「日ごろから、バランスのいい食事や適度な運動をすることを心がけ、積極的に社会参加することなどは、認知症発症リスクを下げるために有効かもしれません。久山町研究を含むさまざまな疫学調査データから示されています」そう話すのは、九州大学大学院医学研究院教授で医学博士の二宮利治先生。“久山町研究”は、福岡市の北部に位置する糟屋郡久山町(人口約8,900人)の住民を対象に、’61年から長年継続している生活習慣病の大規模な疫学調査だ。脳卒中や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の調査に加え、’85年からは、65歳以上の住民を対象とした認知症の調査も開始した。6〜7年ごとに追跡調査を行い、日ごろの食事や生活習慣が認知症の発症とどのような関連があるかを調べているのだ。「久山町研究の特徴は、町ぐるみで調査に協力してくれているということ。そのため、65歳以上の住民における認知症の調査の受診率は90%以上と非常に高く、さらに、調査にご協力いただいた99%の方の健康状態を毎年追跡しています」このように精度の高い認知症の疫学調査は、世界でほかに例がなく、注目を集めている。久山町研究の成績を基にした推計によると、’25年には日本で認知症患者が約700万人にのぼり、65歳以上の5人に1人が認知症になるという。とはいえ、いまだ特効薬もなく、未解明な部分が多い認知症。そこで今回、久山町研究の研究責任者である二宮先生に、現在までの調査結果から得られた認知症の予防法を聞いた。■持続できる軽い運動を「久山町の研究では、運動習慣がない人よりも、ある人のほうが、認知症の発症リスクが20%低くなることもわかっています。とくにアルツハイマー型では、運動習慣がある人は40%もリスクが低下していました」どんな運動が効果的なのか。「ハードな運動をする必要はありません。日々の生活の中で階段を上り下りする、できるだけ歩く、スクワットを毎日数十回するなど、足腰を鍛えることです」また、体幹を鍛えるような運動もいいという。「弱くてもよいので持続的に負荷をかける運動が大事。無理なく、生活に取り入れてください」■難聴にならないように気をつける食事や運動のほかに、認知症のリスク要因になるのは、喫煙、高血圧、それに難聴だという。「難聴になると、外部から入る情報量が少なくなり、脳の萎縮や神経細胞が弱まってくると考えられています。また、人とのコミュニケーションがおっくうになってひきこもりがちになることも、認知症のリスクにつながります」本年5月にWHO(世界保健機関)がまとめた認知症のガイドラインには、難聴が認知症の大きなリスクになると記されている。「WHOは、スマートフォンなどの携帯音楽機器で長時間、大音量の音楽を聴き続けることは、難聴障害を生じる恐れがあるとして、音量制限に関する基準を発表しました。また、世界の若者(12〜35歳)の半数近くが将来難聴になる危険性が高いと警告しています。いったん難聴になると治りにくいので、予防が大切です」
2019年08月14日「日ごろから、バランスのいい食事や適度な運動をすることを心がけ、積極的に社会参加することなどは、認知症発症リスクを下げるために有効かもしれません。久山町研究を含むさまざまな疫学調査データから示されています」そう話すのは、九州大学大学院医学研究院教授で医学博士の二宮利治先生。“久山町研究”は、福岡市の北部に位置する糟屋郡久山町(人口約8,900人)の住民を対象に、’61年から長年継続している生活習慣病の大規模な疫学調査だ。脳卒中や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の調査に加え、’85年からは、65歳以上の住民を対象とした認知症の調査も開始した。6〜7年ごとに追跡調査を行い、日ごろの食事や生活習慣が認知症の発症とどのような関連があるかを調べているのだ。「久山町研究の特徴は、町ぐるみで調査に協力してくれているということ。そのため、65歳以上の住民における認知症の調査の受診率は90%以上と非常に高く、さらに、調査にご協力いただいた99%の方の健康状態を毎年追跡しています」このように精度の高い認知症の疫学調査は、世界でほかに例がなく、注目を集めている。久山町研究の成績を基にした推計によると、’25年には日本で認知症患者が約700万人にのぼり、65歳以上の5人に1人が認知症になるという。とはいえ、いまだ特効薬もなく、未解明な部分が多い認知症。そこで今回、久山町研究の研究責任者である二宮先生に、現在までの調査結果から得られた認知症の予防法を聞いた。■歯の健康を保つ「過度なダイエットは避け、筋肉や骨のもとになる良質なタンパク質を、大豆や卵、魚などでしっかりとってください。筋力や骨密度が低下すると、足腰が弱まって活動が鈍ります。その結果、脳の働きが衰え、認知症のリスクも高まるのです。また、食事をしっかりかむためには“歯”の健康を保つことも必要です」栄養素の取り方も重要だ。「主食はカップ麺で、足りない栄養はサプリメントで補う、という方もいますが、栄養素は食品からとるのが好ましいと思います。外食でもかまいませんが、バランスを考えてメニューを選んだり、献立を考えたりする行為そのものが、生活にハリをもたらし、認知症のリスクを低下させることにつながります」少なめにしたほうがいいのは、米と酒だ。「米の摂取量と、認知症の発症に明らかな関連性が見られたわけではありません。しかし、一定の摂取カロリーのなかで、米の摂取量が多いほど、予防効果があるほかのおかずの量が減ってしまい、栄養バランスが崩れることになります。ですから、米の量が少なめで、副菜を多く食べている人のほうが、認知症になりにくいという結果が得られたと考えています」■生きがいを持つのがいちばん。お酒のリスクも減るお酒に関しては、「飲めば飲むだけ脳が萎縮する」と言う研究データもあるというが……。「脳の病的変化や萎縮が進んでいても、認知症の症状が見られない人がいることが海外の調査から報告されています。また、人とのコミュニケーションをとり、社会活動や趣味のサークルなどに参加するなど、生きがいを持つことが脳にいい影響を与えることを示唆する報告もみられます。脳には耐久性があって、脳を継続的に刺激することで、この神経細胞のルートはダメならこっち、というように脳の働きを代償する機能があるのではないかと思っています。飲酒と認知症の関係はまだ明らかになっていませんが、お酒が人生の楽しみという方は、一日1合程度なら飲んでもいいかもしれません。ただし、飲みすぎは絶対にダメですよ」
2019年08月14日治療が難しい認知症。正確な予防法をあぶりだすために、町の住民ほぼ全員の生活を長年追いかけた、画期的な調査がある。認知症発症の有無から見えてきたものとは——。「日ごろから、バランスのいい食事や適度な運動をすることを心がけ、積極的に社会参加することなどは、認知症発症リスクを下げるために有効かもしれません。久山町研究を含むさまざまな疫学調査データから示されています」そう話すのは、九州大学大学院医学研究院教授で医学博士の二宮利治先生。“久山町研究”は、福岡市の北部に位置する糟屋郡久山町(人口約8,900人)の住民を対象に、’61年から長年継続している生活習慣病の大規模な疫学調査だ。脳卒中や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の調査に加え、’85年からは、65歳以上の住民を対象とした認知症の調査も開始した。6〜7年ごとに追跡調査を行い、日ごろの食事や生活習慣が認知症の発症とどのような関連があるかを調べているのだ。「久山町研究の特徴は、町ぐるみで調査に協力してくれているということ。そのため、65歳以上の住民における認知症の調査の受診率は90%以上と非常に高く、さらに、調査にご協力いただいた99%の方の健康状態を毎年追跡しています」このように精度の高い認知症の疫学調査は、世界でほかに例がなく、注目を集めている。久山町研究の成績を基にした推計によると、’25年には日本で認知症患者が約700万人にのぼり、65歳以上の5人に1人が認知症になるという。とはいえ、いまだ特効薬もなく、未解明な部分が多い認知症。そこで今回、久山町研究の研究責任者である二宮先生に、現在までの調査結果から得られた認知症の予防法を聞いた。■糖尿病にならないようにする「認知症には、いくつか種類があります。久山町で主に研究しているのは、脳梗塞や脳出血などによって発症する血管性認知症と、脳の側頭葉などが萎縮して起こるアルツハイマー型認知症の2種類。’88年および’02年の久山町の健診を受診された、65歳以上の住民を10年間追跡しました。その結果、’88年の対象者に比べ’02年の対象者では、アルツハイマー型認知症の発症率は倍増していました。血管性認知症の発症率は、高血圧治療の普及により大きな変化はありませんでした」アルツハイマー型が急増している要因の一つとして、近年、解明されつつあるのが“糖尿病”との関係だ。「糖尿病患者は、糖尿病でない人と比べて、アルツハイマー型認知症および血管性認知症の発症リスクが約2.1倍高いことがわかりました。つまり、糖尿病は、認知症発症のリスク要因であると考えられます」ということは、糖尿病の予防になる食生活を心がけることは、認知症を予防するうえで大切であるといえるだろう。■一汁三菜の和食スタイルが大事久山町研究では、認知症になりにくい食事パターンも検討している。その結果、糖尿病を予防する食事法とも類似していた。「’88年の久山町の健診で食事調査を受けた、認知症のない60〜79歳の住民1,006人を17年間追跡調査し、食事パターンが認知症発症に及ぼす影響を検討しました。すると、大豆・緑黄色野菜・海藻類・魚・卵・牛乳や乳製品・果実などをよく摂取する食事をしている人のほうが、認知症になりにくいことがわかったのです」牛乳・乳製品を例に挙げると、摂取量が1日あたり44グラム以下の人たちと比べて、97〜197グラム(約牛乳瓶1本分)摂取する人のほうが、血管性、アルツハイマー型ともに発症率が低かったという。九州大学農学研究院との共同研究では、鶏の胸肉に含まれる“イミダゾールペプチド”という成分に記憶力を改善させ、認知症に予防的に働く可能性があることなどもわかってきている。「注意してほしいのは、『これを食べていたら認知症を予防できる』という夢のような食材はないということです」二宮先生が推奨するのは、大豆を使ったお味噌汁などの汁物が一品と、主食の米、魚や肉などの主菜に加え、野菜などの副菜が2品つくバランスのいい“一汁三菜”の伝統的な和食スタイルだ。久山町研究に協力している中村学園短期大学准教授の内田和宏さんが、一日分の理想的な一汁三菜レシピを教えてくれた。【朝食】麦ごはん…白米、押し麦味噌汁…かぼちゃ、しめじいり豆腐…木綿豆腐、にんじん、葉ねぎ、サクラエビ、しらす干し、糸みつばコールスローサラダ…キャベツ、とうもろこし、ヨーグルト、ミニトマトいり豆腐や味噌汁で、大豆を摂取。サラダで緑黄色野菜を、ドレッシングにヨーグルトを使って乳製品もしっかり補給している点がポイント。白米をとってはいけないということではないが、少なめのほうがいい。【昼食】麦ごはん…白米、押し麦鶏肉の味噌焼き…鶏肉、じゃがいも、ブロッコリー五目あえ…にんじん、しいたけ、ほうれん草、絹さや、木綿豆腐きんぴらごぼう…ごぼう、にんじん、ごまリンゴそれぞれの料理にブロッコリー、ほうれん草、にんじんなど緑黄色野菜を含む。大豆、鶏肉のタンパク質は筋力や骨を形成するのに必須なので、しっかりとったほうがいい。足腰の強さを保つことは認知症予防に必須。【夕食】麦ごはん…白米、押し麦味噌汁…オクラ、ぶなしめじアジのエスカベッシュ(マリネの一種)…アジ、にんじん、たまねぎ、きゅうりエビとヤングコーンの炒めもの…エビ、ヤングコーン、さやいんげんトマトのマヨネーズグラタン…トマトアジ、エビといった魚でタンパク質をとるのもいい。アジなど青魚が豊富に含むEPAには血液をサラサラにして血行をよくし、脳機能維持効果がある。緑黄色野菜とトマトやきのこ類と、野菜を豊富に含むのがいい。認知症リスクを減らす一日のメニュー。さっそく実践してみよう。
2019年08月14日熱中症で死者も出ている猛暑が続いてますが、予防のポイントと、もし子どもが熱中症になってしまったときにはどうしたら良いかの対応を予習しておきましょう。熱中症の正しい応急処置の方法と、発症を防ぐためのポイントについて紹介します。事前に知識があればパニックにならず、正しい対処することができます。■「熱中症」とは?そもそも熱中症とは、主に初夏から夏にかけ環境に体が適応できないことで起こるさまざまな症状の総称をいいます。熱中症と聞くと、気温が高い日に起こしそうなイメージがありますが実は湿度の高いときも起きやすい…! だから梅雨明けの暑いときは発生リスクが高まります。熱中症は気温が上がり始めてからではなく、湿気が増えてくる梅雨の時期から意識しておいたほうがいいようです。■熱中症は、軽症、中等症、重症という段階があるなんだか子どもの様子がおかしい。いつもと違う。そう感じたとき、熱中症なのかそうでないのか判断するために、症状について説明していきましょう。 熱中症は症状によって軽症、中等症、重症に分けることができ、数字が上がるにつれて症状は重くなっていきます。1、軽症症状:・めまい・立ちくらみ・筋肉痛(こむら返り、足がつるなど)・どんどん汗をかく・手足のしびれ・気分不快感軽症の場合は上記の症状がありますが、意識障害はありません。通常脱水がなく、熱も上がらない状態です。軽症の熱中症には正しい応急処置が必要になります。その方法は次の見出しでご紹介します。2、中等症症状・頭痛・吐き気・嘔吐・だるさ・疲れ中等症は発汗の症状がありますが、意識障害はありません。体温は正常~40度未満です。中等症の症状がある場合は点滴治療が必要になるため、すぐに自家用車で病院を受診しましょう。ぐったり感が強い場合は救急車を呼びます。3、重症症状:・呼びかけへの反応がおかしい・けいれん・真っすぐ走れない・異常な高体温・肝臓や腎臓の障害など・汗が出なくなる重症の可能性がある場合は迷わず救急車を呼びましょう。たとえ症状が軽くても、そこから進行することがあります。くれぐれも経過に注意しましょう。子どもは体温が上がりやすく、脱水になりやすいとされています。低年齢の子どもほど自分の身に起こっている症状をうまくいえないことがあるので、汗の状態をチェックしたり「〇〇な感じがする?」など、大人から様子を気にかけるケアが必要になります。■軽度の熱中症、正しい応急処置の方法は?先ほどご紹介した軽症の熱中症の可能性があるときは、応急処置をしましょう。正しい応急処置のポイントは次の3つです。1、涼しい場所に移動し、あおむけに寝かせる2、身体を冷やす3、水分を補給する涼しいところで着ている服をゆるませ、上を向いて寝かせ、濡れタオルや保冷剤(タオルで包んだもの)などを「首」「脇の下」「太ももの付け根」など、太い血管のあるところにあてて冷やします。そのうえで水分補給を促しましょう。脱水の治療としてはORSとも呼ばれる「経口補水液」がおすすめです。乳児の場合は30~50ml/kg、幼児の場合は300~600ml/日を目安に補給しましょう。乳幼児で授乳中の場合は母乳やミルクでもOKです。小児や大人の場合はORSもおすすめですが、なければ市販のスポーツドリンクや2倍に薄めたリンゴジュースなどでもいいでしょう。学童から大人までは500~1000ml/日が目安になります。ただ経口補水液は熱中症の症状が出た場合の水分補給に適しているもので、予防目的で連日飲む必要はありません。市販のスポーツドリンクも糖分が多いので飲み過ぎは禁物! 麦茶などと組み合わせて水分補給するようにしましょう!■熱中症を予防するには?熱中症を予防するためには、大人がこまめに声をかけることです。小さな子どもは遊びに夢中になると、水分補給をつい忘れてしまいます。自分で不調の症状を訴えることも難しいので、親が熱中症のサインを見逃さないようにすることが大切です。「ちょっと休憩しよう」「飲み物を飲んでね」など、こまめに声がけしていきましょう!また子どもの熱中症は体調コントロールが何よりの予防になります。そこで、この機会に普段の生活を見直してみるのもいいですね。まずは毎日しっかり眠るようにします。熱中症にならないためには午後にお昼寝休憩をとるのもおすすめです。時間がとれる場合はママも一緒にお昼寝しましょう。気温が高い日が続くと食欲が落ちるのは大人も同じですが、夏を元気に過ごすには栄養バランスの整った食事も欠かせません。無理のない範囲で食事をとり、適度に外遊びをさせることで体を暑さに慣れさせるのも熱中症予防には効果があります。■熱中症予防におすすめの子育てグッズここからは熱中症予防に役立つアイテムを3つ紹介していきます。・抱っこ紐の中は暑い…! 丹平製薬 カンガルーの保冷・保温やわらかシート 抱っこひも用 マリンカラー (首が座る生後2~3ヶ月頃から対象) 抱っこひもに取り付ける保冷ジェル袋は、特殊な袋なので冷やしても固くなりません! 温度調節シート入りの専用カバーで覆うことで、表面を適度な温度に保ちます。夏は28度前後の状態に5時間保つ力があるので、赤ちゃんも汗ムレなく快適に過ごせますね。・ベビーカーは地面に近いので暑くなる…! ドリテック(dretec) 温湿度計 ブライン 防滴 熱中症/インフルエンザ警告レベル表示 時計機能 バックライト ポータブル O-291BKDI ブラック 本体裏側の警告モードボタンを押すと、熱中症やインフルエンザの警告レベルをバックライトが点滅し、知らせてくれる温湿度計。十分な長さのあるバンドタイプなのでベビーカーにも簡単に取り付けができます。・ベビーカーのフードにも装着可能な扇風機 えりかけ扇風機 BodyFan(服の中へ送風)背汗・脇汗乾燥/ベビーカー対応 USB充電池式 ハンズフリー ハンディファン 携帯扇風機 (4インチファン, 黒) 風量は3段階で調節可能です。熱中症は子どもだけじゃなく、大人もかかります。子どものケアも大事ですが、親も水分補給を忘れないようにしましょう!(出典:佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクト)
