遺影専門の写真館がある町で起きた、悲喜こもごもの心震えるミステリー、道尾秀介さんが書いた小説『風神の手』。舞台は、西取川(にしとりがわ)をはさむ2つの町、上上町(かみあげちょう)と下上町(しもあげちょう)。その地にある遺影専門の写真館「鏡影館(きょうえいかん)」に飾られている写真が呼び水となり、数十年にわたる“縁”の物語が語られていく。道尾秀介さんは、朝日新聞で連載していた「口笛鳥」を『風神の手』の第二章に据え、その前後に加筆して、連作長編として完成させた。第一章の「心中花」は、若き漁師と女子高生という立場の違う男女の切ない恋物語が、続く第二章は、まめとでっかちという小学5年生の2人が決意を秘めて立ち向かう事件が描かれる。第三章の「無常風」で、死期間近の老婦人の告白によって、仰天の過去が掘り起こされ、エピローグの「待宵月」へなだれ込む。「真相へと迫っていく中で、犯罪が悪意で行われるとは限らないし、善行が善意で行われるとは限らないという、人間の複雑さ、面白さを書けたらいいなと思っていました」悪意のない嘘。言えなかった真実。過去の出来事の意味が裏返り、欠けていたピースが鮮やかにはまる快感。さらに、物語の鍵として、自然の神秘を感じるモチーフがちりばめられているのも、道尾ワールド。標題紙をめくると現れる、コナン・ドイルの小説から引用したエピグラフ(序文)が意味深だ。「5~6年前に読んだ小説のこの部分に強く惹きつけられたのは、めぐり合わせの不思議さを、僕もよく思うからです。いろんな偶然が影響し合って、日々、思いがけないことが起きる。たった一粒の砂がめぐりめぐって人を殺してしまうというような因果律の世界を、前々から書きたいと思っていました。人間は文明や街を作り、自然を支配してるかのようですが、どこかで風が吹くだけでいろんなことがこんなにも変わってしまう。僕自身も予想していなかったくらい、エピソードやモチーフ、人物同士が有機的につながったので、書いていて本当に楽しかった」本書に関しても奇縁があったそう。「砂がひとつの鍵になっている小説なので、カバーに使う装画を、僕が好きでライブパフォーマンスに通っていた、サンドアーティストの伊藤花りんさんにお願いしたんですね。うれしいことに、彼女は学生時代から僕の本を読んでくれていたそうなんです。世界は、人生は、不思議なもんだなぁといつも思っています」みちお・しゅうすけ作家。2004年に『背の眼』でデビュー。’10年に『光媒の花』で山本周五郎賞、’11年に『月と蟹』で直木賞など受賞歴多数。道尾さんは、作中に出てくるウミホタルを取材がてら実際に捕獲に行ったそう。「思っていたよりずっと蒼くて明るい。神秘的でした」朝日新聞出版1700円※『anan』2018年2月14日号より。写真・水野昭子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年02月12日昨年12月30日の夕方。都心のゴルフ練習場を訪れていた宮沢りえ(44)と、V6の森田剛(38)。練習場ではりえがソファに座る森田のもとへ駆け寄り、そっと唇を重ね合わる一幕も。森田が打つ際には、りえがスマホを取り出して撮影を始める。握りしめる左手の薬指には指輪が。2人の仲が報じられてから1年、今も変わらずラブラブな様子だった。 こうして森田との距離を縮めてきていたなか、りえに“異変”が訪れていた。実は、りえはひそかに舞台降板を要請していたというのだ。 「今年4月に寺島しのぶさん(45)主演の舞台『ヘッダーカブラー』が上演されますが、当初の主演はりえさんだったんです。この舞台はシスカンパニー主催で、昨年11月中旬にポスター撮影が予定されていました。しかしその直前に、彼女が突然降板を申し入れてきたそうです。りえさんは1月10日から同じくシスカンパニー主宰の舞台『近松心中物語』にも出演します。よっぽどの理由じゃない限り降板しないはずです」(舞台関係者) 昨年12月初旬、りえは公式インスタグラムのアカウントを突然閉鎖した。かねてよりインスタには森田のファンからの批判コメントが寄せられており、りえの最後の投稿には《不快な思いをさせてしまった方達、ごめんなさいね》との言葉が綴られていた。 それからしばらくたった12月23日には、同じくV6の岡田准一(37)と宮崎あおい(32)が結婚を発表している。08年公開の映画「陰日向に咲く」で夫婦役を演じたことをきっかけに出会い、15年春ごろから交際をスタートさせたと報じられていた。 「りえさんは4年に及ぶ別居の末、16年3月に元夫との離婚が成立。14年には最愛の実母を無くしており、以来、女手ひとつで長女を育ててきました。男性アイドルとの交際には、多くのハードルがあります。ゴールまでに時間がかかることもあるでしょう。彼女は今、44歳。子どももいることを考えると、交際を続けたいけれども未来のことも考えないといけない。そんな複雑な“乙女心”を抱いているのではないでしょうか」(音楽関係者) だがそんな悩める彼女を支えたのはやはり、ほかならぬ森田だったようだ。ふたりだけのゴルフデートは、あっという間に終了。だが練習時間終了のアナウンスが流れても、森田はスイングをやめなかった。 「終了時間からしばらくたってから、ようやくふたりが出てきました。森田さんが何か言葉をかけると、りえさんが笑顔を浮かべていました。彼女は夕飯の相談でもするかのように、森田さんに『どうする?』と話しかけていましたね」(居合わせた人) 練習場から出てきたころには、すっかり辺りは暗くなっていた。待たせていた車まで歩く間、ふたりはすっかりラブラブ。ときおり大笑いしながら帰路につくりえは、すっかり元気を取り戻しているようだった――。
