1989年にデビュー。数々のヒット曲を発表するも、2002年活動にピリオドを打ったバンド、LINDBERG。20周年にあたる2009年に1年間限定で復活し再び休止したが、2014年、25周年を機に「Re:LINDBERG」と題して継続した活動を宣言。結成から解散、そして再活動に至るまで渡瀬マキ(vo)が語ってくれた。【チケット情報はこちら】アイドルだった渡瀬がLINDBERGを結成した経緯について振り返ってもらうと「アイドルのとき、やってる音楽がしっくりこなくて(笑)。憧れていた東京で松田聖子さんみたいな衣装を着て1年やってみたけど自分に嘘つけへんようになってきて。“今やってることが心地良くない”って伝えたら社長が“カラオケやめて生演奏にして、デパートの屋上やめてライブハウスで歌ったら”とバンドを探してくれて、その中に達ちゃん(平川達也・g)がいた。書き溜めてた歌詞をみせたら曲をつけてくれて、生まれて初めて自分の書いた詩がメロディになってそれを歌ってすごい感動して“あー、これや!”って思ったんですよ。達ちゃんが“こういう感じでやりたいならバンド組むのがいいんじゃない?”って、智ちゃん(川添智久・b)とCHERRY(小柳昌法・ds)を連れてきてくれた」。その後彼らは日本武道館が満杯になるほどの人気に。「正直、実感がなかった。『今すぐKiss Me』という曲が一番前を走っていて、その次にLINDBERGというバンド名が走っていて、自分たちは一番後ろの方で追いつくのに一生懸命やった。でもね、それがかえってよかったと思う。大人になればなるほど考えすぎてしまう。だけど歌が好き、ステージが好き、それをみんなが応援してくれる。それだけでいれた時代。貴重な数年間やったなって今は思うんですよ」。その後、渡瀬は平川と結婚。バンドは解散を迎える。「私の全てが子供に向かっていたんですよね、全ての細胞が。息子を産んで2年はバンドやってたんやけど、どうしてもそばにいたくて、それで解散を決めたんです。それから娘を産んで子育てしていく中で子供向けの番組で歌うチャンスがあって、その頃風の噂でLINDBERGが20周年ってきいて(笑)。自分も40歳になるし、あとはメンバーやなと思って電話してみたんですよ。そしたら“いいねえ”って」。2014年の再開は「再始動する可能性は0%でした。2009年のライブの最後に“また会おうね”とは言えへんかった。明日のことは誰にもわからんもんね。でも確実に人生の折り返し地点に来てて、LINDBERGをなくしてしまっていいのかって自問自答があって、単純に楽しくLINDBERGの音楽ができたら最高に幸せやなと思えた。メンバーは運命共同体で、いつもどこかで待っていてくれてOKって快く言ってくれるのがありがたいですね」。春に予定しているライブに向けて「ファンから聴きたい曲を募集してるんですよね。要望に応えて椅子も用意したんですよ。椅子があればじっくり聴いてもらえるし、長く喋っても大丈夫やなと(笑)」と意気込んだ。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2015年03月05日カミナリグモが、2月19日に東京・渋谷7th FLOORでライブ「『ゴー・トゥ・ザ・フューチャー』リリースイベント~続きのブランクペーパー~」を開催した。【チケット情報はこちら】13年前に結成され、現在、上野啓示(vo、g)と成瀬篤志-ghoma-(key)の2人組で活動中の彼ら。バンド編成でステージをやることもあったが、最近はふたりですべてを演奏するスタイルで精力的なライブを展開している。この日は2年4か月ぶりとなる3月11日(水)発売のCD『続きのブランクペーパー』と、そのプロローグ盤として会場限定でリリースされた『ゴー・トゥ・ザ・フューチャー』のリリースを記念したイベント。セットリストも新曲が中心で、会場に駆け付けた満員のファンもその一曲一曲をじっくり噛み締めながら聴いている。アップテンポの曲では客にスタンディングを促したり、ghomaがグランドピアノを弾き、上野が生ギターを抱えての「アコースティック・コーナー」を設けたりとバリエーションに富んだ内容だった。久しぶりのリリースに「音楽の旅が続けられる」としみじみ語った上野。4月11日(土)新潟Blue Cafeよりリリースワンマンツアーも発表され、彼らの”音楽の旅”は手ごたえと自信に満ちたものになりそうだ。取材・文:浅野保志(ぴあ)■『続きのブランクペーパー』リリースワンマンツアー4月11日(土)新潟Blue Cafe(新潟県)4月12日(日)長野NEONHALL(長野県)4月29日(水)仙台SENDAI KOFFEE(宮城県)5月 9日(土)下北沢CLUB Que(東京都)5月16日(土)福岡HEARTBEAT(福岡県)5月17日(日)広島JIVE(広島県)5月30日(土)名古屋ell.SIZE(愛知県)5月31日(日)大阪knave(大阪府)■アルバム『続きのブランクペーパー』3月11日(水)発売BZCS-1120/1700円
2015年02月23日浅野忠信と岡田准一(V6)が“ゴールデンコンビ”としてCMキャラクターを務めるサッポロの新ジャンル「麦とホップ The gold」の新CM発表会が1月29日(木)に都内で開催された。この1年、2人でゴールデンコンビとしてCMに出演してきたが、その間「麦とホップ The gold」は好調な売り上げを見せ、2014年2月の発売以来、1,155万ケースを売り上げた。今回の新CMではこのゴールデンコンビが続投。2人が軽快なステップを踏みながら揃ってパーティ会場に入場するさまがセリフなしで描かれる。浅野さんは「また岡田くんとゴールデンコンビを組めるというのが嬉しかった。テンション高く頑張りました。ステップは不器用だから大変でしたが…(苦笑)」と述懐。CMの見どころについては「岡田くんが最後に飲んで『あぁっ!』と言うところは輝いてます(笑)」と語った。岡田さんは「コクがダダ漏れの浅野さんを目指してこの1年、コクを出せるように頑張りたいです」とニッコリ。CM中のステップシーンについて「オンエアでは1秒もないけど、回数を重ねました。浅野さんの呼吸を感じられて嬉しかったです」と笑顔でふり返った。1,155万ケースという途方もない数をこの1年で売り上げたことについて、浅野さんは「数字は苦手なんですがすごいというのは分かります。このCMに出て良かったです」と語り、岡田さんは「数字で表れると嬉しいですね。少しでも力になれたと仰っていただけるならよかったと心から思います」と喜びを口にする。また、あるアンケートでは消費者の70%以上が、同商品について「コクがある」と感想を漏らしており、さらに約90%「おいしい」と回答している。浅野さんは「すごいですね。コクがあるのは僕らも感じていることで、言い続けてきたけど、飲んだ人が感じて宣伝してくれるってすごいこと。本当においしいですからね。周りにも『おいしい』と言われます」と嬉しそう。岡田さんは「消費者のコメントというのは的を射ていて深いので、良さが伝わっているなら嬉しい。普通においしいですからね。現場に差し入れしてスタッフさんにも喜んでもらってます」と明かした。最後に岡田さんは「仕事終わりにグイッと飲んで『プハァー!』って言っていただくのが一番おいしい。声を出してほしいです」とアピール。さらに「今年は『ゆっくりと味わって生きる』ということをテーマにしてます。みなさんにもコクをじっくりと味わっていただき、ゴールドに日本中が輝いてほしい」と呼びかけた。「麦とホップ The gold」新CMは2月2日(月)よりオンエア。(text:cinemacafe.net)
