劇団四季の新作ショー『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日、JR東日本四季劇場[春]のこけら落とし作品として開幕。初日上演後、演出を手がける荒木美保が取材に応じ、「お客様が(劇場に)入って完成するんだなと改めて実感しています。皆さまと生きる喜びを分かち合いたいという全員の“祈り”と感謝がさらに強くなった」と感無量の面持ちだった。“舞台を通して生きる喜びをお客様にお伝えしたい”という理念のもと繰り広げられる、劇団四季の新作ショー。ダンスやストレートプレイの台詞朗誦も交えながら、おなじみの海外ミュージカルからオリジナル / ファミリーミュージカルのナンバーまで、数多くの名曲を再構成する。当初は昨年7月、JR東日本四季劇場[秋]で開幕予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で上演計画が変更された。それだけに「今日という日を迎えても、実際に幕が上がるまで、本当に上演できるのかという思いもあった」といい、「分かっていたつもりでしたが、毎日公演できて、お客様が来てくれるのは当たり前じゃないと強く感じた。7月以降、もう1度『The Bridge』に取り組むにあたって、その思いが助けてくれた」としみじみ。コロナ禍での稽古は「完全に2班に分けて接触を避け、マスクやゴーグル着用も徹底した」そうで、「それとこまめな換気ですね。稽古場が寒くて、立っているだけでも体はきつかったはずだが、ステージ上で踊り切る。それだけでメッセージが届くはず」。本作で初めてオリジナル作品の演出を務めた心境を「ド緊張した」とも明かし、予定していなかったダブルカーテンコールについては「あれ?っと思い、走って舞台監督のところに行きました」と喜びを示した。今回初めて四季作品に参加した丸山敬太によるコスチュームデザイン(第6・7場)も大きな見せ場で、「生きる喜びをいろんな側面から描き、最後に向けてどんどん加速していくシーン。華やかで前向きなエネルギーがあればと思い、丸山さんに実際に俳優たちに会ってもらい、1人1人を魅力的に見せてほしいと相談した」と衣装にも強いこだわりが込められた。取材会には劇団四季社長の吉田智誉樹氏が同席し、「浅利(浅利慶太氏)たちが祈りを込めた仕事をしっかりと受け継いでいこうという思い」とこちらも新劇場の第一歩に感慨しきり。「このような状況で足を運んでくださったお客様には感謝しかない」と語り、「ステージとお客様の心にかかるブリッジ、橋にしかお芝居は存在しないと実感した。大切な原則である人生賛歌のメッセージを持った作品を厳選し、年に1本はオリジナル新作を送りだしたい」と決意を新たにした。一方、緊急事態宣言の再発布により「チケットのセールスは落ち込んでいる」と認めた上で、「こればかりは耐えるしかないが、基本的には粛々と指示に従い、公演はやります」と力強く宣言していた。取材・文:内田涼「劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~」2021年1月10日(日)~2月11日(木・祝)東京都 JR東日本四季劇場[春]2021年3月14日(日)~28日(日)福岡県 キャナルシティ劇場ほか全国公演あり構成・台本:高橋知伽江演出:荒木美保
2021年01月11日劇団四季の稽古場を有する、劇団の本拠地「四季芸術センター」の食堂メニューである「100点カレー」がレトルトカレーとして発売されることが決定した。このカレーは、劇団四季の食堂で一番人気を誇るメニューで、これまで数多くの俳優たちのお腹を満たしてきた門外不出の味を再現したもの。「100点カレー」という名称は、劇団の連帯が現れた食堂の制度に由来しているという。同食堂では、それぞれのメニューの値段を点数で表す制度が採用されており、1点あたりの値段が在団歴や役職によって異なるという仕組み。ちょうど100点で購入できるこのカレー1杯の中にも、懐に余裕のある劇団員が、稽古に励む若い劇団員のために少し多めに払うという劇団ならではの精神が込められている。また「100点カレー」は、コロナ禍でも日々の活動を応援してくれているファンと力を合わせてこの窮地を乗り越えたいという願いを込められた商品でもある。劇団員同士の助け合いの精神が込められたこの一杯で、彼らと思いを一つにしてみてはいかがだろうか。観劇の記念としてはもちろん、この商品を購入することで劇団を支援することにも繋がる。【商品概要】「劇団四季の100点カレー」販売価格 :800円(税込)内容量 :180g発売日:12月21日(月)※数量限定販売<販売方法>・劇団四季ウェブショップ: ・JR東日本四季劇場[春]売店※『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』上演期間中(2021年1月10日(日)~2月11日(木・祝))お問合せ:0570-008-110
2020年12月15日「ミュージカル・アクション・コメディー」と銘打って、山盛りのエンタテインメント性で観客を魅了する劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下SET)の新作公演『世界中がフォーリンラブ』が9日に開幕する。コロナ禍において、公演中止やクラスター報道など、過酷な強風にさらされ続けている演劇界。特に劇団公演の多くは、経済的にも大きな負担と痛手を負っている。しかし、そんなときこそエンタテインメントを! と立ち上がったのが、劇団SET主宰の三宅裕司だ。劇団創立から41年、前代未聞の危機において「公演しない」という選択肢は彼らにはない。三宅はこの公演に際して「愛と笑いの2時間で“コロナの野郎”を吹っ飛ばし、元気で幸せな生活を取り戻しましょう」とのメッセージを寄せている。SET作品はいつも、「音楽」「アクション」「笑い」で観客を大いに楽しませるのと同時に、社会に対しての警鐘が物語に織り込まれている。今回採り上げられる題材は、有名人のみならずはびこる不倫や浮気、熱愛の数々だ。劇中では、この状況に疑問を持った厚生省の専門家チームが調査に乗り出す。すると、痴漢して逮捕された男の体内から未知のウイルスが検出されたのだ。このウイルスに感染すると、異性を惹きつける体臭フェロモンが大量に分泌され、瞬く間に人を好きになってしまう。そのウイルスを、人々は「コロッとウイルス」と名付けたーー。「コロッとウイルス」なるネーミングが、実にSETである。ワクチン開発に立ち上がった製薬会社の攻防がコミカルに、しかしシリアスな闇をはらみながら描かれてゆくのだろう。昨年末に脚本家の吉高寿男と打ち合わせした時点では、「SNSは将来日本の若者をどう変えるのか」が描かれる予定だったという。しかしこのご時世、重いテーマとはまったく逆の、愛がテーマの軽い芝居を目指すべく、反対向きに舵を切ったのだとか。テーマは、純愛。SETの、次の10年に向けての第一歩を見届けよう。公演は10月25日(日)まで、サンシャイン劇場にて。劇団スーパー・エキセントリック・シアター第58回公演『世界中がフォーリンラブ』脚本:吉高寿男演出:三宅裕司10月25日(日)まで東京・池袋サンシャイン劇場にてオンライン生配信10月17日(土)13:00/17:00PIA LIVE STREAMにて※上演終了後、アーカイブにて24時間視聴可能。文:小川志津子
