■前回のあらすじ息子の川崎病について病院から緊急の電話が。先生がいろいろ説明してくれたのですが、心配すぎてパニック状態に…。急遽病院に向かいました。■先生の粋な計らいに感謝病院に着いた後、いえむしろおかげで助かりましたと思っていたら私がポロッと漏らしていた愚痴を覚えてくれていたようで、気を使って電話をしてくれたようでした…主治医の先生あの時は本当にありがとうございます!■同僚の気遣いにも涙そしてその日の夕方同僚の先生から電話があり、先生方にもお子さんや家庭の事情があるにも関わらず…もう同僚の先生方にも感謝しかありません!!そしてこの週お休みを頂けることになったのでした。この後も園長との交渉はちょこちょこ続くのですが、園長との話は一旦ここでストップして、入院中の長男や次男の家での様子などを描いていこうと思います。次回に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月20日■前回のあらすじ園長の「私は我慢したわよ」という遠回しな圧力に耐えられなかった…電話に出た先生が慌てた様子で私に知らせに来てくれました病院からの電話なんてそうあるものではないので、私はもちろん他の先生方も軽くパニックになっていました。副作用のことなどいろいろ説明してくれたのですが、この時は混乱していて頭に入ってこず…。でもとにかく今すぐ治療をした方がいいということは伝わってきたので「治療をお願いします」と言って電話を切りました。このとき先生から「肺炎になりかけているので肺炎の治療も一緒にしていきます」という話もあったのでさらにパニックでした…。川崎病が再発した上に肺炎…、副作用…、もう何から心配したらいいのか…。 そして園長先生は…どうやら病院からの電話のおかげで川崎病が簡単に治る病気ではないことを理解してくれたようでした。次回(8/20 UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月19日■前回のあらすじ息子の入院のことで園長先生にお休みをお願いしたら、「入院期間を短くしてもらば?」という驚きの言葉が…どうやら私が心配しているから入院を長引かせていると思っているようで…いや違うんです。病院側に24時間付き添いは絶対と言われているんです年齢や病状によって違うのではないでしょうか…と心の中で思いましたが言葉にはできず…イコールあなたも我慢しないとね? と言う心の声が聞こえてきそうな雰囲気に飲まれてしまい…結局、園長を説得することはできず…時差の変更のことをお願いしに行き、快く受け入れて下さった先生方…、おまけにずっと私や息子の心配までしてくれていて本当に嬉しかったです。しかしモヤモヤが残ったまま仕事をする事に…次回(8/19 UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月18日■前回のあらすじ息子の入院に付き添うためお休みをいただきたいと園長先生に相談。スケジュールを確認すると微妙な雰囲気に…私が休むことによって他の誰かに負担がくる…罪悪感を感じてしまう言葉を言われてしまいます…。確かに…、お子さんがいる先生は私だけではない…。みんなだってそれぞれ事情もあるだろうし、私1人のせいで迷惑をかけてしまうのは本当に申し訳ない…。園長先生の言っていることは間違いではないです。でもでも…、同僚の先生達に、とにかくしつこく休みをお願いしなさい! という言葉をいただいていたこともあり、めげずに交渉を続けました。頑張ったのですが…、次の園長先生の言葉に愕然とします。そうなんだ…、私はまだ2日しか休みをもらえてないですが…、2週間もらえたんだ…と心の中で思ってしまいました、すみません…。確かに旦那も有給制度はありますし、旦那さんが代わりに休んで付き添いをしている家庭もあると思います。しかし、旦那の会社はまだまだお休みは取りにくい雰囲気がありました。私たち保育士の仕事は、そのあたりの理解はまだあるほうですが、それでもこんなに休みにくいのに…。そしてさらなる園長先生の言葉に、耳を疑ってしまうのでした…。まさか退院を早めてもらえばなんて言われるなんて思っていませんでした…。