俳優の森山未來が主演を務める、7月18日スタートのWOWOWオリジナルドラマ『連続ドラマW 煙霞-Gold Rush-』(毎週土曜22:00~)のポスタービジュアルと場面写真が28日、公開された。同作は、直木賞作家・黒川博行の同名小説が原作。森山未來演じる女子高の美術講師・熊谷が、音楽教師の菜穂子(高畑充希)とともに、学園を私物化する酒井(桂文珍)に不正を突きつけようとするが、酒井は愛人とともに誘拐されてしまう。熊谷と菜穂子は訳もわからぬまま、酒井の隠し財産である巨額の金塊を奪う計画に巻き込まれ――策略に次ぐ策略で、だましだまされ、二転三転していくストーリー。見る者も煙に巻くという作品となっている。大阪を舞台に繰り広げられ、出演者も全員が関西出身。今回公開されたポスターも、「大阪を奪え。」というキャッチコピーに、ゴールドに輝く大阪の街並みが描かれ、徹底的に"大阪感"にこだわっている。このほかの出演は、中村ゆり、木下ほうか、木村祐一、尾上寛之ほか。脚本は『ごくせん』『花咲舞が黙ってない!』の江頭美智留。監督は、映画『マエストロ!』『毎日かあさん』の小林聖太郎。プロデュースは、井上衛、河添太が務める。
2015年05月28日『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる漫画家・荒木飛呂彦の短編漫画『死刑執行中脱獄進行中』が森山未來の主演で舞台化されることが決まった。荒木作品が舞台化されるのは今回が初めて。『死刑執行中脱獄進行中』は、投獄されて理不尽な扱いを受ける死刑囚が脱獄を試みる密室サスペンス。1995年「スーパージャンプ」で発表され、後に発売された短編集に表題作として収められている。初めての舞台化に荒木は「予測できない期待感と楽しみがあります」とコメント。一方主演の森山は「荒木飛呂彦さんの持つ唯一無二の様式美を、身体、テキスト、音楽、照明、映像、衣装など、現代の舞台芸術が持ち得るかぎりの要素を総動員して、演出家、ダンサーをはじめとする素敵なクリエイター達と有機的に具現化していくつもりです。この舞台が演劇なのか、ダンスパフォーマンスなのか、ジャンルレスなインスタレーションなのか。それは観劇後のあなたの選択にお委ねします」とコメントを寄せている。構成・演出・振付は演劇ユニット「冨士山アネット」の主宰・長谷川寧。11月に東京・天王洲 銀河劇場で上演された後、12月には全国でも公演。
2015年05月18日オセロケッツの森山公一が、初のソロアルバム『Record!』を6月24日(水)にリリースすることが決定した。森山公一チケット情報今作は、オセロケッツのフロントマンとして1997年にメジャーデビュー以来、キャリア18年目にして初のソロアルバム。カントリーバンドThe Ma’amでの活動やプロデュースワークなど、様々なキャリアを通過した経験値と膨大な音楽的バックグラウンドに裏打ちされたサウンドデザイン、熟成が進む歌声と深みを増すウィットに富んだメッセージに心地よく翻弄される、シンガーソングライターとしての才気と狂気を存分に堪能出来る1枚となっている。また同作は、昨年1月より特設サイトにて随時アップされてきた収録曲全曲のMVをコンパイルしたDVD付豪華2枚組仕様となっており、音のみならず映像でも、彼の楽曲のめくるめく世界観を楽しめる。リリース記念ライブも決定しており、7月3日(金)大阪・心斎橋JANUSにて、森山がソロアルバムに楽曲提供した古市コータロー(THE COLLECTORS)と、高橋優やクリープハイプのプロデュースでも知られる浅田信一(SMILE)によるユニットANALOG MONKEYS、槇原敬之や藤井フミヤなど多くのトップアーティストのマニピュレーターとして活躍し、今作のプロデュースも手掛けた毛利泰士が所属するラクライを迎え、『森山公一Solo Album『Record!』発売記念ライブ「“レコハツ” in Osaka」』が行われる。なお、同ライブのチケット一般発売に先がけ、オフィシャル先行予約()を実施。受付は4月11日(土)昼12時から26日(日)午後11時59分まで。
2015年04月10日六本木の「IMA CONCEPT STORE」で、写真展「森山大道×M×蜷川実花」が開催される。これを記念して4月20日にトークイベントも行われる。この展覧会は森山大道の『Dazai』、蜷川実花の『蜷川実花:Self-image』という、両展覧会のカタログ発刊を記念したもの。会場では写真集の素材となったイメージを元に、ブックデザインを手掛けた「マッチアンドカンパニー」の町田覚の視点から“写真集による展示”が行われる。なお、森山の『Dazai』は、中学生時代に出会った太宰治の小説をオマージュしたもの。一方、『蜷川実花:Self-image』では、活動初期から撮り続けられてきた、モノクロのセルフポートレートが収録されている。【イベント情報】森山大道×M×蜷川実花 トークイベント会場:IMA CONCEPT STORE住所:東京都港区六本木5-17-1AXISビル3階会期:4月20日時間:19:00から20:30料金:1,500円(雑誌『IMA』定期購読会員は1,200円)
2015年04月07日代官山のレンタルスペース「AL」で、吉永マサユキ、及び森山大道が手掛ける「resist写真塾」の修了生による合同写真展「ex.resist vol.3」が開催される。期間は4月25日から5月5日まで。resist写真塾は写真家の吉永マサユキ、森山大道が、社会性のある写真家の養成を目的に開校した学校。ゲスト講師による講義を頻繁に行いながら、プロの表現者としての厳しさを指導しており、その独自のスタイルは業界内でも話題となっている。出展作家の1人、川本健司は同写真塾の1期生として06年から講義に参加。今回の展示会では街で酔って寝た人々を、その状況や時代背景と共に撮影した「よっぱらい天国」が出展された。そこには路上で無防備な姿をさらす、日本ならではの平和な光景が写しだされている。一方、星玄人の「STREETPHOTOEXHIBITION1998~2014」は、歌舞伎町や大阪西成などの繁華街を写したスナップ写真。撮影は98年から現在に至るまで続いており、繁華街のネオンの下で蠢く人々の姿を切り取っている。その他、4月29日には出展作家や塾生によるトークイベントを、5月2日には川本健司と写真家の都築響一による対談を開催。26日には吉永マサユキと映画監督の山本政志によるトークイベントも行われ、写真塾の活動を伺うことが出来る。【イベント情報】『ex.resist vol.3』 川本健司 / 星玄人 写真展会場:AL 1階 main space住所:東京都渋谷区恵比寿南3-7-17-1階会期:4月25日から5月5日時間:12:00から19:00(初日は17:00から、最終日は17:00まで)会期中無休入場無料
2015年03月31日2013年10月から文化庁より文化交流使に任命され、海外での1年間のダンス修行で話題を集める俳優・森山未來。このほど、サントリービールの新ジャンル「金麦クリアラベル」がリニューアルされることとなり、その新イメージキャラクターに森山さんが抜擢されたことが明らかとなった。森山さんはリニューアルに合わせて2月17日(火)より放送される、新CMにも出演する。同CMには森山さんに加え、月9ドラマ「HERO」の「あるよ…」のフレーズが印象的なマスター役で知られる田中要次、お笑いコンビ「TKO」の木下隆行、タレントのホラン千秋も出演。「商店街」篇、「おいしいのどごしの唄」篇の2種類が制作されるとのことだ。活気ある昔ながらの商店街を舞台に、「おいしいのどごし、はじまる。」をテーマとした、 “のどごしのおいしさ”をダイレクトに伝えるもの。CMソングにアメリカ西部開拓時代発祥の歌曲「いとしのクレメンタイン(Oh My Darling Clementine)」を起用し、森山さんらキャストたちが軽快なメロディーに合わせて歌い上げるのだが、その歌唱力は圧巻だ。声高らかに紡いでいく力強い発声、高音でもまったくぶれないビブラート、感情豊かな表現力は、一瞬にしてその場の監督やスタッフの心を魅了したそうだ。撮影を経て、森山さんは「ひとつひとつのシーンがテンポよく、エネルギッシュに進んだので、楽しく撮影することができました。一番印象に残っているのは、やっぱり飲みカット。あれは難しかったですね(笑)。でも、地元で働いていて、地元の人と酒を酌み交わすという空気感がとても素敵で、そういう商店街のあったかい空気の中で、『金麦クリアラベル』をおいしく飲むことができたと思います」とコメントを寄せている。舞台・TVドラマ・映画など様々なメディアで“表現”してきた森山さん。今回の歌には発声方法やキーの高さなど、森山さんのアイデアも採用されているとのこと、そのクオリティを確かめてみて。「金麦クリアラベル」新CMは2月17日(火)より全国にてオンエア。(text:cinemacafe.net)
