7月8日、奈良市で遊説中の安倍晋三元首相(享年67)が、銃撃されて殺害された事件の衝撃は、今も日本中を覆っている。現場で取り押さえられて逮捕された山上徹也容疑者(41)は、警察の取り調べに対して、犯行動機や事件で使用した手製の銃器の製造過程などについて、少しずつ供述を続けている。SNS上には、山上容疑者が厳しく処罰されることを望む声も見られる。捜査も進行中であり、裁判になるのはまだ先とされているが、山上容疑者の量刑はどのようなものになるのか。元東京地検特捜部副部長で、衆院議員も務めた若狭勝弁護士はこう話す。「個人的には厳罰に処すべきだと感じる部分はあります。自作の銃器を使用し、犯行に至るまでの計画性があり、非常に悪質な事件です。しかし、実際にこれまでの裁判の基準からすると、死刑になる可能性はあまり高くないと考えられます。過去に、殺害した方法や殺害に至る経緯があまりにも残虐非道で、かつ身勝手な動機で行われた事件で死刑が言い渡されたことがありました。しかし、被害者が1人の殺人事件の場合だと、最終的に死刑が確定したケースはほとんどありません。安倍さんの死は、世界中が悲しんでいます。しかし、いくらみんなが悲しんでいるからと言って、裁判所が加害者を死刑に処するという判断を下すといえば違うのです」現在明らかになっている事実の範囲ではあるが、山上容疑者が問われる罪や量刑について、若狭氏はこう続けた。「まず、山上容疑者は殺人罪と銃刀法違反に問われるでしょう。殺人罪は、5年以上の懲役、無期懲役、死刑という刑事罰が科されます。銃刀法違反のなかにも、発射罪というものがあります。公道上で銃器を発射するだけで、人を傷つけていなくても罪に問われます。重い場合は、無期懲役の判決が下ったケースがあります。容疑者の自宅からは、爆発物なども押収されていて、爆発物取締罰則での立件も考えられますが、武器等製造法違反は3年以上の懲役に科せられます。また、参院選の選挙運動の場で行われた犯罪なので、公職選挙法違反にも問われるはずです」■動機を明かすのが早すぎる?山上容疑者は今後、精神鑑定なども行われるというがーー。「裁判員裁判となったときに、精神鑑定が必要とされて責任能力に問題があるということになると、裁判の判断にも影響が出かねず、司法にとっては困ることになるわけです。なので、あらかじめ今の段階で“念のため”鑑定留置を行うということなのでしょう。しかし、責任能力が問題とされて、犯行時に心神耗弱状態だったとなると、量刑はかなり軽いものになってしまうでしょう。精神鑑定の動きについては、着目しておく必要があると思います」(若狭氏)警察の取り調べについて、山上容疑者は「特定の宗教団体に恨みがあった」と供述。母親は『世界平和統一家庭連合』(旧・統一教会)の信者で、多額の献金を行い破産したことが明らかになっている。また安倍元首相に対して「政治信条に恨みはない」とも供述しているという。しかし、若狭氏はこれらに違和感を持ったという。「私の検事としての経験上、容疑者が犯行動機について事件直後からペラペラしゃべるというのは、どうも引っかかります。また、警察の動機についての認定も少し早すぎるように感じています。これは一般論ですが、犯行に至ったある動機を隠したい場合、違う動機を話し出す犯人が多いとされています。首相経験者が白昼堂々銃撃されて亡くなったという戦後史に残る大事件です。山上容疑者は、“家庭連合の信者だった母親が多額の寄付をして家庭がめちゃくちゃになった”などと明かしていたとのことですが、政治的な思惑がなかったのか、徹底的に調べる必要があります。たとえば山上容疑者の動機が宗教団体に対する恨みだったのであれば、批判の矛先は警察だけでなく、そうした実態を放置してきた国に対しても向かうことになるでしょう。しかし政治的な思惑からの犯行だったとすれば、やはりテロを防げなかった警察の責任が重く問われることになります。奈良県警には、どうも動機を宗教団体への恨みの方に持って行こうとしているような節が見えます。単に宗教がらみだったから、といった表面的な動機の解明で終わると、場合によっては日本司法史上最大の事実認定の過ちに繋がりません。だからこそ、事件に至った動機の解明がしっかり行われなければ、量刑も決まっていかないと思います」山上容疑者が許されざる凶行にいたったのは、なぜなのか。そして、彼の罪が裁かれるためには、まだ多くの時間が要される。
