アンテプリマ(ANTEPRIMA)の2024年春夏コレクションが2023年9月21日(木)にイタリア・ミラノで発表された。トランプをフィーチャーチェロの生演奏をバックに披露されたアンテプリマの2024年春夏コレクション。フィーチャーしたのは、誰もが知るカードゲーム“トランプ”だ。コレクションを構成するあらゆるアイテムに、トランプに登場するモチーフが落とし込まれている。たとえば、ミニ丈のドレスやスカートにはクローバーのモチーフを刺繍で表現。ワンピースにはハートのクイーンが大胆にプリントされている。透け感のある素材素材は、メッシュやオーガンザなど春夏らしい透け感のある素材が主流。ドロップショルダーで仕上げたシースルートップスは、ゆったりとしたシルエットも相まって、抜け感のある涼し気な一着に。ブラックのロングワンピースは、シースルー素材を使用しつつ、サイドに深いスリットを施すことで、軽やかなムードを纏わせた、鮮やかなカラーをミックスカラーは、ホワイト、ブラック、ベージュといったベーシックな色味を基調にしつつ、時折はっとさせるほど鮮やかなグリーンやイエローをミックス。ホワイトのタンクトップとロングパンツには、イエローのシャツを重ねることで、メリハリをプラスした。ミニサイズのワイヤーバッグアンテプリマのアイコニックなワイヤーバッグは、クローバーのモチーフを施した今季らしいデザインが提案されたほか、チェーンやボリューミーなストラップが付いたミニバッグも登場した。
2023年09月25日モスキーノ(MOSCHINO)の2024年春夏コレクションが2023年9月21日(木)に発表された。4人のスタイリストが集結約10年間、モスキーノのクリエイティブ・ディレクターを務めてきたジェレミー・スコットのラストシーズンとなった2023年秋冬コレクション。クリエイティブ・ディレクターのポジションが空席のまま発表される形となった今季は、モスキーノの創立40周年を祝うべく、4人のスタイリストが集結。4人それぞれがフランコ・モスキーノが手掛けた1983年から1993年までの10年間のコレクションに思いを馳せながら、40周年を祝うコレクションを作成した。クリーンなカラー×ビジューまず最初に登場したのは、フランスのスタイリスト、Carlyne Cerf de Dudzeeleが手掛けたアイテム。ブラックやホワイトといったクリーンなカラーをベースにしながら、大ぶりのビジューによってアクセントを加えた、デコラティブなピースが展開された。モスキーノのアイコニックなハート型のバッグも、ビジューが輝く煌びやかなスタイルで登場している。“足し算”で構成続いて披露されたのは、ニューヨークを拠点に活動しているスタイリスト兼エディターのガブリエラ・カレファ=ジョンソンによる、エネルギッシュなコレクション。フリンジが揺れるタイダイ柄のセットアップや、カラフルなかぎ針編みのスカートにドット柄のジャケットを合わせたルックなど、足し算によるインパクトのあるコーディネートを披露した。とびきりガーリーに中国出身のスタイリスト・Lucia Liuは、ガーリーでドリーミーな世界観を提示。立体的なバラのモチーフを施したパステルカラーのシースルードレスや、つぼみのようにふっくらと膨らんだパフスリーブが印象的なジャケットなど甘いピースが次々と登場。ラストは、リボンやバラの装飾を施したボリューミーなドレスで締めくくった。“LOUD LUXURY”そして最後は、エネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げるダンサーたちが、イギリスのスタイリスト・Katie Grandが手掛けたコレクションを披露。“LOUD LUXURY=騒々しい贅沢”をキーワードに、ブラジャーを重ねたスカートやクエスチョンマークを主役にしたボディスーツなど、モノトーンカラーで構成しているとは思えないインパクトのあるアイテムを提案した。
2023年09月25日ディーゼル(DIESEL)の2024年春夏コレクションが2023年9月20日(水)に発表された。フリーレイブの最中にショーを開催7,000人以上の観客を招待し、8時間にもおよぶフリーレイブの最中に開催された2024年春夏コレクションのファッションショー。ショースタート時はあいにくの雨だったが、巨大なスクリーンをバックに披露された新作の数々は、悪天候を吹き飛ばすほどのエネルギーに満ち溢れていた。散見されたのは、ディストレス加工が施されたアイテム。ファーストルックで提案されたシースルーのドレスは、ジャージー素材を所々縫い付け、まるで生地が剥がれ落ちているようなユニークな風合いに。赤いプリントを施したデニムウェアは、その鮮やかな色味によってハードな加工をよりいっそう際立たせている。時折差し込まれたカモフラージュ柄や花柄は、内側から柄が透けて見えるようにデザインすることで、奥行き感を演出。また、ペインティングされては剥がされてを繰り返したような、表情豊かなセットアップも提案された。デニムのタンクトップは、実は複数のバッグを繋ぎ合わせて作ったベルトバッグ。垂らして着用すれば、ミニスカートとしても楽しめる。また、カーゴポケットを繋げて作り上げた、カーゴパンツのように見えるユニークなアイテムも登場した。また、ショー後の週末に行われる、ディーゼル主催の無料映画祭の開催を記念した、色鮮やかなアイテムもランウェイへ。雨や日差しで色褪せた映画ポスターをレザーカットプリントで表現したトップスやドレスのほか、ポスターを揉みくちゃにしたような立体的なジャケットも展開された。
2023年09月25日エトロ(ETRO)の2024年春夏コレクションが2023年9月20日(水)にイタリア・ミラノで発表された。大胆に、時に軽やかにマルコ・デ・ ヴィンチェンツォがエトロのクリエイティブ・ディレクターに就任してから2年目となる今シーズン。前シーズンに続き、今季もエネルギッシュな柄を大胆に落とし込んだアイテムが豊富なバリエーションで展開された。フラワーモチーフ×レザーファーストルックは、図案化されたフラワーモチーフをプリントしたインパクトのあるシャツドレスからスタート。続くルックでも、ロング丈のノースリーブワンピースやマーメードスカートにエネルギッシュな柄が落とし込まれていた。いずれもレザーのミニスカートやアウターを合わせることで、上品なムードも携えている。ペイズリー柄のタトゥートップス肌が透けて見えるシースルーのトップスが繰り返し提案されたのも今季の特徴。とりわけ目を引いたのは、モノトーンカラーでありながら、インパクトのあるタトゥートップスだ。アイコニックなペイズリー柄をベースに、タコとエトロのロゴを大胆に配している。軽やかさをプラスするボーダー柄やデニム春夏らしい軽やかなムードを演出する、ボーダー柄のニットアイテムもランウェイへ。また、時折差し込まれたブルーデニムのジャケットやスカートも、コレクションに漂う開放的なムードを高めていく。軽快なリズムを刻むフェザーそしてショー中盤からは、モデルが歩くたびに軽快なリズムを刻むフェザーが施されたアイテムが登場。煌めくラメ糸やビジューの装飾を用いた襟付きトップスは、一際大きな存在感を放つデコラティブな1着となっていた。
2023年09月24日ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)の2024年春夏コレクションが2023年9月20日(水)にイタリア・ミラノで発表された。色香と強さを携えてセンシュアルなムードが漂う今季のヌメロ ヴェントゥーノ。象徴するのは、アンダーウェアをあえて見せるようにスタイリングしたルックだ。あえて見せるアンダーウェアバックにロゴがレイアウトされたアンダーウェアは、胸元にレースが配されたシースルーワンピースや、フェミニンな襟が目を引くペールブルーのワンピースを合わせて。ブラジャーは、胸元が大きく開いたクロップド丈のニットやマイクロミニトップスと一緒に提案された。煌めくスパンコールそんな色香漂うコレクションを盛り上げる、スパンコールを用いたアイテムにも注目だ。大きめのスパンコールを全面に配したジャケットはベースにメッシュのような素材を採用し、あえて1枚で提案することで、今季らしいセンシュアルな佇まいに。スポーティなショーツを合わせるという、意外性のあるスタイリングも面白い。ホワイトからブラックへカラーは、ピュアなホワイトから始まり、ピンクやイエローといったパステルカラー、そしてラストは強さを感じさせるブラックがランウェイを席巻。サテンのような素材のセットアップや、ランジェリーを思わせるレースを使ったワンピース、ウエストマークできるコートドレスなどが展開された。
