アン・ハサウェイが、舞台劇『Grounded』の映画版に主演することになった。プロデューサーも兼任する。その他の情報ハサウェイは、同作品のオフブロードウェイでの舞台版に主演している。舞台版の演出は、ジュリー・テイモア。舞台版はひとり芝居で、ハサウェイは批評家から絶賛を受けている。ハサウェイが演じる女性パイロットは、妊娠のため、ラスベガスでドローンを操縦する任務に回されたという設定。映画版の監督は明らかになっていない。ハサウェイの最近作『マイ・インターン』は、全世界でスマッシュヒットとなった。次回作は、今月末北米公開予定の『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』。文:猿渡由紀
2016年05月06日歌手のリリー・アレンが7年越しでストーカーに悩まされていたことを「The Observer」に語った。リリーに対する“強盗”と“迷惑行為”で有罪判決が下されているアダム・グレイは、中傷の手紙を送りつける、家のドアをバンバン叩く、果ては何日もリリーの家の庭に居座るといった迷惑行為を続けてきた。決定的な恐怖体験はある日の真夜中、リリーと子どもたちが寝ている家にアダムが侵入してきたことである。その日うっかり勝手口の鍵をかけ忘れて寝てしまったリリー。壁を叩く音で目が覚めた彼女が恐怖でベッドの上で固まっていると、ドアノブが回り男が入ってきた。思わず後ずさりするリリーを罵りながら詰め寄り、「俺の父親はどこだ」と叫んで布団をはがした。アダムはナイフらしきものをジャケットの中に持っていたとリリーは確信している。幸い寝室にはリリーだけでなく友人がおり、アダムを撃退したとのこと。こんな思いをしてもリリーは「彼に対する怒りはない。精神を病んでいるんだから」と言っており、むしろ怒りの矛先をこの事件への対応がひどすぎる警察に向け、痛烈に批判している。テレビ番組に出演してリリーへ謝罪の言葉を述べたアダムの母親によれば、アダムは2年前に妄想型統合失調症と診断を受けており、治療が必要な状態だという。彼は現在、最終的な判決を待っているところだ。(Hiromi Kaku)
2016年04月22日実写版のシンデレラ役などで知られる英女優のリリー・ジェームズがバーバリーのフレグランス「マイ・バーバリー」の広告塔に起用された。今夏のキャンペーンに登場することになったリリーは、このコラボについて「バーバリーのチームに正式に参加することになって興奮しています。英国人であることをとても誇りに思っていますから、これは大きな意味を持っています」と話す。リリーはソーシャルメディアでも、「マイ・バーバリーの新しい顔になったことを喜んで発表するわ。2016年8月にお披露目になるキャンペーンを楽しみにしていてね!」とこのニュースを発表した。リリーのキャンペーンは、ファッション写真家のマリオ・テスティーノが手掛ける広告ヴィジュアルのほかに、映像も公開されることになるという。ケイト・モスとカーラ・デルヴィーニュがモデルを務めてきた「マイ・バーバリー」の新キャンペーンの内容についてはあまり明かす気がない様子のリリーだが、「キャンペーンの一番最初の撮影はとても特別だったわ。あまり詳細を言いたくないけど、自分のまた違う面を見せられたのはとても楽しかったわ」と撮影の感想を語った。(C)BANG Media International
2016年04月21日日本国内興収115億円、観客動員数736万人突破した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でハン・ソロを演じたハリソン・フォードらメインキャストたちが、シリーズの重要なコンセプトに触れる特別映像が20日、公開された。映像内でキャリーは「確かに映画だけど、それ以上の意味がある」と話し、その理由として家族が『スター・ウォーズ』の物語を作り上げている点を挙げている。ハン・ソロ役のハリソン・フォードも「こうした(家族の)物語に人々が置く価値は深く、歴史のように伝わっていく」と誇らしげに口をそろえる。1作目として『スター・ウォーズエピソード4/新たなる希望』(78)が公開されて以来、シリーズは世界の多くの人々を魅了している。その理由は、キャリーやハリソンが語るように、同シリーズが"家族"というコンセプトを中心に描かれてきたからだ。"家族"の影響力は、一人の人物をダーク・サイドから善へと引き戻しもすれば、ある一人を怒りと失望の深みへと突き落としたりもする。本作プロデューサーのキャスリーン・ケネディは「私たち観客は主人公レイについてほとんど何も知りませんが、彼女は家族を捜しています。また、心に葛藤を抱くストームトルーパー、フィンと出会い、彼もまた家族を捜しているということを知ります。さらに、家族の絆を失っているハンとレイアも登場します」と説明し、「希望、喪失感、捨てられた気持ち、そして家族を必要とする気持ち、それらはすべて観客の心に響く意義深い価値あるものです」と、"家族"というコンセプトを受け継いでいると断言。J.J.エイブラムス監督もまた、劇中の核にあるのは、家族の物語だと示している。カイロ・レン役のアダム・ドライバーは、「これは家族の物語であり、友情や犠牲といった、いつまでも人々の心に残る本当に大きな人間的テーマが語られている」と続ける。その上で、「何よりも、そういういろいろな人間的な要素があるからこそ、人々はこの映画シリーズに深く共感しているんだよ」と分析した。なお、5月4日"MAY THE 4TH(スター・ウォーズの日)"に本作のMovieNEX(4,200円が発売。カイロ・レンのベーシック・フィギュアや「スター・ウォーズ SPECIAL GUIDE BOOK」などが同梱された数量限定のプレミアムBOX(9,800円)も発売される(価格はいずれも税別)。デジタル配信は4月27日より開始。(C)2016 & TM Lucusfilm Ltd. All Rights Reserved.
2016年04月21日アン・ハサウェイがなんと2週間も前の3月24日(現地時間)に第一子を出産していたことが分かった。アンの代理人が「E!News」に正式に認めた。「ジョナサン・ローズバンク・シュルマン」と名付けられた赤ちゃんはとても元気な男の子で、現在ロサンゼルスで家族や友人に囲まれて過ごしているそうだ。2008年から交際を始め、2012年9月にアダム・シュルマンと結婚したアンは、かねてより母親になりたいと強くアピールしていた。結婚して4年半、待望の我が子の誕生に夫婦そろって大興奮。夫のアダムは非常に協力的で、出産までの過程でアンとの絆がさらに深まったという。出産から2週間経ってやっと公になった大ニュースだったが、実は出産後6日目にアンはある記事の画像をインスタグラムに投稿していた。内容は、「ジョージア州知事がゲイ差別を正当化してしまう可能性のある『信教の自由』に拒否権を行使した」ことであり、同性愛の兄を持つアンにとっては「これで息がしやすくなった」とキャプションを付けるほどホッとするニュースだったらしい。この記事の画像が投稿されたコメント欄では、内容についての議論が活発にやり取りされていたが、「アン出産」が報道されるやいなや、ファンからの「おめでとう!」コメントで埋め尽くされている。(Hiromi Kaku)
2016年04月08日ハリソン・フォードが<a href="">『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』</a>で着用したジャケットをチャリティ・オークションに出品した。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で30年以上の時間を経てハン・ソロを再び演じたハリソンは、同作でハン・ソロが登場する最初のシーンで着ていたレザー・ジャケットを、てんかん治療研究の資金集めのチャリティ・オークションに出品した。チャリティはニューヨーク大学ランゴン・メディカルセンターと提携し、てんかん治療研究を支援する「FACES(Finding a Cure for Epilepsy and Seizures)」のためのもので、開始価格は1万8,000ドル(約203万円)から。ジャケットの左内側にはハリソンのサインと日付が入っている。ハリソンの26歳の娘・ジョージアさんもてんかんを患っている。ハリソンは「愛する人がこの病気で苦しんでいること、それはとてもつらいものです」と語っていた。(text:Yuki Tominaga)■関連作品:スター・ウォーズ/フォースの覚醒 2015年12月18日より全国にて公開(C) 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights
2016年03月30日俳優のハリソン・フォードが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のハン・ソロ役で着用したジャケットをチャリティオークションに出品している。ハリソンは同人気シリーズ最新作の登場シーンで着用していたというそのジャケットをニューヨーク大学ランゴーニ医療センターと「てんかんと脳卒中の治療を見つける(FACES)」の資金集めのために寄付しており、本人サイン付きのこのアイテムはオークションサイト「イフオンリー」で1万8,000ドル(約204万円)の掛け値からスタートしている。娘ジョージアがてんかん発作を患っていることを最近明かしたハリソンは、ニューヨークポスト紙のインタビューに対しジョーク交じりに、同医療センター内の総合てんかんセンターのオーリン・デヴィンスキー所長がこのジャケットをとても気に入っていることを明かし、「デヴィンスキー医師はこのジャケットがとてもほしかったみたいだよ。それにジャケットは彼にぴったりだったんだ」と話している。ハリソンは先日、ジョージアのてんかんについて明かした際、「愛する人がこの病気を抱えていると、計り知れないつらさにもなり得るよ。この病気が彼らの生活や将来、機会にどんな影響を及ぼすのかが分かっているから、病気の軽減の方法を何としてでも見つけたいと思うんだよ。彼らが心地よく効率的な生活を送るための方法を見つけたいってね」「僕は彼女の忍耐強さや才能、強さをとても尊敬しているんだ。彼女は僕のヒーローだよ。とても愛しているよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2016年03月30日『英国王のスピーチ』で作品賞、監督賞を含むアカデミー賞4部門を受賞し、『レ・ミゼラブル』では世界を涙で包んだトム・フーパー監督。新作『リリーのすべて』では、世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を題材にしている。