中国料理は何といっても火力が命! 熱伝導率が非常に高い鉄の中華鍋は、シャキシャキの野菜炒めやパラパラ炒飯もお手の物。「でも中華鍋は重くて……」という女性も多いのでは? そこでお父さんの出番です。普段は「料理はしない。ってか、家事もあんまり……」という超初心者でも簡単においしくできるレシピを紹介。レシピ考案は、テレビや書籍などで大活躍中の四川料理店「ピャオシャン」井桁良樹シェフだ。実際に料理を作る前に、まずは中華鍋の扱い方を井桁シェフに教えていただいた。「焦げないようにするためには、空焼きすることが大切。料理をするたびに、煙が出るまで中華鍋を熱し、その後油を入れて全体になじませます。この時油は多めに使うのがコツ。油が少ないと逆に火が付きやすくなるので危険です。油を全体になじませた後は、余分な油を捨て、料理を始めます」。そして、いよいよ基本中の基本、憧れのパラパラチャーハンにチャレンジだ。具材はシンプルに牛肉とレタス。オイスターソースと黒胡椒というシンプルな味付けで牛肉の味わいをいかしている。○「牛肉とレタスのオイスター風味のチャーハン」材料(2~3人分)牛モモ肉 30g / レタス 30g / 長ネギ 20g / 溶き卵 1個分 / ごはん 200g / オイスターソース 小さじ1/2 / 油 大さじ1A(塩・黒胡椒 各少々/ 紹興酒、卵、片栗粉、油 各小さじ1/4)B(塩 小さじ1/4 / 黒胡椒 少々 / 紹興酒 2~3適)つくり方1.牛モモ肉は5㎜角程度にカットし、Aで下味を付けておく。レタスは1㎝幅の細切りに、長ネギはみじん切りにする。2.中華鍋を熱して油をなじませ、1の牛肉を炒める。火が通ったら鍋から牛肉を取り出し、オイスターソースで和える。3.ごはんはボウル等に入れ、ここに溶き卵1/4程度を満遍なくかけておく。4.中華鍋を熱して油をなじませ、残りの溶き卵をお玉で入れる。お玉で1~2回卵を混ぜたら3を加えてさっと炒める。Bを入れてお玉でやさしくほぐし、中華鍋をあおりながら強火で炒めていく。ごはんの固まりがなくなってきたら、1のレタスと長ネギ、2を加えてさっと炒め合わせ、器に盛り付ける。パラパラのチャーハンに仕上げるコツは、炒める前に少量の溶き卵をごはんにかけること。卵かけごはんのようにたっぷりの溶き卵をごはんに混ぜ込んでしまうと、パラリとした仕上がりにはなるが、もそもそとした食感になってしまう。また、炒める時間が長いと牛肉やレタスから水分が出てくるので、冷やごはんを使う際は電子レンジ等で加熱してから溶き卵をかけ、手早く仕上げる下準備も大切だ。○著者プロフィール「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。現在は本店を東京・麻布十番に移し、東京・銀座に「銀座三越店」も展開。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。撮影: キミヒロ
2016年01月13日日本コンピュータ・ダイナミクスは12月10日、骨伝導ワイヤレスヘッドホン「CODEO」を発表した。発売は12月18日。価格は12,960円だが、2016年1月31日までは9,990円で購入できる(価格はすべて税別)。CODEOは、本体の先についた骨伝導パッドを、耳の前(頬骨付近)に当てて装着するBluetoothヘッドホン。耳をふさがずに装着するため、ヘッドホンが再生する音と周囲の音を同時に聴くことができる。Bluetoothのバージョンは4.1+EDRで、ハンズフリー通話に対応。右ハウジングに装備したボタンでは受話、音楽再生、電話のリダイヤルを、左ハウジングのボタンでは音量調節、曲送り、曲戻しを操作できる。バッテリー駆動時間は約5~7時間。対応OSはiOS 7.0以降、Android 4.3以降。再生周波数帯域は60Hz~20kHz。S/N比は82db以上。重量は70g。IP4相当の防まつ性能を持つ。
2015年12月11日東京工業大学(東工大)は11月6日、リチウムイオン電池の充電・放電原理を用いることにより、チタン酸リチウムの超伝導状態制御に成功したと発表した。同成果は、東工大大学院理工学研究科の吉松公平助教と大友明教授らの研究グループによるもので、11月6日に英科学誌「Nature」姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。今回の研究では、超伝導材料であるチタン酸リチウム薄膜を負極に用いたリチウムイオン電池構造を形成。この電池に対し、充電・放電操作を行い、同時にチタン酸リチウム薄膜の電気抵抗を測定した。この結果、超伝導状態のチタン酸リチウム薄膜にリチウムイオンを挿入する充電反応を行うと、常伝導状態への転移が観測された。一方、チタン酸リチウム薄膜からリチウムイオンを脱離する放電反応を行なうと超伝導状態を回復させることに成功したという。また、充電・放電操作前後での超伝導転移温度を比較したところ、両者が完全に一致していたため、充電・放電サイクルを繰り返しても安定に同現象が発現する可逆的な超伝導転移であることが明らかになった。これにより、超伝導-常伝導状態のスイッチングが可能となり、超伝導エレクトロニクスの実現が期待されるとしている。
2015年11月06日ユニチカは11月4日、リチウムイオン電池(LiB)の熱暴走対策に有効な耐熱性保護膜を簡便に形成できる技術を開発したと発表した。LiBにおける熱暴走を防ぐ方策としては、耐熱性のセパレータを用いる方法が開発されているが、より安全性を高めるための技術開発として同社は、電極そのものに200℃以上の耐熱性を有するポリイミドのナノ多孔膜を形成させる方法に着目。同社が開発したポリイミドワニスは、基材に塗工し熱処理を行うだけで、ナノ多孔膜を形成させることができる。これにより、高価なナノ微粒子や廃液となるフッ酸などを用いる必要がなく、大幅なコストメリットが期待できる。また電極と耐熱保護層との密着をより強固に確保することができるため、安全性を高めることが可能。同社は、同技術の適用分野としてこのほかに、燃料電池の電解質担持膜や低誘電率絶縁膜(基板・電線被覆材)をあげており、今回開発したポリイミドワニスに加え、多孔フィルムとしての展開も進める予定だとしている。
