厚生労働省は2月19日、アルコールによる健康へのリスクを知って不適切な飲酒を減らすための参考となるよう、飲酒に関する初のガイドラインを公表した。ガイドラインには疾病別の発症リスクと飲酒量についての記載があり、大腸がんは男女ともに週150g(1日20g)、脳梗塞については男性週300g(1日40g)・女性週75g(1日11g)以上の飲酒をすると、それぞれ発症等のリスクが高まると考えられていると例示されている。“純アルコール量”20gは、ビールロング缶1本(500ml)や日本酒1合(180ml)、ワインだとグラス2杯弱(200ml)に相当する。この量について、ネット上には《少なすぎる……》《ほんまにこんなに少ないのか?》《こんなん居酒屋に飲みに行ったらかんぱーい!で終わりじゃない?》と、お酒が好きな人々からの悲鳴が上がっている。また、ガイドラインでは1日の量が明記されているが、「休肝日を設ければその分たくさん飲んでいいの?」との疑問の声も。多くの報道では、女性の場合1日ビールロング缶1本までと参考例が出されているが、例えば1日休肝日を設ければ、次の日はロング缶2本まで飲んでいいということなのだろうか。厚労省の担当者に聞いてみた。「まず、このガイドラインで示しているのは、女性の場合は1日20g以上飲むと健康リスクが高まるということで、20gまでなら“飲んでいい”ということではありません。これらの量の飲酒をしている者の減少を目標とした目安であり、これらの量は個々人の“ここまでなら飲んでいい”という許容量を示したものではないということです。その上で、データはあくまで“1週間にどれくらい飲んだか”という統計が元で、1日の量を示したのは、わかりやすく日割りにしただけです。なので、我々としては“飲んでいい”という言い方はできませんが、休肝日を設けて週単位でトータル150g以下に抑えるという考え方もできると思います」つまり女性の場合、週単位でトータルが150gを超えないようにすればいいという考え方で間違ってはいないようだ。ただし、ガイドラインには短時間で大量に飲むことは「様々な身体疾患の発症や、急性アルコール中毒を引き起こす可能性がある」として、1回の飲酒で純アルコール摂取量60g以上は、外傷の危険性も高めるものであり避けるべき」と明記されているので要注意だ。「繰り返しますが、今回のガイドラインは、この量までなら飲んでいいという数値ではなく、例えばカロリーのように、“今日ちょっと取りすぎたから、明日は頑張って少し減らそう”と言ったように、飲酒をする場合には、お酒に含まれる“純アルコール量”を意識して健康へのリスクを高めないようにする“目安”として参考にしていただければと思います」(前出の担当者)今や“カロリー制限”なんて当たり前。これからは“純アルコール制限”も常識になるのだろうか。
2024年02月24日株式会社事業性評価研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田井 政晴 以下、当研究所)では、令和5年度「養殖事業性・適正生産管理ガイドライン(内水面養殖業)の策定」に係る調査業務を2023年11月27日(月)に受託しました。当研究所は、事業性評価のノウハウを生かし、水産専門家とともに、養殖漁業の将来を見据えて「ESGを踏まえた持続可能な養殖漁業の見える化」を進めます。これにより養殖業における金融機能の適切な発揮がいっそう活発になります。水産庁は、養殖業成長産業化の取組の一環として、養殖経営体の成長に繋がる融資の円滑化を図るため、金融機関等が養殖業の経営実態の評価を容易にする魚類養殖業に対する「養殖業事業性評価ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を策定しました。その後、農林水産省は国内外の需要を見据えて戦略的養殖品目を設定し、生産から販売・輸出に至る総合戦略を立てたうえで、養殖業の振興に本格的に取り組むこととし、2020年(令和2年)7月に「養殖業成長産業化総合戦略」を策定しています。〇「内水面養殖業」ガイドライン策定の調査業務実施に至る経緯内水面養殖業は海面養殖業に比べ水産行政における位置づけが小さく、養殖業成長産業化総合戦略の対象になっておらず養殖業者向けの各種補助事業についても利用できるものは限られ、養殖共済の対象にもなっていません。魚類、藻類、貝類といった養殖対象魚種を問わず種苗の確保は重要ですが、いまだ大部分の魚種が天然種苗に頼っており、人口種苗の普及の余地は大きい状況です。海面で養殖されるサケ・マス類の安全・安心な種苗の確保の観点からも内水面養殖業の振興は重要であり、これまでの分類に該当しない「内水面養殖業」を対象とするガイドラインの策定が喫緊の課題となっています。〇株式会社事業性評価研究所のこれまでの展開(水産業)当研究所では、令和2年度に水産庁より、水産業収益力評価・金融円滑化事業、水産業(まき網漁業)事業性評価ガイドラインの策定を受託しています。同年から始まった、マーケット・イン型養殖業等実証事業(外部評価費支援)では、外部評価人として、多数の養殖業の事業性評価を手掛け、海面および内水面の養殖事業者の経営の見える化(事業性評価)に関与しています。具体的な関与先には、タイ、ブリ、カキなどの海面養殖業をはじめ、人工種苗に関わる先進的な企業が含まれます。また、JF全漁連、JF信漁連、地域金融機関からの要請を受けて、事業性評価の勉強会にも積極的に取り組んでいます。(農業)農業・畜産農業分野では、「令和3年企業価値評価手法を活用した農業法人の経営評価手法の開発」(農林水産政策研究所委託研究 令和3年~5年)を受託し、定量・定性および持続可能性の観点から農業法人の最適な評価手法を開発しました。実業面では、農外企業からのM&A検討や事業再生時に必須である、企業価値評価や資産評価を多数手がけており、評価実績は稲作、畑作、かんきつ、施設園芸(花卉、野菜)、肉用牛、養豚、養鶏、など幅広い農業類型に及んでいます。〇株式会社事業性評価研究所のこれからの展開当研究所では、養殖漁業を事業として評価することで、法人経営から個人経営までの幅広い経営体に対して、事業承継やM&A、さまざまな形態の投融資の局面に役立つ事業性評価を目指しています。そのためには企業価値評価手法の適用と、公正な資産評価の実行は欠かすことが出来ません。