トランスジェンダーという言葉はもちろん、その概念もない時代に、真の自分を追求した勇気ある女性の物語に、オスカー受賞監督が挑んだことが話題だが、彼を魅了したのは何だったのか。来日したフーパー監督と、『リリーのすべて』について語り合った。―素晴らしい物語ですが、映像もとても美しく、まるで動く絵画のようでもありました。「ありがとう。アーティストたちの映画だから、彼らが見たような世界を表現したいと思ったんだ。主人公のアイナー(のちにリリー)は、風景が持つ美とパワーをワイドショット、ワイドフレームで追求した風景画家だった。一方、妻のゲルダは、人の、特に女性の美しさをクローズアップで切り取ろうとしていた。だから、ワイドショットとクローズアップを組み合わせて、二人の創造性を象徴する映像にしたんだ。それに、絵画は静止画だから、ハンドカメラや動きのあるカメラワークはあまり使わず、固定カメラを使おうと思いついた。デンマーク人画家たち、特にヴィルヘルム・ハンマースホイにもインスパイアされた。白・黒・灰色を基調とした彼の作風は、アパート内部のセットをデザインする際にアイディアとして取り入れた。アイナーとゲルダの結婚生活は、順調ではあったけれど、何か違和感があるということを暗示するような、主人公たちの孤独感を表現するような雰囲気を出したかったから。何かが起こりそうなムードというものに気づいてもらうためにね」。―脚本を読んだとき、3回泣いたそうですね。「たぶん2回だったと思う。でも、PR担当が3回と公表しているね(笑)。それはともかく、まずは二人の愛の物語に打ちのめされたんだ。だから、この物語は観客に届くと感じた。結婚とは長期間にわたる人間関係の最たるもの。人間は変化する。その極端な例が、リリーへとトランジションしたアイナーだ。この変化に直面し、挑戦し、打ち勝つ愛や思いやりが二人の間には溢れている。それが美しいと感じたんだ。特に夫を失う立場にあるゲルダの愛は大きい。ゲルダは夫を愛しているけれど、リリーが彼女らしく生きるために何ができるかと考えサポートする。この物語は喪失と愛の物語なんだ」。―その一方で、ゲルダはリリーを描くことで、画家としての才能を花開かせ成功を手にしますね。「アーティストとしての野望と、女性としての喪失がないまぜになるという複雑な状況でもある。皮肉だよね。ゲルダの成功は、リリーにありのままに生きることを推奨したという現実の上に成り立っているんだ。女性としての幸せは妥協した形になった。この映画は、愛の力を映し出したものだけれど、もうひとつ、アートの力を浮かび上がらせたものでもあると思っている。偉大なアーティストとは、ありきたりではないということだ。夫の中に潜んでいた女性性を目の当たりにするうちに、アーティストとしてそこに惹かれていき、創作意欲をかきたてられる。リリーがゲルダのミューズになるんだ。そんな目を見張るようなアートの魅力、感受性を表現できるということも、この映画をとった理由のひとつだ」。―本作はひとりのトランスジェンダーの女性が自らのアイデンティティを追求するというのが大きなテーマのひとつになっています。リリーが生きたのは80年以上も昔のことですが、いまもデリケートなテーマであることには変わらないようですね。「確かにそうなんだ。この問題にまつわる進歩は、ほんの少しに過ぎない。実は2008年に映画を作ろうとしたとき、周囲からは“たぶんこのテーマでは映画会社や配給会社を見つけるのはとても難しいだろう、リスクが高すぎる”と言われたんだ。でも、『英国王のスピーチ』や『レ・ミゼラブル』の成功を経て、作りたい映画を撮れるようになった。作品ができると、次のリスクは、観客が劇場に足を運んでくれるかどうかだった。でも、杞憂だった。1月にUKで公開されたとき、『スターウォーズ/フォースの覚醒』に次いで2位を記録したんだ。観客たちが、先入観を持たずにこの物語を受け入れてくれ、リリーの旅路に寄り添ってくれたことをとても嬉しく思う。この作品はトランスジェンダーを描いた作品だけれど、一人の人間が本当の自分になろうと闘う物語だ。すべての人間が最高の自分、ありのままの自分になろうとして直面する課題を描いた万国共通のテーマを内包しているんだ。ところで、日本ではこういったテーマはどう受け止められるのだろう」。―日本は保守的でもありますが、歌舞伎のように、ジェンダーの壁を感じさせない伝統文化もあります。個人的な意見ではありますが、キリスト教文化が色濃い欧米諸国に比べて、日本は意外にオープンで、寛容なところがあるのかもしれません。「そうだね。ぜひ日本の観客にも受け入れて欲しいな。日本では過去の私の作品を愛してもらっていて、とても光栄に、そして幸運に感じているんだ。困難に直面した人が、それを乗り越えようとするという部分では、『リリーのすべて』も過去の作品と似た部分があるから、僕のことを信じて、リリーの旅に付き合ってもらえたら嬉しい」。―LGBTQ(※)を扱った作品には、社会から差別的な扱いや暴力を受ける描写が登場することも多いですが、本作にはとほんどそれがなく、同情ではなく共感によってリリーを深く知ることができますね。「リリーには良き理解者でオープンな心を持った友達、ハンスやウラがいた。当時としてはとてもリベラルな人々だ。ボヘミアンでアーティスティックで、彼らのコミュニティはとても先進的で寛容であり、偏見を持たない。リリーが本当の自分を追求できたのは、それもひとつの理由だったと思う」。※レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニングのコミュニティのこと。―この作品では悲劇に焦点をあてず、自分を発見する喜びによりフォーカスしているところが素晴らしいと思います。「そう言ってもらえて嬉しいよ。そう感じてもらえるのは、とても意味のあることなんだ。実は、多くのインスピレーションを貰ったトランスジェンダーの女性がいる。『マトリックス』シリーズの監督であるラナ・ウォシャウスキーだ(※)。彼女はリリーのことを知っていた。そしてこう言ったんだ。“この物語を悲劇として描かないで。それはとても重要なことなの”と。“性別適合のプロセスは痛みを伴う旅であると同時に、喜びであると、多くの人にこの映画を通して理解してもらいたいから”とね。だから、必ずそうすると約束したんだ」。※ラナは元ラリー、彼女の妹リリーは元アンディ。姉妹揃って男性から性別移行し、いまではウォシャウスキー姉妹として認知されている。―それは、リリーが見せる喜びに満ちた表情が多くとらえられていることからも、見て取れますね。「たとえば、リリーがまだアイナーだったとき、妻のゲルダから、約束の時間に遅れているモデルのかわりにストッキングをはき、ドレスをあててみてくれと頼まれたシーン。エディ・レッドメインには、ここでは不安と、喜び、痛み、希望のバランスを上手く取ってほしいと伝えた。自分の中の女性性に気づいてしまったとき、妻や友人や社会は何と言うだろうかという不安は抑えられない。でも、大いなる可能性へと導くドアがそこで開くんだ。自分でも気づいていなかった本当の自分を見つけたら、それをしっかり捕まえなくてはならない。だから、喜びも重要なんだ」。―監督自身、リリーのように、思いもよらなかった自分を発見したという経験は?「映画づくり、がそうかもしれないな。初めて映画制作に漕ぎ着けたときは、水を得た魚のような気分だった。12歳ですでに映画監督になりたかったけれど、誰もそんな子供に映画制作を依頼したりしない(笑)。だから、長年かけて夢を叶えた。そして、監督業に就いたとき、ついに家を見つけたという気持ちになったよ」。―監督の作品といえば、困難に挑む人々の姿が印象的ですね。「最高の、そして真の自分であることを何らかの障害によって阻まれながらも、そこに立ち向かう人々にどうしようもなく惹かれるんだ。すべて自分で解決できる問題ばかりじゃないけれど、無償の愛を捧げてくれる人々の力によって、それを乗り越えられる。『英国王のスピーチ』では王とスピーチセラピスト、『レ・ミゼラブル』ではジャン・ヴァルジャンと彼を赦した神父が良い例だ。ジャン・ヴァルジャンはコゼットとの出逢いで、二度目の変化を迎える。本作では、ゲルダのリリーへの愛が、変化を可能にする。私は何かを変化させる力を持つ愛に、心を奪われていると言えるね」。―エディのキャスティングにはどのような経緯があったのですか?「2008年、最初に脚本を読んだ時から彼が第一候補だった。すでに、TVドラマ『エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~』でキャスティングしていて、そのときの繊細さと強さを併せ持つ演技が言葉にならないくらい素晴らしかった。だから、また一緒に仕事をしたいと思っていたところで、『レ・ミゼラブル』を撮ることに。バリケードのシーンを撮っている合間に、エディに脚本を手渡したんだ。すぐに読んでくれて、この物語に恋に落ちてくれた。僕と同じようにね。彼とは信頼関係で結ばれている。とても幸運だ。最初に組んでから、もう10年になる。親友と一緒にキャリアを重ねられるのはとても特別なこと。互いに良く知っているからストレスがないし、正直になれるし、その上でプロとして仕事ができる関係だ。互いに尊敬しているし、互いのアイディアを楽しんでもいるよ」。―理想のパートナーシップですね。「面白いのは、私の映画の多くがコラボレーションに関係しているということだ。本作はアイナーとゲルダの協力関係が土台だ。映画もスタッフ、俳優たちとのコラボレーションの産物。きっと無意識のうちに、自分が経験している素晴らしいコラボレーションの世界を表現したいと思っているんだろうね」。(text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki)
2016年03月27日モデルや女優として活躍しているジョニー・デップの16歳になる娘、リリー・ローズ・デップに恋のうわさが流れている。ボーイフレンドと目されているのはモデルのアッシュ・スタイメスト。イギリス出身の24歳で、昨年10月から度々リリー・ローズと一緒にいるのを目撃されている。2人は今週初めにロサンゼルスからリリーの生まれ故郷であるフランス・パリに到着、22日(現地時間)に一緒に市内を歩いていた。カフェでのランチにはリリー・ローズの叔母のアリソン・パラディも合流。リリー・ローズもアッシュも2人の関係について何もコメントしていないが、すでに家族や親戚とも一緒に過ごせるくらいの親しい関係なのは確かだ。翌日、リリー・ローズは母親のヴァネッサ・パラディや前日も一緒だったアリソンと3人で、マレ地区でショッピングを楽しんでいた。(text:Yuki Tominaga)