2015年01月29日女性3人組バンド、noodlesがオリジナルアルバムとしては2年ぶりの新作『Loafers on the Japantown』を12月10日(水)に発売。ソングライティングを手がけるYOKO(vo、g)に話を聞いた。noodlesは1991年の結成以来、独自のスタンスを貫き日本のみならず海外でも高い評価を受けているバンド。オリジナルアルバムとしては2年ぶりとなる同作について、「いつもは全体の流れとか、アルバムならではの曲を入れようとか、計算して曲順も決めるし、制作するときも意図的に狙ったりするんですけど、今回は全曲リード曲でいけるくらいの曲を作りたいな、1曲1曲主役になるようなアルバムを作りたいなと思って。だから曲同士がぶつかり合ってるというか、ジャンルとかも全部ぶつかってるから、メンバーの中では”ごった煮”って呼んでて(笑)」と話す。アルバムは、確かにいつもの作品と比べて曲の個性が際立ってる印象。その理由を聞くと「3年前、20周年のライブが終わった後にちょっとのことでは興奮しないことが多くなって。あのライブ以上の緊張感がなくなって寂しくもありつまらなくもあり。次のアルバムは自分を追い込んで、ハードルを何段も上げて作ってみたいなと思いました」と語った。また、同作はサウンド面でもnoodlesならではの個性はそのままに、アレンジでは細部に新たなチャレンジも感じられる。「それは前作のカバーアルバム『MAKE UP TO BREAK UP』がすごく勉強になりました。一回完璧に仕上がったものを崩して、アレンジし直すということでアレンジの面白さとか大切さがわかって、それを今回は詰め込みたかったんです」と話した。バンドを23年という長い時間続けられた秘訣について聞くと「音楽のルーツはメンバー(IKUNO(b)、AYUMI(ds))それぞれ違うんだけど、“noodlesならこうだね”という色は一貫している。”長く続ける秘訣は何ですか”ってすごく言われるんだけど、多分”奇跡”としか言いようがない。自分たちでもわからない。続けようって頑張ってきたつもりもないから、”これは奇跡なんですよ”っていつも思う。多分、仲良くしてるからかもしれないな。”また明日も遊ぼうよ”みたいな気持ちの延長線なのかな(笑)」と照れくさそうに明かしてくれた。取材・文/浅野保志(ぴあ)■アルバム『Loafers on the Japantown』12月10日(水)発売DELICIOUS LABEL/BUMP-0432,500円
2014年12月09日the pillowsが11月30日茨城・水戸ライトハウスより、新作を携えた全国ツアー「moondust tour」をスタートさせた。【チケット情報はこちら】今年結成25周年を迎えたthe pillowsが新作『ムーンダスト』をリリースしたのが10月22日。前作リリースとツアー後に活動休止、山中さわおのソロアルバムのリリースとツアーがあったため、新作を携えたツアーは約2年半ぶりだ。「久しぶりじゃないか、みんな元気かい?」。お決まりのMCに怒号にも近い歓声が起こると「声でっけえな」と嬉しそうな山中。「ツアー初日、初々しい僕たちを、仕上がっていない俺たちをまんまと観に来たな(笑)」と続け、新作からのナンバーを中心に熱いロックンロールを繰り出す。ライブ初披露の新曲もCDよりさらにエモーショナルに歌い上げ、場内のボルテージを一気に上げていく。MCで山中は「今年は俺たち25周年って言ってやってきたけど、ここ水戸ライトハウスも25周年だそうです。(当日収録に入っていた)スペースシャワーTVも25周年ですよね」と縁を感じる初日に触れ、「25年やっても”まだまだだな”と思うのは昨日、新宿の服屋さんに入ったとき、大学生くらいの男の子ふたりとすれ違ったら”あっ、今のthe pillowsのボーカルだ、まじか”みたいな(笑)。そっか、まださわおさんって定着しないんだ」と自虐的なエピソードを披露。演奏されるセットリストも新作からの曲を核に、これまでのキャリアの中からフィットするナンバーを織り交ぜて、躍動感と感動が湧き上がる構成。積み重ねてきた年輪と、25年を経て未だロックに魅せられた少年のような瑞々しさが同居するステージは実に希少だ。また、メンバー紹介の時、茨城出身の佐藤シンイチロウ(ds)が20年ほど前に共演したバンドが、関西出身なのに岩手で”岩手のみんな、帰ってきました。岩手は第二の故郷です”と言ったことにびっくりしたと語り「残念ながらthe pillowsは大衆に媚びないのでそういうことを今まで言ってこなかったけど、今日は言ってみようかな。茨城は僕の第二の...、あれっ、第一の...」と言いかけ、山中に「ややこしいわ、唯一の、でしょう」とツッコまれ、会場の笑いを誘った。アンコールに2度応え、満足そうな笑顔を浮かべた山中は、「今日はね、初日だし、初日はいつもフワフワしてるところを見せてる。だけど”今日の俺は違う!”と思ったら違わなかった(笑)。ここから俺たち元気に、仲良く(笑)、ツアー回ってくるよ。ツアー中、また新曲作るよ。ありがとう、楽しかった」と締めくくった。ツアーは来年3月28日(土)東京・Zepp Tokyoまで続く。また同ツアーでは、アルバム『ムーンダスト』を購入か、来年1月21日(水)に発売される結成25周年記念ライブの模様を収めたDVD・Blu-ray作品を予約すると、その場で「オリジナルクリアファイル」が貰えるキャンペーンを実施。参加予定の方はご確認を。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2014年12月01日青月社はこのほど、大竹敏之著『コンクリート魂 浅野祥雲大全』を発行した。○東海地方の秋のレジャーガイドとしても同書には、現在までに判明しているコンクリート人形師・浅野祥雲氏(1891~1978)の全作品758体がオールカラーで収録されている。浅野氏の作品はサブカル層からカルト的人気を得ており、「"デカい"(2m以上)、"カラフル"(ペンキ彩色)、"たくさん"(スペクタクル・ジオラマ)、"ダイナミック"(表現性・ディテール)なこと」が特徴だという。著者の大竹敏之氏は"日本唯一の浅野祥雲研究家"で、同書は大竹氏の20年以上にわたる研究成果の集大成と言える一冊になっているという。浅野氏の"三大聖地"のガイドや未紹介の作品の紹介、写真家の都築響一氏と大竹氏の対談も収録している。なお、ほぼ全点が屋外にある公開施設のため、東海地方の秋のレジャーガイドとしても活用できるとのこと。価格は2,000円(税別)。
2014年11月14日11月3日、東京・東京キネマ倶楽部でTHE BOHEMIANSの全国ツアー「AUTUMN ROYAL BUM TOUR 2014~僕の復活~」のファイナルが行なわれた。the pillowsの山中さわおが主宰する「DELICIOUS LABEL」に移籍し8月にアルバム『BUM』をリリースした彼ら。9月23日新宿red clothからスタートしたツアーは全国10会場で行われ、熱狂の渦に巻き込んできた。ファイナルが行なわれた東京キネマ倶楽部はレトロで昭和のフレーバーたっぷりでTHE BOHEMIANSの妖艶でグラマラスな雰囲気にぴったりだ。びしっとスーツでキメた山中さわおが60~70年代のアメリカのTVショーのような呼び込みをまくし立て「変幻自在のロックンロール・バンド、ザ・ボヘミア~ンズっ!」とシャウトすると、場内のボルテージは一気にヒートアップ。メンバーひとりひとりがステージ上にあるサブステージの鮮やかな幕から登場する粋な演出でライブ・スタート。稀代のロックスター、平田ぱんだ(vo)は全身のシルエット、ふてぶてしさと美しさが同居する表情、パントマイムの要素も絡めたパフォーマンスが秀逸。千葉オライリー(と無法の世界)(ds)と星川ドントレットミーダウン(b)の繰り出すグルーヴは実に心地よく、本間ドミノ(key)のピアノもドラマチック。そしてビートりょう(g)のギターはぱんだと共にこのバンドの華やかさを牽引している。新作からのナンバーに定番の曲をうまく織り交ぜ、ゴージャスなロックンロール・ショーはイントロが始まるたびに悲鳴にも似た歓声が沸き起こる。本編は『おぉ!スザンナ』、『ロックンロール』の2曲で終了。その後アンコールで3曲、ダブルアンコールに応えても興奮が冷めやらぬ中、メンバーがドラムセットの前に集まり作戦会議。the pillowsのトリビュート盤に参加したナンバー『NoSubstance』を繰り出し、2時間に渡る贅沢な宴はその幕を閉じた。この日の模様はDVD収録されており、追ってその情報も発表される予定だ。彼らの潜在能力はまだまだこんなもんじゃないと思わせる、魅力満載のステージ。もっともっと大きなステージで演奏する5人を、目撃する日も遠くなさそうだ。取材・文浅野保志