2015年02月13日昨年公開された瑛太×松田龍平のW主演による人気シリーズの最新劇場版『まほろ駅前狂騒曲』のブルーレイ&DVD発売を前に2月6日(金)、オーディオコメンタリーの収録が行われ、瑛太と大森立嗣監督が報道陣の取材に応じた。その他の画像三浦しをんの人気小説シリーズを原作に製作された映画『まほろ駅前多田便利軒』、連続ドラマ『まほろ駅前番外地』に続くシリーズ第3弾。共にバツイチで元同級生の多田と行天が便利屋として奔走するさまを描き出す。映画公開から少し時間をあけて、久々に松田を含めた3人が顔を揃え、作品を鑑賞したわけだが瑛太は「前作のオーディオコメンタリーは口数が少なかったので(笑)、その反省を踏まえて話を振るように心がけましたけど、世間話のようになったり、龍平のギャグが炸裂したり(笑)、なかなかないものになってて楽しめると思います」と振り返る。大森監督も「映画を観ながら友達のウチでしゃべってる感じ(笑)。みなさんが知っている中で、瑛太と龍平が一番しゃべっていると思います」と太鼓判を押す。このオーディオコメンタリーに加え、ブルーレイ&DVDには未公開シーンも収録されており、公開時とはまた違った形で楽しめそうだ。本作では多田と行天が“子育て”に右往左往するさま、さらに行天の知られざる過去も描かれるが、瑛太は「依頼を全うするために多田が行天に無理をさせ、少しずつ心を開かせていく。現場でやっていても、龍平がどういうアプローチで来るか楽しみでしたし、多田としても“引き出す”というつもりでやってました」と語る。ちなみに、2人を翻弄する行天の実娘・はるを演じた子役の岩崎未来はその後、NHKの『花子とアン』で吉高由里子演じる主人公の娘役を演じており、大森監督は「すごく嬉しい。何百人も見てオーディションで選んで、(本作の)撮影も大変だったと思う。その子が頑張っているのを見ると、親心じゃないけど、よかったなと思います」と収録で久々に作品を見て、意外なところでホロリとさせられたようだ。ファンの中にはさらなる“続編”を望む声が多々あり、個性的な各キャラクターに焦点を当てたスピンオフへの期待も…。瑛太は「(依頼が)あればやりますけど…」と歯切れは悪いながらも乗り気。大森監督は「次やるなら、多田と行天、2人の関係に絞ったものをやりたい…と(収録中に)2人の顔を見ずに言いました(笑)」と意欲をのぞかせていた。『まほろ駅前狂騒曲』ブルーレイ&DVD 4月15日(水)リリースブルーレイ豪華版(2枚組) 6200円+税DVD 豪華版(2枚組) 5200円+税DVD 通常版(2枚組) 3800円+税発売元:ポニーキャニオン取材・文・写真:黒豆直樹
2015年02月06日森山直太朗が2015年1月30日埼玉・戸田市文化会館より約1年ぶりの全国ツアーをスタートさせた。初日となったこの日のライブは、昨年リリースの最新アルバム『黄金の心』の収録曲「若者たち」や、おなじみの曲まで新旧織り交ぜたセットリストを披露。また、彼のライブ名物である軽妙なMCも披露された。ツアー「森山直太朗コンサートツアー2015『西へ』」は6月24日(水)東京・NHKホールまで、35か所で37公演を開催。ツアー前半戦のチケットは全公演完売。ツアー後半戦である4月4日(土)静岡・三島市民文化会館 大ホールからファイナルまでのチケットは発売中。■森山直太朗コンサートツアー2015『西へ』後半4月4日(土)三島市民文化会館 大ホール(静岡県)4月11日(土)福岡サンパレス(福岡県)4月12日(日)宝山ホール(鹿児島県文化センター)(鹿児島県)4月15日(水)広島アステールプラザ 大ホール(広島県)4月18日(土)サンポートホール高松(香川県)4月25日(土)バロー文化ホール 大ホール(旧多治見市文化会館)(岐阜県)4月26日(日)金沢市文化ホール(石川県)4月29日(水・祝)神奈川県民ホール 大ホール(神奈川県)5月9日(土)守山市民ホール(滋賀県)5月10日(日)名古屋国際会議場 センチュリーホール(愛知県)5月15日(金)アルカスSASEBO(長崎県)5月17日(日)豊後大野市総合文化センター エイトピアおおの(大分県)5月22日(金)神戸国際会館こくさいホール(兵庫県)5月24日(日)倉敷市民会館(岡山県)5月30日(土)須坂市文化会館 メセナホール(長野県)5月31日(日)新潟県民会館 大ホール(新潟県)6月6日(土)札幌市教育文化会館 大ホール(北海道)6月7日(日)音更町文化センター 大ホール(北海道)6月13日(土)那覇市民会館 大ホール(沖縄県)6月21日(日)東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)(宮城県)6月24日(水)NHKホール(東京都)
2015年02月02日12月20日から2015年2月23日まで、森山大道写真展「Dazai」が開催される。展覧会タイトルの「ダザイ」とは、小説家・太宰治のこと。太宰は青森の富裕な一家に生まれ、小説家として活動したのは1933年から48年のわずか15年間。玉川上水に入水自殺して38年の一生を閉じた。この短い期間に歴史に刻む名作を生み出している。代表作は『人間失格』『斜陽』『津軽』『晩年』など。女性の告白体を得意とし、短編の名手として知られる。誕生日である6月19日には太宰が眠る三鷹・禅林寺にて彼を悼む「桜桃忌」が未だに開かれており、現代においてもその作品は色褪せない。写真家・森山大道も、彼に魅了された1人という。森山が太宰の小説と出合ったのは、中学生時代という。学校を厭い、ストリートを学び舎としていた多感な時期に、作品から受けた影響の大きさは計り知れない。時を経た今、森山は、「太宰の小説は、僕が嗅覚や視覚によって感知し、記憶した戦後のイメージとぴたり符号する」と語っている。結果、最新作となる写真集『Daido Moriyama: DAZAI』(マッチアンドカンパニー・MMMレーベル no.5、太宰治『ヴィヨンの妻』収録/5,000円)を刊行するに至り、同時にまた、森山が太宰へのオマージュとしてセレクトした、70年代から現在に至るまでのモノクローム作品約50点を展示する今回の企画が実現した。会場は、原宿のアートスペース「AM」。1月10日の15時から16時まで、森山大道のサイン会も予定されている。【イベント情報】森山大道写真展『DAZAI』会場:AM住所:東京都渋谷区神宮前6-33-14神宮ハイツ301/302会期:12月20日から2015年2月23日時間:13:00から19:00休廊日:月(最終日除く)・火曜日12月29日から1月6日入場無料
2014年12月15日2015年2月11日(水)に東京・サントリーホールにて『Ryoko Classics2』を開催する森山良子が、ぴあのインタビューに答えた。『Ryoko Classics』は2013年に第1回が開催。アンコールを望む声が多く寄せられ、その期待に応えて、再びオーケストラとの共演が行なわれる運びとなった。公演ではオリジナル曲に加え、映画音楽やミュージカルのレパートリーも披露される予定。幅広いファンが楽しめる夢のコンサートになりそうだ。まずは、昨年2月にリリースしたアルバム『Ryoko Classics』について話を聞くと、「実は、声楽のトレーニングはつねにずっと続けているんですよ。私が子供の頃に出会った先生がいて、70歳半ばを越えられていますが、今でもレッスンを見ていただいてます。フォルテを出すときにも、正しいイメージの作り方を教えてくださって、声の小さな歪みも正していただける。先生自身も勉強をして、つねに前進されているんです。『Ryoko Classics』にはスペシャルサンクスを捧げたい人がふたりいて、それは音楽に厳しかった母と先生なんです」と語った。さらに、「歌う」ということに話が及ぶと「ピッチ(音程)って、最近ではあまりうるさく言われないものなのかも知れませんが、私は子供の頃から鼻歌を歌っていても、父と母から『低い低い、フラットしてる』といつも注意されていたんです(笑)。音楽はまずピッチありきなんですね。今ちょうどレコーディングの最中なのですが、スタッフはそれほど細かく気にしないんです。私はどうしても正しいピッチで歌いたいので、(コンピューターで)波形を見て、少しでも下がっているとやり直します」とこだわりを見せた。また、今回の公演のように80名のオーケストラと歌う時も発声は変わってくるそうで、「こんなふうに歌っていたのが(ラララ…とリラックスした声)、こんなふうに(オペラ歌手のようにボリュームのある輝かしい声)に変わります(笑)。オーケストラと共演するのは楽しいですよ。オーケストラ・アンサンブル金沢やNHK交響楽団とも共演してきましたが、毎回大きな刺激を受けます。アレンジもオリジナルですから新しい楽譜を作ることも大事な目標になります。クラシックの既成の譜面をそのまま使うのではなく、自分なりのニュアンスが出るスコアを、アレンジャーの方に作って頂いています」と明かした。最後に、来年2月の公演における選曲に関して「クラシカルな楽曲と、私がずっと歌ってきた『さとうきび畑』『涙そうそう』『この広い野原いっぱい』といった“森山良子はこういう曲”というものを盛り込みながら、映画音楽の名曲やミュージカルも歌う予定です。映画から生まれた曲には素晴らしいメロディがたくさんあります。そういった音楽をオリジナルとともに楽しんで頂きたいです」と語った。チケットは発売中。(取材・文:小田島久恵)
