映画『怪物』(6月2日公開)が、第76回カンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞したことが27日(日本時間28日)、明らかになった。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。第76回カンヌ国際映画祭にて、フランス時間5月17日(水)コンペティション部門の公式上映を無事に終え、9分半ものスタンディングオベーションで称えられた『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER)。独立部門「クィア・パルム賞」の受賞に続き、現地時間5月27日20時30分(日本時間28日3時30分)から開催された授賞式で、脚本賞を受賞した。授賞式では、審査員長のリューベン・オストルンド監督をはじめ、ジュリア・デュクルノー監督、ポール・ダノ、ブリー・ラーソンらが選ぶ脚本賞を受賞。是枝監督が壇上で「ありがとうございます。一足早く日本に帰った坂元裕二さんに、すぐ報告します。僕がこの脚本の基になったプロットを頂いたのが2018年の12月なので、もう4年半前になります。そこに描かれた2人の少年たちの姿をどのように映像にするか、少年2人を受け入れない世界にいる大人の1人として、自分自身が少年の目に見返される、そういう存在でしかこの作品に関わる誠実なスタンスというのを見つけられませんでした。なので、頂いた脚本の1ページ目に、それだけは僕の言葉なんですけども、『世界は、生まれ変われるか』という1行を書きました。常に、自分にそのことを問いながら、この作品に関わりました。一緒に脚本を開発した川村さん、山田さん、作品に関わっていただいたスタッフ、キャストの皆さん、みんなの力でこの賞を頂けたと思っております。ありがとうございました」とスピーチした。また、現地メディアの中継で是枝監督は、受賞後すぐに坂元に報告したところ、「夢かと思った」と返事が来て、そのあと続けて「たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と喜びを寄せたことを伝えた。カンヌ国際映画祭において日本映画の脚本賞の受賞は、2021年の第74回カンヌ国際映画祭にて濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞して以来2年振り、是枝監督作品のカンヌ映画祭でのコンペ部門での受賞は2022年の『ベイビー・ブローカー』に続き2年連続となる。授賞式後の日本メディア用囲み取材では、「最初にいただいたプロットからこの三部構成の形でした。読み進めても読み進めても、一体何が起きているのかわからない、という本がとてもわくわくしました。これをどういう風に映像にしていくんだろうというのを、演出を任される前提でプロットを読ませていただいて、相当チャレンジをしている、方法論的にも、題材的にもかなり攻めてるなと感じたので、これはちゃんと色んなものと向き合ってちゃんと勝負しようという風に考えました。それぐらいやっぱり自分には書けない本でしたし、ストーリーテリングというものがとても無駄がなくて、とても面白かったと僕は思いました。カンヌがどう評価したかはわかりません」と脚本についてコメント。受賞後の坂元の「たった一人の孤独な人のために書きました」という言葉については、「今回はそのことについて僕と坂元さんで、これは誰に向かって書いたとかみたいなやりとりとかは一切してないんです。多分、川村さんも山田さんも聞いていなくて。完成披露試写会の舞台挨拶で初めて坂元さんが子供の時に出会った男の子のことを書きましたという話が出て『そうだったんだ』と驚きだったんですけど、僕は僕であまり特定はしたくないんですけど、1人の男の子のためにこれは作ろうと思いました」と明かす。また、映画『PERFECT DAYS』で最優秀男優賞を受賞した役所広司については「本当に嬉しいですよね、役所広司さんが……。もっと早く獲ってても良かった、絶対に」と語る。「もっと世界的な評価があっていい役者さんだと思っていました。それが、ここでこういう形で結実してとても良かったと思います。なんだろうな、ずっと一緒に、日本映画界をどうしていくみたいな話も、とても応援していただいて、会うと大体、本当は次の作品の話がしたいんですけど、『どうなってる?』って心配して声をかけていただいて、少しでも若い役者、若いスタッフがどうやってこの後、日本の映画界でちゃんと映画が撮れるようになるのかというのを気にかけていただいているので、そんな話を裏でして、写真を撮って、西川美和に送りました(笑) 喜んでました」と説明した。受賞した盾を持っての撮影には「僕がもっちゃって……。本当は坂元さんにお渡ししたいですね」と苦笑しつつも、「さっき役所さんがここで評価されてとてもうれしいと言いましたけれど、坂元裕二という名前も、もちろんドラマの作家としては、アジアではもう相当名前は浸透していると思うのですが、映画ファンにはまだ発見されていない脚本家なのではないのかなと思いますので、これを機に彼の書くものとか、彼の過去作とか、いろんな形で注目が集まるといいなと思っています。それは僕が別に企んでいるわけではないですが、いいきっかけになるといいなと思います」と期待を寄せた。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年05月28日現地時間5月27日(土)まで開催中の第76回カンヌ国際映画祭。北野武監督『首』や是枝裕和監督『怪物』などの出品作が注目を集めている。毎年多くの作品が話題にあがる本映画祭だが、昨年の第95回にて退席者が続出した問題作から「観客が最も泣いた映画」と称された作品まで世界を賑わした映画がこれから続々と日本公開。その3作品を紹介する。「観客が最も泣いた」グランプリ受賞作品ルーカス・ドン監督『CLOSE/クロース』7月14日公開第75回、「観客が最も泣いた映画」(BBC.com)と称されグランプリを受賞し、第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされるなど各国の映画賞で47受賞104ノミネートを果たした『CLOSE/クロース』。前作『Girl/ガール』で第71回カメラ・ドール(新人監督賞)に輝いたルーカス・ドン監督が色鮮やかな花畑や田園を舞台に、少年に起こる残酷な悲劇と再生を描いた物語は、ヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界各国で上映され、多くの映画人や観客を魅了している。さらに、映画ファンから絶大な支持を得る気鋭の映画製作・配給スタジオ「A24」が北米配給権を獲得したことも話題に。世界中を涙に染めた珠玉の1作がついに日本でベールを脱ぐ。『CLOSE/クロース』は7月14日(金)より全国にて公開。カンヌで約7分のスタンディングオベーションイ・ジョンジェ監督・主演『ハント』9月29日公開「イカゲーム」のイ・ジョンジェが盟友チョン・ウソンを迎えて初監督。韓国での公開時には初登場1位を獲得し、レビューでは「緻密に組まれたシナリオ、イ・ジョンジェとチョン・ウソンのコンビが絶えずシナジー効果を生み出す優れたデビュー作」「次回作が気になる!監督デビュー作として大成功」「緊張感が漂うスピーディーな展開とかっこいいアクション」など大絶賛を受けた『ハント』。第75回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で上映されると約7分間のスタンディングオベーションを受け、映画ファンから喝采を浴びた。そのほか第47回トロント国際映画祭、ファンタスティック・フェスト、シッチェス・カタロニア国際映画祭など多くの映画祭で上映され、イ・ジョンジェは本国内でも第43回青龍映画賞、第31回釜日映画賞ほか数々の映画賞で新人監督賞を受賞した。共演にはチョン・ヘジン、ホ・ソンテ、コ・ユンジョンなど韓国を代表する俳優のほか、カメオでも豪華俳優陣が出演。スパイ・アクション映画の傑作として注目されている。『ハント』は9月29日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。鬼才監督8年ぶりの最新作に退席者続出デヴィッド・クローネンバーグ監督『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』8月18日公開『クラッシュ』『イグジステンズ』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』など数々の受賞歴と共に物議を醸してきた映画作家デヴィッド・クローネンバーグ。その最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、第75回コンペティション部門に出品され、鑑賞中に途中退出者が続出した賛否両論の問題作。主演は『グリーンブック』のヴィゴ・モーテンセン。自身のカラダから臓器を生み出すアーティスト・ソールを演じ、パートナーのカプリースに『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のレア・セドゥ、2人を監視する政府機関のティムリンに『スペンサー ダイアナの決意』のクリステン・スチュワートという豪華キャストが揃った。製作に20年以上を費やした最新作のテーマは「人類の進化についての黙想」。鬼才監督が創造する人類の進化の行方は見逃せない。『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は8月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:CLOSE/クロース 7月14日(金)より全国公開© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
2023年05月28日映画『怪物』(6月2日公開)が、第76回カンヌ国際映画祭にて「クィア・パルム賞」を受賞したことが27日、明らかになった。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。今回受賞したのは、主要部門の授賞式前に発表される独立賞の「クィア・パルム賞」。カンヌ国際映画祭の独立賞のひとつで、LGBTやクィアを扱った映画に与えられる賞で、2010年に創設され、第63回カンヌ国際映画祭から授与されている。公式部門とは別に独立した審査員が組織され、映画監督や俳優、ジャーナリストや大学教授、各国のクィア映画祭のプロデューサーなど、毎年5~8人が審査員となる。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門、国際批評家週間、監督週間、ある視点部門に出品されたすべての作品が対象で、日本映画としては初の受賞を果たした。本賞の授与にあたり、審査員長のジョン・キャメロン・ミッチェル(『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』『パーティで女の子に話しかけるには』等監督)は「私たち審査員は、10日間で12本の映画を観ました。1本を選ぶのは大変な作業でしたが、ある作品が満場一致で選ばれました。その物語の中心にいるのは、他の子供たちと同じように振る舞うことができず、またそうしようともしない、とても繊細で、驚くほど強い2人の少年です。世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語は、クィアの人々、馴染むことができない人々、あるいは世界に拒まれている全ての人々に力強い慰めを与え、そしてこの映画は命を救うことになるでしょう。登場人物のあらゆる面を、繊細な詩、深い思いやり、そして見事な技術で表現した是枝裕和監督の『怪物』に、私たち審査員は満場一致でクィア・パルム賞を授与します」と述べている。それを受け、是枝監督は「ありがとうございます。まずこの作品を満場一致で選んで頂いたジョン・キャメロン・ミッチェルさん、審査員の皆さまありがとうございます。そしてこの喜びをここで分かち合って頂いている皆様にもお礼申し上げます。ありがとうございます。(ジョン・キャメロン・ミッチェルさんが)お話してくださった映画の紹介の中に、この映画を通して僕が描きたかったことが全て語られていて、ここで僕が何か言葉を重ねることは何も必要ないような気がしています。僕がこの映画のプロットを手にしたのは4年半ほど前なのですけども、その瞬間からこの主人公2人の少年が抱えている葛藤とどういう風に、それを演じる少年と同じように作り手であるプロデューサー、監督、脚本家がその葛藤と向き合うべきなのか、どうしたら向き合えるのかをとてもとても時間をかけてやってきました。映画がすべてを語っていると思うので、監督がここでなにかをいうのは、おまけのような、いらない蛇足なのですが本当に、この映画を愛していただいて感謝いたします。ありがとうございました」と語った。
2023年05月27日監督・是枝裕和、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一のタッグによる映画『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER)が、第76回カンヌ国際映画祭にてLGBTやクィアを扱った映画に与えられる「クィア・パルム賞」を日本映画としては初めて受賞した。フランス時間5月17日(水)にコンペティション部門の公式上映を無事に終え、9分半ものスタンディングオベーションで称えられた本作。同5月27日(土)20時半(日本時間28日午前3時半)から開催される授賞式での主要部門の発表を前に「クィア・パルム賞」の受賞が伝えられた。「クィア・パルム賞」は、カンヌ国際映画祭の独立賞の1つで、2010年に創設され、第63回カンヌ国際映画祭から授与されている。公式部門とは別に独立した審査員が組織され、映画監督や俳優、ジャーナリストや大学教授、各国のクィア映画祭のプロデューサーなど、毎年5~8人が審査員となる。対象となるのは、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門、国際批評家週間、監督週間、ある視点部門に出品されたすべての作品。過去には、『キャロル』(トッド・ヘインズ監督)、『BPMビート・パー・ミニット』(ロバン・カンピヨ監督)、『Girl/ガール』(ルーカス・ドン監督)、『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ監督)などが受賞してきた。本賞の授与にあたり、審査員長の『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』『パーティで女の子に話しかけるには』で知られるジョン・キャメロン・ミッチェル監督は「私たち審査員は、10日間で12本の映画を観ました。1本を選ぶのは大変な作業でしたが、ある作品が満場一致で選ばれました。その物語の中心にいるのは、他の子どもたちと同じように振る舞うことができず、またそうしようともしない、とても繊細で、驚くほど強い2人の少年です」と紹介。「世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語は、クィアの人々、馴染むことができない人々、あるいは世界に拒まれている全ての人々に力強い慰めを与え、そしてこの映画は命を救うことになるでしょう。登場人物のあらゆる面を、繊細な詩、深い思いやり、そして見事な技術で表現した是枝裕和監督の『怪物』に、私たち審査員は満場一致でクィア・パルム賞を授与します」と述べた。それを受け、「この作品を満場一致で選んで頂いたジョン・キャメロン・ミッチェルさん、審査員の皆さまありがとうございます。そしてこの喜びをここで分かち合って頂いている皆様にもお礼申し上げます。ありがとうございます」と感謝を述べた是枝監督。「(ジョン・キャメロン・ミッチェルさんが)お話してくださった映画の紹介の中に、この映画を通して僕が描きたかったことが全て語られていて、ここで僕が何か言葉を重ねることは何も必要ないような気がしています。僕がこの映画のプロットを手にしたのは4年半ほど前なのですけども、その瞬間からこの主人公2人の少年が抱えている葛藤とどういう風に、それを演じる少年と同じように作り手であるプロデューサー、監督、脚本家がその葛藤と向き合うべきなのか、どうしたら向き合えるのかをとてもとても時間をかけてやってきました」とコメント、「映画がすべてを語っていると思う」と語った。『怪物』は6月2日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年05月27日フランスの南東部、地中海沿岸のコートダジュールに面した高級リゾート地カンヌで、今年も5月16日から27日まで開催している第76回カンヌ国際映画祭。日本の是枝裕和監督他、豪華セレブリティがアルマーニを身に纏い登場しました。2018年に「万引き家族」でパルムドールを受賞した是枝監督は、昨年は韓国映画「ベイビー・ブローカー」を出品し、今年「怪物」で2年連続のコンペティション部門ノミネートとなりました。レッドカーペットにはジョルジオ アルマーニ メイド トゥ メジャーのタキシードを着用し登場しました。国際映画祭常連の是枝氏の貫禄のある着こなしにも熱い視線が集まりました。Hirokazu Koreeda_SGP/Courtesy of GIORGIO ARMANI同作品に主演として出演する柊木陽太さんは、エンポリオ アルマーニ ジュニアのブラックタキシードを初々しく着こなし、プレスインタビューでもエンポリオ アルマーニ ジュニアのスーツを着用しました。