2015年11月04日英Studio Banana Thingsは、骨伝導ヘッドホン「BATBAND」を開発した。同社はクラウドファンディングサイト「KICKSTARTER」にて資金援助を募っており、9月14日18時現在、104,703ドルの支援金が集まっている。BATBANDは、後頭部からこめかみ付近を挟むように装着するBluetoothヘッドホン。ヘッドホンが発した音の振動を、骨伝導により聴覚神経に伝える仕組みになっている。装着時に耳をふさがないため、BATBANDの再生音源と周囲の音を同時に聴くことができるという。本体側面にタッチセンサー式の操作ボタンを搭載。通話用マイクも内蔵しており、ハンズフリー通話に対応する。電源はリチウムイオン電池(300mAh×2)で、充電はmicroUSBケーブルで行う。駆動時間は音楽再生時で6時間、通話時で8時間。BluetoothのプロファイルはHFP、HSP、A2DP、AVRCPをサポートする。同社は、10月までクラウドファンディングを実施し、12月に大規模生産を開始、2016年4月に発送を開始するとしている。資金援助には5ドルから参加可能で、149ドル支援すると1台、280ドルで2台、1,300ドルで10台のBATBANDが進呈される。
2015年09月14日●いいとこ取りしたコンベクションオーブン象印マホービンは9月1日、予熱のいらないコンベクションオーブン「マルチコンベクションオーブン ET-YA30」(以下、ET-YA30)を発売した。また、10月11日には、豆の挽きからドリップまで全自動でできるコーヒーメーカー「珈琲通 EC-NA40」(以下、EC-NA40)を発売する予定だ。9月9日にはこの2製品について説明会を開催し、両製品の機能説明や、試食・試飲なども行われた。○7本のヒーターで予熱いらずに象印マホービン 第二事業部 生活家電グループの矢原力氏が登壇し、ET-YA30の開発コンセプトや新機能の説明を行った。矢原氏は「オーブン内部で熱風を発生させるコンベクションオーブン市場は3年前から急激に成長している。市場動向調査をしたところ、3年前には4,000台程度の出荷台数だったが、今年は200,000台前半を見込んでおり、これからも需要は拡大すると予測している」とコメントした。すでにコンベクションオーブンを購入した人を対象にアンケートを実施した結果、コンベクションオーブンで調理する食品の第1位は「トースト」。80%以上のユーザーがオーブントースターとしても利用している。一方で、コンベクションオーブンに対しての不満点は、「予熱に時間がかかる」「調理に時間がかかる」が上位2位に。そこで、象印マホービンでは「トースターとしても利用できる、予熱のいらないコンベクションオーブン」の開発を目指したという。コンベクションオーブンは、オーブントースターを一回り大きくしたタイプが一般的には多い。オーブン庫内の上下にヒーターがむき出しで搭載されており、食品を直接加熱しつつ、庫内ファンで熱風を循環させるのが基本的な構造だ。しかし、この方式ではヒーターに近い調理物の表面だけ焦げやすいというデメリットがある。一方、庫外に配置されたヒーターで熱した空気を庫内に送風する方式では、熱源が庫内にないため上記のような焼きムラは発生しにくい。しかし、予熱が必要だったり、調理に時間がかかるといったデメリットがあるのだ。ET-YA30では、この2方式のメリットを生かせるようなハイブリッド式を採用。加熱開始時点では、上下に5本配置したグリルヒーターですばやく食品表面と庫内内部を温め、庫内が一定の温度に達したら、上下のヒーターを切って、庫外にある2本のヒーターからの熱をファンで庫内に送り込む。合計7本搭載されたヒーターはいずれも、立ち上がりが早く、ムラの少ない石英管ヒーター。このため、予熱なしですばやく庫内が温まるうえ、焼きムラを抑えた仕上がりを実現した。○翌朝に汚れやニオイを残さないET-YA30はトースターとしての機能も充実。一般的には上下に2本ずつ配置されることが多い庫内ヒーターを、上下あわせて5本配置することで強い火力を実現している。これらのヒーターを最適な位置に置くことで、焼きムラが少ないだけでなく、表面がカリッとして中がフワフワなパンを焼ける。毎日パンを焼く家庭を想定し、調理後の汚れやニオイ残りを低減する機能も搭載している。1つめは、油が飛びやすい食品を覆う付属品「油飛び散り防止カバー」。カバー内に食品を入れて調理することで、庫内に直接油が飛び散るのを防止できる。カバーには複数のスリットが入っており、カバー内にも効率的に熱風が循環するため、ムラなく高い火力で調理できるそうだ。コンベクションオーブンでは、油の多い肉や魚を焼くと、ヒーターに油が飛び散って大量の煙が発生することも多い。しかし、油飛び散りカバーを使用すれば、煙問題も解決できる。2つめは、熱風の吸気口やオーブン底部に装備した「プラチナ触媒ユニット」。熱風の循環過程で庫内に発生した油煙は、プラチナ触媒ユニットを通って排出される構造になっており、ニオイを分解して低減する。加えて、「脱臭コース」も用意。調理後にニオイが残っていても、ファンを回して庫内を脱臭する。●家庭でも挽きたてコーヒーを○豆の挽きから全自動なコーヒーメーカー続いて、象印マホービン 第二事業部 給湯給水グループの中島健氏が登壇し、EC-NA40について説明。「昨今のコーヒーブームにより、国内のコーヒー消費量は2年連続で過去最高値を記録している。コンビニで購入できる挽きたてコーヒーや、サードウェーブコーヒーがブームになるなど、『挽きたてで風味と香りが高いコーヒー』がトレンドだと考えている。家庭向けミル付き全自動コーヒーメーカーも過去4年連続で出荷台数が微増しており、今後も需要は増えるだろう」と語った。EC-NA40の特徴は「マイコン予熱&ダブル加熱高温95℃抽出」機能。中島氏いわく、香り高いコーヒーを入れるためには、最初に高温でコーヒー豆を「蒸らす」必要がある。しかし、従来のコーヒーメーカーは、構造上の都合で最初に出てくるお湯はどうしても低温になる。そこで、EC-NA40では「最初に送られた水が十分に加熱されない」問題を、湯を2回ヒーターに通して加熱する「ダブル加熱」で、水の経路が冷えているために湯温が下がってしまう問題を、あらかじめ経路を予熱する「マイコン予熱」機能で解消した。フィルターをセットするドリッパーには、熱がすばやく伝わる薄肉のステンレスを採用。また、ドリッパーの熱が逃げないように、ステンレスドリッパーの外に樹脂製の「断熱ドリッパーカバー」を配置することで、ドリッパー内の高温をキープ。豆を蒸らす段階では、一時的にドリッパーの出口を閉じて熱湯の流出を防ぐため、約20秒で効率よく豆を蒸らせる。○メンテナンス性の高さにもこだわりEC-NA40は豆をミルで挽く仕様上、ミルのないコーヒーメーカーよりも使用後の掃除部品は増える。しかし、さまざまな方法でメンテナンスのしやすさが追求されている。一般的に使用後のミルにはたくさんのコーヒー豆カスが付着する。EC-NA40は抽出時の湯をミル内部に流すことで、ほとんどのゴミは紙フィルターに流れ落ちる仕組みだ。ミルは本体から取り外して洗えるほか、ドリップ部からもフィルターケースを取り外せる。付属のカップ用トレーを装着すれば、コーヒーカップやマグカップに直接コーヒーを抽出することも可能で、さらに洗いものを減らせる。このほか、蒸らし時間や抽出時間でコーヒーの濃さを調節できる「二段階濃度調節」や、ミルの細かさを2種類切り替えられる「挽き分けフィルター」も搭載。同じ豆を使用しても、これらを組み合わせることで全4種類の味が楽しめる。