養殖漁業の類型ごとの特性分析を通じて定量・定性両面での事業価値を明確にして、事業分析に資するための必要なプロセスを明らかにしていきます。このような活動を通じて、養殖漁業の持続可能性が明らかになると確信しています。【参考】387.令和2年度水産業収益力評価・金融円滑化事業、水産業(まき網漁業)事業性評価ガイドライン(水産庁) マーケット・イン型養殖業等実証事業(水産庁) 企業価値評価手法を活用した農業法人の経営評価手法の開発(農林水産省政策研究所) ■株式会社事業性評価研究所 会社概要商号 : 株式会社事業性評価研究所代表者 : 代表取締役社長 田井 政晴所在地 : 東京都千代田区平河町1丁目2番10号 平河町第一生命ビル4F設立 : 2017年12月事業内容: 農林水産業分野における事業性評価、上記以外の事業性評価、事業性評価におけるアセット評価、事業性評価における財務デューデリジェンス、前号に付帯関連する一切の事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月05日特別支援教室のガイドラインが変更に出典 : 東京都では、平成28年度から小学校、平成30年度から中学校の特別支援教室の導入を進めてきました。この導入期に合わせて「特別支援教室の導入ガイドライン」が作成され、ガイドラインに沿って各校で特別支援教室の導入が進められました。そして、令和3年4月に東京都の全ての区市町村立小中学校において特別支援教室の導入が完了しました。それに伴い、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成されました。このガイドラインには、あらたに指導期間の考え方や指導目標の設定の仕方などが記載されました。東京都教育委員会|「特別支援教室の運営ガイドライン」を作成しました「特別支援教室の運営ガイドライン」は、導入時のガイドラインとどのような点が変わったのでしょうか。東京都教育委員会の教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当の方にお話を伺いました。新ガイドラインでは、指導期間や指導目標について明確に。そのねらいとは?出典 : 発達ナビ編集部(以下――)特別支援教室の導入時のガイドラインと、最新の 「特別支援教室の運営ガイドライン」の違いはなんでしょうか?東京都教育委員会:特別支援教室の運営に必要なことだけではなく、特別支援教室での指導以外の場面での役割の重要性など、これまでの導入ガイドラインの内容をさらに充実させています。特に、指導期間の考え方、指導目標の設定(読み書きチェックリストの活用、連携型個別指導計画の作成)の仕方、指導による達成状況の確認、指導目標を達成した後の在籍学級での支援などについても記載を充実するなど、発達障害のある児童・生徒への支援について総合的に記載しています。ーーガイドラインが発表されたことにより、支援者や保護者からどのような声がありましたか。東京都教育委員会:保護者の方や学校の先生方から、指導期間の考え方について教えてほしいといった声などが寄せられました。発達障害のある児童・生徒は、学校生活での多くの時間を通常学級で過ごしています。こうしたことからも、特別支援教室での学びを通じて、学習上や生活上の困難さを低減し、学校生活を有意義に過ごしてほしいと考えています。そのため、一定の指導期間の中で、どの程度、指導目標を達成できたのかを確実に評価すること、その上で、引き続き指導の継続が必要なのか、それとも指導を終了し、通常学級の中での配慮や工夫をしていくことが良いのかなどをしっかりと判断して実践していくことが重要だと考えています。指導期間は、一つの区切り。大切なのは、子どもの困りに着目すること出典 : ーーガイドラインの中の「原則の指導期間 は1年間とする」「延長する場合、再設定する指導期間は最長1年間とする」という指導期間について具体的に教えて下さい。それ以降は在籍できないということなのでしょうか?東京都教育委員会:そのような声が保護者の方や先生方からもありました。期間をはっきり記載したのは、「基本的に1年間しか在籍できません、最長2年間までしか在籍できません」ということではありません。1年、2年というのはあくまでも一つの区切りなので、期間を設けた上で「本当にその子が困っていることは何なのか」「指導法は合っていたのか」などを確認しよう、2年間の指導に対し、指導目標の達成まで至らなかった場合は、改めて適切な支援の在り方から考え直そう、ということです。そこでやはり特別支援教室での指導が必要であれば、再度在籍することもできます。また、特別支援教室を退室したお子さんが、やはり指導が必要だとなれば、改めて特別支援教室で指導を受けることも可能です。ーーありがとうございます。指導期間の考え方についてよく分かりました。最後に子どもたちへのメッセージをお願いします。東京都教育委員会:発達障害による困難さで、さまざまなつまずきを感じているかもしれません。また、うまくいかないなどの経験から自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。特別支援教室は、みなさんのスキルを向上するための教室です。発達障害による困難さを少しでも低減することができるよう、先生方が寄り添ってくれます。先生方を信じて頑張ってくださることを願っています。取材協力:東京都教育委員会教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当
