個人事業主の方が新規事業を立ち上げる際に1つの課題となるのが、事業資金の調達です。個人事業主は法人に比べると融資が受けにくく審査が厳しいというイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。そこで本記事では、個人事業主が融資を利用する際のポイントや利用できる融資制度などについて詳しく解説します。個人事業で必要になる事業資金の目安個人事業主として事業をするにあたり必要となる事業資金は、営もうとする事業体によって大きく異なります。ここでは、およその目安について解説したいと思います。ネットを活用したビジネスネット通販やyoutuberなど、インターネット環境を活用したビジネスを行う場合、規模にもよりますが事業資金は比較的低く抑えられます。最近では自宅を事務所として開業届を出す個人事業主の方も多いので、家賃というランニングコストがかからなければ、調達しなければならない事業資金は大幅に抑えられるのです。目安としては、従業員等を雇用せずにフリーランス的な形で始めて徐々に拡大していくという場合であれば、50万円前後あれば十分でしょう。飲食店などの店舗経営飲食店などのショップを開業する場合は、個人事業主とはいえそれなりの事業資金が必要になります。店舗の場所や規模によって調達すべき事業資金の金額は変わってきますが、目安となるのが見込み年商です。飲食店やショップを経営する場合は、当初見込んでいる年商つまり年間の売上のおよそ50%程度の資金は調達しておかないと、途中でキャッシュフローが回らなくなる恐れがあります。両者の違いは、運転資金にかかるコスト両者の決定的な違いは、運転資金にかかるコストです。自宅開業系でのネットビジネス系であれば、設備投資としてパソコン台やネット環境に多少のコストがかかるものの、その後の運営については自分の人件費を除けばごく少額に抑えることができます。万が一自分が倒れて寝込んだとしても、収入が減少しても支出自体が少なく抑えられるので、キャッシュフローが困窮する心配はあまりありません。場合によっては、しばらくの間休業することも簡単です。対して店舗経営については、常に家賃という大きな固定費がのしかかるため、昨今のような新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が出されたりすると、途端に収入はゼロになるだけでなく、非常に重いランニングコストがかかってくることになります。そのため、店舗経営を個人事業主として始めたい方は、できる限り余裕のある事業資金を確保してから始めることをおすすめします。同じ個人事業主でも調達すべき金額には大きな差が出てきます。まずは自分自身の思い描いている事業を実現するために、どの程度の事業資金の調達が必要になるのかについて検討しましょう。おすすめの融資制度ここからは個人事業主の方におすすめしたい融資制度について詳しく解説していきます。法人で事業資金を借入するよりもなかなか条件が厳しい面もありますが、反対に個人事業主にやさしい融資制度もありますのでぜひ活用しましょう。日本政策金融公庫信用金庫ビジネスローン系多目的ローン[adsense_middle]日本政策金融公庫日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関で財務省が所管している金融機関です。経済の発展などを目的として設立されていることから、個人事業主など通常だと融資が受けにくい属性についても積極的な融資を行っています。日本政策金融公庫には複数の融資制度がありますが、中でも個人事業主の方におすすめしたいのが次の2点です。新規開業資金その名の通り個人事業を新規で開業しようとする人を対象とする融資です。個人事業主の場合、開業してある程度の実績ができてからであれば、他の金融機関でも融資が受けられたりしますが、全くのゼロから開業する場合は資金調達にとても困ります。新規開業資金なら新規開業する個人事業主はもちろんのこと、開業後おおむね7年以内であればすでに開業している方でも利用することが可能です。融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)融資期間:20年以内金利も低めでとてもおすすめの融資制度ですが、1つだけ注意点があります。融資期間は20年以内となっていますので、金利が低くても毎月の返済額が多めになる傾向があるため、事前にキャッシュフローのシミュレーションをしておくことをおすすめします。一般貸付通常の融資で事業を営んでいる人に広く対応している融資制度です。融資限度額:運転資金、設備資金4,800万円、特定設備資金7,200万円融資期間:運転資金5年以内、設備資金10年以内、特定設備資金20年以内このように用途に応じて限度額や期間が異なります。新規開業に限らず、事業途中での融資に利用しやすいです。また、税務申告を2期以上行っている場合、担保や保証人なしで利用できる融資制度もあります。個人事業主でも原則として無担保、保証人不要で、しかも2%以下の低金利で融資を受けることが可能です。ただし、税金関係に未納がある場合は利用できません。個人事業主の場合、資金繰りが危うくなると所得税等の支払いが遅れてしまうこともありますが、税金の未納があると利用できないため注意しましょう。信用金庫地域にある信用金庫も比較的個人事業主に対する融資に積極的な傾向があります。ドラマの半沢直樹でもありましたが、主人公半沢の両親の工場が銀行からの融資を断られた後に手を差し伸べたのが信用金庫だったそうです。信用金庫は地域のお金を個人や中小企業に対して融資することで、地域を発展させることに存在意義があるとされているので、都市銀行系に比べると個人事業主でも利用しやすいといわれています。信用金庫の金利などの特徴信用金庫は日本政策金融公庫のように、数千万円単位の融資には非常に慎重ですが、反対に1,000万円以下の資金調達であれば審査が下りやすいです。よって、比較的事業規模の小さいビジネスであれば信用金庫を利用してもいいかもしれません。金利については、日本政策金融公庫よりも高くなる可能性がありますが、それでもノンバンクなどに比べればマシな方です。ただし、公共性の高い日本政策金融公庫とは違い、民間の金融機関なので審査については多少ハードルが上がります。また、最大のネックは立地です。信用金庫は地元の中小企業事業者への融資を目的としているため、事業を始める地域にそもそも信用金庫の支店がないと利用することはできません。信用組合や地方銀行はどうなの?基本的には信用金庫と傾向は同じで、大企業ではなく中小企業や個人事業主に対する融資に積極的です。金利や貸し付け条件もおおむね同じで、近隣に信用組合がある場合に利用できます。また地方銀行についても、傾向としてはおおむね同じです。ビジネスローン系各金融機関が扱っている、ビジネス全般に利用できる融資で、金融機関によって貸し付け条件が異なります。審査が非常に早いので、臨時で運転資金が必要な場合などに向いていますが、反面金利が6%以上と非常に高く返済期間も短いものが多いので、濫用はおすすめできません。1度に借入できる金額も300万円程度と少額なので、あくまで一時的にキャッシュフローを補うような目的に使うこととし、設備投資についてはできるだけ日本政策金融公庫や信用金庫などを利用したほうが金利面でお得です。多目的ローン今すぐに資金が必要という時に便利なのが、クレジットカードなどでも利用できる多目的ローンです。多目的ローンとは使途を限定しないローンで、ウェブ上の手続きだけで200万円程度の資金であればすぐに借りられます。ただし、金利が高いので早めに返済しないと資金繰りを圧迫する可能性があります。金融機関から融資を受けられない方は、多目的ローンを使って繰り上げ返済していくか、実績を作った後に金利の低い金融機関と借り換えをするとよいでしょう。残高スライド元利定額返済方式に注意カードローン系を利用する時に注意したいのが、残高スライド元利定額返済方式です。最近の個人のカードではこの返済方式になっているものが多く、便利な側面がある一方で思わぬ落とし穴もあります。残高スライド元利定額返済方式とは、借入する際に月額返済額を定めて、債務残高が減少していくと段階的に減っていく返済方式です。例えば、設定金額10万円で100万円を借入した場合、翌月に追加で20万円借入しても月額返済額は10万円のままです。つまり、返済負担を一定に保つことで借入しやすくしているのです。これだけ聞くととても便利な返済方式に聞こえるかもしれませんが、借入を追加しても毎月の返済額に大きな変化がないので、返済自体は可能でもその間にどんどん借入残高が貯まっていってしまうのです。つまり、返済が全然進んでいかないので、気が付いた時にはすごい額の借入になっていたということも珍しくありません。個人事業主の方にとって非常に利用しやすいというメリットはありますが、使いすぎると返済ができなくなる恐れがありますので借入残高には十分注意しましょう。借入条件の注意点個人事業主の方が事業資金を借入する際には、次の点について注意が必要です。金利を低く抑える住宅ローンや不動産投資ローンとは違い、個人事業主が使う事業ローンは金利が割高になる傾向があります。金利が高いと返済効率が悪くなるので、たとえ借りられたとしてもあまりおすすめできません。特に1,000万円以上の融資を希望する場合については、日本政策金融公庫などできるだけ金利が低い金融機関を利用することをおすすめします。[adsense_middle]融資を受けやすくする方法個人事業主で融資を受けやすくするためには、金融機関を納得させられるだけの資料を準備することがとても大切です。新規開業であれば事業計画書、すでに営業中であれば前期の実績などの資料を金融機関に提出することで、融資を受けやすくなります。事業計画書は誰に相談する?事業計画書が重要といわれても、いままで作ったことがないという方がほとんどではないでしょうか。自分で作るスキルや経験がある方であればよいのですが、そうではない場合はぜひ税理士に相談してみてください。個人事業となると日々の記帳から確定申告まで全部自分でやらなければなりませんが、実際に事業を始めてみると本業に集中しなければならないので、そういった経理関係の業務に時間を割くことができません。そこで事業計画書と顧問契約をセットで税理士に依頼することで、資金調達の問題と開業後の経理の問題を同時に解決することが可能です。経営革新等支援機関ってなに?税理士に相談する際におすすめなのが、経営革新等支援機関に認定されている税理士です。経営革新等支援機関とは、財務局長および経済産業局長が認定する機関で、財務経営や資金調達のいわばスペシャリストとして認定された機関という位置づけです。何より頼りになるのが、事業計画書作りです。金融機関によっては、経営革新等支援機関が事業計画書の作成支援を行った場合に金利を優遇してくれる場合もあるようです。経営と資金調達に長けているので、単に事業計画書を作成するだけではなく、金融機関の印象が良くなる事業計画書を作成してくれます。税理士以外にも認定を受けている機関はありますが、個人事業主の場合は開業後の税務についてもまとめて依頼したほうがよいので、経営革新等支援機関に認定されている税理士が心強いでしょう。経営革新等支援機関は、中小企業庁のホームページで一覧を見られますので税理士選びの参考にするとよいでしょう。個人事業主の融資に関するまとめ今回は個人事業主の資金調達について解説してきました。個人事業主が融資を受けるとなると、法人よりもハードルが高いというイメージがあるかもしれませんが、日本政策金融公庫や信用金庫などをうまく活用すれば、意外と資金調達はスムーズにできます。ノンバンクや多目的ローンなどについては、すぐに使えるという強みがある一方で、高金利で返済が進みにくいという落とし穴がありますので、あくまで臨時で必要な場合に利用はとどめましょう。設備投資などまとまった資金の調達については、できるだけ低金利で借りられるところを選ぶことが大切です。資金調達は借りることが目的ではありません。借りたお金で事業を成功させるためには、その先にある事業計画がとても重要です。事業が初めてという方は、経営革新等支援機関に認定されている税理士などに相談して、事業計画書の作成や資金調達についてコンサルティングしてもらうことをおすすめします。