2018年01月05日吐く息が白くなるほどの寒さとなった昨年12月30日の夕方。都心にあるゴルフ練習場に意外なカップルの姿があった。宮沢りえ(44)と、V6の森田剛(38)だ。 ともにモノトーンコーデで揃えている2人。りえがドライバーを打つ間、森田は後ろからフォームをチェック。気になる点があるとアドバイスを入れていく。しばらく繰り返した後、練習場に快音が。りえがドライバーを振り抜くと、ボールはきれいな放物線を描いて飛んでいった。 「キャー、やったー!」 嬉しさのあまり飛び跳ねると、りえは後ろのソファに座っていた森田のもとへ駆け寄る。少しかがむと、2人の顔が近づいていく。森田が目を閉じると、りえはそっと唇を重ね合わせた。一連の動作はあまりにも堂々としていて、大人の恋の香りに満ちあふれていた――。 2人の仲が公となったのは、16年10月のこと。りえの自宅に森田が“お泊り”する様子を「週刊新潮」が報じたのだ。翌11月には、本誌が沖縄旅行に出かけるふたりの姿をキャッチ。機内ではりえが森田にもたれかかり、到着後も手をつなぐなどラブラブ状態だった。 「2人は、この年の8月に上演された蜷川幸雄さん(享年80)の追悼公演『ビニールの城』で共演して意気投合。ほどなくして、交際へと発展したといいます。また“お泊りデート”翌日に森田さんが登場したイベントにも、りえさんは長女(8)をつれてかけつけていたようです。森田さんは彼女の娘さんからも慕われているようです」(芸能関係者) その後も、たびたび仲睦まじい様子が報じられてきた。昨年2月には、箱根への旅行デート報道が。また昨年8月には、森田がりえの自宅マンション近くへ引っ越していたことも明らかに。「“夫婦”生活スタート」と報じられていた。 冒頭のゴルフデートに向かう前、りえは午後から都内にある『近松心中物語』の稽古場を訪れていた。3時間ほどで稽古を終えると送迎車に乗り込み、いったん自宅へ。すると、待ち合わせていたかのように森田がすぐ近くのマンションから合流。すばやくゴルフバッグを積み込むと、そのまま急いで練習場へと向かった。 車が到着すると森田が右手で2人分のゴルフクラブを持つと、空いた左手にりえが腕を絡ませ半歩後ろをついていく。常連のようで、支配人らしき男性がエスコートしていた。フォーム修正の際には森田がりえの後ろについて、抱きつくような恰好になることも。当然りえも嫌がることなく、彼のアドバイスに聞き入っている。しばらくすると、りえはコートを再び羽織って席に座る。森田はそのまま練習を続け、ひたすらクラブを振り続けた。 すると、そのプロ並みのフォームに感動したのだろうか。りえがスマホを取り出して、撮影を始める。握りしめる左手の薬指には、指輪がキラリと光っていた。
2018年01月05日アイドルグループ・V6の森田剛が10日、東京芸術劇場プレイハウスで行われた主演舞台『すべての四月のために』の公開ゲネプロに登場した。同作には他、臼田あさ美、西田尚美、村川絵梨、伊藤沙莉、小柳友、稲葉友、近藤公園、中村靖日、山本亨、麻実れい等が出演する。同作は舞台『焼肉ドラゴン』作・演出を務め演劇賞を総舐めにし、映画『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』で数々の賞に輝いた、鄭義信が新たに書き下ろす。第二次世界大戦時の朝鮮半島近くに浮かぶ日本植民地の島で、理髪店を営む朝鮮人一家と、家族を取り巻く朝鮮人、日本人軍人たちを描く。麻美は「鄭さんとご一緒するのは久しぶりでしたが、やはりお稽古はとても『しつこかった』です」と振り返る。主演の森田については「普段寡黙ですが、今回は交わす台詞も多い役どころなので、実はすごくあたたかくて、やさしくて、そして可愛いところに触れられました。何より、舞台に向かう姿勢が真摯で素敵ですね」と称賛。「観終わった後、清々しくあたたかな幸福感に満たされる作品だと思います」と語った。脚本・演出の鄭は「森田さんとご一緒するのは初めてですが、これまでの作品にない森田さんの魅力を引き出せたのではないかと思っています」と自信を見せる。「まっすぐな演技をなさる方なので、とても見ていて気持ちがよく、ご一緒したいと思っていました。とても素敵な方です」と印象を語った。さらに鄭は「稽古場では明るく、明るくという注文も、嫌がることなく実にのびのびと(笑)やっていただけました。割とご本人、ギャグっぽいのも好きなんじゃないかな(笑)」と稽古中の様子を明かす。「テーマ自体は重いものを扱っていますが、笑って、泣けて、幸福な時間を共有できる舞台になると思います」とアピールした。東京公演は11日~29日、東京芸術劇場 プレイハウスにて行われる。京都公演はロームシアター京都 サウスホールにて12月8日~13日。北九州公演は北九州芸術劇場 大ホールにて12月22日~24日。○森田剛コメント長かったような短かったような稽古期間、毎日、多くのダメ出しをいただきました。素敵な言葉がたくさんあるので、お客様にしっかりと届けたいと思います。大変な時代を生きぬく人たちの話ですが、観ている人に勇気を与えられる作品です。あたたかい家族なので、いい家族だな、と思ってもらえると思います。その一員として観ていただけるように、稽古中の鄭さんの演出が自分の中に入っていればいいのですが、繰り返しダメ出しが出たシーンでは鄭さんの顔が浮かんできそうな気がします(笑)。本番が始まったら、役は役者のものでもあるので、のびのび演じられればと思います。きっとこの作品を観た方は、自分の家族のことを思い出すのではないかと思います。同時に、自分の未来や過去、生きている意味を考えるかもしれません。さらには祖父や祖母、父や母がいて、自分がいるんだという当たり前のことが、とても幸せなことだと感じていただける舞台になっていると思います。
