東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]は11月22日より、展覧会「大友良英音楽と美術のあいだ」を開始した。音楽と美術の領域を越境するアーティスト・大友良英による大型インスタレーション作品と、本展のための最新作を展示する。2008年制作の「quartets」は、音響と映像の大型インスタレーション作品。大きな展示室を丸ごと使ったこの作品では、8名の演奏家による即興演奏を事前に記録し、それらをコンピュータ・プログラムによって四つのカルテットに再編成した演奏音が流れる。中央に設置した白いキューブの各側面には、各演奏家達のシルエットが投影され、キューブの側面ごとに正対する展示室の壁面スクリーンには、木、鉄、液体などで作られたオブジェのディテールが映し出される。これらの映像は、演奏音に合わせて振動し変化していく。本展のために制作された「guitar solos 1」は、館内の階段を利用したサウンドインスタレーション。8対のスピーカーが階段の段上に設置され、それぞれのスピーカーから、事前に録音されたギターの音がランダムに再生される。スピーカーの前を通過したり、立ち止まったりしながら、複雑に変化していく演奏音を楽しむ。異なる芸術表現である「音楽」と「美術」は、お互いにそれぞれの歴史を持ち、各々独自の発展を遂げてきた。近年、両者の領域を横断する多様な表現が生み出されてきているが、それらは従来の芸術ジャンルの外枠を大きく拡げた一方、各分野の間にあった境界線は曖昧なものとなった。大友は「(音響作品である)『quartets』は時間を掛けてゆっくりと“観”ほしい作品」と語る。本展は美術館における音響インスタレーション作品の存在意義を、鑑賞者に再び問うものである。大友の作品は、固定化した聴覚音源とも、一過性のライブ体験とも異なる、「展示による上演」という新しいシステムを鑑賞者に観せてくれる。今一度「音楽」と「美術」それぞれに目を向けながら、それらの「あいだ」にあるもの、それらの「あいだ」を繋ぐものとはなにかを考えさせる展覧会だ。【イベント情報】「大友良英音楽と美術のあいだ」会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]ギャラリーA住所:東京都新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4階会期:11月22日から2015年2月22日時間:11:00から18:00休館日:月曜日(祝日の場合翌日)、12月29日から1月5日、2月8日入場料:一般・大学生500円、高校生以下無料
2014年11月23日東京都・初台のNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]にて、「音楽」と「美術」を行き来する音楽家・大友良英のインスタレーションを紹介する「大友良英音楽と美術のあいだ展」を開催する。開催期間は11月22日~2015年2月22日まで(月曜、月曜が祝日の場合は翌火曜、12月29日~1月5日、2月8日は休館)、開場時間は11:00~18:00。入場料は一般・大学生500円、高校生以下は無料。同展は、「音楽と美術のあいだ」をテーマに、2008年に山口情報芸術センター [YCAM]で委嘱制作された作品「quartets」と、新作サウンドインスタレーション「guitar solos 1」、そしてトークやコンサートなどさまざまなイベントから構成される。大友は、即興音楽からポピュラー音楽、さらに70作品以上もの映画音楽や「あまちゃん」に代表されるテレビの劇伴音楽まで、幅広い音楽の領域で活動している一方、美術館やギャラリーなどでの展覧会への参加や、インスタレーション作品を制作するなど、美術の領域での発表も数多く行っている。それぞれ独自の発展を遂げてきた「音楽」と「美術」は1960年代以降、相互に介入し合うような表現が多く見られるようになると「インターメディア」「パフォーマンス」「サウンドアート」などと呼ばれる。その後さらに、さまざまなメディアを利用できる環境が整うことによって、「メディアアート」や「領域横断的」と称される表現が登場し、従来の定義や解釈を拡げたと同時に、境界線を曖昧にしていった。まさに大友はそれらの「あいだ」で活動してきたアーティストであり、今回の個展では、あらためて「音楽」と「美術」という異なる表現の相違に目を向け、それらの「あいだ」にあるものとはなにかを再考する。なお、11月22日、23日にはオープニングトークが、12月23日と2015年2月20日にはコンサートが開催予定。最新情報は同展のWebサイトで確認してほしい。
