木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『WASHI 紙のみぞ知る用と美』。東京・新宿の支店、ギャラリー5(新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー3階)によるご紹介です。■『WASHI 紙のみぞ知る用と美』無形文化遺産として登録されたことが記憶に新しい、日本伝統の素材である和紙。世代を超えて受け継がれる技が生む繊細な風合いとその実用性から、現代においても各方面で多用され、日常的に目にすることは多い。本書では生活用具から美術品にわたって様々な逸品へ自在に姿を変える和紙の魅力を紹介している。和紙は江戸時代から昭和初期にかけてより密接に人々の衣食住に関わっており、例えば和紙で拵えた衣服や携帯する小物(傘や提げ袋)などには、当時の織りや編みの技術が駆使されている。そこに施される意匠は、いずれも各品々の機能に自然と寄り添ったものであり、まさに「用の美」と言える美しさが宿っているようだ。現代のデザインにおいても素材の重要性は言うまでもないが、本書からは、類稀な素材力を持つ和紙の可能性を見つけ、更に1,400年もの長きにわたり試行錯誤を続けてきた日本人のデザインへの高い意識が感じられる。【書籍情報】『WASHI 紙のみぞ知る用と美』出版社:LIXIL出版言語:日本語ソフトカバー/76ページ/205×210mm発売日:2016年9月価格:1,800円
2016年11月03日ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップ、MoMA Design Storeが、2016年秋冬シーズンの新商品、約150点の展開を開始しました。2016年秋冬シーズンの新商品の中から、シーズンのテーマカラー「グリーン」など、ニューヨーク近代美術館がセレクトしたアイテムの一部をごご紹介しましょう。家の中のグリーンハウス寒い季節は家のなかに自分だけのグリーンハウスを。バンコクに拠点を置く2人のデザイナーが、スウェーデンに滞在していた際、緑が都会の風景の中に溶け込んでいるストックホルムの風景に感銘を受けて思いついたそうです。MoMAコレクション(永久収蔵品)でおなじみのメーカーDESIGN HOUSE Stockholm(デザインハウスストックホルム)社製。500個のみ限定生産のチェアイタリア系ブラジル人建築家、Lina Bo Bardi(リナ・ボ・バルディ)がデザインした、MoMAコレクションにも収蔵されているチェア。1951年に発表されたオリジナルを改良し、500個のみ限定生産されました。イタリアで1つ1つ、ハンドメイドされています。シリアルナンバー入り。幸運をつかみたい方にオススメアクリルの立体の中に収められているのは、滅多にお目にかかれない四つ葉のクローバー。フランスで栽培された1枚1枚が異なる葉は、フランス国立農業研究所とのライセンス契約による認証を受け、何年も耐光性を保ち、長持ちするよう、手作業で扱われています。イタリア製のパスタマシンデザイナーのOtto Marcato(オット・マルカート)が、本物の味を家庭に届けたいという夢を実現しました。このイタリア製のパスタマシンがあれば、色々な種類の生パスタを自宅で簡単に作ることができます。About MoMA Design Storeとは?ニューヨーク近代美術館[The Museum of Modern Art (MoMA) ]初の海外出店は東京・表参道でした。店頭に並ぶ約2000のアイテムは、MoMAの代表的な商品と、限定商品を含む、美術館のコレクションを象徴するラインナップ。商品はNYの店舗同様、全てニューヨーク近代美術館のアートを選定するキュレーターによってセレクトされています。ウエディングギフトサロンも併設されています。MoMA Design Store 表参道東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F03-5468-5801年中無休 11:00 - 20:00 (GYREに準ずる) Design Store 渋谷ロフト ※一部10月1日発売予定東京都渋谷区渋谷ロフト宇田川町21-1 1F03-3462-3807MoMA Design Store 池袋ロフト ※一部10月1日発売予定東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店9F03-5960-6210MoMA Design Store 仙台ロフト ※一部10月1日発売予定宮城県仙台市青葉区中央1-10-102F022-224-6210
2016年10月17日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)です。■『THEATERS』杉本博司 写真において「決定的な瞬間」という言葉がよく言われるように、写真は、一瞬間を切り取るものだ。絶え間なく流れる時間の中から、シャッターが切られるその瞬間だけが、写真の中に凝固している、かのように思われる。しかし、果たして、写真とは本当にそういうものなのだろうか。杉本博司の写真は、そうした写真のイメージを覆すものだ。本書に収められた「THEATERS」、日本語では「劇場」と呼ばれるシリーズは、古い映画館や、ドライブインシアターで、映画が上映されている間中シャッターを開き続け、長時間露光することによって撮影された作品である。スクリーン自体が発行体となり、古めかしく美しい劇場の様子が浮かび上がる。映画館とは、映画を上映する場所であり、観客は大体1~2時間、長い作品ならばそれ以上の時間をそこに座って、スクリーンを眺めて過ごす。時に笑いが起き、時に誰かのすすり泣きが聞こえ、シリアスな場面でうっかりくしゃみをしてしまった人に眉をひそめたりしながらも、上映されている時間は、スクリーンの世界に没入することができる、不思議な時間。一体、これまでどれだけの映画が上映されてきたのだろう。どれだけの人々が、この空間で、そうした上映時間を過ごしたのだろう。これらの写真には、単に映画が上映されている時間経過だけが記録されているだけではない。映画館には、何度も繰り返し上映された映画たち、そしてその時々でその映画を共有した観客たちの空気が染み込んでいる。杉本の作品の中で光を放つスクリーンは、そうした「劇場」の歴史そのものを、今私たちに向けて映し出している。本書は、1970年代から現在まで継続して撮影されている「THEATERS」シリーズの中でも、今まで未発表だった21作品が新たに収録された。また、廃墟化した映画館で撮られた最新作「廃墟劇場」シリーズも併せて、計151点が収録された決定版だ。映画館の数だけある、その空気、その歴史は、一枚の写真の中で、今でもひっそりと時を刻んでいることが、不思議と伝わる一冊となっている。「廃墟劇場」は、今月リニューアルオープンした東京都写真美術館での「杉本博司 ロスト・ヒューマン展」の一部として世界で初公開されている。照明を落とした展示室で、美しいゼラチンシルバープリントともに、上映されている映画タイトルや、映画の内容なども杉本自身の文章で鑑賞者に見せる形の展示となっている。展示と合わせて新刊であるこちらも併せて手に取ってもらえれば、と思い紹介した。展示されている映画タイトルや、それにまつわる文章も併せて収録された「杉本博司 ロスト・ヒューマン展」カタログも、当店にて販売中である。【書籍情報】『THEATERS』写真:杉本博司版元:DAMIANIハードカバー/176ページ/285×258mm言語:英語発刊:2016年価格:8,800円『「杉本博司ロスト・ヒューマン展」カタログ』版元:東京都写真美術館ソフトカバー/247ページ/230×290mm言語:日本語・英語発刊:2016年価格:2,315円【展覧会情報】リニューアル・オープン 総合開館20周年記念「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展会場:東京都写真美術館2階・3階展示室住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内会期:9月3日~11月13日時間:10:00~18:00※木、金曜日は20:00まで(ただし9月9日、10日は21:00まで))※入館は閉館の30分前まで料金:一般1,000円、学生800円、中高生・65歳以上700円休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館し、9月20日、10月11日は休館)