2017年11月10日桜田通、渡部秀、廣瀬智紀、横浜流星、戸谷公人で2016年に公開されたオムニバス映画『シュウカツ』の第2弾『シュウカツ2』が、来春公開されることが決定。続編となる本作では、渡部さん、染谷俊之、戸谷さん、溝口琢矢を迎えることが発表された。『シュウカツ』は、ブラック企業・面接官との就職トラブルなど、社会問題とも言える“就職活動”が題材。面接官たちに半ば軟禁され、投げつけられる難問・奇問に返答し、内定を獲得しようともがく学生たちが主人公のサバイバル・サスペンスだ。その奮闘する学生にいま旬の俳優たちが扮し、オムニバスで描く。本作で各話に主演するのは、「仮面ライダーオーズ/OOO」や『進撃の巨人』、また「科捜研の女」にレギュラー出演する渡部さん。「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン」「剣豪将軍義輝」「グランギニョル」などの舞台に出演しする染谷さん。「仮面ライダーディケイド」海東大樹/仮面ライダーディエンド役や舞台・声優としても活躍する戸谷さん。そして、「ドリフェス!R」DearDreamのメンバーとしても人気沸騰中の溝口さん。さらに、前作で監督や脚本を手掛けた千葉誠治が再びメガホンをとった。『シュウカツ2』は来春、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年10月17日アイドルグループ・V6の森田剛が、舞台『すべての四月のために』に主演することが23日、わかった。同作には他、臼田あさ美、西田尚美、村川絵梨、伊藤沙莉、小柳友、稲葉友、池田努、津村知与支、山本亨、麻実れいが出演する。同作は舞台『焼肉ドラゴン』作・演出を務め演劇賞を総舐めにし、映画『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』で数々の賞に輝いた、鄭義信が新たに書き下ろす。第二次世界大戦時の朝鮮半島近くに浮かぶ日本植民地の島で、理髪店を営む朝鮮人一家と、家族を取り巻く朝鮮人、日本人軍人たちを描く。森田が演じるのは、麻美と山本が営む理髪店の次女・秋子(臼田)と結婚する新郎・萬石。実は理髪店一家の長女・冬子(西田)への思いを捨てきれずにいた。それぞれ思いを秘める結婚式の場に日本人軍人の篠田(近藤公園)が、理髪店を日本軍専用とするとの辞令を持ってやってくる。戦時下でもがくひと人の姿から、人間存在の本質をあぶり出し、人生、民族、時代を照射していくという。東京公演は東京芸術劇場 プレイハウスにて、11月11日~29日。また京都公演はロームシアター京都 サウスホールにて12月8日~13日、北九州公演は北九州芸術劇場 大ホールにて12月22日~24日に行われる。○森田剛コメント約1年半ぶりの舞台に、以前からご一緒したかった鄭義信さん作品に出演させていただくということで今から楽しみです。鄭さんが描かれる人々は、辛い状況下でも明るく、生きていくことの逞しさや強さを持っていてとても魅かれます。今回は戦時下の朝鮮半島の小島に住んでいる家族の話ということですが、いつの時代も変わらない家族というものをテーマにしっかり演じていければと思っています。○鄭義信コメント森田君(君などとは失礼かもしれないけれど、やっぱり君って感じなのです)の舞台でのたたずまいを見ていると、僕は木蓮を思いおこします。あの高い梢に白い大きな花を咲かせる木蓮です。僕が描こうとしているのは、歴史の波の中で翻弄されながらも、必死で生きようとする、ささやかな家族の物語です。その中で、彼がどんな花を咲かせてくれるのか、今から楽しみにしています。
2017年06月23日5月3日に開幕した團菊祭で、寺島しのぶ(44)の長男・眞秀くん(4)が初お目見えを果たした。長男の華々しい梨園入り。それは寺島にとって母の野望が叶った瞬間だった――。 音羽屋の第一子に生まれたが、女性だから歌舞伎役者になれなかった寺島。跡継ぎは、弟・尾上菊之助(39)。“女を呪った”日々について、彼女はこう振り返っている。 《弟が6歳で初舞台を踏んだ時、「どうして年上の私が舞台に立てないの」と腹が立つやら悲しいやらで、それに男中心の梨園ですから、我が家は弟を中心に回っていて、私一人が取り残されていく気がして……》(『週刊現代』15年10月17日号) それから30年以上、母になった彼女は長男・眞秀くんの梨園入り実現に向けて動いてきた。15年2月に菊五郎が大量吐血し入院すると、寺島は「父の目が黒いうちに眞秀を後押ししてもらいたい」と本格的に“外堀”を埋め始めたという。 「彼女の夢の実現には、他の家元やお歴々への根回しが不可欠。それができるのは、父・菊五郎さんに他なりません。そのため寺島さんは菊五郎さんのもとに足しげく通うように。公演があるときは必ず眞秀くんを連れていくようにしていました」(歌舞伎関係者) 菊五郎との仲を深めていった結果、15年5月の團菊祭で驚きの“事件”が起きた。