SAS Institute Japanは6月17日、「SAS Event Stream Processing」の最新版を国内で提供開始した。SAS Event Stream Processingは、イベント・ストリーム処理により、高速にビッグデータをリアルタイムに分析して意思決定の迅速化を支援するソリューション。最新版では、トランザクション処理、センサー、デバイス、トランスミッションなどを通じて継続的に高速に生成されるデータのストリーミング処理を、インタラクティブかつ直感的なインターフェイスで定義するための機能が強化された。SAS Event Stream Processingは、既知の洞察をリアルタイムのストリーミング・アナリティクスと統合し、ストリーミング・データを発生と同時に評価・分析する。蓄積される前のデータを発生と同時にリアルタイムで処理・分析することでパターンを検出し、「どの情報が保持されるべきか」「必要なアクションやアラートの引き金となる要因は何か」などの判断を下す。製造業者の場合、装置の故障の可能性を示す突然の変化をとらえるために、重要な設備にセンサーを取り付け、そこから送られてくるデータをリアルタイムで分析し、変化を察知すると、システムがアラートを発行して、エンジニアを調査に向かわせる。これにより、コストがかかるラインの停止を事前に回避するための調査や対応を実施したり、運転の中断を回避するためのメンテナンスを余裕を持って計画したりすることが可能となる。
2015年06月17日AOSグループの1つAOSリーガルテックでは、高度なデータ復旧技術を用い、データ復旧サービス、フォレンジックサービス、eディスカバリサービスなどを提供する。まずは、フォレンジックとeディスカバリについて簡単に紹介しておこう。フォレンジックであるが、無理矢理、訳すならデジタル鑑識などが使われる。具体的には、PCや情報機器のデータやログを分析し、裁判における証拠として使えるようにするものだ。近年は、PCを含め情報機器などが犯罪に必ず使われる。当然ながら、意図的に破壊されることもある。そのような状態からデータを復旧することも含まれる。eディスカバリは、電子的情報開示などと訳される。欧米の裁判では、当事者が訴訟に関連する電子情報を開示することが法律によって定められている。日本の企業が外国で訴訟に巻き込まれることは少なくない。その際に対応を誤る(データやソースコードの開示が不十分)と、制裁など不利な状況に陥ることがある。証拠データ開示には、多くの労力がかかる。そのサポートなどもAOSリーガルテックのサービスの1つである。一般ユーザーには、裁判など少しなじみにくい事柄かもしれない。しかし、犯罪に巻き込まれることは皆無ではない。また、海外と取引をしている会社に勤務していれば、eディスカバリを知らないではすまされない。本稿では、そこまでは紹介できないが、興味・関心を持たれたのであれば、まずは、AOSリーガルテックの公式ページを見ていただきたい。こういったAOSリーガルテックのサービスの根幹ともいえる技術の1つが、データ復旧技術なのである。○どうしてデータを失う?誰でも、データをなくしたという経験は一度や二度はあるだろう。HDDからデータが消える、もしくは読み出せなくなる理由にはいくつかあるが、大きく分けると物理障害と論理障害の2つがある。まず、物理障害であるが、以下のような事例が考えられる。物理的・機械的に破損(寿命も含む)水没や天災などで破損稼働部分は、摩耗や消耗から避けることはできない。ノートPCでは、落下もある。また、2011年3月の東日本大震災のように、天災などもある。そして、論理障害であるが、以下のような事例がある。クラスタ異常で、ファイルやフォルダが開けないウイルス感染フォーマットが求められる誤操作具体例で示そう。HDDへのファイルの書き込みは、クラスタという最小単位で行われる。ファイルAは11~13までのクラスタを使い、ファイルBは14~15のクラスタを使っているとしよう。これが、なんらかの原因で図2の下のようになってしまう。ファイルA、Bともにクラスタ13を使用している(クロスリンクと呼ぶ)。そして、クラスタ14は、どちらからも参照されていない(ロストクラスタ)。このような状態では、ファイルを読み出せなくなってしまう。そして、誤操作である。誤って削除、フォーマット、バックアップのリカバリ先を間違えるといったことだ。最近依頼が多いのは、ビデオカメラの復旧である。PCにコピーしたつもりでできていなかったり、子供が誤って消去してしまい、運動会や結婚式などの動画を復旧してほしいというものだ。依頼してくるユーザーのレベルもさまざまである。初心者に近いようなユーザーから、ある程度詳しく、自身で物理障害とわかって依頼するユーザーもいる。いずれにも共通するのは、そのデータがユーザーにとって、高い価値を持つという点である。PCで誤って削除してしまった場合、AOSデータのファイナルデータが有効な対策となる。AOSリーガルテックのデータ復旧は、このファイナルデータで培われた技術をベースにしている。データ復旧サービスは、1999年から手掛けており、以前は、警察庁や検察庁などといった調査機関からの依頼が主であった。現在も、全国の警察・検察庁にAOSリーガルテックのシステムが導入されている。それらの調査機関で処理できない案件については、各調査機関から依頼を受けて、輸送機関は使わずに、こちらへ搬入し、データ復旧を行っている。実際にデータ復旧サービスを行うのは、日本データ復旧サービスセンターである。○まずは初期調査からデータ復旧であるが、次の手順となる。電話、メール、Web経由で申し込み初期調査(無料診断)を受ける(HDDの送付)結果報告、費用の見積もりデータ復旧の発注、支払い復旧作業復旧データをUSBメモリなどにコピーし返却ポイントになるのは、初期調査結果であろう。論理障害、もしくは物理障害の診断障害レベルの診断希望のデータの有無データ復旧費用の概算料金の概要であるが、中程度の論理障害ならば53,000円から、物理障害ならば126,000円からとなっている。実際には、初期調査での見積もりとなる。詳しくは、図4のWebページを参照していただきたい。○実際にデータ復旧を行ってみる今回、復旧をお願いしたHDDは2000年製のPATAのHDDである(容量30GB)。PCにUSB経由で接続すると、ディスクの初期化が求められる。しかし、フォーマットをしようとしても、できない。事前の状況を説明したところ、物理障害の可能性も疑われるとのことだ。まずは、接続テストを行ったところ、無事に認識できた。この段階で、さすがと感じた次第である。担当者によれば、不良セクタが予想されるとのことだ。別のツール使い、データのコピー(復旧)を行う。図6は、途中のようすを撮影したものであるが、不良セクタが検出されている。不良セクタの部分を表示したのが、図7である。赤い部分が不良セクタである。その後に読み込みをスキップしたセクタが続く(黄色)。不良セクタの周辺は、さらに不良セクタが発生している場合が多い。そのため、スキップしている。一般的なHDDコピーでは、不良セクタがあっても読み続けようとする。その結果、障害を深刻化させてしまうこともある。そこで、あえてスキップし、あとでコピーを試みるのだそうだ。今回は、蓋を開けるまでには至らなかったが、状況によっては、クリーンルームの作業となる。ここでは、ヘッドの交換作業が行われていた。プラッタに損傷がなければ、復旧可能である(逆にいえば、プラッタが損傷すると復旧できない)。また、基板のチップ交換なども行う。また、ビデオカメラの復旧作業も行っていた。動画の復旧は、難しい点がいくつかある。まずは、ファイルサイズである。そして、動画データが、分散して保存(断片化)されることだ。AOSリーガルテックでは、独自のツールを開発し、断片化した動画データをブロック単位で分析し、繋ぎ合わせる。このツールにより、復旧率が大幅に向上したとのことである。動画の復旧は、まさに腕の見せ所と語っていた。○30分ほどで、完全に復旧依頼したHDDからの復旧は30分ほどで終了した。コピー時には、いくつかの不良セクタもあったが、無事にそれらも復旧できた。さて、持ち込んだHDDだがちょうど1年ほど前に、ファイナルパソコン引越しのレビューで使ったHDDであった(Windows XPからのデータ移行)。そのキャプチャ画面などが無事に復旧されている。自宅では、フォーマットすらできなかったHDDから、見事にデータを救出することができた。まさにプロの技といえるだろう。単純そうに見えるが、状況を把握し適切な処理を施している。○データを失わないためにデータ復旧サービスを受けないですむなら、それにこしたことはない。そのためのアドバイスもいただいた。答えは、複数の箇所にバックアップデータを保存すること、そして、同じHDD内に別フォルダを作成し、そこにコピーするという対策が有効とのことである。