「色彩の魔術師」と呼ばれた20世紀の巨匠画家アンリ・マティス。彼は20世紀初頭、原色を多用した強烈な色彩による絵画様式“フォーヴィスム(野獣派)”を生み出し、生涯にわたって色とフォルムによる造形美を模索し続けた。1941年、腹部のガンのため車椅子生活となり、絵が描けなくなった彼が精力的に取り組んだのが「切り紙絵」だった。巨匠マティスの愛した手法「切り紙絵」にフォーカス。本展「マティス 自由なフォルム」はマティスが晩年に取り組んだ切り紙絵に焦点を合わせた初の展覧会。切り紙絵作品を表紙にしたアートブック『ジャズ』や、《ブルー・ヌードIV》や《クレオールの踊り子》といった切り紙絵の代表作やテキスタイル、晩年に取り組んだヴァンスのロザリオ礼拝堂にまつわる作品など、約150点が一堂に集結。なかでも見逃せないのは、本邦初公開となる切り紙絵の大作《花と果実》。縦4m・横8mに及ぶ大作だ。これは、もともと別荘の中庭に設置する巨大な装飾として考案されたものだったが、現在ではニース市マティス美術館のメインホールを飾る作品だ。それが本展のために修復を経て初来日したが、巨大かつ華やかな独特の存在感で、会場では早くも本展の象徴として親しまれている。同様に注目してほしい作品が、マティスの集大成・南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂。この礼拝堂は壁面装飾がきわめてシンプルで、生命の木をモチーフにしたステンドグラスと、聖ドミニクスなどが描かれた3つの陶板壁画で構成されている。彼はこの礼拝堂の内装から典礼用の調度品、祭服に至るまで、ほとんどのデザインを自分で手掛けた。会場では、ステンドグラスや祭服など、ロザリオ礼拝堂にまつわる作品や資料を展示するほか、ステンドグラスの光の移り変わりを体感できるような、礼拝堂の実物大の体感型のインスタレーションも設置されている。自然が大好きで、様々な花や観葉植物に囲まれた、まるで植物園のようなアトリエで制作を行っていたマティス。鳥も好きで、多い時には300羽も飼っていたこともあったとか。そんな環境が彼の創作の原点。自然のモチーフから生み出された作品は植物や動物を極限まで抽象化したフォルムと、そこからインスピレーションを得た極彩色が特徴。純度を極めた色づかいは、現代のグラフィックアートに繋がる。だからこそ時代を経ても褪せない美しさがある。「切り紙絵では色彩の中でデッサンすることができる」という言葉を残しているマティス。生涯、色彩を愉しみフォルムと戯れた、豊かな人生をも垣間見られる内容だ。アンリ・マティス《花と果実》1952‐1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandezアンリ・マティス《ブルー・ヌード IV》1952年切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託) ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez画家として歩み始めた初期の作品。第1・2章では法律事務所で働いていたマティスが画家に転身した初期の作品も紹介。その後、様々な画家たちとの出会いから彼は色彩に傾倒してゆく。アンリ・マティス《マティス夫人の肖像》1905年 油彩/カンヴァス 46×38cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandezアンリ・マティス《ロカイユ様式の肘掛け椅子》1946年 油彩/カンヴァス 92×73cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez大型作品への取り組み。1920年以降は絵画に限らずテキスタイルや衣装、壁面装飾など大型作品も手掛けたマティス。第3章では記念碑ともいえる大型作品誕生の原点を探る。アンリ・マティス《パペーテ - タヒチ》1935年油彩/カンヴァス 225×172cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandezロザリオ礼拝堂に向けられた熱意。晩年のマティスが4年もの歳月をかけ完成させた礼拝堂は、建築家やガラス、陶器職人などたくさんの人が関わって生まれた最高傑作。アンリ・マティス《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》1950年 ステンドグラス 62.3×91.5×2cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandezヴァンスのロザリオ礼拝堂(内観) ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandezマティス 自由なフォルム国立新美術館 企画展示室 2E東京都港区六本木7‐22‐2開催中~5月27日(月)10時~18時(金・土曜~20時、入場は閉館の30分前まで)火曜休(4/30は開館)一般2200円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2024年2月28日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2024年02月28日春の雛祭りシーズンにぴったりの展覧会「岩﨑家のお雛さま」が東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で開かれています。本展では、三菱を創業した岩﨑家の雛人形をはじめ、御所人形や豪華な打掛、工芸品などが勢ぞろい。静嘉堂@丸の内オリジナルのかわいい“お雛様グッズ”もあわせてご紹介します!春の雰囲気を感じられる!静嘉堂@丸の内ホワイエ※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 326本展では、三菱第四代社長の岩﨑小彌太(こやた、1879-1945)が妻の孝子(1888-1975)のために注文した「岩﨑家雛人形」を中心に、岩﨑家ゆかりの名品を展示。また、春の雰囲気を感じられる工芸品の優品も紹介され、計45点の作品を楽しめます。プレス内覧会に登壇された静嘉堂文庫美術館館長の安村敏信さんは、お雛様の由来などについて次のように語っています。安村さんNHK大河ドラマでも注目されている『源氏物語』の「若紫」にも「雛(ひいな)遊び」が出てきます。お雛様は平安貴族の子どもたちの遊びでした。江戸時代には町人にも伝わり、今のようなお雛様がつくられます。おもしろいのは、お雛様の姿です。衣裳は平安期の十二単(じゅうにひとえ)ですが、道具類は武家のもので、「公武合体」しているのです。幕末よりも前に、文化の面ではすでに公家と武家が一緒になっているのが興味深いです。小さくてかわいい!五世大木平藏「貝桶・合貝」昭和時代初期20世紀丸平文庫蔵では、見どころをいくつかご紹介。第1章「雛の世界―小さきものは、みなうつくし」では、岩﨑家が京都の丸平大木人形店に注文した雛道具を展示。一つひとつ精巧につくられた美しくかわいい道具一式を見ることができます。今の雛道具は、江戸時代の上級武士の婚礼調度を参考につくられているそうです。室町時代に婚礼調度が整い、江戸時代に広がって雛道具セットがつくられるようになりました。この章で特にかわいい作品は、「貝桶(かいおけ)・合貝(あわせがい)」。ハマグリの貝殻を用いた「貝合わせ」という遊びに使われるもので、爪先ほどの小さなハマグリの稚貝の内側に華やかな吉祥図が描かれています。ハマグリは「貞節の象徴」ということで、貝桶が婚礼調度に使われるようになったそうです。ちなみに、岩﨑家が雛人形を注文した丸平大木人形店は、約250年も続く京都の人形司で、当主は「大木平藏」を襲名。優美な人形で知られ、宮家や華族などに愛されてきた老舗です。お顔がかわいい!五世大木平藏「岩﨑家雛人形内裏雛」昭和時代初期20世紀静嘉堂文庫美術館蔵第2章「岩﨑家のお雛さま」では、本展の目玉である岩﨑家のゴージャスな内裏雛が登場!華やかで愛らしいお雛様です。お顔が丸く、かわいらしい子どものように見えますが、これは「稚児(ちご)雛」と呼ばれるもの。装束の文様も美しく、岩﨑家の替紋「花菱紋」もあしらわれています。五世大木平藏「岩﨑家雛人形三人官女」昭和時代初期20世紀静嘉堂文庫美術館蔵三人官女もステキです。彼女たちは、盃にお酒を注ぐ道具の長柄銚子(ながえちょうし)、婚礼などのときの飾り物である嶋台(しまだい)、長柄銚子のお酒が減ったときに継ぎ足す加銚子(くわえちょうし)を持っています。ウサギがかわいい!五世大木平藏「木彫彩色御所人形」昭和14年(1939)静嘉堂文庫美術館蔵第3章「御所人形と春を愛でる」では、かわいい御所人形を展示。御所人形とは、京都で生まれた美術的な人形のこと。今回展示されているのは、小彌太の還暦を祝し、孝子夫人が丸平大木人形店に特注した人形セットです。小彌太が卯年生まれだったことから、ウサギが重要なモチーフとして使われています。この展示室では、ほかにも浮世絵の草創期を代表する絵師・菱川師宣(ひしかわもろのぶ、?-1694)が江戸時代の風俗を描いた絵巻や、野々村仁清(生没年不詳)の代表作のひとつである京焼の茶壺など、多彩な作品も楽しめます。また、最後の第4章「初公開岩﨑家ゆかりの打掛」では、明治時代末期につくられた豪華な打掛が見られるほか、大人気の国宝「曜変天目」(稲葉天目)も展示。心ゆくまで岩﨑家ゆかりの美の世界を堪能できます。お雛様グッズもかわいい!静嘉堂@丸の内ミュージアムショップでは、岩﨑家のお雛様をモチーフにした多彩なグッズが勢ぞろい。特に心を奪われたのは、三人官女さまのマグネット(¥1,200・税込)。優美さが際立っています!御所人形の手ぬぐい(¥1,500・税込)も、癒されるかわいさ。ウサギモチーフの御所人形セットは、マスクケースになっています。ほかにも、クリアファイルやミニポーチなど、ここでしか買えない静嘉堂オリジナルのレアなお雛様グッズがそろっています。雛祭り気分をたっぷり味わえる本展は、3月31日(日)まで開催。Information会期:2024年2月17日(土)~3月31日(日)開館時間:10:00 – 17:00 (毎週土曜日は午後6時まで、第4水曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30前まで休館日:月曜日(ただし、3月4日(月)はトークフリーデーとして開館)会場:静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)観覧料:一般 ¥1,500、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
2024年02月25日会場に足を踏み入れれば、一枚の布が放つ強いエネルギーやユニークな表情に驚くはず。第一線を走り続けるテキスタイルデザイナー・須藤玲子さんと、彼女がディレクターを務めるテキスタイルデザイン・スタジオ「NUNO」の約40年にわたる活動を振り返る展覧会が開催される。染織の国から生まれるテキスタイルの物語。須藤さんのディレクションの真骨頂といえば伝統的な染織技術と最先端テクノロジーの組み合わせだ。「NUNOの制作を支える工場の多くは織りや染色、その他さまざまな加工に特化しています。一つのテキスタイルを世に送り出すため、複数の産地や工場、職人が協働し、技術を発揮。当たり前のように思われる生産のネットワークですが、実は日本で独特に発展した文化です」と水戸芸術館現代美術センター・学芸員の後藤桜子さんは話す。「須藤さん自身、職人のアイデアに背中を押されたり、『私を奮い立たせるアイデアを提供するのがデザイナーの役割』と技術者から鼓舞されることもあったそうです」展示の核となるのはこうした舞台裏の臨場感が伝わる7つのインスタレーション。特殊な針山を用いるニードルパンチ技法の工程を再現していたり、渦巻き状のリボンが連なるテキスタイルの工程を追うインスタレーションでは、リボンが水に浸される瞬間を捉えた息を呑むような映像を見ることができる。今にも動き出しそうなダイナミックな演出の展示《こいのぼり》も見逃せない。日本が培ってきた染めと織りの技術が結集した布から生まれるこいのぼりの姿は圧巻。水戸藩に由来する染色技法「水戸黒」を用いたこいのぼりも登場する。そのほか三角形が螺旋のようにねじれながら連続する同館のタワーをモチーフにした新作も。「考え抜いて作られた一枚の布地はそれ自体が生き生きとして、使う人にも活気をもたらしてくれるもの。人の心を揺さぶるテキスタイルの多彩な可能性に、観る人一人ひとりが楽しみながら近づく機会になればと思います」須藤玲子&アドリアン・ガルデール《こいのぼり》2008/2019(部分)展示風景:「Sudo Reiko: Making NUNO Textiles」CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong、2019-2020©CHAT(Centrefor Heritage, Arts and Textile)Hong Kong《糸乱れ筋》に用いられるニードルパンチ機(部分)展示風景:「Sudo Reiko: Making NUNO Textiles」CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong、2019-2020©CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong須藤玲子《糸乱れ筋》2006年撮影:林雅之須藤玲子《カラープレート》1997年撮影:林雅之展示風景:「Sudo Reiko: Making NUNO Textiles」CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong、2019-2020©CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)Hong Kong須藤玲子:NUNOの布づくり水戸芸術館 現代美術ギャラリー、広場茨城県水戸市五軒町1‐6‐82月17日(土)~5月6日(月)10時~18時(入場は17時30分まで)月曜休(祝日の場合は翌火曜休)一般900円ほかTEL:029・227・8111※『anan』2024年2月21日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2024年02月21日「ARTを身近に感じてもらいたい」「作家さんを応援したい」という想いからスタートしたAzur rose Galerie(アズールロゼギャラリー)は、1年間限定の東京都チャレンジショップ「創の実」自由が丘を経て、2024年3月1日(金)、新天地「根津」に「ココロ踊るアートと癒しの空間~アートトリートメントギャラリー」をテーマにグランドオープンいたします。ココロ踊るアートと癒しの空間~アートトリートメントギャラリー当ギャラリーでは、美術館のように常時取り扱う作家の常設展示と月に1~2回期間限定で行う企画展示を主に実施していきます。日本人が持つ独自の感性や美意識を持つ注目の作家作品を展示・販売いたします。私達の日常にたくさんの色が溢れ、自然に存在するようにARTも身近に、生活の一部にしてもらえるような機会になれば幸いです。そして、根津では「アートトリートメント講座」という、ARTを通じて、視覚だけでなく、私たちの五感を刺激する講座を開催します。日常的なストレスから一時解放され、自分自身を癒す時間にしていただければと願っています。オープニング展示では、「MUSE」というテーマを作家に投げかけ、それぞれの中にある、あるいはもたらされた「MUSE」を制作いただきました。岩田 圭音、高橋 まき子、額賀 苑子、福田 美菜、ますだ 美砂5名の作家から生み出された「MUSE」をお楽しみください。■Opening Exhibition「MUSE」作家 : 岩田 圭音、高橋 まき子、額賀 苑子、福田 美菜、ますだ 美砂日時 : 2024年3月1日(金)~3月10日(日)13:00-19:00 *月火水 定休日開催場所 : Azur rose Galerie/台東区池之端3-3-5 ICビル1F(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年02月21日東京・六本木のサントリー美術館で、「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」が開催されています。天下人・織田信長の13歳下の弟として生まれた織田有楽斎(うらくさい、1547-1621)。本展では、茶人としても活躍した有楽斎の人物像を名品などにより紹介。展示風景や学芸員さんのお話などレポートします!戦国を生き抜いた男!展覧会入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 325本展では、織田有楽斎とゆかりの深い寺である京都・建仁寺塔頭 正伝永源院(しょうでんえいげんいん)の寺宝を中心に、有楽斎にまつわる茶道具や手紙などの資料を展示。多彩な作品をとおして、彼の生き方に触れられる展覧会です。有楽斎は、もともと織田長益(ながます)として活躍していた武将でした。長益(有楽斎)は、信長の長男・信忠に仕えていましたが、1582年に起きた「本能寺の変」で信長は自害。さらに、信忠が二条御所で抗戦した末に自害したのにもかかわらず、長益(有楽斎)は脱出して生き延びました。これにより、人々から「逃げた男」と揶揄され、今でもそのイメージで戦国ドラマに登場することもしばしばあります。プレス内覧会に登壇された建仁寺塔頭正伝永源院第24世住職真神啓仁さんは、本展開催のきっかけについて、次のように語っています。真神さん当院は、鎌倉時代の文永年間に創建された寺でしたが、戦禍により荒廃していました。