阪神電気鉄道と阪急電鉄は10月1日から、阪神百貨店梅田本店が入居する大阪神ビルディングと隣接する新阪急ビルを建て替える「梅田1丁目1番地計画」を事業着手する。1期工事として、新阪急ビル解体工事から開始する。同計画は、2つのビルを取り壊し、新たに「梅田1丁目1番地計画ビル」(仮称)を建設するというもの。現在の両ビル間の道路上空を活用してつなぎ、38階建て(約190m)の一体化した複合ビルとする。地下2階から地上9階には、阪神百貨店が現在と同程度の広さで入居予定。11~38階はオフィスゾーンで、11階には約4,000平方メートルのカンファレンスゾーンを設け、ビジネス情報発信や人材交流の場として活用するするほか、災害時には帰宅困難者の一時滞留スペースとして開放する。低層階の屋上部分には屋上広場を整備。屋上緑化などを行い、オフィスゾーンで働く人や百貨店を訪れる人などに向けて開放する。地上10階は機械室として使用する。10月の新阪急ビル解体工事に続き、2015年春には大阪神ビルディング東側解体工事、秋には1期部分新築工事にそれぞれ着手。2018年春頃には1期竣工を迎え、百貨店を部分開業。続いて着手する2期工事では大阪神ビルディング西側の解体工事(2018年春~)と新ビル2期部分新築工事(2019年春~)を実施する。2021年秋頃には2期工事を完了し、百貨店を全面開業する。全体の竣工とオフィス部分の開業は2022年春頃の予定。
2014年09月27日8月28日、大阪・梅田のファッションビル「ルクア」がリニューアルオープンした。今回のリニューアルでは58店を改装。全国初の新規出店は「フクスケ」「221リステア」「ルリア4C」「ロデスコアーバンリサーチ」「スリーピー・スリーピー」「ビバ!チチカカ」と惣菜・食品の「ブーズキッチン」の7店舗。その他、「ミラオーウェン」や「スポーツラボBYアトモス」「ムーミンショップ」など17の西日本初出店があった。今回の改装では、2階から4階に移転したラメールがライセンス生産するウィメンズブランド「ランバン オン ブルー」が4つの限定商品を販売するとともに、28日・29日の両日限定で商品購入者に「マグノリアベーカリー」のクッキーがプレゼントされた。「マグノリアベーカリー」はニューヨーク発の人気カップケーキ店で、人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』をはじめ、『プラダを着た悪魔』、『サタデー・ナイト・ライブ』、『ゴシップガール』などの人気テレビ番組や映画に登場しており、今年6月に東京・表参道に初上陸したばかりで関西には未上陸。今回のようなアパレルとのコラボレーションも、店外へのケータリングも初めての試みとなる。もちろん関西では初登場だ。ランバン オン ブルーの限定品として販売されている4品は、半袖裏毛スエット、バルーンスカート、キャンバストートバッグ、裏毛ブルゾン。半袖裏毛は胸に大きなグログランのリボンが縫いこまれており、価格は1万4,000円となる。裏毛ブルゾンは1万6,000円、バルーンスカートは1万7,000円、キャンバストートバッグは大が1万円、小が7,000円。また3万円以上を購入した客にはキャンバス製のミニポーチがプレゼントされる。
2014年08月30日ワーキングユニット・ジャパンは、同社取り扱いブランド「モレスキン」のオフィシャルショップ「Moleskine アトリエ」の新店舗を梅田ロフト内にオープンする。オープン日は11月20日。「Moleskineアトリエ」は、定番のノートブックコレクション、ダイアリーコレクションから、モレスキンブランドのライティング(筆記具)、トラベリング(バッグなど)のコレクションまで取りそろえるモレスキンのオフィシャルショップ。アトリエ限定商品、先行販売など、オフィシャルショップならではの商品展開も行っている。このたびオープンする梅田ロフト内「Mokeskine アトリエ」は、国内では8店舗目、関西エリアでは2店舗目となる。オープン当日には、アトリエ・一部店舗のみで販売する11月発売の限定版ノートブック3種(ミニーマウスノートブック/スターウォーズノートブック/ホビットノートブック)が陳列され、手にとって確かめたのちに購入可能となっているということだ。