もし、物理障害が発生しても、復旧の可能性がかなり高まるとのことだ。また、USBメモリをバックアップ用にしていたが、いつの間にかメインの保存場所となってしまい、そこにしか重要データが存在しなくなってしまうこともある。そのUSBメモリで障害が発生し、復旧依頼もあるとのことだ。重要データは、複数に保存しておくことが求められる。もし、なんらかの障害が発生し、データを読み出せない事態となった場合、やってはいけないことをまとめたものが、図13である。電源ON/OFFなどは、やってしまいがちだ。パワーユーザーならば、チェックデスクを思い付くこともあるだろう。しかし、負荷の高い操作を行うと、HDDにトドメさしてしまうこともある。まずは、使わずに相談(初期調査)すべきだろう。また、SSDやSDカードに関してであるが、HDDとは構造も異なるので、別の技術が必要となる。特にSSDの場合には、フラッシュメモリが複数搭載されているため、コントローラのアルゴリズムを解析する技術が必要になる。高度な技術ノウハウの蓄積が必要な部分もあるが、調査機関からの依頼や訴訟案件ではどうしても復旧してほしいという依頼も多いため、研鑽を重ねノウハウを蓄積し、かなりの部分で対応可能になってきている。スマートフォン、タブレット、カメラの復旧依頼も多く、他社ではできないような復旧作業を可能にしている。今後、注力したい分野とのことだ。データを失った場合、多くのユーザーはあきらめてしまう。しかし、このように対策はあるのだ。さらに、保険ともいえるデータ復旧安心サービスパックも用意している。こちらも検討してもいいだろう。
2015年06月17日クックパッドは6月15日、明日の食が見えるビッグデータサービス「たべみる」およびコンサルティングサービスを提供するトレンド調査ラボにおいて、県別データの提供を開始した。同サービスは、レシピサイト「クックパッド」の検索データを活用した、食品製造業・流通業・小売業向けのデータサービスで、月間延べ5,000万人超が利用するクックパッドの検索キーワードを対象に、食材・地域・季節・食用シーン(誕生日や運動会など)といったさまざまな切り口で分析を行うことができる。同社によると、導入企業からの要望や大手小売業から地域別の商品開発強化の方針が打ち出されたことを受け、従来の地域別データに加え、新たに県別データを有償レポートとして提供するに至ったという。
2015年06月16日ビッグデータがマーケティングなど、さまざまな分野で活用され始めている。この傾向は製造現場においても同様。各工場から集めたデータや各製造工程のおけるセンサーからのデータを収集・分析・管理することで、製造効率や品質管理を向上させている企業が増えている。こうした製造業におけるデータ活用について学べる参加無料のセミナー「データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端」が、6月23日(火)13:00~、東京・千代田区一ツ橋のパレスサイドビル9F、マイナビルームで開催される。セミナー内容はオムロンの水野伸二氏による「全工程ログの可視化による生産効率の改善」、アプレッソの友松哲也氏による「IoTとビッグデータ活用でニーズ急増! データ統合基盤づくりの勘所」(仮)、NECネクサスソリューションズの田中徹氏・若松拓也氏による「化学・素材・食品製造業のための、経営に役立つ原価管理活用法」の3講演となっている。前述のように当セミナーは参加無料(要事前予約)となっており、製造業の現場でデータ活用を考えているビジネスパーソンにぜひ参加していただきたい。○同セミナーの詳細は以下の通り・タイトル:データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端・開催日時: 2015年6月23日(火)13:00~15:50・参加費:無料 (事前予約制)・開催会場:千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル9F マイナビルーム9F-A・最寄り駅:東京メトロ・東西線・竹橋駅直結・主催: 株式会社マイナビ
2015年06月15日インティメート・マージャーは6月12日、米Turnへのオーディエンスデータの提供を開始した。Turnは、米シリコンバレーに本社を設け、エンタープライズ向けデータマネジメントプラットフォーム「Audience Suite」と、ビデオ・モバイル・ソーシャル・ディスプレイ広告用のデジタルメディアバイイングプラットフォーム「Campaign Suite」、マーケターのために設計されたデータ検索・最適化・保管ソリューション「DataMine Analytics」の3つのリアルタイムマーケティングアプリケーションを提供する。今回の連携により、広告主や代理店などの担当者は、Turnのプラットフォーム上で、インティメート・マージャーが提供するオーディエンスデータを活用した広告の配信が可能に。5,000を超える性別や年齢などのデモグラフィックな情報や、興味関心などのサイコグラフィックな情報などが利用できる。同社は今後、保有する約4億のオーディエンスデータの精度を高めるとともに、膨大なデータを容易に管理・分析できるツールを提供することで、企業の市場分析やマーケティング課題解決をサポートしていく考えだ。
2015年06月15日○Jリーグに導入されたトラッキングシステムのメリット東京ビッグサイトで5月13日~15日まで、日本最大級のIT専門展「Japan IT Week 春」が開催された。今回は12の専門展を併催しており、「クラウド コンピューティング EXPO 春」にはパブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」で3,500件以上もの導入実績を持つニフティが出展。パートナー企業を招き、1日あたり10回以上ものブース内セミナーを開催していた。その中から、ディーネット 営業本部 萱野大輔氏が登壇した「サッカーの戦略とビッグデータ」を紹介しよう。萱野氏はまず、サッカー界におけるIT活用の実例について紹介した。Jリーグでは2015年から、トラッキングシステムを採用している。これは、6台の専用カメラでピッチ全体を撮影し、選手/ボール/審判の動きをリアルタイムに追尾・データ化できるというもの。データをアニメーション化してファン向けのエンタテインメントサービスに利用するだけでなく、チーム強化の観点で積極的に活用していく動きがある。データを見ると、試合中にトータルで何キロ走ったかを示す「トラッキングデータ走行距離」や、質の良いダッシュを行った「スプリント回数」などが一目瞭然。萱野氏は「2014年のFIFAワールドカップで優勝したドイツは、数年前からトラッキングシステムなど様々なデータを蓄積し、その分析・活用に取り組んでいました。その成果が、優勝という形で実を結んだのだと感じています」と、ビッグデータの有効性について語る。実は萱野氏も学生時代にサッカーを経験しており、その母校は多くの有名選手たちを輩出している筑波大学 蹴球部。そこで同期として一緒にプレーしていたのが、元サッカー日本代表であり、現在はSC相模原の代表を務める望月重良氏だ。二人はお互いに“重ちゃん”“大輔”と呼び合う仲であり、今回の講演ではなんと望月氏がスペシャルゲストとして登場。元プロサッカー選手の視点から、サッカー界におけるデータ活用について解説した。○元サッカー日本代表・望月氏が語るデータの重要性望月氏はトラッキングシステムの導入について「選手個人のデータが収集でき、すぐに見られるのは大きな強みです」と語る。昔は録画された映像を自分たちの目で見ながら、必要な数字を記録していった。しかし、トラッキングシステムがあればリアルタイムに自動でデータ化できるため、分析にかかる時間や手間が大幅に短縮可能。なおかつ、得られる情報量も圧倒的に多くなる。これは選手自身にとっても非常に有用な情報だ。「たとえば、サンフレッチェ広島の佐藤寿人選手は、1試合あたりどのくらいスプリントでゴール前に入れたか、全体で何キロ走っていたかを自分で確認し、コンディションの目安にしています。選手にとって、情報はそれだけ大切なものなんです」と語る。また、トラッキングシステムは自分たちだけでなく、相手チームの分析にも活用できる。データを基に相手チームのストロングポイント・ウィークポイントを分析し、どうすれば優位に試合を進められるか、戦略策定に役立てられるのだ。さらにデータは試合だけでなく、普段のトレーニングにも活用できる。どのようなトレーニングを行い、どこまで効果が得られたかをデータ化するのである。「こうした情報は、選手たちにとって貴重な財産であり、成績にも大きく影響してきます。今後はサッカーに限らず、スポーツ界全体でデータ活用が進んでいくはずです」と、望月氏はスポーツとデータ活用の重要かつ密接な関係を指摘した。データ活用の解説が一段落したところで、話題は元サッカー日本代表として望月氏が経験してきた裏話へと突入。