってるんですけれども…こんな話ではないです(笑)。ハッピーエンドで終わるというところが、『浦島太郎』のお話とはちょっと違うところ。楽しく裏切られたい方はぜひぜひお越しください!」『TARO URASHIMA』は、8月11日(木・祝)から15日(月)まで東京・明治座にて上演。取材・文:中川實穗
2016年07月20日旗揚げから間もなく20年。市村正親が語り、唄い、踊る、エンターテインメントショー「市村座」が帰ってくる!演出の高平哲郎を相棒に、ミュージカル、落語、シャンソンなど市村が俳優人生で身体に叩き込んできたすべてを新たな創造力で練り上げ、笑いたっぷりで贈る一人舞台だ。「市村座 2016」チケット情報前回公演から12年、お客様からは度々「市村座はまだ?」と聞かれていたとか。その間、市村の頭にあるアイデアが浮かぶ。ヒントは『オペラ座の怪人』の続編『ラブ・ネバー・ダイ』だ。「あの怪人ファントムに子どもがいた!という話。そこから名作の登場人物の二世たちがブロードウェイに来たらおもしろいなと」。そして誕生したのが、今回の音楽講談『二世たちのコーラスライン』だ。数々のミュージカルナンバーから、「おいしいところだけつまんで、似て非なるものに練り上げ、絶妙にひとひねりして歌います」。『ミス・サイゴン』あり『オペラ座の怪人』あり、羽織袴でビシッときめた市村が名曲で紡ぐ、爆笑必至の感動巨編となりそう。「親と子」をテーマにもうひとつ、古典落語の名作『子別れ』を芝居仕立てで立体的に披露する。「志ん朝さんと談志さんの『子別れ』を織り交ぜて市村版で」。さらに伝説の歌姫、エディット・ピアフの生涯を市村バージョンで、シャンソン珠玉の名曲とともに上演する。「ピアフの愛した男たちのいい曲もあるので歌いたいと思っています」。冒頭はおなじみの口上だ。「お久しぶりの近況報告と自画自賛(笑)」。そしてラストはファンお待ちかねの『俵星玄蕃』。赤穂浪士を題材にした三波春夫の名曲を、市村が完全に“自分のもの”にして歌い上げる。客席からは“おひねり”が飛ぶ、飛ぶ。盛りだくさんで仕掛けたっぷり、サービス精神も全開。そして今回は、他界した演劇仲間へのメッセージも込めたいと語る。「蜷川幸雄さん、坂東三津五郎さん、中村勘三郎くん、彼らの思いを持って、これからも俳優人生を生きていきます。市村の芸、人となり、愛嬌、情熱をお見せして、お客様の笑顔につなげたい」。市村正親という名優は芸術に真摯で真面目、そのすべてが詰まった圧巻のステージで、変わらないパワーに触れたい。公演は8月11日(木・祝)から21(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。その後、大阪、名古屋など全国5か所を巡演する。チケット発売中。取材・文:大西美貴
2016年07月20日7月16日より大阪四季劇場でミュージカル『キャッツ』が開幕した。『キャッツ』は、24匹の個性あふれる猫たちの物語。都会の夜のゴミ捨て場を舞台に、各々のキャラクターが自らの生き様を高らかに謳い上げる。劇団四季『キャッツ』大阪公演のチケット情報ここ大阪での公演は13年ぶり4度目。大阪初演は1985年~1986年、旧国鉄の西梅田コンテナヤード跡地(現:大阪モード学園・HAL大阪)に建てられたテント式の仮設劇場「キャッツ・シアター」で、2度目の公演は1992年~1993年、大阪スタヂアム(当時)グランド内に特設された「キャッツ・ドーム」。そして3度目の公演は2001年~2003年「大阪MBS劇場」(当時)にて行われた。グリザベラ役の木村智秋は「13年ぶり4度目の『キャッツ』大阪公演がいよいよ開幕しました。大阪初演の場となった西梅田で再びこの作品を上演できるのは大変光栄なことです。作品の感動を、お客様お一人お一人の心へお届けできるよう、出演者一同、全力で取り組んで参りたいと思います」と意気込む。劇団四季『キャッツ』大阪公演は現在上演中。11月末までのチケットはほぼ完売。12月~2017年3月末公演分のチケットを発売中。
2016年07月19日ミュージカル『マイ・フェア・レディ』が現在、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中だ。映画でオードリー・ヘップバーンが演じたヒロイン・イライザは霧矢大夢(きりや ひろむ)と、真飛聖(まとぶ せい)のWキャスト。霧矢版を観劇したレポートを記す。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』下町育ちの花売り娘・イライザが、言語学者のヒギンズ教授に正しい言葉と淑女としてのマナーを教え込まれ、レディとして生まれ変わるシンデレラ・ストーリー。名作として名高い1964年の映画でもよく知られているが、元は1956年に“戦後のブロードウェイを代表する大傑作”と賞賛された舞台だ。日本では映画公開に先立ち1963年に初演、これは日本で初めて日本人が日本語で演じたブロードウェイ・ミュージカルとしてミュージカル史に名を刻んでいる。そんな歴史ある作品だが、今の時代でもまったく古びず、むしろ恋をする高揚感や切なさ、苦しさなどはひりつくほどリアルでフレッシュに伝わってくる。演出のG2は2013年に“リボーン版”を謳い、訳や演出を一新。今回はその3年ぶりの再演だが、それぞれカンペキな人間ではない、だがまっすぐに生きている登場人物たちの愛おしさがさらにパワーアップしている。“きちんとした言葉遣いを習いたい”と素直な気持ちで頑張るイライザを、霧矢は明るくキュートに演じる。その健気な前向きさに、周囲の人々が力が貸すのは納得だ。イライザを教え導く立場ながら、女心を解さず衝突するヒギンズ教授は寺脇康文。前回より“変わり者感”が増し、イライザとヒギンズの関係も、さらにもどかしくなった。教養を身につけ自立していく一方でヒギンズに次第に惹かれ、自分を特別扱いして欲しくなるイライザ。イライザに惹かれながらも、自分のその気持ちにすら気付かないヒギンズ。恋をしたら自分を見て欲しい、ありのままの自分を愛して欲しい……そう思うのは、いつの時代も同じなのだ。そして大人の恋だからこその不器用さは見ていていっそう微笑ましく、観客は彼らの恋に心を寄り添わせ、応援したくなる。それこそがこの作品が永遠の名作であるゆえんだろう。音楽は、初めてこの作品を観る方もどこかで耳にしたことがあるであろう、おなじみの名曲揃い。『踊り明かそう』という名で親しまれている曲が、『じっとしていられない』とタイトルを変えるなど、リボーン版で大胆な手を入れたG2だが、その訳は芝居の中で歌われてこそ光る。芝居と歌の間で感情を途切れさせることなく、気持ちの高ぶりが歌になる。ミュージカルの本来の在り方を再発見し、そしてミュージカルの素晴らしさを改めて輝かせているリボーン版『マイ・フェア・レディ』は、普遍的な良さを、新鮮な感動で包んだ名作だ。ほか出演は田山涼成、松尾貴史、水田航生、麻生かほ里、高橋惠子ら。東京公演は8月7日(日)まで。その後8月13日(土)・14日(日)に愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。
2016年07月15日ウィーンで初演され、1996年に宝塚歌劇団雪組により日本初上演されたミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』。再演を繰り返し20周年の節目となる今年、この大作に宙組が挑む。ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』チケット情報主演の宙組トップスター・朝夏まなとは、9代目のトートとしてビジュアルからオリジナリティを追求。「鬘の色は赤と青とを合わせて濃い紫にしています。宙組のテーマカラーである紫をぜひ使いたかったので。衣装も現代的なレザーでスタイリッシュなイメージです」と話す。数奇な運命を辿るオーストリア皇后・エリザベートと、黄泉の帝王・トート(死)との“愛”を描いた本作。「現実世界ではあり得ない関係だからみなさん惹かれるんでしょうね。トートはとてつもない生命力を持った少女のエリザベートにひと目で惹かれますが、その最初の出会いである『愛と死の輪舞』のナンバーは特に大事にしたいです」。全編珠玉の音楽で綴られる高度なミュージカルだけに、基礎の歌稽古からきっちりとこなし楽譜に向き合っている。「計算し尽くされた音楽ですごいなと思います。自分が歌うところ以外に“トートの音階”というのが潜んでいたり。新しい発見がたくさんあります」と、『エリザベート』の奥深い魅力を実感している様子。「みんなこの作品に出られる喜びを感じ作品に没頭しています。士気が高く宙組のスケール感が出るのでは」。朝夏がトップになり大劇場公演3作目。『王家に捧ぐ歌』など大作も成功に導いた“組力”がさらに発揮されそうだ。また今回から日本初演より潤色・演出を手掛ける小池修一郎に加え、小柳奈穂子も演出に名を連ねている。「小柳先生には『一幕では(エリザベートを手のひらで転がすように)もっと遊んだら』とアドバイスを頂きました。