2020年10月09日劇団四季の新作オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が10月3日(土)から東京・自由劇場で開幕した。劇団四季にとっては2004年『ミュージカル南十字星』以来、およそ16年ぶりの一般オリジナルミュージカルの製作となる。本作はイギリスの小説家デボラ・インストールの同名小説が原作。2015年に出版され、同年のベルリン国際映画祭で「映画化したい1冊」に選出された小説だ。日本でも16年に小学館文庫より出版され、人気シリーズとなっている。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』撮影:阿部章仁AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジをしている近未来が物語の舞台。不慮の事故で両親を失った主人公のベンは、親から譲り受けた家で無為に日々を過ごし、弁護士の妻エイミーとの関係も芳しくない。そんなある日、自宅の庭に壊れかけのロボット・タングが現れる。「四角い胴体に四角い頭」という何とも時代遅れな格好だが、タングから他のアンドロイドたちにはない何かを感じたベン。タングを作った人物を探すため、ベンとタングは旅に出てーー。長い旅の中で出会った人々との交流を通して、ベンやタングの心の成長、家族の絆、明るい未来への祈りが描かれる。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』撮影:阿部章仁今回のミュージカル化にあたり、各界で活躍するクリエイターが集結した。台本・作詞は人の心をつかむ筆致で多くの話題作を手がける長田育恵、演出はウィットに飛んだ翻訳劇などで注目を集める小山ゆうな。作曲は数々のドラマ音楽を手がけるヒットメーカー・河野伸、音楽監督は劇団OBでこれまでもさまざまな作品を支えてきた清水恵介、装置デザインは国内外で高い評価をされている土岐研一、パペットデザイン・ディレクションは英国を拠点に活動するトビー・オリエ。そこに四季クリエイターも加わり、本作が完成した。主人公ベンを演じる田邊真也は、「新たなオリジナルミュージカル創作に、一から携わることができたことは望外の喜びです。(中略)旅中での人々との出逢い、そしてタングとの心の交流によって、彼(ベン)の人生は大きく変わっていきます。人生は素晴らしく、生きるに値する。数々の四季レパートリーと同様のメッセージが湛えられた作品だと思います。国内一線級のクリエイターの方々と四季のメンバーが固く手を携え、創り上げました。作品の感動をお客様にお届けできるよう、誠心誠意努めていきたいと思っています。」と語る。東京公演は11月29日(日)まで。心温まる新作ミュージカルをぜひお見逃しなく。ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』上演中~ 11月29日(日)会場:東京・自由劇場文:五月女菜穂
2020年10月07日カンテレと関西に拠点を置く演劇集団・劇団Patchがタッグを組み、関西から全国に向けて演劇ムーブメントを発信する「カンテレ×劇団Patchプロジェクト」の第1弾作品となる、音楽朗読劇『マインド・リマインド~I am…~』のヒロイン役に、女優の谷村美月と入山法子がWキャストで決まった。同作は、“音にまつわるプルースト現象”をきっかけに、恋人に疑惑を持った男が現実と空想が交錯する世界に迷い込み、そこで衝撃の事実にたどり着くという“近未来を舞台”にしたラブ・サスペンス。谷村と入山は、劇団Patchのメンバーが演じる主人公から、ある疑惑を持たれる“彼女”を演じる。ドラマや映画での共演もあり、谷村は「撮影中もずっと優しいお姉さん」、入山も「格好良い女性」と笑顔でお互いの印象をコメント。作品のプロットについて、谷村は「想像を掻き立てるような役柄だと感じたので、その中でどのように、魅力的に魅せることができるかなと考えています。今までに演じたことの無い役柄なので、色々な方の意見を取り入れてみたいなと思っています」、入山は「音楽朗読劇という枠組みに見合った、体から音楽を感じられるような“彼女”になれば良いなと思っています」と、それぞれ意気込みを語った。劇団Patchとの共演については、「演劇と、地元への愛が深い、とても熱量のある劇団だなと思いました。公演初日には、わたしもバリバリ関西弁をしゃべれるようになっているといいな。いや、なっているでしょう。なんでやねん!」と埼玉出身の入山が見事なノリツッコミを見せ、谷村も「今までに、井上拓哉さんとはカンテレのドラマ『大阪環状線ひと駅ごとの愛物語』などで、お仕事をご一緒する機会が多く、劇団Patchさんの存在をその時に知りました。年齢的に近い方々とお仕事をする機会が、あまり多い方ではないので、ご一緒できることを楽しみにさせていただいています」と共演を楽しみにしている様子だ。劇団Patchの中山義紘は「お2方の名前を聞いた時にメンバーから『おおぉ!!』という士気が高まる声が上がりました。お2方とも魅力と実力を兼ね備えている強力な女優さんなので、劇団Patchの劇団員とセリフを交わすとどんな化学反応が起こるんだろうと胸が高まります! お2人にとっても、劇団Patchと作る『マインド・リマインド』が刺激と感動に満ちあふれる作品になることを願っています」と話している。上演は、今年12月に大阪・サンケイホールブリーゼで、来年1月に東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで行われる。
2020年10月03日4月24日(金)から26日(日)まで、大阪ビジネスパーク円形ホールにて、ぴあ×劇団壱劇屋公演『BLACK SMITH(ブラックスミス)』の開催が決定した。劇団壱劇屋チケット情報作・演出・殺陣を竹村晋太朗が手掛ける、全方向死角無し、四方囲み舞台×総勢30名の出演者が戦場を駆け回る、過去最大スケールのアクション大作!今回、劇団壱劇屋のとしても過去最大キャパシティ、過去最多人数のキャスト、初の四方囲みステージという挑戦的公演となる。さらに今回は過去のぴあ×劇団壱劇屋シリーズに出演した、SKE48北川愛乃(出演:猩獣新作)、谷川愛梨(出演:二ッ巴)、上枝恵美加(出演:猩獣再演)の出演が決定。チケットは2月8日(土)10:00より劇団壱劇屋ファンクラブ壱劇屋商店街組合にて最速先行受付開始。チケットぴあでは2月18日(火)10:00より早割プリセール実施。神に選ばれし鍛治師たちによる、天を衝き地を揺るがす世紀の大合戦!大阪の地で打ち上げる、ドデカイ花火をお見逃しなく!<先行情報>壱劇屋FC先行:2月8日(土)10:00~2月24日(月)23:59谷川愛梨FC先行:2月18日(火)10:00~2月24日(月)23:59チケットぴあ早割プリセール:2月18日(火)10:00~2月29日(土)23:59
2020年02月07日劇団かもめんたる第8回公演『GOOD PETS FOR THE GOD』が11月26日(火)より東京・下北沢の駅前劇場で上演される。劇団かもめんたるは、お笑いコンビ・かもめんたる(岩崎う大・槙尾ユウスケ)の岩崎が作・演出を務め、2015年に旗揚げ。以来1年に1、2本のペースで公演を重ねてきた。第2回公演からたびたび出演してきたナイロン100℃の長田奈麻が昨年、劇団員として所属したことでも話題を集めた。「演劇的」と評されるコントをつくる芸人は少なくないが、かもめんたるは『キングオブコント2013』で優勝する前からその最右翼だった。「ふつう」を少しはみ出したキャラクター造形、一語一語に神経を通わせたセリフまわし、余韻を残す終わり方。ライブでは笑いとともに悲鳴があがることもあった。コントにも見られたテイストをそのままに、長尺の物語を紡いでいるのが劇団かもめんたるの作品。人数と時間の制限から解き放たれた岩崎が思いきりその腕を振るい、公演のたびに八嶋智人や加藤啓、石田剛太、川面千晶といった演劇界の腕利きたちがゲスト出演している。今作『GOOD PETS FOR THE GOD』は近未来の人々を描くコメディ。200年後に地球が滅びると知った人類が、最後に残る人たちのために後片付けをしはじめるという物語だ。果たして200年経ち、終わりを迎えるときにどうなっているのか。コメディではあるが、もちろん笑いだけではなく、岩崎いわく「シュールな感動」をめざすという。劇団メンバーのほか、青年団の古屋隆太、劇団プレステージの長尾卓也、香月ハルが出演する。笑いを志向する劇団はひと頃よりも多くはない。だからこそ、本気で笑いに向き合っている演劇にふれる機会をぜひ逃さないでもらいたい。12月1日(日)まで。文:釣木文恵