2014年11月21日大友克洋監督の最新作となる短編アニメーション「火要鎮」をはじめ、日本を代表するトップクリエーターによる短編アニメ4本で構成されるオムニバス『SHORT PEACE』(本日公開)。その中でも特に注目を集めるのが、大友克洋が1981年に発表した伝説的戦闘アクション漫画「武器よさらば」の初の映像化だ。本作が初の監督作品となるカトキハジメ監督は「原作に出会ったのは、僕が16歳の時。当時の若者が受けた“衝撃”を今の若い人たちにも体感してもらいたい。そんな姿勢で作品に取り組みました」と自信を示した。その他の画像編の最後を飾る「武器よさらば」は荒廃した近未来の東京を舞台に、プロテクションスーツで武装した5人の小隊が、一台の戦車型無人兵器と遭遇し、すさまじい戦闘を繰り広げる。「他の3作品がどちらかといえば芸術志向なので、こっちは小難しいこと考えず、純粋なエンタメとして世代を超えて楽しんでもらいたいです」(カトキ監督)。同時にエンディングに待つ無常観も大友作品らしさだといい「ああいうトボけた余韻というか、シニカルな終わり方も(原作が発表された)当時は革新的でした」と語る。本作では脚本も手掛けたカトキ監督。原作への思い入れが強い分、シナリオ作りでは「完成度が高すぎるコミックを“足さず引かず”でそのまま映像化する選択ももちろんありましたが、それが本当に原作に誠実なのかという葛藤がありました」という。「大友さんの生み出したコミックの技法は、その後多くの作家にコピーされたため、この30年で見慣れたものになった側面もあります。だからフィルムでは、当時の熱意で反復しただけではダメなんだろうと。若い人にも見てもらうためには、さじ加減が必要だと考えた。そうした“橋渡し”は意識しています」。ひとつのアクションシーンを複数のカメラが追う演出は、『ボーン・アイデンティティー』に刺激された面もあり、「それに大友さんからはスピルバーグの『プライベート・ライアン』などを示唆された。もちろん以前から、何度も観ている作品です。ハリウッド的物量には勝てないにしても、個性や空気、味わいという面ではこちらにも勝機がある」。カトキ監督は1963年生まれ。デザイナー、イラストレーターとしてガンダムシリーズのメカデザインを務め、プラモデルやアクションフィギュアのデザイン監修、「バーチャロン」「スーパーロボット大戦」などのビデオゲームのデザインなどを手掛ける。本作で監督デビューを飾り「監督って言われても、名刺を借りているだけですけどね。今回は良いアウェイ感を体験できました」(カトキ監督)。『SHORT PEACE』公開中取材・文・写真:内田 涼
2013年07月20日映画『AKIRA』、『スチームボーイ』で国内外で高く評価されているアニメーション監督・漫画家の大友克洋の9年ぶりの映画作品『火要鎮』を収録したオムニバス映画『SHORT PEACE』のコラボレーション・ビジュアルがこのほど公開された。大友監督から絶大な信頼を受け、昨年開催された「大友克洋GENGA展」のメインビジュアルも担当したコラージュ・アーティストの河村康輔、そして監督の多くの作品のビジュアル・デザインを手がけるグラフィック・デザイナーの上杉季明が作り上げた今回のコラボビジュアル。大友監督は「デザインはシンプルで、かつ力強さがある。周りの余白の配分も緊張感があり、文字の置き方やデザインも完璧!」と絶賛のコメントを寄せている。大友監督を始めとする5人のクリエイターによるオムニバス作品『SHORT PEACE』を象徴する手段として選ばれたのは、ありとあらゆるバラバラの素材を組み合わせることで、一つの作品に作り上げる創作技法である“コラージュ”。河村氏が作り上げたコラージュに上杉秀明が彩色を施して仕上げられたポスターは、本作の世界観を凝縮した衝撃的なビジュアルに仕上がった。