2019年08月12日近畿在住の70代女性は夫と死別して一人暮らしをしていたが、1年ほどしてから「夫が生きている」と口走って夜中に外を歩き回るようになったため、慌てた娘に連れられて精神科病院を受診した。この女性の診察にあたった、ひょうごこころの医療センターの小田陽彦認知症疾患医療センター長が、当時の状況を次のように話す。「お薬手帳を見ると、受診の1カ月前から『ベンゾジアゼピン受容体作動薬』という抗不安薬が投与されていました。いわゆる安定剤です。本人に事情を聞くと、『夫が亡くなってから1年たつのに不安が一向に収まらない』とかかりつけ医に言ったところ処方されたようです。じつはこの薬は、65歳以上の人が飲むと幻覚妄想を伴う意識障害(せん妄)や認知機能障害を起こしやすいので、副作用の可能性を考えてすぐに中止し、外来で経過をみました。すると翌々週には幻覚妄想や徘徊といった症状がすっかり消えたのです。よくなったので精神科への通院は3回ほどで終了しました」「認知症」とは、「もの忘れ、言葉が出にくい、段取りができない」といった症状により生活に支障をきたしている状態を指す。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つが代表的な認知症を引き起こす病気(認知症性疾患)だが、日本神経学会のガイドラインによると、認知症の症状が出る病気は、じつに60種類以上もある。【アルツハイマー型認知症】記憶をつかさどる海馬を中心に脳が萎縮する。直近の出来事を忘れる、日付がわからなくなる、判断力が低下する等の認知機能障害が起こる。【血管性認知症】脳梗塞や脳出血などで起こる。損傷血管の部位によって症状はさまざまで認知機能障害以外に歩行障害、排尿障害などが現れることがある。【レビー小体型認知症】脳にレビー小体という異常構造物が出現する。認知機能障害以外に幻視(70%)、パーキンソン症状(77%)など多彩な症状がみられる。【前頭側頭型認知症】人格をつかさどる前頭葉や言語をつかさどる側頭葉が萎縮する。異常行動が目立つ(行動異常型)前頭側頭型認知症や意味性認知症がある。「そのなかには、治る可能性があるものも含まれます。しかし、きちんと病気を探さず、もの忘れが起きたら何でも、『アルツハイマー型』と診断を下してしまう医師も多く、すぐに抗認知症薬が処方されたためにかえって体調を崩してしまうケースもあるのです。特に多くの薬を投与されている65歳以上の高齢者は注意が必要です。薬の種類が増えるほど薬同士が合わないことによるトラブルの可能性は高まりますし、65歳以上になれば誰でも薬の副作用は出やすくなるのです」(小田センター長・以下同)冒頭の女性のように薬の副作用が原因で認知機能障害が起こるケースは多く、抗不安薬のほか睡眠導入剤、総合感冒薬、胃酸を抑えるH2受容体拮抗薬などは要注意だという。もの忘れがひどくなる脳の病気には、前出の4大認知症のほかに、脳を覆う髄液が脳内で滞り脳を圧迫する「正常圧水頭症」や、頭を打った後しばらくしてから血腫が頭蓋骨内にできて脳を圧迫する「慢性硬膜下血腫」がある。いずれも外科手術で症状が改善する可能性があるという。ほかに、飲みすぎていたお酒を断つことで、認知機能が元に戻ることも。「ほかに、甲状腺ホルモンが不足して代謝が低下することで認知機能障害が起こる『甲状腺機能低下症』はホルモン補充療法で、ビタミンB12欠乏症による認知機能障害はビタミン補充療法で改善されることがあります。大切なのは、治るかもしれない認知症を見逃さないことなのです」見逃しを防ぐためにも役立つのが「お薬手帳」。認知症が疑われた際は、医師に今飲んでいる薬をきちんと確認してもらうことがカギだ。お薬手帳の確認がないまま問診だけで抗認知症薬が処方されているのであれば、薬剤師か別の医師に相談してみよう。「抗認知症薬を服用するのであれば、その前にCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)といった頭部画像検査と血液検査は必ず受けましょう。それらなしに正確な診断は不可能だからです。検査なしでいきなり抗認知症薬を処方されている場合は、医師に事情を聞いたほうが無難です」もの忘れが激しくなると、自分で体調不良の原因や経緯を医師に正確に伝えられなくなるので、家族など周囲の協力も不可欠だ。「ご自身で体調の異変に気がつかないときでも、ご家族が『いつごろからどんな症状が起きたのか』といった情報を把握してもらえると医師としては助かります」誰にでも起こりうる認知症。気になる症状が出たときでも、“治るかもしれない可能性”を見過ごさないよう気をつけたい。
2019年08月02日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、赤ちゃんの熱中症予防に役立つベビーカーカバーの紹介です! 梅雨が明けると、いよいよ夏本番に向けて暑い日々がやってきます。そうなると気をつけたいのが、赤ちゃんの熱中症。そこで、お出かけのときにラクに熱中症を予防できる、コンビのベビーカー専用「遮熱メッシュカバー」をご紹介します。 暑い日でも風を通しながら日差しをカット! 夏の赤ちゃんのお出かけは、抱っこひもよりベビーカーのほうが多くなりがち。ベビーカーに乗っている赤ちゃんを熱中症にさせないために、出かける時間を調整したり水分補給をこまめにしたりすることももちろん大事ですが、ベビーカーに降りそそぐ日差しをカットすることも大切です。 このベビーカー専用「遮熱メッシュカバー」は、積水ナノコートテクノロジーの独自技術「masa™加工」を施した生地を採用し、遮熱カバーがない状態と比較してベビーカー内の温度に最大-5℃(※)の差を実現しました。 (※)スゴカル車体を使用し、室温25±2℃/湿度50±4%RHの条件で「外部試験機関」にて試験。(条件によっては結果に差が出ることがあります。) 取り付けや赤ちゃんの乗せ降ろしもラク※一部masa™加工のないメッシュ生地を使用しています。 取り付けはベビーカーにかぶせてホックを留めるだけの簡単仕様。カバーをつけたままでも、正面にファスナーがついているので、ベビーカーに装着したまま赤ちゃんの乗せ降ろしができます。また風通しが良いメッシュ素材なので、夏の暑い日のお出かけも赤ちゃんが快適に過ごせます。 軽量&コンパクトなので持ち運びもラク夏の帰省や旅行で遠出する際にも持ち運びやすく、軽量&コンパクトなのもうれしい。さらに、電池や充電などの必要なく、いつでもどこでもサッと使える手軽さが魅力です。装着可能なベビーカーは、コンビのAttOシリーズ・アンブレッタシリーズ・スゴカルシリーズ・メチャカルシリーズ・ロングフィットシリーズ・メチャライトシリーズ・F2シリーズ※。お持ちのベビーカーが使用できるか確認してからご購入ください。 ベビーカーにかけるだけで、まるで木陰にいるような涼しさを実感できるメッシュカバー。暑さが厳しい季節は、こんな便利なアイテムで乗り切りましょう。 ※上記対応機種は2019年6月時点の確認機種となります。製品名 :遮熱メッシュカバーメーカー希望小売価格:8,000円(税抜き) 著者:ライター サトウヨシコ大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。
2019年07月19日成長、発達、認知――。教育関係の記事ではあたりまえのように使われる言葉ですが、その厳密な意味となると答えられない人も多いでしょう。お話を聞いたのは、『しまじろうのわお!』(テレビ東京)などの幼児教育番組や幼児向け教材の監修を行っている、静岡大学情報学部客員教授の沢井佳子先生。それらの言葉の意味に加えて、幼児教育の世界で流行語となっている「非認知能力(非認知的スキル)」という言葉がはらむ問題についても持論を語ってくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)成長、発達、認知という言葉の意味とは?成長、発達、認知という言葉のうち、その意味合いからも混同されるのが成長と発達ではないでしょうか。子どもの成長、発達といった場合、一般の会話においては大きなちがいはありません。でも、アカデミックな意味でいうと両者にはちがいがあります。「成長」とは、「数値」でわかる身体の量的な変化です。つまり、子どもでいえば身長が伸びたり体重が増えたりした場合に、「成長した」というのです。そして、「発達」とは「働き」や「質」に焦点をあてた心身の変化です。たとえば、「子どもが手指で柔らかいものを上手につまめるようになる」という動作の「器用さ」の変化や、そして「頭のなかで言葉や数や論理を理解する」というような、見た目だけではわからない心理的変化も「発達」に含まれます。この発達の過程において、生涯にわたってドラマチックな変化を見せるのが「認知の発達」です。「認知」とはごく簡単にいえば「ものごとがわかる」ということです。一般に認知能力というと、文字を書く、計算する……といった「学力」と同じ意味だと、非常に狭い意味でとらえられがちです。しかし、認知は人間のあらゆる「知覚」「運動」「学習」「判断」「記憶」などに関わります。たとえば、生活習慣の獲得。子どもが服を上手に着られるようになったなら、そこには、方向や位置関係がわかる……という空間認知や、見て触った情報をもとに動作を実行するという認知の発達がみられるのです。友だちとの付き合いにおいても、表情を認知し、視点を動かして相手の気持ちを察し、出来事のつながりから因果関係を推理し、行動の社会的な結果を予測して意思決定をする……といった認知の過程がたくさん含まれているのです。生活習慣から社会生活、おしゃべりから数の理解、砂場の遊びからスポーツの試合まで、子どもの頭のなかでは認知的な営みが忙しく繰り広げられているのです。子どもの教育から少し話はそれますが、この「認知」に関する言葉で、個人的に残念に思っているのが、2004年末に日本で「痴呆症」に代わるものとして「認知症」という名称が採用されたということです。「認知症」という名前は、そのままの意味でとらえると、「わかる病気」ということになってしまいます。当時、厚労省が行ったアンケートでも、ほとんどの有識者が「認知障がいという名称が適切」と答えていました。「認知」を「歩行」に置き換えて考えてみましょう。歩行器で歩く人も、車椅子を使う人も「歩行障がい」があるわけです。が、それを「歩行症」と呼んだらおかしいですよね。「うまく認知できないこと」は、本来なら「認知障がい」と呼びたいところです。「でも、厚労省側が『少しでも字数が少ないほうがいい」と判断して『認知症』という言葉に決まったんですよ」と、その検討会の座長を務めた医師の長谷川和夫先生から、直接お聞きしたことがあります。こうして「認知症」という名称が生まれて15年がたったいま、「うちのおじいちゃん、『ニンチ』になっちゃって……」といったふうに、ずさんに略されて使われるのを耳にします。認知という言葉が真逆の意味で使われるのです。わたしは「みんなの認知症情報学会」で、認知症や発達障がいの当事者の方々のお話を聞く機会があるのですが、そのなかのひとりの女性が「わたし自身の認知の特徴について正確に説明しようとしても、ニンチという言葉は、得体の知れない深海魚か怪物のように思われ、人の誤解を解くのは大変です」とお話しくださったことが忘れられません。「認知症」のように、名前と意味の関係をあいまいにした言葉は、誤解に悩む人を増やしてしまうのです。「社会情動的能力」を「非認知能力」と呼ぶべきではない「認知」の意味への誤解を広げている名称がもうひとつあります。現在の教育界で頻繁に聞かれる「非認知能力(非認知的スキル)」がそれです。米国の経済学者のヘックマン(J.J.Heckman)の著書『子どもたちに公平なチャンスを与える(”Giving Kids a Fair Chance”)』邦訳『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)のなかに「非認知能力」は登場します。ヘックマンは米国の公教育が、子どもたちを到達度テストの点数で評価し、「学力優位の教育に偏っている現状」を批判しています。多くの人が社会で成功し、経済格差を解消するためにも、到達度テスト(認知テスト)では測れない、意欲や長期計画を実行する能力、他人と協働するのに必要な社会的・感情的制御という「非認知能力」を伸ばす教育が重要である。そして幼児期こそ「非認知能力」を育む最適期なので、幼児教育にかかる費用を、社会が家庭へ「事前に分配」すれば、効率的に社会的格差が解消される――。と、幼児教育への社会的投資を促しました。わたしは、この結論には賛成です。経済階層や家庭環境のちがいにかかわらず、どの子どもにも適切な幼児教育の機会が与えられるように社会システムを作ること。そして、学業のみならず、社会性や情動コントロールの能力を育む「幅広い領域の教育」の恩恵をすべての子どもが得られるように、社会が幼児期にお金と手間をかければ、子どもが年を取るまで望ましい効果が得られ、人生も社会全体も豊かになる……というヴィジョン。これは、わたしが30年以上前から、テレビ幼児教育番組のコンテンツ開発の仕事をしながら思い描いてきた理想と重なります。しかしながら問題は、社会性や情動コントロールの能力を「非・認知能力」と名づけ、学業に関わる能力だけを「認知能力」と名づけたことでした。わたしは、その意味する「事柄」ではなく、「名称」を問題視しています。ヘックマンは当初、「(研究者が)数値で量的に認知しやすい能力」と、「(研究者が)数値では認知しにくい能力」とを区別するつもりで、認知能力と非認知能力と命名したようですが、そんな名称では「子どもの頭のなかの認知能力」と区別がつきませんし、実際、混同されています。社会性や情動コントロールの能力のなかには膨大な認知過程があるにもかかわらず、それを「非認知」と呼べば、一般の人は「人付き合いや、我慢ができることなどに、認知は入っていないのだな」と誤ってとらえてしまうでしょう。そもそも、「非(Non-)」が頭について、「認知『じゃないもの』が大事だ」……という造語の仕方が誤解のもとです。大事な事柄は、否定ではなく肯定で、端的に表現すべきでした。