「第21回釜山国際映画祭」“ガラ・プレゼンテーション部門”へ正式出品されている映画『怒り』。この度、10月6日(現地時間)に釜山シネマセンターで開幕式が行われ、主演の渡辺謙と李相日監督がレッドカーペットに登場した。国内外で数々の映画賞を受賞し、大ヒットした『悪人』から6年。その『悪人』製作チームが新たに挑戦した意欲作が本作『怒り』。9月17日より全国324スクリーンにて公開された本作は、公開から19日間で観客動員数91万人、興行収入は11億6千万円を記録している。本作が正式出品されている釜山国際映画祭は、1996年に創設されたアジア最大の国際映画祭。今年話題の新進気鋭監督の新作を上映する“ガラ・プレゼンテーション部門”は、本作のほかにも『君の名は。』『ダゲレオタイプの女』『Bleed for This』(米作品)の4本が出品されている。これまで渡辺さんと李監督は、本作で「第41回トロント国際映画祭」「第64回サン・セバスティアン国際映画祭」などの映画祭に招待され参加。本映画祭は、渡辺さんにとって3か所目の国際映画祭となる。過去には2013年の第18回釜山国際映画祭にて李監督と初めてタッグを組んだ映画『許されざる者』がガラ・プレゼンテーション部門で公式上映、翌年の第19回釜山国際映画祭では日本人初となる開幕式の司会を務め、今回が3回目の参加となる渡辺さんにとってはゆかりのある映画祭だ。しかし、今回は台風18号が釜山を直撃。映画祭恒例の海雲台ビーチの特設ステージが高波によってすべて破壊されてしまったが、そのような状況の中でも映画祭スタッフ、釜山市民の手により映画祭は無事開催。そして数々の俳優、監督などがレッドカーペットに登場する中、渡辺さんと李監督が共にレッドカーペットに現れると、客席からはより大きな歓声が響き、「ここが僕の締めなので、気合入っています!」という渡辺さんのコメントに4,000人の観客が熱狂!レッドカーペットには、そのほかにもソル・ギョング、チェ・ミノ(SHINee)、キム・ギドク監督、そして日本からは黒木瞳、板尾創路、長谷川博己らが登場していた。なお、本日10月7日(金)には、釜山シネマセンター・ハヌルヨン劇場での公式上映が予定。さらに、2017年3月より韓国での公開が予定されており、現地の映画ファンからの期待が高まっている。『怒り』は全国東宝系にて公開中。(cinemacafe.net)
2016年10月07日芸術の秋!今年も東京国際映画祭2016(以下TIFF)の季節がやってきました。今年で29回目を迎えるこの映画祭は、六本木ヒルズを中心に約10日間行われるアジア最大規模の祭典です。早いもので、会期まで残り1ヶ月を切りました。そこでROBEでは、先日行われた記者発表会の様子と、注目プログラムのご紹介、と二部に渡ってみなさんに一足先にご情報をお届けします!東京国際映画祭とは?東京国際映画祭とは、1985年に始まった日本初の大規模な映画祭です。と同時に、「世界の映画産業、国際映画祭の諸問題を改善し、検討する国際機関」である国際映画製作者連盟に、唯一公認されているアジアの映画祭になります。その昔は渋谷の文化村あたりで開催されていたこともあったとか。世界中からやってくる数千の応募作品を第一線の映画人が選出し、良質な上映作品たちが幾つかの賞を目指すという熱い約10日が繰り広げられます。これらは文化振興に大きな役割を果たしており、東京国際映画祭はコンセプトとして下記の4点を挙げています。・国内外へ向けた映画の情報発信基地・クリエイターに陽を当て、世界へ羽ばたくステージを作る・未来の映像作家・映画ファンの創出・誰もが参加したくなる映画祭また、 "陸の孤島" と揶揄されることもある六本木で行われることが少しネックとも言われている本映画祭ですが、近年では新宿の映画や歌舞伎座でも上映・イベント開催をしており、今年も六本木以外でも行われるイベントなどもあるので要チェックです。(情報は公式サイトニュースにて随時公開予定)記者会見には豪華ゲストが登壇記者会見には『アズミ・ハルコは行方不明』から松居大悟監督と主演女優の蒼井優さん、『雪女』から主演俳優の青木崇高さん、そして特集として細田守監督が、それぞれゲスト登壇されました。(左より 松居大悟さん、蒼井優さん、青木崇高さん)松居監督は3年前に『自分の事ばかりで情けなくなるよ』で日本スプラッシュ部門にノミネートされたことが、その後の作品制作におけるモチベーションにつながったとの事。今回も、コンペティション選手決定前に、他映画祭からの招待を蹴って東京国際映画祭一本に賭けたとの背景に、その意気込みと思い入れの強さをひしひしと感じました。初の東京国際映画祭参加となる蒼井優さんは、原作の面白さに惹かれ出演を決めたとのことを語っていらっしゃいました。青木さんは『雪女』のオファーが昨年の釜山国際映画祭期間中に、杉野希妃監督一行と食事を囲んでいるときだったと告白。取材陣から映画界における女性進出について聞かれると、監督・主演という二足の草鞋で臨む杉野希妃監督の姿勢に刺激を受けたことを述べ、「杉野さんだからかもしれないが、強いては女性ならではの強さ、のようなものなのかもしれない」と言及していました。注目プログラム〜2人の日本人監督特集〜昨年度より始まったJapan Now特集では岩井俊二監督を、そして特別プログラムとして「映画監督 細田守の世界 / THE WORLD OF MAMORU HOSODA」と題しアニメーション映画監督である細田守監督をフューチャーすることを発表。デビュー以来、その時々の若者の心情を、独特の美学で描き続けていることで名高い岩井俊二監督。監督の名を世間に轟かせたテレビドラマ(’95年に再編集・映画化)『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 』から最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』の計5本が上映されます。また、「映画監督 細田守の世界 / THE WORLD OF MAMORU HOSODA」では、10/26〜10/30には細田守監督と、各日豪華対談が行われることに。登壇ゲストは『海街Diary』の映画監督・是枝裕和監督をはじめ映画界・美術界の著名人ばかり。細田守監督ファンはもちろん、クリエイター気質の皆さんはまたとない機会になること間違えなしです。この二つのプログラムに共通するのは、初期作品から最新作品までを一挙にスクリーンで上映されるという点。監督自身も「自分の作品を一挙に振り返る機会はそうそうない」と感慨深げに話されていましたが、更新されていく部分と変わらない “作風” を垣間見ることができること請け負いです。通過率1%を勝ち抜いた世界各国からの唯一無二の16作品今回のコンペティション部門では世界各国からのべ1,502作品もの応募があり、映画祭ではそのうち16作品が上映されグランプリを競います。(東京国際映画祭の部門については記事下記の概要を参照)それぞれのプログラムの発表が主に行われた今回の記者会見で垣間見えたのは、"変革" と "次世代へのバトンを受け渡そうという姿勢" のようなものでした。より開かれた環境下で、「場所」「著名人」を巻き込みながらより映画を知って深めていただきたい、という気概を感じました。だからこそ、ファッションの "越境" を謳うROBEでの記事執筆に意義があるように感じます。そういえば、昨年TIFF観客賞を受賞した『神様の思し召し(原題:God Willing)』や、チェット・ベイカーの波乱に満ちた人生を描いた『ブルーに生まれついて(原題:BORN TO BE BLUE)』はいくつかのミニシアターで鑑賞することができます。映画祭上映をきっかけに、シアター配給につながる確率高いという意味において、映画祭での上映はきっと作品にとっても非常に大きなターニングポイントになるはずです。ぜひその瞬間をお見逃しなく。第29回 東京国際映画祭 (Tokyo International Film Festival)〈会期〉2016年10月25日(火)〜11月3日(木・祝)〈チケット販売開始時期〉一次販売 10月15日(土)12:00~二次販売 10月22日(土)12:00~※ 上映スケジュールは現在未定※ 詳細は東京国際映画祭公式サイトよりご確認ください〈部門紹介〉◆コンペティティブ・コンペティション部門※ 今年のコンペティション部門はのべ1,502作品の応募を勝ち抜いた16作品を上映・アジアの未来 部門・日本映画スプラッシュ部門◆ショーケース・特別招待作品 部門・Japan Now 部門・ワールド・フォーカス 部門◆クローズアップ・国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA 部門・日本映画クラシックス 部門・ユース 部門(TIFFチルドレン/TIFFティーンズ)Text. Midori Tokioka
2016年10月07日10月25日(火)より開催される「第29回東京国際映画祭」のJapan Now部門で行われる「監督特集 岩井俊二」の記者会見が、10月4日に行われた。この日は、岩井俊二監督を始め、椎名保(東京国際映画祭 ディレクター・ジェネラル)、安藤紘平(「Japan Now」部門プログラミング・アドバイザー)が登壇した。昨年新たに設立された「Japan Now」部門。いま一番海外に発信したい監督にスポットを当てる本部門では、今年国内外で幅広く活躍し、アジアで絶大な人気を誇る日本を代表する岩井監督を特集する。本部門のプログラミング・アドバイザーの安藤氏は「『リップヴァンウィンクルの花嫁』を見たときに日本人に生まれて誇らしいと思ったからです。岩井監督は岩井美術と呼ばれる独特な美意識をもって現代の若者の姿を描く稀有な監督ですが、今回の作品を見てその力をさらに上げたな、と思いました」と今回の特集開催決定の経緯を説明した。本部門では、今年公開された『リップヴァンウィンクルの花嫁』を始め、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、『Love Letter』、『スワロウテイル』、『ヴァンパイア』といった5作品を上映。これにあたって岩井監督は「こういう機会だと、リラックスして映画ファン・映画批評家の方たちと向き合い、一緒に映画を楽しめるので嬉しいです。劇場公開の時には言い知れぬプレッシャーがあり、楽しめないので。バケーションに近い感覚があります」とコメント。今後、中国との合作は?という問には、「すでにプロデュースという形で携わり、いまもいくつか関わっております。中国だけでなく、日本もふくめ映画市場が広がり、盛り上がる方が、アート映画の居場所は作りやすい。そういう意味で可能性があると思います」と回答。また、アニメーションの制作を続けていくのか?という質問には、「現在、実はミュージッククリップを作成中で、実写とは全く勝手が違うのですが、(アニメーション制作を)もの凄くやりたい!と思っています」と明かし、「『花とアリス殺人事件』はヨーロッパでも公開されていて、ヨーロッパの人は、自分をアニメーション監督だと思っている人もいて(笑)。このままヨーロッパの人たちにも知っていただきたいですね」と語った。なお、映画祭の上映後のQ&Aに参加するゲストに、『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の宮藤官九郎監督、現在大ヒット公開中の『君の名は。』を手掛けた新海誠監督、『ダゲレオタイプの女』の黒沢清監督らが登場することも発表された。「第29回東京国際映画祭」は10月25日(火)~11月3日(木・祝)の期間で六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか都内の各劇場および施設・ホールにて開催。(cinemacafe.net)