2016年09月22日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』金氏徹平金氏徹平(1978-)は、身の回りにある量産品(おもちゃ、プラスティック製品、印刷物等)を用いた、ダイナミックなインスタレーション作品を手がけるアーティスト。多種多様な素材から部分を切り抜き、繋ぎ合わせることで、既存の文脈を読み替えるコラージュ的手法を用いて作品を制作している。本書は2016年7月から11月まで丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催されている「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」展の展覧会図録。展覧会のタイトルを考案した小説家の長嶋有をはじめ、デザイナー、音楽家、俳優、観客たちと既存の役割を交換しながらつくり上げる展覧会の内容構成に対応する、様々な寄稿者、協働者と共に作られた図録になっている。内容は漫画作品集や、ダンス譜を記載するコンセプトブック、対話・インタビュー・論文集、など、複数の多様な構成。独自のコンテンツや、本の装幀においても、従来の図録の形式に囚われない形式をとり、展覧会「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」における作品としての印刷物の佇まいも兼ね備えている。展覧会の観賞と共に、是非併読したい1冊。既存の書籍の形式から逸脱した仕様も実にユニークな発想。パッケージの透明ビニール袋には、金氏による直筆のドローイングが全てに施されており、全種が1点ものパッケージという豪華な仕様になっている。その袋の中には複数冊の冊子やクシャクシャに丸められた印刷物が封入され、各冊子の装丁をそれぞれ異なるデザイナーが手掛けているという異種混合のざわめきが、ビニール袋越しからも伝わってくるだろう。【書籍情報】金氏徹平『金氏徹平のメルカトル・メンブレン』発刊:ナナロク社、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館アート・ディレクション:金氏徹平 仕様:4冊組・ビニール袋に封入サイズ:A4変形(各冊子のサイズは異なる)発売日:2016年7月価格:3,700円
2016年09月15日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『The Book of Ballet』マルセル・ザマ(Marcel Dzama)1974年にカナダで生まれ、現在はアメリカ・ニューヨークを拠点に活躍しているアーティストのマルセル・ザマ。本書は、ジャスティン・ペックが振付を担当したニューヨーク・シティ・バレエ団による「The Most Incredible Thing」(アンデルセン原作)作品において、マルセル・ザマが衣装を担当した際の記録集。ザマの童話的で一見かわいらしく見えながらもブラックユーモアを感じさせるシニカルな作風が存分に生かされた衣装の制作過程におけるデッサン画や、彼とペックとの対話が収録されており、アーティストと振付師がお互いに刺激を与えながらコラボレートしてゆく様子を垣間見ることができる。さらに、ザマによるポスターも付属しているのがなんとも嬉しい。【書籍情報】『The Book of Ballet』著者:Marcel Dzama発刊:David Zwirner Books判型:230×152mm価格:3,140円
2016年09月01日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『孵化日記』青柳菜摘アーティストの青柳菜摘によるアーティストブック『孵化日記』は、青柳が蝶の幼虫を探し求めて様々な緑地を訪ね歩く過程を記録した映像作品シリーズを印刷物として発展させたひとつのプロジェクト。本をめくりながら頁のイメージを見て、端に配置された青柳の日記的文章を読み進めていくと、映像とは異なる世界が視覚と言葉の認識を通して広がる。青柳は1990年生まれ、お絵描き掲示板に小学生のころから自作の絵や漫画を投稿するなどしてきた来歴があり、「お絵描き」の手段は紙とペンでは必ずしもなかった時代に育った世代であるが、むしろそのことがより一層「メディア」を捉える感覚を柔軟に押し広げているのかもしれない。お絵描きの手段はあらゆるメディアで垣根無く可能であることを体現する如く、青柳はひとつの作品の中に映像だけでなく、静止画や絵、自身が綴った日記のようなテキスト、それを朗読する声等、いくつものメディアを組み合わせて作品を構築している。スマートフォンやカメラなど、携行が手軽な記録メディアの発達と、SNSの大隆盛を迎えている今日、目の前の景色や出来事を記録することはより身近な手段になり、誰もが「映像を撮る」、そしてそれを不特定多数の人々と「シェア」する時代。そんな現代に、複数メディアを柔軟に横断する感覚から生まれた1冊の本。造本やデザインにも工夫を凝らした、アーティストの企画制作ならではのユニークな佇まいである。【書籍情報】『孵化日記』著者:青柳菜摘発刊:THOASAリング綴じ/46ページ/最大A4(各ページのサイズは異なる)発売日:2016年8月11日価格:税込3,240円(限定100部・ナンバリングあり)【展覧会情報】青柳菜摘「冨士日記」会場:NADiff Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T1階会期:2016年8月11日~28日日時:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)入場無料
2016年08月18日待ちに待った夏休み!いつもよりも親子で過ごす時間がぐっと増える夏休みに、山や海へ遠出して過ごすのも良いけれど、お家でひんやりかき氷を食べながらまったりした一時を満喫することも素敵な夏の思い出になるはず。そこでFASHION HEADLINEでは、夏休みに大人も子供も楽しめる絵本を、本を愛する書店の皆さまに聞きました!目で見て楽しめるアートブックのような絵本、思わず声に出して読みたくなる絵本、頭に残るリズミカルな絵本、じっくり読める絵本など、より感性を豊かにしてくれる個性豊かなラインアップ。連載第1回目の今回は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」がオススメする4冊をご紹介します。『ジャリおじさん』(大竹伸朗/発売:福音館書房)毎日海を見て暮らしていたジャリおじさんは、鼻の頭にひげが生えている。そんなジャリおじさんが、ある日突然、海に背を向けて歩き出す…。「ジャリジャリ」という挨拶、ページいっぱいのシュールな絵、そして突飛なストーリー。日本を代表する現代美術作家である大竹伸朗による絵と、リズミカルな語感。この斬新な絵本にぴったりハマれば、きっと何度も開くお気に入りの1冊に。『ジャリおじさん』大竹伸朗『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』(絵:岡崎乾太郎 文:谷川俊太郎/発売:クレヨンハウス)「ぴぴぴー ぴぴーぷ ぷーぺー ぴぷぺぺぺ」思わず口に出して言いたくなってしまう、「ぱぴぷぺぽ」でできたふしぎな言葉たち。とっても単純だからこそ、どのように読むか、読む人の数だけ新しい音が生まれるはず。親子でも、おともだちとでも、声に出して読みたい1冊。そしてなんと言っても造形作家の岡崎乾次郎が描く、カラフルなツノの生えたふしぎな生き物がキュート。『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』絵:岡崎乾太郎 文:谷川俊太郎『水の生きもの』(絵・文:ランバロス・ジャー 訳:市川恵里/発売:河出書房新社)なんと、インドの工房にて1冊1冊シルクスクリーンで刷られた手作りの絵本。手漉き紙から伝わる温かさには、1枚1枚ページをめくる幸せがつまっている。インド伝統の民俗絵画、ミティラー画の手法で描かれる細やかな線、次々に現れるサカナやカニたちの表情は異国情緒たっぷり。ぜひ親子で一緒にページをめくりながら読んで頂きたい作品集のような絵本である。『水の生きもの』ランバロス・ジャー(Rambharos Jha) 訳:市川恵里『ドミトリーともきんす』(高野文子/発売:中央公論社)絵本、というより漫画に近いのですが、ぜひ夏休みにおすすめしたい1冊。実在の科学者たちが、もし学生寮「ドミトリーともきんす」に住んでいたら?という架空の設定で描かれたもの。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹が学生となって登場し、様々な場面で彼らの言葉や著書が紹介される。決して難解ではなく、シンプルな絵と相まって「読んでみたい」「もっと知りたい」と感じられる1冊。さらにその先に続いてゆく読書のためにも、時間に余裕のある夏休みに読んでみては。小学生以上のお子様にはもちろん、大人の方にもおすすめ。『ドミトリーともきんす』高野文子
