アキラナカ(AKIRA NAKA)が2017年春夏コレクションを発表した。カッティングとオリジナルレースの組み合わせによる新しい透け感の演出や、立体感のあるレースやオリジナルの幾何学模様のレースにより、軽さと上質感を両立したコレクションとなっている。
2016年10月22日ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)の2017年春夏コレクションが、東京・ラフォーレミュージアム六本木で2016年10月18日(火)に発表された。シーズンテーマは「-花に魅かれて-<Race on Race>」。ファーストルックは、官能的なカクテルワンピースに黒いレースを重ねたトレンチコートを羽織ったスタイル。今季はエレガントなミリタリールックから始まった。続いて、淡いカモフラージュ柄が次々と繰り出されていく。女性らしさは崩さぬように添えられた控えめな遊び心が、花柄の刺繍やビジュー、スパンコールから感じられる。曲調が変わると同時に、ボタニカルシフォンのワンピースが登場する。双子ルックのように現れた2人のカーディガンには、それぞれフラウンスが施されていたり、大きなスリットが入っていたりと、薄手のニットもシフォンと同じく動きの出る工夫が凝らされている。レースは随所に用いられていて女性らしさの基となっている。ムードはずっとフェミニン、ロマンティック、そしてエレガンス。その中で、色柄は迷彩からストライプやドットへ、カーキからソフトピンクやペールブルーへと移り変わる。やがてプレイフルな花柄プリントやマルチボーダーのアイテムが登場し、ガーリーな女性のサマータイムを想わせるコーディネートが主軸となっていた。終盤に差し掛かったころカラーは一変。印象的だったのは、またしても双子ルックでみせた黒のワンピース。ボトムアップ部分にはモノトーンのフラワーモチーフが静かに咲き、裾にかけて動きが出るようにシアーなプリーツをレイヤードしている。さらに動きを予想したアクセントカラーとして、フレアワンピースの裏側にはピンクを差し込んでいるのが面白い。フィナーレにかけてはシアーな素材を多用。さらに自由奔放な躍動感あるロマンティックなワードローブが並んだ。小物では、ワンカラーのルックにゴージャスなイヤリングや、大振りのネックレスを投入。一方で、麦わら帽子を合わせるようなカジュアルガーリーなルックには、ふわりと揺れるスカーフを首元と手元にあしらった。
2016年10月21日まとふ(matohu)が2017年春夏コレクションを2016年10月18日(火)、東京・表参道で発表した。今シーズンのテーマは「うつくし」。「美しい」という意味ではなく、古語での解釈に則った「かわいい」「愛らしい」という意味合い。平安時代の『枕草子』にも「なにもなにも、小さきものは、皆うつくし」という一節が登場するほど、日本では昔からこういった美意識があったようだ。着た人・見た人が「かわいい」と感じることで、心が和らぎ、優しい気持ちになるような服作りをしたとデザイナー・堀畑裕之と関口真希子は語る。まとふのフィルターを通した「かわいい」は、少しファニーなモチーフへ落とし込まれた。無数に並ぶピーナッツや飛び回るツバメ、さらに「小さき人」とデザイナー達が名付けた、小人が踊り回るようなモチーフがジャケットやパンツ、トップスなど、あらゆるウェアに刺繍されている。また、Aラインのワンピースやスカートは、ふんわりとしたドレープやギャザーを採用することで、柔らかく甘い空気感を出した。肌が透けるレース使いのトップスも、そんな雰囲気を助長する。先シーズンも登場した「オートモード平田」の石田欧子デザイナーとのコラボレーションハット。今回は、まるで陶芸品が歪んだような、独特なフォルムが特徴で、着こなしのアクセントに取り入れられた。ここ何シーズンか、“日本の美意識”をテーマに服作りをしてきた「まとふ」。完結した暁には、大きな展覧会を開催し、これまでのウェアをまとめて見られる機会を作るそうだ。
2016年10月21日トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)が2017年春夏コレクションを2016年10月18日(火)に渋谷ヒカリエにて発表した。デザイナー・前田徳子(Tokuko Maeda)本人が世界各地を旅して得たインスピレーションを落とし込んでいくトクコ・プルミエヴォル。今季のテーマはコートダジュールで、現地の文化・色・雰囲気のエッセンスが詰め込まれていた。コレクション前半はレモンのプリントを施したブラックのワンピースや、イエローのシースルーアイテムで爽やかな印象。これはイタリアとフランスの国境の街、マントンで開催されたレモン祭がヒントになっており、大ぶりな首飾りからピアスまでレモンがふんだんに使われている。音楽が変わると同時にプリントのイメージは、葡萄、さくらんぼ、苺など、ヨーロッパの温暖な気候で育つヨーロッパの果物へと変化。ブラックのレースにアップリケ刺繍で大胆にアクセントを加えていた。さざなみが聞こえ会場が青い光に包まれると思うと、今度はエビやタコ、海藻など海の生き物がアーティスティックなモチーフが現れる。まるで洋服の中に海の世界が広がっているような全面プリントのセットアップなど、ターコイズやペルシャンブルーなど様々な青を組み合わせて幻想的に海を表現していた。シルエットは全体を通してリラックスしたものであり、麦わら帽やサンダルでまるで本当にリゾートに旅しているような気分に。デザイナーが自分の軸をしっかり持ち、流行に左右されず旅の中で見たものを落とし込んだ洋服を見ることで、私たちも同時に旅を追体験できるようなコレクションに仕上がっていた。