現役時代で印象に残っている監督や選手、2018年 FIFAワールドカップの二次予選を前にした日本代表やハリル監督などについて語った。ここで進行役から、ファンによる「結婚の予定はありますか?」という質問を投げかけられた望月氏は、「今月入籍しました」と驚きの発言。会場からは、入籍を祝福する盛大な拍手が巻き起こった。○ビッグデータ活用が日本のスポーツ界を勝利に導く話題は再びビッグデータ活用へと戻り、「ビッグデータ活用は、スポーツにとって“早く導入したチームが勝つ”とも言えるほど大きな効果があります。時代の流れに乗り遅れないよう、効果的にビッグデータの分析・活用を実践していくべきだと感じますね」と語る望月氏。さらに「スポーツなので、勝たなければ意味がないと思うんです。勝つ可能性を広げるために、自分たちや相手を分析し、改善していくことが求められます。そのために、いろいろな面で進化していきたいですね」と続けた。ここで再び萱野氏にバトンタッチし、ディーネットが手がけるビッグデータ解析用プラットフォームマネジメント「CloudServ.」について解説が行われた。ディーネットでは、ミドルウェア・ハードウェアの構築から運用保守までを同社が、アプリケーションの運用メンテナンス部分をパートナー企業が実施する。インフラ部分は、優れた計算能力に加えて高信頼性を誇る「ニフティクラウド」を採用し、万全の体制でデータの収集から保存、解析、そして可視化を通じた分析や戦略策定が行えるという。最後に望月氏は「サッカーチーム自体にはまだこうしたノウハウがないので、SC相模原も信頼できるパートナーと一緒に取り組みながら、大きく成長していきたいと思います。私の場合、パートナーはもちろん大輔のいるディーネットですね」と今後の展開を語り、講演は盛況のうちに幕を閉じた。
2015年06月12日ガストやジョナサン、バーミヤンなどの外食チェーンを傘下に置き、日本全国に約3,000店舗を展開する すかいらーくグループ(以下、すかいらーく)。そのマーケティング部門は2013年秋、マーケティングROIの可視化に乗り出した。この目的の下、同部門は、Amazon Web Services(AWS)上のデータ・ウェアハウス(PostgreSQLベースのカラム型データベース)となる「Redshift」を採用。同環境に、グループ国内全店のPOSデータを投入した。POSデータの規模は年間約10億件。それを5年分――つまり、約50億件のデータを――Redshiftに投入したのである。また、同社では、レシート情報もデータ・ウェアハウスに取り込み、レシート番号カットで、売れた商品と売上げを把握できるようにもした。これにより、単に、商品ごと、地域ごと、店舗ごとの売上げだけではなく、「どの商品とどの商品がセットで良く売れているのか」や「顧客単価」「顧客収益」が細かく割り出せるようになった。こうしたデータ・ウェアハウス環境を用い、TVCMや新聞の折り込みチラシなど媒体ごとの広告効果(ROI)を精緻に分析。それに基づき、資源投入をTVCMから新聞の折り込みチラシ広告へと一部シフトさせたこともある。ROIの見える化による販促費の最適化は、売上拡大の中での「広告費の削減」に大きく寄与し、2014年上半期において、前年同期から40億円の売上アップを果たす一方で、3億円の広告費削減を成し遂げている。リニューアルを行った人気商品の発売記念キャンペーンの際には、その低価格さを強く打ち出した結果、客単価が大きく落ち込むという事態に見舞われた。そこで、商品の作り手側が最も思い入れの強い、最高グレードの商品をきちんと訴求する戦略に変更。この結果、テスト時に比較して数千万円の収益アップにつながったようだ。これも、客単価がすぐに把握できるシステム活用の1つの成果といえる。さらに、同社はかねてから、いわゆる「ケータイクーポン会員」の仕組みを回し、携帯電話を通じて会員に割引クーポンを配布してきた。そうした施策の効果を測るうえでも、顧客単価や収益などが分析できるデータ・ウェアハウスは有効に機能している。○技術の進化でビジネスのスキルが分析に活きるマーケティングROI分析の効果と実績を評価したすかいらーくは、マーケティング本部内に「インサイト戦略グループ」と呼ばれるデータ分析専門のチームを立ち上げる決断を下した。このチームのミッションには、マーケティングROIの「科学的な分析」のみならず、「業績管理」のフィールドへと広がっていった。インサイト戦略グループは、いわゆる「データ・サイエンティスト」が中心を成す組織だ。こう言うと、統計解析のプロの集まりと思われるかもしれないが、実はそうではない。もちろん社外から来たデータ・マーケティングのプロもいるが、多くが、店舗の現場で経験を積んできたビジネス・パーソン。なかには、チームに入るまで、「Excel」にすら触れたことのなかったスタッフもいるという。そのチームが、マーケティングROIを分析し、仮説・検証の中で必要な施策を提示したり、業績上、どのような問題が起きているのかを、地域別・時間帯別などの売上げの可視化によって分析したりしているわけだ。「数年前のITインフラやソフトウェア・ツールだったら、ビジネス現場の担当者がいきなり、マーケティング分析をしろと言われても、とても対応できなかったでしょう」と、すかいらーくのマーケティング本部インサイト戦略グループコンシューマー インサイトチームリーダー、瀬良豊氏は語る。「しかし現在は、クラウドの働きで、必要なITリソース・ソフトウェアが、特別な技術スキルがなくても入手できます。Redshiftにしても、インデックスをどう張るか、どのようにパーティションを切るか考えることなく、膨大な生データを分析する基盤が作れます。加えて、我々が使っている分析ツールは、統計の知識やExcelのピボットテーブルを駆使せずとも、ビジネスの視点で、さまざまな角度からデータを参照したり、分析することが可能なのです」(瀬良氏)同氏が言及した「分析ツール」の1つは、「Tableau」だ。インサイト戦略グループでは、業績管理の業務にTableauを活用しており、その働きによって、日々の分析・リポート作成処理が(Excelを利用していた)従来に比して格段に簡単になり、また、飛躍的にスピードアップしているようだ。さて、これまで、企業内のデータ・サイエンティストの要件についてはさまざまな議論がされてきたが、「会社の業務・事業に関する知識・スキル・経験が最も重要」との見解が大勢を占めつつある。というのも、ビジネスの経験値や知識がなければ、「データの裏側にある "なぜ" 」が的確に想起できないからだ。例えば、ある店舗の売上げが落ちていることが判明したとしても、現場カンがなければ、その要因を「これではないか」と想像できず、仮説が立てられない。仮説が立てられなければ、適切なデータ分析も進められないことになる。「私たちは、いい分析には、いい仮説が必要で、いい仮説には、現場の経験が大切だと確信しています。また、データ・サイエンティストは、正しい方向を示すのと併せて、他の組織・現場を巻き込んで、分析を実際の "アクション" へとつなげる能力も備えていなければなりません。そのためにも現場の経験は必須ですし、現場の経験がなければ、現場がとても対応できないような施策を提示してしまうおそれもある。ですから、私たちのチームは、現場の出身者を中心に構成しているんです」(瀬良氏)そして、現場の経験をフルに生かしたデータ・サイエンスを可能にしているのが、進化したITであり、Redshiftであり、Tableauであるということだ。○躍進する「ガストアプリ」、効果はケータイクーポンの90倍2015年5月時点で、すかいらーくのインサイト戦略グループでは、マーケティング施策の一環として、スマートフォン向けのアプリケーション(スマホアプリ)「ガストアプリ」を運用する。その狙いは、顧客の来店回数を高めることだ。同社のグループ全店のユニーク来店者数は、年間で7,000万人に達し、3年間のユニーク数になると1億人規模にも及ぶ。となれば、新規顧客の開拓をねらった施策よりも、既存個客の来店頻度を高める施策のほうが費用対効果は高くなる。この考え方に沿った施策として、同社は、グループ国内全店を対象にしたケータイクーポン会員の仕組みを回してきた。だが、若い世代を中心にケータイからスマホへの移行が急激に進んでいる。しかも、スマホアプリの場合、メール送付のユーザー・パーミッション(ユーザー同意)も、ケータイを通じた会員サービスなどに工夫の余地も大きく、ユーザーのメール開封率もやり方によっては大きく伸ばせるといった特性もある。そうしたスマホアプリの利点が、ガストアプリのリリースへとつながったわけだ。巧みな「アプリ・マーケティング」もあり、ガストアプリは、急速にそのユーザー数を増大させ、ローンチから7カ月が経過した2015年4月時点で、すでに300万人が同アプリをダウンロードしている。すかいらーくのケータイクーポン会員も1,000万人に達しているが、こちらはグループ約3,000店舗を対象に8年をかけて積み上げたものだ。ガストアプリは、その半数の店舗を対象に7カ月で300万ユーザーを獲得しており、会員獲得スピードはケータイクーポン・サービスの10倍近くになる。また、ガストアプリのメール開封率もケータイクーポンの3倍で、メール送付パーミッションの承認率も2~3倍におよび、それらを掛け合わせるとガストアプリは、ケータイクーポンの90倍の効果を発揮している計算になる。インサイト戦略グループでは今後、機械学習のテクノロジーを利用し、アプリを通じたOne to Oneマーケティングをより洗練させていくという。具体的には、機械学習のソフトウェアを用いて、「どの顧客に、いつ、どのようなクーポンを送るのが最も効果的か」を判断し、「ほしい人だけに、ほしいクーポン・情報を、適切なタイミングで届け、来店の確率を高めていく」というわけだ。すでに、すかいらーくでは、顧客ごとの来店確率を算定し、確率上位の顧客にクーポンを送付するという施策を試験的に展開したが、それによってコンバージョンレートが通常の3倍になることが確認できたという。こうした結果を踏まえ、今後も機械学習技術によるマーケティングのインテリジェント化を推し進めていく構えだ。