2016年08月13日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『Portraits』ウィリアム・エグルストン(William Eggleston)1960年代中頃より、写真家ウィリアム・エグルストンは、自身の故郷でもあるアメリカ南部の何気ない風景や人々を、独特の捉え方や時に奇妙な構図によって、まるで映画のワンシーンのようにカラー写真に収めた。それまではカラー写真はあくまで広告用と認識されていたが、エグルストンや同時代のスティーヴン・ショアらの出現により、カラー写真もアート作品として捉えられ、語られるようになり、それらは後に「ニューカラー」と呼ばれる。本書は、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーにおいて2016年7月から始まり10月まで開催されている個展「Portraits」展に合わせて出版された作品集。エグルストンが半世紀にわたり撮影し続けた家族や友人、ミュージシャンやアーティストらのポートレートが多数収められている。彼の代表作が収録されていることも魅力だが、さらに未発表作品もあり、ファンにはもちろん初めて彼の写真に触れる方にもおすすめしたい。ソフィア・コッポラは、「多くの人がエグルストンと同じようにスナップショットするが、エグルストンはその誰とも似ていない」と称賛を寄せている。エグルストンの写真は有名で見慣れたものでもあるが、あらためてこうした大判の作品集で見ると、やはり今の巷に溢れるスナップショットとは一線を画すものがある。スナップショットが好きな若い方にもぜひご覧頂きたい。【書籍情報】『Portraits』著者:William Eggleston発刊:National Portrait Galleryハードカバー/184ページ/286×283mm発売日:2016年価格:5,860円(※250部限定)
2016年08月04日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『瞬間のエクリチュール』日本を代表する先鋭的な詩人のひとりである吉増剛造。詩作、朗読パフォーマンスのみならず、詩という枠組みを超えて、写真、立体、映像など、複数のメディアを横断しながら精力的に創作活動を展開している。edition.nordから刊行された吉増剛造の『瞬間のエクリチュール』は、1999年から撮影が開始された“詩作品としてのポラロイド写真”を纏めた少部数制作のエディション作品。旅先で撮影されたポラロイド写真と、即時的に書き綴られた言葉が重なりあう作品群は、2000年初頭から週刊誌「アサヒグラフ」の連載において発表された。それらのポラロイド作品全74点を、edition.nordが最新の印刷・加工技術を用いてオリジナルに忠実に複製。一葉の作品の中にあるイメージと言葉の様態を、さらには吉増作品の言葉の物質性を、生々しく感覚させる印刷物として完成させた。本来であれば、世界に一枚しかないはずのポラロイド作品を、手元で鑑賞することを可能にしてくれる本書。吉増ワールドをじっくりと鑑賞できる“あなたの大切な一冊”となるだろう。8月7日までNADiff Galleryで開催されている展覧会“吉増剛造「瞬間のエクリチュール」”では、実物のポラロイド写真を展示中。東京国立近代美術館で開催の“「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」”とあわせてぜひご覧いただきたい。【書籍情報】『瞬間のエクリチュール』デザイン:秋山伸出版社:edition.nord箱入り/ポラロイド作品原寸複製物74枚、抽出テキストによる冊子モノクロ80ページ/150×225×28mm部数:初版300部発刊:2016年7月1日価格:税込9,180円【展覧会情報】吉増剛造「瞬間のエクリチュール」会場:NADiff Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:2016年7月1日~8月7日日時:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、7月30日臨時休業入場料:無料協力:edition.nord【同時開催展情報】「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」2016年6月7日~8月7日会場:東京国立近代美術館(東京・竹橋)
2016年07月21日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『フリーダ 愛と痛み』石内都フリーダ・カーロは、1907年にメキシコに生まれ、1954年に47歳という若さでこの世を去った女性画家だ。幼い頃に患った病気や、まだ若かりしうちに遭遇した交通事故での大怪我により、生涯その体に痛みを背負い、晩年にはほとんどベッドに横たわりながらの絵画制作を行った。そんなフリーダの生家であり、2度目の結婚をした際に戻ってから終生を過ごしたメキシコシティ近郊の「青い家」は「フリーダ・カーロ記念館」として今も残されている。しかし、家の中の一部や彼女の遺品の多くは一般には公開されていなかった。日本の写真家、石内都は、メキシコのキュレーターの依頼を受け、この「青い家」で3週間にわたり、フリーダの遺品やバスルームを撮影した。病気の影響で長さが左右違ってしまった足に合わせ、底の厚さが違う靴。腰を支えたコルセット。何種類にも及ぶ薬瓶。ところどころがほつれた靴下。そして、メキシコ伝統の色鮮やかなドレス、ブラウス、スカーフ。これらの持ち主は、もうこの世にはいない。これらの写真を眺めることは、例えば記念館などでガラスケースに展示された遺品を眺めることとは違っている。写真は、その遺品を様々な角度から見せてくれる。時に、それがどんな服なのか全容が分からないくらいのクローズアップで。または、今まさにその一歩を踏み出したかのように配置された靴を、横から眺めるように。それらをじっと見つめていると、ほつれた糸が見える。シミが見える。ブラシに残された一本の毛髪が見える。擦り切れた靴に、歩き方の癖が見える。ほとんど空になったマニキュアの瓶には、美意識が見える。つまり、そこには今は亡きフリーダの生が見える。誰かが着ていた服や、使っていたもの、その不在の持ち主の個性は、いつだってこうした断片に、そして細部に宿っている。「死は肉体が無くなっただけで、精神や愛や痛みという決して目に見えない、手で触れることのできない型のないものたちは、かたちある残された品物たちに宿っている。その気配を確実に写真に写し撮ることが、私の仕事である。」と、あとがきの「フリーダふたたび」にて決然と述べる石内都。持ち主の不在と、それと同時に決して消えない生の痕跡に、フリーダと同じ女性として、アーティストとして、向き合う石内とフリーダとの対話が、この写真には投影されている。フリーダは死んでしまった。涙や血に濡れた姿も、幾度もの流産に苦しむ姿も、鮮明に表現した自画像を多く残して。フリーダ自身の絵筆で描き出した、そうした鮮烈な哀しみや苦しみの表象とはまた異なり、持ち主を失って時を経た遺品たちは、ひっそりと、写真の中にある。過去を、愛を、痛みを、静かに内包するその姿に、あなたはフリーダのどんな言葉を聞き、どんな姿を想像するだろうか。2015年夏に、フリーダの遺品を撮影する石内都に密着したドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように』が上映された。しかし、その際に撮影された写真は“Frida by Ishiuchi”というタイトルで、海外の出版社からしか写真集として発行されていなかった。そのため今回の紹介書籍は、ようやく日本で出版された1冊ということになる。ただし、“Frida by Ishiuchi”と『フリーダ 愛と痛み』では収録されている写真が異なる。6月28日から8月21日まで、銀座の資生堂ギャラリーにて開催されている写真展「Frida is」では、“Frida by Ishiuchi” 、『フリーダ 愛と痛み』の両方からセレクトされた写真、31点が展示されている。そちらも併せてご覧いただきたい。【書籍情報】『フリーダ 愛と痛み』著者:石内都(寄稿:桐野夏生)版元:岩波書店判型:A4/上製/カバー/112項定価:3,800円【展覧会情報】石内都展「Frida is」会場:資生堂ギャラリー住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階会期:6月28日から年8月21日時間:平日11:00~19:00、日曜・祝日11:00~18:00料金:無料