2016年03月25日俳優のハリソン・フォードとスティーブン・スピルバーグ監督が、『インディ・ジョーンズ』第5弾で再びタッグを組むことになった。シリーズ前4作を生み出してきた2人が返り咲くことになった2019年7月19日公開予定のタイトル未定の第5作について、ウォルト・ディズニー・スタジオのアーロン・ホーン会長は「インディアナ・ジョーンズは映画界の歴史における最高ヒーローの一人です。2019年にスクリーンで再び彼を見ることを待ちきれません。監督、プロデューサー、俳優と役柄がこれほどまでに完璧なコンビネーションを持つ作品はなかなかありません。ハリソンとスティーブンとともに新しい冒険をスタートさせることをこれ以上ないほど楽しみにしています」とコメントしている。プロデューサー陣にはキャスリーン・ケネディとフランク・マーシャルが参加する。1981年作の第1弾『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を筆頭に、1984年作『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』、1989年作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』、2008年作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』と製作されてきた同シリーズでは、前作の第4弾でシャイア・ラブーフがインディアナの息子として登場していたが、新作にも出演するかどうかは今のところわかっていない。これまでにリリースされた4作品の世界興行収入は計約20億ドル(約2,272億円)にものぼる。今回第5弾の製作に乗り出したスピルバーグ監督は以前、クリス・パインがインディアナ役を引き継ぐのではないかと飛び交っていた噂とは裏腹に、インディアナの役はハリソン以外演じることはできないとし、「ハリソンのインディ役の代役なんて誰も考えられないよ。まあそんなことはまず起きないだろうね」「スパイダーマンやバットマンをいろんな役者たちが演じてきたようにインディをほかの俳優に演じさせるなんて間違いなく僕の意図ではないね」「インディアナ・ジョーンズを演じる唯一の俳優はハリソン・フォードだけなんだ」と語っていた。(C)BANG Media International
2016年03月17日18日(金)から公開になる映画『リリーのすべて』の特別映像が公開になった。トム・フーパー監督、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞を受賞したエディ・レッドメイン、本作でアカデミー助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルが作品の魅力についてじっくりと語っている。特別映像映像にまず登場するのは、1928年のデンマークで暮らす風景画家アイナーと肖像画家のゲルダの夫妻だ。ある日、アイナーは妻に女性モデルの代役を頼まれたことをきっかけに、自分の内側に潜む女性の存在に気づき、“リリー”という名の女性として過ごす時間が増えるが、しだいに心と身体の不一致に苦悩するようになる。本作はトランスジェンダーの先駆者のドラマを描きながら、その中心には“夫婦のドラマ”が据えられている。フーパー監督が「彼女の存在がリリーの変化を支えた」と語る通り、リリーの隣にはいつも妻ゲルダがいた。最初は“遊び”ではじめたことがきっかけで、アイナーはゲルダの予想外の変化を遂げる。映像にはその事態をうまく受け入れることができずに混乱するゲルダの姿が登場するが、やがて彼女はリリーこそが夫のあるべき姿であることを受け入れていく。本作は実話を基に大胆な設定のドラマを描くが、その根本にあるのは“愛する相手の変化を受け入れることができるか?”というテーマで、ヴィカンダーは「ふたりのラブストーリーだけど、究極的にはいかに自分を愛するかの物語」だと分析し、レッドメインは「本作は愛の深遠さを教えてくれる。真の愛を決めるのは、ジェンダーとの違いなどではない。人の魂なんだ」と語る。人間にとって“あるべき姿”とは? 人間はそれを見つけることができるのか? 愛する相手の変化を人はどこまで受け入れることができるのか? 特別映像では映画のダイジェストシーンを盛り込みながら、作品が投げかけるメッセージの一端を垣間見ることができる。『リリーのすべて』3月18日(金)全国公開
2016年03月11日俳優のハリソン・フォードが、娘ジョージアがてんかん発作を患っていることを明かした。ニューヨーク大学ランゴーニ医療センター主催の「てんかんと脳卒中の治療を見つける(FACES)」イベントに出席していたハリソンは、ニューヨーク・デイリー・ニュース紙に対し「僕は彼女の忍耐強さや才能、強さをとても尊敬しているんだ。彼女は僕のヒーローだよ。とても愛しているよ」と娘への思いを告白。「愛する人がこの病気を抱えていると、計り知れないつらさにもなり得るよ。この病気が彼らの生活や将来、機会にどんな影響を及ぼすのかが分かっているから、病気の軽減の方法を何としてでも見つけたいと思うんだよ」と打ち明けた。また、ハリソンは同イベントのスピーチの中で、初めて娘にてんかんの発作に襲われた時、急性偏頭痛であると診断されたことも明かした。さらに、「その数年後、彼女はまた大きな発作に直面しました。マリブのビーチにいた時で運よくハリウッドの監督が彼女のその状況に気づいてくれたのです。僕は自分自身にここはロサンゼルス、世界で最も素晴らしい医師団がいる街だ。彼らなら間違いなくどこが悪いのかわかるはずだと思ったんです。しかしこの時にもてんかんの症状であるとは診断されませんでした」と続けた。そして、ジョージアがロンドンに留学しているときに再びこの症状に見舞われ、ニューヨーク大学に助けを求めた際、ジョージアがてんかんを患っていることがわかったという。「親愛なる友人のオリン・デヴィンスキー医師が、ジョージアがてんかんであることを発見した方です。彼は彼女のために正しい治療とセラピーを施してくださいました。それから8年、ジョージアは一度も発作が起きていないのです」と医師に対する感謝の気持ちを伝えた。(C)BANG Media International
2016年03月10日ハリソン・フォードが元妻メリッサ・マシソンとの間に設けた長女ジョージアがてんかんと闘ってることを明かした。ハリソンはニューヨーク大学のランゴン・メディカルセンターで行われた「FACES」 のイベントに参加。「FACES」はてんかんや発作の治療法を見つけることを目的とした団体である。「NY Daily News」の取材にハリソンは「私は娘の忍耐力、才能、強さを尊敬しているんだ。私にとってのヒーローだね。本当に愛している」と語った。また、世話になっている医師やFACESに感謝の気持ちも述べた。イベントでジョージアがてんかんと診断されたきっかけをスピーチしたハリソンによると、初めての発作を起こしたのは幼少の頃、お泊り会のとき。誰もてんかんの発作だとは思わず、ジョージアは「急性片頭痛」用の薬を飲まされてしまった。2回目の発作はその数年後、マリブのビーチで起きたが、ハリウッドの監督がジョージアを見つけてくれたおかげで事なきを得た。世界屈指の医師がいるロサンゼルスに住んでいても、ジョージアがてんかんであることを誰も診断できなかったという。そしてロンドンに留学中、再び発作が起きてしまった。ニューヨーク大学を頼ったところ、医師オーリン・デヴィンスキーによってやっと「てんかん」の診断が下され、ジョージアは適切な薬を飲み始めることに。そのおかげで現在26歳のジョージアは、「この8年間一度も発作を起こしたことがない」とハリソンは涙ながらに語った。(Hiromi Kaku)
2016年03月09日アリシア・ヴィキャンデルが、先日の第88回アカデミー賞にて初ノミネートにして「助演女優賞」に輝いた『リリーのすべて』。このほど、主演のエディ・レッドメインとともに近日来日するトム・フーパー監督が本作に惹かれた理由や、こだわりの撮影手法などについて明かす特別映像が解禁となった。本作は、1930年代、恐らく“トランスジェンダー”という言葉もなかった時代に、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人女性、リリー・エルベの実話に基づく勇気と愛の物語。メガホンをとったフーパー監督といえば、『英国王のスピーチ』でアカデミー賞「作品賞」「監督賞」など4冠に輝き、『レ・ミゼラブル』では「作品賞」を含む8部門にノミネート、「助演女優賞」ほか3部門を受賞した。本作ではアリシアの受賞ほか、エディが2年連続で「主演男優賞」、さらに「美術賞」「衣装デザイン賞」にもノミネートされていた。届いた映像では、本作の製作を担当したアン・ハリソンが、「トム(・フーパー監督)はこれが愛の物語であることを即座に理解してくれた。ジェンダーを超えた愛の物語だと」と話し、監督が脚本を読んで3度も泣いた理由が明らかにされている。また、リリーとゲルダを支えるハンス役のマティアス・スーナールツは、「映画づくりを愛するがゆえ、トムは撮影のすべてに情熱を傾けていた」と話し、リリー役のエディは「トムはあらゆることに精通していて、理にかなったやり方を撮影の際に求めた。でも演じる際の感覚も大切にしている」と監督の撮影に対する姿勢を絶賛。ゲルダ役のアリシアは、登場人物の絵画的配置やライティング、対照的な構図について、「トムは登場人物の感情をデリケートに、そして繊細に描いた」と語っている。さらに、全編を通じて絵画のように美しく表現されている理由を、「アイナーとゲルダは美を基準に世界を見ていた。アイナーは風景に魅かれ、ゲルダは女性の美しさをカンバスに表現した。だから私も映像美にこだわった」と語るフーパー監督。「デンマーク人の画家、ハンマース・ホイを基に彼の絵に描かれた住居を再現した」と言い、「撮影監督のダニーに無理を頼んでハンマース・ホイの絵のような柔らかな光を映像化したんだ」と、美しく独特のもの悲しさを放つ映像の秘密を明かした。「1920年代のこの物語には献身的な愛があり、その愛が人々の感動を呼ぶんだ」と語る監督。その思いは、アートの街・コペンハーゲンを静止画のようにとらえた静ひつで美しい映像作りにも込められている。『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月07日第88回アカデミー賞の授賞式が29日(現地時間28日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『リリーのすべて』のアリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞に輝いた。本作は、世界初の性別適合手術で女性になった実在の画家アイナー・ベイナーとその妻の愛を描いたラブストーリー。アリシア・ヴィキャンデルは、エディ・レッドメイン演じるアイナー・ベイナーに献身的な愛をそそぎ支える妻ゲルダを演じた。初のオスカーを手にしたアリシアは「認めていただき本当にありがとうございます」と感激。「すばらしいキャストの方々と共有したいと思います」と喜びを爆発させた。そして、主演のエディを見つけて「そこにいるのね」と話しかけ、「本当にありがとう。あなたがいなければこんなことはできませんでした」と感謝の気持ちを伝えた。助演女優賞はそのほか、『キャロル』のルーニー・マーラ、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のレイチェル・マクアダムス、『ヘイトフル・エイト』のジェニファー・ジェイソン・リー、『スティーブ・ジョブズ』のケイト・ウィンスレットがノミネートされていた。WOWOWでは、2月29日21時から同授賞式の字幕版を放送。3月5日にはダイジェスト版も放送する。(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