2015年09月10日意識することは少ないかもしれないけれど、私たちは常になんらかのかたちで「熱」の恩恵を受けているものです。そこで、ぜひ読んでおきたいのが、きょうご紹介する『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』(梶川武信著、SBクリエイティブ)。エネルギーの専門家である著者が、さまざまな分野や領域で「縁の下の力持ち」として大切な役割を果たす熱についての疑問を解き明かした書籍です。きょうはそのなかから、さらに数字に関連する項目を抜き出してみましょう。■1:水は0℃以下でも凍らないことがある?ご存知のとおり、通常の冷却方法によれば水は0℃で氷に変わります。なぜなら水にとっては、それがいちばん安定する状態だから。ところが、0℃以下でも凍らない状態がまれにあるというのですから驚きです。この現象が起こるのは、0℃以下であっても水分子の集まりが一時的に安定した状態にとどまっているから(準安定状態)。この状態を「過冷却」というそうです。ただし過冷却は強固なものではないので、過冷却水に外部から振動などの物理的な刺激を与えると、すぐに本来の安定状態である氷に移行することに。■2:熱を100%仕事に変えられるの?電気自動車やハイブリッド車のように、電気をモーターで動力にかえると、効率は100%近くに。理論上は、100%変換が可能。それに対し、熱を電気や機械など他のエネルギーに変換するときは、理論値でも100%は望めないのだとか。これが、他のエネルギーと決定的に違う点です。水力発電は、高所にある水のエネルギー(位置エネルギー)を利用します。高所に貯められた水を海抜0mにある水車に向けて落下させると、水の位置エネルギーを水車の回転に100%変えることができるわけです。一方、蒸気発電では熱の強さ(温度)が水力発電での高さに相当するのだそうです。■3:鉛筆の芯は3550℃なければ加工できない?太陽の光球は6000~8000Kもの高温ですが、身のまわりにはこれに近い温度でなければ加工できない製品がいろいろあるとか。たとえばそのひとつが、シャープペンシルや鉛筆の芯。これは450年ほど前に発見された黒鉛(グラファイト)を加工したもので、融点は3550℃。そのほか、ダイヤモンドに近い輝きを持ち、装飾品によく使われるキュービックジルコニアをつくるためにも3000℃近い温度が必要。また、照明器具に使われているタングステンも、融点は3407℃だといいます。■4:5000℃の熱をつくるには?5000℃付近の温度を実現するためには、石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やす、電気ヒーターを付ける、などでは力不足。それではせいぜい2000℃くらいにしかならないそうです。プラズマの性質を利用するアーク放電という特別な方法によって、ようやく可能になるのだとか。他にも、熱に関する身近なネタがぎっしり。やや専門的で難解な部分もありますが、それでも充分に楽しみがいのある内容だと思います。(文/印南敦史)【参考】※梶川武信(2015)『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』SBクリエイティブ
2015年07月09日東京大学は7月7日、銅酸化物高温超伝導体では、通常の超伝導体と異なり抵抗ゼロの超伝導温度よりも遥か高温から超伝導電子が生成されていることを発見したと発表した。同成果は東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センターの近藤猛 准教授、同 Walid Malaeb 特任研究員、同 石田 行章 助教、同 辛埴 教授、東京工業大学応用セラミックス研究所の笹川崇男 准教授、名古屋大学工学研究科結晶材料工学専攻の坂本 英城氏、豊田工業大学物質工学分野エネルギー材料の竹内恒博 教授、東京理科大学理学部第一部応用物理学科の遠山貴巳 教授によるもの。7月7日付の英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載される。超伝導とは、物質を非常に低い温度に冷却した際に、電気抵抗がゼロになる現象のこと。銅酸化物高温超伝導体は安価な液体窒素温度でも超伝導転移するため、エネルギー問題を解決する物質として期待されている。しかし、銅酸化物の高温超伝導の機構は解明されておらず、発見から約30年経った今でも現代物理学の最重要課題の1つとされている。超伝導の研究では、光電子分光法という手法を用いて、物質内の電子を外に弾き飛ばして直接観察する。同研究グループは、独自に開発したレーザー励起型の光電子分光装置を用いて、従来とは一線を画すエネルギー分解能で超伝導状態を担う電子(超伝導電子)を観察した。その結果、一般的な超伝導体では温度上げると抵抗ゼロの超伝導状態が消滅すると同時に、物質内の超伝導状態を担う電子は皆無となるのに対し、銅酸化物高温超伝導体では、超伝導温度よりも1.5倍近く高い温度まで超伝導電子が生き残ることがわかった。同研究グループは今回の成果について「超伝導の名残が高温超伝導体の超伝導温度よりもさらに高温で発見されたことから、超伝導温度の飛躍的向上と、その先にある室温超伝導実現へ向けての、大きな一歩だといえる」とコメントしている。
