2度のアカデミー賞に輝くダスティン・ホフマンと注目の新人俳優ギャレット・ウェアリングが、少年合唱団のベテラン団長と自らの才能を開花させていく天才少年を演じる映画『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』。このほど、本作をいち早く鑑賞した中谷美紀、BONNIE PINKら各界の著名人から絶賛の声が到着。また、数々の音楽作品を手がけてきた本作のプロデューサー、ジュディ・カイロが語るコメントも到着した。本作は、複雑な家庭環境に育った孤独な少年が、突然の事故をきっかけに米国一のエリート少年合唱団を有する私立高に入学し、ベテラン合唱団団長と出会い、人生を切り開いていく感動のドラマ。大空に舞い上がるような高音域で人々を魅了する13歳ごろまでの少年の歌声は、その時代だけに与えられた束の間の美しさと、奥深い力を放つ。ベテラン教師でいまなお衰え知らずの頑固な合唱団団長カーヴェルに、ダスティン・ホフマン。そして天才少年シンガー、ステットを演じるのは、新人若手俳優ギャレット・ウェアリング。『レッド・バイオリン』(’98)でアカデミー賞「作曲賞」を受賞したフランソワ・ジラールがメガホンを取った。現在、マスコミ関係者向けに行われている本作の試写会は連日、満席が続いており、予約で数十席が埋まるほどの人気ぶり。そして、音楽に精通した著名人を始め、役者、ジャーナリスト、タレント、キャスターと著名人たちから幅広い支持を得て、応援コメントが続々寄せられている。本作でプロデューサーとして名を連ねるジュディ・カイロは、TVミニシリーズ「ELVISエルヴィス」、『クレイジー・ハート』など音楽作品を多く手掛けてきた敏腕プロデューサー。彼女は、本作が多くの人々から共感を得る理由について、「素晴らしいメッセージがあるからだと思う。どの子どもにも輝くチャンスがある。自分の声を見つけ、人生の目標が何であってもそれに到達し、大きな夢をみるチャンスがある。それがこの映画で語っていることなの」と明かす。たぐいまれなる美声という自らの才能を、団長や仲間とのかかわりの中で開花させていくステット少年を体現してみせた新星ギャレットについては、「発見だったわ。素晴らしい子なの」と絶賛。「彼は美しい声と、素晴らしい人柄の持ち主で、監督のいうことをよく聞く。きっとスターになると思うわ」と太鼓判を押している。<著名人コメント抜粋>鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「久し振りに心を揺さぶられ、心を洗われ深い感動を覚えた、そんな映画だ。変声期の前に束の間だけ訪れるボーイソプラノの天使の声。問題児だった主人公が歌うメサイアのソロが哀切に胸に響く」BONNIE PINK(シンガーソングライター)「少年のフラジャイル(壊れやすい)な心が、歌という力を得てみるみると強くなっていく。私も小学校の合唱団出身なので、鞭打たれた思い出と重なってジーンと来ました。ボーイ・ソプラノに心洗われた後なら、ファルセットのhigh Dも出るかも!是非お試しあれ」中谷美紀(女優)「孤独な少年の心が少しずつほどけていく姿と、情感あふれる歌声。ただそれだけをシンプルに描いたこの作品に、思わず涙させられました」鎌谷悠希(「少年ノート Days of Evanescence」「隠の王」漫画家)「いまの声を失った未来の自分と自信を、今の声が育んでいる―――。儚く美しい、圧倒的な魅力がボーイソプラノにはあります。それがゆえに心を揺らがせる少年達の想い、見つめる大人達の想いそれぞれが内包されたメサイアのあの合唱を、聴衆のひとりになって何度でも聴いていたい!」『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』は9月11日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月20日ナチス・ドイツの手からたった一人で逃げ続けた8歳のユダヤ人少年が実在していたのを知っていますか?現在も存命の本人による証言をもとに書かれたノンフィクション作品を映画化した『ふたつの名前を持つ少年』。戦後70年という節目を迎えた今年見るべき感動と衝撃の実話です。第2次世界大戦時、ユダヤ人少年スルリックは強制居住区から脱走し、森の中へ逃げ込んでいた。家族とも生き別れ、たった一人で道なき道を歩き続けていたが、容赦なく襲う雪により凍死寸前となったスルリックは、ある村でヤンチック夫人に保護される。生きるためにスルリックというユダヤ人の名前を捨てた少年に、夫人は“ポーランド人孤児ユレク”として生き延びる術を覚えさせる。ユダヤ人であるがゆえに、逃げるように転々とする生活を余儀なくされ、常に死と隣り合わせの生活を送り続けた少年の壮絶な運命。父との約束通り生き抜いたユレクが旅の終わりに見つけた未来への希望とは?そして、戦争が終わりを迎えるころ、ユレクには大きな決断を下すときが迫っていた……。大人でも耐えられないような生活を強いられているにも関わらず、生きることを最後まで諦めずに闘い続けたわずか8歳の少年。その強い眼差しが見つめる希望をこれからも守り続けていくべきだと感じさせられ、想像を絶する3年間を耐え抜いた少年の姿に胸を締め付けられます。本作でユレクを演じたのは、ヨーロッパ中で700人以上の子供たちを1年以上かけてオーディションして選ばれた一卵性双生児のアンジェイとカミル。「外交的なアンジェイがアクティブなシーンを演じ、内向的なカミルが繊細なシーンを演じることで、より幅広い感情を表現することができた」と監督が語るように、2人の少年が力をあわせて作り上げたユレクの隣に観客は寄り添わずにはいられません。戦争がもたらす悲惨さや自分の命を顧みずに他人を助ける人間の温かさを目の当たりにしたとき、あなたの中にも多くの想いが込み上げてくるはず。そして、一つの生命が持つ尊さと強さに心を揺さぶられます。一人の少年が背負った過酷すぎる運命は、とても現実に起きていたことだとは信じがたいかもしれません。しかし、それは他人事ではなく、子供から大人まで一人一人が戦争について目を逸らさずに向き合うときが来ているのだと改めて考えさせられるはずです。イベントデータ:『ふたつの名前を持つ少年』公開表記:8月15日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー配給:東北新社© 2013 Bittersuess Pictures
2015年08月12日ダスティン・ホフマン主演の映画『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』のフランソワ・ジラール監督と、劇中で天才的な歌の才能を持つ少年を演じたギャレット・ウェアリングが来日。8月4日(火)に行われた試写会の上映後に舞台挨拶を行った。孤独な少年が全米一の合唱団を率いる指導者との出会いを経て、変声期前の限られたわずかな期間しか出すことのできないボーイ・ソプラノの奇跡の歌声に青春を捧げ、成長を遂げていくさまを描く。初来日となったギャレットくんは開口一番、覚えたての日本語で「来テクレテ、アリガトウ!」と挨拶し喝采を浴びる。日本で見るもの、食べるもの全てが珍しく、楽しいようで「ポッキーやコアラのマーチを食べました!街のあちこちにドラえもんがいるし面白い!おみやげに買い占めて帰りたいです(笑)。I LOVE JAPAN SO MUCH!!」と満面の笑顔を浮かべる。そんなギャレットくんをジラール監督は絶賛。オーディションで長編映画初出演となる彼を抜擢したが「素晴らしい俳優の誕生に立ち会えたことを幸せに思います。寡黙で孤独な少年の役でしたが、それを演じるには内面性が必要です。彼の年代でそれを有し、それを表現できる俳優はほとんどいません。彼は言葉や動きなしで、佇まいで少年の内面を表現してくれました」と語る。監督自身、親日家で知られ今回が「おそらくは25回目くらいの来日です」とのことだが、初来日のギャレットくんを見やり「これから日本のみなさんも、彼を何度も目にすることになる思います。『これが25回目の来日です』と語る姿を見る日が来ることでしょう」とこれからのキャリアに太鼓判を押した。ちなみに撮影中と比べてギャレットくんはかなり背が伸びたよう。「だいぶ伸びました。実は撮影中も伸びてて、衣裳スタッフから『これ以上伸びちゃダメ!』と言われました(笑)。そんなこと言われても困るけど…。髪も短くなったし、残念だけど、もう高音の『レ』は出せません…」と凄まじいスピードでの成長を明かした。撮影現場ではダスティン・ホフマンやキャシー・ベイツといった大御所の俳優陣にかわいがられたようで「初めての長編映画で彼らと仕事をさせてもらえるなんて、貴重な経験でした。彼らは気さくでオープンで、いろんなことを教えてもらいました。そこで教わったことは僕にとっては宝物です。一緒にランチに行くこともありました。一度、ダスティン・ホフマンとキャシー・ベイツも一緒にバーガー屋さんに行ったことがあったんだけど、ダスティンは先に着いてて『おれはもう4つ目だけど、どんどん食べなよ』と大盤振る舞いでした(笑)。キャシーとダスティンに挟まれてランチを取ることになるなんて今でも信じられないね」と語っていた。ちなみに、次回作の予定を尋ねるとギャレットくんは「『インディペンデンス・デイ』の続編の撮影をもう終えました。20年近く前の映画の続編ですが、すごい映画になってるよ!」とアピール。一方、ジラール監督はオペラや舞台の演出が決まっているそうだが、特に2011年に中谷美紀を主演に迎え、井上靖の同名小説を舞台化し、ジラール監督が演出を務めた「猟銃」が来年、再び日本で上演されると明かし「美紀さんが本当に素晴らしいのでぜひそちらもお楽しみに」と呼びかけた。『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』は9月11日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月05日ギラギラ照りつける真夏の太陽を浴びると、身体の奥底からプリミティブなリズムが湧きあがってきて、本能のままに踊ってみたくなりませんか? えっ、紫外線は気になるし、ただでさえ夏は弱いのにとんでもない? いえいえ、エアコンの効いた涼しいお部屋でお楽しみください。人間が本来、持っている“踊りたい!”という欲求を、余すところなく満たしてくれるダンスシーンが見事な映画たち。特に、狂おしいほど魅力的なラテンのステップが、これでもか!これでもか! と楽しめるマンボ、フラメンコ、タンゴは、ダンスに興味がなくてもその肉体美に目がクギ付けに! お薦めの傑作映画を3本をご紹介します。セクシー&官能的なダンスで、マンボの魅力に開眼▼「マンボ・キングス わが心のマリア」監督:アーネ・グリムシャー出演:アーマンド・アサンテ, アントニオ・バンデラス, キャシー・モリアーティキューバからニューヨークへ、アメリカンドリームを夢見てやってきた歌手のセサール(アーマンド・アサンテ)と、作曲家でトランペッターのネスター(アントニオ・バンデラス)兄弟。彼らが、アメリカのショウビズ界でスターダムに上りつめる様子が、情熱的なラテンのリズムに乗って、スタイリッシュに描かれます。1950年代、マンボ全盛期のニューヨークを背景に、アメリカの伝説的なコメディ番組「ルーシー・ショー」に二人が出演するシーンも。1992年製作で、これが英語圏の映画初出演となるアントニオ・バンデラスが、恋に悩む初々しくも激しい青年を好演。“最高にセクシーで、狂おしいほど官能的”という謳い文句通り、圧巻なダンスシーンが見物です。音楽好きにはたまらない、ラテンミュージックのトップスターたち、セリア・クルーズ、ティト・プエンテ、リンダ・ロンシュタット、ロス・ロボスらが、なんと実際に登場! ノリノリで歌い踊るシーンからは、本場の熱気がムンムン伝わり、一緒にステージを囲んでいるような気持ちになることでしょう。思わず腰が動いちゃう1本です。一流アーティストたちが華麗なる共演を果たした鳥肌もののドキュメンタリー▼「フラメンコ・フラメンコ」監督:カルロス・サウラ出演:パコ・デ・ルシア, サラ・バラス, マノロ・サンルーカル, ホセ・メルセー, ミゲル・ポペダ「血の婚礼」「カルメン」「恋は魔術師」のフラメンコ3部作が有名なスペインの巨匠カルロス・サウラ監督と、アカデミー賞撮影賞に輝く“光の魔術師”ヴィットリオ・ストローラが、スペインを代表する一流アーティストたちをドキュメンタリーで描いた傑作。フラメンコはともかく、ダンスシーンを延々見せられるのはちょっと…という方、ご心配なく! 1曲ずつ独立した21幕で構成され、ダンサーと歌手とバンド、ダンサーとギタリスト、ピアニスト2人、群舞など、それぞれが個性豊かに登場するオムニバス的な演出。美術館で個々の展示室を巡るように優雅に鑑賞でき、決して暑苦しくありません。フラメンコ界の“神”と称される、ギターのパコ・デ・ルシアを始めとするマエストロたちと、新世代の豪華なダンサーたちの華麗な競演は鳥肌もの。ダイナミックなダンスを最高に美しく見せる美術や衣装も秀逸で、本国スペインで“最高の芸術作品”と讃えられた本作。スペインに次ぐフラメンコ人口を誇る日本でも、きっとロングセラーになるはず。見事なダンスシーンと望郷のせつなさ…踊ることは生きること▼「タンゴ ガルデルの亡命」監督:フェルナンド・E・ソラナス出演:マリー・ラフォレ, フィリップ・レオタール1976年の軍事クーデターで、誘拐、拷問、虐殺が日常化したアルゼンチンから、パリに亡命した女優のマリアナ(マリー・ラフォレ)は、同じく亡命してきたバンドネオン奏者や仲間たちと、音楽劇「ガルデルの亡命」を上演しようと腐心中。ところが、官憲の眼を盗んで祖国から送られてくるはずの台本の結末が、いつまでたっても届かなくて…。ガルデルとは、不世出のタンゴ歌手、カルロス・ガルデルのこと。人気の絶頂期にあった1935年、アメリカから故郷ブエノスアイレスへ帰る途中、飛行機事故で早逝。この映画では、彼の録音した2曲の音源が使われ、アルゼンチン人の漂白の悲しみが伝わります。本作で新しい音楽を担当したタンゴの革命児、アストル・ピアソラは、試写でガルデルの歌を聴いて泣き出してしまったとか。音楽劇のリハーサルが進行していくストーリーで、見事なダンスシーンが続き、まるでミュージカルのような展開にワクワクしっぱなし。とはいえ、電話線だけでかろうじて祖国と繋がっている人たちのせつない思いも胸に迫って…。同じく亡命を体験しているフェルナンド・E・ソラナス監督が、望郷の念、愛、明日への希望をユーモアと詩情を散りばめて描き、数々の映画賞を総なめにした1985年の傑作。ぜひご堪能ください。美しいだけでなく、生きることと踊ることが一体化した“命のダンス”は、人生を浄化してくれる清流のように、私たちを癒し昂揚させてくれるでしょう。人間ってすごいな! そんな人間賛歌を感じるダンスで、心身を思う存分リフレッシュさせてください。・ 「マンボ・キングス」 ・ 「フラメンコ・フラメンコ」 ・ 「タンゴ ガルデルの亡命」