2020年04月23日世界中で終息の時期が見いだせない新型コロナウイルス感染症。政府は4月7日、新型コロナウイルス感染症対策として、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪県、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発令しました。これに先駆け、不妊治療に関する情報として、4月1日に日本生殖医学会が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明」を発表し、医師に対して、不妊治療を延期する選択肢を提示するよう推奨しました。これらの発表によって、各地の不妊治療施設でも新型コロナウイルスへの対策や今後の治療方針が打ち出され、妊活・不妊当事者の困惑と混乱は広がりを見せています。 そんななか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における方針を発表しました。 不妊治療の延期、助成金の年齢制限はどうなる?体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)を受ける夫婦には、特定不妊治療助成制度による助成金が支給されています。助成金の支給には、治療を開始したときの妻の年齢や受給の回数、夫婦の合算年収制限などの条件があります。 晩婚化・晩産化が進むなか、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って出された日本生殖医学会の声明に従うことが、助成金を受ける際に大きな壁となってしまうことが危惧されています。 例えば、声明に従って不妊治療を1年延期したために、治療期間初日の妻の年齢 「43歳未満」という条件を超えてしまった場合には、助成事業対象外となってしまいます。不妊治療を延期することで、助成金が受け取れないという事態が発生してしまうのです。 厚労省が不妊治療助成における対応について方針を発表妊活・不妊当事者の不安の声が高まるなか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における対応について方針を発表しました。 具体的な内容は下記のとおりです。 【新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和】 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 このように、年齢の上限が1歳引き上げられました。医師や看護師、パートナーとの丁寧なコミュニケーションが必要報道では、不要不急という言葉が繰り返されています。世界各国のARTのデータ収集・分析・普及をおこなう非営利国際機関のICMART( International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology)の声明文の和訳には、「新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨する」との一文もありました。 妊婦さんや胎児に対する影響等が不明な状況では、患者の安心・安全を考えると、それも致し方ないことでしょう。しかし、妊活・不妊当事者にとって不妊治療は不要で不急ではありません。不妊治療施設のなかには、この状況において、一律に治療を延期するのではなく、個々の状況や希望に沿って治療方針を決めていく、または治療を継続できるような仕組み、対策を取っているところもあります。 不妊治療当事者は、自身が通院している施設の情報をホームページなどで確認し、また先生とよく話し合い、治療方針を決めていくことが大切です。 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年04月10日個人事業主として事業を始めるにあたり、一つの課題となるのが事業資金の調達です。企業であれば銀行融資を利用したり、株式を発行して資金調達したりすることが可能ですが、個人事業主となるとなかなかそうはいきません。そこで今回は、資金調達を検討している個人事業主の方向けに利用できる補助金や助成金制度の種類について解説したいと思います。補助金を活用するメリット補助金というと中小企業の法人が対象というイメージがあるかもしれませんが、要件をよく見ていくと意外と個人事業主が利用できるものもあります。個人事業主は株式を発行することができないので、最初のうちは特に資金調達に苦労するでしょう。そんな時に補助金がもらえたら、スムーズに事業を開始できます。補助金は新規、独立開業資金になる補助金の一番のメリットは、何と言っても返済が不要という点でしょう。銀行融資を受けると当然返済していかなければなりませんが、補助金については返済が不要なのでもらった分だけ事業活動を有利に進められます。特に営業が開始していない独立開業当初については、当面の運転資金として非常に重宝すること間違いないでしょう。リスクを負わずに資金調達できるところが、補助金最大の魅力といえるでしょう。補助金と助成金の違い補助金制度について調べていくと、同じような内容で助成金というものが出てくることがあります。補助金と助成金、どちらも返還不要の資金を出してくれるという意味では同じですが、助成金は要件を満たしていれば原則として支給されるのに対し、補助金については事前に予算が決まっているため、予算を使い果たした場合は条件に該当していても支給を受けられません。補助金の種類と条件個人事業主が利用できる補助金や助成金には様々なものがあり、種類によって条件も異なります。また、補助金制度は時限的なものも多いので、利用できるものが毎年同じとは限りません。ここでは、よくある補助金制度の種類と条件について比較してみました。[adsense_middle]創業事業承継補助金事業を創業する際に利用できる補助金制度で、毎年一定の予算の枠内で複数の経営者に支給されています。具体的な金額は以下の通りです。外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内募集要項には中小企業者と記載されていますが、これに個人事業主も含まれています。従業員数の条件補助金の中には支給条件に従業員数が関係していることがよくあります。これは補助金や助成金制度が、比較的小規模零細企業や事業者を対象としていることから、雇用している従業員数が一定以下であることを支給条件とするケースが多いからです。従業員数の条件は業種によって基準が違うことが多く、一般的には製造業は従業員数が多く、サービス業や小売業は少なめの設定になる傾向があります。海外で起業すると受けられない最近はインターネットさえあればどこでも起業できるので、海外で事業を始める人も少なくありません。ただし、創業事業承継補助金は国内に住んでいて日本で事業を行う人を対象としているので、海外に居住している場合や、海外で事業を起こす場合については利用できません。小規模事業者助成金個人事業主など小規模な事業者が利用できる助成金で、創業してからの事業の発展や維持をするために利用することを目的としています。そもそもこの助成金には、国内の小規模事業をさらに発展させて社会貢献や雇用維持につなげようという狙いがあるので、助成金の支給要件に経営者の年齢も関係してきます。具体的には代表者が60歳以上である場合は、承継診断票を提出した上で後継者候補が中心となる事業計画書などが必要になります。支給される助成金の詳細は以下の通りです。対象:日本の小規模事業者全般補助率:補助対象経費の3分の2以内補助上限額:50万円(500万円:複数の事業者で連携して行う共同事業の場合のみ)テレワーク助成金コロナウイルスの流行によって一躍話題沸騰したのがテレワーク助成金です。テレワークとは職場という場所にこだわらず、在宅などでも勤務を可能とする勤務形態のことで、コロナウイルス対策の一環として多くの企業が一気にテレワークの導入と実施へと舵を切りました。そこで注目されたのが、東京都などが実施している事業継続緊急対策助成金、通称テレワーク助成金です。助成金の上限:250万円助成率:100%助成金の対象となる費用テレワーク助成金最大の特徴は、助成対象となる費用の広さにあります。テレワーク助成金は、主に次のような費用を対象に助成金が支給されます。機器購入費用テレワークを実施するために必要となる、パソコンやタブレット、スマホ、外付けハードディスク、ルーター、ウイルス対策ソフト、サーバ、ビジネスチャットなど非常に幅広い範囲で認められます。中でも珍しいのがパソコンやタブレットの購入です。他の助成金では、パソコン本体やタブレットなどの購入費用そのものの購入費用に対して助成金が出るということは非常に少ない傾向にあります。個人事業主の中には、パソコンなどの設備機器が十分揃っていないところも多いと思いますので、これを機会にテレワーク補助金を活用するとよいでしょう。リース費用テレワークのための設備購入費用はもちろんの事、それらのリース費用についても同じく助成金の対象となります。社内ネットワークを構築するとなると、かなりまとまったお金が必要になりますので、助成金の上限金額である250万円満額まで使いこなせればかなりの負担軽減となります。クラウドサービスなどテレワークをするにあたって絶対に必要になってくるのが、クラウドサービスの導入です。これまで会社のデータベースは社内のサーバなどで管理していましたが、最近ではグーグルドライブなどネット上の共有サーバにデータを保存して、外出先からもアクセスできるようにする会社が増えてきました。クラウドサービスを上手に活用することで、社内会議や打ち合わせが円滑になるだけではなく、取引先の担当者とクラウドデータを共有することで、より密に連絡が取り合えるとともにお互いの信頼関係の構築に大きく貢献できます。個人事業主は雇用人数に注意テレワーク補助金は個人事業主でも利用することが可能ですが、注意しなければならないのが従業員の人数です。テレワーク補助金の対象となるのは、常時雇用者が2名以上かつ、申請時点で6ヶ月以上は雇用している事業者に限られます。個人事業者の中には、自分一人で起業しているケースや、自分と配偶者だけで営んでいるようなケースも多いので、2名以上という条件は意外とハードルが高いです。もしも個人でネット通販を自分一人でやっているような場合については、助成金の支給対象から外れます。補助金、助成金支給までの流れと注意点このように個人事業主にとって非常に利用価値の高い補助金、助成金ですが、利用するにあたって注意すべきことがあります。それは報告義務です。補助金や助成金は申請書を提出するだけで、すぐに支給されるような甘いものではありません。返済不要ということもあり、利用したい方がとても多いので不正受給を防止して効果を高めることを目的に、補助金支給後の定期報告や結果報告などが義務化されています。例えばテレワーク助成金の場合、助成金を受け取るためには次のようなステップを踏まなければなりません。業者への見積もり依頼助成金申請書の提出審査設備導入上限額の通知助成金支給[adsense_middle]ステップ1:業者への見積もり依頼助成金を申請するためには、助成してもらう対象となるテレワークの導入費用の見積もりが必要になります。そこで、テレワークを導入するための費用の見積もりを業者に依頼し見積書を手に入れます。ステップ2:助成金申請書の提出見積書の内容を踏まえて、助成金申請書を作成します。申請書を作成する際のポイントは、事実を間違いなく記載するということです。実は助成金からみのご相談が最近増えているのですが、皆さん一様にこのように聞いてこられます。「どうすれば助成金を貰いやすくできますか」要するに、助成金の対象者に選定されるためには、どのように事業計画書や申請書をかけばよいのでしょうかという問題です。基本的に助成金は要件に適合していれば助成を受けられるのですが、テレワーク助成金のように実際に支出する費用に対して助成金が出るものについては、申請の段階で100万円の見積書を提出したとしても、50万円までしか認められないというケースが出てきます。ステップ3:審査どこまでがテレワーク助成金の適用範囲なのかという問題なのですが、業者によっては今回の助成金制度を利用して、テレワークとは直接関係のない設備投資についても見積書に盛り込んでくるケースがあるのです。申請する会社としても、できるだけ助成を受けられる金額を増やしたいので、平たく言うと「うまく誤魔化せそうな申請書や見積書の書き方を知りたい」ということなのですが、当然のことながら嘘は絶対にいけません。これは法的な観点からも不正受給に該当します。また、補助金や助成金は不正受給を防ぐために、必ず結果報告の提出が必要になっています。つまり、申請書通りにものを買って事業を行っているのかどうかまで、追って確認をしてくるということです。ステップ4:上限額の通知申請した金額に対して、助成金が認められる限度額の通知がされます。ただこの段階ではまだ助成金は入金されません。あくまで、支給される上限額が明確になるだけなので、それを受けて実際に設備を導入するかを決断します。ステップ5:設備導入実費でテレワーク設備を導入して、その結果を報告書として提出します。見積書と内容が変わってくると、事前に通知されている上限額を下回る可能性がありますので注意が必要です。ステップ6:助成金支給結果報告書を提出して、予定通りの導入がされていることが確認されると助成金が振り込まれてきます。助成金によっては前払いのものもありますが、基本的には先に事業主側で支出することになるものが多い傾向です。