エリザベートを追い詰めようという意識だけに囚われていましたが、遊び的な部分も取り入れてみたくなり、すごく視野が広がりました」。稽古の前にはオーストリアへ行き、舞台となるアウグスティーナ教会などを訪れた。「ヒヤッと冷気が漂い『ここにならトートはいるな』と感じました(笑)。そういう空気感はトートの登場シーンなどで意識しています」今は“死”やエリザベートに関する本なども熟読。「エリザベート自身、死に近付きたいと思い、その興味からトートというキャラクターが引き出されたので。彼女の精神状態などを読んで勉強しています」。死後の世界には色んな解釈があるが、朝夏は「美しい世界だと捉えています。だからこそトートは美しい存在として描かれているし、そこを表現したいです」。怖ろしいはずの“死”に惹かれるエリザベート。何ともいえないロマンティシズムを、クレバーな朝夏が万全の役作りでタカラヅカの舞台上に創出する。公演は宝塚大劇場にて7月22日(金)から8月22日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は9月9日(金)から10月16日(日)まで。8月7日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2016年07月13日「東京ディズニーシー15周年“ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ”」を開催中の東京ディズニーシーで7月8日(金)、翌9日(土)に始まる新ミュージカルショー「アウト・オブ・シャドウランド」のプレビューが開催され、最新の映像技術によるステージがお目見えした。「アウト・オブ・シャドウランド」とは、ハンガーステージのために書き下ろされた全く新しい東京ディズニーシーによるオリジナルストーリーのミュージカルショーのことで、内気でおとなしい少女を主人公に、彼女が自分の心の中にも勇気が宿っていることに気づいて、その勇気と自分の想像力で不安と恐れを乗り越え、成長してゆく姿を描く。同ショーでは最新技術を駆使していて、シーンごとに色鮮やかに切り替わるプロジェクションマッピングやダイナミックに80度傾斜するステージ、迫力あるライブパフォーマンスなど未体験の感動と世界観が広がるショーで、“Wish”(願い)をテーマに15周年イベントを繰り広げている東京ディズニーシーにぴったりの新ミュージカルショーになっている。「アウト・オブ・シャドウランド」はロストリバーデルタのハンガーステージでの公演で、約25分(1日3~6回公演)。出演者数は18人。公演2回目以降の鑑賞には、抽選必要。※上記のメニューやグッズは、デザイン・価格の変更や、品切れとなる場合がございます。※写真はすべてイメージです。過去の取材時に撮影した画像を再利用することがあります。(C) Disney(text:cinemacafe.net)
2016年07月08日ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs氷帝が7月に開幕する。本公演で初のダブルスを組み、氷帝の宍戸 亮(小早川俊輔 )&鳳 長太郎(渡辺碧斗)ペアに挑む、乾 貞治役の田中涼星と海堂 薫役の佐奈宏紀に話を聞いた。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs氷帝 チケット情報今回、初めてラリーと呼ばれる試合場面を演じる田中は「このダブルスのために、最初の不動峰公演のときから乾と海堂の関係性は意識していたので、やっとか……という思いです。これまで試合をしているみんなを観てはいますが、いざ自分がやってみるとボールの行方や、今、自分が優勢かどうかをどう見せるか?とか意識することがすごく多くて、毎日が発見です。でも、自分が打った瞬間、ラケットにボールが当たる効果音が入ることが、ものすごく気持ちいいと知りました!」と笑顔を見せる。そんな乾の姿に、稽古中なのに思わず笑みがこぼれてしまうという佐奈も「前回の山吹公演でも、リョーマが勝ってみんなが湧いている隅で海堂はひとり、拳を握りしめている。その姿に乾だけが気付く……といった、ベンチワークでの立ち居振る舞いでもふたりの関係性を見せたくて、一緒にいろいろ考えて作っていたんです」そんな互いについて「涼星くんはすごく柔らかい人。跳ね返すことなく受け入れてくれるし、それどころか言わなくても察して提案してくれる」と佐奈。続けて田中は「佐奈は……天才だよね!」と発言。すかさず「まあ、そうだね(笑)」と佐奈。しかし、大真面目に「でも、本当にそうなんです。視野が広くて、細かい部分もちゃんと見ていて、なんでもできるから、僕のほうが教えられることが多い」と絶賛し、仲の良さを披露。「初試合の場面はもちろんですが、データ主義だった乾が海堂の執念や努力に影響を受け、これまで信じてきたデータテニスを超える……その姿を見せたい。特に乾がダブルスを組もうと決めるキッカケとなる、海堂がひとりで特訓する場面がすごく好きなんです」と田中。「あそこは僕もずっと演じてみたかった。試合ともベンチワークともちがう、海堂としての演技を観てほしいです。新曲も増えて、新しい氷帝公演になっているので、何度も観てほしいです!」と佐奈。この公演で青学8代目として卒業する、彼らの試合をその目に焼き付けてほしい。公演は、2016年7月14日(木)から24日(日)までTOKYO DOME CITY HALLから、大阪、愛知、宮城、福岡、そしてテニミュ初となる上海公演を経て9月の東京凱旋公演と続く。取材・文/おーちようこ
2016年07月08日元宝塚星組トップスター・柚希礼音が宝塚退団後、初主演するミュージカル『ミュージカル バイオハザード~ヴォイス・オブ・ガイア~』の制作発表会見が7月6日、都内で行われた。『ミュージカル バイオハザード~ヴォイス・オブ・ガイア~』チケット情報原作は1996年に誕生し、シリーズ累計6800万本を出荷しているサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』。2002年にはハリウッドで映画化もされた、日本ゲーム界が誇る大ヒット作だ。“人類を滅亡へと向かわせる「ウィルス=奴ら」との壮絶な戦い”という原作のモチーフはそのままに、今回は作・演出家のG2がオリジナルミュージカルとして作り上げる。物語は、アドリア海沿岸のとある城塞都市を舞台に、周りを“奴ら”に取り囲まれた人々が、エーゲ海の小島に噛まれても生きている少女がいるという噂を入手し、少女の抗体から血清を作ろうと危険をおかし小島を目指すが……というもの。ゲームクリエイターであり、今回監修として参加するCAPCOMの小林裕幸氏は「ゲームと設定やキャラクターは違いますが、『バイオハザード』の面白さをより多くの人に知って頂きたいので、皆さんに預けた形となります。G2さんが描きたい『バイオハザード』を思い切りやっていただきたい」と、ミュージカル版ならではの展開に期待を寄せる。その中で、過去の記憶を失くしたヒロイン、リサ・マーチンを演じるのが柚希。2015年に宝塚を退団後、コンサートやショー作品には出演してきたが「すごくお芝居をしたいなと思っているところでしたので、今回、退団後初ミュージカルに出演できてとても嬉しいです」と喜びを語る。ただ、ゲームは子どもの頃から得意ではないと話し「でも、今回はゲームをちゃんと全部やっていないとダメだとまわりの原作ファンに強く言われまして、頑張ってやってみたのですが……どうしても最初のゾンビを倒すことができない。何度やってもいっぱい噛まれて死んでしまうんです。“カッコいい戦う女性”であるリサをできるのか心配になるくらい、敵が来ると逃げたくなる」と可愛らしいエピソードを明かす。とはいえ、「もともとの作品のファンの方々にも満足していただきつつ、それを真似るだけではなく、愛や勇気、オリジナルなハートフルなメッセージ性をお届けしたい」と意気込みを語った。共演者は横田栄司、渡辺大輔、平間壮一、海宝直人、吉野圭吾ら。この日の会見でもズラリとイケメンたちに囲まれ、「(共演者の男優陣の)あまりの豪華さにテンションあがってます」と柚希。公演は9月30日(金)から10月12日(水)まで東京・赤坂ACTシアター、11月11日(金)から16日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは7月23日(土)に一般発売を開始する。