2015年07月07日東京大学は2月3日、鉄カルコゲナイドが超伝導状態へと変化する温度(臨界温度)を、従来の15K(-258℃)と比較して1.5倍の23K(-250℃)に上昇させることに成功したと発表した。同成果は、同大大学院 総合文化研究科の今井良宗助教、前田京剛教授らによるもの。詳細は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」のオンライン速報版で公開された。鉄カルコゲナイドは、鉄(Fe)、テルル(Te)、セレン(Se)から構成される物質である。しかし、従来の合成手法では単一の固溶体を形成しない、つまり、セレンとテルルの比が一定にはならない現象(相分離)が起こる組成領域が存在し、鉄カルコゲナイドの特性を理解する上で大きな障害となっていた。今回の成果は、このような問題を鉄カルコゲナイドの薄膜試料を作製することにより克服した画期的なものであるという。鉄カルコゲナイドは鉄系超伝導体の一種であるため、これらの物質が超伝導状態を発現する機構の解明に向けた研究が一層加速することが期待される。また、今回観測した大幅な超伝導臨界温度の上昇は、同物質の応用化を大きく促すものであり、他の超伝導体においても、臨界温度を向上させるための新しい有力な指針ともなりうるものであるとコメントしている。
2015年02月06日東京大学は12月22日、スーパーコンピュータ「京」を駆使することで、計算機の中で鉄系高温超伝導体の超伝導を再現することに成功し、さらに超伝導が起きる仕組みも明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院 工学系研究科 物理工学専攻の三澤貴宏助教、今田正俊教授らによるもの。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。鉄系超伝導体は2008年に、東京工業大学の細野秀雄教授のグループにより発見されて以来、この物質群に属する化合物が多数発見されている。物質が超伝導を示す温度(転移温度)が-220℃を上回る高温超伝導体を含むことから、この物質群で超伝導が起きる仕組みを明らかにすることで、より高い転移温度の超伝導体を作る指針になると考えられ、全世界で精力的な研究が行われている。しかし、超伝導が生じる仕組みは未だよく明らかにされていない。その1つの原因として、最近まで鉄系超伝導体のような複雑な化合物の理論模型を調べる有効な方法がなかったことが挙げられるという。研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を活用し、鉄系超伝導体を第一原理計算によって理論解析することで、従来はあまり重要と思われていなかった一様な電荷感受率と呼ばれる電子密度のゆらぎの増大が超伝導の原因であることを見出した。具体的には、量子力学・統計力学の法則に従って、鉄系超伝導体の物質構造だけを入力して、実験結果と一致する性質を持つ超伝導状態を計算機の中で数値的に生み出すことに成功した。さらに、実験では直接制御することが困難な物質中の電子間に働く相互作用をコンピュータの中で制御することで、超伝導を生じさせている主な要素を突き止めた。その結果、電子密度のゆらぎが増大するときに例外なく超伝導が生じるという証拠を得た。これは長年の高温超伝導の仕組みを解明しようとする基礎研究の中で重要な意義を持つものであるという。また、この研究で得られた超伝導の仕組みをガイドラインにした物質を設計することで、超伝導体になる温度を上昇させる実験探索にはずみがつくことが期待できるとコメントしている。
2014年12月25日東京大学は12月11日、電子の形の量子揺らぎを媒介とした新しい超伝導を発見したと発表した。同成果は、同大 物性研究所の松本洋介 助教、中辻知 准教授、同大大学院 新領域創成科学研究科博士課程の辻本真規 大学院生、東大物性研究所 新物質科学研究部門の冨田崇弘 特任研究員、アウグスブルグ大学 日本学術振興会海外特別研究員で東大物性研究所 新物質科学研究部門 元博士課程学生の酒井明人氏らによるもの。詳細は、米物理学会学術誌「PhysicalReviewLetters」のオンライン版に掲載される予定。超伝導とは、低温で電子がクーパー対と呼ばれる対を形成することで金属の電気抵抗がゼロになる現象で、工業的な応用の観点からも重要視され、これまで盛んに研究されてきた。この電子同士がクーパー対を形成するためには、電子同士を引きつける力が必要である。この引きつける力の起源として、これまで格子振動が考えられてきた。しかし、近年の研究から、銅酸化物高温超伝導体などではスピンと呼ばれる電子が持つ非常に小さな磁石の揺らぎが、電子同士を引きつける力として重要な役割を果たすことが分かっている。今回、研究グループは、希土類金属間化合物PrV2Al20において、異常な金属状態が実現することを見出した。また、この異常な金属状態は、電子の形を決める電子軌道の量子揺らぎによるものであることが分かった。さらに、この電子の形の揺らぎを媒介とした新しいタイプの超伝導が常圧下(1気圧)ではじめて実現していることを明らかにした。この新たな電子の対形成メカニズムの発見は、超伝導研究の新たなブレークスルーとなる可能性を秘めていると同時に、電子の形(電子軌道)の揺らぎを用いた新たな物質科学研究の方向性を提示する重要な成果であるとコメントしている。
2014年12月15日物質・材料研究機構(NIMS)と東京大学は12月11日、シリコン表面上に形成した原子レベル厚さの超伝導体において、原子1個分の高さの段差(原子ステップ)が超伝導電流の流れを制御するジョセフソン接合として働くことを発見したと発表した。同成果は、NIMS 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の吉澤俊介ポスドク研究員、内橋隆MANA研究者、中山知信主任研究者、川上拓人ポスドク研究員、古月暁主任研究者、東京大学 物性研究所のKim Howonポスドク研究員、長谷川幸雄准教授らによるもの。詳細は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」にEditors’ Suggestionとして近日中に掲載される予定。最近発見されたシリコン表面上の原子層超伝導体は、究極の微小サイズである原子スケール厚さの超伝導ナノデバイスを実現する可能性を秘めている。しかし、デバイス作製のためには、超伝導演算素子において不可欠な要素であるジョセフソン接合を作製する必要があり、その方法は未解決のままだった。今回、研究グループは、走査トンネル顕微鏡を用いた実験と微視的な理論計算によって、原子層超伝導体の原子ステップに超伝導量子渦の一種であるジョセフソン量子渦という特殊な超伝導状態が発生することを発見した。そして、これにより、原子ステップがジョセフソン接合として働くことを明らかにした。この結果は、原子層超伝導体を用いると、従来の超伝導素子では個々に作製していたジョセフソン接合を自己組織化的に速く大量に作製できることも意味しているという。今後、この成果を利用して、原子レベルの厚さしかないジョセフソン素子を創製し、超伝導デバイスへの応用を目指す。また、電力応用が期待される高温超伝導体では、ジョセフソン量子渦が重要な働きをすることが知られている。今回の成果は、高温超伝導体の超伝導特性の解明にも寄与することが期待されるとコメントしている。