2019年11月26日大阪を拠点に、“全国規模の在阪劇団”を目標にかかげる劇団壱劇屋。近年、セリフを使わずに殺陣だけで物語を紡いでいく「Wordless×殺陣芝居」シリーズを確立。今年3月に大阪・HEP HALLで4日間に渡り上演された『猩獣(しょうじゅう)』では、2000人越えの動員を記録するなど、注目を集めている。そんな彼らが、新作『Pickaroon!(ピカルーン)』ではその制約を解き放ち、セリフのある殺陣芝居を上演。7月5日(金)の開幕に向けて、ABCホールでゲネプロが行われた。劇団壱劇屋「Pickaroon!」チケット情報本作は、記憶を失くした少女と彼女を取り巻く7人の盗賊の物語。義賊の力石、口に特殊な金属を付けた異様な風体の由良、兄妹盗賊の陸上角(おがうえかく)、陸上飛(おがうえとび)、筆で描いた者の姿に成り代わることができる伊武、紙を自在に操る紙研(しげん)、圧倒的な力を発揮する不動の男虎(おのとら)。単独で悪名を重ねてきた彼らが、ひょんなことからひとりの赤子を手にし、“御姫”と名付けて7人で見守り、育てることになる。そんな彼らに目をつけ、少女となった御姫を奪おうと企む国の執政官・佐久間は、人並み外れた嗅覚を持つ腹心・勝又と共に、彼らを追い詰めていく…。作・演出も手がける竹村晋太朗をはじめ、山本貴大、小林嵩平、西分綾香ら劇団員と、劇団Patchの竹下健人、墨絵師で本作の宣伝ビジュアルなども手がける御歌頭(おかず)、クールな佇まいの実力派女優・立花明依が、御姫を守る7人の盗賊に扮し、舞台を所狭しと駆けめぐる。そのスピード感あふれるアクションの数々に圧倒、7人がズラリと一列に並んだ姿は惚れぼれするほどのカッコよさだ。主役は不在、個性の異なるキャラクターたちが、それぞれの見せ場で、圧倒的な熱量を持って魅せていく。また、御姫を演じるのは、ローティーン向けファッション雑誌「nicola(ニコラ)」専属モデルで初舞台の池未来実。持ち前の透明感と初々しさで、愛らしくも儚げな少女を演じている。これまでの「Wordless×殺陣芝居」で培われたであろう表現力の豊かさに言葉の力が加わり、壱劇屋の新たな魅力が生み出された本公演は、7月5日(金)から7日(日)まで大阪・ABC HALL、7月26日(金)から29日(日)まで東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERにて上演。取材・文:黒石悦子
2019年07月05日昨年7月に亡くなった劇団四季の創立者で演出家・浅利慶太氏の追悼公演として、劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』(エルサレム・バージョン)の名古屋公演が6月12日(水)に開幕を迎えた。公演に先駆け11日には、公開舞台稽古が行われた。本作は1976年に初演となった、“浅利演出”を代表する作品の一つ。イエス・キリストが十字架にかけられるまでの最後の七日間を描いた物語。劇場のロビーには、過去の公演で指導する浅利氏の写真パネルが飾られていた。客席に入ると、土ぼこり舞うイスラエルの荒野を表現した、急傾斜の舞台が待ち構える。人々から「神の子」「救い主」と崇められたキリストの孤独、彼を深く愛するマグダラのマリア、そして仲間による裏切り…。それぞれの心の叫びを鮮烈なロックミュージックで綴る105分ノンストップの舞台は、まさに圧巻の一言。急傾斜の舞台を用いた迫力ある演出や、十字架にかけられるシーンの芸術性の高さにも必見だ。“浅利演出”が息づくエネルギーあふれる舞台を、ぜひ劇場で。■劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』エルサレム・バージョン 名古屋公演日時:7月7日(日) まで上演中会場:名古屋四季劇場 (愛知県)チケット料金:S1席-10800円/S2席-10800円/A1席-8640円/A2席-8640円/B席-6480円/C席-3240円※公演当日3歳以上はチケット必要(膝上観劇不可)。2歳以下は入場不可。
2019年06月13日福岡を拠点に活動を続ける劇団「万能グローブガラパゴスダイナモス」(以下、ガラパ)。2020年の旗揚げ15周年に向けて様々なプロジェクト企画を準備中だ。その企画第0弾として、今年2月に福岡・大阪・東京でツアー上演した『溺れるクジラ』の凱旋公演を再び福岡で行なう。彼らにとって初となる凱旋公演を前に、脚本・演出の川口大樹、役者の西山明宏に話を聞いた。【チケット情報はこちら】訳ありな人々が滞在する、とある海辺のゲストハウスが舞台の本作。様々な事情を抱えた人々がいろいろなことに“溺れる”悲喜こもごもを描いたコメディだ。「今回、あえて“ガラパらしくない”作品にしたんです。抽象的だったり、演劇的な要素をいつもより多く入れてみたり。面白がってくれる方もいれば、“ガラパらしい”シチュエーションコメディを求めている方もやっぱりいらっしゃる。でもあえて変えてみたことで、改めて自分たちの強みとか、求められているものがわかった気がします」と新しいアプローチに手ごたえを感じたという川口。演じる側の西山は「福岡から大阪、東京と、ツアーを経て作品は成長しているので、それをまた福岡で観てもらえることが嬉しいです。新たに追加したシーンもあれば、セリフを少し変えてみたところもあります。前回のイムズホールよりもキャパシティが小さくなる分、見え方も変わるんじゃないかな。前回福岡で観た方にも新鮮な気持ちで楽しんでもらえると思います」と自信をのぞかせる。今回の凱旋公演は、福岡市美術館ミュージアムホールでの演劇公演のこけら落としとなる。“アート”と“演劇”は親和性が高いと語る川口。「特にこの『溺れるクジラ』はこれまでのガラパの中でもアート性の高い作品なんです。僕は常々、新しい角度から見るお客様に出会いたいと思っていて。アートが好きな方が僕らの舞台に興味を持つきっかけになればと思いますし、逆に、舞台を観に来た人が美術館にも行ってみようと思ってくれると嬉しいですよね」プロジェクト企画第0弾の凱旋公演に続く第1弾は、5月に開催するガラパの若手ユニット「こわせ貯金箱」の第2回公演。続く第2弾以降の企画にも既に取り掛かっているという。「15周年に向けて、いろいろ派手にやりますよ。楽しみにしていてください!」(川口)『溺れるクジラ』は4月19日(金)から21日(日)まで福岡市美術館 ミュージアムホールで上演。チケットは現在発売中。
2019年04月11日“美人すぎる劇団員”として話題の劇団4ドル50セントの糸原美波(22)が28日、都内で行われた「リラクゼーションスペース ラフィネ採用新CM発表会」に出席した。リラクゼーションスペース「ラフィネ」はこのたび、大勢の人にセラピストという職業や働き方を知ってもらいたいという思いから、新たに採用CMを制作。糸原はセラピスト役として同CMに出演し、楽曲にあわせたキャッチーなダンスを披露している。自身初のCM撮影を振り返り、糸原は「すごい緊張したんですけど、セラピストさんは素敵な笑顔でお客様を癒やしている印象で、それを意識して演じたのでとても楽しく撮影することができました」と笑顔で語った。また、CMで披露しているダンスについて「日常の細かいところまで振りになっていて、そこは難しくて大変でした」と打ち明け、「でも楽しく踊れました」とにっこり。「幼稚園からずっとダンスをしていて、なので楽しくて」とうれしそうに話した。なお、同発表会には、タレントの鈴木奈々、元AKB48でタレントの西野未姫も出席。「ラフィネ」のトップセラピストから疲れた身体を癒やす方法を伝授され、芸能界でキャラクターが被っていると言われている2人が癒やしキャラの座をかけて接客勝負を繰り広げた。
2019年03月29日NMB48の石塚朱莉が主宰する劇団「アカズノマ」の第3回公演が決定。11月に大阪で末満健一の人気作『TRUMP』を上演する。アカズノマは2018年4月、石塚が「大好きな舞台を自らつくりたい」と旗揚げ。公演ごとに出演者を募集しながら活動する“一人劇団”だ。旗揚げ公演では劇団「柿喰う客」の人気作『露出狂』を関西弁バージョンで上演、第2回公演では横内謙介の初期代表作『夜曲』に挑んだ。今回上演が決定した『TRUMP』は、2009年に関西小劇場で生まれ、その後も再演が繰り返されたり、“TRUMPシリーズ”としてさまざまな作品が生み出されている大ヒット作。吸血種“ヴァンプ”の少年たちが、永遠の命を持つ伝説の吸血種“トランプ”の残影に翻弄される、儚くも美しいゴシックファンタジー。アカズノマでは、本作を女優のみで上演する。上演に向けて石塚は「『TRUMP』は私がまだ演劇を始める前に観た作品で、末満さんの生み出す世界観、作品を彩る音楽に圧倒された事をよく覚えています。“いつか『TRUMP』に出てみたい!”“やるならこの役だなぁ!”なんて、頭の中でずっと空想していたので、今回自分の劇団で夢が叶ったことがとても嬉しいです!TRUMP シリーズの名に恥じないステージをお届けし、『TRUMP』もアカズノマも好きになって頂けるように精一杯つとめます!たくさんの方に愛されている作品、そしてこれからも続いていく作品を、アカズノマで上演させていただけることに感謝し、『TRUMP』の世界を表現していきたいと思っています!『TRUMP』で新たに出会う俳優たちと、戦友として共に舞台に立つのも今から楽しみです」と意気込みを見せる。アカズノマにより『TRUMP』がどう立ち上がるのか、楽しみに待ちたい。