次回(8/18 UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月17日■前回のあらすじ長男の川崎病の症状がまたでてきたため、お休みをとれないか再び園長先生に相談してみることに…。断られても折れずに園長先生と交渉してみようと決心!緊張感漂う中お願いすることに…私の園は、早出や遅出など出勤時間が日によって異なっていて、とくに遅出の長時間になると、帰りの時間がとても遅くなってしまいます。長男が入院中なうえ次男のお世話もあるため、どうしても都合がつけられないので、そこもお願いしてみました。そんなの無理にきまってるでしょう、と言われると思っていたのですが…まさかのオッケー!さっそく調整してくれるという園長先生に、感謝の気持ちと誤解していてごめんなさい、と思っていたのですが、だんだんと雲行きが…、ん?たしかにこの時はもうすぐ園の夏祭りで準備が大変な時期でした。私もそこはとても申し訳なく思ってはいたのですが…次回(8/17 UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月16日■前回のあらすじ長男が川崎病かもしれない。24時間付き添いは必要で、私も旦那も両親も仕事をしている…。病院と職場、この先どうすれば…。解熱剤を使っても熱が下がらず、辛すぎて眠れない夜が何日も続いていた長男…。症状が出揃うまで治療ができないのですが、やっと川崎病と確定し治療を開始、その日の夜にようやく熱が下がり、久しぶりにスヤスヤ眠る姿を見ることができました。そして日曜が終わり…、月曜日には仕事に来てと言われてしまったので、なんとか母に協力してもらい、泣く泣く出勤することに…職場の保育園の先生達は「どうして休まないの!?」と、とても心配してくれていました…。みなさんの優しさが嬉しかったです。そんな感じで2日くらいたった時、長男の熱がまた上がり始めてふたたび39度台に…。長男はこのとき川崎病と同時に肺炎にもなりかけていたようで、始めはその影響かなという感じだったのですが、肺炎の薬を投与しても熱は下がらず…。落ち着いてきたと思っていた川崎病の症状も再び出始めていました。そしてもしかしたら川崎病の薬が効かず、再び発熱している可能性があるかもと言われたのです。出勤前だったのでとりあえずその日は仕事に向かうことにしましたが…、心配で仕方ない…。長男のそばにいてあげたい、意を決して再び園長先生に相談してみることに。理解は得られるのか…。次回(8/16UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月15日Arareさんの息子さんが、川崎病になったときのお話をご紹介します。長男が3歳のとき、川崎病になりました。(現在は回復し、問題なく元気に過ごしています!)入院した病院は24時間付き添いが必要だったのですが、まさか職場と病院との板挟みがこんなに大変だとは思っていませんでした…。そのときのことをご紹介していきます。■突然の発熱に嫌な予感…突然40度以上の熱が出た長男。2日たっても熱が下がらず、この日は仕事を早めに抜けさせてもらい、かかりつけの小児科で診てもらうことに…。先生の顔は険しく川崎病かもしれないと紹介状をもらい大きな病院に行くと、そのまま入院することになりました。この時点では、まだ川崎病と確定していなかったのですが、長期の入院になるかもしれない事と、保護者の付き添いが24時間必要と言われたため、職場の園長先生に休みをお願いしようと電話をしました。申し訳ない気持ちもあったのでドキドキしながら電話…初めはいいよー!大変だったね!と救われるお言葉を頂いたのですが…この日は木曜日でした…私の考えが甘かったようで…。私にとっては子どものことを優先させたい気持ちでいっぱいですが、それは職場の方たちにその分たくさん迷惑をかけてしまうということ。でも24時間付き添いは必要で、旦那も両親も仕事をしている…、どうしようどうしよう…?ここから職場と病院との板挟み生活がはじまるのでした…。次回(8/15UP!)に続きます。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。必ず診療機関にご相談ください。 【同じテーマの連載はこちら】 川崎病体験記 子どもの「病気・けが」教えて!ドクター この連載の全話を見る >>