2015年07月31日フリーダ・カーロという画家を知っていますか? 1907年メキシコ生まれ。6歳の時に小児マヒを患って右足は短いまま、18歳で電車とバスの衝突事故に遭い、バスの折れた鉄柱が下腹部を貫通。脊椎、鎖骨、右足、骨盤の骨折で一時は医者にも見放され、生還しても47歳で亡くなるまで後遺症に苦しみ、それでも情熱的に描き続けたフリーダのことを。死後50年を経て、フリーダ・カーロ博物館からの依頼で彼女の遺品を撮影することになったのが、原爆で亡くなった人々の衣服を撮影した写真集「ひろしま」などで著名な世界的写真家、石内都さんでした。石内さんをテーマに映画を撮りたいと念願していた小谷忠典監督が、メキシコで石内さんに同行してカメラを回し、さらにメキシコの歴史や文化にも分け入って撮影した映画が、この魅力的で貴重な「フリーダ・カーロの遺品」です。遺品なのに、まるでフリーダが生きているかのよう! 偉大な画家というより、一人の女性としてフリーダを甦らせた石内さんは、普遍的な“女の人生”を私たちに突きつけます。女性として芸術家として、共通点を持つこの二人を、生と死の境を越えて活写した小谷監督にお話を伺いました。自分の傷に気づかせてくれた石内さんをテーマに、映画を撮りたい学生の頃から石内さんのファンで、いつか彼女の映画を撮りたいと思っていた小谷監督がインスパイアされたのが、石内さんが身体の傷を撮った写真集「scars」でした。「10年位前、結婚したいと思ったバツイチの女性に子どもがいて、その子の父親になりたいと思った時、引っかかるものがあったんです。それが何かはわからなかったけれど、石内さんの写真を見た時、自分の傷に気づかされて。自分には、父親がアルコール依存症という問題がずっとあったのですが、そのことと向き合わないと進めないんだなと」父親の理想像を追い求め、実際の父親とぶつかっていた自分が、石内さんの写真を見たことによって理想が崩れ、父親を一人の人間として受け容れられるようになったとか。その変化は非常に大きく、後に小谷監督は、自身の家族を撮った映画「LINE」のパンフレットで石内さんにコメントを依頼します。今回、彼女をテーマに映画を撮りたいと連絡した時は、たまたま石内さんがメキシコに旅立つ2週間前だったとか。「まさか、メキシコへ行ってフリーダを撮ることになるとは、全然思ってなかったです。こんなすごいプロジェクトを見過ごすわけにはいかないでしょう! とプロデューサーを説得し、石内さんの到着した2、3日後、どうにかメキシコに降り立ちました」フリーダ個人の奥にあるメキシコの歴史や文化を投影青く塗られた壁が印象的な、通称“青い家”。フリーダ・カーロの生家であり、夫の画家ディエゴ・リベラと結婚生活を送り、最期の時を迎えた場所、フリーダ・カーロ博物館の陽光の当たる中庭や、風通しのよさそうな明るい室内で、石内さんが撮影しています。何万点もある遺品の中から、即決で選び、撮らないものは「アディオース!」と除けていく姿勢の軽々と楽しげなこと。そのキュレーションの見事なこと。「石内さんも、最初はフリーダ個人を捉えていたんですけれど、遺されたものの中にある色彩とか質感、ディテールから、フリーダ個人より、もっと奥にあるメキシコの歴史とか文化に、どんどん着眼されていったんです。ただの記録では映画にする意味がないので、そういった石内さんの目には見えない仕事も可視化するというか、映像で伝えたいなあという思いがあったので、翌年、もう一度メキシコを訪れたんです」フリーダの母親の出身地オアハカで死者の祭りを撮影し、フリーダが日常的に愛用した伝統衣装テワナドレスを作る刺繍家の女性たちを取材するなど、映像に民俗色豊かな色彩感と文化の奥行が加わりました。テワナドレスは母から子へと受け継がれるとか。女性の手仕事も脈々と受け継がれ、「着物と同じね」と石内さんが撮影中に共感するシーンも。フリーダの強さは日常をちゃんと送っている生命力の強さ「フリーダは衣装持ちですが、その中でもテワナドレスは圧倒的に多い。痛みをあれだけ抱えた人だったので、衣装に守られているという感覚があったんじゃないでしょうか」1937年ヴォーグに載った時に着ていたグリーンのブラウスが、お洒落で驚きました。「自分をアピールするために、戦略的だったとは思うんですけれど、それだけじゃなく本当に大事にしていたんでしょうね。ただ、彼女はセルフプロデュースが本当に上手い人だと思います。本人は身長150cm足らずなのに、あれだけ大きく見せるというか、強く見せるというのは、衣装の力が大きいと思いますね」フリーダは、洗練された独自の感覚でテワナドレスを注文していたので、現地の刺繍家たちからは、あれは伝統本来のものではない、と言われているようです。「センスいいですよね。石内さんも着物を着崩して着るんですけれど、本当にかっこいいと思います」石内さんが淡々と撮影した写真は、光や風と柔らかく重なり合って、まるで家族の遺品をファミリーで見ているような親密な日常感に繋がってくるから不思議です。「石内さんもおっしゃってましたが、フリーダはいろいろセンセーショナルな物語を抱えていましたけれど、彼女の強さはそういうものじゃなく、あれだけの障害を抱えながら、ちゃんと日常生活を送っていた強さだと。映画でも、フリーダの日常の生命力を描きたいと思っていました。彼女は衝撃的な絵を描いていますが、タッチとか見るとすごく繊細で可愛らしかったりするんですよね。実物を見ると、よりそれは感じました」そんなフリーダの遺品を、あちらのスタッフが「こんなところで撮るの?」と驚くほど、石内さんはカジュアルに撮影していたとか。「ものを撮ってる感覚ではなく、身体としてものを撮れる人だから、フリーダ像を一回とっぱらって、もう一回、普遍的な女性というものを立ち上げるんだという意識は、最初から持っていたと思うんです」と小谷監督。撮影中も、「フリーダ、そうだったの」と話しかけながら撮影していたという石内さん。メキシコに行く前から話しかけていたそう。「フリーダ、呼んでくれてありがとう」と。そんな女性二人の息吹が伝わってくる「フリーダ・カーロの遺品」、自分に投影して観てみませんか? きっと新しい発見があり、生きる勇気が湧いてくるはずです。ドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 ― 石内都、織るように』2015年8月からシアターイメージフォーラムほか 全国順次公開監督・撮影:小谷忠典 出演:石内都 予告編: 小谷忠典(こたに・ただすけ)1977年大阪出身。絵画を専攻していた芸術大学を卒業後、ビュジュアルアーツ専門学校大阪に入学し、映画製作を学ぶ。『子守唄』(2002)が京都国際学生映画祭にて準グラン プリを受賞。『いいこ。』(2005)が第28回ぴあフィルムフェスティバルにて招待上映。初劇場公開作品『LINE』(2008)から、フィクションやドキュメンタリーの境界にとらわれない、意欲的な作品を製作している。最新作『ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ』(2012)では国内での劇場公開だけでなく、第17回釜山国際映画祭でプレミア上映後、第30回トリノ国際映画祭、 第9回ドバイ国際映画祭、第15回ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭、サラヤ国際ドキュメンタリー映画祭、ハンブルグ映画祭等、ヨーロッパを中心とした海外映画祭で多数招待された。映画写真 ©ノンデライコ2015
2015年07月24日大人の純愛…という言葉からどんな恋愛を思い浮かべますか。淡々と落ち着いた節度ある感情? 激しくドラマティックな官能? ワケありで他人に言えない関係? 大人の事情が絡んで複雑に交錯しているかもしれません。純愛の定義は難しいけれど、でも、決して駆け引きをしないこと、そして安全地帯に逃げ込まないのが純愛ではないでしょうか。酸いも甘いも噛み分けられるからこそ、ピュアさの純度が高くならざるを得ない恋。せつなさで胸が締めつけられる感覚は、私たちをダイレクトに刺激してくれるキレイの源だと思うのです。枯れるには早すぎる! 乾きがちな心と身体に潤いを行き渡らせてくれる、大人の純愛映画を3本ご紹介しましょう。タンゴとともにほとばしる恋▼ 愛されるために、ここにいる監督:ステファヌ・ブリゼ出演:パトリック・シェネ.アンヌ・コンシニ.ジョルジュ・ウィルソン離婚して一人暮らしをしている、人生に疲れた中年男ジャン=クロード(パトリック・シェネ)は、裁判所の司法執行官。医者に運動不足を指摘され、オフィスの窓を開けると音楽が聞こえてくる近所のタンゴ教室に通い始めます。そこで出会ったのが、結婚を控え、ウェディングパーティーでタンゴを踊るため、レッスンに通っているフランソワーズ(アンヌ・コンシニ)。彼女の婚約者は小説の執筆に追われていて、二人はすれ違ってばかり…。堅物で不器用なジャン=クロードが、アルゼンチンタンゴの調べとともに、フランソワーズと恋に落ちていく様子が自然で美しく、ぎこちなく踊るシーンから目が離せません。ジャン=クロード演じるパトリックが、インタビューで「主導権を握るのは女性です。男は居心地の悪さを感じながらも女性について行く。自分が何を求めているかわからないこともあるのに、女性は常に自分の感情に素直なんです」と語っているのも興味深いものが。一見、地味な恋愛映画ですけれど、セザール賞に主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞と3部門もノミネートされた、フランス人好みの名作。やるせない哀愁と孤独、そして、シンプルな感情が心を打つ純愛映画。心の水脈がヒタヒタとみなぎってくるでしょう。女性作家ジョルジュ・サンドと年下の詩人ミュッセの恋愛▼ 年下の人監督:ディアーヌ・キュリス出演:ジュリエット・ビノシュ, ブノワ・マジメル, ステファノ・ディオニジ, ロバン・レヌッチ, カリン・ヴィアール19世紀、ロマン主義花咲くフランス。男尊女卑だった時代に、奔放で恋多き女性作家ジョルジュ・サンド(ジュリエット・ビノシュ)と詩人アルフレッド・ミュッセ(ブノワ・マジメル)の激しい愛の葛藤が描かれます。1999年の作品で、当時25歳のブノワ・マジメルがセクシーで美しい。役柄では6歳年上、実際は10歳年上のジュリエット・ビノシュと、この共演がもとで結婚するのですから、いかにドラマティックな映画かわかるはず。ディアーヌ・キュリス監督は、「私はジョルジュ・サンドを通して、すべての自由な女性を讃えたかった。ある日、『もうたくさんよ!』と言って立ち上がることのできるすべての女性を」と語っています。クリスチャン・ラクロワの衣装も美しくゴージャスで圧巻。文学好きでなくとも愉しめる、現代にも通じるせつない恋をぜひ堪能してください。キレッキレの純愛のせつなさに酔いしれる▼灯台守の恋監督:フィリップ・リオレ出演:サンドリーヌ・ボネール, フィリップ・トレトン, グレゴリ・デランジェール“世界の果て”と呼ばれるブルターニュの小さい島。そこで生まれ育ったマベは、灯台守の夫イヴォンと暮らしていますが、そこにアルジェリア帰還兵のアントワーヌが、新人の灯台守として赴任してきて…。最初の視線で、何かを感じ合う二人。閉鎖的な過疎の村という環境と、荒れ果てた海の中に立つ灯台という絶景なロケーションの中、絡み合う視線だけで描かれていく禁断の恋が見事です。マベを演じるサンドリーヌ・ボネールは、派手な美人ではないのに、女の人っていいなあ、と同性にも感じさせる魅力で惹き込まれます。穏やかだけれど何かを秘めているアントワーヌとの恋が夫に知られてしまい…。嵐の夜、二人一組で灯台守をすることになったアントワーヌとイヴォン、荒れ狂う波に飲まれそうになるアントワーヌを、イヴォンは助けるのか? ドキドキが止まらない、これぞまさしく大人の純愛! お薦めです。この3本に共通するのは、恋する視線の清冽さ。視線が語る純愛は、大人度が高くてせつないです。恋していてもいなくても、濃密で繊細な感覚が美意識を研ぎ澄ませてくれる映画たちで、感性の潤い美人になりましょう。
2015年07月23日「アポロ11号着陸映像は捏造で、キューブリックが製作したらしい」という都市伝説を題材にしたコメディ映画『ムーンウォーカーズ』が11月に公開されることが決定した。その他の情報アポロ11号は1969年に月面に到着し、その模様は中継されて全世界の人々を驚かせた。しかし、この中継映像はねつ造だったという陰謀説を信じている人はいまだに存在する。本作はそんな陰謀説を題材にしたコメディで、月面着陸を成功できないNASAに愛想をつかしたアメリカ政府が映画『2001年宇宙の旅』を手がけた巨匠スタンリー・キューブリック監督に月面着陸映像のねつ造を依頼するため、CIA諜報員・キッドマンを彼が住むロンドンに送りこむところから始まる。しかし、ベトナム戦争帰りで映画にまったく詳しくないキッドマンは、偶然、キューブリックのオフィスにいたダメ男のジョニーに金をダマしとられ、その金を奪還する過程で、なぜかジョニーとタッグを組んで“ねつ造計画”に挑むことになる。このほど公開された画像は、新聞の号外風のデザインで、映画が壮大にしてブラックな笑いに満ちた作品であることを感じさせるデザインだ。アポロ計画、ねつ造、キューブリック、CIAとダメ男のコンビ……などコメディ映画ファンには気になる要素が揃った本作は11月から公開になる。『ムーンウォーカーズ』11月14日(土)より 新宿シネマカリテほかでロードショー
2015年07月21日東映アニメーション×フロンティアワークスが贈る魔法少年企画で、5人の個性豊かな落ちこぼれ魔法使いたちが織りなすドタバタまじかるライフを描く『まほう×少年×Days!!!!!』。ドラマCDとして展開される本作から、関連グッズ2種がグルーヴガレージよりリリースされる。発売はいずれも2015年9月の予定。まずは、グルーヴガレージが展開するオリジナルブランド【オモテウラバー】のアクリルバージョンとして登場する「うれし恥ずかしミニチャーム付きオモテウラアクリルキーホルダー」全5種。まほう少年のちびキャラの変身姿(表)と制服姿(裏)が、それぞれのイメージカラーの魔法陣を挟んでデザインされた可愛いキーホルダーで、各キャラが裸姿の「うれし恥ずかしチャーム」が付いているという凝った仕様となっている。「うれし恥ずかしチャーム」は着脱可能で、上下に穴があり、これだけをつなげて楽しむこともできる。価格は各1,300円(税別)。続いては、【バスでふぉ】シリーズから登場する「うれし恥ずかし【バスでふぉ】マイクロファイバータオル」。描き下ろしの裸イラストをお風呂に入っている雰囲気にデザインしたマイクロファイバータオルで、非常に発色の良い布が使用されている。1,400mm×210mmという特大サイズなので、ポスター代わりに飾ることも可能だ。価格は2,500円(税別)。(C)「まほう×少年×Days!!!!!」PROJECT