2016年10月05日11月2日(水)~13日(日)京都文化博物館で開催され、今年で第8回を迎える、世界で唯一“歴史”にフォーカスした映画祭《京都ヒストリカ国際映画祭》の全ラインナップが本日発表された。「第8回京都ヒストリカ国際映画祭」チケット情報今年一番の注目作は、『ジェイソン・ボーン』(10月7日(金)全国公開)でも一際存在感を放つ名優であり、日本では缶コーヒーのCMでもおなじみのハリウッドスター、トミー・リー・ジョーンズが監督・主演を務めた、第67回カンヌ国際映画祭コンペティション正式出品作品『ホームズマン』(14)だ。『ホームズマン』は、19世紀アメリカ中西部の開拓地を舞台に、ヒラリー・スワンク演じるヒロインらとトミー・リー・ジョーンズ演じる流れ者の男が旅をするロードムービーで、緊迫感溢れる映像と、現代に通じる問題を歴史から見据えた意欲作。しかも、トミー・リー・ジョーンズ本人が来場し、日本初上映後にトークショーを開催する予定。昨年インド史上最高のヒット作となった大河アクション超大作『BAAHUBALI(バーフバリ):THE BEGINNING』(原題)をオープニング作品として日本初上映するほか、テーマを絞って歴史映画を特集する「ヒストリカ・フォーカス」では<忍者エボリューション>と題し忍者の歴史を遡る作品を、世界の最新歴史映画を集めた「ヒストリカ・ワールド」では北欧から届いたハリーポッター風歴史ファンタジーなど全22作品を上映。監督や俳優だけでなく、映画制作のスタッフらによる映画作りの裏側が聞ける濃密なトークなども実施する。チケットは、10月8日(土)より発売。
2016年10月04日伝統と革新、優美さと鋭利さ、そして強烈な“密度”と“強度”を持つドイツ映画。今年も、そんなドイツ映画の現在と未来を提示する7作品を一挙上映する「ドイツ映画祭2016HORIZONTE」を開催。このほど、女優で監督の桃井かおりから、ベルリン国際映画祭にも出品された自身出演作『フクシマ・モナムール』の日本上陸を前にコメントが到着した。「HORIZONTE(地平/視野)」と題された本年度ドイツ映画祭は、TOHOシネマズ 六本木を会場に、最新ドイツ映画の中から選りすぐりの注目作・秀作をいち早く上映。気鋭の監督や俳優が来日し、舞台挨拶とQ&Aによって上映作品の魅力を“熱く深く”紹介する。オープンニングを飾るのは、桃井さんが出演したドリス・デリエ監督作『フクシマ・モナムール』。結婚式の直前、式場から逃げ出した若いドイツ人女性マリー(ロザリー・トーマス)は、被災地の人たちに少しでも明るい気持ちを届けたいと、傷心を抱えて福島への慰問の旅を決心する。その試みもうまくいかず落ち込んでいたマリーだが、福島最後の芸者だというサトミ(桃井さん)という女性と知り合い、帰還困難区域で暮らすことに。何もかもが異なる2人の女性の間に、不思議な友情関係が築かれていく…という物語だ。そのほか、13歳の誕生日プレゼントに日記をもらった少女が壮絶な日常や恐怖、希望や夢を書き綴る『アンネの日記』、ナチス戦犯アドルフ・アイヒマンを追う検事長を描く『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』、クリスマスイブに精神科病棟で過ごす若者たちを描く『クリスマスの伝説―4人の若き王子たち』など、全7作を上映。今回、桃井さんは映画祭開催を前に、『フクシマ・モナムール』のロケ地であり、震災の現場である福島の被災者の方たちへ感謝と励ましのメッセージをコメント。10月15日(土)には、桃井さんや各作品の監督や出演者たちが登壇し、オープニング・セレモニー舞台挨拶が行われる。■桃井かおりコメント福島の、そして東北の人びとは未だ復興の真っ只中に居り、私たちも彼らを助けるために出来る限りのことをしなければなりません。この映画が被災者の皆様を元気づけ、ほんの少しだけでも笑顔をお届けできれば幸いです。南相馬での撮影中にご協力頂いた方々、大変お世話になった現地の皆様の親切は決して忘れません。より多くの方に、この映画を楽しんでもらえることを願っています。ドイツ映画祭2016「HORIZONTE」は10月15日(土)~19日(水)までTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年10月04日『おくりびと』以来7年ぶりの映画主演となる本木雅弘を迎え、直木賞候補となった小説を映画化する『永い言い訳』。この度、本作が10月13日(木)に開幕する「第11回ローマ国際映画祭」の“OFFICIAL SELECTION”に招待されることが決定。なお日本映画としては、唯一の招待となっている。人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、妻・夏子(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。まさにそのとき、不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族、トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子どもたちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。子どもを持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝きだすのだが…。本作は、ひとを愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった、観る者すべての感情をかきみだすかつてないラブストーリーとなっている。2006年に創設されたローマ映画祭は、ローマ市の全面的なバックアップで一般市民が審査を行う市民参加型の映画祭。過去には、前田敦子主演作『Seventh Code セブンス・コード』の黒沢清監督が最優秀監督賞を受賞、三池崇史監督の『神さまの言うとおり』がコンペティション部門に出品されている。すでに、米アカデミー賞の前哨戦ともいわれる北米最大規模の映画祭「第41回トロント国際映画祭」で出品され、「第21回釜山国際映画祭」にも招待が決定しており、海外でも注目を集める本作。今回の本映画祭においては、7名の選定委員の満場一致より選出されており、観客賞獲得の期待が高まっているようだ。なお、主演の本木さんと、原作者であり脚本と監督も手掛けた西川美和は、10月16日(日)にローマに向け出発。現地18日午後、フォトコールや記者会見の後、夜にはレッドカーペット&上映に参加する予定だ。『永い言い訳』は10月14日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年10月03日10月15日(土)からTOHOシネマズ六本木ヒルズで“ドイツ映画祭2016 HORIZONTE”が開催される。近年製作されたドイツの最新作を上映するイベントで、桃井かおりが出演する『フクシマ・モナムール』がオープニングを飾る。その他の画像本映画祭は過去にも様々な会場で開催されており、ドイツ映画の新作を堪能できる催しとして好評を集めてきた。今年は7作品が上映され、多くの上映回で、舞台あいさつや、Q&Aの時間が設けられる。オープニングを飾る『フクシマ・モナムール』は、福島の帰還困難区域で暮らすことになったドイツ人女性と日本人女性の友情を描く作品。その他、名作を映画化した『アンネの日記』や、ナチス戦犯を追う検事長が主人公の『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』、クリスマスイヴを精神科の病棟で過ごすことになった患者たちと担当医のドラマ『クリスマスの伝説―4人の若き王子たち』、途上国開発援助の職についた主人公がある出会いを通じて予想外の状況に足を踏み入れていく様を描いた『閉ざされた部屋の嵐』、ドイツにやってきたレバノン難民の少年を描く『メテオール通り』、妊娠中の子が重大な病を抱えていることをしった主人公が赤ちゃんを産むか後期中絶するべきかを迫られる『24週間決断の時』が上映される。ドイツ映画祭2016 HORIZONTE会期:10月15日(土)~19日(水)会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