2016年10月21日ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)が、2017年春夏コレクションのウエディングラインを2016年10月18日(火)に東京・虎ノ門ヒルズにて発表した。ブランドのアイデンティティである蝶は、今季も羽根を開いて華麗に舞い続ける。ファーストルックに登場したのは真っ白なエンパイアラインのドレス。歩むごとに背中に背負った大きな蝶々が揺れ動く。角度によって青やシルバーに輝く細やかな刺繍は「モルフォテックス」という蝶の羽からヒントを得た繊維から成るものだ。Aラインやプリンセスラインのドレスが登場し、今回のテーマでもある“重なりあう優美”がさらに姿を現しだす。柔らかな日を浴びて光沢を放つ白いシルクに、刺繍を不規則にあしらったチュールをかぶせて流れるような動きを作る。トレーンを引くほど長い裾では、キラキラ光る刺繍とふわりと揺れる花々が活気をもたらした。モダンなムードは、デザイナー天津優が注目しているという“デジタル”なプリントから強く感じられる。特に象徴的なのは、最初から最後まで用いられていたヘッドドレスである。モデルの去り際に目が行ってしまうのは、V字に空いたバックスタイルが儚げな蝶々を連想させるからだろうか。時にはそこからふわりとレースを躍らせて、その甘美さに浸れるような演出まで施している。2016年9月にメインラインを発表してのちの発表となった今回のショー。どの女性も一番輝ける時「ウエディング」の中で、ブランドが常に追求してるエレガントを最大級に導き出した。それは、日本人デザイナーの世界進出先駆けとして、オートクチュル界に足を踏み入れた森英恵の美しさの表現を受け継いでいる。今後、世界進出も視野に見据えているという天津に期待を寄せたい。
2016年10月21日ウジョー(Ujoh)の2017年春夏コレクションが、2016年10月17日(月)に渋谷・ヒカリエで発表された。ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)による若手デザイナーサポートプログラムの支援を受け、先シーズンはイタリア・ミラノでコレクションを発表したブランドだ。今季は春らしいフラワーモチーフが至る所に。まるでヴィンテージウェアを彷彿させる、スモーキーなレッド・ブルー・ホワイト・パープルの花々がスカートやトップス、パンツの上で可憐に咲く。軽やかな素材感も春の風を運ぶ。歩く度にはらむシフォンや艶やかなシルクを多用し、ウェアはすべてビッグシルエットながら、女性らしい雰囲気を醸し出している。また、パタンナー出身の西崎が作り出す、鮮やかなカッティングは今シーズンも健在だ。春の代名詞とも言えるトレンチコートは、うしろと横の部分に大胆な切り込みが入り、歩く度にリズミカルなフォルムが生まれる。スカートにも大胆なスリットを、シャツはまるで再構築されたように、横から伸びた布がビスチェのように前面で結ばれて、独特の着こなしに。異なる布を貼り合わせたようなウェアも目を引く。そんな中、顔を覗かせるマスキュリンさがスパイスに。ドロップショルダーのセットアップスーツのほか、足元に合わせたメンズライクなウィングチップシューズ、レザーサンダルが全体を締めている。
2016年10月20日ウエムロ ムネノリ(uemulo munenoli)が2017年春夏コレクションを2016年10月17日(月)に東京・表参道にて披露。今シーズンはブランド初のインスタレーションによる発表である。ワードローブの基となったのはアメリカの彫刻家、アレクサンダー・カルダーのモビール。紐につながれた物体達が見せる独特の色使い、時の流れを遅らせるようなゆったりとした動きが少しずつ落とし込まれている。モビールは、風に吹かれ1秒ごとに違うカタチになっていく。美術館をイメージしたという会場に、モデルたちが静かに足を踏み入れ、前、横、後ろと360度のシルエットを私達に堪能させる。モビールと同様時を経て変わる動きに、目を凝らしてその一瞬の時を待つ。透明感や流動感を出すために、スリットやレイヤードを多用している。前は長く後ろは短く。はたまた、片方だけ肩を落として、アシンメトリーな形状を作りだした。流れるような絡み織のシースルーは、レイヤードした色を透かしながら、空気を纏うひとつの作品を構築していく。ワードローブの中に紛れた細い紐は、布と布の狭間に存在して繋ぎ合わせる役割を果たしている。オーバーボリュームのブルゾンにギャザーを寄せたり、あるいはウエストまである長いベンツの切れ目を繋ぎ合わせたり。風に呼応する動きをより流動的にする下支えとなっている。カラーパレットは、活動的に見えるオレンジや赤、スッと心が落ち着くロイヤルブルー、そしてスタンダードなネイビー。寒色と暖色のコントラストは、様々なものを組み合わせてバランスをとるモビールの真骨頂を表しているようだ。
2016年10月20日アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)の2017年春夏コレクションが、2016年10月17日(月)東京・渋谷ヒカリエで発表された。東京コレクションの開幕とともに、ブランドのランウェイデビューとなる今回、一体どんなワードローブが披露されるのか、期待が高まる。序盤、ランウェイに登場したのは、シーズンのアイテムを身に纏ったダンサー5人。ブランドらしいストリートの色を反映した力強いダンスで、観衆の心をつかむ。インスピレーションの源になったのは、“シャツ”。古くからその原型が完成し、長く愛されているそのフォルムをベースに、アウターやドレスなどのディテールを落とし込んだ。メインとして採用されているのは、ファスナーを使ったデザイン。肩口に取り付けられ、その開閉でボリューム感を操作できるアイテムや、襟のジッパーからアクセサリーが出てきているもの、レイヤードのような立体感を演出するものなど、幅広い場面でポイントを担っている。また、モデル全員が纏っている口のような形の大きなジッパーマスクも大きな意味が。ユニセックスで楽しめるアイテムであることを強調するために、性別を“隠す”という意味合いを込めて、顔の大部分を覆ったのだという。ラストを飾ったのは、全身がシャツの襟で覆われたドレス。今季を象徴するようなアイテムだ。デザイナーの李燦雨(チャヌ)にとって、幼い頃からの夢であった東京コレクションでのデビューと、自分の武器であるシャツでのデザイン。その熱意と技術が結集したファーストコレクションとなった。