2015年06月12日KDDI、沖縄セルラー電話は10日、データ保存アプリ「データお預かりアプリ」の機能を拡充するとともに、iOS版の提供を開始した。iOSとAndroid間でのデータのやり取りが可能になる。「データお預かりアプリ」は、auスマートフォンおよびauタブレットのデータを保存できるアプリ。iOS版では、iPhone/iPad内の写真、動画、アドレス帳、カレンダーの各データを、最大1GBまで「auスマートパス」サーバーへ保存できる。また、「auスマートパス」会員であれば最大50GBまでの保存が可能となっている。新機能として、BluetoothもしくはWi-Fiを経由し、インターネットを介さず端末同士で直接データをやり取りできる「ダイレクトデータ移行機能」を追加。異なるOS同士でもデータ移行ができるようになる。同アプリの対応機種は、「Galaxy S6 edge SCV31」、「Xperia Z4 SOV31」、「AQUOS SERIE SHV32」、「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「TORQUE G02」、「URBANO V02」、「Xperia Z4 Tablet SOT31」、「Qua tab 01」、iOS 6.0以降を搭載したiPhone、iPad。Android版はau Marketから、iOS版はApp Storeからダウンロードできる。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年06月10日富士通は6月9日、20Gbpsのネットワークに流れる通信データをPCサーバでフルワイヤーキャプチャしながら、蓄積したデータから必要な情報を高速に検索できるソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora TC」の販売を開始した。同製品は通信データの証跡を完全に管理するためのソフトウェア。広帯域なネットワークを流れる通信データをフルワイヤーキャプチャーし、セションごとにインデックスを生成することで、大量の通信データの中から目的のデータを数秒から数十秒で抽出できる。本来、広帯域のネットワークを流れる通信データをフルワイヤーキャプチャーするには高価な専用機器が必要だが、PCサーバ上のソフトウェアで実現することで、ネットワーク品質管理システムなどのCAPEX(Capital Expenditure:機器投資)の削減を実現する。システムを止めずにデータ保存サーバを増設でき、通信データの欠損なく蓄積容量を拡張可能。蓄積を継続しながら最大702TBまで蓄積容量を拡張できる。同製品の利用シーンとしては、「通信回線サービスの品質管理」「ネットワークDevOpsソリューションの強化」「セキュリティ対策」などがある。価格は、「基本ソフトウェアライセンス V01」が600万円、「データ保存サーバ1追加ライセンス」が40万円、「V01 メディアパック」が2万円(いずれも税別)となっている。同社は2015年度中に、セキュリティやネットワークフォレンジック用途向けにAPIをさらに拡充した製品を販売する予定。
2015年06月10日プラットイーズは6月8日、メディアキャストのデータ放送システム「DataCaster M3」を利用してテレビの番組情報をデータ放送で提供する番組レコメンドサービス「OSUSU・me」(おすすみー)を発表した。ケーブルテレビ事業者向けに、2015年夏より提供を開始する予定だ。新サービスはDataCaster M3と密接に連携し、同社が入力した番組情報をタイムリーにデータ放送で表示できるという。視聴者はリモコンの操作で各チャンネルの番組情報を取得でき、自分の好みに合わせて表示する番組ジャンルを選択可能とのこと。見たい番組を「お気に入り」に登録すると、リマインド機能により視聴機会を逃さないとしている。番組編成の急な変更や突発的なイベント関連番組の追加、速報などのタイムリーな情報などにも迅速に対応可能という。番組探しから視聴までの操作はリモコン1つで完結するため、視聴者の利便性も向上させることができ、視聴の促進や解約防止、加入の促進に寄与するとしている。第1号ユーザーとして、香川県の中讃ケーブルビジョンが導入を決定しており、2015年夏から視聴者へのサービスを開始する予定という。
2015年06月09日コロプラは6月8日、位置情報ビッグデータ分析レポート「Location Trends」を活用し、スマートフォンの位置情報ビッグデータを活用した高梁川流域圏域の観光動態、商業動態・診療圏の調査レポートを岡山県倉敷市に提供したと発表した。同社が自治体に対し商業動態・診療圏動態調査レポートを提供するのは、今回が初めての取り組みだという。Location Trendsは、KDDIがauスマートフォンユーザーから同意の上取得し、誰の情報であるかわからない形式へ加工した位置情報データおよび属性情報(性別・年齢層)などのデータを用いて、コロプラへ分析を委託し作成した「位置情報ビッグデータ分析レポート」サービスの総称。今回、倉敷市に提供した位置情報ビッグデータ分析レポートは、江戸時代の街並みが残る美観地区などの観光地や広域において、拠点の役割を果たす主要医療機関、主要商業施設エリア周辺に訪れた人々の移動傾向を調査・分析したもので、倉敷市が高梁川流域圏域の経済成長を目的として総務省から受託した平成26年度「新たな広域連携モデル事業」の一部を構成する。倉敷市は同調査結果を受けて、今後「高梁川流域経済成長戦略会議」を設立し、高梁川流域7市3町における経済分野(商工、観光、農林分野)の成長戦略を策定、推進する考えだ。
2015年06月08日KDDI、沖縄セルラー電話は、同一名義の4G LTEスマートフォン/ケータイと4G LTEタブレット/PCで、データ容量をシェアできる「データシェア」を11日より提供開始する。「データシェア」は、個人で複数のデバイスを契約している場合、端末間でデータ容量をシェアできるサービス。iPhone、4G LTEスマートフォン/ケータイは、「データ定額2/3/5/8/10/13」など、iPadは「LTEフラット for Tab(i)」など、4G LTEタブレットは「LTEフラット for Tab」など、4G LTE対応PCは「LTEフラット for DATA(m)」などへ加入していることが条件となる。利用可能台数は、1つのau IDに対しスマートフォン/ケータイが1台、タブレット/PCが5台までとなっている。また、利用するには、「データシェア」への申し込みのほか、同一名義の回線のau IDを統合する必要がある。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年06月08日データサイエンティストやアナリストの重要性が叫ばれて久しい昨今だが、その需要に対して供給が圧倒的に足りていないのが現状だ。特に日本においては、データ分析に関する才能を持つ人材の不足が顕著であるという。また、「アナリティクス」というとこれまでは、過去がどういう状況だったのか理解し表現することを指していたが、これからは問題解決や将来予測を行うところまでが求められる。「そのためには、統計だけでなく、マイニング、フォーキャスティング、オプティマイゼーションなど幅広い“サイエンス”の素養が必要である」とSAS Institute Japan(SAS)の執行役員 マーケティング本部兼ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏は語る。