先日、亡くなった若松孝二監督のお通夜および告別式が10月23日(火)、24日(水)に都内で営まれ、井浦新、寺島しのぶ、佐野史郎、高岡蒼佑、高良健吾ら若松作品に出演した俳優陣など多くの映画関係者が参列し故人を偲んだ。若松監督は12日(金)に自動車にはねられ、搬送された病院で17日(水)に息を引き取った。祭壇には今年公開された『海燕ホテル・ブルー』の伊豆ロケの際に撮られたトレードマークのサングラスをかけて笑顔を浮かべた監督の遺影が置かれ、生前に好んだ黄色い花で埋め尽くされた。佐野さんは8月に行われた湯布院映画祭で監督と顔を合わせ、「同じ部屋に泊まって、遅くまで語り合った」という。「教わったことを少しずつでも伝えていけたらと思います」と語った。通夜に足を運んだ高岡さんは、遺作となった『千年の愉楽』の主要キャストに抜擢されたが「監督は『ひとりで戦っている面白い奴がいる』って感じで面白がって使ってくれたんだと思う。会うといつも褒めてくれて『お前は大丈夫だ』って言ってくれた」と感謝の思いを口にし「(別れが)こんな形で悔しい」と唇を噛んだ。同じく通夜の参列者のひとり、奥田瑛二は若松作品への出演はなかったが、長年の飲み仲間だったそうで「なぜ?という思いしかない…」と沈痛な表情。「近年の尋常じゃない多作は生き急いでいたのかな?でも120%生きた方だったと思う」と語り、「1作も一緒に仕事をすることはなく終わってしまって残念です」と無念をにじませていた。参列者の中には『餌食』(’79)、『水のないプール』(’82)で若松作品の主演を張った内田裕也の姿も。「突然の死で、若松のオヤジらしいっちゃらしい。こんな早く死んでんじゃねーよ、バカヤロー!」と寂しそうな表情を見せた。24日の告別式では『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』以来、多くの若松作品に出演してきた井浦さんが弔辞を読んだ。井浦さんは先日行われた釜山国際映画祭で監督と共に渡韓。帰国後の事故に遭った12日夜も新宿で一緒に飲んだそう。井浦さんに見送られた後に、監督は道路を横断しようとして車にはねられた。井浦さんは「あれが最後の別れになるなんて思いませんでした」と涙まじりに語り、「たくさんの言葉をいただき、僕の人生を変えてしまうくらいの経験をさせていただきました」とわずか6年ながらも濃密な若松監督と過ごした時間をふり返った。式後に改めて報道陣の取材に応じた井浦さんは「『僕らは前進します』ということを伝えた」と監督に語りかけた思いを明かした。寺島さんは「付き合いは短かったけど、かけがえのない時間でした。しょっちゅう現場で怒鳴るし、グサッと来るようなことを言うけど、正直な方だからその分、人と向き合ってくれた」と語る。ベルリン国際映画祭で主演女優賞に輝いた『キャタピラー』は「子供が欲しくて1年ほど休もうかと思ってたときにいただいた台本だった」と明かし、「監督も事情を知っていたから、子供が生まれたときは一番に電話をくれた。『千年の愉楽』も産婆さんの役だったので『子供連れて舞台挨拶してよ』と仰られて、それが最後になってしまった」と声を詰まらせた。通夜には800人、告別式には600人もの人々が足を運び、最後は生前の監督の望み通り、参列者の大きな拍手に見送られて棺を乗せた車は葬儀所を発った。■関連作品:千年の愉楽 2012年秋、全国にて公開海燕ホテル・ブルー 2012年3月24日よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開© 若松プロダクションCATERPILLARキャタピラー 2010年8月14日より公開© 若松プロダクション実録・連合赤軍−あさま山荘への道程 2007年12月22日より名古屋シネマスコーレにて先行上映、2008年3月15日よりテアトル新宿、テアトル梅田にて公開© 若松プロダクション