2022年06月14日2021年4月末、日本サッカー協会(JFA)より「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)」が発表されました。昨今、ヘディングによる脳震盪などの影響が報じられていますが、日本サッカー協会から、それに対応する提案が出された形になります。ジュニアから中学生までの育成年代において、ヘディングとどう向きあえばいいのでしょうか?前回の記事では「ヘディングが危険だからといって禁止するのではなく、体に害のない形で取り組もう」というJFAの趣旨や、幼児から小学4年生までの具体的な練習方法を紹介しました。今回は小学5、6年生、中学生のヘディングへの取り組みについて、中山雅雄 JFA技術委員会普及部会長、谷諭 JFA医学委員の会見をもとに解説していきます。(構成・文:鈴木智之)高学年、中学生年代になるとヘディングの機会も増えてくる。体に負担なく正しく身につける方法とは<<前編:年代別ヘディング習得のためのガイドライン【幼児~4年生編】■日本サッカー協会が設定したヘディングの指導内容JFAとしてのヘディングに関する指導内容は以下のようにまとめられています。技術・額でボールに触れる・軽量ボール(風船、新聞ボールを含む)を使って額でボールを扱う(弾く、受ける)・額を使ってボールをコントロール(トラップ、パス、方向を変えるなど)・上体を利用してヘディングでボールを遠くへ飛ばす・身体の軸を安定させてボールを強く、遠くへ飛ばすコーディネーション・空間認知・空間を移動するボールへの身体の適応・グレーディング感覚(力の出力コントロール)・空中や着地の際の身体バランス・走から跳への連続的な身体操作・ヘディングでのジャンプのタイミング・他人との空中での競り合いフィジカル・全身を使って「押す」「登る」「引っ張る」「抱える」などの運動経験・体幹の安定・頭を支える首回りの強化引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)これらを踏まえて、小学5、6年生では、次のようなトレーニングを推奨しています。■年代ごとのJFAが推奨する課題例(練習メニュー)●小学5、6年生の練習メニュー例・テニスボールを使ってキャッチボール、フライボールをキャッチ4 号球+ボールネット・自分でゆらして額に当てる(10 回程度)・高さを変えてジャンプヘディング(10 回程度)・4号球を使って額でキャッチ・バウンドさせて額に当てる・バウンドさせてヘディング引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)JFAの指針:引き続き、空中にあるボールを手でプレーすることを中心に、二人で同時にジャンプしたり、空中のボールを手で取り合うといった運動をおこなう。徐々に 4 号球を使ったヘディングを導入するが、頭部への負荷(衝撃と頻度/量)を考慮して実施する。「ヘディングはやりすぎてもいけないし、少なすぎてもいけないと思っています。指導者の方は、子どもたちの様子を見ながら、適切な回数、量を決めていっていただければと思います」(中山雅雄 JFA技術委員会普及部会長)中学生になると5号球に移行するので、ヘディングに頭や首にかかる負荷は大きくなります。また、筋力がついてくるので、競り合いの強度も大きくなると考えられます。「首や頭を固定していない状態での頭部への衝撃や衝突、地面への落下は注意が必要です。ヘディングの競り合いで、相手と接触して落下し、地面に頭を打つことで、脳震盪になるケースもあります」(谷諭 JFA医学委員)正しいヘディングフォームの習得、競り合い時の身体の使い方は、ケガ予防の観点からも身につけておくべきものと言えるでしょう。そのためのJFAの指針としては、以下になります。・軽量ボールや4 号球を使って、正しいヘディング技術習得ための反復を、頭部への負荷を考慮して実施する・相手との正当な競り合いができるようなトレーニングも積極的に導入する・体幹の安定、首回りの強化といった基礎体力強化も導入する。●中学生の練習メニュー例・テニスボールキャッチボール、フライをジャンプしてキャッチ・軽量ボールを自分で投げ上げて、ジャンプして最高到達点でキャッチ・(4 号球)相手の投げたボールをジャンプして最高到達点でキャッチ・ヘディングでリフティング10 回くらい・首のアイソメトリック(ストレッチ)前後左右・コアトレーニングフロントブリッジ、サイドブリッジ、バックブリッジ10 秒くらい・(5号球)相手が下から投げたボールをヘディング10 回くらい・(4 号球)相手が下から投げたボールをジャンプヘディング10 回くらい引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)JFAの指針:軽量ボールや 4 号球を使って正しいヘディング技術習得ための反復を頭部への負荷を考慮して実施する。相手との正当な競り合いができるようなトレーニングも積極的に導入する。体幹(胴回り)の安定、首回りの強化といった基礎体力強化も導入する。ここでのポイントは、4号球、5号球とボールが重くなるに従い、回数を制限することです。頭や首に強い負荷をかけないように、指導者がコントロールすることが求められます。ヘディングは頭や額に当てる技術、体の使い方、ジャンプするタイミング、競り合い時の腕の使い方など、複合的な運動、知覚要素が必要なプレーです。これらをジュニア年代から、体に負担がないトレーニングで身につけていくことが、将来的なプレーの向上につながるのではないでしょうか。軽いボールやペンデルボール(吊り下げられたボール)を使う、回数を制限する、フォームの習得に力を入れるなど、工夫次第で様々なトレーニングが考えられます。ヘディングに対する正しい知識、やり方を、コーチを含む大人が正しく理解することが、子どもたちを安全に、成長に導くための方法と言えるでしょう。
2021年06月25日2021年4月末、日本サッカー協会(JFA)より「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)」が発表されました。昨今、ヘディングによる脳震盪などの影響が報じられていますが、日本サッカー協会から、それに対応する提案が出された形になります。ジュニアから中学生までの育成年代において、ヘディングとどう向きあえばいいのでしょうか?JFAのガイドラインを、中山雅雄 JFA技術委員会普及部会長の会見をもとに、解説していきます。前編では幼児から小学4年生までのガイドラインをお伝えしますので、その年代のお子さんを持つ保護者、指導者の方たちはぜひご覧ください。(構成・文:鈴木智之)幼児や小学校低学年など小さい子たちのヘディング、全面的に禁止するのではなく正しく身につけるために日本サッカー協会が発表したガイドラインの内容とは■ヘディングは禁止した方がいいのか?最初に、ヘディングに対するリスクとして、次の項目が挙げられます。