スカイマークが機内でのサービス方針を明記した「サービスコンセプト」という断り書きを、2012年5月から各客席に設置している(6月から一部内容が修正されている)。物議をかもしたのでご存知の方も多いだろう。趣旨を要約すれば、”より安全に、より安く”がスカイマークのコンセプトなので、客室乗務員には(大手航空会社のような)丁寧な言葉遣いや制服の着用、私語の禁止、手荷物収納の手伝いなどは義務付けておらず、苦情も機内では受け付けないので本社の相談窓口または消費者生活相談センターに届け出てほしい(6月配布の修正版で削除)、といったもの。「スカイマーク、けしからん」といった批判派から、「安いんだから仕方ないだろ」といった支持派(?)まで、反響はさまざまだった。「サービスコンセプト」全体の内容やスカイマーク自身に対する評価は別として、一点だけ注目しておきたい文言がある。「客室乗務員は保安要員であり、接客は副次的な業務」という記述だ。客室乗務員──古くはスチュワーデスやスチュワード、現在ではフライト・アテンダントやキャビン・クルーと呼ばれている(キャビン・アテンダントは和製英語)が、そもそもどういう職業なのだろうか。例えば米国労働省の職業紹介ハンドブックでは、「航空会社は連邦法により、乗客の安全と警備のためフライト・アテンダントを配備することが義務づけられている」と明記されている。業務内容の事例として接客も挙げられているが、あくまで副次的な位置づけだ。国際線旅客数世界一のヒースロー空港を擁する英国でも、CAA(英国民間航空局)はキャビン・クルーを「乗客の安全を守るために雇用される人員」と定義づけている。日本でも、航空法に基づく規則(運航規程審査要領細則)で定められた客室乗務員の業務内容は、保安要員としての業務であって、接客をおこなうか否かは各航空会社の判断にゆだねられている。つまり客室乗務員は接客係ではなく、保安要員なのだ。9.11航空テロ以降、定期便のセキュリティは劇的に変化した。9.11テロ以前は、キャビンから操縦室への出入りは容易にできたし、米国の空港では出迎えの人々が入国ゲートから搭乗ブリッジの手前まで入ることも可能だったようだが(法で認められていたわけではなく、取り締まりが緩かっただけらしい)、これらは9.11テロ以降、当然のことながら厳しく禁止された。操縦室のドアは電子ロックを備えた金属製に置き換えられた。空港でのセキュリティ強化は説明するまでもないだろう。客室乗務員も例外ではない。米国では早くも9.11テロの2カ月後には、客室乗務員によるハイジャックやテロリストへの対処法を定めた法律が改正されている。以前はハイジャック犯をなだめながら、空港に着陸するまでの時間稼ぎをすることが基本方針だったが、旅客機がミサイルと化した9.11テロの教訓を踏まえ、ハイジャック犯やテロリストを攻撃・制圧することを基本方針に定め、航空会社にも客室乗務員に護身術の訓練をおこなうことを義務付けている。米国では以降も数回の法改正を経て、現在ではTSA(米国運輸保安局)も米国各地で、自主参加制ではあるが、客室乗務員に護身術のトレーニングを実施している。ただしAFA(米国客室乗務員協会)は、これらの法律は経営コストの増大を嫌う航空会社に甘くつくられており、客室乗務員の能力は全く不十分であるとして、連邦議会やTSAに、より充実した訓練の義務化を求めている。日本でも客室乗務員に対し、テロやハイジャックを想定した訓練は、「実施している。9.11テロ後は訓練内容も変更した」(JAL)、「実施しており、内容も順次アップデートしている」(ANA)、「実施している。訓練内容は必要に応じて変更している」(スカイマーク)。訓練内容は各社とも、「セキュリティ上の理由で答えられない」としているが、機内のセキュリティ強化の取り組みは進められている。趣向は若干異なるかもしれないが、客室乗務員全員に格闘技の訓練を施している香港航空の事例もある。凶悪犯よりは、素行不良の乗客を取り押さえることに主眼を置いているようだが、報道内容を見る限り実効性は上がっているらしい。9.11テロをきっかけに、空の旅そのものにも変化が起きた。ビジネスジェット(社用ジェット)の利用拡大である。