2023年09月24日オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)の2024年春夏コレクションが2023年9月20日(水)にイタリア・ミラノで発表された。重ねて作る軽快なムードインビテーションと同じブラックとイエローで構成されたルックからスタートした今季のオニツカタイガー。ブラックのロングコートにブラックのトップスを合わせ落ち着いた印象でまとめあげながら、ソール前方にイエローを差し込んだハイカットシューズを合わせることで、プレイフルなムードを纏わせた。抜け感をプラスするシースルー素材そんな軽やかなムードをよりいっそう盛り上げるのは、時折り差し込まれたシースルー素材。ノースリーブトップスは片方のアームを通さずに着用し、その上からシースルードレスを重ねることで、軽やかな奥行き感を演出。ブラックのロングパンツには、シースルーのクルーネックトップスをあえて1枚で着用することで春夏らしい抜け感をプラスしている。煌めくフラワーモチーフ今季は、煌めくビーズで構成されたフラワーモチーフも随所に。端正なブラックのジャケットコートは、全面にフラワーモチーフを施すことで、スタイリッシュさと可憐さを併せ持つ1着に。ロングドレスは、肌を大胆に見せる深いVネックとビーズの繊細な輝きにより、ドレッシーなムードをよりいっそう高めた。鮮やかなプリントショー中盤は、イエローやブルーの鮮やかなプリントが登場。サイドを大胆にカットアウトしたワンピースからノースリーブトップスまで、あらゆるアイテムにボタニカルなプリントが落とし込まれている。いずれも同じ柄のアイテムをいくつも重ねることで、複雑で個性的な面持ちに仕上げている。スニーカーやブーツなど新作シューズシューズは、ソール前方の鮮やかなカラーがアクセントになったスニーカーをはじめ、ワントーンカラーのロングブーツ、多彩なカラーが揃うレースアップサンダルなどが提案された。
2023年09月23日オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)は、2023年9月20日午後2時(イタリア時間)に、ミラノファッションウィークにて、24年春夏イエローコレクションを発表しました。Courtesy of Onitsuka Tigerコレクションのテーマは、「パーソナルレイヤード」です。レイヤードはもちろん、アシンメトリー、ギャザー、カットアウトや余白の使い方を組み合わせることで、個々人に合わせたパーソナルなスタイリング表現が無限大の可能性を広げ、ブランドの特徴であるレイヤードのテーマをさらに進化させています。流れるようなシルエットを通じてブランドのDNAを保持しながら、洗礼されたモダンでエレガントなムードとなっています。Courtesy of Onitsuka Tiger伝統的でボリュームのある「重ね着」を、コクーンシルエット、コートによって表現しながら軽量に仕上げ、シャツ、ポロシャツ、バミューダパンツ、ワイドパンツを合わせたアシンメトリーなレイヤードを表現しています。共通のコンセプトから派生しながらも、それぞれがユニークなアイテムによって構成されており、現代的な方法で再解釈されたメンズのクラシックさと、ウイメンズのワードローブにとって不可欠なロマンティシズムと絶妙なコントラストを演出しています。メンズのテーラリングはソフトでありながら緻密であり、生地の重なりや質感などのディテールを、隠しきらずほどよく見せる工夫が施されています。ウイメンズは、透け感、アシンメトリー、ボディラインが見えるカットアウトなどディテールの要素を組み合わせ、フェミニンなルックを作り上げています。Courtesy of Onitsuka Tigerサイドスリットの入ったタンクトップ、カットアウトのあるドレスやTシャツ、丈の異なるアイテム、ジャージスカートや高級感のあるキャンバス地のバミューダショーツなど遊び心あるディテールは、レイヤードにユニークなシルエットをもたらしています。張りがありながらも硬くないダブルフェイスコットンの生地、シースルーナイロンニットなど、素材にもこだわっています。また、日本のテキスタイルグラフィックブランドnowartt(ノワート)とのコラボレーションによるフローラルプリントも特徴です。万物を構成する4つの元素「地水火風」からインスピレーションを得ており、「自然との調和の心地よさ」の世界観を取り入れながら、協業して完成させたテキスタイルグラフィックとなっています。フィッシャーマンズリブニットのジャンパーやカーディガンなどのニットウエアは、袖の付け根の下に切り込みが入っており、そのままだけではなく、腕を出して胸元で結んで着用することも可能です。Courtesy of Onitsuka Tigerカラーは、ブラック、セメントグレー、セージグリーンで構成され、フローラルプリントとコントラストをなし、ルック、シューズ、バッグの一部に使われているOnitsuka Tigerのアイコニックなタイガーイエローにより、全体につながりをもたらしています。Courtesy of Onitsuka Tigerスニーカーは、スリッポン、ハイカット、アンクルブーツなど高さの異なる新しいデザインとなっており、アッパーにはコーティングされたキャンバス、ソールのフロント部分にはコントラストの効いた大胆なイエローが使用されています。イエローとブラックのレザーブーツや、上質なナッパレザーやベルベット素材の足首で結ぶプラットフォームのヌードレースサンダル、さらに、アイコニックなブランドカラーの軽量ナイロン製メガショッピングバッグも登場しました。Courtesy of Onitsuka Tiger2023年8月に銀座にオープンしたイエローコレクションのコンセプトストアも、このシグネチャーカラーであるタイガーイエローと、内観に使用されている打ちっぱなしコンクリートでのコントラストで表現されています。Courtesy of Onitsuka Tiger今回のコレクションは、クリエイティブディレクター、アンドレア・ポンピリオのディレクションをもとに発表されました。Courtesy of Onitsuka TigerCourtesy of Onitsuka TigerCourtesy of Onitsuka TigerCourtesy of Onitsuka TigerCourtesy of Onitsuka Tiger■nowartt(ノワート)ヘリテイジ × モダンアートを取り入れた テキスタイルグラフィックブランド。時代を問わず今を感じさせるアート『now art textile』、平和を感じさせるアート『no war textile』、 この 2 つのコンセプトを融合しテキスタイルグラフィックを創造。 現在、世界各国ハイコレクションブランド、アウトドアブランド、スポーツブランド、バックブランド、その他様々なカテゴリーに対してテキスタイルグラフィックを提供している。 テキスタイルグラフィック全てに は『自然との調和の心地よさ』というメッセージが作品に含まれる。ブランド設立から10年経った2020年よりnowarttの世界観はそのままに、サステナブルな素材をベース とした新たなテキスタイルラインである「nowartt Piece of The EARTH」を確立。また2022年からはアナログとデジタルを融合し、ハンドメイドの温かみとマシンメイドの精巧さの調和を感じられる「nowartt ART GALLERY」も展開中。■Onitsuka Tiger日本のファッションブランド、Onitsuka Tigerは、革新的なデザインと快適さを追求し、ファッション性を兼ね備えたコレクションを発表し続けています。このブランドの姿勢は、伝統と現代的なデザインへの敬意を表し、研ぎ澄まされたデザインは品質とディテールにこだわる職人技により実現しています。常に新たな価値を提供し続け、"新しいラグジュアリー" を探し求める人々に寄り添うことを目指します。■Andrea Pompilio(アンドレア ポンピリオ)Onitsuka Tigerクリエイティブディレクターイタリア生まれ。父が建築家、母が画家、祖母がブティック経営という環境で育ち、幼少の頃からファッションデザイナーになる夢を抱く。ペザロの芸術大学とミラノのマランゴーニ・インスティテュートでファッションを学び、有名ブランドで経験を積んだのちに2011年秋冬にシグネチャーブランドを発表。その後、オニツカタイガーとのコラボレーションを経て、クリエイティブディレクターに就任し現在に至る。Onitsuka Tigerオフィシャルサイト::@onitsukatigerjp