助成金、補助金を利用する際の効果報告の注意点助成金や補助金には様々なものがあり、支給要件もものによって大きく異なります。中でも、オフィスインフラ関係の助成金、補助金制度には注意が必要です。例えばIT導入補助金が最近話題となっていて、補助額が上限450万円と高額なため利用希望者が多いようです。テレワークのように導入後簡単な報告をすれば済むのであればよいのですが、IT導入補助金の効果報告は細かな指標まで示して効果を報告しなければならないので、報告書の作成にかなりの労力を費やすことになります。そのため、自営業で従業員が少ない場合は補助金が逆に負担になってしまうこともあるのです。補助金や助成金を申請する際には、後でどのような結果報告が求められるのかについて、よく調べておくことをおすすめします。助成金とハローワークの関係助成金を検索すると支給要件の中にハローワークの利用が盛り込まれているケースをよく見かけます。そもそも助成金や補助金は、受給する個人事業主や企業があらゆる法令を遵守していることが前提となっていますが、それ以外にもできるだけ公的機関のサービスを利用することが条件に盛り込まれているケースがあります。ハローワークもその一例で、ハローワークを通じで人を雇用することが助成金支給の条件になっていることがあるのです。例えば次の助成金については、ハローワークの利用が条件となっています。特定就職困難者雇用開発助成金地域雇用開発助成金障害者職場定着支援奨励金トライアル雇用奨励金これらの助成金等はハローワークを利用して雇用した場合に利用が可能で、申請窓口もハローワークになっています。個人事業主の方でも他の要件に該当すれば利用できますので、今後求人を検討している方はハローワークを利用するのも一つの手です。個人事業主向けの助成金に関するまとめ個人事業主にとって補助金や助成金は効果的な資金調達方法なので、要件に当てはまるものは積極的に利用することをおすすめします。ただし、利用した後は必ず結果報告を求められますので、どこまでの報告義務があるのかも含めて確認することが大切です。すでに導入を検討しているものに補助金が使える可能性があるかもしれませんので、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。
2020年03月22日日本の労働者は男性でも育児休業(育休)は制度上利用できるのですが、利用率は低いまま推移しています。2019年9月に小泉進次郎衆議院議員が自身の育休取得についてコメントし、賛否の意見が多く上がりました。 また、外国の首相や自治体の首長(知事や市長等)、有名企業のトップなどが育休を取ることが度々ニュースで取り上げられますが、男性の会社員等の育休はどうなっているのか、実態と制度についてお伝えします。 男性の育休の実態 2018年(平成30年)の男性の育休取得率は、厚生労働省・平成30年度雇用均等基本調査(速報版)によると6.16%でした。これは女性の育休取得率82.2%と比べると低い数字ですが、6年連続で上昇しています。なお、6年前の2012年(平成24年)の男性の育休取得率は1.89%でした。 同調査によると、男性の育児休業の取得期間は5日未満が最も多く全体の56.9%で、1カ月以上の育児休業を取得した割合は16.7%に留まりました。一方、女性は6カ月以上の育児休業を所得した割合は88.2%でした。また、育児休業の希望をした男性の35.3%は利用できておらず、育児休業を利用しなかった人の理由を見ると、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」等が上位の理由となっていました。 参考資料::厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得推進のための取り組みについて」 父親の育休の取得促進の制度と助成金育児休業(育休)は、以下の①~③の要件をすべて満たすと、男女の区別なく取得できる制度です。原則子どもが1歳になるまで(保育所に入れない場合等は最大2歳になるまで)育児休業が取得できます。①同一の勤務先に継続して1年以上雇用されていること、②子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること、③子どもの1歳6カ月または2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかでないこと(左記までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかな人は育児休業が取得できない) また、父親の育児休業の取得促進の制度として、以下の2つの制度があります。【1】パパ・ママ育休プラス母だけでなく、父も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2カ月に達するまでに延長される制度(通常は1歳まで、延長された2カ月分は父が対象・また母と父は逆のパターンも可能)【2】パパ休暇(出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進)出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても再度の取得が可能。育児休業中は男女の区別なく給料は支払われませんが、雇用保険から月給の3分の2相当(180日以降は2分の1)の育児休業給付金が支払われます。父・母ともに育児休業中であれば、それぞれに育児休業給付金が支払われます。 男性の育休取得率は上昇中ですが、これからさらに育休取得をしやすくなるように政府も会社もさらなる制度の充実が見込まれます。ご夫婦のライフプランやキャリアプランによってパパが育休を取得するかどうかは異なると思いますが、取得したいパパや取得してほしいママは、この制度を最大限利用してください。また、定期的に制度は変わりますので、これから出産を控えている人や検討している人は利用前に制度を改めて確認することをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年10月25日東京都は2018年度に待機児童対策の一環としてベビーシッター利用の助成を開始した自治体がありましたが、2019年度になり、さらに利用できる自治体が増えました。2019年4月時点で実施している自治体と利用のポイントをお伝えします。 1.2019年4月から8つの自治体で実施が開始2018年度(2019年3月末まで)に待機児童に対するベビーシッター利用の助成を行っていた自治体は4つほどでしたが、2019年度になり、8つの自治体でこの助成制度が始まりました。 新たに開始となった8つの自治体は、大田区、渋谷区、板橋区、葛飾区、三鷹市、府中市、国立市、東大和市となります。また、2018年度から新宿区、台東区、目黒区、中野区の4自治体がすでに実施しています。あくまでも、保育園等に入所できなかった待機児童への補助ですので、東京都にあるすべての自治体で実施するわけではありません。今後の状況は、お住いの自治体のホームページまたは東京都福祉保健局のホームページで確認してください。2.助成の対象となる要件この助成の対象となる人は、この事業を実施する自治体に住んでいる人が、“保育所等の0~2歳児クラスに相当する待機児童の保護者”または“0歳児で保育所等への入所申込みをせず1年間の育児休業を満了した後、お子さんの1歳の誕生日から復職する保護者(復職日以降、利用できます)”に該当する人で、お住まいの自治体から、この事業の対象者である旨の通知書を受け取った人です。 なお、対象者の詳細な要件は各自治体が設定します。所得制限等の条件を設定している自治体もありますので、詳細は、各自治体からの案内を必ず確認するようにしましょう。 3.手続きの方法と助成の内容手続きは各自治体の担当窓口で行います。2019年4月時点で各自治体の担当窓口は下記になります。 新宿区→保育課入園・認定係台東区→児童保育課保育相談係目黒区→保育課保育施設利用係中野区→待機児童緊急対策担当大田区→保育サービス課サービス基盤担当渋谷区→保育課保育管理係板橋区→保育サービス課民間保育振興係葛飾区→子育て支援課子育て支援係三鷹市→子ども育成課府中市→保育支援課認定給付係国立市→児童青少年課待機児童解消対策推進担当東大和市→保育課保育・幼稚園係 助成の対象となるベビーシッターの利用条件ですが、以下のとおりです。 【1】利用時間月曜日~土曜日(祝休日・年末年始を除く)の7時~20時のうち、1日8時間以内かつ月160時間以内を上限(保育標準時間認定の場合は1日11時間以内かつ月220時間以内を上限) 【2】利用料金1時間当たり250円(助成券を利用した場合の利用料)※利用時間の上限を超えた分の利用料、ベビーシッターの通勤に必要な交通実費及び利用料以外の入会金等は助成の対象外です。 【3】利用期間最大で2020年3月31日まで※この期間以降の助成は未定です この助成制度は、保育園等に入所できなかった待機児童について、保育園等と同程度の費用負担でベビーシッターを利用できるようにした制度です。そのため、利用時間や利用料金は保育園等と同程度の水準としています。 実施している自治体にお住まいの人で利用を考えている人はお住いの窓口に、実施していない自治体にお住まいの人で利用したいと思う人は上記の東京都福祉保健局かお住まいの自治体のホームページ等で確認するようにしましょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年04月20日子どもが欲しいと考えている人が知っておかなければならないことが多い中、一番気にするところとしては「お金がどれくらいかかるか?」だと思われます。妊娠が判明してから最初に大きなお金が発生するところは「妊婦検診」です。妊婦検診の費用は、お住いの市町村などから費用助成が行われるところもありますが、どれくらいかかるのか、具体的にどのような補助を行われるのか、手続きはどのような流れで行われるのか?といったことを正しく把握しておくことが必要となります。今回は、妊婦検診の費用負担額、助成制度の具体的な内容・助成額・申請手続きの流れについて説明していきます。助成制度を使用せず、妊婦検診を受診した場合の費用平均額は?妊婦検診の費用は、1回あたり平均で約5,000円といわれています。この費用は、妊婦検診の助成制度を使用しないで、妊婦検診を受診した場合に実費として支払う費用の平均額になります。妊婦検診の回数は、自治体にもよりますが「妊娠から出産までの間に14~16回」行われますので、全ての妊婦検診を、実費で行った場合には、妊婦検診の費用は平均で約7万~8万円はかかるということになります。また、妊娠に関する「初診費用」や「妊婦検診以外の検査費用」などについては、保険の適用対象外となるため、実費で支払わなければならないため、約2~3万円くらいは、別で発生する可能性があることを覚えておいてください。妊婦検診の受診頻度妊婦健診の受診頻度は、妊娠何週目かによって回数が異なります。具体的な目安については、厚生労働省からも出ており、それによると、標準的な妊婦検診の回数は14回とされています。具体的な受診頻度妊娠初期から妊娠23週まで:4週間に1回妊娠24週から35週まで:2週間に1回妊娠35週以降:1週間に1回主な妊婦健診の健診費用の目安妊婦健診の費用は、健診の内容によって費用が異なりますが、おおよその目安は以下のとおりとなります。なお、妊婦健診の費用は、保険対象外となりますので、注意が必要です。初診:5,000円~10,000円2回目以降:5,000円~8,000円健診費用総額:7万円~15万円妊婦健診の内容妊婦健診では、以下のような健診の内容を行っています。1.問診医師から体調の変化などについて質問されます。2.腹囲・子宮底長測定腹囲や子宮底長について測定します。3.浮腫(むくみ)検査足のすねや甲を指で押してチェックします。多少、むくみがあったとしても血圧が正常であれば問題ないといわれます。4.超音波検査妊娠初期は腟から、中期はおなかの上にプローブをあてて子宮内の様子を観察します。胎児の位置(頭位・逆子なのか等)、発育、形態、羊水量、胎盤位置などを確認します。5.血液検査初期は血液型、貧血、風疹抗体の有無、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)、トキソプラズマ抗体、不規則抗体、T型白血病(ATL)などを中心に検査が行われます。中期、後期については貧血検査が中心となっています。6.内診経腟超音波が一般的になり、初期の内診は少なくなりました。後期は子宮口の状態、児の下降などをチェックします。7.説明一通り検査が終わった後に、問題がないようであれば「問題ありません」と言われますが、気になることがあれば、この時に質問をすることになります。妊婦検診の助成制度とは?妊婦検診額は高額となるため、都道府県の公費負担によって助成金が賄われております。