・ボールの衝撃が脳機能に与える影響・脳振盪・ヘディングの競り合いでの相手との接触による頭部、顔面への衝撃・ジャンプヘッド後の地面への頭部の強打ただ単純にヘディング動作において頭にボールが当たる衝撃だけが問題なのではなく、きちんと転べないなど昨今の子どもたちの運動体験が少なくなっていることも影響している背景があるようです。様々な運動経験をする機会が減り、幼少のころから特定の競技に専門的に取り組む子も多いので、その競技で使う動き以外の身体の使い方が下手になっていることもあり、相手との距離が測れずぶつかったり、きちんと受け身が取れないなどの課題があると中山JFA技術委員会普及部会長。これらを踏まえた上で、JFAのガイドラインは「危ないからヘディングを禁止するのではなく、正しく恐れ、適切な方法でヘディングの習得をめざそう」という流れになっています。■低学年ぐらいまではヘディングの場面はほとんどない中山 JFA技術委員会普及部会長は言います。「子どもが頭からボールに向かっていく意欲があるのであれば、そこは認めてあげた上で、リスクがあることを大人が理解して、見守ってあげてほしいと思います」幼児から小学校低学年のプレー環境では、試合中にボールが高く上がり、ヘディングで対応する場面はそれほど多くはありません。しかし、将来的にヘディングに適応するために、少年期にトライしておくことは大切なことです。空間把握や距離感などを身につけておくことが準備になります。そこでJFAが推奨しているのが、軽量のボールやそれに準ずるものを使って「額でボールをとらえる」「空中から落下するボールをキャッチする」といった方法です。以下、JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)より抜粋して紹介します。■年代ごとのJFAが推奨する課題例(練習メニュー)●幼児期の練習メニュー例・風船を自分で投げ上げて、落とさないようにキャッチ・落ちてきた風船を体のいろいろなところに当ててみる・風船が地面に落ちないように、手や足などに連続して当ててみる(風船つきの要領)・新聞ボールを上に投げてみる、できればキャッチ・軽量ボールを額に乗せてみる、おうちの人などと額ではさんでみる引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)JFAの指針:この年代では、額でボール触る経験、空中のボールを手で操作する(キャッチなど)ハンド・アイ・コーディネーションを高めることが大切。風船や新聞ボールなどの軽量のボールを額に当ててみたり、額にボールを乗せてみたりといった課題は、子どもの興味を引くものであり、空間把握や距離感の向上のためにも欠かせない要素。●小学1、2年生の練習メニュー例・風船を使って、落とさないようにキャッチ、額に当てる・軽量ボールを自分で上に投げてアンダーハンドでキャッチ、頭の上でキャッチ・軽量ゴムボール+ボールネット額に当てる練習・自分でゆらして額に当てる(10回程度)・人にゆらしてもらう(10回程度)・連続して当てる(10回程度)※軽量ゴムボールとは、100 円均一ショップ等で購入可能なボール(パールボール、カラーボール)のこと。引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)JFAの指針:風船や新聞ボール、軽量ボールなどを使用して空間を移動するボールに身体を合わせる運動の経験を多く する。トレーニングというよりも遊び感覚での実施が望ましい。その中に徐々に額でボールに触れる機会を作る。「幼児期や小学校低学年において、空中にあるボールを額や手でとらえる感覚を経験するのは大切なことです。風船や軽いボールなどを使うことで、子どもたちの体に負担がない形で取り組むことができると思います」(中山 JFA技術委員会普及部会長)ヘディングをするためには、落下地点に素早く入るための「空間認知力」が必要です。風船や軽いボールを使って、体への負担がない形で取り組むのは、とても良いアイデアです。「幼児や小学生年代では、ヘディングに必要なコーディネーションを高めることが大切だと考えられています。中学生、高校生と、ある程度年齢が上がったときに、空中のボールを正確にとらえられるように、(動きや空間認知力を)積み重ねていってほしい。それはガイドラインの中で、指導者のみなさんに向けて発信したいことのひとつです」(中山 JFA技術委員会普及部会長)●小学3、4年生の練習メニュー例・100 円均一ショップ等で購入できるボールを使ってキャッチボール、フライボールをキャッチ・軽量ボール(バレーボール等)+ボールネットヘディング練習・自分でゆらして額に当てる (10 回程度)・高さ変えてジャンプヘディング (10 回程度)・軽量ボールを額部分でキャッチ・バウンドさせて額に当てる・バウンドさせてヘディングしてみる引用:JFA育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)JFAの指針:キャッチボールなどの空間のボールを主に手でプレーする運動経験を十分に行うことが大切。また、軽量ボールなどを使用して正しいヘディング技術の習得の導入をおこなう。「ボールをインパクトの瞬間まで見ること」「額でボールをインパクトする」といった基本的な技術を理解させる。ただし、4 号球でのヘディングの反復はおこなわない。また、相手と競り合うためのコーディネーションを高める必要がある。2 人で同時にジャンプしたり、 空中のボールを手で取り合うといった運動を取り入れていく。5 人制などのスモールサイドゲームを中心にすることを推奨する。小学3、4年生になると、ヘディング技術の習得にアプローチしていきます。4号球などの重いボールではなく、軽量ボールを使い、「頭のどこに当てるのか」「体をどのように使うのか」などを学んでいきます。■子どもたちの発育発達状態に合わせて取り組む「ガイドラインを作る上で、学年で区切りましたが、子どもたちの発育発達に合わせて、適切なボールを使ったり、課題を与えるなどして、順を追って取り組んでいただけたらと思います」(中山 JFA技術委員会普及部会長)ヘディングをただ禁止するのではなく、体に害のない方法で習得をめざす。それがジュニア年代のヘディングに対して、重要な姿勢だと言えるでしょう。次回の記事では、小学校5、6年生、中学生のガイドラインを紹介します。
