廃墟巡りが好き!無許可で見学しているけど…好きな旅行先のひとつが、プロモーションビデオの撮影場所にもなった廃墟です。毎回その地を訪れるたびに立寄っていますが、廃墟に入る行為は違法ではないですよね?許可が必要なのですか?そういえば、少し前に、巨大な製鉄所や役目を終えた水力発電所などといった「廃虚」が新たな観光地として、若者を中心に「廃墟ブーム」になっているというニュースを見たことがあります。廃墟には、「栄枯盛衰」を感じたりと、何か不思議な魅力があるのでしょうね。さて、法律では、「人の住居や人の看取する邸宅、建造物等」に正当な理由なく侵入すること、つまり、他人の建物に勝手に入る行為ついて、「住居等侵入罪」という罪が成立するとしています。そのため、たとえ廃墟であっても、事実上管理されている建物であれば、勝手に入ると住居等侵入罪となります。もっとも、誰も管理していない建物であれば、住居等侵入罪は成立しません。また、あまりなじみのない法律ではありますが、「軽犯罪法」という法律があります。この法律では、「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者」は、拘留又は科料に処するとしています。そのため、廃墟などであっても、正当な理由なく「ひそんだ」場合には、軽犯罪法違反となり犯罪が成立します。また、軽犯罪法では、「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」も拘留又は科料に処するとしています。ですので、入ることを禁じた場所に正当な理由がなくて入った場合も罰せられます。実際の裁判でも、ある廃墟に入った行為について、住居等侵入罪と軽犯罪法違反が成立するかが争われたケースがありました。その裁判では、その廃墟は、雨露をしのぐ効用さえ有しておらず建造物には当たらないとして、住居等侵入罪は成立しないとしましたが、その廃墟が、無断立ち入りを禁止していることから、「入ることを禁じた場所に正当な理由なく入った」として軽犯罪法違反となると判断されました。このように、無断で廃墟に入った場合、何かしらの法律違反になる可能性が高いといえます。確かに廃墟には何ともいえない魅力があり、その魅力に惹かれ入りたい気持ちや夏の場合には肝試しで入りたいという気持ちもあると思います。しかし、廃墟に入った後、さらに警察に入るということになってしまう可能性があるため、無用なトラブルを避けるためにも許可はとった方が良いでしょうね。アディーレ法律事務所佐藤大和弁護士(東京弁護士会所属)債務整理、交通事故被害、離婚問題、刑事事件など幅広い案件を扱うアディーレ法律事務所に所属。子どもの将来を守るための法教育に注力する一方で、弁護士を身近にするべくテレビ・雑誌などに多数出演。静岡英和学院大学短期大学部の非常勤講師として民法を学生にわかりやすく教える(2012年)。●アディーレ法律事務所HP
2014年02月13日