今回のコラボビジュアルについて、河村は「GENGA展のときとは違い、今回は5人の監督の作品を一つにまとめて『SHORT PEACE』という大きなイメージを作らねばならず、それは全く新しい挑戦ですごく楽しかった」と自信のコメントを寄せている。本作は、巨匠から若手まで、いずれも世界から注目を浴びるクリエイターが参加した一大プロジェクト。大友監督のほか、「ガンダム」のメカデザイナーのカトキハジメ、貞本義行、『REDLINE』の石井克人、『アニマトリックス』の森本晃司などが“日本”をテーマに、それぞれ独自のセンスと先端技術を駆使し、誰も観たことのない日本の姿を圧巻のビジュアルに凝縮した作品だ。『SHORT PEACE』は7月20日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:SHORT PEACE 2013年7月20日より全国にて公開(C) SHORT PEACE COMMITTEE/(C) KATSUHIRO OTOMO/MASH・ROOM/SHORT PEACE COMMITTEE
2013年05月23日『悪人』『パレード』など数々のベストセラーで知られる吉田修一の同名小説を映画化した『横道世之介』(よこみちよのすけ)が27日、第25回東京国際映画祭の特別招待作品としてワールドプレミア上映され、主演を務める高良健吾とメガホンを執る沖田修一監督がTOHOシネマズ六本木ヒルズでの舞台あいさつに登壇した。その他の写真1980年代を舞台に、高良演じる上京したての大学生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く個性的な面々の人生を描く本作。高良と沖田監督のタッグは、テレビドラマに始まり、映画『南極料理人』、『キツツキと雨』に続いて4度目となり「僕にとってはイキイキしていられるのが、沖田監督の現場」(高良)、「いつか主演を…、と思っていた。今回は思う存分にやってもらった」(沖田監督)と今やそのコンビネーションは鉄板だ。主人公“世之介”は、人懐っこい笑顔を振りまくどこにでもいそうなお人好しという設定。これまでは対照的にクールな印象も強かった高良だが「役者として“狙ったり”、欲を出してしまうのは良くないなと思った。あくまで普通にこだわった」と役作りをについて語った。一方の沖田監督も「とても軽やかな原作で、登場人物たちが動いているのを見てみたいなと思った」とこちらも自然体で撮影に臨んだ。世之介のガールフレンドで社長令嬢の祥子を演じるのは、人気女優の吉高由里子。高良にとっては『蛇とピアス』以来約5年ぶりの再共演で「以前に比べると、二人ともよくしゃべりましたね。当時はお互い、とても暗かったので…(笑)。吉高さんとの共演は、予期せぬことが起こるから楽しいです」と手応え十分。沖田監督は「現場での爆発力がすごい」と吉高との初仕事に圧倒されていた。映画には高良、吉高に加えて、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛ら若手実力派から、きたろう、余貴美子らベテラン勢まで幅広くキャスティングされている。沖田監督は「前作、前々作がおじさん、おばさん(笑)だらけだったので、若い面々と一緒に撮影できたことは僕にとっても面白かった」と振り返った。『横道世之介』2013年2月23日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2012年10月29日先日、東京で行われたプレミアイベントでの大熱狂が冷めやらぬ中、その翌日の8月16日(木)に福岡で映画『るろうに剣心』の舞台挨拶が開催され、主演の佐藤健と大友啓史監督が登壇。夜のスタートにも関わらず、猛暑の中、朝から並んでいたという熱狂的なファンたちの熱狂的な声援に応えた。幕末に“人斬り抜刀斎”として怖れられていた伝説の志士・緋村剣心。明治維新を境に「不殺(ころさず)」の誓いを立て、流浪人として旅をする彼は、神谷道場の師範代・薫らとの出会いを通して、自らの生きる道を見つめていく――。13日(月)の名古屋を皮切りに、大阪、東京と各地で行ってきたプロモーションの最終日となるこの日の舞台挨拶には、熱烈なファンおよそ600人が劇場に詰めかけた。