2016年07月07日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『Memorial, 53 Mosquitoes』青崎伸孝ニューヨークを拠点に活動するアーティスト・青崎伸孝による本書は、2015年夏にアメリカ合衆国メイン州のスコヒーゲン美術学校に作家が滞在した2ヶ月の間に、自身のアトリエで自然発生的に行われた、作家と蚊との格闘を記録した同名のインスタレーション作品をもとにつくられた。作家が滞在したアトリエの中で度々行われた蚊との攻防。その度に、作家はアトリエの壁に付着した蚊の亡骸の横に、死亡時刻と日にちを記録し続けた。このインスタレーション作品を保存する目的で、蚊の残骸をひとつひとつドローイングしていったものを、1日1ページの時系列順に日記形式で1冊の本にまとめている。「蚊をつぶす」という普段条件反射的に行われている日常的な振る舞いや行為を観察し記録をとることによって、生と死や時間について顕わにする。本書は、作家による殺してしまった蚊たちへの追悼でもあり、彼らの死亡した事実による作家自身の生の逆説的な確認の記録でもある。青崎は、出会った人々や生物との間に生じる日々のありふれた事象を公然化することによって、再び考察する契機を鑑賞者に投げかける。現在、NADiff Window Galleryにて「CHECK IN / CHECK OUT」、またstatementsにて「at the moment」の2つの展覧会が開催中だ。普段の生活における行為から生じた結果そのものを作品に取り入れ、ユーモアと共に提示する青崎の試みをご覧頂ける。本書と併せてぜひお楽しみいただきたい。【書籍情報】青崎伸孝『Memorial, 53 Mosquitoes』発刊:Press for Arts編集・デザイン:川村格夫 並製本無線綴じ /128ページ発売日:2016年3月12日価格:1,185円【展覧会情報】■青崎伸孝「CHECK IN / CHECK OUT」会場:NADiff Window Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F会期:6月14日~7月18日時間:12:00~20:00協力:川村格夫、冨井大裕、statements休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)入場無料■青崎伸孝 「at the moment」会場:statements住所:東京都渋谷区東2-27-14-102会期:5月14日~6月26日時間:13:00~20:00休館日:月・火曜日入場無料
2016年06月23日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『Provoke-Between Protest and Performance』本書は今年1月にウィーンにて開催された、「PROVOKE展」に合わせてドイツのSteidl社から発行されたカタログである。当展覧会は、ウィーンに続いて、スイスのヴィンタートゥール、パリ、そしてシカゴの美術館へ巡回予定である。『プロヴォーク(Provoke)』とは、1968年に創刊された写真同人誌の名前である。ひいては、その創刊者たちやその周辺の作家が表したその作風を「プロヴォーク的な」と言ったり、または彼らが活躍した時代を「プロヴォークの時代」と呼んだりすることもある。それは「思想のための挑発的資料」というサブタイトルに分かるように、「挑発」を意味する言葉だ。創刊者は、中平卓馬、高梨豊、多木浩二、岡田隆彦といった面々であった。そして、2号から参加することになる森山大道も、もちろんプロヴォークにおける主要な写真家である。わずか3号までの発行で廃刊となったにも関わらず、「プロヴォーク」という言葉は写真史に強烈に記憶され、いまなお議論や研究の対象となっている。一体彼らは、何に挑んでいたのか。ベトナム戦争、キューバ危機、そして東大安田講堂事件を始めとする学生運動などが盛んに行われていた60年代から70年代の社会情勢において、写真はその役割を問い直された。写されたものは、本当に「リアル」なのか。もしくは、写真が提示する「リアル」とは一体何なのか。その場に行かずとも目撃することができる、世界中に共有される出来事の「イメージ」とそれに対応する「言葉」はもはや形骸化していた。『プロヴォーク』の総括集となった『まずたしからしさの世界を捨てろ』において、中平卓馬は、溢れる戦争の写真に対し不感症になっている自分や社会への違和感について、こう述べるのである。「それはおそらくこれらの膨大な写真が、みずから〈記録〉写真と名のりながらも、実は世界にまっすぐ眼をむけることなく、使い古した言葉による図式、戦争→悲惨→戦争反対にのってそれらの言葉をイラストレートすることしか望んでいないことに関連する」本書に収められた写真はどれも、粒子が荒く、ピントはあっておらず、ざらついて、一体何を写したのやら判別できないものもある。いわゆる「アレ、ブレ、ボケ」と揶揄もされたその作風は、自分自身が世界を「見る」という行為を見つめ直した痕跡である。それは必ずしも、美しくピントがあっているものではない。決定的瞬間などでもない。日々流れていく風景を、横目に流し見、時にフラつきながら、時に何かに吸い寄せられ、そして中には忘れてしまうものも、記憶に残るものもある。それは、もはや「これ」と言葉で名づけることのできない残像なのである。そのようにして世界を見るということ、そして写すということ、その行為そのものを問い直した写真家たち各々の戦いは、『プロヴォーク』にはじまり、それぞれの道へと分岐していく。通底していたのは、カッコつきの「リアル」への懐疑と挑戦である。当時にも増して、「それっぽい」写真や言葉によるイメージが増幅する現代において、当時の日本の写真家たちの戦いは、世界の目にどう映っているのか。作品が収録されている主な写真家は、中平卓馬、東松照明、森山大道、高梨豊、北井一夫、細江英公、榎倉康二、荒木経惟など、挙げきれないほど。また寺山修司や赤瀬川原平など、『プロヴォーク』に近しかった芸術家たちも取り上げられ、写真のみならずプロヴォークに影響を与え、プロヴォークに影響を受けた界隈の作品まで見通すことができる1冊だ。『プロヴォーク』の第一人者たちへのインタビューはもちろんのこと、当時の社会情勢にフォーカスしながら、海外の出版社による印刷とセレクトによってここまで結集した『プロヴォーク』を見直すことは、今もって現代における私たち自身の世界の見方を問い直す、新鮮な驚きになるはずである。【書籍情報】『Provoke-Between Protest and Performance』版元:Steidl判型:190mm×250mm/ソフトカバー/680ページ(写真点数600枚)定価:1万240円