2021年06月17日昨今、子どもの「ヘディング禁止」が話題になっています。2020年にイングランドサッカー協会(FA)は「11歳以下は原則ヘディング禁止」を打ち出し、アメリカは以前から、年令によるヘディング禁止(制限)を掲げています。ヘディングが成長期の子どもの頭や身体に及ぼす影響はどれほどなのでしょうか?理学療法士として医療現場でリハビリテーションに携わり、「サッカーにおけるヘディングの累積曝露と慢性外傷性脳症に関する最近の知見」という論文を発表した、臼井直人さんに話を聞きました。(取材・文:鈴木智之)少年サッカーでヘディングは禁止した方が良いのかを伺いました(写真は過去のサカイクキャンプで浮き球のコントロールの練習をする子ども)■ヘディングは健康障害の原因になるのか自身も「お父さんコーチ」として、千葉県松戸市の少年団でコーチをしている臼井さん。小学4年生を担当しており、理学療法士としての知見を活かしながら、サッカーの指導にあたっています。少年期のヘディングの是非について、臼井さんは「大前提として、ヘディングと健康障害の因果関係ははっきりとはわかっていません」と前置きをした上で、次のように話します。「イングランドでガイドラインが出たのは 『The New England Journal of Medicine』という世界一影響力があると言われている臨床医学ジャーナルの中で『プロサッカー選手が高齢になったときに、認知症やパーキンソン病など、脳の神経変性疾患で死亡する頻度が3.5倍高かった』という研究結果が出たことに依ります。明確な因果関係は定かではありませんが、おそらくヘディングが影響しているのではないかと考えられています」■ヘディング後、頭痛が続いたら注意幼少期から繰り返しヘディングをすることで、脳へのダメージが蓄積されることは想像に難くありません。なかでも問題視されているのが、子どものヘディングです。「ヘディングでは、頭部の質量が小さいほど、衝撃が大きくなることが分かっています。子供や女性では、男性に比べ頭部の質量が少なく、頭部を支えるのに十分な筋力が備わっていないため、ヘディング時に頭にかかる衝撃は、大人の男子サッカー選手よりも大きくなります。アメリカの論文によると、中学生や女子サッカー選手の約半分の選手が、ヘディング後に頭痛を経験していることが明らかになりました。選手は『ヘディングをすると頭が痛くなるのは当たり前』と思っているかもしれませんが、そのまま継続してプレーしている現状は問題視する必要があると感じています」転んで頭を地面に打つ、頭同士がぶつかることなどで脳振盪が起きますが、子どもの場合、ヘディングをすることで軽度の脳振盪になることもあるそうです。「子どもの場合、ヘディングによって数日間頭痛が続いたケースや、2、3週間も健忘症が続いたケースも報告されています。そのようなことが起こり得ることは、知っておく必要があると思います。サッカーの試合の後に頭痛やめまいが続く、目がかすむ、家で落ち着きがないという子に関しては、症状が治るまで待ってプレーを再開したり、ヘディングを禁止するといった対応は、少なくとも必要なのではないかと思います」実際のところ、ジュニア年代の子どもに対して「ヘディング禁止」したほうがいいのでしょうか?「練習ではノーバウンドのボールやGKからのキック、クロスボールに対しては、ヘディングをしない方がいいと思います。イングランド(FA)のガイドラインは『18歳頃までは、徐々に回数を増やしながら行う』となっていますが、クロスボールやパントキックを繰り返しヘディングすると、短期的に記憶力が落ちます。記憶のテストをすると、ヘディングをする前と後では明らかに点数が落ちるという研究結果があるんです」実はこのような目に見えた症状が現れない脳振盪は「亜脳振盪」と呼ばれ、日本ではほとんど知られていませんが、アメリカでは10年以上も前にメディアに取り上げられ定着している概念なのだと臼井さんは教えてくれました。ロングキックやクロスボール、シュートに対するクリア時のヘディングの衝撃は大きく、誰しも頭がジーンとしたり、ズキンとした痛みを感じたことがあるのではないでしょうか。「シュートに対するクリアやクロスボールは頭への衝撃が強く、即時的な記憶や注意力、思考スピードの低下が生じます。このヘディング直後の記憶力の変化は、脳の防衛反応とも言われており、このような亜脳振盪を長年繰り返すと、脳の障害に繋がる可能性があると言われています。そのため、そのようなシチュエーションは練習で行わない方がいいと思います。ただし、スローインのボールをヘディングするなど、ワンバウンドしたボールに対するヘディングは OK です。衝撃は小さいですからね」頭部に対する衝撃に目を向けることは、子どもの身体を守ることにもつながります。「ジュニア年代でヘディングの練習をするときは、高学年になるまで待って、柔らかくて軽い3号球を使うと良いと思います。それと、正しいフォームを意識することも大切です。ヘディングは髪の生え際のところにボールを当てて、インパクトの瞬間まで目を開いて、ボールをしっかりと見ます。そのヘディングの仕方をマスターすれば、衝撃は少なくなります。ジャンプヘッドや横から来たボールは難しいのですが、無謀なヘディングにならないように、基本を知っておくことが大切です」■ヘッドギアをつけてヘディング練習をする方が衝撃が増える子どもたちが「ヘッドギア」をつけてサッカーをしている姿を見かけますが、ヘッドギアをつければ、ヘディングの衝撃を受けずに済むのでしょうか?「ヘッドギアはあくまで、硬いものと衝突する際に、頭を保護するためのものです。つまり、ヘディングの衝撃を守ってはくれるものではありません。ちなみに、ヘッドギアを付けてヘディングをする方が、頭にかかる衝撃は増えるというデータもあります。そのことからもわかる通り、ヘッドギアをつけてヘディングをするのはやめたほうがいいと思います」ヘッドギアが効果を発揮するのは、地面や頭同士など、硬いものと接触するときです。試合中にヘディングの機会がほとんどない10歳以下や、フットサルなどのミニゲームなどでの装着は理にかなっており、場面を選んで上手く使用していくと良いでしょう。「アメリカでサッカーの脳振盪に関する国際会議があり、『ヘッドギアはヘディングから頭を守るためにするものではありません』と注意喚起がされています」■大人が知っておくべきヘディングの注意点ジュニア年代はなるべくヘディングをしない。するなら柔らかいボール(3号球など)を使う。