2016年09月30日野外映画フェス「夜空と交差する森の映画祭 2016」が、10月8日(土)に山梨県北杜市白州・尾白の森名水公園「べるが」で開催されます。今年のテーマは「ゆめうつつ」。短編や長編、邦画や洋画とさまざまな映画が上映されます。満天の星の下、自然に囲まれてどっぷりと映画の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。秋の夜長にぴったりのイベントですよ。追加の入場チケットもあとわずか。興味がある方は早めにチェックしてみてください。夜空と交差する森の映画祭とは?「夜空と交差する森の映画祭」は森や川、岩場などに設営された特設スクリーンで長編映画やショートフィルムを楽しむ、日本初の野外映画フェスです。2014年秋に埼玉県フォレストサンズ長瀞にて「夜空と交差する森の映画祭 2014」が初開催され、テレビやラジオ、雑誌などさまざまなメディアの注目を集めました。コンセプトは「”映画鑑賞”から”映画体験”へ」。新たな作品や人との出会い、ステージ間を移動する楽しみなど、野外フェスの醍醐味がぎゅっと詰まった今までにない映画イベントです。今年のテーマは「ゆめうつつ」!幻想的な4つのステージが登場今年のテーマは「ゆめうつつ」です。映画を流すだけではなく、映画がそこで生きているようなストーリーを会場内やステージに行く途中に散りばめ、夢(物語)と現実が入り交じる世界を表現。光や音を利用して、昨年以上にパワーアップした内容を楽しめます。メインステージは長編映画の上映や企画を行う「ゆめのうまれる場所」。メインステージのほかにも、"女性が休日に湯船に浸かりながらうとうとしてみた夢"がテーマの「お風呂のすいへいせん」や、「ぼくの押し入れ」、「みしらぬ駅」などコンセプトを設けた3つのサブステージも登場する予定です。各ステージはもちろん、その間をつなぐ通路を含めて、まるで夢の中にいるような幻想的な空間が広がります。今年は、全57作品が上映!注目の作品は?3年目となる今回は、短編作品と長編作品、合わせて全57作品がラインナップ。長編作品は少女の初恋の物語を独特の色彩美や作り込まれた映像で描く「アメリ」、宮崎あおいと高良健吾のダブル主演の作品「ソラニン」、筒井康隆原作・今敏監督のアニメ作品「パプリカ」、さらに人気急上昇中の「宅録女子」ラブリーサマーちゃんが音楽を提供し、スズキケンタが監督・脚本を務める「TOKYO INTERNET LOVE」の4作品です。3つのサブステージでは、ドラマ「お姉ちゃんは鯨」やコメディー作品の「鈴木ファイターズ」、短編アニメーションの「I CAN SEE YOU」など幅広いジャンルの短編作品が全53本も楽しめます。飲食ブースやワークショップも登場!当日のお楽しみは映画だけにとどまりません。飲食ブースにはタイ料理やタコス、カレーなど8店舗が登場します。飲食しながら映画を楽しめるのも魅力的です。さらにキャンドルやハンモックが作れる6つワークショップも企画されています。そのほかトークイベントも開催されます。秋の夜をのんびり心から満喫できるコンテンツが目白押しです。イベント詳細名称:夜空と交差する森の映画祭2016 / FOREST MOVIE FESTIVAL会場:山梨県北杜市 白州・尾白の森名水公園「べるが」住所:山梨県北杜市白州町白須8056アクセス:JR小淵沢駅からシャトルバスで約20分開催日:2016年10月8日(土)開催時間:10月8日(土)オープン15:00、上映開始18:3010月9日(日)上映終了5:00、完全閉場10:00※9日朝までのオールナイト開催入場券(追加発売):8,800円※小学生以下は無料。※入場券1枚につき1名まで入場可。※当日券の販売はなし。※エントランスにてリストバンドを装着、再入場時は腕のリストバンドを提示。(リストバンドを紛失したり破損した場合、再発行は不可)。公式サイト:
2016年09月28日フィンランドの最新映画を日本に紹介する「フィンランド映画祭2016」が、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催される。期間は2016年11月4日(金)から8日(火)まで。毎年秋の行事として定着し、最新のフィンランド映画がスクリーンで鑑賞できる貴重な機会となっている同映画祭。今年も多彩なジャンルから選りすぐりの話題作5本がラインアップする。オープニング作品として上映されるのは、ある湖を舞台にし、その周りの自然や動物たちをフィンランドの神話と合わせて映し出すドキュメンタリー『湖のものがたり』。他にも、キャンプに来ていた4人の若者を主役に、実際の未解決事件をモチーフにしたスリラー『ボドム』や、スウェーデン女王にしてフィンランド大公も兼ねた、若きクリスティーナの波乱の人生を描いた歴史ドラマ『王となった少女』がラインナップ。さらに、パリの建築家とフィンランドのDJが、リトアニアで出逢う切ないラブ・ストーリー『朝までの二夜』やウラン鉱山災害による環境破壊や構造汚職を描いた社会派ドラマ『巨山』が上映される。【詳細】フィンランド映画祭2016期間:2016年11月4日(金)〜8日(火)会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ住所:東京都港区6-10-2入場料:1,500円均一(税込)上映作品: 『湖のものがたり(原題:Järven tarina / Tale of a Lake)』 『ボドム(原題:Bodom)』 『王となった少女(原題:The Girl King)』 『朝までの二夜(原題:2 yötä aamuun / 2Nights till Morning)』 『巨山(原題:Jättiläinen / The Mine)』
2016年09月26日今年で29回目を迎えるアジア最大級の国際映画祭「東京国際映画祭(TIFF)」のラインナップ発表会見が9月26日(月)に開催。コンペティション部門出品の『アズミ・ハルコは行方不明』の蒼井優、『雪女』の青木崇高らが出席した。10月25日(火)から11月3日(木・祝)の日程で開催される同映画祭。メインのコンペティション部門には今年は98の国と地域から1,500本を超える応募があり、その中から16本が本選に選出された。日本からは『アズミ・ハルコは行方不明』と『雪女』の2作品がノミネート。『アズミ・ハルコは行方不明』は山内マリコの人気小説を原作に、消息不明になるも、なぜかその顔写真がグラフィティアートのモチーフとなり地方都市に拡散されたヒロインとその周囲の人々の姿を通じて現代日本の女性像を描き出していく。松居大悟監督は「(行方不明になって)存在が消えるのに、どんどんその存在が大きくなっていくというところが映画的だと思った」と原作小説について語る。蒼井さんにとっては『百万円と苦虫女』以来の映画単独主演となるが「主演だけど行方不明なのか…。これは楽かもと正直、思った」と冗談めかしつつ、物語について「女性だから分かる、女性のひどさ、たくましさ、情けなさを多くの女性に『イタタタ…』と思いつつ、観ていただける作品。ここにいらっしゃる女性の皆さんも、すねに傷があるかと思いますが(笑)、その傷を愛おしく思えるんじゃないかと思います」と共感を交えて熱く語っていた。コンペ作品ということで、蒼井さんは主演女優賞を競う身でもあり、行方不明のヒロイン役で、2014年の宮沢りえ(『紙の月』)以来の日本人女優の栄冠にも期待がかかる。コンペティション部門出品に関して、誰より監督が熱望していたそうで、蒼井さんは、このコンペを見越して別の国際映画祭への招待を断ったという経緯も明かし、無事、選出されて「ホッとしてます」と安堵の表情。松居監督は「すごく嬉しいです。この映画を作ったときから、地方都市の鬱屈した気持ちみたいなものが拡散していく話ということで、東京を舞台に戦えたらと思ってました。居酒屋で(選出の報を)聞いたんですが、嬉しくて泣いてしまいました。そのときはまだ『言ってはダメ』と言われてて、席に戻ったら『なんで泣いてんの?』『いいんだよ、バカヤロー』というやり取りもあり…(笑)」とユーモアも交えて喜びを口にした。一方、『雪女』は小泉八雲の古典的怪奇小説を新たな解釈で杉野希妃監督が映画化。青木さんは「小泉八雲という、もともと海外の方が外から見て、日本の風土を取り込んだ作品をベースに、日本人監督が映画化し、それを世界に発信できるということに感慨を感じます」と国際映画祭の場で多くの人の目に触れることの意義を口にした。コンペ以外でも「アジアの未来」部門、「日本映画スプラッシュ」部門、「Japan Now」部門、「ユース」部門など部門ごとに様々な作品が上映される。中でも今年、岩井俊二監督と細田守監督の作品が特集上映されることになっており、この日は細田監督も登壇。「細田守の世界」と題された特集上映では、初期作品から「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と村上隆のコラボレーションによるアニメーション、六本木ヒルズの落成を記念した作品から近年の『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』などが上映される。さらに上映に加えて、是枝裕和監督やアニメーション監督の堤大介、東京国立博物館の平常展調整室長の松嶋雅人氏らとのトークセッションも予定されており、国内外の注目を集めそうだ。細田監督は「まとまった形での上映は初めてですが光栄です」と喜びを語ったオープニングで『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』のメリル・ストリープ、ヒュー・グラントが来日しオープニングのカーペットを歩くほか、歌舞伎座でのスペシャルナイトでは尾上菊之助の舞踊『鷺娘』の上演、古館伊知郎を弁士に迎えての『血煙高田の馬場』の生演奏付き上演、国際交流基金アジアセンターとのコラボにより、行定勲監督らアジアの3監督を迎え、オムニバス作品として製作されたアジア三面鏡2016による『リフレクションズ』など今年も盛りだくさんの9日間となりそうだ。「第29回東京国際映画祭」は10月25日(火)より開幕。(text:cinemacafe.net)
2016年09月26日「第64回サン・セバスティアン国際映画祭」にて、邦画で唯一選出されたコンペティション部門出品作『怒り』。この度、主演の渡辺謙、李相日監督が招待を受け、9月23日(現地時間)にプレミア上映が行われた。国内外数々の映画賞を受賞し大ヒットした『悪人』から6年。その製作チームで新たに挑戦した意欲作が『怒り』だ。豪華キャスト陣が出演していることでも話題の本作だが、今月17日(土)全国324スクリーンにて公開され、公開から6日間の時点では、観客動員数43万人、興行収入は5億6千万円を記録するヒットスタートを切っている。このほど、渡辺さんらが参加した「サン・セバスティアン国際映画祭」は、ヨーロッパにおいてカンヌ、ベルリン、ヴェネチアに次いで重要な映画祭とされている、スペイン最大の国際映画祭。毎年多くの映画監督や著名人が登場し、今年もまたリチャード・ギア、ジェニファー・コネリー、イーサン・ホーク、ユアン・マクレガー、ジョセフ・ゴードン=レヴィットなど、数多くのハリウッドスターが訪れた。今回の公式上映にあわせて、スペイン入りした渡辺さんと李監督は、上映に先駆けサン・セバスティアンの名所であるウルグル山を訪問。上映を前にして渡辺さんは、「サン・セバスティアンの人たちは、何か日本人と合う気がします。食べ物もすごく近い感じがするし、文化的な感じや伝統の感じも、日本人が親しみやすい環境がある気がするので、おそらく心情の部分をもっと深いところで受け止めてもらえるのではないかな」と期待を膨らませているよう。そして、「Kursaal Congress Centre(クルサールコングレスセンター)」で行われた公式会見に参加。渡辺さんは「こんにちはドノスティア!(ドノスティア:サン・セバスティアン通称名)」とバスク語で挨拶し、続けて「ここサン・セバスチャン映画祭にこの映画を持って来られて、大変うれしく、誇りに思っております。人生と同じく複雑でなやましい作品ですが必ず心のどこかに響く作品だと思っています。みなさんにどんな風に受け止めてもらえるかとても興味があります。エスケリックアスコ!(どうもありがとう!)」と流暢なスペイン語でコメント。李監督は「自分が本気で誰かに理解してほしいことをなかなか伝えることが出来ないもどかしさであったり、人はすぐ自分と何かが違うということで排除してしまうところがあるので、映画を観た人が、作品の中のキャラクターたちが本気で抱えている問題が、自分のように感じられるにはどうしたら良いか、悲しみの奥の根っこには何があるのかを観ている人に感じ取ってもらいたいと思って表現を選んでいます」と思いを語った。その後行われた上映には、映画祭最大級のキャパシティを誇る劇場を埋め尽くす1,800人もの観客が来場。場内満席の大盛況の中上映された。本編上映後は、観客総立ちの拍手喝采!さらに劇場ロビーでも映画を鑑賞した観客による盛大なお見送りを受けた渡辺さんと李監督。「見送られながら階段を降りて振り返ったときに、監督と僕とで映画にかかわったスタッフ・キャストの熱い想いを背負って拍手を受けている気持ちがすごくしました。ものすごい力で我々の思いを受け止められ、胸を打ちました」(渡辺さん)、「トロント国際映画祭の上映以上に、お客様は映画を集中して観ていました。冒頭のあいさつの頃は、お客様がざわざわしていたのですが、映画開始のワンカットめから水を打ったように静かでした」(李監督)と語り、見送りでは「観た直後の人たちの気持ちというか、何かを僕らに返そうとする気持ちにやられました」と感動しきりの様子だった。『怒り』は全国東宝系にて公開中。(cinemacafe.net)