2016年06月02日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『SO X TN: #1』大竹伸朗愛媛県宇和島市を拠点に、絵画、写真、立体、コラージュや音楽パフォーマンスなど多彩な表現を展開している大竹伸朗は、現代美術の中でも最も重要な作家の1人。『SO X TN』とは、東京・東麻布のギャラリーTake Ninagawaが企画開催した大竹伸朗の個展やフェアなどの際に刊行しているカタログの総称で、08年に開催された最初の展覧会である3部シリーズを除く、全ての個展プロジェクトが収録されている。5月には、新たな2タイトル「時憶」と「網膜」が加わり、計6タイトルのカタログがラインアップされる。そして、これらのカタログを集積するコンテイナーの役割を果たすバインダー形式の作品が『SO X TN: #1』である。1点ごとに大竹によって制作される、絵画でもあり、彫刻でもある、重厚、膜厚な大竹伸朗ならではのユニークピースとなっている。5月15日からNADiff Galleryで開催される展覧会、大竹伸朗「SO X TN: #1」と、東京・東麻布にあるギャラリーTake Ninagawaで同時開催の大竹伸朗「時憶」も必見。【書籍情報】『SO X TN: #1』著者:大竹伸朗デザイン:Edit.35(小関学)発刊:Take NinagawaA4サイズ用 2穴リングファイル/310×240×40mm/作家手書きナンバー発売日:2016年5月14日価格:3万5,000円(※250部限定)【展覧会情報】大竹伸朗「SO X TN: #1」会場:NADiff Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T地下1階会期:5月15日~6月26日時間:12:00~20:00定休日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)協力:Take Ninagawa入場無料【同時開催展覧会情報】大竹伸朗「時憶」会場:Take Ninagawa住所:東京都港区東麻布 2-12-4 信栄ビル1階会期:5月14日~6月30日時間:11:00~19:00定休日:日・月曜日、祝日
2016年05月19日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズムー』サイ・トゥオンブリー(1928-2011)は、絵画、彫刻、ドローイング作品で広く知られる20世紀を代表するアーティストのひとり。亡くなるまでのおよそ60年間にわたり写真作品も多くのこしており、このたび日本で初めての写真作品展「サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズムー」が、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で8月28日まで開催されている。彼が撮影した写真は、奇をてらったものでは決してなく、自身のアトリエにあるテーブル上の果物や花、旅行先での風景など、身近なものが被写体となっている。それらはポラロイドカメラで撮影されたのちに複写機で拡大し制作されているため、霞がかかったようなぼんやりした独特の色調と柔らかさを感じさせ、いつの間にか異界に入り込んでいたかと思わせるような詩的な雰囲気を湛えている。本書は、写真作品のほかに同展に出品されている絵画、ドローイング、彫刻、版画作品も収録された充実した内容。日本では大変貴重な機会となる本展覧会とあわせて、ぜひ本書も手に取ってご覧頂きたい。【書籍情報】『サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズムー』発行:DIC川村記念美術館ハードカバー/118ページ/280×240mm発売日:2016年4月23日価格:3800円
2016年05月05日ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップ「MoMA DESIGN STORE」は、今年2月より株式会社ロフトが運営することとなり、4月20日(水)に渋谷、4月29日(金・祝)に池袋のロフト内に新店舗が新たにオープンした。新店舗ではオープンを記念し、限定商品や先行販売商品が登場する。限定商品には、MoMAのロゴがあしらわれた「MoMA ルート―ト」と、ランチボックスを入れるのに便利なサイズ感のDELI(2,916円)、肩掛けもできるTALL(3,997円)の2サイズが、オレンジとグリーンの2カラーで展開される。また、「Andy Warhol SKATEBOARD COLLECTION」とのコラボレーションで、限定モデルのアーティストスケートボードが誕生。MoMA Collectionに選ばれている、アンディ・ウォーホルの代表作品「32 Cambell’s Soup Cans」が描かれた、全世界100セット限定のプレミアムなアイテム(1,684,800円)や、1965年に制作された32個のキャンベルスープ缶の異なる彩色を施した19個の缶から成るシリーズより、8色がスケートボードになったアイテム(各33,696円。全世界各色4,000枚限定)も登場。そのほか、女優マリリン・モンローを描いた「Gold Marilyn Monroe」や、自身のセルフポートレート、カークラッシュや銃を描いたシルクスクリーンで知られる作品からデザインされたスケートボードも発売となる。いずれも数量限定のアーティな1枚だ。この機会をお見逃しなく。(text:cinemacafe.net)
2016年05月05日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『川が私を受け入れてくれた “The river embraced me”』川内倫子2016年1月23日から 3月27日にかけて、熊本市現代美術館で開催された川内倫子写真展「川が私を受け入れてくれた“The river embraced me”」。そのカタログとして出版された本書。展覧会自体は、川内の過去18年に及ぶ活動を再構成するものであったが、「川が私を受け入れてくれた」と名付けられた作品群は、川内が長く撮影を続けてきた熊本の地で、一般の人々から熊本の思い出の場所とそこにまつわるエピソードを公募し、その場所を川内が訪れて撮影する、という主旨で撮られた最新作だ。川内は、単に「この場所にそうした過去や誰かの記憶がある」という事実を写すのではなく、その場において川内自身の記憶に共鳴が起こったときにシャッターを押したという。この作品群のキーワードは「共鳴」と「共有」である。人は決して他人と同じ体験をすることができないが、人は他者の記憶に触れたときに、不思議と自らの記憶に何かが共鳴することがあることを知っている。そして、記憶とは大概の場合、正確な時間軸を持たず、常に断片的に、無意識に蓄積されていて、そうした共鳴は自らの記憶をさかのぼるうちに不意に訪れる。本書をめくりながら、「一体ここで、何があったのだろう」「誰が、何を思ったのだろう」と他者の記憶を想像するとき、気づけば目の前の写真は、自らの記憶の中の景色を想起させている。そこには、決してぴったりとは重ならずとも、見ず知らずの人の記憶の一部を共有するという体験がある。熊本の、どこかの誰かの記憶に共感し、その一部を共有した川内が、さらに自らの記憶をそこに投影した写真群に、観る者の何が共鳴するのか、それもまた私たち一人一人に委ねられている。表紙も淡い桃色と緑色と春らしい1冊。【書籍情報】『川が私を受け入れてくれた “The river embraced me”』著者:川内倫子発行:torch pressハードカバー/A4変型/差し込みテキスト12P付き定価:2,800円
2016年04月14日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』昨年没後30年を迎えたフランスの画家、ロベール・クートラス(1930-1985)の作品集がこの度刊行された。生涯、アーティストとして自らの信念を貫いたクートラス。貧しい制作環境の中で創造された作品たちはどれも個性的な魅力を放っている。その証拠に、彼がラジオで聞いて気に入り、自らジャケット担当を志願したハンガリーの音楽バンド「コリンダ」のレコード販促用ポスターは、貼られるやいなやパリの街から消えたのだとか。クートラスに関する情報がほぼすべて網羅されているこの作品集には、約1,500点の作品が掲載されており、絵画、小さなボール紙をタブローにした「カルト:僕の夜」、テラコッタ、デッサン、ドローイング、ポスター、影絵など、多岐にわたるクートラスの業績を一望できる。寄稿は作家の小川洋子。4月1日からNADiff Galleryで開催される展覧会“ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」”も必見。【書籍情報】『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』寄稿:小川洋子発刊:ECRIT上製・函入・二冊組/600ページ/303×215mm発売日:2016年3月12日価格:3万円【展覧会情報】ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」―『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』刊行記念展―会場:NADiff Gallery 住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:4月1日~5月8日時間:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)※5月2日は営業入場無料