ヘッドギアはヘディングから頭部を守ってくれるものではない。脳振盪の症状を教育し、症状が現れた場合はコーチに報告をする。これらをコーチを始めとする大人が理解し、実行することで、子どもたちの身体を守ることにつながるでしょう。次回の記事では、子どもたちに増えている「シーバー病」や「腰椎分離症」にならないためのアドバイスをお伝えします。臼井直人(うすい・なおと)理学療法士・腎臓リハビリテーション指導士<所属>医療法人社団嬉泉会 嬉泉病院 リハビリテーション科 科長順天堂大学 大学院 医学研究科 腎臓内科学所属の嬉泉病院 リハビリテーション科では、腎臓病患者のフレイルや、心肺機能と自律神経障害、リハビリテーションなどの臨床研究に取り組んでいる。学会学術集会では優秀賞などを受賞、その他、論文・著書・学会発表など多数2020年9月には論文「サッカーにおけるヘディングの累積曝露と慢性外傷性脳症に関する最近の知見」を発表「サッカーにおけるヘディングの累積曝露と慢性外傷性脳症に関する最近の知見」はこちらで閲覧できます>>
2021年01月20日サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜協立大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。聴講者はすでに6万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。(監修/高橋正紀構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)<<前回|連載一覧>>(写真は少年サッカーのイメージです)■小学生年代でヘディングの「練習」は必要なのかみなさんは、幼児から小学生までのヘディングについて、どうお考えですか?私はずっと以前から子どもを指導する際にはヘディングの練習はやらせていません。1990年代にドイツ留学し、その際に子どもにやらせていなかったこともありますし、「止める」「蹴る」の技術がサッカーでまずやるべきことだという認識や、「こんなに小さい頭では脳にあまり良くないのではないか」という危惧もあったからです。その後、2008年に池上正さんが上梓された『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』を読み、「やはりヘディングはさせてはいけなかった。良かった」と自分が間違っていなかったことに安堵した記憶があります。12年前にみなさんの手に渡ったその本には、こう書かれていました。7~8歳では浮いたボールが蹴れません。ボールが空中に上がらないのだから、ヘディングを練習する必要はありませんね。実は、私もこの考え方に出会ったのは20数年前です。それまでは、幼児にヘディングをやらせていました。ある方との出会いが私に、大人も進化しなくてはいけないことを教えてくれました。その方は、以前ジェフのゼネラルマネジャーを務めていた祖母井(うばがい)秀隆さん(現フランス・グルノーブル社長)です。(中略)私はYMCAにいたのですが、その祖母井さんにアドバイザーとしてYMCAに来てもらったのです。ヨーロッパの少年サッカーの指導法を教えていただいたのですが、幼児はもちろん小学生でもヘディングするなんてありえないと言われました。「今まで、おれら何やってたんだ?」と大ショックでした。すぐに変えました。全国のYMCAのサッカースクールのカリキュラムをすべて変更しました。出典:サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法「今日から、ヘディングはなくなります」と池上さんが発表すると、コーチからは大ブーイングだったそうです。でも、「間違っていたら変えなくてはいけない」と池上さんらが強く主張してYMCAは小学生にヘディングを教えることをやめたそうです。08年時点で20数年前とおっしゃっているので、1980年代のことです。ところが、日本で小学生にヘディングの練習をさせる指導者はなくなりません。先日も、ヘディングが原因と疑われる硬膜下血症の治療をしている小学生の話をきいたばかりです。■イングランドではユース年代の練習でヘディング制限するガイドラインを発表イングランドサッカー協会は先月、ユース年代の練習でヘディングを制限するガイドラインを発表しました。11歳以下の子どもたちは原則禁止。12〜18歳の年代でも最小限に抑え、段階的に増やすようにと伝えています。試合中のヘディングは従来通り可能です。ただし、池上さんが本に書かれていたように、7~8歳では浮いたボールが蹴れないので、ボールが空中に上がらないため試合でもヘディングをすることは、ほぼありません。イングランド協会が子どものヘディング禁止を決めたのは、同国のグラスゴー大学が昨年、元プロサッカー選手を対象にした調査で、認知症やパーキンソン病など脳の病を発症して亡くなる確率が一般の人に比べ3.5倍高くなるという結果を発表したことがきっかけになったと言われています。ガイドラインでは、ヘディング練習が段階的に制限される年代の12歳以下は「月に一度の練習で最大5回」まで。13歳以下は「週に一度の練習で最大5回」まで。14〜16歳の年代は「週に一度の練習で最大10回」まで、18歳以下でさえ「可能な限り減らすように」と通達しています。日本サッカー協会は現時点で、ヘディング練習に関する具体的な制限は設けていません。12歳以下の指導では、ヘディングを教えるときは「生え際のところに首を固定して、ボールに当てる」といったやり方が紹介されています。子どもの脳への影響は語られていません。そもそもボールは浮かないのですから、練習を禁止にすべきです。そうすれば、胸やももで体を入れてコントロールすることを覚えます。それでは、ごく一部とはいえ、日本の指導者がなぜ子どもに、脳へのリスクの高いヘディングを教えてしまうのか。それは二つの理由が考えられます。1.危険だという認識がない2.認識があっても、体の大きな子どもがヘディングを覚えることで得点源になるため勝利に近づくことができる。日本の少年サッカーの指導法は近年、少しずつ変化を遂げています。とはいえ、技術や戦術にばかりエネルギーを注ぐあまり、いかに安全な競技環境にするか、いかに子どもたちにスポーツマンシップを伝えるかといった「勝利にかかわらない部分」が置き去りにされていないでしょうか。