その寺の再興にあたったのが、織田有楽斎です。彼は「逃げの有楽」という不名誉なイメージがつけられていましたが、それを改めて問い直せないかと思い、本展の発案となりました。有楽斎は正伝院を再興し、晩年には現在国宝に指定されている茶室「如庵」を創設しました。茶の湯をとおして、大名や僧侶たちと交流をはかった人物でもあります。彼の想いや美意識を本展で感じていただきたいです。有楽斎がお出迎え…!《織田有楽斎座像》江戸時代17世紀正伝永源院蔵【通期展示】では、展示の見どころをピックアップしてご紹介。最初の展示室に入ると、まず目に入るのが有楽斎の生前のお姿を表した座像です。本作品について、サントリー美術館・主任学芸員の安河内幸絵さんは次のように解説。安河内さんこの像では、有楽斎が僧の姿をしていますが、実際には僧籍があったわけではありません。千利休のように、茶人の姿としてこのような格好をしていたという説もあります。この有楽斎の像は、遠くをまっすぐ見つめる視線で、人の心の中を見透かしてしまうような、本質を見極めるような目をされています。本能寺の変で焼けた…!《本能寺跡出土瓦》桃山時代16世紀京都市蔵【通期展示】第一章では、有楽斎が織田家の一員であることや、武将としての一面をうかがい知ることができる歴史資料などを見ることができます。例えば、織田信長の一代記として知られる「信長公記」では、主要な武将のひとりとして長益(有楽斎)がいたことが記されています。また、本能寺跡から出土した瓦の一部も展示されています。この出土品について、安河内さんは次のように解説。安河内さん明智光秀の謀反により、信長は49歳で亡くなります。本能寺の跡から出土した瓦は、鬼瓦や軒瓦のほか、表面が変色した瓦も含まれています。展示されている橙色の瓦は熱を受けて変色したもので、激烈な火災であったことがうかがえます。伊達政宗とも交流!展示風景より、写真手前:織田信長像江戸時代18世紀正伝永源院蔵【通期展示】第二章では、有楽斎宛ての手紙や彼自身の手紙などの資料をとおして、茶人として活躍した有楽斎の姿が紹介されています。例えば、伊達政宗から有楽斎に宛てた手紙なども展示。政宗と有楽斎は茶を通じて親交があり、如庵での茶会に招かれたという話も残されています。手紙には現代語が掲示されているものも多いので、内容を理解しながら鑑賞を楽しむことができます。有楽斎の交友について、安河内さんは次のように解説。安河内さん有楽斎は武将たちのみならず、堺や博多の有力茶人や高僧、公家などとも幅広く交友し、茶の湯をとおして親交を深めていました。茶の湯が政治のツールとして使われ、茶会が政治の中で必要不可欠なコミュニケーションとなっていた当時、茶の湯に巧みで広い交友関係をもつ有楽斎は、豊臣や徳川家をはじめ、多くの人々から頼りにされたことが想像されます。圧巻の襖絵は必見!《蓮鷺図襖》狩野山楽江戸時代17世紀正伝永源院蔵【通期展示】三階のギャラリー空間では、有楽斎が再興した正伝院の客殿を飾った《蓮鷺図襖》16面すべてを展示。圧巻の見ごたえです!つぼみのハスや咲き始めたハスの姿、咲き誇る姿、そして枯れかけた姿もあり、ハスの生命や季節のうつろいが大変美しく描かれています。第四章と第五章では、織田有楽斎が晩年に再興し終の棲家とした建仁寺正伝院ゆかりの寺宝を紹介。茶道具や織田家ゆかりの蒔絵作品などを見ることができます。有楽町の由来という説も…!ちなみに、東京の千代田区にある「有楽町」という地名は、織田有楽斎が由来という説もあります。千代田区の公式サイトによると、有楽斎は関ケ原の戦いのあと徳川方に属し、数寄屋橋御門の近くに屋敷を拝領。その屋敷跡が「有楽原」と呼ばれていたことから、明治時代に「有楽町」と名づけられたそうです。(※諸説あります)武将や茶人として戦国時代を生き抜いた織田有楽斎の展覧会は、3月24日(日)まで開催。会期中、展示替えもあります。※参考サイトInformation会期:2024年1月31日(水)~3月24日(日)※作品保護のため、会期中展示替を行います。開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)※2月22日(木)、3月19日(火)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:火曜日※3月19日は20時まで開館観覧料:一般 ¥1,600、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
2024年02月18日東京・上野の東京国立博物館 平成館で、特別展「本阿弥光悦の大宇宙」が開催されています。桃山・江戸時代初期に活躍したマルチ芸術家、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558~1637)。彼の「美」の世界を楽しめる展覧会を現地取材。担当研究員さんのお話や展示風景、注目オリジナルグッズの数々をご紹介します!マルチ芸術家の展覧会!展覧会入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 324本阿弥光悦は、京都生まれ。刀剣鑑定の名門家系出身で、美を見極める優れた力量をもち、自らも書や漆芸、陶芸などのジャンルで作品を残した人です。本展では、光悦が手がけた多彩な作品や、京都の町衆や職人たちとのつながりが伝わる品々をとおして、マルチ芸術家の「美」の世界を堪能できます。展覧会を担当した東京国立博物館学芸企画部長の松嶋雅人さんは、見どころについて次のように教えてくれました。松嶋さん本展では、光悦があつく信仰した日蓮法華宗について、最新研究を踏まえながら展示を構成しました。また、光悦や彼の父は加賀前田家の刀剣御用で、光悦とつながりのあった前田利常の生母・寿福院もあつい法華信徒でした。光悦の書や漆工品などにくわえて、ぜひ信仰に関わる品々にも注目してみてください。国宝がお出迎え…!国宝舟橋蒔絵硯箱本阿弥光悦作江戸時代・17世紀東京国立博物館蔵では、展示の見どころをピックアップしてご紹介。まず入り口を入ると、光悦のもっとも有名な国宝・舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)がお出迎え。この展示室は暗い宇宙のような雰囲気で、本展のタイトル「本阿弥光悦の大宇宙」にぴったり。光悦の無限の「美」の世界に引き込まれていく感じがします。本作品について、松嶋さんは次のように解説。松嶋さん光悦が手がけた蒔絵は「光悦蒔絵」とも呼ばれ、奇抜なフォルムと独特な造形が特徴的です。大きな鉛板を使い、華麗な螺鈿(らでん)を自在に用いるなど大胆な造形で、このスタイルは近世初頭に突如現れたものです。独特な表現やモチーフが生まれた背景には、光悦が深くたしなんだ謡曲の文化があったと考えています。蒔絵の展示室では、謡本も紹介しています。光悦筆による額も登場!特別展「本阿弥光悦の大宇宙」展示風景左から、扁額「学室」 原品:本阿弥光悦筆明治2年(1869)再刻京都・常照寺蔵、扁額「本門寺」 本阿弥光悦筆江戸時代寛永4年(1627) 東京・池上本門寺蔵、扁額「妙法花経寺」 本阿弥光悦筆江戸時代寛永4年(1627) 千葉・中山法華経寺蔵、扁額「正中山」 本阿弥光悦筆江戸時代17世紀千葉・中山法華経寺蔵第1章「本阿弥家の家職と法華信仰――光悦芸術の源泉」では、本阿弥家の家業である刀剣や信仰に関わる品々を紹介。光悦が所持していたと伝わる短刀や、本阿弥家の家系図、能書として知られる光悦筆による書状を見ることができます。光悦が書いたさまざまな寺の扁額も展示。例えば、東京・池上本門寺の扁額は1627年につくられたものですが、ふだん本門寺の入り口にかけられている扁額は複製のため、なかなか寺外で見ることはできません。ほかにも、千葉や京都のお寺から出品された扁額も並び、圧巻の見ごたえです。展示室のデザインも美しい…!特別展「本阿弥光悦の大宇宙」展示風景第3章「光悦の筆線と字姿――二次元空間の妙技」では、光悦書蹟の代表作、重要文化財《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》が登場。展示室の天井部分にも本作品のイメージが飾られていて、とても美しいです!この作品について、松嶋さんは次のように解説されています。松嶋さん俵屋宗達が金銀を用いて鶴の群れを描いた料紙に、光悦が三十六歌仙の和歌を散らし書きした美しい作品です。鶴の上昇と下降、群れの密度にあわせて字形と字姿をたくみに変化させています。光悦がもっとも充実した作風を示した時期の代表作と評されています。オリジナルグッズも充実!展示を見終わったあとは、ぜひ展覧会特設ショップへ。魅力的なオリジナルグッズがたくさん並んでいます。一番の注目は、国宝・舟橋蒔絵硯箱のマスコットキーホルダー(税込¥1,540)。おにぎりのようなサイズ感で、ころんとした形がとってもキュート。硯箱の盛り上がった形も再現され、光悦作品へのリスペクトが感じられる逸品です。同じく、国宝・舟橋蒔絵硯箱のトートバッグも気になるグッズのひとつ。ゆるめのイラストがめちゃくちゃかわいいです。この絵は、近代建築画家・建築イラストレーターのコジマユイさん作。シンプルなモノトーン仕上がりで、使いやすそうです。今回は、アクセサリー類も充実。光悦作品をモチーフにしたペンダントやピアス、イヤリングなど、どれもかなりおしゃれ。これらは、アクセサリーブランド LISA&TAIGAさん作のもの。アート好きにはたまらない、いくつも買いたくなるグッズです。本展は、3月10日(日)まで開催。事前予約は不要です。Information会期:2024年1月16日(火)~3月10日(日)※会期中、一部作品の展示替えあり会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)開館時間:9時30分~17時00分※最終入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、2月13日(火) (注)ただし、2月12日(月・休)は開館観覧料:一般 ¥2,100、大学生 ¥1,300、高校生 ¥900※本展は事前予約不要です。
2024年02月11日テクノロジーの進化とともに映像の分野でも新しい挑戦が広がるなか、今年16回目を迎える恵比寿映像祭では“月へ行く30の方法”がテーマに。特別プログラムの上映のほか多彩なイベントが開催される。アーティストと一緒に“月へ行く方法”を探してみる。本テーマは2018年に開催された現代美術家・土屋信子さんの個展のタイトルからとったもの。最先端の科学技術や理論以上に、アーティストの思考や実践から生まれる発見や創造が月へ向かうためのヒントになるかもしれないとし、サイエンスとは異なる眼差しで現状を超えていこうというコンセプトだ。映像作家をはじめ、現代美術のアーティスト、パフォーマーなど、総勢30名以上が国内外から参加。写真や映像の展示・上映に加え、参加型パフォーマンス、ラウンドテーブルでのディスカッションなど来場者一人一人が“目撃者”となるような体験がねらいだという。つまり、鑑賞者にとどまらず、記憶し伝えるメディア(媒体)として機能することが期待されているということ。共に感じ、考えることから、私たち自身にも月面着陸を可能にする発想が生まれるかも!?会期中には日本を拠点に活動する新進アーティストに映像作品の制作を委託する「コミッション・プロジェクト」のファイナリストの発表も。そのほかイベントが盛りだくさん。ホームページをチェックして、シンポジウムやトークセッションへぜひ参加してみて。パフォーマンスやライブなども連日開催。ロサンゼルスを拠点とするパフォーマンス作家・荒川ナッシュ医の参加型パフォーマンスでは、アジアが主体形成する未来を推測するため感情や感性の間にあるものを探求。荒川ナッシュ医《Mega Please Draw Freely》2021年テート・モダン、ロンドンPhoto:Rikard Osterlundアルゴリズムから生まれるシーンの数々。恵比寿ガーデンプレイス センター広場では大型ビジョンを設置、プログラム言語が作り出す映像で大型ビジョンを埋め尽くす。アルゴリズムが織りなす多彩な表現は圧巻。高尾俊介《CityScape #1》2021年植物とコミュニケーションは可能?コンセプチュアル・アートの先駆者、バルデッサリの作品。「植物にアルファベットを教える」行為によってアルファベットの意味が無意味に転じる瞬間からユーモアが浮かぶ。ジョン・バルデッサリ《植物にアルファベットを教える》1972年/18分40秒 John BALDESSARI, Teaching a Plant the Alphabet, 1972. Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York.アジア発、アニメーション意欲作に注目。アジア15地域の映像コンペDigiCon6 ASIAより《月へ向かうヒントが得られる? 11のアニメーション》の上映も。2/6、2/9、2/1118時~20時、東京都写真美術館1Fホール。フライング モンキーズ プロダクション《Monsoon Blue》2023年/14分19秒日常の身ぶりに垣間見るシステムの呪縛。ピオトロフスカは家族構造や人間行動と社会・文化的生活を含むシステムとの関係性にフォーカス。優しく親密な日常のジェスチャーが「解放と抑圧」に変換する様を捉える。ジョアンナ・ピオトロフスカ《Animal Enrichment》2019年/3分8秒日本初公開含む特別プログラムを上映。写真はアーティスト、デイヴィッド・ハモンズのドキュメンタリー。2/2、2/8 18時~20時、2/11 11時30分~13時30分、東京都写真美術館1Fホールにて上映。デイヴィッド・ハモンズの芸術と時代《The Melt Goes On Forever》(監督:ジャッド・タリー、ハロルド・クロックス)2022年/101分 ©Michael Blackwood恵比寿映像祭2024 月へ行く30の方法東京都写真美術館(東京都目黒区三田1‐13‐3)、恵比寿ガーデンプレイス センター広場(東京都渋谷区恵比寿4‐20恵比寿ガーデンプレイス内)、地域連携各所ほか2月2日(金)~18日(日)10時~20時(18日は~18時。入館は閉館の30分前まで)月曜休(12日は開館、13日休館。※コミッション・プロジェクト〈3F展示室〉のみ3月24日まで)無料※一部のプログラム(上映など)は有料 TEL:03・3280・0099(代表)※『anan』2024年2月7日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2024年02月04日石川県金沢市の国立工芸館で、特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層1957-1979」が開催されています。版画とグラフィックデザインの巨匠たちによる作品が一堂に集まる注目の展覧会について、担当学芸員さんに見どころなどをお聞きしました。巨匠たちの版画とグラフィックデザインが集結!展示風景より【女子的アートナビ】vol. 323この展覧会では、国立美術館のコレクションから、版画やグラフィックデザイン界などで活躍した作家たちの作品70点が集結。浜口陽三や池田満寿夫、横尾忠則など巨匠が手がけた貴重な作品などが展示されています。今回、本展を企画された国立工芸館 主任研究員の中尾優衣さんにインタビューを実施。見どころやおすすめ作品などを教えていただきました。開催のきっかけは…展示風景より――まず、この展覧会を企画されたきっかけについて、教えていただけますか。中尾さんもともと、1970年代前後のグラフィックデザインと版画の関係に興味をもっていたのがきっかけです。日本の戦後美術では、1960年代にウォーホルなどポップアートが流行してから、版画表現の可能性が注目されていました。また、印刷技術が進歩していくなかで、版画と印刷の関係性が変わっていくようになり、そこがおもしろいと思ったのです。――版画と印刷の関係性とは、具体的にどういうことですか。中尾さん版画は、版にインクをのせ紙に押し当ててつくります。江戸時代は、大量に出版物を刷るための最先端の印刷技術として木版が使われていましたが、時代が進むにつれ、代わりにもっと効率の良いオフセット印刷などの機械印刷が使われるようになります。そのため、従来の木版は⼤量印刷のための主要な技法ではなくなった代わりに、その味わいを生かして版画家が作品をつくるための手段のひとつとなったのです。このように、版画と印刷の関係性が、年代に応じて変わっていく現象に興味を持ちました。展示風景より――技術の進化により、版画の役割が変わったのですね。中尾さん戦後の版画の可能性を考えていくなかで、東京国立近代美術館などで開催していた「東京国際版画ビエンナーレ展」が大きな役割を果たしたのですが、 当館を含む国立美術館では、その受賞作などをたくさん所蔵しているので、当時話題になった作品を展示することで、印刷と版画の関係性が明らかになるのではないかと思い、この展覧会を企画しました。日本の版画が世界で高評価!杉浦康平《第8回東京国際版画ビエンナーレ展ポスター》――では、展覧会の見どころについて教えていだたけますか。中尾さん本展では、「東京国際版画ビエンナーレ展」の受賞作や出品作と、当時の展覧会ポスターを一堂に展示しています。当時の作品をここまでの規模で紹介するのは、今回がはじめての機会です。ポスターは一過性のもので、ふつうは展覧会が終われば捨てられてしまうものですが、当館では資料として保管していました。東京国際版画ビエンナーレ展の作品と、当時の著名なグラフィックデザイナーが担当した歴代のポスターをあわせて見ていただけるという点が大きな見どころです。展示風景より――「東京国際版画ビエンナーレ展」とは、どんな展覧会だったのですか?中尾さんこれは1957年から79年まで、全11回開かれた展覧会です。