Hinata Hiiragi_SGP/Courtesy of GIORGIO ARMANIアルマーニ ビューティの初のグローバルアンバサダーでもあるCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)は、「スウィート・カントリー」で知られるオーストラリア人監督ワーウィック・ソーントンの新作「The New Boy(原題)」に、修道女役で主演として出演し、プレスインタビューにてジョルジオ アルマーニの23FWの新作を大女優ならではの風格と気品で颯爽と着こなしました。Cate Blanchett_Con Cornice/Courtesy of GIORGIO ARMANI名匠マーティン・スコセッシ監督の最新作「Killers of the Moon(原題)」に出演している、Robert De Niro(ロバート・デ・ニーロ)、Robbie Williams(ロビー・ウィリアムズ)は、スコセッシ監督と共にジョルジオ アルマーニのタキシードを着用。Martin Charles Scorsese & Robert De Niro_Getty Image/Courtesy of GIORGIO ARMANIRobbie Williams_45/Courtesy of GIORGIO ARMANIそして先シーズの広告ビジュアルにも起用されたイリーナ・シェイク(Irina Shayk)は、ネイビーカラーでスカートのチュールのラッフルデザインが美しいジョルジオ アルマーニ プリヴェを着用。Irina Shayk_45/Courtesy of GIORGIO ARMANIモデルのアレッサンドラ・アンブロジオ(Alessandra Ambrosio)は、シルエットが美しいジョルジオ アルマーニの1994年のヴィンテージのドレスをそれぞれ着用して登場し、ひと際会場を沸かせました。Alessandra Ambrosio_45/Courtesy of GIORGIO ARMANIスコセッシ作品がカンヌで上映されるのは、パルムドールにノミネートされ、監督賞を受賞した1985年の「アフター・アワーズ」以来とあって、出演者にも注目が集まりました。映画に出演しているセレブリティだけでなく、シチリア王国のプリンセス マリーア=カロリーナ・ディ・ボルボーネ=ドゥエ・シチリエ(Maria Chiara e Maria Carolina di Borbone )もエクリュカラーの全身がラッフルデザインのワンショルダーのジョルジオ アルマーニのドレスを可憐に気着こなし、会場に華を添えました。Maria Chiara e Maria Carolina di Borbone_Gettty Image/Courtesy of GIORGIO ARMANI映画作品はもちろん、数ある映画際の中でもセレブリティの着用衣装に大きな注目が集まるカンヌ国際映画祭。アルマーニの歴史にとって映画との関係は非常に深く、その関係は切っても切り離せないものです。カンヌ国際映画では、今後も日本人を含む数多くのセレブリティがアルマーニの衣装に身を包みレッドカーペットに登場予定ですのでご注目ください。【ジョルジオ アルマーニ】1975年にミラノで誕生したブランド。デザイナーはジョルジオ・アルマーニ。ソフト仕立てのアンコンストラクテッド・ジャケットという画期的なジャケットを発表したことでファッション界に革命を起こし、以来、虚飾を排した本質的なスタイル、エレガントかつモダンで洗練されたデザインを提案しつ続けています。現在、ジョルジオ アルマーニのスーツやドレスは世界中のセレブリティに着用されておりレッドカーペットなどの場にも多く登場しています。お問い合わせ:ジョルジオ アルマーニ ジャパン03-6274-7070
2023年05月25日是枝裕和監督の映画を翻案とした舞台が日本初上陸!2023年7月〜8月に、新国立劇場 中劇場(東京)と森ノ宮ピロティホール(大阪)、キャナルシティ劇場(福岡)にて上演される舞台『After Life』の全キャストが決定しました!本作は、”人にとって思い出とは何か?”という普遍的なテーマを描き、1998年にカナダ、1999年に日本で公開された是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』を、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の脚本を手掛けたジャック・ソーンが舞台化。2021年6月にロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで初演を迎え話題を呼んだ作品です。主演の上田竜也は、死者が新たな世界へ旅立つ際に持っていく、たった一つの大切な思い出を探す手伝いをするガイド役のなかで、淡々と仕事をこなすガイドの「2番」役に挑戦します。そして、気になる共演者には、ガイド役の中でリーダー的存在のガイドの「5番」役に俳優として舞台、TV、映画など多数出演する相島一之、妙に勘が鋭いガイドの「1番」役は女優として数々の話題作に出演する野波麻帆が演じます。さらに、ガイドされる側には、思い出を探そうとしない「オバフェミ・テイラー」役として舞台で幅広く活躍し、近年では映像作品にも多数出演する味方良介、自分の生涯に特徴がないと語り思い出をなかなか選べない「ヒロカズ・モチヅキ」役には90年代から多くの井上ひさし作品で活躍し、映像作品でも確かな演技力を誇る大鷹明良、そして、自分の思い出を探すことよりも飼い猫の心配をする91歳の「ベアトリス・キリック」役に高い表現力で優秀女優賞など数々の賞を受賞している高橋惠子を迎えました。日本初演となる本作の演出は、ストレートプレイのみならず、数々のミュージカルや音楽劇も手掛けてきた奇才、河原雅彦が務め、人が死んでから新たな世界へたどりつくまでの7日間というファンタジックな世界を創り上げます。個性豊かなキャストで紡ぐ『After Life』。どうぞご期待ください。そして今回、相島一之、野波麻帆、味方良介、大鷹明良、高橋惠子からコメントが到着!コメント・プロフィール5番:相島 一之/あいじま かずゆき「この作品は、日本の映画、それも名作が海外で舞台化されて、評価され、今度は日本で上演することがすごく珍しいことですし、その日本初演に出演できることがとても光栄です。演出の河原さんとご一緒するのも15年ぶりなのですが、大鷹(明良)さんや高橋(惠子)さんらベテランの方とご一緒できることも、そして主演の上田竜也さんとは初めての共演ですが、すごく嬉しいですし、ドキドキワクワク楽しみでなりません。河原さんはどんなアイデアで演出してくださるのか、どのように作品が仕上がっていくのかまだ可能性を秘めた段階ですが、稽古を楽しみながら、作品の理解を深めて頑張りたいと思います。ぜひ皆さま劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。」<プロフィール>1961年11月30日生まれ、埼玉県出身。1987年三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズに入団 94年、劇団の充電期間突入まで主要メンバーとして活躍。俳優として舞台、TV、映画など多数出演。相島一之&The Blues Jumpersにて歌とハーモニカを担当。近年では、【舞台】ミュージカル『マイ・フェア・レディ』(’21年)、『貴婦人の来訪』(’22年)、二兎社『歌わせたい男たち』(’22年)eyes plusゆうめい『ハートランド』(’23年)【TV】NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(’22年)、テレビ朝日スペシャルドラマ『必殺仕事人』(’23年)、NHK『幸運な人』(’23年)など。現在、日本テレビ『それってパクリじゃないですか?』に出演中。1番:野波 麻帆/のなみ まほ「最後に舞台に立ったのは、ちょうど新型コロナウィルス流行直前の2018年秋。ようやくあの頃と同じようにマスクを外してお稽古が出来る、大好きな舞台にやっと!やっと立てるのではなかろうかと思い始めていた矢先、この公演のお話をいただきました。演出は、初舞台の演出家でもあり私の舞台人生の中で1番関わりが深い、大大大好きな河原雅彦さん。上田くんはとても頼りがいがあるし、素敵な共演者の方々に囲まれ、素晴らしい時間を過ごしたいと思っています。ああ、楽しみ!!」<プロフィール>1980年5月13日生まれ、東京都出身。第4回「東宝シンデレラ」グランプリ受賞。映画『愛を乞う人』で第22回日本アカデミー賞・新人賞/優秀助演女優賞、おおさか映画祭新人賞、日本映画批評家大賞新人賞を受賞。以降、多くの映画やテレビドラマ、舞台など幅広く活躍。近年の出演作は、映画『宮松と山下』(’22年)、TBS・日曜劇場『オールドルーキー』(’22年)、日本テレビ・ZIP!朝ドラマ『クレッシェンドで進め』(’22年)、テレビ朝日『警視庁アウトサイダー』(’23年)など。オバフェミ・テイラー:味方 良介/みかた りょうすけ「お話をいただき、喜んで台本を読みました。作品の持つ力に度肝を抜かれましたが、演出は信頼する河原さん!無知な20代前半にご一緒させていただき、密かに河原さんの脳の一部を揺らせる存在になりたいと願っていたので、今その挑戦ができます。主演の上田さんはナチュラルとアンナチュラルを生きる唯一無二の存在!ご一緒できることが嬉しいです。『After Life』という作品が皆様の一番の思い出になりますよう。」<プロフィール>1992年10月25日生まれ、東京都出身。『ライチ☆クラブ』(’15)『グランドホテル』(’16)『HAMLET —ハムレット—』(’19)『ロミオ&ジュリエット』(’21)、など多くの舞台やミュージカルに出演。2017年の『熱海殺人事件 NEW GENERATION』に史上最年少で木村伝兵衛を演じ、以降2022年まで演じ続けた。フジテレビ『教場』(’20年)でドラマ初出演し、以降、テレビ朝日『妖怪シェアハウス』(’20年)、日本テレビ『初恋の悪魔』(’22年)、関西テレビ『罠の戦争』(’23年)など、映像作品でも多方面で活躍。ヒロカズ・モチヅキ:大鷹 明良/おおたか あきら「「After Life」に参加できます事、とても嬉しく思っております。<七日間で思い出をひとつ選ぶ。そしてその思い出を持って次へ進む>「思い出をひとつ選ぶ」とは、自分の人生って一体何だったのかと問い、答えを出す、という事では?だとすれば、まずこれは大難題です。そして「次へ進む」とは、果たして一体何処へ向かって進むのか?これもまた大難題です。そうなると、これはもう、真正面から、真摯に、この大難題たちに向き合うしかありません。それとも、逃げ出すか…皆様、お楽しみに。」<プロフィール>1957年11月15日生まれ、愛知県出身。演劇舎螳螂出身、演出家・佐藤信に見出され、1992年黒テント公演「荷風のオペラ」に出演し注目を浴びる。『兄おとうと』(’03年)を始め、多くの井上ひさし作品に出演。近年では、【ドラマ】WOWOW『ソロモンの偽証』(’21年)【映画】『仕掛人・藤枝梅安』(’23年)、【舞台】『モダンボーイズ』(’21年)、『野鴨-Vildanden-』(’22年)、こまつ座『きらめく星座』(’23年)など。さらに日本テレビ『日本統一 関東編』、WOWOW連続ドラマW-30『ドラフトキング』が現在放送中。ベアトリス・キリック:高橋 惠子/たかはし けいこ「自分の顔や首のシワが気になり、落ち込みそうになっても年齢なんて関係ない~と心の中で叫んでいた時、今回の91歳という役のオファーがありました。まるで神さまからの挑戦状のようにー。作品の内容もこの世の3次元を超えた設定で興味深いものでした。演出の河原さんとは今回が3度目で、とても信頼しています。きっとまた私の見たこともない私を引き出してくれるでしょう。上田竜也さんとは初めてですが、今からとても楽しみです!稽古場でたくさん恥をかいたり汗を流したり、真っさらな気持ちでこの作品に向かって行きたいと思います。皆さま劇場でお待ちしております!楽しみにしていてください。」<プロフィール>1955年1月22日生まれ、北海道出身。1970年映画『高校生ブルース』で主演デビュー。『おさな妻』(’70年)ではゴールデンアロー賞新人賞を受賞。その後も、映画のみならず、TVドラマ、舞台と幅広く活躍し、優秀女優賞や秋元松代賞、田中絹代賞など数々の賞を受賞している。近年では、【ドラマ】WOWOW『彼らを見ればわかること』(’20年)、BS-TBS『あなたはだんだん欲しくなる』(’22年)【映画】『四月の永い夢』(’18年)ほか、【舞台】『サザエさん』(’19年)、『オリエント急行殺人事件』(’20年)、『HOPE』(’21年)など多数。その他、CMでも活躍している。<あらすじ>5人のガイドが待つ、無個性な空間に集められた死者たち。死者たちは、ガイドからこう告げられる。「皆さんには、ここで過ごす1週間の間に、1つ、思い出を選んで頂きたいのです。皆さんにとって、一番意味のある、大事な思い出を。選んだ思い出は我々が全力で再現します。そして皆さんは先に進むのです、その思い出だけを持って―――。」死者たちは、ガイドに導かれながらそれぞれに思い出を選んでいくが、思い出をいつまでも選べず、独り悩み続ける老人がいた・・・。彼を担当するガイドの2番は、なんとか老人を助けようと彼の過去を調べるうちに、ある事実に辿り着く。1週間の期限を迎え、それぞれが迎える結末とはー。【公演概要】タイトル:『After Life』作: ジャック・ソーン演出: 河原雅彦出演: 上田竜也 相島一之 野波麻帆 味方良介 森準人 大崎凛 斎藤瑠希 大鷹明良 高橋惠子主催・企画製作:東京グローブ座日程・開場:<東京公演>2023年7月8日(土)〜18日(火)・新国立劇場 中劇場<大阪公演>2023年7月21日(金)〜27日(木)・森ノ宮ピロティホール<福岡公演>2023年8月2日(水)〜4日(金)・キャナルシティ劇場チケット料金:<東京公演・福岡公演>S席:11,000円A席:9,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止<大阪公演>11,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止お問い合せ:<東京公演>東京グローブ座03-3366-4065<大阪公演>キョードーインフォメーション0570-200-888(11:00-18:00※日祝休業)<福岡公演>キョードー西日本0570-09-2424(平日、土曜11:00〜15:00)チケット一般発売:6月18日(日)AM10:00〜公式サイト: 公式Twitter: @afterlife_2023 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年05月19日フランス時間5月18日(木) 第76回カンヌ国際映画祭にて映画『怪物』公式会見が行われ、是枝裕和監督をはじめ、脚本家の坂元裕二、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太が出席した。前日の雨模様からうって変わり晴天に恵まれたカンヌで、「コレ・エダー!」「アンドウサーン!」「ナガヤマサーン!」と大勢のマスコミ陣からの呼び声に笑顔で答える3人。また、坂元、黒川、柊木もリラックスした様子で手を振りながらマスコミの撮影に応じていた。ここではそのレポートをお届けする。『怪物』公式会見より——作品がうまれた経緯について是枝裕和監督(以下、是枝)お集まりいただきありがとうございます。昨晩プレミアの上映を終えまして、今スタッフと上映を噛み締めているところです。この作品に僕が参加したのは2018年の12月です。プロデューサーの川村(元気)さん、山田(兼司)さん、脚本家の坂元さんが映画の開発をスタートさせていて、プロットが出来た段階で僕にお声がけをいただきました。その段階で完成形の三部構成というものが出来上がっていて非常に見事な脚本だなと思いました。実際にそこには存在しない怪物というものを人は見てしまう、そういうプロセスを、観客を巻き込みながら進めていくようなストーリーテリングが本当に面白くて、読んですぐに参加させていただく決断をしました。——何故、学校や家庭の問題を主題に選ばれたのでしょうか。個人的に何か問題があったのか、普遍的な問題があると考えたのか。坂元裕二(以下、坂元)きっかけとしては私が以前経験したことが一つあります。車を運転している時に起きたことです。赤信号で、前のトラックが止まっていたので私も止まったんですね。その信号が青に変わったのに、前のトラックが動こうとしない。しばらく待っても前のトラックが動かないものですから、軽くクラクションを鳴らしたんです。それでも動かないので、どうしたんだろうと思っていると、そのトラックがやがて動き出して立ち去ると横断歩道に車椅子の方がいらっしゃいました。私にはトラックで、車椅子の方が見えなかったのですが、私はクラクションを鳴らしてしまった。そのことをずっと後悔していて、私たちには生きている上で、見えていないものがある、それを理解していく上ではどうすればいいのか、そんなことを物語にしたいと常々思っていました。——脚本について坂元さんとどのように作りあげたか。是枝これまでに三度ほど、公式の場で対談をさせていただいていて、その都度私の方から、自分の映画で、自分で脚本を書かないなら、坂元さんにお願いしたい、というラブコールはずっと送っていたのです。アウトプットされた作品に関して言うと、僕は主には映画をつくっていましたし、坂元さんはテレビのドラマを作られているので、違うフィールドのように見えたかもしれませんが、同時代に生きながら、ネグレクトの問題であったり、犯罪の加害者家族の物語だったり、疑似家族のモチーフだったり、時代とともに彼が注視しているトピックというものと、僕が自分の中で引っかかっていて題材として映画にしていたものというのは、時期は多少ずれるのですけど、凄くリンクしていました。なので、同じ時代の空気を吸っている方だ、という認識がありました。そのずれながら発表していた作品が、今回、川村さんたちのおかげで一緒にこういう形でコラボレーションが成立したというのは、僕たちだけでは成立しないので、そうやって繋げてくれる人がいたということに感謝しています。