2014年10月29日三浦しをんの人気小説を、瑛太と松田龍平を迎えて映像化した、映画第2作目『まほろ駅前狂騒曲』の初日舞台あいさつが18日、都内で行われ、瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏、大森立嗣監督が登壇した。架空の街・まほろ駅前で、便利屋を営む多田啓介(瑛太)と行天春彦(松田龍平)の奮闘を描く本シリーズ。2011年の映画『まほろ駅前多田便利軒』、2013年の連続ドラマ「まほろ駅前番外地」に続いて、2作目の映画となる『まほろ駅前狂騒曲』では、行天の実娘・はるの子守り代行や、謎の元新興宗教団体の隠密調査など、やっかいな依頼に2人が大苦戦を強いられる。大森監督から、瑛太と真木がやったキスシーンの失敗談の話題が振られると、瑛太が心配そうに「みなさん、爆笑できました?」と会場に尋ねる。観客の拍手のリアクションを聞いて安心した瑛太は「台本ではキスすると書いてあったんですが、シートベルトで引っかかってしまって」と説明。松田が「いや、キスした方が良かった」と突っ込むと、真木も「私もキスされるものだと思っていた。でも、爆笑してもらったのならいいんじゃないかと」と笑顔を見せた。真木は、瑛太と松田の印象について「怖い。凶器みたいな2人だから、懐に入っていったらボコボコにされそう」と脅威を口にすると、松田は「ボコボコにしないですよ」と苦笑い。真木は笑いながら、『さよなら渓谷』(2013年)でも組んだ大森監督の現場ということで「安心して入れました」とも語った。大森監督は、瑛太たち豪華キャストについて「良いものを作ろうとしている人たちなので、撮影は楽しかったです」と感想を述べた後「来週(台湾・高雄映画祭で)台湾にも行ってきますので、本作を日本から世界に広げていきましょう」と、力強く宣言した。
2014年10月19日映画『まほろ駅前狂騒曲』が10月18日に公開を迎え、主演の瑛太と松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏、大森立嗣監督が新宿ピカデリーで行われた舞台あいさつに登壇した。『まほろ駅前狂騒曲』舞台挨拶その他の写真本作は、元同級生の三十路の便利屋コンビを描く三浦しをんの小説を原作にした人気シリーズの第3弾。行天(松田)の遺伝子上の娘をしばらく預かるという無謀な(?)依頼に加え、まほろ市に進出してきた謎の団体との関係でふたりはまた事件に巻き込まれていくことに…。2011年の劇場版第1作、連続ドラマに続く劇場版の公開を祝し、観客が「おかえりなさい!」で出迎えるサプライズ演出があり、瑛太は「ただいま!」とニッコリ。松田も「ビックリしました(笑)。帰ってこられてうれしいです」と喜びを口にした。舞台あいさつでの瑛太と松田のやりとりは劇中の多田と行天の掛け合いそのもの。公開前のプロモーションで170もの媒体の取材をふたりが受けたことが明かされると瑛太は「今回は凄かったです。ここまでやったのは初めてです」と充実した表情で語るが、そんな瑛太をよそに松田は「“たくさんやりました”アピールって意味あるのかな…? すいません、水差して(笑)」とマイペースに思ったことを口にし会場は笑いに包まれた。足かけ3年にわたりシリーズを紡いできたことについても、瑛太が「龍平とはデビューでも一緒で、その後も共演してきたし、『まほろ』は人生においても大事な作品」としみじみと感慨深げに語るが、松田は対照的に「行天はどんな存在か?」という問いに「仕事ですね」とあっさりした答え。とはいえ、やはり特別な思いもあるようで「(行天という役に対して)客観的になれないところもあるけど、それだけ思い入れがある役ということ」と少し照れくさそうに明かした。さらなる続編を期待しているのはふたりに共通する思いのようで、瑛太が「今後、続けられるかはお客さんにかかっている」と言えば、松田は「(映画、連ドラ、ふたたび映画ときて)この流れだと次はまた連続ドラマかな?」と意欲を口にし、会場は期待を込めた拍手に包まれた。最後に改めてマイクを握った瑛太は『まほろ』シリーズが持つ独特の空気に触れ「こういう映画が日本でたくさん観られるようになってほしい。わかりやすくないものがなかなか受け入れられないところがあるけれど、『まほろ』のようなこういう世界観、人それぞれ捉え方が違う世界観を持つ映画を作れる日本になっていけたらと、俳優部として思っています」と語り、再び会場は拍手に包まれた。『まほろ駅前狂騒曲』公開中
2014年10月18日三浦しをんの小説を基に、瑛太と松田龍平が便利屋コンビ、多田&行天のままならない日々を体現する“まほろ”シリーズ。映画『まほろ駅前多田便利軒』、連続ドラマ『まほろ駅前番外地』に続く第3作『まほろ駅前狂騒曲』について、ふたりが語った。その他の写真完成作を観て「この先も(シリーズが)続いていってもいいんじゃないのかな」と手ごたえを感じたという瑛太。原作にとらわれないオリジナルな内容のドラマ版を経ていたからこそ、「制約がなくなった感じがある」と話す。松田龍平も「自分でもびっくりするくらい、何も考えずに撮影現場にいて、あるときハッと正気に返った(笑)」と、この世界観がいかに自分たちに馴染んでいたかを振り返る。行天の複雑な過去を軸に物語は展開する。行天のナイーヴな部分を気遣いながら仕事を進める多田の姿が微笑ましく、そこからは微細な情緒がこぼれおちる。絶妙なやりとりは、このふたりならではだ。「バックボーンがこうだから、このくらいの距離感で、みたいな思考はもうなかった」と瑛太。本シリーズ以外でも共演作が多く、プライベートでも交流の深い彼らだが、お互いに対してぬるくないリスペクトがある。「むしろ、撮影のときのほうが、プライベートのときより(関係性は)濃いというか。ドラマのときは、多田なのか瑛太なのかわからない、みたいな感じもあった。ただ、友だちだからこそ(共演する上では)馴れ合いみいたいなものが極端に怖いなって。“友だちだから”というノリは嫌だなって。そうじゃないところでやりたいし、そうじゃないところでの瑛太が見たい。そういう欲にいく」(松田)「役や作品が違うと、違った龍平が見れる。感じるものが全然違ってくるんですよね。『ナイン・ソウルズ』のときは、龍平って怖いひとなのかな、俳優として恐ろしいなと感じたけど、行天と向き合うとキャラクターの幅を感じる。たくさんの要素を“入れてる”のか、“作ってる”のかわからないし、人間のいろんな“色”を見ちゃう。もちろん、そこに嘘はないし、龍平がやると芝居が芝居じゃないところまでいっちゃう――“そいつ”になっちゃってる」(瑛太)高め合うふたりの絆は、映画からもしっかり伝わってくる。取材・文:相田冬二撮影:中川有紀子『まほろ駅前狂騒曲』10月18日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年08月25日映画『人類資金』が10月19日(土)に公開を迎え、主演の佐藤浩市を始め、共演の香取慎吾、森山未來、観月ありさ、岸部一徳、オダギリジョーに原作者の福井晴敏、阪本順治監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。“M資金”と呼ばれる、旧日本軍が敗戦を前に祖国復興のために隠匿したという巨額の財産の存在を軸に、この10兆円で世界の仕組みを変えようとする者たちの姿を描いた経済サスペンス。30年以上前に“M資金”に関する本と出会って以来、ずっと映画化することを思い描いていたという阪本監督は、夢の結実に「昨日は眠れませんでした。いままでの映画(の公開時)で感じたことのなかった感動を覚えてます」と感慨を口にした。企画を立ててからも「人類(=人材)はあったけど、資金がなかった…(苦笑)」となかなか企画が進まない時期もあったが、「いま、経済が一番ホットな時期に公開を迎えてよかったなと思っています」と満足そうに頷いた。主演の佐藤さんは「完成に向けて、みんなが疾走していました」とスタッフ・キャスト陣の思いを代弁。香取さんは「最初に監督から『慎吾に世界を救ってもらいたい』と言われました(笑)。意味が分からなくて、台本を読んでも難しくて、こんなに何度も読み返したのは初めてというくらい何度も読んだ」と明かす。佐藤さんに森山さん、仲代達矢らとの共演は「毎日、緊張の日々でした」とふり返った。原作小説を手がけた福井さんは「今回ほど受け止められ方が予想できない作品は初めて」と語り、映画を観終えたばかりの観客に「どうでしたか?」と質問。拍手が沸き起こると、ホッとした表情を見せたが「難しかったと感じましたか?」とさらに質問。ここでも「難しかった」という意味の拍手が聞こえると、「そうですよね」と頷きつつ「もう1回観るとよく分かります。さらによく分かるために原作の小説も売ってます」とアピールし、会場は笑いに包まれた。暗殺者役で出演した韓国人俳優のユ・ジテからは祝福の手紙が届いたが、監督は彼が10年ほど前に日本に住んでいた頃からの知り合いであることを明かし「彼は本来主役を演じる俳優さんですが、ルワンダにボランティアに行ったり、ミャンマーに学校を作る活動をしており、僕が作ろうとしている世界観を理解してくれると思って、脚本がない状態でお願いした」と明かす。ユ・ジテとのアクションに挑んだ森山さんは、軍隊経験もあり、さらに本作のために体を鍛えた彼とのアクションで「(台本にあるように)跳ね返そうとしてもできないことがあった」と苦労を述懐。観月さんも、彼が190センチ近くある長身であり「顔が高くてキックするのも大変だった」とふり返る。さらに香取さんは「うろ覚えの韓国語や英語で話しかけたら、日本語ベラベラでした(笑)」と明かすなどユ・ジテとのエピソードに花を咲かせる。終いには直接の共演シーンのなかったオダギリさんまで「遠くでユ・ジテさんを見てました」と明かすなど、何故かみんな、ユ・ジテが大好き…?一方、佐藤さんは同じく共演したハリウッド・スターのヴィンセント・ギャロの存在に触れ「ヴィンセント・ギャロからは手紙届いてないの?」と不服そうに語り、会場は再び笑いに包まれた。ロシアにニューヨーク、タイと巡った本作の撮影の総移動距離は5万キロ超でおよそ地球1.3周分。これについて最後の最後でコメントを求められた佐藤さんは「難しい」とムチャぶりに困惑しつつ、「マイル貯めときゃよかった!」と語り、最後まで笑いの絶えない船出の舞台挨拶となった。『人類資金』は全国にて公開中。(黒豆直樹(cinema名義))■関連作品:人類資金 2013年10月19日より全国にて公開(C) 2013「人類資金」制作委員会