2016年10月20日リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の2017年春夏コレクションが発表された。今シーズンの製作にあたって、デザイナーの山縣は「どんな時代にも屈することなくまっすぐに生きる女性。特に、戦前~戦後の時代に生きる女性像を思い描きました。そして、どんなファッションも楽しむ女性というのも今シーズンのテーマです。」と語っている。それを表現するために用いたのは花。ひと目みただけでそうだと分かる洋服には、心躍るデザインが散りばめられている。オーガンザに色とりどりのブーケやリースを乗せて表現したのは、混沌とした時代を生き抜く女性たちの結婚式。トップスともワンピースとも言い難いほどまん丸な服には、色とりどりの刺繍で大胆に花を描いた。幾枚も重なったオーガンザは、肌に重なるほどその存在感を増し、おしゃれを楽しむ女性たちの高鳴る気持ちとともに膨らんでいく。細かいところに目を向ければ、ブラウスにはブランケットステッチで柔らかなアクセントが置かれていて、ほとんどのオーガンザを用いた洋服の裏側には“謎の袋”が備えつけられている。山縣曰く「その時代の女性たちが持っていた荷袋をイメージした」らしいが、一握りもないほどの小さな袋の中には、花が詰め込まれていて、幸せな気持ちが呼び起こされる。もうひとつ象徴的なアイテムを挙げるなら、和紙素材を用いたニット。赤い花をランダムかつ立体的に配したカーディガンとスカートは、山縣が日常でふと目にしたほんの数秒のシーンがインスピレーション源だという。ひとつひとつ表情の違う花たちに、ギュッと心を掴まれそうになる。女性に必要なのは、甘さや華やかさだけではない。コットンジャカードで表現した真っ黒と真っ白のルックは、明らかにオーガンザや和紙素材とは違う辛口なムードを放っている。肌と重ねれば、花が浮かび上がる独特のテキスタイルを用いて、ブラウスやワイドパンツ、そしてガウンなどを創り上げた。
2016年10月19日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2017年春夏コレクションが、2016年10月17日(月)、グランド ハイアット 東京で発表。ブランド創設25周年となる2016年、四半世紀もの歴史を持つ日本のビッグメゾンが、一体どんなショーを披露するのか、期待が高まった。テキスタイルの個性と真正面から向き合い、その特性やキャラクターを洋服に落とし込むことを得意とするブランドらしく、表情豊かな生地を生かしたワードローブ。ファーストルックには、淡く溶け合うようにホワイトとブルーが滲んだ柄の布を採用したドレスを抜擢した。足元には、その朧げな魅力と相対するように、シルバーやフェイクレザーを使ったハードな印象のピンヒールをぶつける。全体を通して漂う空気感は、肩の力が抜けたような余裕だ。何層にも折り重なったようなオフショルダーのワンピースは、適度にふわりとした柔らかさを携え気品を演出。チェーンのプリントを施したアイテムも、幅の広い編み地ニットとレイヤードすれば、フェミニンな温かみが生まれるのだ。しかしながらただ単にリラクシングなムードがあるわけではない。時折ランウェイを彩るバッグやアクセサリー類は、八角形や六角形のシルエットを採用し、無機質な要素と、直線的なエッセンスをプラス。スパイスのように加えられるこれらの要素があってこそ、ワードローブに満ち溢れるメゾンの魅力が引き立てられているのだろう。テキスタイル自体の魅力と、考え抜かれたパターンの魅力が、気品と余裕を醸し出しているのはもちろんだが、25周年を迎えた自信とものづくりへの熱意がコレクションを下支えしている。斎藤工ディレクションで、発表されたドキュメンタリーと合わせ、タエアシダの魅力について再確認するシーズンとなった。
2016年10月16日シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)の2017年春夏コレクションが、2016年10月12日(水)に発表された。“GOLD MINE(宝の山)”と名付けられた今季のテーマ。様々な場所から漂流し、流れついて溜まったゴミの山は、ある人にとっては不必要なものかもしれないが、そこに価値を見出す人にとっては宝の山となる。その様子を、アフリカや中東、アジアの民族的なモチーフや、廃材やごみを象徴するイメージ、また雑多なものが集まるマーケットのイメージを用いて表現した。コレクションを彩るのは、民族性を感じさせるカラフルなテキスタイルだ。マーブル模様、紫や緑のダイダイ染め…。また、日常的なゴミのモチーフを、原色に近いカラーリングでアフリカン風にプリントとした布地など。それらは、ロングシャツや、ギャザーの寄ったゆったりとしたワンピースといった、民族服を連想させるシルエットの服に仕立てられた。頭に被ったムスリム風のヒジャブと、肩からかけたり腰に巻き付けられたサリーは、コレクションに変化をつけ新鮮な空気を運ぶ。これらのアイテムは、スカートとしても着用可能だ。このように、着方が一つに定まらない洋服には、漂流物をどのように身に着けるか自らで考えることで、その物に新たな価値を見出すという、コレクションテーマへとつながる意図が隠されている。アクセサリー類にも、ゴミのモチーフが取り入れられた。たくさんのリップスティックの空き箱を潰してつないだ様子をイメージしたネックレスや、サングラスレンズのパーツやテレフォンカードをモチーフにしたピアスだ。また、再利用する洋服をもっていくためのバッグとして、シアタープロダクツのリサイクルロゴ“TP”がプリントされたバッグが複数のルックに登場した。古着として活用するにせよ、素材を解体して再構築するにせよ、廃材を通して人を次の行為につなげていく。「洋服があれば世界は劇場になる」というブランドのコンセプトが浮き上がるようなコレクションが展開された。