2020年08月14日ウーマンエキサイトをご覧のみなさま、こんにちは! タキノユキです。今回は、娘がかかった「川崎病」についての話です。「川崎病」とは、日本で年間に1万5千人くらいのお子さんが発病している全身の血管に炎症が起こる病気です。原因はよくわかっていないそうです。アデノウイルスとの診断、しかし…昨年末のこと、娘が珍しく高熱を出して病院へ行きました。そして翌日でもBCG跡が腫れてないし、手足も腫れてない…アデノウイルスなのかなぁ…とモヤモヤした気持ちはあったものの、その日はひとまず様子を見て次の日に再度病院へ行くことにしました。BCG跡が腫れた! 診断結果は…「川崎病」朝起きて娘の腕を確認すると、うっすらとBCG跡が腫れているような気がしたため、支度をしてすぐ病院へ向かいました。発熱と充血、今朝からBCG跡が腫れていることを伝えるとそして総合病院での診察の結果は…※主要症状のうち該当項目が4つ以下の場合を不全型というそうですまさか即入院になるとは思わず、何も用意してきていなかったため夫に連絡をして、バタバタと入院しました。年末年始に5日間入院することに5日ほど入院しました。免疫グロブリンの点滴やアスピリンの投与などの治療を受けて心臓のエコー検査をしました。川崎病は治ってからも経過観察が必要となります。今でも定期的に診ていただいています。私自身、娘がかかるまで川崎病という名前すら知りませんでした。主な症状が高熱が出ている、機嫌が悪い、などで気付きにくい病気だな…と感じ、こういう病気もあるのだということをお知らせしたかったため、今回こうして描かせていただきました。治療が遅れると心臓に後遺症がのこることもある病のため、あのままアデノウイルスだと信じ込み、重症化していたらと考えるとぞっとします…。参考リンク: 本記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2019年11月05日子どもが熱を出す原因の多くは「かぜ」であり、数日間で自然に熱が下がるため、抗生剤(抗菌薬)が必要な場面は限られます。では、抗生剤が必要となるのは、どんな病気なのでしょうか? 今回は、抗生剤がよく効く病気の一つである溶連菌感染症について解説します。■溶連菌感染症「診断、治療、家での過ごし方」溶連菌(=A群溶血性連鎖球菌)は細菌の一種で、主に4歳以上に発熱やのどの痛み、頭痛などの症状を認め、ときにおう吐や腹痛をともなうこともあります。扁桃腺がはれて赤くなり、首のリンパ節がはれたり、舌がイチゴのように赤くなるイチゴ舌や、体に発疹を認めることもあります。せきや鼻水などのいわゆるかぜのような症状は乏しいことも特徴です。主に咽頭炎や扁桃炎を起こしますが、とびひなどの皮膚感染症を起こすこともあります。診断溶連菌を疑う症状があり、のどを綿棒でこする迅速検査で陽性が出たら、溶連菌による咽頭炎と診断されます(時間はかかりますが、培養検査をするとより正確です)。このとき発熱などの症状はなくても、検査で陽性が出てしまう健康保菌者という場合があり(約15%)、解釈には注意が必要です(※1)。治療ペニシリン系といわれる抗菌薬が第一選択薬で10日間内服が必要です。溶連菌によく効くお薬ですので、内服して1~2日もすれば熱は落ち着くでしょう。その他の抗菌薬が使用される場合もありますが、ペニシリンアレルギーなどの限られたケースに限られます。家での過ごし方溶連菌は抗菌薬がよく効く感染症ですので、1~2日ほどで熱は下がるでしょう。学校の登校停止基準も「抗生剤治療開始後24時間をへて、全身状態がよければ登校可能」となっています(※2)。治療を開始して24時間経過していたら感染力はないので、学校にいったりお友だちと遊んだりしてもOKです。ただし10日間の内服をしっかりと続けていることが条件です。■溶連菌感染症「実は怖い合併症」治療のメリット4つこの溶連菌、実は無治療でも3~5日で自然に熱が下がります。自然によくなる病気になぜ抗菌薬が必要なのでしょうか? 主に、次の4つのメリットがあります。1. 発熱期間を短縮することができる。2. 感染拡大を防ぐことができる。3. 化のう性合併症を予防できる。4. リウマチ熱の予防ができる。発熱期間を短縮できることは大きなメリットですし、唾液などを介したきょうだいやお友だちへの感染拡大も防止できます。