JR西日本は29日、山陽本線(岡山・福山エリア)へ新たな運行管理システム(CTC装置、旅客案内装置など)の導入について発表した。上郡~三原間でCTC装置が導入され、使用開始時期は2016年春とされている。「CTC(Centralized Traffic Control)」は列車集中制御の略称で、信号機の制御状態、列車番号、列車位置情報などをセンターに集中し、運転状況の監視、進路制御などを一括して行う。山陽本線上郡~三原間のうち、上郡駅・三原駅を除く30駅(貨物駅の西岡山駅も含む)がCTC装置導入範囲となり、関係駅では今後、旅客案内装置の設置工事も行われるという。新たな運行管理システムの導入により、旅客案内装置が列車のダイヤ情報をもとに自動的に案内表示や案内放送を行い、ダイヤが乱れた際も列車の遅延時分をはじめ、迅速な情報提供が行われる。列車の進路制御などもセンターで一括して行い、正確性が向上するとともにダイヤが乱れたときの早期回復も可能に。保守作業手続もシステム化され、工事施工を安全かつ効率的に行えるとしている。
2014年10月30日三菱重工が三原製作所和田沖工場(広島県三原市)内に建設していた日本初の総合交通システム検証施設「MIHARA試験センター」が完成し、運用を開始した。都市交通インフラ輸出の振興に向けた検証施設として、他の企業や官民団体にも利用の門戸を開いて運営する。同センターは、約3.2kmの鉄道軌道用試験線に加え、新交通システム(AGT)や磁気浮上システム(HSST)用の3線の試験線を備える施設。鉄道用試験線は欧州規格のレールを採用し、カーブ半径や勾配などもグローバル仕様に。グローバルスタンダードの標準軌(1,435mm)と、国内在来線で多くみられる狭軌(1,067mm)の3線軌条とした。高架部も備え、最高時速100kmでの車両性能、カーブでの騒音・振動、さらに信号、通信、電力、運行管理などについての各種試験を総合的に行えるという。近年、世界の鉄道システム市場が活況を呈する半面、新興国の台頭により競争が激化。最近では高機能な信号・運行管理や都市部の複雑な路線配置などに対応できるかどうかが受注のカギを握る傾向にあるという。今回完成したシステム検証施設は、こうした傾向を踏まえて建設されたもので、鉄道システム輸出の競争力向上に向けた国際規格への対応や製品開発の支援ツールとして活用する考え。加えて、「日本モデル」として国際的に評価の高い、保守・運用を含めたソフト面の一層の充実にも役立てるとしている。
2014年10月08日