2016年10月15日アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が2017年春夏コレクションをフランス・パリで発表した。スコットランド・シェトランド諸島の手つかずの野生と、海岸の風景が今シーズンのソース。息をのむほどの自然の美しさは、これまで幾度となく地元の職人達にインスピレーションを与えてきたという。それは、今シーズンの象徴でもあるシェットランドレースが物語っている。職人たちの精巧な技によるクモの糸のように細やかな模様は、肌に沿えばラグジュアリーに映る。そこに描かれたのは、自然で出会った生命の木、広大な海、そして咲き誇る花々。柔らかな白を基調とした古典的なドレスは、シュミーズのようなものもあればパネル張りの構築的なものもある。一方、真逆のカラーも登場している。官能的な黒だ。肌との重なりによって、レースの柄がより強く感じられ、さらにフリンジを加えることでその表現はまるで自然を生きる動物たちのように自由なものへ。レースの儚さをかき消すようなスタッズ装飾、力強いレザーは相反する強烈な印象を与える。一方で大胆なフリルやラッフル、そして咲き乱れる色とりどりの花々は壮大な大地の誇張表現として役割を担っているように思う。トラッドなフェアアイル柄のニットは、構築的に繋がれて今までとは異なる、ズレから生じる美しさをコレクションに注ぐ。前に述べたレースとは正反対のテクスチャーを織り交ぜて、新感覚のコラージュを生み出している。
2016年10月12日シャーロット オリンピア(Charlotte Olympia)の2017年春夏コレクションは、50年代にハリウッドで活躍した女優「カルメン・ ミランダ」を称賛したワードローブ。“ブラジルの爆弾娘”と称された彼女を思わせるような、ジューシーな魅力が弾け飛ぶ、ハピネスなアイテムが多数登場した。ニーハイレースアップサンダルの“カーニバル”や、ゴールドレザーで作られた蘭の花が咲き誇る“ボタニカ”プラットフォームサンダルは今季を象徴するスタイル。モンステラの葉は、コレクション全体を通じて採用されており、バッグやウェッジ、ミュールなどにあしらわれている。終盤、目に飛び込んでくるのは、立体的にフルーツを表現した衣装の数々だろう。バナナモチーフをハイライトに、スイカやブドウ、イチゴなどたくさんの果物がランウェイで美しく輝く。着こなすモデルたちの表情にも笑顔がこぼれ、楽しげなランウェイが演出される。バナナが横たわるパンプスや、フルーツのアップリケがセッティングされた“フルーツサラダ”シングルソールサンダルなど、シーズンのコンセプトはダイレクトにアイテムへと落とし込まれる。日常をエキゾチックでプレイフルにしてくれるようなアイテムを、宝石箱のように詰め込んだ。
2016年10月10日ルシアン ペラフィネ(lucien pellat-finet)2017年春夏コレクションを紹介。コレクションは、“ラグジュアリーストリートスタイル”をキーワードに、ルシアン・ペラフィネ自身によってパリの街を舞台に撮影された。今季はいつにもまして鮮やかなカラーが目立つ。キーカラーは、レッド・イエロー・ブルー・イエローグリーンといったところだろうか。これらの色を組み合わせたシンプルなシルエットのカーディガンや、胸元にモスキートを大胆に描いたブライトイエローのニットなどが、都会的なパリの街中にリゾート感漂う空気を運んでいる。快適で気張らないシルエットながらも、素材はカシミアや、繊細な触り心地のエジプシャンコットンといった上質なものにこだわる。ホットドックを描いたニットにレザーの光沢を生かしたミニスカートを合わせるなど、ユニークなデザインが生むラフさを、選りすぐった素材感によって洗練されたテイストにまとめているのだ。また、前をオープンにして肌を見せる着方など、ルシアン・ペラフィネ自身によるスタイリングが、快適さを備えたラグジュアリーを生み出している。ユニークなデザインに華を添えるコラボレーションは、本コレクションにおいても継続。サングラスをかけたスヌーピーや、サーフィンをするザ・シンプソンズのキャラクターなどが、まるでバカンスを楽しんでいるようなポーズで登場した。
2016年10月05日アリス アンド オリビア(alice + olivia)の2017年春夏コレクションが発表された。今シーズンの舞台は、ロマンチックで神秘的な庭。18世紀のタロット・カード、そして太陽、月、地球といった情緒的モチーフによって、その世界を広げていく。モノトーンとカラフル。幻想的世界は、対照的なパレットの混合によって成り立っている。ブラックのミニドレスはラッフルが靡き、ランジェリーのようなセンシュアルさを、ホワイトのドレスは繊細なレースを味方にエレガントを紡ぐ。一方で、カラフルを具現化するものは、プリントだけでなく刺繍やビジュー、パッチワーク、レース使いなど多々挙げられる。立体的かつデコラティブな表現が加わることで、トレーンをひくようなナイトドレスも、モダンなデニムスタイルも、全てが甘美な演出となっている。その演出に拍車をかけたのは、“2つで1つ”を思わせるようなコーディネート提案。同デザインで長さが違うドレス、同素材のパンツスタイルとスカートスタイル、そして同アイテムの色違い……。ある一種のものを基準において並列させることで、幻想的世界はさらにファンタジックなものへ。小物ではタロットをそのまま落とし込んだバッグが印象的だが、なによりも今季のコーディネートに欠かせないのはアイウェアの存在だろう。特大サイズのキャットアイ、80年代のスタイルを踏襲する丸フレームなどが提案されている。ドレスルック、あるいはガウンやジャケットを取り入れたパンツルックにも馴染む多様なアイウェア。それらは、おそらく神秘的世界に現代女性を誘う一種の手段なのかもしれない。