2022年07月18日近鉄の生駒ケーブル(生駒鋼索線)と生駒山上遊園地の大型遊具「飛行塔」が私鉄の観光施策をあかす最古の施設として、公益社団法人土木学会から本日「土木学会選奨土木遺産」に認定されましたので、お知らせします。生駒ケーブルは、日本最初のケーブルカーとして、1918年に宝山寺参拝の利便性向上のため、鳥居前ー宝山寺間の宝山寺線が開業し、1929年に生駒山上遊園地の開業に合わせて、宝山寺ー生駒山上間の山上線が開業しました。戦時中には生駒山上に海軍基地が設置され、営業を休止した時期もありましたが、駅設備や車両等の更新・改良を重ねながら、営業を続けてきました。現在も、宝山寺や生駒山上遊園地へお越しのお客さまに加え、通勤・通学といった生活路線として沿線のお客さまにもご利用いただいています。生駒山上遊園地の飛行塔は1929年の開園当初から稼働しており、現存する日本最古の大型遊具といわれています。日本で数々の大型遊具を手がけた土井万蔵氏の代表作ともいわれ、同氏の作品で現存するものは、当園の飛行塔のみです。戦時中の物資不足で日本中のあらゆる金属が回収されていく中、飛行塔は軍の防空監視所として使われたため、奇跡的に存続しました。構造体は開園当初のままで、ゴンドラに乗って回る空中散歩は、山頂でしか味わえない景色で人々を魅了し、その雄姿は今なお世代を超えて愛されています。宝山寺線車両「すずらん・白樺・ミケ・ブル」生駒山上遊園地の飛行塔【土木学会選奨土木遺産について】公益社団法人土木学会が、土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木建造物の保存に資 することを目的として、2000年に認定制度を設立。推薦および一般公募により、年間20件程度を選出している。1.生駒ケーブルについて(1)概要・開業年月日 : 1918年8月29日・運 転 区 間 : 宝山寺線(鳥居前駅~宝山寺駅) 約0.9km山上線 (宝山寺駅~生駒山上駅) 約1.1km・高 低 差 : 466m・保 有 車 両 : 宝山寺1号線「ブル」「ミケ」宝山寺2号線「すずらん」「白樺」山上線 「ドレミ」「スイート」・最大乗車人員 : 宝山寺 1号線128人、宝山寺2号線125人山上線 128人・運 転 速 度 : 時速約11km開業当時の生駒ケーブル生駒ケーブルの路線図(2)歴史・1918年 8月29日 鳥居前・宝山寺間の運輸営業開始(宝山寺1号線)・1926年12月30日 鳥居前・宝山寺間複線化(宝山寺2号線)・1929年 3月27日 宝山寺・生駒山上間の運輸営業開始(山上線)生駒山上遊園地が同時に開業・1944年 2月11日 生駒山上に海軍基地が設置され全線運輸営業休止(軍用運転は継続)6月26日 宝山寺2号線撤去作業開始(7月撤去)・1945年 8月1日 宝山寺1号線、山上線営業再開・1953年 4月1日 宝山寺2号線再建・2000年 3月18日 新車両4両導入宝山寺線1号線「ブル」「ミケ」山上線「ドレミ」「スイート」生駒山上駅「スイート」2.飛行塔について・開始年月日 : 1929年3月27日・塔 高 : 約30メートル・ゴ ン ド ラ : 4機・所 要 時 間 : 約5分・乗 車 定 員 : ゴンドラ1機6人乗り生駒山上遊園地の飛行塔開園当時(上)と現在(下)の生駒山上遊園地 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月28日神戸市六甲山上で自然を散策しつつ点在する現代アート作品を楽しむ展覧会『六甲ミーツ・アート芸術散歩2021』が、9月11日(土)に開幕。各方面で活躍中の招待アーティスト19組と、公募で選出されたアーティスト15組の計34組が参加し、絵画や立体、映像作品など幅広いジャンルの作品が、六甲山上をはじめとする各会場で展示されている。「六甲ミーツ・アート芸術散歩2021 鑑賞パスポート引換券」チケット情報六甲山の緑や光、川のせせらぎなどの自然環境の中で気軽に現代アートにふれ合えるのがこの展覧会の大きな特徴。会場の六甲ガーデンテラスエリア、六甲高山植物園などの12会場間は徒歩で周遊できるところが多い。サテライト会場である有馬温泉エリアには六甲有馬ロープウェーが便利だ。