2016年07月06日2014年に宝塚歌劇100周年を記念して上演され、7万人を動員した、世界初・女性キャストのみの宝塚歌劇OGバージョン『CHICAGO』が、7月9日(土)に神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場大ホールで開幕。NY、東京、大阪を巡るワールドツアーが開催される。本番を間近に、代表曲を抜粋した公開稽古が行われた。宝塚歌劇OGバージョン『CHICAGO』チケット情報まず、序曲『Overture』~『All That Jazz』では、和央ようか演じるヴェルマが舞台中央から艶やかに登場。朝海ひかる演じるロキシーが愛人を殺害する、本作でも代表的な曲が披露された。続いては、麻路さきが演じる、大金を積めば無罪にしてくれるという敏腕弁護士・ビリーの登場シーン。大きな羽根扇に囲まれて『All I Care About』を歌う姿はビリーという人物を一瞬で印象付ける、大胆で華やかな演出だ。姿月あさと演じるビリーが、大和悠河演じるロキシーをマリオネットに見立て、記者会見で腹話術のように歌う『We Both Reached For The Gun』は、映画版でも印象的なシーンのひとつ。その記者会見によって朝海ひかる演じるロキシーが一躍スターダムに上り詰め、「私、スターよ!」と喜びを歌い上げる『Roxie』では、朝海の滑らかに動くセクシーな腰も見どころだ。ビリーがいかに法廷、世間を支配しているかを歌い上げるナンバー『Razzle Dazzle』は、峰さを理演じるビリーがダンサーを支配していく姿に圧倒的存在感が漂う。公開稽古の最後には、NY公演でのみ上演する『タカラヅカ・アンコール』より『すみれの花咲くころ』を。宝塚歌劇団の演出家・三木章雄が今回のためだけに構成したレビューショーは、初風諄の美しい歌声の中、キャストが全員登場。純白の羽根扇が美しく舞い、宝塚歌劇の伝統と歴史の華が披露された。レビューショーは、横浜公演でのお見送りセレモニーで一部上演予定。公開稽古後に行われた囲み取材では、峰が「ワクワク感と緊張感が混ざった感じ。よりいい空気感が出るように、アンサンブルも含めて一緒に上がっていきたい」と話すと、麻路も「ずっとこのまま続いててほしいなって思うほど、稽古場でのひとときが楽しい。久しぶりに男役をやれて幸せ」と笑顔に。『タカラヅカ・アンコール』では、その日のメインキャストが羽根を背負う演出もあるそうで「ぜひNYまで観にいらしてください!」(朝海)と盛り上げた。最後に峰は「アンサンブルの中には私が退団してから生まれた方もいるんですけど、魂がやっぱり同じなんだなってひしひしと感じます。そこに退団後の経験が上乗せされているので、OG公演は魅力がある」と話し、公演への期待を高めた。主要キャストはダブルキャストもしくはトリプルキャスト。公演は、7月9日(土)から14日(木)のKAAT 神奈川芸術劇場大ホールを皮切りに、7月20日(水)から24日(日)にはNYで上演。8月に東京・大阪公演を行う。撮影・取材・文:中川實穗
2016年07月04日オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』が6月30日(木)より東京・新宿 シアターサンモールで開幕。上演に先がけて、ゲネプロと会見が行われ、演出の原田優一、キャストの鯨井康介、田村良太、増田有華、川崎麻世が出席した。【チケット情報はこちら】同作は2000年にアメリカで初演。日本での初演は2014年12月に今回と同じく俳優の原田優一が演出を務め、大きな反響を呼んだ。今回、新たなキャストを迎え再演される。物語の舞台は全寮制のセント・セシリア高校。平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。いつかは自らを―bare―さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた…。この日行われたゲネプロでは生バンドによる演奏で、力強く疾走感溢れるロックから、ラップやダンスミュージック、聖歌などジャンルを越えた音楽が、登場人物のそれぞれの葛藤を表現。ラップに合わせたブレイクダンスはパーティーシーンを盛り上げる。また、入絵加奈子演じるシスター・シャンテル扮するブラックミュージックの歌手のシーンも必見。一見、「同性愛」「宗教」「ドラッグ」というセンセーショナルな題材だが、「周りに理解してもらえない」「もっとキレイになれたら」「自分の方に目を向けて欲しい」など登場人物の抱える不安や悩みは、誰しもに通じるものがある。観るものをbare(=さらけ出す)するきっかけになる作品だ。開幕を前に、ジェイソン役を務める鯨井は「文武両道、人気者のジェイソンが抱える秘密、これがどうストーリーに作用していくかが見どころ。キャスト・スタッフ含め素晴らしいカンパニーなので、仲間たちと一瞬一瞬をきちんと演じていきたい」とコメント。増田から「緊張してない?」とツッコミが入ると、「普段は緊張しないんですが…確かに緊張してます(笑)。少し不安なんですが、逆にこの不安定さがジェイソンの持つ気持ちの不安定さとして良い作用を持たせられたらと思います」と話した。対照的にピーター役を務める田村は「僕は全然緊張してないんですが…(笑)。演出の原田さんの素晴らしい導きもあったし、キャストも信頼できる方々なので、皆さんを信用して思い切りやりたいと思います」と意気込んだ。ジェイソンに好意を寄せる女性アイヴィ役を務める増田は、今回初のキスシーンに挑戦。「凄く恥ずかしいけど、この作品のようにさらけ出して行かないとダメだなと思った」と照れながら語ると、鯨井が「(キスの相手は)私です!光栄です!」と挙手し、笑いを誘った。鯨井は「(増田は)稽古ではそんなに構えている様子はなかった。僕のほうが心臓がバクバクしていると思います(笑)」と語った。オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』は7月10日(日)まで、東京・新宿 シアターサンモールで上演。なお、ぴあでは原田優一のファンクラブを好評受付中。詳しくは下記関連リンクより。
2016年07月04日画家であるゴッホと彼を支え続けた弟テオの半生を描く『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』の上演にあたり、韓国発のこのミュージカルを日本版として創作していく3人が顔を揃えた。上演台本・演出の河原雅彦、ヴィンセント役の橋本さとし、弟テオ役の岸祐二である。韓国では、キャストふたりだけで濃密な物語を紡いでいくこと、さらに、プロジェクション・マッピングを駆使し、ゴッホの絵画がそのまま美術の一部になったりする舞台美術が話題を集めたこの舞台。さて、日本版が目指すものは。ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』チケット情報韓国での公演を目にしてきた河原は、やはりプロジェクション・マッピングの使い方が印象に残ったそうだ。「今はマッピングと芝居が連動する舞台も珍しくないんですけども、より細かく複雑な使い方をしていて、面白いアイデアがいっぱい詰まっていた。ここでの映像は、すでに作品の一部として内包されていて、細部まで仕上がっているので、それは構造上外せない。その分じゃあ、演出として何ができるのかと思いヴィンセントとテオの関係を調べていくうちに気が付いたのは、ふたりはただ狂った兄とやさしい弟ではなく、もっと人間っぽかったということ。いびつで生々しいふたりを提示することで、韓国版とはまた違うエンターテインメントを作れるんじゃないかと思ってるんです」。橋本も言う。「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホといえば狂人的なイメージがあるけど、おそらく彼としてはただ普通に生きてるだけだったと思うんです。それが周りの常識からはみ出していただけで。だから、僕としてはどこかのほほーんと存在していたいなと思うんですね」。そのヴィンセント本人が無意識に放つものを信じ続けたテオを岸は、「兄を助けることが自分の救いになるという共依存の関係だったんじゃないか」と分析し、「そういう根底にあるいびつな感情とか、感情のぶつかり合いを、この作品では音楽に乗せることで見やすく変換しているんです」と付け加える。「あの爽やかな曲のなかにいびつさをどう出していくか。陽のメロディのなかに陰な部分を組み入れることで、ヴィンセントとテオのエキセントリックで複雑なものが出たらいいなと思いますね」と橋本も意欲的だ。「韓国版のように『こんな兄弟愛、素敵でしょ?』というシンプルな手触りにはならないと思います(笑)。でも、ふたりのこの過剰さは、ピュアだから生まれたものだし、過剰さは時にファンタジーにも似た感動を覚える。ゴッホって色々な切り口で語れる面白い題材だなと改めて思います」と河原が最後に語る。どこまでも突き抜けて生きた人間を観ることは、それが叶わない現状を少しでも打破する力になるかもしれない。公演は9月2日(金)東京・かめありリリオホール、9月7日(水)から24日(土)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて。チケットの一般発売は7月23日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2016年07月04日2013年のトニー賞にて13部門にノミネートされ、作品賞をはじめ6部門を受賞したブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」。