ヘックマンは学業の能力(彼のいう認知能力)と社会情動性の能力(彼のいう非認知能力)の両立を重視したはずですが、教育者の間では「非認知能力」あるいは「非認知スキル(Non-cognitive skills)」という名称のみが流行語になり、両者のバランスは崩れていきました。さらに「非」という接頭辞が、続く「認知能力」を排除するか、または時間的に後回しにする解釈へと迷走させています。「<我慢ができて、友だちと仲良く協力し合い、自分の感情をコントロールする力>は非認知能力であり、これが育ったあとに認知能力を伸ばせばよいのです」と、幼児教育の現場で語られるのを聞きましたが、これは、ふたつの能力を同時に重視するヘックマンの論旨に反します。また、赤ちゃんのときからの「顔や声のパタンを見わける認知能力」がベースにあってこそ、特定の大人への愛着が深まり、観察と模倣の学習も進み、社会情動的能力が発達するのだという、心理学の知見ともかみ合いません。学術的な知見と「つじつま」が合わないまま、「非認知能力」という名称は、一般の人々の「認知」への理解をゆがめているのです。幼児期にこそ「認識の枠組み」を与えたい2011年の東日本大震災のとき、米国の『TIME』誌は、被災者の写真とともに「“Gaman”=ガマン」という言葉を「日本人独特の精神性」を象徴するものとして紹介していました。米国人のヘックマンが想定した「忍耐力や情動の抑制のレベル」をはるかに越えるマグニチュードの「被災者の我慢」に、米国のジャーナリストは驚いたのです。幼児教育の現場はもちろん、日常の現実やアニメでも「我慢強い子」のモデルを多く目にする日本は、「他者と協働するための社会性」への期待が重過ぎるほどです。ですから「非認知能力」と呼ばれる「社会・情動性」の教育の旗を振らなくても、日本の幼児教育の先生方はすでにそれをたっぷりと教育なさっていると思います。が、近年の「非認知能力」という流行語の副作用として「認知能力」が狭く解釈され、「文字や数を学ぶ認知能力は、小学校から伸ばす」とみなされ、幼児の幅広い認知能力が論じにくくなったのは問題です。他方、小学校はといえば、STEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学)を代表するプログラミング教育に加えて、英語の教科化で忙しく、6歳からの知識学習はどんどん増やされています。6歳を境に幼児教育と小学校の教育の内容には、崖のようなギャップがあります。それを不安に思う親は、非認知能力重視をうたう幼稚園に子どもを通わせつつ、さらに国語、算数、英語の「学業の先取り」を助ける塾へも通わせ、ダブルスクールの行き来で親子はヘトヘト。楽しいはずの幼児期がこのような疲労感で終わっては、「意欲」を育むどころではありません。そこで思い出すのは、わたしが2004年にハンガリーの保育園を訪ねたときの驚きです。保育士が「さあ、論理で遊びましょう!」と、3歳から6歳の子どもたちを集め、おもちゃや絵本、ボールなどを使って、仲間わけの論理遊びをはじめました。子どもたちは、異年齢同士で相談しながら、おもちゃを選び、ボールを転がして「考える遊び」を楽しんでいたのです。「考えること」は運動であり、友だちとのコミュニケーションであり、答えを探すための忍耐も遊びの内でした。ブダペストの明るい教室には、「子どもの思考」への洞察と、「考える遊び」を開発する技術があり、芸術的なバランスがあることに、わたしは心打たれました。ブダペストの小学校も見学しましたが、幼児教育から滑らかにつながり、校長は「幼児から児童への認知発達を考え、自分で論理的に考えられるように、遊びや学びを開発しているんですよ」とお話しくださいました。論理、社会性、物語、数学、運動、音楽などが、一体となった教育は、面白い幼児教育番組を見ているような印象を残しました。1973年にはじまった幼児教育番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)は、ガチャピンとムックが有名ですが、東 洋、永野重史、新田倫義、藤永 保という4人の発達心理学者が監修して、幼児期の認知発達を支援する目的でつくられました。わたしは1984年から1988年まで心理学スタッフとして制作に携わりました。放送がはじまった頃は、批判の電話がたくさんあったそうです。「幼児期はココロを育てる情操教育が重要なのに、『ポンキッキ』は知識の詰め込みの早期教育でけしからん」という批判です。「知性と情意性、どっちを重視するのか?」という、能力を分割する議論は、むかしもいまも変わらず繰り返されるんですね。『ポンキッキ』の監修者は、「幼児が主体的に情報を処理する能力を育て……質の良い知的構造の形成と深化を目指す」という理念を掲げ、論理概念すらも面白いアニメで見せ、社会性や情動性をテーマにした歌やダンスも開発しました。いま、わたしは『しまじろうのわお!』(テレビ東京)という幼児教育番組の監修者として、ピーマンの悲しみの理解から、転んでも立ち上がる意欲の歌、ジュースの量を比べる遊びまで、幼児の生活全体を対象に、『認識の枠組み』を与える映像を開発しようと、制作仲間と議論を重ねています。ハンガリーの「社会的な論理遊び」、そして「生活のなかで考える面白さ」を伝える『ポンキッキ』、こうした「認知と情意性の発達を丸ごと支援する教育」を、いろいろなメディアで増やしたいものです。大人のかたも、子ども時代の記憶を思い出して、「3歳のわたしが面白かったことは?大好きな人のなにを真似たのかな?」とご自分の発達を振り返ってみませんか?「認知=ものごとがわかること」について考えはじめると、高齢者になるという発達も面白くなるように思います。■ 静岡大学情報学部客員教授・沢井佳子先生 インタビュー一覧第1回:“○歳だからこれができないとダメ!”その思い込みから親を解放する「発達心理学」入門第2回:幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法第3回:「10まで言えるのに、5個が数えられない」?未就学児への“数”と“時間”の教え方第4回:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”【プロフィール】沢井佳子(さわい・よしこSAWAI, Yoshiko)1959年生まれ、東京都出身。チャイルド・ラボ所長、静岡大学情報学部客員教授。認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。学習院大学文学部心理学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。同大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。専攻は発達心理学。幼児教育番組『ひらけ! ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、文教大学人間科学部講師などを経て現職。他に、日本こども成育協会理事、人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事、日本子ども学会常任理事などを務める。幼児教育シリーズ『こどもちゃれんじ』(ベネッセコーポレーション)の「考える力」プログラム監修、幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列/2016年国際エミー賞子ども番組部門ノミネート、2019年アジアテレビ賞受賞)の監修など、多様なメディアを用いた幼児向け教材やテレビ番組の制作におけるコンテンツ開発に携わっている。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月12日だんだん暑くなってきて熱中症が気になる季節になってきました。救急搬送されて亡くなってしまう人のニュースを目にすることもあり、不安を感じている人は多いと思います。熱中症にならないために、どのようなことに気をつければ良いでしょうか?■熱中症とは? 子どもはどうして重症化しやすい?まず熱中症とはどのようなものでしょうか。通常、人の体温は一定に保たれており、それによって体の機能は保たれています。風邪などをひくと自らの体の機能で体温を上昇させて、風邪が落ち着くと体温はもとにもどります。一方、熱中症は外から体が温められて、無理やり体温が上昇してしまう状態です。これにより体温調節のバランスが保てなくなり、臓器が正常に働かなくなってしまうのです。体が温められると熱くほてり、だるさやはき気が出ます。ふらつきや筋肉の痛み、痙攣(けいれん)なども起こり、症状が進行すると、うとうとして次第に呼びかけにも応じなくなります。最終的には全身の臓器不全をきたして死にいたってしまいます。子どもは、背が低いため地面からの照り返しで体が温まりやすく、さらに熱がこもり体温が上がりやすいため、熱中症になりやすいのです。また、自ら症状を訴えることも難しいので、気づかないうちに症状が進行するため、大人がしっかりと様子を見てあげる必要があります。早期発見、予防のためには何をすれば良いでしょうか?■熱中症が起こりやすい状況は?「気温、湿度、日照条件」まずは熱中症が起こりやすい状況を知ることが大切です。熱中症の起こりやすさを示す指標として、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)が用いられています。熱中症のなりやすさは単純に気温の高さだけではなく、湿度や日の照り具合など周辺の環境も含めて総合的な判断が必要です。環境省の『 熱中症予防情報サイト 』では、地域ごとにその日の暑さ指数を確認することができ、赤(危険)、橙(厳重警戒)、黄(警戒)、水色(注意)、青(ほぼ安全)と色別に危険度を教えてくれます。例えば、赤であれば外出はなるべく避ける、運動は原則中止とすることが示されています(日本スポーツ協会 「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」 )。どのような活動をするかの目安として活用してください。ただし、必ずしも今いる場所をピンポイントで示すものではないことには注意しましょう。例えば、体育館など風通しのよくない場所では熱がこもりやすく、暑さ指数は高くなると考えられます。また、屋外だけではなく屋内でも熱中症は頻繁に起こっています。屋内だと油断しがちですが、クーラーをしっかり使って涼しい環境で過ごしてください。■熱中症の予防「日陰、休憩、水分」3つの約束熱中症が起こりやすい状況を把握したうえで、具体的にはどのように対策すれば良いでしょうか。重要なことは、「直射日光を避ける」「休憩をとって涼むこと」「水分を摂取する」です。それぞれ、くわしく見ていきましょう。1 .直射日光を避ける外出時に帽子は必須ですし、できる限り日陰を通るようにしましょう。ベビーカーのひさしが短い場合は、日よけカバーを使います。ラッシュガードは紫外線を防ぐには有効ですが、熱中症の予防をするものではないことに注意してください。2 .休憩をこまめにとる子どもは、ついつい夢中になって遊びまわり、気づかないうちに症状が進行するということがあります。水分摂取のタイミングで日陰に入るなど、定期的に休みをとりましょう。また休憩を取ることで、何度も状態の確認ができます。どのくらいの間隔が適切かはっきりは決められませんが、少なくとも20~30分以上連続して活動しないようにしたほうがいいでしょう。3 .水分を摂取する子どもは自らのどの渇きを訴えませんから、大人が意識的に飲ませなければなりません。休憩ごとにこまめに水分をとらせましょう(大人の水分摂取もお忘れなく)。飲ませるものは、水分だけではなくミネラルの入った経口補水液(OS-1など)が最も望ましい飲み物です。ミネラルが不足するとだるさや筋肉の痙攣が起こりやすくなります。ただ、経口補水液が飲みにくい場合は、同様にミネラルを含むイオン飲料を利用します。どうしてもイオン飲料も苦手という場合は、お茶などの水分に加えて塩気のある食べ物などで代用しましょう。母乳やミルクにはもともとミネラルが含まれているので、赤ちゃんの場合はこれらが飲めていればOKです。OS-1やイオン飲料は糖分が含まれ虫歯の問題もありますので、胃腸炎の脱水対策や熱中症の予防の使用に限定し、日常的に飲むことは避けるようにしてください。■熱中症の治療「もしも、おう吐したら? 」大人が予防しようとしても、子どもはなかなか思い通りには動いてくれません。帽子も外してしまい、水分も拒否して手を焼くことがあります。結果、熱中症と思われる症状が出てしまったらどうすれば良いでしょう。【治療】まずは日陰の涼しいところ、クーラーが効いたところに寝かせて体が温まるのを防ぎます。子どもは症状が進むのも早いので、おう吐やうとうとするなど症状がすすむ時は、必ず医療機関を受診してください。多くは脱水をともなっており、水分の点滴が必要となります。熱中症は誰にでも起こりうるもので、突然日常を脅かします。しかし、暑さ指数を把握したり、適切な水分の取り方を知ることで未然に防ぐことが可能なものです。周りの大人が知識をつけ、理解できる年齢であれば子どもたちにもよく知ってもらうことが大切です。この夏、熱中症による悲しい出来事が起こることのないことを強く願っています。
2019年07月11日「お互い、もう介護される年齢に近づいているわね」という話から始まった“認知症介護対談”。年を重ね歴史のある母娘でも、母が認知症になればその関係は変わってくる。いままで見せなかった弱さを見せるようになったヤマザキマリさん(52)の母は、これまで着ていた鎧を脱いで穏やかに。阿川佐和子さん(65)の母は家族のかせから逃れて、自由になった。母娘が向き合って、その距離がぐっと近くなった介護の時間はとても豊かなものだった――。阿川「うちはいま、認知症の母(91)をきょうだいとお手伝いの方とローテーションを組んで、在宅介護しています。その合間にショートステイで外泊サービスを利用しているんです」マリ「私の母(86)は北海道の実家の近くに住む妹が、在宅介護をサポートしてくれていました。それが、認知症に加え、パーキンソン病も併発して……。足元がおぼつかなくなり、今年1月、部屋で倒れているところを妹に発見されて、入院しました」阿川「高齢者専門の施設なの?」マリ「専門ではないですが、認知症患者が多い病院なんです。我が強い母ですから、同室の人と合うわけがないと思っていたのに、4人部屋で和気藹々と過ごしています。お互い、会話はまったく成立していないんですけど、ワイワイ楽しそうでした」小説家、エッセイストの阿川佐和子さんの母親は、昭和2年生まれで、現在は91歳。父は作家の阿川弘之さん(’15年没、享年94)。外では温厚だが、家庭内では絶対君主で、専業主婦だった母親は振り回されていたという。漫画家のヤマザキマリさんの母親は、昭和8年生まれの86歳。北海道に渡り、札幌交響楽団のビオラ奏者として、2人の娘を女手一つで育て上げた。親の介護が始まったのは、阿川さんが57歳、ヤマザキさんが49歳のときだった――。マリ「佐和子さんは、どうやって親の認知症がわかったんですか?」阿川「8~9年くらい前かな。あるとき、長年、実家で働いてくれた家政婦さんが電話で『こんなこと、私から申し上げるのも何ですが、奥さまがヘンです』って。もともとトボけてるからなあって言ったら『そういう問題じゃありません』って、ピシッと言われたんですね。それで“ついに来たか”と」マリ「母は、80歳を過ぎたあたりから、物忘れが目立ってきたんです。でも、犬の散歩も欠かさず、毎日、元気そうでした」阿川「うちも日常の家事には支障がなかったけど、同じことを繰り返し話したりして“ん?”っていうことが少しずつ……」マリ「あるとき、北海道の実家に帰ると、母が外に立って青ざめた顔で『変な外人さんがうちに来ちゃって!』って。あわてて家に入ると、外国人が出ている料理番組が放映されていて、それを見て、うちの台所に外国人が来たのだと勘違いしたようなんです。そうした症状が増えて、ようやくレビー小体型認知症(症状の1つに幻覚がある)だと診断されました」阿川「うちの母は、いまだに、自分でできることはいっぱいあるんです。