また、新たな試みとしてJR三ノ宮駅前に過去の作品が特別展示されているので、こちらの作品を観て気分を盛り上げてから六甲山上に向かうのも期待感を高めそうだ。風の教会エリアにある、建築家安藤忠雄氏設計の「風の教会」では、神戸出身のアーティスト束芋(たばいも)が、教会内の空間と対話して感じた感覚を、アニメーション映像化し天井にプロジェクターで投影。この空間でしか表現・成立できない映像作品が観られると注目されている。ROKKO森の音ミュージアムでは、明和電機が80年前の巨大な自動演奏オルガンの心臓部であるパンチカードに代えて、コンピューターの制御によりオリジナル曲を演奏。迫力ある音楽とコミカルなロボットの動きに自然と楽しい気持ちになりそうだ。天覧台(一部TENRAN CAFE内に展示)で展示されている「キオクノカナタへ」は、公募で集まった248作品の中から「六甲ミーツ・アート芸術散歩2021公募大賞」グランプリにも選ばれた作品。古着やハギレを使った衣装をまとったモデルが六甲山の豊かな自然の中で溶け込むことで、廃棄物となってしまったものたちが再び輝きを取り戻すことを表現した作品だ。旧パルナッソスの休憩小屋で展示されている「山々を泳ぐ方舟」は、アートユニット「パルナソスの池(淺井裕介・高山夏希・松井えり菜・村山悟郎)」が、通称「廃墟の女王」とも呼ばれる旧摩耶観光ホテルに滞在し、窓枠を模したステンドグラスや雨漏りを利用して描いた絵画や写真を制作。ホテルに残されていた遺物などとともに、会場全体を使って表現した作品となっている。ROKKO森の音ミュージアムの屋外で展示されている松田美由紀の作品「光彩」は、『ジェンダー』をテーマに、柔らかさ、美しさを表現する女形・早乙女太一をモデルにして、性別関係なく共通する感情と誰もが両方の性質が交互に現れて生きていることを表現した。ほかにも見ごたえのある作品が揃い、六甲山がもつ自然のパワーと、作品に込められたアーティストのパワーが相まって、元気をもらえるはず。会期は11月23日(火・祝)まで。ゆっくり鑑賞していると、とても一日では回りきれないほど。周遊には、会期中に有料施設6会場に入れる「鑑賞パスポート」の購入がお得でおすすめだ。取材・文・撮影:滝野利喜雄
2021年09月17日天海祐希主演「緊急取調室」の7話が9月2日放送。速水もこみち演じる渡辺と工藤阿須加演じる山上の“ナベヤマコンビ”誕生に喜びの声が上がるとともに、ゲスト出演した板谷由夏の演技に絶賛も。さらに大國塔子の“運命”にSNSがざわめいている。可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班」(通称・キントリ)メンバーたちの心理戦を描く人気シリーズの第4シーズンとなる本作。キャストは警視庁捜査一課「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」に配属された“妥協を許さないプロの取調官”真壁有希子に天海さん。有希子をキントリに抜擢した管理官・梶山勝利に田中哲司。公安部出身の頭脳派・小石川春夫に小日向文世。マル暴一筋で広い人脈を持つ菱本進にでんでん。以前キントリだったサイバー犯罪対策室の玉垣松夫に塚地武雅。捜査一課の渡辺鉄次に速水さん。渡辺の新たなバディとなる山上善春に工藤さん。キントリと敵対する北斗偉に池田成志といった顔ぶれ。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。国土交通副大臣・宮越肇(大谷亮平)の汚職疑惑を糾弾すると宣言、ハイジャック事件を起こした大國塔子(桃井かおり)がついに裁判で重い口を開く。自分が機内に持ち込んだ爆弾は偽物だと証言したのだ。「黙って見物してていいのかな。真実を知ってるのは私たちだけ」と興奮気味に語る有希子を、小石川は「機が熟すのを待とう」と諭す。そんな折、山上が警視庁捜査一課に異動。渡辺の新相棒になるのだが、山上は警視庁を訪ねてきた人気霊能力者・貴船馨(板谷由夏)と出くわした際、「失踪した医師の霊から助けを求められた」という彼女の言葉をろくに聞かず追い返し怒らせていた。しかしその直後、失踪中の美容外科医・小林英ニ(黄川田雅哉)のバッグが郊外の橋の下で見つかる。