その日本人キャスト版が今月開幕する。今回の上演にあたっては小池徹平や三浦春馬らが出演し、脚本のハーヴェイ・ファイアスタイン、音楽・作詞のシンディ・ローパー、演出・振付のジェリー・ミッチェルらオリジナルスタッフ陣が集結。6月30日、都内にて公開稽古と囲み取材が行われた。ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」(日本版) チケット情報「キンキーブーツ」は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子・チャーリー(小池)が、ドラァグクイーンのローラ(三浦)と出会い、差別や偏見を捨ててドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生していく物語。この日の公開稽古ではまず演出代理のD.B.Bondsが作品について「愛であったり、他者を受け入れたりといった、とても大切なストーリーをもっている」と解説。その後、チャーリーがドラァグクイーンのためのブーツで工場を救おうと思いつくナンバーと、そこにローラが現れてブーツのヒールに対する思いを表明する計2曲のナンバーが披露された。その後の囲み取材で三浦は、ハイヒールを履くドラァグクイーンのローラ役に挑戦することについて「ブロードウェイでこの作品を初めて観たときから、もし日本での上演が決まったら絶対オーディションを受けたいと思った。実際にブーツを履いてみると(目線とともに)自分のテンションや志をひとつ上げてくれるような感覚になる。観に来てくれた皆さんはヒールを見る目が変わるんじゃないかっていうくらいにとても魅力的」とコメント。さらに作品について「作品自体に力があって、大切なメッセージを最後にビシッと、そして楽しく伝えてくれる。(ブロードウェイで)観終わった後、シンディ・ローパーさんの作った楽曲の数々が頭の中で何日もガンガン鳴るんです。それだけ自然に入ってくる音楽と、大事なテーマを届けてくれるので、たくさんの人に本当に本当に観てほしいです」と熱い思いを爆発させた。ローラとは好対照なチャーリーを演じる小池は、三浦との初共演について「むっちゃ楽しい。初めての感じがしない。役がまったくちがうので、(稽古では)お互いに別の苦労があって、どっちも本当にしんどい。共に苦労して進んでいる感じ」と稽古の様子を語り、「本番に向けてより一層素晴らしい作品になるよう日々努力しています。ぜひ劇場でご覧ください」とメッセージを送った。今月21日(木)に開幕する新国立劇場中劇場での東京公演のチケットは完売。8月13日(土)開幕のオリックス劇場での大阪公演、8月28日(日)開幕の東急シアターオーブでの東京凱旋公演のチケットを現在発売中。また、今秋には本場アメリカのカンパニーによる来日版も上演予定。来日版のチケットも発売中。
2016年07月01日今から60年前、ニューヨークで幕を開け、日本を含め世界中で上演されている名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』。日本では、2013年にG2を演出に迎え、キャストも一新した同作が、再び上演される。前回に引き続き、ヒギンズ教授を務める寺脇康文に話を聞いた。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」チケット情報「セリフも演出も前回よりかなり変わって、深くなっています。例えば、前回はそりの合わないイライザとヒギンズが、段々と惹かれ合っていく構図だったんですが、今回はより複雑になり、最初にふたりが出会うシーンから、互いにビビッとくるものがあったはずだという解釈です」。ロンドンに住む貧しい花売りの娘イライザが、淑女になるため、言語学者のヒギンズから、上流階級の言葉や礼儀作法を教わり、美しい貴婦人へと成長していく物語。日本でも「源氏物語」で紫の上を好みの女性に育てる光源氏が描かれるが、男性にはそんな願望があるのだろうか。「男女共にあると思います。でも何をしても結局、男は女性に教育され、手のひらの上で転がされる(笑)。威張り散らしているけれど、ヒギンズも同じですね」。言語に厳しく偏屈もののヒギンズだが、寺脇が演じると何ともいえない色気がありチャーミングだ。「彼は子供がそのまま大人になったやんちゃ坊主。バカだけど守ってあげたくなるような男の一面も出したいんです」演じることは寺脇にとって、「相手によって音楽の種類や演奏法が変わるセッション」だという。前回同様、イライザを霧矢大夢と真飛聖がWキャストで務める。「霧矢さんは芯の通った男気のあるイライザ。真飛さんには『どうしようもねぇなコイツ』と、小学生の女の子に接する感じですね」。ふたりに対してヒギンズは、包み込んだり、突き放したりと今回も違う音楽を奏でるそうだ。また、上流階級の言葉が習得できず自暴自棄になるイライザに対し、ヒギンズが「言葉は人の心に流れる気高いもの、創造力に富んだ音楽的な集合体だ」と語る名台詞がある。「役者としても感慨深いセリフです。前回はやさしくそう言っていたのですが、G2さんが『男はもうダメだと思ったらダメ。女性はもうダメだ…、からまだ余力がある』と名言をはかれて(笑)。今回はイライザに対する最後の鞭として、叱咤激励する感情を込めたい。あの言葉は彼女に勇気と活力を与えるのですから」最後に舞台に立つ意義を聞いてみた。「世界中で紛争が起こり、悲しいニュースが多すぎる。僕らにできるのは、いい作品を作り人の心を豊かにすること。現代の日本で、貴族や上流階級はあまり関係がありませんが、人間は生活や考え方、心の持ちようも含めて少しでも上昇し成長したいはず。そこを自分と重ねてこの舞台を見てほしいですね」公演は、7月10日(日)から8月7日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)は愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年07月01日6月27日、劇団四季ミュージカル『キャッツ』大阪公演開幕に先駆けて、大阪四季劇場にて舞台仕込み取材会が行われた。劇団四季「キャッツ」のチケット情報『キャッツ』の舞台は都会のゴミ捨て場。舞台はもちろん客席に至るまで、猫の目線に合わせて3~5倍の大きさで作られた巨大なゴミのオブジェが2000~2500個設置され、客席に一歩足を踏み入れた途端、“猫の世界”へといざなわれる。取材会では、舞台監督の福永泰晴と舞台美術家の土屋茂昭が装置や作業内容、『キャッツ』の世界観やデザインについて解説。「猫になったような錯覚を覚える舞台装置は『キャッツ』の大事な演出の一つ。劇場内では、ゴミ捨て場にいる猫の目線を味わってほしい」と福永。また、「東日本大震災の被災地を『ユタと不思議な仲間たち』公演で回って以降、ゴミのオブジェをめぐる意識が変わり、単に空間を埋める物ではなく“思い出の塊”だと意識するようになりました。『キャッツ』は、何度観ても新しい発見があり、空間全体が秘めた力を持っていると感じます」と話す土屋。上演される土地ゆかりの“ご当地ゴミ”と呼ばれるオブジェも公開。このたびの大阪公演では、たこ焼き器や阪神タイガースの応援バットなど約15個のご当地ゴミが飾られるとのこと。ぜひ会場で見つけてみよう。13年ぶり4度目となる『キャッツ』大阪公演は、7月16日(土)に開幕。11月末までのチケットはほぼ完売。12月~2017年3月末公演分のチケットは7月3日(日)一般発売開始。チケットぴあでは、一般発売前最後のWEB先行先着[プリセール]を7月1日(金)昼12:00から7月2日(土)23:59まで受付。