2016年10月05日アー・ペー・セー(A.P.C.)は、2016年10月1日(土)フランス・パリにてプレゼンテーション形式で、2017年春夏コレクションを発表した。会場は、ムーラン・ルージュ近くのクラブハウスCARROUSEL DE PARIS。モデルたちはサウンドに合わせて、踊りながらステージに登場し、新作ピースを披露した。アー・ペー・セーは今季も変わらずシンプルだ。ミニ丈のワンピース、トレンチコート、ハーフ丈のジャケット。どれも日常に寄り添う着やすいものだ。無駄を削ぎ落としたクリーンな下地であるからこそ、胸元を飾るフリルやポケット、大きなボタンといったディテールが際立つ。ショーの後半では、デニムラインを多数紹介。後ろ前のように見えるポケット付きのスカート、ロールアップして登場したストレートパンツ、ブラックボタン付きのシャツなどをデニムオンデニムの形でコーディネートしている。合わせた、キャメルのベルトやフラットサンダルもカジュアルで心地よい。なお、このプレゼンテーションは「A.P.C. BAM BAM PARTY」と名付けられており、パリでの開催を皮切りに、今後様々な国を巡りパーティ形式で行われるそうだ。
2016年10月05日ディオール(Dior)は、メゾン設立以来初の女性アーティスティック・ディレクターであるマリア・グラツィア・キウリを迎え、初めてのコレクションとなる2017年春夏ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク4日目の2016年9月30日(金)に発表した。マリアが選んだ、デビューシーズンのキーワードは「フェンシング」。男性と女性が同じユニフォームを着用する「フェンシング」の特性に、男女の性差を縮めたいという想いを重ね、力強い女性を描き出す。身体を守る「フェンシング」の防具は、フェミニンなアレンジを加えてモードへと昇華。レース&チュールを重ねたベスト型、シャツとマッチさせたワンショルダータイプなどが登場している。刺繍の差し方が美しく、メゾンのアイコン蜂やCDのロゴ、真っ赤なハートなどが随所で顔を出している。また、テーラードは控えめになり、これまで見られなかったカジュアルウェアが投じられている。デニムパンツや「WE SHOULD ALL BE FEMINIS」とメッセージ性の強いTシャツ。そして、ブランドロゴをあしらったブラトップ・ショーツなどはシーズンアイコンの一つとなり、シースルードレスやブラトップにレイヤードされて、ランウェイに登場している。マリアがメゾンへ運んできたもの。ポエティックな刺繍ドレスは、そのわかりやすい例であろう。大小様々なビーズで描かれた、星座やガーデン、海の生き物などのエンブロイダリーは、一日眺めていても飽きないほど繊細で美しい仕上がり。アクセサリーラインには、ブッグ形のクラッチ(ストラップも付けることができる)や「フェンシング」風の新スニーカーを仲間に加え、メゾンの新しいワードローブを生み出している。
2016年10月03日サンローラン(Saint Laurent)は、新クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロを迎えて初めてのコレクション、2017年春夏ウィメンズをパリ・ファッション・ウィーク初日の2016年9月27日(火)に発表した。前任のエディ・スリマンが去った後、多くのメディアがメゾンの行方を報じてきたが、アンソニーのデビューはサンローランの伝統を重んじたものであり、ひたむきな姿勢を感じさせるものだった。インスピレーションを与えたのは、1972年のスキャンダラス・コレクション。角ばった肩のライン、刺激的なミニドレス。当時パリの街に衝撃を与えたピースたちが、モダンなアレンジを加えて蘇っている。アンソニーのお気に入りだというレザーが多用され、光沢のあるパテントから柔らかなスエードまで、様々なテクスチャーが用意された。また、レオパード模様も彼の心に火をつけた。カットジャカードやプリント、ビジューなどあらゆる形で表現され、ドレスやトップスとなり華を添えている。シルエットは、鋭利なショルダーを筆頭に構築的な作りが基本。片腕だけ出したセンシュアルなフォルム、そして上半身はタイトであればボトムスはボーイフレンドデニムで外すといった、ボリュームコントロールした形もムードだ。テーラリングは、母の洋服を現代の子供たちが着ている姿をイメージ。袖をカットオフしてジレに変形させたり、パンツをスカートへリメイクしたり、ジャケットに見立てたオールインワンを設計したり…と手の込んだ仕掛けで、クチュールのエレガンスをストリートへと落とし込んでいる。また、切りっぱなしのディテールやくたびれたようなブロークン仕様は、コレクションを通じて提案。マラケシュを想起させるタペストリー柄のジャケットは、あえてほつれた感じに見立ててヴィンテージライクに仕上げ、ワンショルダーのレーストップスは穴を空けて、ハードな要素を加えた。「YSL」のブランドロゴは、イヤリングやブレスレットに落とし込まれている。こちらもブロークンディテールが反映され、折り目や繋ぎ目でそれぞれの文字が離れるようにデザインされている。なお、1ピースで差し込まれたメンズピースは来年(2017年)に発表されるメンズコレクションの序章であるそうだ。
2016年10月03日ヒスイ(HISUI)の2017年春夏コレクションが発表された。今シーズンのヒスイが呈したのは、映画に用いられる“モンタージュ”という言葉。それは、いくつもの場面を組み合わせてひとつの作品を作り上げること。また、そうして完成させたものを指す。ひとつの映画、ではなく洋服をつくるために、あらゆるアイテムのあるべき姿を崩してコレクションを完成させていく。デニムジャケットはワンピースの破片となり、ストライプシャツはランダムに重なりあう。そして、レースのランジェリーはセクシュアルにトップスに入り混じる。見慣れない形のはずなのに、あたかもそこがあるべき場所かのように存在するものたち。MA-1はミリタリーという概念を喪失してコンパクトなジレに、バブアーコートは形をまるきり変えてマーメイドスカート、あるいはティアードと組み合わせて裾拡がりのコートに変貌を遂げている。本来あった姿を完全に失ったとしても、それぞれの良さは変わらない。むしろ、再構築されることで昇華されている。少しずつ特長を組み合わせたワードローブは、より特別なものとなり、ひとつの作品として日常を彩ってくれる。