2014年12月15日大阪大学(阪大)は12月10日、極小なナノドット結晶の結晶方位をそろえて連結した材料を形成する技術を開発したと発表した。同成果は、同大大学院 基礎工学研究科の中村芳明准教授らによるもの。同大大学院 基礎工学研究科の吉川純助教(現物質・材料研究機構 主任研究員)、酒井朗教授、東京大学の塩見淳一郎准教授、アルバック理工の池内賢朗博士と共同で行われた。詳細は、「Nano Energy」のオンライン版に掲載された。廃熱エネルギーを電気エネルギーとして再利用するための熱電変換材料には、従来、レアメタルだったり、毒性を持ったりすることの多い、重い元素を含んだ材料が使われており、より安価で環境に低負荷な材料が求められていた。今回、中村准教授は、ナノドット結晶の結晶方位をそろえて連結することで、高い電気伝導率で低い熱伝導率という熱電変換の高性能化に必要な特性を、レアメタルを使わずに実現した。このようなナノドット構造は、従来法では作製が不可能だったが、独自に開発したナノドット形成技術を応用することで、電気伝導率の悪化を適切に抑え、熱伝導率をバルクシリコンの約1/200まで低減することが可能となった。さらに、同技術では、シリコンの熱伝導率の世界最小値を得ることに成功したという。今回の結果は、地球上にありふれた、環境調和性の高いユビキタス元素であるシリコンを用いた高性能な熱電変換材料を生み出す可能性を示している。優れた電子素子材料であるシリコンが、高い熱電変換機能を持つことができれば、電子素子材料と熱電変換材料を融合した素子が作製でき、パソコンやサーバから排出される廃熱を電気エネルギーとして再利用することができる。これは、将来迎えるといわれるセンサネットワーク社会において、さまざまな場所に配置されるセンサなどに組み込まれる電子素子へのエネルギー供給問題を解決する糸口になることが考えられるとコメントしている。
2014年12月11日東北大学は12月4日、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを観測したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大大学院 理学研究科の中山耕輔助教らによるもの。詳細は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。鉄セレンは、鉄系超伝導体の中で最も単純な結晶構造を持つことから、超伝導機構の解明に向けた基礎科学的な面でも、モデル物質として期待を集めている。高温超伝導が起こる起源を解明するためには、超伝導を担う電子の状態を調べることが重要だが、高品質の鉄セレン結晶を作成することが極めて困難だったため、この物質の電子状態はこれまで明らかになっていなかった。今回、研究グループは、鉄セレンの高品質単結晶の育成に成功し、外部光電効果を利用した角度分解光電子分光という実験手法を用いて、鉄セレンから電子を直接抜き出して、そのエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、超伝導が発現するよりも高い温度(110K)で電子のエネルギー状態に大きな変化が起こり、伝導面を縦方向に動く電子と横方向に動く電子で、動きやすさに違いが生じることを明らかにした。さらに、このような異常な状態が、鉄セレンの結晶構造の変化が起こる温度(約90K)よりも高い温度(110K)で起こっていることも明らかにした。これは、電子軌道の変化が、結晶構造の変化という外的要因によらず、自発的に引き起こされている可能性が高いことを示している。鉄セレンでは、高温超伝導をはじめとする興味深い超伝導特性が報告されているが、今回の研究によって、その背後に異常な秩序状態が存在することが明らかになったとコメントしている。
2014年12月09日京都大学は12月2日、ある種のウラン化合物超伝導体では、熱磁気効果がこれまでの超伝導体よりも桁違いに大きくなることを発見したと発表した。同成果は、同大 理学研究科の山下卓也博士後期課程学生、住吉浩明博士後期課程学生、松田祐司教授、東京大学 新領域創成科学研究科の芝内孝禎教授(京都大学 理学研究科 客員教授)、大阪大学 基礎工学研究科の藤本聡教授らによるもの。日本原子力研究開発機構 原子力科学研究開発部門 先端基礎研究センターの芳賀芳範研究主幹と共同で行われた。詳細は、英国科学誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載された。ある種の物質を冷やしていくと、低温で2つの電子がペア(クーパー対)を組み、抵抗がゼロとなる超伝導状態が実現する。しかし、超伝導転移温度以下でのみこのペアが形成されるわけではなく、転移温度より少し高い温度でも、熱ゆらぎの効果により形成される。この熱ゆらぎによるペアは、泡のように生成・消滅を繰り返し、その結果、超伝導状態の前兆ともいえる超伝導ゆらぎを発現する。この超伝導ゆらぎは、さまざまな物理量に影響を与える。特に、磁場中の熱電変換効果の一種である熱磁気効果(ネルンスト効果)は、超伝導ゆらぎの性質を調べる上で重要な物理量として知られている。ところが、通常の超伝導体では、この熱磁気効果の大きさ自体はあまり大きなものではなく、熱電変換材料としてはあまり注目されていなかった。そこで、今回の研究では、ウラン化合物超伝導体URu2Si2の超純良試料を用い、超伝導ゆらぎに起因した熱磁気効果を精密に測定した。その結果、試料の純良性が増すほど、超伝導ゆらぎの効果は熱磁気効果に顕著にあらわれた。これは、超伝導体においてこれまで観測された実験結果と定性的に異なっている。さらに、熱磁気効果の大きさは、従来の超伝導体を良く説明するゆらぎの理論から予想される値の100万倍に達することもわかった。また、URu2Si2の超伝導では、クーパー対を形成する2つの電子が、互いの周りを右回り、または左回りのどちらか一方向に回転している新奇な超伝導状態が実現していると考えられている。このような超伝導体はカイラル超伝導体と呼ばれており、そのクーパー対は従来の超伝導体にはない新奇な幾何学的構造を持つ。そして、このようなカイラル超伝導体では、超伝導の泡の表面を流れるペア電子によって、伝導電子が散乱される。この散乱過程に基づいた新しい理論によって、今回の実験結果は定量的に説明されることが明らかになったとしている。