そういった“サイエンス”の素養を兼ね備えたデータ分析人材を増やしていくために同社は、学生に対しデータ分析の知識やスキルを会得する機会を提供することが重要であると考えている。SASの執行役員 公共・公益営業本部 本部長 阿部浩也氏は「まず、統計学を中心にデータ分析の基礎を理解する人口を増やす」として、そのための「底辺を広げる」「専門性を高める」「コミュニティの創造」という3つの柱を提示。次世代のアナリティクス人材の育成を目的としたイニシアチブ「SAS Analytics U」を日本国内でも包括的に推進していく考えを示した。まず「底辺を広げる」施策として、これまでに非営利の研究目的であれば誰でも利用することができる統計ソフトウェアの無償版「SAS University Edition」のダウンロード版を提供してきたが、これに加えて、AWS in EducationプログラムのひとつとしてAWS Marketplaceからの提供を開始(新規登録者に対して月750時間を上限に12カ月間の無償アクセスができるAWS無償利用枠)。さらに、無償版のSaaS型分析ツール「SAS OnDemand for Academics」の提供も開始した。さらに「専門性を高める」施策として、これまでのオンプレミス型の有償ライセンスプログラムを刷新。「SAS Education Analytical Suite」として、従来製品からの大幅な値下げを実施している。また「コミュニティの創造」に向けて、ユーザー会の支援やSASのコミュニティ運営を行っていくという。「日本にはデータ分析能力を持つ学生が少ない。SAS Analytics Uを推進していくことで、SAS University Editionのダウンロード数が圧倒的に多いアメリカにキャッチアップしていきたい」(阿部氏)
2015年06月05日日経BPコンサルティングは5月29日、「データ連携に関するアンケート調査」の結果を発表した。これによると、データ連携ツールの導入率は20.4%で、導入検討中を含めると36.3%となり、3社に1社が必要性を感じている結果に。特に、中小・中堅企業の導入意欲が高いことが明らかになった。同調査は、大企業や中堅・中小企業、公共機関等にて社内向け情報システムの構築・運用に携わる1253名を対象に実施したもの。企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させる製品(EAI : Enterprise Application Integration等)の利用実態や導入計画、選定ポイント、期待度、満足度などについて調査したという。○データ連携ツールの導入率は20.4%これによると、データ連携ツールの導入率は20.4%で、導入検討中は15.9%。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が1.8%となったほか、「3年以内の導入を検討中」が1.9%となり、導入時期を決めて検討している企業は多くないことが分かった。また、導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み / 導入検討中」は36.3%であることから、3社に1社はデータ連携ツールの必要性を感じているようだ。なお、EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいはそのためのミドルウェアの総称。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用するデータ形式を変換し、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。○大企業の導入率が比較的高い傾向に同調査を企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいることが分かる。従業員数1000人以上の大企業では、導入済みが30.0%で、導入検討中までを含めると45.7%となり、半数近い企業がデータ連携ツールの必要性を感じている結果に。大企業ほどデータが分散していると推測されるため、データ連携へのニーズが高いと推測できる。また、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは19.7%で、2014年の結果(12.3%)より7.4ポイント増加。300人未満の中小企業の導入済みは8.0%で、300人以上1000人未満の半分未満の比率であり、導入が進んでいないことが分かる。なお、導入検討中に着目すると、300人未満では16.1%、300人以上1000人未満は16.0%、1000人以上では15.7%が導入を検討しており、企業規模に関係なく約16%が導入を検討している。○選定ポイントは「接続先の多様さ」導入済み・導入検討中の企業が重視する選定のポイントでは、「接続先が多様なこと(アダプタの種類の多さ)」が33.3%で、最も重視される選定のポイントだと判明。同社によると、この背景には、「データ連携ツールの導入率が高まるにつれて、社内に分散する多種多様な形式(業界標準あるいはメーカー固有の形式)のデータを取り扱いたい」というニーズの表れがあるほか、「さまざまなデータやシステムを臨機応変に連携させ、ダイナミックに利用する際にも接続先の多様性が鍵」になるのではという。○満足度No.1は、アプレッソの「DataSpider Servista」主要なデータ連携ツール(製品)の導入状況と、導入前の期待度、導入後の満足度についての質問では、総合満足度において、昨年に続き2年連続でアプレッソの「DataSpider Servista」が最も高い結果に。最重視された選定ポイント「接続先が多様」の個別項目においても、同製品の満足度が最も高くなった。なお、同社は、期待度に比べて満足度が低くそのギャップが大きいツールもあり、顧客の期待の大きさを裏切らない製品作りが求められていると分析する。
2015年05月29日アーク情報システムは27日、削除してしまったデータや起動しないPCなどからデータを復元するソフト「HD革命/FileRecovery Ver.3」を発表した。Standard版とProfessional版の2種類に、それぞれ通常版 / アカデミック版 / ダウンロード版を用意。6月5日に発売する。○HD革命/FileRecovery Ver.3 Standard版Standard版の価格(税別)は通常版が4,700円、アカデミック版とダウンロード版が3,700円。Windows上から製品CDを使ってアプリケーションを起動し、主にデータを間違って消してしまった場合や、HDDなどのドライブが認識しなくなったときに使用する。詳細スキャンを行う際のファイル形式として、新たにカメラメーカー(主要6社)のRAWデータに対応した。対応するのはニコン(NEF)、キヤノン(CR2)、リコー(DNG)、ソニー(ARW)、ペンタックス(PEF)、コニカミノルタ(MRW)。最新版ではスキャン速度と復元性能の向上が図られ、PhotoShop、Illustrator、一太郎など、ユーザーの要望が多かったファイル形式を対象に追加した。そのほか、ファイルシステムのスキャンやHDDスキャンなどを実行可能。対応OSはWindows Vista(SP2) / 7(SP1) / 8 / 8.1。○HD革命/FileRecovery Ver.3 Professional版Professional版は、上記のStandard版に機能を追加した高機能版。価格(税別)は通常版が7,600円、アカデミック版とダウンロード版が6,000円。製品CDからのPC起動や、Windows PEに対応した起動ディスク作成機能を備え、PCが起動しなくなった場合などのデータ復元に対応できる。Professional版のみの機能として、パーティションの修復やファイル救出などを搭載。