劇場公開まであと9日、佐藤さんは「待ってました!という気分です」と興奮を抑えきれない様子。完成した作品について聞かれ、「大友監督って凄いんだなって改めて思いました。NHKを辞めてフリーになられての初めての作品なんですよね。だから“大友啓史”が日本映画界に殴り込みをしに来たわけです!」と監督を称えると、本人からは「言葉、悪いから(笑)!」とツッコまれていた。劇中では見事な殺陣アクションを披露している佐藤さん。相当ハードな訓練があったことが予想されるが、「野球の素振りを毎日やっている高校球児と一緒です。縦、横、斜め、それぞれの方向に剣を素振りする。そういう基本から始めました。あとはちょっとずつ、ちょっとずつ。今日は跳んでみたり、今日は転がってみたり、今日は避けてみたり、今日は壁を走ってみたりとか。そういった感じで本当に地道な作業でした」と謙虚にふり返った。一方で、実は佐藤さん、撮影前からアシスタントを立てることには断固反対だったそうで、「僕が剣心を演じさせてもらっているのに、ほかの方にアクションを任せるというのは絶対に成り立たないじゃないですか?それに同じ男だし、アクションのプロの方はもちろんいるけど、その人にできて俺にできないはずはない!とは思いましたよ」と男らしい一面を見せた。この言葉に対して、大友監督からは「(撮影当初に取材を受けた際に)『アクションかっこ悪かったら、役者辞めます』って言ったんですよ。僕は隣でドキドキしながら聞いてました(笑)」というエピソードが明かされ、観客を沸かせた。最後には「海の向こう側にも伝わる作品を作ったつもりです。何卒よろしくお願い致します!」と監督が話すと、佐藤さんも「特別な思い入れのある作品だし、本当に代表作と呼べるものができたんじゃないかなと思うので、たくさんの方に観ていただきたいです!」と最後まで熱い語り口でアピールしていた。『るろうに剣心』は8月25日(土)より全国にて公開。■関連作品:るろうに剣心 2012年8月25日より全国にて公開© 和月伸宏/集英社© 2012「るろうに剣心」製作委員会
2012年08月17日90年代に『週刊少年ジャンプ』にて連載され、爆発的な人気を誇った『るろうに剣心』の実写映画化をうけて、大友啓史監督によるティーチインイベント付き試写会が行われた。その他の写真本作は佐藤健演じる伝説の剣客、“人斬り抜刀斎”こと緋村剣心が流浪の旅の途中で出会った人々を守るため、再び戦いに身を投じていくアクション・エンターテインメント。監督を務めた大友啓史は、NHKで『ちゅらさん』『白洲次郎』『龍馬伝』など数多くの人気ドラマを手がけ、本作で初のコミック実写化に挑んだ。はじめにオファーが来た時には「なんで僕なのかと逆に興味を持った」と語る大友監督だが、「『龍馬伝』をやったあとだったので、明治のディティールや気分に入り込みやすかった」とも話す。「もしあの幕末の連中がそのまま生き残ったとしたら、どういう生き方をしたのかなと。佐藤くんの演じた人斬り以蔵がどうなったのかとか、(香川照之が演じた)岩崎弥太郎が間違った生き方をしたらどうなんだろうとか(笑)、そう思ったら素直に読めた」のだとか。また、「漫画にはキャラクター描写も含めて飛躍がありますよね。そういうものを映像化することは原作ファンの方々の目の厳しさも含めて、いただいた企画の中で一番ハードルが高いと思ったんで。マゾなんでしょうね(笑)」と笑顔を見せた。撮影は原作者の和月伸宏と密なコミュニケーションを取りながら、丁寧に行われたようで、「ワイヤーやCGではなくリアルにやってほしいと言われたんですね。漫画と映画、それぞれのメディアの違いを共有したうえで、剣心は“スパイダーマン”のような超人ではなく侍だから、むしろ生身でやったほうが希少価値が高いだろう、と和月さんとも意気投合しました」とコメント。実際、出来上がった作品を観た和月から「最高です! 僕としては満足してます!」と激賞を受けたことも明かした。ティーチインでは、撮影中のエピソードやドラマとの演出の違いなど、映画の裏側に質問が集中。それぞれの質問に丁寧に答える監督の言葉に、集まった観客たちは熱心に耳を傾けていた。最後に一言を求められた監督からはこんなメッセージが。「この作品は時代劇のつもりでは作っていません。日本にはないアクション・エンターテインメントができればいいなということで、撮影も照明も俳優の演技もいまできることすべてでいろいろ工夫をしました。何度も劇場に足を運んで細かいディティールや役者たちのチャレンジを観てほしいです」。『るろうに剣心』8月25日(土)全国ロードショー取材・文・写真:渡部あきこ