2013年10月19日俳優の森山未來が10月10日(木)、都内で行われた出演作『人類資金』のプレミア試写会にワイルドな“ヒゲ面”で登場。オスカー受賞作『アルゴ』で主演を務めたベン・アフレックを彷彿とさせる新たな魅力の開花に、ファンも熱視線を送っていた。映画は旧日本軍の秘密基金と言われる“M資金”を題材にした骨太エンターテインメント作品。プレミア試写会には森山さんを始め、主演の佐藤浩市、香取慎吾、石橋蓮司、寺島進、三浦誠己、岸部一徳、阪本順治監督、福井晴敏(原作者)が勢揃いした。日本映画界を代表する名優たちの集結に、香取さんは「そうそうたる先輩方の中で、とても緊張しながら、演じさせていただいた。未來くんだけ年下なので、先輩面していました(笑)」。森山さんも「こんな強者(つわもの)と肩を並べて、熱量がこもった作品に参加できたことを誇りに思います」と胸を張った。一方、“さすがの余裕”を見せつけたのが佐藤さん。本作に出演している観月ありさを引き合いに、「観月がいないと、こんなにむさ苦しいもんなんだ」と男だらけのステージに、苦笑いを浮かべて、客席の爆笑を誘っていた。主人公は金融ブローカーからM資金詐欺を繰り返して生きる男・真舟雄一(佐藤さん)。そんな彼の前に、“M”と名乗る謎の男とその腹心・石優樹(森山さん)が現れ、「10兆円あるM資金を一緒に盗み出して欲しい。報酬は50億円」と話を持ちかける…。2012年5月に邦画としては史上初めて、米ニューヨークの国連本部でロケを敢行し、森山さんの演説シーンを撮影。しかし、その時点では本作の製作に正式なゴーサインは出ていなかった。それでも同年秋から、国連の補修修理が始まってしまう関係で、ロケが“強行”されたのだとか。佐藤さんは「正直、行かないほうがいいとも思ったし、監督も『もし製作できないなら、国連っていう短編にする』って言っていましたよね(笑)」と裏話を暴露。阪本監督にとって、M資金という題材は30年来、構想を温めてきた念願の企画だけに「国連に行くことで、我々の本気度を示すことができ、映画製作の“資金”を集めることができました」と感慨しきりだった。『人類資金』は10月19日(土)より全国にて公開。(内田涼(cinema名義))■関連作品:人類資金 2013年10月19日より全国にて公開(C) 2013「人類資金」制作委員会
2013年10月10日小栗旬、森山未來らが出演するアクション・エンターテインメント大作『髑髏城の七人』の予告編映像がこのほど公開された。『髑髏城の七人』予告編本作は、劇団☆新感線の人気公演をデジタル技術を駆使してスクリーンで楽しむ“ゲキ×シネ“の記念すべき第10弾。天下統一をかけて武将たちが割拠していた戦国の世を舞台に、たった7人で2万を擁する関東髑髏党に戦いを挑んだ者たちの活躍を痛快に描く。本作は、中島かずき作、いのうえひでのり演出による劇団の代表作のひとつで、小栗、森山、早乙女太一、小池栄子、勝地涼、仲里依紗ら若手キャストを迎えて昨年上演した舞台を18台ものカメラを駆使して収録。このほど公開された予告編では、ひょんなことから戦乱に巻き込まれる捨之介(小栗)、関東髑髏党を束ねる最強の男・天魔王(森山)ら主要な登場人物を次々に紹介しながら、ダイナミックな殺陣、ポジション/ポーズまで完璧に計算された登場シーン、耳に残るキメ台詞の数々、そして観客を魅了する熱い人間ドラマの一端が紹介されている。エンターテインメントであることを純粋に追求し、重厚な劇世界を構築しながら毎公演、面白さとカッコよさを失わずに走り続けてきた劇団☆新感線だけに、予告編も痛快な描写が続々登場。映画館の客席が一体になるような、思わず歓声があがるような興奮必至の作品になりそうだ。『髑髏城の七人』2013年1月12日(土)より全国ロードショー
2012年11月14日アニメ映画化がその他の画像決定した『聖☆おにいさん』のメインキャラクター声優を森山未來(イエス役)と、星野源(ブッダ役)が務めることが発表され、ふたりからコメントが届いた。..『聖(セイント)☆おにいさん』は、“モーニング・ツー”にて連載中の中村光の同名コミックを映画化するコメディ作品。ブッダとイエスが、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを満喫する様を描く。監督は、アニメ『THEIDOLM@STER』シリーズの演出を手がけた高雄統子。..共に声優初挑戦となる森山と星野。小学生の頃にキリストの伝記を、中学生の頃に手塚治虫の『旧約聖書物語』や『ブッダ』に触れていたという森山は、「『聖☆おにいさん』は何年か前に人からのすすめで単行本で読ませて頂いたんですが、中に盛り込まれている宗教的な小ネタがどれもわかるだけにたまらなく、これは日本ならではの距離感だなと感じた記憶があります」と言い、「イエスを演じるどうこうというより、とにかくアニメーションに言葉を乗せるという行為自体が初めてなので、自分にとって新しい現場をブッダ演じる源ちゃんとのコンビネーションも含めてとにかく楽しめればいいなと思っています」とコメント。..ブッダ役の星野は「元々アニメが大好きなので、『聖☆おにいさん』も新巻が出れば買っていました。違う価値観のふたりが一緒に暮らしているのがすごく好きです。人間は皆バラバラなのだ、と常々思っていたんですが、天界も同じだったのかと(笑)。でもそのふたりが相手を思いやりながら生活している。ある意味、すごく人間的で普遍的な話だなと思っていました。自分とお金に厳しく、シルクスクリーンが好きなブッダとして生きられるよう、頑張りたいと思います」と意気込みを語っている。..『聖☆おにいさん』.来春、東宝系にて全国ロードショー
2012年10月16日来年1月に劇場公開される、劇団☆新感線の舞台を映像に収めたゲキシネ第10弾『髑髏城の七人』(どくろじょうのしちにん)の特報動画が到着し、小栗旬、森山未來、早乙女太一ら出演者の躍動感あふれる姿が披露された。特報動画『髑髏城の七人』は、中島かずき作、いのうえひでのり演出による劇団☆新感線の“いのうえ歌舞伎”と呼ばれる演目のひとつ。1990年に初演され、キャストを変えて7年ごとに上演されてきた人気作で、戦国の世を舞台に、たった7人で2万を擁する関東髑髏党に戦いを挑む者たちの活躍を描く。今回、劇場上映されるのは、小栗、森山、早乙女、小池栄子、勝地涼、仲里依紗ら若いキャストをむかえ、2011年8月から10月にかけて大阪と東京で上演された舞台『髑髏城の七人』を収録したもの。ストーリーや登場人物を新たな着想で再構築し、通称“ワカドクロ”と呼ばれ人気を博した本公演を、18台ものカメラを駆使し、カメラのアングルや音響など、臨場感にこだわって編集されている。このたび公開された特報動画は、小栗、森山らそれぞれの風貌や殺陣の演技などが収められた鬼気迫る内容となっており、特報は6日より各上映館でも観ることができる。『髑髏城の七人』2013年1月5日(土)より新宿バルト9先行公開2013年1月12日(土)より全国ロードショー