お医者さんに行って、勝手にパソコンをのぞいたとき“アルツハイマー”という文字を見て、『誰のこと?』って聞いたりね」マリ「本人も認知症だって認めたくないですよね。母も『一過性のもの』『疲れているだけ』と抵抗していましたから」阿川「いままで、自分を見守ってくれていた親が、だんだん壊れていく姿は、子どもとしてもつらいもの。だから、初期のころは特に必死になるよね」現在でも、認知症の症状は少しずつ進んできているが、母たちは平和で穏やかな日々を過ごしている。阿川さんは、父を’15年に亡くしたが、母は、夫の死をどこまで理解できているのかわからないという。ヤマザキさんの母は、人生を支えてきた楽器演奏から離れて久しいが――。マリ「この間も病院に行くと、母が遠くに歩いている看護師さんを見て『今、コンサートホールの支配人を呼ぶから、挨拶しなさい』って言うんです。私もその“妄想”に付き合って『今日は何を演奏するの?』と聞くと、『プログラムを読んでいないの!』って怒られたり(笑)。母は元気なころ、コンサートのプロデュースもしていたんです」阿川「そういう物語には、乗っかるほうが楽しいよね。うちの母は、なぜかいないはずの赤ん坊の話をするんです。『赤ん坊どうしたの?』って聞かれると『さっき帰った』『ちゃんと寝かせているの』『うん、2階で寝てる』って、話を合わせたりして」マリ「認知症になっても、あえて否定するのもよくないし、羞恥心や感情面の尊重も大事ですよね」阿川「特に排せつに関してはね。以前、母が部屋で頭から布団をかぶっていたんです。どうしたのかと思って布団をめくると、片足だけ私のストッキングをはいているの」マリ「どういうことですか?」阿川「聞いても『んー』と言って答えないの。多分、自分の下着を汚してしまって、それが恥ずかしいと思ってはき替えようとしたのに、どうしていいのかわからなかったと思うんです。それで私のクローゼットから着替えを探したけど、パンツではなく、靴下の引出しを開けてしまったのだと」マリ「親の排せつの失敗は、娘もついつい情けない気持ちになったりするけど……」阿川「考えてみたら、隠すこと自体がカワイイじゃんて思うようになりました」マリ「認知症になって、とても自由に生きられている部分もありますからね」阿川「うちは圧倒的に父が強かったんです。絶対君主的で、それによって家族が振り回されていました。でも母は、『なんでそんなに言うことを聞けるの?』って思うくらい従順だったんです。だから私は、きっと7歳年上の父が早く死ぬだろうし、そうしたら母を旅行に連れていったりして、家庭の束縛から解放してあげようって、ずっと思っていたんです。それなのに、母が先にボケてしまって、悔しかったですよ」マリ「それは無念」阿川「でもね、ボケてみると、100%不幸だとはいえない。むしろ母は自己主張が強くなりましたよ。入院中だった父が『お前の作ったちらし寿司が食べたい』と言いだしたときも、さらっと『あーちらし寿司ですね、そこの百貨店に売っていますよ』って」マリ「素晴らしい!」阿川「いま、母はとても自由に愉快に生きているんです。私が『ねえ、母さん、ご飯作ってよー』って言うと『んー、明日』って先延ばし。マリちゃんのお母さんは、女手一つでずっと闘っていらしたわけでしょ?」マリ「闘魂そのままというイメージを持っていたんですが……。もともと物を書くのが好きな人で、日記帳を渡していたんですね。ところが、認知症に加えパーキンソン病も併発しているから、手が震えてうまく文字が書けない。それであるとき、母の部屋から、書こうと思ったのに、何度も何度も途中で諦めてしまっている書き損じの紙の束が出てきて……。それを隠していたんですね。手にしたときは、もう涙が止まりませんでした」阿川「切ないねえ」マリ「前の母とは違うんだと改めて感じて、喪失感を覚えました。いかに母が私の心の大きな支えになっていたかって痛感して……。50歳にして、初めて精神的自立を余儀なくされた焦りも(笑)。でも、認知症になって、肩肘張らず、強がらず、いまの母は穏やかです」阿川「よかったねえ」マリ「いままでの母なら『会いたい』なんて言わないタイプだったのに、お見舞いに行くと『今度はいつ来るの?』なんて聞いてくるんです。“なんだ、この弱々しい母は”って感じてしまうけど、『1人で娘2人を育て、世間と闘ってきたけど、ようやく甲冑を脱げたんだ』と、いまの姿が本当の母なんだと思えるようになりました」
2019年06月29日認知症の親のもとには毎日のように「振り込んで」と詐欺の電話。夜、買い物に出かけると、まるで当たり前のように徘徊老人が……そんな時代に突入するまで、あと5年半なんです。「年金問題について、大きな波紋を広げた金融庁の報告書。その中では、日本が抱える“2025年問題”にも触れられているのです」(全国紙社会部記者)2025年問題とは、団塊世代の多くが後期高齢者(75歳以上)となる時代に懸念されるさまざまな社会問題のこと。およそ5年後に待つ“恐怖の未来”について語るのは、国際医療福祉大学大学院教授で、公衆衛生に詳しい医師の武藤正樹さんだ。「’25年には認知症の人が700万人に達する、と報告書にもあります。かつて、世界のどの国も経験をしたことがない、いわば“認知症パンデミック”が引き起こされるため、運転による交通事故や、徘徊による失踪・死亡事件の増加が想定されているのです」その予想図と、’25年に向けてわたしたちができる備えについて、武藤さん、そして医療介護コンサルタントで『2025年、高齢者が難民になる日』(日経プレミアシリーズ)の共著もある武内和久さんに詳しく教えてもらった。■認知症患者の保有資産187兆円を狙った詐欺の横行警察庁によると、’18年に起こったオレオレ詐欺やアポ電詐欺などの特殊犯罪の件数は1万6,000件以上。1件あたり、平均約230万円もの被害が出ている。第一生命経済研究所では、認知症患者の保有する金融資産が、’25年には187兆円に達すると推計している。「“ターゲットにするなら認知症の人。なぜならお金もあるし、だまされていることに気づきにくい”と言わんばかりに、詐欺集団も彼らを集中的に狙うことになるでしょう」(武藤さん)【対策】「認知症の人の資産を守るために、本人の意思を尊重しつつ、早めに後見人を選定したいところ。また、オレオレ詐欺に関しては、電話をしながらATMを利用している高齢者に声をかけるなど、地域や金融機関でも犯罪防止に取り組む必要があるでしょう」(武内さん)■行方不明者は2万人超え。うち3%は死者に……昨年1年間に警察に届け出があった行方不明者全体のうち、認知症患者の割合はおよそ20%、その数は1万6,927人にものぼった。そのうち、徘徊の末に死亡が確認されたのは508人だった。認知症の行方不明者数は、’12年の調査から、年々増加している。’25年には、その数は2万人を超えてしまう勢いだ。「’18年のデータでは認知症の行方不明者のうちの3%が死亡していますから、’25年には600人以上の死者が出てしまう計算になります」(武藤さん)【対策】認知症患者が徘徊してしまったとき、6割のケースは“自宅から1キロ以内にいる”といわれている。そのため、地域の見守りが重要だと武内さんは話す。「『この人を見たら私に連絡ください』と近隣に周知することが大切。身元がわかるように、住所が書かれたものを靴や服にくくりつけておくのも一案でしょう」■介護士は55万人不足。施設はパンク状態に年間10万人もいるといわれる介護離職者。その原因は、認知症家族の介護であることが多いという。「不安や睡眠不足など、心身ストレスは計り知れません。ひとりで抱え込めば、虐待などにつながる危険性もあり、専門家に頼るのがベストなのですが……」武藤さんは、頼りにしたい介護現場でさえ“深刻な人材不足”だと嘆く。現在でも介護士は約40万人も不足しており、’25年には55万人にも達する見込みだという。「新たに介護施設を作っても、オープンできないケースが考えられます。1人が見ることができる患者の人数にも限界がありますから、このような状況で、増え続ける認知症の人を受け入れることはできません。無理に押し込めると、劣悪な環境のもとで認知症が悪化してしまう懸念さえあるのです」【対策】武内さんは“在宅介護がベスト”としつつも、家族によるサポートの限界に理解を示す。「たとえ認知症の人の独居であっても安心できるくらいの、医療や介護、見守り、生活支援など、24時間体制の包括ケアサービスが拡充されるべきです。そして、利用できる制度について知っておくこと。65歳以上で一定の収入がない場合、さまざまな介護サービスが1割負担で利用できますが、家族がそれを知らずに抱え込んでしまう場合も多いです。自治体の介護保険課に、在宅介護時に使える制度がないか相談してみましょう」若手弁護士のつながりの場や、介護事業のトップリーダーの講演などを企画している「KAIGO LEADERS」代表の秋本可愛さんは、年々認知症患者が増えていくなかで、彼らを受け入れる社会づくりが大事だと訴える。「認知症の方々が、地域の人たちに『ありがとう』と言ってもらうような機会をもっとつくっていくべき。じっさいに、料理、庭仕事、駄菓子屋のお店番など、高齢者の患者に活躍の場を提供している施設もあります。介護する側だけでなく、彼らにも『ともに社会に貢献している』と思ってもらうことで、少しでも両者の負担が減るのではないでしょうか」親は、夫は、そして自分は?5年後の環境を考えて、自分が打てる対策を実行していこう。
2019年06月28日目下、食品業界でその健康効果が注目されているピーナッツ。ツヤツヤな肌をキープし、認知症も予防。そんな“老けない体”を作ってくれるというのです――。「アーモンドやくるみなど、ナッツ類の健康効果はこれまでにもたびたび話題になってきましたが、いま食品業界が注目しているのはピーナッツに含まれる豊富な栄養素です」そう話すのは、ナッツ類の研究を長年続けている慶應義塾大学医学部の井上浩義教授だ。ピーナッツはミネラル、ビタミン、タンパク質、植物由来の脂質などの栄養素が豊富で、特筆すべきはその“抗酸化作用”だという。「ピーナッツの薄皮部分には、レスベラトロールというポリフェノールがふんだんに含まれており、この成分には血管を若々しく保つ働きがあります。これはほかのナッツ類と比較しても群を抜いています。以前にハーバード大学が行った研究でも、《ピーナッツを毎日食べ続けると、生活習慣病などによる死亡リスクが20%下がる》という報告がされています」(井上教授・以下同)手軽に食べられるピーナッツに、そんなにすごい健康効果があるとは!さらに、ピーナッツから得られる効果は、女性にとってうれしいものが多いと井上教授は解説する。「まずは便通の改善です。ピーナッツは食物繊維も豊富であるため、食べ続けることで腸内環境が整い、1日の便通が平均1~2回増えたというデータもあります。これは大腸がんの予防にもつながるのです」また、ピーナッツは肌の新陳代謝を促し、保湿効果を高めることで、肌を健康な状態に保ってくれるという。「これからは強い紫外線によるダメージが気になる季節ですが、ポリフェノールの抗酸化作用は肌を日焼け後の酸化から守ってくれますし、ビタミンEは美肌効果をもたらします。同時に網膜の細胞が保護されることで、目の老化予防という効果も得られるのです」そのほか、脳の血流を活性化させ、記憶力アップや認知症の予防にもなる。さらには、活性酸素や悪玉コレステロールを減らすことで、動脈硬化を防ぐことにもつながる。これほどまでの若返り効果をもたらすピーナッツは、“最強食材”といってもけっして過言ではないだろう。井上教授自身、毎日ピーナッツを食べる生活を10年以上続けているそうだが、その効果を実感しているという。「昔は難治性のニキビが出ていたのですが、ピーナッツを食べるようになってからはいっさいなくなりました。もちろん、毎日快便です」そう話す井上教授の肌は、記者も驚くほどツヤツヤだ。
2019年06月20日目下、食品業界でその健康効果が注目されているピーナッツ。ツヤツヤな肌をキープし、認知症も予防。そんな“老けない体”を作ってくれるというのです――。「アーモンドやくるみなど、ナッツ類の健康効果はこれまでにもたびたび話題になってきましたが、いま食品業界が注目しているのはピーナッツに含まれる豊富な栄養素です」そう話すのは、ナッツ類の研究を長年続けている慶應義塾大学医学部の井上浩義教授だ。ピーナッツはミネラル、ビタミン、タンパク質、植物由来の脂質などの栄養素が豊富で、特筆すべきはその“抗酸化作用”だという。「ピーナッツの薄皮部分には、レスベラトロールというポリフェノールがふんだんに含まれており、この成分には血管を若々しく保つ働きがあります。これはほかのナッツ類と比較しても群を抜いています。以前にハーバード大学が行った研究でも、《ピーナッツを毎日食べ続けると、生活習慣病などによる死亡リスクが20%下がる》という報告がされています」(井上教授・以下同)手軽に食べられるピーナッツに、そんなにすごい健康効果があるとは!さらに、ピーナッツから得られる効果は、女性にとってうれしいものが多いと井上教授。その効果は次の5つだ。【1】お通じがよくなり、腸がイキイキ!【2】高い保湿効果で、肌がツヤツヤに!【3】脳の血流が活性化し、認知症の予防に!【4】網膜の細胞が保護され、目の老化防止に!【5】良質な脂質で、動脈硬化の予防に!これほどまでの若返り効果をもたらすピーナッツは、“最強食材”といってもけっして過言ではないだろう。さっそくピーナッツを食べる習慣を始めたいところだが、井上教授によれば、若返りの効果を十分に発揮させるには食べ方や選び方に注意が必要だという。ポイントは次の4点だ。【1】必ず薄皮付きのものを!「薄皮をとってしまうと、大切なポリフェノールがほとんど失われてしまいます。健康効果を得るためには、ピーナッツは必ず薄皮付きのものを選ぶようにしてください。市販のものはきちんと密封されたもの、素焼きのものを選ぶようにするとよいでしょう」【2】目安は1日30粒“ピーナッツは太る”という先入観を持つ人もいるだろう。もちろん食べすぎには注意だが、ピーナッツのカロリーは、30粒でおにぎり約1個分。「間食でついつい甘いものに手が出てしまうよりは、ずっといいでしょう。小腹がすいたときに手軽に食べられるのも、ピーナッツのよいところです」【3】朝起きてひとつまみ「人間の体が1日のうちで“酸化”のピークを迎えるのは正午です。朝一番にピーナッツをひとつまみ食べることで抗酸化物質を摂取し、体を酸化から守ることができます」【4】味付きでないものをできれば味が付いていない素焼きのものが好ましいが、食べにくさを感じる人は、塩味やハチミツなどの味付きでも構わないという。ただし、塩分過多のものを食べることで、せっかくの健康効果を台無しにしてしまうことのないように気をつけたい。若々しさをキープするために、手軽に食べられる“最強食材”ピーナッツ30粒を、毎日の習慣にしてみては。