2013年11月13日パルコは、名古屋PARCOで開催された展覧会「EVANGELOIN100.0」が、渋谷(渋谷パルコパルコミュージアム)、梅田(梅田ロフトロフトフォーラム)に巡回することを発表した。同展覧会はEVANGELIONが過去に行ってきた数々のコラボレーションの中から、ヱヴァンゲリヲン新劇場版公式プロジェクト・RADIO EVAの目線で選んだ100のカテゴリーより、約2,000点を展示する展覧会。全ての展示に当時の背景や物語が書かれ、EVANGELIONが社会に発信してきたメッセージを集約して、新たな解釈を試みるという。展覧会に併設されたショップでは、限定商品、先行発売商品をはじめEVANGELION関連商品を最大級の品ぞろえで販売する。さらに購入3,000円ごとに1枚、非売品のオリジナルカード(全13種)をプレゼントする。同展覧会は渋谷会場(パルコミュージアム渋谷パルコパート1・3F)で、2013年1月11日~1月21日に開催。時間は10時~21時。入場料は一般500円・学生400円。小学生以下無料。大阪会場(ロフトフォーラム梅田ロフト7F)は、12月28日~2013年1月7日に開催。時間は10時30分~21時。12月31日~1月3日は20時まで(元旦も営業)。入場料は一般500円・学生400円。小学生以下無料。両会場とも、ショップゾーンのみの利用は入場無料。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月11日三井住友銀行は22日、「梅田地区での拠点強化」の一環として、29日に「梅田支店」を増床の上、リニューアルオープンすると発表した。現在「梅田支店」は1階を増床の上、リニューアル工事を行っている。リニューアル後は、新しいデザイン、レイアウトとなり、これまで以上に落ち着いた雰囲気で使うことができるロロビー空間、じっくり相談できる個室型のコンサルティングブースや応接室などを用意し、顧客の資産運用やローンに関する相談などのニーズに対して、質の高いコンサルティングサービスを提供していく。あわせて、「梅田北口出張所(梅田外貨両替コーナー、ATMコーナー)」についても、外貨両替コーナーの窓口及びATMの増設を行い、顧客の利便性をはかっていく。なお、梅田北口出張所に隣接するスペースには、SMBCコンシューマファイナンス(ブランド名:プロミス)の顧客サービスプラザ(有人店舗)がオープンする予定。また、梅田支店のリニューアルオープンに先立ち、8月20日には支店から約50m北側、同ビル1階の阪急梅田駅、JT大阪駅、大阪市営地下鉄・梅田駅、東梅田駅、阪神・梅田駅などを結ぶ、西日本有数の通行量があるコンコースの結節点に、新たに「ATMコーナー(阪急グランドビル出張所)」をオープンしている。同ATMコーナーでは、梅田支店のリニューアルオープンにあわせて、コンコース側の大型のガラス面に映像を投影し、同行で取り扱っている金融商品やキャンペーンの情報などを紹介していく。加えて、店内には簡単に資料の請求ができることが可能なタッチパネル式の情報端末を設置する。2011年11月には、梅田地区に分散していた、法人の顧客向けの営業拠点・専用窓口、住宅ローンやアパートローンの資金ニーズに応える拠点などを、梅田支店近くの「梅田阪急ビルオフィスタワー」へ集約を行っており、これら一連の「梅田地区での拠点強化」により、顧客の幅広いニーズに応え、より一層充実したサービスを提供していくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月25日京都発のジュエラー「NIWAKA」は、大阪エリアのフラッグシップストアとなる、「俄 梅田ハービスENT店」を、2012年9月にグランドオープンする。