2016年07月01日宝塚歌劇団宙組の初代トップとして絶大な人気を博した姿月あさと。『エリザベート』のトート役を本場オーストリア、ハンガリー、日本と3ヵ国語で演じ、日本でも根強い人気を誇るマテ・カマラス。そして同じく『エリザベート』ルドルフ皇太子役でミュージカル界の本流に躍り出た伊礼彼方。この3人がタッグを組んで贈るスペシャル・ライブ「姿月あさと×マテ・カマラス×伊礼彼方 -Musical Songs and Pop Galore!-」がこの秋、開催される。姿月、伊礼に話を聞いた。チケット情報はこちら彼らの出会いは、日本ミュージカル界から3名、ウィーン・ミュージカル界から3名が出演し、2009年に上演されたコンサート『LOVE LEGEND』。この時も出演者の素晴らしい歌唱力とともに、息のあったトークや、彼らの個性的な素の表情が堪能でき、大いに盛り上がった。「マテさんはマツケンサンバをやっていましたね(笑)。あの時は彼自身が、テレビでマツケンサンバを見て『これがやりたい』って言ったんですよ」と姿月が振り返る。確かに、ウィーン・ミュージカルの貴公子がマツケンサンバを歌い踊る姿は衝撃的だった。「でも、『LOVE LEGEND』は皆さんの個性の強烈さが、面白かった」(伊礼)、「ずっと、ああいうのをまたやりたいね、って言ってました」(姿月)。そんな待望のライブである。今回の構想を問うと、「ちょうど9月だし、『夏の終わりのハーモニー』を歌いたいね。彼方くんのリクエストは『あずさ2号』でしょ(笑)?」(姿月)、「そうそう、マテとふたりでやりたいんですよ。姿月さんには、10代の女の子が歌いそうな可愛い曲を歌って欲しいなぁ」(伊礼)、「じゃあ彼方くんは『男の子女の子』を(笑)」(姿月)……と、ミュージカル俳優らしからぬラインナップが次々と飛び出す。しまいには「北島三郎さんがやっているような座長芝居みたいなものをやるのも、面白くないですか!? 前半・寸劇、後半・ロックショー」(伊礼)と、冗談か本気かわからない話で盛り上がるふたり。だが、あながちすべてが冗談ではないようで、「ミュージカル俳優だから、こういうことをやるに違いないと決め付けられるのはイヤなんです。型にはまりたくもないし、今の私たちにしか出来ないライブをやりたい」と姿月。伊礼も「いわゆる“ミュージカル俳優さんたちがやるようなコンサート”には絶対ならないはずです。ノンジャンルで、ノンスタイルなライブになると思いますので、楽しみにしていてください」と、ここにしかないステージを約束してくれた。それぞれミュージカル界の王道と呼べそうな、煌びやかな経歴を誇る3人だからこそできる“型破り”なライブ。ただし、人気のミュージカルナンバーも、きっちり盛り込む予定。「私たちは遊びながら、ちゃんとしたこともきちんとやるんです。今回も“大人の遊び場”という感じのライブになるといいですよね」(姿月)。公演は9月13日(火)から15日(木)まで東京・草月ホール、9月28日(水)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで行われる。
2016年07月01日ミュージカル「忍たま乱太郎」第7弾 再演~水軍砦三つ巴の戦い!~が、東京ドームシティ シアターGロッソで上演中だ。ミュージカル「忍たま乱太郎」チケット情報尼子騒兵衛著作の漫画「落第忍者乱太郎」(朝日新聞出版刊)と、それを原作にしたアニメ「忍たま乱太郎」(Eテレ)をミュージカル化した本作。2010年の第1弾から“忍ミュ”の愛称で親しまれ、本作は今年1月に上演された第7弾の再演。今回はシリーズ始まって以来の静岡、尼崎での旅公演も行う。中でも尼崎は、尼子騒兵衛の暮らす街であり、土地名がそのままキャラクターの名前になっているなど、『忍たま乱太郎』の聖地とも言える場所。描かれるのは、シリーズ初登場のキャラクター・兵庫水軍と忍術学園六年生たちとの“ファーストコンタクト”。忍者嫌いで知られる兵庫水軍の男たちが、忍術学園の生徒たちとどのようにして出会い、また理解しあうようになったのか、という原作には描かれていないオリジナルストーリーで、兵庫水軍が原作に登場する以前の「エピソードゼロ」となっている。第7弾初演で好評を博した、足を踏み鳴らして踊る“ストンプ”や、20人以上の大迫力の殺陣、楽しいマルチエンディングはもちろん、今作では、ヒーローショーも行われる“シアターGロッソ”という劇場を生かし、派手なワイヤーアクションや新曲も新たに追加。地上から空中まで楽しそうに動き回る忍者たちの姿に、子供から大人まであっという間に引き込まれるはずだ。囲み取材では、初めての旅公演について、潮江文次郎役の海老澤健次が「歴代のメンバーが一生懸命、一弾ずつ作ってこられたおかげで僕たちが行くことができます。今までの先輩方の気持ちも持って、代表として、たくさんの方々にこのミュージカル『忍たま乱太郎』を知っていただいて、元気を与えて、みんなが明るくなるようにがんばりたい」。また、立花仙蔵役の鐘ヶ江洸は「“日本を元気にしていく”っていう目標で僕たちはやっています。舞台を観て、明日もがんばろうって思ってもらえるように、僕らは精一杯舞台上で生きますので、楽しんでもらえたら!」と意気込みを語った。本作は、7月3日(日)まで東京・東京ドームシティ シアターGロッソ、7月15日(金)から17日(日)まで兵庫・あましんアルカイックホール、7月23日(土)・24日(日)は静岡・静岡市民文化会館にて上演。取材・文:中川實穗
2016年06月30日6月25日、セールで賑わう越谷レイクタウンに、ピーターパンが登場した。この日はピーターパン役の唯月ふうかと着ぐるみによるブロードウェイミュージカル「ピーターパン」の宣伝イベントが開催。会場となった越谷レイクタウンkaze光の広場は、高い吹き抜けになっていて、一階はもちろん、二階や三階からもたくさんのお客様が参加した。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」チケット情報まず着ぐるみのピーターパンが登場すると、客席からフック船長が登場。ピーターとフックの戦いが始まる。途中で唯月ピーターパンが登場し、フック船長と決闘。見事勝利をおさめ、改めてピーターパンから挨拶がありイベントがスタートした。まずは、1曲目の歌を披露。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」より、ピーターパンがウェンディたちと空を飛んで行く時に歌う「アイムフライング♪」。軽快なナンバーに手拍子が起こり、客席のワクワク感が高まる。次のコーナーは、おなじみの「ピーターパンクイズ」。ピーターパンのお話にまつわるクイズ数問が出題。司会がお客様に質問を投げかける場面もあり、客席も一体となってクイズを楽しんだ。そして2曲目の歌披露はピーターパンがウェンディに自分の島の素敵なところを聞かせるバラード曲「ネバーランド」。唯月ピーターパンの歌声に、大人も子供も聞き入る。次はこちらも恒例の「ピーターパンジャンケン」のコーナー。勝ち残った参加者にはネバーランドをイメージしたカラフルなペロペロキャンディーがプレゼントされた。そして最後の歌披露は「いばろうぜ♪」。クックーククッ!の振り付きで、客席とともに盛り上がった。ピーターパンからの挨拶のあとに、「7月9日(土)にピーターパンが神宮球場の始球式に登場します」というサプライズ発表もあり、イベントはたくさんの笑顔と拍手に包まれて終了した。そしてお土産は特製ぬり絵ポストカード。ぬり絵をして専用アプリで読み込むと、絵が浮き出て、唯月ピーターパンの歌が聞けるスペシャルなポストカードがプレゼントされた。30分ほどのイベントだったが、ミュージカル「ピーターパン」のワクワクする世界と素敵なミュージカルナンバーの数々を体験できる催しとなった。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」は7月24日(日)から8月3日(水)東京・東京国際フォーラム ホールC、8月17日(水)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。
2016年06月29日1963年の日本初演より長年愛されてきたミュージカル『マイ・フェア・レディ』。2013年、G2により演出が一新、新たなキャストを迎えてリボーン(再誕生)し好評を博した。ロンドンの下町娘イライザの父・ドゥーリトル役を演じたのが松尾貴史。本作がミュージカルデビューとなった彼に、3年ぶりの再演への想いを聞いた。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」チケット情報「ミュージカルは絶対やらない、やれないと思ってました。演出家のG2とは仲良しだけど、最初G2も東宝の方に『彼はミュージカルはやらないです』って、話を勝手に断ってたらしい」と笑う。G2とは演劇ユニットAGAPE storeで長年組んでいる仲。ただ松尾自身、実はこの酔っ払いのドゥーリトルならやってもいいかなという想いが昔からあった。「父がこの映画が好きで、一緒にテレビで見ていた思い出があります。ドゥーリトルは屁理屈を言ったり酒好きなところが、父にも似ているし僕にも似ている。無責任なところもね(笑)」。実際に演じてみると『運がよけりゃ』『教会へは遅れずに』というこの役のビッグナンバーも、「気持ち良く歌えました。手拍子も頂いて、おだてられれば木に登る感じですよ! あのシーンは自分が楽しみ、皆さんにも一緒に楽しい雰囲気になって頂くのがポイントです」と話す。貧しい家庭に育ったイライザが、ヒギンズ教授のレッスンで淑女になるシンデレラ・ストーリー。自堕落な父親であるために再演では新たにヒゲを付け、酔っ払う演技にも磨きをかける。「昔テレビで見た藤山寛美さんの演技指導の言葉が残っています。『酔っ払いは前のめりではなく、かかとに重心がくるんや』って。つまり前に行きたいけれど、後ろに重心が行ってしまうと。試してみたら『お!』となって面白かったです。再演にあたっては、滑舌のいい“立て板に水の酔っ払い”でと演出家に言われています」。そのG2の演出については、「暗転嫌いで、各シーンがオーバーラップしながらきれいに進んでいく。いつも緻密やなって思いますね」と話す。