2015年07月17日そろそろ夏休みが視野に入ってきましたね。ヴァカンスといえば旅! 旅には常に憧れがありますが、ただの観光旅行ではない、アラフォーだからこそ愉しめる、一癖も二癖もある旅にまつわる映画で、一足早いヴァカンスを体験してみませんか? 旅先では、どこに宿泊するかが重要な要素。大人だから味わえるホテルライフの魅力は、私たちを非日常へと誘ってくれるはず。今回は、「ホテル」がキーワードの映画3本をご紹介しましょう。それでは、行ってらっしゃい! Bon Voyage♪世界のラグジュアリーホテルを満喫▼はじまりは五つ星ホテルから監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ出演: マルゲリータ・ブイ、ステファノ・アコルシ、レスリー・マンヴィル 40歳、独身。職業は超高級ホテルの覆面調査員。仕事は5つ星、でも私生活は1つ星…!?と紹介される主人公は、ローマ在住のアラフォーど真ん中、イレーネ。世界に名だたる5つ星ホテルが、星の数にふさわしいサービスを提供しているかどうを調査するため、彼女が実際に宿泊して世界中を巡るという、そこだけ聞くと夢のようなストーリーです。そこに、彼女が独身でいることを心配する妹で、二人の娘を持つシルヴィア、元婚約者だけれど今は親友化していて、若い女性と“できちゃった婚”しそうなアンドレア、旅先での出会いと別れなどが重なり、自分の生き方を模索しながらドラマティックに物語が展開していきます。世界80ヶ国、430軒以上のホテルが加盟するザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールドの協力のもと、フランスのオテル・ド・クリヨン、イタリアのフォンテヴェルデ・タスカン・リゾート&スパ、スイスのグシュタード・パレス、モロッコのパレ・マラケシュなど、実在ホテルでのロケが眼福です。ホテルの従業員に“ミステリーゲスト”と畏れられるホテル調査員の“秘密のチェック10項目”に従って、映画を観るのも一興かも。魅惑のインドで繰り広げられるドラマと、心に響く言葉たち▼マリーゴールドホテルで会いましょう監督: ジョン・マッデン出演:ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソンイギリス人の熟年男女7人が、インドの豪華リゾートホテルで魅惑の日々を…という謳い文句に惹かれて来てみたら、将来、豪華になる“予定”の個室に扉もないホテルだった…という地味~な設定なのですが、これが予想を裏切るおもしろさ!インドの異文化の渦に飛び込んで、違和感からすぐイギリスに帰りたいと嘆く人、あちこちを訪れて現地に溶け込もうとする人、インドに特別な思いを持つ人など、7人の反応は様々。これって、私たちの普段の生活にも当てはまりませんか? そして、初めての長旅だけれど「何事もチャレンジ! 何事も楽しまなければ!」という姿勢を持つ主人公イヴリンを、オスカー女優のジュディ・デンチが好演。悲喜こもごもが織り成されます。それぞれのドラマと、インドの光、色彩、動物、すさまじい数の人々、子供たちの笑顔などが交じり合い、「“生”を権利ではなく、恩恵と思うインドが心に響いた」と語る登場人物の言葉がそれこそ心に響いたり、同じく「リスクを嫌って冒険を避ける者は何もせず、何も得ない」という言葉に考えさせられたり。インドは、“インドに呼ばれた人しか行けない”…と聞いたことがありますが、この映画を観て、初めて行ってみたくなりました。ミステリーに巻き込まれる“伝説のコンシェルジュ”▼グランド・ブダペスト・ホテル監督:ウェス・アンダーソン出演: レイフ・ファインズ、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウヨーロッパ最高峰と謳われたグランド・ブタペスト・ホテルの“伝説のコンシェルジュ”グスタフ・Hが主人公。高齢マダムの夜のお相手までこなすプロフェッショナルですが、ある日、彼の長年のお得意様、マダムDが殺されたことから事件に巻き込まれて…。ヨーロッパ大陸を逃避行しながら真犯人を探す、というミステリータッチのストーリー。愛弟子のベルボーイ、ゼロの協力と、コンシェルジュの秘密結社ネットワークを駆使するグスタフ。危機一髪のときに電話で助けを求めると、世界の高級ホテルのコンシェルジュたちがどんなVIPと応対中でも、彼の電話には出るシーンにワクワクしました。美しい風景に囲まれた優雅なホテルのインテリアとゴージャスな衣装にうっとり。主演のレイフ・ファインズはじめ、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、ティルダ・スウィントンら豪華スターが勢揃い。ウェス・アンダーソン監督らしいポップなスパイスも効いて、見どころ満載。まさに5つ星のミステリーコメディです。この3本で、忘れられない旅のホテルをぜひ堪能してください。・ 「はじまりは五つ星ホテルから」 ・ 「マリーゴールドホテルで会いましょう」 ・ 「グランド・プダペスト・ホテル」
2015年06月29日毎日が変わり映えのしない生活のように思えてきたら、パリが舞台の映画を観て、気分をリフレッシュさせませんか? 美しい街並みもさることながら、世界有数のお洒落都市なのに、常に自分らしくあろうとする自然体な人々が魅力です。ウィットに富んだ会話や、ちょっとしたスカーフの巻き方やコートの着こなしのこなれていることといったら!何気ないシーンを観ているだけで世界観が広がります。相手の自由を尊重し、距離感の取り方が大人なのに、自分の意見も素直に主張し、それが、時には相手の人生に大きく食い込むことも。そんな生き生きした会話の妙が楽しめる映画を3本、ご紹介しましょう。美しく由緒あるパリの街並みに、旅する気分に!▼モンテーニュ通りのカフェ監督:ダニエル・トンプソン出演:ヴァレリー・ルメルシエ, セシル・ド・フランス, アルベール・デュポンテルパリ8区。どこからでもエッフェル塔が見えるモンテーニュ通りは、劇場、高級ホテルのプラザ・アテネ、有名メゾンなどがひしめくスノッブな地区。その通り沿いの由緒あるカフェで、地方からパリに憧れてやってきたジェシカがギャルソンとして働き始めます。カフェに集うのはクラシックに疲れたピアニスト、資産すべてをオークションにかけようとしている美術コレクター、自分のキャリアにあきたらない女優など、多彩な面々。彼らの人生が交錯する中、ジェシカの素直なキャラと笑顔がみんなを和ませるのですが…。彼女が客と交わす会話から垣間見る “見栄を張らないピュアさ” が印象的です。美術コレクターからブランクーシの有名な彫刻「接吻」を見せられて、「素敵ね。見てると恋したくなる」、ピアニストにミント水を運んだときに「コンサートには行かないの?」と聞かれて、「教養がないからクラシックはわからないの」と答えるジェシカの素朴な佇まい。演じるセシール・ド・フランスのボーイッシュな魅力に、きっと元気をもらえます。“飾らない”トレンチコートの着こなしを学ぶ▼僕の妻はシャルロット・ゲンズブール監督:イヴァン・アタル出演:シャルロット・ゲンズブール, イヴァン・アタル, テレンス・スタンプ監督はシャルロットの実の夫、イヴァン・アタル。彼がスポーツ記者役を演じ、女優を妻にしてしまったヤキモチ焼きの夫の悩みを描きます。両親がジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールという生まれながらのセレブで、どこにいてもサイン責めに合う妻。撮影現場を訪ねれば濃厚なラブシーンや全裸シーンが…。リアル過ぎてちょっと心配になるストーリー。気取らず自然に振る舞う1971年生まれのシャルロットがカッコいい!きちんとドレスアップしてヘアメイクも決めて、ネイルもばっちり…みたいな日米の女優さんを見慣れていると、シャルロットのあまりの飾らなさに驚くかも。とはいえ、わたしにとっては、彼女はファッションアイコンです。かつて映画を観終わった後、彼女のトレンチコートの着こなしにインスパイアされ、その足でバーバリーに飛び込みました。“いかにもイイ女風”じゃない、ユル~い着こなしが素敵! ぜひご確認ください。フランス人らしさが際立つ小粋な映画。パリジェンヌの神髄がわかります。ブラッド・メルドーの音楽も素敵なので、サントラもお薦めです。大人の男女の会話にドキドキ▼シェフと素顔と、おいしい時間監督:ダニエル・トンプソン出演:ジュリエット・ビノシュ, ジャン・レノ, セルジ・ロペス舞台は、ストで飛行機全便が飛ばなくなったシャルル・ド・ゴール空港。DV彼氏から逃げてきたローズ(ジュリエット・ビノシュ)は、トイレに携帯電話を落としてしまうというアクシデントがきっかけで、フィリップ(ジャン・レノ)に出会います。化粧が濃く感情的なタイプのローズは、繊細で不器用なフィリップの好みとは正反対。追いかけてきたDV彼氏から助けてあげた行きがかり上、二人は空港近くのホテルで一夜を過ごすはめに…。ルームサービスでディナー中、出会って数時間とは思えない、ドキドキするような男女の会話が繰り広げられます。ずっと前から別れを意識し、DV彼氏に置き手紙をして出てきたと話すローズに「じゃあ、その間、もう愛してない男と感じたフリをしていたの?」と思わず聞いてしまうフィリップ。「本当のことを言うわ。私はとても長い間、感じたフリをしてたのよ。まだ愛してる男と…」と応じるローズ。その後、オリーブオイルが顔にかかり、バスルームで素顔になって戻ってきたローズを見たときの、フィリップの顔は見逃せません。ガーリーなスッピンの顔は、フィリップのもろ“タイプ”だったのですから!そこから展開する大人のラブストーリーが必見。フランスを代表する國際的トップスター二人の初共演という触れ込み以上に、心が深く満たされるハッピーエンドは見事です。たったワンシーンで、人生を味わい深いものにしてくれる映画たち。パリが舞台のこの3本は、迷いがちな私たちの感性と美意識をキレイに磨いて癒してくれるでしょう。・ 「モンテーニュ通りのカフェ」 ・ 「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」 ・ 「シェフと素顔と、おいしい時間」
2015年06月25日女優の松岡茉優が、全世界歴代オープニング興収ランキングで1位を樹立した映画『ジュラシック・ワールド』(8月7日公開)で声優に初挑戦し、11歳の少年の声を務めることが18日、明らかになった。本作は、過去3作合計で全世界興行収入累計2,000億円を超える大ヒットを記録した『ジュラシック・パーク』シリーズの最新作。これまでのシリーズではオープンまで至らなかった恐竜のテーマパークが、ついにオープンする。製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグが務め、コリン・トレボロウが監督に抜擢。キャストには、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラット、『ターミネーター4』のブライス・ダラス・ハワードが名を連ねる。すでに玉木宏、木村佳乃、オリエンタルラジオが日本語吹き替え版で声優を務めることが明らかとなっていたが、このたび、松岡の参加が決定。松岡は、木村が声優を務めるパークの総責任者クレア(ダラス・ブライス・ハワード)の甥っ子で、兄のザック(ニック・ロビンソン)と共にパークへ遊びに来た恐竜が大好きな11歳の少年グレイ(タイ・シンプキンス)役を務める。松岡は「『ジュラシック・パーク』は私が生まれる前に作られた映画で、初めて見たのは小学校低学年の頃でした。何年も前の作品とは思えないほど恐竜の姿がリアルで、とても興奮したのを覚えています」と本作との関わりを語り、「声のお仕事が初めての私にとって、少年役というのももちろん未知の世界です」とコメント。そして、「今の子供たちにとって、私のように『恐竜ってすごい!』と感動を覚える最初の作品になるであろうことを思うと、その子供たちの目線に立つグレイという役を自分が演じきれるのか不安もありました」と明かし、「これまで少年役を演じられてきた松たか子さんや蒼井優さんの作品を拝見して、喉の開き方や、少年役として意識すべきところを勉強し、全力でこの役をやってみたいなと思いました」と決意を示している。今回の起用は、本でしか見たことのなかった恐竜たちを目の前にパーク内を隅々まで探検したくてたまらないグレイと、松岡の好奇心旺盛な姿が重なっていたこと、そして、少し少年らしさを感じる松岡の声がグレイ役にぴったりだったことから決定した。Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment(C)佐賀章広
2015年06月18日ダスティン・ホフマン出演の少年合唱団を通じたヒューマンドラマを描いた映画『BOYCHOIR』が、邦題『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』として9月11日に全国公開されることが決定し、ポスタービジュアルが18日、公開された。今作は、複雑な家庭環境に育ち、トラブルばかり起こしていた12歳の問題児ステット(ギャレット・ウェアリング)が、米国一のエリート少年合唱団の有名校に入学、ベテラン合唱団団長(ダスティン・ホフマン)と出会い才能を開花させ、自身の人生を切り開いていく姿を描く。また、本作は、若い頃に音楽を学んだ経験のあるホフマンの自伝的映画になっているという。監督は、映画監督だけでなくオペラや舞台劇の演出家でもあり、これまで、『レッド・バイオリン』で米国アカデミー賞最優秀作曲賞を受賞し、日本から中谷美紀や役所広司が出演した『シルク』で注目を集めたフランソワ・ジラール。ベン・リプリーが手掛けたオリジナル脚本に基づき、メガホンをとった。ジラール監督は「ほとんど何も知らされずにこの脚本を受け取った。そして読み始めた僕は本当に感動したんだ」と映画に着手した時のことを振り返り、「感性豊かで音楽家でもある脚本家によって書かれた、真実にあふれ、多くの層が積み重なった脚本だった」と評価。リプリー自身も音楽家であることが重要だったとし、「音楽と言葉を調和させるのはとても難しい。だがベン・リプリーはその二つを見事に織り合わせていた」と語る。ベテラン合唱団団長役には、2度の米アカデミー賞に輝くダスティン・ホフマン、物語の中心人物となる天才少年シンガー、ステットには、若手俳優ギャレット・ウェアリングをキャスティング。そのほか、キャシー・ベイツやエディ・イザード、デブラ・ウィンガー、ジョシュ・ルーカス、ケヴィン・マクヘイルという豪華キャストが名を連ね、さらに新人俳優陣が少年合唱団員として見事な演技を披露している。なお、このたびの邦題および公開日の決定に合わせて、ポスタービジュアルも公開。天才少年シンガー・ステットを演じるウェアリングとステットらを厳格でありながら穏やかに指導する合唱団団長を演じるホフマンの姿が映されている。(C)2014 BOYCHOIR MOVIE, LLC. All Rights Reserved.