2016年09月26日第29回東京国際映画祭(10月25日~11月3日開催)のラインナップ発表記者会見が9月26日、都内で行われた。就任4年目を迎えた同映画祭のディレクター・ジェネラル、椎名保氏は「作品重視の映画祭」をコンセプトに、「国内外へ向けた映画の情報発信基地」「クリエイターに陽を当て、世界へ羽ばたくステージを作る」「未来の映像作家・映画ファンの創出」「誰もが参加したくなる映画祭」という4つの軸を掲げた映画祭運営を説明した。その他の画像会見にはコンペティション部門に出品される『アズミハルコは行方不明』に主演する蒼井優と松居大悟監督、同部門出品の『雪女』に主演する青木崇高、アニメーション特集『映画監督 細田守の世界』より細田守監督が出席した。東京国際映画祭には初参加となる蒼井は、「主人公なのに、行方不明。これはラクかもしれないと思ったんですが、意外と出番が多くて(笑)、やはり甘いものじゃないね」と笑いを誘い、松居監督は「同世代の蒼井さんと、今までにない日本映画が作れればと思った。(コンペに選出されて)うれしくて泣いてしまった」と感激しきりだった。また、細田監督は「こうした特集上映は初めてのことで、とても光栄」と語り、「ずっとアニメ映画にこだわり、何を描けるのか考え続けてきた。まだ描けていない何かが描けるんじゃないか、という大きな可能性を何とか到達しようとやってきたし、今後もそのつもり」と長年のキャリアに思いをはせていた。コンペティション部門国際審査委員を務めるのは、審査委員長のジャン=ジャック・ベネックス(映画監督/脚本家/プロデューサー)をはじめ、平山秀幸(映画監督)、ヴァレリオ・マスタンドレア(俳優)、ニコール・ロックリン(プロデューサー)、メイベル・チャン(映画監督)。女優の黒木華が映画祭の顔である“フェスティバル・ミューズ”に起用された。第29回東京国際映画祭は10月25日から六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか都内の各劇場および施設・ホールで開催。メリル・ストリープ、ヒュー・グラントが共演する『マダム・フローレンス!夢見るふたり』がオープニングを飾り、松山ケンイチが実在の天才棋士を演じる『聖の青春』がクロージング作品として上映される。『第29回東京国際映画祭』10月25日(火)からまで11月3日(木)までTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて開催取材・文・写真:内田 涼
2016年09月26日10月25日(火)より開催される「第29回東京国際映画祭」の歌舞伎座スペシャルナイトに“現代版弁士”として古舘伊知郎がスペシャルゲスト出演することが決定した。クラシック部門の目玉企画として今回で3回目を迎える「歌舞伎座スペシャルナイト」。今年は映画祭開催3日目となる10月27日(木)に催される。日本の伝統芸能である歌舞伎を上映し続けてきた歌舞伎座にて、尾上菊之助による女方の舞踊「鷺娘」を上演するほか、尾上松之助出演『忠臣蔵』のデジタル最長版、『血煙高田の馬場』の弁士と生演奏付き上映が行われる。そして古舘さんは、『血煙高田の馬場』に現代版弁士としてゲスト出演!通常の弁士付上映は、サイレント映画に独自の語りと演奏を付けて上映する形だが、今回の現代版弁士は、“喋り屋”古舘さんオリジナルの全く異なるスタイルの上映になるという。古舘さんは「無声映画の最盛期、日本には弁士が数千人いたという。弁士は役者以上の人気を誇り、人々の最大のお目当ては贔屓の弁士の語り(活弁)を聴くことだったそうだ。映画を観に行くというより活弁を聴きに行く、言葉が映像の従属物ではなく話芸として確立され愛された時代があったのだ」と弁士について説明。また、「喋り手ならば活弁という魅惑の箱をいま開けずにはいられない。過去のスター弁士の口調を一所懸命模写し再現する手のことは付け焼き刃で出来るものじゃないが、これまで講談、落語の道中付け、大道芸(香具師の啖呵売)あたりをちょびちょびかじってきた身としては、面白い活弁ができそうな気もする」と話し、「ほんの7~8分の短縮バージョンだが、十分面白い。さあ!喋りで何をプラスしていくか、このところ言葉探しの『脳内決闘劇』を時折くり広げている」とコメントした。なお、歌舞伎座スペシャルナイト特製お弁当つきのチケットは、9月27日(火)10時より販売開始となっている。「第29回東京国際映画祭」は10月25日(火)~11月3日(木・祝)の期間で開催。(cinemacafe.net)
2016年09月25日世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の舞台となる新潟県十日町市・津南町「大地の芸術祭の里」で、2016年10月22日(土)、アウトドア・フットウェア・ブランドのKEENとタッグを組んだウォーキング企画「KEENと歩くマタギの里・秋山郷」が開催されます。秋山郷の紅葉に囲まれて、秋の味覚をビュッフェランチで堪能。アウトドア初心者にもぴったりの五感で楽しめるツアーです。自然とアートに触れられる「大地の芸術祭の里」過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有を舞台に、2000年にスタートし、3年に1度開催されている世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。この舞台となる地域一帯は、「大地の芸術祭の里」と呼ばれています。「人間は自然に内包される」をテーマに、1年を通して、豊かな自然の中でアートと触れ合える様々なイベントやプロジェクトを開催しています。この過疎地となった地域に再び活気を取り戻そうとする試みは、「妻有方式」として海外メディアでも多数紹介され、国内でも全国の様々な地域づくりに影響を与えるなど、美術の枠を越えた評価を得ています。アウトドア初心者も楽しめる「KEEN」とのコラボイベント「KEENと歩くマタギの里・秋山郷」は、アウトドア・フットウェア・ブランドのKEENと「大地の芸術祭の里」がコラボレーションして開催されるイベント。KEENのトレッキングシューズを履いて、マタギの里・秋山郷自然を歩く日帰りウォーキングツアーです。紅葉で彩られた秋山郷ウォーキングや、Bubb & GravityfreeとKEENが共に手掛けた、空家をリメイクしたアート作品「出逢いDEAI」の鑑賞、紅葉を眺めながら秋の味覚をビュッフェランチで楽しめたりと、本格的なトレッキング経験がない方でも気軽に参加できるプログラムです。都会の慌ただしい日常をしばしの間忘れて、秋山郷の圧倒的な自然に癒されてみてはいかがでしょうか。ツアーのポイントをご紹介!●KEENのシューズを無料レンタルアウトドア・フットウェア・ブランドKEENの機能性とデザイン性を兼ね備えたトレッキングシューズが無料でレンタル可能です。また、ウォ―キングの後は、気に入った商品を購入できます。●KEENとはKEENは、2003年にアメリカ・カリフォルニア州で生まれたフアウトドア・フットウェア・ブランド。現在は、アメリカ・オレゴン州、ポートランドに本拠を置いており、機能性とデザイン性を兼ね備えた商品の数々は、全世界で注目を集めています。「大地の芸術祭」には、2012年から参加。KEENアンバサダーであるBubb、Gravityfreeと共に空家をリメイクした「出逢い DEAI」を展開しています。●秋山郷の自然を体感マタギの里・秘境秋山郷の圧倒的な自然をほこる苗場山麓ジオパークや秋山郷周辺を地元ガイドさんが丁寧に案内します。●普段は宿泊しないと食べられない!「かたくりの宿」特製ビュッフェを堪能昼食は秋の恵みがつまった「かたくりの宿」特製のビュッフェです。かたくりの宿は、越後妻有の秘境・秋山郷で地元の子どもを見守り続けた、かつての小学校を改築した宿泊施設です。地元の食材を使った料理は非常に評判が高く人気ですが、普段は宿泊しないと食べることができません。このイベントに参加すれば、気軽にかたくりの宿の味を堪能できます。イベント詳細名称:KEENと歩くマタギの里・秋山郷開催日:2016年10月22日(土)集合場所:見玉不動尊前駐車場受付時間:10:15~10:50住所:新潟県中魚沼郡津南町秋成9687行程:11:00開会式→11:15午前の部→12:30ランチ→13:30午後の部→15:00閉会式→15:15解散参加費用:大人2,500円、小中学生以下1,500円(お昼ご飯・ガイド料・DEAI鑑賞券付き・保険料)※当日、現金にて支払い送迎車申し込みの方:9:45に十日町駅西口集合(9:50出発)※料金2,000円(往復)※雨天決行※天候などの状況等により行程変更等がある場合あります。※台風などの理由でやむをえず中止をしなければならない場合は当日6:30に決定し、電話にて連絡します。持ち物:ウォーキングに適した服装、帽子、レインウェア、折りたたみ傘、飲料水、保険証問い合わせ先:025-761-7767(「大地の芸術祭の里」総合案内所)※水曜以外9:00~18:00申し込み方法:公式サイト(から申し込み。締め切り:10月12日(水)※靴のレンタルを希望しない場合は10月19日(水)まで申込可能イベント詳細URL:
2016年09月22日エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが3度目の共演で贈るロマンチック・ミュージカル・エンタテインメント『LA LA LAND(ラ・ラ・ランド)』(原題)が、『ルーム』『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』など、アカデミー賞にからむ話題作を次々送り出すトロント国際映画祭の最高賞、観客賞(ピープルズ・チョイス・アワード)に輝いた。オーディションに受からず落ち込んでいた女優志望のミアは、ふとピアノの音色に誘われて入ったジャズバーでピアニストのセバスチャンと最悪な出会いを果たす。偶然にも2度目に出会ったときは、セバスチャンはふてくされながら80年代ポップスをプールサイドで演奏していた。初めての会話でぶつかり合う2人、しかし、お互いに秘める才能に惹かれ始め、次第にそれは恋へと変わっていく――。数々の賞レースを賑わせ、ミニシアターながら世界で大ヒットを記録した『セッション』の若き天才、デイミアン・チャゼル監督の最新作となる本作。先日のヴェネチア国際映画祭でのエマの女優賞受賞に続き、9月18日(現地時間)に閉幕した第41回トロント国際映画祭で見事、観客賞を受賞した。トロント国際映画祭といえば、北米最大規模の来場者数を誇る映画祭で、最高賞は“一般の観客の投票”により決定する観客賞が最高賞となっている。過去に同賞を獲得した『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』『それでも夜は明ける』など、アカデミー賞を席巻する作品を数多く輩出することでも知られる。50~60年代のミュージカル映画を彷彿させる、最高にゴージャスでロマンチックな物語と映像は早くも話題を集めており、あのトム・ハンクスも手放しで絶賛しているほど。今後の賞レースの行方、そして日本公開にも期待が高まる。『LA LA LAND』(原題)は2017年2月、 TOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月20日第41回トロント映画祭の受賞結果が発表された。その他の情報カンヌやヴェネツィアと違い、審査員ではなく観客が投票するトロントでは、観客賞が最高賞となる。この栄誉に輝いたのは、多くが予測したとおり、デイミアン・チャゼル監督の『La La Land』だった。現代のL.A.を舞台にしたミュージカルで、主演はエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。ストーンは、今作で、ヴェネツィア映画祭の女優賞を受賞したばかり。この観客賞受賞で、オスカーに向けて、さらにはずみがついた。次点はガース・デイビスの『Lion』と、ミラ・ナーイルの『Queen of Katwe』。また、昨年始まった、審査員が決めるプラットフォーム賞には『Jackie』のパブロ・ラレイン監督が選ばれた。今作では、主演のナタリー・ポートマンにも絶賛が集まっており、アワードシーズンでの健闘が期待できそうだ。トロントで観客賞受賞から、オスカー作品賞につながった作品には、『アメリカン・ビューティ』『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』『それでも夜は明ける』などの例がある。昨年の受賞作『ルーム』は、受賞こそ逃したものの作品部門にノミネートされ、ブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞している。『LA LA LAND(原題)』2017年2月 TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー取材・文:猿渡由紀
2016年09月20日マーク・ウォルバーグ主演、ピーター・バーグ監督の『Deepwater Horizon』が、トロント映画祭でワールドプレミアを行った。その他の情報本作は、2010年のメキシコ湾原油流出事件を描く、実話物。原油が流出で起こった大爆発のため、海上で作業をしていた11人の従業員が命を失った。ウォルバーグが演じるマイク・ウィリアムズは、その悲劇を間近に体験した生存者。ウィリアムズ本人も、映画の製作に深くたずさわった。「彼に脚本を彼に見せて、『これは本当に起こった。これは、むしろこんなふうだ』というように、いろいろ指摘してもらったんだ。そうすることで、映画は事実に正確になる。人命が失われた実話を語るのは、いつだって、とても難しいことだよ。一方で、大きな充実感も伴う。その人たちに、敬意を払うことができるんだから」(ウォルバーグ)当時、事件は大きく報道されたが、主には環境汚染の側面が語られ、この11人の人々の話は、それほど聞かれなかった。「人が死んだのに、そこに一番の焦点が当たらなかったなんて、それもまた悲劇だよね」とウォルバーグ。だからこそ、この映画を作って彼らの話を伝えたかったのだと、バーグも認める。「製作にあたって、僕は11人全員の遺族に会い、僕がこれをどんな映画にしようとしているのかを説明した。これはあなたが誇りに思えるような映画になる、『私の夫はこんな人だったのよ』『これが僕の父なんだ』と、孫たちに見せられる映画になると、彼らに言ったんだよ。撮影現場に来たいという人がいれば来てもらったし、プライベートの試写を組んで、誰よりも先に完成作を見てもらうこともした」(バーグ)ウォルバーグとバーグは、やはり実話に基づく『ローン・サバイバー』でも組んでいる。今年末に北米公開されるボストンマラソン爆撃事件についての『Patriots Day』も、このコンビによるものだ。「ピーターと僕は、お互いから最高のものを引き出す。お互いに対して、とても多くを期待するし、言いたいことは遠慮せずに言える関係だ。僕は彼のすべてが好きだよ。彼がニューヨーク・ジャイアンツのファンということを除けばだけどね(笑)」日本公開は来年。『Deepwater Horizon(原題)』2017年公開取材・文:猿渡由紀
2016年09月20日2015年のトロント国際映画祭で上映された、『フランシス・ハ』のグレタ・ガーヴィグ主演、イーサン・ホーク&ジュリアン・ムーア共演の『MAGGIE’S PLAN』が、『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』として2017年1月21日(土)より公開されることが決定。予告編とポスタービジュアルが到着した。N.Y.の大学で働くマギーは、文化人類学者のジョンと出会い、恋に落ちる。彼の妻ジョーゼットは教授として働くバリバリのキャリア。家庭を顧みない妻に疲れ果てたジョンは、離婚を決意、自分の小説を好きだと言ってくれるマギーと再婚する。その数年後――娘も授かり幸せに見えたマギーとジョン。だが、仕事も辞め、小説家の夢を追い続けるジョンとの結婚生活に不安を感じるマギー。一方、忙しいジョーゼットの子どもたちの面倒を見るうちに彼女とも親しくなり、彼女が“鬼嫁”ではなく、知的で魅力的で、いまでもジョンを深く愛していると気づく。ジョンはジョーゼットと一緒にいた方が、きっと幸せになれる…そう思ったマギーは“夫を前妻に返す”という、とんでもない計画を思いつく――。N.Y.に暮す男女3人の、不思議な三角関係を繊細に描くのは、『50歳の恋愛白書』でも年の差がある男女の恋愛描写が高い評価を受けた女性監督レベッカ・ミラー。『フランシス・ハ』で脚本も務め、注目を浴びたグレタ・ガーウィグが、おせっかいだけど愛すべき主人公マギーを、『ブルーに生まれついて』の日本公開も控える実力派俳優イーサン・ホークが2人の間で揺れるダメ夫のジョンを、『アリスのままで』アカデミー賞女優ジュリアン・ムーアが前妻ジョーゼットを演じる。公開されたポスターでは、“いま妻”マギー、“夫”ジョン、“前妻”ジョーゼットのこじれた三角関係が表現され、軽妙な作風を感じさせている。予告編では、この3人の不思議な関係性とともに、マギーが“夫を前妻に返す”というとんでもない計画を、前妻ジョーゼット本人に持ちかけるという前代未聞の展開をコミカルに表現。また、マギーやジョーゼットのおしゃれなファッションやインテリアから、N.Y.で暮らす女性たちのリアルな生活も垣間見ることができる。三角関係なのに?なぜか元気がもらえるハートフル・コメディに注目していて。『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』は2017年1月21日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月19日宮沢りえを“お母ちゃん”に、杉咲花、オダギリジョーらが家族を演じる映画『湯を沸かすほどの熱い愛』。このほど、先日の第40回モントリオール世界映画祭への初出品に続き、10月6日より開催される韓国・第21回釜山国際映画祭の「A window of Asian Cinema(アジア映画の窓)」部門に正式出品されることが決定した。「私には、死ぬまでにするべきことがある」――。ある日突然、「余命わずか」という宣告を受けた幸野双葉(宮沢りえ)。その日から、彼女は「絶対にやっておくべきこと」を決意、実行していく。まずは、1年前に家出した夫・一浩(オダギリジョー)を連れ帰り、家業の銭湯を再開させること、気が優しすぎる娘・安澄(杉咲花)を独り立ちさせること、その娘をある人に会わせること…。母のこうした行動は、家族からすべての秘密を取り払うものだった。ぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく家族。そして、母から受けた大きな愛で繋がった家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。『チチを撮りに』の中野量太監督が、“死にゆく母と、残される家族の愛と絆”という普遍的なテーマをオリジナルの脚本で紡ぎだした本作が、釜山国際映画祭「A window of Asian Cinema(アジア映画の窓)」部門に出品される。同部門は、さまざまな視点とスタイルを持つ、才能豊かなアジアの映画監督たちの優れた作品を紹介する部門であり、日本からは本木雅弘主演×西川美和監督『永い言い訳』、本作出演のオダギリさんが主演を務める山下敦弘監督『オーバー・フェンス』など、この秋注目の話題作もエントリーされている。モントリオールに続き、釜山国際映画祭への出品も初となる中野監督は、第一報に「究極の家族愛を描いたこの映画のラストシーンをどう感じてもらえるのか?きっと、熱く沸き上がってくれるはず、そう信じて釜山へ行ってきます。とっても楽しみです」と期待のコメント。また、同映画祭の執行役員ヤン・シオン氏は、「この『アジア映画の窓』部門で上映される『湯を沸かすほどの熱い愛』は、笑いあり涙ありの家族映画であり、中野量太監督が描く強力な女性映画でもある。