2014年12月03日東京大学と東北大学は、鉄系高温超伝導体において、これまで明らかになっていなかった超伝導電子の電子状態を解明したと発表した。同成果は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の水上雄太助教、芝内孝禎教授(京都大学大学院 理学研究科 客員教授兼任)、東北大学 金属材料研究所の橋本顕一郎助教らによるもの。詳細は、英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。2008年に発見された鉄系超伝導体は、その発見以降、短期間で膨大な量の研究がなされたにもかかわらず、その超伝導発現機構と密接に関係する超伝導電子の電子状態が未解明だった。今回、純良単結晶に電子線を照射して、その照射量を増やすに伴い超伝導電子の数が非単調に変化することを初めて観測したことによって、"s±(エスプラスマイナス)"型の対称性であることが明らかとなった。これは磁気揺らぎを主な機構とする超伝導において提案されたものであるという。今後、より高い温度での超伝導の実現を目指し、この機構を用いた超伝導体の設計指針につながることが期待されるとコメントしている。
2014年12月02日東京大学は11月10日、強い磁場の下で超伝導が一部破壊されながらも生き残る特異な状態(FFLO状態)が存在することを示す実験に成功したと発表した。同成果は、同大大学院 工学系研究科の宮川和也助教、鹿野田一司教授、仏グルノーブル国立強磁場実験施設、米ブラウン大学らによるもの。超伝導は、発熱を伴わずに抵抗ゼロで電流が流れる劇的な現象であることから、物理学とその応用の両面から盛んに研究されている。また、超伝導は磁場のある環境下で利用されることが多いが、強い磁場は超伝導を破壊する。このため、強磁場下の超伝導の振る舞いは最も重要な課題の1つとなっている。そして、超伝導は電荷を持ち微小な磁石でもある電子が対(クーパー対)を作ることで起こる。また、磁場はクーパー対の運動を誘発するとともに、クーパー対内で反対向きに打ち消しあっている微小な磁石を磁場方向に起こそうとする。この2つの効果は、ともにクーパー対を破壊するように作用し、磁場が強くなると、超伝導は破壊される。しかし、さらに強磁場でも、一部のクーパー対が破壊されながらも生き残り、その濃度を空間的に波打たせることで超伝導が維持される特異な状態であるFFLO状態が古くから提唱されていた。その存否を巡ってはさまざまな物質を対象に実験がなされてきたが、未だ決定的な証拠は得られていなかった。研究グループは、有機超伝導体に強い磁場を掛けて、超伝導状態を核磁気共鳴実験で調べることにより、FFLO状態を捕らえることに成功した。この成果は、超伝導の応用においても、従来の超伝導破壊機構を越えて磁場の限界を引き上げる可能性を示唆しているとコメントしている。
2014年11月13日アン・ハサウェイから握手を断られた記者が、その理由を「エボラ熱感染を恐れたから」とツイートしたが、アンの代理人がこれを否定した。アンは先週、最新出演作であるクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』のロサンゼルス・プレミアに出席したが、その際に受けた取材でアルゼンチンの記者、アレクシス・プイグから握手を求められた際に断った。この記者はその後、Twitter上で「アン・ハサウェイは握手してくれなかった。エボラ熱を恐れたからだ。私は第三世界の記者だから…クリストファー・ノーラン、マシュー・マコノヒーとジェシカ・チャステインのインタビューは素晴らしかった(そして彼らは握手を拒まなかった)。どうだい、アン!」とツイートした。一方、アンの代理人はイギリスの「Daily Mail」紙上で「馬鹿げています。アンは誰とも握手していません。なぜなら、彼女自身が風邪を引いていて誰にもうつしたくなかったからです」と反論している。(text:Yuki Tominaga)
2014年10月30日東北大学は10月15日、ナノメートル級の籠状構造(=B10H10イオン)をもつ安定な錯体水素化物において、B10H10イオンによりナトリウム超イオン伝導が促進される新たな現象を発見したと発表した。同成果は、同大 金属材料研究所の松尾元彰講師、同大 原子分子材料科学高等研究機構の宇根本篤講師、折茂慎一教授らによるもの。同大大学院 工学研究科、アメリカ国立標準技術研究所、メリーランド大学、サンディア国立研究所、ロシア科学アカデミーと共同で行われた。詳細は、「Advanced Materials」のオンライン版に掲載された。研究グループでは、水素エネルギーの普及の観点から高密度水素貯蔵材料の開発を進めており、その候補材料の1つとして、ナトリウム(Na)とホウ素(B)、水素(H)で構成される錯体水素化物に関する研究を行っている。その一環として、水素を放出した後に生じるナノメートル級の籠状B10H10イオンと、その周りのナトリウムイオンの動きを調べた。その結果、Na2B10H10では110℃以上でB10H10イオンの配置変化と高速回転が起こり、これらに促進されてナトリウム超イオン伝導現象が発現することを発見したという。今回の成果は、B10H10イオンなどの籠状構造を持つ新たな固体電解質の開発指針を提案し、これを実証した点で注目されている。また今後、次世代蓄電池と言われる全固体ナトリウムイオン2次電池の開発を加速させることが期待されるとコメントしている。