2015年06月18日4月はやる気満々だったのに、5月を迎えたら、何となく気持ちが晴れない…ということはありませんか? あまりに不調であれば専門家に相談すべきですが、ちょっと落ち込んでいるくらいなら、気分をスカッと爽快にしてくれるDVDを観て、モチベーションをアゲましょう。“よっしゃ~っ!”っと弾みがつけばしめたもの。お薦めの映画3本をご紹介します。あり得ない展開に快哉を叫びっぱなし▼最強のふたり監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ出演:オマール・シー、フランソワ・クリュゼ2012年公開のフランス映画ですが、“フランス映画界 歴代1位”という呼び声を聞かなければ、普段なら観ないかもしれないマッチョな邦題。原題はというと「intouchables」で、直訳だと「触れることのできないものたち」という意味です。舞台はパリ。不慮の事故で首から下がマヒした、大富豪フィリップの介護者選びの面接に、スラム街出身の黒人青年ドリスが、生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに訪れるところからスタートします。おためごかしを一切言わないドリスに新鮮味を感じたフィリップは、彼を採用。そこから展開する、背景も趣味も真逆の二人が織りなす破天荒な冒険譚のおもしろいこと! 最初は衝突ばかりだった二人が、次第に共犯者意識を深め、驚異のカーチェイスやパラグライダー体験も。「彼だけは私を対等に扱う」というフィリップの言葉が刺さります。おすすめは、フィリップが招いたオーケストラ演奏の後に、ドリスがアース・ウィンド・アンド・ファイアーをかけてダンスを見せつけるシーン。ドリス役のオマール・シーは、最初はテレていたのにいざとなったら体が自然に動いて、奇跡的なダンスシーンをワンテイクで決めたそう。実話がもとになっているというのが驚きの、元気になれる1本です。不自然なほど多発するホームラン数にスカッ!▼ナチュラル監督:バリー・レヴィンソン出演:ロバート・レッドフォード、ロバート・デュバル野球に特に関心もなく、スポーツオンチのわたしが唯一、ハマッたスポーツ映画が『ナチュラル』です。名優ロバート・レッドフォードが若い頃、といっても40代前半、訳あって30代半ばでメジャーリーガーになる夢を叶え、“伝説の人”となった野球選手を演じています。アメリカの作家バーナード・マラマッドの小説を映画化した、1984年の作品。天才野球少年だったロイは20歳になり、愛する女性アイリスにしばしの別れを告げた後、プロ球団のテストに向かう途中、とんでもない事件に巻き込まれます。10数年のブランクを経て、ようやくスカウトに見いだされ、最下位の球団に入団した彼は、とにかくホームランを打って打って打ちまくり、球団はトップに。ところが、なぜか女性の色香に迷うと打てなくなり、彼本来のナチュラルな生き方に戻ると、またホームラン…という展開。どこか神話めいたファンタジーを感じながらも、投げる球全部をホームランで打ち返すという、文句なしにスカッとする映像から目が離せません。アイリスとの再会、最後のバッターボックスの奇跡…レッドフォードゆえの誠実さ、真摯さがリアリティをもたらす感動映画です。武闘派シャーロックのカッコよさに脱帽▼シャーロック・ホームズ シャドウゲーム監督:ガイ・リッチー出演: ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウロバート・ダウニーJr.扮するホームズ、その相棒ワトソンはジュード・ロウと、イケメン二人が登場する『シャーロック・ホームズ』(2009年)。『シャドウゲーム』(2011年)はその2作目となります。わたしはもともとコナン・ドイルの原作への思いが深く、「イマドキのチャラい映画だったら許さないぞ」みたいな色眼鏡で観たのですが、とんでもない! すっかりファンになってしまいました。1作目を観ていなくても問題なく楽しめます。世界各地で多発する連続爆破事件を追う、天才的名探偵ホームズは、“もう一人の天才”宿敵モリアーティ教授との決戦へ。書斎派探偵のイメージが強かったホームズが、武闘派のやんちゃさが強調され、ダイナミックな展開は007も真っ青のカッコよさ。ガイ・リッチー監督のセンスに度肝を抜かれたのは、銃口から向こう側を覗くなど、細部からズームする独特の映像美。そして、今まで見たことがないエッジの効いた森の中の銃撃シーン。全編をエキゾティックに彩るロマ(ジブシー)風の魅惑的な音楽。新感覚アクション・エンタテインメントと謳われるのも納得です。気分がアガること間違いなし!もちろんこの3本、五月病でない方もぜひご覧くださいね。・ 「最強のふたり」 ・ 「ナチュラル」 ・ 「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」
2015年05月21日プロのバレエダンサーを目指す3人の少年を捉えた青春ドキュメンタリー映画『バレエボーイズ』が、8月29日(土)より公開されることが明らかになった。本作はノルウェーの首都、オスロでプロのバレエダンサーを目指す3人の少年を追った成長物語。時にはふざけ合いながらも厳しい練習に耐え、お互い夢に向かって切磋琢磨していたが、ある日、彼らの中の1人だけが名門ロンドン・ロイヤル・バレエスクールから招待を受けて…。人生の分かれ道の選択を余儀なくされる3人の少年の、12歳から16歳というもっとも多感な4年間の友情、葛藤、挫折、挑戦、すべてが詰まった青春ドキュメンタリーの本作。今年の2月に開催された北欧映画祭「トーキョーノーザンライフェスティバル2015」でジャパンプレミア上映された際には、満席で立見が出るなど大きな反響を呼んだ。北欧版『リトル・ダンサー』と呼びたくなるような本作は、男子にはめずらしいバレエの世界で、ひたむきにレッスンに打ち込む3人の少年の姿がきっと胸を打つはず。躍動感溢れる映像に、彼らのきらめく一瞬一瞬が刻まれた本作の公開を楽しみに待ちたい。『バレエボーイズ』は、8月29日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月20日“天使の歌声”の呼び名で愛されるウィーン少年合唱団が、来日60周年記念公演にあたって、4月24日に都内で記者会見をおこなった。「ウィーン少年合唱団 来日60周年記念公演」のチケット情報1498年に創設され、ウィーンの音楽大使として世界中の人々に親しまれているウィーン少年合唱団。10歳から14歳の約100名のメンバー全員が、ウィーンのアウガルテン宮殿で全寮制の生活をし、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーという合唱団に縁ある作曲家の名がついた4つのグループに分かれて活動。20世紀を代表する指揮者トスカニーニが彼らのコーラスを“天使の歌声”と称賛した逸話は有名で、世界の数ある少年合唱団の中でも抜群の人気と実力を誇っている。1955年の初来日以来、頻繁に行われている彼らの日本公演。毎回完売公演が相次ぐほどの人気を博している。記念すべき60周年を迎える今回は、日本人団員を含むブルックナー組が、全国各地で全27回のコンサートを行う。記者会見では、同合唱団の芸術監督ゲラルド・ヴィルトが挨拶。「先日、60年前の初来日ツアーのメンバーの方とお話しする機会がありました。当時、日本への旅行時間は非常に長く、とても遠い存在だったようです。ですが、いざ日本にやって来ると、非常に多大な歓迎を受け、まるで夢のような体験をしたと感じたそうです」と語った。カペルマイスターのマノロ・カニンも「4年前に計画されていたブルックナー組の来日が、東日本大震災の影響で、残念ながら中止になってしまったので、今回の公演は本当に心待ちにしていました。ブルックナー組以外の団員の子供たちも『日本は今まで訪れた国の中で一番素晴らしいんですよ』と言っていてて、とても羨ましがっていました」と語った。その他、団員の少年たちからも「コンサートももちろん、(ツアーの合間に)テーマパークに行けることが楽しみ!」、「寺院に興味があるので、京都に行くのが楽しみです」とツアーへの期待の声が上がった記者会見。最後には、来日公演プログラムから「エーデルワイス」(サウンド・オブ・ミュージックより)、「HAPPY」(ファレル・ウィリアムズ)、「ふるさと」が披露された。ウィーン少年合唱団の日本公演は、6月14日(日)の東京オペラシティ コンサートホール公演まで全国27公演を開催。
2015年04月28日すっきりとシンプルな雑貨、大胆な色使いのテキスタイル、自然がモチーフの小物など、北欧のモダンなデザインが、私たちの生活に浸透してからずいぶん経ちますよね。日本的な美意識にもどこか通じ、お洒落の代名詞のひとつ、といっても過言ではないかもしれません。女子はみんな北欧デザインが大好き!見ているだけで癒されるのですから。そんな北欧が舞台で、しかもお洒落なだけでなく、ライフスタイルや生き方にもコツンと一石を投じてくれて、心に深く響く映画を味わってみませんか?スウェーデン、デンマーク、フィンランドで撮影された選り抜きの映画を3本、ご紹介します。自分を貫き、夢をあきらめない生き方▼ストックホルムでワルツを監督:ペール・フライ出演:エッダ・マグナソン、スベリル・グドナソン、シェル・ベリィクヴィストほか1960年代、スウェーデンの田舎町で電話交換手をしながら、娘を育てるシングルマザーのモニカはジャズシンガー志望。両親に娘を預かってもらう度、厳しい父親に叱られ、娘に寂しい思いをさせつつも、シンガーへの夢を実現していきます。偶然、歌を聞いてもらったエラ・フィッツジェラルドに「人真似はやめたら」と鼻で笑われ、落ち込むモニカ。英語でなく母国語でジャズを歌ったらそれが当たり、巨匠ビル・エヴァンスと彼の「ワルツ・フォー・デビー」を、ジャズの聖地ニューヨークで共演するまでに。世界が注目する中、ずっと反対していた父親から電話がかかるシーンは涙なしには観れません。実在したモニカ・ゼタールンドという歌手の存在を、この映画を観るまで知りませんでした。彼女を演じるエッダ・マグナソンのきれいなこと!歌が上手いこと!時に傲慢なまで自分を貫き、傷ついても夢をあきらめないひたむきさに打たれます。60年代の北欧デザイン、それこそお洒落なインテリア、雑貨、ファッションにもインスパイアされるはず。愛と孤独を描く大人のラブストーリー▼アフター・ウェディング監督:スサンネ・ビア出演:マッツ・ミケルセン, シセ・バベット・クヌッセン, スティーネ・フィッシャー・クリステンセン ほかコペンハーゲンに暮らすヘレネは、優しく裕福な夫ヨルゲンと結婚を控えた娘アナ、まだ幼い男の子たちと幸せな日々を送っていました。ヨルゲンが、仕事の関係で出会った男ヤコブを、たまたま娘の結婚式に招待するまでは・・・。ヤコブはヘレネが20年前に別れた恋人で、実はアナの父親だった、という衝撃の設定がデンマークの美しい風景を背景に描かれます。果たして夫の意図とは?忘れられない過去を持つ男性と、幸せな家庭に突如訪れた容赦ない現実。ドンデン返しの続く展開から目が離せません。時に残酷と評されるくらい、人間の深く鋭い描写に定評のある女性監督、スサンネ・ビアの映画は、人生の酸いも甘いも噛み分けたアラフォー女性だからこそ共感できる傑作揃い。アカデミー外国語映画賞受賞の「未来を生きる君たちへ」、ロマンティックコメディの最新作「愛さえあれば」もお薦めです。風景も人間も。北欧の魅力をすべて教えてくれた!▼かもめ食堂監督:荻上直子出演:小林聡美, 片桐はいり, もたいまさこ ほか「イタリアならパスタとピザ、インドならカレー、ではフィンランドなら?」「サーモン?!」という会話のやりとりが映画の中にあるのですが、サケを愛好する日本との共通点から、ヘルシンキで食堂を開くことにしたというサチエ(小林聡美)。旅行で訪れたミドリ(片桐はいり)とマサコ(もたいまさこ)がひょんなことで集い、店を手伝い始めます。大事件が起こるわけでもないのに、小さな出来事が淡々と紡がれる日常が魅力的。ゆるいようで一本通った生き方が潔いサチエを筆頭に、役者陣の存在感が光ります。この映画のもう一つの主役は何といっても料理。日本のソウルフード、おにぎりを始め、焼きザケ、トンカツ、焼き立てのシナモンロールは、美味しい匂いが漂ってきそうで生ツバもの。「この国の人は、どうしてこんなにのんびりして見えるんでしょうね?」という問いに、「森があるから」と答えるフィンランド人。ストーリーとともに、白夜、森、マルシェ、トナカイの肉…と、観光気分も味わえます。客の全く訪れなかった店に少しずつ人が集まり始め、満席になった時は思わず拍手したくなりました。オールフィンランドロケが美しい心温まるヒューマンドラマ。どこを見ても北欧の魅力に開眼させてくれるでしょう。美しいビジュアルも楽しみながら、人間や人生にふと思いを巡らせたくなる映画ばかり。北欧ならではの爽快感と深い人生観を、この3本でぜひ堪能してください。