2016年03月31日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『Landscapes』レレ・サヴェリ(Lele Saveri)ローマで生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動している写真家・アーティストのレレ・サヴェリ。アーティストとしてだけではなく「8 Ball Zine」というNYで行われるZINEフェアのキュレーターとしても精力的に活動していて、ブルックリンの地下鉄の駅の中に「ニューススタンド」という期間限定ショップを作り、多くのアーテイストのジンやアーティストブックなどを販売して話題を呼んだ。本書は、ニューヨークの写真集専門店ダッシュウッドブックス(Dashwood Books)から出版された彼自身の写真集。DIY精神に満ちた彼の作品に相応しく、リソグラフ印刷という簡易印刷機を使って一色ずつ刷ったものに、ページによっては版や色を重ねる実験を何度も繰り返し、完成したものをさらにオフセット印刷し、製本している。荒い表面の粒子や色の雰囲気によって、メインとなるヌード写真と、一緒に配置されている植物の写真もまた、曲線の美しさをたのしむことができる。限定500部と国内では珍しい1冊。【書籍情報】『Landscapes』著者:Lele Saveri出版社:Dashwood Books限定500部/185×120mm発刊:2014年7月価格:3500円
2016年03月17日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『WILDER MANN 欧州の獣人―仮装する原始の名残』シャルル・フレジェ現在、銀座メゾンエルメスや恵比寿のギャラリーMEMで展覧会が開催され注目を集めるフランス人写真家、シャルル・フレジェ。フレジェが過去に出版した写真集『EMPIRE』では、騎兵隊の肖像を写すことから、そこに根付いた秩序のあり方や権力構造を抽出し、『BRETONNES』では、レースを身に着けた女性の肖像写真から、ブルゴーニュに今も残る伝統を繊細に写し出した。そして今回紹介する『WILDER MANN』で被写体となるのは、欧州の祝祭や儀式に古くから見られる、動物や悪魔に扮する人びと「WILDER MANN」である。人間は、どんなに原始的な集団であっても社会秩序を持っているが、その反面、厄災や、心の中の悪や欲望など、理性だけでは説明のつかない面も当然ながら多く抱えている。だからこそ、獣や悪魔といった、暴力的に、理不尽に秩序を崩壊させる非日常的な存在は、人間が理性と本能、または秩序と自然に折り合いをつけるためにかつてから必要とされてきたのだった。本書をめくれば、こうした側面が決して欧州の「WILDER MANN」だけに象徴されるものではないということがわかるだろう。彼らの肖像のうち多くが、鬼や獅子舞、なまはげなど、私たち日本人にとっても馴染みのある存在と良く似ている。そうした人間と「WILDER MANN」的存在の普遍的な関係性への気づきの一方で、シャルルの肖像写真は、それぞれのキャラクターや装束の固有性をじっくりと注視する体験を可能にした。まさしく、本書のユニークさは、本来ならばそうした祝祭や儀式でしか存在し得ない生き物たちを、そのカオスから取り出したことにある。静止し、美しい構図によって切り取られた彼らは、恐ろしくもありながら、どこか滑稽で、キュートで、あまりにも個性豊かである。各キャラクターの意味、役割、由来、装束の特徴などが詳しく記された、巻末の解説ページまで必読の一冊だ。現在、ナディッフ デュシャンではシャルル・フレジェ ブックフェアを5月15日まで開催中。『WILDER MANN』『BRETONNES』など、シャルル・フレジェの写真集に加え、世界の土着的文化、民俗学、民俗衣装などにまつわる書籍をそろえている。また、『WILDER MANN』から6種類、『BRETONNES』と『EMPIRE』から1種類、計8種類のオリジナルポストカードも販売中。※『WILDER MANN』は日独共同出版の書籍で、ナディッフ デュシャンでは独・日の2種類の書籍を取り扱う。日本語版は現在版元品切れ中につき、予約を受け付け中。(7月下旬に重版予定)【書籍情報】ドイツ語版『WILDER MANN』写真:シャルル・フレジェ発行:Kehrer社言語:ドイツ語判型:ハードカバー/170×222mm発刊:2012年3月価格:5,100円日本語版『WILDER MANN』写真:シャルル・フレジェ発行:青幻舎言語:日本語判型:ハードカバー/170×222mm発刊:2013年11月価格:3,800円
2016年03月03日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『NOW AND THEN』サラ・ムーン(SARAH MOON)1941年にイギリスで生まれ、ロンドンやパリでのモデルの仕事を経て、1968年より写真を本格的に始めたサラ・ムーン。「時」を写真の中に封じ込めたような繊細で幻想的な彼女の写真は、今もなお世界中の人々を魅了してやまない。少しセピア色に近いモノクロ、あるいは淡いトーンのカラーによって綴られるファッション写真、ポートレート、スティル写真や風景写真は、まるでおとぎ話の中に迷い込んだような世界を見せてくれる。彼女を一躍有名にしたのはキャシャレルの広告写真で、その後はクリスチャン・ディオール、シャネル、コム デ ギャルソン、イッセイ ミヤケなど錚々たるメゾンの広告も手掛けている。また、映像作家としても活躍しており、『サラ・ムーンのミシシッピー・ワン』は特に有名である。本書は、サラ・ムーンのこれまでの仕事を振り返り、多くの図版を収めただけでなく、サラ本人へのインタビューや、アメリカの写真家デュアン・マイケルズとサラとのメールのやり取りなども収録した、美しい写真集となっている。これまで刊行されたサラの写真集には既に絶版のものも多くファンの方には待望の、またこれから初めて彼女の写真に触れる方にもおすすめの一冊。【書籍情報】『NOW AND THEN』著者:SARAH MOON出版社:KEHRER判型:230×210mm価格:7,633円
2016年02月25日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『North American Mammals』ショーン・ランダース(Sean Landers)1962年マサチューセッツ生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動しているアーティスト、ショーン・ランダース。本書には、ルネ・マグリットが1940年代の一時期に描いた、漫画やカリカチュアを引用した人物像、激しい筆触、けばけばしい色彩が特徴の「ヴァーシュの時代」の絵画にランダースがヒントを得た新作が多数収録されている。その新作とは、同時期のマグリットが多用したタータンチェックを流用し、北米に生息するクマやキツネ、ウサギなどの動物の姿に、タータンチェックをはめ込んだような絵画である。マグリットの「ヴァ―シュの時代」の作品は発表当時1枚も売れず、妻からも悪評価を受け、生前はお蔵入りとなっていた。「作家にとって残るものが唯一作品であるとき、作家であることはどのような意味を持つのか、そしてどのように将来にわたって意味のある存在であり続けることができるのか?」と、絵画の永続性と、絵画が作家の分身となる方法についての関心をもとに作品を制作し続けているランダースが完成した新作を、本書でじっくりご覧頂きたい。【書籍情報】『North American Mammals』著者:Sean Landers出版社:Petzel Gallery判型:292x239mm価格:5,550円