2019年02月06日劇団EXILEの鈴木伸之と八木将康が22日、LDHのファンクラブ会員向け動画配信アプリ「LDH TV」の劇団EXILEオリジナル番組内で「1分間に最も多く箸でキャッチしたマシュマロの数」のギネス記録にチャレンジ。これまでの記録35個を大幅に上回る43個を記録し、ギネス世界記録を達成した。今回、鈴木と八木が挑戦したギネスチャレンジは、2m離れた場所から1人がマシュマロを投げ、もう1人が箸でつかむというもの。1分の制限時間のなかで、いくつ成功できるかを競う。会場には劇団EXILEやDEEPのメンバーも駆け付け、さらに三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの山下健二郎やTHE RAMPAGE from EXILE TIBEの川村馬壱から応援コメントの映像がサプライズで届くなど、2人の挑戦を後押しした。ギネス公式認定人の合図でチャレンジが始まると、野球経験者の鈴木が抜群のコントロールでマシュマロを投げるのに対し、同じく高校球児だった八木が、見事な箸さばきで次々とキャッチを繰り返した。一時はマシュマロをスタンバイするスタッフが追い付かない場面もあったが、これまでの記録を大幅に上回る記録でギネス記録更新を果たした。今回の快挙に八木は「まじで嬉しいです! ギネスに名前がのるなんて信じられない!」と喜びをあらわにし、鈴木も「これを皮切りに、いろんなギネス記録を更新していきたいです!」とさらなる記録に意欲を見せた。
2019年01月24日NMB48の石塚朱莉が2018年4月に旗揚げした劇団「アカズノマ」の第2回公演が決定。扉座の劇作家・演出家である横内謙介の代表作『夜曲 nocturne』を、2019年1月24日(木)から27日(日)まで大阪・ABCホール、31日(木)から2月3日(日)まで東京・新宿村LIVEにて上演する。劇団アカズノマ公演情報はこちらぴあ関西版WEBでも「劇団 石塚朱莉」と題した演劇連載を展開している石塚が、「大好きな舞台を自ら作りたい」と結成したアカズノマ。公演ごとに演出家や出演者を迎えて行うスタイルで、旗揚げ公演では柿喰う客の人気作『露出狂』を、同劇団に所属する七味まゆ味の演出により、関西弁バージョンで上演した。続く今作も、七味を演出に迎えて『夜曲 nocturne』に挑む。本作は、1986年に初演され、さまざまなカンパニーで上演されている横内謙介の初期の名作戯曲。石塚は「私が生まれる前から長年にわたり、たくさんの方々に愛され続けてきた戯曲に触れるのはドキドキしますが、とてもうれしく思います!強烈なキャラクターたちと現在と過去との香りを、アカズノマの色に混ぜて届けたいなと思います!」とコメント。新聞勧誘員で放火魔のツトムは、ある晩、廃屋となった幼稚園に放火をし、そこでサヨという少女と出会う。ツトムが幼稚園を放火したことをなぜか喜ぶサヨ。すると、放火をきっかけに700年前の人間たちが現代に次々と蘇ってくる。怨霊によって呪いをかけられた人間、身分違いの恋、武士や貴族の主従関係…。有象無象の人間関係に振り回されるツトムは、やがて自分がすべきことは何かを考えはじめ…。『露出狂』にも出演したNMB48・古賀成美がヒロインを務めるほか、七味も出演。一部キャストはオーディションにより選出される。また、初の東京公演に向けては「東京でも変わらずに、活動拠点である関西色を出していけたらと思います!」と意気込みを見せ、「たくさんの方々にお楽しみいただけるように、また作品を通して自分自身も成長できるように全力を尽くし、愛を注いでいきたいと思います」と語る。公演は2019年1月24日(木)から27日(日)までABCホール、1月31日(木)から2月3日(日)まで新宿村LIVEにて。チケットは11月発売予定。
2018年10月16日お笑い芸人の劇団ひとりが14日、都内で行われたNetflixオリジナル映画『ネクスト ロボ』(世界190カ国で配信中)の親子プレミア上映会イベントに、タレントの小倉優子と共に登場。消したい記憶を聞かれ、「すべった記憶を全部消したい」と話した。同作は、孤独な少女メイと勇敢でピュアな戦闘用ロボット7723の絆と冒険を描いたアニメーション映画。メイの愛犬・モモ役として声優を務めた劇団ひとりは「7割くらいが鳴き声で、そこが非常に大変でした。本気の鳴き声をやりまして…。本当の犬の鳴き声を使えばいいじゃないかってくらいリアルを求められたんです。頑張りました!」と鳴き声に苦戦したと明かした。また、「家で鳴き声を練習していると家族の視線も冷たいですし、ご近所さんにも迷惑ですから、夜中に車の中でずっとワンワンしていました」と明かし、「よかったです、職質(職務質問)されないで」と笑った。ロボット7723が、容量オーバーで毎晩記憶を消さなければいけないということにちなんで“消したい記憶”を聞かれると、「すべった記憶を全部」と返答。「芸歴20数年ありますから、全部すべった記憶を消したら空き容量相当増える。全部足したら相当すべっていると思うので」と言い、その記憶を消したら「何にも怖くなくなる」と語った。
2018年09月14日劇団た組第16回目公演『心臓が濡れる』が7月5日(木)に開幕する。同劇団の加藤拓也が作・演出を手掛け、災害によってオフィスビルに閉じ込められた会社員たちの姿を描く本作。W主演を務める北乃きいと柄本時生に話を聞いた。【チケット情報はこちら】劇団た組の作品に参加することについて北乃は「舞台は今回で3作目ですし、まだ本当にわからないことだらけで。でも加藤さんとお話していると変わった方だなと思うので(笑)、どんな演出をされるのか今からとても楽しみです。稽古場で時生さんの引き出しが間近で見られるのもうれしいですし、先輩がたくさんいる現場なので勉強したいなと思っています」、柄本は「加藤さんは年下なんですよ。これは初めてのことで。年下に演出されるというのがどういうことなのか、自分の中で何が起きるのか、すごく楽しみにしています」と語る。柄本は28歳、加藤は24歳。年齢がどう関係してくるのか尋ねてみると「なんですかね。今は言うことを聞くつもりなんです。でも、年下に芝居のことを言われて自分がどう思うのか。自分が先輩風を吹かせたがるのか、どんなことが起きるのか…。今、僕はそこが1番楽しみだし、興味がある。そういうものを楽しめたらいいなと思っています」(柄本)。今作の脚本については、ふたりとも台詞の使い方が気になったそう。柄本は「加藤さんは台詞には興味がなさそう」と感想を語ったが、実際それは加藤作品の特徴でもある。台詞そのものより“シーンとして意味をなす”ことが重要で、“相手との細かな積み重ねから生まれるエネルギー”のために台詞が使われているというイメージだ。「台詞になにかしらの意志が感じられるものがないんですよ。それが面白いし、楽しいです」(柄本)。北乃も「例えば全部止まって台詞を言おうと思えば言える本なんですよ。ト書きもあまりないですし」と話すように、台詞そのもので人を動かそうとしているわけではないぶん、サラッと言えてしまえそうなものばかりなのだそう。しかし稽古を重ねるにつれ、それが変わっていく。「今は自分の役がどうかと聞かれたときも答えられない。もちろんそれぞれキャラクターがあるのですが、それはこの年齢のこういう立場の人はこうだろうな、というくらいのもので。最後まで読んでも“どうしよう…”という感じなんです」と北乃。ここからどうつくられていくのか、開幕を楽しみに待ちたい。「劇場も作品にとても合ってますよね。呼吸や空気が伝わる距離ですし、きっとお客さんが“いる”感じになると思います」(北乃)という公演は、7月5日(木)から16日(月・祝)まで東京・すみだパークスタジオ倉にて。取材・文:中川實穗(なかがわみほ)