2023年09月23日レインメーカー(RAINMAKER)の2024年春夏コレクションが発表された。切り捨ての美今季のインスピレーション源は、琳派、とりわけ江戸時代中期を代表する画家・尾形光琳の名画《燕子花図》。またデザイナー・渡部 宏一は、琳派と同時代の東西史を考察したうえで和装のゆとりや余白、同時代の洋装における曲線や装飾から機能美ではない“美という機能”の解釈へたどり着いた。そんなレインメーカーならではの「切り捨ての美」を表現したコレクションを展開する。燕子花をダイナミックにあしらって今季のムードを最も体現しているのは、着想源となった《燕子花図》のモチーフを大胆にあしらった衣服。銀箔を変色させる、伝統的な焼き箔と近代的な技法を組み合わせることで、現在進行形の“琳派”を表現しているのが特徴だ。その例として、軽やかな素材のワンピースやパンツには、緑青の燕子花が大胆かつしなやかに、流れるようにあしらわれている。余裕から生まれるドレープまた、余裕のある生地使いから生まれる優雅さも今季ならでは。ドレープが美しい深緑のタンクトップをはじめ、裾口がワイドなハーフパンツやオーバーサイズのシャツ、長めの丈のテーラードジャケットなど、シンブルでゆったりとしたシルエットながらも洗練された印象のルックが散見された。静と動のカラーパレットカラーパレットは、ブラックやネイビー、ダークグレー、カーキといった落ち着いたダークトーンを主に採用。そんな静寂を感じさせる配色に、ホワイトのロングシャツやマスタードイエローのカーディガンといった“躍動”を表す差し色が、時折アクセントを加えていた。
2023年09月10日リンシュウ(RYNSHU)の2024年春夏コレクションが、東京・新国立美術館にて発表された。苦くて甘い恋心今季のリンシュウは、“Bitter Sweet Romantic”がテーマ。ロマンティックな恋に落ちたときの甘い瞬間や、淡く苦い思い出、燃え上がるような情熱を衣服に落とし込んだ。そんなコレクションをパリの2024年春夏ファッションウィーク前に、東京にて先行公開。会場の青い光が、ドレスコードであるブラックの装いに身を包んだ観客を照らしていた。軽やかなオーガンジーを纏ってファーストルックには、軽やかに透けるオーガンジー素材のドレスが登場。ネイビーからブルー、ライトブルー、ピンク、ホワイト…と移り変わる甘い恋心を表しているかのようなカラーリングが印象的だ。また、深いブルーのシルクサテンシャツにオーガンジーを組み合わせたシャツドレスや、袖のスリット部分からピンクのオーガンジーが見えるテーラードジャケットなど、エレガントなルックが散見された。密かに燃える想い“胸の内で密かに燃える想い”を体現したデザインも今季ならでは。黄色と赤、黒白のユニークなアート柄を自在に型取り、組み合わせているのが特徴だ。ジャケットをはじめ、ハーフパンツやドレス、ブーツなどの多彩なラインナップには、“自分の気持ちを自由に伝えてほしい”というデザイナー 山地正倫周・りえこの思いが込められている。大胆なカラーパレットまた特徴的なのが、ランウェイの中盤から鮮やかなカラーパレットのルックが披露された点。ブラックやネイビーなどのベーシックカラーとパステルカラーを基調とする中、ピンクのロングジャケットとハーフパンツ、光沢のあるブルーのセットアップや輝くグリーンのドレスが、コレクション全体に大胆なアクセントを加えていた。嵐の前の静けさラストは、ツヤ感のあるブルーとネイビーのテーラードに、立体的なブラックのオーガンジースカートを合わせた“嵐の前の夜明け”を暗示するモダンモノトーンで幕を閉じた。ロマンティックな夏を予感させる。
2023年09月10日エズミ(EZUMi) 2024年春夏コレクションが発表された。20世紀の芸術家 マルセル・デュシャンに着想過去2シーズンに渡り、ブランドの方向性をよりエレガントかつモードなものへと進化させてきたエズミ。デザイナーの江角泰俊がロンドンで学んだ<ファッション×アート>の経験を融合させ、ブリティッシュな要素や歴史的な時代のインスピレーションを、現代的な視点で解釈するアプローチを続けている。2024年春夏コレクションは、この洗練されたスタイルに反骨精神を融合させることで、これまでの既成概念を覆すような、新たなアプローチを試みる。着想源となったのは、20世紀初頭の芸術家 マルセル・デュシャンの精神と彼のダダイズム運動だ。「Ready-made」シリーズの視点を反映まず、コレクションに大きな影響をもたらしたのは、(男性用小便器をはじめとする)“既製品を芸術作品として再構築”した「Ready-made」シリーズ。物品の意味や機能を変容させるという、画期的なデュシャンの視点を、ファッションシーンの既製服に置き換えて洋服作りをスタートした。見慣れたトレンチコートを、ウエストが覗くほどショート丈に大胆カットしたり、ワンピースとして再解釈したり。またエズミが得意とするテーラードジャケットは、ボレロのような軽やかな佇まいへとアップデートさせている。さらにボリューミーなバルーンスリーブを持つブラウスも、今季ならでは。中でも目を惹いたのは、端正なシルエットのジャケットと組み合わせたレイヤードスタイルだ。一つのルックの中で、対比的なフォルムを組みあわせることで、そのシニカルな構造を強調しているかのよう。色味はあえて抑えて、洗練されたパステルカラーを共存させている。“超繊細なズレ”を意味する「inframince」日常では知覚できないほど“超繊細なズレ”を意味する、デュシャンの「inframince」という概念も、コレクションの要となる。例えば、メンズスーツの内ポケットを作る“台場仕立て”は、ボトムスの表地に。また本来後ろにあるはずの立体的なポケットは、パンツの前身頃へと移動させた。さらにジャケットのボタンは、斜めに走らせることで、服そのものが歪んだように見える、アーティスティックな仕掛けも施されている。コラボレーションアイテムもさらに今季は、帽子ブランド「メゾンドリリス(La Maison de Lyllis)」とコラボレーション。涼し気なナチュラル素材をベースに、エズミがエレガントな花のコサージュを加えた、上品な表情に仕上げている。
2023年09月09日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2024年春夏コレクションが、2023年9月2日(土)に発表された。2022年秋冬シーズン以来に続いて、今季のビデオプレゼンテーションにおいても、音楽はダムタイプ(DUMB TYPE)の山中透による。マラルメ、白と黒の星座的附置小鳥の優しいさえずりが重なりつつ始まるビデオプレゼンテーション、そこで言葉が厳として発せられる──「Un coup de dés jamais n’abolira le hasard(さいころのひと振りは決して偶然を廃さないだろう)」。2023年春夏シーズンのテーマを引き継ぎ、「Self-Portrait #2」と銘打たれた今季のドレスドアンドレスドは、19世紀後半を代表するフランスの詩人ステファヌ・マラルメ、特に彼が最晩年に残した詩篇『骰子一擲』──冒頭に引いたテクストは、この作品の謂いである──への関心のもと、ふたたび自己の輪郭をなぞってゆく。マラルメの『骰子一擲』に、いわゆる散文的な筋書きが明確にあるわけではない。むしろこの詩篇は、こうした線状的な進行を解体するものである。すなわち、白いページの上には、大小さまざま、異なる活字で繋がれた種々の語が、一切の句読点なく配置されている。11面にわたる見開きには、「さいころのひと振りは/決して/偶然を/廃さないだろう」という文字が4分割されてまたがる。そして、詩篇中最大の大きさで印刷されたこの主題のまわりに、難船、さいころを振ることをためらう船長、あるいは星座といった副次的なモチーフが、あたかも副旋律のようにして組み入れられているのだ。いわば、白地に黒く描きだされた星座である。そもそもマラルメにとって、文字を書くという行為は、それが白い紙の上に黒いインクの跡を残すことであるように、人間の奥深くに微睡む暗黒に由来するものであった。マラルメはこう書いている──「インクの壺は、一つの意識のように透明なクリスタルガラスだが、底には、暗黒の色をした滴が溜っている。この暗黒の滴というものが、何か或るものが存在するということに関係があるのだ」(マラルメ「限定された行動」松室三郎訳より)。だから白いページの上では、人間のある姿が、黒々と開示されることになる。何よりも黒い文字は、白い紙の支えなくしてありえない。ドレスドアンドレスドが、とりわけブラックとホワイトの無彩色を基調にしていることは、衣服の研ぎ澄まされた造形へと真摯に向き合うという志向にほかならないだろうが、今季、それをマラルメの詩篇に引きつけてよいのかもしれない。ブランドを象徴するシングルブレストやダブルブレストのジャケット、ロングコートはブラックでまとめる一方、シアー素材のドレスはホワイトないしブラックをベースに、『骰子一擲』の詩句を、ボディとは逆のトーンでのせている。ここには、白と黒の厳しい緊張関係がある。先に、『骰子一擲』とはいわば、白と黒とが織りなす星座だと言った。いま「星座」に着目するのならば、それは星々が元から何らかの意味を有しているのではなく、幾つかの星おのおのが持つ輝き、それらのあいだの関係に応じて、何かしらのイメージが浮かび上がるものである。「語群は、あたかも宝石を連ねた玉飾りの上における灯影の一条の連鎖のように、相互間の反射反映によって点火される」(マラルメ「詩の危機」松室三郎訳より)──白い紙の上の黒い染みにすぎない文字、これら語群の絶えざる反射と反映が、虚像を生みだすのだ。語群が互いに反射し合う詩の空間において、「星座」が現実とは異なる位相に立ち現れるなか、なおも現実に身を置いてこれを語る詩人は限りなく無に近づく。存在と虚無のあいだに宙吊りにされた主体は、それでもなお自らの存在を確かめる。鏡。確かなフォルムを支えるウールギャバジン、着るにしたがって身体に馴染んでゆくコットンモールスキンという2023年春夏シーズンの素材を引き継いで、研ぎ澄まされた佇まいに、しかしボクシーなシルエットでささやかな抜け感を漂わせるよう仕立てたテーラリングは、こうして執拗に自身の輪郭をなぞるのだ。もう一度シアードレスに戻るのならば、これは半透明な素材でもって身体を透かして見せ、その像を二重化する。あるいは、きらめきを帯びたトラウザーズは、艶やかなサテンを用いつつも独特の凹凸感を示し、確かな肌理の実在と波打つ光沢の表情のあいだに漂う。『骰子一擲』見開き9ページ目の語句を拾うと、こう読める──「なにひとつ/起こらないだろう/場所しか(RIEN / N’AURA EU LIEU / QUE LE LIEU)」。白いページという場の上に「無(RIEN)」の文字が黒々と立ち現れるように、今季のドレスドアンドレスドは、存在と虚無のあいだに宙吊りにされた自画像を、震えるようにしてなぞっているのではなかろうか──この黒さこそ、「何か或るものが存在するということ」に関係していると、マラルメは語っているのだから。