日本は、戦後復興のなかで欧米に並ぶような経済的発展を目指し、文化的にも優れている点を見せていこうとしていました。そこで、日本人の版画が当時海外で高く評価されていたことから、版画の国際展覧会を開催することにしたのです。展覧会というより国家的な文化事業で、外務省も後援になっていました。――海外で評価された日本の版画とは、浮世絵版画のことですか?中尾さん浮世絵版画のすごさは、明治時代に海外で知られるようになりました。浮世絵のような分業制の職人技が光る版画も今なお評価されていますが、戦後に新しく出てきたのは棟方志功です。彼の版画は、浮世絵とはまったく異なる方法で制作し、大胆でプリミティブな表現にアーティストとしての強烈な個性と東洋の文化が融合した作品です。浮世絵と違う版画の魅力を世界の人たちが知り、棟方の版画は戦後まもない時期からヴェネツィア・ビエンナーレなど世界的展覧会で高く評価されました。巨匠の“スゴ技”がさく裂!野田哲也《日記 1968年8月22日》1968年 東京国立近代美術館蔵――展示作品のなかから、特におすすめ作品をいくつかご紹介いただけますか。中尾さん野田哲也さんの《日記 1968年8月22日》は、非常におもしろい作品です。これは、第6回東京国際版画ビエンナーレ展で大賞をとったもので、作家自身の家族写真をもとにコラージュした作品です。野田さんはカメラが趣味で、故郷の熊本に帰ると両親とともに記念撮影をしていました。比較的古風な習慣のご家庭でしたので、紋付き袴の正装姿で撮られています。自分で撮影した写真をコラージュし、海外風の椅子に座らせて非現実な空間をつくりだし、とても不思議な図柄になっています。きわめてプライベートなことをテーマにしていますが、そこから日本の伝統的な文化風習や、家族とそれを構成する個人との関係性、社会の中で記号化される人間の存在など、作品を見る人が自由に想像をめぐらせることができます。――写真をベースに版画をつくられるのですか?中尾さん野田さんは、もともとは油彩からはじめて、木版画を専門に勉強されたかたです。この作品がつくられた当時の版画技法は、木版や銅版、リトグラフがメインでした。写真製版は出始めたばかりでしたので、それを版画に部分的に取り入れるというやり方が珍しい時代でした。この作品では、椅子の部分は墨や蛍光インクに木版画の技法を使い、ほかにも写真製版、もっと詳しく言えば昔はガリ版刷りとも言いましたが、版画にはほとんど使われなかった謄写版ファックスも使うという新しい試みをされたのです。――技法がすごすぎて、驚きました。版画では、いろいろなことができるのですね。中尾さんまさに当時の作家さんたちも同じ気持ちで、版画は自分たちが知っている技法だけでなく、まだまだ新しいやり方を取り入れることができると思ったのです。版画表現は、作家自身で開拓していける可能性のあるジャンルと認識されていた時代でした。これは版画?印刷?高松次郎《英語の単語》1970年 東京国立近代美術館蔵――ほかにも、おすすめ作品はありますか?中尾さん版画かどうか、議論を呼んだ作品をご紹介します。高松次郎の《英語の単語》です。英単語が3つ並び、読むと「この/3つの/単語」という意味になっています。本来、文字というのはある概念を人に伝えるための記号として機能しますが、この作品では紙に書かれた文字がその内容と一致してしまっています。それ以上でもそれ以下でもない、記号と意味の問題を端的に示している作品です。――ちょっと難しい作品のように思えます。どのように鑑賞するのですか?中尾さん描かれているものを味わうという鑑賞⽅法とは違い、鑑賞する余地を与えない代わりに、⾒る⼈に頭を使わせ、その⼈の固定概念に揺さぶりをかけます。この時代の高松の作品は、概念を見せています。本作品は、何か別のものを表すために存在するはずの文字が自己完結することで、私たちは居心地の悪いような奇妙な感覚をおぼえます。そして、記号ではなく物質として見てみると、大量印刷できる印刷機で文字を刷っただけのものです。これが版画なのか?と問われるとグレーです。そんな作品が、版画を銘打っている展覧会に出されて注目されました。本作品の存在自体が、「これを版画に含めていいのか、そもそも版画とは何か」という問いも投げかけています。――版画作品、奥が深いですね。中尾さん1972年には高松が出品した別の作品が国際大賞を受賞し、印刷機でつくったものが、なぜ東京国際版画ビエンナーレ展で賞をとるのか、当時議論になりました。東京国際版画ビエンナーレ展の存在が、ある意味では版画の概念を崩壊させたという妙な状況が生まれたのです。当時は、印刷技術自体が日進月歩の時代。紙に文字を写すものは版画なのか、印刷なのか。その時代性をも見せてくれる、おもしろい作品です。展覧会タイトルの意味は…木村秀樹《鉛筆》1974年 京都国立近代美術館蔵――版画というと、昔の浮世絵版画や銅版画のイメージしかなかったのですが、さまざまな作品があり、印象がガラリと変わりました。最後に、なぜ展覧会のタイトルに「断層」とつけられたのか、教えていただけますか。中尾さん版画とグラフィックデザインはどちらも紙にインクを刷ってつくるので、広い意味では印刷に含まれるとても近い関係にあります。1960年代から1970年代にかけて、版画と印刷とグラフィックデザインの概念そのものを更新したりジャンルの境目を越えていくような試みが繰り返されましたが、本質的な部分まで混ざり合うことはありませんでした。今回の展覧会を考えるとき、これらのジャンルの関係性が私の頭の中で「断層」という言葉と結びつきました。断層の切り口は層としてはすぐ隣で重なっていますが、そこにはズレがあり交わることがありません。それで展覧会のタイトルにしました。当時の時代性も含めて、鑑賞を楽しんでいただけたらと思います。――詳しく教えていただき、ありがとうございました。Information展示風景より写真提供国立工芸館特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層1957-1979」会期:2023年12月19日(火)~ 2024年3月3日(日)会場:国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)開館時間:午前9時30分~午後5時30分※入館時間は閉館30分前まで休館日:月曜日(ただし2月12日は開館)、2月13日観覧料:一般¥300大学生¥150高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料
2024年02月04日21世紀のアートワールドの主要プレイヤーとして世界から注視される村上隆さんが、最新作をひっさげて京都の街に降り立つ。日本での展覧会は8年ぶり。“もののけ”、そして“京都”がテーマである。現代美術の最前線が描く、京に蠢(うごめ)くもののけたち。岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風(舟木本)》、曾我蕭白(しょうはく)《雲龍図》などの村上版超大作をはじめ、京都祭礼行事や茶華道から着想した作品など、170点余りのうち約160点が新作という超人的な構成だ。引用される作品はいずれも江戸期の京都で花開いた琳派や狩野派、そして近年、高い評価を得る曾我蕭白、伊藤若冲(じゃくちゅう)ら「奇想の系譜」の画家たちによる日本絵画史上の傑作ばかり。「村上版」においては、京の町に漂うもののけの気配がより濃厚に描かれる。全長約13mの大作、村上版《洛中洛外図》は、祭りや遊里、歌舞伎や浄瑠璃に興じる二千数百人の人々が登場。賑やかな都の様子を俯瞰して描くものの、その頭上には禍々しい髑髏(どくろ)の形を帯びた錦雲がたなびいている。平安京のインスタレーションでは、八角形の部屋の東西南北に町を守護する神獣(青龍、白虎、朱雀、玄武)の大型絵画を配置。中央には京都のへそと呼ばれる六角堂から着想を得た《六角螺旋(らせん)堂》がたたずみ、周囲をもののけがさ迷う。華やかな表層を1枚めくるとハレとケガレが隣り合う、もう一つの都の姿が立ち上がってくるようだ。「村上版」を含め、新作のテーマを設定したのは、京都市京セラ美術館・事業企画推進室ゼネラルマネージャーを務める高橋信也さん。「村上隆さんが京都で展覧会をする必然性を、私は確信していました。江戸期の京都の美術に並々ならぬ関心を持っていることは、村上さんの絵を見ればよくわかります」これらの絵画のうちに村上さんが見出したのは、現代のアニメや漫画にも通底する「スーパーフラット」という原理。一点透視図法が浸透する以前、日本の絵師たちは2次元の紙の上でさまざまな構図を試みた。一瞬を切り取る独特のタイミング、四角い平面の中を緊張感を持って成り立たせる事物の配置の仕方など。そして村上さんは現代のアニメや漫画の1シーンやコマ割りでも、同じ方法で効果をあげていることを発見。2000年の「スーパーフラット宣言」以来、自身の創作においてこの原理を用いる姿勢を貫いている。「現代美術とは1917年にマルセル・デュシャンが発表した《泉》(男性用便器を用いたレディメイド作品)以降、新しい認識をもたらさないものは認めないという、欧米の作ったルールに則って運営される視覚分野の1ジャンルです。その分野で村上さんは、古典的な技術も含めて日本美術のオリジナルな方法、つまり『スーパーフラット』で挑戦し続けるトップランナーなのです」西洋美術にとって未知の領域として評価されているという、その絵画はどのように作られるのか。例えば1枚の絵画に対して、シルクスクリーンを何百版と重ねる工程を経る。そして仕上げに透明な樹脂を塗ると、ぺらっと薄いセル画のように見えるのだという。が、横から見るとキャンバスの上にスクリーンを重ねた分の厚みがあり、完全なペインティングであることがわかる。「海外の人にどうやって描いたのかと聞かれますが、全く新しい視覚体験に近いものだと思います」村上さんの著書『想像力なき日本』に現代美術とは“作家が生きていた時点での現代”を時代を乗り越えて伝えるもの、という言葉がある。「現代」を一番パワフルに表現しうる手段として「スーパーフラット」で真っ向勝負する村上さんのよりどころが京都にある。この地と向き合って生まれた最新作の数々、気迫と美しさに触れてみてほしい。日本初公開。全長18mの赤い龍は圧巻。「奇想の系譜」の画家、曾我蕭白の《雲龍図》に衝撃を受け、筆で描いた。美術史家の辻惟雄氏と共にボストンで開催した展覧会の目玉となった。日本では初公開。村上隆 Takashi Murakami《雲竜赤変図《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》》 Dragon in Clouds – Red Mutation:The version I painted myself in annoyance after Professor Nobuo Tsuji told me,“Why don’t you paint something yourself for once?”2010年 作家蔵 Collection of the Artist©2010 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.神獣が守る村上版「平安京」が会場に出現。(左)平安京を模したインスタレーションでは、さまざまな姿のもののけがさまよい、人間と共存していたさまを描く。村上隆 Takashi Murakami《想像を超えた宇宙の活性を想起する》Invoking the Vitality of a Universe Beyond Imagination2018年作家蔵Collection of the Artist©2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.(右)本作品には髑髏のモチーフがちりばめられ、生と死が隣り合う平安京の不穏な気配を漂わせている。村上隆 Takashi Murakami《竜頭 Gold》 Dragon Heads -Gold 2015年作家蔵 Collection of the Artist, Courtesy of Galerie Perrotin©2015 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.京都で活躍した絵師たちの代表作を大胆に再解釈。尾形光琳から着想を得た作品。正面を向く顔のある花は「スーパーフラット」の象徴的モチーフ。村上隆 Takashi Murakami《金色の空の夏のお花畑》(参考画像)Summer Flower Field under the Golden Sky2023年©2023 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.村上隆むらかみ・たかし1962年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。英国の雑誌『Art Review』が発表する「アート界で影響力のある100人」に10年連続で選出。今年はブルックリン、香港ほか、世界各地で個展を開催予定。撮影:Museum of Fine Arts, Boston©2017 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.「京都市美術館開館90周年記念展 村上隆 もののけ 京都」京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ京都府京都市左京区岡崎円勝寺1242月3日(土)~9月1日(日)10時~18時(最終入場は17時30分まで)月曜休(祝日の場合は開館)一般2200円ほかTEL:075・771・4334※『anan』2024年1月31日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2024年01月29日東京・南町田にあるスヌーピーミュージアムが2月1日にリニューアルオープン!展示室の新設にくわえて、大人気のミュージアムショップ「ブラウンズストア」の新作グッズも大幅に増えます。新しい展示の見どころやおすすめグッズなど、ミュージアムの担当者さんにお聞きしました!大人気ミュージアムがリニューアル!ブラウンズストア販売グッズ(一部)【女子的アートナビ】vol. 322みんな大好きなスヌーピーの世界にどっぷりと浸れる「スヌーピーミュージアム」が、2月1日からリニューアルオープン。スヌーピーファンの聖地がさらにパワーアップします。リニューアル後のミュージアムでは、エントランスも大幅に変わり、口を開けた巨大なスヌーピーが登場。また、ぬいぐるみやアパレルなど数えきれないスヌーピーのグッズで埋め尽くされた「スヌーピー・ワンダールーム」も新設されます。さらに、人気のミュージアムショップ「ブラウンズストア」では、新作グッズ160点以上が大量投入!世界でここでしか買えないオリジナルグッズが大幅に増えます。そんな注目のリニューアルについて、スヌーピーミュージアム広報ご担当の矢川千絵さんと、グッズご担当の吉留明子さんに詳しくお話をうかがいました。「はしゃげる」ミュージアムに変身!PEANUTS Cafe SNOOPY MUSEUM TOKYO 新メニュー――まずは、ミュージアムのリニューアルについて、教えていただけますか。矢川さんこれまでのミュージアムは原画を見ていただくことを中心としていましたが、南町田に移転オープンしてからは館内で楽しみながら写真を撮っているお客様が多く、もう少し楽しめるポイントがあるとうれしいという要望をいただいていましたので、今回のリニューアルでは「はしゃげて楽しめる」ミュージアムに生まれ変わります。例えば、SNSの人気映えスポットとして使われている全長約8メートルのスヌーピーがいる展示室は、今まで静かなお部屋でしたが、リニューアルでは音楽や動く影の演出を取り入れ、より楽しめるようになります。――スヌーピーミュージアムに隣接する『PEANUTS Cafe』もリニューアルされるのですか?矢川さんはい。今回のリニューアルでグランドメニューが総入れ替えとなり、より楽しめる内容になると思います。スヌーピーなど人気キャラクターを前面に出したメニューも増えて、ミュージアムの余韻にも浸ることができます。また、企画展と連動したメニューも出る予定です。一番人気は“ゆるくた”ぬいぐるみ!ゆるくたオラフぬいぐるみ ¥3,850(税込)――ミュージアムショップ「ブラウンズストア」のリニューアルについて、教えていただけますか。吉留さんショップの商品は、現時点で約300点ありますが、そのなかで約160点、半数近くが新しくなります。かなりボリューミーで、新鮮味があります。書籍以外は、すべてこのミュージアムだけのオリジナルグッズです。――どんな商品がおすすめですか?吉留さん一番人気は、ぬいぐるみやマスコット系です。特に、ふわふわでくたっとした手触りの“ゆるくた”シリーズのぬいぐるみは人気があります。今、すでに売っているスヌーピーやチャーリー・ブラウンに加えて、今回はスヌーピーのきょうだいオラフが新たに発売されます。――オラフは、ちょっとふっくらしていて、コミックの中では「みにくい犬コンテスト」で優勝したという経歴もあるキャラクターですね。吉留さん実は、かなり人気のキャラクターなんですよ。今回のゆるくたぬいぐるみでは、オラフのふっくらした雰囲気を表現するため、ずっしり感が出るよう中に入れるおもりの重さにもこだわりました。また、座らせたときにちょっとヘタッとなるように質感も工夫しています。ゆるくた巾着が超かわいい!ゆるくたスヌーピー ロングポーチ ¥2,970(税込)――ゆるくたシリーズは、ポーチや巾着袋もありますね。吉留さんぬいぐるみをそのままポーチにしました。くたっとしたふわふわの手触りで、すごくかわいらしく仕上げています。