2015年05月27日NECは5月27日、企業の基幹システムやビッグデータ活用における高信頼基盤向けに、最大18コアのCPU「インテル Xeon プロセッサー E7 v3 ファミリー」を採用し、Windows/Linuxに対応したエンタープライズサーバ「NX7700xシリーズ」の新製品4機種を販売開始した。新製品は、メインメモリ領域の可用性を向上させる、コントローラ強化やスペアリング方法の拡充を実施するとともに、メインメモリ領域の効率的な利用が可能となる「Address Based Memory Mirroring機能」に対応することで、拡大するビッグデータ活用へのニーズとシステムの安定稼働に対する信頼性にこたえ、基幹システムの高度化を支援する。「Address Based Memory Mirroring機能」は重要領域のみを2重化することでき、これにより、限られたメモリ領域を、ビッグデータの収集・分析のためのインメモリDBとして有効に利用することが可能となる。また、物理障害に対応するメインメモリのスペア領域設定範囲を拡大することで、メインメモリ領域が複数回の障害にあった時もシステムを継続して稼働させることが可能になった。さらに、データ活用を行ううえで重要な、外部ストレージやネットワークと接続するI/Oカードの障害時に、無停止で予備カードへ切り替える「Mission Critical I/O Failover機能」も搭載した。内蔵ディスクは12Gbpsの高速SASインタフェースや、従来機比で容量2倍の高速ストレージに対応し、大容量データを持つ基幹システムと連携したビッグデータ活用基盤や、プラント故障予兆監視やITシステムの異常検知などで有効なインバリアント分析等の高速集計・検索を実現するリアルタイム分析基盤を構築可能にする。最小構成価格は、「NX7700x/A3012M-4」が327万5000円から、「NX7700x/A3012L-2」が358円9000円から、「NX7700x/A3012L-1」が301万7000円から、「NX7700x/A3010M-4」が168万4000円からとなっている。
2015年05月27日ガートナー ジャパンは5月25日、日本企業のビッグ・データへの取り組みに関する調査結果を発表した。これによると、ビッグ・データに対する認知度は約9割で、そのうち約3割の企業が関心を示している一方、実際に活用を進めている企業は6%という結果となり、ほとんど取り組みが進んでいないことが判明したという。同調査は2014年11月、同社が日本企業のIT部門マネージャを対象に実施したもので、有効回答企業数は703件。対象企業の業種は全般にわたる。なお、同社による「ビッグ・データに関する調査」は2011年より行われているという。これによると、2011年~2013年にかけて、ビッグ・データを「よく知っている」「ある程度知っている」「多少知っている」と回答した企業の割合が毎年大幅に増えていたが、2014年の結果では、2013年と比較して、認知度・関心度ともに大きな変化は見られなかった。また、ビッグ・データへの取り組みを進める上での阻害要因と状況に関しては、48%の企業が「ビッグ・データから価値を得る方法が分からない」ことが最大の阻害要因であると回答する。
2015年05月26日グレープシティは、業務アプリケーションにおけるデータの参照や登録を行う画面の開発を支援する2種のデータグリッド「SPREAD for Windows Forms 8.0J(SPREAD)」と「MultiRow for Windows Forms 8.0J(MultiRow)」を6月24日に発売する。同社は、今回発売されるSPREADとMultiRowの新バージョンについて、2製品の併用を製品開発コンセプトの上位概念においており、SPREADはMultiRowのようにセル選択時のスタイルのカスタマイズができるようになった一方で、MultiRowではSPREADのデフォルトスタイルの再現が可能になり、ヘッダのソートや、列選択に関してもSPREADと同じように操作することができる。さらにSPREADでは、テーブル機能、斜め罫線、チャートの線種設定などの新機能を追加されたことにより、Excelとの互換性が向上。また、用途別入力コンポーネント「InputMan」の数値入力支援機能を使用したセル型「GcNumber」を追加するなど、アプリケーションとしての利便性が強化された。MultiRowの新バージョンでは、伝票入力画面を作成するうえで需要の高い条件付き集計機能、付箋機能が新たに追加された。また、ページ指定印刷やCSV形式でのデータ出力にも対応。開発ライセンス価格は、SPREADが17万2,800円、MultiRowが12万9,600円(いずれも税込)。2製品とも高DPIに対応しており、今夏リリースが予定されているWindows 10、Visual Studio 2015などの最新環境についても、Service Pack(無償アップグレード)を迅速に公開することで対応していく予定だという。
2015年05月25日マーベリックとぐるなびは5月22日、業務提携を行い、マーベリックが保有するビッグデータ解析技術・DMP・広告配信データと、ぐるなびが持つサイト内アクセスデータを用いて、新たなエリアマーケティングシステムを開発し、ぐるなび加盟飲食店向けの紙広告商品の開発・提供を行うことで合意した。同提携は、ぐるなびに加盟する飲食店舗を対象に、エリアマーケティングによる新たな地域活性化ソリューションを提供することを目的とするもの。マーベリックの提供するシステムにより、両社の保有するビッグデータを統合・分析し、日本全国の各地方・地域の居住者属性の推定が可能となる。また、細分化されたエリアごとに、紙広告商品の提供が可能な印刷・配布オペレーションを構築。これらにより、リーチが難しかった地域の潜在顧客層を開拓し、首都圏に限定しない情報のレコメンドを各世帯に届け、地域の情報流通の活性化を目指す。
2015年05月25日調査会社のIDC Japanが5月21日発表した調査結果によると、2014年の国内ビッグデータ・テクノロジー市場の規模は444億円で、前年比成長率は39.7%と拡大を継続しているという。同社は同市場を、インフラストラクチャ/ソフトウェア/サービスの3つのセグメントに分類し、市場規模調査を行った。それによると、2014年の同市場規模は前年同期比39.7%増の444億700万円になったという。ビッグデータ・テクノロジーに取り組む企業はテクノロジーに明るいSIやネット系企業などから一般企業に拡大しているとのこと。これは単純なユーザー層や個々の事例の規模の拡大だけでなく、プロプライエタリ・ソフトウェアやアウトソーシングの利用を促進し、今後も市場は高い成長が続くと期待される。同社の予測によると、2019年の市場規模は1,469億400万円となり、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は27.0%になるとのことだ。また同社は国内企業を対象に、ビッグデータ・テクノロジーへの取り組み状況について調査した。2014年の前回調査と比較すると、ビッグデータ・テクノロジーについて「何らかの取り組みを行っている」とする企業が28.6%から32.0%と増加した一方で、「わからない」とする企業が31.6%から12.1%に大きく減少し、「当面取り組み予定が無い」とする企業が39.8%から55.9%へ増加した。この結果から、ビッグデータ・テクノロジーの取り組み意向がユーザー企業で二極化しているという。同調査では予算や人材面などのリソース面の課題も明らかになっているとし、企業の中で自社のリソースなどを考慮して取り組みの姿勢を明らかにする企業が増加していると、同社は見ている。「国内ビッグデータ・テクノロジー/サービス市場は先行ユーザーの成功事例を受けたマーケット側の需要の盛り上がりと、2012年前後からの供給者サイドの積極的な投資により急速な成長を遂げている。一方で、中期的にアーリー・アダプターからマジョリティ層へ利用を拡大していくためには人材不足やセキュリティ、コストといった阻害要因を抱えている。ITベンダーやSI事業者はクラウドの活用やビジネスモデルの転換を通じて、ユーザー企業がビッグデータ・アナリティクスを積極的に利用できる環境を作ることが必要になる」と、同社ソフトウェア&セキュリティ マーケット・アナリストの草地慎太郎氏は分析している。
2015年05月22日エーザイは5月21日、研究者向けに臨床試験データの公開を開始したと発表した。この取組は外部ウェブサイトを利用して行われており、研究者が臨床試験データへのアクセスをリクエストすると、エーザイが関与しない独立審査委員会による審査が行われる仕組みとなっている。審査でリクエストが承認されると、匿名化された臨床試験データへのアクセス権が研究者に付与される。対象となっている臨床試験データは2014年1月1日以降に米国、欧州に申請し、承認され製品になったもの。なお、同ウェブサイトでは臨床試験の情報が英語で掲載されている。エーザイは「臨床試験に関する情報およびその結果をより広く公開することは、医学、科学の発展につながり、公衆衛生の向上に寄与するものと考えています」とコメントしている。
2015年05月21日サイオステクノロジーは、すでに5月26日と6月4日に、クラウド型データマネジメントサービス「Treasure Data」及び人気のデータビジュアライゼーションツール「Tableau」を中心に、ユーザーが利用体験できる、無料ハンズオンセミナーを実施すると発表したが、好評につき、6月16日と6月24日にも追加で実施すると発表した。○セミナー概要日時:5月26日(火)、6月4日(木)、6月16日(火)、6月23日(火)時間はいずれも 15:00~17:30(受付14:30~)会場:サイオステクノロジー本社 3F 「SIOS Learning」ルーム[Map]東京都港区南麻布2-12-3サイオスビル定員:各回10名まで講演内容:・ビッグデータサービスの紹介・Treasure Dataのクライアントを使った基本操作・Tableau Desktop を使ったデータの基本操作(バージョンは9.0を使用)参加費:無料締切:開催日の2営業日前まで注意事項:参加に際して、自身のノートパソコンを持参する申込/詳細:こちら