2012年10月09日主演・森山未來、演出・大根仁という組み合わせによる『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』が8月29日に東京・Shibuya O-EASTで開幕した。性転換手術の失敗で股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。愛と自由を求め続ける彼の半生を描いたこの物語は世界中で公演され、熱狂的なファンを持つ。今回はどんなヘドウィグが生み出されるのか、公演前から注目を集めていた。会場に一歩足を踏み入れると、通常の舞台では考えられないスタンディングエリアが際立ち、まさに音楽のライブ開演前の雰囲気。舞台上にはバンドセットが組まれ、その後方には部分的に骨がむき出しになった大きな壁。そこに投影されるのは地震、津波、原発……そんな言葉が躍る新聞だ。ひときわ大きな音楽が鳴りだすと、ものものしい防毒マスクをつけたギタリストが登場し、ギターをかき鳴らす。ドラム、ベースと次々にバンドメンバーが登場したところで、叫び声をあげながら客席から拡声器を持った小柄な人物がステージに登場した。マスクを外すと、イツァーク役の後藤まりこだ。彼女に気をとられているとステージ上方からつぎはぎのマントを身にまとった森山が降りてきた。大きく盛られた金髪、マントの下にはミニ丈のドレスに10㎝はあろうかという赤いヒール。真っ直ぐな視線を客席に投げかける彼の圧倒的な存在感が、既にこの作品の成功を予感させる。フラフラと階段を降りてきたかと思うとサングラスを投げ捨て「わかる?私はゆるい天国とゆるい地獄の間に立ちはだかった日本の新しい壁」と叫び、歌い始めた。舞台背景は3月11日以降の日本。このヘドウィグは立ち入り禁止区域の壁の向こう、スラム街で生まれた存在。そんな大胆な改変に違和感を持つことなくステージに見入ってしまう理由は、森山の立ち方だ。前方で撮影しているカメラマンに声をかけたり、客席に対して「ブスな反応ね!」と吐き捨てたりする森山ヘドウィグに、客席は戸惑いながらのめり込んでいく。そこに立つのはヘドウィグなのか、それとも森山本人なのか。フィクションとノンフィクションの間にそびえた壁が揺らぐ。2012年の東京・渋谷にしか生まれ得ないヘドウィグがそこにいる。まさにライブそのもの、ふたつとして同じ夜がないであろうこの舞台を体験できる幸運を噛みしめたい。ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、9月10日(月)までShibuya O-EAST、9月14日(金)から17日(月・祝)まで大阪・Zepp Namba(OSAKA)、9月22日(土・祝)・23日(日)に愛知・Zepp Nagoya、9月25日(火)・26日(水)に福岡・Zepp Fukuokaにて上演。その後、東京に戻り、9月28日(金)から30(日)までZepp DiverCity(TOKYO)にてツアーファイナルの公演が行われる。取材・文:釣木文恵
2012年08月30日森山未來と満島ひかりが共演するミュージカル『100万回生きたねこ』の制作発表会見が8月14日行われ、森山と満島と共に、演出・振付・美術を手がけるインバル・ピントとアブシャロム・ポラックが登壇した。『100万回生きたねこ』チケット情報佐野洋子のベストセラー絵本『100万回生きたねこ』を基に、2013年1月にミュージカルとして上演する本作。1996年に『DORA~100万回生きたねこ』のタイトルで上演されたものをリメイクする。今回は、イスラエルでの活動をベースに世界で活躍しているインバル・ピントとアブシャロム・ポラックが、原作絵本の圧倒的な美しさに共鳴し、演出・振付・美術を担当。また、戯曲は演劇界で注目を集めている若き劇作家、FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介、鉄割アルバトロスケットの戌井昭人、柿喰う客の中屋敷法仁の3名が執筆し、これを東京芸術劇場の芸術監督・野田秀樹の監修により1本の戯曲にまとめる。森山はタイトルロールの100万回生き返るトラ猫を、満島はトラ猫が初めて愛する白猫を演じる。会見で森山は「みなさんがイメージするミュージカルではないかもしれませんが、間違いなく楽しんでもらえる作品になると思う」と自信を見せる。ミュージカル初挑戦の満島は「小さいころからこの絵本が大好きで、何度も読んだ記憶があります。(出演者として)こういう形でこの絵本にまた出会えたのは嬉しいです」と本作に参加できる喜びを語った。既に4度目の共演となるふたり。お互いの印象を訊かれると森山は「映画、ドラマ、ストレートの芝居、ミュージカルを一緒にやる人は初めて!すごく信頼している人です」と話し、「本の中では“100万回生きた”とは言わない“死んだんだ”と言うんですよ。最後に、白猫と一緒にやっと死ぬことができる。どういう風に満島に殺してもらえるのか楽しみ」と期待を寄せる。これを受けて満島は「最近森山さんの顔が変わったなって思うんですよ。最初に出会った頃と違うんですね。久しぶりに会ったら素敵な男性になられていて。舞台は大先輩なので頼っていきたい。最終的には白猫になってこうできる感じになれればいいな」と抱きかかえるゼスチャーを交えつつ抱負を語った。既にワークショップを行っているアブシャロム・ポラックは「とても大きなチャレンジになると思っています。インバルと私は科学者がとても難しい実験を試みるような立場にあると思います。作品を創るレシピはまだ決まっていませんが、素晴らしい俳優とダンサー、ミュージシャンたちと一緒に創った作品をご覧いただいて、(観客を)あっと驚かせたい」とコメント。インバル・ピントは「原作を初めて読んだ時、感銘を受けました。この絵本の中には人生の中で非常に重要なメッセージが書いてあります。愛が何よりも大切であり、愛にたどり着くことが大切であると。直感を大事にして創っていきたい」と語った。公演は2013年1月8日(火)から27日(日)まで東京芸術劇場・プレイハウスにて上演。その後、大阪、北九州、広島で巡演する。チケットは9月1日(土)より一般発売開始。
2012年08月15日映画『苦役列車』が7月14日(土)に公開を迎え、主演の森山未來を始め、高良健吾、前田敦子(AKB48)、マキタスポーツ、山下敦弘監督、そして原作者の西村賢太が上映後の舞台挨拶に登壇した。芥川賞を受賞し話題を呼んだ西村さんの私小説を映画化。風呂トイレ共同の3畳間で暮らし、日雇いで収入を得る北町貫太(森山さん)の青春を生々しく描き出す。森山さんは「昨日の夜中に腹痛で身動きが取れなくなった」と告白。幸い大事には至らず、無事に舞台挨拶に出席することができたが「まさかの体調不良による初日舞台挨拶欠席かと思った」と、同日公開の『ヘルタースケルター』主演の沢尻エリカ(※沢尻さんは初日舞台挨拶に出席)を意識するかのようなきわどい発言で笑いを誘った。これで闘争本能に火がついた(?)マキタスポーツが負けじと「『海猿』よりも『ヘルタースケルター』よりもこちらを選んでいただいてありがとうございます」、「未來くんは全身整形をしたり、舞台挨拶をすっぽかさない」など過激な発言を連発し会場を沸かせた。劇中、貫多が下北沢に住む地方出身者をボロボロにこき下ろすシーンがあるが、高良さんは「僕は下北が好きでよく行くので、未來さんに言われて行きづらくなりました。『田舎モンが!』と言われながらイタかったです」と苦笑交じりに明かした。また、貫太の魅力について前田さんは「森山さんを好きなのか、貫多を好きなのか分からないけど…好きです!」と大胆に愛を告白!これには森山さんも「みたいです(笑)」と何とも照れくさそうな表情を浮かべていた。マキタスポーツも前田さんにメロメロのようで「その目で見られると何もできない。こっちが過呼吸を起こしそうになる」とまたも奔放な発言で客席をざわつかせたが、前田さん本人は爆笑していた。舞台挨拶の最後に原作者の西村さんが登場。これまで西村さんはインタビューや雑誌の取材などことあるごとに映画を酷評していたが、この日は毒舌は封印。「小説書きとして終わりかけていたときに書いた作品で思い入れがあります。(登場人物たちの)妙なしぶとさ、図々しさに共感していただければ」と作品をアピールした。『苦役列車』は全国にて公開中。■関連作品:苦役列車 2012年7月14日より全国にて公開© 2012「苦役列車」製作委員会
2012年07月14日昨年、芥川賞を受賞した西村賢太の小説を気鋭、山下敦弘監督が映画化する『苦役列車』。本作が7月14日(土)から公開されるのを前に、主人公・北町貫多を演じた森山未來がインタビューに応じた。その他の写真作者の分身とも言える19歳の肉体労働者、貫多は始末に負えないひねくれ者。そんな主人公が初めて体験する青春らしき時間のあれやこれやを、森山は獰猛さと愛らしさが入り混じった絶妙な距離感で体現している。「中学を卒業してから、まともに誰かとかかわったことがなかった貫多は、19歳という年齢でたまたま康子(前田敦子)という女の子と、正二(高良健吾)という男の子と出逢う。それまではひとりだったし、これから先もひとりかもしれない。たとえば“恋愛”や“友達になる”というプロセスを踏んでいない。そんな貫多の“抜け落ち感”を伝えたいと思った。どこか自分のなかだけで完結してしまうところがあるんですよね。一気に卑屈になったり、一気にポジティブになったり」。とはいえ貫多というキャラクターに対して距離は感じなかったという。「すごく楽しかったです。居心地は悪くなかったし、ヘンに共感する部分も多かった。逞しさをわけてもらうようなところもありました。人って、何かしら守るものがあって強くなる、とよく言われますが、貫多って何も持ってないんですよ。それでも、這いつくばっても堂々と立ってられる強さがある。あの逞しさに『ありがとう』と言いたいですね」。特異な役でありながら、どこか観客が寄り添いたくなるのは、きっと森山のそんな心持ちによるところも大きいのだろう。「僕はいま、映画や舞台をやらせてもらうことで、なんとか自分を保てている部分があるけれど、もしこれがなかったら、いつだって貫多のようになる自信はあります(笑)。でも、どこかで、たとえどうなったって生きていける、とも思っている。貫多もそうなんですよ」。そう、『苦役列車』は、ふてぶてしくも、まぶしい生命力を感じさせる男の子の物語である。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー取材・文:相田冬二写真:藪内 努(クラッカースタジオ)ネイビーシャツ/STUDIOUS/STUDIOUS PRESSROOM/\12600ワークパンツ/JANTIQUES/\9030サンダル/OURET/Sian PR/\34650ショップリストSTUDIOUS/PRESSROOM/東京都渋谷区渋谷2-2-3 ルカビルⅡ2F/03-6662-5525Sian PR/東京都渋谷区渋谷2-2-3 ルカビルⅡ3F/4F/03-6662-5525