2023年09月07日ミントデザインズ(mintdesigns)の2024年春夏コレクションが発表された。架空の物語に登場する「スペースシップクラブ」をテーマに第二次世界大戦後の英国において、UFOの目撃情報と記録を60年以上集めてきた“UFOファイル”をより深く究明する「ミントデザインズ・スペースシップクラブ」ーーそんな、とある架空の物語に登場する、架空の組織をテーマとした今シーズン。かつて人々が夢見た宇宙への憧れや恐れを、エレガントにそしてユーモラスに表現したコレクションを展開していく。まず目を引くのは、宇宙の要素を落とし込んだ遊び心溢れるパターン。SFコミックの表紙から着想を得たというポップな柄や、星座や未確認飛行物体を線画で表現した柄が、ワンピースやスカートなどコレクションを構成するあらゆるアイテムに落とし込まれている。アンティークの天体図柄や立ち入り禁止の金網をモチーフにした、個性豊かなパターンもコレクションに漂うプレイフルなムードを盛り上げていく。パンツとシャツのリラクシングなスタイリングには、レントゲン眼鏡の広告ビジュアルをモチーフにした怪しげなデザインのTシャツを合わせ、エッジィなアクセントを加えた。クロップド丈の長袖シャツに半袖シャツを羽織ったスタイリングなど、レイヤードスタイルが繰り返し提案されたのも印象的。シースルートップスに半袖のワンピースを重ねたルックでは、間に黒シャツを忍ばせることで更なる奥行きをプラスしていた。カラーは、ブラックやホワイトのモノトーンカラーがベース。そこにライムイエローやライトブルー、パステルオレンジといった優しいカラーを加えることで、春夏らしい軽やかなムードを纏わせた。
2023年09月05日ヴィヴィアーノ(VIVIANO)は、2024年春夏コレクションを、渋谷ヒカリエにて2023年9月2日(土)に発表した。「美しい夏」を描いて今季のテーマは、「美しい夏」を意味する“Le Bel Été”。映画『ロシュフォールの恋人たち』からインスピレーションを得ており、服を着て幸せになる気持ちを、作品のロマンティックなストーリーに重ね合わせて表現したという。海沿いの風景を思わせるマリンルック象徴的なのは、『ロシュフォールの恋人たち』の海沿いのシーンを彷彿させる、セーラーカラーやセーラーハットなどのマリンテイストを取り入れたルック。太陽の光を受けて輝くメタリックシルバーのマリンパンツにセーラーカラーの白ブラウスを合わせたスタイリングに始まり、セーラーカラーを配したデニムセットアップやテーラードベストなどが登場している。楽しげな色彩をまとったチュールヴィヴィアーノのアイコニックなチュールアイテムも、踊り出したくなるような、楽しげなムードをまとった色彩に。軽やかなピンクのチュールを用いてギャザーを幾重にも寄せ、白のボウタイブラウスに組み合わせたルックをはじめ、太陽の光を思わせるまぶしいイエローのコート、ピンクとイエローのチュールをたっぷりと重ねてプレイフルに仕上げたドレスなどが披露された。デニムのセットアップには、ブルーを基調としたグラデーションのチュールを贅沢にプラス。繊細に折り重なる色彩の濃淡とフリルギャザーの躍動が相まって、絶え間なく揺れ動く海のような佇まいを見せる。夏の花“アンスリューム”プリントで表現された“アンスリュームの花”も、目を引く今季ならではのモチーフだ。夏の花であるアンスリュームの情熱的なエネルギーを、華やかなピンクを背景に総柄で表現した。自由な曲線を描くようにフリルを配したオフショルダートップスとスカートのセットアップや、たっぷりと生地を用いてバルーンのようなフォルムに仕上げたドレスなど、花々の生き生きとしたムードを投影したウェアが披露された。中でも特に存在感を放っていたのはラストルックのドレスだ。アンスリュームの花を散りばめた、軽やかな布地を贅沢に使用し、フロントにはギャザーを寄せ、バックは大らかなカーブを描くようなフォルムに仕上げた。歩を進める度に、ふんわりとたくさんの空気を含んで揺れ動くドレスは、これから訪れるであろう“幸せの予感”に心を躍らせる様子を象徴しているかのようであった。
2023年09月05日ウノ ピゥ ウノ ウグァーレ トレ ゴルフ(1PIU1UGUALE3 GOLF)は、2024年春夏コレクションを2023年9月2日(金)に、渋谷ヒカリエにて発表した。大人のためのリュクスなゴルフウェア世界各国の最高級素材を使用し、独自の審美眼やメソッドにより素材本来の持ち味を生かしたリュクスなウェアを展開してきたウノ ピゥ ウノ ウグァーレ トレから、ゴルフウェアのラインであるウノ ピゥ ウノ ウグァーレ トレ ゴルフが登場。洗練されたデザインとスポーツの機能美を併せ持つラグジュアリーなゴルフウェアを提案する。念頭に置いたのは、大人のためのセクシーで知的なゴルフウェアだ。 機能性素材と113種類の独特なシルエットパターンを組み合わせ、ゴルフのプレー中も快適に。なおかつ、上品さをまとったウェアの数々が披露されている。上品さを演出する質感日差しに映えるホワイトのポロシャツや、シックなブラックのノースリーブトップス、フード付きのジャージなど、シンプルなウェアや数々は穏やかな光沢感と軽快な素材の質感で上品さを演出。艶やかなパテントで仕立てたゴルフバッグが、コーディネートにアクセントを効かせていた。プレイフルな幾何学モチーフ散見されたのは、幾何学的なモチーフだ。ジャカードニットのベストやシャツは、鮮やかなグリーンベースやベージュトーン、白黒の配色により、生き生きとしたプレイフルな装いに。また、ヴィヴィッドなグリーンやオレンジ、イエロー、ピンクに彩られたシャツやパンツには、モノグラムロゴを全面に配し、グラフィカルなアクセントを効かせることで存在感をより一層強めていた。この他、ペイズリープリントのミニワンピースやTシャツ、ラバープリントのロゴを全面に配したオールブラックのトップスなども登場している。ドレス&セットアップなどペアルックも加えて、ペアルックも展開。エレガントな表情の素材で仕立てたモノトーンのロングドレスやセットアップは、ゴルフを楽しんだ後、街に繰り出していく時の特別感あふれる装いを想起させる。また、千鳥格子プリントを配して連動させたシャツとワンピースのペアルックは、イエローやレッド、グリーンといった目を引くカラーバリエーションで披露。オールブラックで統一したペアルックは、虹色に輝くゴルフバッグやロゴ入りぬいぐるみをプラスすることで、遊び心をプラスした。
2023年09月05日ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)の2024年春夏コレクションが2023年9月2日(土)に発表された。タイトルは、“NEW TOWN NEW CAR”。過去と向き合い、新しい夢のある創作をこれまで外からインスピレーションを得てコレクションを展開してきたヨウヘイ オオノ。しかし今季のクリエイションに際して向き合ったのは、自身の過去だという。“傷ついてでも過去と向き合えば、新しい夢のある創作が出来るのではないか?”。そう話すヨウヘイ オオノのデザイナー・大野陽平が贈る2024年春夏コレクションは、幼い頃の日々や家族との思い出を着想源にした非常にパーソナルなものでありながら、見るものを惹きつける魅惑的なムードで満ち溢れていた。ラグビーボールをモチーフにファーストルックは、ラグビーボールをモチーフにした彫刻的なワンピースからスタート。これまでウェアラブルな洋服の中でユニークなフォルムを提案してきたヨウヘイ オオノだが、今季はコンセプトをより分かりやすく伝えるべく、大胆に表現したという。スポーティなアイテムスポーティなアイテムが繰り返し提案されたのも今季の特徴。メッシュ素材で仕上げたマルチカラーのノースリーブトップスはその好例。また、2本のラインが配されたワンピースやオールインワンもコレクションに漂う軽快なムードを高めていく。真っ白なドレスその一方で、ウエディングドレスを思わせる真っ白なドレスもランウェイに。艶めく素材にトーンオントーンの花柄が配された、繊細さとエレガントなムードを纏う一着だ。2種類の車を投影したピースそしてラストは「未来に向かっていく憧れのテスラ」と「父親が乗っていた過去の車」を投影したユニークなフォルムのピースが席巻。時間軸においては対照的でありながら、大野にとっては同じものだという2種類の車に思いを馳せたピースには、大野自身の家族写真がプリントされたベールがかけられていた。