千穐楽の際、眞秀くんが菊五郎の腕に抱かれながら舞台初登場を果たしたのだ。 「寺島さんは、この團菊祭で海老蔵さんの楽屋にも眞秀くんを連れて行きました。そこで『眞秀があなたの大ファン。iPadの写真を見せると、いつもあなたのところで手が止まる』と伝えると、海老蔵さんは大喜びに。以来、家族ぐるみでも交流。眞秀くんは海老蔵さんの長男の勸玄くん(4)と同い年で、すぐ仲良しになったそうです」(前出・歌舞伎関係者) 菊五郎と海老蔵。梨園最強の後ろ盾を得たことで、眞秀くんの梨園入りは実現へと動いた。昨年4月に行われた取材会では、菊五郎が「(娘が眞秀を)どうしても歌舞伎役者にしたいっていうのでね。ならせるなら、ゆくゆくは梅幸を継がせるかね」と明言したのだ。 梅幸とは、もともと初代菊五郎の俳名。音羽屋の中で菊五郎に並ぶほど格式の高い名跡だ。父は、寺島の長男・眞秀くんにこの名跡を継がせる意向を示したことになる。菊之助の長男・和史くん(3)をさし置いてのこの発言は、“大逆転”として世間に伝えられた。 「もちろん音羽屋の本流は菊五郎を継ぐ和史くんです。ただ寺島さんの長男・眞秀くんは、音羽屋のなかでは女系。さらに父親が外国人という“不利”な条件下がそろっていました。そうした中での菊五郎さんの発言は、眞秀くんの将来に強力な“お墨付き”を与える意味を持つと思います」(前出・歌舞伎関係者) そして実現した、眞秀くんの初お目見え。寺島の胸には熱いものがこみあげたことだろう。 「眞秀くんがいま歌舞伎座の楽屋で使っている鏡台は、曾祖父にあたる亡き尾上梅幸さん(享年79)の使っていたものだといいます。それだけ眞秀くんの将来も嘱望されているということでしょう」(前出・歌舞伎関係者)
2017年05月13日「男の子ができたら歌舞伎役者にしたい」と結婚会見で語っていた寺島しのぶ(44)。その言葉が現実のものとなった。5月3日に開幕した團菊祭で長男の眞秀くん(4)が初お目見えを果たしたのだ。 『魚屋宗五郎』の丁稚役で眞秀くんが花道から登場すると、会場から「かわいい!」と歓声が。そんな姿を客席後方で見守っていた寺島とフランス人夫のローラン・グナシア氏(49)、そして祖母の富司純子(71)らは涙にむせんでいたという。 「ローランさんはアート・ディレクターとして海外で活動していましたが、日本を拠点にすることを決断。また寺島さんも眞秀くんが2歳のときから日舞を習わせるなど、早くから英才教育に乗り出しました。さらに夫妻は眞秀くんのために専用のシッターさんを雇っており、文字通り家族一丸となってデビューを支えてきたのです」(歌舞伎関係者) 長男の華々しい梨園入り。それは寺島にとって母の野望が叶った瞬間だった――。 音羽屋の第一子に生まれながらも、女性であるがゆえに歌舞伎役者にはなれなかった寺島。跡継ぎになれるのは、弟・尾上菊之助(39)だけ。“女を呪った”日々を、彼女はこう振り返っている。 《弟が6歳で初舞台を踏んだ時、「どうして年上の私が舞台に立てないの」と腹が立つやら悲しいやらで、それに男中心の梨園ですから、我が家は弟を中心に回っていて、私一人が取り残されていく気がして……》(『週刊現代』15年10月17日号) そのため人間国宝の父・尾上菊五郎(74)や女優の母・富司らに反発したこともあったという。そんななか、女優業に自らの居場所を見つけた寺島。下積みは長かったが、“芸への飢え”が彼女をトップ女優へと押し上げていった。 だが、彼女の梨園への憧れは消えなかった。07年にローラン氏と結婚すると、冒頭のように“息子を歌舞伎俳優にしたい”と発言。12年に眞秀くんが誕生すると、思いはより強くなった。 「ハーフの眞秀くんが梨園入りしようとすることに対して、陰口を叩く人も少なくありませんでした。それでも寺島さんは、めげなかった。まだ言葉も話せないうちから眞秀くんに父や弟の舞台映像を見せ続け、歌舞伎のイロハを叩きこんできた。その甲斐もあって、眞秀くんは才能の一端を見せ始めた。大人でも難しい文言が続く歌舞伎の『髪結新三』のDVDを、ずっと大人しく見ているんですよ。これには菊五郎さんも舌を巻いたといいます」(前出・歌舞伎関係者) また今でこそ眞秀くんの習い事は日舞だけだが、今後は義太夫や三味線や鼓の稽古も始めるつもりだという。 「習いごとだけで1週間埋まってしまうほどのハードスケジュールです。かかるお金も相当なものになるでしょうが、彼女はそれも覚悟の上だといいます。すべては、梨園関係者らに文句を言わせないため。自分が継げなかった音羽屋の名跡を、何としても息子に継がせたいのです」(前出・歌舞伎関係者) 寺島自身も2月に海老蔵からオファーを受け、六本木歌舞伎『座頭市』の舞台に立った。正調ではないが、海老蔵が新設したこの歌舞伎は女人禁制の梨園に大きく風穴をあけたことになる。40年を経て、寺島の闘いは報われようとしている――。