カラーリングにもこだわり、耳や鼻などふつう黒い部分を少しグレーっぽくして、大人でも持てるようなデザインになるよう心掛けました。ゆるくたスヌーピーフェイス巾着 ¥2,200(税込)――巾着袋もすごくかわいいです。スヌーピーの顔だけがついていて、愛らしくて心を奪われました。吉留さんありがとうございます。この巾着袋にも、ゆるくたのスヌーピーがそのままついています。サイズや質感にもこだわってつくったおすすめ商品です。バッグ類も充実!トートバッグ ¥2,970(税込)――アラサー世代のanan読者におすすめのグッズはありますか?吉留さんトートバッグは種類やカラーも豊富で、使いやすさにもこだわってつくりましたので、ぜひ手に取って見ていただきたいですね。開発チームにはアラサー女性も多いので、みんなに意見を聞きながら生地や色、紐など決めていきました。膨大なコミックのなかから特にかわいいシーンを選び、バッグにデザインしています。ミュージアムを楽しんでいただいた方が、その余韻にも浸れるバッグです。ハニーローストピーナッツ ¥2,970(税込)吉留さんまた、約25センチサイズのスヌーピー立体ケースに入ったお菓子もおすすめです。帽子のフタを取ると、なかにハニーローストピーナッツの小袋が入っています。使い終わったあとは貯金箱になり、おまけのシールもついていてお得感があります。昭和っぽい懐かしい感じもあるおもしろい商品で、見た目にもかわいらしくお部屋に飾るのもおすすめです。限定のグッズも!ラグ ドッグハウス ¥19,800(税込)、スヌーピー 50’s ¥16,500(税込)――ほかにも、注目のグッズはありますか?吉留さんMIYOSHI RUGさんに生産を依頼した手づくりラグは、今回の注目グッズです。約70センチの大き目のラグで、徳島の工場で職人さんが手作業でつくっているので、一点一点味わいが違います。実際に見ていただけるとわかりますが、本当にしっかりしたラグです。数量限定品ですが、ちょっと珍しい商品なのでおすすめです。カチューシャ&チョーカー ¥2,530(税込)吉留さん最後にもうひとつ、ふわふわの生地でつくったスヌーピーの耳つきカチューシャとチョーカーのセットをご紹介します。リニューアル後はこれまで以上に撮影できるスポットも増えますので、入口でこの商品を販売します。来館者の方々もスヌーピーになりきって、館内を見ていただくことができます。――ちょっとしたコスプレのようで、楽しそうですね。いろいろご紹介いただき、ありがとうございました!企画展もスタート!ミュージアムでは、リニューアル後の2月1日から新しい企画展「旅するピーナッツ。」がはじまります。シュルツ美術館が所蔵する貴重な原画約45点を中心に構成され、スヌーピーやピーナッツ・ギャングが旅を楽しむ様子が描かれた原画を楽しめます。ぜひ、新しくなったミュージアムやショップ、カフェでスヌーピーの世界にどっぷり浸ってみてくださいね!※掲載タイミングによって完売している商品がある可能性があります。© 2024 Peanuts Worldwide LLCInformation企画展「旅するピーナッツ。」会期:2024年2月1日(木)~9月1日(日)開館時間:平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00、※2月1日(木)~4日(日) 10:00~20:00(最終入場は各閉館時間の30分前)休館日:2024年1月9日(火)~1月31日(水)、2月20日(火)、他年2回観覧料:前売券 一般・大学生 ¥1,800、中学・高校生 ¥800、4歳〜小学生 ¥400当日券 一般・大学生 ¥2,000、中学・高校生 ¥1,000、4歳〜小学生 ¥600
2024年01月28日東京建物株式会社は、2024年2月9日(金)より、東京建物京橋ビル1階の「BAG-Brillia Art Gallery-(バッグ ブリリア アート ギャラリー)」にて企画展『POSTERS × FURNITURES』を開催します。BAG-Brillia Art Gallery-では、「暮らしとアート」をテーマにした展覧会を企画・開催しています。二つのデザインが対等に交差する魅力を探る展覧会今回は東京建物のマンションブランドBrilliaから生まれた「住まいと暮らしの共創プロジェクト」bloomoi(ブルーモワ)との連携企画として、住む、暮らす、過ごす空間に「ポスター」と「家具(ファニチャー)」という二つのデザインが対等に交差する魅力を探る展覧会『POSTERS×FURNITURES』を開催します。住まいの壁に何を飾るか、どんな家具を置くかの相互作用がインテリアを形成し、その人のライフスタイルを反映するという考えの下、今回は“壁とともにあるもの”としてポスターをテーマとしました。本展では「ポスターから家具を選ぶ」こと、「家具からポスターを選ぶ」ことの双方の視点により、空間を構成しています。本企画展は、東京建物と一体となりbloomoiを推進してきたクリエイティブユニット・KIGI(キギ)が中心となって企画されました。展示されるポスターは、日本を代表するグラフィックデザイナーやアーティストの作品を取り扱うECサイト「POSTERS」の協力により選ばれています。また展示される家具は、グラフィックデザインとの親和性が高い、ドイツのTECTA(テクタ)社のものを中心に、同社の国内総代理店であるACTUS(アクタス)社の協力により選ばれています。なお、会場で展示されるポスター作品は、会期中ギャラリーでのオーダー、またはPOSTERSのECサイトからの購入が可能です。●展覧会について1. 展示内容・展示スペース「+1」:惹き合うポスターと家具ドイツ・TECTAブランドを中心とした家具と、ポスターによる空間構成が生み出す相乗効果をどのように観せるかに焦点を当てた展示です。・展示スペース「+2」:日本の名作ポスター大集合壁面一杯にPOSTERSから出力したポスターを約200点掲出します。ポスター作品は、ECサイト POSTERSから購入可能です。また各ポスターに加えて出展作家に関連したグッズも多数販売します。2. イベント『POSTERS × FURNITURES』展のディレクションを担当するクリエイティブユニット・KIGIの植原亮輔氏と渡邉良重氏が、ゲストにACTUSのブランドディレクター大重亨氏をお迎えして、グラフィックデザインとインテリアデザインの視点からポスターやファニチャーについてトークショーを開催します。(詳細はBAG公式サイトにてお知らせします。)●開催概要展覧会名: 『POSTERS × FURNITURES』会期: 2024年2月9日(金)~3月31日(日)開館時間: 11:00-19:00(休館日月曜日)なお、祝日月曜の2月12日は開館し、翌2月13日は休館します。会場: BAG-Brillia Art Gallery-〒104-1131東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル1階料金: 無料主催: 東京建物株式会社 Brillia bloomoi企画監修: 株式会社キギ、公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団協賛: 株式会社アクタス、株式会社リディアワークス協力: OUR FAVOURITE SHOP株式会社運営: 株式会社クオラス(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年01月24日全国各地で話題を呼んだ展覧会がついに横浜へ!昨年秋に公開された映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』をはじめ、盛り上がりを見せているアニバーサリー企画のひとつ、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるさんの生誕100周年を祝う記念展「水木しげる生誕100周年記念 水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」が開催される。水木さんが生涯で描いた妖怪は日本のものだけで1000点近く。それらはどのように生み出されたのか?創作の秘密を初めて解き明かすのが本展の試みだ。鍵の一つに先達の妖怪文化人たちの存在がある。幼い頃から“妖怪感度”が高く、身の回りに目に見えないものたちの存在を感じていたという生い立ちから展示はスタート。妖怪たちと再び邂逅したのは左腕を失い、生死の淵をさ迷う過酷な従軍経験を経て復員した後。東京・神田の古書店街でのことだったという。このとき出合った書籍が、江戸時代の浮世絵師・鳥山石燕(とりやま・せきえん)の画集『画図百鬼夜行』や昭和初期の民俗学者・柳田國男の著作『妖怪談義』だ。石燕の妖怪画を目にしたとき、これまで感じていた存在がそのまま描き出されていることに驚き、「やっぱり妖怪はいたんだ!」と感動したという。これをきっかけに現代の妖怪絵師としての才能が花開いていく。「水木しげるが妖怪とどう向き合ってきたのか、順を追ってわかりやすく展示されています。特に水木が大きな影響を受けた『画図百鬼夜行』『妖怪談義』の展示は必見です」と水木プロダクションの原口尚子さん。これらの資料からわかるのは、水木さんが昔の人が感じた「お化け」の形を大切にしていたということ。例えば『画図百鬼夜行』に登場する「垢嘗(あかなめ)」、浮世絵師・歌川国芳が描く『相馬(そうま)の古内裏(ふるだいり)』に登場する巨大な骸骨など、先達の絵師たちが描いた妖怪の姿形を尊重し、ほぼそのまま活かしている。伝承として言葉だけで残る妖怪の場合は、さまざまな資料にあたって、丹念にその姿を浮かび上がらせたという。お馴染みの妖怪、「砂かけ婆」の表情が地方に伝わるお面を見て「これだ!」と決まったという具合に。一方で「怖いだけではダメ」、と常々言っていたというように、よく見ると目元がかわいらしいなど、愛嬌があるのも水木さんの描く妖怪の魅力。会場では妖怪画の原画が100点以上、展示される。たくさんの妖怪たちに会えることに加え、肉筆に触れることで新しい発見もありそうだ。原口さん曰く、「リアルな背景を描くことで、『妖怪がそこに存在している』という実存感を出そうとしていました」Gペンで丹念に描きこまれた陰影、墨汁が醸し出す漆黒の味わいなど、妖怪絵師としての画力もじっくり味わいたいところ。妖怪画を描くたびに心の中で「この形でいいでしょうか」と、その妖怪にお伺いを立てていたという水木さん。その心は妖怪を描き出すことより、その存在を現代に蘇らせることにあったという方が正確なのかもしれない。会場を後にする頃には、妖怪たちの存在がリアルに感じられるほど、私たちの妖怪感度も高まっているに違いない。一反木綿一反(約10m)ほどの白く長い布のようなものが空を飛び、時には人を襲うこともあるという。鹿児島県に伝わる妖怪。©水木プロダクション海坊主全国各地の海上に現れる妖怪。姿を見て驚いて叫ぼうものなら、たちまち船はひっくり返されてしまうため、船乗りたちから恐れられた。©水木プロダクションがしゃどくろ埋葬されなかった者の骸骨や怨念が集まり、巨大な骸骨となってガシャガシャと音を立ててさ迷う。幕末の浮世絵師・歌川国芳の作品を参考に。©水木プロダクションあかなめ鳥山石燕が描いた『画図百鬼夜行』にも登場する妖怪。長い舌で風呂桶の垢をなめるといわれ、つまり風呂掃除をさぼっていると現れる!?©水木プロダクションみずき・しげる1922年生まれ。鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争時、激戦地だったパプアニューギニアのラバウルに出征。爆撃で左腕を失う。復員後、紙芝居作家を経て漫画家に。妖怪研究家としての顔も持つ。代表作に『ゲゲゲの鬼太郎』『日本妖怪大全』など。2015年没。水木しげる生誕100周年記念 水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~そごう美術館神奈川県横浜市西区高島2‐18‐1そごう横浜店6F1月20日(土)~3月10日(日)10時~20時(入館は閉館の30分前まで)会期中無休一般1600円TEL:045・465・5515※『anan』2024年1月24日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2024年01月22日登山電車にケーブルカー、バス、ロープウェイと交通機関が充実する箱根エリア。それらを乗り継いで、グルメにアート鑑賞、ショッピングへと出かけよう!茶石モダンで静謐な空間でいただく極上のお茶で旅の疲れを癒して。昭和の美容室をリノベーション。産地直送の茶葉とシックな茶器を用い、目の前でじっくり時間をかけて、芳醇なうま味を抽出。味や香りの変化を三煎まで楽しんだら、最後は茶葉をどうぞ。箱根名物のお菓子や、強羅のクラフトビールと抹茶のカクテルなどアルコール、物販も。玉露(自家製干菓子付き)¥1,800~箱根町強羅1300‐307TEL:0460・83・881610:30~18:00不定休予約がベター寄木うちはら箱根寄木細工=渋いは間違い。普段使いしたくなる一品をどうぞ。樹木が持つ色を活かし、美しい幾何学模様を描く箱根寄木細工。1952年創業の専門店が2020年にリニューアルした。取り扱う職人は約20人。彼らの作品はもちろん、オリジナルデザインも揃う。ドット柄のコースターやマカロンを模したマグネット(写真・各¥770)などが人気。すべて手作りのため欠品することも。箱根町箱根165TEL:0460・83・622211:00~16:00(季節により変動)水曜休、不定休彫刻の森美術館開放感あふれる野外美術館で散策しながらアートに触れる。今年8月、開館55周年を迎える日本初の野外美術館。7万平方メートルの敷地に、オーギュスト・ロダン、ヘンリー・ムーアらによる彫刻約120点を展示する。319点のコレクションを順次公開する「ピカソ館」や、子どもが中に入って遊べる「ネットの森」など体験型アート作品も充実。一日飽きない。箱根町二ノ平1121TEL:0460・82・11619:00~17:00(最終入館16:30)無休入館料 一般¥1,600ちもと 駅前通り店この地で70年以上、手作りしているできたての箱根名物をお土産に。昭和25年創業の老舗和菓子店。名物は温泉に浸かったやわ肌をイメージしたお餅に、本練り羊羹が入った「湯もち」。1日1000個以上売れる人気ぶり。メレンゲ入りで、ふわっとした食感がたまらない。江戸時代、箱根街道で馬を引いていた馬子の鈴をかたどった最中「八里」もかわいらしい。カフェ併設。湯もち¥280、八里各¥290箱根町湯本690TEL:0460・85・56329:00~17:00年5日ほど休みニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ強羅の雄大な自然を舞台に、人気アーティストの世界観を再現。フラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンが長い年月をかけてオープンしたガーデン。自然の地形を活かした園内には、季節の花や敷地内で出た倒木などを使ったインスタレーションを展示する。併設のカフェ『NOMU hakone』のメニューをテイクアウトしてピクニック気分を楽しんで。箱根町強羅1323‐119TEL:0460・83・908710:00~17:00水曜休(祝日の場合は翌木曜休)入園料 大人¥1,800箱根暁庵本店 暁亭国登録有形文化財の日本家屋で箱根の名水が育む手打ちそばを。明治40年の建物を移築し、箱根の自然に溶け込む絶好のロケーション。産地を訪ねて選んだそばの実を毎日自家製粉する手打ちそばは、甘みと香りがしっかり感じられる。箱根の水は硬く、そばにコシが出るそう。足柄豆腐や小田原の板わさなど一品料理も充実。鴨せいろ¥2,310箱根町湯本茶屋182‐7TEL:0460・85・733011:00~16:00、17:00~21:00(現在は金・土・祝前日のみ、2月からは平日も)水曜休岡田美術館風神・雷神の大壁画を見ながら足湯カフェでリフレッシュ!日本と東洋の美術品約450点を展示。尾形光琳や伊藤若冲をはじめ近世・近代の日本画と、東アジアの陶磁器などを収蔵する。美術館正面には、国宝「風神雷神図屏風」を元に描いた縦12×横30mの壁画「風・刻(かぜ・とき)」を展示。100%源泉かけ流しの足湯に浸かりながら鑑賞できる。箱根町小涌谷493‐1TEL:0460・87・39319:00~17:00(最終入館16:30)展示替期間休入館料 一般¥2,800※『anan』2024年1月24日号より。写真・村上未知文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年01月21日宝塚市立文化芸術センターは、3Dアーティスト・永井秀幸による展示室内でのライブドローイングを2024年2月17日(土)に実施いたします。「平面から飛び出して見える!」3Dアートが生まれる瞬間をぜひご覧ください。3Dアートが生まれる瞬間■開催概要【日時】2024年2月17日(土)13:00~14:00【会場】展覧会場(2階メインギャラリー)内【参加費】展覧会入場者は無料※参加には展覧会への入場が必要です。【参加方法】参加自由、事前予約不要※開催時間に会場にお越しください。※入場には展覧会入場料(一般:1,000円、中学生以下は無料)、または2023年度パートナーカードの提示が必要です。※定員はございませんが、会場内の混雑状況によってスタッフが誘導を行う場合がございます。ご了承ください。【主催】宝塚市立文化芸術センター[指定管理者:宝塚みらい創造ファクトリー]【後援】神戸新聞社【企画制作】東映株式会社■企画概要3Dアーティスト・絵本作家として活躍する永井秀幸が宝塚に登場!展示室内でライブドローイングを行います。同日15:00~16:30には、1階の別会場にてワークショップも実施します。■関連事業◆特別展 永井秀幸 とびだす!