2015年05月21日Talendとデータキュレーションは5月19日、オープンソースソフトウェア版である Talend Open Studio(TOS)の普及と技術支援、および共同マーケティングに関する協業を開始したと発表した。データおよびビッグデータ統合ツールを提供するTalendと、社内外の多様なデータを、最適なタイミングで、必要な人やシステムにデータキュレーション(データ選別)して提供できるデータキュレーションが連携することで、さまざまな課題がある企業を支援していく考えだ。両社はTOSの普及と商用版の拡販を目的とした共同マーケティングを展開していく予定。
2015年05月20日サイオステクノロジーは、5月26日と6月4日に、クラウド型データマネジメントサービス「Treasure Data」及び人気のデータビジュアライゼーションツール「Tableau」を中心に、ユーザーが利用体験できる、無料ハンズオンセミナーを実施すると発表した。○セミナー概要日時:5月26日(火)および6月04日(木) 15:00~17:30(受付14:30~)会場:サイオステクノロジー本社 3F 「SIOS Learning」ルーム[Map]東京都港区南麻布2-12-3サイオスビル定員:各回10名まで講演内容:・ビッグデータサービスの紹介・Treasure Dataのクライアントを使った基本操作・Tableau Desktop を使ったデータの基本操作(バージョンは9.0を使用)参加費:無料締切:開催日の2営業日前まで注意事項:参加に際して、自身のノートパソコンを持参する申込/詳細:こちら
2015年05月18日ALBERTは5月13日、エム・データが生成、保有するテレビ放送データ(TVメタデータ)と関連するビッグデータを統合的に分析し、データマネジメントプラットフォーム(DMP)を通じて企業のOtoOtoO施策を支援する新たなサービスを開始すると発表した。「OtoOtoO」とは、オフライン(またはオンエアー)・ツー・オンライン・ツー・オフラインの略称で、特にテレビ放送との連係においてはT2O2O(テレビ・ツー・オンライン・ツー・オフライン)と呼ぶこともある。放送やデジタルサイネージなど、オフラインにおけるコミュニケーションから消費者を一旦Webサイトやスマートフォンアプリなどのオンラインに誘導して動機付けをしたうえで、さらに店舗やイベントなどのオフラインに誘導する施策やコミュニケーションの方法を表す言葉だ。両社は、エム・データが生成、保有するTVメタデータを活用し、ALBERTが開発した「smarticA!DMP」を経由して、店舗やイベント、デジタルサイネージやスマートフォンアプリなどを連係したOtoOtoO施策の実行を支援。また、TVメタデータとテレビ視聴ログおよび関連するビッグデータを連係して分析するコンサルティングサービスも提供する。ALBERTは、音声による自動コンテンツ認識(ACR)技術に強みを持つエヴィクサーとの資本業務提携を2015年3月24日に発表した。このエヴィクサーのACR技術により「誰が、どの放送を視聴しているか」をリアルタイムに把握できるうえ、そこにエム・データのTVメタデータが加わることで「誰が、どんな放送を」視聴しているかという情報も加味した分析が可能となった。
2015年05月14日観光庁は5月1日、訪日外国人旅行者数2,000万人の達成に向け、ビッグデータを活用した訪日外国人観光客の行動・ニーズ調査を開始すると発表した。同調査では、訪日外国人旅行者のTwitterやWeiboなどのSNSにおける投稿(英語、中国語、韓国語)から、興味・関心や満足度、今後改善すべき受入体制などについて情報を抽出。対象地域は、韓国、中国、台湾、香港、アメリカで、10万人/月を目標数としてデータを分析するという。また、GPS地図アプリ「NAVITIME for Japan Travel」を使って、訪日外国人旅行者の位置情報を5月中旬(予定)以降に収集し、日本全体のマクロな動態や、大都市・地方におけるミクロな動態などについて調査する。調査分析結果は、地方公共団体や観光関係者に公表される予定だ。
2015年05月01日日本マイクロソフトは4月24日、これまでExcelで提供してきたPower BIの無償版「Power BI Designer」の提供をPowerBI.comで開始した。現在はプレビュー版の提供で、一部に英語のインタフェースが残る。正式版の提供は現時点で未定。月額9.99ドルの有償版「Power BI Pro」も今後は日本で提供する予定だという。ただ、Power BIの無償版でも、1ユーザーあたりのデータ使用量が1GB分確保されているなど、ある程度余裕を持って利用できるようだ。○ビッグデータ活用、課題は「経済」「技術」日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 部長の斎藤 泰行氏によると、今回の無償化は「ビッグデータの民主化」だという。2013年に総務省が行った調査では、企業に眠る様々なログ、いわゆる"ビッグデータ"を活用することで、日本国内の経済効果が7.7兆円にのぼることが明らかになったという。この7.7兆円という数字は、東京オリンピックの経済効果試算が3兆円と一部で言われている中で、それを大きく超える波及効果となる。しかし、2014年に同様に行われた総務省の調査では、ビッグデータを実際に活用できた割合がわずか4.6%に過ぎず、大きな潜在需要とは対照的にビッグデータ活用が遅れている現状を映し出していた。実際の現場の声はどうか?「なぜ遅れているか」との問に「データが散在している」「どう利用すれば良いかわからない」「分析手法がわからない」といった技術的な問題や、「データ利用による費用対効果がわかりにくい」「データの分析・利用に費用がかかる」といった経済的問題に対する声が上位に並んでいる。これらの問題を解決する施策が、日本マイクロソフトのPower BI無償化施策というわけだ。○Power BIのフリーミアムモデルとは?Excel Power BIはかねてより定評のあるツールで、誰もが一度は触れたことのあるExcelをベースに情報分析のBIツールを使えることから、敷居の低さを売りとしていた。ただ、BIツールは一般的にウォーターフォール開発によって導入する企業が多く、高い費用をかけて特定のユーザーしか使えない状況にあった。「ビッグデータの活用は、データを集めて実際に事業に活かすことを現場で考えることが一番。部門ごとに使えることが最大の利点なのに、経営管理といった分野でしか利用されないことが多かった。そこだけでなく、使う範囲を、裾野を広げていかなければならない」(斎藤氏)使える裾野を広げる、そういった側面でもExcelをベースにしたBIツールは心強い存在だ。技術的障壁は、Excelの利用法をある程度理解していれば超えられる上に、残る経済的障壁も無償化によって崩す。中央集権的な存在を、みんなの物にする取り組みだからこそ、日本マイクロソフトは「ビッグデータの民主化」と呼ぶわけだ。同時に斎藤氏は「Power BIのフリーミアムモデル」と、今回の無償化施策を説明する。ただ、ここで指す「フリーミアムモデル」は、Power BI DesignerからPower BI Proへの移行をマイクロソフトとして目指すものではない。短期的、近視眼的なものではなく、将来的なAzureの利用を念頭に置いた「フリーミアムモデル」なのだ。「モバイルの世界でもビッグデータを活用できるように、DATAZWNというモバイルBIベンダーをこの4月に買収した。2月には、Azure Machine Learning(Azure ML)の一般提供も開始しており、統計解析言語RのベンダーRevolution Analyticsの買収と合わせ、統合的なソリューション提供の下地ができている。Power BIの何がフリーミアムモデルの"プレミアム"に相当するのかというと、こうした機能提供を通してビッグデータ分析人口が増えることで、ますますIoTデバイスやWindows Embeddedの需要、サプライチェーン基盤が必要となってくる。これらデータベース基盤の部分はすべてAzureで提供できるわけで、そこでマネタイズをさせていただくことになる。データレイク(データの湖)という言葉が出てきているが、Azureというデータの倉庫にすべてを物流させ、誰でも簡単にセンスできる(取り扱える)ようにすることで、大きな価値が生まれる」(斎藤氏)○実際の操作感は?