実は、川村さんから電話をいただいた時点で、私は読む前にこの仕事は受けようと思っていました。それほど、自分には書けない物語、描けない人間を丁寧に丁寧に紡いでいかれる脚本家だと思っていたので。自分が描いてきた映画の細部のディテールをどういう風にきちんと、彼のストーリーテリングの中で活かしていくか、ということ。そのことだけを考えて現場では存在していました。非常に楽しいコラボレーションでした。——坂元裕二さんという、すごく強い個性的な脚本家とご一緒されたわけですが、どのようにアプローチされたのですか?是枝撮影に関していうと、『万引き家族』でもご一緒した近藤龍人さんに入っていただいて、僕がなにか言うというよりも近藤さんが見事で、三部構成をどういうふうに描き分けるのか、三部に至ったときに子どもたちにどうカメラが寄り添うのか、そこから物語もカメラも大きく動き出すということが、僕が現場で見ていても非常に見事に展開されていて、本当に今回おんぶに抱っこで、彼の素晴らしい撮影のおかげだと思っています。子供たちに関しては、通常は彼らの個性に則って役を演じてもらうことが多いのですが、今回二人の少年たちが抱えている内的な葛藤も含めて、なかなか本人の個性をそのままというわけにもいかないと思っていました。オーディションで二人を選んで、実はどちらも試してみたんですけど、二人とも「台本があったほうがいい」と即答だったので、であるならば自分の存在の外側に、きちんと二人の少年の役作りというものをやってみようと思って、本読みしたり、稽古をしたり、一緒に遊んでもらったり、そういう時間を撮影の前になるべく長くとって、後は撮影の現場ではサクラさん、瑛太さんがいてくれたので、安心して任せられました。とても素晴らしい芝居というか、存在感を見せてくれたなと思います。——『万引き家族』に続いての是枝さんとのタッグについてどう思いますか?安藤サクラ(以下、安藤)監督から『万引き家族』から時間が経たないうちにお声がけいただけると思ってなかった。ただ、もう一度監督の元に戻るには自分には早いのではという不安も抱えていた。でも変わらず監督の現場はそこにいるスタッフ・キャストを尊重し、みんなが同じ目線で意見を交わし合って、作品に関わっていくことを心から楽しみながら志を持って、ストレスなくいられる現場を作ってくださいました。だからこそ本番中は研ぎ澄まされた集中力で、新しいものが必ず生まれていきますし、その監督の現場にそんなに時間を空けることなく戻れたことで、改めて信頼関係に気付かされた。それが監督の特別な環境だなというふうに思った。私は二度目だからこそ……、うまく言えない(笑)。でも楽しかったです!——公式上映を観ていかがでしたか?撮影を振り返っていかがですか?黒川想矢(以下、黒川)昨日映画をもう一度観て思ったことがあるんですが、何も考えてなかったなと思っていて、ちょっとショックだったけど、改めて(作品を)観てそういうことがあるんだなと(いうことが感じられて)面白かったです。現場では皆が本当に優しくて、撮影している時はとても……なんだか一つの家族みたいな感じで、とても楽しかったです。柊木陽太(以下、柊木)作品を見てすごく自分の役に集中して演じることができていたなと思いました。自然な感じで撮影に取り組むことができたのは監督のおかげかなと思います。撮影は凄く楽しかったです。みなさんと一緒に頑張れたのがよかったです。ありがとうございます。——音に関しては、坂本龍一さんの功績ですか?是枝音楽室の音に関しては、僕よりも坂本さんが答えた方が良いと思いますが、作品を編集したものを坂本さんに送ってみていただいた時に「音が3回鳴るのが素晴らしい、自分の音楽がこれを邪魔しないようにしたい」と言っていただきました。あの音楽室のシーンに描かれる音のあり方が本を読んだ時にも、作品を見た時にも、非常に理想的な形で映画の中で音が響くという瞬間だったと個人的には捉えています。その素晴らしいシーンを書いたのは隣にいる坂元さんです。坂元私は脚本家なのですが、常に言葉というものに疑いを持ちながら物語を紡いでいます。この物語には冒頭から、常に人と人が対話をしながら、そこに誤解が生まれ、争いが生まれ、文化が生まれています。しかし、同時に言葉には、愛情を伝える力がある。その矛盾した存在であることが、私たちはどのように付き合っていけばいいのか。その一つの表れとして、言葉ではなく、あそこで一つの音として、3者の中に届いた。そこに言葉では繋がれなかった何かを感じたのではないか、そんな思いを描きたかったんです。——脚本に対してどのようなアプローチを行ったか?永山瑛太(以下、永山)初めまして、永山瑛太です。気を遣って質問していただいてありがとうございます(会場笑い)。ストーリーのなかで台本上は時間軸が飛んでいくので、シナリオとは別で、自分のシナリオをノートに書いて、一貫性をもって演じただけで、現場でどういう見え方になるのかというのは是枝監督にもちろんおまかせして、僕自身は保利という役をシンプルに受け止めて、子どもたちだったり、学校、先生に対する憤りを感じた安藤サクラさん演じる母親のお芝居をひとつひとつ、頭で思考していくことよりも、肌で感じていくことを大事にして現場に挑みました。——この映画のためにどのように役作りしたか? 脚本を読んでのこの映画への解釈を教えて。永山自分も子どもがいまして、一緒に生活していても、毎日子どもたちは成長して、違った言葉や動きをしていて、それを、僕も父親として受け止めていきたいという気持ちで家庭のなかにいるのですが、それと同じ感覚で、今回は教師役ということで、特に想矢くん、陽太くんを受け入れるときに、僕としては突き放すという意味ではなく、放っておくというか、放任するといいますか、それでもやっぱりすべての生徒に対して、意識を持って、全員に同じ愛情を注ぐことはできないなと今回改めて感じたんですけど、それでもやっぱりみんなのことは毎日撮影中に気になりました。今から映画を観てくださる方もこのタイトルの「怪物」、そして日本でも「怪物、だれだ?」という予告が流れていて、周りの人からもどんな映画なの? と聞かれるのですが、僕のなかでもいまだにわからない、現場中も結局誰が怪物だったのか、それは自分の内側に潜んでいるものなのか、外側にあるものなのか、一人一人観ていただく方の正解があると思いますし、僕はいろんな観た方の意見を聞いて、とてもそういった意味で捉え方の余白というか、自由な捉え方をしていい素晴らしい映画なんだなというのを改めて感じています。——是枝監督の前作『ベイビー・ブローカー』も主人公がクリーニング屋さん、その前の『万引き家族』も安藤サクラさんの役がクリーニング屋さんだった。今回は坂元さんが書かれた脚本にも関わらず、また安藤さんはクリーニング屋さんで働いている。これは何かのメタファーなのか、偶然なのか?坂元前世でクリーニング屋で働いていたのかもしれません(笑)。自分でも理由がみつからないのですが、私はクリーニング屋が好きで、憧れを持っています。とてもテクニックのいる仕事で、アイロンをかける姿、あの様子に「美しいな」と思っています。是枝私も好きなんですよね(笑)。今、色々「職業」がまとう匂いとか色っていうものがどんどん消えていっている中で、クリーニング屋さんの仕事って、蒸気の音や、火ではないですが、「熱」があるじゃないですか。今回の物語というのは、「火事」に始まって、「湖」があって、「台風」がきて。ということを考えると、そのうちの両方をはらんだ場所としての「クリーニング屋さん」というのがある。これは保利先生が飼っている「金魚」もそうなのですが、そのように「水」がどういう風に物語に点在しているか、というのは、多分坂元さんも意識して書かれていたんだろうな、と自分では捉えながら演出しました。シンプルに言っちゃうと、好きですね、クリーニング屋。同じ理由だけど(笑)。——是枝監督と初タッグですが監督のことをどんな風に思っていましたか?監督のオリジナリティはどこに感じましたか?坂元30年ほど前に観光でカンヌ国際映画祭に来たことがあるのですが、そのときに、いつかこういった場で映画を発表することができたらどんなに幸せだろうと思っていたら、あっという間に30年経ちました。その間、是枝監督が数々の作品をカンヌ国際映画祭で発表しているのを見ながら、憧れと少しのヤキモチを抱いてきました。自分になくて是枝監督にあるのは、社会に対する強い責任感と他者への優しさ。この3日間一緒にカンヌにいるだけでも常に感じるんです。私にはそれが少し足りない。それをこの映画に少し足しました。それが今回ご一緒した利点、長所かなと思います。<作品情報>『怪物』6月2日(金) 全国公開公式サイト:
2023年05月19日映画『怪物』(6月2日公開)が17日(日本時間18日)、第76回カンヌ国際映画祭 「コンペティション部門」に正式出品され、是枝裕和監督、坂元裕二(脚本)、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太の6名がレッドカーペットを歩き公式上映の会場に入った。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。今回はオフィシャルレポートが到着。レッドカーペットの模様と海外プレスの感想を紹介する。○オフィシャルレポートこの度、『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER)が、コンペティション部門での公式上映の日を迎えた。レッドカーペットセレモニーが始まった当初は雨がポツポツ振る中、まずは招待されたセレブ達が登場、ペドロ・アルモドバル監督やイーサン・ホーク、ロマン・デュリス、ヴィオラ・デイヴィス、ジェンマ・チャン、世界的人気K-POPグループ、BLACKPINKのロゼらが登場するなど、レッドカーペットが一層盛り上がり、いつの間にか雨もあがり澄み渡った空の下、大勢の取材陣や観客が注目する中に『怪物』一行が到着。待ちわびていた熱狂的なファンの歓声に迎え入れられた。アルマーニのタキシードで身を包み、再び慣れ親しんだカンヌに戻ってきた是枝裕和監督に続き、グッチのタキシードにオールバック姿でスタイルの良さが際立つ永山瑛太、さらに、所属事務所社長で俳優としても大先輩の舘ひろしがこの日の為に仕立ててくれたというTAGURUのタキシードでキリっとキメた黒川想矢、是枝監督と同じアルマーニのタキシードに身を包みはにかむ柊木陽太、さらには、脚本家の坂元裕二と、男性陣が黒いタキシード姿で登場する中、ひときわ目を引き注目を集めたのは、シャネルの白いドレスとジュエリーに身を包んだ安藤サクラだ。眩しいほどの輝きを放ちながら、『万引き家族』以来2度目のカンヌコンペティション部門のレッドカーペットに参加した。是枝監督は、ファンからのサインや写真撮影にも応じるなど、ファンサービスもたっぷり。全員が一列に並び、時に手を繋いだり、談笑しながら、和やかな雰囲気でレッドカーペットを進む中、カンヌ常連の是枝監督は、子役たちに「カメラに向かって手をふろう」と声をかけるなど貫禄の佇まい。安藤サクラ、永山瑛太も時に子役たちをフォローしながら、和やかにセレモニーを楽しみ、黒川と柊木は、弾けんばかりの笑顔で、世界から集まったメディアを魅了した。鑑賞に訪れたゲストからもその注目度がうかがえる『怪物』チームのレッドカーペットは、公式上映に向けて、盛り上がりを見せるものとなった。○海外のプレスの本編鑑賞後の感想・海外プレスインタビュー 11.茶色いシャツの男性日本の方のメンタリティを理解するのは私にはとても難しいことです。でも、この映画は、自分自身に、そして自国の伝統や人々に、正直になることの魂と難しさを描いた、本当に繊細な芸術作品です。だから是枝監督は、『どですかでん』で黒沢監督がやったように登場人物を表現するのだと思います。美しい映画です。2.デニムシャツの女性最後で泣いちゃいました。すごく感動しました。なんでしょう、自分が母親で、子供たちを力づけることの難しさを知っているからでしょうか。そして、様々な視点――時には母親側に立って、時には息子たち側にたって感じるものがありました。(感動しましたか?)感動? ええ、とても感動しました。本当に深い映画だった。(演技はよかったですか?)ええ、もちろんです。とにかく圧倒されました。すべての人に。若い人たちも、先生も。3.シルバーヘアの男性とても気に入りました! (どんなところが良かったのでしょうか?)視点が変わっていくところがよかったです。まず母親の視点に引き込まれて、次に教師の視点からの発見があり、最後には少年の視点に近づきますが、最後までとてもミステリアスです。決して完全には解決されない。(-是枝監督の演出についてはどう思われますか?)素晴らしいです! 子供や人間の全般に対するこの共感を、彼はどうやって得ることができるんだろう。雨の中を走るシーンなどは、とても革新的です。これまでの作品ではやらなかったようなことです。○海外プレスインタビュー 21.白い開襟シャツの男性ええ、好きです。(レポーターに)話はご存知なんですよね? 複数視点がとてもよく機能しているのがとてもよかったです。子供たちも素晴らしいし、子供たちを本当にうまく演出している。火事や嵐などのスケールも大きく、かなり面白かった。(最も気に入った点は何でしょうか?)主に子供たちの演技が良かったです。とても優しい。2.グレーのTシャツの男性移り変わりの仕方がとても魅力的な映画だと思いました。何かだと思ったものが、違うものだったとわかってくる。本当に魅了されました。いくつか困惑したところはあって、特に2部の終わりは、「ん?」となりましたが、そこがポイントなんでしょうね。第3部では本当に感動しました!とても感動的で美しかった。そして、ベルギーの映画『CLOSE/クロース』と似ているところがたくさんありました。おそらく私がベルギー出身なので参考にしたのかもしれませんが。(演技についてはいかがでした?)まず、キャスティングがとてもいいと思います。ヨリという少年は、とても無邪気な顔をしていて、彼に感情移入してしまいます。とても感動的でした。皆さんとてもすばらしかった、なぜなら、、、異なる視点があって、演技もその視点によって変わりますよね、例えば母親の視点からのときは少年(湊)はもっと不機嫌で落ち込んでいるように見えるんですが、あとであなたが見た彼とは別ものだと気づくんです。ええ、とても良かった。 (是枝作品のなかでの評価は?)彼の映画の中ではよい部類に入ると思う。もしかしたら、プロットやシナリオを苦手に感じる人もいるかもしれないですが、私はとてもうまくできていたと感じたし、特に、ラストはこの映画の全てを表しているように思いました。子供たちの壊れやすい繊細さ。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年05月18日是枝裕和監督、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一による映画『怪物』が第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門」に正式出品され、是枝監督、坂元さん、出演者の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太の6名が現地入り。現地時間5月17日夜に行われた公式上映は9分半に及ぶスタンディングオベーションとなり、その後には日本メディアのインタビューにも応じた。『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドールに輝いた是枝監督と『花束みたいな恋をした』「大豆田とわ子と三人の元夫」などで圧倒的な人気を博す脚本家・坂元さん、そして音楽には『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞し、国内外を問わず第一線で活躍した故・坂本龍一さんという奇跡のコラボレーションが実現した。安藤サクラ&永山瑛太らもレッドカーペットセレモニーに参加レッドカーペットセレモニーが始まった当初は雨がポツポツ振る中、まずは招待されたセレブたちが続々と現れる。ペドロ・アルモドバル監督やイーサン・ホーク、ロマン・デュリス、ヴィオラ・デイヴィス、ジェンマ・チャン、世界的人気K-POPグループ「BLACKPINK」のロゼらが登場するなど、レッドカーペットが一層盛り上がる。そして雨もあがり澄み渡った空の下に、『怪物』一行が到着。待ちわびていた熱狂的なファンの歓声に迎え入れられた。「アルマーニ(ARMANI)」のタキシードに身を包み、再び慣れ親しんだカンヌに戻ってきた是枝監督に続き、「グッチ(GUCCI)」のタキシードにオールバック姿で立つ永山さん、さらに所属事務所社長で俳優としても大先輩の舘ひろしがこの日のために仕立ててくれたという「TAGURU」のタキシードでキリっとキメた黒川さん、是枝監督と同じ「アルマーニ(ARMANI)」のタキシードではにかむ柊木さん、さらには脚本家の坂元さんもタキシード姿。その中でひと際注目を集めたのは、「シャネル(CHANEL)」の白いドレスとジュエリーに身を包んだ安藤さん。眩しいほどの輝きを放ちながら、『万引き家族』以来2度目のカンヌコンペティション部門のレッドカーペットに参加した。全員が一列に並び、時に手を繋いだり、談笑しながら、和やかな雰囲気でレッドカーペットを進む中、カンヌ常連の是枝監督は、子役たちに「カメラに向かって手をふろう」と声をかける場面も。安藤さん、永山さんも子役たちをフォローしながら、和やかにセレモニーを楽しみ、黒川さんと柊木さんも弾けんばかりの笑顔で魅了した。是枝監督、9分半に及ぶスタンディングオベーションに感激「とても良いワールドプレミア」公式上映では、エンドロールが始まると2,200人もの観客を収容する会場からは拍手が巻き起こり、坂本龍一さんへの追悼文が流れた際には、さらに割れんばかりの大きな拍手が。敬意を表するような歓声もあがり、その後も9分半にもわたるスタンディングオベーションが続いた。その間、是枝監督は少しホッとしたような表情を見せながら、大きく会場内を見渡して称賛にこたえ、両脇の安藤さん、永山さんともハグをし、言葉を交わし、その喜びを分かち合っていた。