ふしぎな3Dアートの世界【会期】2024年2月3日(土)~25日(日)10:00~18:00(最終入場17:30)※毎週水曜休館【会場】宝塚市立文化芸術センター 2F メインギャラリー【観覧料】一般 1,000円※中学生以下無料、障がい者手帳ご提示の方と付添1名まで無料◆ワークショップ「3Dアートに挑戦!」【日時】 2024年2月17日(土)15:00~16:30【会場】 宝塚市立文化芸術センター 1F サブギャラリー【参加料】 一般 500円【定員】 20名(要事前申込、センターWEBサイトにて)【注意点】 ※小学生以下のお客様は、保護者の方と一緒にお申込みください。※付き添いの方もお申込みが必要です。※参加料と別に、当日の展覧会入場券、または2023年度のパートナーカードの提示が必要です。■会場施設情報【所在地】兵庫県宝塚市武庫川町7-64【電話】0797-62-6800(開館日の10:00~18:00)【休館日】毎週水曜日(祝日は開館)※年末年始(12月29日~1月3日)は休館いたします。※その他設備点検などにより、臨時休館する場合があります。【開館時間】センター・屋上庭園/10:00~18:00、メインガーデン/10:00~17:00【入館料】・宝塚市立文化芸術センターへの入館は基本無料です。・展覧会や催しによっては、一部会場が有料となります。(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年01月19日アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトは、フランスのル・コルビュジエと並び20世紀の巨匠と呼ばれるレジェンド。日本との縁も深く、1923年、東京・日比谷に完成した帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)や目白の自由学園を手がけたことでも有名だ。20世紀最高の建築家の設計図に描かれた未来とは?「開館20周年記念展/帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」は帝国ホテル二代目本館の竣工から100周年を記念して開催される本格的な回顧展。本邦初公開の華麗で精緻な肉筆ドローイングを中心に、写真資料など約390点を7つのセクションにわたって展示し、「有機的建築」と呼ばれる独自の建築世界に迫る。ドローイングは個人邸から壮大な都市計画まで及んでいるが、従来の建築図面にとどまらない魅力にあふれている。余白を多くとり、近いものを拡大して描くといった手法には浮世絵の影響がみられるとされ、実際に完成した建物以上に、ライトの思想を物語っているとも。そのほか彼が1930年代後半から取り組んだ「ユーソニアン住宅」の原寸モデルが会場に登場し、玄関から居間までの空間を体験できる。ライトの設計する住宅は草原や砂漠といったアメリカ独自の景観になじむ低層で、かつ水平のラインが特徴的。高窓から光を取り入れたり、庭や景観に向かって窓が大きく開かれているなど、住み手にとっての心地よさが大切にされている。帝国ホテルを建てるにあたって、6年間を地震の研究に費やしたというエピソードからも、その土地の風土や自然環境と真剣に向き合った巨匠の横顔が垣間見える。そして奇しくも帝国ホテルの竣工披露式典当日に関東大震災が起き、倒壊は免れたというから、その生涯は生前から伝説に彩られていたと言えそうだ。91歳で亡くなった年には代表作のひとつ、ニューヨーク市のグッゲンハイム美術館が竣工。最後まで世界をあっと言わせたレジェンドが自ら引いた設計図、その先の未来を想像しながら眺めてみたい。フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館(東京、日比谷)第2案 1915年 横断面図》コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵The Frank Lloyd Wright Foundation Archives(The Museum of Modern Art Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)フランク・ロイド・ライト《大バグダッド計画案(イラク、バグダッド)1957年 鳥瞰透視図 北から文化センターと大学をのぞむ》コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵The Frank Lloyd Wright Foundation Archives(The Museum of Modern Art Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)フランク・ロイド・ライト《クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス》1912年頃、豊田市美術館蔵フランク・ロイド・ライト《ジョンソン・ワックス・ビル本部棟 中央執務室の椅子》1936年頃、豊田市美術館蔵Frank Lloyd Wrightフランク・ロイド・ライト1867年、ウィスコンシン州に生まれる。周囲の景観、環境と調和する「有機的建築」を提唱。20世紀を代表する建築家。代表作は「カウフマン邸(落水荘)」1959年没。《フランク・ロイド・ライト、タリアセンにて》1924年、コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵The Frank Lloyd Wright FoundationArchives(The Museum of Modern Art Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)開館20周年記念展/帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築パナソニック汐留美術館東京都港区東新橋1‐5‐1パナソニック東京汐留ビル4F1月11日(木)~3月10日(日)10時~18時(2/2、3/1・8・9は~20時。入館は閉館の30分前まで)水曜休(3/6は開館)一般1200円TEL:050・5541・8600※会期中、一部展示替えあり。(前期1/11~2/13、後期2/15~3/10)※『anan』2024年1月17日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2024年01月16日ピーチ・ジョンは2023年12月20日、「巨匠のブラ」シリーズから新デザインのランジェリーとトップスを発売しました。今回発売されたのは、フィンセント・ファン・ゴッホの名作「ひまわり」と「アイリス」をモチーフにしたランジェリーの2型にくわえ、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」をオマージュした「風神雷神ゴールド」の風神と雷神を大胆にプリントしたトップス「巨匠のシアートップス」です。「ひまわり」をモチーフとした「ゴッホヒマワリ」は、イエローを中心としたひまわりの刺しゅうレースをあしらった、左右アシンメトリーな柄によるカップが特徴です。「アイリス」をモチーフにした「ゴッホアイリス」は、カップに鮮やかな青のアイリスを表現した刺しゅうレースをあしらいました。オリジナル作品の構図を生かし、右カップには黄色や白の花も施し、アシンメトリーな仕上がりとなっています。「巨匠のシアートップス」の「風神雷神ゴールド」は、金屏風をイメージしたゴールドカラーのパワーネットに、風神と雷神を大胆にプリント。インパクトある柄ながら、落ち着いた色合いでさりげなくアートを楽しめるデザインに仕上げました。人気の「巨匠のブラ」の新作です。気になる方は店頭でチェックしてみてくださいね!■商品概要巨匠のブラ:4,500円(B~Fカップ UB65・70・75)ショーツ:2,100円(S、M、L)ソング:2,100円(S/M、M/L)巨匠のシアートップス:3,800円(ワンサイズ)(フォルサ)
2024年01月16日I-neが展開するボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」は1月16日より、「ウィリアム・モリスコラボレーション」シリーズを、数量限定で公式オンラインストア、ECサイト(楽天市場、Amazon 、Yahoo!ショッピング)にて発売。また、楽天市場限定でオリジナルポーチ付きセットを発売します。さらに、2月1日からは全国のバラエティショップ、ドラッグストア(一部店舗を除く)にて販売を開始予定です。■ウィリアム・モリスが描きつづけた植物との暮らしBOTANSITとウィリアム・モリス、自然を愛する両者の想いが重なり、今回のコラボレーションが実現しました。デザイナーであり詩人、また、自然を愛する思想家でもあったウィリアム・モリスは、あざやかに彩られたデザインで植物の美しさを私たちに教えてくれます。今回のコラボでは、ライフスタイルと自然の美しさの調和を表現。同社では、「自然と調和するほど、暮らしは豊かになる、『植物と共に生きるボタニカルライフスタイル』をこれからも発信していきたい」としています。■商品特長◇1.ウィリアム・モリスの作品をあしらったオリジナルデザイン代表作である《柘榴あるいは果実》と、《アカンサス》の2種のデザインで展開。レイアウトをシンプルにすることで、作品をより引き立てています。・モイスト:《柘榴あるいは果実》 Pomegranate or Fruit, C.1886ウィリアム・モリスの制作した壁紙の中で最も古いものの一つ。柘榴のほかに、レモン、オレンジ、ピーチなども描かれています。果実のデザインはより自然なものに見え、また柘榴の表面には軽い点描が施され、熟しすぎた果皮に種が露出しているのがリアルさを助長するデザインです。・ダメージケア:《アカンサス》 Acanthus, 1875ウィリアム・モリスの作品の中でも最も覇気に満ちたもので、1880年代後半のより豊かで充実した作風を先取りしたものといえます。古代ギリシアで使われたアカンサスという古典的な植物文様をダイナミックに配置。◇2.絵柄から着想を得た限定のフレグランスそれぞれの絵柄から連想されるイメージにマッチした香りで、ウィリアム・モリスの世界観を表現しています。モイストは、爽やかでみずみずしいオレンジ&ローズマリーの香り、ダメージケアは、優しく上品なジャスミン&リーフグリーンの香りで展開。◇3.濃密ボタニカル美容液(※1)配合、髪の芯まで潤いで満たしきるシャンプー・トリートメントは、乾燥ケア・ダメージケア・地肌ケア成分配合で、髪の内側まで潤い満ちたツヤ髪へ導きます。・乾燥ケア成分(※2)毛髪内部に浸透し、毛髪表面はキューティクルを接着するため与えた水分を逃さず保湿。・ダメージケア成分(※3)タンパク質・脂質由来の微細な植物成分がダメージ髪を補修。・地肌ケア成分(※4)スキンケアレベルで頭皮の潤いを保つことで、乾燥によるかゆみ・ふけを抑えます。◇4.水分・油分バランスを整え、感動の指通りへヘアオイルは、高純度オリーブスクワラン(※5)配合で髪に必要な水分と油分のバランスを整えます。また、ボタニカルマイクロプロテイン(※6)配合により、髪の一本一本に浸透し、内側まで補修。なめらかで、ツヤのある髪へと導きます。※1 シラカンバ樹液、ガラクトミセス/シラカンバ樹液発酵液、トウミツ、スフィンゴ糖脂質(全て保湿成分)、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、加水分解野菜タンパク(全て毛髪補修成分)※2 トウミツ、スフィンゴ糖脂質(全て保湿成分)※3 マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、加水分解野菜タンパク(全て毛髪補修成分)※4 シラカンバ樹液、ガラクトミセス/シラカンバ樹液発酵液(全て保湿成分)※5 スクワラン(保湿成分)※6 センニンコク種子エキス(毛髪補修成分)■商品概要「ボタニカルシャンプー・トリートメントウィリアムモリス」各1,540円/シャンプー460mL・トリートメント460g※数量限定・なくなり次第終了「ボタニカルヘアオイルウィリアムモリス」各1,870円/80mL※数量限定・なくなり次第終了「ボタニカルヘアケアセットウィリアムモリス」各3,080円※数量限定・なくなり次第終了<楽天市場限定>「ウィリアムモリスEC限定セット」各4,950円オリジナルポーチ付き※数量限定・なくなり次第終了WILLIAM MORRISは登録商標です。企画協力:ブレーントラスト<発売日/流通>・2024年1月16日:公式オンラインストア()、ECサイト(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど)にて先行発売・2024年2月1日:全国バラエティショップ、ドラッグストア(一部店舗をのぞく)(エボル)
2024年01月15日4人の作家が手がけた、日本の“レトロ”をモチーフにした作品を巡り、全国各地の旅情や時代の味わいを感じる展示「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」が東京都指定有形文化財「百段階段」で開催。『日本全国 地元パン』の著者・甲斐みのりさん、《ゆのまちネオン》の作者・はらわたちゅん子さんに、作品に対する想いを聞きました。“昭和の竜宮城”と謳われた建物を舞台に“レトロ”を旅する。甲斐みのり(以下、甲斐):旅先で手みやげに喜ばれそうなお菓子を探すのが好きで、地方のお菓子屋さんではパンも作る所が多いことに気がついて。なぜだろうという疑問から全国のパンを食べ歩き、研究してかれこれ20年。はらわたちゅん子(以下、はらわた):20年……(嘆息)、すばらしい探究心ですね。私は高知の出身で、県内には18の酒蔵があり、繁華街もとても賑やか。ネオンサインのある風景が身近で、あるときイラストの線をネオン管として表現したらどうだろう?とひらめき、「ネオン画」につながりました。甲斐:ネオン管で表現された《ゆあがりネオン》を見て“ネオン浴”という言葉が浮かびました。ネオンの光を浴びると非日常に誘われますね。はらわた:「百段階段」で展示をするなら、本物のネオンサインを入れたいと。アオイネオン株式会社の職人さんが制作してくださり、光が灯ったときは感無量。歴史と重みのある空間に、ネオンの柔らかく繊細な光が溶け込んで嬉しく思いました。甲斐:建物全体から、創業者の方や職人さんたちの想いがパワーとして迫ってきますね。それが地元パン(R)の無垢な魅力を包み込んで、より可愛らしく見えるのも嬉しい。はらわた:高知でお馴染みのパンも紹介されていて思わず「あ!『百段階段』でニコニコパンだ」と大興奮。本物のパッケージが展示されているので、色合いやデザインのディテールをじっくり鑑賞できます。甲斐:パソコンのない時代に手でデザインされたものの、今では出せない味にときめく要素や面白さがあります。ぜひ時代を超えた新しさを楽しんでいただきたいですね。文化財「百段階段」とは?1935(昭和10)年に建てられた当ホテルに現存する唯一の木造建築。趣向の異なる7部屋を99段の階段廊下が繋ぐ。日本画の大家や当代随一の職人による豪奢な装飾が見どころ。甲斐みのり氏『日本全国 地元パン』表紙旅で出合った全国各地の愛すべきパン500個超を収録した著書より、47都道府県の地元パン(R)を紹介する。甲斐さん秘蔵のパン袋のコレクションは必見。はらわたちゅん子氏《ゆあがりネオン》湯上がり姿の「湯ガール」が“ゆ”の字の上にちょこん。周りの看板は実在の店名をもとにデザイン。ネオン管にガスを注入し、電気を通すと光る。鳴子系こけし(宮城県)所蔵:佐々木一澄『こけし図譜』(佐々木一澄著誠文堂新光社)に掲載されている原画と伝統こけし11系統の約200体の展示も。かい・みのり文筆家。旅、地元パン(R)、手みやげなどを題材に書籍、雑誌、ウェブなどに執筆。『日本全国 地元パン』(エクスナレッジ)ほか著書は50冊以上。Instagram:@minori_louleはらわた・ちゅんこアーティスト/デザイナー。日本の路地やアジアの喧騒に着想を受けながら、ネオンサインのデザインやネオン画を手がける。Instagram:@chung_kang.0302懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」東京都目黒区下目黒1‐8‐12024年1月1日(月)~14日(日)11時~18時(入館は17時30分まで)会期中無休一般1500円ほかTEL:03・5434・3140※『anan』2024年1月3日‐10日合併号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2024年01月08日「ゴッホ・アライブ」は、これまで世界99都市を巡回し、900万人以上を動員してきた海外でも話題の没入型展覧会。その記念すべき100都市目となる東京展がスタートする。ゴッホの作品と生涯を体感する没入型展覧会。©RB Createオーストラリアの企画会社〈グランデ・エクスペリエンセズ〉が創作した本展は、最新のデジタル映像技術とサラウンド音響、そして高精細のプロジェクターを駆使しゴッホの名画を紹介したもの。高音質なクラシック音楽が流れる中、壁や柱、床などのあらゆる場所に、ゴッホ作品3000点の映像が映し出される圧巻の映像体験だ。真っ暗な広い展示室に一歩入れば、音楽とともに現れるのは《ひまわり》や《星月夜》など誰もが知るゴッホの名作。映像の中の絵画で星が流れ、田園風景に煙を上げて汽車が走り、ひまわりは次々と花開いてゆく。そんな動きのある映像で、ゴッホの生涯を伝えているのが醍醐味だ。