公費負担は都道府県によって、大きな差がでています。都道府県別の妊婦健康診査の公費負担額以下は厚生労働省が発表している都道府県別妊婦健康診査の公費負担額です。(平成28年4月1日時点)厚生労働省 妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果についてこちらの資料を見ると、妊婦1人当たりの公費負担額の全国平均は102,097円。最も公費負担の多いところは岐阜県で119,570円、もっとも公費負担が少ないところは神奈川県で69,644円です。妊婦検診の費用助成制度の対象者と申請時期・申請に必要なもの妊婦検診の費用助成を受けることが出来る対象者は、医療機関等で妊娠が確認された女性です。医療機関等で妊娠が確認された女性は、自分が住んでいる自治体の役場にて、妊娠届出書を提出します。妊娠届出書を提出すると、母子手帳と妊婦健診補助券が役所からもらえ、母子手帳と一緒にもらうことができる妊婦健診補助券を妊婦健診を受診する際に出すことで、妊婦健診を(一部の検診内容については)無料で受診することができます。ただし、妊婦健診の内容によっては、補助券の対象とならない検査があり、それについては自費で受診をする必要が出てきます。具体的な妊婦健診の費用の助成方法妊婦健診補助券妊婦検診の費用が結構かかることが分かった上で、具体的な妊婦健診の費用の補助についてはどのように行われているのか?というところが気になるところだと思います。お住まいの自治体によって、助成の内容が異なる部分はありますが、最も一般的なものとして「妊婦健診の補助券」があります。妊婦健診の補助券は、妊娠届出書を市町村の役場に提出した際に、役場の方から母子手帳と一緒に渡されるものです。補助券についての注意点妊婦健診の費用を補助するための補助券については、気をつけなければならないポイントとして、以下のものがあります。①再発行は行われません補助券は母子手帳に綴られているものであるため、紛失等をしてしまった場合であっても、再発行は行われませんのでご注意ください。②引越しをした際は、引っ越し前に住んでいた自治体の補助券は利用できません妊産婦健診の補助券は、住んでいる自治体ごとに費用補助ができる内容が異なっているため、新しい自治体に引越しをした場合は、原則として、従来住んでいた自治体の補助券は利用できません。そのため、引越しをして新しい自治体へと住居が変わった場合は、自治体に補助券の交換の手続きを行う必要があります。なお、隣接する市や区に引越しをした場合については、同じ補助券を使うことができることがありますが、引越し先の自治体に直接、利用できるかの確認をするといいでしょう。③里帰り出産を考えている場合里帰り出産を考えている人についても、引越しをした場合と同様に、里帰り出産をする自治体へ補助券の交換の手続きをする必要がありますので、注意が必要です。また、里帰り出産をした場合については、里帰り中に受診した妊婦健診の費用の領収書を、現在住んでいる自治体へ提出することで、受診等の費用の一部を助成してもらうことができることがあります。医療費控除もチェック医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、本人や配偶者をはじめ生計を同一にしている家族の医療費を支払った場合で、支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる税金の軽減制度です。妊婦健診費用も医療費控除の対象になりますので、適用を受けた場合は還付金を受けれます。詳しくは以下記事をご覧ください。妊婦健診費の助成についてのまとめ妊婦健診の費用は保険対象外となるため、妊娠中の女性にとっては、経済的負担が大きいため、自治体が行っている妊婦健診の費用助成の制度を活用することで、少しでも経済的な負担を軽減することが狙いとなります。また、自治体によって費用の補助額に幅があったり、補助の対象となる検査の範囲が異なることもありますので、住んでいる自治体への確認をしっかりと行うようにして下さい。妊婦健診は約10カ月という期間に14回~16回の妊婦健診を受診するため、その費用もかなり高額となりますが、補助券を活用することで、妊婦検診の費用の一部の負担を軽減することが出来ます。それでも、妊婦検診以外の検査(必要に応じて行う医学的検査など)を受診すると、全額自費負担(保険適用外であるため)となりますので、それなりの費用は発生するものと考えておく必要があります。里帰り出産等を行うことを考えている人は、補助券の交換が必要になるなど、やらなければならないことが増えるため、事前に自治体に相談をするなど、相当の準備をすることが大切です。妊娠・出産に関する以下記事もおすすめ☆
2019年01月14日軽症高額該当とは?難病法に基づき、難病のある人を対象とする医療費の助成制度があります。しかし、指定難病に罹患していると認められたものの、病状が「軽症」であるため重症度基準を満たせないと、医療費助成の対象とならない場合があります。「軽症高額該当」は、「軽症」でありながら症状を保つために高額の治療費を支払い続けている難病の人を医療費助成の対象として認定し、経済的負担の軽減を図る制度です。難病患者が医療費助成を受けることができる制度に「指定難病医療費助成制度」があります。その認定審査は、定められた「診断基準」および「重症度基準(症状の程度の基準のこと)」という2つの基準をもとに行われます。上記2つの基準両方を満たした人が、難病医療費助成を受け取ることができるという仕組みです。しかし、診断基準は満たしているものの、重症度基準を満たせない「軽症」という場合もあります。服薬などの適切な治療によって症状が抑えられ、通常の生活を送ることができている状態が続いている人もいます。「軽症」とはいえ、その状態を保つ治療を継続するためには、高額な医療費が必要となってきます。特に難病の場合は、治療が長期にわたることも多く、治療費は経済的に大きな負担となってしまいます。そこで平成27年1月1日より、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、その中でこうした難病でありながら、高額な治療費を支払い続けている「軽症」状態の患者の経済的負担の軽減を図るため、「軽症高額該当」という新しい制度が導入されたのです。軽症高額に該当する2つの要件出典 : 「軽症高額該当」の対象者は、臨床調査個人票(医師による、細かい調査所見を記入したもの)を審査した結果、申請した疾病の診断基準は満たすが、重症度基準(病状の程度の基準)は満たさなかった人となります。要するに、指定難病であると診断されているにもかかわらず、「軽症」(適切な治療によって症状が抑えられている)な状態であることによって、助成費が受けられないということです。「軽症高額該当」制度において、医療費の助成が受けられるかどうかは、1ヶ月あたりの難病治療にかかる医療費の総額がポイントとなります。認定の基準となるのは、申請した月以前の12ヶ月間において、申請した疾病(指定難病)にかかった医療費総額(10割負担と考えた場合)が33,330円を超える月が1年間の間に3ヶ月以上あると認められるかどうか。難病と診断されてから12ヶ月経っていない場合は、医師が難病発症と認めた月から、申請日の属する月までに医療総額費が33,330円を超える月が3回以上あった場合に対象となります。Upload By 発達障害のキホン参考:東京都福祉保健局軽症高額該当の認定および医療助成費申請の流れ出典 : 指定難病医療費助成申請をする際に、「軽症高額該当」認定申請も同時に行なうのが一般的です。これは、指定難病医療費助成と軽症高額該当の申請を別々に行うと、かなりの時間と手間がかかり、給付までに相当な時間を要することになってしまうためです。最初にどこに相談すればいいのか、どのような手順で申請するのか、申請に必要な書類、注意すべき点などを解説します。「軽症高額該当」認定および医療助成費の申請や相談の窓口は、自身の住民票のある各都道府県の保健所になります。各都道府県によっては、福祉事務所などと統合されている場合もありますので、事前に自治体のホームページなどで確認しておきましょう。「軽症高額該当」の認定申請は、医療費助成申請の手続きと同時に行うことがほとんどです。「指定難病医療費助成制度」の医療助成費申請手続きの際に、追加書類として「軽症高額該当」であることを証明するための書類を提出することで、軽症高額該当の認定確認も行われます。まず、必要書類(次項の「申請に必要な書類」参照)を揃え、各都道府県の窓口(保健所もしくは役所の福祉事務所)に提出します。「軽症高額該当とみなし、医療費助成対象である」と認定されると、都道府県から「指定難病医療受給者証」が交付されます。都道府県によって異なりますが、認定されても医療受給者証が届くまでには、ある程度の時間がかかります。医療受給者証が手元に届くまでにかかってしまった医療費に関しても、治療証明書や領収書を添付し治療費の支給申請を行えば、負担上限月額を超えた額があとから支給されます。必ず治療証明書や領収書は保存しておきましょう。ほぼすべての書類は、保健所や福祉事務所のホームページからダウンロードすることができます。都道府県によって必要な書類は多少異なってくるため、必ず担当窓口に確認しましょう。・※「臨床調査個人票」…指定医による詳細な診断書、厚生労働省のホームページからダウンロードできる。なお、平成27年1月1日以降、難病患者が特定医療費の認定申請を行う際、都道府県知事の定める指定医以外の医師が作成した臨床調査個人票(診断書)は認められない。・※「医療費申告書」…かかった医療機関に、医療機関名・治療内容・かかった医療費などを記載してもらう。必ず領収書も添付する。・支給認定申請書…患者の個人情報を自身が記入するもの。・健康保険証の写し・住民票・世帯の所得を確認できる書類※印の書類が、「軽症高額該当」認定のための追加必要書類となります。難病医療費助成制度における指定医制度について医療受給者証の有効期間は原則1年以内です。継続的に治療が必要な場合は、有効期間終了前に必ず更新手続きを行いましょう。せっかく「軽症高額該当」と認められ、医療費の助成を受けられても、更新し忘れた場合、再び新規申請しなければならないので注意しましょう。また、医療費の助成が受けられるのは、「指定医療機関」で受けた指定難病およびそれに付随して発生した傷病の治療に限られます。難病以外の風邪などの病気あるいは怪我などで、他の病院でかかった医療費は助成されません。助成を受けられる場合、自己負担額はどのくらい?「軽症高額該当」と認められ、指定難病医療費助成が受けられるようになると、各指定医療機関で受診した場合の自己負担の割合は2割に抑えることができます。そのうえで、1ヶ月間(月初~月末)の自己負担の累積額が、年齢や所得に応じた自己負担上限額に達する、あるいは超えてしまった場合でも、その月はそれ以上の費用徴収が行われません。自己負担上限月額は、所得によって基準が異なりますので、下表を参照してください。Upload By 発達障害のキホン指定医療機関を受診するごとに「指定難病医療受給者証」を提示し、自己負担上限額管理票に負担した金額を記入してもらうことで、その月ごとの自己負担の累積額を把握・管理することができます。指定難病医療受給者証の更新手続きの際には、「自己負担上限額管理票」が必要になってくるので、忘れずに記入し、必ず手元に取っておきましょう。助成の対象となるもの、ならないもの助成の対象となる医療の範囲は、「指定難病及び当該指定難病に付随して発症する傷病(公的医療保険適用外の費用やサービスは対象外)」となります。助成は、公的医療保険を使用した指定医療機関での入院や外来、および薬代や訪問看護に対して行われます。また、軽症を保っている間も、リハビリや介護が必要な場合もあります。その場合は、介護保険を利用した訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導なども給付の対象となります(指定医の承諾書が必要)。助成の対象とならないケースとして、保険診療外や当該の指定難病に起因しない傷病の診療費および指定医療機関ではない病院、薬局や訪問看護ステーション(訪問看護サービスを提供する地域の事業所)の診療等が挙げられます。例として、・指定医療機関以外での受診でかかった医療費や薬代・医療受給者証に記載されている有効期間外にかかった医療費や薬代・認定されている疾病およびそれに付随して発生する傷病以外の治療(歯の治療など)にかかった医療費や薬代・入院中の食事代(生活保護受給者は対象となる)・入院中の差額ベッド代やシーツ、テレビ、おむつなど、保険適用外の料金・往診料金で医療機関に払う、保険適用外の交通費や手数料など・臨床調査個人票などの証明書発行にかかる料金・めがねやコルセット、車椅子などの治療用補装具にかかる費用・はり、きゅう、あんま、マッサージなどの費用などは対象外となります。その人の病状や自治体によっても若干内容が異なってくるので、必ず保健所や福祉事務所の窓口に相談しましょう。まとめ難病は、治療が極めて困難で、長期にわたるケースがほとんどです。たとえ「軽症」な状態が保たれていても、そのための医療費は高額になります。医療費の助成制度を活用することで、今まで重くのしかかっていた医療費の自己負担が、3割から2割に引下げられる場合もあります。「軽症高額該当」に認定され、指定難病医療費助成を受けることができてもなお、医療費の負担が重い患者さんもいます。そういう人のために、「高額かつ長期」という制度もあります。これは、「一般所得Ⅰ(年収約160万円~約370万円で市町村民税 7.1万円未満)以上の者が、支給認定を受けた指定難病にかかる月ごとの医療費総額について5万円(10割負担の場合。実際に請求される金額が2割負担の場合、1万円という換算)を超える月が年間6回以上ある場合は、月額の医療費の自己負担を軽減する」というものです。適切な治療を受けながら、症状の安定した状態で日常生活を送り、かつ「このまま高額な治療費を払い続けるのか」という精神的負担を減らすためにも、医療費助成制度の仕組みや流れをしっかり理解しておくことはとても大切なことなのです。参考:東京都福祉保健局|軽症高額該当について参考:東京都福祉保健局参考:難病情報センター参考:大日本住友製薬参考:厚生労働省|難病対策参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会参考:東京都福祉保健局|高額かつ長期について