2012年07月03日映画『苦役列車』の完成報告会見が14日、都内で開催され、主演の森山未來をはじめ、高良健吾、前田敦子(AKB48)、山下敦弘監督が出席した。その他の写真作家・西村賢太の芥川賞を受賞した同名私小説を映画化した本作。三畳一間に住み、日雇い仕事で生計を立てる19歳・北町貫多のひねくれた青春を描き出す。森山は本作を「花粉症対策映画」と表現。「土に触らず、滅菌・抗菌のものにしか触らず、本当に汚いものに触れないでいる人が多いけれど、菌に触れることで免疫ができる。この映画は人間の免疫を高めるのでぜひ触れてほしい」と力説した。高良は、高校2年生の時に山下監督の短編映画『その男狂棒に突き』を観て以来のファンだったそう。「高3で初めて監督の(作品の)オーディションを受けたときは落ちたけど(笑)、今回、参加できて幸せでした。現場に行く前は緊張して、病気なんじゃないかってくらい汗が出ました」と、念願かなって山下作品へ参加できた喜びを語った。同じく前田も山下監督の大ファンだったとあって「幸せ」を連発。「よく口癖で『あぁ、幸せ』って言うんですが、撮影の6日間は毎日ずっと幸せでした」と満面の笑み。完成した映画についても「自分が出ているとか関係なく、久しぶりに『映画観てるな』という感じでうれしい感情に浸りました。“山下ワールド”ってこれだって言う感じ。スパイスがたくさん入ってます!」と熱弁をふるった。森山は役の貫多になりきるために新宿にある三畳・共同シャワーのアパートを借り、そこで生活しながら現場に通ったという。「役にかこつけて毎日ゴールデン街に行けました。毎朝、顔を(むくみで)パンパンにして現場に向かいました」と明かした。そんな森山を高良は絶賛。「3つしか違わないのに、そういう役者との出会いは初めてでした。森山さんが顔をパンパンにして遅刻してくると、みんなが『すごいぞ!』ってホメて、むくみが取れないうちに『早く撮ろう!』となるいい現場でした(笑)」と一体感のある現場をふり返った。前田は森山が表現した貫多を「映画を観るにつれ、かわいくてしょうがなくなる!」と語り、山下監督もそんな森山の役へのなりきりぶりを「撮影が終わるころには“ミニ西村賢太”になってた」と称賛をおくった。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹
2012年06月14日芥川賞を受賞した西村賢太の同名小説を映画化した『苦役列車』が完成。6月14日(木)、完成披露試写会でのお披露目を前に主演の森山未來、高良健吾、前田敦子(AKB48) と山下敦弘監督が記者会見に臨んだ。19歳にしてその日暮らしの肉体労働者として三畳一間に暮らし、稼いだそばから酒と風俗に金を遣い、読書が唯一の趣味という北町貫多。現場で親しくなった同世代の正二や思いを寄せる大学生の康子らとの青春を飾り気なしに描き出す。森山さんは本作を「花粉症対策映画」というキャッチフレーズでアピール。その心はというと「抗菌、滅菌のものにしか触らずにいるから花粉症になる。本当に汚いもの、菌に触れば免疫ができます。この映画は免疫を高めてくれる映画」とのこと。「ぜひ触ってほしい」と呼びかけた。高良さんはインタビューなどで常々、一緒に仕事をしたい監督として山下監督の名を挙げていたそう。「現場では緊張して病気じゃないかってくらい汗が出ました。映画を観て『山下作品に自分がいるんだ!』と感じました」と感激を口にする。前田さんも「口癖で『ああ幸せ』とよく言うんですが、6日間の撮影で、毎日『幸せ』と言えていました。決して爽やかな映画ではないんですが、私が出ているところは『これって青春!』と言える爽やかさがあるので、ホッとしてほしいです」と自らの出演シーンの見どころを明かした。森山さんは役になりきるために実際に三畳のアパートで生活し、風呂にもろくに入らない生活を送ったそう。「三畳の閉塞感を実際に感じたかったんです。役にかこつけてゴールデン街にも行けました」とニッコリ。共演シーンの多かった高良さんは、髪の毛から日々、汚れていく森山さんの変化を感じていたとか。森山さんは飲み明かした状態で現場に来ることもあったそうだが「(むくみで)顔をパンパンにして、森山さんが遅刻してくるとみんなが『すごいぞ!』って褒めて、『早く撮ろう』となるいい現場でした(笑)」と明かした。山下監督も「『痩せてくれ』と言われてそうする役者はいるでしょうが、太るのは…。撮影が終わるころにはミニ西村賢太になってました」と絶賛していた。前田さんは、森山さん扮する貫多と高良さん演じる正二のどちらが好みかを問われると「貫多といるときの正二は完璧なキラキラ男子。貫多は最初、ひどい男だと思いましたが見るにつれてかわいくてしょうがなくなってくる。本当にかわいいです!だからどちらが気になるかと言われれば貫多」と告白。森山さんは喜びつつも「気になる部分はあっても触れたいかは別だと思いますよ」と、一筋縄ではいかない主人公を知り尽くした様子で苦笑を浮かべていた。『苦役列車』は7月14日(土)より全国にて公開。■関連作品:苦役列車 2012年7月14日より全国にて公開© 2012「苦役列車」製作委員会
2012年06月14日自身の壮絶な過去を綴り、第144回芥川賞を受賞した西村賢太氏の私小説を、『マイ・バック・ページ』の山下敦弘監督が映画化した『苦役列車』から、森山未來と前田敦子の共演シーン画像が初公開された。その他の写真本作は、日雇い労働にすがる19歳の主人公・北町貫多役に森山を迎え、貫多の職場の新入りで専門学校生の日下部正二役を高良健吾、映画オリジナルのヒロイン・桜井康子役を前田が演じる。今回公開された画像は、古本屋で店番をする康子に一目惚れした貫多が、日下部の協力を得て読書好きを理由に彼女と友達になり、家を訪れた場面。中学卒業後、他人を避け、ひとりぼっちで過ごしてきた貫多だけに、公開された画像からも、康子とどう接したら良いのか戸惑う貫多の不器用さが伝わってくる。6月2日(土)より特典付き劇場前売鑑賞券が全国の劇場で発売。前売特典は、貫多が日雇い労働でもらう給料袋をイメージした“貫多の給料袋”。中には、貫多と日下部、康子の写真が入ったデザインのお札メモが入っている。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー
2012年05月25日オフ・ブロードウェイで上演され、熱狂的なファンを生みだした『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』。日本でもかつて三上博史、山本耕史が演じたこの作品に、森山未來がいま、新たな命を吹き込もうとしている。8~9月の上演に先がけ、森山に現在の心境を訊いた。『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』チケット情報「声をかけていただいてまず思ったのは、この作品は音楽が素晴らしいので、そこをもっと信用してもいいということですね。だからこそ、いわゆるミュージカルという言葉で想像する形とは違ったライブ感あふれるものにできないかと思っています」。映画『モテキ』でタッグを組んだ大根仁が上演台本・演出を手がけることも、ドラァグクイーンであるイツァーク役にミュージシャンの後藤まりこを起用することも、森山の発案だ。「ライブ仕立てにするからには、できるだけ演劇の匂いがしない方がいい。大根さんは音楽の知識が豊富で、ライブやフェスに自ら足を運ぶ、生の音楽をすごく信じている人。特にパンク好きだということも重要でした。過去の作品である『ヘドウィグ』を今の人に観てもらうためにも、ある種の破壊は必要だという思いがあったので。後藤まりこさんは『モテキ的音楽のススメCOVERS FOR MTK LOVERS盤』で広末涼子さんのカバーがとてもよくて。彼女は破壊班になるかもしれません(笑)」。ヘドウィグを壊す。それは原作のジョン・キャメロン・ミッチェルの「どの時代にも、世界中にもヘドウィグという存在はいる」という言葉のとおり、2012年の日本でしかできないものを見せるということ。「いまここで僕がヘドウィグという存在を演じるのに、アメリカ人になる必要はないと思っています。まだどうなるかわかりませんが、大根さんとも『ドメスティックにしていこうか』と話し合っています」。話を聞けば聞くほど、森山未來プロデュースと謳ってもいいほどの関わり方をしている今作。しかし、本人はあくまで役者というポジションを崩そうとしない。「いま、劇作家や演出家の意図に従うように個性を抑えている役者さんが多いような気がしているんです。もちろんそのやり方も否定はしませんが、僕は役として立ちながらも森山未來でしかない、という感じで舞台に立ちたいんです」。抽象画家バーネット・ニューマンの絵との出会いやアインシュタインの相対性理論など、一見関係なさそうな話を重ねながらも「意志を持つ役者」として今作に挑む気持ちを、言葉を尽くし、様々な表現で語ってくれた森山。その思いは並のものではない。「とにかく音楽が好きで舞台に馴染みのない人にも観てほしい。スタンディングでも足腰を疲れさせないようなステージを成立させられるか、かなり悩んでいますが、楽しみです」。公演は8月29日(水)から9月10日(月)まで東京・Shibuya O-EASTにて上演。チケットは5月26日(土)より一般発売開始。その後、大阪、愛知、福岡と各地を回る。取材・文:釣木文恵