また脚本家の坂元さんともしっかり肩を組み、『怪物』が多くの観客に届いた手応えを確かめ合ったよう。スタンディングオベーションの後、マイクを渡された是枝監督は「こんなに多くのスタッフとキャストに支えられて作ることができました。まずはそのスタッフとキャストに感謝します。そのスタッフとキャストの多くが今日ここに集まってくれたことがすごくうれしいです」と喜びを表現。「ここに来られないスタッフとキャストの思いもここ(胸に手をあてて)に抱いて今ここに立っているつもりです。戻って皆さんのこの拍手と、皆さんの顔を、ここに来られなかったチームのみんなに報告したいと思います。とても良いワールドプレミアになったと思います。有難うございました」と感謝を込めてコメントしていた。是枝監督「坂元マジックがしっかり届いたのではないか」観客からの熱烈的な反応に対し、永山さんは「まずは本当に感謝したい。是枝さん、坂本さん、さくらさん、皆さん含め怪物に携われたことが今まで俳優やって来れて良かったなと思いました」と感慨深げ。「地響きのような拍手で圧倒されました」と話す安藤さんは「監督の姿を目に焼き付けようとずっと監督をみていました。なにより主役の(黒川)想矢と(柊木)陽太と一緒に感じられたら良かったのになと思いながらいました」と言い、その感触を「しっかり2人に伝えたいなと思います」とコメント。そして、「地元の方から『Beautiful』という感想が出たのですが、どう思いますか?」と問われると、「激しく同意します」と安藤さん。「初めて見たときになんと美しいものを見たんだろう、頭で考える美しさでなく、生きとし生けるもの全ての美しさを感じたので激しく同意です」と続ける。是枝監督は「映画全体としては人と人が理解できない世界をずっと描いていくのだけど、見終わると、そういう光を感じるっていうのが、自分の映画ではない読後感で、それは坂元マジックだと思うのですが、それがしっかり届いたのではないかなと思います」と明かした。その坂元さんは脚本について問われると、「できるだけ嘘のない物語を作ろうと心がけました。面白いストーリーを作るために一人一人の登場人物が物語に振り回されないように、一人一人が生きている物語を作りたいなと心がけました。特に子供たちが出る物語なので、自分自身が子供と遠く離れた歳になったが、自分にとって都合の良い子供を描かないように気をつけました」と回答。坂元作品の常連ともいえる永山さんは「これまでも坂元脚本を演じてきたのですが、一貫してあるのは『生きづらさ』」と表現、「僕に書いてくれるキャラクターはある苦しみを抱えている。意識する事は過去とか未来を頭で考えることをやめて、今、共演者やカメラの前に立った時に、思考せずに本能的に感じられるか。今回は教師役で子供と向き合う役だったのですが、とにかく余計なことを考えない、現場では監督を信じてやりました」と語った。また、『万引き家族』に続いての参加となったカンヌの印象を聞かれた安藤さんは、「カンヌが変わったなんてまだ私にはわかりませんが、私自身が二度目ということで、前回の初めての興奮じゃない状態でしっかりと味わおうという気持ち」と応じ、「前回はあっという間に終わってしまったのですが、今回は『これがカンヌか』というのを噛み締めながら過ごしてます」と明かした。さらに、音楽を担当した坂本さんとのコラボについて、是枝監督は「映画の中で3回繰り返される夜の湖のシーンについて、ロケハンで諏訪に行った時に、ここに坂本龍一さんのピアノが入ると確信しました。ご体調のことはありましたが、一回自分の好きな坂本さんの曲を仮当てし、それをお手紙と共に送って見てもらいました。お返事が来て、映画全体を引き受ける体力はないのだけど、1−2曲閃いたから書いてみます、気に入ったら使ってくださいと返事のお手紙をもらいました」とふり返る。「観た直後に音楽室のシーンがすごく好きだと言ってもらい、あのホルンとトロンボーンの音を邪魔しない音楽を作ろうと思ったという意見をもらいました。映画の中から聞こえてくるような曲になったんじゃないかなと、おこがましいけれど思いました。今日も最後に大好きな『Aqua』が流れて良かったなと思いました」と噛みしめながら語っていた。『怪物』は6月2日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年05月18日第76回カンヌ国際映画祭がフランス時間5月16日に華々しく開幕、そのオープニングレッドカーペットに、コンペティション部門での公式上映を控える『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER)の是枝裕和監督が登場。今後、脚本を手掛けた坂元裕二、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太も現地入りし、公式イベントに参加予定となっている。各国の映画監督や俳優、セレブたちが豪華絢爛な衣装を身にまとい、レッドカーペットを歩く中、「プラダ(PRADA)」のネイビーのタキシードに身を包んだ是枝監督が登場すると、一般客や世界各国から集まったカメラマンたちからは大きな声で「コレ・エダー」と声がかかり、監督は笑顔で手を振りながら撮影に応じ、『怪物』プレミア上映への期待も高まる場となった。また、坂本龍一さんが手掛けた「戦場のメリークリスマス/Merry Christmas Mr.Lawrence」などの楽曲が流れる中、是枝監督の『真実』で主演を務めたカトリーヌ・ドヌーヴをはじめ、ユマ・サーマン、マッツ・ミケルセン、エル・ファニング、ヘレン・ミレン、エマニュエル・ベアール、ファン・ビンビン、コン・リー、ジョン・C・ライリーなどが続々レッドカーペットに登場。さらに、オープニングを飾るのが仏監督マイウェンの新作にして、ジョニー・デップ主演の伝記映画『Jeanne du Barry』(原題)ということもあり、主演のジョニー・デップがポニーテールにサングラスのタキシード姿でレッドカーペットに降り立った際には会場にどよめきが起こる場面も。また、今回の映画祭で名誉パルム・ドールの受賞が決まっているマイケル・ダグラスが妻のキャサリン・ゼタ=ジョーンズと共に登場した際にも、会場には熱気が立ち上っていた。今回審査員長を務めるのは、昨年のカンヌで2度目となる最高賞パルム・ドールを受賞した『ザ・スクエア思いやりの聖域』『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督。さらに、審査員には俳優のブリー・ラーソンやポール・ダノらが名を連ねている。コンペティション部門に選出された計21作品の中から最高賞となるパルム・ドールをはじめ各賞が発表となる授賞式は、フランス時間の5月27日に開催予定となっている。『怪物』は6月2日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年05月17日映画『怪物』(6月2日公開)の完成披露舞台挨拶が8日に都内で行われ、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、坂元裕二(脚本)、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。同作は5月16日~27日に開催される第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門への正式出品も決定し、カンヌを意識した公開日に「去年からずっと公開日がもう6月2日で決まってて、心配だったんです。行けるかどうかわからないから『そんなに簡単じゃないですよ』と言って、『もうちょっと先に延ばしておいた方がいいんじゃないですか?』という話をずっとしてたんですけど、結果的にいい形で参加できることが決まってホッとしてます」と語った。今回は脚本家の坂元裕二とのタッグになり、是枝監督は「何度か坂元さんと対談をしていただいていて、自分で書かないんだったら坂元さんにお願いしたいとラブコールを送っていたので、名前を出していただいたと思うんですけど、連絡をいただいて、『坂元さんと開発しているプロットがあるんだけど、読んでくれないか』と言われた時点で、読む前に引き受けることは決めていた」と明かす。「どんな話であれ引き受けてチャレンジしてみたいと思いました。そのくらいタッグの実現には憧れてました」と熱い気持ちを見せた。また、3月に亡くなった坂本龍一さんが同作の音楽を務めていることについて、是枝監督は「撮影場所が諏訪に決まって、描かれる脚本に風景が明快になっていった時に、この夜の湖に坂本さんのピアノが響くといいなと思って、編集しながら当てさせていただいてたんですね。撮影が終わった段階で、編集したものを仮当てした音楽と一緒に手紙を書いてオファーしました」とこちらも熱意のこもったオファーだった様子。是枝監督は「(坂本さんが)体調のことがあったので、本当にダメだったら諦めようと思ってたんですけど、すぐに観ていただいて、お手紙が届いて。『全部を引き受ける体力は残ってないけど、とても面白くて、音楽のイメージが浮かんでいるので、形にしてみますので、気に入ったら使ってください』というお手紙でした。2曲作っていただきました」と説明。「他の曲は『今まで発表されたものを使っていただいて構いません』というお話だったので、『12』というアルバムからも数曲選ばせていただいて、仮当てした曲も使わせていただいて、整えて、送らせていただいて、了解をいただいてというやりとりを何度かしました」と経緯を語った。「本当に亡くなられたのは残念ですけど、最後にこういう形でご一緒できたのは自分にとって誇りですし、この作品にとって、坂本さんの音楽が必要だったというのは、誰よりも自分が強く感じています」と是枝監督。「映画に当てて作っていただいた曲だけじゃなくて、『12』から使わせていただいた曲も、映画を見て作っていただいたんじゃないかというくらい映像と作品にマッチして、作品の中から聞こえてくる曲として存在してくれてるので、不思議な気持ちを抱いています」と思いを表した。
2023年05月08日映画『怪物』(6月2日公開)の完成披露舞台挨拶が8日に都内で行われ、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、坂元裕二(脚本)、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。是枝作品初出演の獅童は「僕は『海街diary』上映当時鎌倉に住んでおりまして、妻と散歩している時に大船の映画館で上映があり、上映後にティーチインがあるということで、絶対行こうと観に行ったんですね。もともと是枝監督の大ファンなので、なんとか自分の思いを伝えたいという思いで、大概こういう映画館って、上手か下手のスクリーンの脇のところに扉があるので、そこから勝手に入って、何の約束もしてないのに楽屋の前で待ち伏せをして『私、中村獅童という者なんですけど』『ああ、どうしたの?』『映画を観たくて』と会話してくださって、『いつか僕を使ってください』と言ったんです」と驚きのエピソードを披露。さらに「2015年だったので、ちょっと時間が経つ中で、『僕みたいな役者はお好きじゃないんだろうな』と思ってたんですよ。でも2020年にコロナが大変な時期で、緊急事態宣言によってずっと家にいて家族に『死ぬまでの間に、是枝監督の作品に出られたらいいな』と話してたんです。その数カ月後にご連絡いただけたので、思いは叶うんだなとつくづく思いました」と感慨深そうにしていた。実は4月15日に行われた、北野武監督の最新映画『首』の完成報告会でも、引きの強さを表すエピソードを披露していた獅童。「ずっと若い頃から北野監督の作品が大好きで、役者としていつか出演させていただきたいという長年の夢でした」と明かし、大森南朋から「バラエティとかで会った時に自分で頼んだ方がいいよ」とアドバイスをもらっていたものの、言うことができなかったという。しかし「緊急事態宣言があって、ここ3年ぐらい歌舞伎の仕事ばっかりだと思うので、また映画の仕事を少しずつ増やしていきたいなというところで『北野監督の作品のオーディションがあったら行きたいと思うので、そういう情報があったら事務所にも集められるといいね』なんて話していたら、本当に翌日に北野組に話をいただけて」と奇跡のタイミング。長年出演を夢見ていたという是枝監督、北野監督の作品へ連続初出演を果たしていた。
2023年05月08日映画『怪物』(6月2日公開)の完成披露舞台挨拶が8日に都内で行われ、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、坂元裕二(脚本)、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。是枝作品初参加の高畑は「初めての組だったのと、すごくワクワクして、インするのが楽しみだったんですけど、参加させていただくのが3日間くらいで、初日が皆さんのクランクインと被ってしまって、急に緊張してしまって。永山さんとも初めましてだったので、とにかく緊張感マックスでセリフも何を喋ったか覚えてなかったぐらい」と明かす。「でも現場に入ると是枝さんがあたたかく見守ってくださってる感じがして、じんわりあったかい気持ちになるなと思ってたら、あっという間に3日間が終わってしまって、ちょっと寂しかったです」と振り返った。同作は第76回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門への正式出品も決定しているが、司会の笠井信輔アナウンサーが「皆さんレッドカーペットも歩かれると聞いているんですけど、大変申し訳ないですが行く予定のない方はどなたですか?」と尋ね、高畑と獅童が手を挙げる。さらに笠井アナが「すみません、どんなお気持ちですか? 行けない気持ち」とたたみかけると、高畑は「行けない気持ち!?」と戸惑いつつ、「か、悲しいです。でもテレビで見ます」と答える。獅童は「悔しいですね。だけどこないだ撮影させていただいたもう1本の方の作品で、『カンヌ行きましょう』って声かけてくださったので、行けるみたいです」と明かし、キャスト陣も驚き。高畑は「私だけですね」と笑いながら、「リビングで見ます。応援します」とエールを送っていた。
2023年05月08日映画『怪物』(6月2日公開)の完成披露舞台挨拶が8日に都内で行われ、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、坂元裕二(脚本)、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。安藤は「(司会が呼び込みの際に)“『怪物』の仲間たち”とおっしゃった言葉がすごくグッときちゃって、それでもう(子役の)2人を見てたら泣きそうになってます」と、瞳を潤ませる。『万引き家族』以来の是枝作品へのオファーについては「『万引き家族』に出演させていただいてそんなに時間が経ってなかったので、こんなにも早くお声がけいただけるとは思ってもいなかったので、ものすごく嬉しかった」と振り返りつつ、「その反面、監督の現場にすぐに戻ること、坂元さんの脚本であること、ものすごく高く感じてしまって、かなり長いこと怖気付いておりまして、覚悟を決められない時間が割と長くなってしまいました」と明かす。「現場に参加して、完成した作品をスクリーンで観た時に、本当にその時の自分を一発殴ってやりたいような。参加できてよかったな、と。自分の想像を遥かに超えた作品に出させていただけて、『怪物』に参加した一員としてではなく、映画を観た一員として感動して、涙が止まらなかったくらいです」と同作を称えた。子役2人のオーディションについて、是枝監督は「話をしながら直感で決めて『この子と映画を作るんだ』という覚悟ができたら」と表す。黒川については「横顔がいいなあ」、柊木については「本当に役にピッタリ。会った瞬間にこの子なんだな、(演じた)依里くんが登場したなと思いました」と語り、坂元も「この物語は、僕自身の子供の頃の体験をもとにしている部分があり、僕が黒川くんの立場の立場になってしまってちょっと恐縮なんですが、柊木くんは転校していったその時の友達に似ている」と説明した。繊細な役を演じた黒川は「お芝居している時はあんまり何も考えてなくて、ただカットがかかった時に、湊くんから自分に戻れなくて、湊に入ると、苦しくなったり、悲しくなったりすることがあって、でもとても楽しかったです」と振り返る。現場では永山からドライブに誘われ「自分がどう演技するとかじゃなくて、『役者さんは、基本的に監督の脳みそにあるものを表現するんだよ』ということを教えてくれて、響きました」と感謝。永山は黒川を誘ったことについて「想矢は現場でもこの作品に対しての愛情が深くて、お芝居に対して深く掘り下げたいという思いをたくさん抱えてたので、声をかけて」と明かし、「近所の諏訪湖で散歩しながら色々話したり。『お肉が食べたい』と言ったから連れてったんですけど、ジンギスカン屋さんだったんですね。『ジンギスカンを食べたことない』と言ってたのに、無理やり食べさせちゃったのは悪かったんですけど、でも僕が生まれて初めて食べさせてあげてよかったなと思います」とエピソードを披露する。一方、こちらも難しい役を演じ切った柊木だが、役作りについては「特に悩まなかったです」と大物っぷりを見せた。