化のう性合併症とは、扁桃腺やリンパ節などにうみができるもので、ときに点滴や外科的治療が必要なことがあり予防は重要です。リウマチ熱とは、溶連菌に感染して2~4週間後に関節炎や心炎、発疹や舞踏病(体の一部が意図せず勝手に動く)などさまざまな症状を認める合併症です。とくに心炎では、後遺症として心臓の機能障害が残る場合があり、予防はとても重要です。日本ではまれですが、治療を十分に受けられない国ではリウマチ熱に苦しむ子どもが大勢います。発症から9日以内に抗菌薬を投与すれば予防可能とされ、溶連菌の治療の最も重要な目的です。そのほかの合併症として、発症から2~3週間後に起こる急性糸球体腎炎もあります。これは腎炎を起こして、たん白尿や血尿が出現し、尿が少なくなり、体がむくんで高血圧を起こしたりします。このような症状が出たら必ず受診が必要です。ただし、腎炎については、抗菌薬をしっかり飲んでいたとしても予防することはできないので、早く見つけるために2~3週間の期間は体のむくみや尿の状態などを注意して見ておくことが大切です。■抗菌薬が効かない! 別の病気が潜んでいるかも…抗菌薬を服用しても熱が下がらない場合は、どうすればいいのでしょうか?原因のひとつに、化のう性合併症が考えられます。うみをつくっている場合、飲み薬では十分治療できないので、必ず病院で相談してください。もしくは、別の病気にかかっている可能性もあります。溶連菌陽性の結果が、前述の「健康保菌者」を示しているだけで、実は発熱の原因がほかにあるのかもしれません。例えば、インフルエンザ+溶連菌の健康保菌者だった場合、抗菌薬を飲んでもメインのインフルエンザが改善しない限り熱は下がりません。また、溶連菌は川崎病に症状が似ているところがあります( 【医師監修】高熱が5日以上…「カゼではないかも?」子どもがかかる川崎病とは?<パパ小児科医の子ども健康事典 第14話> 参照)。発熱、リンパ節腫脹、発疹、イチゴ舌など共通する症状があるので、川崎病+溶連菌の健康保菌者という場合もありうるのです。この場合、溶連菌治療の抗菌薬内服を続けていても改善はせず、川崎病の適切な治療時期を逃してしまう危険性があります。溶連菌の診断で抗菌薬を内服しても改善しない場合は、見直す必要があるので必ず受診してください。発熱の原因が溶連菌と確定できれば、抗生剤がよく効くすっきりとした病気です。しかし、大事なのは、溶連菌と診断されているのに、抗生剤を飲んでも熱が下がらないときです。何か合併症はないか、実はほかの病気ではないのか? さまざまなことが考えられますので、再度受診して診察をうけてください。参考資料※1: 「小児感染症マニュアル2012」(東京医学社) ※2:学校保健安全法「登校停止基準」
2019年04月10日一般的に、カゼは数日間の発熱で改善しますが、それ以上続く場合はどうすればいいのでしょうか?小児で発熱が長く続く病気として、「川崎病」があります。あまり聞きなれない病名かと思いますが、高熱が出たりとカゼに似た症状をもつ病気です。川崎病とは一体どんな病気なのでしょうか。くわしく解説していきましょう。■川崎病とはどんな病気? 重い合併症も…まず、川崎病には以下の6つの診断基準があります。1. 5日以上続く発熱2. 両側の眼球結膜(白目の部分)の充血3. 唇が赤くなる、またはいちご舌(いちごのように赤くなりぶつぶつが出る)4. 発疹が出現5.四肢末端の変化(むくんではれたり、赤くなる6. 首のリンパ節のはれ[川崎病診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)から一部抜粋、改変]発熱するだけではなく、目が赤くなったり、発疹がでてきたりと、だんだん症状が増えていき、6個の基準のうち5つ以上を満たせば川崎病という診断になります。上記の診断基準には含まれませんが、BCGを接種した部分が赤くはれることもあります。発症すると、熱が続いて体力を消耗しますし、首のリンパ節のはれが痛くて、首を横に向けることができなくなったり、赤くはれた唇が切れて痛み、食事がとりにくくもなります。ぐったり感が強く、だんだんとしんどさも増す病気です。この病気は約50年前に日本人の医師、川崎富作先生が発見したものですが、いまだに何が原因かははっきりしていません。