ラグジュアリーブランドが軒を揃える大阪最大級のブランドビル「ハービスPLAZA ENT」の2階に、大阪梅田エリア初となる、俄の直営店が9月よりオープンする。ブランドカラーである紫の格子が象徴的なファサードや、麻の葉文様をデザインに取り入れた開放感のあるエントランスが際立つショップスペースには、ハイジュエリーやファッションジュエリー約200点、ブライダルジュエリー約300点を取り揃えており、落ち着いた空間の中に輝きをちりばめた世界観を楽しむことが出来る。日本や京都の伝統的な美意識を洗練させ、世界に向けて発信する「NIWAKA」は、洗練されたデザインと最上のクオリティを提供している。【俄 梅田ハービスENT店】住所:大阪市北区梅田2-2-22ハービスプラザエント 2F電話番号:06-6456-4767元の記事を読む
2012年08月24日大阪・梅田のショッピングモール「EST(エスト)」は28日よりサマーバーゲンを開催する。それにともない、写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」と連動するショッピングモール業界初のバーゲン告知を開始している。流行の移り変わりが早いファッション業界において、最新のトレンドを取り入れたスタイルが求められている昨今、その動向をいち早くキャッチし、バーゲン告知においてもより身近で親近感のわく取組みとして、写真共有アプリを使っての展開を実施することに。今回の告知では、スマートフォン向け無料写真共有サービス「Instagram」で撮影したビジュアルを、交通媒体とデジタルメディアに掲出する。バーゲン期間中、館内で撮影した写真を即時にインターネットを介して、館内デジタルサイネージやウェブサイトに表示させることを通じて、「エスト」のコンセプトである「最新がいつもそこにある」体験を提供する。このキャンペーンビジュアルは7月初旬まで、JR西日本、阪急、大阪市営地下鉄(いずれも電車 中吊り)、阪急梅田駅ポスターとJR大阪駅デジタルサイネージなどに掲示される。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月28日大丸梅田店は25日より、オメガのダイバーズウオッチ「シーマスター」のコレクションを展示するフェアを開催する。同店のグランドオープン1周年大誕生祭にあわせて実施するもので、限定モデルやオリンピックモデルなどのユニークなアイテムが登場する。軍用の防水時計をルーツとする「シーマスター」は、これまで数多くの深海探査に採用され、精度と耐久性を実証してきた本格ダイバーズウォッチ。今回の「オメガ シーマスターフェア」では、現在のシーマスターシリーズを代表する「プラネットオーシャン」をはじめ、充実のコレクションを一堂に展示。ジェームズ・ボンドの映画誕生50周年を記念した「シーマスター プロダイバーズ300M ボンド50周年記念限定」や、ロンドンオリンピックの公式計時を担うオメガならではの「アクアテラ オリンピックモデル」など、ユニークなアイテムの数々を見ることができる。フェア開催期間は5月15日まで。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月26日主人公の少年・ヨシオと、彼にしか見ることが出来ない不思議な存在“いけちゃん”の交流を通じて、どこか寂しさや儚さを散りばめつつ少年の成長を綴った感動作『いけちゃんとぼく』が公開を迎えた。原作となった漫画家・西原理恵子の手による絵本は、絵本という枠を飛び出して、出版当時から多くの人々に絶賛されてきた。作家の角田光代さんもそんなファンの一人。作家の方に「いけちゃんとぼく」を語ってもらう特別企画「いけちゃんと恋愛小説家」もいよいよ最終回。角田さんにその魅力をうかがった。まず、角田さんにとって“いけちゃん”とはどういう存在なのだろうか?そして作品を多くの人が愛してやまない理由はどこにあるのか聞いてみた。