2015年04月23日カラリと乾いた爽やかな風と、キラキラ輝く新緑。春はピクニックに最適なシーズン。日差しをたっぷりあびながら、美味しいワインを飲んで友だちとおしゃべり…。そんなステキな体験をしてみたいですよね。今回はピクニックにぴったりなワインをひもとく映画を3本紹介します。カリフォルニアのワイナリーを巡る“中2病”な男たちに乾杯!▼サイドウェイ監督:アレキサンダー・ペイン出演:ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャージほか 【ストーリー】2年前の離婚のショックから立ち直れない、小説家志望のワインオタクな主人公マイルス(ポール・ジアマッティ)は、大学時代からの悪友ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)から結婚前に独身最後の旅行へ行きたいと連れ出され、カリフォルニアワインのワイナリーを巡ることに。旅先では出会いあり、ハプニングあり、素敵なワインがあり、マイルスの人生にささやかな希望の光が見えてきます…。【見どころ】マイルスとジョージのふたりの珍道中がとにかく笑えます。女好きのジョージの破天荒さと、それに振りまわされるマイルスは、まさに中2病そのもの。そして、劇中でマイルスが披露するピノ種やカベルネ種に対するワインのうんちくの凄さにも驚きます。さらにプレミアがついているワインも次々登場するので、ワイン好きにはたまらない1本です。ピクニックシーンも素敵なので、ぜひ参考にしてください!フランス・ボルドーの危機は意外なところに!▼世界一美しいボルドーの秘密監督:デヴィット・ローチ、ワーウィック・ロスナレーション:ラッセル・クロウ【ストーリー】フランスワインの産地ボルドーの歴史と現状を紹介するドキュメンタリー映画。長らく富と権力の象徴とされてきたボルドーワインは、時代とともに欧米の顧客は激減。その反面、中国などでは価格が高騰し、需要と供給のバランスが取れなくなっていた。そんな異常事態にボルドーの醸造家たちは頭を悩ます…。【見どころ】日本でもボルドーワインは有名ですが、そのボルドーで今、何が起こっているのかをワイン作りの現場だけでなく、中国での取材も交えて紹介しています。さらに、ワイン評論家や、ワインコレクター&ワイナリーのオーナーでもあるフランシス・F・コッポラ監督らなどの著名人も登場。ナレーションはラッセル・クロウが担当しているのも注目です! 北海道でワイン造りに燃える兄弟の物語▼ぶどうのなみだ監督:三島有紀子出演:大泉洋、安藤裕子、染谷将太ほか【ストーリー】北海道・空知に父が遺した小麦畑と葡萄の樹のそばで、兄のアオはワインをつくり、ひとまわり年の離れた弟のロクは、小麦を育てている。アオは“黒いダイヤ”と呼ばれる葡萄“ピノ・ノワール”の醸造に励んでいるが、なかなか理想のワインはできない。そんなある日、キャンピングカーに乗ったひとりの女性が現れ……。 【見どころ】コミカルさが人気の大泉洋ですが、本作ではピノ・ノワール作りに奮闘する真面目男子を好演。小麦を育てている弟役の染谷くんもキュート。そして、注目なのが兄弟ふたりで作るご飯がどれも美味しそうで見ていてお腹が空いてきます。そして美味しそうな料理とワインを外に持ち出し、キャンドルを灯しながらディナーを楽しむシーンは、みていてうっとりしてしまう美しさです。この映画のモデルとなったのは、北海道にある「宝水ワイナリー」。積雪2mを超える雪国でワインを作り続けているワイナリーで、RICCAブランドなどを展開しています。4~5月はワインの試飲イベントなどが各地で開催されます。イベントに行く前に映画で知識を学んでおけば、さらにワインを楽しく深く味わえるはず。お気に入りのワインを持って、ピクニックに出かけるもよし、イベントで試飲を楽しむもよし。カラッとした気候はすぐに終わってしまうので、ステキなワイン体験は今こそ狙い目です!
2015年04月21日ナチスドイツの手からたった1人で逃れ、生き抜いた少年を描いた『ふたつの名前を持つ少年』が、戦後70年目を迎える8月15日(土)の終戦記念日に決定。併せて、1人で生き抜く少年の姿が映るポスタービジュアルが、シネマカフェにいち早く到着した。第2次世界大戦下、ポーランドのユダヤ人強制住民区から脱走し、森へ逃げ込んだ8歳の少年スルリック。飢えや寒さで行き倒れとなるが、ある夫人に助けられる。スルリックの賢さと愛らしさに気づいた夫人は、彼が1人でも生き延びれるよう、“ポーランド人孤児ユレク”として逃がすことに。夫人に教わった通りに偽りの身の上話を語り、寝床と食べ物を求めて農村を1軒ずる訪れるユレクに、救いの手を差し伸べる者もいれば、ドアを閉ざす者、さらには利用しようとする者も…。ユダヤ人というだけで過酷な環境に見舞われるユレクを支えていたのは、生き別れになった父との約束だけだった――。1996年に「国際アンデルセン賞」を受賞した児童文学作家ウーリー・オルレブの「走れ、走って逃げろ」を原作とした本作。監督を務めるペペ・ダンカートは、この原作との出会いを「見る者の記憶に20年後も残り続ける映画となる素材を見つけた瞬間」であるという。「この映画を観た人は皆、ユレクに感情移入するでしょう。誰もが彼に対して畏怖の念を抱き、尊敬で心を動かされ、彼と共に嘆き悲しむでしょう。初めて原作を読んだとき、私もそうでした」とダンカート監督。さらに、「これは1人の少年の旅の物語です。彼は一夜にして独り立ちし、生き延びる術を身につけなければなりませんが、実際はまだほんの子どもです。これはあらゆる戦争の悲惨さ、残虐さを表した物語であり、それに屈せぬ者たちの、そして自分の命を犠牲にしてでも死の淵にいる人を助ける者たちの話でもあります。私はそんな真に迫った心を打つ物語を、悲観的にならずに語りたいと思いました。これはスルリック=ユレク=ヨラム・フリードマン(原作のモデル)の真の強さと、希望と勇気の物語なのです」とコメントを寄せた。悲惨で過酷な運命を力強く前向きに生き抜く主人公を、アンジェイとカミルの双子の兄弟が愛らしい笑顔で演じきった本作。戦下で起こった実話を基にした物語は、戦後70年を迎えた日本人の心にも響くに違いない。『ふたつの名前を持つ少年』は8月15日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年04月09日終戦、そしてアウシュビッツ解放から70年の節目となるこの夏、過酷な運命を勇敢に生き抜いたユダヤ人少年の実話を描く「RUN BOY RUN」(原題)が、邦題『ふたつの名前を持つ少年』として8月に日本公開されることが決まった。第2次世界大戦下、ポーランドのユダヤ人強制住居区から脱走した8歳の少年スルリック。彼は森へと逃げるが、飢えと寒さで行き倒れとなり、ある夫人に助けられる。夫人はスルリックの誰をも魅了する愛らしさと賢さに気づき、一人でも生き延びられるよう”ポーランド人孤児ユレク”として架空の身の上話を覚えこませ、追っ手から逃がすことに。夫人に教わった通り、うその身の上を語り、寝床と食べ物を求めて農村を一軒ずつ訪ね歩くユレク。だが、優しい家族に受け入れられ束の間の平穏をつかみかけても、ユダヤ人であることがばれてしまい、ユレクは追い立てられるように別の場所へと逃げる。生き別れになった父との約束を胸に、明日の希望を信じてユレクのいのちの旅は続くが――。本作は、ナチスドイツの手から逃れた8歳のユダヤ人の少年が、「スルリック」というユダヤ名を捨て、ポーランド人孤児「ユレク」として、たった一人で森に潜み、食べ物を求めて農村を渡り歩きながら、3年もの月日を生き抜いた実話を基にした物語。原作は、1996年「小さなノーベル賞」とも称される児童文学賞・国際アンデルセン賞を受賞し、自身もユダヤ人強制収容所や隠れ家生活の体験者である児童文学作家ウーリー・オルレブによる「走れ、走って逃げろ」(03年・岩波書店刊)。今回、イスラエル、ポーランド、ドイツ、フランスに続いて日本でも公開されることに、オルレブは「大変嬉しい」とコメントしている。監督を務めるのは、奇しくもスティーヴン・スピルバーグの『シンドラーのリスト』が席巻した第66回アカデミー賞において、『Schwarzfahrer』(黒人のドライバー)で「短編実写賞」を受賞したペペ・ダンカート。オルレブの原作との出会いを、「見る者の記憶に20年後も残り続ける映画となる素材を見つけた瞬間」と明かしている。過酷な運命を力強く、前向きに生き抜く“ふたつの名前”を持つ主人公を演じたのは、アンジェイとカミルの双子の兄弟。愛らしい笑顔の少年が、なぜ、ユダヤ人というだけでこれほどまでに過酷な運命を生きなければならなかったのか。戦後70年の今年、子どもから大人まで見る人すべての心を打つ感動作が、また1つ誕生した。『ふたつの名前を持つ少年』は8月、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年03月05日アメリカでアカデミー賞授賞式が開催され、映画熱が高まっている人も多いはず。今回は、アカデミー賞ノミネート作のなかから、学者をテーマにした映画をピックアップ。学者の偉業を知ることができる作品ではありますが、注目すべきは彼らを支える女性たちの存在です。強く優しく、愛する男性をサポートする女性の魅力を学んでみましょう。 繊細な男性には、ひたすら寄り添ってサポート!▼「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」監督:モルテン・ティルドゥム 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイまずは、「SHERLOCK」で人気沸騰となった、ベネディクト・カンバーバッチ主演映画からご紹介。ベネティクト・カンバーバッチが演じるのは、実在の数学者アラン・チューリング。キーラ・ナイトレイは、彼を支える女性ジョーン・クラーク役として登場します。 【ストーリー】数学者のアラン・チューリングは、ドイツ軍の暗号エニグマを解読するという政府の極秘任務に就く。自信家で不器用なチューリングは解読チームの協力を拒み、ひとりで電子操作の解読マシンを作り始めます。暗号読解をゲーム感覚に捉えていたチューニングは、次第にこれはゲームではなく人の命を救うことに気づきます。そして彼は秘密の作戦に身を投じることに……。【ココが“内助の功”】チューリング(ベネティクト・カンバーバッチ)は自分で「私は世界一の数学者」と公言するほどの自信家。そんな彼を支えるのが、解読チームの一員のジョーン(キーラ・ナイトレイ)。彼女はチューリングの論争相手でもあり聡明な科学者です。そんな志の高いジョーンはチューリングの良き理解者となっていきます。 彼が恐怖と落胆に震えていれば優しく寄り添い、自信をなくせば手を取って励ます。同じ数学者であるジューンがチューリングの気持ちどう寄り添っていくのかを見ていくことで、ナイーブな男性の励まし方がわかるはず。一生支えるという覚悟を持つべし!▼「博士と彼女のセオリー」監督:ジェームズ・マーシュ出演:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ続いては、物理学者ホーキング博士を描いた作品をピックアップ。ホーキングを演じるのは、「レ・ミゼラブル」でマリウス役を熱演したエディ・レッドメインです。ホーキングの妻、ジェーンは「アメイジング・スパイダーマン2」で注目度を上げたフェリシティ・ジョーンズが演じます。【ストーリー】ケンブリッジ大学大学院で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は、パーティでジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出逢います。ふたりは互いに引かれあい恋に落ちます。しかし病魔が彼を襲い、彼は寮にこもってしまう。そこで立ち上がったのがジェーン。彼女はホーキングとの愛を貫く覚悟を決め、やがてふたりは結婚します。しかし、彼らを待地構えてのは数々の試練だった…。【ココが“内助の功”】 見所は、ホーキングを支えるジェーンの生き方。中途半端な気持ちでは決してできない大きな決断をジェーンは何度もするのですが、愛する男性をサポートすると覚悟したら、どんな試練をも乗り越える。この作品からは、にこにこハッピーな幸せだけではない、厳しく険しい愛の一面を知ることができます。 ジェーンをそこまで強くさせたのは、苦悩しながらもキラキラと輝きながら、ひたすら研究にいそしむホーキングがいるからなのでしょう。才能あふれる男性に女性はともに夢を描き「私が支える!」という覚悟が芽生えるのかもしれません。 学者のそばに強いオンナあり!▼「ビューティフル・マインド」監督:ロン・ハワード出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリーアカデミー賞受賞作つながりで紹介すると、ラッセル・クロウ主演の「ビューティフル・マインド」もアカデミックな男性を支える女性が登場します。94年にノーベル経済学賞を受賞した実在の人物、ジョン・ナッシュの半生を描いたドラマ。2001年にアカデミー賞作品賞など全4部門を受賞しました。【ストーリー】「この世のすべてを支配する真理を見つけ出したい」という欲求にかられ、ひとり研究に没頭するナッシュ(ラッセル・クロウ)は大学のクラスメートからも好奇の目で見られる存在。しかし、ナッシュは画期的な“ゲーム理論”を発見。やがて希望する研究所に採用され、愛する人アリシア(ジェニファー・コネリー)と結婚。しかし、米ソ冷戦下、彼の頭脳が暗号解読という極秘任務に利用され、彼の精神は次第に大きなプレッシャーに追いつめられていく……。【ココが“内助の功”】ナッシュは次第に精神的に追い込まれていくのですが、注目したいのはそんなナッシュを支える妻アリシアの献身さです。天才は時にもてはやされますが、人から避難の目を集めることもあります。そんな時に一緒に立ち向かってくれるのが愛する人の存在。アリシアもナッシュが心を病んでも、ひたすら信じて寄り添う、周りから反発されても信じる。この強さがアリシアのスゴイところです。アカデミックな男性は繊細で自信家で、研究に没頭したら他のことが手に付かない。そんな腕白な少年のような一面があります。そんな大きな少年を支えるには、強さと優しさが必要です。でもその強さと優しさを発揮する相手を間違えると、相手が単なる甘えん坊になっちゃうので要注意!相手をよく見極めて発揮してみてくださいね。