■情報のアップデートには迅速に対応しなければならない(写真は少年サッカーのイメージです)日本サッカー協会の指導者ライセンス取得の講習内容は、4年に一度見直します。ただ、情報が書き換えられる部分についてはもっと迅速に対処すべきだと感じています。日本サッカー協会の指導者ライセンスを取得したサッカー指導者は医学的なこともおさえながら指導しています。例えば、中学生年代など身長が急激に伸びる時期(PHV年齢※Peak Height Velosity)には、身長の伸びと同時に内臓も肺も大きくなります。PHV年齢は女子が11歳。男子は13歳ごろですね。その時期には持久力系のトレーニングが必要になります。ただ、単にランニングさせて走らせるやり方ではサッカーの技術との関連性がなくなってしまいます。ボールを使う練習の中で、心肺機能にも負荷を与える練習を意識的に行う事は欧州ではずっと以前から常識です。ところが、ここでも日本は遅れています。単調なランニングをさせるコーチは少なくありません。ヘディングの指導も然りです。間違っていたら、変えなくてはいけません。<<前回|連載一覧>>高橋正紀(たかはし・まさのり)1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜協立大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。
2020年03月25日米Lookoutは8月27日、同社ブログでAOSP(Androidオープンソースプロジェクト)のガイドラインに沿わないAndroid端末の市場が拡大する一方で、こうした端末を企業が導入する際にリスクが生じると指摘した。Androidスマートフォンはその市場の成長から、端末の高機能化が進んでおり、600ドル程度がバリューゾーンとされている。その一方で、より手ごろな価格でカスタマイズ可能な、AOSPガイドラインに沿わないAndroid端末の市場も拡大の様相を呈している。標準的なAndroid端末に使用されるアプリはGoogle Playストアに集約され、アプリテストと検査プロセスをへていたが、AOSPガイドラインに沿わない端末が台頭することで、状況は複雑になりつつある。スマートフォンメーカーや通信会社の大多数はOpen Handset Allianceのメンバーであり、AOSPを通してメーカーが独自にカスタマイズしたAndroid端末を提供している。また、標準的なAndroid端末はGoogleのシステムアプリケーションを実行し、Google Playストア経由でのアプリをダウンロードを推奨している。一方で、Android端末ビジネスに対して先日10億ドル以上を資本調達した小米(シャオミ)や、カスタマイズしたAndroid OSのユーザーが5000万人を超えたと発表したCyanogenMod(サイアノジェンモッド)のように、標準的なAndroid端末の独占的マーケットを崩そうしている企業も出てきている。こうした端末は、機能美や使いやすさ、リーズナブルな価格といった点から、ユーザーに受け入れられ始めている。このように台頭してきているAOSPガイドラインに沿わない端末を社員が業務で使用するようになれば、企業ネットワークにそのような端末が接続されることとなり、企業にとっての脅威となりうる。標準的な端末では、「Googleによる検査」「メーカーによる検査」「通信会社による検査」をへており、企業はこれまで、セキュリティ面および性能面でのベストプラクティスを実装するためにこうした2重、3重の検査レイヤーをへた端末を使用してきた。一方、AOSPガイドラインに沿わない端末は、通信会社を通じずに販売されているので、実質的にメーカーレベルでの検査しか受けていない。その上、AOSPガイドラインに沿わない端末は、アプリダウンロードの推奨マーケットであるGoogle Playストアを利用する必要がないので、アプリ検査を行う体制が整えられていない可能性が高いWebサイトやサードパーティアプリストアから、アプリをダウンロードすることが多くなる。そのため、企業のIT管理担当者は、端末から削除不能であるシステムアプリケーションと、端末上で実行されるアプリの双方に対し、脆弱性とその他のセキュリティ問題を検査をする必要が出てくる。こうした問題の緩和策となり得るのは「可視化の確保」だという。危険な可能性のあるアプリや脆弱性のある端末が企業ネットワークに入り込んだことを検知できれば、修復についての意思決定を早く行える。また、自社ネットワークにアクセスしているアプリについて把握できれば、特定のアプリを利用している従業員がアクセスできるデータを制限することも容易となる。
2015年08月31日総務省は29日、小型の無人航空機(ドローン)による撮影映像などに関する、インターネット上での取扱いに関するガイドライン案を発表。これに対する意見を公募すると発表した。同ガイドライン案は、ドローン撮影を行うユーザーが注意すべき事項をまとめたもの。災害調査や救助活動から、宅配サービスまでさまざまな分野で活用が見込まれるドローンだが、一方で被写体の許可無く映像を撮影し、ネット上に公開できることから、プライバシーや肖像権など個人の権利を侵害する恐れもある。ガイドライン案では、Google ストリートビューと思われる、公道撮影の写真をネット公開するサービスが提供された際、プライバシーに関する指摘があった事例に触れつつ、ドローンによる撮影と個人情報保護法との関係を整理するとする。ガイドライン案では、具体的な注意事項として、1)住宅地にカメラを向けないようにする、2)プライバシー侵害の可能性がある撮影映像にはぼかしなどの配慮をする、3)撮影映像をネット上で公開するサービスを提供する通信事業者は削除依頼への対策を適切に行なうこと、といった項目が挙げられている。意見の募集期間は2015年6月30日から同年年7月29日まで。