ゴッホが幼少期を過ごしたオランダ、画家になる夢を抱き過ごしたパリ、芸術家の村を作ろうと移り住んだアルル、精神を病み療養所で過ごしたサン=レミ、絶望の晩年を過ごしたオーヴェール=シュル・オワーズ……。壮絶な死を遂げるまでの、生涯を映した映像と、荘厳な音楽。その後に浮かび上がる自画像の数々を見れば、彼の当時の想いを感じ取っているような気持ちに。「最大7mの巨大スクリーンに映し出された名画からは、絵の具の厚みや質感、ペイント技術などが肉眼以上にはっきりと確認できる。これは本展だからできる新しい名画の楽しみ方でもある」と言うのは本展の制作技術責任者クレイグ・スミスさん。会場に順路はなく、自分の好みで何度でも何時間でも、ゴッホの作品に浸ることができる。またゴッホの絵を忠実に再現した実物大のゴッホの部屋や、ひまわりで埋め尽くされた撮影スポットなども併設。まるで映画のように、絵本のように、拡大鏡のように、撮影スポットとしても。様々なアプローチで楽しめる画期的な展覧会。映像ならではの大迫力に、きっと感動するだろう。Photo:Grande ExperiencesPhoto:Grande ExperiencesPhoto:Grande Experiencesゴッホ・アライブ 東京展寺田倉庫G1ビル東京都品川区東品川2‐6‐42024年1月6日(土)~3月31日(日)10時~18時(最終入場は閉館の60分前まで)1/11休一般3000円ほかキョードー東京 TEL:0570・550・799※『anan』2024年1月3日‐10日合併号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2024年01月06日東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーで、「キース・ヘリング展アートをストリートへ」がはじまりました。東京展のスペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、俳優の磯村勇斗さん。昔からへリングが大好きだったという磯村さんに、展覧会のご感想やアートについて、お聞きしてきました!磯村勇斗さんがスペシャルサポーター!磯村勇斗さん。キース・ヘリング作《ブループリント・ドローイング》の展示室にて【女子的アートナビ】vol. 320本展は、世界的アーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)のアートを体感できる大規模な回顧展です。キース・へリングは、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。1978年にニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学し、1980年代初頭にニューヨークの地下鉄駅構内にある広告板にグラフィティ・アートを描きはじめ、注目を集めます。やがて次々と展覧会が開かれて国際的にも評価が高まり、日本でも展覧会やワークショップを開催。精力的に制作を続けますが、1988年にエイズと診断されます。その後はエイズ予防のメッセージをアートで訴えるなど、31歳で亡くなるまで、アートをとおして社会的な活動も行いました。本展では、初期のサブウェイ・ドローイングや、誰もが見たことのある人気のモチーフが登場する《イコンズ》、6メートルもある大型作品など約150点を展示。絵画だけでなくオブジェクトもあり、展示空間もドラマチックに演出されています。そんな楽しい展覧会の東京展スペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、磯村勇斗さん。内覧会に登壇した磯村さんにインタビューも行い、展覧会やアートのことなど、いろいろお聞きしてきました!ビビッときました!――昔から、キース・へリングが大好きだったとのことですが、どんなきっかけで好きになられたのですか?磯村さん大学で美術を専攻していまして、アメリカのポップカルチャーを勉強していました。アンディ・ウォーホルや草間彌生さんなどのアーティストのなかにキース・へリングもいて、教科書に載っていたキースの絵を見て、ビビッときたんです。この絵好きだ!と思いました。そこから、彼の絵をどんどん見るようになりました。――どんなところにビビッときたのですか?磯村さん学生時代のことで、作品名をしっかり覚えてはいないのですが、人の集合体のような作品で、人がシンプルに描かれているだけで、絵は止まっているはずなのに、なんで人が動いて見えるのだろう?と思いました。線の効果や、人のちょっとした動き具合だと思うのですが、止まっている絵をこんなにも楽しく見せることができるのだな、と衝撃を受けました。――そんな大好きなアーティストの展覧会でスペシャルサポーターに選ばれて、いかがですか。磯村さん率直にうれしかったです。今まで取材などでキース・へリングが好きですという話をしていたのですが、それが今回このような形でオファーをいただけて、すごくうれしく思いました。はじめての展覧会スペシャルサポーターがキース・へリングなんて、光栄でありがたいです。好きな気持ちを乗せて…――今回、音声ガイドナビゲーターも担当されています。収録はいかがでしたか。磯村さん緊張しました。キース・へリング自身、自分の作品についてあまり説明していなくて、彼が当時どのような思いで生きていたのか明かされていないまま今に至ります。音声ガイドでは、そんな彼の言葉や思いをセリフのように自分が語る部分があります。自分の気持ちをどのくらい入れたらいいのだろうと悩みながら収録しました。特に、セリフの部分をキースに寄せるのか、自分自身の言葉でやるかを悩みましたが、そこはキースを好きな気持ちを乗せながら、自分らしくやりました。――音声ガイドで、印象に残っているストーリーなどはありますか?磯村さんキースの言葉で、「鑑賞者もアーティスト」というのがあり、それが僕たちの仕事も同じだと思いました。映画は映像として完成した時点では90パーセントで、劇場で公開して、お客さまに見ていただき、ようやく100パーセントになると思っています。それと一緒だなと思いましたし、キースの感覚と近いものを感じられました。すべて自分たちで解決して満足するのではなく、余白を残して、しっかり鑑賞者であるお客さまにゆだねるという心が大事だなと思いました。――今回の展示で、特にお気に入りの作品はありますか?磯村さん本当に絞るのが難しいのですが、特によかったのは《ブループリント・ドローイング》の作品群です。暗い展示室の中にモノクロ版画の作品が並んでいるのですが、展示空間づくりも含めてお気に入りです。キースが死の宣告を受けたあと、彼が今までやってきたアート人生を振り返りながら制作したもので、悲しい部分を感じつつも、パワフルで、皮肉な部分もあります。それらを暗く描くのではなく、明るく描いているのがすごく僕の中でしびれました。ぜひ注目していただきたいポイントです。友だちになれそう(笑)――本展では、キース・ヘリングの生涯についても詳しく触れられています。この点について、どう思われましたか。磯村さんキースはパートナーを亡くし、自分がエイズであることも知り、死を感じながら創作活動をしていました。死を知りながら、何かものづくりをするというのは、どんな気持ちだったのだろうか、とすごく考えます。当時描いていた絵を見ると、ものすごくエネルギーがありながらも、どこか寂しさもある。でも、それを悲しく描くのではなく、最後まで色を使って明るく描いて、明るく生きていこうとしていたのではないかと僕は感じました。鑑賞者の立場になり、アートはみんなのため、という想いを最後まで心の中に秘めながら描いたのではないかと思いました。――キースのアーティストとしての活動期間は約10年間でした。磯村さんもデビューして約10年ですが、今回彼の作品を観られて、改めてどう感じられましたか。磯村さん10年という短いなかで絵を描き、それが今の世界でみんなに知られている。彼がもし今生きていたら、どんなふうに作品を作って世の中にメッセージを届けていたのか気になります。キースの作品にはセクシャルな部分など社会的なメッセージもあり、現代でも通用するものです。彼の生きてきた時代と今は全然変わっていないし、彼の絵が僕らにも刺さるということは、今もその問題に向き合わなければならないことだと僕たちに教えてくれます。彼は20代で、すでにいろいろな問題が見えていた。それは、考えられないくらいすごいことだと思います。――磯村さんにとって、キースはどんな存在ですか?あこがれの人でしょうか。あるいは、友だちになりたい人ですか?磯村さん友だちになれそうな感じがします(笑)親しみやすい方なのではないかな、と思います。キースは、小さいころから絵を描くことが大好きで、親にやめなさいと言われても描き続け、どんどん手が止まらず描いてきた人だった。自分も、役者をやりたいといって、反対されながらもずっと口にしてやり続けてきたので、その辺のマインドみたいなものはすごく共感できます。もし今の時代にキースが生きていたら、こういう話をして「わかる、わかる!」と言い合いたいですね(笑)。いい友だちになれそうな気がします。――キースなどのアートを見ることは、役作りに何か影響していますか?磯村さん俳優業にどうつながっているかはわかりませんが、やはり絵は自分の世界を広げてくれるものでもあり、想像力を掻き立てられて豊かにしてくれるものです。役者も想像力が豊かでないとできないので、それを養う力がアートにはあると思います。グッズも持っています!――ちなみに、キースのグッズもお持ちですか?磯村さんグッズはいろいろ持っていて、ステッカーやファイル、ポーチ、Tシャツ、ジャケット、「光りを放つ赤ちゃん」と「吠える犬」のオブジェクトもあり、全部で十数点は持っています。――お部屋に飾って楽しんでいるのですか?磯村さん赤ちゃんと犬のオブジェクトは自分のなかのお気に入りで、それは部屋の観葉植物の下に置いています。配置を工夫して、気分によって犬に追われている赤ちゃんにしたり、赤ちゃんが追う犬にしたりしてシーンをつくり、寂しい遊びをしています(笑)。観葉植物はヤシ科の大きな葉があるもので、その下に置いているのですが、意外にかわいくて合います。――アートがお好きなんですね。磯村さん小さいころからアートは好きで、家族で旅行に行ったりするときは、必ず美術館に寄るくらいでしたので、その影響で自分も絵が好きになっていました。美術館で絵を見るのも好きですけど、その空間も好きなんです。部屋にアートを飾ると、その好きな空間を家の中で味わえて、自分のプライベートの時間が充実するし、落ち着きます。――最後に、展覧会を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。磯村さんキース・へリングの作品は、今の若い人たちも見たことがある人がほとんどだと思います。でも、キースがどんな人なのかを知っている人は少ないと思います。今回の展覧会では、彼がどういう人でどんな人生を歩んできたのか、みなさんが見たことがある絵の背景にはどういった思いがあるのか、といったことを知ることができるチャンスだと思います。ここまでキース・へリングの裏側を解説していく展覧会はなかったと思うので、ぜひ、みなさんに来ていただけるとうれしいです。――ありがとうございました!取材を終えて…キース・ヘリングのTシャツがお似合いだった磯村さん。ご自身でも絵を描いているそうで、アートにも大変詳しく、楽しいお話を聴かせてくださいました。取材後、会場で音声ガイドを聴きながら作品を観たのですが、キースの人生や彼の言葉が紹介され、まるでドキュメンタリー映画を見ているような感覚で作品を鑑賞できました。特に、エイズと診断されたあとのキースの想いや、死について語る部分では涙腺が崩壊。彼の作品と磯村さんの声が重なり、すばらしい鑑賞体験ができました。ぜひ音声ガイドを聴きながら、キースの作品をご覧になってみてください。All Keith Haring Artwork ©Keith Haring FoundationInformation会期:~ 2024年2月25日(日)会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)時間:10:00~19:00※金曜日・土曜日は20:00まで※年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00※入場は閉館の30分前まで休館日:会期中無休観覧料:一般・大学生・専門学校生¥2,200中高生¥1,700小学生¥700※事前予約制(日時指定券)音声ガイド貸出価格:¥650(税込)※お一人様一台につき撮影:山本倫子
2023年12月23日東京・丸の内にある静嘉堂@丸の内で、2024年1月2日から2月3日まで「ハッピー龍イヤー! ~絵画・工芸の龍を楽しむ~」が開かれます。古代から吉祥をもたらすものとして扱われていた「龍」。辰年の2024年、おめでたい龍の絵画や工芸品が静嘉堂に集まります。おめでた気分MAXの展覧会!【女子的アートナビ】vol. 321「龍」が誕生したのは、古代中国。体はヘビ、頭には角が2本あり、口に長いひげを生やした姿で描かれる想像上の動物です。ふだんは水中にひそんでいますが、天に昇って雨を降らせる力などをもつとされ、古くから雨ごいの神としても信仰されていました。そんな龍をモチーフにした作品が本展に集結。企画を担当された静嘉堂文庫美術館学芸員の長谷川祥子さんは、本展の見どころについて、次のように教えてくれました。長谷川さん2024年に幕開けとなる本展は、来年の干支・辰(龍)を祝うテーマで開催するものです。想像上の動物である龍は、東アジアでは吉祥の霊獣として、また皇帝のシンボルとして数多く名品に表されています。このたび、静嘉堂の所蔵品から龍モチーフの作品を、幅広いジャンルから揃えました。これまで公開の機会のなかった“龍たち”も、ここぞとばかりに初登場です。さまざまな表情、迫力あるポーズも楽しい、そして重要文化財2件を含む、意外に()名品揃いの展覧会です。どうぞお楽しみください!anan読者におすすめの作品は…青花黄彩雲龍文盤「大清乾隆年製」銘清時代・乾隆年間 (1736〜95)景徳鎮官窯今回、長谷川さんにanan読者へのおすすめ作品を3点ピックアップして解説していただきました。ひとつめは、景徳鎮のお皿です。長谷川さんこの大皿は真ん中に正面を向いた五爪龍が描かれ、中央には「宝珠」を持つがごとく、「寿」の字を入れた丸文が描かれています。上質なコバルト顔料で、龍とそれを取り囲む炎や雲を濃いブルーで描いて本焼成したのち、今度は清朝で開発されたばかりの、酸化アンチモンによる美しい「レモンイエロー」の顔料を余白すべてに塗りつめてからもう一度焼いています。なんとも濃密なカラー!清朝官窯ならではの逸品なのです。幕末最大の浮世絵派閥、夢の競演!三代歌川豊国(国貞)・二代歌川広重 画《長崎 円やま》江戸時代・文久元年(1861)ふたつめのおすすめ作品は、江戸時代の浮世絵です。長谷川さん異国情緒ただよう、長崎・円山(まるやま)の妓楼(ぎろう)で、男女二人が窓辺に広がる海を眺めています。長いキセルをステッキのようにたてた遊女の打掛は、大海原から立ち上る昇竜(のぼりりゅう)のデザインです。ちなみにこの浮世絵は、国貞が三代歌川豊国と名乗り、歌川派の重鎮として活躍した時期の作品ですが、画面に繰り広げられる見事な景色は、風景画を専門とした二代歌川広重が描いています。一点で、幕末最大の浮世絵派閥・歌川派の競演、“人物の豊国”と“風景の広重”を楽しめる、お得な作品です。皇族の服をリフォーム!?《紺地龍“寿山福海”模様刺繍帳》(部分)清時代 (19世紀)最後のおすすめ作品は、刺繍で装飾された美しい布です。長谷川さん「帳(とばり)」とは、中国文人風の「煎茶会」を邸宅の広間で催す際、茶室の入り口に掛けられた暖簾(のれん)のような布のことです。この羅地(らじ)の絹は、中国皇帝のシンボル・五爪をもつ龍と、さまざまな吉祥文様を各色に染めた色糸による刺繍によって、ことに龍の鱗は金箔の「撚(よ)り糸」による刺繍で装飾されています。限りなく吉祥文様が詰まった“寿山福海”(じゅざんふくかい)という意匠です。この帳は何と、清朝皇族の袍(服)であったものを、煎茶人がリフォームしたものと推定されます。姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」でうれしい割引も!長谷川さんの解説、いかがでしたか。ほかにも、迫力満点の橋本雅邦「龍虎図屏風」(重要文化財)と、鈴木松年「群仙図屏風」の屏風対決が見られたり、大人気の国宝「曜変天目(稲葉天目)」も出品されたりと、静嘉堂のスター作品も登場。おめでたい気分を味わえること、間違いなしです!なお、本展では「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含めて入館料が200円も割引になります。ぜひ、お友だちやご家族のなかで辰年生まれや姓名にご縁のある方を探し、みなさんでハッピーな展覧会にお出かけください。Information会期:2024年1月2日(火)~2月3日(土)会場:静嘉堂@丸の内開館時間:10:00~17:00※金曜は18:00閉館。※入館は閉館時間の30分前まで休館日:月曜日(ただし1月8日(月・祝)、1月29日(月)は開館)1月9日(火)※1月29日(月)はトークフリーデーとして特別開館いたします。観覧料:一般¥1,500大学・高校生¥1,000中学生以下無料※「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含め、本展の入館料を ¥200割引。※他の割引との併用不可。※ご入館の際、証明になるものをご提示ください。