2014年10月17日東北大学は5月21日、全固体電池のための新しいリチウムイオン伝導体KI-LiBH4を開発したと発表した。同成果は、同大大学院 工学研究科の高村仁教授、宮崎怜雄奈博士(現 物質・材料研究機構 研究員)らによるもの。詳細は、「APL Materials」に掲載された。リチウムイオン電池は、動作電圧が約3.8Vと高いことから、電解質に耐電圧の高い有機溶媒が使用されている。これらは可燃性であり、発火・破損事故が報告されている。そこで、有機溶媒に代わり固体電解質を用いて安全性を高めた全固体電池の開発が行われている。電池が不揮発性・不燃性の固体材料のみで構成されれば、安全性の大幅な改善が見込まれ、電極材料や電池形状の自由度も向上する。今回の研究では、従来から知られている酸化物系や硫化物系の固体電解質に比べて飛躍的に成形性が高く、電極材料と良好な接触性を示す水素化物系固体電解質「LiBH4(水素化ホウ素リチウム)」に着目。これまでに、LiBH4は115℃以上で安定な高温相においてLi+イオンが高速で移動できることが知られており、高容量負極材料であるLi金属と良好な界面を形成し全固体電池の高出力密度化を実現しうる電解質として注目されている。しかし、高いLi+イオン伝導を示すLiBH4高温相ではイオンの2次元的な伝導が示唆されており、結晶のある方向ではイオン伝導性が低く電極反応に寄与できない可能性がある。そこで、Li+イオン伝導において異方性を示さない等方的な岩塩型構造のLiBH4に着目して新規材料を開発したという。岩塩型構造のLiBH4は200℃以上、かつ4万気圧以上の極限状態でのみ存在する。従って、固体電解質として応用するためには、その高温高圧下の岩塩型構造を常温常圧でも安定化させることが求められる。そこで、岩塩型構造が常温常圧で安定であるKI(ヨウ化カリウム)中にLiBH4をドープするという、従来とは逆転の発想により岩塩型構造のLiBH4の合成に成功した。今回、同じ結晶構造を有する全く異なる化合物に目的化合物をドープした。この手法は水素化物系のみでなく、他の材料系についても応用可能なアイデアであり、未だ構造安定化が実現されていない高イオン伝導性材料を得る新しい視点を提供するとコメントしている。
2014年05月22日東京工業大学(東工大)は3月3日、鉄系超伝導体物質群の中で、唯一のモット絶縁体である層状セレン化合物「TlFe1.6Se2」に着目し、電気二重層トランジスタ構造を利用して、外部電界の印加によって、超伝導現象の予兆とも言える金属に近い状態まで相転移させることに成功したと発表した。同成果は、同大 元素戦略研究センターの細野秀雄教授らによるもの。詳細は、「Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America(PNAS)」オンライン速報版に掲載された。超伝導とは、ある温度(転移温度)以下で電気抵抗がゼロになる現象である。研究グループが以前に発見した新超伝導体LaFeAsOは"鉄系超伝導体"と称され、磁性元素である鉄を含むにもかかわらず、ヒ素と組み合わせることで、高い温度で超伝導を示すという意外性に注目が集まった。現在の最高転移温度は55Kに達し、銅酸化物超伝導体の130Kの次に高い温度となっている。銅酸化物と鉄系超伝導体は、超伝導体となる前のもととなる親物質(母相)が反強磁性体であり、電子もしくは正孔を添加することによって、その反強磁性の磁気的な秩序を消失させ、超伝導が発現するという共通点を持つ。ところが、母相の性質として根本的に異なる点も知られており、銅酸化物の電子構造はエネルギーギャップを持つ"モット絶縁体"であるのに対し、鉄系物質のほとんどはギャップを持たない"金属"である。そこで今回、鉄系層状物質の中では唯一のモット絶縁体であり、かつ元素置換による電子の添加では超伝導体とはならないことが知られているTlFe1.6Se2に着目し、外部から電界をかけて高濃度の電子を誘起することによって、絶縁体から金属のように電気がよく流れる状態、そしてさらには超伝導状態までの実現に挑戦したという。TlFe1.6Se2という化合物は、図1(a、b)に示すように、基本構造はTl:Fe:Seの組成比が1:2:2の122型と呼ばれる層状構造が基本である。ところが、形式的な電荷(Tl:1+, Fe:2+, Se:2–)を考えた場合、この122型基本構造では電気的中性を満足しない。そこでFeの位置に空孔(鉄が存在しない場所)を生成し、基本構造に対して√5×√5×1倍のTl2Fe4Se5(245型)という化合物になる。そして、その空孔が規則配列する場合とランダム相が混在する場合があることがバルクの単結晶で報告されている。この空孔が規則配列したものが、モット絶縁体としての振る舞いを示す。今回の研究でパルスレーザ堆積法により作製したTlFe1.6Se2薄膜は、この空孔サイトが規則配列した構造を有していたという。外部からの電界印加方法としては、電気二重層トランジスタ構造を用いた。6端子状に形成した厚さ20nmの極薄のTlFe1.6Se2薄膜上に、ゲート絶縁体として働くイオン液体を流し込み、コイル状の白金で作製したゲート電極から外部電界(ゲート電圧)を印加し、TlFe1.6Se2薄膜の表面に最大で2.5×1014cm–2の伝導電子を誘起することに成功した。その結果、図3に示すように、ゲート電圧を印加しない場合(0V)は、絶縁体に特徴的な温度が下がると電気抵抗が上昇する様子が観察されたのに対し、2V以上のゲート電圧を印加した場合には、特に低温域での電気抵抗の大幅な低下とともに、50K近傍に電気抵抗の"こぶ"が観察され(図中の矢印)、最大の4V印加時には抵抗の温度依存性がほぼ消滅し、まるで金属のような電気抵抗の温度依存性を示した。この結果は、超伝導転移直前の予兆とも言えるモット絶縁体から金属へ、もしくはこの物質に特有の磁気的な"相転移"が外部電界で制御できていることを示している。今回の結果は、鉄系層状母物質で初めて観察された外部電界誘起相転移であり、より高い超伝導転移温度の鉄系超伝導体の探索の新しいルートを提供するものと言えるとコメントしている。