2016年02月29日映画『シェル・コレクター』の初日舞台挨拶が2月27日(土)、東京・テアトル新宿にて行われ、主演のリリー・フランキーのほか、寺島しのぶ、池松壮亮、橋本愛、坪田義史監督らが出席した。本作は、ピューリッツァー賞受賞作家アンソニー・ドーアの同名小説を原作に、坪田監督が舞台を日本に置き換え映画化。沖縄の離島で厭世的生活を送る盲目の貝類学者をリリーさんが演じた。「上映後なんですね。どうりでお客様がポカーンとしているわけですね」と、リリーさんが会場を見渡すと、「タイムラグがある作品だと思うので、狙い通りです」と監督は余裕の発言。リリーさんはこの日集まった観客に「企画の段階で映画化はないだろうなと思って、撮影が終わった段階で上映はないだろうなと思ったら上映されて、まさかの満席で、ありがとうございます。幅広くというよりも、ひとりに何度もっていう映画だと思います」と挨拶。共演者の方たちも、「ぶっとんだ台本と、ぶっとんだ監督と、ぶっとんだ共演者に囲まれて、ぶっとんだ作品になっています。子どもが生まれてもこういう役が来るんだと思って嬉しかったです。見終わってモヤモヤする感じが気に入っています」(寺島さん)、「出ていなくても観ただろうな、と思うくらい気に入っている映画です。久しぶりに圧倒された日本映画でした」(池松さん)、「これだけ前衛的で実験的な映画に関わることができて幸せです」(橋本さん)とそれぞれ挨拶をした。カットされているシーンも多くあるそうで、「私の超人的なシーンもあったんですけど、カットされました」と橋本さんが話すと、リリーさんは「どうせデタラメなら全部入れちゃえばよかったのに、愛ちゃんの撮影では腹がちぎれるぐらい笑いましたからね。寺島さんのカットされてしまった官能的なシーンは後からみなさんに僕が現像して渡しますよ」と茶化してみせた。第45回ロッテルダム国際映画祭では正式出品されたものの、惜しくも受賞できず「久しぶりに号泣している大人をみた」と悔し涙を流す監督の姿や、「監督があまりにキラキラした表情で撮影をするので、監督の言うことは聞こうねと四人で何度も話し合っていた」と明かすなど、監督と出演者が深い信頼で結ばれた様子も紹介。リリーさんの機転の利いた対応で、誰かが発言するたびに笑いが起こるほど、すっかり会場は和やかな雰囲気になっていた。最後に、「暗闇の中に一筋の光を追い求めながら進んでいくような感覚的な映画なんですけど、感覚を触発できたらと思って作りました」(坪田監督)、「元気な友達に勧められるような映画ではないかもしれませんが、心が弱っている友達がいたら是非勧めてあげてください。目を閉じて感覚を感じてもらえる映画になったと思います」(リリーさん)とそれぞれ真剣な表情を見せた。『シェル・コレクター』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年02月27日『リリーのすべて』の演技により、2月21日に行われたアカデミー賞直前の映画賞、第20回サテライト賞(Satellite Awards)において「助演女優賞」を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。彼女はすでに全米映画俳優組合(SAG)賞、放送映画批評家協会賞(BFCA)などで多くの「助演女優賞」を手にしており、ゴールデン・グローブ賞では本作と『Ex Machina』(原題)で「主演女優(ドラマ部門)/助演女優賞」にそれぞれノミネート。本作で、エディ・レッドメン演じる“リリー”と魂同士で結びついた愛の強さを鮮やかに表現する彼女の演技は世界中で高く評価され、日本でも注目度急上昇中だ。このほど、そんなアリシアの魅力に迫った特別映像がシネマカフェに到着した。若きオスカー俳優エディが、いまから80年以上も前、“本当の自分”に気づき、勇気を持って生きることを選んだデンマーク人女性を演じる『リリーのすべて』。本作で、エディに負けない存在感を発揮しているのがアリシアだ。日本時間2月29日(月)に発表となる第88回アカデミー賞では、エディが「主演男優賞」に、アリシアが「助演女優賞」にそろってノミネートされており、最有力候補として期待を集めている。スウェーデン出身のアリシアは、キーラ・ナイトレイの義妹を演じた『アンナ・カレーニナ』やマッツ・ミケルセン共演の『ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮』で鮮烈な印象を放ち注目を浴びると、『コードネーム U.N.C.L.E.』のヒロインに抜擢され、本年度賞レースを席巻している『Ex Machina』では美しい人工知能ロボットを好演。今後も、マット・デイモン主演のシリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』(原題)のヒロインを務めるなど話題作が控えている。今回届いた本作の映像では、愛する夫が夫でなくなると分かってもなお、“リリー”という女性として新たな人生を送ることを同じように望む妻ゲルダ役についてフィーチャー。アリシアは、「自分の内面は女性だと信じている」と医師に打ち明ける夫の手を握り、「私もそう思う」とすかさず答え、一番の理解者であり続けたゲルダを熱演する。「愛する人を手放す勇気に胸を打たれた。ゲルダは最愛の人にすべてを与え、その人が自由に飛び立つままにするの」と語り、「ゲルダという女性を理解し、デリケートに繊細に演じたわ」と役作りについて明かす。また、フーパー監督は彼女の演技について、「本作を描いたのは変化を恐れない無条件な愛、アリシアが力強く表現してくれた。エディと渡り合える女優は少ないが、アリシアが居てくれて幸運だった。この役を演じられる女優はなかなかいない」と大絶賛。そして、リリーを演じたエディも、「彼女は感情を深く表現することができて、僕にも大いに刺激になった」と、この共演を通じて自らも影響を受けたことを打ち明ける。「アリシアがすごいのは、理詰めで演じる面と本能的に演じる面の両方を持っている点だ」。本映像の後半で明らかになるのは、これまで誰も成功したことのない、未知の手術を受けに旅立つ夫と、それを見送るゲルダの感動的な場面。ゲルダの伸ばした手はどこか遠いところへ行ってしまう夫を愛おしむ一方、夫を永遠に失う寂しさを押し隠す心情が描かれている。愛する人が不安や苦痛を感じているからこそ、自身も何かすべきだと気づいているゲルダ。そんな難しい役どころを体現したアリシアの力強い演技と、繊細な表情の移ろいにぜひ注目してみて。『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月24日リリー・フランキーが主演を務め、寺島しのぶ、池松壮亮、そして橋本愛という映画ファンが気になるメンバーが顔をそろえた『シェル・コレクター』が完成。盲目の貝類学者を演じたリリーと、物語のキーパーソンに扮した橋本愛を直撃。ともに「こうした映画は必要」と語る不可思議な雰囲気を湛えた本編を振り返った。その他の写真「ま、これは実現しないパターンの企画が来たなと思って、実現しなそうな枠フォルダに入れておきました」と、最初に企画が来た段階での印象を笑いながら語るリリー。ピュリッツァー賞作家の外国小説を、舞台を日本に置き換え、『美代子阿佐ヶ谷気分』で海外からも一躍注目を浴びた坪田義史監督がオリジナリティを加え映画化した本作では、沖縄の離島で孤独に過ごす盲目の貝類学者が奇病を治したことから、身辺にさざ波が立つ。リリーが続ける。「これだけ特殊な企画が通るのかなと。でも、物語とかリアルとか、泣けるとか笑えるとかではなく、映画っていう芸術のなかの何かが身体に入ってくるような、こういう映画はなきゃいけない。それにこうしたカルト的な映画の主演依頼が来て、俺が断ってどうするんだという思いもありました。メインキャスト4人ともサブカル臭がありますよね(笑)」橋本は安心して参加したと述懐。「私がお話しをいただいたときには、リリーさんたちがすでに決まっていました。信頼感抜群の布陣だなと感じましたね。ただ原作では私が演じた嶌子(しまこ)にあたる人物の心情の描写もあったのですが、脚本にはそういった人間的な描写はなく、監督からは希望の光に導く役割だとお話しいただきました。形而上的なセリフが多かったので、私としては成立させるのに必死でしたね」一方、リリーは自身の役柄についてこう分析する。「『孤独とは親密なものだよ』とか、普通に聞いたら何事ですか?みたいなことを言う人物なんですが、でもこの人の存在自体はそんなに珍しくはないという認識でやってました。現実逃避して、ひとり趣味に埋没しながらも、結局ひとりになれない。現代人の典型的な悩みを抱えている人だと」。そのうえで、やはり特異に仕上がった本作を「監督の妄想に付き合った映画」との言い回しで賞し、「比類なきというか、観たこともない映画を作りたいというところから監督は始めているので、観終わってみんながポカンとするのは、成功なんだと思います(笑)」と締めた。橋本も「監督には人を巻き込む力があるんだと思いました。本当に純粋で、撮影中は少年のようでした」と破顔し、先のリリーの思いに同調した。「こういう作品がなくなっていくと、均されてしまうというか、怖いことだと思います。それに、やっぱり文化に触れるというのは豊かなことなんだと思います」『シェル・コレクター』2月27日(土) テアトル新宿、桜坂劇場ほか全国ロードショー取材・文・写真:望月ふみ