2012年05月25日俳優の伊勢谷友介が8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』。辻内智貴の同名小説を映画化した本作に西島秀俊、森山未來という人気・実力を兼ね備えた2人がW主演で顔を揃えた。映画ファンならば期待せずにはいられない監督×キャストの化学反応は事実、観客の想像をはるかに超えるものとなった。伊勢谷監督からの熱烈オファーに「本当に行動力がある人」(西島さん)、「他人の巻き込み方がすごいんです(笑)」(森山さん)と応えた2人は、いかに本作と向き合い、伊勢谷ワールドの住人となりえたのか。学生最後の夏休みを利用し、あてのない自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)は、山道で軽トラックと衝突。手当てを受けるため連れて行かれたドライブイン・HOUSE475には、雇われ店主のセイジ(西島さん)の姿があった。物静かだが、発する言葉は不思議な力を持ち、ドライブインに集う常連客からも慕われる存在だ。「普通の人とは違った視点で生きる人間を演じてみたかった。セイジは僕らより、はるかにいろんなものを達観している人物だと思います」と西島さん。あえて演じる役柄に対し、理解や共感できる要素は求めなかった。「例えば、僕は殺人犯じゃないです(笑)。でも演じることはできる。その人物の奥底に潜む“何か”に触れてみたいという気持ちがあれば、演じられると思います」。セイジという人物に関しては、「特に彼が抱える心の闇を捕まえたかった。いや、捕まえられるという確信がありました。根拠はないんですけどね(笑)」。根拠なき確信。これぞ俳優にしか分かりえない、芝居の不可思議な魅力だ。実は西島さん、本作撮影の前後にアミール・ナデリ監督の『CUT』にも出演していた。暴力にさらされながら、自らの映画愛を狂おしいほどに貫く映画監督・秀二を演じ、肉体的にも精神的にも追い詰められた状態だったという。「本来なら、絶対に時間を空けて取り組むべきなんですけど、今回は伊勢谷監督も『連続でやったほうがプラスなんじゃないか』と言ってくれて。設定は全然違いますが、何か自分よりも大きなもの、例えば罪といったものを背負ってしまった点はセイジも秀二も似ているかもしれない。確かに『CUT』で得た狂気のエネルギーを、そのまま『セイジ』に持ってきて、違う形で広げることができたと思います」(西島さん)。一方、森山さんが演じる“僕”は、セイジと彼を取り巻く人々や環境を見つめる傍観者という立ち位置。演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。「正解はないんです」という森山さんの言葉が印象的だ。果たして伊勢谷ワールドの住人となった西島さんと森山さん。シンプルでどこか牧歌的な空気が流れる前半から一転、凄惨な事件によって、すべての歯車が狂い始めると、2人の演技はより深遠に、そして予想不可能なベクトルへと歩み始める。傷ついた魂の救済を目指すセイジ、もはや傍観者ではいられない“僕”が出した答えとは?決して言葉では説明できない決断が、俳優2人の演技によってのみスクリーンに結実する瞬間は、映画ファンに苦しくも至福の喜びを与えるはずだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:セイジ-陸の魚- 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2012年02月16日俳優としても活躍する伊勢谷友介が8年ぶりにメガホンを執った映画『セイジ -陸の魚-』の完成披露試写会が10日に都内で行われ、主演の西島秀俊、森山未來と伊勢谷監督が登壇した。その他の写真本作は、太宰治賞に輝く辻内智貫の同名小説を映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島)とのひと夏の日々を描く。この日集まった350人以上の観客からの大歓声で迎えられた伊勢谷監督は「5年かけた作品をみんなに観てもらえると思うと嬉しい」とあいさつ。撮影現場の話題になると、伊勢谷監督は「とにかく西島さんの体がすごくて。俺、『明日のジョー』であんだけ頑張って鍛えたのに、彼に現場で全部持って行かれました!」とチクリ。西島は苦笑しながら「セイジの役に近づくために余分なものをそぎ落として、精神的にも研ぎ澄まされた感じで演じることができました」と話し、撮影中は食事を控えるなど減量に徹したようだ。また、伊勢谷監督は「今回、自分の好きな役者さんたちを集めました。僕のつたない脚本を120%、150%以上にと高めてくれる瞬間に立ち会えたことが、たまらなかった!」と出演者を賞賛。さらに西島は森山に対し「日本で一番エグい俳優」と語ると、伊勢谷監督は森山が西島を「こんなに映画狂いな役者いないよね(笑)」「この変態!」と言っていたことを明かすひと幕もあった。最後に伊勢谷監督は「年齢によって、さまざまな捉え方があると思うので、1回観たらまた5年後に観てほしい」と締めくくり、作品をPRした。『セイジ -陸の魚-』は18日(土)より公開。『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー(C)2011 Kino Films. All rights reserved.写真:内田涼
2012年02月10日太宰治賞に輝く辻内智貫の小説を伊勢谷友介が映画化した『セイジ -陸の魚-』。伊勢谷、主演の西島秀俊、森山未來という映画愛に満ちた3人が個性を競い、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」という渾身作。西島、森山が語った。その他の写真本作は、国道沿いのドライブイン"HOUSE475"を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をする"僕"が、ドライブインで純粋に生きる男"セイジ"と出会い、共同生活をおくる人間ドラマ。「"セイジ"のように自然と人間の境界にいるような存在を演じてみたかった(西島)」、「伊勢谷さんが監督で、西島さんがいて、そしてバックには自然が広がっていて、すごく危ういバランスを感じました。その雰囲気を想った時に、"僕"を演じてみたいと思いました(森山)」と出演理由を明かす2人。俳優でもある伊勢谷が『カクト』以来8年ぶりに監督を務めることも大きく、「このキャスティングは伊勢谷監督が化学反応を求めてのことだったと思う(西島)」とシナジーへの期待は3人の中で共通する想いだった。やがて"僕"は抗しがたい"セイジ"の魅力に惹き込まれ、人生の意味を自問自答しながらも、仲間たちと楽しく日々を過ごす。しかし、ある日、街で凄惨な事件が起きてしまい、"人生の本質"や"救い"というテーマがシリアスな色彩に変調しながら、危うい関係の登場人物たちの葛藤によって問い直されていく。その見事な映像表現は伊勢谷によるコントロールだけではなく、「伊勢谷監督も僕も森山君も、すごくマイペースのままでよかった。基本的に自分のやり方を貫くので、3人とも同じで(笑)。それがよかったと思います(西島)」、「マイペースというか、マイウェイ(笑)。伊勢谷監督は僕らのことを"とっぽい"と言っていましたが、映画を観て監督が一番"とっぽい"なと(笑)。それが相乗効果じゃないかなという気はしました(森山)」と三者の個性が競り合った現場を回想していた。「3人が全員同じ方向へ走っているというよりは、バラバラに走って散って行って、それが結果的に作品になっている(西島)」、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」と本作の手応えを実感する2人。映画愛に満ちあふれ映画に愛された伊勢谷、西島、森山の才能が激突した『セイジ -陸の魚-』。この化学反応を見逃すな!『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー文:鴇田 崇