2012年10月24日「ぴあ」調査による7月21日公開の映画・満足度ランキングは、アウンサン・スーチー女史の半生を描いた『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』がトップに輝いた。2位に『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』が、3位にフランスで大ヒットを記録したヒューマンドラマ『屋根裏部屋のマリアたち』が入った。その他の写真1位の『The Lady…』は、ビルマの民主化運動指導者スーチー氏の激動の半生を描いた作品。監督はリュック・ベッソン。劇場には、幅広い世代の観客が足を運び「政治的な背景を含め、親として妻として、ひとりの女性としての力強さを感じた」「伝記映画は多いが、現代に生きている人物を映画にすることでリアルさが生まれ、凄みを感じた」「ビルマの現状がよくわかり、政治的な側面だけでなく家族との関係も描いてるところが印象的だった」「歴史から目をそらさずに、自分たちの立場を理解するという意味で、多くの人に観てほしい」などのコメントが寄せられた。2位の『おおかみこどもの雨と雪』は、“おおかみおとこ”と結婚した女性とその子どもの成長を描いた物語。出口調査では「前作よりも家族という面を描いている。母親の育て方が印象的。自分の親に観てほしい」「映像が美しい。自然や風景の描写に魅せられた」「じんわりと心に染みる作品」「序盤から涙が出た。台詞や映像に優しさがあり、何でもない日常を観ているのが心地よかった」など、10代から30代を中心に好評だった。(本ランキングは、2012年7月21日(土)に公開された新作映画10本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年07月23日ノーベル平和賞を受賞したビルマ民主化運動のリーダー、アウンサン・スーチー女史の半生を描いた『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』が21日(土)から公開される。映画化を熱望したヨーと、その熱意に応えたベッソン監督が公開前に本作への想いを語った。その他の写真日本でも多くの報道映像が流れ、ニュースにその名があがることが多いスーチー女史だが、彼女の“素顔”は多くの人に知られているとは言いがたい。本作は、軍事政権が続くビルマ(現ミャンマー)で、政権に危険視されながらも自らの信念を貫いて民主化への道を邁進したスーチー女史の戦いと、愛する夫と子をもつ“ひとりの女性”としての彼女の姿を描いている。ヨーは彼女の記録映像や資料を何度もチェックし、外見だけでなく、スーチーの話し方やちょっとしたアクセントのクセまでも再現しようとしたという。「外見についてはリュックのチームが集めてくれた資料の力を借りました。耳の形も特殊メイクで変えましたし、衣装も地元で買い付けた素材を使っています。でも、私は彼女の“内面”を知り、彼女のかもし出す“オーラ”を体現しなければならないと思いました」。さらに本作ではスーチーだけでなく、彼女の夫の英国人マイケルの物語を描くことで、単なる伝記映画ではない“普遍的なラブ・ストーリー”に仕上がった。ヨーは「この映画はピュアなラブ・ストーリーでもあります」と言い、ベッソン監督は「かつてビルマは英国の植民地だったがスーチーの父であるアウンサン将軍が解放した。しかし、将軍の娘であるスーチーと英国人のマイケルは恋に落ちたんだ。これはビルマ版“ロミオとジュリエット”でもあるんだ」という。しかし、本作は架空の物語ではない。スーチー女史は現在も民主化のための活動を続けており、ここで描かれているのは“現在も続いている物語”だ。「だからこそ、スーチーさんを裏切るようなことだけは絶対にしたくなかった」と力強く語るベッソン監督は「情報が完全ではない中での映画作りだったので、“彼女を助けるため”に描いたことが、結果として裏目に出てしまうかもしれないという恐怖をずっと感じていた」と振り返り、ヨーも「記憶というのはどこまで行っても曖昧なものです。だから、私たちは集めることができたパズルのピースを最善を尽くしてあわせていきました」と語る。ヨーが「私たちの根本にあったものは“愛”と“尊敬”です」と説明する通り、本作は史実を題材にしながら、そこに息づく人々の“精神”を描き出した普遍的な人間ドラマに仕上がっている。『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』7月21日(土)公開