2018年06月26日劇団四季創立65周年記念の『ソング&ダンス65』が、6月17日、大阪四季劇場にて開幕した。劇団四季「ソング&ダンス65」チケット情報ミュージカルの名曲の数々を四季独自のアレンジで再構築する『ソング&ダンス』シリーズ。同劇団の数あるレパートリーの中でも、とりわけ人気が高いショー形式のステージで、これまでも劇団の節目ごとに上演されてきた。創立65周年を記念して誕生したシリーズ最新作は「劇団四季の誕生から未来」、「祈り」や「願い」をコンセプトに構成。第一幕は『ウェストサイド物語』の「サムホエア」で幕を開け、『ライオンキング』『ウィキッド』『アンデルセン』『クレイジー・フォー・ユー』など、数々の名作から珠玉のナンバーが披露されていく。10月に大阪四季劇場で開幕する『リトルマーメイド』からも「深海の秘密」「海の上の世界」などが組み込まれている。フラッグパフォーマンスや、熱を帯びた迫力のフラメンコ、マリンバやシロフォンなどの打楽器を使ったパフォーマンスなどでも魅せ、一幕ラストの『クレイジー・フォー・ユー』メドレーでは、セクシーに魅せたりコミカルに表現したり、タップダンスで軽快にリズムを刻んだりと観客を高揚させる。第二幕は『アラジン』『美女と野獣』『キャッツ』『オペラ座の怪人』など、ディズニーミュージカルやアンドリュー・ロイド=ウェバーの作品を中心に展開。幕開きを観客参加型の演出で一体感を生み出したり、バトントワリングのパフォーマンスや大きな布を使った演出でも楽しませてくれる。数々の名曲と華やかなダンスをたっぷりと堪能できる『ソング&ダンス65』。いつもは作品の“役”として表現しているが、本公演では役に入っていないからこそ、ひとりひとりの歌唱力、ダンス力はもちろん、パフォーマンス力の高さが際立っている。本公演を上演するにあたり、構成・演出・振付を手がける加藤敬二は「劇団四季創立65周年を記念するこの作品で最も大事にしていることは、“この65周年は我々だけではなく、全国のお客様によって築かれた”という感謝の気持ちです。この想いを、様々な名曲とダンスにのせて、お客様にしっかり届けてまいります」とコメント。大阪四季劇場での上演は、8月19日(日)まで。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2018年06月26日セリフを一切使わず、殺陣だけで物語を紡ぐ劇団壱劇屋の“WORDLESS殺陣芝居”シリーズ。その新作で劇団10周年記念公演の『二ツ巴-Futatsudomoe-』が、4月6日(金)よりABCホールにて上演される。開幕を1週間後に控えた3月29日、大阪・道頓堀の戎橋に出演者たちが登場し、ゲリラで殺陣パフォーマンスを敢行した。劇団壱劇屋10周年記念公演「二ツ巴-Futatsudomoe-」チケット情報人気の撮影スポットとしても知られ、観光客や若者たちでにぎわう戎橋。作・演出を手がける竹村晋太朗を先頭に、今作で主役を務めるNMB48の久代梨奈、谷川愛梨ほか、『二ツ巴』の衣装を身にまとった総勢12人の出演者が現れると、周囲の注目を集めた。約1分半、シーンを抜き取って殺陣を披露。竹村と岡村圭輔によるスピーディーな殺陣やアクションが繰り広げられると、周囲からは「すごい…!」と、感嘆の声が上がる。さらにそこに、久代と谷川が加わり、久代は竹村と、谷川は岡村と刀を交え、しなやかかつ華麗な立ち回りで魅せ、公演をアピールした。アイドルのふたりが真剣に取り組む殺陣芝居、そして彼らの迫力のパフォーマンスは、ぜひ劇場で体感してほしい。劇団壱劇屋10周年記念公演『二ツ巴-Futatsudomoe-』は、4月6日(金)から8日(日)まで、大阪・ABCホールにて。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2018年03月30日AKBグループをはじめ乃木坂46の総合プロデューサーである秋元康さんが初めて劇団をプロデュースするということで、立ち上げから何かと話題になっていた劇団4ドル50セント。その正体に迫ります!文・尹 秀姫秋元康プロデュースの新劇団『4ドル50セント』って?約5000名のなかからオーディションで選ばれた30人の劇団員は、元AKBメンバーから現役の植木屋さんというバリエーション豊かな人たちが集まったものの、9割が演技経験ゼロという素人集団。にもかかわらず、昨年11月に行われたプレ公演『The Making of $4.50 夢を見たけりゃ、目を開けろ。』はチケットが即日完売となるほど大人気。そこには、今までにない新しい仕掛けがありました。演劇以外にも幅広い活動を行うエンタテインメント集団秋元康さんがプロデュースしているだけあって、劇団4ドル50セントは演劇というステージのみにこだわらず、モデルやバラエティ、音楽活動などさまざまなジャンルに活動の場を広げているのも大きな特徴。2月の本公演でメインキャストに選出された福島雪菜さんは、SHOWROOMでの個人配信閲覧者数が1万人を突破する記録を打ち立て、週刊「ヤングマガジン」(1月22日発売号)の表紙にもなるなど活躍目覚ましい看板女優のひとり。他にも、ぽっちゃり女子ファッション誌「la farfa」のモデルとしても活躍している隅田杏花さんなど、いろんな魅力を持った役者が集っているのも大きな魅力です。ファンがキャストを選ぶ斬新なシステムもそして、2月8日~12日に紀伊国屋ホールで行われる旗揚げ本公演『新しき国』では、メインキャストをYouTubeによるファン投票と審査員投票で行うという、今までにないスタイルでキャストが決定。舞台に上がる役者をファンが選ぶという新しいスタイルで、演劇界に革命を起こします。なお、この投票ではメインキャスト8名のうち、7名が決定。残り1名の枠をかけて4名が争っており、この結果にも注目が集まっています。7名のメインキャスト。糸原美波、福島雪菜、蕪祐典、岡田帆乃佳、前田悠雅、本西彩希帆、中村碧十。Information劇団4ドル50セント 旗揚げ本公演『新しい国』2018年2月8日(木)~12日(月・祝)東京都 紀伊國屋ホールトータルプロデューサー:秋元康クリエイティブディレクター:近山知史脚本:丸尾丸一郎音楽:和田俊輔振付:CRE8BOYあらすじ寂れた地方都市、夢沢町にある「夢沢銀座」はシャッター商店街になっている。昼は堅くシャッターを閉ざしているが、夜になると賑わう。お金は価値を持たない。夢を売り買いする不思議な商店街であった。ある日、夢に破れたミュージカル女優が死に場所を求めてやって来る。彼女と商店街の住人たちは、夢沢町を守るためにオリジナルミュージカルを創作する。しかし、雨の日に演じられたのは夢沢銀座の悲しき物語であった。
2018年01月29日近年、数々の演劇賞を受賞し、注目を集めている「劇団チョコレートケーキ」。その甘く可愛い劇団名からは想像できないような、歴史的事件や社会的テーマを扱った、硬質で濃密な作品を作り続けている。その中核を担うのが脚本担当の古川健さんと、演出担当の日澤雄介さんだ。ひとつの歴史の裏と表を描いた2作。「もともとは脚本のネタに苦しんで、どうしたら苦しくなくなるかを考えたときに、自分の興味のあることを書いてみようと思ったのが発端でした」(古川さん)あさま山荘事件や大正天皇など、歴史や社会的な事象を扱いながらも、古川さんが描くのは、「そこに関わる個の人間の感情の機微。あくまでも等身大の人なんです。自分の感性に落とし込んで観られるからこそ、多くの人に支持してもらえたんだと思います」(日澤さん)そこに、「演劇はやっぱり娯楽だと思うんです」と古川さんも続ける。「そのために、もっともらしい嘘を入れることもたびたび(笑)。ただ、僕自身の主張を語らせるような嘘はつきたくないと思っています。モチーフに対するリスペクトを失ったら、作品が途端に胡散くさいものになりますから」(古川さん)それを演出する日澤さん側は、「あえて知識を入れないようにしている」という。「もともと本をあまり読まないのもあるんですが、基本的に、脚本に書かれたものがすべてだと思うようにしています。僕のような史実を知らない人間が観たとき、ちゃんと枠組みを理解して楽しめるのかが大事だと思うので」(日澤さん)社会派劇というとなんだか小難しそうに感じるけれど、この完全分業システムが、題材について何も知らずに観ても、わかりやすく、楽しめる舞台を生み出している。そんな彼らの次回作は、初演時から2本同時上演されてきた『熱狂』と『あの記憶の記録』の再々演だ。「そもそものコンセプトは、第二次世界大戦を直接描かずに表現したいというもの。この2本はいわば、そのプロローグとエピローグに位置しています」(古川さん)『熱狂』ではヒトラーが国民の心を掌握していく過程を、『あの記憶~』では戦後25年を経た中東の家族を軸に、過去の記憶が描かれる。