2015年02月19日年齢を重ねると恋愛に対するスタンスが固まってしまっていること、ありませんか?恋愛感情はもう関係ない…なんて思っている人もいるかもしれません。でも、いわゆる“胸キュン”な気持ちは、いかなる時も大切な生きる源ではないでしょうか。人生の酸いも甘いもを噛み分けた大人の女性だからこそ愉しめる恋愛映画3本をご紹介します。年下男子と恋愛するなら?▼「ぼくの美しい人だから」監督:ルイス・マンドーキ 主演:スーザン・サランドン、ジェームズ・スペイダー年下の男性って好き? という話題になると「自分はいいけれど、相手がどう思うか…」と答える女性が多いように思います。自分がどう思うか以前に、年下男のオシリを追いかけるなんてはしたない、という刷り込みがあるのでしょう。でも、この映画のノラは、つい先ほど自分が働くハンバーガーショップの客だった彼とバーで再会すると、酔っている彼の隣りに座り、やがて一夜をともに過ごすことに…。いわゆるワンナイト・スタンド。行きずりの恋?とも言えないような出会いから始まる二人。27歳のエリート広告マンで、教養がありクラシック音楽を愛し、インテリア雑誌から抜け出たみたいなモダンな家に住むキレイ好きな彼、マックスをジェームズ・スペイダーが、43歳で教養もなく部屋はぐちゃぐちゃのノラを、スーザン・サランドンが好演。あり得ないはずの二人の関係が、燃えたり冷えたりしながら進んでいくプロセスがリアルで、だらしない中年女だと思われていたノラが、最終的には、誰にも媚びない凛とした生き方を貫くカッコよさ! 衝撃的なハッピーエンドに年上女性は快哉を叫ぶでしょう。1990年代、マックスに近い年齢で観た時は、「こんなオバサンとアリ?」と感じました。現在は年上女性と付き合うカップルも増えてきたこともあり、まったく違和感を感じません。ただ、自分からいつでも別れを切り出せる、潔い年齢の重ね方をしている真に大人の女性だけに許される恋愛なのかな、と思います。男女間の絶妙な会話術を学ぶ▼「ビフォア・サンセット」監督:リチャード・リンクレイター 主演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー前作「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」では、ユーロトレインの車内で偶然出会い、ウィーンで一夜だけをともにしたアメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)とフランス人のセリーヌ(ジュリー・デルピー)が、別れ際に約束した半年後の再会を果たせないまま、その9年後…という設定の続編がこの映画。作家になったジェシーが、パリの書店で新著「This Time」(あの一夜を描いてます)のプロモーション中、セリーヌと再会し、ニューヨーク行きの飛行機に乗るまでの85分間で、9年間を語る様子が描かれます。前作同様、ほとんど二人の会話だけで進行しますが、セリーヌのアパルトマンを訪れ、彼女がギターを弾いて歌ったり、最初は常識的なきれい事を含んでいた会話がどんどん剥き出しになっていったり…、自然なテンポから目が離せません。主演の二人が、会話のシナリオに関わっているのが納得の素晴らしい展開です。男女の会話の妙味だけでこれほどおもしろいとは! 実際にはセックスしていないのに実にセクシーで、“これぞ極上のエロティシズム”と思っていたら、アメリカの雑誌で「セクシーな映画トップ25」の10位にランクインしていて驚きました。男女の間で、肉体関係はもちろん大事だけれど、一番大切なのは会話ではないでしょうか? 大人の女性なら魅力的な会話がしたい、そういう会話ができる関係でありたい、と思わずにいられません。この映画は、第3作「ビフォア・ミッドナイト」に続くので、そちらもお楽しみに!ピュアな愛情の生命力を教えてくれる▼「ラブソングができるまで」監督:マーク・ローレンス 主演:ヒュー・グラント、ドリュー・バリモア1980年代に一世を風靡したバンド、「ポップ」の元ボーカルで、現在は落ち目のスター、アレックスを演じるのがヒュー・グラント(これだけで既に笑えます)。彼が人気歌手の新曲を作るため、ピアノに向かって苦心する中、植物の水やりのバイトで訪ねてきたソフィー(ドリュー・バリモア)が、ふと口ずさんだ歌詞がアレックスのハートを直撃!そこから恋が始まるラブロマンスの王道映画です。ソフィーの姉ロンダが「ポップ」の大ファンで彼に会って狂喜乱舞したり、遊園地で歌うバイト中のせつない彼をソフィーが励ましたり、ソフィーの過去の失恋が絡んだり、音楽業界の内幕に触れたりと、それこそポップな音楽とともに展開する珠玉のストーリー。すれ違いながらも、真摯にピュアな愛情を注ぎ合う二人の姿勢がダイレクトに刺さりました。ピアノすら弾けなかったというヒュー・グラントの見事な歌と演奏も、さすが役者!と感心させられる見どころのひとつです。実は、これを初めて観たのは、東日本大震災から3日後の深夜のテレビでした。自粛で通常の番組はオンエアされず、あの怖ろしく悲しい映像と金子みすずの言葉ばかりが流れ、被災地のことを思うと仕事がまったく手につかない、一字も書けない、と懊悩していた時、なぜか深夜2時から突然、この映画が放映されたのです。すがりつくような思いで観て、そして、生き返りました。後年、何度観てもその感動は変わらず、サントラCDも購入し、未だに視聴しています。恋愛以前、生きる意味さえわからなくなった時に救われ、愛の力で生きる勇気を与えてくれた映画です。これらの映画で、大人の女性ならではこそ味わえる愉しみを満喫してみませんか?
2015年02月17日2月14日はバレンタインデー。学生時代のように片思いの相手に告白するドキドキ感も素敵ですが、大人の女性たるもの、心を豊かにする恋にときめきたいもの。ちなみに、人はときめくと美に関わるホルモンが分泌されて肌にツヤが出てくるのだとか。現実に恋愛をしていなくても、イイ男を映画やテレビで見るだけでも効果があるのだそう。ということで、今回はアラフォー世代がときめく、素敵な男性が登場する映画を紹介します。“心に傷のある男”に、母性本能くすぐられます!▼「世界にひとつのプレイブック」監督:デヴィッド・O・ラッセル 主演:ブラッドリー・クーパーまずは注目のイケメン俳優、ブラッドリー・クーパー出演作「世界にひとつのプレイブック」から。ブラッドリー・クーパーは、TVドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」でデビュー。二日酔い男の日々を描いたコメディ「ハングオーバー!」シリーズにも出演。ピープル誌の「世界一セクシーな男」にも選ばれたことがあります。最近では「アメリカン・ハッスル」や、全米で公開中の「アメリカン・スナイパー」にも出演。今やハリウッドでひっぱりだこの俳優です。 【ストーリー】両親と暮らしながら妻との復縁を夢見るパッド(ブラッドリー・クーパー)は、ある日、ティファニー(ジェニファー・ローレンス)という女性と出会います。ティファニーはものすごい美人なのに、過激な発言&行動が目立つ難ありな女性。そんなアウトサイダーな二人が出会い、人生に希望の光を見いだすためにダンスコンテストに出場することに。 【ときめきポイント】見逃せないのが、ブラッドリー・クーパーの肉体。写真を見てもわかりますが、がっちりした体つきがセクシー。そんな肉体を持ちながらも、人生に行き詰まって苦悩する。そのギャップに母性本能をくすぐられること必至です。そして、愛する人を失うという深い悲しみを抱えた姿に、心が痛くなるほど切なくなります。大人になるほどつらい気持ちを正直に表現できない、色々なしがらみの中で生きて行かなくてはならない。その壁を必死に乗り越えようとする二人。思わず「がんばれ!」と応援したくなる、そんな映画です。“影のある孤独な男”の純愛にハラハラ▼「ドライヴ」監督:ニコラス・ウィンディング・レフン 主演:ライアン・ゴスリング続いては、ライアン・ゴスリング主演「ドライヴ」を紹介しましょう。ライアン・ゴスリングは、人形の女性に恋をする「ラースと、その彼女」など、個性的な作品から「きみに読む物語」「ラブ・アゲイン」などの恋愛映画にも多数出演。本作では、裏社会に生きる孤独な男を熱演しています。 【ストーリー】昼はハリウッドのスタントマン、夜は巧みなドライビングテクニックを駆使し、強盗たちを逃がす闇の仕事で生活している通称“ドライバー”。誰とも接することなく孤独に生きる彼は、ある日、同じマンションに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)とその息子と知り合います。次第に惹かれていくドライバーとアイリーン。しかしアイリーンの夫が出所。ドライバーは裏社会の抗争に巻き込まれてしまいます。【ときめきポイント】ドライバーの名前は作中に一度もでてきません。まずそこがクール。それに彼はスタントマンですからドライブテクニックも抜群で喧嘩も強い。そして恋した女性とその息子にはとびきり優しい。強くて優しい男性は女性の永遠の憧れです。そこに孤独という影が加われば、大人の女心を掴まないわけがありません。この映画は、バイオレンス&アクションなシーンもたくさんありますが、純愛作品としても楽しめます! 寂しい夜を癒してくれる“大人なジゴロ”にうっとり▼「ジゴロ・イン・ニューヨーク」監督・主演:ジョン・タートゥーロ最後は、ウディ・アレンとジョン・タトゥーロという個性的な二人が共演している「ジゴロ・イン・ニューヨーク」を。ウディ・アレンといえば、「アニー・ホール」などN.Y.を舞台にした映画を多数撮っている監督。本作は、アレン作品にも出演したことのある、ジョン・タトゥーロが監督・脚本・主演。そしてタトゥーロと友達でもあるウディ・アレンは俳優として出演しています。ほか、シャロン・ストーンやヴァネッサ・パラディなどの大人な女優さんも出演しています。【ストーリー】ブルックリンの本屋をつぶしてしまった店主(ウディ・アレン)が花屋でアルバイトをしている友人(ジョン・タトゥーロ)をジゴロにして、男娼サービスをはじめます。口数が少なく、仕事はきっちりこなすクールなジゴロに女性達はイチコロ。彼の評判は瞬く間に広まります。そんななか、ジゴロはある未亡人からの依頼を受けます。どこか悲しげな彼女にジゴロは心惹かれ、恋心を抱きます……。【ときめきポイント】見所はジゴロを演じるジョン・タトゥーロの渋い演技。見た目はくたびれたおじさんですが、寡黙で必要な時に必要なことしか言わない、女心を掴む台詞が際立ちます。時にタンゴを踊ってくれたり、時に背中を優しくなでてくれたり、彼のジェントルな態度に、気を張ってがんばっている自立した大人女性たちはメロメロに。心を許せる男ってこういう人を言うのでしょうね。そして、シニカルでウィットに富んだ大人たちの会話もこの映画の魅力。「好き」、「愛している」なんて軽く口には出しません。そして、感情の機微を静かに自分の心で消化していく、そんな大人な行動も心を打ちます。過去に傷を負った人、孤独な人、心優しい人、と様々な男性を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんの心をぎゅーっと鷲づかみにする男性がこの3作で見つかりましたか?パーフェクトじゃなくても、女心をぐっと掴むポイントがあれば、女性はいつだってときめくことができます。素敵な映画と出会って、ときめきホルモンをどんどん増やして、身も心も美しい女性を目指しましょう!