2015年06月29日インターネット広告推進協議会(JIAA)は3月18日、昨今注目を集めている「ネイティブ広告」について、掲載に関わる事業者の指針となるガイドラインとして、「インターネット広告掲載基準ガイドライン」を改定し、「ネイティブ広告における推奨規定」を新たに策定したことを発表した。ネイティブ広告は、デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す。その形式や機能が、媒体社やプラットフォーマーが提供する記事・コンテンツと一体感があるという特徴から、ユーザーに受け入れられやすい広告体験を提供するものと期待される一方、掲載方法や内容によっては、消費者が騙されたと感じやすいという課題が指摘されている。今回策定されたガイドラインは、消費者保護の観点から、ネイティブ広告を掲載・配信する媒体社、プラットフォーマー、ネットワーク配信事業者が自ら守るべき基準という位置づけにあり、ユーザー(消費者)がネイティブ広告を媒体社が編集する記事・コンテンツだと誤認することのないよう、ネイティブ広告を掲載・配信する事業者は、広告表記および広告主体者の明示が必要であるとしている。同ガイドラインが普及することにより、ネイティブ広告が広告主、媒体社・プラットフォーマーなどの事業者および消費者の三者にとって有益なものとして、より安心して利用される環境となることが期待されている。
2015年03月20日「ドコモ光」の発表など、「光のサービス卸」が話題になっていますが、それに関して、総務省がガイドラインを作成しました。その理由と内容について説明します。○光のサービス卸とは?NTTのフレッツ光を丸ごと他の事業者に卸して、他の事業者のブランドとして売ることを指しています。光のサービスをするためには、光ファイバーだけでなく、色々な制御装置などが必要で、小規模の事業者には負担が大きいのですが、この新しいサービス卸では、そうした装置についてもフレッツ光と同じものを丸ごと貸し出すことになるので、卸を受ける事業者は小さなコストで光のサービスを開始することができるようになります。一方、こうした仕組みができると、言い方は悪いですが「筋の悪い会社」が光サービスに絡みやすくなる恐れが大きくなってきます。光サービスは簡単に乗換えがしにくく料金も高額なので、最終的に利用者に対する弊害が大きくなりがちです。そうした事態を防ぐために、総務省がガイドラインを策定することになりました。このガイドラインの目的は、大雑把に言ってしまうと「卸も含んだ上から下まで、きちんと法律に違反しないようにしましょう」というものです。実のところ、きちんと上(NTT)から下(勧誘代理店)までが法律を理解して遵守していれば、このようなガイドラインは必要ありません。しかし、電気通信事業法や関連の法令群は極めて難解で、経験のない事業者にとっては何が違反なのかさえ分からないのが実情です。そのため、簡易な表現のガイドラインを策定することになったのです。また、意図的に脱法的な公平性の阻害行為を行う事業者が出てくる懸念もあります。そうした行為に関しても、それは違反として指導する可能性がありますよ、と釘を刺す役割も持っています。ここで言う公平性とは、NTTとNTTから卸を受ける事業者(以下、卸先事業者)に対する、他のブロードバンド事業者です。特に、ケーブルテレビなどは地域営業が義務付けられているため、東日本・西日本という大きな単位で設備・コストを共有して弾力的な値付けができる卸先事業者に対して非常に不利な競争を強いられます。仮に卸先事業者の一社でも異常に大きな割引をしたりすると、その割引期間中に地域事業者が破綻に追い込まれる恐れさえあります。その後、割引を廃止することで利用者には実質値上げとなるなど、最終的には利用者の不利益になってしまうのです。具体的なガイドライン案の内容について、特に重要なものをいくつかピックアップしてみました。○NTTが行うと違法になるかもしれない行為合理的な説明なしにケータイ事業者それぞれに異なる料金で卸すこと抱き合わせやダンピング、エンドサービス料金を上回る貸し出しをすること卸先事業者の事業計画や顧客情報を聞いたり活用したり、口出ししたりすること卸先事業者が行うと違法になるかもしれない行為* 地域事業者を潰すような競争阻害的料金を設定すること* 利用者に対してNTTやその関係者であると名乗り、勘違いさせること* 「原価割れ覚悟!」みたいな説明をすること* 苦情に対応しないこと○代理店が行うと違法になるかもしれない行為利用者や勧誘相手に対してNTTやその関係者であると名乗り、勘違いさせること勧誘相手に対して、勧誘相手が現在利用中の事業者やその関係者であると名乗り、勘違いさせること違約金などに関して誤認を誘う説明をすることちなみに、上記の「料金」には、販売奨励金・機器割引・キャッシュバックなどの一時金による実質的な割引も含んだもの、とされています。ただ、具体的にどの程度やると「競争阻害的」なのか、などの数字が示されていないため、いずれも解釈次第の甘いガイドラインになってしまっています。また、特に利用者の不利益を起こしやすい代理店そのものの把握が法的に困難で、その違法行為を取り締まるのが難しい状況です。こうした点について、今後、意見が出てくるのではないかと思います。過去の事例から言うと、それで総務省案が改正されることはほとんどありませんが、将来的な見直しの機会にそうした点も取り入れ、ガイドラインの強化や法令の改正などで対応をお願いしたいですね。なお、総務省では2月19日まで、このガイドラインに関する一般からの意見募集をしています。何か思うところがあったらぜひ意見をしてみてください。■ 記事提供:gooスマホ部3万件ものスマホやアプリ、タブレット等Q&Aをストック。あなたのお困りごとにスマホ部員が回答します!!
2015年02月02日経済産業省はこのほど、2011年に公表した「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」を改訂して公開した。同ガイドラインは、情報セキュリティ確保のためにクラウド利用者が行うべきことと、クラウド事業者に対して求めるべきことがまとめられている。改訂版ではクラウドサービスの現状にあわせて、内容の追加などが行われた。また経済産業省は、ガイドラインの利用をサポートする「クラウドセキュリティガイドライン活用ガイドブック」も公開している。活用ガイドブックでは、クラウドサービスの構造やクラウドセキュリティの考え方、ガイドラインを利用したリスク分析手法などが解説されている。改訂版のガイドライン(pdf)と活用ガイドブック(pdf)は、経済産業省のWebサイトで公開されている。
2014年03月17日