見知らぬ他人と乗り合わせる危険性に、世界各地の企業が気づいた結果だ。20世紀末には年間500機程度の販売量で、そのうち米国市場が八割を占めていたビジネスジェットは、経済のグローバル化も手伝って、2000年代半ばには年間1,000機前後の販売量(定期航空機と同等の販売量)に達し、米国以外の市場の比率が五割を占めるほど増加した。今では中小企業に至るまで、幅広い層に活用されている。空の旅の安全性は、それだけ真剣に考えられているということだ。飛行機は鉄道やバスと違い、非常時には緊急停止して脱出──という手段の取れない乗り物である。9.11テロ以降、空港セキュリティの強化による水際阻止は、おおむね成果を上げてきたものの、それでもハイジャックや航空機テロは未遂も含めて発生している。警察の手の届かない”空の密室”で、乗客・乗員の生命をどう守るのか。格安航空の相次ぐ設立で、航空旅客がさらに増えるのであれば、旅客側の意識改革も必要となる。客室乗務員に対する正確な理解も、そのひとつといえよう。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月25日ジェレミー・レナー主演のアクション大作『ボーン・レガシー』の公開を記念して、“もしあなたが工作員になったらどんなタイプか”を診断する、秘密工作員検定アプリが登場した。その他の写真このアプリは、ジェレミー・レナー演じる主人公アーロンがCIA史上最強の工作員であることにちなんで、“もし彼のような秘密工作員だったら、どのような行動をとるか”という10の設問に2択で答えていくもの。「任務遂行中に意中の人とばったり遭遇。あなたならどうする?」、「潜伏先の企業から幹部への昇進オファー。あなたならどうする?」などの質問が用意されており、工作員タイプの診断と、一流の工作員になるためのアドバイスが受けられる。主人公アーロンのようなエージェントになったつもりでチャレンジしてみてはどうだろうか。本アプリは『ボーン・レガシー』公式Facebookページにて公開されている。『ボーン・レガシー』は、ジェイソン・ボーンを主人公とした人気シリーズ“ボーン”3部作と、同じ世界・同じ時系列で描かれる、もうひとつの物語。遺伝子操作と人格改造によって高い戦闘能力を身につけた暗殺者アーロン・クロスを主人公に、巨大な陰謀に関わることとなった彼の暗躍を描いたアクション大作。『ボーン・レガシー』9月28日(金)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
2012年09月04日全日本空輸(ANA)はこのほど、ANAグループ運航乗務員(約2,500名)にiPadを1人1台配布することを決定した。9月から約300名の運航乗務員による3カ月の運用検証を行い、その後、2013年2月より本格的に導入する。今回のiPad導入は、2012年~2013年度ANAグループ経営戦略で掲げる「構造改革」の具現化の1つ。運航マニュアルの電子化やコックピット等における情報活用の促進を図ることで、高品質なオペレーションの実現と運航に関わるコストの効率化を推進するという。これまで運航乗務員が天候等の運航情報を入手できる場所は限られていたが、iPadを活用することにより、最新の運航情報をいつでもどこでも容易に入手できるようになる。これにより、より揺れの少ない飛行ルートや高度の選定が容易になり、定時性の向上に寄与、高品質なオペレーションを実現できるとのこと。将来的にはコックピットにおいて、エレクトロニック・フライト・バッグ(EFB)としてiPadを活用し、さらなる情報の効果的活用を目指すとのこと。また、機内搭載マニュアルの電子化による機体重量削減、最新の旅客予約情報・搭載貨物情報に基づいた的確な飛行計画作成などよる無駄のない燃料搭載も可能になるという。さらに、マニュアルの電子化により印刷費用や維持管理費の削減、音声や動画を活用した訓練・教育教材を提供することで、より効果的な知識の習得が可能となり、運航乗務員個々の技量維持・向上も図っていくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月31日格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンはこのほど、同社のキャビンクルー(客室乗務員)総勢59人を集めたイベントを開催した。