2023年05月08日是枝裕和監督、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一による映画『怪物』が、フランス時間5月16日(火)~27日(土)開催予定の第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品が決定。合わせて、本予告が解禁となった。是枝監督作品がカンヌ国際映画祭でコンペティション部門に選出されるのは、昨年の韓国映画『ベイビー・ブローカー』以来2年連続、7回目(カンヌ国際映画祭への出品自体は9回目)。なお『ベイビー・ブローカー』ではエキュメニカル審査員賞、主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞したことが記憶に新しい。これまでも、2004年『誰も知らない』では主演を務めた柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞、2013年『そして父になる』では審査員賞を受賞、2018年『万引き家族』では最高賞であるパルム・ドールを受賞してきた。今回の出品決定にあたり、是枝監督、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太からコメントが到着。さらに解禁となった予告映像では、いままで明かされてこなかった映画の内容が垣間見える。舞台は、大きな湖がある郊外の静かな町。最初は、学校でよくある子ども同士のケンカに見えた争い。だが、子どもが先生から暴力を振るわれたと訴えを起こすシングルマザー、反論する教師、逃げる学校、次第に様子がおかしくなっていく息子と、何か秘密を持つ子どもたち。彼らの食い違う主張はやがて社会やメディアを巻き込み、大事になっていくが…。そんな、ある嵐の朝、子どもたちは忽然と姿を消した。安藤さんや、永山さん、田中裕子ら変幻自在な演技で観る者を圧倒する実力派と、2人の少年を瑞々しくかつ情感豊かに演じる新星・黒川想矢と柊木陽太のほか、高畑充希、角田晃広、中村獅童といった多彩で豪華なキャストの面々も登場している。カンヌ・コンペ部門出品決定にコメント到着▼是枝裕和監督是枝は韓国映画ではありますが昨年も参加していて流石に2年続けてはハードルが高いですよとスタッフには話していました。にもかかわらず、公開日が映画祭直後に決定してしまったので少々焦りました。ですから、コンペに決まったと連絡を頂いた時には嬉しいというよりはホッとしたという気持ちのほうが強かったです。映画はスタッフとキャストの一期一会の短い出会いと別れの間に生命を授かります。その産声を初めて観客の皆さんに聴いていただく場所としてカンヌ映画祭は、やはり、最高の舞台だと思っています。またあの場所に連れて行ってくれる『怪物』と、その関係者の皆様に心から感謝します。今回は残念ながら参加が叶わないスタッフ、キャストの皆さんの思いも、出来るだけ沢山胸に抱いてあの特別な場所を一緒に歩きたいと思います。▼安藤サクラ是枝監督カンヌ国際映画祭出品おめでとうございます。こんなにも早くあの場所に戻れるとは思ってもいませんでした。また是枝組の一員としてみなさんと映画祭に参加できること、とてもとても嬉しいです。カンヌは幼い頃から憧れていた遠い遠い遠い憧れの地。なので今はまだ気持ちがふわふわしていて、少しお腹が痛いくらいです。でも、行けるとなれば目一杯楽しみます!いってきます!!▼永山瑛太是枝監督、坂元裕二さん、坂本龍一さん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんの座組に、私が携われた事、改めて幸せを噛み締めてます。感謝と希望を忘れず、日々、役者として邁進していきたいと思います。▼黒川想矢僕は最初、どんな演技をしようとか、上手に演じたい!とか自分の事ばかり考えていました。是枝監督の演出からは、どうやって芝居をするのかではなく、ただ湊として動けばいいということが感じ取られ、腑に落ちた気がしました。また、僕が表現に悩んでいる時に瑛太さんから「俳優は監督の脳みそにあるものを表現するもの」というアドバイスをいただき、俳優としての心構えが一変しました。途中、湊が抜けない…というような感覚になり苦しい時もありましたが、現場の皆さんが温かく包み込んでくださって、なんとか撮影を乗り越える事ができました。是枝監督とみんなで作り上げた作品を、カンヌ国際映画祭で世界中の方々に観てもらえることが、とても楽しみです。▼柊木陽太僕が初めて出演した映画『怪物』がカンヌ国際映画祭にノミネートされて、とても嬉しいです。撮影はとても楽しかったです。大変なこともありましたが皆さんのおかげで最後までやり切ることができました。そして、素晴らしい共演者のみなさんや、スタッフさん、そしてこの作品に関わらさせていただいたことにとても感謝しています。初めて海外に行くのですが、是枝監督や共演者のみなさんと一緒に行くのが本当に楽しみです!そして世界中の人に作品を観てもらえると思うと今からワクワクしています。『怪物』は6月2日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年04月13日是枝裕和監督最新作『怪物』より場面写真が解禁された。是枝裕和監督と脚本家の坂元裕二がタッグを組み、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、高畑充希、角田晃広、中村獅童ら豪華キャストが出演することでも、公開前から大きな注目を集めている本作。この度解禁されたのは、場面写真とキャラクター写真計19点。安藤サクラ演じるシングルマザーの早織が黒川想矢演じる息子の湊と穏やかな表情で街を眺める場面や、湊と柊木陽太演じる同級生の依里が子どもらしい笑顔を浮かべて全力で遊ぶ様子が伝わる場面など、優しい光に包まれた平穏な日常が写し出されている。一方で、永山瑛太演じる湊、依里の担任教師・保利が床に尻餅をつく生徒の肩に手をかけ、目を見開いて驚きの表情を浮かべる場面では暗い影が忍び寄る不穏な空気を感じさせる。キャラクター写真では早織、保利、湊、依里のほか、高畑充希が演じる保利の恋人・広奈、角田晃広が演じる湊、依里が通う小学校の教頭・正田、中村獅童が演じる依里の父でシングルファーザーの清高、田中裕子が演じる小学校の校長・伏見のキャラクター写真も解禁。いったい「怪物」とは何か。登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに、何が見えるのか…。さらに本編への期待が高まる。『怪物』6月2日(金)は全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年04月12日是枝裕和監督の映画を翻案とした舞台が日本初上陸!2023年7月〜8月に、新国立劇場 中劇場(東京)と森ノ宮ピロティホール(大阪)、キャナルシティ劇場(福岡)にて舞台『After Life』を上演することが決定しました!本作は、”人にとって思い出とは何か?”という普遍的なテーマを描き、1998年にカナダ、1999年に日本で公開された是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』を、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の脚本を手掛けたジャック・ソーンが舞台化。2021年6月にロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで初演を迎え話題を呼んだ作品です。今回、主演にKAT-TUNのメンバーで、音楽活動のみならず、ドラマ、舞台、バラエティ番組など幅広く活躍する上田竜也を、さらに演出には、ストレートプレイのみならず、数々のミュージカルや音楽劇も手掛けてきた奇才、河原雅彦を迎え日本初上演いたします。俳優や執筆活動など多岐にわたる才能をみせる河原が、人が死んでから新たな世界へたどりつくまでの7日間というファンタジックな世界を描き、上田竜也がその繊細な世界観を演じる『After Life』。どうぞご期待ください。そして今回上演決定に際し、主演の上田竜也と演出の河原雅彦からコメントが到着!コメント・プロフィール主演:上田 竜也/うえだ たつや(KAT-TUN)「約2年ぶりの舞台。また1からチームで作品作りを出来ることを嬉しく思います。今まで演じた役は生死に関わる役が多かったのですが今回もガッツリ関わってるという事で、、(笑)とてもワクワクしています。KAT-TUNのツアーが終わりその後にまたすぐ皆様に会えるのを楽しみにしています。」<プロフィール>1983年10月4日生まれ、神奈川県出身。KAT-TUNのメンバー。日本テレビ『視覚探偵 日暮旅人』(’17年)、テレビ東京『新宿セブン』(’17年)など俳優として数々のドラマに出演。舞台では『ロミオとジュリエット』(’09年)、『冬眠する熊に添い寝してごらん』(’14年)、『青い瞳』(’15年)、『新世界ロマンスオーケストラ』(’17年)、『ポリティカルマザー ザ・コレオグラファーズ・カット』(’19年)、『Birdland』(’21年)など数多くの作品でも活躍。また、2023年4月1日よりbayfmにて『上田竜也のPirates Radio』が毎週土曜日22:30〜OA中。演出:河原 雅彦/かわはら まさひここれまで扱ってきた題材の中で一番深淵なテーマな気が。。。アンビエントな空気感を持った作品ですし、独特ですね。なんせこれの前に演出した舞台が元気一杯のファミリーミュージカルですから。相変わらず振り幅大きいことになってますが、ま、いつも通り今回集まってくれた仲間達と真摯にやってみたいと思います。<プロフィール>1969年7月7日生まれ、福井県出身。俳優・演出家・脚本家。’92年に演劇やライブ活動を行う「HIGHLEG JESUS」を結成し、’02年の解散まで全ての作品の作・演出を手掛ける。『父帰る/屋上の狂人』(’06年)の演出で第14回読売演劇大賞・優秀演出家賞を、『万獣こわい』(’15年)の演出で第22回読売演劇大賞・優秀作品賞を受賞。近年の主な演出作品は、KERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』(’21年)、『ロッキー・ホラー・ショー』(’22年)『VAMPSHOW ヴァンプショウ』(’22年)、『ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』(’22年)など。2023年3月からミュージカル『DADDY』が上演中。<あらすじ>たった1つの思い出だけを持って永遠の時間を過ごすとしたら、あなたは何を選びますか?5人のガイドが待つ無個性な空間に集められた人々。ガイドからこう告げられる。「皆さんには、ここで過ごす1週間の間に、1つ、思い出を選んで頂きたいのです。皆さんにとって、一番意味のある、大事な思い出を。選んだ思い出は我々が全力で再現します。そして皆さんは先に進むのです、その思い出だけを持って―――。」それぞれが思い出を選んでいく中、ひとり悩み続ける老人がいた。彼を担当するガイド2番は、なんとか老人を助けようとその過去を調べるうちに、ある事実に気がつく。1週間の期限を迎え、それぞれが迎える結末とはー。【公演概要】タイトル:After Life作:ジャック・ソーン演出:河原雅彦主演:上田竜也(KAT-TUN)日程:2023年7月〜8月会場:<東京公演>新国立劇場 中劇場<大阪公演>森ノ宮ピロティホール<福岡公演>キャナルシティ劇場公式サイト: 公式Twitter:@afterlife_2023※詳細は後日発表します。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年04月10日安藤サクラ、永山瑛太、高畑充希らが出演する映画『怪物』のサウンドトラックが、5月31日(水)にリリースされることが決定した。是枝裕和監督×脚本・坂元裕二がタッグを組んだ本作は、坂本龍一による音楽で構成され、まさに怪物級の才能が集結。是枝監督からのオファーにより、坂本さんが音楽を担当することになった今回。坂本さんの6年ぶりのオリジナルアルバム「12」から、「20220207」、「20220302」のほか既存曲と、映画への書き下ろし2曲を含む全7曲を収録している。坂本龍一コメント全文(1/5発表コメントより)「怪物」怪物と言われると誰が怪物なんだと探し回ってしまうんだが、それはうまくいかない。誰が怪物かというのはとても難しい問いで、その難しい問いをこの映画は投げかけている。さて、その難解なテーマの映画にどんな音楽をつければいいのだろう。救いは子供たちの生の気持ち。それに導かれて指がピアノの上を動いた。正解はない。今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲2曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった。「サウンドトラック『怪物』‘MONSTER’ directed by Kore-eda HirokazuMOTION PICTURE SOUNDTRACK」は5月31日(水)リリース。『怪物』は6月2日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年04月04日是枝裕和監督×脚本・坂元裕二×音楽・坂本龍一による映画『怪物』の本ポスタービジュアルが公開された。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら、変幻自在な演技で観る者を圧倒する実力派が出演する本作は、ある日起きた学校でのケンカが、次第に大人や社会、メディアを巻き込み、大事になっていき、ある嵐の朝、子どもたちが忽然と姿を消す…という、結末に心揺さぶられる圧巻のヒューマンドラマ。完成した本ポスターは、安藤さんや永山さんら主要キャストの表情が切り取られた。泥だらけの少年たちと、3人の大人たちがこちらに送るまっすぐな視線、タイトルの間には「だーーれだ」というコピーが添えられ、意味深で謎がますます深まるデザインとなっている。『怪物』は6月2日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年03月31日是枝裕和監督が率いる「分福」に所属する気鋭の新人監督・川和田恵真監督による商業映画デビュー作『マイスモールランド』の凱旋上映記念舞台挨拶が、2月13日に新宿ピカデリーにて開催され、川和田監督と主演の嵐莉菜が登壇。サプライズで是枝監督も登場した。川和田監督は「この映画が公開した時(2022年5月)に、ここ(新宿ピカデリー)で舞台挨拶をさせていただきました。観ていただいた皆さんのお蔭でこうして再上映することができて、本当に嬉しく思っております」と感無量の様子で、「公開から時間が経った中でも、映画を作って伝えることの大切さを、日々感じることができています」と挨拶。また、本作の主人公で、自分の居場所(アイデンティティ)に葛藤しながら成長していくクルド人の少女・サーリャを演じ、映画初出演にして初主演を務めた嵐さんは、「山路ふみ子映画賞」をはじめ、「報知映画賞」「毎日映画コンクール」「キネマ旬報ベストテン」「高崎映画祭」などで数々の新人賞を受賞。再び川和田監督と一緒に舞台に立った嵐さんは「想像以上の反響があり、映画賞を受賞できることも想像していなかったので、評価していただけたことがとても光栄で、こんなに幸せなことはないです」と笑顔でコメント。「『マイスモールランド』で、お芝居の基礎から、クルドの文化まで、たくさんのことに触れてきて、たくさんの学びを得た」という嵐さん。モデルとしても活躍する彼女だが、本作への出演を通して感じた俳優としての醍醐味について「自分が他の役になりきるというところだけじゃなく、役を通して、いろいろなことを学べることに、すごく魅力を感じました」と明かした。嵐莉菜、釜山国際映画祭が思い出に「すばらしい光景を見られた」嵐さんとは本作のオーディションで初めて会ったという川和田監督。「最初、会う前に思っていた、すごく華やかな子だなという印象は今も変わっていないんですけれど、さらに一緒に過ごした時間の中で、こんなに気さくな子なんだなと分かって。いろんなことで笑い合える関係になれたのは嬉しいです」とコメント。「そして何より、やっぱりお芝居になったときに見せてくれる表情ですね。お芝居では、会う前に想像していたのとはまったく違う強い魅力を見せてもらえたなと思っています。莉菜さんのお芝居を信じて、一緒に最後までいくことができました」と嵐さんの芝居への大きな信頼を口にした。世界各国の国際映画祭に出席してきた中で、「各地でたくさんの出会いがあって。場所は違っても、描いている物語の核となる部分では、言葉を超えて伝わることができるんだと思った」と語る川和田監督。「釜山国際映画祭では、莉菜さんと2人でレッドカーペットを歩いたことが一番の思い出」との監督の言葉に、嵐さんも「韓国の方々がすごく温かく優しい笑顔で迎え入れてくれて。Q&Aでは、とても集中して、大切にこの作品を観てくださったんだなぁと感じる質問もたくさんいただけました。すばらしい光景を見られたので、連れて行ってくれた監督には感謝しています」とふり返った。是枝監督「時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えた」本作『マイスモールランド』は川和田監督が所属する「分福」の企画会議から始まり、是枝監督からの応援もあって実現した作品。舞台挨拶の途中に登場し、2人に花束を手渡した是枝監督は、「こんなふうに凱旋で上映をしていただけるというのは、なかなかないこと。まず何よりもこういう形でまたお客さんに観ていただける機会をもらえるということが、作品にとっても、キャスト、監督、関係者にとっても、本当に嬉しい出来事。おめでとうございます」と祝いの言葉を贈る。すると嵐さんは「びっくりしました......なんだか泣きそうになってしまって......。是枝監督とは釜山国際映画祭でもお会いしたんです。またお会いできる機会があって、すごく嬉しいです」と思いがけぬサプライズに目をうるませるひと幕も。「本当に企画の最初から是枝監督が応援し続けてくれたおかげで、5年以上かかったんですが、実現することができました。本当にありがとうございました」と感謝を伝える川和田監督。是枝監督は「ずいぶん時間がかかったので、もっと早くできれば良かったなぁとは思っているんですけど、考えようによっては、時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えたというふうにも考えられる。やっぱり、そういう出会いに恵まれて、生まれるべきタイミングで生まれた作品が強い作品なんですよね」と力説、「そういう意味では、この作品は本当に強い、いい映画になったんじゃないかなと思っています」と応えた。さらに是枝監督は、映画界での大きな一歩を踏み出した2人に「デビュー作で、これだけ注目を集めるというのは、もちろん本当に作品がすばらしいこともありますが、いろんな人の縁に恵まれていただいている評価だと思います。この次だよね。2人とも、今回の受賞がピークじゃない形で、この先のキャリアを重ねていってほしいと思っています。一作一作、前へ進んでください」とエール。川和田監督は「この映画作りを通して、とても大きなものを自分自身もらったので、今度それをまたどう次につなげて作っていくかということを、これから考えていきたいなと思います」と抱負を述べつつ、「本作は自分にとって、これが最初で最後になっても絶対に作る! という思いを持ってきたものです。この作品をもっと届けたいという気持ちも強いので、まだまだ多くの人に伝えていきたいなと思っています」と本作への熱い想いを吐露。そして嵐さんは「川和田監督と皆さんと作り上げた作品が、こうして大切に長く興味を持っていただけることが何より幸せ。自分にとって、本当に人生が変わった大切な作品です。川和田監督とまたこの場に立てるように、私もがんばっていきたいなと思っています」と、こみ上げる想いに涙ぐみながら展望を語っていた。『マイスモールランド』は2月24日(金)まで新宿ピカデリー、MOVIX川口、なんばパークスシネマにて2週間限定凱旋上映中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マイスモールランド 2022年5月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開予定©2022「マイスモールランド」製作委員会