2018年12月04日■出産育児一時金とは?出産(正常分娩)は病気ではないので、健康保険は使えず、費用は全額自費負担となる。その代わりに出産費用の助成として健康保険からお金が支給される、その一時金のこと。■出産育児一時金のもらえる金額は?「子どもひとりにつき42万円」が基本。多胎の場合は、42万円 × 人数分となる。加入している健康保険組合や自治体によっては、「付加給付金」を上乗せしてもらえる場合も。■出産育児一時金をもらえる人は?自分が健康保険に加入しているか、パパの健康保険の被扶養者になっていて、妊娠4カ月(85日)以上で出産したママ。(流産・死産の場合も妊娠85日以降であれば適用)■出産育児一時金 手続きの概要健康保険制度から、産院へ直接お金を支払ってもらう「直接支払制度」が原則である。その流れをベースに説明しよう。①支給を受ける健康保険を決める「出産育児一時金」を、どの健康保険からもらうのかを決めておく。選択肢としては「自分の健康保険からもらう」「パパの健康保険の被扶養者としてもらう」のふたつ。②支払い制度を選択する手続きの方法は「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請」の3つだが、基本的には「直接支払制度」を使い、直接支払制度に対応していない産院の場合は「受取代理人制度」を利用する。「直接支払制度」の場合は、分娩予約から退院までの間に病院から説明を受けるので、内容を理解し承諾した上で、渡される申請書に必要事項を記入するだけでOK。「受取代理制度」の場合は、出産前に健康保険に利用する旨を届け出て手続き書類を受け取り、産後に書類に必要事項を記入し、加入している健康保険の窓口に提出する。③出産後、差額を精算出産入院する時に、出産育児一時金の支給を受ける健康保険証を提示する。出産費用が出産育児一時金の支給額より多かった場合は、退院する時に超過分を産院に支払う。出産費用が少なかったとき(「直接支払制度」の場合)は、必要書類を公的医療保険の窓口に提出すると後日指定口座に支払われる。「受取代理制度」の場合は、すでに書類を提出済なので2週間から2ヶ月くらいで自動的に指定口座に振り込まれる。◆コラム:産後申請する場合◆出産ギリギリまで働いていて、ギリギリのタイミングで里帰りをするなど、直接支払制度の申請に間に合わない場合などは、「産後申請」を使う。産院の窓口で出産費用を全額支払い、出産後に加入している健保に産後申請の書類を提出し、一時金を受け取るという流れ。産後申請の場合で、入院前に保証金が必要だったり、出産費用を支払うのが難しいケースは、加入先の健康保険に出産費用の貸付の相談ができる。■出産育児一時金 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■乳幼児医療費助成とは?子どもにかかる医療費を、自治体が助成してくれる制度。各自治体が運営している制度なので、名称や助成内容などはさまざま。詳細は、住民票がある市区町村の役所やHPで確認を!■乳幼児医療費助成もらえる金額は?助成額は、自治体によって違う。たとえば、かかった医療費全額を助成する自治体もあれば一部の場合もあるし、助成の対象年齢も乳幼児に限らず、中学生まで対象にしている自治体も増えている。■乳幼児医療費助成もらえる人は?国民健康保険や会社の健康保険など、健康保険制度に加入し、乳幼児医療費助成の加入手続きをした人。加入の手続きが遅れた場合、さかのぼって助成が受けられるかも自治体によって異なる。■乳幼児医療費助成 手続きの概要①住んでいる市区町村の助成内容・手続き方法を確認する自分が住んでいる市区町村の助成内容や手続きの方法を、役所の窓口や自治体のHPで確認しておく。市区町村の境目に住んでいて、他自治体の医療機関を使う可能性がある人は、「他自治体の医療機関を受診した場合」もチェックしておく。②赤ちゃんの健康保険に加入手続きし、健康保険証を受け取る赤ちゃんが入る健康保険に加入手続きをする。加入の手続きをする際に、「いつごろ健康保険証が届くのか?」の目安を確認しておくと、乳幼児医療費助成の申請タイミングの参考になる。扶養者が国民健康保険の場合は、出生届を出した後で、乳幼児医療費助成の手続きができるのが一般的。③役所で手続き後、乳幼児医療証を受け取る赤ちゃんの健康保険証を持参して役所で助成を受ける手続きをする。健康保険証が届いていない場合でも、手続きできる自治体もある。手続き後、しばらくすると乳幼児医療証が届くので、これを医療機関の窓口に提示することで助成が受けられる。■乳幼児医療費助成 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日■小児慢性特定疾患の医療費助成とは?子どもの病気の中で、国が指定した疾病の治療にかかる費用などを自治体が支援する制度。■小児慢性特定疾患の医療費助成でもらえる金額は、いくら?国の制度だが、運営は自治体に任されているので、自治体によって助成内容は違う。■小児慢性特定疾患の医療費助成をもらえる人は、どんな人?国が指定した疾病(小児慢性特定疾患)にかかっている18歳未満の子ども。何らかの健康保険に加入していることが条件。18歳をすぎても治療が必要なときは20歳まで延長できる。■小児慢性特定疾患の医療費助成手続きの概要●小児慢性特定疾病指定医にて受診を指定医療機関にて受診を受け、医師より小児慢性疾病の医療意見書を出してもらう。医療費助成の申請に医療意見書を添付し、各自治体に提出する。小児慢性特定疾病審査会で審査後、認定された場合は「小児慢性特定疾病の医療受給者証」が届く。指定機関で「小児慢性特定疾病の医療受給者証」を見せると助成が受けられる。◆コラム:小児慢性特定疾病情報センターのHPチェックを!◆小児慢性特定疾病情報センター小児慢性特定疾病情報センターは、小児慢性特定疾病の情報を一元化し、情報提供する目的で、構築されたポータルサイト。国立研究開発法人 国立成育医療研究センター(厚生労働省「小児慢性特定疾病登録管理データ運用事業」の補助事業)が運営している。≫ 小児慢性特定疾病情報センター ■小児慢性特定疾患の医療費助成 DATA※この記事は2018年4月末現在の法令・情報に基づいて書いています
2018年07月01日少子化の一因ともいわれる、出産費用の問題。こんなにお金がかかるのかと驚き、ふたりめをためらっているママもいるかもしれませんね。しかし、健康保険をはじめ、さまざまな助成制度があるのをご存じでしょうか。プレママをフォローする制度もあるので要チェックです!■出産する前にもらえる助成制度●里帰り出産の場合臨月が近づく前に実家へ帰り、里帰り出産をする人も多いのではないでしょうか。妊婦には検診費の助成制度がありますが、住まいの自治体にある病院を利用することを前提としており、里帰り中には利用できない可能性も。しかし、国内の医療機関を利用していれば、里帰り出産でも検診内容によって3,000~1万円程度の助成を受けられる場合があります。また自治体によっては里帰り先でかかった健診代を戻してくれる場合もあります。条件は自治体によってまちまちですので、里帰り出産を検討している場合は、事前に確認しておくと安心です。●切迫早産、帝王切開の場合また、切迫早産や帝王切開などで高額な医療費が発生した場合も、自己負担の限度額を超えた分が戻ってくる制度として「高額療養費制度」があります。この条件は収入や年齢によって異なるので、注意が必要です。この「高額療養費制度」は、あとから還付されるものですが、切迫早産などであらかじめ入院することがわかっている場合には「限度額適用認定証」をもらっておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。■出産後にもらえるお金出産したらもらえるお金としては、「出産育児一時金」があります。出産育児一時金は、健康保険または国民健康保険に加入していれば、受け取り資格が発生します。支給額は1人あたり42万円なので、双子の場合は84万円が支給されるのです。共働き夫婦で、別々の健康保険組合に加入している場合は、どちらか一方のみ支給されます。ダブルで84万円受給できるわけではないのでご注意を。<支給方法>・組合などから直接病院へ支払う出産関連費用が42万円未満の場合は、あとから申請することで差額を受け取ることができます。たとえば、病院へ支払う額が30万円だったら、残り12万円を受け取ることができます。・病院に支払った後、領収書を添えて申請するこの制度は、出産を希望する家庭には広く知られていますが、「夫婦だけの時間をもう少し楽しみたい」と思っているときに妊娠した場合などは、意外と知らなかったりするもの。妊娠が発覚したら、まずは自治体などに助成制度の有無について問い合わせるといいでしょう。■還付金が戻ってくるもの厚生労働省の発表によれば、出産費用の妊婦の合計負担額は49万9,615円(厚生労働省「正常分娩分の平均的な出産費用について」(平成27年度・病院、診療所、助産所の合計)。このため出産育児一時金の42万円あれば、大部分はカバーできるかもしれません。しかし、実際には地域差などがあり、それ以上に費用がかかる場合も。そんなときは、確定申告をして「医療費控除」を受けましょう。一家の医療費が10万円を超えた場合は、その分を収入から差し引いた額を所得として申告できます。ただし、申告時には一時金の42万円や、医療保険からの入院給付金、高額療養費で戻ってくる分はカウントできません。実際に戻ってくるお金は、医療費控除に所得税率をかけたものになり、申告額が全額戻ってくるわけではありません。でも医療費控除を申告すると、住民税も軽減されるメリットもあるのです。医療費には、病院での診察・治療費だけでなく、ドラッグストアで購入した薬や病院への交通費も含まれますので、出産の有無にかかわらず、領収書をキープしておくことをおすすめします。■産後にもらえる助成金出産にかかる費用は少なくないとはいえ、一時的なものです。しかし、子どもが生まれればそれからずっと、何かとお金がかかるもの。それが二人目を躊躇(ちゅうちょ)する原因ともいわれています。子どもに対する制度としては、「児童手当」があります。中学3年生までの子がいれば、1人当たり月5,000~1.5万円が支給されます。さらに、自治体によって対象者や助成範囲が異なりますが、乳幼児の医療費助成制度もあります。これらを上手に活用することで、家計の負担を軽減できるでしょう。また、二人目が生まれれば、自転車も幼児が2人乗れるタイプにする必要がありますが、この無償貸与または購入費の助成を行う自治体も。たとえば、兵庫県川西市では、中古の電動アシスト付き幼児二人同乗用自転車を無償で譲渡する制度があります。このように、自治体ごとに子育てファミリーを応援するユニークな制度が設けられています。意外と知られていない制度も多いので、情報収集は欠かせません。子育てにはお金がかかりますが、それだけを理由に出産をあきらめることは、本当にもったいない気がします。会社によっては、出産祝い金が支給されることもありますし、まずは助成制度を調べてみませんか? ※2017年2月現在の情報です。最新情報は各自治体・団体のWEBサイトでご確認ください