都内会場には、ジェットスターを象徴するオレンジ色のユニホームに身を包んだキャビンクルー59人が一堂に集結。あいさつに立った同社の鈴木みゆき代表取締役社長は、「いよいよ日本の空が大きく変化します。日本一のLCCを目指して努力いたします」とコメントした。またキャビンクルーを代表して、まこさんが「この喜びを胸に快適な空の旅を提供してまいります。ぜひご利用ください」と話した。キャビンクルーは一人ずつ壇上にあがっていき、胸に贈られたばかりのウイング(バッジ)をつけて笑顔を見せた。全員が舞台に立つ姿は大迫力。ユニホームの鮮やかなオレンジ色は、キャビンクルーたちの明るい表情をいっそう華やかに見せていた。同社は、7月3日の成田 - 福岡、成田 - 新千歳を皮切りに、同月9日から成田 - 関西、成田 - 那覇、8月24日に関西 - 福岡、関西 - 新千歳の6路線を就航する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月10日JR東日本は27日、東京駅丸の内駅舎の内部を報道公開した。創建時の装飾を再現した南側ドーム部のほか、東京ステーションギャラリーや東京ステーションホテルの客室などが公開された。東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事は2007年よりスタート。3階部分やドーム屋根が姿を現すなど、外観はほぼ創建当時の姿に復原された。グランドオープンは10月1日の予定で、ドーム部、ホテル、ギャラリーの内装工事なども佳境に入っているとのこと。なお、現在は仮施設となっている丸の内北口が6月3日に、丸の内南口が6月17日に、丸の内中央口が7月1日に、それぞれ使用開始する予定となっている。ドーム屋根の内部は改札口からも見上げられる予定で、3~4階と天井部分にて創建時の装飾を再現。今回公開されたのは南側ドーム部で、黄卵色を中心に明るい色彩でまとめられていた。天井の部分には花飾りレリーフや、大きさ約2.4mという鷲の彫刻が。4階部分では十二支のうち子・卯・午・酉を除く8つの干支のレリーフがつくられ、各方角に設置された。南側ドーム部においては、創建当時に設置されたレリーフの中から保存状態の良いものも再使用しているという。東京ステーションギャラリーは10月オープン予定で、着工前の約1,000平方メートルから、約3,000平方メートルに拡張される。展示室では、建物も展示物のひとつとの考えから、赤レンガや鉄骨をむき出しにした露出仕上げに。東京大空襲で炭化した木レンガも、そのまま使用されている。創建当時、丸の内駅舎に使用された鉄骨は半分以上が八幡製鉄所製だったが、それ以外にイギリスやアメリカで製造されたものも使用されたという。東京ステーションギャラリーでは、「FRODINGHAM IRON & STEEL CO.LTD ENGLAND」と刻まれた鉄骨も見られた。東京駅丸の内駅舎では、これまで使われていなかった中央屋根裏の空間も活用し、東京ステーションホテル(10月オープン予定)の宿泊者専用ラウンジ「The Atrium」に。ここでも創建当時の赤レンガが、インテリアとして生かされる。今回の報道公開では、東京ステーションホテルの「パレスサイド」(丸の内側)と「ドームサイド」(南側ドーム沿い)の客室も公開された。東京ステーションホテルの詳細に関しては、本誌にて後日あらためてレポートする予定だ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月28日セルフスキンケアブランド「アクアレーベル」を展開する株式会社資生堂は、旅行経験の豊富なANA客室乗務員とのコラボレーションによる「美白と旅グッズプレゼントキャンペーン」を実施している。抽選で美白と旅をテーマにした賞品や沖縄往復航空券などがプレゼントされるという。美白と旅をテーマにした賞品には、「アクアレーベル」を1,000円以上購入し、そのレシートを送って応募する。