2014年11月05日Nothing’s Carved In Stoneが10月24日(金)東京・Zepp Tokyoで8月より全23公演を開催した「Strangers In Heaven tour」の東京公演を行なった。「踊りませんか~!」。村松拓(vo、g)のシャウトにのっけから蜂の巣をつついたような大騒ぎとなる場内。日向秀和(b)がぶっといベースラインを弾きながらステージ最前列でぐいぐいと煽り、生形真一(g)は切れ味鋭いリフ、繊細なアルペジオ、ドラマティックなギター・ソロを次々と繰り出し、大喜多崇規(Dr)が変幻自在で超絶なビートを刻んで唯一無二のグルーヴを支える。これまで4人が日本の音楽シーンでそれぞれ発揮してきたキャリアがこのバンドで渾然一体となって客席に放たれるサウンドのスケールはハンパない。ステージのライティングも演奏と見事にシンクロして躍動感を増幅していく。感情が爆発する曲、シークエンスを絶妙に取り込んでクールで緻密なアレンジが心地好い曲、壮大なスケールで心奪われる曲と、彼らの曲の表情は実に豊かでツアーの充実ぶりがうかがえた。「聴いてくれる皆の気持ちに寄り添うようなアルバムになって欲しいっていうのが願いだったんで、皆の顔を見てライブをすることでアルバムの曲たちが完成に近づいてる実感がある」と語った村松。「こっちからあんまり見えない皆の顔が瞬間的に映し出されるんですよ。そうするとほぼ100%笑顔です(笑)。俺たちバンドマンにとってそんなご褒美ないからね」という表現で感謝の気持ちを伝えると、耳をつんざくほどの大歓声でそれに応えるファンたち。かけがえのない音楽を届けるバンドとそれを最高の歓迎で受け止めるリスナー。その信頼関係というか絆が感じられて素敵なシーンだった。本編19曲、アンコール2曲に、村松いわく”ツアー中にもかかわらず出来た”新曲のワンフレーズを披露したあとにさらに1曲。翌日の大阪・Zepp Nambaでツアーファイナルを迎えた彼らのツアーは各地で尋常じゃない盛り上がりを見せた。(取材・文:浅野保志)
2014年10月27日阿部真央が10月10日に東京・日本武道館で「5th Anniversary 阿部真央らいぶ2014@日本武道館」を開催した。「ありがとうしか言えません。去年の年末に行ったツアーで今日の武道館公演を発表させてもらって、その日からずーっと待ってました、この日を!」。最初のMCで2階の最後尾までぎっしり埋まったファンに向かってこう語った阿部。豪快なロックンロールから心に染み入る切ないバラード、ギターの弾き語りに至るまで幅広い音楽性だが、一貫しているのは不器用なまでに自分の生き様をさらして生み出された歌詞のリアルさ。会場に駆け付けた、現在24歳の阿部と同世代の女性の心をわしづかみにするような、繊細さと大胆さが交互に見え隠れする歌世界。ときに屈託のない笑顔を浮かべ、ときに妖艶なまでの視線を送り、ときに張り詰めた表情で気持ちを吐露する彼女。曲に合わせて拳を突き上げ、タオルを振り回し、大歓声で応えるファンたち。5年という月日を迷いながら、悩みながら、それでも歩き続けてきた阿部とファンの絆が垣間見えて切なくなった。初披露となる『always』は、ハンドマイクで情感たっぷりに歌い上げた。中盤で10月22日(水)にリリースされる新曲『それぞれ歩き出そう』を歌う前に、この曲は映画「小野寺の弟・小野寺の姉」のために書き下ろしたこと、自分と母親のエピソードを基に書いたことを告白し、「歌詞をみていただきたいので」とスクリーンに歌詞を映しての演奏に。途中思わずこぼれ出す涙も映し出され、静かな感動が場内を満たした。「跳べんのか、武道館っ!」という阿部の挑発に大盛り上がりの『ロンリー』で締めた本編のあと、スクリーンには5年間のヒストリー映像が流れた。2010年、地元大分のライブMCが字幕と共に紹介され「私は18年間自分を嫌いでした。でも歌うことで20歳になった今、”自分を嫌いな自分から卒業”って感じでした」と赤裸々な告白。決して順風な道程でなかったことをうかがわせた。アンコールでは鮮やかな朱色のチャイナ服で現れ2曲。ダブルアンコールでは嬉しそうに全国23公演を回る全国ツアー「阿部真央らいぶNo.6」の開催決定を自身で発表し、この日25曲目となる『母の唄』をギター1本で熱唱して3時間に渡るライブは幕を閉じた。阿部真央はこの後、11月29日(土)・30(日)にファンクラブイベントを開催。詳細はオフィシャルHPで確認を。取材・文/浅野保志(ぴあ)
2014年10月14日11月1日(土)に神奈川・鎌倉歐林洞ギャラリーサロンでワンマン・ライブを行う蘭華が、そのステージに賭ける想いを語ってくれた。NHK-BSドラマ「ダンナ様はFBI」主題歌『三日月の影』を含む4曲を収録したシングル『花時』を4月にリリースした彼女。二胡の調べを散りばめたシンプルで切ない楽曲は秀逸だ。シンガーソングライターになったいきさつを訊くと「大分県の中津という場所で育ちました。娯楽のあまりない街で、週末になると両親に連れられてよくカラオケに行ってました。カラオケボックスの店長さんの薦めでコンクールに出たら入賞して、当時テレビで「ASAYAN」がブームだったので”もしかしたら歌手になれちゃうのかな?”と淡い期待を抱き、急遽母親に”進学を辞めて歌手になる”と言って東京に出たのがきっかけです」と明かしてくれた。その当時は歌と作詞を自分で手がけていたが、やがて作曲もするようになったという。「当時は自分の恋愛や失恋など、女性の切ない恋心を歌っていました。蘭華という名前は、中国から上野動物園に贈られたパンダのランランが由来で、当時の日本で老若男女問わずたくさんの人々に愛されたことに両親が感銘を受けて、私が生まれたときに”この子もいつの日か日本と中国の友好の架け橋になるような子になりますように”と名づけてくれました。私は日本でチャイニーズとして生まれ育ったということで、幼少期からアイデンティティについては思うことが多々あったんです。中国に留学したとき二胡を聴いて、初めて聴いたのに懐かしい気持ちになってそれ以来、民族楽器に心魅かれて、アジアや大陸的な音楽を作りたいと思うようになったんです」と自身の音楽的な背景を語った。創作にあたり俳句も始めたという。「世界で一番短い表現形態で、詞の中に自然や季節の彩りを感じるものを盛り込むようになって。父親を亡くしたこともあったんですけど、恋愛だけでなく親子の絆とか人生とか、大きな愛に視点が向くようになりました」と、自身の変化について話した。鎌倉でのライブに向けた想いをきくと、「二年前に鎌倉のお寺で開いた以来のワンマン・ライブ。大好きな鎌倉の地でまたできるのが嬉しいです。私が日本で一番二胡がうまいと思う女性をゲストに迎えますので、二胡の生音が聴けるのも楽しんで欲しい。構成としてはオリエンタルな時間と、和の時間、過去の私がリリースした曲なども織り交ぜて、”今の私”を観ていただきたいと思ってます。チャイナ服はもちろんドレッシーなものも着ますよ」と語った。実に心に染み入る曲を歌う蘭華。ぜひともライブで彼女の魅力を堪能して欲しい。チケットは発売中。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2014年10月14日10月11日、東京・渋谷公会堂でTHE BOOMのラスト・ツアー「MOOBMENT CLUB TOUR 2014~25PEACETIME BOOM」が行なわれた。ドラム・セットの上に組まれた舞台に、宮沢和史(vo)、小林孝至(g)、山川浩正(b)、栃木孝夫(ds)のシルエットが現れ、大歓声に迎えられてライブがスタート。サビでは一緒に歌うよう促し、歌詞の要所を”渋谷”に変えて歌う宮沢。最初のMCで「ここにはたくさんの思い出がありまして」と切り出すと、歩行者天国からライブを始め、目標だった渋谷公会堂を「ホームグラウンドみたいな感じ」と表現して「いろいろ思うことはあるんでしょうけど、今までで一番いいコンサートになるように一生懸命演奏します」と宣言。「何ヶ月も前からこの日のために曲を選んでいたんですけど、気がついたら自分が作ってきた何百曲のうちのほとんどの曲を歌えない」と語り、最後のツアーで歌う曲を選ぶことに苦慮した心情を吐露した。1時間ほど経ったところで5分の休憩。バンドの歴史を振り返るアーカイブの写真が映し出される。『僕にできるすべて』で再開したステージは、新旧取り混ぜた名曲が惜しげもなく繰り出される。「僕らこのバンドで何を歌いたかったのかと振り返ってみたんですけど、この美しい島に生まれて、ここで人を愛して、ちょっとでも未来が明るくなるような歌が書けたらと思ってやってきた気がする」と語った宮沢が「これを歌うためにここまでたくさんの歌を作ってきたのかな」と、一番新しい曲『世界でいちばん美しい島』を披露した。『シンカヌチャー』では琉球國祭り太鼓のメンバーが凛々しい太鼓のパフォーマンスで彩りを添えた。「THE BOOMにとって沖縄というところは第二の故郷かもしれません」と前置きしてTHE BOOMを世界に知らしめた『島唄』で本編は終了した。アンコールで初期の名曲『不思議なパワー』を演奏した際は客電をつけて、ファンとのコール&レスポンスをその目に焼き付けている様子。最後に『中央線』を歌い切り、4人は何度も「ありがとう」を繰り返した。THE BOOMの雄姿を直接体感できる機会は残念だが残り僅かだ。絶対に見逃さないで欲しい。取材・文/浅野保志(ぴあ)