2023年02月14日是枝裕和監督が総合演出を務めるNetflixのオリジナルシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』が配信されている。本作は京都にある舞妓さんたちが共同で生活する屋形(やかた)を舞台に、彼女たちにごはんをつくる“まかないさん”になった女性キヨと、その親友で舞妓になろうと奮闘する女性すみれの日常を描いた作品だ。是枝監督は本作のために京都を取材し、主人公たちが成長していくドラマを描きながら、同時に彼女たちが生活する京都の花街に流れ、長年に渡って積み重なってきた“時間”を丁寧に描き出している。本作の原作は週刊少年サンデーに連載中の小山愛子の人気コミック。舞妓さんたちのために特別ではないけれど“普通で最高”のごはん=まかないをつくるために奔走するキヨ、舞妓として“百年にひとりの逸材”と期待されるすみれ、屋形の女将さん(おかあさん)と、先代の女将さん、すみれと同じく舞妓として修行に励む女性たちの様々なエピソードが描かれる。本作では是枝監督が1、2、5話を、『十年 Ten Years Japan』の一編を手がけた津野愛監督が3、4話を、『僕はイエス様が嫌い』の奥山大史監督が5、6、7話を、『泣く子はいねぇが』の佐藤快磨監督が8、9話を監督し、それぞれの監督が自身の担当エピソードで共同脚本と編集も務めている。是枝監督はさらに“総合演出”も担当したが「相談にはのるけど、決定権はそれぞれの監督にある。それは最初から決めていました」と振り返る。「トータルの統一感はこちらでとるようにするけど、監督それぞれの個性を潰すようなことはしない、ということです。なので、各監督には作品全体の統一感、キャスティング、スタッフィング、屋形(やかた)をどういうものにするか、という話し合いにも参加してもらっています。そこでしっかりと世界観を共有しつつ、全話の流れを僕がつくって、ディテールは撮影現場で変えてもかまわないから、前後に影響が出るような場合は相談しながらやっていきましょう、という感じですね」監督たちは是枝監督も所属している制作者集団「分福」の周辺で活動しているが、キャスト同様、監督もすべてオーディションで選ばれたという。「この企画が動きはじめる頃、分福の周囲の若手の監督たちがいきなり長編を監督するのは難しいだろうから、場数が踏めるといいんだろうなとは思っていたんです。そこで演出のワークショップなどもやり始めていたので、その流れでこの作品に関心のある俳優さんに集まってもらって、役者のオーディションと、監督のオーディションも兼ねたかたちで進めていきました」ポイントは本シリーズの監督は4人いるが、共同脚本の砂田麻美、撮影監督の近藤龍人、美術の種田陽平、フードスタイリストの飯島奈美、音楽の菅野よう子ら主要スタッフは全エピソード共通で担当していること。まだキャリアの浅い若手監督たちがこの布陣で撮影に臨めることはなかなかない。「そのことは最初から意識していました。だから最初の段階から近藤さんには『話によって監督は変わるけど、全体のトーンは近藤さんに整えてもらいたい』とお願いしていましたし、僕は途中で(自作の撮影のために)韓国に行くことになっていたので彼に託した部分はありました」とは言え、作品全体の構成、世界観の構築などは是枝監督の担当。まず最初に原作を読み、実際に京都に取材に行くところから創作が始まったという。「京都は“一見さんお断り”のところが多いんですけど、ツテをたどって関係者の取材をさせてもらい、ある屋形を紹介してもらいました。そこに1日いて、通いのまかないさんがいたんですけど、まかないさんの家にもお邪魔して、その方が買い物に行って、料理をつくるまでもすべて見て、そこに男衆(おとこし)さんが来て着付けをして……というのを見ていたときに『ああ、これは面白いな』と思ったんですよね。最初に面白いと思ったのは“電話”だったんです。電話の前に連絡先を書いた紙が貼ってあったんですけど、ぜんぶ3桁の内線番号だったんです。要するに彼女たちの暮らしはすべてが“ここ”で完結している非常に小さな世界で、その中で互助会的な役割も果たしていて、他人の領域には踏み込まないようになっていて、お茶屋さんは料理はつくらないとか……明快なんですよ。役割はハッキリしているけど、お互いが支え合っていて、それらが内線でつながっている。コロナになって人の生活がどんどん外に向かわなくなった時に取材に行ったので『これから僕らが向かう世界のひとつの完成形が300年前からここにあったのか』と。もちろん、この暮らしで自分が現在の仕事をやっていけないことはわかっているんですが、何かのヒントになると思ったんです」花街の屋形は、修行中の“仕込みさん”や、舞妓さん、芸妓さん、屋形を切り盛りする女将さんが同じ建物で共同生活を送っている。女将さんが“おかあさん”と呼ばれることからもわかる通り、屋形の中の人間は家族も同然。しかし彼女たちに血縁関係はなく、支え合う関係ではあるが、いち舞妓・芸妓としてはお互いがライバルでもある。「家族的な共同体ではあるけれど、そこで集まっている人たちのあり方は実際の家族ではないから、“ユニオン”的ではありますよね。それも最初の取材の中で発見したことなんです。このような世界があり、その中心には屋形という血縁関係のない女性だけの共同体があって、もちろんそこには問題点はいろいろあるけれども、それを克服しようとしている人たちがいることもわかった。その時に『それではこの作品をやってみよう』と思えたんです」創作の過程でたどり着いた「時間の輪の波紋が広がっていくようなイメージ」これまでの是枝作品は“家族”を繰り返し描いてきたと言われるが、本作では血でつながった家族ではなく、同じ世界や職域を共にする“ユニオンのような共同体”が物語の中心に据えられている。さらに原作には登場しないオリジナルキャラクターとして、女将・梓の実の娘・涼子が登場することで“血縁のない家族的な関係”がさらにクッキリと浮かびあがる。一方で本作は春に青森からキヨとすみれが京都にやってくる場面から始まり、エピソードを積み重ねていくうちに季節が春から夏へ、葉が色づく秋へ移り、お正月を迎え、再び京都に春が訪れるまでを描いている。「ある場面で、登場人物がこの街の時間の話をする場面が出てくるんです。このシリーズが描いているのは共同体なんだけど、その背後に積み重なっている時間の方がむしろ主役で、その視点さえ忘れなければ、むしろ何をしてもいいと思っていました」京都の花街では暦が生活の中で重要な役割を果たす。季節が変われば食べるものが変わり、気候が変われば室内の装具を入れ替える。新しい年を迎え、桜が咲いて、陽が長くなり……のサイクルを繰り返しながら、そのサイクル=輪の中で暮らす人々も成長し、同じことをしているはずなのに去年とは違う立ち位置にいたり、役割が変わったり、心の内が違ったりする。この“円環する時間”こそが『舞妓さんちのまかないさん』の真の主役なのかもしれない。「彼女たちの時間も同じ着地はしないんだけど、少しずつ大きな輪になっていくイメージでいました。時間の輪の波紋が広がっていくようなイメージで考えていたんです」ちなみに是枝監督の作品で“円環する時間”と聞いて『海街diary』を思い出した人も多いのではないだろうか。「暦の問題というか、生活が四季の中にあって、季節ごとに食べるものが決まっていたりする。そんなことを考える中で、かなり初期の段階から『“海街”の設定を徹底するとこうなるんだろうな』とは思っていましたし、その面白さはつくる中で意識しました。だから自分の作品の中で一番参考になったのは『海街diary』で、“ここに流れる時間”を描きたいとは思っていました」季節がめぐり、1年を経てまた同じ花が咲く“円の時間”と、人が成長していく中で、もう2度とあの時には戻れないと感じる“直線の時間”、そして成長したからこそ同じことをしているのに感じ方や役割が変わる“波紋のような時間”が本作には流れている。なお、是枝監督はこのことを他の監督たちには明確には伝えていないという。「確かにこの話はしてないですね。そういうことは強要しないんです。これだけの役者と、これだけのセットがあれば、いくらでも面白い話は描けるわけじゃないですか。だから、監督それぞれが勝手に筆を走らせてくれて構わないし、僕とは違うものを見つけてくれてもいいと思ってました」しかし、完成した作品を観ると、是枝監督が演出を担当していない回でも、積み重なってきた時間や暦に関するエピソードやアイテムが繰り返し登場しているのが興味深い。『舞妓さんちのまかないさん』は、これまで是枝監督が描いてきた題材をある部分はしっかりと引き継ぎ、同時にそれぞれが独立し、個性のある4人の監督の語り口を楽しめるシリーズになった。最後のエピソードが終わっても、また季節はめぐることになるだろう。「だからもし、シーズン2ができるとしたら、今度は彼女たちが暮らす世界の側が変化していく、そうなった時に彼女たちはどうするのか?という話をやりたいと思っています」Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』Netflixにて全世界独占配信中(C)小山愛子・小学館/STORY inc.
2023年01月27日是枝裕和監督初のNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」から、笑顔溢れる“ほっこりメイキング映像”が解禁となった。Netflixと「STORY inc.」「分福」が共同制作する本シリーズは、日本では6日連続で「今日のTV Top10」入りを継続中。台湾、香港、シンガポール、タイ、インドネシア、イスラエルでもTop10入りとなり、日本のみならず世界から注目が集まっている(※1月20日現在)。SNS上でも「心がとてもあたたかくなって、自然と涙が出てくる」「早くも...今年ベスト級、確定」「めちゃくちゃ癒された」「映像が美しく、ご飯が美味しそう」など絶賛の声が上がっている。Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」メイキングカットこの度解禁となったメイキング映像では、総合演出の是枝監督のインタビューに始まり、舞妓を目指して京都へ来たものの、ひょんなことから屋形のまかないさんになるキヨを演じる森七菜と、キヨの親友で舞妓として「100年にひとりの逸材」と将来を嘱望されるすみれを演じた出口夏希らキャスト陣のオーディションで配役を何度も変え、お芝居を繰り返して長期間実施したエピソードが語られる。そして、キヨとすみれ、本作のオリジナルキャラクターである涼子役の蒔田彩珠がお芝居をした際、現場にいたスタッフが「これだったね」と皆が思ったと、当時の現場の様子を回顧している。出口夏希「是枝監督が『もう大丈夫だ』とおっしゃった時は安心しました」Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」メイキングカットさらに森さんは、「キヨのセリフの中で『お料理が好きっていうか、台所が好き』っていうセリフがあるんですが、そこに集まってくれる舞妓さんや食べて喜んでくれるその状況を求めて、キヨはご飯を作っているのかな」とキャラクターの想いを語ると同時に、映像では茄子に細かく切れ目をいれる料理シーンが映り、集中するあまり表情が変わってしまったと苦労話を語る場面も。続くすみれを演じた出口さんは、「プレッシャーと不安で、最初は『分からない、分からない』となっていたんですが、キヨちゃんと一緒にやっていて不安がどんどん無くなっていったんです。是枝監督が『もう大丈夫だ』とおっしゃった時は安心しました」と、キヨ=森さんと共演した当時の心情と監督のお墨付きをもらった時の気持ちを述懐。そんな京都弁に苦労しながらも笑顔が絶えない出口さんの撮影現場の様子も必見だ。橋本愛「是枝監督の作品に参加することが1つの夢だった」涼子を演じた蒔田さんは、「スタッフもキャストの皆さんも優しい雰囲気がずっと流れている」と語り、人気No.1の芸妓である百子を演じた橋本愛は「専門的なスキルが必要な役なので、大変だったと思うのですが、是枝監督の作品に参加することが1つの夢だったので、”夢が叶った”という喜びで包まれていました」と是枝監督作品へのそれぞれの印象、想いを語った。Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」メイキングカットさらに出戻り舞妓・吉乃を演じた松岡茉優、屋形の女将・梓を演じた常盤貴子、屋形の要となる千代を演じた松坂慶子、それぞれが撮影をふり返り、映像の最後に出口さんは「お芝居をやって、こんなに色んな人と出会えるんだと思ったことも楽しいと思えたし、お芝居中じゃなくても温かい場所だったので、(観る人にも)伝わってほしいです」と心情をコメント。森さんも「キヨが何年一緒にいても、すーちゃんに見とれてしまったり、思わず微笑んでしまう意味というか、力はすーちゃんからすごく貰ったので、本当にすーちゃんが出口さんで良かったと、出口さんのすーちゃんにキヨが私で本当に良かった」とキヨを演じられた喜びを語り、映像は締めくくられている。Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」メイキングカットNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」は配信中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2023年01月23日是枝裕和監督率いる「分福」の新鋭・川和田恵真監督作品『マイスモールランド』が、多くの映画賞を受賞したことを記念して、2週間限定で凱旋上映を行うことが決定した。ViVi専属モデル・嵐莉菜が映画初主演を果たした本作は、国境を越えて胸に響く感動作。日本に住む難民申請中のクルド人の家族。在留資格を失い、普通の高校生としての日常が奪われてしまった主人公サーリャが、理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探し、成長していく物語。昨年5月6日より上映を開始した本作は、嵐さんが「第45回山路ふみ子賞新人女優賞」、「第47回報知映画賞新人賞」、川和田監督が「新藤兼人賞銀賞」を受賞。これを記念して、新宿ピカデリー、MOVIX 川口、なんばパークスシネマの全国3館での2週間限定凱旋上映に加え、川和田監督と嵐さんが登壇する舞台挨拶の実施も決定。こちらは、2月13日(月)に新宿ピカデリーで行われる。『マイスモールランド』は2月10日(金)より新宿ピカデリー、MOVIX 川口、なんばパークスシネマにて2週間上映予定。(cinemacafe.net)■関連作品:マイスモールランド 2022年5月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開予定©2022「マイスモールランド」製作委員会