2019年06月20日こんにちは。助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。 今回は、夏になって気になる赤ちゃんの日焼け予防についてお話します。知っておくことで、不安なく夏のレジャーが楽しめるようになりますよ。 赤ちゃんにも日焼け予防は必要?昔は、子どもは日光に当たることを推奨されていました。骨をつくる栄養素のビタミンDは日光に当たることでつくられますが、手の甲に15分程度あたるくらいで十分とされています。 紫外線をたくさん浴び続けると将来的に、様々な皮膚のトラブルになることがあります。赤ちゃんのうちから強い日焼けをしすぎないようにすることが大切です。 日焼けしすぎないように注意することは?■時間帯に注意する1日のうちで午前10時〜午後2時までに紫外線量が1番強くなります。この時間に長時間屋外で過ごすことは避けるようにしましょう。短時間であれば問題ありません。 ■場所に注意する日陰を選んで遊びましょう。ひさし、屋根、パラソルなどがあるところを選ぶようにします。 ■衣類や帽子つばの広い帽子、首にカバーがある帽子をかぶせましょう。衣類は肌の露出が少ないもの、紫外線を反射しやすい白や淡い色のもの、UVカット効果のある素材のものを選びましょう。ケープやベビーカーの日差しよけも良いですね。プールの場合、ラッシュガードなどを着るのも効果的です。 日焼け止めクリームはどんなものを選べば良い?肌に負担の少ない低刺激性で、ベビー用や子ども用のもの、石鹸で落とせるものにしましょう。 生後3カ月以上で使用可能とされていますが、メーカーによっても異なるので説明書などで確認しましょう。プールなど水遊びのときは、ウォータープルーフのものにしても良いかもしれません。 日常の生活では、SPF15〜20、PA ++海や山では、SPF20〜40、PA ++〜+++を目安にしましょう。 汗で落ちやすいので、こまめに塗るようにします。お風呂のときは、日焼け止めをしっかり洗い流し、保湿をするようにします。 日焼け止めの塗り方使用前は、腕の内側や太ももなどの目立たないところでパッチテスト(1円玉大ぐらいに塗って赤くならないかみる)をします。 ■顔クリーム状はパール1個分、液状は1円玉1個分手のひらにとる。額・鼻の上・両頬・アゴに分けておいてそこからまんべんなく丁寧に塗りのばします。その後にもう一度同じ量を重ねづける。 ■腕や脚などの広範囲容器から直接直線を描くようにつけてから、手のひらでらせんを描くように均一にムラなく伸ばす。 塗り薬と虫よけを一緒に使う場合は、塗り薬→日焼け止め→虫よけの順番になります。 紫外線の強い季節、外出や外でのレジャーも増えます。曇りの日も、紫外線を浴びているので長時間の野外活動の場合、日焼け予防に努めることが大切です。ぜひ、参考にしてみてくださいね。 ※引用・参考文献日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会「保育園・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会統一見解(2015.09)」 監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業しました。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたることも。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受けています。自身も一児の母として奮闘中です。HP:「みき母乳相談室」
2019年06月19日徳光和夫アナウンサー(78)が6月14日、渋谷区と日本認知症予防学会が取り組む「認知症に関する協定」概要発表会に認知症予防大使として出席した。一部スポーツ紙によると、徳光アナは自身の起用理由について「認知症予備軍であり、78歳にしては元気。みのもんたは最近、何となく元気ないので、一番元気のいいのが徳光と思われて、大使に選ばれたと思う」と笑わせたという。「徳光さんにとってみのさんは、業界の後輩であり立教大の後輩。そのため“ネタ”にはしやすかったようですが、たしかに最近のみのさんには心配の声も上がっています」(テレビ局関係者)みのは13年11月までTBS系の情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」「みのもんたのサタデーずばッと」でキャスターをつとめていた。だが13年9月、日本テレビに勤務していた次男が窃盗未遂容疑で逮捕。同局を諭旨解雇処分となった。そしてみのにも批判が殺到した結果、両番組のキャスターを降板した。「当時のみのさんは年収10億円超えとも言われるほどの人気者でした。しかし両番組に続き、文化放送の冠ラジオ番組『みのもんたのウィークエンドをつかまえろ』が14年3月で終了。87年から放送されていた長寿番組でライフワークにしていただけに、ショックだったでしょうね」(芸能記者)現在は稼業である水道メーター会社兼個人事務所「ニッコク」社長をつとめながら、レギュラーは日本テレビ系「秘密のケンミンSHOW」とAbemaTV「みのもんたのよるバズ!」の2本のみだ。「AbemaTVではキャスターをつとめています。みのさんそれを足掛かりに地上波へのキャスター復帰を狙っていたようですが、いまどにお呼びがかかりそうな気配はありません」(前出・芸能記者)地上波のキャスターこそが、みのの“若さの秘訣”だったようだ。
2019年06月16日卵には認知症予防や風邪予防の栄養素が含まれています。コレステロールが多い、と良くない面が取り上げられがちですが、良い面も沢山あります。2015年、食事摂取基準でコレステロールの上限値が設定されなかったことをふまえ、結局、卵は何個くらい食べるのがベストか?ということについてまとめています!卵が「摂りすぎ注意」といわれていた理由は?出典:byBirth卵のコレステロールは多い?卵1個(Mサイズ)につき、コレステロールは280mg含まれています。たらこ1/2腹(約25g)で88mg、焼き鶏のレバー1串(約30g)で約110mgなので、確かに卵のコレステロールは多いといえますね。卵といえば、「コレステロールが多い」と、良くない面が取り上げられがちですよね。ダイエット中、炭水化物を減らすかわりに卵を1日に何個も食べる人や、卵に含まれる栄養素に着目するのは良いですが、卵ばかり食べる人もいます。そういったことが原因で、「卵の食べ過ぎは良くない」と見聞きすることが増えたのかもしれません。卵に含まれる栄養素卵には、魅力的な栄養素が豊富に含まれています。ビタミンCと食物繊維以外は含まれているので、「完全栄養食」といわれることも。コリン卵黄に含まれている脂質です。脳を活性化させ、認知症の予防・改善に良いといわれています。数ある食品の中でも、卵のコリンは特に脳に吸収されやすい、といわれています。記憶力アップにも良いといわれているので、勉強盛りの子どもにも◎。メチオニンアミノ酸の一種で、体内では作ることができないため、食事から摂る必要があります。アルコールは肝臓で分解されますが、その際に必要になる成分です。二日酔いに卵はおすすめです。ビオチン皮膚や髪をきれいに保つ作用があります。美肌・抜け毛対策もできるとは、嬉しいポイント◎。さらに、コレステロールの代謝をよくする作用もあります。リゾチーム卵白に含まれていて、細菌を卵の内部に侵入させないよう、溶菌作用があります。風邪薬に「塩化リゾチーム」という成分が入っていることがあります。なんと、卵白から特殊な技術で取り出された成分なのです。医療にも使われるとは、すごいですよね!免疫力を高めるため、「風邪予防に卵」と覚えておきましょう!1日に摂るコレステロールの上限値がなくなった!?食べていいわけではないって本当?出典:byBirth厚生労働省の食事摂取基準では、1日に摂るコレステロールの上限は300mgと設定されていました。しかし、2015年に発表された新しい食事摂取基準では、上限値はなくなっています。根拠がなかったため、上限値がなくなった?上限値がなくなった、というと、「どれだけ摂ってもOK!」と思われがちです。ですが、今回、上限値が設定されなかったのは、コレステロールは体内で合成できるため、食事から摂るコレステロールの影響が少ないと考えられる上限値を決める科学的根拠が少ないという理由です。食事からの影響が少ない、というだけで影響はゼロではないこと、根拠がなかったために上限を設定できなかった、とも捉えられます。コレステロールはどれくらい体内で合成されている?肝臓でコレステロールはつくられます。コレステロールの約9割は、体内でつくられており、残りが食事から摂る分です。確かに、体内でつくられる比率が圧倒的に多いですよね。また、食事でたくさんコレステロールを摂ると、体内での合成量は少なくなり、常に一定の量に調整されています。これからまた変わる可能性も今後、食事のコレステロールが血中コレステロール値におよぼす影響について、はっきりとした根拠が分かった場合、食事摂取基準におけるコレステロール基準値は変わる可能性もあります。常に、最新の情報をみておく必要がありますね!医師から制限等がない場合、1日に1~2個がベスト!出典:byBirthコレステロールが高い家系の人は、遺伝素因もあるので、食べ過ぎには注意しておきましょう。また、年齢とともに、どうしても血中コレステロールはあがる傾向にあります。コレステロールが気になるなら、水溶性食物繊維をとろう!水溶性食物繊維には、体の中の余分なコレステロールを吸着して、体の外に出すはたらきがあります。どんな食品に多いかというと、フルーツ(熟したもの)わかめ、昆布などの海藻類しいたけ、舞茸、しめじなどのきのこ類などです。卵だけでなく、コレステロールが気になる場合は、今から対策として水溶性食物繊維を摂っていきましょう!まとめ出典:byBirth卵は、何かと「コレステロールが多い」といわれがちですが、他にもコレステロールが多い食品は沢山あります。卵には美容や健康に魅力的な栄養素がたっぷり含まれています。とはいうものの、食べ過ぎには要注意。1日に3個も4個も食べることは避けたほうが良いでしょう。何にでも、「適度」があることを理解して、楽しく食事ができるのが理想的ですね!
2019年06月15日6月に入り、保育園や幼稚園、学校ではプール開きや水遊びの季節ですね。親としては水着などの準備や洗濯物が増えることを気にしがちですが、これからの時期にこそ気を付けたいのが感染症です。夏にかかることの多い感染症の一つが「咽頭結膜熱」、いわゆる「プール熱」。症状や感染経路、予防法についてご紹介します。■プール熱、5月下旬の感染者数が今年最多に!プール熱とは、アデノウイルスによって引き起こされる、突然の高熱とのどのはれ、目の充血などが特徴の感染症。感染者のうち、5歳以下の子どもが全体の6割程度を占め、幼児から小学生が多くかかります。かつて、夏にプールを介して感染することが多かったため、「プール熱」と呼ばれるようになりましたが、現在はプールの塩素濃度管理が徹底されているため、プールの水から感染することは滅多にないようです。毎年6月から8月にかけて、プール遊びの時期に流行ることが多いとされます。現在、咽頭結膜熱(プール熱)はどの程度流行っているのでしょうか?国立感染症研究所によると、2019年5月20日から5月26日までの全国約3000の医療機関1定点あたりの報告数は0.64人で、今年に入って最多人数になっています。過去5年間の同時期と比較するとやや低い数字ですが、前週から急激に増えています。また例年、流行のピークを迎えるのはこれからのため、今後も感染者数が増えていく可能性があるといえそうです。都道府県別に見ると、鳥取県が1.42人、新潟県が1.30人、沖縄県が1.18人の順に多くなっています。咽頭結膜熱は夏の感染症と思われがちですが、近年では冬にも流行ることが多くあります。一年を通して注意したほうがよさそうですね。■プール熱の症状、潜伏期間、感染経路は? では、咽頭結膜熱(プール熱)の症状をくわしく見ていきましょう。また、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎の違いはどこにあるのでしょうか?【症状】1日の間に39~40℃の高熱と、37~38℃の微熱の間を行き来する症状が4~5日続きます。 扁桃腺がはれて、のどが赤くなり、痛みをともないます。リンパ節がはれたり、頭痛や腹痛が起きることも。さらに、目が真っ赤に充血して、目やにや涙が多く出るなどの結膜炎症状が出ます。【潜伏期間】潜伏期間は2日から14日です。【感染経路】目をこすった後に手指をふいたタオルなどを介した接触感染、くしゃみやせきなどのしぶきによる飛まつ感染。【流行性角結膜炎との違い】咽頭結膜熱と流行性角膜炎、どちらもアデノウイルスによって引き起こされる感染症ですが、ウイルスの型が異なります。どちらも目に結膜炎の症状がありますが、高熱になりやすく、のどの痛みなどの症状がプラスされたものが咽頭性結膜炎といえるようです。■プール熱「予防、対処、登校(登園)基準は?」 咽頭結膜熱を防ぐ方法はあるのでしょうか? また、実際にかかってしまった場合はどのように対処すればいいのでしょうか? 登園・登校基準もあわせて見ていきます。【予防方法】接触感染、飛まつ感染を防ぐために、排便後やおむつ交換後の手洗いを徹底しましょう。プール前後のシャワーや、タオルを共用しないなど心がけましょう。【対処法】有効な治療薬はないため、症状に合わせて対症療法が行われます。【登校(登園)基準】発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状がなくなった後、2日を経過するまで出席停止となっています。アデノウイルスはウイルスの型の種類が多いため、何度も似たような感染症にかかるケースもあるようです。毎日こまめに手洗いをしたり、家族の間でもタオルを共用しないなど気をつけて過ごしたいですね。参考サイト: ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 ・国立感染症研究所「感染症動向調査 週報」 ・国立感染症研究所「アデノウイルス」
2019年06月13日「今、64歳なのですが、今年から初めて本気で終活を考え始めました。きっかけは、やはり両親です。父が93歳、母が89歳で体は健康なのですが、2人とも認知症を患っています。症状は父が軽く、母が重いため、今、地元・山形で別々の老人ホームに入っています。山形新幹線で片道3時間で往復できるようになりましたから、毎月、日帰りでも時間をつくって帰るようにしています」そう話す渡辺えり(64)。昨年創立40周年を迎えたオフィス3○○(さんじゅうまる)を主宰、日本劇作家協会会長も務める彼女は『ぴったんこカンカン』(TBS系)などテレビ出演に加え、現在も大阪松竹座の『三婆』に出演するなど精力的に活動。私生活では4月に23年間連れ添った俳優・土屋良太(52)と離婚したばかりだ。後悔はたくさんあるが、ひとつだけ、両親にやっておいてよかったなと思うことがあると渡辺は言う。「15年前、母親から急に『どうも認知症になりそうだ』と電話があったんです。今までこうしてくれとか何も言ったことがなかった母親が、初めて。『元気なうちに、旅行に連れてってくれ』と。行きたいところを聞いたら、伊勢神宮と出雲大社と、日光東照宮と広島の原爆資料館の4つ。それで必死に10日間休みをつくったんです。そのときはまだ両親も元気で、移動の際も私のトランクを持って走ってくれて、すべて時間どおり、間に合ったんです。母親と一緒に露天風呂に入って背中を流し合ってね。本当によかった。当時の写真は母もいまだに喜んで見ています」今夏、渡辺が主宰するオフィス3○○の舞台『私の恋人』はその旅行体験が生かされているという。「両親と広島の原爆資料館に行ったときのことです。私も初めてでした。私は劇作家ですから、人間のしでかした所業は人に伝えなくちゃいけない。これは見なくちゃと思って、目を見開いて全部見て出たんですけど、途中で両親を見失ったんですよ。おかしいなと思って外に出たら、噴水の前のベンチに2人でうなだれているんです。とてもじゃないけど見てられなかった、と2人で泣いているんです。戦争経験者ですから、心が傷つきすぎて5分で出てきたんです」渡辺はドイツのミュンヘンでナチスがユダヤ人を隔離するため造ったダッハウ収容所にも足を運んだそう。「今度の舞台『私の恋人』もダッハウがモチーフなんです。ガス室の隣に焼却炉が3つ並んでいて、ここで亡くなったという部屋もすべて見て色も覚えてます。囚人に植えさせた木も見ました。戦争は名もない人たちを犠牲にする。それが今もなお繰り返されてる。何とか止められないか。それが『私の恋人』のテーマですから、私が直接見てきたものをぜひ舞台で再現させたいと思います」時間もお金も演劇にひたすらつぎ込んできたという渡辺。貯金はほとんどないという。「私は芸能人だからお金持っていると思われがちなのですが、演劇人は違うんです。亡くなった杉村春子さんもそうでしたけど、ほかで稼いだお金で劇団を存続させてきたんです。老後の貯金なんかしてこなかったんです。だからまず、貯金から始めようと。節約して少しずつ始めます。そうしないと、周りに迷惑をかけてしまうでしょう?老人ホームを契約しなきゃいけないのかなと思っています」