2016年02月24日岡村俊一演出による、つかこうへい七回忌特別公演「引退屋リリー」が、2月18日に紀伊國屋ホールにて開幕した。「引退屋リリー」は、故・つかこうへいの手により何度も改訂を加えながらも一度も正式に上演されることのなかった作品。七回忌を期に、つかのプロデューサーだった岡村が演出を務め、当時の文献や聞き書きされた構想を重ね合わせて未発表新作として上演に至った。当時、構想3年かけて練り上げるも「やれるヤツがいない」という理由で中止したというこの作品。主演の二階堂刑事は“つかこうへい最後の愛弟子”と言われる馬場徹が務める。ヒロイン・リリーはアメリカの人気テレビドラマに出演中の祐真キキ。ほか、宮崎秋人や町田慎吾、鈴木裕樹ら実力派若手キャストが中心となり、吉田智則、山崎銀之丞が舞台を引き締める。自殺の名所といわれる「犬島」の秘密をさぐる刑事(馬場)と、その犬島に父と渡り自分だけ生きて戻った娘(祐真)、ポルノばかり撮っている映画監督(山崎)の出会いから物語は始まる。マッカーサーの手記をもとに捜査を進めようとする刑事に、「あの女で映画を撮りたい」とフィルムを回す監督。“父を殺したかもしれない娘”と“この映画で女優を引退するリリー”。両方の物語が絡み合いどれが現実でどれが撮影シーンなのかわからなくなる中で、ヒロインの幼馴染(宮崎)、撮影を邪魔するやくざ(鈴木)、ある使命を抱えた島守人(町田)、娘思いの防衛庁長官(吉田)らにより真実の断片が埋められていく――。激しいアクションやダンス、大胆な時事ネタ、印象的なセリフなど見どころは数えきれず、そこにはつかの想い、そしてつかへの想いを感じる。ゲネプロ後の囲み取材では、主演の馬場が「つかさんとの出会いで僕の人生を変えていただいたので、少ないかもしれないですけど恩返しでもできたら。天国にいるつかさんに『おまえよくやったぞ』と一言でももらえるような作品に仕上げて、この『引退屋リリー』という戯曲がこれから先また10年20年いろんな人につながっていくのが一番かなって思います」、山崎が「今回、僕と吉田智則はあくまでもサポートメンバーと言いますか。若い人たちが今つか芝居をやるとこうなるんだっていうことを少しでもバックアップできればいいなという風に思っています」と想いを語った。つかこうへい七回忌特別公演「引退屋リリー」は、3月7日(月)まで、東京・紀伊國屋ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2016年02月19日リリー・フランキーが15年ぶりの単独主演で、盲目の貝類学者役を演じる『シェル・コレクター』。この度、公開を間近に控えた本作から、リリーさんが決死の覚悟で挑んだ水中シーンの映像がシネマカフェに到着した。貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の学者(リリー・フランキー)は妻子と離れ、沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。しかし、島に流れ着いた女・いづみ(寺島しのぶ)の奇病を偶然にも貝の毒で治したために、それを知った人々が貝による奇跡的な治療を求めて次々と島に押し寄せるようになる。その中には息子・光(池松壮亮)や、同じく奇病を患う娘・嶌子(橋本愛)を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった…。ピューリッツァー賞受賞作家アンソニー・ドーアの同名小説を原作に、ニューヨークでも活躍してきた坪田監督が、「自然と人間が対峙するような場所」として監督が当初から思い描いた舞台を沖縄に置き換え、オール沖縄ロケで撮影された本作。また、映画撮影は本作が初となる渡嘉敷島では、主人公が生活を送る場所として撮影。そして橋本さん演じる嶌子が暮らす家は、沖縄本島の民家では初めて国の重要文化財に指定された民家・中村家住宅を使用するなど、背景にも沖縄を存分感じられる作品となっている。今回解禁された映像は、リリーさんが実際に水中に潜って撮影を行った本作一番の見所ともいえるシーン。「生物には、自分が生きるために最適な場所がある」というリリーさんのナレーションと共に、水中でのリリーさんが映し出される。海中の美しいサンゴや魚たちが登場し、沖縄の海ならではの美しさが感じられる映像となっている。海は、慶良間諸島「ケラマブルー」の名を持つ世界的にも知られた海で撮影され、解像度の高い4Kカメラを駆使し、ほぼ撮り下ろしで撮影されている。決死の覚悟で挑んだという水中シーン。そんなシーンについてリリーさんは「『海猿』にでるつもりは全くなかったんだけど、もういつでも『海猿』に出れる準備はできたよね(笑)。でも『海猿』なんて甘いでしょ。向こうはボンベもメガネもつけてるんだから。こっちはガチで潜って、無呼吸なんだから、決死の覚悟だよね」と大変だったことを明かし、また「椅子に座ってあっちむいてこっちむいて、終わったら5時間目のプールが終わった感じになってしまう。あそこで相当息とめて何回もやったんで、その後のセリフが朦朧とする。本当にいい経験でしたね。とても不思議な気持ち。日本にいるのか海外にいるのかの境目みたいな。これからの人生を考えてしまいますね」と貴重な体験でもあったと語る。また同じく緊張したシーンだったという監督も「この映画は、人が自然と対峙する野外でのシーンが多数あって、リリーさん演じる学者が海底に佇むシーンの撮影は、渡嘉敷島からボートで沖に出て、実際にリリーさんに水中に潜って頂いて撮影をしたので、現場でのリリーさんの身体を張った生身のアクションに気迫を感じて、船酔いの中で大変緊張したこととあわせて、とても印象に残っています」と監督にとっても重要なシーンだったと語っている。海の中で何を思い、何を感じているのか。その答えはぜひスクリーンで水中の映像美と共に確認してみて。『シェル・コレクター』は2月27日(土)よりテアトル新宿、桜坂劇場(沖縄)ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2016年02月16日『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』撮影中にハリソン・フォードが骨折した事故を巡り、同作品の制作会社が訴えられている。同作でハン・ソロ役を演じたハリソンは、2014年6月にパインウッド・スタジオで撮影が行われていた際、宇宙船ミレニアム・ファルコンに乗り込むシーンで鉄のドアに足を挟まれ、足を骨折。この事故に関し、制作に関わっていた英フードルズ・プロダクションが、5月12日に行われる裁判で4つの罪に問われることになるようだ。英安全衛生庁の広報担当者は「安全衛生庁は労働安全衛生法における4つの違反で起訴することをフードルズ・プロダクションに伝えました」「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』撮影中にハリソン・フォードが油圧式のドアにはさまれ、重傷を負った事故に伴うものです」「法的に雇用者は労働者を保護するべきであり、それは工場だとしても映画のセットだとしても同じです」「われわれは慎重な調査を行い、裁判所に提出するような十分な証拠をそろえたと考えています」と語っている。(C)BANG Media International
2016年02月13日この記事の前編はこちら:「新たなアリアドネーの糸、欧州の次世代ロケット「アリアン6」の設計固まる - 紆余曲折を経て決まったアリアン6」アリアン6は、第1段と第2段に液体酸素と液体水素を使う液体ロケット、補助ブースターに固体ロケットを使う構成自体は、アリアン5を踏襲している。また第1段エンジンはアリアン5にも使われている「ヴァルカン2」というエンジンを改良したものが用いられる。一方、第2段には、より高性能な「ヴィンチ」というエンジンが使われる。ヴィンチは2000年代から開発が進められていたエンジンで、当初はアリアン5の改良型に搭載される計画だったが、予算などの都合で頓挫。アリアン6でようやく日の目を見ることになった。ヴィンチの最大の特長はエンジンの再着火ができることで、これにより衛星をより正確な軌道に投入したり、あるいは複数の衛星をそれぞれ異なる軌道に投入することが可能になる。固体ロケット・ブースターには、P120Cという新しいモーターが使われる。これはイタリア主導で開発され、アリアンスペースが運用する小型の固体ロケット「ヴェガ」の第1段モーターを改良したもので、また現在、同じP120Cを第1段に使う「ヴェガC」という改良型ロケットの開発も進められている。つまり、第1段は既存のエンジンの改良、第2段は2000年代から長年開発が続けられていたエンジン、固体ブースターも他のロケットの改良で、共用もされるという、あまり新しい開発要素のない、堅実な設計を採用している。一方、アリアン5と大きく変わっているのは、ブースターの装着基数を2基と4基で選ぶことができ、より柔軟な打ち上げが可能になっている点である。ブースター2基の構成は「A62」と呼ばれ、静止衛星を打ち上げる際に投入される静止トランスファー軌道という軌道に、最大5トンほどの打ち上げ能力をもつ。ブースター4基の構成は「A64」と呼ばれ、こちらはアリアン5と同じ、静止トランスファー軌道に10.5トンの打ち上げ能力をもつことが計画されている。アリアン5はその大きな打ち上げ能力を活かして、1機のロケットで静止衛星を2機同時に打ち上げるという芸当を強みとしていた。アリアン6がかつてトリプル・セヴンと呼ばれていたころには、この2機同時打ち上げを止め、ロケット1機あたりの価格を安くすることで他国のロケットと勝負するという方向が検討されていたが、最終的には続ける方針で固まった。ただ、2機同時打ち上げを行うためには、当然2機の衛星が揃わなければならず、顧客の好きなときに衛星を打ち上げられなかったり、同乗相手の衛星の製造が遅れた際に、自分の衛星の打ち上げも延期となったりするなどの短所もあった。そこで衛星が1機のみ打ち上げることに特化したA62が用意されることになった。たとえば打ち上げまでの時間を最優先にする顧客や、また軍事衛星などを迅速に打ち上げたい欧州各国の政府からの打ち上げ需要が期待されている。またA62は、ESAの地球観測衛星や、欧州各国の偵察衛星、欧州版GPSこと「ガリレオ」衛星など、低軌道、中軌道に向けた衛星の打ち上げにも使われることになっている。これらの衛星は従来、ロシアから輸入した「サユース」ロケットを使って打ち上げられていたが、安全保障にもかかわる衛星の打ち上げを他国のロケットに委ねることに、かねてより批判が出ており、アリアン6で改められることになったようである。ただ、今後の欧州によるサユースの運用をどうするかについて、まだ明確なスケジュールは発表されておらず、サユースの使用を止めるのか、アリアン6と並行して運用が続けられるのか、それはいつまでなのか、といった具体的なことはまだ不明である。○価格はアリアン5の半額、再使用も視野アリアン6の打ち上げコスト、価格について、明確な数字は出されていないが、アリアン5の半額になると表明されている。