2023年12月22日マリー・ローランサンはパリに生まれ、生涯のほとんどをパリで暮らした生粋のパリジェンヌ。1920年代、世界各地から芸術家が集まり、多彩な才能がひしめくパリで独自の画風を極め、人気画家に。上流階級の女性たちはこぞって肖像画を描いてもらうことを切望し、かのココ・シャネルもその一人だったとか。自由に美しく女性を描き続けた画家が手にしたものは?本展「マリー・ローランサン―時代をうつす眼」は日本でも広く愛されるローランサンの作品を同時期にパリで活躍したブラック、ピカソ、藤田嗣治らの作品とともに紹介。自作詩の発表や、当時一世を風靡したバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の舞台美術や衣装を手がけるなど、絵画にとどまらない活動にも迫る。ローランサンが描くのはアーモンド形の瞳に白い肌、パステルカラーのドレスをまとう女性たち。まるで水彩画のような透明感が印象的だ。「初期の作品では伝統的な手法で暗い色彩を厚く塗っていますが、時代を経るに従って薄く絵の具を溶き、下の色が透けて見えるように塗り重ね、軽やかで透明感のある色彩が生み出されています。明るいイメージもありますが、灰色がかった落ち着いた色彩を使い、絵の具の質感もきちんと残っています」とアーティゾン美術館学芸員の賀川恭子さん。“灰色がかった落ち着いた色彩”は、同じ年齢でパリ生まれの画家ユトリロの描くパリの街角や曇り空のアンニュイな雰囲気にも通じるものが。重厚な石造りの街で、花のような衣装をまとう女性たちの姿はいっそう優しく美しい。「それまで女性画家に求められていたのは花、女性、子どもたちの絵。その点でローランサンは伝統に則ったといえます。詩的ではかなげな妖精のような女性像は男性たちからも好意的に受け止められていました」順風満帆に見える人生だが、私生活ではドイツ人男爵と結婚した直後に第一次世界大戦が勃発、国外亡命を余儀なくされる。戦後まもなく離婚、パリに戻った翌年に開いた個展が大成功を収め、第二の人生が始まった。晩年の大作《三人の若い女》に描かれている女性たちはくつろぎ、心から満たされているよう。我が道を貫いたローランサンの心境もまさにこうだったのかも。「女性の活躍が今よりも難しかった時代に、画家だけではなく小説家や詩人とも交流することで活躍の幅を広げ、ある意味したたかに生きて公的な評価を得ることができました。芸術家として生き抜くこと。それがローランサンの追求したことなのかもしれません」マリー・ローランサン《椿姫 第3図》1936年、マリー・ローランサン美術館マリー・ローランサン《プリンセス達》1928年、大阪中之島美術館マリー・ローランサン《椿姫 第9図》1936年、マリー・ローランサン美術館マリー・ローランサン《花を生けた花瓶》1939年、マリー・ローランサン美術館マリー・ローランサン《帽子をかぶった自画像》1927年頃、マリー・ローランサン美術館マリー・ローランサン―時代をうつす眼アーティゾン美術館 6階展示室東京都中央区京橋1‐7‐2開催中~2024年3月3日(日)10時~18時(2/23を除く金曜は~20時。入館は閉館の30分前まで)月曜(1/8、2/12は開館)、12/28~1/3、1/9、2/13休ウェブ予約チケット1800円、窓口販売チケット2000円ほか※日時指定予約制TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)マリー・ローランサン1883年、パリ生まれ。アカデミー・アンベールで学び、キュビスムの画家として活動をスタート。独自の画風を確立し、2度の大戦を経て亡くなるまで制作を続ける。1956年没。《三人の若い女》を制作中のマリー・ローランサンの1953年頃の写真、マリー・ローランサン美術館※『anan』2023年12月27日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年12月22日and media株式会社が運営するMEDIA PRESSは、アートメイク比較メディア「アートメイクの窓口」と共同で、全国の102名を対象に「メンズアートメイクへの意識」に関する調査を実施しました。近年、美容にこだわるのは女性だけではありません。多くのメンズも美容に取り組んでいます。中でも、眉毛の形で顔の印象が大きく変わることから、アートメイクを始める男性は少なくありません。では実際に、どれほどの男性がアートメイクに興味があり、どのような印象を持っているのでしょうか。そこで今回、and media株式会社が運営するMEDIA PRESSは、アートメイク比較メディア「アートメイクの窓口」( )と共同で、全国の男女102名を対象に「メンズアートメイクへの意識」に関する調査を実施しました。■調査サマリー・5割を超える男性がアートメイクに興味があると回答・アートメイクに興味を持った理由、第1位は「自分の眉毛に自信がないから」・眉毛のコンプレックスがある男性が6割以上・メンズアートメイクのイメージ、多かった回答は「費用が高い」「清潔」「スマート」・9割を超える男性がアートメイクに興味を持つことに好印象・眉毛コンプレックスの解消のためにアートメイクを受けることに対しては9割以上の方が『賛成』■5割を超える男性がアートメイクに興味があると回答まずはじめに、「あなたはアートメイクにどれくらい興味がありますか?」と質問したところ、とても興味がある :8.8%やや興味がある :47.1%あまり興味がない :27.5%まったく興味はない:16.7%という結果になりました。メンズアートメイクの調査結果155.9%と半数を超える男性がアートメイクに興味があるとわかりました。■アートメイクに興味を持った理由、第1位は「自分の眉毛に自信がないから」では、アートメイクに興味を持った理由は何なのでしょうか。次に、「アートメイクに興味を持った理由を教えてください」と質問したところ、『自分の眉毛に自信がないから』が20.6%、『清潔感のある自分になりたいから』が12.7%と2つの結果が多く見られました。メンズアートメイクの調査結果2眉毛一つで印象が大きく変わるため、整った眉毛は顔を整え、清潔感のある雰囲気を与えられます。また、男性の美意識の高まりを肌で感じて、自分も興味を持った方もいるようです。■眉毛のコンプレックスがある男性が6割以上眉毛に自信がないという回答が多かったですが、コンプレックスを抱いている方はどれほどいるのでしょうか。次に「あなたは眉毛にコンプレックスはありますか?」と質問したところ、ある:68.6%ない:31.4%という結果になりました。メンズアートメイクの調査結果36割を超える方が眉毛にコンプレックスを抱いていることがわかりました。■眉毛で抱えるコンプレックスとは?・眉毛が薄くて男性らしさがないのがコンプレックスに感じています。(40代)・眉の間がしばらく放置すると薄く繋がる。(40代)・眉毛の濃さや眉毛の形についてコンプレックスがあります。(20代)・量が多すぎてすぐ伸びる。(30代)・太いので気になっているが手入れの仕方がわからないのでそのままです。(50代)眉毛のお手入れのやり方や、再び生えてくる煩わしさにもコンプレックス・悩みがあるようです。■メンズアートメイクのイメージ、多かった回答は「費用が高い」「清潔」「スマート」皆さんは、メンズアートメイクに関してどのような印象を持たれているのでしょうか。次に、「メンズのアートメイクに対してどのようなイメージがありますか?」と質問したところ、『費用が高い』『清潔』『スマート』などといった回答が多い結果となりました。メンズアートメイクの調査結果4メンズのアートメイクに対して非常にいいイメージを持っている方が多いことが確認できました。■9割を超える男性がアートメイクに興味を持つことに好印象では、男性目線でメンズのアートメイクを持つことに対してどのように感じているのでしょうか。次に、「男性がアートメイクに興味を持つことに対してどのように思いますか?」と質問したところ、『良いと思う』という男性が、94.1%と圧倒的多数の結果になりました。メンズアートメイクの調査結果5男性も、アートメイクに対して興味を持つことに肯定的な方が多いようです。■眉毛コンプレックスの解消のためにアートメイクを受けることに対しては9割以上の方が『賛成』では、眉毛のコンプレックス解消に向けてアートメイクを受けることに対しては、どのように感じているのでしょうか。最後に、「眉毛のコンプレックスを解消するためにアートメイクを受けることは良いと思いますか?」という質問をしたところ、『良いと思う』という回答が、97.1%と圧倒的多数の結果となりました。メンズアートメイクの調査結果6今や男性芸能人でもアートメイクを受けた方は多くいます。日々のケアは手間がかかるため、アートメイクを検討される男性もごく一般的になっていくのではないでしょうか。■【まとめ】あなたに合ったアートメイククリニックを探してみませんか?以上、5割以上の男性がアートメイクに興味あり、メンズアートメイクのイメージも『清潔』や『スマート』といった好印象な回答が多く挙げられました。そして、眉毛にコンプレックスがある方は6割と非常に多いこともわかりました。眉毛のアートメイクは、1回の施術で2~3年間は持続するとされています。日頃のケアをせずに毎日かっこいい眉毛を維持できるなら、コスパも良いでしょう。男性こそ眉毛で印象が変わるため、眉毛が気になる方はぜひアートメイクを検討してみてはいかがでしょうか。■メンズアートメイクのことなら「アートメイクの窓口」アートメイクの窓口( )は、アートメイクのおすすめクリニックに特化した比較サイトです。自社検証と専門医の声をもとに40院以上のクリニックから、それぞれのニーズに合ったクリニックを紹介しています。地域ごとにおすすめのクリニックを紹介しており、比較検討できます。特に人気が高いクリニックの評判も紹介しています。「メンズのアートメイクができるクリニックを探したい」「失敗したくないから、人気で評判のいいクリニックを知りたい!」このようなニーズにも応えるコンテンツが充実しています。お悩みやご要望にぴったりなクリニックを見つけるための助けになるでしょう。眉毛のコンプレックスを解消したいメンズは、ぜひアートメイクの窓口をご活用ください。アートメイクの窓口: お問い合わせ : ■調査概要:メンズアートメイクへの意識に関する調査【調査期間】2023年11月21日(火)~2023年11月24日(金)【調査方法】インターネット調査【調査人数】102人■アートメイクの窓口概要 アートメイククリニックのおすすめ比較サイト。■and media株式会社概要 ・代表取締役:鳥越 凌・所在地 :〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町27-14■MEDIA PRESS概要 独自のリサーチでユーザーに価値ある情報を届けるメディア。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月22日展覧会の企画・運営を行う株式会社アートスペースは、スタジオジブリアニメ『耳をすませば』背景画を手掛けた画家井上直久の個展を2023年12月20日(水)~25日(月)まで銀座三越 本館7階ギャラリーで開催します。心の中にある風景を「イバラード」と名付けた画家井上直久その世界を舞台とした画集や絵本を刊行し、スタジオジブリ制作アニメ『耳をすませば』の挿話『バロンのくれた物語』で井上氏の世界観が紹介され話題になりました。また、『星をかった日』(原作:井上直久)の短編アニメが宮崎駿監督により制作され、三鷹の森ジブリ美術館の「土星座」で上映され、また国内はもとよりパリやニューヨークでも個展を開催し、人気を博しています。本展では、最新作の原画や版画を一堂に展示販売します。会期中は井上氏の来場もあり、購入した展示作品には作家が直接サインをいたします。また、会場ではライブペインティングも実施(不定期)する予定で、目の前で「イバラード」の世界が創られる過程をお楽しみいただけます。■井上直久氏来場会期中毎日午後1時~5時(都合によりイベントの変更または中止の場合もございます)【展覧会概要】イベント名: イバラードの世界井上直久絵画展会期: 2023年12月20日(水)~25日(月)最終日は午後5時終了会場: 銀座三越本館7階ギャラリーお問い合わせ: 03-3562-1111(代表)アクセス: 東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」銀座四丁目交差点改札より徒歩1分東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」(9番出口)より徒歩5分都営浅草線・東京メトロ日比谷線「東銀座駅」銀座駅方面地下通路経由徒歩2分JR「有楽町駅」(中央口・銀座口)より徒歩9分(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2023年12月21日写真を中心に映像、映画、空間のインスタレーションまで手掛ける蜷川実花。近年はデータサイエンティストの宮田裕章らと共に、クリエイティブチーム〈EiM(エイム)〉としても活動している。そんな彼女が〈EiM〉として挑む本展「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」は、自身にとっても過去最大規模となる体験型展覧会。地上200m超、総面積が約1500平方メートルのスケールを持つ会場には、桃源郷をイメージした全11の美しい作品が登場する。映画監督の顔も持つ蜷川実花の真骨頂。桃源郷を体験する大規模展。映像は全て本展のために制作された新作&撮り下ろし。どれも幻想的な美しさながら、CGなどを使わずに現実を切り取ったものを、非現実な美しさへと昇華している。展示する作品は、それぞれが建築、音楽、舞台美術など各分野のプロフェッショナルらと共創し、作品ごとに異なるチームメンバーで完成させたもの。どの作品も、展覧会の顔となるクオリティの高さだ。これらの作品は、会場のスペースに合わせて計算して制作された。外光すらも作品の一部として取り入れているので、ゲストは訪れるたびに異なる表情を楽しむことができる。それゆえに、他の施設への巡回などはできない。まさに唯一無二の展覧会なのだ。イントロは、蜷川実花の代名詞ともいえる鮮やかな極彩色のイメージを覆す、漆黒の暗闇から始まる。次に登場する《Flashing Before Our Eyes》は最高天高15mのドーム型天井全面を使った大型のインスタレーション。動と静、生と死、緊張と緩和など対となる概念が走馬灯のように現れる。無意識の状態から、意識を取り戻して再び目覚めるまでをイメージした作品だ。《Intersecting Future》は上下左右、鑑賞者の視界一面を埋めつくす花々の様子を桃源郷のように表現。これは映画のセット技術を活用した迫力のある体験型展示だ。《胡蝶のめぐる季節》は蝶に誘われながら、四季の映像を巡る作品。投影される花々はCGではなく実物。6層ものスクリーンを行き交う鑑賞者も、作品の一部となる仕掛けになっている。「何気ない日常の景色も少し見方を変えるだけで、全く異なる美しさや情感に出合うことができる。本展の核である映像全てに共通するのが、夢のように見える美しい景色であっても、全て現実の映像であること、それらの大半は人々の日常にある、何気ない場所で撮影されている」という〈EiM〉のメッセージの通り、本展を見れば、日常のモノの見方が少し変わるかもしれない。《Flashing Before Our Eyes》イメージ《Intersecting Future》イメージ《胡蝶のめぐる季節》イメージMika Ninagawa1972年、東京都生まれ。写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか多数受賞。『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)はじめ映画を5作、Netflixドラマ『FOLLOWERS』を監督。クリエイティブチーム「EiM:Eternity in a Moment」の一員としても活動中。蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠TOKYO NODE GALLERY A/B/C東京都港区虎ノ門2‐6‐2虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F開催中~2024年2月25日(日)月・水・木・日・祝日10時~20時(火曜~17時、金・土・祝前日~21時。入場は閉館の30分前まで)年末年始等休館日あり一般2800円ほかTEL:03・6433・8200(トウキョウ ノード インフォーメーション)※『anan』2023年12月20日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2023年12月20日イルミネーションを見たり、ちょっと遠くの温泉に行ってみたり、冬のおでかけ欲が湧いてくるこのシーズン。東京で、「昭和」へとタイムトリップする旅を楽しんでみませんか?ホテル雅叙園東京の東京都指定有形文化財「百段階段」で開催されている「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」は、昭和らしい風景を追体験できる企画展!今では珍しいネオンや豪華絢爛なフォトスポットなど、見どころ満点です。■架空の旅館「旅亭 雅楼」から始まる、昭和レトロな旅「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」は2023年12月2日(土)~12月24日(日)、2024年1月1日(月・祝)~1月14日(日)に開催される期間限定のイベント。会場となる「百段階段」は1935年に建設された当時のまま保存されているホテル雅叙園東京唯一の木造建築で、東京都指定有形文化財にも指定されています。螺鈿のエレベーターに乗って会場へと向かうと、目に飛び込んできたのは提灯がかけられた「旅館の入り口」。