2012年07月19日軍事政権が猛威を振るう中、国民の先頭に立ち、非暴力による民主化と人権回復のために闘い続け、1991年にノーベル平和賞を受賞したビルマのアウンサンスーチー女史。断続的に続いた20年以上もの自宅軟禁の間、不屈の意志を貫いた彼女の半生を、『SAYURI』、『ハムナプトラ3呪われた皇帝の秘密』などハリウッドでも活躍する国際女優、ミシェル・ヨーが演じた『The Ladyアウンサンスーチー引き裂かれた愛』。2007年に脚本と出会ったミシェルは友人であるリュック・ベッソンを監督に迎え、映画化が実現した。ジャパン・プレミアのために来日した2人に話を聞いた。スーチー本人が軟禁状態での映画撮影前日開催のプレミアをふり返るうち、「政治家は自分たちを選んでくれた国民のことを知ろうともしない。自分たちに一番近い彼らの声を聞こうとしない」と問わず語りで話し始めるベッソン監督に、ミシェルも「残念ながら、世界中で起きてることじゃないかしら」と応える。「18世紀のフランス革命がそうだった。マリー・アントワネットが『パンがないなら、お菓子を食べればいいじゃない?』と言ったのと同じだよ」とベッソンが言うと、ミシェルは目を見開き、呆れたように笑い出す。「うそ!本当にそんなこと言ったの?人々が苦しみ、死んでいくのに」。本作はまさに、政治家と国民の乖離を描くもの。同時に、政治と愛を結びつける感動作でもある。こうした題材をドキュメンタリーではなく、劇映画として作るのは、ある意味より困難な手法でもある。「最大の難問は、主人公であるアウンサンスーチーさん本人と直接会うことが叶わないまま撮影しなければならかったことだ。彼女は自宅軟禁状態だったし、彼女の友人の多くも投獄されているか、もう亡くなっているかだった。情報収集のために4年間、自分たちでリサーチした。出来るだけ情報を集めて、可能な限り真実に近づけようとした。少しでも真実があれば、物語を作り上げることができる。それが無ければ、何も作ることはできない。たとえば、軟禁されている家。色々な情報を基に完璧に再現したし、ノーベル平和賞授賞式の様子も記録映像を基に再現した」(ベッソン)。軟禁状態で出席できなかった「彼女が授賞式をラジオで聴いていたのも事実なのよ」(ミシェル)ビルマ語の敬称“ドー”をつけ、尊敬を込めて“ドー・スー”と女史を呼ぶミシェルは、女史の知人たちに可能な限り面会し、話を聞いたという。「研究者であるイギリス人の夫と2人の息子とオックスフォードで幸せに暮らしていた主婦としての彼女を知る人たちとかね。でも、彼らが言うことは大体、関連書籍に書かれているのと同じことだった。だって20数年前のことですもの。30年、40年近くも彼女と会っていない人たちもいる。彼らに向かって『知り合いなら、もっといろんなこと知ってるでしょう』と詰め寄るのはフェアじゃないと思ったの。彼女の次男のキムにしても、そう。シュエダゴン・パゴタ広場でドー・スーが初めて演説を行うシーンがあるけど、キムは実際に家族と一緒にあの場にいたの。劇中で夫のマイケル(デヴィッド・シューリス)のそばには野球帽を被った少年のキムがいる。でも、本人は『あんまり覚えてない』と言うのよ。全てがあまりにも過去の話で、全てを立証できる唯一の人であるドー・スーは軟禁されている。私たちが彼女の映画を作っている事実さえ、なかなか公表できなかった。彼女を危険にさらすことになるからよ。映画のために私たちと接触した疑いをもたれたら、5年間軟禁が延長されるかもしれない」。「以前、アメリカ人が川を泳いで渡って彼女の家まで行ったことがあるんだ。ジャーナリストでもない、彼女と面識もない男だったのに、それがアメリカ人だというだけで、彼女の自宅軟禁は3年間延長されたんだ」とベッソンは付け加える。「彼女は、ビルマという国の母親になったのよ」それにしても、なぜアウンサンスーチー女史はここまで強くいられるのだろう。元々彼女は病に倒れた母の看病ために帰国し、そこから全てが始まった。確かに彼女の父は“ビルマ建国の父”として国民から敬愛されながら、非業の死を遂げたアウンサン将軍だ。だとしても、最愛の家族と引き離され、死の床にある夫との再会も果たせない、そんな苛酷な状況に耐えられるものだろうか?「彼女の強さはどこから生まれるのか、私も知りたかった。彼女は『これは犠牲じゃなく、自分で選んだこと』と語っているの。これに大きな意味がある。父親の死後、母親から大きな義務というものを学んでいたんです。大学で政治学、経済学を学んでいるけど、政治家には必須のもの。論文のテーマも母国で起こりうる改革についてだった。彼女はいつの日か帰国して、母国の変化に何らかの形で手を貸したいと思っていたんじゃないかしら。まさか大統領になるかもしれない日が来るとまでは思っていなかったかもしれないけど。でも、夫と子供たちの愛があったからこそ、一歩踏み出せたと思う。彼女は子供たちを見捨てたんじゃない。現在の彼女と子供たちの関係を見れば、それは明白よ。