2016年09月28日フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY di Lorenzo Serafini) の2017年春夏コレクションが、2016年9月24日(土)に発表された。ロマンティックなクリエーションを得意としているブランドだが、今季も「パンク ロマンティック」をテーマにした昨シーズン同様、ただ甘いだけなのは好みではないようだ。あくまでもだが、ショーの軸はレース&シースルー素材のドレスだ。華奢なキャミソールストラップ、胸元で仲良く羅列したパールボタン、腰下で揺れるフリル、少女性を象徴するような小花模様。ディテールや装飾を覗いても、フェミニンで可憐であることが十分わかる。そこに個性を差すのは、一つにデニムの起用だ。カジュアルの代表・デニムが、本来の姿を忘れたように女性らしい姿で登場。切りっぱなしで出た‟味”をフリルに見立て、軽やかな素材に代わって、ブラウス風のトップスやコルセットとなっている。一方で、不自然なまでに大きなレザ―ベルトも刺激的だ。シフォン素材のドレスやレースブラウスに当たり前のように溶け込んでいるが、やはり異質要素である。時に小さなスタッズを並べ強さを増してウエストをぐっと包み、フェミニンウェアの儚さを強調させている。また、タイガー柄の採用やレザージャケット(アイスクリームのようにメルヘンカラー)も同様に、意外性を持っている。
2016年09月28日エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)の2017年春夏コレクションが、2016年9月24日(土)イタリア・ミラノで発表された。テーマは「ビューティー ファースト」。今シーズンは面白い。テーマの通り、美しさやフェミニティといったものが大きな基盤であるのだが、表現の仕方が実にウィットに富んでいて新鮮だ。男性性や強さの象徴と位置付けられてきた、ミリタリー・マリンといったユニフォームが完全に女性仕様に進化を遂げている。ミリタリージャケットは、ラグジュアリーにトランスフォームする。勲章はすべてスワロフスキー製となり、ボタンはパールボタンにチェンジ。シルエットにもアレンジを加え、ノーカラーコートやショート丈ジャケットとなって登場する。また、ナポレオンジャケットは、ドレスへそしてブラウスへと変化。特有のリボンやボタンのディテールは引き続いているが、胸元のVラインを彩ったりして、より可憐にみせる動きを担う。一方、オフィスワーカーの象徴であるシャツ。これらは、袖にボリュームをもたせたり、ショルダーラインにカッティングを加えたり、リボンディティールをアクセントにしたりして、ドレスルックにも引けを取らない上質なものへと昇華した。ランウェイには、これらの進化型ユニフォームに加えて、2種類のアニマル模様をミックスさせたスーツ、シルエットを浮彫りにするほどソフトなエコレザ―のボディスーツも展開。どちらも上質な素材で仕立てているが、チャレンジングな要素も孕んでいて、近未来的な存在感を放っていた。
2016年09月28日アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)は、2度目となるミラノ・ファッション・ウィークに参加。2017年春夏コレクションを2016年9月23日(金)に発表した。昨シーズンは、東レとともに開発した素材や3Dプリンターによる球体型のアクセサリー・シューズなどを展開し、‟技術”によって日本を打ち出していた。今季はよりユーモラスな形でジャパニーズカルチャーを提案している。KinKi Kidsの堂本剛が手掛けたサウンドにあわせ、日本国旗「日の丸」が、2人並んで歩くことで完成するコートになって登場。ティーンの間で流行っている‟双子コーデ”にも通じるところがあり、現代日本を捉えているように感じた。(裏を返せばイタリア国旗になるという、仕掛けも施されている)また、日本人なら気付いたであろう、プロ野球球団「東京ヤクルトスワローズ」とのコラボレーションロゴTシャツもランウェイを彩っている。ドットやチェック柄のドレスは、ウエストマークによって、どことなく帯のディテールを採り入れているように感じた。全体を通して伝えられているのは、異なるもののドッキングだ。ファーストルックは、異素材をパズルのように組み合わせた、ノースリーブのトレンチコート。上品なラペルに並んで、スポーティーなジップパーツで遊びを加えているのも面白い。その後も、胸下までテーラードジャケットでその下はトレンチ風コートであるものや、デニムジャケットとスウェットパーカー、ライダースとノースリーブパーカーといったものがミックスされ、新しい形が作られていた。一方で、ビックサイズも今季らしい点。モデルの体形を無視したジャケットは、袖がひざの辺りまでのびた大きすぎるサイジングだ。また、スタジアムジャンパーを十二単のように重ねた、奇想天外なものも存在した。
2016年09月27日レッド ヴァレンティノ(RED VALENTINO)の2017年春夏コレクションが発表された。今シーズンの“レッド ヴァレンティノ ガール”たちを見ていると、思いっきりオシャレをしてどこか旅に出たい気持ちに駆られる。マキシ丈のワンピースにビーチサンダル、ウエストがレースアップのショートパンツにラフな羽織りといったリラクシングなスタイルで、瞬く間に気分はリゾートへ。そこで目にするのは、輝く太陽と青い海。エアリーなチュールドレスやコート、プリーツスカートなど、それぞれを組み合わせたワンルックでひとつの風景が感じられる。技巧的な刺繍やパッチワークが加わって、それらは幻想的風景からリアルな表現となる。また、実用的なデニムはグラデーションを施すことでファンタジックに転換。それぞれのコーディネートのなかに、理想と現実が入り混じる。シャツやドレスを彩るフラミンゴ、フラワーモチーフは、南国をひと目で思い起こさせるモチーフであり、リゾート気分をさらに盛り上げてくれる。そんな“カラフル”と対比させたのは軽やかなホワイト。刺繍とカッティングによって奥深い色へと豹変したホワイトは、夏の太陽を反射して輝くかのような存在感を放ち、コレクションにインパクトを与える。これらは全て、常に変化を楽しむ“レッド ヴァレンティノ ガール”による、フレッシュなサマータイムの表現。陽気で楽しく、気ままで創造性に満ち溢れた時間。そんな現実からかけ離れがちな世界さえも、「今と現実の物語」をテーマに掲げる彼女たちは、ファッションを通してより身近なものへと変えてくれる。彼女たちの自由な発想は、今までもそうであったように今後も私たちを楽しませてくれることだろう。