「ひとつの歴史の表と裏で、全然カラーが違う作品です」(古川さん)「1本だけでも楽しめる強度を持っている作品ですが、2本観ていただけたら、我々が伝えたいものが明確に伝わると思います」(日澤さん)『熱狂』『あの記憶の記録』初演は’12年。その翌年、劇場との特別提携公演として再演。第二次世界大戦というどっしりと重い題材を、まったく違う時代や国を舞台にした2作で描くという企画の面白さとドラマの重厚さで、観客の大きな支持を得、CoRich舞台芸術アワード!を受賞。撮影・池村隆司(共に2013年の公演より)12月7日(木)~19日(火)池袋・東京芸術劇場前売り3800円当日4000円2作品共通チケット7000円初日割3500円U25(25歳以下、要証明書)3000円*すべて税込み劇団チョコレートケーキTEL:080・9080・1861(月~金曜11:00~18:00)ふるかわ・たけし、ひさわ・ゆうすけ’00年に劇団チョコレートケーキを結成。’09年より古川さんが脚本を、’10年より日澤さんが演出を手掛けるようになり現在に至る。’15年に紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞。※『anan』2017年12月13日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年12月11日日本演劇界を牽引する劇団四季。松島勇気は、そのトップ俳優の1人として、『キャッツ』『コーラスライン』など劇団の代表作に多数出演してきた。彼が現在キャスティングされているのが、ミュージカル『アンデルセン』。 主人公は童話作家として世界中でその作品を愛され続けるハンス・クリスチャン・アンデルセン。彼が生きた1830年代のデンマークを舞台に、貧しい靴職人だったアンデルセンが苦難の中でも希望を失わず、もちまえの想像力を駆使して“物語の王様”になるまでを描いた作品だ。 「初めて劇団四季の舞台を踏んだ思い入れの強い演目なので、また出演できてうれしいです。大スペクタクルミュージカルのような派手さはありませんが、始めから終わりまで緩やかで心地いい空気が流れるすばらしい作品だと思います」(松島・以下同) 『親指姫』『人魚姫』など、アンデルセンの名作童話を題材にした楽曲がちりばめられているのも本作の魅力。また、王室バレエ団の演出家兼プリンシパルダンサー・ニールス役のキャストの1人として、松島が担う本格的バレエシーンも見どころだ。 「見に来てくださった方に“バレエってこんなに美しいものなんだ!”と感じていただけるように毎回必死です。個人的には、前回(’11年)の出演後にさまざまな経験をしたことで、役柄のキャラクターを読み解く力がさらにアップしたと思っています。ニールスという人物をより深く演じられている手応えがありますね」 入団以来、数々のハマり役を手にし、劇団内でも一目置かれる松島。第一線で活躍を続けるために意識していることは? 「そう言ってもらえるのはありがたいのですが、まったくないんですよ(笑)。というか、僕はいつまでたっても本当に未熟な人間で。『アンデルセン』へ何度も出演してきたにもかかわらず、今回台本を読んで改めて気がつく部分がたくさんあって。当時の台本に書かれた、自分のトンチンカンな書き込みを見て愕然としました(笑)」 劇団のオーディションに合格し今年で15年目。今思う劇団四季の魅力って? 「劇団四季は、言葉に重きを置いているところが特に素晴らしいと思います。一語一句、言葉を、言葉に流れる意味や内容をしっかりお客さまに届ける。言葉が届くから作品が伝わり、感動して帰ってもらえる。ぜひ一度体感していただけたらうれしいです!」
2017年09月18日劇団ゴジゲン初の番外公演『なんかすごいSF的なやつ』が7月6日より上演される。主宰の松居大悟が不在のなか、本作で初の演出を務める劇団員の目次立樹と、脚本の堀善雄、出演の奥村徹也に話を聞いた。ゴジゲン番外編「なんかすごいSF的なやつ」チケット情報ゴジゲンの前作『劇をしている』から次の本公演まで期間が空いてしまうため「番外公演をやろう!」と昨年の夏に劇場をおさえたところから始まり、劇団内で企画会議が行われ、堀が脚本を、そして目次が初演出を担うことになった。客演陣は、その会議で全員名前が上がったメンバーだそう。「大村(まなる)は稽古序盤からいきなりトップギア!すごいです!8年前に初めてゴジゲンの『ハッピーエンドクラッシャー』に出てもらって以降、劇団プレステージや他の現場でたくさん経験を積んできたんだなと。藤尾(勘太郎)は配役を決めるまで色んな役を試してもらったんですけど、どの役をやらせても面白いし、しっくりくる。とても器用な役者さんです。」(目次)「確かに勘太郎さんは劇団「犬と串」で看板俳優をやってきただけあって物語を背負って舞台に立てる俳優。土田(祐太)さんは最年長だけど一番泥臭くてとてもアツいです。劇団献身のメンバーでもある木村(圭介)はずっとゴジゲンに憧れがあったから、一番ワクワクして目がキラキラしている。」(奥村)と、個性豊かなメンバーが集まって作品作りに取り組んでいる様子。タイトルにもある通り“SF的な”作品になるという本作に関して脚本の堀は、「なるべく広げて書こうとして、自分でも把握できないくらい色んな要素が入りました。だから稽古でディスカッションをすると「ああそういうことなんだな」と気づかされることも多くて楽しい。僕が書いた脚本に、演出や出演者の皆さんが持ってきてくれるものを足して、最終的には宇宙みたいなものが出来上がるといいなと思っています。」と語る。「ゴジゲンをいつも観に来てくれる人は今回の作品も好きなはず!ゴジゲンを観たことない人はこの作品を観たらきっとゴジゲンが好きになるはず!そのぐらい誰もがほっこり楽しいやつなので、ぜひお友達を誘って観に来てほしいです。」(目次)「今までのゴジゲンは最終的なところは松居さんに委ねていたのですが、今回は誰に委ねるでもなく、一人一人が自発的に責任をもって作っているっていう感じがあります。奇跡的に集まったこの個性豊かなメンバー7人で舞台をやれるのも1回きり。7月の7ステージ限りの衝動をぜひ見届けてほしいです。」(奥村)7月6日(木)より下北沢・小劇場B1にて上演。アフターイベントも決定し、主宰の松居大悟も登壇する。
2017年06月27日鴻上尚史率いる「虚構の劇団」の第12回公演『天使は瞳を閉じて』が、8月5日(金)に開幕した。【チケット情報はこちら】本作は、鴻上主宰の劇団「第三舞台」(2011年に解散)が、1988年に鴻上作・演出で初演。以来、再演を重ねてきた作品だ。「虚構の劇団」では2011年8月に上演され、今回5年ぶりとなる。初日の公演を観劇した。舞台は、放射能に汚染されて人間がいなくなった地球。人間がいないせいで天使は暇を持て余していた。しかしあるとき、天使の1人が「透明な壁」に囲まれた小さな街を見つける。そこはかつて原発事故が起き、放射能を外に漏らさないために壁で覆った街。しかしその壁が結果的に街を守り、人類滅亡から逃れた唯一の場所だった。そこで暮らす人間は、街ができた経緯を忘れ、楽しそうに生活している。その姿に惹かれ、1人の天使が人間になる。もう1人の天使は、そんな人間たちの毎日をただただ見つめ続ける――。描かれているのは、人間の営みだった。天使が思わず人間になってしまうほど思いやりや夢に満ちた世界が、(放射能ではなく)人間の心に起因して少しずつ変わっていく。その小さな発端の連なりや、そこから生まれる別の感情、なにかのきっかけで弾ける残酷さ……そういったものが一つひとつ丁寧に描かれ、演じられている。また、鴻上作品ならではの笑いやダンスのシーンは楽しい。ユタカ(上遠野太洸)とマリ(鉢嶺杏奈)の新婚夫婦がいちゃつく姿では、美男美女の壊れっぷりに笑った。物語は少しずつ回転速度を上げていく。いつでもやり直せた日々は、気付けばもう引き返せない速度で動いており、舞台上の空気も変わってしまっている。そんな変化をただ見つめることしかできない天使(小沢道成)の表情は、やさしく切なく悲しい複雑な色をしていた。上演前、舞台上には「通行制限中帰還調整区域につき通行止め原子力災害現地対策本部」と書かれた看板が立っていた。本作はもともとチェルノブイリの原発事故を発端に書かれたものだが、今その看板は身近で生々しいものになった。1988年に書かれた戯曲が驚くほど今とシンクロする。過去に観たことある人も、ない人も、ぜひ“今”観てほしい作品だ。『天使は瞳を閉じて』は8月14日(日)まで東京・座・高円寺1にて。その後、愛媛、大阪、東京にて上演。取材・文:中川實穗