「自分が子どものとき、愛されている実感というのはあんまりないと思うんです。『大事にされなかった』と思いこんでいる人も多いと思うし、『私はすごく大事にされ、愛されて育った』と言っている人ですら、両親もしくは周囲の大人たちが、どんなふうに自分を大事にし、愛したのかはわからないはずなんです。それが、いけちゃんの言葉、視線に触れることで『あっ!』と思い出す、というか、気づく瞬間がある。あ、こんなふうに見守られていたんだな、と。だれにも何にも傷つけられることがないようにと願われていた繭のなかの世界を、そういうもののなかにたしかにいたということを、思い出すんだと思います」。角田さんは「その幸福で美しい繭の世界を、でも私たちはいつしか出なくてはならない」と少年の成長に言及しつつ、さらに物語が持つ魅力をこう表現する。「この作品のすごいところは、出ていく側の孤独も、見送る側のさみしさも、読み手は両方わかってしまう、ということなんだと思います。そうしてこの作品のなかでは、それは親と子の関係を超えて、男女の愛情というものにも共通している。出会って、恋をして、相手の幸福を願い、でもまたいつか、別れていく。男と女、親と子、恋人、夫婦…だれしもが自由に入れる扉が、この作品にはいくつもあって、だからだれしもすっと入って、そこにある美しいものと、ひりつくような孤独を見て、泣いちゃうのではないでしょうか」。角田さん自身、かつては「自分はあまり親に大事にされていない子供だと信じていた」とか…。「もともと暗い性格なので、子どものころ、孤独感というものがすごく強かったので。でも子どものころに書いた作文を読み返すと、やっぱりいかに幸福な繭の世界に住んでいたかと思わされるわけです。もう父も母も、おばも亡くなり、私の子ども時代を知る人はいないのですが、『いけちゃん』を(原作でも映画でも)読んだり観たりすると、その幸福に触れられるように思うんです」。そして、この物語から思い起こされる、自らの少女時代のこんなエピソードを明かしてくれた。「私は家からバスと徒歩で一時間かかる小学校に通っていたのですが、入学して数か月は、仕事を休めない母親に頼まれて、無事に学校にいけるか、また帰ってこられるか、変装しておばがあとをつけていたそうです(変装していたのは私が見つけるとおばにたよるようになってしまうため、だそうです)。私はそのことを三十歳近くなるまでずーっと知らなかったんです」。映画を、角田さんは“いけちゃん”の視点で追っていったという。「私には子どもはいませんが、子どもがおっきくなっていってしまうときの親の孤独というものがわかった気がしました。あとは、やっぱり好きな男の人が子どものころに抱えていたはずの、孤独や根拠のないかなしみを思って、『だいじょうぶ』と言いにいきたくなる気持ちとか、至極よくわかりました」。また原作には描かれない、子どもの成長をそっと見守る“母”の姿も心に残ったようだ。「おかあさんがいけちゃんに『ありがとう』と言うところがすごく、すごく好きでした。子どもの孤独に寄り添うのは、いつだって親ではない。どんなに愛情あふれる両親だって、どうしても入りこめない子どもの領分がある。そのとき子どもは何に救われているのか。そのことを、ああ、おかあさん、わかってくれていたんだな、わかってくれているのがおかあさんだよな、と思って、泣いてしまいました」。最後に、『いけちゃんとぼく』の持つラブストーリーとしての側面について尋ねた。「原作でも、映画でも、いけちゃんは子どものヨシオに、世界はすごくいいところだしきみはそんな世界にちゃんと迎えられる、ということと、でも理不尽なことだってたくさんあるんだということを伝えます。それは一見、母親の役割のようですが、でも、もし自分が子ども時代の彼に会えたら、いちばん伝えたいこと、やりたいことって、そんなふうに彼の孤独に寄り添うことかもしれないと、気づかされました。