2023年09月05日アブランクページ(ablankpage)の2024年春夏コレクションが2023年9月2日(土)に渋谷ヒカリエで発表された。日常の疑問から探る新たな可能性今季のテーマは“expired(=賞味期限切れ)“。ヒントを得たのは、世の中の便利の象徴であり、日本をはじめ、アジア圏などで広く親しまれているコンビニエンスストアだ。コレクションには、コンビニエンスストアで見られる日常の光景から、賞味期限などを理由に日々行われる食品廃棄など、デザイナーのラロパイブン・プワデトが疑問に感じたことを落とし込んだ。カラフルなテキスタイルまず目を引くのは、コンビニに陳列されているカラフルなテキスタイル。ドロップショルダーのリラクシングなトップスは、鮮やかなイエローをベースに、手書きのようなラフなブルーのグラフィグをプリント。真っ白なシャツコートには、「半額」のシールをランダムにプリントし、プレイフルなムードを演出した。フォーマルウェアの探究フォーマルウェアの探求もしたという今季。ビッグシルエットで仕上げたジャケットやパンツなどが登場した。中でも一際目を引いたのは、ジャケットの下に白シャツを合わせているように見えるアイテム。通常のサイズよりも数倍大きく設定することで、ロングコートのような丈感に仕上げている。エドウインと再タッグ先シーズンに続き、今季もエドウイン(EDWIN)のB品素材を使用したコラボレーションアイテムがお目見えボトムスのディテールを生かしたベアトップワンピースや、ポイントにデニムを配したノースリーブジャケットなどが登場した。西川毛織ともコラボさらに今季はウールの産地・尾州最大のテキスタイルメーカー「西川毛織」とのコラボレーションアイテムも披露。検査時に微細な欠点が判明した規格外品などを用いて、新たなアイテムへと昇華させた。
2023年09月05日チノ(CINOH)の2024年春夏コレクションが発表された。機能とデザインが孕む“曖昧さ”チノの2024年春夏コレクションは、機能とデザインの境界に潜む“曖昧さ”にフォーカス。機能性を意図的に取り入れたことがデザインとなり、ディテールやシェイプをデザインすることで機能性が追加される――そんな、本来の目的と結果が異なる衣服を提案する。たとえば本来“機能させるもの”であるボタンは、数を多く配列することで、“装飾”としての役割を強調している。ダブルブレストのベストは、フロントに16個ものボタンをオン。下の6つはあえて外し、裾が風になびくようなシルエットを演出している。煌めく星のような輝きまた今季目を引いたのが、キラキラと光沢感のある素材使い。煌めく星のようなラメを配したカーディガンやブラ、上品な光沢感のスカート、メタリックな輝きのメッシュトップスなどが、アクセントとして随所に差し込まれ、コレクションにゴージャスなムードを付与していた。攻めと守りのバランス感覚全体を通してコレクションは、シャツやジャケット、スラックスといった、チノらしいエレガントかつベーシックなアイテムを中心に展開。そこに、肌を見せるセンシュアルなカッティングやシルエットの遊びを加えることで、攻めと守りの絶妙なバランス感覚を保っているのが印象的だ。たとえば、カフスを配したグレーのトップスは、極短の丈と、極長の袖のコントラストがユニーク。ボトムスには同じくグレーのハイウエストパンツを合わせ、クリーンなセットアップスタイルに仕上げながら、足元はオニツカタイガーとのコラボレーションスニーカーでカジュアルダウンさせている。エネルギッシュな夕焼けカラーを差し込んでカラーは、ホワイト、ブラック、グレーを中心としたシックなモノトーンパレットが中心。そこへ時折、夕焼けを思わせる鮮やかなオレンジやブルーを織り交ぜて、エネルギッシュなムードを差し込んでいたのが印象的だ。
2023年09月04日セブン バイ セブン(SEVEN BY SEVEN)は、2024年春夏コレクションを2023年9月1日(金)に、国立競技場 大型車駐車場にて発表した。ブランドのルーツ、サンフランシスコのスタイルに着目着想源となっているのは、セブン バイ セブンのルーツであるサンフランシスコ。セブン バイ セブンをスタートさせてからもうすぐ10年を迎えようとするタイミングにふれ、初心を見つめ直したというデザイナーの川上淳也は、サンフランシスコならではの、ユーモアがあり個の際立つスタイルに改めてフォーカスした。"アメカジ"や"ヴィンテージ"など、既存のファッションの中で洗練を目指すのではなく、むしろ既存の枠組みの外から、まだ誰も気が付いていない新たな価値を拾い上げること。そういった形で新しさの追求を続け、一貫して自由に個性を楽しめる装いを提案してきた、セブン バイ セブンのアイデンティティが今季のコレクションには色濃く反映されている。“自由さ”を表現する独特の素材デザイナーの川上が表現する“自由さ”は、自ら産地をまわり、技術や加工を見てセレクトするという素材選びに顕著に表れていた。例えばアイキャッチなのは、様々な形を象る“折り紙”を貼り付けたスカジャンだ。折り紙の装飾は、アメリカのエアメールや梱包に使われる、水に強くタフな紙素材を採用。紙という素材感を生かしたい、と考えたことから折り紙を装飾に使うことを思いついたという。また、インドで見つけたマクラメ編みに着想を得た、レザーのメッシュアイテムも目を引く。メッシュ状に仕上げたレザーはオーバーシルエットの5分袖トップスやコートなどに用いられており、人の手で紐を編み上げていく様子が思い浮かぶような、繊細な透け感と手仕事の温かみを感じる質感が印象的だ。また、様々な色・形のレザーをつなぎ合わせたパッチワークレザーのミニスカートや、ステッチ、フリンジによりデコラティブに仕上げたレザーバッグなど、クラフト感あふれるレザーアイテムが散見された。リラックスしながらエレガントに肩の力を抜いたリラクシングなムードをまといつつ、優雅さを感じる佇まいも魅力。しなやかなマドラスチェックのシャツやパンツは、穏やかな光沢と優しい色味によって気負わない上品さを描き出している。シースルーのブラックシャツは生地をたっぷりと用いてふんわりとしたドレープを描き、細かなシワ感のあるチェック柄のセットアップは落ち着いた色味と、程よく体になじむシルエットによって、自然体ながらも凛とした装いを見せた。スタイリングにおいても、カラフルなレトロプリントのTシャツにブラックのパンツを合わせたルックや、膝上丈のショートパンツにさらりと白シャツを合わせたコーディネート、パジャマのように緩やかなシャツとパンツのセットアップなど、気取らないシンプルさを感じる装いが目立った。軽快で飾らない佇まいであっても、プリントのタッチや生地の表情、手の込んだディテールなど、さりげない“ひねり”が仕掛けられており、つい目を留めてしまうような遊び心が随所に散りばめられている。
2023年09月04日サポートサーフェス(support surface)の2024年春夏コレクションが2023年9月1日(金)、東京・大手町三井ホールで発表された。"ものづくりの原点"に立ち返ってデザイナー・研壁宣男が、ものづくりの原点である"無いものを作る"ことに改めて奮起した、今季のサポートサーフェス。衣服を作る経験が増えていくごとに、"無いもの""無かったもの"は減っていく。そんな中で日々湧き上がるアイディアを、「大胆さと洗練」というテーマに昇華させたコレクションを展開する。大胆な生地使い象徴的なのは、大胆な生地使いから生まれる、エレガントなシルエットだ。裾幅を広く取ったパンツをはじめ、胸元が深くカットされたノースリーブジャケット、ゆったりとしたヘムラインのスカートなど、“風通しの良さ”とエレガントさのバランスにこだわったルックが登場。余裕のある袖口のブラウスから風が入るような、過去にはない挑戦的なデザインを創出した。いきいきとしたテクスチャー立体的なテクスチャーも今季ならでは。コットンとナイロンを組み合わせたブラウスや、凹凸のある半袖ニットが散見された。さらに、毎シーズン登場する毛羽立ったシャギーには、水洗い後も“ふわふわ”感が残るイタリア産素材を新たに採用している。カラーパレットも大胆にカラーパレットは、ベーシックなホワイトをはじめ、グレーやブラウン、春夏シーズンとしては新鮮なブラックを多く取り入れているのが印象的。ポイントとして“まるでデニム”のようなブルーのコートや、ライトブルーのストライブ柄シャツ、鮮やかなグリーンのドレスなど寒色系を使用。鮮烈なレッドのパンツがランウェイにアクセントを加えていた。