2016年08月12日劇団四季が今年12月に海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』を上演することを発表した。ミュージカル『ノートルダムの鐘』は世界的文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作『Notre-Dame de Paris(ノートルダム・ド・パリ)』を原作に、2014年に米国で開幕した作品。1996年のディズニー劇場版長編アニメーションをもとに、『美女と野獣』『アラジン』等を手がけたアラン・メンケンが音楽を、『ウィキッド』等を手がけたスティーヴン・シュワルツが作詞を担当している。15世紀のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む男カジモド、その彼を密かに世話する大聖堂聖職者フロロー、同警備隊長フィーバス、そして3人が愛するジプシーの娘エスメラルダを中心に、人間が抱える暗部と、その中に輝く愛の美しさを描き出す。今回上演されるディズニー製作版は、大掛かりで機械的な舞台機構に頼らず、世界観を簡潔にまとめた装置の中で、クワイヤ(聖歌隊)を舞台上に終始存在させるなど、きわめて演劇的な演出が見どころ。なお、劇団四季は1996年の長編アニメーション『ノートルダムの鐘』の日本語吹き替え版を担当しており、ファンにとっては待望の上演と言えそうだ。同時に、この上演に向け、全キャストを公開オーディションで決定することも発表された。応募資格は18歳以上、国籍不問。応募締切はメインキャスト・アンサンブルキャストは3月18日(金)18時、クワイヤ(聖歌隊)は3月29日(火)18時。詳細は劇団四季ホームページにて。公演は2016年12月、東京・四季劇場[秋]にて。チケット発売情報などは後日発表。
2016年02月29日劇団四季が今年12月に海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』を上演することを発表した。ミュージカル『ノートルダムの鐘』は世界的文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作『Notre-Dame de Paris(ノートルダム・ド・パリ)』を原作に、2014年に米国で開幕した作品。1996年のディズニー劇場版長編アニメーションをもとに、『美女と野獣』『アラジン』等を手がけたアラン・メンケンが音楽を、『ウィキッド』等を手がけたスティーヴン・シュワルツが作詞を担当している。15世紀のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む男カジモド、その彼を密かに世話する大聖堂聖職者フロロー、同警備隊長フィーバス、そして3人が愛するジプシーの娘エスメラルダを中心に、人間が抱える暗部と、その中に輝く愛の美しさを描き出す。今回上演されるディズニー製作版は、大掛かりで機械的な舞台機構に頼らず、世界観を簡潔にまとめた装置の中で、クワイヤ(聖歌隊)を舞台上に終始存在させるなど、きわめて演劇的な演出が見どころ。なお、劇団四季は1996年の長編アニメーション『ノートルダムの鐘』の日本語吹き替え版を担当しており、ファンにとっては待望の上演と言えそうだ。同時に、この上演に向け、全キャストを公開オーディションで決定することも発表された。応募資格は18歳以上、国籍不問。応募締切はメインキャスト・アンサンブルキャストは3月18日(金)18時、クワイヤ(聖歌隊)は3月29日(火)18時。詳細は劇団四季ホームページにて。公演は2016年12月、東京・四季劇場[秋]にて。チケット発売情報などは後日発表。
2016年02月29日劇団公演のみならず、プロデュース公演などここ1、2年立て続けに目覚ましい活動を行ってきた劇団鹿殺し。2016年、年明け早々に上演される最新公演は、活動15周年の記念すべき作品となる。劇団鹿殺し『キルミーアゲイン』チケット情報そんなメモリアルな作品にゲスト出演するのは、若手注目俳優・大東駿介。彼と鹿殺しの縁は、たまたま観に行った鹿殺しRJPのライブハウス公演がきっかけ。出演オファーを受け「最初は正直、ビビってるところもありました(笑)」という大東だが……。大東「でもね、丸尾さんが今回の公演に寄せたコメントで『僕は新しい劇団鹿殺しの旅立ちを宣言する』って書いてるんですよ。しらんけど、その熱量に感化されるというか。何でもやるぞ、いや、やってやろうやんけと、戦いを挑むような気分になってるんです。男ってよくわからないタイミングで節目を作ったり、戦いを挑んだりするものなんで(笑)」そう、大東にとっても“節目”なのだ。来年3月で、30歳を迎える大東。大東「もうすぐ30歳やし。大人にならな、とか思うんですけど、自分の中にどこか鬱憤や違和感があって、そのサイズだけが膨れていく感覚というか…仕事をしていても『芝居ってなんやろ』と考える瞬間がある。誰に向けて発信してるんだろう、とか。だから鹿殺しみたいな、純粋に内から出るものを評価してくれる空間って、すごく大事だなと思うんです」そんな大東の言葉を聞いて、どこか安心したような表情を見せるのは演出家・菜月チョビ。菜月「今回は15周年の節目ということもあって『舞台裏の話』にしようかと。上演する人の生身の姿と一緒に、俳優たちだけじゃない“作っている人たち”全員の裏側が透けて見える。そんな作品になると思います。大東君に演じてもらうのは作家。多分、丸尾が一番自分を投影するであろう役です(笑)」大東にとって、このクラスの「劇団公演」への参加は初体験。菜月「うちは稽古場に作家がいるし、みんなで演出を考えていく場面も多いから、意見が割れてどうしても譲れない時は2種類稽古したり。だから役者(さん)カットの負担は大きいし、ゲストというより『一緒に作品を作る人』という感じになる」大東「でも、鹿殺しだからできること、鹿殺ししかできないことはあって。俺もここでしかできないことはきっとあるし、それは“お客さん”じゃできないだろうな、というのは思ってます」芝居作りも、生き方も、“スマート”になりきれない…そんな話で意気投合する2人。その熱量の共鳴はきっと、舞台上にも立ち上ってくるはずだ公演は2016年1月9日(土)から20日(水)まで東京・本多劇場、1月28日(木)から31日(日)まで大阪・ABCホールにて。チケットの一般発売は11月8日(日)午前10時より。取材・文:川口有紀
2015年11月06日中屋敷法仁が率いる劇団「柿喰う客」の新作本公演『天邪鬼』が、9月16日(水)から東京・本多劇場ほかにて上演される。【公演情報はこちら】劇団「柿喰う客」は東京を拠点に活動する人気劇団で、来年には結成から10周年を迎える。新進気鋭の女優だけでシェイクスピアを上演する“女体シェイクスピア”シリーズやこどもから大人まで一緒に楽しめる作品を上演する“こどもと観る演劇プロジェクト”など幅広く作品創作に取り組んでいる。中屋敷法仁の新作を上演することを目的とする本公演は、1年半ぶり。また、劇団メンバーだけでの公演は、2011年に上演された『無差別』以来、実に3年ぶりである。本作で主役を務める玉置玲央を始め、プロデュース公演や映像でも活動の幅を広げるメンバーたちが集結し、どのような作品が出来上がるのか期待したい。“圧倒的なフィクションの創造”を劇団のテーマとして、様々な舞台を生み出してきた柿喰う客。本作で挑むのは、想像力を操り、拳銃に見立てた手から虚構の弾丸を放つことができるこどもたちが、大人たちにその能力を利用され、ホンモノの戦争ごっこに送り込まれるというストーリーだ。作・演出の中屋敷法仁は、「“演劇=虚構”という概念すら疑わしくなってきた昨今、より強く虚構の空間を築き、この演劇で現実の世界を取り戻したい」と語る。結成10周年を前に「10万人動員宣言」を発表し、より多くの人に気軽に演劇に触れてもらう機会をつくることを目的として公演の映像や戯曲の無料公開を行う企画「となりの柿喰う客」や全国の高校演劇部や大学生の演劇サークルに向けて公演のDVDと中屋敷法仁が高校在学中に発表した『贋作マクベス』の台本などを無償で提供する「めこちゃん宅配便」など、団体としても新たな試みにチャレンジしている。柿喰う客『天邪鬼』は、9月16日(水)の本多劇場を皮切りに、兵庫公演、岐阜公演と続く。取材・文:井藤 一