ただ感染症とは異なるということはわかっていて、抗菌薬の効果はなく、体には「血管炎」とよばれる状態が起こっています。血管炎とは、全身の血管が炎症を起こしている状態。例えば、目の血管で炎症が起きると充血し、手の血管で炎症が起きると赤くなったりはれたりという具合です。この時、最も注意すべきことが心臓の血管です。心臓の血管で炎症が起きると、そこには冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)というコブができてしまいます。すると、コブがあるところは血管がつまりやすく、子どもでも心筋梗塞が起こってしまうのです。そのため、昔は川崎病によって子どもが突然死することがしばしばありましたが、現在は治療法が確立し、そういうことはほとんどなくなりました。■川崎病の治療法「発熱から7日までに診断、治療開始」川崎病の治療には、どんな方法があるのでしょうか。治療の一番の目的は、心臓の合併症を起こさないことです。そのために、現在では免疫グロブリン大量療法という治療が行われています。これは、人の血液から取り出した免疫グロブリンというタンパク質を大量に点滴するというもので、うまくいけば投与から1日ほどで熱が下がります。すぐに下がらなくても、多くの場合は2回、3回と投与したり、ほかの治療を組み合わせることで解熱します。ここで一番重要なことは、熱が出てから7日までに治療を開始して、はやく熱を下げることです(※)。それ以上続くと、心臓の血管にコブができやすくなってしまうからです。川崎病は、5日以上続く発熱で診断されます。そのため、診断が出た時点ですでに約5日が経過しており、発熱してから5日~7日という短い期間に、免疫グロブリンを投与するかどうかを判断しなければいけません。子どもの場合、高熱がどれくらい続いているかはとても重要。長く続くようなら、こまめな受診で小児科医の判断を仰ぐ必要があります。受診の際、小児科医から「熱が続くようなら、再受診してくださいね」と言われたことはありませんか? 熱が下がらなければ病院に行くのは当たり前じゃないかと思われるかもしれません。実は「もし川崎病だったら…」を小児科医は想定して、受診の時期を逃さないように声がけをしているわけです(場合によっては熱が出て数日の段階で川崎病の説明をすることもあります)。最初は発熱のみでカゼと区別が難しい川崎病ですが、熱が続いて目が赤くなったり発疹が出てきたりして、症状がそろってくると区別できるようになってきます。■川崎病「診断がつきにくい“不全型”に要注意」注意すべきものとして、「不全型川崎病」について説明しましょう。本当は川崎病なのに、5日たってもいまいち症状がはっきりしないのが「不全型川崎病」です。例えば、熱が続いているのに、目と口が赤いだけで症状が5つ以上そろっていないなどのケースがあります。症状が5つ以上あれば誰がみても川崎病なので、これを見逃す小児科医はほとんどいません。しかし、症状がそろっていないとなると判断がつかず、診断がはっきりくだせないのです。前述のように、川崎病の治療は熱が出てから7日以内に治療を始める必要があるため、不全型の時は特に注意しなければなりません。症状がそろっていないために見過ごされ、治療が遅れて冠動脈瘤ができてしまうケースも。診断がはっきりせずに熱が続く場合は、繰り返しの受診が必要ですし、場合によってはクリニックをかえ、別の医師の診察を受けてもいいでしょう。一般的に、川崎病は4歳以下の小さい子どもに多い病気ということから、まれに小学校高学年や中学生で発症した場合、なかなか診断がつかないこともあります。小児科以外ではなじみが薄い病気ですので、診断がつかない時は一度、小児科に相談したほうがいいでしょう。■「熱が続いたら再受診を」小児科医の言葉に込められた意味川崎病には重い合併症も存在しますが、時期を逃さず診断して適切に治療すれば心配はありません。「熱が続いたら、もう一度受診を」子どもの発熱で受診した時、小児科医が毎回のように添える言葉の裏には、「川崎病による合併症を防ぎたい」といった強い思いも込められているのです。参考資料※: 『川崎病急性期治療のガイドライン平成24年改訂版』日本小児循環器学会 川崎病急性期治療のガイドライン作成委員会
2019年03月03日