2016年01月28日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『TOO MUCH Magazine Issue 7: The Himarayas Naoki Ishikawa』東京を拠点に年2回発行されるインディペンデント雑誌、『TOO MUCH Magazine』。その7号目となる本書は「WORK」をテーマに、写真家で冒険家の石川直樹を特集する。彼のヒマラヤ登山は、2001年に最年少でのエベレスト登頂成功に始まる。そして、10年後の11年からいくつものヒマラヤの8,000メートル峰の登頂を成功させ、15年夏、パキスタン、中国、インドと国境を接するカラコルム山脈にある世界第2位の難峰といわれるK2の登頂に挑戦した。本書では、11年から15年の間、彼が記録した写真や日記を通し、ヒマラヤ登山とは如何なるものかを紹介する。写真に収められているのは、文明の侵入を拒むかの様にそこにある自然と、そこに「挑む」というより、ともに「居る」もしくは「寄り添う」人々の姿である。その置かれている壮絶な環境とは裏腹に、写真に写る彼らの表情に思いのほか固さがないことや、日記に記される登山中の細かい描写により、彼の活動がよりリアリティーのあるものとして読者に伝えられる。本書は美しい写真に、「WORK」という視点を加えることにより、彼の活動の違う一面を呈示している特異な1冊である。なお、1月24日までナディッフ デュシャンにて、今回の書籍の刊行を記念し、石川直樹が今夏K2で撮影したデジタル写真に、『TOO MUCH Magazine』がデザインを加えたオリジナルビジュアルワーク(限定100)の販売と、ヒマラヤ遠征の際に、実際に使用した道具を展示するフェアを開催している。【書籍情報】『TOO MUCH Magazine Issue 7: The Himarayas Naoki Ishikawa』写真・日記:石川直樹発行:edition OK FRED言語:英語(日本語テキスト冊子付き)判型:ソフトカバー/182mm×257mm発刊:2015年12月価格:2,000円
2016年01月14日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『La collection gastronomique ラ・コレクション・ガストロノミーク』田中麻記子ファンタジーと現実の狭間にある世界を、シャープペンシルや鉛筆、水彩やパステル、版画などのあらゆる手法で描いている現代アーティストの田中麻記子は、現在フランス・パリを拠点に活動しており、本書が初の作品集となる。パリへ越して間もなく、街で見かける様々な表情の女性たちに触発され、日課として1日1枚、ポートレイトを描きはじめ、次第にそれらは 「顔」から身のまわりにある「オブジェ」へ、そして、陶器を描いた作品にスープが加わったことをきっかけに「食べ物」のシリーズへと変化した。異文化の入り交じるパリに暮らすからこそ出合う魅惑的な食材や料理。そこから溢れ出るイマジネーションで、今でも飽くことなく日々描き続けている。お皿の上で踊る女の子たち、表情豊かな多国籍の女性たち。そのどちらもが、気ままで美しく、おおらかに展開される愛らしい田中麻記子の作品世界を存分に愉しむことができる。なお、現在ナディッフ アパートのNADiff Window Galleryでは、田中麻記子の小さな作品展を開催中。同時に渋谷区西原のパールブックショップ&ギャラリーでは、「La collection gastronomique」、港区白金のレストラン・Coolie’s Creekでは「Meli-Melo」と題された作品展を開催している。なお、パールブックショップ&ギャラリーは、9日15時より作家・田中の在廊が予定されている。(その他在廊日はオフィシャルサイト:tanakamakiko.comにて随時更新)【書籍情報】『La collection gastronomique ラ・コレクション・ガストロノミーク』著者:田中麻記子言語:日本語、英語ソフトカバー/164ページ(カラー図版119点)/240x 182mm価格:2,200円【イベント情報】田中麻記子「La collection gastronomique」会場:NADiff Window Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T会期:15年12月24日~16年1月24日時間:12:00~20:00休業日:月曜日入場無料作品展「La collection gastronomique」会場:パールブックショップ&ギャラリー住所:東京都渋谷区西原2-26-5パールマンション1階(パドラーズコーヒー隣)会期:16年1月8日~24日時間:13:00~19:00休廊日:月、火、水曜日(祝日を除く)入場無料作品展「Meli-Melo」会場:Coolie’s Creek住所:東京都港区白金1-2-6会期:15年12月28日~16年2月13日時間:月~金11:00~15:30/18:00~23:00土 12:00~16:00/17:30~24:00祝 18:00~23:00休業日:日曜日※一軒家のレストラン+ギャラリー。ランチタイム内、作品のみの鑑賞可能で、ディナータイムはオーダーが必要
2016年01月07日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『Elephants,Whales&Kangaroos』トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer)フランス生まれ、各地を放浪したのちに、現在は主にアメリカを拠点として活躍しているデザイナー、イラストレーター、絵本作家のトミー・ウンゲラー。日本でも『すてきな三にんぐみ』や『キスなんてだいきらい』などの絵本は人気があり、彼の絵に記憶のある方は多いだろう。あるいは、情報過多の現代社会の中で半ば、機械化されてしまったセクシュアリティーを、シニカルな目線で描いたエロティックなイラストレーションをまとめた『フォーニコン』の印象が強い方もいるかもしれない。名誉あるアンデルセン賞を受賞した絵本作家でありながら、現代社会における人間の営みを風刺的に描いたようなイラストレーションを描き続けることも、自身の重要なテーマの一つだそうだ。本作は、彼がニューヨークで主に広告の仕事をしていた60年代に、スケッチブックにたくさん描いていた動物のイラストレーションの中から、「ゾウ」「クジラ」「カンガルー」を集め、それぞれを1冊にまとめたもの。人間の行動や性格を冷静に観察し、動物に置き換えたような、シニカルでありながらもユーモラスで温かみのあるイラストレーションは心を和ませるものがある。薄い3冊の作品集がスリップケースに収められているシンプルで美しい装丁で、ギフトにもおすすめ。【書籍情報】『Elephants,Whales&Kangaroos』著者:Tomi Ungerer出版社:Nieves言語:日本語3冊セット/スリップケース入り/195×260mm発刊:2015年価格:2,600円
2015年12月24日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『ラムからマトン』美術家・梅津庸一は、1982年山形県生まれ。絵画の制度的な側面や美大の受験教育の痕跡を辿る試みを模索しながら絵画制作を行っている他、私塾「パープルーム」を主宰し運営するなど、その活動は多岐にわたっており、ここ数年、存在感が非常に高まっている。そんな梅津自身の編著による初めてのモノグラフが本書『ラムからマトン』である。梅津庸一という美術家は一体どういった経歴を持ち、どんな絵画を制作し、どのような展示を発表してきたのか。多数の寄稿者によって多角(他覚)的に研究、分析された本書を読むと、その姿が立体的に浮かび上がってくる。なお現在、東京港区白金のギャラリー・ARATANIURANOと、渋谷区恵比寿のNADiff a/p/a/r/tとの2会場で梅津庸一の個展が開催されている。本書とともに、ぜひ展覧会もご覧頂きたい。書籍の表紙は4種類あり、自分の好みのカバーを選ぶことができる。【書籍情報】『ラムからマトン』編著:梅津庸一共著:荒木慎也、岸井大輔、坂本夏子、新藤 淳、筒井宏樹、原田裕規、星野 太デザイン:木村稔将出版社:ART DIVER言語:日本語上製本+スリーブケース/96ページ/190×140mm発刊:2015年11月下旬(※展覧会場先行発売)価格:税込2,160円【展覧会情報】梅津庸一個展「ラムからマトン」会場:NADiff Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:11月20日~2016年1月11日日時:12:00~20:00(※1月3日は18:00まで)休廊日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日※12月24日・25日、 12月28日~ 1月2日は休廊)入場料:無料協力:ARATANIURANO/ART DIVER