2012年07月10日人気小説家・吉田修一著による青春感動巨編を、主演に高良健吾、ヒロインに吉高由里子を迎えて『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督がメガホンを取り実写映画化する『横道世之介』。このほど新たに、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛ら若手実力派俳優3人の本作への出演が明らかとなった。『悪人』や『パレード』の原作者としても知られる吉田修一の同名人気小説を原作にもつ本作。1980年代を舞台に、上京したての大学生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く人々の生活を優しいタッチで描く。今回出演が決定したのは、いまがまさに“旬”の3人。世之介の大学の友達・倉持一平を、『ラスト サムライ』でハリウッド・デビューも果たした池松壮亮、世之介が憧れる年上女性・片春千春を、『ソラニン』や『GANTZ』など話題作への出演が相次ぐ伊藤歩が演じる。そして女性に興味がない世之介の同級生・加藤雄介を、現在放送中のNHK連続ドラマ小説「カーネーション」での活躍で脚光を浴びている綾野剛が演じる。徐々に明らかにされていく映画『横道世之介』の世界。心温まる人間模様を独特のユーモアと世界観で描くことに定評のある沖田監督の指揮のもと、若手実力派俳優たちがどのような化学反応を起こしてくれるのか、公開を楽しみに待ちたい。『横道世之介』は2013年、全国にて公開。■関連作品:横道世之介 2013年、全国にて公開■関連記事:『蛇にピアス』コンビ復活!高良健吾&吉高由里子で吉田修一の青春小説を映画化
2012年03月15日人気小説家・吉田修一著による青春感動巨編「横道世之介」(毎日新聞社刊)を『南極料理人』、『キツツキと雨』など心温まる人間模様を独特のユーモアと世界観で描いてきた沖田修一監督によって実写映画化されることが決定!主演に高良健吾、ヒロインに吉高由里子が抜擢されたことが明らかとなった。一昨年、国内の映画賞を総なめにした『悪人』や『パレード』などの原作者としても知られるベストセラー作家・吉田修一著で、2010年本屋大賞3位入賞、第23回柴田錬三郎賞を受賞した人気小説を原作にした本作。長崎の港町生まれで大学進学のために上京したばかりの主人公・横道世之介とガールフレンドの与謝野祥子を始め、まわりの人々の青春時代と彼らのその後が描かれる。嫌味のない図々しさが人を呼び、それでいてお人好しの主人公・世之介を演じるのは、『軽蔑』、NHK連続テレビ小説「おひさま」など活躍が目覚しい高良健吾。沖田監督とは『南極料理人』、『キツツキと雨』に続き、3度目のタッグを果たす。そのお相手、ヒロイン・祥子を演じるのは、今年の公開作だけでも『ロボジー』、『ヒミズ』、『僕等がいた』と飛ぶ鳥を落とす勢いの人気女優、吉高由里子。日本映画・ドラマ界で活躍する若手俳優の中でも頭一つ抜け出た2人だが、『蛇にピアス』で共演済みとあって、まさに磐石の布陣?手渡された今回の脚本を読んで「とにかく面白い!」と絶賛する高良さんは、「沖田監督はいつも一緒に悩んでくれる監督なので、今回も一つ一つ悩みながら、楽しみたいです。緊張もしていますが、沖田監督となら『なんとかなる』と思えます」と沖田監督へ全幅の信頼を寄せる。再共演の吉高さんについても「久しぶりに会う友達みたいに再会できたら嬉しいです。吉高さん自身がコメディ映画のように面白い方ですし、しっかりしているので、現場を引っ張ってくれると思います。監督が受け止めてくれて、吉高さんが引っ張ってくれる。だから安心して、僕は前向きな他力本願で頑張ります」と力強い(?)コメント。その吉高さんも「高良さんと共演させていただくのは約5年ぶりで、19歳の頃、ご一緒しました。