2015年09月16日アミューズ所属の俳優によって結成され、今年10年目を迎える劇団プレステージが挑むのは、東京・紀伊國屋サザンシアター初進出&初の大阪公演!劇団を代表して今井隆文、大村学、高橋秀行の3人に見所と意気込みを聞いた。劇団プレステージ『Have a good time?』チケット情報上演される『Have a good time?』は、デビュー10年目を迎える5人のC級アイドル『東京オードル』の起死回生をかけた物語。2012年8月に初演され、ファン待望の人気作だ。「劇団の成長ともリンクするような内容ですし、初演当時と比べて、ぼく自身の視点も変わってきている。今までにない大きな劇場ですし、今この作品でどんな景色が見えるのか楽しみ」(今井)、「ぼくらがキャパ100人足らずの小さな劇場から飛び出すキッカケになった演目でもあるので思い出深い。それを大きな劇場で再演するのは劇団としても緊張感があります」(高橋)、「アイドルの物語で、ファン視点も盛り込まれているのでセリフを受け取った方々の心が痛かったり揺れたりするかもしれません。エンタメ性の高い舞台なので心が動くことも含めて楽しんでほしいし、初めての方にもすごく入りやすいお話ですね」(大村)劇団プレステージでは公演のたびに、配役を劇団内オーディションで決定する。結果によって出番がガラッと変わるというから実にスリリング。多彩な劇団員たちも魅力的だ。「飛び道具みたいな役者や女装がすごくきれいな役者、オジサン役が得意な役者もいる。オバサンをやらせたら僕の右に出る者はいないですね(笑)」(今井)、「ぼくみたいなイケメン(笑)や、よく見るとイケメン?というヤツも。いろんな味わいのメンバーがいるので、お芝居と一緒に人間味みたいなものも感じてほしいですね」(大村)、「そんな劇団員たちが本作ではブサイクとイケメンのアイドルグループに分かれて演じます。すごく華やかでおもしろくてポップですが、見終わったときに果たしてどちらの生き方が幸せなんだろう……と考えてしまうかもしれません」(高橋)劇団として常に試されながらも10年目を迎えられたのは、持ち前のチームワークの良さと、そんな彼らを楽しみにしているファンたちの存在だ。「新たな劇場進出も大阪公演の実現も皆さんの応援があってこそ辿りつけました。なので、この公演は勝負だと思っているし、これまでの感謝の気持ちも贈りたいですね」(今井)公演は8月8日(土)・9日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホール、8月12日(水)から23日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて。チケットの一般発売は7月11日(土)午前10時より。チケットぴあでは、インターネット先行抽選を実施中、6月29日(月)午前11時まで受付。取材・文おーちようこ
2015年06月26日昨年3月にブロードウェイで開幕したディズニーのミュージカル『アラジン』を、初の海外プロダクション公演として上演する劇団四季の『アラジン』。これまでも『美女と野獣』『ライオンキング』等々、メガヒット作を送り出しているディズニーと四季の提携作ということもあり、注目が集まるこの新作ミュージカルの稽古場取材会が4月28日、横浜・あざみ野の四季芸術センターで開催された。劇団四季『アラジン』チケット情報作品は1992年公開の劇場版長編アニメーションをもとに創作されたもので、砂漠の王国に住む青年アラジンと王国の姫ジャスミンの恋模様を軸に、ランプの精ジーニーや数々の魅力的なキャラクターが絡む、冒険とロマンスの物語。この日は幕開けのビッグナンバー『アラビアン・ナイト』と、アラジンと友だち3人が歌い踊るナンバー『バブカック、オマール、アラジン、カシーム』のシーンを披露。俳優たちは稽古着だったものの、カラフルな布や小道具が独特な空気を醸し出している。ジャズテイストを盛り込んだ楽曲もノリが良く魅力的で、ダンスもアラビアン・テイスト。劇団四季の俳優たちのハイレベルなパフォーマンスで、早くも中東のパワフルで妖しげな世界が生き生きと色づいていた。オープニングナンバーでは、演出補のスコット・テイラー氏から「このアラビアの世界を旅行ガイドのように紹介するという手段もありますが、今日1日、このショーで楽しんでいただく、そういうやり方もあります。『すごく面白いお話をこれからご紹介しますよ』という気持ちを観客だけでなく、舞台に立っているお互いの間でも、例えば視線を交わしたりして伝えて欲しい」という注文が。そののち再度同じナンバーを通すと、俳優たちの笑顔が柔らかいものに。テイラー氏も「ダメ出しした部分を全部直してくれました!ありがとう」と満足気な表情だった。その後、クリエイティブスタッフとキャストの取材会も。アラジン役候補の島村幸大は「この作品は色が華やかで、舞台も演出もすごく派手。その中で大切な内容をしっかり伝えていくことを重点に置いて日々の稽古に取り組んでいます」と現在の心境を話した。他にもテイラー氏が「ブロードウェイにはない追加の要素もあります。ディズニーの舞台は“ディズニー・マジック”と呼ばれる秘密の要素がありますが、今回は“四季マジック”ですね。さらに楽しんでいただけるものが盛り込まれています」とブロードウェイよりさらに進化していることを明かし、ジーニー役候補の道口瑞之が「コメディの要素が強いイメージがありますが、最後は泣かせる作品。四季の色が加わったこの作品は“笑って笑って最後に泣かせる”、そこはブロードウェイに負けない」と胸を張った。期待が高まるこの公演『アラジン』は5月24日(日)に東京・大同生命ミュージカルシアター 電通四季劇場[海]にて開幕。チケットは2016年5月31日(火)公演分まで発売中。
2015年05月01日作・演出の松村武が主宰を務め、看板俳優に八嶋智人を有する劇団「カムカムミニキーナ」が、今年結成25周年を迎える。その記念公演『スワン・ダイブ』の上演を前に、劇団、さらに新作への想いをふたりに訊いた。カムカムミニキーナ『スワン・ダイブ』チケット情報四半世紀にも及ぶ劇団生活について、「とにかく続けたいという想いでやってきて、実際ここまで途切れずにきた。それがすごくありがたい」と八嶋。松村も「その中で“カムカムでしか観られない作品”にこだわって芝居をつくってきた。そこがはっきりしていたからこそ続けられたし、これからも続いていくものだと思います」と声を大にする。では“カムカムでしか観られない作品”とはいかなるものなのか。それは八嶋いわく「時間の捉え方」だと。その詳細を松村は、「僕ら奈良県人というのは、近所に古墳があったり、1000年幅で時間を考えていたりするんですよね。その“時間の縦軸”というものが作品の特徴でもあって、例えば5代前の人の生き方と、現代をリンクさせた物語をつくっていく。しかもそこにある説得力を持たせながら。カムカムってそういう団体なんです」と語る。そういった作品の演じ手として、「想像することの面白さ」を醍醐味のひとつに挙げる八嶋。さらに「(松村とは)中学校からの同級生ということもあり、僕にも似たような感覚があると思うんです。だから大きな時間のうねりの中で、すごく突発的なことが起きても、そんなに疑問を持たない。逆にそれにより各キャラクターが生きていく作風だと思うので、そこで自分が生きられるっていうのは、すごく楽しいことだと思います」と続ける。新作『スワン・ダイブ』も、まさに古代と現代がリンクした壮大な物語になる予定。諏訪大社の御柱祭や、列島縦横の大断層が交わる諏訪湖、ヤマトタケル伝説などをなぞりつつも、「諏訪湖とスワンをかけて『スワン・ダイブ』。いつもそうやってダジャレと流れだけで話をつくっていくんです」と松村は笑う。25周年記念公演ということで、「カムカムが久々って人にもぜひ観てもらいたい」と松村。また八嶋は、30数年前にチケットぴあで初めて演劇のチケットを買ったと振り返り、「そのことは今でも忘れられないし、演劇ってそれくらい強く残るものだと思うんです。我々もそういう想いでつくっているので、ぜひチケットぴあにアクセスしていただき(笑)、劇場まで足を運んで欲しいなと。30数年前の僕がそうであったように……」と目を輝かせた。公演は5月16日(土)から24日(日)まで東京・本多劇場、5月30日(土)・31日(日)大阪・ABCホールにて。チケット発売中。取材・文:野上瑠美子
2015年04月13日