2019年06月08日今や4人に1人が持っている国民病ともいえる腰痛。そのうちの8割以上は非特異的腰痛という、いわゆる画像診断で症例のつかない腰痛だという。腰部脊柱管狭窄症など背骨の病気の専門家で、都立広尾病院整形外科医長の平尾雄二郎先生は、「姿勢」と「歩幅」が腰痛に関係していると指摘する。「非特異的腰痛の人は猫背で前傾、首が前に出ているなど姿勢が悪く、狭い歩幅で、“トボトボ歩き”をする傾向がありますが、それは体幹が衰えている証拠です。体幹が衰えると、背骨が固まり、背骨と股関節をつなぐ腸腰筋の働きが衰え、腰が後ろにひけた歩き方になります。これが、狭い歩幅につながり、果ては慢性的な腰痛の原因となっているのです」猫背、肩が内側に入っている、前傾姿勢など姿勢が悪いと、見た目にも老けた印象を与える。ところが、「正しい姿勢」で歩く習慣をつけると、衰えた体幹に刺激が入って「広い歩幅」で歩けるようになり、腰痛の予防・改善にもなると平尾先生は言う。平尾先生がすすめる「広い歩幅」とは、「65.1cm以上」を指すが、実は、この「65.1cm」は、認知症予防としても推奨されている。「65.1cm」の発見者で、国立環境研究所の主任研究員(前東京都健康長寿医療センター)の谷口優先生は、高齢者の身体機能の低下と歩幅の関係を、長年研究している。高齢者666人を、「歩幅が狭い(58.2cm未満)」、「普通(58.2~65.1cm未満)」、「歩幅が広い(65.1cm以上)」の3群に分けて認知機能低下リスクを調査したところ、「歩幅が広い」グループを1とすると、「歩幅が狭い」グループは3.39倍の認知症リスクがあることがわかった。また別の調査で、1,686人を最長12年間追跡調査したところ、歩幅が狭いまま年を重ねる人たちの認知症リスクは、広い人に比べ3.3倍に上がったという結果も得ている。「歩幅の広さ」が脳の働きと深い関係にあることは、今では世界的にも注目されているトピックなのだとか。「脳の萎縮や血流量の減少が認められる人は、歩幅が狭くなっていることがわかっています。逆を言えば、歩幅が広ければ認知症を防げているといえるでしょう」(谷口先生)では、65.1cmとは、どれくらいの歩幅だろうか。目安は「横断歩道の白線をまたげるかどうか」だ。「白線の幅は約45cmあり、自分の片足も入れると、白線を踏まずにまたげる人は歩幅が約65.1cmあることになります。ただ、またげなくても、身長差や股下の長さなど個人差もあるので、『65.1cm』は“目標値”でかまいません。広い歩幅を意識するだけでも、変わってくるはずです」(谷口先生)
2019年05月22日花粉症の人にとって、春の季節は外でのデートがとても辛いものです。ここでは、花粉症の彼が喜んでくれるモテ気遣いについて具体的に紹介していきます。なるべく室内でのデートを提案する花粉症の場合、大量の花粉を吸いこんでしまうことで鼻水やくしゃみが止まらなくなってしまいます。そのため、花粉があまり飛んでいない室内でのデートを提案すると喜ばれますよ。例えば、お互いの家、映画館やデパート、プラネタリウムなどでデートをするといいでしょう。室内ならば、彼も花粉に神経を使わずに思う存分にデートを楽しめます。気遣いができる彼女だと認識されて、二人の仲がより深まりやすくなりますよ。マスクをつけることを勧めるデートの際は、お洒落を優先させるために花粉症でもマスクをつけない方は多いものです。しかし、花粉症の人がマスクを我慢していると、いつ鼻水やくしゃみが出るかわからないのでデートが楽しめなくなります。そこで、彼女の方から「辛かったらマスクをつけていいよ」と一声かけてあげるといいです。すると、男性がマスクをつけやすくなります。もしもマスクを用意していないなら、薬局などに一緒に買いに行ってあげるといいでしょう。優しさがより相手に伝わることは間違いありません。鼻をかむことを勧めてあげよう花粉症の方は、デート中に鼻水が止まらなくなってしまうことも少なくありません。ただ彼女の前で鼻をかむのは恥ずかしいために我慢してしまう方は多いものです。鼻をかめないのはかなりのストレスなので、そんな時は「どんどん鼻かんだらいいよ」と冗談っぽく言ってあげるといいでしょう。このように鼻をかみやすい雰囲気を率先して作ることで、彼は女性の気遣いに感謝してくれます。ティッシュを用意してあげる花粉症の彼がいる場合、デートの時にあらかじめティッシュを用意しておく気遣いもおすすめです。近年では、鼻が赤くならないように柔らかいタイプのティッシュが販売されていますよね。なので、普通のティッシュではなく、柔らかいものをたくさん用意しておくと相手に気遣いが伝わりますよ。すぐに使えるようにポケットサイズのものを用意しておくといいでしょう。
2019年03月25日のどが痛み、ひどい場合はお茶を飲み込むことすらつらくなる溶連菌感染症(通称:溶連菌)。保育園や幼稚園などで「溶連菌がはやっている」という話やお便りをもらうこともあるかもしれません。症状や治療法、予防法などをくわしく解説します。■溶連菌感染症「4~6歳でかかる子がとくに多い!」溶連菌感染症は、A群溶結性連鎖球菌が原因となる感染症。のどの痛みや発熱が主な症状です。でも、名前を聞いたことはあっても、実際にわが子がかかったことがなければ、どんな感染症なのか、知らないママ・パパもいることでしょう。小さな赤ちゃんがかかることは少なく、年中・年長児や小学校低学年でかかる子が多いようです。実際に、 東京都感染症情報センター の患者報告数によると、2019年第10週(3月4日~3月10日)では5歳が99人ともっとも多く、続いて6歳が96人、4歳が88人となっています。一方で、大人でも免疫が落ちていると感染することがあるため、「子どもの感染症だから」と油断するのは危険といえます。一年中かかるおそれのある感染症ですが、冬から春にかけてと、5月~7月ごろに流行することが多いようです。■溶連菌感染症「例年より増加傾向」最新の患者報告数は?現在の流行状況をみてみましょう。 国立感染症研究所 によると、全国で指定された約3000カ所の医療機関(小児科定点)から受けた患者報告数は2019年第8週(2月18日~24日)で8457人、1医療機関あたりの平均報告数は2.67人でした。これは過去5年間の同時期と比べても多くなっています。都道府県別にみると、上位3県は石川県5.34人、鳥取県5.05人、岩手県4.95人でした。3月に入って流行が少しずつ落ち着いてくるころですが、今年は例年よりも報告数が多く、まだまだ油断できない状況といえそうです。■溶連菌感染症「どんな症状? 感染経路は?」 溶連菌の特徴といえばのどの痛みですが、ほかにはどんな症状があるのでしょうか? 感染期間や感染経路などもみていきます。【症状】のどの痛み(いん頭痛)と発熱が主な症状です。のどや、のどの入り口を取り囲む部分(へんとう・いん頭へんとう)が赤くはれることがあります。舌に赤いぶつぶつができる「いちご舌」になったり、全身に鮮やかな紅色の発疹が出たりする「猩紅熱(しょうこうねつ」を引き起こすことがあり、5~10歳に多くみられます。治療が不十分だと、リウマチ熱や腎炎などを併発したり、とびひ(伝染性膿痂疹)になることもあります。【潜伏期間と感染期間】潜伏期間は2~5日。抗菌薬を服用後、24時間以内に感染力はなくなります。【感染経路】せきやくしゃみのしぶきなどによる飛まつや、接触によって感染します。■溶連菌感染症「予防法、治療法は?」 溶連菌感染症の効果的な予防法はあるのでしょうか? また、「もしかして溶連菌かも?」と思った場合はどうすればいいのでしょうか?【予防方法】飛まつ感染や接触感染を予防するためには、手洗いやうがいなどの一般的な予防法が大切です。年齢に応じて、せきエチケットにも気を配りましょう。【診断法】迅速診断キットにより、10~15分程度で診断できます。【治療法】合併症を防ぐためにも、抗菌薬を決められた期間、きちんと服用することが大切です。薬を飲んですぐに熱が下がった、のどの痛みがなくなったからといって、自己判断で服用を途中でやめることは避けたほうがいいでしょう。困ったことがあれば医師や薬剤師に相談するようにしましょう。【登校(登園)基準】適切な抗菌薬による治療をはじめて24時間以内に感染力はなくなるため、それ以降は登校(登園)が可能です。3月現在もかかる可能があり、これから夏に向けて、さらに流行することが予測される溶連菌感染症。とくに年中や年長児、低学年の子どもはかかりやすいため、日頃から家庭でも手洗い・うがいを徹底して、気をつけておきたいですね。参考サイト: ・国立感染症研究所 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 ・東京都感染症情報センター「感染症発生動向調査」
2019年03月24日鼻がグズグズ、涙が止まらない人をよく見かけるようになりました。花粉症。DJ KAORI風に言うとケフン症。キツい薬を飲んでむくみや眠気の副作用に苦しんだり、粘膜をレーザーで焼いてみたり。涙ぐましい努力を毎年続けている方、アーユルヴェーダのセルフケアで体質改善してみませんか?なぜ花粉症が起きるのかまずはそこから考えてみましょう。アーユルヴェーダの視点から見ると、春はカパ(水のエネルギー)の季節。前回のドーシャでお勉強した、カパの特徴を振り返ってみましょう。カパの特徴は温和で色白で落ち着きのある性格。冷え性傾向があり肌や髪はしっとりと艶やか。まるで美しい湖のよう。でも一転、そのカパが強まってしまうと……よどんで濁った水たまりを思い浮かべてみてください。ドロドロと粘着性を持ち、流れるのを嫌い、動けずにその場に留まっている。鼻水ズルズル、憂鬱な気分、むくんで冷えて活動的になんてなれやしない。まさにこれらは春に起きがちな日常の不調ではないですか?そんな濁ったヘドロ状態のみなさんへ捧ぐ、アーユルヴェーダ的解決法とは刺激!刺激!!ひたすら刺激!!!よどんでしまわぬよう、留まってしまわぬよう、カラダとこころ、両方に刺激を与えて活性化。溜め込まないのがカギなのです。では具体的に、6つの方向からお伝えしますね。1. オイルで撃退!花粉症ぜひ試してほしいのがこの「アヌタイラ」。アヌ=細かいタイラ=油数えきれない薬草をオイルで煮出した点鼻オイルです。細く、奥まで入り込む効果があるためにアヌタイラと呼ばれているそう。カラダが温まった状態がベストなので、お風呂で使ってみましょう。片鼻に3滴ずつ入れてみると、ツーンと脳にしみる感覚、そして喉の奥底がイガイガ……それをカー!とタンを吐き出すように出していきます。大した量は出ないですが、お風呂でどんどん流してください。これをしている間は結構辛いけど、翌日はスッカ〜〜〜〜!!この世の匂い独り占め気分を味わえます。鼻炎、花粉症だけでなく偏頭痛を持っている人にもおすすめ。私は祐天寺にあるアーユルヴェーダ部門がある最古の病院、ハタイクリニックで購入しましたが色々なサイトでも売ってますよ。2. スパイスで撃退!花粉症これ。トリカトゥというミックススパイスです。トリ=3つカトゥ=辛い文字通り、3つの辛いスパイスが同量に入っています。ブラックペッパー、ジンジャーパウダー、そしてピッパリー。ピッパリーはヒハツ、ヒバーチ、長胡椒とも呼ばれ、日本では沖縄で採れるスパイス。ピリピリと刺激があり、チリとは違う辛みがあって、私は大好きな味。これをお茶にしたり、蜂蜜と混ぜて舐めたり、料理に使ったり。そうそう、私がプロデュースしている“整えごはん”でも取り扱っています。「体質別便秘解消スープ」の号で、ヴァータ体質向けのキットに入っていますよ。カラダを温め、消化力を上げ、脂肪を押し流してくれる働きもあります。風邪のひきはじめにもおすすめ。ピッタ体質の方や妊婦さんは控えめに摂りましょう。3. 春の野菜で撃退!花粉症蕾菜をお出汁と岩塩だけで、さっと煮浸しにしてみました。春に旬を迎える野菜はなんでしょう。セリ、ウド、ふきのとう、キャベツ、セロリ……どれもほろ苦い味を持っていますよね。このほろ苦さと新芽のパワーが、最高のデトックス効果をもたらせてくれるのです。そもそもカパのトラブルは、冬に旬を迎えた脂をたっぷりと蓄えた食べ物を取りすぎて起こるもの。それを春の旬がしっかりと流してくれるのです。自然のサイクルは本当にすごい。いつだって私たち人間が必要なものを、最高な方法で差し出してくれています。季節のものをどんどん摂りましょう!4. 香りで撃退!花粉症アロマオイルで花粉症のぼーっとした頭をスッキリさせましょう。ユーカリやティーツリー、ペパーミントにラベンダー。痒みの原因である炎症を抑えて免疫力を上げる香りを選びましょう。無色透明の太白ごま油に混ぜて、頭と耳、ひざ下から足裏にかけての3点をオイルマッサージするのもおすすめです。5. ガルシャナで撃退!花粉症そして肌に優しく刺激を与える、ガルシャナもぜひはじめてみてください。ガルシャナとはサンスクリットで「摩擦」を意味し、日本の乾布摩擦のルーツでもあります。ただおすすめしたいのは、木綿でゴシゴシとこするのではなく、この絹の手袋。手袋をはめて、優しくリズミカルにカラダをドライマッサージしていきます。すると肌の表面がしっとり、光を帯びてくるのがわかります。体内からのデトックス効果もあり、カラダはもちろん、気分もスッキリ!重い気分が吹き飛び、アクティブになれますよ。6. 鼻うがいで撃退!花粉症鼻うがい、やってみたけど痛くて断念したよ……という方多いのではないでしょうか。そんな時はこのアーユルヴェーダの”ネティポット”を使ってみてください。そして痛くないコツは●頭を傾けすぎない●鼻で吸わない(片方から片方へ、水を流すだけ)●水温は37度くらい、人肌に●真水は痛い!岩塩をひとつまみを試してみたらほら!笑顔で鼻うがい。(怖い)ネティポットで検索すれば、amazonなどですぐに手に入りますよ。どれもお家で試せることばかり。でもどれかひとつだけでは、もしかしたら治らないかもしれません。地道に、上記のことを試してみてください。(あと乳製品、チョコレートはやめてみましょう。そして朝6時以前の起床がおすすめです!)薬の即効性はありませんが、アーユルヴェーダは「根治」を目指します。カラダは思っている以上に単純で正直。気づけば花粉が怖くなくなっていた、という方はたくさんいます。今日から試せることからはじめてみましょう!PROFILEARYURVIST ライフスタイルアドバイザー三野村なつめコピーライターとして数々のCM企画・制作に携わる一方でアーユルヴェーダと出会う。その奥深さと実践するとどんどん体調が良くなるところ(ここが大事)にハマり、南インドやスリランカを数度訪れた後アーユルヴェーダ・ライフスタイルアドバイザーの資格を取得。コスメブランド「AYURIVST」やレシピとスパイスがセットになった「整えごはん」を立ち上げる。