娘のイライザは、元宝塚歌劇団トップスターの霧矢大夢&真飛聖のWキャスト。「霧矢さんはすごく親しみが持てる娘、真飛さんは生き抜く力が強いという感じで、全然違うから面白い。おふたりとも再演でパワーアップするのは間違いないです」。松尾自身も先頃、ふたりだけのミュージカル『マーダー・フォー・トゥー』でハードに3役を演じ分け、人生初のピアノ演奏を堂々披露した経験が生かされるはず。「ジャンルで仕事を断ったことはありません。マゾヒスティックにお引き受けすることが最近楽しい(笑)」。ラジオ、落語、折り紙など多彩な才能の持ち主は、「プロフェッショナルな世界」のミュージカルに今夢中だ。公演は、7月10日(日)から8月7日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)は愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2016年06月28日「ハイスクール・ミュージカル」シリーズや「マイケル・ジャクソンTHIS IS IT」のケニー・オルテガが手がけた最新ミュージカル「ディセンダント」のDVDが現在発売中。この度そんな本作から、本日6月24日(金)の「ドレミの日」にちなんで、歌とダンスで贈るミュージカルシーンが解禁された。マレフィセントの娘・マルをはじめとするヴィランズの子どもたち。そんな彼らにマレフィセントは、自分たちを島に閉じ込めた善人たちへの復讐を企て、フェアリー・ゴッドマザーの魔法の杖を奪ってくることを命じるが…。“子孫”という意味を持つ「ディセンダント」。「もしも、ディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?」という設定で、マレフィセントや、『アラジン』の卑劣な右大臣ジャファーなど、ディズニーヴィランズ(悪役)やディズニープリンセスの子どもたちが登場し、ヴィランズを親に持つ子どもたちの善と悪との間で揺れ動く心を描き、歌やダンスも圧巻のミュージカル作品となっている。また先日、本作の続編製作が正式に発表され、また新たに話題を集めている。主人公は、第2のザック・エフロンとの呼び声も高い注目株のダヴ・キャメロンが演じる、マレフィセントのひとり娘・マル。マレフィセントはご存知、「眠れる森の美女」で、オーロラ姫に呪いをかけた邪悪な妖精だ。マルたちヴィランズは、魔法のバリアで覆われたロスト島に住んでいたが、ある日、「美女と野獣」のビーストが国王として統治する善人たちが暮らすオラドン合衆国に招かれることに。そこでマレフィセントは、善人たちへの復讐のために、娘のマルに、フェアリー・ゴットマザーの魔法の杖を盗んでくるように命令する。母と強い絆で結ばれたマルは、これまでマレフィセントの教えどおりにイタズラや嫌がらせをしてきたが、ビースト国王の息子・ベン王子たちと交流することで、“良心”というものが芽生え、次第に自分たちが働く邪悪な行為に対して疑問を抱くようになる。その親子の葛藤と、マルの心の成長は、本作のストーリーの大きな軸となっている。今回到着したのは、マルのそのくすぶった心の内を母・マレフィセントにぶつけた時に、マレフィセントが「私たちは本物の悪者」と、娘のその思いをねじ伏せようとするシーン。ダヴとマレフィセント役のミュージカル女優・クリスティン・チェノウェスが織りなす息の合った歌唱シーンは圧巻だ。宇宙をも支配する魔力を手に入れたいという恐ろしい野望を持っているマレフィセント。「邪悪な私の娘」と歌っているように、マルはその母の悪事に加担し、親と同じく悪の道を進むしかないのか? それとも、自分たちでチャンスをつかみ、人生を切り開くことができるのか? その結末はぜひ本編で確かめてみて。「ディセンダント」DVDは発売中&デジタル配信中。(cinemacafe.net)
2016年06月24日抜群の華やかさやダンスに加え、悪役、クセのある役で存在感が光る俳優・吉野圭吾。夏の風物詩となったブロードウェイミュージカル『ピーターパン』で、今年、吉野が悪役のフック船長役に選ばれたのは大いにうなずける。作品について話を聞いた。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」チケット情報最近のフック船長でいえば、橋本じゅんはコミカルに、大貫勇輔はダンサブルに役を演じてきた。吉野ならその両方ができそうだ。「そうですか?僕、何でもやりますよ。踊って歌って、ギャグも言ったりして。フックを上手に使って色々なこともしてみたい。例えば、ロープに引っ掛けて上からザーッと降りて来ることができないかと、演出・振付の玉野和紀さんと話をしているんです。過去にはこだわらず、僕なりの新しいフック船長を作り上げたいですね」吉野にとって大人も楽しめる『ピーターパン』の魅力はどこだろう?「台本を読むと、『殺す』というセリフがフックだけではなく、ピーターパンにもやたらと出てくる(笑)。ピーターパンもけっこうグロいんですよね(笑)。でもそこを強調しすぎないようにしたい。物語も夢の中の話ではない。ネバーランドに行って帰って来て、目が覚めたら夢だった…という設定ではないですから」。ラストを含め、きれいごとだけでは終わらない話の奥深さが老若男女を引きつけるのだろう。ウェンディの父親ダーリング氏との一人二役をこなす。「ネバーランドの住人はフックをはじめ、大人になりたくてもなれない大人。みんな子供の心を持っていてずっと遊んでいたい。そこを大切に演じたいですね。一方、ダーリング氏は大人の中の大人として描かれている。ふたりをどう演じ分けるかです」子供の心は、最近出演したミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』の子役たちと交流することで取り戻しているという。「1789で演じた悪役のメイクは怖いんです。稽古場ではそのいでたちで、誰も寄せ付けないオーラを醸し出していたはずなのに、子供たちは『遊ぼう』と寄ってきて、僕の固い扉をコンコンとノックしてくる(笑)。実家が昔、保育園だったこともあり、子供には好かれるんですよね(笑)」また、舞台では、観客に向かってピーターパンが「妖精を信じる?」と問うシーンが有名だが、吉野も妖精を信じるという。「妖精を含め、物には神様が宿っている。舞台の神様には真摯に向き合わないと、セリフが出てこなかったり、小道具の鎖が切れたりして裏切られるんです。そんな時は、『なぜ、私を裏切るのですか』と会話しています(笑)」。裏切りを経験してこその役者業。今後は「妖怪や動物、ゾンビなど人ではないものも演じてみたい」と意気込みも高い。ただならぬフック船長を演じてくれそうだ。公演は、7月24日(日)から8月3日(水)東京・東京国際フォーラム ホールC、8月17日(水)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年06月23日ミュージカル『ミス・サイゴン』の製作発表が6月20日、都内で行われた。『レ・ミゼラブル』のクリエイティブチームが、ベトナム戦争を背景に“究極の愛”を描き出し、世界的に大ヒットしている作品。出演は市村正親、駒田一、ダイアモンド☆ユカイら。ミュージカル『ミス・サイゴン』チケット情報日本では1992年の初演以降、通算1368回上演されているが、混乱のサイゴンでアメリカン・ドリームを追い求めしたたかに生きるフランス系ベトナム人・エンジニア役を日本初演からずっと演じているのが、市村正親。複数キャストで交互出演するシステムだが、800回以上エンジニアとして舞台に立っている“ミスター・サイゴン”だ。だが市村は2014年の前回公演時、5回演じたのみで胃がん闘病を発表し、降板。今回はそのリベンジ出演になるが「前回は胃がんでしたが、今回はガンガン行きますよ!」と軽口を叩き、絶好調っぷりをアピール。同時に市村は、今回がエンジニアとしてのファイナルステージとなることを発表。「25年前のこの作品のオーディションの時、劇団四季を辞めたばかりで、この役を勝ち得ないと今後の舞台生活はないと必死な思いで受けた。スタッフによると、それが生き延びることに必死なエンジニアと重ったそうです。それからだいぶたちましたが、今回どういうエンジニアを作らなければいけないのか。もう一度演技プランを強く考え、ベトナム戦争に巻き込まれていく必死な彼を作りたい。そうすれば、どんな方がエンジニア役に来ても、僕のエンジニアを超すことは絶対にありえない」と、最後の挑戦もギラギラの闘志を見せた。エンジニア役は、ほかに駒田一、ダイアモンド☆ユカイ。駒田は前回、市村降板を受けしばらくの間ひとりでこの役を支えた。「前回はエンジニアが必死に生きたというより、役者・駒田ががむしゃらに頑張った記憶しかない。今回は地に足をつけて頑張りたい」と駒田。今回初参加のユカイは「ミュージカルど素人ですが、しぶとく生き続けるエンジニアのごとく、しぶとく皆さんについていきたい」と話した。駒田が「(市村は)ミュージカル界の怪人であり、模範である大先輩」話すなど、共演者からも市村を慕う声が次々と上がったが、「『ミス・サイゴン』は来年ブロードウェイでもリバイバル版が開幕するんですよ。ということで(日本版を卒業したら)ブロードウェイを目指そうかと!」と冗談交じりに話す市村に、会場から大きな拍手が上がっていた。ほか、ヒロイン・キム役に、ロンドンでの『ミス・サイゴン』25周年記念公演で同役を演じたキム・スハが参加するなど、話題豊富(キム役は笹本玲奈、昆夏美とトリプルキャスト)。公演は帝国劇場にて、10月19日(水)から11月23日(水・祝)まで(10月15日(土)からプレビュー公演あり)。チケットは10月公演分が7月23日(土)、11月公演分が7月30日(土)に一般発売開始。その後岩手、鹿児島、福岡、大阪、愛知でも上演される。