2017年05月13日森田療法とは?出典 : 森田療法とは精神科の医師であり研究者でもあった森田正馬(まさたけ)により創始され、1919年に確立された日本独自の精神療法です。森田療法が対象とするのは、主に神経症の症状のある人です。神経症は森田療法の開発当時の症状の呼び名であり、現在の精神医学の領域では不安障害という疾患名で呼ばれています。開発の当初は不安障害のみを対象としていましたが、現在では対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、パニック障害、全般性不安障害などの不安神経症のある人や、最近ではアトピー性皮膚炎などの皮膚の疾患や摂食障害に対して森田療法を導入している病院もあります。森田療法は考え方の転換による治療法です。森田療法では主に、不安を持つ人がとらわれている意識などに焦点をあて、不安の悪循環から脱却することを目指します。悩みを持つ人が縛られている考え方に対して、異なる考え方の枠組みを提供することによって症状を緩和していきます。症状の時期によっては薬物療法と併用しながら治療を進めていきます。現在の一般的な医療においては「症状を取り除く」治療が行われています。つまり原因を探求し、取り除く、または修正していくことです。現代医学の原因を「取り除く」治療に対して、森田療法では症状である不安や恐怖などを受け入れることにより、症状を治療していきます。現代医学の「取り除く」医療は西欧由来の考え方ですが、森田療法の「受け入れ、生かす」という考え方は、東洋で発展してきた医学の考え方です。森田療法の治療の考え方出典 : 森田療法では「自然」であることが治療の大変重要な概念とされています。森田療法では、人間のあり方を「正常か異常」というとらえ方ではなく、「自然か反自然か」という考え方から捉えています。例えば、ペットが亡くなった時などに悲しみの感情が起こること自体は「自然」です。「反自然」とは、悲しみの感情を感じてはいけないと無理に取り除こうとする姿勢です。「直接症状を治そうとするとかえって治らない」という考え方が森田療法の前提です。生活で生じる心身の感情などの反応は本来自然なものです。神経症の患者の人は、自然なあり方を「このようにあらねばならない」と知性で捉え、本来自然なはずの自分のあり方を否定することにより苦しんでいると解釈されます。森田療法では、不安と闘うのではなく受け入れる態度を醸成していきます。森田療法が対象とする症状出典 : 森田療法が対象とするのは主に神経症(不安障害)の症状をもつ人です。開発者の森田正馬によると、もともと神経質な性質をもった人が日常生活の中での不快な感覚を気にすることから神経症が始まるといいます。そして徐々に不快な感覚が増幅して感じられることで、重い苦悩にかられ症状が進行すると考えられています。Upload By 発達障害のキホン森田神経質|公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団森田療法が対象とするのは以下のような症状のある人です。これらの症状をもつ人は森田神経質という独自の呼び方がついています。神経症(不安障害)のある人の大半は、自然に経験する症状を重大な病であると思い込み、あってはならないと強く排除しようとする特徴をもっているといいます。森田神経質の症状レベルとしてA,Bの基準を満たすと共に,Cの5つの基準のうち,2項目を満たすこと。A.症状(悩み)に対して違和感を持ち, 苦悩,苦痛,病感を伴う(自我異質性)。B.自己の今の状態(性格,症状,悩み)をもって環境に適応し得ないという不安がある(適応不安)。C.症状内容,症状への認知,関わり合い方などの項目のうち,2項目以上を満たすこと。1.症状(悩み)が起るのではないかという持続的予期不安を持つ(予期不安)。2.症状(悩み)の焦点が明らか(主に1つのことについて悩んでいる防衛単純化)3.自分の症状(悩み)は特別,特殊であると考える(自己の悩みの特別視)。4.症状(悩み)を取り除きたいという強い意欲を持つ(症状克己の姿勢)。5.症状の内容が,通常の生活感情から連続的で,了解可能(了解可能性)。北西憲二/編『森田療法を学ぶ―最近技法と治療の進め方』2014年 金剛出版/刊森田神経質になりやすい人出典 : 森田神経質になりやすい人として、森田は「内省的」「執着性」「心配性」「完全主義」という4つの性格特徴をもつ人を挙げています。■内省的である反省心が強く、真面目で責任感が強いが、わずかの弱点・欠点も過大視し、劣等感を抱きやすい。■執着性が強いねばり強く忍耐強いが、物事にこだわりやすく、融通がきかない。■感受性が強く心配性な人細かいことによく気が付き、人の気持ちを思いやることができるが、不安や苦痛に過敏となり、取り越し苦労をする。■完全を目指しがちである向上心、完全欲が強く、努力を惜しまないが、完全主義に陥りやすく、不完全であることを許すことができない。以上のような4つの性格特徴の人が森田神経質になりやすいといわれてます。森田によると、このような性格特徴のある人は、不快な感覚を気にすることを発端として、症状から脱却しようと強く願うがあまりに結果として悪循環に陥り、さらに不安定になりやすいとされます。森田療法における神経症のメカニズム出典 : ここまでは森田神経質の症状の特徴と、森田神経質になりやすい人の性格特徴について見てきました。森田は独自の理論により、神経症(不安障害)の症状のメカニズムがあるといいました。ここでは、森田療法における神経症(不安障害)の起こるメカニズムについてご紹介します。森田は、神経症(不安障害)の症状は「理想の自己の肥大」と「悪循環」により起こっているといいます。森田療法では、自己に対する意識のあり方を見直すことにより症状を和らげていきます。自己には、「理想の自己」と「現実の自己」という二つの種類があります。「理想の自己」とは「このようになりたい」と望む自分です。「現実の自己」とは、「このようにある」今の自分です。