2019年03月20日出産後の母親を心身ともにケアし、サポートを行う「産後ケアサービス」。産後ケア施設では、看護師や助産師、産後ケアリストのもとで赤ちゃんと一緒に過ごし、母体の回復や心身の安定を図るケア、育児相談などのカウンセリング、授乳や沐浴の指導などを受けることができます。ベビーカレンダーでは、新機能「産後ケア施設検索サービス」のリリースにあたり、1,226名のママを対象に、「産後ケアサービス」の認知度及び利用実態調査を行いました(調査期間:2019年2月13日~2月17日)。調査・分析の主なポイントは以下の通りです。産後ケアサービスを「知っている」ママは53.4%! 1,226名のママに「産後ケアサービス」の存在を知っているか質問したところ、約半数の人が「知っている」と回答。その一方で、46.6%の人は「知らない」と回答しました。 また、産後ケアサービスを知っていると回答したママに、産後ケアサービスを知ったタイミングについて質問したところ、最も回答率が高かったのは「妊娠中」66.7%でした。続いて、産後ケアサービスを知ったきっかけについても質問したところ、回答率のTOP3は「行政や自治体の相談窓口」29.1%、「産院の紹介」22.0%、「育児関連のWEBサイト」17.2%という結果に。 この結果から、“妊娠中に行政や自治体の相談窓口で産後ケアサービスについて知る機会があった”というママが多いことがわかりました。 知らないママが多数!産後ケアサービスは利用料の助成を受けられる 産後ケアサービスの存在を「知っている」と回答した655名のママに、住んでいる地域に産後ケアサービスを受けられる施設があるかを質問したところ、60.2%の人が「ある」と回答しました。次いで回答率が高かったのは「わからない」という回答で30.8%。産後ケアサービスについて知ってはいるものの、“実際に利用できる場所が身近にあるかどうかは不明”という人が約3割という結果になりました。 さらに、自治体から産後ケアサービス利用料の助成を受けられることを知っているかという質問には、59.1%の人が「知らない」と回答。助成内容や対象者は自治体により異なりますが、産後ケアサービス利用料の一部が助成され、残りが自己負担額となります。利用料は8〜9割ほど助成されることが多く、サービス内容によっては全額助成され、自己負担額なしで利用できることもあります。 産後ケアサービスの利用を検討する際に知っておきたい利用料の助成についてですが、認知度はやや低いことが明らかになりました。 実際に産後ケアサービスを利用したママはわずか6.4%! 1,226名のママに「産後ケアサービス」を利用したことがあるか質問したところ、「ある」と回答した人はわずか6.4%で、約9割のママが産後ケアサービスを受けたことがないということがわかりました。 さらに、産後ケアサービスを利用したことが「ない」と回答したママに、利用しなかった理由について質問したところ、最も回答率が高かった理由は「産後ケア施設の存在を知らなかったから」43.3%で、最初の質問への「産後ケアサービスを知らない」という回答率に比例する結果となりました。続いて、「産後ケアを受ける必要がないと感じたから」27.5%、「利用料が高いと感じたから」19.3%といった理由が上位に。「利用料が高いと感じたから」については、自治体から助成を受けられることを知らない人が多いことも影響していると考えられます。 また、「その他」の回答には、「産後の育児が忙しく、登録が助成期間内に間に合わなかった」「サービスを受けるには事前登録が必要だったが、退院後なかなか外出することができなかった」「周りに産後ケアサービスを利用した人がおらず、本当に良いものかわからなかった」「具体的なサービス内容がわからなかった」といった理由が挙がり、特に「産後しばらくは育児に追われて外出の時間がとれず、産後ケアサービスの登録手続きができなかった」という声が目立ちました。中には、「家族に反対された」「なんとなく、罪悪感を感じた」「夫/義母に悪いと思った」など、家族に気を使って利用を諦めたという人もいました。 課題はあるものの、産後ママの育児負担や不安が軽減される!少数派ではありましたが、産後ケアサービスを利用したことが「ある」と回答した79名のママに、産後ケアサービスの満足度を100点満点で採点してもらったところ、平均点は81点でした(有効回答数:77)。 サービスを利用して良かった点として、 「助産師さんや保健師さんなど、プロに聞きたいことを気軽に聞けて、不安や心配事が解消された(日帰り型サービスを利用)」 「気兼ねなくお風呂に入れたり、眠れたりと、ゆっくり休息できて自分の時間が持てた(宿泊型サービスを利用)」 「なかなか外出できない時期に、自宅まで助産師さんが来てくれて助かった(訪問型サービスを利用)」 「突然の母乳拒否をあっという間に解決してくれた。迅速な対応で、電話した翌日の午前中に来てくれた(訪問型サービスを利用)」 といった声が挙がり、利用者の満足度の高さがうかがえます。 あわせて、サービスを利用して物足りなさを感じた点についても質問したところ、「特になし」という回答が最も多く、次いで「もう少し長い期間利用したかった」「利用時間が短い」といった回答が多数でした。ほかにも「宿泊型の場合、持参する荷物が多くて大変だった」「予約がなかなか取れない」といった声もあり、利用者からの評価が高い一方で、もう一歩!といった課題点もあるようです。 最後に1,226名のママに、産後ケアサービスを利用することで、出産後間もないママの育児負担や不安は軽減されると思うか質問したところ、「とても軽減されると思う」43.3%、「まあ軽減されると思う」47.5%という結果に。産後ケアサービスによって産後の育児負担や不安が軽減されると感じているママが、全体の約9割にのぼりました。 今回の調査結果から、産後ケアサービスの認知率は約5割で、「産後ケア施設の存在を知らなかった」「利用料が高いと感じた」などの理由から、実際にサービスを利用したママは少ないことが明らかになりました。より多くのママが産後ケアサービスの利用を検討できるよう、産後ケアサービスの認知度を高め、具体的にどのようなサービスを受けることができるのかを周知していくことが今後の課題と言えそうです。 ベビーカレンダーには、新しく「産後ケア施設検索」の機能が登場しました! この機能を多くのママに活用してもらうことで、産後ケアサービスの利用率向上、そして出産後のママが安心して楽しく子育てをしていくための手助けになることを目指します。 <調査概要>調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」のサービスを利用された方調査期間:2019年2月13日(水)~2019年2月17日(日)調査件数:1,226件
2019年03月20日「RSウイルス感染症」を知っていますか?名前を聞いたことはあっても、どんな感染症なのかわからないというママ・パパもいるでしょう。実は、2歳までにほとんどの子がかかる、身近な感染症です。症状はかぜと似ていますが、乳幼児は重症化する可能性もあり侮れません。症状や感染経路、予防法などくわしく見ていきます。■2歳までにほぼ全員が感染している!「RSウイルス感染症」は、いわゆる「かぜ」と似た症状が現れる、呼吸器感染症です。主に乳幼児がかかります。1歳までに50%以上の子が、2歳までにほぼ100%の子が感染するとされています。「かぜだと思っていたら、RSウイルス感染症だった!」ということもあるようです。一度かかっても免疫が十分にできないため、再び感染することもあります。 1歳未満の赤ちゃんがかかると、急性細気管支炎、肺炎などの重い呼吸器症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。 国立感染症研究所 によると、乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%がRSウイルス感染によるものとされています。これまでの流行時期をみると、2015年までは報告数が秋から増え始めて、年末にピークを迎えていましたが、2016年以降は報告数の増加が早まり、秋にピークを迎えています。2017年と2018年は、夏季の報告数も増えました。ここ数年は、流行の開始、ピークともに前倒しになっており、冬に流行する季節性インフルエンザよりも前に流行しているといえます。2017年を例にあげると、全体の患者数の88%が2歳以下でした。これ以前は0歳、1歳、2歳の順に報告数が多くなっていましたが、2017年では1歳、0歳、2歳の順に多くなっていました。いずれにせよ、赤ちゃんの時期に気をつけたい感染症の一つといえそうです。■RSウイルス感染症「症状、感染経路、潜伏・感染期間は?」 かぜと似ているRSウイルス感染症は、どういう症状があるのでしょうか?【症状】発熱、鼻水、激しいせき、ゼーゼーする苦しそうな呼吸などの症状が現れることがあります。年長児や大人がかかると、軽いかぜの症状ですむ場合がほとんどです。しかし、一番かかりやすい乳幼児、中でも低月齢の子が感染すると、急性細気管支炎や肺炎となり、呼吸困難から人工呼吸管理や入院が必要になることもあります。呼吸器や心臓に慢性の病気を持つ子どもは重症化しやすいため、とくに注意を要します。【潜伏期間と感染期間】潜伏期間は、主に4~6日です。感染期間は3~8日ですが、乳幼児では3~4週間続くことがあります。【感染経路】接触感染や、せき・くしゃみのしぶきなどによる飛まつ感染でもうつります。子ども同士での触れ合いなどでもうつるため、家族やきょうだい間でおもちゃやタオルの共用を避け、子どもの年齢に合わせて、手洗いやせきエチケットを心がけましょう。■RSウイルス感染症「予防法、治療法は?」 効果的な予防法はあるのでしょうか? また、「RSウイルス感染症かも?」と思った場合はどうすればいいのでしょうか?【予防方法】接触感染が多いので、日頃から手洗いを心がけましょう。重症化しやすい早産児、呼吸器や心臓に慢性の病気を持つ乳児、生後24カ月以下の免疫不全をともなう乳幼児やダウン症候群の乳幼児が対象になりますが、流行期に月1回、抗体を筋肉注射することで、発症の予防や軽症化が期待できます。また、RSウイルス感染症ワクチンの開発も進んでいるようです。【治療法】特効薬はないため、症状を抑える対症療法が行われます。赤ちゃんは重症化しやすいため、一度はかぜと診断されても経過を注意して見守り、せきがひどくて治らない場合などは再度受診したほうがいいようです。【登校(登園)基準】せきなどが落ち着いた後、全身状態がよければ登校(登園)可能です。手洗いは引き続き行いましょう。2歳までにほとんどの子がかかる、RSウイルス感染症。とくに月齢の低い赤ちゃんがせきこんでいたり、ゼーゼーしたりしていると心配になりますね。重症化を防ぐために、おかしいと思ったら早めに受診しましょう。参考サイト: ・国立感染症研究所「RSウイルス2014年1月~2018年9月」 ・日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 ・東京都感染症情報センター「RSウイルス」
2019年03月16日暖かくなるにつれ、花粉が飛散し始めて、不調を感じている方もいらっしゃると思います。花粉症が増えた原因の一つとして生活習慣や環境の変化と共に動物性タンパク質や脂肪過多の食事(欧米化)と食品添加物の摂りすぎがあるとされています。今の食事にプラスαして花粉症の不快感を減らしていきましょう。腸の働きを良くして免疫力を高める腸は全身の約60%もの免疫システムを担っているので、腸の環境を整えて免疫システムを強化しましょう。腸内環境をよくするには、食物繊維と乳酸菌を摂取する事が大切です。花粉でお肌にダメージを感じている方もいるかと思います。花粉が肌に付かない様にして花粉症症状をやわらげましょう。● 食物繊維を多く含む食材ヨーグルト、乳製品、納豆、味噌、醤油、漬物● 乳酸菌を多く含む食材ごぼう、イモ類(特にさつま芋)、豆類ビタミンB6で免疫強化のサポートビタミンB6は、免疫を正常化させるタンパク質の合成を助けます。肉、魚介、卵、大豆類、乳製品の他穀類にも含まれるタンパク質と組み合わせて摂取すると効率が良くなります。● ビタミンB6を多く含む食材玄米、胚芽米、はちみつ、豆類、クルミ*熱処理されていない生はちみつを花粉症症状が出始める2ヶ月前から食べると、花粉症の症状が緩和されると言われています。生で舐めても良いですし、ヨーグルトにかけて食べるのも良いでしょう。1歳未満の子への使用は避けましょう。不飽和脂肪酸のバランスをとって花粉症症状を軽減現代の食生活は、リノール酸(オメガ6系)が過多の傾向があります。リノール酸は、紅花油や大豆油、コーン油に含まれており、摂り過ぎるとアレルギー症状を招きやすくなります。不足しがちなオメガ3系は、血液の浄化作用があるので、花粉症やアトピー性皮膚炎や喘息、婦人科系の疾患にも有効なので、意識的に取り入れましょう。● オメガ3系を多く含む食材青魚、亜麻仁油、エゴマ油、クルミ、チアシードオメガ3系は酸化しやすいので、油は日の当たらない所で保管し、早めに使い切り、非加熱で使用しましょう。ストレスへの抵抗力や免疫力を高めるビタミンCビタミンCは、ストレスやウイルスへの抵抗力を高めて、風邪からガンまで様々な病気を予防します。粘膜の炎症や鼻づまりを解消し、花粉症症状を軽減させます。● ビタミンCを多く含む食材果物、緑黄食野菜、イモ類*酸化しやすく、水や熱に溶けやすいので新鮮なものを手早く調理しましょう。ハーブティー で花粉症の不快感を緩和● エルダーフラワー マスカットの様な甘い風味で坑アレルギー作用があり、カタル症状を抑える為、欧米ではインフルエンザの特効薬と言われ、風邪のひき始めや花粉症にも効くとハーブと言われています。 ● アイブライト 古くからあらゆる目のトラブルに効果があるとされているハーブです。パソコンなどによる疲れ目を防ぎ、目の充血を改善する他、鼻や喉の粘膜に働きかけるので、花粉症の症状を落ち着かせる為にもおすすめです。飲むだけでなく、ティーを薄めて目を洗うと、疲れ目や目のトラブルに良いでしょう。 ● ネトル ドイツでは現在でも「春季療法」と言って、春先のアレルギー予防にネトルなどのハーブを積極的に摂る療法が続けられています。 フラボノイドやクロロフィル、ビタミンやミネラルを豊富に含む緑茶の様な風味のハーブです。ヒスタミンを含む為、ぜんそくなどアレルギー症状や花粉症症状の緩和にも役立ちます。飲み続ける事でアレルギー体質の改善に働きかけるハーブですが、妊娠中や小児には、使用量の注意が必要です。● ハーブティーの飲み方乾燥ハーブを単体か複数ブレンドし、小さじ1~2杯をポットかカップに入れ、3~5分置き飲みます。1日3回ぐらい飲むと良いでしょう。湯気をたっぷり吸い込む様にして飲むとさらに効果的です。 監修・文章/宮本そのみ(管理栄養士)
2019年03月09日「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」そう語るのは認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生。加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまうのは仕方ないことのよう。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、軽度認知障害(MCI)は約400万人といわれている。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」「早期受診が急務」ということはわかったが、親を病院へどのようにして連れていけばいいのか。その難問を解決すべく、認知症やMCIに関する電話相談などを行っている「認知症の人と家族の会東京都支部」代表の大野教子さん、副代表の松下より子さんに話を聞いた。「認知症には『自分が自分でなくなっていくのでは?』というネガティブな印象があるため、病院へ連れて行くのに苦労されているご家族からの相談は多いです」(大野さん)やはりこれは、多くの人が悩む問題のようだ。自らも介護経験がある2人が教えてくれたのは、“今後の介護のキーパーソンになる人物が、無理やり病院に連れて行くのはNG”ということ。「『娘までもが私の敵か!』という意識になり、信頼関係がなくなってしまいます。将来的に介護の主役となる方は、最初の段階で病院へ行こうと強くすすめる立場でないほうがいいのかも。お父さんやごきょうだいがいれば連れて行ってもらうのも一つの手です」(大野さん)キーワードは“信頼関係”。たとえば、健康診断などと本人に嘘を言って連れて行くのも、信頼を損なう恐れがあるので気をつけたほうがいいとのこと。そして、配偶者の存在は特に重要だという。「夫婦は当然、相手を大事に思う気持ちが強いもの。元気なほうが『最近、調子がよくないんだが、一緒に病院に行かないか?』と誘って一緒に行くという成功例はよく聞きます」(松下さん)そのほかに、日常で気をつけるべき“家族の心得”は次の5つ。【1】早めに受診し、適切な治療を!認知症が疑われたら、まず専門医を受診すること。適切な治療や介護を受けるには、アルツハイマー型認知症など、どのタイプの認知症かを診断してもらうのが不可欠。【2】介護保険など、サービスを積極的に利用しよう!家族だけで認知症の人を介護することは難しいので、介護保険等のサービスの利用は積極的に。サービスは家族の息抜きだけでなく、本人が社会と接することができる大事な機会。【3】サービスの質を見極める目を持とう!介護保険サービスは利用者や家族が選択できるのが利点。質の高いサービスを選択する目が必要。トラブルがあったときは泣き寝入りせず、冷静に訴える姿勢を持つことも大切。