恋愛しても、結婚しても、相手はどうしたって他人で、自分とは異なる世界を持った一個人なわけで、だからこそ人と関わることはゆたかでもあり、かつさみしさも連れてくるのですが、そのことが原作にも映画にも、とてもよく描かれていると思います。ここに描かれた愛情というのは、母とか恋人とかの分類なしに、すごくすごくでっかいもんだと思います」。角田光代(かくたみつよ)1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、「キッドナップ・ツアー」で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、05年「対岸の彼女」で直木賞を受賞。著書は「恋愛旅人」、「エコノミカル・パレス」、「空中庭園」、「愛がなんだ」など多数。特別連載「いけちゃんと恋愛小説家」・vol.1 小川洋子・vol.2 梅田みか『いけちゃんとぼく』蒼井優インタビュー『いけちゃんとぼく』ともさかりえインタビュー 西原理恵子、角川書店、 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連作品:いけちゃんとぼく 2009年6月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連記事:悩める母・ともさかりえいまでもいけちゃんが見える?「逃走癖があるので(笑)」いけちゃんと恋愛小説家 vol.2 梅田みか少年と少女、男と女それぞれの思いいけちゃんと恋愛小説家 vol.1 小川洋子寂しさと共に息子の成長を見つめる母「胸が苦しくなった」 蒼井優が明かす“いけちゃん”と“ぼく”をつなぐ心の会話
2009年06月22日彼女の視点で物語を見つめる人も多いのではないだろうか?『いけちゃんとぼく』に登場する主人公の少年・ヨシオの母親・美津子は、決して“完璧な”母親ではない。育児を放棄しているわけでも、酒を飲んで息子を困らせるわけでもないのだが、自分の中にある愛を子供にどう伝えればいいか分からずに戸惑う。これまで、映画などであまり描かれてこなかったタイプの母親像のように見えるが、案外、世の多くの母親が抱いている思いを代弁しているのかも…。演じるのは、自らも4歳の息子さんを子育て中で、その様子を綴ったブログが高い人気を誇る、ともさかりえ。映画の公開を前にともさかさんが映画に込めた思いを語ってくれた。「嵐がかわいくてしょうがなくて、歩み寄りたくなるのを我慢しました」ヨシオにしか見ることができない“いけちゃん”という不思議な存在を挟んで、少し離れたところからヨシオを見守る母・美津子。母と子の微妙な距離感について、ともさかさんはこう語る。「お父さんの死で家族の均衡が崩れ変化する中で、どうやったら母と子の関係にリアリティを感じさせることができるか?ということは考えました。ただ、今回の役は初めての関西弁の役で、そっちの方に意識が行ってまして…(苦笑)。そのことである意味、親子の部分に入れ込み過ぎずに、客観的な感覚で臨むことが出来て良かったのかな、とも思います。ヨシオ役の(深澤)嵐がすごくかわいくてしょうがなくて、つい、あっさりと歩み寄ってあげたくなるんですけど、そこは一歩我慢して。正直、つらかったですね。すぐにでも助けてあげたいって甘ったれたことを考えてました(笑)」。ともさかさん自身、母親役を演じるのはこれが初めてではない。演じる上で、自らの子育てや子供との関係、接し方などを反映させることは?という質問には「そこは気をつけて、(実生活と)リンクしないように意識しています」という答えが。「避けようとしても無意識に出てしまう部分はあるし、それが良いときも悪いときもあるとは思いますが…」。では演じ終えたいま、改めて美津子とヨシオの関係について、ともさかさん自身の子育ての経験などを踏まえてふり返ってもらった。「子供への接し方は全然違いますよ。でも子供を持つ母親は、みんなどこかで自分の中の理想と現実が頭の中をグルグルと巡って…という経験はしたことがあると思います」。「嵐の背中を見て『うちの子もこうやって大人になるのかな?』