人は、「このようにありたい」と理想の自己の目標を掲げることにより、現実の自己を理想に近づけようとしていきます。Upload By 発達障害のキホンしかし、神経症(不安障害)の症状で起こっているのは、「このようになりたい」という思いが大きくなったがゆえに起こる、理想の自己が大きくなりすぎている状態です。この大きくなりすぎた理想の自己を、「肥大した理想の自己」といいます。ここで生まれた、理想の自己と現実の自己とのギャップは、「このようにあらねばならない」という義務的な思いへと転換し強い葛藤が起こります。この状態の時の特徴として持たれがちなのは、不安や恐怖の全くない状態を望んだり、「症状さえなかったら自分は望む自分に必ずなることができる」という意識です。現在の自分の状態を受け入れられず、なんとか理想の自己に近づけたいと思うことでさらに悪循環が起こります。例えば、就職試験の面接を例にして考えてみましょう。重要な就職試験の前には、緊張をしてうまくいかなかったらどうしようと不安になります。うまくやりたいという欲求が強ければ強いほど、不安や恐怖も大きくなります。不安や恐怖の感情が起こることは当然であるので、感情や欲求を受け入れられればよいのですが、理想の自己が肥大した場合には、「緊張することはだめなことだ」と考えてしまいます。そして、緊張してしまう自然な心の動きを受け入れられずに緊張する気持ちをどうにかしようと、何度も練習を行ったり、瞑想をしたりして緊張をなくそうと対処します。本当は自分の気持ちを面接官に伝えることが目的であるはずなのに、緊張を取り去って堂々と話すことに心が向かってしまいます。こうしてうまくいかなかったときには、「緊張する自分が弱いから」「だめだから」と悩み、現実の自己を追い詰めてしまいます。このように理想の自己が過度に大きくなり「こうあらねばならない」と意識をするあまり、現実の自己を縛り、問題から逃げようとするほど悪循環にはまる、これが神経症で起こっていることの一つです。Upload By 発達障害のキホン森田療法を理解するための5つのポイント出典 : 森田療法は、開発の当初には治療方法がはっきりと示されていませんでした。それぞれの医師が自らの解釈で治療を行うため、実施する医師により治療の方法にはバラつきがありました。しかし、森田療法が普及するにつれて画一的な治療の基準が求められ、その結果として2009年に森田療法のガイドラインが査定されました。そこには森田療法の治療方針の5つが定めらています。さまざまな神経症状の根底には不安や恐れ、恥、怒りなどがあります。森田療法ではまず、それらのさまざまな感情に気付いていくことを目指します。治療者からは、症状が出たときの体験について「どんな気持ちだったのですか?」「どのように感じていたのですか?」という質問を繰り返し質問を受けることによって、自分の感情を自覚していきます。また、森田療法では「感情は流れていくもの」とされています。パニック障害を例として挙げると、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、数分以内に頂点に達すると書かれています。頂点を過ぎると不安が鎮まっていきます。このような「感情はそのままに放任すれば自然に消えていく」という法則に気がつけば、感情をなくそうと処理することなくそのままでいることができるようになっていきます。森田療法においては、恐怖や落ち込みなどの感情に圧倒されている患者はそれだけエネルギーがあると考えられています。それらのエネルギーは「生きる欲望」といわれ、恐怖や落ちこみなど負の感情の裏側に隠れています。治療では、そのエネルギーである「生きる欲望」を見つけ、自分を追い詰めるためにそのエネルギーを使うのではなく、自分を生かし現実に働きかけるものとしてそのエネルギーを使っていきます。普段の生活の様子をふり返り、自身が何に関心をもっているのかを考えることが「生きる欲望」の発見に繋がります。「これからどのようになりたいのか」「治ったらどのような生活をしたいのか」という問いについて考えることによって自分の欲望を発見していきます。そして発見をしたあとには、「心が動いたらすーっとそれに乗る」というように、気持ちの動きを実際の行動に繋げていきます。神経症の症状では、先ほども説明したように感情の「悪循環」が起こっています。つまり、ある感覚に対して過度に注意が集中すると、その感覚がますます過敏になり注意が固着してしまうことです。森田療法では、症状におけるこのような「注意と感覚の悪循環」のからくりを患者自身が理解することが大切です。治療者は、症状が出たときの体験に対して、「どんなことをそのときに考えていましたか」などと問い、「もっと●●でなければならない」といった考えに拘泥していることに自覚を促していきます。上でご紹介したように、悪循環に気付いたり、感情を自覚したりと心や頭の動きに着目したあとには、行動に踏み出していきます。大抵は症状が改善したあとに行動に踏み出せばいいと考える場合が多いですが、森田療法では不安や症状を行動にも踏み込んでいくことが大切とされています。なぜ積極的に行動を行っていくことが大切なのでしょうか。行動していくことのねらいは、「症状中心のあり方から生活中心のあり方」へと意識を転換させることです。最初は症状を気にするばかりであった意識のあり方は、小さい目標を決め、行動を重ねていくことで、結果的に活動的な生活態度へと繋がっていきます。