この無償版の「Power BI Designer」は、ブラウザからアクセスするが、Excel上でできることのほとんどを再現している。ブラウザによるアクセスのため、Mac上のChromeといった環境でもいじれるほか、iOS端末ではアプリからデータを閲覧できる。ファイルはWebページに直接ドラッグ&ドロップで取り扱えるのでハンドリングも容易だ。データソースは、MicrosoftやOracle、IBMのデータベースから取得できるだけでなく、Google Analyticsなどからも取得できる。記者説明会には、Power BIを4月1日より導入した良品計画 Web事業部 部長 奥谷 孝司氏も登壇。同社は、Azure ML活用も同時に行う予定で、これまでビッグデータ処理に5分かかっていたものが、わずか10秒でレポートを表示できるようになるという。良品計画は「MUJI DIGITAL Marketing 3.0」と呼ばれるマーケティング施策を推進しているが、その最たる例が2013年5月より提供を開始したスマートフォンアプリ「MUJI Passport」だ。すでに370万ダウンロードを突破する同アプリだが、アプリの利用者傾向の分析でも、そのマーケティング効果が目に見えてわかるという。売上構成比では、会員ではない売上が7割を占めているが、アプリを利用しているユーザー層の客単価は全体平均の1.7倍となる3829円だ。「リピーターだから数字が高くなるのは当然ではないか」と思われるかもしれないが、客単価が高いだけでなく、1年に足を運ぶ回数が半期ごとに上昇しており、総購入額が1万6000円近くに達するなど、長期的視野で見れば大きな"プラス"となる。「マーケティングとITはセットで活用しなければならない」とは奥谷氏の弁だが、実際のマーケティング担当者の"勘"だけでなく、データ分析を組み合わせることで、確かな実績が積み上げられるようになる。「人をダメにするソファ」こと「体にフィットするソファ」の売上レポートのデモンストレーションでは、購買者の年齢が全体の平均に比べて若くなった結果が出た。「このデータベースでは(ネットで愛称として親しまれている)『ダメにするソファ』『堕落させるソファ』と検索をかけても引っかからないのが残念だが(笑)、キーワードを選択するだけでこうした購買客データがすぐに出てくる。ほかの分析結果でも同様の結果が出ているが、これはTwitterなどでこのソファが話題になったため、購買客の多くが20代となっている。今までは店長の直感でやっていたものが、全てExcelで簡単に出てくる」(奥谷氏)奥谷氏はバックエンドにSQLサーバーなどがあっても、実際に利用する店舗スタッフなどにはそこを意識させないことが重要であるとし、Excelというインタフェースの優位性についてメリットを挙げていた。情報システム部門は社内利用者が戸惑わないインタフェースの取捨選択が求められる時代となりつつある。これは、BIツールに限らず、FacebookやTwitter、LINEライクな情報共有基盤などにも言えることであり、コンシューマーに親しまれているインタフェースやデバイスの活用は、今後も続いていきそうだ。
2015年04月29日NTTデータおよびNTTデータ数理システムは4月27日、データウェアハウス(DWH)に蓄積されるより大量なデータに対してより高速にデータ分析を行うためのIn-Database Analytics技術を共同で開発し、HPC(High Performance Computing)環境において大規模ベンチマークを実施した結果、従来比1000倍以上の件数の高速データ分析に成功したと発表した。両社は、従来のデータ分析技術ではビッグデータを対象とした場合、処理速度や扱えるデータ量に限界があるとして、分析処理(=Analytics)をデータベースの中で(=In-Database)実施する技術開発(以下、In-Database Analytics技術)に取り組んできた。今回の大規模ベンチマークでは、In-Database Analytics技術をSAPのDWH「SAP IQ」に適用し、インテル製最新プロセッサを搭載した業界標準サーバの環境において分析処理性能を測定した。その結果、R言語などの従来の分析ツールや既存製品の処理限界量に比べ、1000倍以上のデータ件数が分析可能になり、単位時間内における処理速度も大幅に向上することを確認したという。また、1000並列以上という大規模環境においてもサーバ数やコア数に合わせて性能向上する、高い性能拡張性を確認。そのほか、HPC環境においてノード数を1ノードから10ノード、20ノードに増加させた場合、SAP IQの卓越した並列分散処理に相乗して、10ノードで約5倍、20ノードで約10倍と線形的に処理性能が向上する高いスケールアウト効果が確認された。
2015年04月28日カスペルスキーは4月24日、警察の犯罪捜査にビッグデータが活用された事例を同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。代表的な活用例として、都市の中で最も危険なエリアがわかるようになった。下の地図では、ロンドンの「犯罪多発地域」が赤色で示されている。シアトルやニューヨーク、ロサンゼルスの警察でも同様の治安対策がすでに実施されている。特にロサンゼルスではめざましい改善効果が得られ、強盗が33%、暴力犯罪が21%、窃盗が12%減少した。捜査を進める上でもビッグ―データが活用されている。具体的には、写真、FacebookなどのSNSの更新やチェックインの状況、不登校の状況、医学的所見、購買データ、街頭の防犯カメラの記録など、どんな小さなデータにも価値があるという。データ分析がさまざまな傾向の解明にも役立っている。例えば、銃や弾丸が犯罪者の通貨代わりに使用されることが明らかになっているほか、SNS(特にFacebookとInstagram)には犯罪者自身の重要なデータがアップロードされており、貴重な情報源となっている。○分析システムで犯罪を予測路上犯罪は分析システムで予測可能で、街頭での暴動やテロ行為の予測にも分析システムが能力を発揮するという。Forensic Logicは、逃亡中の犯罪者を分析システムを活用して発見した。分析は、ロサンゼルス郡にある約80の都市のデータベースからデータを集め、ある警察管区から次の管区へと犯罪者が潜行していることを突き止めたという。ペンシルベニア大学犯罪学部の専門家チームは、地元の警察管区の報告など、さまざまなデータを基に犯罪を予測するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、殺人事件の被害者となる可能性のある人が洗い出され、警察がそのデータに基づいて、危険にさらされている人物に注意を呼びかけいる。犯罪予測ソリューションを開発した企業で最も有名なのは、Palantirだという。Palantirは先ごろ、行政サービスから民間市場へ参入した。Palantirの製品は、整理されていない大量の情報を処理するもので、DNAデータ、さまざまな情報源(街頭の防犯カメラの録画など)から記録した音声や動画、車の横転を監視するためのナンバープレートなど、世界各地のニーズに合ったオプションを多数展開している。この製品はすでに数カ国でテロ防止に使用された実績を持ち、アフガニスタンで反政府組織による攻撃の予測にも使われた。また、米国の税関職員を殺害したメキシコ人の麻薬カルテルメンバーの所在も見事突き止めたほか、ダライ・ラマのPCにスパイウェアをインストールしたハッカーの追跡に成功した。さらに、児童性的虐待者の逮捕に一役買ったという重要な事例もある。ニューヨーク市で起きたケースでは、街頭防犯カメラの動画に犯人が映っており、虐待から1時間と経たないうちに犯人が見つかったという。
2015年04月27日ソフトウェア開発事業を行うアクロクエストテクノロジーは4月27日、同社の「ミャンマー消費者の動向」ビッグデータ分析ツールを用いたミャンマー事業展開支援サービス「ミャンマーマーケティングサービス」の提供を開始したと発表した。同サービスは、7,000人以上のスマホユーザーの協力を得て、通信端末からリアルタイムに人の動きや嗜好アンケート、通信品質などのビッグデータを収集・分析・可視化することにより、現地のマーケティング戦略立案、意思決定の際に有用な情報を提供するもの。現地での出店計画やインフラ整備計画などに必要な「流動性人口サービス」、マーケティング戦略策定のための「アンケートサービス・テスト販売サービス」、携帯電話通信事業者の通信品質改善活動に必要となる「通信品質実況調査サービス」がある。サービス価格は50万円からとなっており、詳細については要問合せ。また同社は、ヤンゴンでリアルタイムに収集したビッグデータの分析結果サンプルを、同サービスWebサイトにて無料で公開している。サンプルの閲覧には無料会員登録が必要となる。
2015年04月27日