2014年03月05日琵琶湖を大パノラマで楽しめる大人気の熱気球体験開催中。草津市内のホテルに宿泊すれば搭乗料金500円割引もある。琵琶湖湖畔の熱気球体験、期間は7月27日(金)から8月5日(日)の10日間、時間は6:00~9:00までだ。熱気球体験は今年で3年目となる。毎年評判がよく、今年は早朝にもかかわらず初日だけで210名の参加があった。場所は三方を湖に囲まれた烏丸半島内。周辺には琵琶湖博物館や水性植物公園水の森、烏丸記念公園、湖畔緑地や道の駅草津もあり、みどころ満載だ。特に今の時期はハスが美しい。13ヘクタールと甲子園球場の約3倍の広さを誇る国内有数のハスの大群生を、上空から眺めることができる。琵琶湖のハスは「大賀ハス」と呼ばれる。2,000年前のハスの実から発芽したものが根分けされたものだ。ハスの実は1951年に植物学者である大賀博士によって、千葉県検見川の落合遺跡から3粒発掘されたもの。放射性炭素測定によって2,000年前のハスの実であると推定され、その後大賀博士の尽力によりハスの実は発芽、開花に成功。それが日本、世界各地に根分けされた。現在千葉県の天然記念物にも指定されている貴重なものだ。熱気球の広場に隣接している琵琶湖博物館は、「湖と人間」の新しい共存関係を築いていくことがテーマ。展示内容は、琵琶湖の生い立ち、人と琵琶湖の歴史、湖と環境と人々の暮らし、淡水の生き物達、太古の森、生活実験工房、日本のトイレの歴史など幅広くバラエティに富んでいる。熱気球体験は予約等の事前受付は無く、当日受付のみ。受付開始は早朝5:50だ。雨天や強風の場合は中止になることがある。また、妊娠中の方は搭乗できない。小学生以下のお子様は保護者の同乗が必要となる。搭乗料金は大人(中学生以上)2,500円、子供(小学生)1,800円だが、草津市内のホテルに宿泊すれば、500円引きとなる割引券を配布している。熱気球乗り場までのアクセス JR草津駅西口より近江鉄道バスからすま半島行き 「琵琶湖博物館前」下車徒歩約5分 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月31日セシールは99サイズから選べる遮熱カーテン&遮熱レースカーテンを、2012年7月2日発行のカタログ「暮らしが好きになる本2012vol.2」およびセシールオンラインショップで発売する。特殊な金属酸化物を封入したポリエステル繊維を用いた「遮熱・遮光カーテン」は、太陽熱を反射して冷房効率を高め、遮熱効果を発揮する。同製品を使用した試験槽内での実験では、カーテンをつけていない場合と比較して、マイナス13.5℃と同社が取り扱うカーテンの中で最大の遮熱効果を発揮したという。また、冬はプラス4.3℃の保温効果があり、暖房効率がアップ。一年を通じて快適に過ごせる省エネカーテンとなっている。カラーは、ピンク、ブラウン、アイボリーグレー、グリーン、ブルー、オレンジ、ハニーベージュ。価格は5,290円~1万4,800円(税込み)。「遮熱UVプロテクトカットミラーレースカーテン」は、UVカット率約99%という最高レベルの紫外線対策を実現したレースカーテン。紫外線を強力にカットできる秘密は、外側にミラー効果のある扁平(へんぺい)糸を使い、中に2つの遮熱糸と2つのレギュラー糸を使った5層構造の編み上げにある。この5層構造は遮熱性・保温性の向上にも効果を発揮し、夏場の遮熱効果はマイナス10.0℃、冬場の保温効果はプラス4.1℃と、一年を通じて省エネが期待できるという。さらに、昼夜とも外から室内の様子が見えにくい目隠し効果があるため、防犯対策にも役立つ。カラーはオフホワイト。価格は3,990円~1万2,400円(税込み)。「遮熱・遮光カーテン」および「遮熱UVプロテクトカットミラーレースカーテン」は、セシールオンラインショップで販売。99のサイズ展開のため、オーダー感覚でサイズを選ぶことができる。
2012年06月27日滋賀県草津市では、琵琶湖、草津の夏の風物詩「ハスの群生」の美しい景観と、琵琶湖の雄大さを存分に体感できる、熱気球フライト(係留)を実施する。熱気球フライトは、早朝のすがすがしい時間に気球に乗って、湖面に広がる大パノラマを眺められるイベント。気球は地面に係留されているため、上空15~20mくらいの高さまで上がった後、数分で降りてくる。開催期間は7月27日~8月5日。時間は6:00~9:00。実施場所は滋賀県草津市烏丸半島、滋賀県立琵琶湖博物館前広場(草津市下物町)。搭乗料金は中学生以上2,500円(税込み)、小学生(保護者の同乗要)1,800円(税込み)、未就学児(保護者の同乗要)無料。雨天や風の影響で気流等が安定しない場合は中止することがある。妊娠中の人は搭乗不可。料金の支払いは当日受付にて。また、7月28日、29日には、プレイベントとして熱気球体験教室が開催される。草津駅東口デッキ下広場にて、熱気球の仕組みについての説明や、バーナーの操作体験を行うので、熱気球に乗る前に参加すると新しい驚きや発見があるかもしれない。参加費は500円(税込み)。事前予約が必要。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月21日カーテン・じゅうたん王国によると、同社が販売・展開している「遮熱カーテン」の売り上げが好調で、この一年間で累計額5億円を突破。中でも「遮熱レースカーテン」の取扱数は昨年比2.4倍に増加したという。遮熱カーテンは、屋外の熱を室内に伝わりにくくすることで冷暖房機の効果を高め、節電効果も期待される。同社では2008年から遮熱カーテンを取り扱っているが、2011年4月から2012年4月までの売上高が5億円を突破、販売総数は約13万枚を記録したとのこと。特に一戸建て住宅の新築物件購入時や、リフォームの際に購入される傾向が多い。同社では、昨年の東日本大震災をきっかけとした節電意識の高まりが背景にあるのでは、と分析している。同社では、こうした節電ニーズに応えながら「遮熱カーテン」シリーズのアイテムを大幅に充実。好調の「遮熱レースカーテン」は、機能商品に特化した無地ベーシックだけでなく、花柄やリーフ柄などのデザインのほか、カラーも充実させ、昨年の22アイテムから54アイテムに増加させている。また、同社では、帝人ファイバーと共同開発した遮熱レースカーテン「Pool Refine」シリーズを2012年より発売。熱を反射する素材を使用し、夏の暑い時期には日光熱を反射して室内に熱が伝わるのを防ぎ、冬の寒い時期には、暖房機で暖まった空気を室内にとどめることで、通常のレースと比べて約2℃の遮熱・断熱効果があるというものだ。UVカット効果にも優れ、77.8~91.0%の紫外線をカットし、肌だけでなく家具などインテリアの日焼けを低減できるとあって、さらなる売り上げアップに期待を寄せている。なお、同シリーズの価格は幅100×丈176cm、2枚入りで2,800円から提供される。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月22日