今回、すごく楽しみでもあり、あの頃から自分が成長してなかったらどうしようと思う不安もあります。高良さんと共演という形で再会するのをとても嬉しく思います。信頼し合えるような関係性を作っていい作品を残したいです」と再会に胸弾ませる。本作のテーマについて、沖田監督は「原作の特徴として、80年代と現代の話が出てきますが、世之介というキャラクターを通していろんな人が過去を思い出したりしています。僕はいま34歳ですが、自分が送ってきた大学生活と彼らの生活はそんなに変わらないと感じています。友達ができて、恋をして、また疎遠になったりして…ということが、どの時代も変わらないんじゃないかな、と思います。そういう“変わらない青春”みたいなものをこの作品で出せたらいいなと思っています」とコメント。これまで映画化されてきた吉田修一作品の持つサスペンスものとはまた一味違う、温かみのある優しい作品が生まれそうだ。撮影は3月下旬にスタートし、長崎でのロケを経て、5月上旬にクランクアップ予定。『横道世之介』は2013年、全国にて公開。■関連作品:キツツキと雨 2012年2月11日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011「キツツキと雨」製作委員会僕等がいた・前篇 2012年3月17日より全国東宝系にて公開© 2012「僕等がいた」製作委員会 &© 2002小畑友紀/小学館横道世之介 2013年、全国にて公開■関連記事:役所広司×小栗旬インタビューふたりだから語れる、「映画を撮り続ける」ワケ高良健吾×沖田修一監督インタビューコメディから解き明かす24歳の魅力と素顔生田斗真、初共演した吉高由里子の第一印象は「賢い人」役所広司×小栗旬『キツツキと雨』独占試写会に35組70名様をご招待ミスチル桜井「真っ直ぐな気持ちで取り組んだ」『僕等がいた』主題歌リリース決定
2012年02月09日芥川賞作家・吉田修一の作品の中でも、ファンの間で特に高い人気を誇る「パレード」(幻冬舎文庫刊)が豪華キャストを揃えて映画化される。このたび、本作の画像が初めて公開され、物語の鍵を握る男娼・サトルを演じる林遣都の金髪姿も初めて明らかになった。原作小説は2002年に発表され、第15回山本周五郎賞を受賞。同じ年に発表された「パーク・ライフ」が第127回芥川賞を受賞し、物語性を重視した作品に贈られる山本周五郎賞と純文学に対して贈られる芥川賞のW受賞ということで大いに話題となった。物語は、上辺だけの付き合いを「ちょうどよい」と感じる現代の若者たちが、都内のマンションでルームシェアをする姿を描いた群像劇。決して重くない空気感の裏に隠された人間心理の恐ろしさが映し出される。映画会社に勤務する直輝に藤原竜也、イラストレーターの未来役を香里奈、フリーターの美女・琴美を貫地谷しほり、そして大学生の良介に小出恵介と人気の若手俳優陣が顔を揃えている。“本当の自分”を装った、この4人の優しくも怠惰な共同生活に新たに加わるのが、林遣都が演じる金髪の男娼・サトル。時を同じくして彼らの住む街では連続暴行事件が発生し、彼らの日常に少しずつ波紋が広がり始める…。いずれのキャストも話題を集めそうだが、特にデビュー作『バッテリー』以来、『DIVE!!ダイブ!!』、『風が強く吹いている』など爽やかなスポーツ映画への出演が続いていた林さんが、男娼という難役に挑戦しているのは注目!監督を務めるのは、『GO』や『クローズド・ノート』、『世界の中心で、愛をさけぶ』など原作ものの映画化に定評のある行定勲。以前より吉田さんとは親交が深く、吉田さん自身「多くの映像化の企画があった中で、最終的に最高のスタッフとキャストで動き出した映画『パレード』に力強さを感じています」と期待のコメントを寄せている。果たして彼らにとって、この2LDKはどのような場所なのか――?『パレード』は2010年春、渋やシネクイント、新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:パレード 2010年春、渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国にて公開© 2010 映画『パレード』製作委員会
2009年08月08日