2014年10月14日the pillowsが10月4日、東京・TOKYO DOME CITY HALLで結成25周年記念ライブを開催した。1989年9月16日結成の彼らにとって今年は数週間遅れての誕生会。客電が落ち、スクリーンには山中さわお(vo、g)、真鍋吉明(g)、佐藤シンイチロウ(ds)の幼少の頃からの写真やバンドの変遷を辿る写真で構成された映像が流された。MCで山中は「今朝、目を覚ましたら25年経ってました」と、5年前の武道館での名MCをなぞり、「と、アニバーサリーの決め台詞を言いたかったけれども、今日は10月4日です」と続けて笑いを誘う。「思い返せば20周年は武道館という大舞台のプレッシャーにうっかり世の中に感謝してしまったけれども(笑)、本来オレはそういう人間ではない!」とさわお節は全開だ。メンバー紹介では、サポートの鈴木淳(b)が「今日のオレは君たちと同じように”いちBUSTERS”として、みんなと一緒に祝おうと思います」とコメント。佐藤はシンバルメーカーZildjianと契約したことを明かし「みんなもなにか25年と2週間やるとご褒美がもらえるかもよ」と語り、真鍋は「私、真鍋吉明、人生半分the pillowsです」と語って感慨深そう。山中は「the pillowsは自分たちが納得のいく景色を観れるようになるまでは遠回りしたようにもみえる。でも遠回りじゃない。オレたちは近道をしなかっただけだ。もしもう一度、人生をやり直せるとしてもオレたちは必ず同じ道を選んでみせる」と語り場内のボルテージは最高潮に。2度のアンコールにもBUSTERSの気持ちは収まらない。山中は「いや~もうクタクタだ。40代、50代のバンドにトリプルアンコールはキツいでしょ」と笑いながら『Advice』で気持ちに応えた。この日の模様は、来年1月21日(水)に映像作品で発売。10月22日(水)には新作『ムーンダスト』が発売され、11月30日(日)よりツアーも敢行される。取材・文:浅野保志(ぴあ)【セットリスト】1. スケアクロウ2. Midnight Down3. I think I can4. HAPPY BIVOUAC5. アナザーモーニング6. バビロン 天使の詩7. I know you8. サリバンになりたい9. RUSH10. 日々のうた11. 確かめに行こう12. About A Rock’n’Roll Band13. ターミナル・ヘヴンズ・ロック14. ぼくは かけら15. Funny Bunny16. GOOD DREAMS17. クオーター莫逆の友18. ストレンジカメレオン19. TRIP DANCER20. Please Mr. Lostman21. この世の果てまで22. ハイブリッド レインボウ23. No substanceEN.1 ハッピー・バースデーEN.2 LITTLE BUSTERSEN.3 Ready Steady Go!EN.4 Advice
2014年10月07日2015年5月でデビュー30周年を迎える渡辺美里が、アニバーサリー・イヤーに向けて精力的な活動を展開する。その想いをぴあのインタビューで語った。まず今年の4月にリリースした、盟友・大江千里提供の楽曲による30周年イヤー第1弾メモリアル・シングル『ここから』について、「(大江が現在活動の拠点としている)ニューヨークと東京で離れてはいますけど、今伝えるべきこととか、曲が持ってる魂とか、やっぱりこの人はツボを外さないなと思いましたね」とコメント。ピアノトリオバンド、WEAVERとの初コラボレーションが話題となっている10月29日(水)リリースの30周年イヤー第2弾シングル『夢ってどんな色してるの』については、「イベントでご一緒して、私の曲のカタルシス的なものが、彼らのサウンドの中にも見えたんですよね。今、アルバムを作ってるんですけど、(プロデューサーの)佐橋(佳幸)くんと話して楽曲提供をお願いしたんですよ」と明かした。さらに11月より、2年ぶりの再演となるミュージカル『アリス・イン・ワンダーランド』に女優として舞台に上がる。同作の出演について「アリス役の安蘭けいさん、マッドハッターの濱田めぐみさん、ハートの女王の私という三本柱は変わらずなんですけど、舞台を専門にやってる、個性の強いメンバーたちとやるので面白いんじゃないかな」と意気込みを語った。また、12月24日(水)に大阪でディナーショー、2015年1月1日(木)に渋谷公会堂のライブも決定。両公演について「大阪は、前回ビルボードライブやブルーノートで演奏したメンバーで演るので、”聖なる夜の美里祭り”として大人な時間を味わってもらえる音作りと曲を演ります。元旦は、”新春!美里祭り”ということで、本格的なアニバーサリー・イヤーの幕開けとして、30周年に相応しい楽曲をいつものバンド・メンバーでやります」と期待を持たせるコメント。2015年は全国47都道府県を制覇するツアーを敢行。「一回のツアーで47都道府県をやるというのは初めて。地元に”美里祭り”が来るということで初めての人にも会いに行きたい。もう一度”歌の苗”を植えに行くという気持ち」と語った。更に1月は神戸、東京、愛媛で『ハリウッド・フェスティバル・オーケストラ』のゲスト出演も決定している。「映画音楽が好きでこういうコンサートはずっとやりたかった。自分のコンサートで映画音楽だけを演るのは皆さんに納得していただけないと思うんですけど、今回はハリウッド・フェスティバル・オーケストラですから、聴くのも歌わせてもらうのもすごく楽しみにしています」と話した。すでに決定しているだけでも、実に盛りだくさんな公演が予定されているアニバーサリーイヤー。ぜひとも多彩な美里の魅力に触れて欲しい。今回のインタビュー完全版は後日公開予定。取材・文/浅野保志
2014年10月03日11月にジャパンツアーを行なうMR.BIGが来日。ツアーに賭ける想いを語った。インタビューに応えたのは、Voのエリック・マーティン、Gのポール・ギルバート、Drのパット・トーピーの3人。(Baのビリー・シーンは翌日に来日予定のため欠席)。今回のツアーは約4年ぶりのアルバム『・・・The Stories We Could Tell』を携えたワールド・ツアーの一環として開催。前回の来日公演は2011年、東日本大震災直後で公演キャンセルが相次ぐ中、決行された。彼らにその時の事について聞くと、ポールは「まずは安全性、それは”自分たちの”ではなく”お客さん”の安全が確保できるかをプロモーターとたくさん相談をした。仙台公演だけは実施不可能だったけど、他は大丈夫だよと。最初、果たしてロックを聴く雰囲気になってるかどうか懸念もあったけど、実際来てみたらすごく楽しんでた様子だった。ミート&グリートのときに語られる被害の状況はすごく切実であまりにリアルでグッときちゃったりしたけど、それを通してよりファンと近づけた気がする」と印象を語った。かねてから”第二の故郷”と公言するほど、日本に親近感を感じているという彼ら。エリックは「最初はニュース映像で観て、あまりの被害に自分たちもショックを受けた。僕はその気持ちを伝えたくて『THE WORLD IS ON THE WAY』という曲を作ったけれど、あの時はあまりの力のなさにどうすればいいだろうと思った。”きっと全世界がみんなあなたたちのことを心配してるよ”という気持ちで曲を書いたけど、実際に一番強かったのは日本人で。そのあとの団結力、絆に脱帽だった。僕らの日本に対する距離感は、もうこれ以上近づけないくらい近いよ(笑)。元々リスペクトと愛は持っていたので、それがどんどん大きくなっている感じかな」と話した。今回のワールド・ツアーでは、今年の7月にパーキンソン病と診断されたパットが、ツアーに同行するものの、”通常の演奏”を行なうのは難しい旨が発表されている。ツアーについてパットは「バンドの今の考え方としては、計画すべきところはするけど、あとは流れに任せるという感じ。自分たちが流れに任せて楽しんでいるのを観て、きっとファンが一番喜んでくれると思う。今はそういう精神状態にある」と語ると、エリックが「正直な話、2か月くらい前は本当にツアーができるのかな?って、黒い雲がバンドの上に被さってた。アルバムは最高の出来だと思う。でも果たしてそれに伴うツアーがどういう形で実現できるかみえなかった。でも(横にいるパットをみながら)、パットのこの素晴らしい姿をみたら、この状態自体が最大のサプライズというか、こんな嬉しい驚きはない。まだリハーサルも始まってないので詳しくは言えないけど、本当にいいツアーを期待していただいて構わないよ」と日本のファンへメッセージを送った。ツアーは11月5日(水)北海道・ニトリ文化ホールよりスタート。チケットは発売中。(取材・文/浅野保志、小森崇史)