今回の企画展では文化財「百段階段」を1935年に開業した「旅亭 雅楼(みやびろう)」という架空の宿に変身させ、ゲストを昭和レトロな旅へと誘います。家紋も、この企画展のために作ったオリジナル。作り込みがすごい……!文化財「百段階段」は、以前宴会が行われていた全7部屋を99段の階段で繋いでおり、各部屋で「ニッポンの風景」をテーマにした展示を楽しめます。最初の部屋「十畝の間」は「旅亭 雅楼」の客間という設定。広縁に座って外の景色を眺めたり、書斎でくつろいでみたり。昭和の懐かしい旅館を思わせる空間で、自由に写真撮影を楽しめます。ちなみに「旅亭 雅楼」の家紋の元となった牡丹のデザインがこの部屋に隠れているので、ぜひ探してみてくださいね。「漁樵の間」のテーマは「お祭り」と「祝祭」。神事や祈願にも使われている日本酒の菰樽(こもだる)や五穀豊穣を願う米俵など、お正月にぴったりのおめでたい装飾が施されています。「漁樵の間」はそもそも純金箔や彩色木彫があしらわれた絢爛豪華なお部屋。「ここでかつては宴会が行われていたのか……」と昭和時代に想いを馳せたくなる豪華さです。続く「草丘の間」のテーマは「こけし」。絵本や書籍、雑誌を中心に活躍するイラストレーター・佐々木一澄さんの著書『こけし図譜』とコラボレーションし、原画や約200体のこけしがずらりと並んでいます。昭和時代、家庭によく飾られていた「こけし」は東北でしか生産されていない伝統文化。表情がじわるこけしを見ているだけで、なんだか心が穏やかになります。ポップな作品が展示された「静水の間」。京都出身・在住のイラストレーター、中村杏子さんの作品集『郷愁的商店街図集』『家内幸福』より選出した、想像上の商店街や建物を描いたデジタルイラストを大型パネルで展示しています。絵をよく見ると「たばこ屋」や「薬局」など、昭和を感じるお店も。クリームソーダやデパートの動物の乗り物を描いた作品をイメージしたフォトスポットで写真を撮るのもおすすめです!■ガスの揺らめき、見たことある?本物のネオンがエモすぎる「星光の間」はどこか怪しげな暗闇の中に、煌々と光る「ネオン」をテーマにした部屋。アーティスト・デザイナーであるはらわた ちゅん子さんの「ゆのまちネオン」シリーズの作品を、アオイネオン株式会社が実際のネオン管で製作したものが展示されています。昭和レトロを象徴するネオン看板は通常遠目でしか見ることができないことも多く、さらに現在多くの看板がLEDへと切り替わっているため、間近で見られることが貴重です。そもそもネオン管とは、ガスを封入して放電し発光させるもの。近くで見ると、ガスの揺らめきまで見えちゃうんです。エモ……!LEDは直線的な光を放つのに対し、ネオンはガスのふんわりとした光を放つのが特徴。ネオン管は職人の技が詰め込まれた芸術作品で、ガスを封入した時にできるガラスの閉じた痕跡も見ることができるので、ぜひ注目してくださいね。「清方の間」はホテル雅叙園東京の前身となる「目黒雅叙園への旅」がテーマ。昭和初期に誕生した目黒雅叙園時代のパンフレットや絵葉書などが展示されています。当時の広告には「東洋一の割烹店」「我らが誇る三大名所 富士ヤマ 日光 雅叙園」など、昭和らしい自信に満ちあふれたキャッチコピーが書かれ、じわじわくるエモさでした。最上階となる「頂上の間」では文筆家・甲斐みのりさんの著書『日本全国 地元パン』とコラボレーションし、47都道府県の昔懐かしい「地元パン」を紹介しています。ずらりと並んでいるのは、甲斐さんが収集している全国のパンの袋!パッケージを見ているだけで全国を旅したような気分になり、食べたことのあるパンや地元のパンを見つけるのも楽しいですよ。昭和初期に建てられた本物の木造建築で、昭和の文化に触れられる「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」。どこを見ても、「エモい」が止まらない空間や作品だらけでした。友達を誘って、昭和レトロの世界に遊びに行ってみてくださいね!・ホテル雅叙園東京「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」住所:東京都目黒区下目黒1-8-1HP:(撮影・取材・文:小浜みゆ)
2023年12月14日大胆な構図と斬新な作風で有名な日本絵画の鬼才・伊藤若冲(じゃくちゅう)や長沢芦雪(ろせつ)。そんな従来のイメージを一新する、ゆるくてユーモアあふれる作品を紹介しているのが、特別展『癒やしの日本美術―ほのぼの若冲・なごみの土牛―』。まるでゆるキャラのような若冲の《布袋図》や、もふもふの描写がたまらない芦雪の《菊花子犬図》など、希少な個人所有品も数多く登場する。その可愛らしさに、きゅんとする。思わず笑みがこぼれる日本美術。また奥村土牛(とぎゅう)の《兎》や竹内栖鳳(せいほう)の《鴨雛》といった、ふわふわの動物画、愛らしい子供画など、キュートなモチーフが集まっていて、日本画初心者も気軽に楽しめるはずだ。伊藤若冲《伏見人形図》1799(寛政11)年紙本・彩色山種美術館伏見稲荷の土産物として知られる素朴な伏見人形は、若冲が長年好んで取り上げた絵のモチーフ。伊藤若冲《布袋図》18世紀(江戸時代)紙本・墨画個人蔵特にふくよかな姿の布袋さん。吉祥画題でおなじみの、このテーマの作品も数多く残っている。長沢芦雪《菊花子犬図》18世紀(江戸時代)絹本・彩色個人蔵子犬の絵でも有名な円山応挙の弟子・長沢芦雪。彼の犬の絵は師匠譲りで写実的だったが、次第にゆるくなり、キュートなフォルムの子犬画は江戸時代にも大ブレイクした。特別展『癒やしの日本美術―ほのぼの若冲・なごみの土牛―』山種美術館東京都渋谷区広尾3‐12‐36開催中~2024年2月4日(日)10時~17時(入場は閉館30分前まで)月曜(1/8は開館)、12/29~1/2、1/9休一般1400円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2023年12月13日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2023年12月12日多種多様な民間仏に込められた、人々の祈りとは?仏像展「みちのく いとしい仏たち」をご紹介します。みちのく いとしい仏たち「仏」という言葉から連想される一般的な姿とは微妙に異なる愛らしい表情やぎこちないフォルム。それなのに不思議と親近感が湧いてくるこれらの仏像は江戸時代、みちのくの地で作られた“民間仏”。大工や木地師(きじし※ろくろを用い、主に木工品などを作る職人)が製作した民間仏は小さなお堂や祠に祀られ、人々の心の拠り所、そして日常のささやかな祈りの対象として大切にされてきた。しかし、当時は上方や江戸で修練を積んだ仏師が、立派で端正な姿の仏像を製作し、全国に広がっていった時代。そんな時代に、なぜみちのくでは民間仏が浸透していた?「立派な仏像・神像は大変ありがたい存在ではありますが、厳しい風土を生きる東北の人々は、生活のなかの小さな愚痴やちょっとした日々の心配ごとなどを聞いてもらう対象として、もっと親しみやすい存在を必要としていたのでしょう。それは必ずしも立派な姿である必要はなく、やさしい姿かたちのお像で十分だったのだと思います。むしろそうしたお像だから悩みを打ち明けやすかったのでは」(東京ステーションギャラリー学芸員・柚花文さん)民間仏の造形は、シンプルさを追求したようなものから、装飾性のあるもの、立像から坐像までさまざま。「立派なご本尊も目にしているはずなので、大工さんも仏像の造形の基本を知らなかったわけではないはず。その上で仏像作りのルールに忠実に従うよりも、依頼主の気持ち、たとえば疫病、飢饉、災害などで命を落とした人々への鎮魂などに寄り添い、できる技術の範囲のなかで心を込めて作った結果、生まれた造形なのだと思います」「笑みをたたえる」「ブイブイいわせる」といったユニークな8つのセクションで構成され、約130の民間仏が展示される本展。歴史ある東京ステーションギャラリーならではのレンガ壁の展示室とマッチした風景も、見どころのひとつになりそう。「難しい話は抜きにして、人々が民間仏にどのような祈りを込めてきたのかについて、思いを馳せながら楽しんでいただければ」と柚花さん。似ている誰かを想像したり、お気に入りのひとつを見つけたり。仏像展初心者も、ぜひ足を運んでみて。《六観音立像》江戸時代宝積寺/岩手県葛巻町良質なカツラの木に彫られたあっさり顔の六観音立像。顔とは対照的に衣のひだからは手が込んでいることがわかる。6体並んだときの祈りの静けさと装飾性を帯びた造形が秀逸。《山神像》江戸時代兄川山神社/岩手県八幡平市本展のメインビジュアルにも選ばれた、林業に携わる人々に今なお厚く信仰されている山神様。狭い肩、バランスのとれた3頭身、控えめな合掌ポーズが魅力的。《不動明王二童子立像》江戸時代洞圓寺/青森県田子町腰をくねらせた不動明王と、やんちゃそうな筋肉もりもりの童子たち。山深い土地で生まれた味わいあるトリオ。《鬼形像》江戸時代正福寺/岩手県葛巻町地獄で亡者の罪を責め苛む鬼が、左手に女性を引きずり得意満面な表情を見せる。楽しそうな表情からは、つらい現世を笑い飛ばしたいという願いも見受けられる。《童子跪坐像》右衛門四良作江戸時代(18世紀後半)法蓮寺/青森県十和田市丸みを帯びた像の底が前後に揺れる可愛らしい仏像。十和田にはこうした武骨で優しい像が多く残されている。みちのく いとしい仏たち東京ステーションギャラリー東京都千代田区丸の内1‐9‐1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)12月2日(土)~2024年2月12日(月)10時~18時(金曜~20時。入館は閉館の30分前まで)月曜(1/8、2/5、2/12は開館)、12/29~1/1、1/9休一般1400円ほかTEL:03・3212・2485※『anan』2023年12月6日号より。写真・須藤弘敏(by anan編集部)
2023年12月06日舞台や映画、小説、コントなど、あらゆる分野で独自の世界観を生み出している松尾スズキさん。還暦を機に人生初の個展を開く。その名も「生誕60周年記念art show『松尾スズキの芸術ぽぽぽい』」。わかりやすいものを描いたら負け(笑)。ポエムも添えました。「コロナ禍で時間が空いてしまった時に、部屋に飾る絵が欲しいなとキャンバスに描き始めたんです」小さい頃から絵が好きで漫画家を目指した時期もあり、美大のデザイン科に進学した。表現のスタートは絵なのだが、演劇の道に進んでから、仕事を離れ、純粋に作品を描いたのは久々の体験だった。「数年前からiPadで描くことを覚えて、連載しているメールマガジンにイラストを発表したりしていました。そして、自分は絵を描くのが好きだったと思い出したんです。ただ、アクリル絵の具で描きだしてからは、デジタルで描こうという気にならなくなってしまって」iPadと、紙やキャンバスに描くのでは肉体的な感覚が全く異なる。「紙の上にペンを走らせる時のカリカリカリというASMR的な気持ちよさ(笑)。はみ出さずに色を塗れた快感や、パレットと紙の上に載せた色が変わって見える驚き。アナログの『失敗できない』という緊張感は、舞台と似ているところがあるのかもしれません」還暦のイベントとして展示するのはどうか、とスタッフの発案で本展の開催が決まった。2年間ひたすら描き続け、大小合わせて約250点以上の作品が展示される。描く中で気づいたのは、背景よりもキャラクターを描きたいということだった。「『シン・ヒョットコ』のフォルムを見つけた時は興奮しました」花瓶のような輪郭の「シン・ヒョットコ」や、ぶ厚い唇の怪獣(?)「トゲくちびる」など、独自のキャラクターがたびたび登場する。「モンスターのモチーフは多いですね。勝手に頭の中で、松尾の中のアベンジャーズがポーズを決めている感じ(笑)。僕自身、俳優としても動いていたいタイプなので、絵の中でも普通には立たせたくないんです」横尾忠則さんや岡本太郎さんの作品に惹かれるという松尾さん。「描かずにいられなかったんだろうと思わせる、己が出ている作品が好きですね。わかりやすいものを描いたら負けだなと思って(笑)」ただ、意識しているのは「どこか可愛げのある絵」。ポップな色調の自画像や屏風のようなものなど、作品もバラエティに富んでいる。また、本展では作品ごとにポエムのような小さな文章を添えるらしい。「読み物としても楽しんでもらえたらと、図録にも全て収録します。めちゃくちゃ大変でしたが、自分はやっぱり言葉の人間でもあるのだなと思いました」豪華ゲストを迎えたトークセッションのほかに、映像や立体作品なども展示する。自ら台本を書き、吉田羊さんとのかけ合いで構成する本人による音声ガイドは必聴だ。タイミングが合えば、会場で松尾さん本人に会えるかも?人を楽しませることにこだわってきた松尾さんらしいart showになる予感。「花とおじさん」アクリル/キャンバスボード 横240mm×縦300mm「トゲくちびる・発射」アクリル/画用紙横242mm×縦350mmまつお・すずき1962年、福岡県生まれ。作家、演出家、俳優。’88年に大人計画を旗揚げ。2020年よりBunkamuraシアターコクーン芸術監督、’23年より京都芸術大学舞台芸術研究センター教授に就任。著書に『人生の謎について』『矢印』『ツダマンの世界』など。「生誕60周年記念art show『松尾スズキの芸術ぽぽぽい』」絵と作品に添えた文章、音声ガイドの情報から想像を膨らませて、立体的に楽しんでほしい、と松尾さん。作家の脳内探索ができるような展示を目指している。作品の複製画(ジグレー)、銅版画(エッチング)をサイン入りで販売するほか、Tシャツやクリアファイル、豆皿などグッズ展開もある。スパイラルホール(スパイラル3F)東京都港区南青山5‐6‐2312月8日(金)~15日(金)11時~17時(8日は13時~20時、9・10日は11時~20時)。日時指定予約制。前売り1900円ほか。松尾スズキさん本人による音声ガイド付き入場券も。当日券あり。大人計画 TEL:03・3327・4312(平日11時~19時)※『anan』2023年12月6日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年12月03日今月24日に開業する麻布台ヒルズの一角に、麻布台ヒルズギャラリーがオープンする。その開幕を飾るのが注目のアーティスト、オラファー・エリアソンの展覧会だ。光と水、幾何学形態が描く、自然が秘める美をこの目で。「本展のねらいは、敷地内にある森JPタワーのオフィスロビーで公開されるパブリックアート、《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》のコンセプトを探求することにあります。ぜひパブリックアートを観賞してからご来館ください」と森美術館アソシエイト・キュレーターの德山拓一さん。本作は小さな11面体が連なる作品で、リサジュー曲線と呼ばれる数式が導き出す図形を立体にしたもの。環境問題を扱ったテーマで知られるエリアソンだが、幾何学的な形態の研究を長年続け、その集大成ともいえる。会場ではこの作品が生まれたバックグラウンドとして、新作を含む日本初公開の15点が展示される。エリアソンの名を一躍有名にしたのは、2003年、ロンドンのテート・モダンで発表した大型のインスタレーション《ウェザー・プロジェクト》だ。「夕焼けを再現した作品で、それ以降も身の回りにある自然現象や光、水などを使い、見る、聞くといった知覚に訴えかける作品を制作しています。非常にシンプルですが、強いインパクトを与えるのが特徴です」今回も水を使った大規模なインスタレーションや光の反射を用いた作品が展示されるほか、ドローイングマシンを体験できるコーナーも。「美しさとは人の感覚に直接訴えかけるもので、美しさが人の意識を変えることができると信じている」とは、德山さんが作家にインタビューした際に印象に残った言葉だとか。「彼の作品は、光はこんなにきれいなんだ、水でこんなに複雑な表現ができるんだと、その本質的な姿を出現させてくれます。そうした個々の気づきを意識の変革につなげるのが素晴らしい。本展もそういう観点から観てもらえれば嬉しいです」《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》(部分)2023年展示風景:麻布台ヒルズ森JPタワーオフィスロビー、2023年撮影:木奥恵三小さな11面体の特定の面と面をつなぎ合わせることで、リサジュー曲線を描く立体作品。1つでも面がずれると全く異なる形になってしまうとか。《蛍の生物圏(マグマの流星)》2023年撮影:Jens Ziehe3重に重なるガラスの多面体を通過した光の乱反射が七色に変化する。イマーシブル(没入型)な体験ができる美しい作品。《瞬間の家》2010年撮影:Christian Uchtmann展示会場の半分を占める、水を使った大型インスタレーション。自在に形を変えられる水の特性を生かした表現に注目を。スタジオ・オラファー・エリアソン キッチンでの昼食の様子(2017年)撮影:Maria del Pilar Garcia Ayensa会期中、麻布台ヒルズギャラリーカフェでは、ベルリンにあるスタジオ・オラファー・エリアソン キッチンとのコラボレーションメニューを味わえる。麻布台ヒルズギャラリー開館記念 オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期麻布台ヒルズギャラリー東京都港区虎ノ門5‐8‐1麻布台ヒルズガーデンプラザA MB 階11月24日(金)~2024年3月31日(日)10時~19時(火曜~17時、金・土・祝前日~20時。入館は閉館の30分前まで)1月1日休一般1800円ほかazabudaihillsgallery@mori.co.jp※『anan』2023年11月29日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年11月28日