ミャンマー政府は家族が離ればなれの状況を利用して、彼女の心を折ろうとしたけど、彼女は決して屈しなかった。2人の子供の母親だった彼女は、ビルマという国の母親になったのよ」。ミシェルは現在内戦状態のシリアで虐殺が起きていることを挙げ、「自分たちの国民を殺すなんて、家族を殺しているのと同じことよ!歴史上、何度も繰り返されてきたのに人間は何も学ばない。未だに同じことをしている」と嘆く。「でも、正しいことをする勇気は誰の心にもあるはず。誰だって、そういう状況に置かれたら、家族のためにも立ち上がるんじゃないかしら」。「ラングーンから知識人たちが彼女を訪ねて『あなたが必要です』と説得したからこそ、彼女は一歩踏み出したんだ」と言うベッソンは「政府と国民と距離が広がりすぎると、ちょっとした火花がきっかけで大きな炎が燃え上がる」と語る。「非暴力で民主化を目指したネルソン・マンデラ、ガンジー、そしてアウンサンスーチーも、その火花なんだ」。(text:Yuki Tominaga)■関連作品:The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 2012年7月21日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011 EuropaCorp - Left Bank Pictures - France 2 Cinema
2012年07月18日リュック・ベッソン監督がビルマ(現ミャンマー)民主化のリーダー、アウン・サン・スー・チー女史の半生を映画化した『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』のジャパン・プレミアが6月26日(火)に開催され、ベッソン監督と主演のミシェル・ヨーが舞台挨拶に登壇した。軍幹部に危険視されていることから国民が気軽にその名を呼ぶことができず“The Lady”と呼ばれたスーチー女史。15年にわたって自宅軟禁を強いられた彼女の戦い、家族との絆や悲しい別れ、深い愛を描き出す。ミシェルの来日は『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』以来4年ぶり。「これは“愛”だけで作った映画です」と語り、「苦労はありましたが、ビルマのみなさんが味わった苦境とは比べものになりません。この映画に参加し、周囲の人々に優しく接すること、良い人間であろうとすることを学ぶことができました。10キロ体重を落とすことは大変でしたが、監督との仕事は喜びであり、最高の自分を引き出していただけたと思います」と笑顔を浮かべた。ミシェルが話し終えると、監督は覚えたての日本語で「ソウデスカー?」と応答し、会場は笑いに包まれた。本作のメガホンを握ることになった経緯について、監督が「ミシェルが脚本を持って僕に“プロポーズ”してくれたんだ」と語ると、すかさずミシェルは監督に求婚のポーズをとって会場を沸かす。当初、ベッソン監督はプロデューサーを務める予定だったそうだが「脚本にあまりに心を揺さぶられて『監督がしたい』と言ったら、心優しいミシェルが『いいですよ』と言ってくれたんだ」とユーモアたっぷりに明かした。バンコクで撮影が行われている最中にスーチー女史の解放が報じられ、ミシェルはスーチー女史の元を訪れた。「飛行機で45分ほどの距離だったので、みんなで行こうということになったんですが、ビザが下りたのが私だけだったんです。自分が4か月間にわたって(映画の中で)生きてきた人物に会えるということで興奮し、ナーバスになっていました。彼女の家は監督が作ったセットと全く同じで、彼女を支えるNLD(国民民主連盟)の人々も映画と同じで、勝手知ったる家に入るようでシュールな気持ちでした。『ハロー』と声を掛けられ、ふり向くと彼女がいたんです。どうしていいか分からない私を彼女は手を広げてギュッと抱きしめてくださいました」と謁見の様子を明かした。その数週間後に監督もスーチー女史と顔を合わせたが、「家も映画と同じで“The Lady”も映画と同じ(笑)。現実と夢を同時に体験してるような気分でした。人生のことや子供たちのこと、あの国の未来について話しましたが、肝心の映画のことで聞きたかったことを聞き忘れてしまいました」と本物のスーチー女史を目の前にした興奮をふり返った。会場には多くの報道陣が訪れており、そのうちのひとりで、ビルマから政治亡命し現在は都内の大学院で学んでいるというジャーナリストが、スーチー女史とビルマの人々へのメッセージを求めると、監督は「私のメッセージは2時間あり、いまから始まります」とこの映画自体がビルマの人々へのメッセージであることを強調。