母として妻として生きる1人の女性の家族に対する責任と愛。そこから生まれる無限とも言える肯定的思考。映画を見終わると、この妙なタイトルの意味をもう一度味わえる二度美味しい作品。世界共通の単語となりつつある“UMAMI”たっぷりの作品だ。『アジア映画の窓』部門に相応しい、いま現在の日本映画の流れが把握できる1本である」とコメントを寄せている。現地時間10月9日の上映には、中野監督が登壇し、Q&Aを行う予定。『湯を沸かすほどの熱い愛』は10月29日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月16日大学進学以来、スクリーンからややご無沙汰しているダコタ・ファニングが、2作品を引っ提げてトロント映画祭を訪れた。ひとつは、ユアン・マグレガーが監督デビューを果たす『American Pastoral(原題)』。もうひとつは、マーティン・クールホーヴェン監督の『Brimstone(原題)』だ。その他の情報いずれも暗い役。とりわけ『Brimstone(原題)』は、女性に対する暴力を描く時代物のスリラーで、ダコタが演じるリズは、数々の信じられないような苦難をくぐり抜けていく。映画のはじめで彼女は、耳は聞こえるが口をきけない女性として登場。時間が逆戻りする形で話が展開する中、どうしてそうなったのかが次第にわかっていく。「『Brimstone』は、これまでに読んだどんな脚本とも違っていた。こういう役には、めったにめぐり会えないものよ。今作と『American…』は立て続けに撮影したの。『American…』にはずいぶん前から出演を約束していたけど、実現に時間がかかった。今作の方はすぐ実現して、これを半分撮影し、『American…』を撮ってすぐ残りの『Brimstone』を撮る、というスケジュールになったのよ。それでずいぶん長いこと、暗い役にどっぷり浸かることになった。それは平気。私は自分をプッシュしてくれるような作品が好きなの。そういう作品は、絶対ではないけれど、暗い作品であることが多いのよ」とダコタは話す。久々のレッドカーペットも、純粋に楽しんでいるという。「あれも女優の仕事の一部よ。ファッションは自分という人間を見せる手段。映画には、いつも本来の自分ではない姿で出るでしょう?だから、私は本当はこういう姿です、と見せる機会があるのは楽しいことよ」。すでに、その次の作品も撮り終えている。「学業と仕事の両立は、昔からやってきたこと。むしろ学校が終わってしまったら、時間ができすぎちゃって、どうすればいいかわからないかもね(笑)」。取材・文・写真:猿渡由紀
2016年09月16日10月25日(火)から行われる「第29回東京国際映画祭」の“コンペティション部門”にて日本映画2作品がこのほど決定。1つは蒼井優が8年ぶりの単独主演を務める『アズミ・ハルコは行方不明』、2つ目は杉野希妃監督が監督と主演を努める『雪女』となっている。今回で29回目を迎える「東京国際映画祭」は、従来の六本木ヒルズに加え、EXシアターでの上映も決定し、国際フォーラムでのアニメイベントや野外上映など、新しいイベントや取り組みを予定している。このほど決定した“コンペティション部門”は、9つある主要部門の中で映画祭の顔となる部門。今年は世界98の国と地域、応募作品数1,502本の中から選び抜かれたコンペ作品16本の作品が期間中に上映。また、国際的な映画人で構成される審査委員のもと、クロージングセレモニーで各賞が発表となる。その内、今回2作品の邦画が発表。『アズミ・ハルコは行方不明』は「ここは退屈迎えにきて」で一世を風靡した作家・山内マリコの書き下ろし同名小説を映画化。蒼井さんのほかにも高畑充希、太賀も出演。“アラサー×ハタチ×女子高生”3世代の女の子たちの生き様を描いた最強の青春映画だ。今回の決定に蒼井さんは「一足早く作品をご覧になった関係者の方々が『良かった』と思ってくださったこと、素直に嬉しいです。作る側にいると、作品に対する想いが強すぎ、ときに不安になることもあります。しかし、選考委員の方々の客観的な感想をいただけると『ああ、間違っていなかったんだ』と、劇場公開に向けてぽんと背中を押された気持ちです。心から感謝申し上げます」と喜びのコメントを寄せた。そしてもう1つ、本映画祭の日本映画・ある視点部門で作品賞の受賞歴のある杉野監督の『雪女』。杉野監督自らの監督作で主演を務める本作は、『マンガ肉と僕』『欲動』に続く第3作。今年生誕100年を迎えた小林正樹監督が小泉八雲の「怪談」を映画化して50余年、その中の一編である「雪女」を新たな解釈のもと映画化した。キャストには主人公の巳之吉役に青木崇高、娘のウメ役に山口まゆのほか、佐野史郎、水野久美、宮崎美子ら演技派俳優陣が脇を固る。杉野監督は「監督としてコンペティション部門に参加させていただくことになり、とても嬉しく光栄に思います。日本で親しまれてきた、小泉八雲の面妖なお伽話『雪女』の新釈を東京で初上映できることは、意義深いことだと捉えています」と喜び、「雪女という得体の知れない存在と何年か向き合い、目に見えない大きな力に導かれてきたような気がします。人と妖女の幻想奇譚を、どうぞご期待ください」とメッセージを寄せた。選定理由について、プログラミング・ディレクターの矢田部吉彦は「新人時期を過ぎ、次なる飛躍を期する2名の若手監督の作品を選出しました。異なる形で日本の象徴的な姿が描かれ、若手作家ならではの野心が伺える作品です」と説明し、「世界に受け入れられるためには、普遍性とともに“その国らしさ”も求められ、今年の2本は全く違う方向でそれを実現していることが、国際舞台に立たせたいと考えた所以です」と語っている。なお、コンペティション部門のほか選出作品は、後日発表する予定とのことだ。「第29回東京国際映画祭」は10月25日(火)~11月3日(木・祝)の期間で六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)ほか都内の各劇場および施設・ホールにて開催。『アズミ・ハルコは行方不明』は12月、全国にて公開予定。『雪女』は2017年、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年09月15日現在開催中のトロント映画祭で、アン・ハサウェイが主演するSFスリラー『Colossal』の北米配給権を中国企業が買い付けたことが、業界で話題を呼んでいる。その他の情報その中国企業の名前は、現在、明らかにされていない。買い付け金額は、500~700万ドルあたりではないかと見られている。2017年に大規模な公開をすることも約束しているようだ。もちろん、中国企業がアメリカの映画館に自ら配給するのは現実的に難しく、この会社はアメリカの新しいスタジオに投資するようで、実際の配給業務は、そのスタジオが行うことになると思われる。最近、中国とハリウッドは急速に関係を近づけているが、このようなディールは、初めてのことだ。『Colossal』には、ほかに『ダウントン・アビー』のダン・スティーヴンスなどが出演。監督は、スペインのナチョ・ビガロンド。文:猿渡由紀
2016年09月15日現在開催中の第41回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門に出品されている本木雅弘主演、西川美和監督の『永い言い訳』。現地での上映を17日(土)と18日(日)に控える中、『日本のいちばん長い日』で本木さんと共演した役所広司、西川監督作品『ゆれる』の香川照之、『夢売るふたり』の松たか子ら錚々たる俳優陣や、各界の著名人から、嵐のような絶賛コメントが続々と到着していることが分かった。人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、妻・夏子(深津絵里)が親友(堀内敬子)とともに旅先の事故で亡くなったと知らせを受けても、“悲劇の主人公”を装うことしかできなかった。まさにそのとき、幸夫は不倫相手(黒木華)と密会中だった。そんなある日、妻の親友の遺族、トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子どもたちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。子どもを持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝きだすが…。トロント国際映画祭に続き、10月6日より開幕する第21回釜山国際映画祭「A Window of Asian Cinema」部門に招待されることも決定した本作。『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』など、その唯一無二のストーリーテリングと、容赦のないリアルな人物描写で高い評価を得てきた西川監督の最新作として、さらに『おくりびと』以来、7年ぶりの本木さんの主演作として注目度が急上昇している中、各界から絶賛コメントが続々到着している。■役所広司(俳優)類型的な登場人物に、ありきたりな設定を与え、ありきたりな感情を説明的に語らせる、そんな映画の真逆をいく西川監督作品。今作も先が読めない、人間の本性にカメラを向け、夫婦、親子、大人、子どもたちについて深く考えさせられました。それにしても、子どもの声音(こわね)、澄んだ瞳に映画の力を感じました。■香川照之(俳優)死が、残った生にもたらすものとは何か。西川美和は、最果ての状況下での人間のエゴを、渇いたキャンバスに次々と投げつけていく。ここにまた1つ、彼女の心の闇が陰鬱に炙り出された傑作が産み落とされた■松たか子(女優)妻の残像が、夫の生活を包み込んでいるように見えたり、それが薄まって見えてきたり、何とも言えない緊張感でした。そして終盤、夫が「コトバ」に向かうときの姿が、西川さんに見えてしまいました。何故? 今度、教えてください。■広末涼子(女優)心に刺さる映画でした。光も音も美しい映画でした。胸を締めつけられる…愛する人を抱きしめたくなる映画です。■大久保佳代子(オアシズ/タレント)「強い人はちゃんと泣くの」という言葉にホッとした。私も泣けないほうだから。後悔はしたくないから、泣いても泣かなくても人と向き合うことに怠けちゃダメだと思った。■西加奈子(直木賞作家)誰だって、どんな人間だって、ひたむきに生きるチャンスがあるのだ!■佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)私たちは夫婦関係にも親しい人の死にも、完ぺきを求めすぎなのかもしれない。見終わってそう思った。リアルな生を取り戻せる、そんな希望を感じさせる傑作。■久米宏数カット出演の深津絵里の鋏さばきが、最後まで脳裏から離れない。西川美和監督の映画さばきが全編を束ねている。画面からレトルトカレーの香りが漂ってくる不思議。