2016年09月26日フェンディ(FENDI)は、2017年春夏コレクションを2016年9月22日(木)、イタリア・ミラノで発表した。今季フェンディは、「モダン・ロココ」に挑む。パニエで大きく広げたスカートライン、隙間ないほど並べたリボンやレースの装飾。宮殿が似合う‟プリンセススタイル”に、現代という名のスパイスを振りかけて、新しい姿を提案する。ランウェイに登場したのは、「ロココ」の名残を受けるルック。キュッと絞ったウエストライン、そして繭のように膨らんだアームラインとふわりと広がったヘムラインが対峙するように存在する。デコレーションを見ても、立体的なフラワー、幾重にも重ねられたリボン、エンボス加工で仕上げたボタニカルモチーフ…と、どこをとっても可愛らしいのオンパレードだ。パニエから着想を得たのだろうか、スカートの下で活躍していたランジェリーたちが飛び出し、主役級の存在感を放っている。ジャケットとシャツに合わせたのは、アンダーウェア風のパンツ、またシースルースカートの下に隠れているのはレオタード風ワンピースやビキニだ。ロングスカートに見えるものもエプロン状になっていて、後ろから覗くとランジェリーを覗かせている。プレイフルなシルエットや華やかな装飾、奇想天外なレイヤード、アプリコットやペールミントといったシャーベットカラー。こういったお姫様を形作る要素は、ロング丈のジャケットやクロップドパンツにも落とし込まれ、ストリート・トレンドといったものを咀嚼した現代に添う形にアレンジされている。注目のアクセサリーラインからは、キャンディカラーのスタッズやリボンで彩られたニューバックが誕生。また、付け替えてコーディネートが楽しめるストラップ「ストラップ ユー」にも新作が加わっているようだ。
2016年09月25日ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の2017年春夏コレクションは、様々な素材の響きあいを楽しめるワードローブを披露。ベーシックでクラシカルなテキストタイルは、全くもって新しい趣のウェアへと昇華されている。アイテムごとの統一感というよりも、アイテムそれぞれがストーリーをもち、アイディアをまとう。共通して存在するのは、英国らしい美しいテーラリング。ユニセックスという捉え方が普及してきた昨今を象徴するように、メンズライクなアイテムをウィメンズのアイテムとして落とし込んでいる。肩やウェストはゆったり目で、着込むというよりも柔らかく羽織るという印象。襟の高いマスキュリンなシャツと合わせセットアップで魅せるものもあれば、発色の良いグリーンとブルーのファブリックと組み合わせたスカートをぶつけることで、女性性をより引き立てているものもある。メンズのスーツに用いられるようなネイビーのストライプの生地は、クールなドレスへと変貌。スーツのディテールを思わせる前合わせや袖のボタンはあるものの、長めに取られたスリットや広めに開いた胸元によってバランスが保たれている。
2016年09月25日コンバース(CONVERSE)から新コレクション「ブラックコレクション」が登場。2016年秋ごろから販売される。今コレクションは、16年春夏に展開した「ホワイトプラス コレクション」のアレンジカテゴリー。オールスターや、ジャックパーセル、スエード オールスター、プロレザーなどのコンバースの定番モデルが、シューレースやシューホールまでブラックカラーに染められる。ブラックカラーで統一された今モデルは、コンバースのカジュアルな印象と一線を画すシックなデザイン。ベーシックでシンプルなデザインは、キマリすぎず、さりげなくモード感を演出してくれるので、様々なシーンで活躍しそう。さらに、高い機能性も実現。ライニングとインソールに抗菌防臭効果のあるポリジン加工を採用することで、菌を抑制し、100回洗濯しても機能が持続する。【商品詳細】コンバース ブラックコレクション展開時期、価格:・9月下旬オールスター BKPLUS R HI/OX 7,000円※チャイルド オールスター N BKPLUS Z HI 4,700円ベイビー オールスター N BKPLUS Z 4,500円ジャックパーセル BKPLUS 7,500円・10月発売スエード オールスター BKPLUS R HI/OX 10,000円※・11月発売プロレザー BKPLUS SUEDE OX 13,000円※REACT(高機能カップインソールシステム)搭載モデル
2016年09月25日ジル・サンダー(JIL SANDER)は、2017年春夏コレクションを2016年9月24日(土)イタリア・ミラノで発表した。インスピレーションを与えたのは、80年代の強い女性たちだ。今シーズンのジル・サンダーは、とにかくビッグだ。肩パットをいれたかのような真四角なシルエットがシーズンスタイルのようで、ジャケットにもドレスにもコートにも採り入れられている。テロンとしたソフト&スムーズな素材さえも、この‟ロボットフォルム”に調理。また、力こぶのような丸みのあるアームラインも特徴的で、フェミニンなプリーツ地で構成されている。装飾は、無機質なまでにそぎ落とされていて、ぱっと見メンズがウィメンズかもわからないほど。ポケットも非常に大きいし、ボトムスからは股上の深いボクシングパンツのようなものが提案されている。それらのビックアイテムに、袖口にカッティングを入れたり、バックスタイルにフリルをあしらったりするのだが、そのアクションがウィメンズコレクションであることを再認識させてくれ、安心材料を担っている。特に、スリットの採り入れ方はユニークで、メゾンの中心の担うマニッシュなシャツやミドル丈のドレス、レザーブルゾンなどに思いがけない動きを与え、エレガンスを添えている。装いはパワーウーマンそのもの。しかし、アクセサリーやシューズは華奢でエレガントである。足元はどれもミュール型のサンダルで、耳元には揺れ動くほど大きなピアスをセット。ラストに向けては、装いにもキラキラとしたラメコーティングを採り入れて、花を持たせている。