2016年06月21日今年で36年目に突入する、夏のファンタジーミュージカル『ピーターパン』(演出・振付・上演台本/玉野和紀)が東京と大阪で上演される。現在、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でヒロインを務める高畑充希から、9代目ピーターパンとして16歳の時にバトンを受け継いだ唯月ふうか。「みんなのヒーローになりたい!」と、4年目のアツい夏が始まる。ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」チケット情報ある夜、ウェンディ、ジョン、マイケルの3姉弟は、ピーターパンと妖精のティンカーベルの導きで、永遠に子供でいられる「ネバーランド」を訪れる。四季が入り交じる不思議な島でインディアンらと存分に遊んだ3人。そろそろ家に帰ろうとした時、フック船長率いる海賊たちが現れる。なんと、ウェンディを自分たちの「お母さん」にしようというのだ。助けに来たピーターパンやインディアンのリリーを巻き込み、海賊船上で大乱闘が始まる。ピーターパンといえば、フライング。ウェンディらと夜空を旅したり、海賊との戦闘では宙を舞いながらのアクションも披露する。「妖精の粉を撒く昨年の客席フライングでは、3年目にしてようやく子供たちの表情を見られるまでになりました。歓声を上げながら舞い落ちる粉を待っているみんなの姿が嬉しくて、自分はピーターパンなんだなと改めて実感しました」座長として本番前には必ず円陣を組み、共演者らに言葉をかける。毎公演100%の喜怒哀楽を出し切るため、毎日の腹筋背筋も欠かさない。「観に来てくれる子供たちが本当にパワフルなので、そこから元気を貰いまた舞台に返せる、相乗効果がある。チームワークも万全で、出演者みんなが『ピーターパン大好き』と公演が終わる度に言うくらい。私も『もう終わりね』と言われるまで出演し続けたいとブログに書くほど、特別な思い入れのある作品です」今年は宿敵のフック船長役に吉野圭吾が初参戦。唯月にとって3人目のフック船長だ。「橋本じゅんさんには毎回のアドリブで対応力を鍛えられ、2番目の大貫勇輔さんには体格や力では敵わないので、声の大きさで勝とうと頑張っていました(笑)。吉野圭吾さんは面白い方と伺っているので、どんな仕上がりになるのか私も楽しみです」東京公演は7月24日(日)から8月3日(水)まで東京国際フォーラムホールC、大阪公演は8月17日(水)に梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。「子供から大人まで楽しめる作品です。劇場ではネバーランドの住人気分で、一緒にアツい夏を過ごしましょう!」取材・文:石橋法子
2016年06月21日オーストリア皇后エリザベートの数奇な運命をドラマティックに描いたミュージカル『エリザベート』。元宝塚歌劇団花組トップ娘役の蘭乃はなが、昨年の帝国劇場公演に続き、ダブルキャストでタイトルロールを演じる。3年連続で大役に挑む彼女に話を聞いた。ミュージカル「エリザベート」チケット情報宝塚歌劇で1996年に日本初演、2000年には東宝ミュージカルとしても開幕した屈指の人気作『エリザベート』。蘭乃は2014年の花組公演、キャストや舞台美術、衣装が一新された昨年の東宝版でエリザベートを演じた。「3年も続けて演じられて光栄です。東宝版はより人間のドロドロした感情が渦巻き、リアルですよね」。特に東宝版で印象的だと話すのが、宝塚版にはないコルフ島でのシーン。宮廷から逃れるように旅を続けたエリザベートが、自由に生きた父を想って歌う場面だ。「あのシーンは50歳ぐらいですが、最初の少女時代と同じく『パパみたいになりたい』と歌っているんです。根本的に変わっていない。彼女はずっと自分を認めることができなかったんです」とその心に寄り添う。昨年ダブルキャストということで先に自身の千秋楽を終え、翌日に公演最終日の大千秋楽を観劇したとき「彼女は“愛”を求めていたんだ」と改めて感じたという。「誰かへの愛ではなく自分への愛。“自分を愛せるか”というのは普遍的なテーマですよね。昨年小池(修一郎)先生が『“私だけに”というのを色濃く出したい』とおっしゃり、自我という部分を掘り下げていきました。それも私にとって欠かせないステップでしたが、新たに自分への愛というテーマも掘り下げたいです」と力を込める。昨年に続きトートを演じるのは城田優と井上芳雄。「普段は賑やかな城田さんはトートを演じると一瞬で静のエネルギーを放たれ、引きずり込まれそうになります。井上さんは普段は落ち着いているのに、トートになると激しく燃え盛る炎のようになって、私もそれに反発するから力強い演技になります」と、相手によって変化する面白さを実感している。またダブルキャストでエリザベートを演じるのは、日本初演で同役を演じた花總まり。「私の中では“レジェンド”。その花總さんだけでなく、なぜ私もエリザベート役に呼ばれたのか、考えれば考えるほどプレッシャーです(苦笑)。昨年はエリザベート自身と同じく自己否定というか、肉体的にも精神的にもせめぎ合いの中で演じていましたが、今は新たなテーマも見つかり、どうなるのか私自身楽しみです」。公演中はオフも役が抜けないという蘭乃。「この肉体を通してエリザベートの魂をお客様に味わっていただくことが、私のやるべきこと」と笑顔で言い切る彼女に期待したい。6月28日(火)から7月26日(火)まで東京・帝国劇場、8月6日(土)から9月4日(日)まで福岡・博多座、9月11日(日)から30日(金)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、10月8日(土)から23日(日)まで愛知・中日劇場にて上演。チケットは順次発売。取材・文:小野寺亜紀
2016年06月20日宝塚歌劇月組トップスター・龍真咲(りゅう・まさき)の退団公演となるロック・ミュージカル『NOBUNAGA-下天の夢-』、シャイニング・ショー『Forever LOVE!!』が、6月10日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。宝塚歌劇月組公演『NOBUNAGA-下天の夢-』/『Forever LOVE!!』のチケット情報第一幕の『NOBUNAGA-下天の夢-』は、織田信長の生涯をロックテイストの楽曲で彩ったミュージカル。龍演じる信長が白装束をまとい、ひとりで『敦盛』を舞う冒頭のシーンから、赤い照明とロックな音楽にパッと切り替わり、羽柴秀吉役の美弥(みや)るりかを中心とする群舞で魅せる。音楽はもとより、ビジュアルも美しく、目で耳で楽しませてくれる。信長は龍が一度は演じてみたかったという人物。己を信じて前だけを見て突き進む信長と、そんな信長についていく者たちの姿が、龍のトップスター像と重ねて描かれ、信長が放つ言葉や、楽曲の歌詞にも投影されている。信長のカリスマ性、大胆さ、人を惹きつけるカッコ良さ…、龍の集大成にピッタリのキャラクターだ。トップ娘役・愛希(まなき)れいかは、信長の妻・帰蝶(きちょう)役。勝気な女性で、なぎなたを持って立廻りをする姿が勇ましい。信長へは愛情や尊敬の念を持ちながらも、故郷を滅ぼされた憎しみを潜ませ、バランスよく表現。次期トップスターの珠城(たまき)りょうはローマ出身の騎士・ロルテス役で、信長を滅ぼそうと計画する人物。龍から珠城へ、ふたりを繋ぐラストシーンの粋な演出が見どころのひとつとなっている。また、凪七瑠海(なぎな・るうみ)は知的で頭脳明晰な明智光秀をクールに、美弥は秀吉を明るく、時には野心をのぞかせながら好演。さらに、専科・沙央(さおう)くらまが足利義昭役で出演し、舞台の空気をピリッと締める重要な役どころを担っている。第二幕のショー『Forever LOVE!!』は、プロローグから壮観。ピンクの衣装をまとった男役がズラリと並んで踊る景色は迫力満点だ。さらに、愛希と娘役が加わった後、龍がひとりゴージャスな衣装で笑顔いっぱいに歌い上げる。夢と愛を持って走り続けてきた龍の心情を表す歌詞が、観る者の心をグッと掴み、その後も、龍はほぼ出ずっぱりで駆け抜ける。女役に扮した凪七、美弥、沙央とのダンス、大勢の仲間に見守られながら龍が光の中へと進んでいく演出など、サヨナラ公演ならではの見どころ満載だ。念願の役をイキイキと演じる芝居に、愛を込めて全身全霊で歌い踊るショー。龍真咲のラストステージは、輝きに満ちている。兵庫・宝塚大劇場公演は7月18日(月・祝)まで。また、8月5日(金)から9月4日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。取材・文:黒石悦子