2023年09月04日メゾンオルタナティブ(MAISON ALTERNATIVE)の2024年春夏コレクションが発表された。テーマは「KIDS FROM HAMELIN」。「ハーメルンの笛吹き男」の“消えた子供たち”「メンズワードローブに新しい改革を」というコンセプトのもと、ワンピーススタイルを中心とした新しいメンズファッションを提案しているメゾンオルタナティブ。2024年春夏シーズンは、「ハーメルンの笛吹き男」の伝説に登場する、街から消えた子供たちから着想した。デザイナー・新谷紘孝は、「笛吹き男から連れ去られ突如街から姿を消した子供たちは、実は新たな土地を求めて開拓者となり旅立ったのでは…?」と物語を再解釈。ダークな印象の作品をより肯定的な印象に昇華し、ルックにもそのポジティブなムードを落とし込んだ。湾曲したパッチワークコレクションは、湾曲したパッチワークのエプロンやシャツ、プルオーバーといった、大胆なグラフィックのアイテムからスタート。錯覚を引き起こしそうな幾何学模様が、今季の奇妙でメルヘンな世界観を形作るのに一役買っている。大胆なグラフィックでリズムをその後も、遊び心たっぷりのグラフィックアイテムがずらり。マルチボーダーにジグザグのパッチワークをのせたパワフルなビッグTシャツや、行進する子どもたちを俯瞰したようなプリントのTシャツ、原作に登場するネズミのシルエットをポップに表現したスウェットなどが、コレクションをリズミカルに彩った。2WAY仕様のワンピースブランドを象徴するワンピースにも注目したい。今季は、フロントはプルオーバー、バッグはフルオープンで、前後どちらでも着用可能な2WAY仕様のワンピースを提案。いずれもカラーはグリーンや淡いオレンジベージュでまとめ、気の抜けたファニーな着こなしに。レイヤードで魅せるワンピーススタイル定番として展開しているシャツ型のワンピースは、ミニ・レギュラー・マキシの3丈で展開。ルックでは、それぞれをレイヤードすることで、まるでティアードスカートを履いているかのような立体的な表情を演出しているのがユニークだ。裾のスナップボタンを開閉すれば、オーバーオールとしても着用できるという。ヴィヴィッド&ノスタルジックなパレット全体を通して、カラーは明るく力強い印象。オレンジやライトイエロー、ピンクといったヴィヴィッドなカラーに、生成りやミントグリーンなどアンティーク感のある色を織り交ぜ、遊び心を感じさせながらもどこかノスタルジックな印象に仕上げた。
2023年09月04日ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)の2024年春夏コレクションが、2023年8月31日(木)に東京・代々木第二体育館にて発表された。東京では初となるショー1993年のブランドデビュー以来、日本のストリートファッションを牽引してきたア ベイシング エイプ。2023年でブランド30周年を迎え、今回東京でのショーは初となる。ショーは全4部で構成され、代々木第二体育館の円形の会場にてランウェイショーが披露された。なお、本ショーは楽天主催の日本のファッションブランドを支援する「by R(バイアール)」プロジェクトの一環として開催されたものだ。「ベイプカモ」のスウェットなどブランドを象徴するアイテムモデルたちは、瓦屋根に提灯を下げた日本古来の門構えから暖簾をくぐるようにして、観客の前へと姿を現す。第1部では、ブランドのアイコニックなカモフラージュ柄「ベイプカモ」をあしらったスウェット、ブルーのチェック柄のジャケットやパンツ全体にビジューなど煌めく装飾をあしらったセットアップなどを展開。ブランドならではのモチーフや、設立当初から変わらぬストリートテイストが随所に落とし込まれている。バスケモチーフ満載で第2部の冒頭は、複数のバスケットボールを入れたバッグを担いだモデルが登場。1993年のブランド立ち上げ当初から熱狂的な人気を獲得したア ベイシング エイプは、NBA選手やNBL選手からも愛用されるように。その歴史を示すように、バスケットボールシーンを想起させるルックが続く。たとえば、バスケットボールのユニフォームに白Tシャツとゆったりとしたパンツを合わせたスタイルや、スタジャンとハーフパンツを合わせたスタイルなど。中にはバスケットボールを抱えたモデルもおり、さながらバスケ選手がランウェイを歩いているかのようであった。ストリート×ガーリーのウィメンズウェア暗転し曲調が変わり、暖簾の間から姿を現したのはガーリーなウェアに身を包んだモデルたち。先程までとは一転、デニムのミニワンピースやクロップド丈のTシャツにプリーツスカートなど、ストリートとフェミニンをミックスさせたスタイルが会場を一気に華やいだ空間へと変化させた。翼の生えたシャークショーを締めくくる第4部、会場は一瞬ざわめき異様な雰囲気に包まれる。登場したのは、シグネチャーのひとつである「シャークフーディー」のフード部分であるシャークが着ぐるみのように巨大化し、翼を生やしたルック。シャークたちは1体に留まらず、大量に現れる。会場をぐるりと一周すると、暖簾近くに整列。直後、第1幕から第3幕まで登場したモデルが続々と現れ、ショーは幕を閉じた。
2023年09月03日ハイク(HYKE)の2024年春夏コレクションが発表された。ミリタリーウェアから着想毎シーズン、テーマを設けずに、服飾史や古着などから着想したコレクションを披露しているハイク。今シーズンは、アメリカ海軍のセーラーパンツやシャンブレーシャツ、G-8 WEP ジャケット、アメリカ陸軍のパンツ、イギリス軍のグルカパンツなどからインスピレーションを得てコレクションを展開していく。コルセットベルトまず最初に目を引いたのは、エレガントなムードを醸し出すコルセットベルト。メリハリと立体感をプラスするように、白シャツにタイトなロングスカートを合わせたルックや、ベアトップとワイドパンツを合わせたルックなどに重ねている。透け感のある素材春夏らしい透け感のある素材が散見されたのも今季の特徴。地形図を思わせるエネルギッシュなパターンを落とし込んだシースルー素材のシャツワンピースや、インナーが透けて見えるほど薄いノースリーブワンピースなどが登場した。奥行きのあるレイヤードスタイルを叶えるネットドレスもまた、コレクションに軽やかな風を吹き込んでいく。爽やかなブルーカラーは、ブラック、グレー、ホワイト、ベージュといったベーシックカラーに、爽やかなブルーでアクセントをプラス。ノーカラーシャツにハイウエストパンツを合わせたルックは、その鮮やかな色味を強調するように、大ぶりのネックレスまで鮮やかなブルーで統一されていた。ザ・ノース・フェイスと再コラボそして今季は、2019年秋冬シーズン以来となるザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とのコラボレーションが復活。トレイルランニングに特化したコラボレーションプロジェクト「TNFH ザ ノース フェイス ハイク」がスタートし、フロントやスリーブに両者のロゴをあしらったトップスや、クロップド丈のジャケットのほか、さりげなくロゴがプリントされたキャップやシューズなどが登場する。チャコリ、ビューティフル・シューズともタッグまた、前シーズンに引き続き、チャコリ(CHACOLI)とビューティフル・シューズ(BEAUTIFUL SHOES)によるコラボレーションアイテムもお目見え。チャコリとのコラボレーションでは、イギリス軍のヘルメットバッグから着想を得たレザーのドローストリングバッグをリリース。ビューティフル・シューズとのコラボレーションでは、ビューティフル・シューズのオープントゥサンダルから着想を得たレザーサンダルと、ベアフットサンダルをアップデートした新作が展開される予定だ。