■箭内道彦(クリエイティブディレクター)自分の弱さを知らされる映画に出逢うのは辛い。でもこの作品が愛おしいのは、作り手が自らの弱さを隠そうとしないからだろう。俳優も、監督も。幸せな夫という名の主人公。『永い言い訳』は10月14日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月14日デヴ・パテル、ニコール・キッドマンが出演する『ライオン(原題)』が、トロントで高い評価を集めている。実話に基づく感動のドラマで、オーストラリアのTVや短編を手掛けてきたガース・デイビスが監督を務める。トロント映画祭 その他のニュース物語の舞台は、インドとオーストラリア。インドの小さな村で、母、兄、妹と、貧しくも平和な毎日を送る5歳の少年サルーは、ある夜、なんとなく停車中の電車に乗り込む。彼が眠っている間に電車は動き出し、2日間も車内に閉じ込められた結果、はるか遠いカルカッタに到着。自分がどこから来たのかもきちんと説明できないサルーは、孤児たちのための施設に入れられるが、まもなく、タスマニアの夫妻に養子として迎えられることになった。血の繋がらない父母はたっぷりと愛情を注いでくれ、サルーは立派に成長。だが、大人になった彼は、故郷で自分を心配している母のことが気になり始め、なんとか探し出せないものかと試みるようになる。キッドマンが演じるのは、サルーを引き取って育てるスー・ブリエリー。記者会見で、キッドマンは「その子がどこから来たにしろ、愛に囲まれた環境で育ててあげるのが、何よりも大事。スーはそれをしてあげたの。私も養子を取った母。共感できる部分がたくさんあったわ。映画の中でも語られるけれど、スーは血のつながった子を産むことができたのに、養子を取る方を選んだの。そう聞くと驚く人も多いでしょうけれど、それが彼女の望んだことなのよ」と語った。大人になってからのサルーを演じるパテルは、無名だった8年前、『スラムドッグ$ミリオネア』でトロント映画祭を訪れている。作品は観客賞を受賞し、ついにはオスカーにも輝いた。「インドの幼い男の子、貧しい場所、という部分は『スラムドッグ…』と共通するけれど、この2作品は全然違う。『ライオン(原題)』は母と子の関係を描く物語。それに今作のサルーはオーストラリア人として育ち、インドに戻っても、現地の言葉をもう喋れなくなっている。とは言え、またトロント映画祭に戻ってこられたのは、とても素敵な気分だよ」(パテル)。北米公開は、オスカー狙いの有力作品が集中的に公開される11月下旬。『ライオン(原題)』2017年公開取材・文・写真:猿渡由紀
2016年09月14日『ペット』(公開中)に続きユニバーサル・スタジオとイルミネーション・エンターテイメントのタッグが贈る新作『SING/シング』(2017年3月公開)のプレミア上映イベントが現地時間11日、カナダで開催中のトロント国際映画祭にて行われ、俳優マシュー・マコノヒーや女優スカーレット・ヨハンソンら主要キャストがレッドカーペットに登場した。本作は、動物たちによるミュージック・エンターテイメント。かつては栄えていたのに増え続ける借金のせいで経営が立ち行かなくなってしまった大切な劇場を立て直すため、コアラのバスタームーンが"歌のオーディション"を思いつき、たくさんの動物たちが自らの未来を変えようとこれに参加していく。同映画祭では、プレミア上映イベントを敢行。レッドカーペットには、本作の主役・バスタームーン役のマシュー、25匹の子豚たちの母親でありながら夢をかなえるためコンテストに出場するロジータ役のリース・ウィザースプーン、パンクロックな態度をとる厄介なティーンエイジャーでヤマアラシのアッシュ役のスカーレット・ヨハンソン、そしてメガホンを取ったガース・ジェニングス監督らが集まった。マシューはグレーのスーツを身にまとい、恋人カミラ・アルヴェスと登場。熱狂的なファンたちのサインなどに快く応じた。マシューは、同映画祭で初のプレミアに臨むに当たって「最高の気分です。誰もが楽しめる映画になりましたから。あらゆる面で、最高の出来」と自信を見せ、「見ているうちに、登場するキャラクターが動物に思えなくなってくる。なんだか、僕らと同じ問題を抱えた人間であるかのように思えてくるんです。展開が早くて、あっと言う間に引き込まれてしまいます」と魅力をアピールした。また、リースはピンクのドレスに身を包み、かわいらしい笑顔と共に姿を見せた。本作については、「夢を持つ多くの人々に、願いをかなえる素晴らしさを伝える映画」と説明。加えて、「私の役は、25匹の子供を持つ母親で、いつも自分の夢なんて二の次。多くの親に共感してもらえるはず」と親子でも楽しめる作品だと強調した。そして、スカーレットが真っ赤なドレスに前髪をかきあげたセクシーな姿で登場。悲鳴に近い歓声が沸き起こった。本作の見どころについてスカーレットは、「何よりも大切なメッセージは、挑戦するならリスクを恐れてはならないってこと。失えば得るものもあり、得るものがあれば必ず何かを失う。それこそが、この映画の伝えたいことじゃないかしら」と分析してみせた。さらにプレミア上映終了後には、本作でシャイであがり症な象の女の子・ミーナを演じたトリー・ケリーがジェニファー・ハドソンと共にデュエット曲「ハレルヤ」をライブパフォーマンスで披露。会場からは、割れんばかりの拍手と歓声が送られた。(C)Universal Studios.
2016年09月13日日本でも大ヒット中の『ペット』に続いて、2017年にユニバーサル・スタジオ×イルミネーション・エンターテインメントが贈る新作『SING/シング』。このほど9月11日(現地時間)、現在開催中のトロント国際映画祭にて本作のプレミア上映が行われ、華やかなレッドカーペットにアカデミー賞俳優のマシュー・マコノヒーやリース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、『テッド』のセス・マクファーレン、『キングスマン』のタロン・エガートンら豪華キャストが集結!さらにトリー・ケリーとジェニファー・ハドソンによるライブパフォーマンスも行われ、大盛況を見せた。大切な劇場を立て直すために、コアラのバスタームーン(声:マシュー・マコノヒー)が思いついたのは、たくさんの動物たちに向けた“歌のオーディション”!感傷的に優しく歌うハツカネズミ(セス・マクファーレン)、ステージに上がることに恐怖心を持つ内気なティーンエイジャーのゾウ(トリー・ケリー)、25匹のコブタの面倒を見る疲れ果てた母親(リース・ウィザースプーン)、自らの家族である犯罪一家から自由になりたいと願う若いギャングスターのゴリラ(タロン・エガートン)、横柄な彼氏を捨ててソロになるべきか葛藤するパンクロッカーのヤマアラシ(スカーレット・ヨハンソン)など、たくさんの動物たちが集まり…。誰もが思わず歌いだしたくなる、ミュージック・エンターテインメントとなる本作。カナダ・トロントのプリンス オブ ウェールズ シアターで行われたプレミアイベントのレッドカーペットには、増え続ける借金で経営難の劇場を立て直そうと決意する本作の主役コアラのバスタームーン役のマシュー、夢を叶えるためコンテストに出場するブタのロジータ役のリース、パンクロックな態度をとる厄介なティーンエイジャーのヤマアラシ・アッシュ役のスカーレットをはじめ、監督を務めたガース・ジェニングスら超豪華スタッフ・キャスト陣が一堂に会し、会場は大盛り上がりに!マシューは“コアラ”色のグレーのスーツを身にまとい、愛妻カミラ・アルヴェスと登場。会場に集まった熱狂的なファンたちのサインやセルフィーに快く応じた。トロント国際映画祭で初プレミアを迎え、マシューは「最高の気分です。誰もが楽しめる映画になりましたから。あらゆる面で、最高の出来です」と自信をのぞかせ、「観ているうちに、登場するキャラクターが動物に思えなくなってくる。なんだか、僕らと同じ問題を抱えた人間であるかのように思えてくるんです。展開が早くて、あっと言う間に引き込まれてしまいます」と作品の魅力をアピール。また、ロジータ役を演じたリースは、可憐なピンクのドレスに身を包み、とびきりキュートな笑顔で会場に登場。「これは、夢を持つ多くの人々に、願いを叶える素晴らしさを伝える映画だと思います。私の役は、25匹の子どもを持つ母親で、いつも自分の夢なんて二の次。多くの親に共感してもらえるはずよ」と、親子で楽しめる作品であることを語ってくれた。そして、ヤマアラシのアッシュを演じたスカーレットが、真っ赤なドレスに前髪をかきあげたセクシーな姿で登場すると、悲鳴に近い歓声が。本作の見どころについては、「あなたの夢を実現する力を信じてくれている友達を信頼し、勇気を出して彼らの肩を借りること。それに、何よりも大切なメッセージは、挑戦するならリスクを恐れてはならない、ってこと。失えば得るものもあり、得るものがあれば必ず何かを失う。それこそが、この映画の伝えたいことじゃないかしら」と分析した。さらに、プレミア上映終了後には、シャイであがり症のゾウの女の子・ミーナを演じたトリーが、ジェニファーと共にデュエット曲「ハレルヤ」を生披露!高い歌唱力で知られる2人の圧倒的なステージに酔いしれた会場からは、万雷の拍手と歓声が沸き起こっていた。なお、『ペット』にも、ちらりと“カメオ出演”を果たしていた本作には、レディー・ガガの「バッド・ロマンス」やクレイジー・タウンの「バタフライ」、ニッキー・ミナージュの「アナコンダ」など、誰もがどこかで一度は耳にしたことのあるヒットソングの数々が85曲も登場する予定。日本上陸を楽しみに待っていて。『SING/シング』は2017年3月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月13日エイミー・アダムス主演、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』(原題:Arrival)が、トロント映画祭で上映され、現地時間12日に記者会見が行われた。モントリオール出身のヴィルヌーヴは近年、トロント映画祭の常連だが、現在『ブレードランナー』をヨーロッパで撮影中のため、会見は欠席している。『メッセージ』/その他の情報『プリズナーズ』『ボーダーライン』のヴィルヌーヴにとって、本作は初めてのSF映画。エイリアンが地球のあらゆる場所に到来した時、米軍は、言語学者ルイーズ(アダムス)に、彼らの言葉を分析してくれないかと依頼する。彼女の仲間としてその困難なミッションに挑むのが、ジェレミー・レナー演じるイアン。ふたりは少しずつながらエイリアンとコミュニケーションをとれるようになるが、世界は彼女らの成功を待つほど辛抱強くなかった。物語の最後には驚くべきどんでん返しが待ち構えている。脚本を初めて読んだ時、アダムスはそんな展開をまったく想像していなかったと告白した。「まさかああいうことだとは思いもしなかったわ。それがわかるシーンを読んだ時、すごいショックを受けた。そして、わかった上で、また最初から読み直したのよ」(アダムス)。重大な使命を任されるものの、ルイーズはあくまで一般人。「軍隊や危機管理についてのリサーチはしましたかと取材で聞かれたりするけれど、必要なかったの」とアダムスは語る。「ドゥニと初めてミーティングを持った時、私たちはルイーズのキャラクターという一番大事な部分において、まったく同じ視点を持っていることが分かった。彼女はごく普通の人。エイリアンに会うなんて想像もしたことがないし、あんな服(一見、宇宙服のような体を守るスーツ)を着たこともない。すべてはそこをベースに築かれていくのよ」(アダムス)。アダムスとレナーは『アメリカン・ハッスル』でも共演した仲。今作では助演に徹するが、「ルイーズが経験することが本当に興味深いので、僕もこの物語を語る手助けをしたいと思ったのさ」と、レナーは出演を決めた理由を述べた。アダムスは、やはりこの映画祭で上映された『Nocturnal Animals』でも絶賛されている。オスカーキャンペーンはどちらに絞るのかと聞かれると「今、私にとって大事なキャンペーンは米大統領戦だけよ」と答え、場内を笑わせた。『メッセージ』2017年公開取材・文・写真:猿渡由紀