ミシェルも「私たちが伝えたい思いは全て、この映画に込められています」とうなずき、「みなさんのことを決して忘れず、常に関心を持ち続けていきたいと思います。多大な努力が必要ですが、外側からみなさんにスポットライトを当て続けていきたい」と心の内の思いを語り、会場は温かい拍手に包まれた。『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』は7月21日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開。■関連作品:The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 2012年7月21日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011 EuropaCorp - Left Bank Pictures - France 2 Cinema
2012年06月26日これはやはり、映画祭関連イベントならではの顔ぶれ。会場に足を踏み入れて、そう思ったのがフランス映画祭期間中の3月20日(土)に、原宿の「Audi Forum Tokyo」で開催されたパーティです。足を踏み入れると、パッと目をひいたのは立ち姿の素敵な男性。暗がりの中で目を凝らすと、その正体は大森南朋氏。なるほど、シルエットだけでもカッコいいはずですね。先日、ベルリン国際映画祭で主演女優賞に輝いた寺島しのぶ女史の姿も見えるし、『007/慰めの報酬』、『潜水服は蝶の夢を見る』で強い印象を残したマチュー・アマルリック、新作『エンター・ザ・ボイド』がまたしても映画界を震撼させたギャスパー・ノエ監督、『オーケストラ!』がフランス国内外で高い評価を得ているラデュ・ミヘイレアニュ監督らの姿も。インタビューで覗かせる仕事モードの表情とはちょっと違った、カジュアルなムードでひとときを楽しんでいました。パーティの冒頭には、フランス映画祭団長を務めたジェーン・バーキンの姿も。いつも肩の力が抜けている彼女は、ナチュラルなメイクと、なかなか出来そうで出来ない無造作ヘア、華やかなシルバースパンコールのトップス×ブラックのパンツで登場。一緒に乾杯の音頭をとった寺島女史の白いジャケットも、ダークな服が目立つパーティ会場でひときわ輝いていました。それにしても、400人が集ったというこのパーティ、決して内輪の会ではないのだけれど、映画人のみなさんの表情がなぜか柔らかい。その理由を考えてみると、どうやら客層に関係がありそう。この日集まったのは、映画関係者よりもファッション関係の方がちょっと多めの様子。映画周辺のプレス関係者があまりいなかったせいで、日本の映画関係者も仕事を忘れ、普段着の表情でいられたのかもしれません。日仏の映画人がシャンパン片手に交流したことで、また素晴らしい作品が生まれることになれば映画ファンとしても嬉しいですね。今年のフランス映画祭の主要テーマである「パッション」と、アウディのコーポレートカラーである「赤」をかけて、「Red Passion」をテーマに据えたこの催し、その名も「Audi Red Passion Party」。会場となったフォーラムの2Fは、赤が基調でとってもパッショネイト。会場に展示された真っ赤なスーパーカー「R8」も、車好きにはたまらない演出だったことでしょう。映画の話はもちろん、車の話にも花が咲き、いつまでも賑わっていた夜でした。(text:June Makiguchi)■関連作品:オーケストラ! 2010年4月17日よりBunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開© 2009 Focus Features LLC. All Rights Reservedエンター・ザ・ボイド 2010年5月15日よりシネマスクエアとうきゅうほかにて公開■関連記事:クラシックが奇跡を起こす!『オーケストラ!』五線譜ノートを5名様プレゼントジェーン・バーキン仏語は「セルジュの腕の中で学んだ」フランス映画祭開幕さあ、人生を奏でよう!『オーケストラ!』試写会に10組20名様ご招待ギャスパー・ノエのTOKYOを舞台にした衝撃作『エンター・ザ・ボイド』予告編初公開
2010年04月07日