2023年09月03日シュープ(SHOOP)の2024年春夏コレクションが、2023年8月31日(木)、東京の国立競技場で発表された。新たな拠点となる“東京”をテーマに2023年、スペインのマドリードから東京へと拠点を移したシュープ。そんな転換点となる今季は、デザイナーの大木葉平とミリアン・サンス(Miriam Sanz)が感じ取る“東京”のイメージをコレクションに反映。テーラリングやストリート、スポーティ、ワークなどのウェアを、シュープならではのミニマルな佇まいにまとめた。ミニマルなムード今季のコレクションを特徴付けるのは、ミニマルでありつつもリラクシングな佇まい。たとえばテーラリングでは、ピンストライプのノッチドラペルジャケットとスラックスというクラシカルなセットアップでありながらも、ジャケットは身幅にゆとりを持たせたボクシーなシルエット。スラックスもワイドに設定し、テーラリングというクラシカルなアイテムに、抜け感のある佇まいをもたらしている。自然な軽やかさをプラスミニマルなルックのなかに、軽やかな印象をプラスしているもひとつのポイント。セットアップばかりでなく、ジャケットやコートなど、ともすれば窮屈な印象を与えてしまうウェアも、ランウェイ上で自然に揺れ動くようなリラックスした仕上がりとなっているのは、軽快な素材感のゆえだ。また、プルオーバーなどにも、スリーブに適度なボリュームを持たせている。ブラックやグレーをメインにカラーパレットも、デザイナーが東京のイメージとして挙げるブラック、グレーやベージュを中心に構成されている。これは、リラクシングでありつつもミニマルな表情にまとめるというコレクション全体の発想と通底している。そして、そうしたなかで、セットアップに用いたネオングリーンなどが、鮮やかな印象をもたらしている。ミニマルな佇まいに凝らしたディテールしかし、ただミニマルにまとめるだけではない。テーラリングやコートには、ボタンの代わりにアイレットを採用。ヨークを施したワークブルゾンやベストなどには、過剰なまでにメタルホックをプラス。デニムパンツのポケットは、破れてポケットとして用をなさない。エルボーパッチも、肝心な肘の部分のファブリックは丸くくり抜かれる。機能的であるはずのディテールは、このように執拗に手を加えられ、誇張されることで、その機能性が逆説的に「空虚」として示されているように思われる。デザイン性のインパクトミニマルななかに特徴的なディテールを忍ばせることにはとどまらず、デザイン性の強いアイテムも見受けられる。花柄を大きくあしらったプルオーバーやパンツ、袖口や裾の編みが断続的に粗くなったニットなど、インパクトの強いデザインも随所に取り入れた。
2023年09月03日セイヴソン(Seivson)の2024年春夏コレクションが、2023年8月31日(木)に渋谷ヒカリエにて発表された。オフィスで働く凛とした女性空間に響き渡る人々の話し声と、秘密を抱えた書類を細かく切り裂くシュレッダーの音。ざわめきの中から、今季のセイヴソンが提案する女性像を体現するモデルたちが、凛とした足取りで歩いてくる。シーズンごとにあらゆる形で女性の魅力と強さを訴えかけてきたセイヴソンだが、2024年春夏コレクションでは“オフィスで働く女性”にフォーカスを当てる。それは決して単純に働く女性のコーディネートを提案するのではなく、セイヴソンのフィルターを通してプロフェッショナルな女性の魅力を紐解き、可視化するということ。その方法として、肌を魅せるカットワークや脱構築型、レイヤードといったブランドが得意とするデザインをベースに、オフィスシーンから着想したディテールを落とし込んだ。シュレッダー着想のストライププリーツオフィスでは、社外秘の秘密文書を扱うもの。誰も知らない秘密がシュレッダーにかけられているかもしれない。軽やかな生地で表現されたストライププリーツは、そんな“シュレッダー”から着想したという。ブラウスのセンターやドレスのスカート部分、ジレなどに配されたマテリアルが、ランウェイにミステリアスな余韻を残す。衣服が引き立てる“秘密”の官能性また、会社だけでなく個人個人も秘密を抱えている。それは自分でも気づかない心の奥底にあるかもしれず、秘密が知らず知らずのうちに外側から見た個人の魅力を引き立てていることもある。そんな“個人的な秘密”を覗かせるように、トレンチコートを再解釈したショートドレスやハーネス風のトップス、タイトスカートなどは、しっかりとした生地がボディラインを浮き彫りにするタイトなシルエットへと構築。コントラストによって肌の存在感が際立ち、内側にある官能性を思い起こさせる。さらに、最も個人的な衣服であるランジェリーが、パワーショルダーのジャケットスタイルで提案された。
2023年09月03日ハイドサイン(HIDESIGN)の2024年春夏コレクションが、2023年8月31日(木)にプレゼンテーション形式で発表された。多様なライフワークに寄り添って様々なワークユニフォームをファッションとして展開するハイドサインが今季掲げるテーマは、「グレー カラー(Gray Collar)」。知的労働者を表すホワイトカラー、肉体労働者を示すブルーカラー、それらとは異なる「グレー カラー」を打ち出し、多種多様な環境で働く労働者それぞれに寄り添ったユニフォームを提案する。どんな体型でも着用できるようにまず初めに登場したのは、様々な体型にフィットするユニフォームを着用したルックだ。最も高い身長の人や最も背の低い人、最も長い脚を持つ人、最高体重の人など多様な体型の寸法を分析した結果、彼ら全員に対応する最適解はジャケットとパンツが一体となったオールインワンのようなシルエット。それに加えて、指穴デザインやフーディーなどのディテールを組み合わせることで、独自のオーバーサイズデザインに落とし込んでいる。収納性を追求収納性を追い求めたコートも目を惹く。大きく広がる後ろ身頃には、バッグが丸ごと隠れるほどのスペースを用意している。このほかにも、スーパーマーケットでの使用を想定し、割れ物などを収納することに特化したコートも展開する。変形可能なパターンまたチャックとボタンを駆使することで、急な雨から荷物を保護できるポンチョ型に“変形”するブルゾンも登場。パーツごとで濃淡の異なるグレーを使い分けることで、立体的で奥行きのある構造に仕立てているのが魅力だ。多機能ポケットが今季も最後には、ハイドサインがこれまで継続して発表している多機能ポケット付きウェアも。今季は、前身頃に大中小のポケットを配したベストや、側面にのみポケットをあしらったオールインワンなど、個人に寄り添った機能性を実現させつつ、スタイリッシュな雰囲気を併せ持つビジュアルに仕上げた。
2023年09月03日ミューラル(MURRAL)の2024年春夏コレクションが、2023年8月30日(水)、東京の国立競技場にて発表された。テーマは「ユーフォリア(EUPHORIA)」。夢、ひとひらの幸福な空間夢──それは、此処にいながらにして彼処を目にし、あるいは彼処に赴いているはずがないのに此処にいる心地もしない、極めつきの両儀性の空間、現実と幻想の〈あわい〉である。だからここでは、此処と彼処とが相互に行き交う。いま生きているわたしが、夢という〈あわい〉の空間では、この世ならぬ人とも出会えるように──そこにひとひらの希望を、零れ落ちそうなほどにささやかな幸福を見てとってもいいのかもしれない。今季のミューラルが表現した夢の空間は、だから、現実の確かさと幻想の自在さとの双方を架橋する。夢の空間が持つ、曖昧な、捉えどころのない幻想性は、まずもってファブリックで表現される。ドレスやロングシャツなどに用いた光沢素材には、豊かな色彩が溶けでて、交わるように広がる。氷に染料を落とし、水へと溶けゆくにしたがって色彩が広がる、という過程を経て作られたファブリックは、こうして偶然的な表情を織りなしてゆく。素材は、このようなモチーフの曖昧さ、肌を透かす透明感、此処と彼処のあわいに震える軽やかさ、翻っては表情を変えてやまない光の遊戯を示す。ドレスやスカートなどに用いた、凹凸感が光沢の多彩な表情を豊かに引き出すファブリック。スリーブに量感を持たせたブルゾンの、玉虫色に光を帯びたスポーティな素材。あるいは洗練されたシルエットのジャケットやサロペットなどには、裾や袖口に繊細なスカラップ刺繍を施し、抒情が行き交う。ミューラルを象徴する素材のひとつ、オリジナルの刺繍レースも、そこに浮かぶ花々は花綱の上を縺れに縺れ、決して現実に花弁を開く特定の花を指し示すようではない。ただ、色とりどりの花々がレースの上を揺れ動き、ささやかなフリンジを残像のごとく残す。その幻想的な表情は、しかし、涼しげなキャミソールドレスやノースリーブドレス、切り替えを施したスカートのすっきりとしたシルエットにのせられるのだ。ここで幻想は、ふと現実に引き戻される。ウェアのシルエットは、この刺繍レースのドレスなどに見られるように、縦のラインを強調するものだ。もちろん、スポーティな素材のブルゾンがボリューミーなシルエットを描いたり、ギャザーを寄せたドレスがアシンメトリックな表情を示したりはするものの、凛とした佇まいとそこに交わる素肌の官能は、夢という〈あわい〉に思いを馳せる人たちに、確かな拠りどころを与えているように思われる。コレクションを彩るカラーもまた、此処と彼処の通い路たる〈あわい〉の空間を反映するかのようにして、明確さと曖昧さとを揃えている。ホワイトとブラックという階調の両端に枠付けられて、ヴィヴィッドなレッドやイエロー、グリーンがその存在感を示す一方、霞んだようなパープルやグリーン、ライトブルーなど、淡い色彩がもっともよく〈あわい〉の世界を表現しているように思われる。