2017年03月02日■出産育児一時金とは?出産(正常分娩)は病気ではないので、健康保険は使えず、費用は全額自費負担となる。その代わりに出産費用の助成として健康保険からお金が支給される、その一時金のこと。■出産育児一時金のもらえる金額は、いくら?「子どもひとりにつき42万円」が基本。多胎の場合は、42万円 × 人数分となる。加入している健康保険組合や自治体によっては、「付加給付金」を上乗せしてもらえる場合も。■出産育児一時金をもらえる人は、どんな人?自分が健康保険に加入しているか、パパの健康保険の被扶養者になっていて、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産したママ(流産・死産の場合も妊娠85日以降であれば適用)。■出産育児一時金の手続きの概要公的医療保険から、産院へ直接お金を支払ってもらう「直接支払制度」が原則である。その流れをベースに説明しよう。①支給を受ける健康保険を決める「出産育児一時金」を、どの健康保険からもらうのかを決めておく。選択肢としては「自分の健康保険からもらう」「パパの健康保険の被扶養者としてもらう」のふたつ。②支払い制度を選択する手続きの方法は「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請」の3つだが、基本的には「直接支払制度」を使い、直接支払制度に対応していない産院の場合は「受取代理人制度」を利用する。「直接支払制度」の場合は、分娩予約から退院までの間に病院から説明を受けるので、内容を理解し承諾した上で、渡される申請書に必要事項を記入するだけでOK。「受取代理制度」の場合は、出産前に健康保険に利用する旨を届け出て手続き書類を受け取り、産後に書類に必要事項を記入し、加入している健康保険の窓口に提出する。③出産後、差額を精算出産入院する時に、出産育児一時金の支給を受ける健康保険証を提示する。出産費用が出産育児一時金の支給額より多かった場合は、退院する時に超過分を産院に支払う。出産費用が少なかったとき(「直接支払制度」の場合)は、必要書類を公的医療保険の窓口に提出すると後日指定口座に支払われる。「受取代理制度」の場合は、既に書類を提出済なので2週間から2ヶ月くらいで自動的に指定口座に振り込まれる。■コラム:産後申請する場合出産ギリギリまで働いていて、ギリギリのタイミングで里帰りをするなど、直接支払制度の申請に間に合わない場合などは、「産後申請」を使う。産院の窓口で出産費用を全額支払い、出産後に加入している健保に産後申請の書類を提出し、給付金を受け取るという流れ。産後申請の場合で、入院前に保証金が必要だったり、出産費用を支払うのが難しいケースは、加入先の健康保険に出産費用の貸付の相談ができる■出産育児一時金 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日■乳幼児医療費助成とは?子どもにかかる医療費を、自治体が助成してくれる制度。なので、名称や助成内容などはさまざま。詳細は、住民票がある市区町村の役所に確認を!■乳幼児医療費助成制度でもらえる金額は、いくら?助成額は、自治体によって異なる。たとえば、かかった医療費全額を助成する自治体もあれば一部の場合もあるし、助成の対象年齢も乳幼児に限らず、中学生まで対象にしている自治体もある。■乳幼児医療費助成制度でもらえる人は、どんな人?国民健康保険や会社の健康保険など、公的医療保険に加入し、乳幼児医療費助成の加入手続きをした人。加入の手続きが遅れた場合、さかのぼって助成が受けられるかも自治体によって異なる。■乳幼児医療費助成制度の手続きの概要①住んでいる市区町村の助成内容・手続き方法を確認する自分が住んでいる市区町村の助成内容や手続きの方法を、役所の窓口や自治体のWEBサイトで確認しておく。市区町村の境目に住んでいて、他自治体の医療機関を使う可能性がある人は、「他自治体の医療機関を受診した場合」もチェックしておく。②赤ちゃんの健康保険に加入手続きし、健康保険証を受け取る赤ちゃんが入る健康保険に加入手続きをする。加入の手続きをする際に、「いつごろ健康保険証が届くのか?」の目安を確認しておくと、乳幼児医療費助成の申請タイミングの参考になる。③役所で手続き後、乳幼児医療証を受け取る赤ちゃんの健康保険証を持参して役所で助成を受ける手続きをする。健康保険証が届いていない場合でも、手続きできる自治体もある。手続き後、しばらくすると乳幼児医療証が届くので、これを医療機関の窓口に提示することで助成が受けられる。■乳幼児医療費助成 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日■小児慢性特定疾患の医療費助成とは?子どもの病気の中で、国が指定した疾病の治療にかかる費用などを自治体が支援する制度。■小児慢性特定疾患の医療費助成でもらえる金額は、いくら?国の制度だが、運営は自治体に任されているので、自治体によって助成内容は異なる。■小児慢性特定疾患の医療費助成でもらえる人は、どんな人?国が指定した疾病(小児慢性特定疾患)にかかっている18歳未満の子ども。何らかの健康保険に加入していることが条件。18歳をすぎても治療が必要なときは20歳まで延長できる。■小児慢性特定疾患の医療費助成の手続きの概要①小児慢性特定疾病指定医にて受診指定医療機関にて受診を受け、医師より小児慢性疾病の医療意見書を出してもらう。②医療費助成の申請に医療意見書を添付し、各自治体に提出小児慢性特定疾病審査会で審査後、認定された場合は「小児慢性特定疾病の医療受給者証」が届く。指定機関で「小児慢性特定疾病の医療受給者証」を見せると助成が受けられる。■コラム:小児慢性特定疾病情報センターのWEBサイトをチェック!小児慢性特定疾病情報センター 小児慢性特定疾病情報センターは、小児慢性特定疾病の情報を一元化し、情報提供する目的で、構築されたポータルサイト。国立研究開発法人 国立成育医療研究センター(厚生労働省「小児慢性特定疾病登録管理データ運用事業」の補助事業)が運営している。■小児慢性特定疾患の医療費助成 DATA※この記事は2016年11月末現在の法令・情報に基づいて書いています。(監修:ファイナンシャルプランナー 畠中雅子/文:楢戸ひかる)
2017年01月10日DeNAライフサイエンスはこのほど、同社が提供する遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」の神奈川県民など対象の助成期間を2月末まで延長することを発表した。遺伝子検査とは、細胞を採取してDNAの情報を読み取り、検査を受けた人の病気のかかりやすさ、体質などの遺伝的傾向を知る検査のこと。同社が提供する遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」では、「がん」や「生活習慣病」などの病気の発症リスクが手軽にわかるという。同検査は、神奈川県が推進する「平成27年度 未病市場創出促進事業」の販売商品に採択されている。これまで、神奈川県の助成を受け、県民を対象に病気や体質など280項目の遺伝的傾向を知ることができる「MYCODE ヘルスケア」を4割引きの1万7,880円(通常価格2万9,800円)で販売。1月末までの期間限定の予定であったが、好評につき2月29日まで延長する。助成の対象となるのは、神奈川県に在住または同県内の企業に勤務、同県内の学校に通学する20歳以上の者。助成にあたっては事前事後のWebアンケートへの回答が必要となる。同サービスの購入者が検査を受けたきっかけは、過去のアンケート調査で確認できる。※価格はすべて税別
2016年02月05日富士通は1日、予定通り同社のPC事業と携帯端末事業を分社化した。PC事業では、完全子会社の新会社「富士通クライアントコンピューティング株式会社」が発足し業務を継承する。富士通クライアントコンピューティングは、富士通本社が所在する神奈川県川崎市に位置し、PCの研究・開発・設計・製造・販売・企画からアフターサービスまでを行う。今後発表するPCは、「富士通クライアントコンピューティング」ではなく、「富士通」ブランドのまま販売していく。資本金は4億円で、富士通でPC事業に携わる約950人が新会社へ移行。代表取締役社長には、元富士通執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰氏が2月1日付けで就任する。
2016年02月01日富士通は12月24日、同日開催の取締役会において、平成28年2月1日を効力発生日として、ノートPC・デスクトップPC事業、携帯端末事業をそれぞれ新たに設立する会社に継承することを発表した。分社の目的としては、PCおよび携帯端末に関する事業を独立化させて、研究・開発・設計・製造・販売・企画からアフターサービスまで一貫した体制を構築することで、経営責任を明確化させるとともに、経営判断の迅速化と徹底した効率化を追求するためとしている。PC事業については、会社分割により新たに設立する富士通クライアントコンピューティング株式会社に承継する。代表取締役社長は富士通の執行役員常務である齋藤邦彰氏が務め、資本金は4億円。携帯端末事業については、会社分割により新たに設立する富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社に承継する。代表取締役は富士通の執行役員である髙田克美氏が務め、資本金は4億円。
2015年12月24日東芝は12月21日、ライフスタイル事業グループの構造改革について発表した。映像事業では国内市場向けに自社開発・販売を継続していく。○映像事業映像事業においては、かねてから海外テレビ事業について東芝ブランド供与型ビジネスへ移行するとしていたが、国内市場についても明らかにした。国内人員削減などによって固定費削減・収益力強化を図り、自社開発・販売を継続していく。海外テレビ事業では、北米と欧州において台湾コンパル社へすでに東芝ブランドを供与している。中国を除くアジア地域と中近東アフリカ地域、ブラジルにおいてもブランド供与型ビジネスへ移行することを明らかにした。今後は、経営資源を国内市場に集中させることによって、2016年度(2017年3月期)でテレビの年間販売台数を高付加価値製品を中心に約60万台まで絞り込む。製品の大半を海外から調達する方針だが、ホテル需要向けにカスタマイズ化された製品のBtoB需要を見込んで、一部の高画質小型製品は東芝メディア機器で製造する。東芝メディア機器での組み立ては2016年度で約16万台を想定している。また、映像事業に関わる国内外人員の約8割弱に相当する約3,700人の人員対策を実施。国内人員については、2015年度末までに再配置および再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施することを決定した。○家庭電器事業家庭電器事業においては、国内外人員を削減するとともに、国内首都圏の拠点を現在の6拠点から3拠点に集約。オペレーションの効率化などによって、固定費削減を図る。家庭電器事業では約1,800人の人員対策を実施。効率化のための施策のほか、「他社との事業再編も視野に入れます」としている。インドネシアのテレビ工場売却にともない、同じ敷地内にある洗濯機工場も閉鎖。国内外での二槽式洗濯機の自社製造・販売を終了し、今後はドラム式洗濯機や全自動洗濯機に特化する。○青梅事業所ライフスタイル事業グループの資産効率化のため、開発拠点である青梅事業所を閉鎖および売却する方針だ。売却先など開示すべき事項があれば速やかに公表するとしている。
2015年12月21日富士通は29日、同社のPC事業と携帯電話事業をそれぞれ分社化すると発表した。PC事業、携帯電話事業それぞれにおいて、100%出資の子会社を新たに設立し、コンシューマ向け・ビジネス向けを問わず移管。各製品の企画や開発、製造などを行う。同社は「新会社は連結子会社となるため、富士通からPC、携帯電話事業がなくなるというわけではない」としている。他方、グループ内に分散しているIoTに関する技術や企画、開発、製造、営業などのリソースは、全社IoT部門に集約し、中核事業として強化する。今回の措置は、ユビキタスビジネス事業の体質強化を目的に、PC事業・携帯電話事業の体制刷新を図るもの。その背景として、市場のコモディティ化が進み製品の差別化が困難となる中で、グローバルベンダとの競争が激化していることを挙げている。同社は、今回の体質強化により、従来以上に競争力ある商品をタイムリーに市場に提供していくとする。