2015年11月26日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・銀座のNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『Le case 家たち』葵・フーバー・河野南スイスを拠点に活動しているアーティスト、葵・フーバー・河野による絵本。名前でお気付きかもしれないが、名取洋之助主宰の日本工房に参加していた日本におけるグラフィックデザイナーの草分けのひとりである河野鷹思を父に持ち、パートナーは20世紀のグラフィックデザインを牽引したデザイナーのひとり、マックス・フーバーである。本書のグラフィックデザインはマックス・フーバーが担当しており、夫婦の共作ともいえる1冊。オリジナル版は1964年に出版され、本書は復刻版として刊行された。「おしゃれの家」に「ぶどうの家」など、様々な“家たち”は、落ち着いた色合いの繊細な線で描かれ、伊・日のバイリンガルで語られる物語と呼応する。静謐な豊かさに満ち、寒い冬に温もりを与えてくれる。11月21日からNADiff du Champでは、葵フーバー特集を開催。本書をはじめ、陶器、バッグなど、クリスマスギフトにもおすすめな葵・フーバー・河野の作品を販売する。【書籍情報】『Sony World Photography Awards 2015』絵・文:葵・フーバー・河野発行:editions virgola言語:日本語、イタリア語判型:ソフトカバー/295mm×220mm/ミシン綴じ発刊:2015年10月価格:3,000円
2015年11月19日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書2』小柳帝映画、音楽、デザイン、アートなど幅広い分野に造詣の深いライター・編集者の小柳帝によって不定期に開催されていた映画講座が、『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書1』として昨年出版され、好評につき2号目となる本書が10月に刊行された。「ウェス・アンダーソン映画におけるフレンチ・タッチ」と題した巻頭特集では、アメリカ出身のウェス映画におけるフレンチ要素として、映画監督のジャック・タチ、歌手のフランソワーズ・アルディ、写真家のジャック=アンリ・ラルティーグ、ファッションデザイナーのオランピア ル タンなどが次々と繋がれてゆく。次章の「今観たいフランスの女優・男優」では、ボンドガールにも抜擢され12月より日本でも上映される『サンローラン』にも出演しているレア・セドゥをはじめ、フランソワ・オゾン監督作『彼は秘密の女友達』主演のアナイス・ドゥムースティエなど、今まさに旬な多くの俳優らが登場。ひとつの映画が、監督や俳優を通してまた別の映画へ繋がり、さらに、音楽、アート、文学、ファッションなどの多岐にわたるジャンルを横断していく面白さを体感できる本書は、コアな映画ファンにはもちろん、何を観ようかなと悩んだ時にもおすすめ。バッグにさっと忍ばせておきたい1冊である。【書籍情報】『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書2』著者:小柳帝出版社:woolen press言語:日本語B6/128mm×182mm発刊:2015年10月価格:815円
2015年11月05日表参道・GYRE3Fにあるニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップ「MoMA デザインストア」では、11月初旬から、クリスマスに向けた新作のホリデーカードを発売開始する。今年も新進気鋭のアーティストやデザイナーたちが参加し、ユニークで楽しく、そして美しいアーティなホリデーカードが揃っている。MoMAのホリデーカード・プログラムは、1954年にスタートして以来、60年もの間、年に一度の伝統行事として、各時代のさまざまなアーティストが参画してきた。中には誰もが一度は耳にしたことがある有名なアーティストたちも、その名を連ねているのだ。例えば、ロバート・インディアナ。彼の有名な作品の「LOVE」は、もともとMoMAのホリデーカードとしてデザインされたことでも知られている。そのほか、ジョセフ・コーネル、アンディー・ウォーホルなども無名時代にMoMAのホリデーカードをデザインしている。手にするだけでなんだかワクワクして、楽しい気持ちになるホリデーカード。クリスマスギフトに一言メッセージを添えてみたり、シーズナルグリーティングカードとして、遠く離れた友人たちへ贈ってみたり。「MoMA デザインストア」のアーティでユニークで美しい素敵なカードを、今年のクリスマスのために用意してみてはいかが?(text:Miwa Ogata)
2015年10月22日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■『過去に公開した日記を現在の注釈とする:天麩羅』丹羽良徳アーティストの丹羽良徳は、国内外の公共空間や政治的な場を舞台に、不可能性と交換を主軸とした行為を通して社会や歴史に介入する作品を制作している。彼の最新刊『過去に公開した日記を現在の注釈とする:天麩羅』は、08年から14年1月1日までに、インターネットのブログ上で散発的に公開していた日記約500日分に対して、15年夏に時を遡って新しい解釈や意図的に間違った注釈などを挿入し、日記そのものの真実性と信憑性を排除することによって、自己修正主義的な過去の解体を目指したもの。日記が書かれた過去とそれを振り返る現在の間に起こる丹羽自身の思考の揺らぎに、読んでいるものはぐっと引き込まれていく。“なぜ天麩羅か?”そのヒントは奥付にある。なお、本書とともに「歴史上歴史的に歴史的な共産主義の歴史」が同時刊行されており、現在、NADiff Galleryにおいて丹羽良徳の個展「解釈による犯行声明」を行っている。【書籍情報】『過去に公開した日記を現在の注釈とする:天麩羅』著者:丹羽良徳出版社:UMISHIBAURA言語:日本語コデックス装/本文2色刷り/324ページ/125mm×210mm発刊:2015年価格:2,200円【展覧会情報】「丹羽良徳個展『解釈による犯行声明』」会場:NADiff Gallery住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 地下1階会期:9月18日~11月1日時間:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)料金:無料
2015年10月08日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は7月31日に、東京・銀座に新規開店したばかりのNADiff du Champ(ナディッフ デュ シャン)です。■『Toilet Paper 2』イタリアのコンセプチュアルアーティスト、マウリツィオ・カテランと、フォトグラファーのピエールパオロ・フェラーリが2010年から発行しているアート雑誌『Toilet Paper Magazine』。ファッションブランド、ケンゾー(KENZO)や、エムエスジーエム(MSGM)のコラボレーションでも話題となった。本書は、そのバックナンバーのissue7から11までと、『NEWYORKER MAGAZINE』や、ケンゾーのために制作された作品などから厳選したイメージに、新たにテキストも加え再編集したスペシャルな1冊となっている。ニコライ・ゴーゴリの小説『鼻』や、かつての新聞記事、ウィキペディアから抜粋されたテキストは、彼らの手にかかれば言葉さえも鮮烈なイメージのように浮かび上がる。ユーモアと不条理、グロテスクなまでの色彩のイメージは、圧倒的なインパクトで見る側を刺激する。繰り返しページを開いて彼らの世界を覗き見たくなる、中毒性のある1冊だ。【書籍情報】『Toilet Paper 2』コンセプト&イメージ :マウリツィオ・カテラン、ピエールパオロ・フェラーリアートディレクション:ミコール・タルソ出版社:Damiani Editore判型:ハードカバー/232ページ/310×235×25mm発刊:2015年8月価格:税込1万2,820円
2015年10月01日