2014年09月26日浅野忠信と二階堂ふみが挑んだ衝撃作『私の男』のモスクワ国際映画祭受賞記念舞台あいさつが15日、東京・新宿ピカデリーで行われ、浅野と二階堂のほか、熊切和嘉監督が登壇した。本作は、第138回直木賞を受賞した桜庭一樹の同名小説の映画化作品。天災で両親を失い、10歳で孤児となった少女(二階堂ふみ)と、彼女を育てていく遠縁の男(浅野忠信)の強い絆と禁断の愛を紡いだ人間ドラマとなっている。メガホンを取ったのは、『夏の終り』(2013年)の熊切和嘉監督で、先日行われた第36回モスクワ国際映画祭のコンペティション部門で最優秀作品賞と最優秀男優賞を獲得したほか、ニューヨーク・アジア映画祭で二階堂ふみがライジング・スター賞を受賞した。主演の浅野は「モスクワから帰って数日経っていますが、未だにお祝いのコメントをメールでいただいたりします。自分の中でも興奮が冷めませんね。これをきっかけにTwitterなどで『見たい』という人が増えてくれることがすごくうれしいです」と笑顔。ベネツィア国際映画祭に出品された園子温監督作『ヒミズ』で新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞に続き、未来の登竜門的なアワードとなるニューヨーク・アジア映画祭のライジング・スター賞を受賞した二階堂は「評価をいただけたのは本当にうれしいですし、今は映画に深く関われていることに幸せを感じています。幸せを感じることだけでなく、それ以上のものをこれからもどんどん作っていきたい気持ちもあります」と更なる活躍に意欲を見せていた。イベント中には観客の質問に3人が回答するコーナーも実施。「二階堂との激しい濡れ場で興奮したか?」という質問に浅野は「友達にもしょちゅう聞かれるんですが、意外と仕事の時は男モードが抑えられるんです。興奮はしたと思いますが、余計な興奮をしないで仕事に集中して向き合うことができました」と告白。さらに近親相姦の被害者という50代女性から「美化されることに危険を感じるが?」と投げかけられた熊切監督は「そこに愛があったこともあり得ると思って描きたかった。美化して描いたつもりはなく、そこにある厳しさを描いたつもりです」と回答。そこで気を利かせたMCが、熊切監督だけのコメントで終わらせようとしたが、浅野が自らすすんで「これまで過激な映画をやってきましたが、見る方によって思い出させたりすることがあるならば、申し訳ないと思っています。僕らも一生懸命やってきましたが、これから考えていきたいと思います」と神妙に答えていた。
2014年07月16日浅野忠信と二階堂ふみが共演したセンセーショナルな衝撃作『私の男』のプレミア試写会が、6月2日に新宿ピカデリーで開催。浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也、熊切和嘉監督、舞台となった紋別のゆるキャラで観光大使の紋太くんが、舞台あいさつに登壇した。『私の男』は、第138回直木賞を受賞した桜庭一樹の同名小説を映画化した禁断の愛の物語。大震災の津波で両親を失い、10歳で孤児となった少女(二階堂ふみ)と、彼女を引き取り、育てていく遠縁の男(浅野忠信)。孤独だった2人が、時を重ねていくうちに、強い愛と絆で結ばれていく。メガホンを取ったのは、『夏の終り』(2013年)の熊切和嘉監督。浅野は、「40歳になり、今の自分にしか演じられない役をいただきました。感謝しています」と、充実感あふれる表情で語ると、二階堂も「私にとって運命的な作品になりました」と力強くアピール。浅野は30代について「役者として、どうやって苦手なものを克服するか、得意なものをどう伸ばすかが大変でした」と振り返った後、今回の役柄について「40代でやりたいとイメージしていたような役。どうやってかみ砕いて、自分のものにしていくかを考えるのが楽しかったです」と笑顔を見せた。極寒の流氷に入るシーンがあった二階堂は「撮影は全編通して寒かったです。でも、本物だからこそ出せる臨場感や空気感があったので、良いシーンに仕上がったと思います」と手応えを口にした。流氷のシーンを二階堂と演じた藤は「危険でした。じじいがじじいを演じると、ぎくしゃくしちゃう。二階堂さんがすごく心配してくれました」と苦笑い。さらに「新しい才能の現場であると、うれしい。勉強ばかりしてた。僕、まだ伸びますから」とおちゃめに語り、会場を和ませた。熊切監督は、俳優陣について「すごく波動の来る方とやれました。撮っていて、ワクワクしました」と満足気にコメント。最後に、紋別のゆるキャラで観光大使の紋太くんが、本物の流氷を持って駆けつけ、笑顔で写真撮影を行った。『私の男』は6月14日(土)より全国公開。
2014年06月04日2008年直木賞受賞の桜庭一樹によるベストセラー小説を、俳優活動25周年を迎えた浅野忠信とヴェネチア国際映画祭「マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)」を受賞した二階堂ふみを主演に迎えて映画化した『私の男』。オホーツク海の果てなく閉ざされた流氷が象徴するような、“育ててくれた父”と“引き取られた娘”との禁断の愛がテーマの本作のみならず、いま、“タブー愛”のあり方に迫った作品が続々と公開されている。ふり返れば、平凡な主婦と中年カメラマンの4日間だけの濃密な愛を描いた『マディソン郡の橋』(’95/クリント・イーストウッド監督)や、戦争で傷を負った男と人妻との愛を描いた『イングリッシュ・ペイシェント』(’96/アンソニー・ミンゲラ監督)など不倫愛を始めとする“タブー愛”をテーマにした作品は、そのセンセーショナルな内容にも関わらず、鮮烈な印象を与える傑作が数多く存在する。現在公開中の『とらわれて夏』では、シングルマザーに扮したケイト・ウィンスレットが逃亡犯(ジョシュ・ブローリン)と出会い、許されないとは知りながらも愛を取り戻していく様を描き、ケイトは2014年ゴールデン・グローブ賞「主演女優賞」にノミネートされた。また、アカデミー賞脚本家のクリストファー・ハンプトンがノーベル文学賞作家ドリス・レッシングの小説「グランド・マザーズ」を脚色した『美しい絵の崩壊』(5月31日公開)では、人生の円熟期に突入した親友同士の女性(ナオミ・ワッツ&ロビン・ライト)が、互いに相手の10代の息子と一線を越えてしまうという衝撃の“タブー愛”を描き出している。そして『私の男』では、遠縁の親戚の男・腐野淳悟と、震災孤児となり男に引取られた娘・花という設定に、浅野さんと二階堂さんが文字どおり身も心もさらけ出す迫真の演技で挑み、男女における最大の“タブー愛”を真正面から問いかけてくる。2人が放つ濃密な空気と官能美を映し出すのは、『海炭市叙景』『夏の終り』など国内外で高く評価される、北海道出身の熊切和嘉監督。本作では、花の幼少時代を16mmフィルム、流氷が着岸した町での日々を35mmフィルム、花が成人する東京での日々をデジタルと、撮影機材を使い分けており、極限的な映像美で観る者を魅了する。さらに、大島渚監督の『愛のコリーダ』(’76)で世界を挑発した藤竜也が2人のキーパーソンとして出演しており、モラルの象徴として登場することも興味深い。そんな新旧・最高のキャストが贈る本作は、先日、第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが決まったばかり。本作が描く最大の “タブー愛”は、世界を挑発する1本となるのだろうか、注目だ。『私の男』は6月14日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。『とらわれて夏』は全国にて公開中。『美しい絵の崩壊』は5月31日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、横浜ブルク13 ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:とらわれて夏 2014年5月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開(C) 2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.美しい絵の崩壊 2014年5月31日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開(C) 2012 HOPSCOTCH FEATURES PTY LTD, THE GRANDMOTHERS PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SCREEN NSW, CINE-@, MON VOISIN PRODUCTIONS, GAUMONT, FRANCE 2 CINEMA.