2023年01月05日是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二が初タッグを組むオリジナル映画 『怪物』(2023年6月2日公開)のクリエイター、キャストが5日、明らかになった。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作。これまで、森の中を走る2人の子供たちのイノセントな写真と、作品タイトルが『怪物』であることが明らかになっている。この度第1弾ポスター&特報映像が公開された。坂本龍一による音楽で構成され、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ほか超豪華実力派キャストが出演することも明らかになった。特報映像では、坂本龍一が本作のために書き下ろした楽曲を背景に、子供たちの「怪物だーーれだ」という声が何度もこだまする中、是枝裕和、坂元裕二、そして坂本龍一という錚々たるクリエイターたちの名前が浮かび上がり、キャスト陣(安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子)の印象深い表情が続きます。そして、学校の上履きのそばに滴り落ちる血という意味深なカットにタイトル『怪物』の文字が続く撮影は2022年の春と夏に終え、現在ポストプロダクション中だという。○坂本龍一 コメント「怪物」怪物と言われると誰が怪物なんだと探し回ってしまうんだが、それはうまくいかない。誰が怪物かというのはとても難しい問いで、その難しい問いをこの映画は投げかけている。さて、その難解なテーマの映画にどんな音楽をつければいいのだろう。救いは子供たちの生の気持ち。それに導かれて指がピアノの上を動いた。正解はない。今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲2曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった。○是枝裕和監督 コメント・坂本龍一について長年の念願が叶ってようやくコラボレーションが実現しました。撮影中も編集中もホテルの部屋で坂本さんの音楽をかけながら作業をしていたので正直お引き受け頂けなかったら途方に暮れていたと思います。歓喜、しています。・キャストについて安藤サクラさん、永山瑛太さん、田中裕子さん、こんなキャスティングが実現したらいいですね、と坂元裕二さんとワクワクしながらお話した通りのキャストが出演してくれました。身震いしました。安藤サクラさんは『万引き家族』に続きまして、2作目のお付き合いでしたが、前回とはまた全く違う凄みのある役を見事に体現していただきました。永山瑛太さんは初めての出演でしたが坂元裕二さんが瑛太さんに当て書きした役でもあり、もう彼以外ではあり得ない妙な、しかし、愛すべき人物に仕上がっております。田中裕子さんは、実は学生の頃に一度だけお会いしたことがあり、映画はもちろんですが、久世光彦さんと組まれたドラマの大ファンだったのでプレッシャーでしたが、至福の時間でした。怪物でした。主役の2人の男の子はオーディションを重ねて選ばせて頂きました。黒川さん、柊木さん、ふたりとも抜群でした。顔立ちも個性も全く違うのですが、撮影中見事な化学変化を作品にもたらしてくれたと思います。将来が楽しみです。高畑さん、獅童さんは以前ご挨拶をさせていただいてまして、いつか、とお約束していたのでこの作品で実現して良かったです。角田さんは、元々ファンでしたが『大豆田』でお芝居を拝見して、更にファンになり、お願いしました。登場しただけでちょっと微笑んでしまうんですが、素晴らしい存在感でした。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年01月05日安藤サクラ、永山瑛太らが是枝裕和監督、坂元裕二脚本による映画『怪物』に出演していることが発表され、第1弾ポスター&特報映像が解禁。『万引き家族』の是枝裕和監督と『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二のコラボレーションで話題の本作は、『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞し、『レヴェナント:蘇えりし者』をはじめ国内外を問わず第一線で活躍する坂本龍一による音楽で構成されている。さらに今回発表された安藤サクラ、永山瑛太ほか、「世にも奇妙な物語‘21秋の特別編『スキップ』」に出演した黒川想矢、「最愛」「ミステリと言う勿れ」や連続ドラマ小説「カムカムエヴリバディ」に出演し、「PICU 小児集中治療室」では心臓病で苦しむ少年を好演した柊木陽太が参加。坂元氏の脚本作品「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の高畑充希、「大豆田とわ子と三人の元夫」の角田晃広、さらに中村獅童、田中裕子ら実力派豪華キャストたちの演技のケミストリーにも期待がかかる。解禁された第1弾ポスターは、森の中に佇む2人の子どもを不穏な空気が渦のように取り込んでいくようなビジュアルとなり、どのような物語が繰り広げられるのか、興味をそそるものとなった。また特報映像では、坂本氏が本作のために書き下ろした楽曲と共に、子どもたちの「怪物だーーれだ」という声が何度もこだまする中、是枝監督、坂元氏、そして坂本氏という錚々たるクリエイターたちの名前が浮かび上がり、さらに今回初めて顔ぶれが明かされるキャスト陣の印象深い表情が続いている。そして、学校の上履きのそばに滴り落ちる血。この意味深なカットには『怪物』のタイトルが続いている。『怪物』は6月2日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:怪物 2023年6月2日より全国にて公開©2023「怪物」製作委員会
2023年01月05日『万引き家族』の是枝裕和監督と、『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二がタッグを組む映画 『怪物』が6月2日(金)に公開される。この度、第1弾ポスター&特報映像が解禁に。さらに本作が坂本龍一の音楽で構成されることと、豪華キャストの顔ぶれが発表された。本作に出演するのは、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ほか実力派キャストの面々。さらに、『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞するなど国内外を問わず活躍する坂本龍一がピアノ曲2曲を書き下ろしたほか、彼の音楽で本作が構成されることが明らかになった。解禁された第1弾ポスターには、森の中に佇むふたりの子供を、不穏な空気が渦のように取り込んでいくさまが描かれている。また特報映像では、坂本龍一が本作のために書き下ろした楽曲とともに、子供たちの「怪物だーーれだ」という声が何度もこだまし、是枝裕和、坂元裕二、そして坂本龍一という錚々たるクリエイターたちの名前が浮かび上がる。続いて安藤、永山をはじめキャスト陣の印象深い表情が映し出され、最後には学校の上履きのそばに滴り落ちる血……。この意味深なカットに続く『怪物』のタイトルが、好奇心をより一層掻き立てる仕上がりとなっている。『怪物』第1弾ポスタービジュアル ©2023「怪物」製作委員会2022年の春と夏に撮影を終えているという本作だが、一体どんな物語が繰り広げられるのか?キャスト陣が演じる役柄、そして“怪物”という言葉が指し示すものとは?まさに“怪物級”のクリエイターたちと出演者の演技のケミストリーにも注目の本作。続報にも期待だ。坂本龍一、是枝監督コメント&特報映像■坂本龍一氏 コメント「怪物」怪物と言われると誰が怪物なんだと探し回ってしまうんだが、それはうまくいかない。誰が怪物かというのはとても難しい問いで、その難しい問いをこの映画は投げかけている。さて、その難解なテーマの映画にどんな音楽をつければいいのだろう。救いは子供たちの生の気持ち。それに導かれて指がピアノの上を動いた。正解はない。今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲2曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった。■是枝裕和監督 コメント<坂本龍一さんについて>長年の念願が叶ってようやくコラボレーションが実現しました。撮影中も編集中もホテルの部屋で坂本さんの音楽をかけながら作業をしていたので正直お引き受け頂けなかったら途方に暮れていたと思います。歓喜、しています。<キャストについて>安藤サクラさん、永山瑛太さん、田中裕子さん、こんなキャスティングが実現したらいいですね、と坂元裕二さんとワクワクしながらお話した通りのキャストが出演してくれました。身震いしました。安藤サクラさんは『万引き家族』に続きまして、2作目のお付き合いでしたが、前回とはまた全く違う凄みのある役を見事に体現していただきました。永山瑛太さんは初めての出演でしたが坂元裕二さんが瑛太さんに当て書きした役でもあり、もう彼以外ではあり得ない妙な、しかし、愛すべき人物に仕上がっております。田中裕子さんは、実は学生の頃に一度だけお会いしたことがあり、映画はもちろんですが、久世光彦さんと組まれたドラマの大ファンだったのでプレッシャーでしたが、至福の時間でした。怪物でした。主役の2人の男の子はオーディションを重ねて選ばせて頂きました。黒川さん、柊木さん、ふたりとも抜群でした。顔立ちも個性も全く違うのですが、撮影中見事な化学変化を作品にもたらしてくれたと思います。将来が楽しみです。高畑さん、獅童さんは以前ご挨拶をさせていただいてまして、いつか、とお約束していたのでこの作品で実現して良かったです。角田さんは、元々ファンでしたが「大豆田」でお芝居を拝見して、更にファンになり、お願いしました。登場しただけでちょっと微笑んでしまうんですが、素晴らしい存在感でした。映画『怪物』特報映像『怪物』6月2日(金)公開©2023「怪物」製作委員会
2023年01月05日“韓流ドラマ”の代名詞「冬のソナタ」が日本に上陸して早20年。2022年は日本の是枝裕和監督や三池崇史監督らが韓国制作陣とタッグを組み、スクリーンや配信サービスで話題を振りまいた。Kコンテンツが世界的に流通・浸透し、『新感染 ファイナル・エクスプレス』や「愛の不時着」などのハリウッドリメイクも予定されている中、韓国から日本へ、日本から韓国へ、期待のリメイク作品も相次いでいる。韓国大ヒットドラマのリメイクは日本から元祖“韓流俳優”ペ・ヨンジュンの「冬のソナタ」と並ぶ代表作を日本でリメイクした「ホテリアー」(07)、チャン・グンソクをスターにした「美男<イケメン>ですね」(11)から、「銭の戦争」「ミセンー未生ー」「シグナル」「ボイス」「知ってるワイフ」「彼女はキレイだった」といった数々のドラマ、『猟奇的な彼女』『私の頭の中の消しゴム』『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』『ミッドナイト・ランナー』などの大ヒット映画も、これまで多くの韓国作品が日本でリメイクされてきた。その一方、「花より男子-Boys Over Flowers」や「マザー~無償の愛~」「空から降る一億の星」、『ゴールデンスランバー』『リトル・フォレスト 春夏秋冬』『ジョゼと虎と魚たち』など、日本のヒットドラマやヒット映画も韓国リメイクで成功を収め、逆輸入されている。2022年は、福士蒼汰と山本美月共演による「星から来たあなた」がAmazon Prime Videoにて独占配信された。元になったのは「サイコだけど大丈夫」のキム・スヒョンと「青い海の伝説」『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンの共演で、2013年当時の最高視聴率33.2%を記録しアジア中で旋風を巻き起こした同名ドラマ。地球で400年も暮らしてきた“宇宙人”とワガママだけど憎めない“トップ女優”の恋という設定は斬新で、その原作ドラマを知らずに日本版を楽しんだ人も多かった模様。「星から来たあなた」また、7月期テレビ朝日系で放送された竹内涼真主演「六本木クラス」は、2020年に大ヒットした「梨泰院クラス」の漫画原作を、舞台を日本に変えて翻案した同名漫画が原作。原作者であり脚本を担当したチョ・グァンジンや演出のキム・ソンユン監督、「梨泰院クラス」の制作会社、原作漫画の版元であるカカオエンターテインメントなどが協力した日韓合同のプロジェクトとなった。キム・ダミが演じたイソにあたる葵役は、チョ・グァンジンが平手友梨奈を「原作の葵にピッタリ」と推薦したという。ちなみに、平手さんが出演した「ドラゴン桜」の前シーズン(05)は「ドラゴン桜(勉強の神)」として2010年に韓国リメイク。平手さんは「BTS」が所属する事務所の日本法人HYBE Japanの新レーベル「NAECO」に所属することが発表されており、今後活動の場が広がりそうだ。なお、2022年を代表する韓国ドラマの1つ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」も、日本やアメリカ、中国など各国からリメイクのオファーを受けたと聯合ニュースなどで報道されている。そこで、日本でいま観られるオススメのリメイク作品や2023年に控えている注目“交流”作品を紹介しておこう。コミック誌からウェブ漫画の編集部に!「今日のウェブトゥーン」黒木華の連続ドラマ初主演作で、松田奈緒子の大人気コミックをドラマ化した「重版出来!」(2016/TBS系)。脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰ら「逃げるは恥だが役に立つ」などのヒット作を送りだした製作陣が手がけた。漫画「重版出来!」 - (C) 松田奈緒子/小学館その韓国リメイクドラマ「今日のウェブトゥーン」は、舞台を“週刊コミック誌”から“ウェブトゥーン”(韓国で主流のスクロールする縦読み漫画)の編集部へ変更。柔道選手だったオン・マウムがケガで柔道をやめ、憧れのウェブトゥーン編集部に契約社員として就職。エリート新入社員の同期ク・ジュニョン(ナム・ユンス)、副編集長のソク・ジヒョン(チェ・ダニエル)や、クセ強の作家たちと関わりながら成長していく様が描かれる。主演は「社内お見合い」で大人気となったキム・セジョンで、ウェブトゥーンに真っすぐな愛と情熱を捧ぎ、真心で物事に対処していく主人公・黒沢心にあたるオン・マウム役を好演。「恋慕」のナム・ユンスが小泉(坂口健太郎)、「私だけに見える探偵」のチェ・ダニエルが五百旗頭(オダギリジョー)にあたる役柄となる。「女神降臨」のヤオンイ、「外見至上主義」のT.Junと日本でもお馴染みの原作者がカメオ出演し、ウェブトゥーン編集部のお仕事も覗ける。脚本はチョ・イェランとイ・ジェウンという新鋭で、放送局の報道を舞台にした「ピノキオ」のチョ・スウォン、「僕のヤバイ妻」のリメイク版を手がけたキム・ヨンファンが演出を担当。Amazon Prime Videoにて先行配信中。大ヒットウェブトゥーンが原作の「正しい恋の始めかた」韓国発の大人気ウェブトゥーンで、日本国内での累計閲覧数が1290万view(2022年12月6日時点)、世界での閲覧数は8億を誇る話題作「正しい恋の始めかた」が日本でドラマ化。テレビ朝日とTELASA連動のスペシャルドラマとして「おっさんずラブ」をはじめ、話題作を生み出してきた年末年始の恋愛ドラマ枠で放送される。1日の予定は分刻み、スケジュールをきっちり守るのが好きな大学生・尾崎真心(大友花恋)が、唯一うまくいかないのが“恋愛”。一向に発展しない“恋愛ステータス”を変えるべく真心はサークルに入ることを決心する。そこで出会ったのは、ポーカーフェイスな先輩・清水瑛太(豊田裕大)と王子様系先輩・桜井優馬(本田響矢)。優馬に憧れていた真心だったが、瑛太との距離も縮まり始めていく。地上波版では真心×瑛太のラブストーリー、TELASA版では真心×優馬のラブストーリーを描いていくという。主演は「永遠の昨日」「あなたの番です」ほか「星から来たあなた」にも出演していた大友花恋、「MEN'S NON-NO」専属モデルで「推しが武道館いってくれたら死ぬ」で注目の豊田裕大、「ANIMALS-アニマルズ-」のカメラマン役で注目を集めた本田響矢というネクストブレイク有望の若手俳優が共演する。地上波「正しい恋の始めかた」は2023年1月1日(日)深夜0時25分~テレビ朝日にて(関東ローカル)。TELASA「正しい恋の始めかた~ほろあま?ほろにが?デート編~」は2022年12月31日(土)午前11時~先行配信。「俺はまだ本気出していないだけ」が「夫婦の世界」の“あの俳優”でドラマ化堤真一主演で2013年に映画化された青野春秋の人気コミック「俺はまだ本気出していないだけ」が原作。韓国ドラマ「夫婦の世界」でキム・ヒエ演じる妻がありながら、ハン・ソヒ演じる年下の女性と不倫する夫テオ役でブレイクし、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」や映画『非常宣言』などにも出演してきたパク・ヘジュンが主演。医療用品を扱う企業で営業をしているナム・グムピルは、ひょんなことから10年勤めた会社を辞めてしまう。40歳を過ぎてシングルファーザーのニートとなった彼はある日、ウェブ漫画家という夢を見つけ、公募展に応募しようと漫画を描き始めるが…。日本での映画化の際も、それまで渋い演技派のイメージのあった堤さんがボサボサ頭に無精ヒゲの主人公を演じて話題を呼んだ今作。だらしがなくて情けないものの、楽天家で心優しく、絶賛自分探しの途中のグムピルに扮するパク・ヘジュンもまた意外にハマって見えてくる!?そんな父の姿をときに冷ややかに、ときに温かく見つめる高校生の娘サンア(日本版では橋本愛が演じた)役の新星パク・ジョンヨンは、今後飛躍していきそうな輝きを放つ。グムピルの父親役は「今日のウェブトゥーン」でベテラン漫画家を演じているキム・ガプス。ちなみに「夫婦の世界」も、英国BBCの「女医フォスター 夫の情事、私の決断」の韓国リメイクだ。「俺はまだ本気出していないだけ」はU-NEXTにて配信中。岡田准一×綾野剛×藤井道人監督で『最後まで行く』岡田准一と『ヴィレッジ』「インフォーマ」が控える藤井道人監督が初タッグを組んだ映画『最後まで行く』は、ひき逃げを隠蔽しようとした汚職刑事がその目撃者と名乗る男によって極限まで追い詰められていくクライムサスペンス。刑事でありながら、ひき逃げをまさかの方法で隠蔽しようとする“マズい男”を岡田さん、彼を執拗に追い詰める“ヤバい男”を綾野剛が演じ、本格共演を果たす。元になった2014年の同名映画は、『パラサイト 半地下の家族』「マイ・ディア・ミスター」イ・ソンギュンと『警官の血』『毒戦 BELIEVER』のチョ・ジヌンという韓国ファン垂涎の共演によるもの。“パク社長”が印象深いイ・ソンギュンが慌てふためき動揺しまくる姿と、その一方で、何を考えているのかまるで読めない不気味なチョ・ジヌンは記憶に残る名演。警官役で新人時代のパク・ボゴムも出演している。『最後まで行く』(C)APOLLO監督は映画『トンネル闇に鎖された男』や世界的ヒットとなったNetflixシリーズのKゾンビ時代劇「キングダム」のキム・ソンフンが務めた。