アリアン5の価格も公表されていないので推測にはなるが、A62は7500万ユーロ(現在の為替レートで約97億円)、A64は9000万ユーロ(約117億円)ほどになるとされる。A64は衛星の2機同時打ち上げが可能なので、発注側はこの価格を、衛星質量の割合に応じて出し合うすることになる。ちなみに、現在のファルコン9の価格は公称で6120万ドル(約71億円)であり、A64の2機同時打ち上げであれば十分に戦える数字ではある。もっとも、ファルコン9は現在、打ち上げコストの大幅な削減を目指し、ロケットの機体を再使用する構想をもっている。スペースXは最終的に、現在の100分の1まで安くすると豪語しているが、たとえ2分の1や3分の1程度になったとしても、アリアン6はとたんに戦えなくなる。ただ、フランス国立宇宙研究センター(CNES)やエアバスでも、「アデライン」(Adeline)と呼ばれるロケットの再使用に向けた研究は進められている。アデラインは、第1段機体すべてを回収、再使用するファルコン9とは違い、第1段ロケットエンジンのみを回収して再使用するという計画である。今のところはまだ、アリアン6に実際に採用されるという話はないが、いずれ具体的になる可能性はある。○迷宮入り口での駆け引き現在、新しいロケットを開発しているのは欧州だけではない。2020年代に向けて、世界各国で新型ロケットの開発ラッシュが起きている。米国ではスペースXがファルコン9の改良型「ファルコン9 v1.1 フル・スラスト」を完成させ、さらに強力な打ち上げ能力をもつファルコン・ヘヴィの開発も行われている。同社がロケットの再使用による低コスト化に成功すれば、市場の勢力図は大きく塗り変わるだろう。また、スペースXに似た宇宙ヴェンチャーのブルー・オリジンも再使用可能な大型ロケットの開発に着手しており、2019年ごろの初打ち上げを目指すとしている。また、アトラスVやデルタIVロケットを運用するユナイテッド・ローンチ・アライアンスでは「ヴァルカン」ロケットの開発を進めており、こちらもエンジンの再使用による打ち上げコストの低減を視野に入れている。ロシアは近年ロケットの失敗が頻発しているが、新型の小型、中型、大型「アンガラー」ロケットを開発し、商業打ち上げ市場に投入しつつある。中国も新型の大型ロケット「長征五号」、小型ロケット「六号」、中型ロケット「七号」を開発しており、このうち六号はすでに打ち上げられ、五号、七号も今年中に初打ち上げが行われる予定だ。インドも大型ロケット「GSLV Mk-III」の開発を進めており、数年のうちに実運用に入る予定となっている。そして日本では、H-IIAロケットの後継機となる「H3」の開発が進んでいる。H3もまた、コストを現行機の半額にすることを目指しており、初飛行も2020年と同じで、アリアン6と直接競合することになる。こうした世界各国の次世代ロケットがひしめく中で、アリアン6によって今のシェアを維持できるのか、そもそも生き残れるのかはまだ未知数である。しかし、現行の半額というコスト目標や今後のトレンドを見越した打ち上げ能力の設定、そして開発体制の変化は、打てるだけの手が打たれた結果といえよう。果たしてアリアン6は新しいアリアドネーの糸になれるのか。一方、ファルコン9やH3など他のロケットは、その糸を食い千切られるほどのミーノータウロス役になれるのか。クレーテー島から宇宙開発の世界へと舞台を移し、新しい物語が始まろうとしている。参考・Ariane 6 / Launch vehicles / Launchers / Our Activities / ESA・Airbus Safran Launchers・Ariane 6・Ariane 6, un chantier européen pour rester dans la course spatiale・Airbus Defence and Space’s solution to reuse space Launchers
2016年02月12日欧州が開発を進める次世代ロケット「アリアン6」。検討中の紆余曲折を経て、今年1月に設計が完了し、いよいよ開発が本格化する。アリアン・ロケットを運用するアリアンスペースは現在、世界の商業衛星打ち上げ市場において約半分のシェアを握っているが、米国スペースXの「ファルコン9」ロケットが、その安さを武器に、徐々にシェアを広げつつある。また世界各国でも、今後数年のうちに続々と新型ロケットが登場し、アリアン6は生まれる前から大きな課題を背負わされている。果たしてアリアン6は、この難題を解決できる「アリアドネーの糸」となれるのだろうか。○アリアドネーの糸、みたびギリシア神話によると、地中海に浮かぶクレーテー島にはかつて、ミーノータウロスという怪物が棲んでいた。この怪物に脅かされていたアテーナイ国のテーセウス王はこの怪物を倒すことを決意し、いざクレーテー島に乗り込む。しかしミーノータウロスは脱出不可能な迷宮の中におり、テーセウスが生きて帰れる保証はなかった。そこに、テーセウスに惚れた、クレーテー島の王の娘アリアドネーが現れ、彼に糸を手渡す。迷宮の入り口に糸をくくりつけて垂らしながら進み、帰りはその糸を辿ることで、迷わずに帰ってこられるのではないかという機転のきいたアイデアだった。そしてテーセウスは見事ミーノータウロスを倒し、無事に迷宮から抜け出すことに成功したのだった。――この「アリアドネーの糸」の伝説や言葉は、混迷から抜け出したり、難問を解決したりするため鍵という意味で、さまざまなところで使われている。それは宇宙開発も例外ではない。1960年代、英国やフランス、西ドイツなどの欧州各国は、お互いに協力して大型ロケットを開発するという計画を立ち上げたが、足並みがそろわず、一切の成果を残せないまま失敗に終わる。しかしフランスは諦めず、仕切りなおしの計画として「アリアン」ロケットの開発計画を立ち上げる。アリアンとはアリアドネーのフランス語表記「Ariane」(アリアーヌ)を英語読みしたものである。ロケットなどの乗り物に神話に由来する名前を付けることは欧米ではある種の慣例であり、また「アリアーヌ」自体、フランスでは人名としてごく普通に使われるものではあったが、その背景には、欧州共同でのロケット開発の失敗という苦い経験から抜け出したいという意図があったといわれている。このアリアン・ロケットの開発は成功し、1979年に「アリアン1」が誕生した。翌1980年にはアリアンを運用するための「アリアンスペース」という会社が設立され、それまで米国が幅を利かせていた人工衛星の商業打ち上げ市場に参入した。ロケットも「アリアン2」、「アリアン3」と改良が重ねられ、1988年から「アリアン4」が登場。アリアン4は性能、成功率ともに申し分ない傑作機で、アリアン・ロケットは世界で最も成功した商業ロケットとなった。そして1996年には最新型の「アリアン5」ロケットが登場し、現在までに84機が打ち上げられ、70機の連続成功を達成。アリアンスペースも静止衛星の商業打ち上げ市場で約半分の市場占有率(シェア)を維持し続けるなど、順風満帆な歩みを続けている。だが近年、その風向きが変わりつつある。2010年に米国の「スペースX」が送り出した「ファルコン9」ロケットが、アリアン5の3分の1ほどという安さを武器に徐々に勢力を伸ばし始めたのである。現在では、ロシアのロケットの信頼性低下も相まって、市場はアリアンとファルコン9でほぼ二分されており、さらにこのままアリアンのもつシェアさえも侵食する可能性があった。新たに立ちふさがったファルコン9という怪物を迎え撃つため、三度目のアリアドネーの糸となるべく、次世代ロケット「アリアン6」の検討が始まった。○アリアン6もっとも、ファルコン9が登場したからアリアン6の検討が始まった、というのは正確ではない。欧州宇宙機関(ESA)は2004年から、当時、最大の競争相手だったロシアや中国のロケットに対抗するために「次世代ロケット」(Next-Generation Launcher)というアリアン5の後継機の検討を続けていた。その後状況が変わり、ファルコン9が主たる敵となったが、競争相手に勝つためという意図は変わっていない。この次世代ロケットがアリアン6という名前で呼ばれ始めたのは2012年ごろからで、当時は第1段と第2段に固体ロケット、第3段に液体ロケットをもつ「PPH」という構成が検討されていた。現在のアリアン5は液体ロケットを第1段と第2段にもち、その両脇に固体ロケットを補助ブースターとしてもつ構成をしているため、このアリアン6の構成は大きな変化であり、挑戦でもあった。これには第1段と第2段を基本的に同じつくりにすることで、大量生産による低コスト化を図るという考えがあった。ロケットの完成予想図はいくつか変わったものの、しばらくはPPH構成は維持された。当時、この構成は「トリプル・セヴン」とも呼ばれていた。これは7年で開発し、静止衛星の打ち上げ能力が7トン、そして打ち上げコストが7000万ユーロという、7尽くしであったことに由来する。ところが2014年、アリアン5の製造を行っている欧州の航空宇宙大手「エアバス」と、エンジン・メーカーとして知られる「サフラン」が、共同でロケット開発会社「エアバス・サフラン・ローンチャーズ」(ASL)を立ち上げると発表。それまでESAやフランス国立宇宙研究センター(CNES)といった国の機関が主導していたアリアン6の検討を、産業側が主導する形に改められることになった。これは非常に大きな変化、決定だった。アリアン5までは、ESAやCNESが開発を主導し、ESAに加盟している欧州各国の企業に対し、その出資比率に合わせて部品の発注を分ける、「ジオリターン」(GeoReturn)という方法がとられていた。これは安全、確実に開発でき、ESA加盟国すべてがロケット開発で潤うという利点はあったものの、開発スピードは遅く、またロケットに採用する技術や部品を、純粋に技術や性能の高さやコストの安さで選べないという欠点もあった。ただ1社でファルコン9を開発したスペースXと対峙していくことを考えると、これらの欠点は致命的な弱みとなる。そもそも産業側からは、ESAやCNESの考える「トリプル・セヴン」案では「打ち上げ能力が足らない上に価格が高い」、つまり市場で勝てないという意見が出ており、危機感を強めた産業側が立ち上がり、ロケットの開発体制から設計に至るまで、大きな変化が起こることになったのである。その結果、アリアン6ではジオリターンに原則的にこだわらない開発、製造が行われることになった。そしてASLが出した案は、現在のアリアン5と同じ第1段と第2段に液体ロケットを、補助ブースターとして固体ロケットという構成をもち、打ち上げ能力も維持、その上で打ち上げコストを半額にするというものだった。その後も検討が続けられる中で、第1段と第2段の直径や、ブースターの形が変わるといった変化はあったものの、構成やコスト目標はこれで定着し、今年1月には設計と、製造に向けた産業側の準備が完了。これからいよいよ、実際の部品を造ったり試験をしたりと、開発が本格化する。順調に進めば、2020年にも1号機が打ち上げられることになっている。(後編に続く)参考・Airbus Safran Launchers: a highly promising first year・Ariane 6・Ariane 4 / Launchers / Our Activities / ESA・Airbus, Safran Form Space Launch Joint Venture | AWIN ONLY content from Aviation Week・Airbus Group and Safran Launch Joint Venture