2015年02月03日アジアを中心に芸術性の高い作品を上映し、映画ファンから絶大な支持を得ている東京フィルメックスの本年度ラインナップ発表会見が15日に都内で行われ、特別招待作品としてオープニング上映される『野火』の塚本晋也監督をはじめ、廣木隆一、篠崎誠、高橋泉ら上映作品を手がけた監督4人が出席した。その他の写真塚本監督の『野火』は、第二次世界大戦末期のフィリピン戦線を舞台に、ひとりの日本兵の視点から戦争の恐怖を訴えかけ、今年のヴェネチア映画祭で絶賛された一作で「戦争を描いているが、映画は思想ではなく、あくまで芸術でなければいけない。日本が急速に戦争に傾く恐ろしさに、フィルメックスが共感してくださった」と縁深い映画祭での上映に、強い思いを語った。廣木監督は前田敦子と染谷将太が共演する『さよなら歌舞伎町』、篠崎監督は震災後の心の傷に葛藤する女性をスリリングに描く『Sharing』をそれぞれ上映。「涙あり、笑いあり、裸あり(笑)でフィルメックスの中では一番ラフな作品かもしれない」(廣木監督)、「11年に審査員をさせてもらい、映画を観ることからエネルギーをもらった。作品の上映は(第1回以来)14年ぶりなので、いささか緊張している」(篠崎監督)と心境を明かした。一方、コンペティション部門はイスラエル、イラン、フィリピン、韓国などから9本がエントリーされ、唯一の日本映画『ダリー・マルサン』のメガホンを執った高橋監督は「吐き出す思いでつくった作品を、拾ってくれる熱をフィルメックスに感じる。作品をしっかり観ていただける映画祭」と敬意を表した。同映画祭のディレクターを務める林加奈子氏は「コンペ作品の共通したテーマを強いて挙げれば、闇を描いているという点。世界、時代、心の闇を深く掘り下げ、明日への光明を求めている」と指摘し、「特別招待も含めて、濃厚で深い映画ばかり。ぜひご期待していただければ」と自信を示した。コンペティション部門の審査委員長を、中国が世界に誇る名匠ジャ・ジャンクーが務めることも決定し「長年の念願だったので、本当に光栄で嬉しい」と話していた。第15回東京フィルメックス11月22日(土)から30日(日)まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇にて開催取材・文・写真:内田 涼
2014年10月15日美しさの表現のひとつに“クールビューティー”という言葉がありますが、その元祖といえば……? 真っ先にあげられるのが、1950年代にハリウッドで活躍した女優、グレース・ケリーです。ヒッチコック監督の映画『ダイヤルMを廻せ!』『裏窓』『泥棒成金』などでヒロイン役を務めた彼女は、まさに気品溢れるクールビューティー。そんな彼女は人気絶頂の最中、モナコ大公レーニエ3世と恋に落ち、結婚。モナコ公妃となり、きっぱり女優業から引退したことも有名ですよね。残念ながら、突然の事故により52歳の若さで亡くなりましたが、その生き方や美貌は、今も世界中で語り継がれています。グレース公妃の知られざるエピソードが映画に女優としてのグレース・ケリーは作品の中で楽しむことができますが、モナコ公妃としての彼女の活躍は、これまでもあまり知る機会がなかったと思います。そんな中、彼女が公妃となってから6年後の、感動秘話を描いた映画『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』が10月18日(土)より、いよいよ日本で公開されます。 彼女の結婚までの道のりは、シンデレラストーリーといわれていました。でも実際は、なかなか王室のしきたりに馴染めずに苦労していたそうです。本作はそんな中、存亡の危機に立たされたモナコ公国を救うために、グレースが公妃として立ち向かう姿を描いたもの。見どころたっぷりのストーリーと共に、グレース・ケリーという女性の芯の強さ、人間らしさ、その魅力に触れられる作品になっています。グレースを演じるのは、アラフォー世代憧れのハリウッドスターもうひとつ本作で注目したいのが、グレース役を演じる女優、ニコール・キッドマン。現在47歳で、年齢を重ねてもなお美しく輝き続けている彼女は、まさにアラフォー世代の憧れ的存在ですよね!グレース・ケリーを演じるにあたり、大量の資料や映像でリサーチを重ね、グレース独特の立ち居振る舞い、話し方などを習得したというニコール。さすが、グレース公妃を見事に体現しています。オリヴィエ・ダアン監督は、現場で常に真剣に耳を傾け、最高の答えを見つけようとする彼女の仕事熱心さを絶賛しているとのこと。そんなニコールの仕事に対する真摯な姿勢、ひたむきな努力もまた、内面から溢れる美しさにつながっているのでしょう。演技やメイクで近づけているだけでなく、ニコールもやはり気品溢れるクールビューティー。その持ち前の凛とした美しさはグレース本人と重なります。ルックス的にいえば、ブロンドヘア(2人とも天然のブロンドではないようですが)や、真っ白で陶器のように美しい肌もリンクします。ちなみにグレース本人は帽子とサングラスを愛用していたそうで、劇中にもそうしたファッションが度々登場しますが、ニコール自身も普段からつばの広い帽子やサングラスを欠かさず身につけているとか。余談ですが、オーストラリア出身の彼女の場合、幼い頃から徹底した日焼け対策で、自慢の白い美肌を守ってきたといわれています。美意識の高さも昔から一流なのですね!見習いたい! センス溢れるファッションエルメスのケリーバッグの由来としても知られるグレース・ケリーは、当時、ファッションアイコンでもありました。本作ではそんな彼女のセンス溢れるファッションを参考にした衣装が目白押し。華やかなドレスの数々、普段着の少しカジュアルな装いなど、存分に楽しめます。もちろんニコールの着こなしはすべて完璧! 豪華なドレスは難しくても、小物使いなど参考にできそうですよ。本作のシーンと実際のグレース・ケリーを並べて紹介していている海外サイトも。是非チェックしてみてはいかがでしょうか。 Scarlet Boulevard(海外サイト) 2人の美しさは次元が違いすぎるかもしれませんが、外見だけでなく、内面的な部分や、芯を持った生き方含め、少しでも近づけるようになれたらいいなと、この映画を観れば改めて感じるのではないでしょうか。・ 『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』 10/18(土)より、TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー。
2014年10月10日ブレないつもりでいても人の言葉に気持ちが揺らいだり、がんばったことが裏目に出て自分が心もとなく思えたりする時、意志的な主人公の映画を観るとシャキッとしますよね。単純に、映画と自分を比較はしないかもしれませんが、劇中の女性の潔い生き方や毅然とした態度から刺激を受けることってありませんか? そんな凛とした佇まいの魅力に満ち、100年以上をも遡った時代に、強い意志を持ち続けていた女性たちが主人公の映画を3本、ご紹介いたします。アナ・ムグラリスがカッコいい「シャネル&ストラヴィンスキー」20世紀最大のファッション・デザイナー、ココ・シャネルは、生きていたら今年131歳。カール・ラガーフェルドに引き継がれた今も圧倒的な人気を誇ると同時に、シャネル自身が生き方のアイコンとして、現代の女性たちに影響を与え続けている存在です。「アメリ」のオドレイ・トトゥが若きシャネルを演じた「ココ・アヴァン・シャネル」、名女優、シャーリー・マクレーンが演じる「ココ・シャネル」、本物のシャネルが登場する「シャネル シャネル」など、彼女はいくつもの映画で描かれています。その中でもおすすめなのは、芸術支援に力を注いだシャネルが作曲家ストラヴィンスキーと恋に落ちる、この映画です。シャネルのCFモデルも務めた主演のアナ・ムグラリスは美しいの一言!印象的なのは、ストラヴィンスキーの生活をバックアップしてあげて、彼にお礼を言われるシーン。口角をちょっと上げただけでサッと踵を返して立ち去るのですが、このシーンだけで、シャネルならこうだろうな! と実感させる凄みがあります。恩着せがましさの一切ないクールさにしびれました。 サウンドトラックが全世界で300万枚以上のセールス >>続きを読む 言葉でなくピアノで伝える「ピアノ・レッスン」の主人公船から運ばれたピアノが海辺に置かれる印象的な冒頭シーンから始まるこの映画の主人公は、6歳の時に自分の意志で話すことをやめた女性。言葉でなくピアノで自己表現をする謎めいた主人公をホリー・ハンターが好演。 ピアノを通じて、ハーヴェイ・カイテルが演じる現地の男性と、愛と官能の世界へ・・・とめくるめく内容です。 どこにもないようなストーリーなのに、「自分が体験したいと思う映画を作ったの。物語にすっと入れて、夢中で見終えてしまうような…」と語るジェーン・カンピオン監督の術中にまんまとはまってしまいます。ハッピーエンディングに驚いてしまうくらい不思議な映画ですが、独特な味わいの映像とともに、サウンドトラックを全世界で300万枚以上セールスしたという、マイケル・ナイマンの音楽も筆舌に尽くしがたい魅力があります。 イサム・ノグチを芸術家に育てた女性の人生を描く >>続きを読む イサム・ノグチを芸術家に育てたシングル・マザー「レオニー」キャッチコピーは「お母さん、私はこの子を連れて日本という国に行きます。」世界的に有名な天才彫刻家、イサム・ノグチは、ある2人の出会いによってこの世に生を受けます。その2人とは、20世紀初頭のアメリカで売り出し中の詩人、野口米次郎(ヨネ)と、その翻訳を手伝う作家志望のインテリ女性、レオニー・ギルモア。未婚のまま出産をし、100年前の日本で戦争や人種差別、偏見に艱難辛苦の日々を送る母子。そんな中でも、レオニーは幼少からイサムの芸術性を見抜き、成長した彼がコロンビア大学医学部で学ぶのをやめさせてまで、芸術家への道を歩ませます。一人の男を愛したという運命を潔く受け容れるレオニーの生き方は、日米合作という大作をまとめあげた松井久子監督の生き方にも通じ、世界中でロングラン中。主演は「マッチポイント」などで著名な英国女優、エミリー・モーティマーと中村獅童。美しい陰影が特徴的な撮影監督は「エディット・ピアフ」でセザール賞受賞の永田鉄男、余韻を残す絶妙な音楽は「ネバーランド」でアカデミー賞受賞のヤン・A・カチュマレクと、キャスト、スタッフともに恵まれた傑作。迷える女性に光を与えてくれるエンタテインメントです。・ 「シャネル&ストラヴィンスキー」 ・ 「ピアノ・レッスン」 ・ 「レオニー」
2014年09月25日“天使の歌声”の呼び名で愛されるウィーン少年合唱団が来日。4月24日に東京都内で記者会見を行った。ウィーン少年合唱団2014年 日本公演1498年に創設され、かつてハイドンやシューベルトも所属していた伝統あるウィーン少年合唱団。世界の数ある少年合唱団の中でも抜群の人気と実力を誇り、ウィーンの音楽大使として世界各地でコンサートを開催。特に日本へは1955年の初来日以来、度々ツアーを行っており、毎回、完売公演が相次ぐほどの人気を博している。今回の来日メンバーは、日本人団員1名を含むハイドン組の25名。「日本には温かいファンの方が多くて、いつも家族のもとに帰ってきたように感じます。ツアーでは、新しい音楽と出会えるのが楽しみのひとつ。昨年も日本の曲をたくさん歌わせて頂きましたが、すぐに合唱団にとっても大好きな曲になりました」と芸術監督ゲラルト・ヴィルトが挨拶した。東日本大震災の直後からチャリティ公演を開催するなど、惜しみない支援を続けるウィーン少年合唱団。今回の日本公演に先駆けて、去る3月5日にはウィーン楽友協会で行われた震災復興支援プロジェクト「歌う第九コンサート」に出演。シュテファン・ヴラダー指揮ウィーン・カンマー・オーケストラ、南相馬ジュニア・コーラス(MJC)、日本から一般参加した合唱メンバーあわせて約320名と共演し、「第九」ことベートーヴェンの交響曲第9番を演奏した。「今回のプロジェクトで、こんなに大勢の日本人の皆さんが『第九』を歌うことを初めて知りました。ベートーヴェンの『第九』は、もちろん我々オーストリア人にとって大切な曲なのですが、日本の方々にとっても同じように賛歌なのですね。“歓喜の歌”の歌詞にあるように、まさに世界中の人々が一緒になれるという体験でした。また、日本人の皆さんと一緒に歌うということは、合唱団の子どもたちの教育にとっても非常に貴重だったと思います」とヴィルト芸術監督が感想を述べた。会見では「歌う第九コンサート」主催者である社団法人世界音楽合唱チャリティー協会の会長・林昭男と同夫人の歌手・小林幸子も登壇。チケット収入と会場での寄付金全額を南相馬ジュニア・コーラス(MJC)の音楽監督・金子洋一に贈呈した。会見の最後には、日本公演のツアープログラムから、映画『風立ちぬ』主題歌の「ひこうき雲」(荒井由実作曲)、「ラデツキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス作曲)、東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」(作詞:岩井俊二/作曲:菅野よう子)の3曲を披露したウィーン少年合唱団。日本公演は、4月26日(土)のサンシティ越谷市民ホール(埼玉)を皮切りに、6月15日(日)の東京オペラシティ コンサートホール公演まで、全国31公演を開催する。
2014年04月25日公開中の映画『モンスターズ・ユニバーシティ』の大ヒットを記念して日本語吹替え版のマイクの声を担当した爆笑問題の田中裕二とマイクの少年時代を担当した佐藤和太くんが7月15日(月・祝)、都内で行われた舞台挨拶に登壇した。モンスターの世界のエネルギーの源となる子供の悲鳴を集める“怖がらせ屋”のマイクとサリーのコンビの活躍を描いた『モンスターズ・インク』の前日譚となる、彼らの大学生時代を描く本作。本年度のNo.1となるオープニング成績を記録し、公開から9日間で興行収入20億円を突破した。マイクと同じ緑色の特注衣裳に身を包んで登場した田中さんは家族連れの観客で満員の客席を見渡し満面の笑み。「(前作から)11年経っても、こんなに集まってくれるということで、みなさんが本当に(続編を)待ってたんだなと感じてます。(前作は)子どもたちが生まれる前なのに、みんな(『モンスターズ・インク』も)見てくれてるんですよね」と感激の面持ちで語った。和太くんも田中さんとお揃いのマイクの衣裳で登場し「劇団ひまわりから来た佐藤和太です!」と元気いっぱいに挨拶。田中さんは和太くんが7歳と聞いて「41歳年下だ!」と驚いていたが、2人で並ぶ姿はまるで兄弟?和太くんも「本物のマイク役の田中さんに会えて嬉しいです!」と笑顔を見せた。和太くんが演じた少年時代のマイクが出てくるのは冒頭の数分だが、このマイクがかわいいと映画公開前から大きな話題に。和太くんは「マイクがかわいくなるようにやりました」と語ったが、田中さんは「ムチャクチャ成功してるよ!(マイクが大人になって)俺の声になってガッカリしたもん(苦笑)。あのままの(マイクの少年時代の)お話があってもいいくらい」と和太くんを称賛した。劇中のマイクは小さい頃から怖がらせ屋になるという夢をずっと持ち続けているが、和太くんの夢を尋ねると「警察官です」と意外な答えが。和太くんによると「3歳くらいでおばあちゃんが申し込んじゃって…」芸能活動を始めることになったとか。田中さんから「また声のお仕事の話が来たら?」と問われると「やります!でもあんまり有名になって忙しくなるとおウチで気ままな生活が…」と懸念を表明し会場は笑いに包まれた。この日は、和太くんの夏休みの自由研究を手伝うべく、テレビでおなじみの米村でんじろうのサイエンスプロダクションのスタッフが来場し、ドライアイスをかき氷のように削り、シロップとあわせて炭酸メロンシャーベットを作る術を伝授。出来上がったシャーベットを食べた田中さんは「メチャクチャうまい!シュワシュワしてる。これ売れると思う」と大絶賛。和太くんはシャーベットをよそった皿を床に落としてしまうというハプニングもあったが「おいしい!」と顔をほころばせていた。『モンスターズ・ユニバーシティ』は公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:モンスターズ・ユニバーシティ 2013年7月6日より全国にて公開(C) Disney/Pixar.All Rights Reserves.