2016年06月17日トップスター早霧せいな、トップ娘役 咲妃みゆを中心とした宝塚歌劇団雪組が、名作映画『ローマの休日』をミュージカル化。大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。宝塚歌劇雪組公演 タカラヅカ・シネマティック「ローマの休日」チケット情報名優グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンによる、映画史に残る不朽の名作。イタリアのローマを舞台に、新聞記者ジョーとヨーロッパ各国を訪問中の某小国の王女アンとの束の間の恋を描いた物語で、早霧は「映画を観て、タカラヅカでやるのにピッタリなラブストーリーだなと思った」と語る。そして自身が演じるジョーは、映画とは異なるイメージになるという。「映画では渋い大人の男の印象ですが、宝塚版では、若くて野心家の新聞記者を作ろうとしています。スクープを撮って名声を手に入れて、早くローマからアメリカに帰りたいという欲望を強く持っているジョーが、アン王女に出会うことで純粋で素直だった頃の自分が現れる。お客様にジョーの変化を感じとっていただけるように演じたいと思っています」。『ルパン三世』や『るろうに剣心』をはじめ、原作がある作品にはこれまでにも何度も出演してきているが、映画のイメージが強い本作に手強さも感じている。「私の場合、原作がある作品に挑むときは、原作は最初に一度見るだけで、あとは舞台の台本を読んで自分がイメージするキャラクターを作り上げていきます。そこから、見返したいところだけを見返して、取り入れられそうな要素を取り入れるんです。ただ今回の作品は、皆さんの中に映画の印象が強くあると思いますので、そこが難しいところだと思っています。あまりイメージに引っ張られ過ぎず、自分なりのジョーを作り込んでいきたいです」。宝塚大劇場公演は基本的に芝居とショーの2本立てだが、今回は芝居だけの1本物。その1本で何を伝えたいかを一番大切にしていると話す。「1本物の場合、お芝居だけでお客様の心を動かさないといけないので、その作品で何を伝えたいかをよりしっかりと念頭に置いて作っています。『ローマの休日』では、ジョーとアンとの繋がりから、ジョーが見失っていたものを見つけたり、新しい自分に気付いたり、人が持っている素直な部分などを感じていただいて、少しでもお客様にほっこりして帰っていただきたいですね」。6月14日(火)から19日(日)まで愛知・中日劇場、6月25日(土)から7月10日(日)東京・赤坂ACTシアター、7月30日(土)から8月15日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年06月16日この夏、東名阪で上演されるミュージカル『マイ・フェア・レディ』の稽古の様子が一部、報道陣に公開され、出演者たちが作品の魅力をアピールした。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』チケット情報オードリー・ヘップバーン主演の映画でも名高い『マイ・フェア・レディ』。ロンドンの下町で育った貧しい花売り娘のイライザが、言語学者のヒギンズ教授の教えを受け、訛りの矯正と淑女らしい礼儀作法を学び、貴婦人へと変身していく物語だ。1956年にNYで初演され、日本では映画公開の前年にあたる1963年以降、繰り返し上演を重ねているが、2013年には脚本や演出を一新した“リボーン版”として上演、好評を博した。今回はヒロインのイライザに霧矢大夢と真飛聖(ダブルキャスト)、ヒギンズの寺脇康文らに加え、高橋惠子、水田航生ら新キャストが加わって、待望の再登場となる。この日はイライザの下町での生活が描かれる『だったらいいな』、劇中を代表するナンバー『じっとしていられない』(I Could Have Danced All Night)、そして映画・舞台とも、イライザの美しい白黒のツートンのドレスが印象的な『アスコット競馬場』の3つのシーンを披露。霧矢、真飛はともにくるくると表情を変えるキュートなイライザで、目を離せない可愛らしさ。演出のG2が「ふたりとも3年たった今も、いやむしろ今の方がとてもキュートな魅力を備えている」と太鼓判を押すほどだ。ヒギンズ教授に扮する寺脇の、“カッコいいがどこか変わり者”感も微笑ましい。アンサンブルのコーラスワークも美しく、長く愛される作品はやっぱり名作である、ということが実感できる。公開稽古後に行われた会見では、寺脇が「3年前と同じことをなぞるのではなく、より今の感覚を大事に、そして人間関係の深みをもっと出していこうとしています。イライザとヒギンズの関係も、ふたりだけが上手くいっておらず、お客さんから見れば「アンタたち好き同士なんでしょ!?」という感じで、より共感して観ていただける(笑)」とアピール。オードリー・ヘップバーンのあたり役に挑むイライザ役のふたりは、オードリーへのライバル心を問われ「私たちに出来るイライザを目指すしか…(笑)。あちらは世界の恋人ですから。私たちは日本で頑張ります」(霧矢)、「地道にコツコツと…ですね」(真飛)と苦笑しながらも、「『マイ・フェア・レディ』って本当に幸せな気持ちになるな、と感じていただける舞台を全員で作っていきたい」(真飛)と意気込みを語っていた。公演は7月10日(日)から8月7日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)に愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。
2016年06月15日劇団四季在団中は数多の作品でヒロインを務め、退団して活動再開後もたった4年で、今や日本ミュージカル界を代表する存在となった濱田めぐみ。彼女の芸能活動20周年を記念して、ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』が上演中だ。新国立劇場小劇場という客席400の濃密な空間で繰り広げられるのは、なんとソロ・ミュージカル。しかも『キャッツ』『オペラ座の怪人』の作曲で知られる巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーの手による、約40年前に初演された作品というから注目だ。ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報舞台はニューヨーク。スーツケースををぶらさげてロンドンからやってきたエマ(濱田)は、デザイナーと幸せな恋愛というふたつの夢を描いて胸を膨らませていた。ところが頼りにしていたニューヨークの恋人に裏切られ、女友達の家に転がり込むはめに。次にエマが恋したのは、大金持ちの映画プロデューサー。彼と共にロサンゼルスに移り住んだエマは、自分のスケッチを見てもらおうと意気込むが、恋人に軽くあしらわれてしまう。その後、自立を目指して再びニューヨークに戻ったエマだったが、年下の恋人との穏やかな時間も、やがて……。舞台奥から客席の前まで敷かれた白い"道"と、左右に同じく真っ白な布が天井から垂れ下がっているほかは、いくつかのトランクが置かれているだけのステージ。そこに登場した濱田も、最初は白いTシャツにショートパンツ姿だ。だが冒頭、シンプルな夢を抱いて都会に出てきたエマの歌声は、出会いと別れを繰り返して少しずつ陰影を増してゆく。弾けるような笑顔の少女が、挫折と現実を知った女性の横顔を見せるようになる。くるくると変わる表情や細やかな仕草で魅せる濱田を堪能するにつれ、セットなどの要素をギリギリまで削ぎ落としたスタッフの意図がわかるような気がした(演出/市川洋二郎、舞台美術/伊藤雅子)。楽曲は、当時の全英チャートにも入り、イギリスでは今も有名な曲だという「放っておいてよ」や、セリフをそのまま音に乗せたような「言わせて」など、どれもロイド=ウェバーならではのキャッチーなポップスばかり。一方で変拍子が多く、歌い手泣かせと言われる彼の曲だが、緩急自在に歌いこなして観客をグイグイと引き込むあたりは濱田の真骨頂。また舞台の白い壁面に映し出される映像は水彩画や軽いスケッチで、物語をさりげなく支えて印象に残った(映像/上田大樹)。「この何処にでもいるような女性の人生を描くことができるのは、類稀なる才能を持った女優だけ」(Whatsonstage.com)といわれる本作を、70分ノンストップで演じきる濱田。その言葉を見事に体現した彼女に、改めて感じ入る1本となった。公演は6月26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2016年06月14日