行動にあたっては、治療者が指示をするのではなく、患者と治療者が相談をして行動の課題を見つけ目標を決めていきます。注意点としては、行動する際に出てきた不安などの症状よりも、目標を達成できたかどうかを第一に考える姿勢が大切だということです。この目的を達成できたかと評価の基準にすることを森田療法では「目的本位」といいます。神経症の症状による行動のパターンを明確にすることにより、「●●のようにあるべき」という考え方による「肥大した理想の自己」を見つめなおします。個々の行動に表れる神経症のパターンを見直すことは、最終的にはその患者の生き方を問い直すということになるといいます。例えば、強迫性障害の患者は症状の出る前から、完璧主義や心配性などの性格の特徴があったために、「不完全となってしまったら怖いのでやらない」など自らの行動を制限している場合が大いにあります。森田療法を進めるにつれて、不完全が気になるというのは、「そもそも完璧主義や心配性という考えすぎる性格スタイルが問題なのではないか」と自ら気がついていくようになります。森田療法では、症状のみではなくその根底に横たわる自分のあり方さえも見つめなおしていきます。北西憲二/編『森田療法を学ぶ―最近技法と治療の進め方』2014年 金剛出版/刊森田療法の治療は認定医により行われる出典 : さきほどの章でご紹介したガイドラインの5つのポイントを中心として神経症の治療は行われます。では、具体的にはどのように治療は行われていくのでしょうか。森田療法には、入院療法と通院療法があります。森田療法が確立された当時は入院による治療が主でしたが、現在では一般的には通院によって症状の改善を行います。ここでは、現代の森田療法で主流とされる通院療法を中心に森田療法の治療の具体的な進め方についてご紹介していきます。通院療法の他に入院療法についてもご紹介します。通院療法の基本は治療者との面接です。病院との距離が遠い場合には面接はメールやスカイプで行われることもあります。治療者は、精神科医や森田療法学会による認定医です。通院療法では、治療者が患者に対して行動や考え方について助言を加えていくというスタイルがとられています。まず、症状が発症するに至った経過を見ながら、問題点を絞り込んでいきます。症状や絶望や苦しみ、恐れの感情に治療者に語り、苦悩に追い込まれている今の自分のあり方をそのままつかむ作業から治療を開始していきます。初回の面接では、森田療法における「とらわれ」「はからい」などの森田療法独自の視点を使いながら、治療者から投げかけられる問いに患者が答え問題の読み換えを行っていきます。例えば、体のふるえが気になって仕方がない患者について考えてみましょう。患者が症状が出たときの体験をについて話すと、治療者からは「そのときにはどこに注意が向かっていましたか?」などと問いかけられます。そして、問われることにより自分を見つめなおしていくうちに、「もっと堂々としていなければならない」という思考や、「ふるえたらみっともない」という意識がかえってふるえを助長しているのではという思考の「とらわれ」「はからい」に気づくことになります。森田療法では、面接と並行して日記を書くことも治療の一環として行われています。「書くこと」「言葉にすること」が森田療法においては大きな特徴となっています。日記療法は開発者の森田が1919年に入院森田療法を確立した時から行われていたものです。日記には、生活の中での取り組みや実践を書いていきます。「こうあらねばならない」と自分を縛っている頭の中の思考を紙に書いて、客観的に自分の感情や考えを見つめることにより、自分の感情をありのままに受け止め、自分を理解することにつながります。面接ではなかなか内面を素直に表現できない人にとって日記はありのままの自分を表現できる場となります。症状からの回復とは、悩む以前の状態に戻ることではなく、自ら自分の感情に気づき、行動を変容させることができるようになったときであり、これが治療の完了です。入院療法は、森田療法が確立された当初主流だった伝統的なスタイルです。施設や患者の学校や仕事の関係上、現在は外来による森田療法がメインですが、入院による森田療法を行う施設もあります。対象は、通院によって森田療法を受けてきたけれど今一つ行動を広げることができなかった場合や、症状のために日常生活に支障をきたしている状態の場合などです。通院療法と同じく、医師や臨床心理士、森田療法学会による認定医によって治療は行われます。治療の期間は、大体2ヶ月~半年程と治療の期間には大きな幅があります。入院療法は4つの時期に分けて回復までの道のりを考えます。◇第1期第1期は、終日横になったまま過ごします。横になったまま、一定期間を過ごすことにより疲れた体と神経を休めます。この時期のポイントは、恐れや不安などの症状に対して何の手も加えず起こるままにします。この約5~10日の期間は、食事、風呂、トイレ以外の行為は禁止されており、人と会うこともできません。この期間は、絶対臥辱(がじょく)期と呼ばれています。絶対臥辱期に始終寝て過ごすことのねらいは、もちろん心と体を休めることです。しかし、後半2,3日に感じる退屈な気持ち、そして「活動したい」という欲求を高めることが最大のねらいです。この状態に至ることがその後の治療の足がかりとなります。◇第2期第2期は軽作業の時期です。寝たきりから起床した最初は、大きく活動をすることはしません。