と思いました」ヨシオの成長に対して、美津子は誇らしさと共に、一抹の寂しさを覚えているようだが、こうした部分に母親として共感は?「息子が幼稚園に通うようになって、私が教えていない、どこで覚えてきたんだ?っていう言葉を話すようになって(笑)、『たくましいな』と微笑ましく思う反面、寂しさを感じることはありますね。今回は特に、ロケ現場で嵐の背中を見つつ『うちの子もこんな風に傷ついたりしながら大人になっていくのかな』というセンチな気持ちになりましたね」。完成した映画について「根がひねくれ者なので、普段はあまり感動を表に出さないのですが、今回は素直に心に響いた」と語るともさかさん。やはり、美津子の視点で物語を追っていたのかと思いきや…「私は、いけちゃん目線でした。好きな人の子供の頃、知り合う前の姿を見てみたいっていう気持ちにすごく共感できるからじゃないでしょうか。私が観た試写会は、スーツ姿の男性の方が多かったんですが、肩を震わせて泣いてらっしゃる方が大勢いて、ちょっとキュンとしちゃいましたね(笑)。きっと、男性は私とは違ったところで、いろいろと感じるものがあるのかもしれないですね」。最後に、ともさかさんにも子供の頃、“いけちゃん”のような存在が見えたか?と聞いてみると、笑顔でこんな答えが。「いまでもそうなんじゃないですかね、逃避癖があるので。いまだに勝手に一人で喋ったりしてます、人前では言えませんが…。いま、息子を見てると見えないものと喋ったり、遊んだり闘ったりしてるんですよ!きっと何かが見えてるんでしょうね。大人になってもずっと覚えていられたらいいんですけど…それが出来ないから、私がこうやって覚えていてあげるしかないんですね(笑)」。インタビュー中、「男の子の母親って面白いですよ。理解できないところも含めて」とニッコリと姿を見て、彼女が多くの女性に支持される理由が少し分かったような気がした。特別連載「いけちゃんと恋愛小説家」・vol.1 小川洋子・vol.2 梅田みか・vol.3 角田光代 coming 6/22『いけちゃんとぼく』蒼井優インタビュー■関連作品:いけちゃんとぼく 2009年6月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連記事:いけちゃんと恋愛小説家 vol.2 梅田みか少年と少女、男と女それぞれの思いいけちゃんと恋愛小説家 vol.1 小川洋子寂しさと共に息子の成長を見つめる母「胸が苦しくなった」 蒼井優が明かす“いけちゃん”と“ぼく”をつなぐ心の会話
2009年06月19日今年、デビュー20周年を迎えた漫画家・西原理恵子。彼女の手による絵本で、文芸界を始め各界の著名人の中にも多くのファンを持つ感動作「いけちゃんとぼく」(角川書店刊)がこのたび実写映画化された。少年時代への郷愁、家族、そして最愛のひとへの想いと様々な感情を描き出す本作。小説家の方々に、その魅力を語ってもらう特別連載企画の第2弾には、エッセイ『愛人の掟』シリーズ(角川文庫刊)のほか、「お水の花道」、「よい子の味方」などのドラマの脚本も手がける梅田みかさんが登場。梅田さんの目にいけちゃんや主人公のヨシオ、そして彼らを取り巻く物語はどのように映ったのだろうか?自らの子供時代を重ね合わせながら、映画について、そして“いけちゃん”という存在について、こう語ってくれた。「(映画を観て)子供の頃の懐かしい記憶が蘇ってきましたね。毎日の中に小さな冒険があって…。ヨシオのそばにいけちゃんがいるように、そのときのことを思い出してみると、一人だったはずなのに、なぜか“誰か”がそばにいて、話しかけていたような、そんな気がするんです」。その一方で、“少年”と“少女”の違いについてもこう言及する。「男の人はいつまで経っても少年っぽくて、子供が真っ直ぐそのまま大きくなったようなところがありますよね。でも女の子は、いろんな現実が押し寄せてきて、そのままではいられない、どこかで“大人”にならなくてはいけないんですね。少年が体験するものとは別の、ある種の“残酷さ”の中で生きているような…。