捜査に加わった渡辺と山上は馨の自宅を訪ね、応対に当たった双子の妹・佐久間渚(板谷・二役)に馨を説得してもらい、なんとか捜査協力の承諾を得るのだが…。先週“解散”したモツナベコンビに代わり誕生した“ナベヤマコンビ”に「ナベヤマコンビ…もうコンビ名つけられちゃった」「ナベヤマ。2人とも背が高いねえ」「ナベヤマもなかなかいいコンビになりそうで楽しみ」などの反応が。その後、有希子は渚の“癖”に注目。渚が馨と同一人物であると見抜く。実は渚は馨を殺害、彼女に成りすましていたが、そのことを小林に知られ、彼もまた手にかけていた…という展開に。馨と渚を演じた板谷さんの演技に「正体バレて開き直る所 好きだわ」「霊能者の姉は取り憑いたような場面、地味な妹はスッピンの場面もあるほどに演じ分けた」「ついつい目で追ってしまった」といった感想も寄せられる。渚の事件がひと段落した有希子だが、ラストでは大國塔子が獄中死したというニュースが飛び込んでくる。視聴者からは「大國塔子さんはまあそうなるのかなと思っていた」「最終回でまた真壁とのバトルがあると思って楽しみにしてたのに」といった声が上がる一方、「ホントに死んだのか?このドラマどんでん返しもあるしまだ分からんぞ」と語るツイートも上がっている。(笠緒)
2021年09月02日六甲山上を舞台に行なわれる現代アートの展覧会「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2020」が、9月12日(土)に開幕。今年度は過去最高となる44組のアーティストが参加し、絵画やオブジェ、映像作品などの現代アートを展示する。「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2020」チケット情報山の光や風、川のせせらぎなど自然を感じながら、アートに触れ合えるのが大きな特徴。六甲山サイレンスリゾートや六甲オルゴールミュージアム、風の教会など12会場に展示され、各会場間は徒歩でも周遊できる。サテライト会場である有馬温泉エリアへは六甲有馬ロープウェーでアクセス可。ハイキングやプチトリップ気分を味わいたい方にぴったりだ。六甲山の景観を生かしたアート作品も多い。山上の自然体感展望台 六甲枝垂れには、カフェやホテルの1室など六甲山上の5つの場所を精巧に再現したミニチュアアートが。北側の山並みを一望できる、“風穴(ふうけつ)”と呼ばれる小窓のような空間に配され、風景と溶け合って1枚絵のように美しく、ここでしか体験できない感動がある。六甲ガーデンテラスエリアにある砂利広場には、ひとの“顔”をモチーフにした巨大な絵画。社会や家庭で仮面を被って生きることが避けられない時代において、ひとの素顔とは「恐ろしくまた美しい」ことを表現。マスクで顔を覆うコロナ禍を生きる今こそ、改めて素顔について考える時ではと問いかける作品に。六甲オルゴールミュージアムからほど近くの中庭には、可愛らしい木彫りの鳥の姿。触れると、竪琴のような独特の音色が響く。六甲山で採集したアンティークオルゴールの音色や鳥の声などを加工したものという。工芸作品とデジタル技術の融合をテーマにした、ユニークなアート作品だ。六甲ガーデンテラスエリア内には、カフェやレストラン、お土産ショップが点在。人気パン店「ケルン」と期間限定でコラボレーションしたサンドイッチは要注目。六甲山の定番みやげ、六甲山に咲く花から採れるハチミツ「六甲山ミツバチ やまみつ」もお忘れなく。1日で回りきれないほど見どころが多い、フォトスポット満載の六甲ミーツ・アート。購入した鑑賞パスポートは、会期中に限り複数日に分けて利用OK(ただし1施設につき入場は1回限り)。密を避けられるオープンエアなイベントで、アートにじっくり触れてみては。メイン写真キャプションArt Work : Fumieda《The scenery I sew》Model : Aoi ShimazawaPhotographer : Hideaki HamadaPlace : 自然体感展望台 六甲枝垂れ