2015年10月29日東芝は10月28日、半導体事業におけるシステムLSI事業ならびにディスクリート半導体事業の構造改革の方針を決定したと発表した。システムLSI事業は、注力領域の明確化の固定費削減を目的にCMOSイメージセンサ事業からの撤退を決定。併せて既報の通り、大分工場の300mmウェハ製造ラインとその関連資産ならびにCMOSイメージセンサ事業をソニーに譲渡する方向で協議を進めていくとする。同社のCMOSイメージセンサ事業の売り上げは2014年度で約300億円で、同事業の設計などに関わる社員については、ソニーへの譲渡完了に伴い、ソニーグループに移籍することで調整を進めていくとしている。また、これに併せてシステムLSI事業については、市場の成長が見込まれ、技術優位性が高い分野に経営資源を集中していくとするほか、200mmおよび150mmウェハ製造ラインの効率運営に向け、大分工場を岩手東芝エレクトロニクスに統合する形で新会社を発足させる計画。新会社では、アナログ半導体製品を中心にファウンドリ事業も行うことで、製造ラインの稼働率改善を図るとしている。この新会社は2016年4月1日をめどに発足させる計画だとしている。一方のディスクリート半導体事業については、収益力改善および市場競争力強化を目的に、2015年度末までに白色LED事業を終息させる。同社では、これにより市場拡大が見込まれるパワー半導体事業、光デバイス事業、小信号デバイス事業を注力領域と位置づけ、事業全体の早期黒字化を目指すとする。なお同社では、こうした構造改革に伴い、システムLSI事業、ディスクリート半導体事業およびセミコンダクター&ストレージ社の営業・スタッフ部門を対象に、セミコンダクター&ストレージ社内での再配置および再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施するとしており、こうした施策を進めることで、固定費を2016年度に2014年度比でシステムLSI事業で約160億円、ディスクリート半導体事業で約100億円削減させ、両事業の黒字化を目指すとしている。
2015年10月28日OKIデータは、セイコーインスツル(以下 SII)から、SII子会社のセイコーアイ・インフォテック(SIIT)が展開している大判プリンター事業の事業譲渡を完了したと発表した。OKIデータは10月1日、SIIからSIIT全株式の譲渡を受け「株式会社OKIデータ・インフォテック」(資本金:10億円、従業員数:236名)を設立、事業活動を開始した。また同日、OKIデータの欧米グループ企業へのSII欧米グループ企業からの大判プリンター事業・資産譲渡も完了。なおSIITから提供していた大判プリンターなどの商品販売・サービスは、OKIデータ・インフォテックが引続き提供する。OKIデータは、新領域への高付加価値プリンター事業を成長分野として位置付けており、特にプロフェッショナル市場を重要なターゲットの1つとしているという。今回の事業取得により、大型インクジェットサインプリンターおよびLEDグラフィックスプロッターなどの技術・開発力、ならびに商品ラインアップと販売チャネルを新たに獲得し、今後、印刷・流通・小売業界向けにワンストップ・ソリューションを提供するという。
2015年10月05日新生銀行は、15日に新設した「事業承継金融部」を通じて、事業承継ニーズへの取組みを強化すると発表した。○主に東京23区内の未上場のオーナー系中堅・中小企業が対象事業承継金融部は、主に東京23区内の未上場のオーナー系中堅・中小企業を対象に、今後さらなる需要の増加が見込まれる事業承継に焦点を当て、新生銀行グループの新生プリンシパルインベストメンツグループ(以下新生PIグループ)と協働して、そのノウハウも活用した投融資案件を発掘するとともに、コーポレートローン、M&A、資産運用やリースなど、同行グループの横断的な知見と機能の提供を通じ、顧客の事業承継ニーズへのサポート機会を発掘する専門部署として、法人部門内に設置する。具体的には、バイアウトや優先出資を主体とした投融資や同行グループが持つ機能を活用した金融商品やサービスの提案による事業承継の支援に加え、転廃業を考える中堅・中小企業に対しては、株式取得や債権買い取り、一時的に必要な資金の融資などの投融資案件を通じた、円滑な実行の支援策を提案していくという。新生銀行では、クレジットトレーディング業務、プライベートエクイティ業務を行う部署や子会社を集約した新生PIグループを2013年7月に設立、事業承継ニーズのある中堅・中小企業に対するハンズオンでのバイアウト投資などは同グループの新生企業投資を、事業の転廃業や債務整理などに関する債権買い取りやコンサルティングは新生債権回収&コンサルティングを中心に展開してきたという。高齢化社会の進展を背景に事業承継ニーズは増加傾向にあることから、同部の設置により、新生銀行グループ全体での取組体制を一層強化していくとしている。
2015年07月21日東京都は24日、難病医療費助成制度の対象を拡大すると発表した。2015年7月1日より新たに196疾病が指定難病に追加され、全体で306疾病が対象となる。原因が不明で治療法が確立していない希少な疾病で長期の療養を要する、いわゆる難病のうち、一定の診断基準が確立しているなどの要件を満たし、厚生労働大臣が定める疾病を「指定難病」という。指定難病については、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、患者の医療費の負担軽減および治療研究を推進するために、一定の認定基準を満たしている場合、その治療にかかる医療費の一部を助成している。今回、新たに追加された疾病は、先天性ミオパチー、マリネスコ・シェーグレン症候群、筋ジストロフィーなど196疾病。助成対象は、指定難病に罹患した人のうち、国の定めた病状の基準を満たしている人、あるいは申請月以前の12月以内に指定難病にかかる医療費が3万3,330円を超える月数が3回以上ある人となる。申請は、特定医療費支給認定申請書などの書類を区市町村窓口に提出して行う。
2015年06月25日横浜市は19日、2015年10月から、小児医療費助成制度の通院助成について、対象年齢を「小学1年生」から「小学3年生」までに拡大すると発表した。同制度は、横浜市内に住所があり健康保険に加入している子供が、病気やけがで医療機関に受診した際、年齢に応じて保険診療の一部負担金を助成するもの。通院助成の対象年齢は現在、0歳から小学1年生までとなっているが、10月から小学3年生までに拡大する。市は7月中旬以降に、小学2年生および小学3年生の子供の保護者に対し、通知書や申請書などを送付する予定としている。なお、1歳以上の子供が同制度を受ける場合は保護者の所得制限がある。また、入院の差額ベッド代や文書料、健康診断など、保険給付とならないものは助成対象外となるほか、他の医療費助成(ひとり親家庭等医療費助成など)や生活保護を受けている場合も助成対象外となる。
2015年05月19日●IoT事業に並んだインテルセキュリティの事業規模マカフィーは2月6日、都内で2015年の事業戦略説明会を開催した。昨年の事業を総括するとともに、セキュリティ市場のトレンドを語り、今後の展望を説明した。同社代表取締役社長のジャン・クロード・ブロイド氏は、「2014年は(同社が属する)インテルにとって記録的な年であった」と言及し、昨年の事業の総括をスタートした。コンシューマー事業においては、100社以上のISPパートナーとの協業、出荷される70%のPCにプリインストールされている。さらに、モバイルデバイスでは、ドコモ、ソフトバンク、KDDIとのパートナーシップによって、マーケットリーダーとしての地位をゆるぎないものにした。ちなみにインテルは、PC、サーバー、タブレット、電話向け製品で過去最高の出荷数量を達成。さらにIoT事業については前年比19%増で、金額として20億ドルを突破するなど、その好調を決算で発表している。そんな中、インテルセキュリティグループとしてのマカフィーの年間売り上げは23億ドルとなった。つまり、IoT事業とセキュリティ事業が拮抗する規模のビジネスになりつつある。そんな中で、マカフィーが目指さなければならないことは自ずと見えてくる。ブロイド氏は、セキュリティ市場のトレンドが従来のリスク保護からリスク管理重視のフェーズへと変化していることを指摘。その状況下においては、ITのインフラ全体を統合し、各種の情報を共有することで脅威に対するレスポンスレベルを最大限に向上させる必要があるという。これがSecurity Connected戦略の考え方となる。●Security Connected戦略の具体的なイメージは?例えばMcAfee Enterprize Security Mangerは、統合セキュリティプラットフォームを基盤に、セキュリティ情報とイベント管理を担う。これによって収集、分析したセキュリティ情報をひとつのプラットフォームの中で集中管理していけるわけだ。同社は、2017年への展望として、全世界で接続されたデバイス10億台以上を保護することをめざすという。インテルが2020年のIoTデバイスの予測を500億台とする中で、この数字はいかにも少なすぎる。ただ、マカフィーとしては、ゲートウェイの内側にあるデバイスについてはゲートウェイなどが統合的に保護するため、現時点では直接の保護対象ではないからと、少なくとも現時点ではカウント外であると説明する。今後、IoTのトレンドはもちろん、ウェアラブルデバイスなどが続々登場してくることが予想される中で、マカフィーの内側にいればすべてが保護されるという意味だ。それでも同社は、クラウドからチップまであらゆるデバイスにセキュリティを導入することの重要さを訴える。個々のデバイスを保護するだけでは十分なセキュリティ効果は得られない。セキュリティは「Connected」維持を徹底し、巧妙化する一方のサイバー攻撃を相互連携されたソリューションで回避していくという展望を訴えた。
2015年02月09日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は1月8日、同機構の助成事業の成果としてPEZY Computingが開発した高性能プロセッサが小型スーパーコンピューター(スパコン)「Suiren(睡蓮)」に搭載され、昨年11月の「SC14」国際学会で、スパコン省電力性能ランキング「The Green 500 List」の世界第2位を獲得したことを発表した。搭載されたプロセッサ「PEZY-SC」は、1チップ内に1024個の演算コアを有することで超並列演算を可能とし、倍精度浮動小数点数演算1.5TFlopsの演算能力を有している。「Suiren(睡蓮)」では同プロセッサを256個使用し、システム全体として理論性能395TFlopsの演算能力を有し、絶対性能を競うTop500リストでは178.1TFlopsで369位にランクインした。一方、省電力性能が高い順に並び替えたGreen 500リストでは、1Wあたり演算性能4.946GFlopsをを記録し、世界第2位を獲得した。現在、HPC分野においては、演算能力だけでなく、電力効率の改善がより一層強く求められている。NEDOは「高性能と低消費電力を両立させた『PEZY-SC』プロセッサを用いることで、小型ながら省電力・高性能なコンピュータシステムが実現できることが実証された」とコメント。今後、PEZY Computingでは今回実証された消費電力性能の高さを活かして、HPC分野の実アプリケーションの実装と性能検証を進めていく予定だという。
2015年01月08日グーグルは、非営利団体向けの支援プログラムとして、独自の活動アイデアを募集する「Googleインパクトチャレンジ」を実施し、審査を通過した上位4組の団体に、助成金として各5,0000万円と技術支援を提供する。1月9日まで募集を行い、その後審査を経て、来年3月には支援団体を発表する計画。来日していた米Googleエリック・シュミット会長は、「テクノロジーで人々の生活をより良くし、世界をより良くする」という考えにもとづいたプログラムだと話し、Googleとして継続的に取り組みを続けていく考えを示した。今回の取り組みは、Googleの社会貢献活動の一環として、2013年3月に英国で最初の支援活動を実施。その後、2014年には2回目の英国、そして米国、インド、ブラジル、オーストリアでも実施しており、今回の日本が6か国目、7回目の実施となる。対象となるのは日本国内で認定されている特定非営利活動法人、公益法人、社会福祉法人で、「テクノロジーを活用してより良い社会を作るアイデア」を募集する。社会に対してどれだけ影響を与え、いかに生活を改善するか、といったインパクト性、斬新な方法でテクノロジーを活用しているかといった革新性、応用可能性、実現可能性といった観点で審査されるため、単なるアイデアだけではなく、最終的にそれが実施されることを前提としたプログラムとなる。「テクノロジーを活用して社会の課題解決にチャレンジしている非営利団体を支援するプログラム」(グーグル執行役CMOアジア太平洋地域Googleブランドディレクター岩村水樹氏)であり、利用するテクノロジーは、Googleのサービスに限らず、幅広くIT技術を駆使したアイデアを求めている。シュミット氏は、「世界の問題を観てみると、ほとんどの問題は起業家精神に富んだ人たちが解決している」と指摘。そうした人たちに資金や技術を提供して手助けするのが目的だという。