第67回カンヌ国際映画祭の監督週間招待作品に選出、大韓賞監督賞ほか青龍映画賞や百想芸術大賞で評価され、韓国で5週連続No.1、観客動員345万人の大ヒットとなって愛された作品だ。中国、フランス、フィリピンでリメイクされ、満を持しての日本リメイクに藤井監督は「1秒も飽きることない、ノンストップエンターテイメントに仕上がっている」「新境地の岡田准一さん、綾野剛さんが撮れた」と手応えを持ってコメントしている。『最後まで行く』は2023年5月19日(金)より全国にて公開。『スマホを落としただけなのに』が韓国流でどう変わる!?「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した志駕晃による同名小説を原作に、主演・北川景子、監督・中田秀夫で2018年に映画化された『スマホを落としただけなのに』。あらゆる個人情報が詰まったスマホを落としたことをきっかけに日常が脅かされ、やがて連続殺人事件に巻き込まれていく現代のSNSミステリーとして、フィッシング詐欺やネットストーキング、“なりすまし”なども交えて描き、大ヒットを記録した。チョン・ウヒ韓国版に出演するのは、現在『死を告げる女』が公開中、「恋愛体質~30歳になれば大丈夫」や『雨とあなたの物語』でも知られるチョン・ウヒと、映画『非常宣言』や「それでも僕らは走り続ける」など日本でも高い人気を誇るイム・シワン。さらに、『名もなき野良犬の輪舞』でイム・シワンと共演したキム・ヒウォン。それぞれスマホを落とした会社員、スマホの修理屋、刑事を演じる。イム・シワンすでにクランクアップしており、新鋭監督キム・テギュンが日本を凌駕するIT/SNS社会を舞台にどう描くのか、続報に注目。大ヒットドラマ「愛していると言ってくれ」「アンナチュラル」もリメイクへTBS系で1995年7月期に放送された北川悦吏子脚本によるラブストーリー「愛していると言ってくれ」もリメイク決定。俳優のみならず、最近では「イカゲーム」イ・ジョンジェと設立した製作会社でプロデューサーとしても活躍するチョン・ウソンが、豊川悦司が演じた聴覚障がいのある新進画家役を演じる。彼の本格ドラマ出演はおよそ10年ぶり、同作の韓国リメイクを長年熱望していたという。チョン・ウソン常盤貴子が演じた劇団で演技の勉強を続ける女優の卵役は、「賢い医師生活」シリーズで人気を博し、ソン・ジュンギ主演「財閥家の末息子」(原題)にも出演していたシン・ヒョンビン。シン・ヒョンビンまた、2018年1月期に放送された「重版出来!」野木さん脚本・塚原あゆ子演出による「アンナチュラル」は、石原さとみ演じる法医解剖医の三澄ミコトが、“不自然な死”として「不自然死究明研究所(UDIラボ)」に運び込まれた死体に向き合い、“死”の裏側にある謎や事件をスリリングに解明する法医学ミステリー。オリジナル版の韓国放送時は、現地でも人気となった。韓国ならではの企画力・制作力でどんな「アンナチュラル」に生まれ変わるのか。現在、脚本やキャスティングが進められているという。さらに、2022年の韓国で観客動員1200万人超えるメガヒットとなった『犯罪都市 THE ROUNDUP』の前作『犯罪都市』(原題:The Outlaws)の日本版リメイクも制作進行中とされている。『犯罪都市』双方のノウハウをどれだけ活用できるのか、自国向けに何をどうアレンジするのか、何をあえて残すのかが見どころとなるリメイク作品。それぞれの作品に関わる制作陣の手腕に期待したい。(上原礼子)■関連作品:最後まで行く(2023) 2023年5月19日より全国にて公開©2023映画「最後まで行く」製作委員会
2023年01月04日映画監督の是枝裕和さんが、世界同時配信の連続ドラマに初挑戦!作品への想いや日本映像界の“NEXT”たちを取り巻く業界の今について伺いました。世界で愛される是枝裕和監督。新作のNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』は、映画ではなく全9話からなる連続ドラマ。「連ドラを見て育ってきたので、常にやりたいと思っていて、自分の中でのプライオリティは映画よりも高いくらいなんです(笑)。でも、連ドラを作るハードルは高いんですよ。今は、立て続けに事件が起こるものが日本の連ドラの主流なので、僕の作るドラマは視聴率が取れないんです(笑)。でも、最近の韓国ドラマにはゆったりとした作風も出てきて“こういうドラマだったら、僕にもできるんだけどな”と思っていたところに声を掛けてもらい、久しぶりに連ドラを作ることができました」本作は祇園で舞妓になることを夢見るキヨとすみれを主軸に描かれる。中学を卒業したばかりで故郷の青森を離れ、それぞれが生きる道を選び、進む姿は眩しく、いつまでも見守っていたくなる。「世界観がしっかりあって、魅力的な人物がいれば、大した事件が起きなくても、その人たちを見ていたいという気持ちになれる。それが、僕が思う連ドラの一番の魅力。『舞妓さん~』では、その魅力を見せられたと思います」京都、着物、料理と、外国人が真っ先にイメージする日本的な題材を選んだのは、世界市場を見据えたからなのだろうか。「企画を渡された段階では、日本のエキゾティシズムを売りにした作品になるなら作る意味がないと思いました。でも、実際に花街を取材すると、女性たちが支え、動かしている小さな共同体が300年前から変わらない形で息づいていたことに衝撃を受けたんです。グローバル時代にあって、祇園のあの一角だけは、半径数百メートルという狭い中で、全員の顔が見える形でつながっている。そして、季節ごとに食べるものや着るもの、行く場所も細かく決まっていて、そのリズムに則って人が生きている。そのことに豊かさを感じて、ちゃんと撮ってみたいなと。また、自分が見て育ってきた『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『前略おふくろ様』といった作品も、職人の世界を舞台に、血縁を超えた共同体を描いています。そうした作品へのラブレターにもなるんじゃないかと思い、お受けしました」本作は、是枝監督がNetflixと初めてタッグを組んだことも話題だが、制作についてはこれまで通りだったと振り返る。「『世界190以上の国で同時配信の作品ということで、何か変わるのか』という質問をよく受けるんですけど、自慢でも何でもなく僕の映画も190から200くらいの国や地域で公開されているんです。だから何も変わりませんでした。海外を視野に入れてわかりやすくとか、日本人にしか伝わらないだろうからやめておこうということは、この作品でも一切やっていません」“NEXT”たちとの共同作業で刺激をもらう。本作での是枝監督の立ち位置は、自ら監督・脚本を務めながら、若手監督3人と共同作業で作り上げていくショーランナー。3人を選ぶにあたり、ワークショップを行ったそう。「役者のオーディションを兼ねて、6人に演出してもらい、それを僕が見て選びました。相当やりにくかったと思いますよ(笑)」そうして選んだ3人の魅力は?「津野愛さんと一緒に作るのは、僕が監修した『十年 Ten Years Japan』から数えて3回目です。最初から、役者に対する演出が非常に丁寧かつ繊細なのは知っていましたが、今回も俳優とちゃんと関係を作れる人だなと。日常の中に生まれる笑いを掬い上げるセンスもあるし、幅の広い演出家です。佐藤(快磨)くんは、喋ると何を言ってるのかわからないんです(笑)。でも、企画書や撮るものは抜群に面白い。8話と続く最終回という責任重大な回を任せたんですが、8話の遊びを取り入れた演出は佐藤くんの持ち味が活きていましたし、9話でドラマ全体をしっかり締める。見事でした。奥山(大史)は、僕が早稲田でやっている映像制作実習にモグリで来てた頃からの付き合い。僕がやった米津玄師さんのMVにもカメラマンとして参加してくれたんですけど、若いのに機材の知識が非常に豊富。映像的なこだわりも一番強かったですね。OPタイトルの演出を任せたんですけど、時間がかかって大変でした(笑)。でも、僕が作るよりもずっとセンス溢れるものが完成しました」若手監督に対する信頼と愛情溢れる言葉からは、次なる世代を育成しようという想いが窺える。「才能ある人は勝手に育っていきますし、僕が育てるだなんておこがましいです。ただ、共同作業をするのは、そういう気持ちが半分はあります。もう半分は、若い優れた作り手との共同作業が自分にとってプラスになるから。毎回、いい刺激がもらえるんですよね」是枝監督から見て、日本の映像界では新しい才能がどんどん芽吹いているのだ。「ただ、彼ら彼女らの才能に見合った制作ができているかといえば、そうではないような気がします。まず、資金が全然足りません。日本は、国内マーケットがそこそこ充実しているので、海外に行かなくてもいいよねという発想でこの30年きてしまいました。国内マーケットでの興行収入は上限が見え、そこから逆算して制作費が決められます。もう少し海外を視野にしたマーケット戦略ができると、単純に予算が増えるんですけどね。それと人材不足はどの組も危機感を持っています。僕らの世代は、賃金が低くても、寝られずとも、好きだから我慢する時代でした。でも、今はもうそういった価値観は通用しません。新しい世代が働きたいと思える魅力的な世界に変わることができたなら、日本の映像界は再生すると信じています。才能ある人はたくさんいますから」Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』舞妓になりたくて、青森から京都にやってきたキヨ(森七菜)とすみれ(出口夏希)。二人と舞妓たちとの温かな交流を、季節の移ろいとともに描く。フードスタイリストの飯島奈美によるおいしそうなまかない料理も魅力。’23 年1月12日よりNetflixにて全世界配信。©小山愛子・小学館/STORY inc.これえだ・ひろかず1962年6月6日生まれ、東京都出身。2018年、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。2022年、初となる韓国映画『ベイビー・ブローカー』が公開された。シャツブルゾン¥37,400(WEWILL/WEWILL Co.,Ltd TEL:03・6264・4445)シャツ¥30,800(YANTORinfo@yantor.jp)※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・Nae.Jayスタイリスト・DAN(kelemmi)ヘア&メイク・中山芽美(e‐mu)取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年01月01日是枝裕和総合演出によるNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」より本予告が解禁された。小山愛子による大人気コミックを原作に、是枝裕和監督が総合演出を務めドラマ化した本作。各エピソード監督・脚本を、是枝監督のほかに、津野愛(『十年 Ten Years Japan』)、奥山大史(『僕はイエス様が嫌い』)、佐藤快磨(『泣く子はいねぇが』)の次世代を担う注目監督が担当する。この度解禁となった本予告は、祇園の舞妓さんになることを夢見て、故郷の青森を離れ、京都へやってきたキヨと親友のすみれの希望に満ちたシーンからスタート。そして2人は舞妓さんたちが共同で生活する屋形に住み込み、舞などの稽古に励んでいく。すみれのように器用にこなせないキヨは、屋形の女将さんである梓から「あんたには舞妓ちゃんは向いてへんと思うわ」と言われ舞妓の夢を諦めてしまう。その選択にすみれも涙するなど、2人の葛藤が切り取られている。ある日、みんなのために作った親子丼が評判となり、屋形の毎日のごはんを用意する「まかないさん」として働くことになるキヨ。シチューに天ぷら、パンプディング、なべっこ団子(おしるこ)など、キヨの作る料理の数々がそれぞれの生活とともに鮮やかに映し出されていく。そんな中で、すみれから「キヨちゃんは後悔してない? ここに来たこと」と聞かれたキヨは、「私ね、はじめから“まかないさん”になるためにここに来た気がする」と答える。互いに目で通じ合う2人の笑顔で締めくくられる、何気ない日常の愛おしさがたくさん詰まった、温かく優しい時間を感じる予告編となっている。さらに同時解禁となったキーアートは、屋形の皆が勢ぞろいし微笑む「まかないさん」と「舞妓」の美味しく、美しい日々が伝わってくる1枚となっている。また本作のオリジナル・サウンドトラックの発売も決定している。Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」は2023年1月12日(木)より全世界独占配信(全9話)。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2022年12月05日映画『怪物』が、2023年6月2日(金)に公開される。監督は是枝裕和、脚本は坂元裕二が担当。“2人の子供たち”が紡ぐストーリー映画『怪物』は、『万引き家族』の是枝裕和が監督、『花束みたいな恋をした』の坂元裕二が脚本を手掛けるオリジナル作品だ。物語の舞台となるのは、大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、無邪気な子供たちと、人々が平穏な日常を送る中、ある日学校でケンカが起きた。よくある子供同士のケンカかと思いきや、彼らの食い違う主張が大人や社会、メディアを巻き込む大事になっていく。そして嵐の朝、子供たちが姿を消す。登場人物それぞれの視線を通した“怪物”探しの結末とは?是枝裕和×坂元裕二が初タッグ監督の是枝裕和は、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞、『万引き家族』で最高賞パルムドールに輝いた人物。『ベイビー・ブローカー』でも、カンヌ国際映画祭 エキュメニカル審査員賞を受賞、主演ソン・ガンホは韓国人俳優として初となる最優秀男優賞を獲得し、話題を集めた。2019年公開の『真実』ではフランス、2022年の『ベイビー・ブローカー』では韓国と、世界のフィルムメーカーとタッグを組んできた是枝裕和が、ひさしぶりに日本での映画制作に挑む。脚本を務めるのは、「Mother」「最高の離婚」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」「初恋の悪魔」といった人気ドラマを世に送り出し、映画『花束みたいな恋をした』でもヒットを飛ばした脚本家・坂元裕二。「カルテット」では芸術選奨文部科学大臣賞、「大豆田とわ子と三人の元夫」では文化庁芸術祭賞優秀賞に輝くなど、華々しい受賞歴を持つ。是枝裕和は、かねてより坂元裕二とのコラボレーションを熱望。坂元も、是枝の存在を憧れであり、嫉妬めいた思いの対象だったと明かしている。なお、企画・プロデュースは川村元気と山田兼司が務める。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞尚、映画『怪物』は、第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、脚本を担当した坂元裕二が脚本賞を受賞した。「クィア・パルム賞」と合わせ2冠を獲得したこととなる。なお、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門選出は、是枝裕和にとって『ベイビー・ブローカー』以来2年連続、7回目の選出となる。安藤サクラや永山瑛太が出演キャストは、是枝監督曰く“『万引き家族』とはまた全く違う凄みのある役”を演じるという安藤サクラや、“坂元裕二が当て書きした役”を演じるという永山瑛太など。また、2人の少年を黒川想矢、柊木陽太が演じる他、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子らも名を連ねる。麦野早織…安藤サクラ息子・湊を愛するシングルマザー。息子が担任教師の保利から暴力を受けていることを疑い、学校へ説明を求めに行く。麦野湊…黒川想矢早織の息子。小学5年生。道中に咲いている花の名前を唱えながら歩く依里に「お母さんが、男の子は花の名前知らない方がモテるって」と言い放つ。星川依里(より)…柊木陽太湊の同級生。トンネルの手前で思わず立ち止まる湊に向かって、余裕そうにうなり笛を鳴らしながら「暗いの怖がる男はモテないよ」と言う。暗いトンネルを抜けた先で見つけた廃車となった電車の車両は、湊と依里の秘密基地に。保利(ほり)…永山瑛太湊、依里の担任教師。早織が学校へ説明を求めに来た際、釈然としない態度で謝罪を述べるシーンも。広奈…高畑充希保利の恋人。正田…角田晃広湊、依里が通う小学校の教頭。星川清高…中村獅童依里の父でシングルファーザー。伏見…田中裕子小学校の校長。音楽は坂本龍一映画『怪物』の音楽を担当するのは、坂本龍一。『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞し、『レヴェナント:蘇えりし者』や『怒り』などにも楽曲を提供してきた坂本龍一が、どのような音楽を書き下ろすのか注目だ。<坂本龍一 コメント全文>「怪物」怪物と言われると誰が怪物なんだと探し回ってしまうんだが、それはうまくいかない。誰が怪物かというのはとても難しい問いで、その難しい問いをこの映画は投げかけている。さて、その難解なテーマの映画にどんな音楽をつければいいのだろう。救いは子供たちの生の気持ち。それに導かれて指がピアノの上を動いた。正解はない。今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲2曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった。【作品詳細】映画『怪物』公開日:2023年6月2日(金) 全国ロードショー監督・編集:是枝裕和脚本:坂元裕二出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子音楽:坂本龍一企画・プロデュース:川村元気、山田兼司
2022年11月21日