沖縄往復航空券に応募する場合は製品の購入レシートは不要で、クイズに答えるだけでよい。プレゼント企画のほか、ANAのCAが編集員をつとめる口コミ情報満載の旅行情報サイト「ANA Latte」上でのコラボレーション企画として、アクアレーベル担当者とANAのCAが行った「美白対談」を掲載する。また、FacebookやTwitterのアカウントと連動した、ANAが運営するマイレージ会員向けの口コミ情報サイト「ANAソーシャルスカイパーク」でコメントをすると、eクーポン(ANA航空券を購入する際に利用できる電子クーポン)がもらえるキャンペーンも行われる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月30日クリスマス企画も兼ね、成田空港で実施成田空港で24日、航空会社の客室乗務員(CA)が歴代の制服を身につけ、ファッションショーを開催したそうだ。この日はちょうどクリスマスイブ。クリスマスを盛り上げる企画も同時にさまざま実施され、特別な1日となった。この制服ファッションショーは、国際線出発ロビーに設けられた特設ステージで行われたそうで、日本航空では昭和26年から現在に至るまでの9種類の制服姿を乗務員がモデルとなって披露。懐かしい制服もあり、旅客らの目を引いていた。ミニスカートの制服も。クリスマスソングでポーズ!披露された制服のなかには、70年代に流行したミニスカートの制服もあったとか。ショーでは終始クリスマスソングをBGMに使用し、それぞれポーズを決めていたそうで、特別な日らしく、いつもの空港も美しく、華やいだ空気でつつまれたもようだ。ほかにも出発ロビーには航空機の古い部品を作ってつくられたクリスマスツリーが飾られたり、搭乗カウンター前で子どもたちにプレゼントが贈られたりと、クリスマスムード一色。利用客らも思わず笑顔になれるような趣向となっていたようだ。元の記事を読む
2011年12月26日従業員持ち株制度を導入第一生命保険は保険会社で初となる、信託の仕組みを使った新しい従業員持ち株制度を導入する。米国で普及している従業員持ち株制度(ESOP)の日本版となる。「従業員持ち株会型」と「退職給付型」を同時導入同制度では、企業が設定した信託が株式を一括して取得する。第一生命は、「従業員持ち株会型」と「退職給付型」の両制度を同時に導入するとのこと。「従業員持ち株会型」では、取得した株式を毎月の従業員の拠出金に応じて信託から持株会に毎月移す。一方、「退職給付型」では企業側が従業員の退職時などに決まった株数を引き出して渡す。持ち株制度導入による利点に期待第一生命は4月に株式を上場したが、初値の16万から現在は10万円を割り込むなど低迷を続けている。持ち株制度の導入に伴う株式購入は数百億円規模で、同社は株価底上げや安定株主の確保につながる利点に期待しているようだ。
2010年11月01日従業員トラブルの補償保険AIU保険が、従業員に関する様々なトラブルを補償する保険「HR Pro(エイチアールプロ)」の補償対象を拡大し、中小企業向けプランも発売することを決定した。10月1日より補償開始となる。商品の内容を詳しく見てみると、HR Proはセクハラやパワハラ、不当解雇、従業員の不正などが起きて会社が損害賠償を請求された場合に、弁護士費用や損害賠償金が補償されるというもの。特に昨今では労働問題意識の高まりや法整備をうけ、企業にはこうしたリスクが高まっているとする見方があるため、その受け皿となる保険商品だ。対象者の拡大そして、今までは会社や役員のみが補償対象であったが、店長や工場長など役員ではない管理職責任者にも訴訟リスクが高まっていることを鑑み、今回新たに従業員も補償の対象とすることになったという。またあまり規模の大きくない会社向けに、支払い限度1,000万円のプランも販売されることとなった。さらに保険料の支払いに関しても、契約時に全額一時払いであったものが、分割も選択できるようになった。CSR概念の普及などと共に、企業の責任に対する社会の視線も一層厳しくなるなか、こうした商品も検討の対象となりつつあるようだ。
2010年10月01日