私の娘が11歳なんですが、いま、娘を通してもう一回、子供時代を追体験しているような感覚ですよ。いろんな人間関係や感情があって『もう嫌だ、聞きたくない!』って思いつつ(笑)」。梅田さんは、TVドラマ「よい子の味方」、「あした天気になあれ。」など子供たちを描いた作品を世に送り出しているが、そこには母親たちへのメッセージが込められているという。映画もまた、原作では描かれない、ヨシオの母親・美津子(ともさかりえ)の視点から、母の複雑な感情を映し出している。「子育てって幸せで、楽しいこともたくさんあるんですが、やっぱりすごく大変。自分よりも大切な存在が出来たということへの責任、それを失うことへの不安、恐怖がのしかかってきます。映画の中のヨシオのお母さんも、夫を亡くして、がんばらなくちゃと一人で背負ってしまう。子供はかわいいし、意地もあるし…。私自身、シングルマザーなので、このお母さんの気持ちはすごくよく分かります。でもその結果、余裕がなくて子供の前で笑わなくなってしまう。でもそこで少し心を開けば、周りに助けてくれる人は必ずいるんです。映画の終盤で、美津子が空に向かって笑いかけるシーンはすごく印象的です。絶対に出口があるってことを教えてくれます」。さらに、梅田さんはこの映画が持つ“壮大なラブストーリー”としての側面について、男女の恋愛観の違いを踏まえつつ、こう語る。「男の人は、女性の最初の恋人になりたくて、女は、愛する男の最後の恋人になりたいものなんです。そういう意味で、人間だった頃のいけちゃんは、すごく短かったかもしれないけど、幸せな恋をしたんだろうな、と。愛する人の過去、自分と出会う前の姿を見たいっていうのは、多くの人が願うことですよね。そういう意味で、すごく普遍的な愛、願望を描き出していると思います。うちの娘も言うんです、『将来付き合うことになる“運命の人”と実はもうどこかで出会っているのかな?』って」。梅田みか(うめだ みか)東京にて、作家・故梅田晴夫の長女として生まれる。慶應義塾大学文学部卒業後、執筆活動に入る。現在は、エッセイ、小説、脚本など、幅広い分野で活躍中。「anan」などの人気雑誌にも数多く登場し、若い女性たちの“恋愛のカリスマ”として絶大な人気を博している。著書に、小説『書店員の恋』『年下恋愛』(マガジンハウス刊)、『別れの十二か月』『愛された娘』、エッセイ『愛人の掟』シリーズ、『思いどおりの恋をする80の方法』(いずれも角川文庫刊)、他多数。テレビドラマの脚本に「お水の花道」「よい子の味方」「あした天気になあれ。」「CAとお呼びっ!」等がある。特別連載「いけちゃんと恋愛小説家」・vol.1 小川洋子・vol.3 角田光代 coming 6/22『いけちゃんとぼく』蒼井優インタビュー 西原理恵子、角川書店、 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連作品:いけちゃんとぼく 2009年6月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連記事:悩める母・ともさかりえいまでもいけちゃんが見える?「逃走癖があるので(笑)」いけちゃんと恋愛小説家 vol.1 小川洋子寂しさと共に息子の成長を見つめる母「胸が苦しくなった」 蒼井優が明かす“いけちゃん”と“ぼく”をつなぐ心の会話
2009年06月19日シンプルで力強く、思わずクスリと微笑んでしまうような画風と、強烈な笑いと優しさ、そして人生の哀しさを織り交ぜた叙情的な物語で唯一無二の世界を構築する漫画家・西原理恵子。彼女が初めて手がけた絵本「いけちゃんとぼく」がこのたび実写映画化された。これを記念し、原作絵本の大ファンである小説家の方々にその魅力を語ってもらう特別インタビュー企画を3回にわたりお届け!第1回目に登場するのは「博士の愛した数式」、「ミーナの行進」など、その美しく繊細に紡がれる物語が多くの読者を魅了する小川洋子さん。