2014年05月23日桜庭一樹の直木賞受賞作を原作に、浅野忠信と二階堂ふみのW主演で贈る、熊切和嘉監督の最新作『私の男』。主役の浅野さんは昨年、俳優生活25周年を迎えており、現在出演中の名作ハードボイルド小説のドラマ化「ロング・グッドバイ」でも、渋カッコイイ!と多くの人を魅了している。そんな浅野さんの魅力に迫った。NHK「ロング・グッドバイ」の孤高の探偵役が、意外にも連続ドラマ初主演となった浅野さん。先月ドラマがスタートすると、ネット上では「存在感がすげえwww」「無言の演技が凄い」「表情だけで魅せる。ほれぼれするほどのいい男っぷり」と、絶賛の声が多数上がった。また、演技力の評価に加え「スーツの着こなしもすごくいい」「浅野忠信のスーツ姿みるだけでも価値ある。コート着てるとなおかっこいい」と、50年代ファッションの着こなしも注目の的になっている。一方、『私の男』では、10歳で震災孤児となった花(二階堂ふみ)と、若くして花の養父となる遠縁の腐野淳悟(浅野忠信)、寄り添うようにして生きてきた2人の、禁断の愛を描いている。映像化が難しいと言われた本作に「感覚で淳悟を演じるしかない」という覚悟で挑んだ浅野さんは、質素な身なりで憂いと影を帯びながらも、どこか優雅な男、淳悟としての風貌にこだわった。「衣装やメイクには常に気を遣っていました。俳優にとって一番身近にあるものなので、衣装合わせなどで意見を取り入れていただいたりしました。淳悟の性格上、彼は同じものを長く着るタイプだと思ったので、ロングコートやシャツなど、質感や色のトーンに統一感が出るようにしてもらいました」と、撮影時をふり返る。本作には、「いままでのキャリアをぶつけるのにこれ以上のものはなく、自分にしかできない役」と、観客も期待する意気込みで挑んでいる浅野さん。近年、『マイティ・ソー』シリーズほか数々のハリウッド映画に出演し、日本を代表する俳優のひとりとなったが、特にこの2作では「イケメン」と一言では片づけられない、唯一無二の雰囲気がたっぷり。その姿は、青山真治監督『Helpless』、岩井俊二監督『PiCNiC』、石井克人監督『鮫肌男と桃尻女』、大島渚監督『御法度』など、1990年代~2000年前半に日本映画で出演していたころをどこか思い起こさせる。俳優生活25年のキャリアに加え、40歳となったその佇まいでいっそう魅力を増している浅野さんの姿を、こちらの予告編映像からも確かめてみて。『私の男』は6月14日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(松雪範子(cinema名義))■関連作品:私の男 2014年6月14日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2014「私の男」製作委員会
2014年05月09日俳優・浅野忠信、女優・二階堂ふみがダブル主演を務める映画『私の男』(6月14日公開)のポスターと予告映像が18日、公開された。本作は、作家・桜庭一樹の直木賞受賞作『私の男』を原作に、熊切和嘉監督がメガホンをとった作品。10歳で孤児となった少女・花は、遠縁にあたる青年・淳悟に引き取られ、孤独な2人は北海道紋別の田舎町で寄り添うように暮らしていた。2人を結びつけるのは、理屈を超えた禁断の愛。冬のオホーツク海、流氷の上で殺人事件が発生し、興奮とスリルに満ちたサスペンスが展開する。初公開されたポスターには、浅野演じる淳悟と二階堂演じる花が指を絡める姿が映る。そして、「誰にも、言えない」「流氷で起きた殺人事件 解き明かされるふたりの秘密」の文字が、2人のただならぬ関係を予感させる。同時に公開された予告編では、白銀の世界で淳悟にキスをねだる花や、お互いの指をなめ合うカットなど、誰にも開かせない"秘密"をのぞき見ているような内容となっている。「今までのキャリアをぶつけるのにこれ以上のものはなく、自分にしかできない役」という覚悟で本作に挑んだ浅野。予告映像では、前半の穏やかな表情から一変し、後半は胸ぐらを掴み、包丁を持ちながら狂気をはらんだ表情を見せ、涙を流しながら「親父になりたいんだ」とつぶやくなど、心身共にすさんだ役どころを演じきった。一方、本作を「自分の"勝負作"であり、"特別な作品"」と位置付けていた二階堂は、冒頭では一見純粋な中学生のあどけない表情を見せるが、物語が進むにつれて妖艶な内面が明らかになる。二階堂は、本作を「現場で感じていた以上のものをスクリーンで見ることができて、本当にすばらしい作品だなと思いました」とたたえ、「あまりにも泣いてしまったので、もう1度見たいです」と語っていた。(C)2014「私の男」製作委員会
2014年04月18日4月5日(土)東京日本青年館。結成25周年記念企画の第二弾は、1989年結成時のリーダーだった上田ケンジ(b)が3年で脱退し、山中さわお(vo、g)、真鍋吉明(g)、佐藤シンイチロウ(ds)がそれでもバンドを続ける決意をして、鹿島達也(b)をサポートに迎えた”第二期”の曲で構成された東阪名のホール・ツアーだ。なにしろこの時期の楽曲は、鹿島がサウンド面でリードしたジャズ・テイストのアレンジが特徴で、山中いわく「頑張りすぎてた」という細部にわたって緻密なサウンドは、現在まで続く“第三期”のオルタナで豪快なテイストとは一線を画すため、その後のライブではほとんど演奏されていない。鹿島のあとを受けて”第三期”以降を支え続ける鈴木淳(b)と、カミナリグモのghoma(key)を迎えた5人編成でのステージだ。立見会場を本拠地にTシャツにジーンズといういでたちで臨む彼らにとって、ホール会場でスーツを身にまとった今回は実に新鮮。冒頭のMCで山中は「この拭い去れない違和感をいかに早く取っ払って楽しむか、それが一番のテーマです」と語って笑いを誘う。“第二期”当時、リーダーを失い、周囲のセールス的な期待と格闘しながら、自分たちらしさを模索してた彼らの曲は名曲揃いでありながら、その後のバンドの変遷もあって、ファンには二度と演奏されないのでは?と思われていた。本人たちも「考えられないくらいリハーサルを積んでようやく体に染み込んだ」と語るほど。「もう少し売れてもよかったかなというラブソングを」と前置きして披露された「ガールフレンド」が秀逸だった。拳を突き上げ、体を揺らして聴くのが普通なBUSTERS(the pillowsファンの名称)も、食い入るように聴き入っていた。改めてthe pillowsの奥行きの深さに恐れ入った2時間だった。the pillows ツアー情報ステージの去り際、新曲のレコーディングを進めていること、秋にはツアーで届けることを伝えてくれた。6月から7月にかけてトリビュート・アルバムに参加したバンドを迎えてのツアー「ROCK AND SYMPATHY」も4月12日(土)から前売り開始となるので要チェックだ。取材・文/浅野保志【セットリスト】the pillows 25th Anniversary NEVER ENDING SRORY“Do You Remember The 2nd Movement?”1.LIBERTY/2.恋のスパイに気をつけろ/3.Sha-la-la-lla/4.モノクロームラバーズ/5.エンゼルフィッシュ/6.Sunday/7.ガールフレンド/8.僕でいられるように/9.公園~黄昏のワルツ~/10.TONIGHT/11.Future/12.アムネジアの日記/13.開かない扉の前で/14.THE KILLING FIELD/15.Tiny Boat/16.DAYDREAM WONDER/17.Bye Bye Sweet Pain/18.Movement/En.1 1.屋上に昇って/2.NAKED SHUFFLE/En.2 1.TOY DOLL/2.Primer Beat
2014年04月07日3月10日(月)東京・下北沢440でカミナリグモのツアー東京公演が開催された。この日の公演は全国5か所を巡るツアー「OURSONGWITHNONAME」の初日。ゲストのベースとドラムを迎えたバンド編成のライブも好評だった彼らだが最近は上野啓示(g、vo)、成瀬篤志-ghoma-(key)のメンバーふたりですべてを演奏するステージを追求していて、そのスタイルも確実に定着しつつある。数ヶ月前に購入したという新しいフルアコ・タイプのエレキ・ギターを抱え、哀愁を帯びたボーカルで切々と歌う上野。ギターとキーボード以外のあらゆるサウンドをサンプリングやフットペダルを器用に操りながら音世界を丹念に彩るghoma。活動12年目を迎えた彼らが初期の名曲『春のうた』にちなんで新旧交えた春らしい楽曲を披露していく。上野は「春は好きですか?僕は野球が開幕するこの時期のドキドキ感が好き」と語り、アットホームで居心地の良い時間が流れていく。「ねぎらって欲しいタイプなので…」と前置きして、上野はライトやセットのスイッチングも足で操作してることを告白、ghomaもサウンド面で”頑張っている”裏事情もアピールして笑いを誘う。中盤で、今年の2月にリリースされたthepillowsのトリビュート盤に収録された『開かない扉の前で』を演奏するにあたり、上野は「17歳のときにこの曲と出会い、今、こんな機会を得て夢のよう」と気持ちを吐露。会場に駆けつけていたthepillows 山中さわおの前で丁寧に心を込めて歌い上げた。終盤では「実は春が嫌いでした」と切り出した上野は、取り残されたような疎外感を感じていた春が嫌いで、でもここ2年くらいは悪くないと思えるようになったと語った。「今年1年、ふたりでできることに精一杯、挑戦していく」と決心し、8月には初めてのホール公演ワンマンに臨むことも発表。同期して多彩な音を重ねる楽曲も聴き応えがあったが、ギターとキーボードと歌と、ふたりが刻むビートと想いが込められたナンバーにこそ大きな成長と可能性を感じた。アンコールでは『開かない扉の前で』のアンサーソングとして作ったと前置きして新曲『サバイバルナイフ』を披露。8月公演のチケット購入者には、この音源がプレゼントされる。ぜひとも今のふたりが紡ぐ独特の音世界を生で体感して欲しい。(取材・文:浅野保志)■『BEYOND THE LOCKED DOOR! 』-ツアーファイナル-カミナリグモ ワンマンライブ日時:8月24日(日)開場17:00/開演17:30会場:TOKYO FMホール(東京都)料金:前売3300円小学生以下2000円(ドリンク持ち込み可。ただし飲水はロビーのみ。)※来場者特典として未発表音源『サバイバルナイフ』とスペシャルパンフレットをプレゼント