【4】恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう!認知症の人の実態をオープンにすればどこかで理解者、協力者が現れるはず。公的な機関や私的なつながり、ネットの情報も上手に使い、介護家族の思いを訴えることも必要だ。【5】往年の“その人らしい日々”について考えよう!認知症だからといって、その人の人生を否定してはいけない。やがてくる人生の幕引きも考えながら、その人らしい人生が続けられるよう、家族で話し合いの機会を持つこと。「もしかして認知症?」という疑問を感じたら、何よりもまず、すぐに病院へ行き受診を。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「早期受診が急務」ということはわかったけれど、母を病院へどのようにして連れていけばいいのか。その難問を解決すべく、認知症やMCIに関する電話相談などを行っている「認知症の人と家族の会東京都支部」へ向かい、代表の大野教子さん、副代表の松下より子さんにアドバイスをもらうことにした。「認知症には『自分が自分でなくなっていくのでは?』というネガティブな印象があるため、病院へ連れて行くのに苦労されているご家族からの相談は多いです」(大野さん)やはりこれは、多くの人が悩む問題のようだ。自らも介護経験があるお2人が教えてくれたのは、“今後の介護のキーパーソンになる人物が、無理やり病院に連れて行くのはNG”ということ。「『娘までもが私の敵か!』という意識になり、信頼関係がなくなってしまいます。将来的に介護の主役となる方は、最初の段階で病院へ行こうと強くすすめる立場でないほうがいいのかも。お父さんやごきょうだいがいれば連れて行ってもらうのも一つの手です」(大野さん)キーワードは“信頼関係”。たとえば、健康診断などと本人に嘘を言って連れて行くのも、信頼を損なう恐れがあるので気をつけたほうがいいとのこと。そして、配偶者の存在は特に重要だという。「夫婦は当然、相手を大事に思う気持ちが強いもの。元気なほうが『最近、調子がよくないんだが、一緒に病院に行かないか?』と誘って一緒に行くという成功例はよく聞きます」(松下さん)なるほど。「父を説得してみる」のはいいかもしれない。ともあれ、お2人に相談し、胸のうちを話したことで、何より心がすっきりした。こうした電話相談などのサービスを積極的に利用するのはいいことだと実感できた。そして、今月某日――。「お医者さんにMCIと言われたよ」と、母から連絡がきた。「家族の会」で話を聞いた後、父に相談したところ、父も母の変化に心当たりがあったそうだ。そこで、私が専門医を探し、父が母を誘って2人で受診することになった。その結果。母はMCIと診断された。当初、母は落ち込んでいた様子だったそうだが、私がすぐに帰省して「MCIは改善が期待できる」と説明し、「一緒に向き合っていこう」と話したことで、前向きな姿勢も見せてくれるようになった。今後についてだが、まずは通院での治療を継続することが重要なのは言うまでもない。そのうえで、担当医の説明や取材で得た情報を参考にして、取り組むべき課題を簡単にまとめてみた。【1】“地域の人とつながる”こと【2】“孤立を避ける”こと【3】“ワクワクさせる”こと1については、幸い実家のある地域は交流が盛んなので、父と協力しながら、さらに積極的に関係を深めていこうということになった。2については、父と2人暮らしではあるものの、仕事を辞め、家に1人でいることが多いので、定期的に東京に遊びに来てもらうことにした。3に関しては、そもそも母が何に興味を持っているのかを知らなかったので、それを知ることから始めようと思う。そうして母にいろいろ聞いてみると、東京で行ってみたいところがたくさんあるようだ。ならば、そこへ一緒に行けばいい。その打ち合わせをするにも連絡が必要なので、結果、これまでより電話をする回数が増えた。これからは母だけでなく、父も含めてワクワクしてもらえることを考え、提案していこうと思う。「もしかして認知症?」という疑問を感じたときは不安でいっぱいだったが、考えてみると“再び家族に戻る”いい機会をもらったということなのかもしれない。とにかく、「あのとき、ああすればよかった」と後悔しないように、自分にできる限りのことをする。気づけば、そんな覚悟ができていたのだった。
2019年02月27日「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」そう語るのは認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生。加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、軽度認知障害(MCI)は約400万人といわれている。そもそも、認知症とMCIの違いは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、朝田隆先生に疑問をぶつけてみた。【Q1】認知症とMCIの違いとは?「キーワードは『自立』です。生活の自立に支障をきたしてくれば認知症、自立生活がなんとか維持できていればMCI。たとえば物の置き忘れでいうと、眼鏡や財布などを一日中捜していたら認知症。その回数が少なければMCIです」(朝田先生・以下同)【Q2】認知症・MCIが疑われる場合、病院はどこへ行けばいいのか?「神経内科、精神科、老年病科などです。ただ、認知症・MCIの専門医は全国に約2,000人しかいません。インターネットで『日本老年精神医学会』『日本認知症学会』と検索するなどして、専門医を探してみてください」【Q3】実際に病院に行くと、患者や家族にはどんなことが待っているの?「長谷川式スケール(HDS-R)などの標準的なテストと面接です。面接では自分の人生史なども話してもらいます。あとは脳のMRIを撮り、それらを総合して診断します。私の場合、初診には40分前後をかけています」【Q4】認知症・MCIと診断されたら、家族はどうすればいいの?「一緒に行事に出かける、散歩する、大型スーパーへ行って店内をくまなく見てまわるなどして、脳を活性化させてあげる。あとは好奇心を引き出し、新しい経験をさせることも重要。いちばん大切なのは意欲をもって生活してもらうことです」【Q5】認知症・MCIを疑われる家族に対する“禁句”は?「『それ、さっきも言ったよ』といった、患者を責めるような言葉は3回に1回ぐらいにして、気長に接してあげてほしいです。何度も言われると、腹を立てる方も。『人のあら探しばかりして』という不満は、よく耳にします」認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのことだった。そこで本誌は、公益社団法人「認知症の人と家族の会」作成「家族がつくった 認知症 早期発見のめやす」をもとに、「認知症・MCI“早期発見”チェックリスト」を作ることにした。これは、日常の暮らしの中で認知症の始まりではないかと思われる行動を、「家族の会」の人たちの経験からまとめたもの。医学的な診断基準ではないが、いくつか思い当たることがあれば、専門医に相談を。【もの忘れがひどい】□今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる□同じことを何度も言う・問う・する□しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも捜しものをしている□財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う【判断・理解力が衰える】□料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった□新しいことが覚えられない□話のつじつまが合わない□テレビ番組の内容が理解できなくなった【時間・場所がわからない】□約束の日時や場所を間違えるようになった□慣れた道でも迷うことがある【人柄が変わる】□ささいなことで怒りっぽくなった□周りへの気づかいがなくなり、頑固になった□自分の失敗を人のせいにする□「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた【不安感が強い】□ひとりになると怖がったり寂しがったりする□外出時、持ち物を何度も確かめる□「頭が変になった」と本人が訴える【意欲がなくなる】□下着を替えず、身だしなみにかまわなくなった□趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった□ふさぎこんで何をするのもおっくうがり、嫌がる「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。母は本当にMCIなのか?そもそも、認知症とは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、私は認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生のもとを訪れ、取材することにした。「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。では、認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみた。すると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのお答え。しかし、参考までに、私が不安を感じた母の行動を朝田先生にチェックしてもらうことに。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった「うつ病の可能性もあるかもしれません。過去に甲状腺の手術をしているのであれば、甲状腺による認知機能の低下という可能性も考えられます」【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった「初めて聞くケースですが、日本語と韓国語を話す韓国の方が、認知症が進行するにつれて日本語を忘れていったということはありました。新たに獲得した言語を忘れていくのはMCIのサインといえるかもしれません」【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。「単なるもの忘れなのかMCIなのか、グレーゾーンですね。注意力の欠如というのは確かに認知症やMCIの症状ではありますが、だからといって見極める決定的要因とはなりません」【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている「“面倒くさい”は、認知症の兆候ではあります。身なりに無頓着になってしまうのは、MCI寄りといえるかもしれません」【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった「加齢による反射神経の鈍りかもしれません。しかし、もの忘れなど記憶に関することばかりが認知症やMCIの症状ではなく、反射神経・運動神経の衰えにも影響していきますので、MCIの可能性は否定できないですね」以上、朝田先生の回答をまとめると、母は「MCIの可能性は否定できない」ということ。改めて、病院で適切な診断を受けることの必要性を実感する結果となった。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」健常に戻る可能性があると知って喜んだのもつかの間、“MCIと診断された人の50%は4年で認知症に進行する”というデータもあると知り、身の引き締まる思いも。いずれにせよ、なるべく早く対策を始める必要があるのは間違いないようだ。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「これは一刻も早く母を病院へ連れて行かなくては!」と思ったものの、母が簡単に病院へ行ってくれるとは思えなかった。認知症にせよMCIにせよ、その事実を目の前に突き付けられるのは嫌だろう。そこで私は、インターネット上で探した“認知症チェックシート”を印刷し、それを持って、年明けに帰省することに。認知機能の低下を診断できるというこのテストで、少し様子を見ることにしたのだ。そして、帰省当日。さりげなく近所の高齢者の話をしつつ、認知症の話題へ持っていき、「簡単なテストをしてみない?」と聞いてみた。しかし残念ながら、「何でそんなことしないといけないの?面倒くさい」と、一蹴。作戦は失敗に終わった。そこで、今度は単刀直入に「そろそろ年だし、一度病院へ行って診てもらわない?」と言ってみると、「病院?何で病院へ行かなくちゃいけないの?」と、取り合うそぶりもみせず。病院へ行く気はないらしい。だが、そうこうしている間にもどんどん認知機能は低下しているかも……。そう思うと、不安は募る一方だ。母は父と2人暮らしだが、一人娘としては放っておくこともできない。しかし、仕事もあるので、たびたび帰省することも難しい。そこで親の異変に不安を感じたときの“駆け込み寺”の一つとしておすすめなのが、各自治体から委託され、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」。全国に5,041(平成29年度時点)あるこの施設は、介護をはじめ、高齢者について知りたいことがあったとき、最初の窓口となるところ。利用できるのは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者もしくはその支援者。相談者の内容によって適切なサービスを紹介してくれる機関だが、そこから認知症に関する医療や介護の専門職である「認知症初期集中支援チーム」を紹介してくれることも。悩んだら、ぜひ自身の住む自治体のホームページを確認するなどして、利用してみよう。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。「親が認知症?」と思ったら、あらためて自分の気持ちを整理するためにも、まずは “私が不安を感じた母の行動”を書き出してみることが大事だという。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった無表情でボーッとしていることは以前からあったが、旅行中はさらにひどくなった感じが。きれいな景色が目の前に広がっていても、見ているようで見ていない感じの表情をする。【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった私と話すときは気を使って標準語で話してくることが多いのに、旅行中は聞いたことのないような方言で話してくることが多々あった。途中から祖母と話しているような気分に。【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。旅行中、キッチン付きの部屋に宿泊。買い込んできた食材を料理に入れ忘れること数度。最近、特に多くなったように感じる。薬の飲み忘れも目立つ。後で忘れたことに気がつく。【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている旅行中は普段着のようなものしか持ってこず、常にノーメーク。仕事を辞めてから白髪染めも手抜きをするようになり、老け込んだ印象。指摘すると「面倒くさいから」の返事が。【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった旅行中ではないけれど、山で果物の収穫作業中に顔を蜂に刺されてしまい、通院することに。聞くと顔に止まっているのには気づいていたが、「手で払う前に刺されてしまった」と。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。もし母が認知症もしくはMCIだったらどうすればいいだろう?仕事は?自分の生活は?母の「もしかして認知症?」疑惑は、親の老いを実感するとともに、私のこれからの人生を考えるきっかけにもなった。
2019年02月25日