2016年02月10日いまから80年以上も前に、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベの実話をエディ・レッドメイン主演で描く『リリーのすべて』。このほど、本作の舞台となり、メインの撮影地となったデンマーク・コペンハーゲンにてプレミア上映が開催、実際のリリーを描いた画家で妻のゲルダ・ヴェイナーの作品を前に、エディとゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデル、トム・フーバー監督が会見を行った。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、ある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自分の内側に潜んでいた女性の存在に気づく。以来、“リリー”という女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。一方のゲルダも戸惑いを隠せなかったが、いつしかリリーこそがアイナーの本質なのだと理解するように。やがて、移住先のパリで問題解決の道を模索する2人の前に、ひとりの婦人科医が現れる――。コペンハーゲンで行われた本プレミアに、エディはグレーのスーツ、アリシアは美しいシルエットの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のドレスに身をまとい、ファッションアイコンとしても注目される2人らしくシックに登場。エディは黄色い声援を浴びながら、会場の外ではファンと触れ合う様子も見せていた。そして、アーケン美術館では、実際のリリーの姿を描いたゲルダの画をバックに、エディ、アリシア、フーパー監督の3人が会見。監督は、「もしアカデミーにベスト・ロケーション(撮影地)賞があれば、きっとコペンハーゲンがノミネートされているよ。コペンハーゲンに来たとき、僕は恋に落ちたんだ。華麗で、映画のように美しい街だよ」とコメントした。また、エディも同様に、「異なったスタイルや時代の建築がある街だよ。だから、僕たちはパリやドレスデン(ドイツの都市)に見えるように、外観の撮影をコペンハーゲンで行ったんだ。ここには自然な美しさと交わった、素晴らしい多様性があるよ」と、その街並みの美しさを感慨深げに絶賛。アリシアは、「俳優としてとても尊敬する世界へ行けるなんて幸せよ。演じる役を通して、過去の時代を経験できるのは素晴らしいわ」とゲルダ役を演じた喜びを明かした。2月29日(日本時間)発表となる第88回アカデミー賞において、「主演男優賞」「助演女優賞」ほか4部門にノミネートされている本作。究極の愛で結ばれた2人の迫真の演技だけでなく、多様な輝きを放つコペンハーゲンの街の美しさにも、注目が集まりそうだ。『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月07日リリー・フランキーが自身15年ぶりとなる単独主演作『シェル・コレクター』の沖縄プレミア上映の舞台挨拶に登場。さらに、県庁へも表敬訪問したことが分かった。貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の学者(リリー・フランキー)は妻子と離れ、沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。しかし、島に流れ着いた女・いづみ(寺島しのぶ)の奇病を偶然にも貝の毒で治したために、それを知った人々が貝による奇跡的な治療を求めて次々と島に押し寄せるようになる。その中には息子・光(池松壮亮)や、同じく奇病を患う娘・嶌子(橋本愛)を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった。本作は、ピューリッツァー賞受賞作家アンソニー・ドーアの同名小説を原作に、ニューヨークでも活躍してきた坪田義史監督が、「自然と人間が対峙するような場所」として舞台を沖縄に置き換え、オール沖縄ロケで撮影された。また、那覇から40kmにある白い浜辺が続く美しい離島・渡嘉敷島では主人公が生活を送る場所として撮影。しかもこの渡嘉敷島での映画撮影は、本作が史上初。そして橋本さん演じる嶌子が暮らす家は、沖縄本島の民家では初めて国の重要文化財に指定された民家・中村家住宅を使用し、背景にも沖縄を存分感じられる作品となっている。2月4日(木)に行われた沖縄でのプレミア上映では、先月31日(現地時間)にワールドプレミア上映を行ったばかりの「ロッテルダム国際映画祭」から帰国し、その足で沖縄入りしたリリーさんと坪田義史監督、さらに本作にも出演し、沖縄で人気を誇る俳優・普久原明、新垣正弘が駆けつけた。上映後の舞台挨拶でリリーさんは「あまり見たことのない映画が出来ました。沖縄に住んでいる方たちもこの映画をみて多国籍・無国籍な感覚を持つと思います。荒唐無稽なファンタジーですが、こういう世界もあるかもしれない、と思わせる沖縄の風景に助けてもらいました。娯楽作とはまた違う、皆さんのイマジネーションの中で完成される映画です」と挨拶をした。また普久原さんは「近くからやって参りました(笑)。私は、船の上で太鼓を叩いて登場するシーンがとても印象に残っています。私自身おいしい役を頂きましたが、実はリリーさん演じる学者の子ども時代を私の息子が演じていまして…監督からは私より上手いと褒められていました(笑)」と語ると、新垣さんも「リリーさんは最初クールな印象だったので取っ付きにくい人かと思っていましたが、弁当を食べながら『よく宮古に行くんですよ』と話をしてくれてホッとしたことを覚えています(笑)」とお互い撮影中のエピソードを話した。さらに撮影時、渡嘉敷島が予想以上に寒く海中シーン苦労したことや、撮影中はほぼ毎日みんなが島にある同じ飲み屋に通っていたなど、話しが弾み予定時間を大幅に超す盛り上がりをみせていた。そして翌日、リリーさんと坪田監督は沖縄県庁に表敬訪問。副知事に挨拶をすると、副知事から渡嘉敷島での撮影の感想を聞かれ、リリーさんは「自然はワイルドなのに、人はとても穏やかなのがいいですね。美味しいものも食べることができて、人間のあたたかさと自然が共存しているのを肌で感じられたことは、貴重な経験でした」と話し、続けて本作の魅力について強く語ると、副知事からは「映画を観てやって来る観光客も増えているので、『シェル・コレクター』には期待しています」と応援の声も上がっていた。『シェル・コレクター』は2月27日(土)よりテアトル新宿、桜坂劇場(沖縄)ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2016年02月06日リリー・ローズ・デップはなぜ自分のセクシャリティに話題が集まるか分からないようだ。事の発端は昨年8月。リリーは「自分のことを100%異性愛者だとはみなしていない1万人」の写真を撮り、LGBTQIを支援するプロジェクトに参加。結果として世間に「カミングアウトした」と思われている。それについて「NYLON」で否定した。ジョニー・デップと元パートナーであるヴァネッサ・パラディとの間に生まれたリリー。16歳にして、「シャネル(CHANEL)」の「パールアイウェアコレクション」のアンバサダーに起用されるほか、昨年公開された『Mr.タスク』ではジョニーと親子共演を果たし話題となった。今回リリーは、LGBTQIの10代の男女を支援する「Self Evident Project」のキャンペーンでモデルを務めていた。「完全に、誤解されてるわ。私がなぜあのプロジェクトに参加したかというと、『自分自身をゲイだとかストレートだとかに分類する必要がない』ってことを言いたかったのよ」「だっていま何かを好きだとしても、いつかは違うものを好きになったりする。セクシャリティも変更ができないものではないと思う。好きなものって流動的でその時々で変わるものでしょう。あえて自分がどんなセクシャリティなのかに当てはめて『これが本当の私』なんて言うのは、子どもたちにとってもプレッシャーが大きいことだと思うの」。「私の取った行動がなんだか間違った方向に進んで行っちゃったみたいで、みんなに『ゲイなんでしょ?』って言われているんだけど、全然意図したことと違うのよね。あ、だからと言ってゲイが悪いって言ってるわけじゃないのよ」8月当時はリリーの「カミングアウト」は「勇気があってえらい!」と称賛まで浴びたのだが、本人は全くカミングアウトをしたつもりはなかったらしい。(Hiromi Kaku)