2023年09月02日へオース(HEōS)の2024年春夏コレクションが2023年8月30日(水)、楽天ファッションウィーク期間中に渋谷・ヒカリエホールBにて発表された。虚無な若者たちが、希望を見出すまで今季のヘオースは、村上龍の小説『限りなく透明に近いブルー』にインスパイア。"何者かになりたい”と願いながらも自堕落な生活を送る若者たちが、苦しさや空虚の先に"真に大切なものと希望”を見出すストーリーだ。挫折により、かつては辛い時期を過ごしたというデザイナー・暁川翔真が自らのルーツを振り返り、ファッションとして再定義するコレクションを展開する。アメカジ要素を取り入れて特徴的なのは、全体を通してリラクシングなシルエットに、物語の主人公・リュウが住む米軍基地に着想したアメカジ要素が盛り込まれている点。迷彩服を思わせるユニークなカモフラージュ柄のコートやセットアップをはじめ、パイソン柄の透けたトップスや麻のアクセサリー、足元のカウボーイブーツが存在感を放っていた。作中のキャラクター「黒い鳥」もまた、作中に登場するキャラクターやモノもデザインソースに。例えば、羽根付きのヘッドアクセサリーと全身ブラックのワントーンでまとめたルックは、“黒い鳥”を表現。さらに、中毒性のある薬物“ニブロール”のタグが一面にあしらわれたシャツなども披露された。不規則に大胆な穴を開けたニットは、リュウの退廃した日々と傷ついた心を暗に示しているようだ。荒れ果てた心を表すカラーパレットカラーパレットは、荒廃するリュウの心を映し出すようなグレーやブラウンベージュ、ブラックを基調に、アクセントとしてライトブルーのベロア生地で作られたパンツ、バーガンディのシアーシャツ、マスタードイエローのタイダイ柄スカートなどが差し込まれている。そしてランウェイは、天井から花火を降らせるという儚くも美しい、“希望の光を表す”演出で幕を閉じた。
2023年09月02日セヴシグ(SEVESKIG)の2024年春夏コレクションが、東京・台東区の東京キネマ俱楽部にて、2023年8月30日(水)にアンディサイデッド((un)decided)と合同で発表された。もし壁がなかったら「もし人と人、国と国の間に壁がなければ」。この思いが込められた“IF WE BREAK DOWN THE WALL”という言葉をタイトルとして掲げた今季のセヴシグ。デザイナーのノリは、人々との間に壁がなくなれば、争いや分断もなくなりその先に光も見えてくるのではないかと考え、自身が創作の着想源としてきた予言や神話、都市伝説といった土着信仰からスラヴ民族の伝承や神話に辿り着き、コレクションに落とし込んだ。スラヴの民族衣装モチーフまず注目したいのは、スラヴの伝統的な民族衣装に見られるディテールと、ノリのオリジンであるアメカジを結びつけたルック。ギャザーやシャーリングをたっぷりと配したワンピースや、華やかな花の刺繍やクロスステッチを施したトップスやパンツがその好例だ。デニムやレザーで表す傷ついた人々の心象風景争いによって傷ついた人々の心象風景を表すように、レーザーカットでボロボロに穴のあけられたデニムも登場。空いた穴を塞ぎ、癒しを与えるかのように散りばめられた花の刺繍もポイントだ。そのほか、表面の顔料が薬品によってはがされたレザーやクラシックレザーのライダースジャケットからも、傷ついた内心を感じる取ることができる。一方で、ウェアの随所に見られるキラキラとした素材は、障壁を取り除いた先に見える希望の光を象徴している。AIが生む意外性AIが生み出す現実と虚構の境界線を探求することもセヴシグのコレクションを語るうえで欠かせない。今回は、MidjourneyやChatGPTを用いて、人の想像の斜め上を行く“発想”をウェアに取り入れた。たとえば、AIの誤訳によって生まれた「トラの頭を持った神」は、最先端のプリント技術を用いた服作りを行うトルク(TOLQ)とのコラボレーションによる赤や黒のスカジャン、もしくはハーフパンツに採用。AIによってもっともらしく語られる架空の神々の姿は、アルフォンス・ミュシャの代表作である《スラヴ叙事詩》からも着想を得ているそう。壁や境界線としてのボーダー&ストライプ柄壁や境界線のメタファーともとれるボーダー柄やストライプ柄使いにも注目。赤・青・白から成る“汎スラヴ色”のボーダー柄を解いてフリンジ状に編み上げたニットは、壁や境界線を取り除き、分断された世界からの解放を意味している。『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボ最後に、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボレーションによるTシャツにも触れておきたい。また、作中に登場する架空のバリア「A.T.フィールド(Absolute Terror Field)」をイメージして開発した、ナイロン扁平糸を編み上げたシアーな素材をトレンチコートやロングスリーブシャツ、スカーフに採用した。
2023年09月02日シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA) 2024年春夏コレクションが、2023年8月29日(火)に千駄ヶ谷・東京体育館にて発表された。月夜の会場を舞台に8月2度目となる満月が、間近に迫る東京の夜。ランウェイの舞台となるのは、(ほぼ)まん丸の月が煌々と輝く東京体育館の屋外の会場だ。コレクションノートには、まるで今夜の美しい月夜を予期していたかのように、「月が綺麗ですね。」の一言が添えられている。すっかりと秋の香りが漂う、心地良い夜風が吹き抜ける観客席。エレファントカシマシの楽曲を合図に、どこかエモーショナルな空気を醸すショーが幕を開けた。「WONDERFUL WANDER」をテーマに「WONDERFUL WANDER」と名付けた今季のコレクション。デザイナーの小塚信哉が20代の頃から好んでいた“夜の散歩”を着想源に、そこで偶発的に出会った情景を、コレクションのストーリーとして膨らませていったのだという。まずは“一枚の絵”を描くことから始めたという今シーズンは、小塚のドローイングを起点に、様々なプリントで溢れているのも特徴。街並みや、自分だけのお気に入りの場所、可愛い動物たち…そんな散歩の途中で目に留まった風景を描き出したようなプリントは、コレクションのメインモチーフとなり、ジャケットやパンツ、ジップアップコートに彩りを添えている。夜の町中のネオンを映し出したようなジャケットには、路地裏で見かける、意味をなさない乱雑なドローイングを重ねて。また全面に手描きのメッセージを羅列したオーバーサイズのジャケットは、小塚が散歩中にふと思いついた言葉を、ランダムに記したものだという。レギンスで引き立てるビッグシルエットさらに今季は、ぴたっとしたレギンスをコレクション全体で取り入れているのも印象的。ブランドらしいビッグシルエットを引き立てる名脇役として、オーバーサイズのジャケットやトップスに差し込まれていた。ブルー×金をキーカラーにコレクションのキーカラーは、ブルーとゴールド。画家 イヴ・クラインを連想させるカラーコンビネーションかと思いきや、実は小塚が散歩中に片手に持っていた“某プレミアムなビール”の配色から着想を得たのだという。ラストにかけては、金のラメ糸で編み込んだカーディガンやパンツといったピースが会場を席巻。月夜の中でキラキラと反射する煌めきが、会場にちょっぴりエモーショナルな余韻をもたらしていた。
2023年09月01日ホロマーケット(Holo Market)の2024年春夏コレクションが発表された。ブランドの“ベーシック”に立ち返る「BACK TO THE CLASSIC」をテーマに掲げる今季のホロマーケットは、ブランドのアイデンティティーにフォーカス。自然との共存や、家具や建築との出会い、旅での未知の探求…これらをブランドのクラシックとして定義し、洋服にそのムードを落とし込んだ。日本各地のファブリックを組み合わせてコレクションを彩るのは、デザイナー・吉田力が日本各地の職人とタッグを組んで作り上げた表情豊かなテキスタイルだ。ルックには、シアーで軽やかな質感のシャツや、メッシュ素材のアノラック、あたたかみのあるフリンジを配したチェックパンツなど、全く異なる風合いのアイテムが勢ぞろい。色々な重量感や透け感の素材をマッチさせることで、新鮮味のあるスタイリングを叶えている。メタリックな光沢でアクセントを中でも目を引くのは、“光”を纏ったアイテムだ。キラキラと上品な光沢を纏ったブルゾンやハーフパンツは、そのメタリックな輝きが、リラクシングなムードのコレクションに大胆なアクセントをプラス。暗闇の中で“光線”のような柄が浮かび上がるメッシュ素材のアノラックもまた、独特の存在感を放つ。カラー&柄で遊びをプラス素材はもちろん、異なる柄やカラーを自由に組み合わせているのも印象的。たとえば、淡いピンクのタイダイ染めを施した開襟シャツには、透け感のある総柄アノラックをレイヤード。ボトムスには、ライトペインティングのような柄を配したブラウンのパンツを組み合わせ、遊び心たっぷりのコーディネートに仕上げた。プレイフルな表情のフラワー刺繍フラワー刺繍を配したパーカーやブルゾンは、コレクション全体のプレイフルな雰囲気をさらに加速させるアイテム。本来あたたかみを醸し出す刺繍に、光沢感のあるシルバーの糸を使用することで、ひんやりとした温度感を演出しているのもユニークだ。
2023年09月01日