2012年02月01日凶悪犯殲滅のため、選び抜かれた≪元犯罪者≫悪(アク)を撃つのは7人の悪(ワル)!2011年冬、邦画史上最高のスーパーアクション・エンターテイメントが誕生。『ワイルド7』の公開を記念して、主演・瑛太のインタビューをご紹介。●オファーが来た時にどう思いましたか?羽住監督がアクションものを撮るということでお話をいただきました。原作もあると聞いたのですが、先入観を持って欲しくないとのことで読んで欲しくないと言われたんです。監督は「瑛太自身が自分で飛葉という役と向き合って、とにかく楽しんで」って言ってくれて。監督とは『銀色のシーズン』でご一緒したので、現場は絶対楽しいものになるという信頼もありましたし、『ワイルド7』もきっと楽しめるという期待値は高かったです。●飛葉という人物をどんな人物と捕らえて役作りをしていきましたか?まず台本を読んだときに、人物像というよりは7人の中でどの立位置にいるんだろうというのがすごく気になりました。飛葉は何か核心をついたことを言っているけれどどこか偏っていて、周りの人間とは違うと思っているし、自分の思想みたいなものをはっきり持っている人間じゃないかと。あと愛する人間を失ったことによる自責の念がすごく強いということは監督も話していて。僕が特にポイントにしたのは、7人全員犯罪者ではあるけれど、犯罪を犯してしまったことに対してや、実際ワイルド7という組織に入っていることですら、本当にこれでいいのかと感じていて、喪失感を一番大きく抱えている人間じゃないかと思います。自分ひとりで作っていくよりも7人の中での立ち位置でいかに一人一人のキャラクターの違いを出せるかを意識しました。●飛葉の悲しい過去についてどう思いますか?人生に後悔しない人なんていないと思うし、常に楽観的な人でも少なからず何か持っていると思うんです。飛葉は、そういう自分の闇の部分を人に言われてしまう状況下ではありますよね。そこに表現的にしがみついているようには見せないんだけど、飛葉自身もどこかで「ワイルド7」として生きていかなければいけないというか。だからこそ言えることや悟りみたいなものを感じているんじゃないかなと思っていて。自責の念を持っているというのは作品では描かれていますが、普段はそこまで強く意識していないんじゃないかなとも感じました。なので、飛葉自身、悲しい過去を背負っているという部分を強く意識することはなかったです。たまたま人との出会いによって表面に表れてしまったというか。●監督からのアドバイスは?特になかったんです。楽しんで、ということと、キャラクター設定くらいですね。最初の本読みの段階で、大体の飛葉としての幅は決まっていて、その幅を超えるかその中で納めていくのかという選択権はある程度現場に入る前に決まっていたという感じです。●アクションもすごくバイクシーンも多かったですが、特別な練習はしましかたか?しました。最初にアクションの先生に、自分の運転と大型バイクに乗って実際どれくらいタイヤを滑らせられるかなどを見極めるテストみたいなのをやって。実際に事故をおこしてしまったら撮影がとまってしまうので、監督にも見てもらって、ターンはこのくらいとか撮影的にカメラ位置を考えての見極めをしました。でもやっていくうちに、だんだんターンにしても練習していくから自分でも欲がでてくるし、ここはスタントの方じゃなくて自分でやってみたいとか思ったりしました(笑)。●演じてて怖かったなというシーンはありましたか?実際の弾着のシーンで、相手が撃ってくるときにどこに弾着のセットがされているかは現場にいたら分かるんですが、だんだん監督の演出で細かく言わなくなってきたんですね(笑)。そこはしょって行くしかないというか、時間も限られているし。その上で多分演出だと思うんですが、たまに想像以上に近かったり、大きかったり破片が飛んでくるというか。それがだんだん回数が多くなってきて、耳栓はもちろんしている時もあるんですけど、本当にかけらが飛んできたり、うるさすぎて耳がキーンってなったりとか、あれはリアルな反応を見るために監督がいたずらで仕掛けたんじゃないかなと思って、それがだんだん僕は怖くなっていきました(笑)。どこかで監督がある日、撮影も終盤近くなったころに別に瑛太が怪我したっていいからねって。そうだったんだ~と思いましたけど。撮影止まってもよかったならスタント使わなきゃいいのにって(笑)。●ダークヒーローを演じることや、アクションシーンなど新たなチャレンジが多かったと思い舞うが、特に印象的なことは?すごい凶悪犯罪者がいて、警察もどうすることもできなくて、じゃあヒーローに頼むしかないって言ったときに、僕が出てくるということはすごいチャレンジなんじゃないかなと思いますけど(笑)。やっぱり海老蔵さんみたいな人が出てきたらやっつけるんじゃないかって期待値は上がりますよね。そこで中心になっているのが僕で、本当に倒せるのかというかと客観的に思っている自分もいて。ものすごいバイクアクションができるのかといったらそうでもないですし、フィクションの中で、僕が本当の飛葉になれたらいいな、見えたらいいなっていうのはすごく思ったんですよね。僕自身も飛葉という人物を演じることがまずチャレンジではありましたし、やるんだったらちゃんと皆さんが期待するような、あいつならやっつけてくれるんじゃないかっていうキャラクターに見えていたらいいなというのはすごくありました。●深田恭子さんとの共演で新たな発見は?僕がヘルメットもつけずに深田さんを初めてバイクに乗せて車の間を走り抜けていくるシーンで、最初に感じをつかむために練習したんです。その時、「怖いーっ!こんなに飛ばすの?」て言っていたんですけど、僕も「でもこれぐらい飛ばさないとダメみたいだし、本番はもう少し速くなるかもしれないけど、掴まっていれば絶対大丈夫だから」って言っていて。それでいざ本番になったら、僕を掴んでいるテンションが全然違うんですよ。普通に柔らかくて。後で監督に聞いたら本番のときだけ一切顔が変わってなくて、怖さとかが表情に一切出てなかったって言っていて、すごいなと思いました。普段わりとおっとりしている方だから、本番になって目を合わせて芝居しているとこの人ユキなんだなという感じはすごく伝わってくるんですよね。敵対する意識と芯を持ってる感じとか。やっていて切り替えの早さと賢さをすごく感じました。●特に好きなシーンやセリフは?好きなシーンはラストシーンです。ラストシーンは撮影の終盤でみんなで集まるのも最後で、すごく景色もキレイで封鎖されていて、そこを何十往復もして何回も練習したり。往復で1キロくらいある。そこまで撮影で自由にバイク乗れることもないし、みんなでワイルド7でツーリングしてる気分になって楽しかったです。仕事を忘れてみんなで遊んでいる感じでしたね。●アクションも激しかったので日常的に気をつけていたことはありますか?ロケ地では控え室の近くにジムがあってみんなで筋トレしたりしました。あとケータリングで並んでいるご飯の量が普段より明らかに多くて、一杯食べていいんだなと思って。動くし飛葉という役は一杯食べるだろうなと決めていたので、普段の1.5倍以上は常に食べてました。お米も肉も野菜も。だから撮影を進めていくうちに革ジャンがきつくなっていった感じがありましたけど(笑)。●実際にアクションをやってみて拳銃一発撃つだけのことでも、スタッフみんなが良い意味での楽しい緊張感に包まれるんです。一発撃って芝居がダメだったとしても、もう一度やり直すためには時間と手間がかかるので、こちらとしてはすごくプレッシャーだったりするんですけど、でも心地よい緊張感がありました。アクションを魅せることを意識すると力が入りすぎたり、ぬるすぎると緊張感が失われたりするので、普段のお芝居にはない楽しい緊張感がありました。現場を進めていくうちにもっと出来たのにとか、こうしたいなとか、すごい悔しい気持ちが出てくるんですよね。うまくいかなかったなとか、飛葉だったらもっと冷静にいれたのにとか、普段のお芝居とは違う見せたいみたいな欲が出てくるから、反省点も多いというか。もっと素早く動きたいとかもっと柔軟に動きたいのに革ジャン硬いなとか、革ジャンに慣れていない自分がいたり。もっともっとやりたい気持ちが出てくるのは楽しいですね。●現場で影響を受けたこと7人が仲よしグループではないということが面白いと思いました。同じ空間で生活して、仕事をしてるんだけど、俳優としてもキャラクターとしても本当にバラバラで…。でもそこは監督とかプロデューサーの狙いでもありますし、例えば7人全員が20代だとまた違ったものになると思いますが、そこに椎名さんや宇梶さんがいることで、重みみたいなものもあったと思います。主演とかも意識してなかったです。●7人の絆を感じた瞬間は?各々が役に向き合うというか。コミュニケーションをとるシーンもそんなに多くなかったので、一人ひとりが流れを把握しながらも、どのシーンでそのキャラを見せていくかというのを皆が考えてるなというのをすごく感じていました。色濃くバラバラになっているというか。本当に、言葉でこうしよう、というはなかったです。それぞれ色々あったんだろうけど、今こうして一緒にいるという、仲よしグループではない良い距離間でできたんじゃないかな。それが絆なのか任務としてやっているだけなのか、というのは分かりませんが。●この作品の見所は?エンターテインメントとして、劇場に見に来て欲しいです。純粋に、ただバイクですごいな!とかワイルド7って強いなとか、本当にアクション映画として楽しんでもらえたら嬉しいです。作品情報『ワイルド7』監督:羽住英一郎出演:瑛太、椎名桔平、丸山隆平、阿部力、宇梶剛士、平山祐介、松本実、要潤、本仮屋ユイカ、吉田鋼太郎、深田恭子、中井貴一配給:ワーナー・ブラザース映画ワーナー・ブラザース映画(c)2011『ワイルド7』製作委員会
2011年12月12日