海辺の街に暮らす少年・ヨシオと、いつも彼に優しく寄り添う不思議ないきもの“いけちゃん”の交流を通して、少年が少しずつ大人へと成長していく姿が綴られる本作。小川さんにまず、映画を観ての感想を尋ねると「原作に忠実で、絵本と映画、その境界線を感じることなくすんなりと物語に入っていくことが出来ました」という答えが返ってきた。「実際に動いているいけちゃんにも、全く違和感を感じなかったです。映画ならではの魅力として感じたのは、原作では描かれていない親子の関係、特に父親が戦艦・長戸が大好きで、その魅力を息子に語って聞かせる姿は父と息子の繋がりが描かれていていいな、と思いました」。子供たちが生きる世界も決して楽しいことばかりではない。時に過酷すぎる運命が少年を襲うが、ヨシオはたくましく成長を遂げていく。子供時代の記憶、家族の絆、愛する人を思う気持ち――映画を観ると、心の奥の様々な感情を刺激されずにはいられない。小川さんの心にあふれたのは“母”としての感情だった。「私も一人息子がいまして。もしかしたらうちの息子もいけちゃんのような存在を持っていたのかもしれないな、と思いましたね。映画の中でヨシオが成長して、大学に進学するシーンがありますが、ちょうどうちの息子と同じ年の頃なんです。あの子もこうやって子供時代を終えて、大人になっていくのかな…と」。夫亡き後、女手一つでヨシオを育てる母親(ともさかりえ)は、ヨシオの成長に励まされつつも、どこか寂しさをも感じさせる。見えないはずのいけちゃんの存在を感じ、語りかけるシーンは母の内なる感情を優しく浮かび上がらせる。そんな母の心情を小川さんはこう代弁する。「案外、母親のできる役割なんて少ないんですよね。子供は、母親が見てやれない部分をいけちゃんのような存在に救われてるのかもしれない。本当は、母親にもいけちゃんが必要なんです(苦笑)。でも、大人になってしまった母親にはもういけちゃんは見えない。そんな母親の寂しさや、ある種の無力感を感じさせられました」。力強さにあふれた西原ワールドと、小川さんの作品群の中で展開される静謐な世界観。一見、対照的に見えるが、日常のある瞬間にスッと差し込まれる残酷さや生と死、喪失といった描写にはどこか共通する部分も感じられるが…。「私には、“いけちゃん”は見えなかったんですよ。やはり、どこかで女の子の方が男の子よりも現実的な世界を見て生きているのかもしれませんね。だからこそ、私は“物語”を描くときに少年を選んでしまうんですね(笑)。生きている者と死んでいる者、目に見えるものと見えないものを隔てる、ぼんやりとした境界線の上を歩いている――危うさと、どこか愛おしさを感じさせる1〜2年が少年にはあるんです。西原さんはそういう世界を描くのが、本当にうまいですよね」。そう語る小川さんの声もまた、映画の中でいけちゃんや母が感じさせるのと同じ、力強い愛にあふれていた。小川洋子1962年、岡山県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業。88年、「揚羽蝶が壊れる時」で第7回海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。2004年、「博士の愛した数式」が第55回読売文学賞、第1回本屋大賞を受賞。ほかの著書に「ミーナの行進」、「猫を抱いて象と泳ぐ」などがある。特別連載「いけちゃんと恋愛小説家」・vol.2 梅田みか coming 6/18・vol.3 角田光代 coming 6/22『いけちゃんとぼく』蒼井優インタビュー 西原理恵子、角川書店、 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連作品:いけちゃんとぼく 2009年6月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2009「いけちゃんとぼく」製作委員会■関連記事:「胸が苦しくなった」 蒼井優が明かす“いけちゃん”と“ぼく”をつなぐ心の会話
2009年06月11日