2014年03月11日桜庭一樹による直木賞受賞作を原作に、浅野忠信と二階堂ふみのW主演で贈る、熊切和嘉監督の最新作『私の男』。このほど、本作のキャストに高良健吾が加わることが明らかとなり、これに併せて、高良さんから特別コメントが到着した。北海道・紋別を舞台に、孤児となった少女・花(二階堂さん)と、彼女を引き取ることになった遠縁の男・腐野淳悟(浅野さん)の禁断の愛を描き出す本作。今回発表された高良健吾は、東京に移り住んだ淳悟と花と出会い2人に翻弄される尾崎美郎役を演じ、物語の中盤に華を添える役どころ。今回のオファーを受けて、「熊切監督と初めてお会いしたのは『M』(’07)で、ロッテルダム国際映画祭に行った18歳のときでした。もともと監督の作品のファンだったので、今回『私の男』の現場に呼んでいただいて本当に嬉しいです。撮影中に監督から『いいっすね!』と言われると、“熊切組で芝居しているんだ”と実感が沸いてきました」と喜びを語っている。高良さん同様に熊切組への参加を「運命の役だと思いました。監督は運命の人です」と歓喜する二階堂さん。そんな彼女との共演を経て、高良さんは「覚悟を持って芝居をしているのが伝わってきたので、一緒に演じられて楽しかったです」と役者として共感する部分があったのだとか。彼らのほかにも、作品のキーパーソンである淳悟と花の親戚・大塩に扮する名優・藤竜也を始め、三浦誠己、安藤玉恵、三浦貴大ら個性派が顔を揃える本作。すでに先日、“春編”の撮影を無事終え一段落ついたところだが、浅野さんの「最後まで諦めず粘り強く追求して行きたいと思います」という言葉の通り、撮影はまだまだこれからのようだ。果たして、高良さんがこの豪華なキャストたちにどう絡んでいくのか?期待して続報を待ちたい。『私の男』は今年中の完成を目指し、2014年の公開を予定している。(text:cinemacafe.net)■関連作品:私の男 2014年、全国にて公開
2013年05月23日昨年1月に上演され、好評を博した舞台『公の園』の再演が来年3月に決定。そこで初演に引き続きの参加となる浅野温子と長野里美、さらに新メンバーで、NHK連続テレビ小説『カーネーション』での好演も記憶に新しい川崎亜沙美に、作品にかける思いを訊いた。『公の園』公演情報年齢も境遇も違うマリア(浅野)、喜美子(長野)、詩音(川崎)という3人の女性が、ある公園で出会い、当初は反発しながらも互いに共感を覚えていく。笑えて、ちょっぴりホロリとさせる、そんな女たちの本音トークが繰り広げられる本作。浅野と長野は、「元気になるとおっしゃってくれる女性が多かった。それがすごく嬉しくて」と初演を振り返る。確かな手ごたえを得ての再演。そこに新たに加わる川崎は、「なんかすみません…」と謙遜しながらも、先輩たちとの共演に胸を弾ませる。「出演が決まった時は、めちゃくちゃ嬉しかったです。まさに勝負というか、自分自身にとってはすごく大きな挑戦で。この舞台が終わった時、どんなものが得られるのか。今からすごく楽しみですし、頑張りたいです!」と、自らを奮い立たせる。格闘家でもある川崎の参加に、「やたら体育会系になりそう」と笑う浅野。長野は、「演劇的にも詩音は難しいセリフが多い。すごく大変だと思うけど、頑張って!」と期待を寄せる。この取材前には、初の読み合わせを行った3人。浅野は「初演の時はなんか焦っていた気がするんです。でも役柄的にこの3人は初対面なわけだし、理解しようって関係でもない。だから予定調和じゃないものが、今回のお稽古で見つけられたらいいですね」と語る。長野も「公園に3人がいて、会話にもならないような会話をしている。お客さんはそこにたまたま立ち合ってしまったような、その場のドキドキ感がより鮮明に立ち上がっていけば」と続ける。舞台上に登場するのは、まさに3人のみ。「すごい緊張感」と長野が言うように、一人ひとりが担うものは非常に大きい。それゆえに浅野は「やっぱりそれぞれがマリアはマリア、喜美子は喜美子、詩音は詩音じゃないといけない。その3人の柱の太さみたいなものは、やはり怖さでもあり、醍醐味でもありますね」と明かす。最後に「観客にどんなことを感じて欲しい?」という質問を投げかけると、浅野から「最終的にはやっぱり、“どっこい生きてる!”みたいな(笑)。その女たちのエネルギーを感じて欲しい」という答えが。頑張る女性たちにこそ、心響く作品となることだろう。取材・文:野上瑠美子
2012年12月04日ユニバーサル映画100周年記念作品『バトルシップ』のブルーレイとDVDが本日、リリースされたのを記念して、本作で自衛艦の艦長ナガタを演じた浅野忠信を追った特別映像が公開された。特別動画『バトルシップ』は、ハワイ沖に現れた巨大エイリアンと世界連合艦隊の戦いを描いたSFアクション超大作。主演のテイラー・キッチュ、リーアム・ニーソン、リアーナらが出演し、『ハンコック』のピーター・バーグが監督を務めた。全米に先がけて公開された日本では興収18億円を記録している。このたび公開された映像は、ブルーレイに収録される特典映像のごく一部で、ナガタ役について話す浅野の姿や、キッチュやスタッフが浅野の印象を語る場面が登場。キッチュは浅野について「スケールの大きな作品の中で重要な役を演じ、慣れない環境の中、英語でやり取りしている。頭が下がるよ」とコメント。他にも映像には、ワイヤーを使ったアクションシーンを演じる浅野の様子や、彼がキャストやスタッフたちと英語でコミュニケーションをとる姿が収録されている。『バトルシップ』ブルーレイ+DVDセット(3枚組) 4190円(税込)※デジタル・コピー付DVD 3360円(税込)発売&レンタル中発売・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
2012年09月05日浅野ゆう子、闘病中の田宮五郎を献身的に介護女優、浅野ゆう子(51)が、くも膜下出血で倒れた故・田宮二郎氏の次男、田宮五郎(45)を、現在座長を務める舞台「黒蜥蜴」の合間を縫って病院に駆けつけ、献身的に介護していることが分かった。報道各社に宛てられた浅野の文書「私の良き理解者である田宮さんは今、『生きていきたい』と前向きに信念を持ち、懸命に病と闘っております。私は今、舞台公演を心を込めて演じさせて頂くことが自分の使命だと思っております。それを田宮さんも病床から応援してくれています」「どうか、静かに見守って下さい。お願い致します」と心中を綴っている。(サンスポ.コムより)5年前から交際スタート田宮は名優、田宮次郎氏(43歳で猟銃自殺)の次男。多くの職業を経験し39歳で俳優デビュー、浅野とはデビュー以前から知り合いで、デビューへの力添えもしたという。「浅野ゆう子の紹介で仕事をもらっていた」“井上公造 語録”12日の朝日放送「キャスト」に電話で出演した芸能レポーターの井上は、「浅野は仕事に恵まれない田宮のために仕事を紹介したり、代官山で眼鏡店を経営していた頃には、田宮はスタッフとして働いていた」とレポートした。浅野と田宮は都内のマンション(浅野が2億円で購入)で2年前から同棲生活をしており、周囲には結婚の意向も示していたという。しかし、今年4月に田宮がくも膜下出血で倒れ、手術するも4日間昏睡状態が続き、現在もリハビリ入院中だ。元の記事を読む
2012年06月13日ツイート発言で衝撃!俳優の浅野忠信が自身の公式Twitterアカウントで、4日、突如「まつげエクステしようかな」とつぶやき、フォロワーらを中心に衝撃がひろがっている。「男でもできるんですか?」といった率直な疑問から「なんでですか?私もしたいです」という女性の声、「(エクステすると)ちょううるとらはいぱー楽ですよ」というおすすめするアドバイスの声など、反応はさまざまだ。今後の動向に注目!?実際のところ、男性のまつげエクステというものがどうなっているのか、著者も少し調べてみたが、男性にもまつげエクステを提供しているサロンは増えており、髪型や顔立ち、本人の要望に合わせて、長さはもちろん、かたちも含め、多様な仕上がりを実現しているようだ。これまでにも可愛らしいマイメロディのキャラクター鏡を公開するなど、ユニークなツイートで人気となっている浅野。実際にどうするかは謎だが、今後の動向に、彼のまつげに、注目(!?)だ。元の記事を読む
2012年06月08日江戸川乱歩原作『黒蜥蜴』が浅野ゆう子の主演で舞台化、東京・明治座で6月1日に開幕した。初日前日の5月31日には公開舞台稽古が行われ、浅野と共演の加藤雅也、賀集利樹が会見に応じた。『黒蜥蜴』チケット情報女怪盗・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎の究極の愛の形を描いた本作。明治座の創業140周年記念として上演され、花道を使用するなど劇空間を最大限に活用した演出も見どころのひとつとなっている。黒蜥蜴に扮する浅野は「心臓がバクバクして」と緊張気味の様子。それもそのはず、過去にも舞台や映画で、美輪明宏や松坂慶子らが演じてきた役だけに「(黒蜥蜴の)名前に傷をつけないようにと、プレッシャーがあった」と話す。だが、今回はオリジナルの脚本ということで「全く新しい『黒蜥蜴』を演じさせて頂いていると思っております」と意気込みを語った。また、劇中で黒蜥蜴が着るドレスなどの衣裳はすべて特注品で「今着ている着物もデザインから起こして頂いたものなんです。とても豪華で、この帯もラピスラズリの粉を織りこんだものなんですよ」とアピール。暗黒街のボスのようなドレスや有閑マダムばりの着物に、売店のおばさん姿まで多彩な姿を披露する。さらに変装も早替えで行うという。初共演する明智小五郎役の加藤について訊かれた浅野は「側に寄れないほど美しい人、というイメージでしたが、非常に気さくな方でした(笑)。私たちみんな関西人で、楽しいノリでお稽古できました」と裏話を明かし、「とても真面目な方なんです」と絶賛。これをうけて加藤は「(浅野は)裏表のない人です。素直に自分を出していらっしゃるなと。あとは私服がおしゃれでかっこいいです」とこちらもベタ褒め。黒蜥蜴の愛人役を演じる賀集は浅野の大ファンだと話し、「(キスシーンの後)楽屋に戻ったらすごい口が赤くなっていてちょっとびっくりしました」とおどけてみせた。公演は6月24日(日)まで同劇場にて開催。チケットは発売中。