日本での開催に関しては、「日本はイノベーションの歴史が長い」として、スーパーコンピューター、青色LED、モバイルアプリの利用率の高さといった例をあげ、さらに東日本大震災以降、同社もサポートした被災地への技術支援といった経緯もあって、今回日本でも実施されることとなったようだ。また、新たに女性の社会進出を支援するWomen Will賞も新設した。日本では、女性が仕事と家庭の両立ができずに仕事を辞める例が多いと岩村氏は指摘。これに対して、テクノロジーを活用して「日本の働き方をスマートな、柔軟なものに変えていく」(岩村氏)ことを目指していく。シュミット氏も、「重要なのは女性の活躍に力を入れていること」とコメント。「女性が職場の中で、対等な立場で活躍して、社会もどんどん女性を取り込んでいくことが社会にとっても、Googleにとっても重要になっている」と強調する。Googleでは、「今より10%良くなるものではなく、10倍良くなるものを考えよう」というスタンスで取り組みを行っているとシュミット氏。こうして検討していくと、「10倍は無理でも、3倍は良くなるものができる」(シュミット氏)。こうして「チームで大きく考えることが重要」(同)だという。日本では、すでにNPO法人のCANVASとGoogleが、Raspberry Piを使った子ども向けプログラミング教育を実施しているが、シュミット氏はこのRaspberry Piについて、「Googleが考えているものに近い」と話す。限りなく安いコンピュータで、テレビと安いキーボードをつなげば、すぐにソフトウェアを走らせることができるため、コンピューティング環境が普及していないような国でも、テクノロジーの恩恵にあずかれるようになるからだという。シュミット氏は、テクノロジーが世の中を変えた例として、インターネットやGoogleの検索をあげたほか、テスラの登場で自動車業界が、Uberによって公共交通機関が変わったと指摘。こうした例は、インターネットによって生まれたと強調。テクノロジーを使ってより良い社会を作ろうというアイデアの登場を求めた。NPOらに向けた説明会の中でシュミット会長は、会場からの質問に答えて「多くのアイデア、いいアイデアは若い人から生まれる。現行のシステムのしがらみがない人からアイデアが生まれる」とコメントし、若い人たちへエールを送った。
2014年11月18日パナソニックは10月14日、企業向けMVNOサービス事業に本格参入すると発表した。MVNOは、仮想移動体通信事業者のことで、物理的な移動体回線網を保有しない事業者がMNO(移動体通信事業者)から回線網を借りることで、通信サービスを提供する。パナソニックは、通信帯域の制御と通信回線容量の管理を自社で行えることに注目。これにより、ユーザー企業の用途に合わせたフレキシブルな無線通信サービスプランが提供できるようになるという。また、同社の無線対応機器と保守・運用サービスというハードウェアと通信回線、運用までという一気通貫のワンストップソリューションが提供できることもメリットとして挙げている。MVNOサービスの第一弾として、10月2日に同社が発表した「Let’s note RZ4シリーズ」に同社のMVNOサービス対応SIMカードを搭載したモデルを用意。専用の無線通信回線プランを提供するという。なお、現時点では料金プランなどを確認できるWebサイトは用意されていない。○スマートフォンは?個人向けは?パナソニックは、個人向けスマートフォン事業から現在撤退しており、法人向けにスマートフォンライクなTOUGHPADが提供されているのみだ。今回のMVNOサービスを提供するパナソニックのカンパニー会社「AVCネットワーク」に問い合わせたところ、MVNOによるスマートフォンの提供は「今すぐにという風には検討していない」という。発表にある通り、「サービスと端末をセットで提供するもので、端末ありきの話ではない」とのことで、「MVNOだからスマートフォンを提供する」わけではないようだ。また、個人向けにもMVNOサービスを提供するかという質問に対しても同様の答えで、あくまで「法人向けにパナソニック製品とサービスを組み合わせたソリューションの提案」に限定して展開していくという。ただ、法人向けの中では、リリースに「IoT時代に求められる多様なインターネット接続ニーズに対応」と書き記しているように、IoT時代の「全てのものがインターネットに繋がる」点を重視。「顧客企業さまから『パナソニックのこの製品を使ってネットに接続するのに、MVNOでどんなことができるのか』というお話をいただいたら、適宜対応していく」としており、法人ユーザーのニーズに合わせたソリューション展開を主軸としてサービス展開を行なっていくとしている。
2014年10月14日ソニーは2月6日に行った第3四半期の決算発表において、2014年7月を目処にテレビ事業を分社化することを発表した。なぜPC事業は売却で、テレビ事業は分社化なのか? 本稿では、その背景を探る。関連記事【レポート】2014年7月の分社化で2014年度中のテレビ事業黒字化を推進 - ソニー・2013年度第3四半期決算発表(2014年2月6日)ソニーが発表したテレビ事業の分社化は、これまで「聖域」と言われた領域にもメスを入れたものだといえる。テレビ事業は、ソニーの大黒柱であるエレクトロニクス事業の「顔」であり、「SONY」ブランドを最も象徴する製品であった。そのテレビ事業を分社化するという平井一夫社長の選択は、ソニーのエレクトロニクス事業の改革が、もはや予断を許さない状況にあることを示すものだといえよう。同社の平井一夫社長は、「エレクトロニクス事業は、今後も厳しい状況で推移すると考えている。テレビ事業、PC事業は、今期目標としていた黒字化は困難な状況にある。この状況を鑑み、将来を見据えたエレクロニクス事業の再生と成長を加速するために、さらなる構造改革を実施する」と語り、テレビ事業の分社化、PC事業の売却および収束を決定した。平井社長は就任以来、エレクトロニクス事業の黒字化を必達目標に掲げてきた。だが、2013年度もそれは未達となる。その元凶となっているのは、やはりテレビ事業である。テレビ事業は、2013年度の赤字によって10年連続の赤字となり、その長いトンネルから抜け出せない状況にある。「テレビ事業は数を追わず、収益構造の改革を優先する。テレビ事業の黒字化なしでは、ソニーの再生も、その後の成長もない」と平井社長は語っていたが、あと一歩がなしえない。もちろん再生計画は着実に成果をみせつつある。2011年11月時点ではマイナス1,750億円、2011年度末時点(2012年3月)でもマイナス1,475億円あったテレビ事業の損失は、液晶パネル関連コストの削減、商品力強化とオペレーションの改善などにより、現時点でマイナス250億円まで追い込んだ。○一定の成果をみせる収益改善策ソニーの加藤優CFOは「2年でブレイクイーブンにするという計画は達成できていないが、赤字幅は6分の1に圧縮。一定の成果はあったと判断している」と語る。サムスンとの合弁である液晶パネル生産のS-LCDを解消し、テレビの製造拠点を相次いで閉鎖。製品ラインアップの絞り込みなどの荒療治にも取り組んできた。2009年11月に発表した中期計画においては、2012年度には年間4,000万台の事業計画も策定したが、2013年度見通しでは1,400万台と、そこからは約3分の1程度にまで大幅縮小している。だが、「2013年度に250億円の赤字が残るのは、高付加価値商品の展開が遅れたことや、新興国の市況悪化によるもの」(加藤CFO)と説明。来年度の黒字化への足掛かりをつかんでいることを示す。その状況下でのテレビ事業の分社化ということになる。平井社長は「分社化すると黒字になるというオートマティクなものではない」と前置きしながらも、「Xperiaで実績をあげているソニーモバイルコミュニケーションズ、プレイステーション事業を展開しているソニー・コンピュータエンタテインメントは、それぞれソニーの100%子会社としてビジネスを行っており、スピーディーな経営を実現している。これをテレビビジネスに持ち込むことになる」とする。平井社長自身もソニー・コンピュータエンタテインメントの出身であり、分社化のメリットを良く知る人物だ。「独自のマネジメントを行い、現場で判断することで、さらに経営スピードを加速できる。それを進めることが黒字化への道である」と平井社長は語る。テレビ事業部門にとっては、分社化することで責任の明確化が進む一方で、独立して判断できる体制が整うことを歓迎する声もある。ソニーグループ内からは、テレビ事業にはあれこれ口を挟む人が多かったが、それが薄れることになるのはプラス効果」とする声もあがる。●「One Sony」を目指す上でテレビ事業は重要で不可欠な役割?ただし、分社化が万能の特効薬ということはもちろんない。分社化しても独立性が担保されず、経営スピードが加速しなければ、テレビ事業の再生がままならないのは明らかだ。平井社長にとってみれば、分社化はテレビ事業黒字化に向けた「最後の賭け」ということになろう。そして分社化は、テレビ事業をそういう「崖っぷち」に置き、もはやあとがないという危機感を持たせる特効薬になる。しかもテレビ事業でさえも、分社化の対象になるのだという危機感を、他の事業部門に植え付けることにもなる。テレビ事業の再生の鍵は、「量」ではなく「質」になる。平井社長は「テレビ事業は、4Kを中心に高付加価値路線が功を奏している。これを伸ばしていく」とする。平井社長によると、2013年4月には37型以上のテレビ市場において、ソニーは市場全体の平均単価を35,000円ほど上回ったが、2014年1月時点では50,000円程度上回っているという。平井社長は「この2年の施策を通じて、テレビ事業の再生への道筋はみえている。テレビ事業は正しい方向に向かっており、軌道に乗っている」と高付加価値路線へのシフトに自信をみせる。テレビ事業は、ソニーにとってはなくてはならない事業だ。その点では、PC事業とは状況が異なる。ソニーは、市場が縮小傾向にあるPCを捨て、成長が見込まれるスマートフォン、タブレットに経営資源を集中することで、モバイル領域における需要をカバーできると考えている。だが、テレビは代わりになるものはない。○4番バッターのテレビでも二軍に落とす「テレビは引き続き、リビングルームにおける視聴体験を実現する上で、重要な役割を果たすとともに、技術的資産は他の商品カテゴリーにおいても、当社の差異化技術として活用される」と語る平井社長。そして「会社はセパレートだが、"One Sony"の中でビジネスをやっていくことになる」というほど、平井社長が目指す「One Sony」の中で不可欠な事業にテレビは位置付けられているのだ。「4番バッターを二軍に落とす」という言い方は適切ではないだろうが、今回のテレビ事業の分社化はそんな印象すら抱かせる。そこでどんな変身を遂げるのか。その変化こそが、将来のソニー全体の経営体質を変えることになるのかもしれない。同日に日本産業パートナーズへの事業譲渡が発表されたPC事業における減損損失82億円、デバイス分野での減損損失321億円を計上したほか、構造改革費用を追加計上したことにより営業外損益を圧迫した。これに加えて、スマートフォンやPCを手がけるMP&C事業、テレビやレコーダーなどを手がけるHE&S事業、さらにデバイス事業で営業利益が想定を下回り、これらをデジタルカメラなどのIP&S事業、ゲーム事業、音楽事業、金融事業での想定を上回る営業利益がカバーできず、大幅な下方修正となった。MP&C事業ではPC事業の譲渡に伴う構造改革費用として200億円が追加計上されているほか、スマートフォンの販売が4,200万台から4,000万台へと下方修正され、損益へマイナスの影響を与えている。懸案となっているエレクトロニクス分野の再生に関しては、先述したようにPC事業を譲渡してリソースをスマートフォンやタブレット端末に振り向ける。また、長年続く赤字体質が問題となっていたテレビ事業に関しては、必達目標としていた今年度の黒字化は困難となったものの、赤字幅の圧縮により2014年度の黒字化へ手応えを感じている様子を見せた。
2014年02月15日メットライフアリコ生命は、「JICE東日本大震災復興支援プログラム メットライフアリコ社員寄付 子ども支援プログラム」の助成先を決定した。このプログラムは、公益財団法人日本国際交流センター(JICE)と協働し、東日本大震災ならびに原子力発電所事故に伴い、被災した子どもたちを支援する活動として、被災地で子育てに関わる人たちの取り組みを応援する目的で昨年の12月から実施しているもの。メットライフアリコの社員からの寄付と、同寄付に対して会社が同額を拠出するマッチングギフトによる寄付を原資としている。2011年12月15日から2012年1月31日までに助成対象となるプロジェクトを公募した結果、全国から187件の応募があり、審査の結果、21団体(助成金額1,500万円)の助成を行うことを決定した。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月19日