2016年09月13日俳優・渡辺謙らが、主演作『怒り』(9月17日公開)がカナダの第41回トロント国際映画祭でスペシャル・プレゼンテーション部門に出品されたことを受け現地時間10日、プレミア上映が行われた映画館・エルギンシアターに登壇した。同映画祭は、1976年より開催。世界最大級の映画市場である北米に欠かせない映画祭で、例年300本以上の作品が上映されており、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ規模の来場者数32万人を集めている。渡辺、共演の女優・宮崎あおい、そしてメガホンを取った李相日監督の3人は、上映に先駆けトロントのシンボル・CNタワーが一望できる名所・センターアイランドを訪問。映画祭を前に渡辺は、「マーケットに対しての影響力が一番大きな映画祭だと聞いていたので、賞をとるということではなく、世界中からこの地に集まる映画人に『怒り』を見ていただく。そういう意味では非常に価値ある映画祭」とコメント。上映についても「日本の方が見ても非常に簡単に答えが見つかるような映画ではないので、外国の方がどうのように受け止めてくださるのかとても興味深い」と期待を膨らませていた。また、トロントへ留学経験もある宮崎は「家と学校の往復のみでほとんど観光をしたことがなかった」と回顧。前日に、李監督と夜の街を歩いた際、「人がたくさんいて活気のある街」と実感したようで「思い入れのあるトロントに映画祭で戻ってこれて、すごくぜいたくでうれしい気持ち」と喜びを口にした。上映前のカーペットアライバルには、10代からシニア層まで観客約500人が集結。大きな声援に包まれた渡辺と宮崎は、サインや写真に応じた。18時から行われた上映には映画祭最大級の劇場を埋め尽くす1400人の観客が来場。場内満席となった中、上映前の舞台に登壇した3人はそれぞれ流ちょうな英語であいさつした。ラストシーンで響いたのは、観客の感嘆とすすり泣く声。上映後は、約10分にわたり観客総立ちで拍手が続いた。それを受けた渡辺の目には、うっすら涙が。宮崎と李監督も興奮した観客の余韻に浸っていた。映画祭を終え、渡辺は「一緒に上映を見ていて、お客さまがすごく素直に笑えるところは笑って、楽しんでもらえているな、と感じました」と歓喜。自身は2回目の鑑賞で、疲れもあったと笑いながら、「1回目に見たときよりも、ものすごい温かいものを感じた」と感慨を話す。加えて、「終わってからしゃべるのって難しい」としながら、「ただ泣けるとかではなく、本当に心の芯をつかまれているそんな作品だと思います。最後には心から温かい拍手を受け取りました」と満足気に語った。本作は、『悪人』(10年)の原作・吉田修一氏と李監督が再タッグ。吉田氏の同名小説を原作として、SNSやスマートフォンなどの発達により、簡単に他人を疑ってしまう不信の時代に「"信じる"とは?」という根源的な問いを、一つの殺人事件をきっかけに投げかける。(C)2016 映画「怒り」製作委員会
2016年09月12日「第41回トロント国際映画祭」スペシャル・プレゼンテーション部門に出品されている映画『怒り』が、9月10日(現地時間)にプレミア上映を行い、本作で父娘を演じた渡辺謙と宮崎あおい、そして李相日監督が登壇した。2010年、原作・吉田修一×李監督で挑んだ映画『悪人』の大ヒットチームが再集結し、新たに挑戦する意欲作『怒り』。本作は、八王子で発生した陰惨な殺人事件。被害者のものと思われる血で書かれた「怒」の一文字と、逃亡を続ける犯人。1年が経過しても犯人の有力情報は得られぬまま、事件から生まれた疑いが日本中に広まり、人々の“信じたい”気持ちに歪みを与えていく。前歴不詳の3人の男と出会い距離が縮まる3組の登場人物たちは、信じたはずが一度生じた疑いから逃れられず“信じる”“疑う”と対極の感情の間で揺れる。行き着く先は救いか破滅か。そして信じた先の“怒り”は凶行を生み思わぬ形で殺人事件を解き明かしていく――。この日の公式上映にあわせて、主演の渡辺さんらは現地入りし、上映に先駆けてトロント市のシンボルであるCNタワーが一望出来るトロント市の名所“センターアイランド”を訪問。トロントの印象について渡辺さんは、「アメリカのパブリシストとよく話をするとき、行くならトロント映画祭だと。マーケットに対しての影響力が一番大きな映画祭だと聞いていたので、賞を獲るということではなく、世界中からこの地に集まる映画人に『怒り』を観ていただく。そういう意味では非常に価値のある映画祭だと思います」とコメント。過去にトロントへ留学経験がある宮崎さんは「家と学校の往復のみでほとんど観光をしたことがなかったんです。昨日監督と夜の街をフラフラ歩いたのですが、人がたくさんいて活気のある街だなと感じました。思い入れのあるトロントに映画祭で戻ってこれて、すごく贅沢で嬉しい気持ちです」と印象を語った。そして、センターアイランドを訪れた後3人は、TIFF Bell Lightboxで行われた公式会見に参加。李監督作品に出演することに対して渡辺さんは「李監督は日本映画業界の宝物。一緒に仕事を出来たことを誇りに思っています」。李監督は本作の“信じる”というテーマについて聞かれると「この作品は、日本の社会の隅にいる人たちの物語ですが、同じようなことがたぶん世界でも起きていると思います。我々は知らない人たち、改めて知り合う新しい人たちをどれだけ信頼できるか、信頼することがいかに難しいか、信頼することによって失うこと、疑うことによって、失うことがどれだけあるのかは、いままさに世界で同じように起きていることだと認識しています」と話した。その後、ついにプレミア上映が開催。会場となったのは、1913年に建てられた歴史ある映画館「エルギンシアター」。上映前のカーペットアライバルには、10代からシニア層まで約500人もの観客が劇場前に詰めかけた。そして上映には映画祭最大級のキャパシティを誇る劇場を埋め尽くす1,400人もの観客が来場し、場内満席の大盛況の中上映前の舞台に登壇した渡辺さん、宮崎さん、李監督はそれぞれ流暢な英語で挨拶。また、上映中ラストシーンでは感嘆の声とすすり泣く声も聞こえ、本編上映後は約10分に渡って観客総立ちの拍手喝采となっていた。映画祭終了後は「一緒に上映を観ていて、お客様がすごく素直に笑えるところは笑って、楽しんでもらえているな、と感じました。今回自分は2回目の鑑賞なので、疲れました(笑)。1回目に観たときよりも、ものすごい温かいものを感じたんです。この監督は本当にやさしい人なんだ、温かいものを届けたい人なんだ、とすごく感じました」(渡辺さん)、「今回私は本作を観るのが2回目だったのですが、やっぱり前回とは違うところで感情を動かされました。謙さんとご一緒に取材をさせていただく中で、お父ちゃんがどんな気持ちで私(愛子)を見ていたのかを聞いたりして、それを聞いているせいか、お父ちゃんの気持ちになってしまって、こんなに自分のことを思ってくれているのに、その気持ちにものすごく心が打たれて、お父ちゃんの顔にぐっときてしまいました」(宮崎さん)と語った。『怒り』は9月17日(土)より全国東宝系にて公開。(cinemacafe.net)
2016年09月12日今年1月のサンダンス映画祭で観客賞と審査員賞をダブル受賞して話題になった『The Birth of a Nation』が、トロント映画祭で公式上映され、記者会見が行われた。本作は、19世紀の米南部で奴隷の反乱を指揮したナット・ターナーの自伝映画で、これまでほぼ無名だった黒人俳優ネイト・パーカーが、監督、脚本、主演を兼任する。その他の情報主人公は少年奴隷のナット。彼がこっそり読み書きを学んでいたことを知った白人オーナーのエリザベス(ペネロペ・アン・ミラー)は、特別に彼に教育を与える。しかし奴隷は奴隷。その後、ナットはほかの奴隷同様、農作業に戻るも、やがて黒人奴隷に向けてのキリスト教の説教を行う任務を背負わされるようになった。そうやってあちこちを周り、黒人仲間が受けている残酷な仕打ちを知るうちに、彼の中で反乱への気持ちが積み重なっていく。かつては友達みたいだったのに、だんだん支配的に変わっていくエリザベスの息子サミュエルを演じるのはアーミー・ハマー。「彼にも、とても人間的な側面があるんだよ。人は、生まれながらにして悪魔なのではない。そんなふうに形作られていくのだと思う。その事実は現在にもつながる。その部分に惹かれた」と、ハマーは会見で語った。パーカーにとっては長編映画監督デビュー作。当初、彼は今作に別の監督を探していたらしい。「監督は前からやってみたかったが、勇気がなくて、短編をいくつかやるにとどまっていた。このアイデアに出会った時も、ふさわしい監督を探そうと思ったんだよ。でも、これは君がやるべき話じゃないかと言われ、怖かったが、やってみようと決めたのさ。自分の経験が浅い分、周りを経験豊かな人で集めて挑んだよ」(パーカー)。今作には、女性の黒人奴隷が、白人男性からレイプをされる場面も登場する。そんな折、パーカーが17年前にレイプ疑惑で起訴されていた事実が再浮上し、論議を巻き起こした(パーカーには無罪判決が出ている)。本日の会見で、パーカーは「個人的な話で時間を取られてこの映画について語る機会を失うことになりたくない」と、婉曲的にこの問題についての直接の答えを避けている。公式上映は大絶賛を受け、共演者らも「ひとりの俳優に対する意見のせいでこの映画を見ないと決める人がいるとしたら残念」などと、スキャンダルに惑わされず、映画は映画として観てほしいという思いを、会見で伝えた。取材・文・写真:猿渡由紀
2016年09月12日