2012年06月04日公開中の映画『バトルシップ』に出演している浅野忠信が、1日に都内で行なわれた外国特派員協会主催記者会見に出席した。その他の写真全米公開を前に日本では興行収入10億円を突破した『バトルシップ』。艦長ナガタとして主演級の重要な役を演じた浅野は、撮影でのスケールの大きさに刺激されたと言い「俳優にも十分な準備期間が与えられ、裏を返すとどこまでやれるか問われている感じがあり、やりがいがあった。ただ、現場で急に予定を変更した(ピーター・バーグ)監督に『10メートルの高さから飛び込むぞ』と言われ、心の準備が出来ないままアクションシーンの撮影に臨むことになったのにはびっくりしましたけど(笑)」と振り返った。さらに「高倉健さんの若い頃に似ていると思うのですが、意識しているところはありますか?」と質問されると、最近、別映画の撮影で一緒に仕事をした高倉から「面白い。どんどんこれからも(アメリカで)やってよ」と言われたことを明かし、「高倉健さんがいなかったらアメリカで頑張ろうという気持ちにならなかった。日本でNo.1の俳優さんだと思ってますし、尊敬する方に期待されるのは嬉しい。そういう方が楽しんでくださる映画にまた出られるように頑張ります」と敬意を表した。また今後は「映画に必要とされる役のお話が来ればどんどんとこなしていきたい」と展望を口にし、「ピーター・バーグ監督が来日した時に、冗談ぽくですが『2もやるから、その時は来いよ!』って言ってくれました。高いところから飛び込まなくて良いのであればぜひお願いしたいです」と笑顔を見せた。『バトルシップ』公開中
2012年05月02日これが人生最大の挑戦に身を置いている男のオーラというものか。特徴的な細い瞳を子供のように輝かせながら浅野忠信はハリウッド進出に賭ける思いを熱く語る。90年代から文字通り、日本映画界を牽引してきたこの男を突き動かすのものとは――?昨年の『マイティ・ソー』に続いての出演となったハリウッド超大作『バトルシップ』公開を前に浅野さんに話を聞いた。「映画が嘘になってはいけない」『マイティ・ソー』がアメコミを原作とした架空の世界の物語であったのに対し、今回は未知のエイリアン艦隊が相手とはいえ、浅野さんが演じる役柄は日本の自衛艦艦長のナガタ。撮影前には実際に海上自衛隊の基地に足を運び、自衛官から話を聞くなどして役の人物像を深めていったという。「僕は映画が嘘になってはいけないといつも考えているんですが、リアルな人物に会えば会うほど映画の中で嘘をやっている人が多いなと思ってしまうんです。実際にお会いしてみると自衛官の方もごく普通というか、普段は全然しかめっ面なんかではなくて穏やかでニコニコされてるんですよ。逆にそうした普段の穏やかさに人間としての奥行きを感じるというか、実はこの人の頭の中にはすごい技術が詰まっていて、何か事が起きたら指示を的確に飛ばして部下のみなさんもすごい勢いで動くんだろうな、と。そういうことを感じさせていただけたのはすごく大きかったですね」。劇中の“主戦場”は各国の艦隊が合同演習のために集結したハワイ沖。物語の始まりとなるパールハーバーは言わずと知れた日米開戦の地である。この地でアメリカ海軍と日本の自衛隊が手を組んで未知なる敵に立ち向かうということに、母方にアメリカ人の祖父を持つ浅野さんは特別な感慨を抱いたようだ。「やはりパールハーバーで撮影をするとなったときに、70年前に日米がここで戦争をしていたということは嫌でも考えさせられました。そこから互いに築き上げてきた友情があり、僕らはその延長線上で映画を撮影させてもらってるというのはすごくありがたいことであり、感動的でした。映画でも最初はアレックス(テイラー・キッチュ)とナガタはいがみ合っているけど、互いを認め合い勝利に向かっていく。この地にはいろんな思いがあり、その中で僕とテイラーはそれぞれの役を演じることができたんだなと思います」。ハリウッドの現場で感じる、強い情熱またハリウッドの映画作りの現場について、日本と比べての潤沢な時間や予算を指し「正直、そこはうらやましいですね(笑)」と素直な感想を漏らしつつ、スタッフやエキストラの一人ひとりに至るまでが自らの仕事に対して抱いている強い情熱に敬意と称賛を口にする。「みんなハリウッドの頂点でチャンスをもらったからには、それをもっと大きなものにしていきたいと思っているので妥協がない。そこにあるのは、一緒にやっていく中で生まれたものを受け入れ合うという作業なんです。だからダラダラと時間が過ぎることがなく、集中力とクオリティが非常に高いんです」。緊張の中で映画を創り上げる喜び浅野さん自身、継続的なハリウッドでの活動を視野に語学における成長を課題に挙げたが、その一方で「日本であれアメリカであれ変わらないこと」として何より重要視するのは、仕事に対するひたむきさ。改めて、自らの俳優としてのスタイルをこう語る。「当たり前のことですが、自分が現場に立っている喜びを忘れないこと。現場でつらいことがあってもくだらない文句を口にするのではなく、自分がどうチャンスを生かせるのかと考えること。その姿勢を持たないことにはしょうがない。その意味で、僕の中でハリウッドの大作に出るか日本の小さな作品に出るかで大きな違いはないんです。海外で言葉が通じなくて伝えたくても伝わらないということはありますが、逆に言葉が通じるはずの日本で、僕が自分の経験や思いをぶつけても違うテンションで取り組んでる人がいたらそれは伝わらない。それはすごく悲しいことです。僕ら俳優にできるのは演じることだけ。そこには照明さんや撮影監督もいて、そういう方々が反応してくれなければ僕は殺されるようなものですから。同じ緊張感でぶつかり合う中で想像以上のものを作っていきたいんです」。自分より若い俳優たちに向けてはこんな言葉を。「何かを止めるのではなく『お前、怒られてもいいからメチャクチャやれよ!』ってささやきたい(笑)。よく分からない中で『これが俳優です』って勘違いして覚えてる若い奴が多いので『バカ、全然違うぞ』って教えてやりたいです」。日本も海外も巻き込んでの浅野忠信の旅は続く――。(photo:Yoshio Kumagai/text:Naoki Kurozu)■関連作品:バトルシップ 2012年4月13日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.マイティ・ソー 2011年7月2日より丸の内ルーブルほか全国にて公開TM & © 2010 Marvel © 2010 MVLFFLLC. All Rights Reserved.■関連記事:歌姫・リアーナ、ノリノリで三本締め浅野忠信も「最高です」と誇らしげ【ハリウッドより愛をこめて】春爛漫カップル続出!リアーナ&ミシェルの新カレは?浅野忠信の「米海軍よりも自衛隊の方がキレイ」発言に監督が慌ててフォロー!リアーナ、新作記者会見の場でアシュトン・カッチャーとのうわさを否定土屋アンナがリアーナの日本語吹替に挑戦!「低い声でよかった」と自虐まじりに喜び
2012年04月10日ユニバーサル映画100周年記念作品『バトルシップ』のワールドプレミアが3日に国立代々木競技場第一体育館で行われ、主演のテイラー・キッチュをはじめ、共演する浅野忠信、リアーナ、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、グレゴリー・D・ガドソン、ピーター・バーグ監督、そして土屋アンナらゲストがレッドカーペットに登場した。その他の写真エイリアンと世界連合艦隊の壮絶な戦いを、『ハンコック』のバーグ監督が壮大なスケールで描いた本作。突然の襲撃に立ち向かう過程で、米海軍の新人将校アレックス(キッチュ)と、そのライバルである日本人自衛艦長ナガタ(浅野)が友情を育んでいく。この日のために会場に集まった大勢の観客に対し浅野は、「日本が世界で一番最初に一般のお客様に観てもらえることになって嬉しい。こんな盛大な場所でイベントが行えるなんて夢のようです」と興奮の様子。本作で女優デビューを果たしたリアーナも「初めての映画出演がこんな超大作なんて誇りに思う」と笑顔。バーグ監督は、「日本とアメリカは協力し合っている。両国が手を取り合いエイリアンに立ち向かうという、日米の絆を描いた作品を手がけられて本当に嬉しい」と喜びを語った。一方キッチュは、「温かく歓迎していただきありがとうございます。日本でワールドプレミアが行えて嬉しいです」と感謝の気持ちを表した。そして最後に浅野が、「小さい頃から面白い映画を観るのが好きだった。そして今自分が出させていただいて、この場に立てることが最高です。友人や家族と何度でも観てください」と、感動しきりの様子でPRし締めくくった。本作は、13日(金)より全国公開される。『バトルシップ』4月13日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
2012年04月04日