2020年09月18日Jリーグ・川崎フロンターレの大久保嘉人選手が、1月9日(19:00~21:54)に放送される日本テレビ系バラエティ番組『はじめてのおつかい! 爆笑!!2017年大冒険スペシャル』に出演。4歳の末っ子の"はじめてのおつかい"を見届ける。小さな子供たちが、大きな冒険となる「はじめてのおつかい」に挑戦する同番組。今回は、大久保選手の三男・橙利くんが、ホームパーティー用の焼き肉と、お母さんへのサプライズを買いに行く。現在お母さんは妊娠中で、末っ子の橙利くんはもうすぐお兄ちゃんに。お父さんのユニフォームと同じ「13」の番号が刻まれたカッパを着て出かけるが、頼まれたお肉の種類が難しすぎて覚えられないというピンチに見舞われる。「番組のファンで、昔から子どもを出したい!と思っていたので、今回その願いをかなえることができて、とてもうれしかったです」という大久保選手。いざ、おつかい当日になると、橙利くんに「行きたくない」と駄々をこねられてしまったそうで、「こちらが先に諦めてしまいそうになりました(笑)」と苦労を振り返った。このスタジオ収録で、初めてVTRを見たそうで、「僕のいないところでの行動に、自分と似ている部分があったり、成長したなと感じる部分があったりと、とても感慨深い気持ちになりました」としみじみ。「妻のおなかにいる四男にも、ぜひ『はじめてのおつかい』を経験させたいと、すでに思っています」と、親にとっても良い経験になったようだ。MCは、所ジョージと森口博子が務め、スタジオゲストには、岡田結実、篠原涼子、DAIGO、博多華丸、林家たい平、久本雅美が出演する。
2016年12月17日米ULの日本法人であるUL Japanは2月24日、2016年の事業戦略説明会を開催した。同説明会に登壇した山上英彦 代表取締役社長によれば、2015年は「自動車」「材料科学」「エネルギー」を戦略的事業領域として位置づけ、プラスチック材料や添加剤の製品/技術情報データベースソリューションや環境分野における各国の規制を調査するサービスの提供を開始するなどケーパビリティを拡大したほか、欧州自動車メーカーに向けたEMC業務が成長を見せたことが主なハイライトとなった。車載機器の複雑化が進む自動車関連でのニーズが特に高まっており、2015年は自動車関連の評価件数が前年比で約20%増加したという。2016年の事業戦略について同氏は「前年の戦略を継承しつつ、中長期にわたる社会的・技術的課題に取り組むためのグローバル・コンプライアンス・ソリューションを提供する」と説明。この方針のもと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け開発が進む水素エネルギーや自動運転などの技術にフォーカスしていくほか、規制対応・サプライチェーン管理に向けたソリューション提供、情報セキュリティ分野に関するサービスの体制構築を進めていくことになるとした。「1国の法規制に対応すれば良い時代は終わっている。リテーラーを含めて、コンプライアンスのトータルソリューションを提供する。」(山上氏)同氏はさらに「自動車」「環境・材料科学」「エネルギー」「医療機器」「情報セキュリティ」の5分野に対する具体的な施策についても言及。まず「自動車」分野では2015年に米ULが買収したNational Analysis Center (NAC)の車載情報機器向け相互接続性適合試験の提供を開始する。また、EMCの旺盛な需要に応えるために能力の拡大を検討していく。「環境・材料科学」分野では北米・欧州で厳格化が進む環境規制への対応に向けたサービスを展開していくほか、材料の総合データベース「PROSPECTOR」の拡販を進める。この分野では建材・家具から発せられる有害物質の管理など、室内空気質関連のサービスにも注力していく予定だ。「エネルギー」分野に対してはリチウムイオン電池の性能を向上させる添加剤の開発支援など、大型電池やエネルギーストレージを中心にサービスを推進していく。「医療機器」分野に向けては各国規制への対応を進めると同時に、人間工学に基づいた設計となっているか評価するユーザビリティエンジニアリング・サービスの拡販を目指す。「情報セキュリティ」分野においてはオンライン金融取引の安全性に関するサービスの体制構築に着手するとした。このように2016年は2015年と同じくケーパビリティの拡大・強化が基本路線となる。中でもサイバーセキュリティはIoTの普及に伴いニーズが爆発的に増加することが考えられるだけに、将来的には同社の主力活動の1つとなる可能性があり、今後の展開が注目される。
2016年02月25日