2016年02月04日エディ・レッドメインが実在のトランスジェンダーの女性を熱演し、2年連続でアカデミー賞「主演男優賞」にノミネートされている映画『リリーのすべて』。本作でのエディの役作りについて、彼にオスカー像をもたらした『博士と彼女のセオリー』のスタッフが再び協力していることが明らかとなり、エディやスタッフたちからコメントが到着した。『英国王のスピーチ』でアカデミー賞4部門を受賞したトム・フーパー監督が、世界中で大ヒットした『レ・ミゼラブル』に続いてエディとタッグを組んだ本作。いまから80年以上も前に世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人女性リリー・エルベの生涯を描き、エディがアカデミー賞「主演男優賞」、相手役のアリシア・ヴィキャンデルが「助演女優賞」にノミネートされている。本作で、アイナー・ヴェイナーの心の中で生まれ、やがてひとりの女性としての人生を獲得していくリリーを演じたエディは、『博士と彼女のセオリー』で共に仕事をしたムーブメント・ディレクターのアレックス・レイノルズから今回も大きなサポートを得ることができたことを明かす。「アレックスは素晴らしい才能のセンスを持っているんだ。彼女は僕が何に良く反応し、何に反応しないかを知っていて、自分自身を解放できるようにしてくれた。動きは外的なものだけれど、同時に内的なものでもあるから。自分自身を解放して、リリーの物語に可能な限り真実に近く、入り込めることができるようにしてくれたんだ」と、彼女のサポートによって、容姿だけではないリリーの内面の輝きや葛藤を表現できたことを語る。そして、「役の身体的な特徴は、僕がいつも取り入れたいと思っているものの一つなんだ。なぜなら、身体的な特徴はその人自身をよく表しているから。手の動きについても、常に興味を持っている。僕は、リリーが“アイナーとして”生きていたときでも、本来の彼女を表現したいと思っていた。彼女はこういう風に寝ていたのだろうか?とか日常の些細なことでも考えていたよ」と明かしており、徹底した役作りへの姿勢を伺わせた。また、同様に『博士と彼女のセオリー』のスタッフであるメイクアップ&ヘアデザイン担当のジャン・スウェルも本作に協力しており、ジャンは「リサーチは興味深いものだったわ。リリーのトランジションに応じて、すべてのわずかな変化を映し出す必要があったの。完全にリリーになる前の段階では、わずかだけど、ぎこちなさが残っていなければならなかった。最初に女性らしさを加える細かいメークを施して、髪の毛を少し脱毛したり、横糸を加えたりね。エディと私は、誰にも分からないようなわずかなことについても意見が一致して、最善を尽くすことができたわ」と言う。さらにエディの役作りの姿勢についても、「エディは情熱的で、準備にしっかり備え、かつ正確なの。それに、彼はすべてを吸収するから本当に素晴らしいわ。例えば、彼の妻(ゲルダ)が口紅を塗るところを観察して、練習していたりね。私がほかの役者のメイクアップをしているところも観察していたのよ」と、その熱心に取り組む姿を絶賛。エディもまた、「ジャンは、とても素敵な感受性を持っているよ。彼女と僕は撮影の約1年半前から、リリーの身体的なイメージについて構想を始めていたんだ」と、早い段階で本作の役作りへ取り掛かっていたことを明かしている。ゲルダ役のアリシアは、「エディとシーンを演じる中で、リリーがリアルすぎて彼女を知ることに夢中になったわ。エディと仕事していると、毎回次のテイクがどんなふうになるのか想像がつかないからワクワクした。私はチームプレーとなるようにエディの出方を見てから、それに反応するように演技をすることを心掛けたわ」と語っており、エディの役作りには共演者も感化されるほど。スティーヴン・ホーキング博士を演じた『博士と彼女のセオリー』で英米のアカデミー賞を制覇したエディは、本作ではより内面から女性を体現する演技に挑んでいるようだ。「リリーのすべて」は3月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:博士と彼女のセオリー 2015年3月13日より全国にて公開(C) UNIVERSAL PICTURES
2016年02月04日欧州のロケット運用会社「アリアンスペース」は1月27日(現地時間)、米国の通信衛星「インテルサット29e」を搭載した「アリアン5 ECA」ロケットの打ち上げに成功した。アリアン5ロケット・シリーズの打ち上げは、今回で70機連続成功となった。同ロケットは日本時間1月28日8時20分(現地時間1月27日20時20分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターの第3アリアン発射施設(ELA-3)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約30分後に衛星を分離して、予定通りの軌道に投入した。インテルサット29eは米国の衛星通信会社インテルサットが運用する通信衛星で、同社の次世代衛星である「エピック」シリーズの最初の衛星となる。20本のCバンド、249本のKuバンド、そしてKaバンドのトランスポンダーを搭載し、東経310度の静止軌道から、大西洋やカリブ海、南米大陸に通信サーヴィスを提供することを目的としている。設計寿命は15年以上が見込まれている。衛星の製造は米国のボーイングが担当した。打ち上げ時の質量は6552kgもあり、これまで世界中で打ち上げられた静止衛星の中でもかなり重い部類に入る。アリアン5ロケットはその大きな打ち上げ能力を生かし、静止衛星を2機同時に打ち上げられるという特徴をもつが、今回はその質量の大きさから、インテルサット29eのみを搭載しての打ち上げとなった。○アリアン5ロケットの打ち上げ、70機連続成功今回の打ち上げはアリアン5ロケットにとって84機目となるもので、また現行のアリアン5 ECAというヴァージョンでは54機目となった。アリアン5は2002年に打ち上げに失敗しているが、以来失敗は無く、アリアン5シリーズ全体では今回が70機連続、またECAに限っても53機連続での打ち上げ成功となった。アリアン5は、欧州のエアバス・ディフェンス&スペースが開発、製造しているロケットで、アリアンスペースによって運用されている。1996年に最初の打ち上げが行われ、その後2002年に改良型の「アリアン5 ECA」が登場。現在主力機として活躍している。アリアン5は、1990年代に欧州の主力ロケットとして活躍した「アリアン4」ロケットを代替する目的で開発された。アリアン4は116機が打ち上げられ、失敗はわずか3機で、成功率97.4%という極めて高い信頼性をもつロケットだったが、1970年代に開発された「アリアン1」を改良して造られたロケットであり、次第に性能が時代に追いつけなくなってきた。アリアン5の検討は1984年から始まったが、当時は米国がスペースシャトルを打ち上げ始めたころでもあり、欧州でも小型のスペースシャトル「エルメス」の検討が始まっていた。そこでアリアン5には、エルメスを打ち上げられるほどの、強力な打ち上げ能力をもつことが求められた。だが、エルメスは開発が進む中で肥大化し、質量が目標を大きく超過するようになった。それに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされ、さらにエルメスの質量が増加すると、またそれに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされるという悪循環に陥った。結局、最終的にエルメスは開発が中止され、欧州の手元には過大な打ち上げ能力をもったアリアン5ロケットだけが残ることになった。だが、この過大な能力を生かして、1機のロケットで静止衛星を2機同時に打ち上げれば、1機のロケットで1機の衛星を打ち上げるよりもコストが安くなるのではとの発想が生み出された。そしてそのアイディアは的中し、アリアン5は現在、静止衛星の商業打ち上げ市場の約半分のシェアを握っている。現在も多くの受注を抱えており、今年だけでも8機のアリアン5の打ち上げが予定されている。しかし最近、アリアン5よりも大幅に価格が安い、米国スペースXの「ファルコン9」ロケットが登場。同社では競争力を維持するため、より打ち上げ能力を高め、一方でコストを約半額に抑えた後継機「アリアン6」の開発が始まっている。【参考】・An "Epic" launch: Arianespace’s Ariane 5 soars to success for long-time customer Intelsat - Arianespace・Flight VA228: The successful launch of Intelsat 29e, and Ariane 5’s 70th success in a row - Arianespace・Intelsat 29e, the First Intelsat EpicNG Satellite, Successfully Launched into Orbit | Intelsat S.A.・Intelsat 29e | Intelsat S.A.・Dossier-de-presse-VA-228-final-GB.pdf
2016年01月29日ドミニク アンセル ベーカリー(DOMINIQUE ANSEL BAKERY)が日本上陸後初のポップアップショップ「ドミニク アンセル ポップアップ(DOMINIQUE ANSEL POP UP)」を16年1月2日から2月14日まで、渋谷モディにオープンする。同ポップアップにはオーナーシェフ、ドミニク・アンセルのアイデアがプラスされたオリジナルスモア(SMORE)スイーツが登場。スモアとはキャンプスイーツとしてアメリカで古くから親しまれるマシュマロを使ったスイーツのことで、炙ったマシュマロとチョコレートをクッキーでサンドして食べる。店頭では、はちみつを使ったマシュマロを、オーダーが入ってから火で炙り、ブランデーが香るチョコレートガナッシュ、板チョコレートと一緒にシナモン風味のスペキュラースクッキーにサンドし、マルドン・シーソルトを振りかけた究極のスモア「ウルティメイト スモア」(800円)が登場。このほか、シナモンマシュマロやライスパフの入った「スモア シリアル」(950円)や、はちみつを使ったマシュマロと生キャラメルをチョコレートでコーティングした「マシュマロキャラメル」(1,200円)、ペンギン型のマシュマロ「ペンギン マシュマロ」(600円)など、表参道の既存店では味わえない限定メニューやドリンクメニューも販売する。なお、1月中旬からはバレンタイン限定商品も発売される予定となっている。さらに、1月1日4日の4日間にはドミニク・アンセルの来日が予定されている。
2015年12月24日『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でハリソン・フォードが、共演者より格段に高いギャラをもらっていたことがわかった。Variety.comが報道した。その他の情報フォードのギャラは、1500万ドルから2000万ドルの間。マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーは7桁台の低め、とのこと。つまり、数百万ドルということだろう。一方、ニューフェイスのデイジー・リドリーとジョン・ボイエガは、出番が多いにも関わらず6桁台の低めで、おそらく10万ドルから30万ドルの間とのことだ。彼らより出番は少ないが、知名度の高いオスカー・アイザックとアダム・ドライバーは、それより高かったらしい。これらのギャラのほかに、映画が大成功した場合、ボーナスをもらえる契約になっている可能性が高く、実際に彼らが手にする金額はもっと大きくなると考えられる。また続編にあたって、ギャラの再交渉が行われることもありえる。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開中文:猿渡由紀
2015年12月22日