2013年07月16日この秋、食の安全を考えるうえで見逃せないドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」が公開される。冒頭でスクリーンに映し出されるのは、パソコンを立ち上げ、インターネットで「モンサント」と打ち込んで検索する女性。彼女はフランスのドキュメンタリー映像作家、マリー=モニク・ロバンだ。モンサントとはアメリカの多国籍バイオ化学メーカー。かつては枯れ葉剤や牛成長ホルモンなどを開発したことで知られるが、現在の主力商品は除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え作物だ。モンサントは大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、トマトなど、実に20数種あまりの遺伝子組み換え作物を開発してきた。人為的に遺伝子を操作することで、除草剤「ラウンドアップ」に耐性のある性質、殺虫剤を生成する性質などを生み出した。 例えば除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え大豆を一緒に使えば、雑草はすべて枯れて、大豆だけが収穫できるというわけだ。農家にとっては非常に効率的で便利なように思えるが、しかし遺伝子組み換え作物の安全性については賛否両論。健康や環境への安全性は、確実には立証されていないのだ。 さらにモンサントは自社開発した種に対して特許権を取得。モンサントの種を使った農家は、作物を収穫した後に自家採種することは認められていない。もしも自家採種した場合は、特許権侵害として訴えられ、多額の賠償金を命じられることになる。 マリー=モニク・ロバンはインターネット検索で得たモンサントに関するさまざまな公式文書を元に、それらに関係する政府高官や学者、専門家、農家たちへ会いにいく。彼らの証言によって、モンサントの実態が次々と明らかになるのだが、果たしてモンサントの本当の狙いとは…。ちなみに日本でも遺伝子組み換えの種が一部認可されているが、ほとんど試験栽培のみで、商業栽培はされていない。しかし大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿実などの遺伝子組み換え作物自体は輸入していて、多くは食用油や液糖の原料、家畜飼料として使われている。通常、食品の原料に遺伝子組み換え作物を使用した場合は表示義務があるが、組み替えられたDNAや、それによって生成したたんぱく質が含まれない場合は表示しなくてもよいと決められている。したがって表示がないために、知らず知らずのうちに植物油や飲料水、肉を通して口にしていることはある。 豆腐や納豆の原料に表示されている「遺伝子組み換えではない」。今のところ、私たちはそうした表示を見ることでしか判断ができない。しかし国産トウモロコシや菜種を使った油を選ぶとか、肉を食べるのを控えるとか、少し知識を身につけるだけで判断材料は増える。果敢な女性ジャーナリストによる本作は、食への意識を高めるきっかけになるはずだ。「モンサントの不自然な食べもの」監督:マリー=モニク・ロバンカナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto協力:作品社、大地を守る会9月1日より、渋谷・アップリンクにて公開 取材/杉江あこ
2012年08月24日いつまでも戦い続けている少年マンガ彼氏や男友達が読んでいるマンガを貸してもらったり、自分が好きで少年マンガを読んでいるという人も多いはず。読んだことがない人も、なんとなく「こんな雰囲気かな」というイメージくらいは持っているのでは?そこで女性531名に「少年マンガに対するイメージ」を聞いてみました。>>男性編も見るQ.少年マンガに対するイメージは?(複数回答)1位いつも戦っている49.3%2位アクションシーンが盛りだくさん33.0%3位主人公も敵もどんどん強くなる32.2%4位女子キャラがスタイル抜群26.0%5位女子の衣装の露出度が高め 25.1%■番外編:少年マンガはこんなイメージ!!・スポーツの技が非現実的:「登場人物が超人的な身体能力を持っていることが多い」(24歳/医療・福祉/販売職・サービス系)・擬音語が大きく描かれている:「見開き2ページを使って『ドカーン!』とか。少女マンガではありえない」(39歳/生保・損保/営業職)・次々に試練が訪れる:「一つの試練を乗り越えてもまた試練。敵が多すぎる(笑)」(25歳/小売店/販売職・サービス系)・キャラの筋肉がすごい:「『これでもか!!』というほどの筋肉に驚く」(27歳/小売店/営業職)・決めゼリフ、決め技の名前を大声で叫ぶ:「いちいち技の名前を言わなくても、黙って倒せばいいのにと思ってしまう」(33歳/医薬品・化粧品/事務系専門職)■少年マンガはいつも戦っている!!・「少女マンガは恋愛ものが多いのに比べて、少年マンガはスポーツものをはじめ、とにかくいつも戦っているイメージ」(22歳/ホテル・旅行・アミューズメント/その他)・「連載当初はラブコメやギャグマンガだとしても、いつの間にか何かしらバトルが始まってしまう」(28歳/商社・卸/秘書・アシスタント職)・「人気のある少年マンガは大体この要素を備えていると思う」(28歳/金融・証券/事務系専門職)・「最終回までに何度も試練が訪れそうだし、常に傷を負っていそう」(28歳/その他/その他)・「『DRAGON BALL』や『幽☆遊☆白書』など、いつも戦っているイメージ」(30歳/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)■少年マンガにはアクションシーンが盛りだくさん!!・「男子は迫力あるものが好きだと思う」(29歳/生保・損保/事務系専門職)・「少女マンガより躍動感がある気がする」(28歳/自動車関連/技術職)・「少女マンガのキラキラ、ふわふわしたイメージとは真逆。ストーリーやキャラが突き抜けていて面白い」(23歳/商社・卸/営業職)・「1度の戦いが長く続いていそう」(29歳/ソフトウェア/事務系専門職)■少年マンガでは主人公も敵もどんどん強くなる!!・「以前は苦戦した強敵が雑魚レベルになってしまうこともある」(27歳/医薬品・化粧品/専門職)・「主人公の成長に合わせて同じくらいの強さの敵が現れる。最初のころに後半の敵キャラと会っていたら話にならないと思う」(31歳/自動車関連/秘書・アシスタント職)・「強さのインフレが起こりすぎ」(24歳/ソフトウェア/技術職)■少年マンガの女子キャラはスタイル抜群!!・「やっぱり華を添える女子キャラは必須なんですね」(30歳/商社・卸/事務系専門職)・「『作者には女性がこう見えているのかな』とか『こういう感じが好みなのかな』と考えてしまう」(20歳/医療・福祉/専門職)・「男性の理想なんだと思います」(26歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)■少年マンガの女子の衣装の露出は高め!!・「パンチラが多い。そんなに見たいのか!?(笑)」(27歳/小売店/販売職・サービス系)・「男の子キャラは常に強く、女の子は露出多めだと思います」(26歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)■総評1位から3位は少年マンガの王道、バトルに関する要素が独占しました。女子が少年マンガに抱いているのは、1位のように「いつも戦っている」か、2位のように「アクションシーンが盛りだくさん」というイメージ。バトルもの、スポーツもの共ともに敵を倒しながら成長していくというストーリーが基本なので、3位のように「主人公も敵もどんどん強くなる」というイメージを抱いている人も多いようです。4位は「女子キャラがスタイル抜群」、5位は「女子の衣装の露出が高め」と、どちらも女子キャラに関する要素。男性編で聞いた少女マンガのイメージが、「イケメン」、「お金持ち」など女子の理想像を描いたものだったように、こちらも男子の理想像のようです。少年マンガを読むと、男子の求めているものが分かるかもしれません。新たな出会いを求めている人は、ヒント探しのつもりで少年マンガを読んでみては?(文・塩澤真樹/C-side)調査時期:2012年6月8日~6月11日調査対象:マイナビ ニュース会員調査数:女性531名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【ランキング女性編】女心を学んでほしい!男性に読んでほしい少女マンガ【ランキング女性編】恋人に求めたい!!マンガキャラの定番ビジュアル【ランキング女性編】少女マンガの男性キャラといえば完全版(画像などあり)を見る
2012年08月03日上下巻合わせて累計340万部を超える妹尾河童のミリオンセラー小説を、巨匠・降旗康男監督、水谷豊主演で実写映画化した『少年H』。5月頭の千葉でのクランクインを皮切りに物語の舞台である神戸市内や京都、奈良、静岡、千葉など全国各地での撮影が敢行された本作がついにクランクアップを迎えた。異国情緒あふれる神戸を舞台に、戦争という激流の渦に巻き込まれながらも勇気、信念、愛情を持って生き抜いた名もなき家族の姿を描く本作。国内での撮影のほかにも、映画『ブラザーフッド』やドラマ「エデンの東」の撮影も行われた韓国・ハプチョン映像テーマパークにて、映画冒頭のタイトルバックともなる戦前の旧外国人居留地のシーンと、空襲後、焼け野原と化した神戸という全く異なる2つのシーンが撮影された。日本からの撮影スタッフに加え、約40人の韓国人スタッフを結集しての1日限りの大規模な撮影となったようだ。一家の父親・妹尾盛夫を演じた水谷さんは、本作で30数年ぶりとなる降旗組参加。2日間にわたって、セットを燃やして再現された空襲後の火と煙が立ち上る焼け野原状態の神戸を茫然と歩くというラストカットの撮影に臨んだが、「撮影が終わってしまった寂しい気持ちと、作品が完成するのが楽しみな気持ちを同時に味わっています。降旗組での毎日は遠足のようでした」と名残惜しそうに撮影をふり返る。実際に再現された焼け野原の中での撮影はさぞ熱かったのではないかと想像されるが?「ここまで大規模な撮影は初めてだったので、演じているときはあまり熱さは感じなかったのですが、終わってみると熱かったなと(笑)」と飄々と語る水谷さん。熱さもものともしない役者魂はさすがの一言に尽きるが、“少年H”こと息子・肇役の吉岡竜輝からは「いつもおやじギャグを言ってくれる楽しいお父さんでした」と、普段のクールなイメージとは異なる素顔も暴露され、照れ笑いを浮かべていた。7月3日(火)には茨城・ワープステーションでオールクランクアップを迎えた本作。水谷さんが役者魂を見せつけたシーンは一体どのように仕上がっているのだろうか?公開を楽しみに待ちたい。『少年H』は2013年夏、全国東宝系にて公開。■関連作品:少年H 2013年夏、全国東宝系にて公開
2012年07月05日