2016年09月23日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の2017年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィークで発表された。「ジャージ:軽くて伸縮性があり、シワにならない。」私たちの身近な存在である、このファブリックが今シーズンの主役である。エミリオ・プッチとジャージの繋がりは古く、エミリオ自身が生み出したのでは…という一説もあるほど。あのマリリン・モンローが好んで着用していたのも、エミリオ・プッチのジャージドレスだ。ワントーンのIラインドレスとロンパースで幕を開けたショー。一見シフォンのように見えるものも、チュールを重ねたように見えるものも、全てジャージで出来ている。ソックスを合わせたようなシューズもジャージ製だ。細かく編み込まれた生地は、しっとりとしていて肌に寄り添うように柔らかい。薄手で細かく編まれたものは、肌色を映し出すほど透明感を持ち、レイヤードスタイルに最適だ。ランウェイでは、エレガントなドレスルックに、ビーチを想起させるスイムウェアやロンパース、ブルマが合わせられている。また、クリエイティブ・ディレクターのマッシモ・ジョルジェッティの興味は、アーカイブプリントにまで及んだ。ショーが進むにつれて登場する模様は、全て60年代のアーカイブへのオマージュだ。かつて時代の女神たちを彩ってきたであろう「Bersaglio」と「Labirinto」の2つのパターンは、イエローやオレンジ、パープルといったエネルギッシュな色合いで現代に蘇っている。一つの色柄で統一されてコーディネートされているため、気付きにくいが、一つひとつのピースに個性をもたらすように、加工や装飾でアレンジが加えられている。ノット(結び目)で左右不均衡にさせたり、ツヤを持たせたコーティングをしたり、スパンコールを並べたりして。また、マッシモが連続してアナウンスしていてビックサイズは、少し控えめな形へと変化。シャツ型のたっぷりとした身幅のコートもウエストマークして華奢にみせ、手首を覆うほどのロングスリーブもきゅきゅっと手元でまとめて身を隠している。プレコレクションから続き、顔を覆うほどのハットが登場しているのも興味深い。
2016年09月23日ネ・ネット(Né-net)の2017年春夏コレクションは「リラックス」をテーマに日常の何気ない風景を取り込んだデザインを提案。そらのいろ、とりのこえ、パンのみみ…。人それぞれに異なる“リラックス”のかたちをワードローブに落とし込んでいく。“リラックス”のかたちを語る上で、まず登場するのはネ・ネットの定番をアレンジした服。緩いスカート、カットワンピース、デニムパンツなど…そこには、絵本の中から飛び出してきたようにユニークな、フクロウやネコの姿が現れている。続いて、おじさんのリラックススタイルを提案。ラペルを取り外せばカーディガンになるヘリンボーンのジャケットや、ウエストがゴムになったパンツを組み合わせて、おじさんを表現している。一方、淑女をイメージしたというアイテムは、コットン素材をメインにした柔らかな肌あたり。ワンピースやブラウスの裾に配したカット刺繍が、のんびり1日を暮らす彼女たちの面影を思わせる。そして、旅のひと時を連想させるのは動物たち。芝生で戯れる彼らが、刺繍やプリントとなって現れる。シャツにはしっかり居座っているのに、コートは裏地でさりげなく。袖や裾、襟がひらりと返ったとき、彼らの存在に初めて気づく。部屋で過ごすリラックス空間も、多様に表現されている。あたたかな昼の時間は、キッチンで料理を嗜む場面を。アクセサリーとして散りばめた目玉やき、カットソーにめいっぱい配された食パンもそう。和やかな食卓の風景がファッションへと取り込まれていく。みんなの“おやすみの時間”を想定した服は一段とリラックスムードに包まれた。パジャマを想起させる縦じまのアイテムに組み合わせた「おやすみなさいボトム」には、まくらやルームウェア、一緒に寝るぬいぐるみを描いた可愛らしい柄が施されている。そして、「カーテンT」も“おやすみの時間”を上手く表した1着。胸元の切り替えはカーテンのようになっていて、開けばお風呂やベッドがちらり。こうして1日の中で、ゆったりと過ぎていく時間。いろんな人のリラックスタイムを垣間見れば、そこには新たな発見が感じられる。
2016年09月22日クラネ(CLANE)の2017年春夏コレクションは、「PAINTING CLOTHES」をテーマに繰り広げる。絵になるようなイメージで作り上げたという服には、ディテールを巧みに操ることで女性らしさを目いっぱいに引き出しつつ、デザインの根源には大胆なアートピースを置いている。ペインティングアートを取り入れた柄は、今シーズンの象徴。風にそよぐ滑らかな生地に、優しくのせられている。また、刺繍に立体的にあしらわれた花の刺繍もアートを思わせる部分だろう。デニムという力強さに繊細さを加味するものもあれば、揺れ動くアシンメトリーなワンピースのなかで、いきいきと咲き誇るものもある。テクスチャーへの強弱、そしてレイヤードやミックステイストによる抑揚によってアーティスティックな演出を施している。随所に施されたプリーツは、ブラウスやパンツのバックで揺らぎ、上品さの余韻を残していく。フレアよりもはるかに躍動的。それはまた、軽量感ある素材のチョイスにも同様のことが言える。フラットな部分と両立させることで、360度どこから見ても違った表情を見せてくれる。差し色には、油絵のようなピンクやレッド、濃厚なブルー、グリーンを選んだ。インパクトある色使いがあるがゆえ、対比的な自然の花、爽やかな素材感をより活き活きと感じられる。単色使いのいたってシンプルなワンピースでさえ、構築的なフォルムで洗練された女性像を確信へと変えていく。
2016年09月21日