屋外に出て散歩や草花の観察をすることから始め、部屋の整理や陶芸など軽い作業を行います。治療者が作業を課すのではなく、入院者自身が気がついたことを行っていくスタイルをとります。気分や症状にとらわれることなく、できることからやっていくということが基本となります。この時期から、個人面談と日記の指導を行います。夕方から夜に不安が再燃しやすくなることから、入院者は夕方・夜に日記を記載し、次の日の朝に治療者に提出します。◇第3期第3期は、日常的な作業を行っていきます。第2期までは、治療者以外の人とふれあうことはありませんでしたが、第3期においては、人との共同作業も行います。具体的には、植物の水やりや犬の散歩などの作業、園芸、木工や料理などを行います。作業の内容や担当はグループの中でミーティングを行い話し合いを行いながら決めていきます。どんな作業が必要となるのか観察をして、グループ内で話し合いをしていくことに大切な意味があります。この時期のポイントは、達成感の体験と、現実に即して臨機応変な態度をとることです。大体1~2ヶ月くらいの期間を費やしてこのような態度を身につけます。作業期には、不安や症状を抱えながらも、目の前の必要な行動に積極的に関わっていく行動が大切となります。それらを体験することにより、不快な症状に対する執着から解放されていきます。◇第4期第4期は社会生活への復帰の準備期であり、1週間~1ヶ月程度です。外出、外泊を含めて社会復帰への準備をします。場合によっては院内から通学・通勤も認められます。入院療法について|公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団認定医制度について|森田療法学会森田療法は自分でもできる?出典 : もちろん、病院へ通って専門家により治療をしてもらえればよいのですが、時間などの都合により病院に通うことができないこともあるかもしれません。森田療法は自分で行うこともできるのでしょうか。メリットとしては通院費がかからない、病院まで行く必要がないことですが、デメリットとしては、どのように実践していくのか治療の方法が見えづらいことや、森田療法を継続していくためには根気が必要であることなどがあります。森田療法では「知識を身につけることでも楽になる」と言われており、神経症の症状の仕組みを理解することが治療へのもっとも近道だといわれています。自助グループに入ったり、ネット上の掲示版である体験フォーラムに参加したりすることで森田療法理論を勉強することにより、生活の中に森田療法を取り入れていき、症状の軽減を行っていきます。森田療法を実践し症状を克服した人から自らの経験や意見、アドバイスを貰うことで、実際に症状に悩み、克服した経験に根ざした意見を参考にすることもできるでしょう。自助グループに参加をすることにより、森田療法の実践の方法を学んだり、他の会員と情報を交換することができます。入会金と年会費が必要ですが、1ヶ月に1回全国で集談会という集まりがあり、世話役といわれる人や、同じく神経症のある参加者から話を聞くことができるなど、回復までを後押ししてくれます。3ヶ月にわたる基準型学習会やオンライン学習会などが定期的に開催されています。2007年に発足され、全国に集談会は120か所以上あります。生活の発見会その他にも、ネット上の会員限定の掲示板があり、神経症の症状を現在、あるいは過去にあった人がコミュニケーションをとり森田療法について学ぶことができます。この掲示板では月に1度の割合で、医療現場で活躍されている医師からアドバイスをもらうことができます。体験フォーラム|公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団森田療法を受けるまでの流れは?費用は保険が適用されるの?出典 : 森田療法を病院で受けたい場合には、森田療法が対象とする症状に合うかどうか医師が判断し、条件に見合った場合には森田療法を受けることができます。患者の状態に応じて、入院療法か通院療法かを相談を行います。通院治療と医師から判断された場合には、日記の記載や面談についてなどを医師が指示します。入院希望の方には病棟見学は、条件に見合った場合には病棟の見学を行ってもらいます。費用は、健康保険が適用されますので3割負担で受けることができます。入院を希望される場合も同様に保険適用になります。所得に応じた医療費の自己負担額の上限が定められます。入院の場合には、治療費用に加えて、食事代と宿泊代などが必要となります。森田療法を行っている医療機関については、以下のウェブサイトにまとまっているので参考にしてください。森田療法医療機関|公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団まとめ出典 : 森田療法とは、森田正馬によって確立された日本生まれの精神療法です。神経症(不安障害)を対象とした療法である森田療法は、不安や恐怖を消そうとするのではなく自然な状態であると受け入れ、行動を行うことにより神経症の症状を軽減させていきます。この記事では森田療法の考え方、治療が適応される人、ポイントや実際の具体的な治療や費用についてご紹介してきました。1919年に開発がされてから約100年ほどの時間が経ち、時代の流れに即して治療方法がアレンジされている部分もありますが、「ありのままに生きる」という価値観は当初から変わらず治療の軸となっています。症状が起こっているメカニズムを理解し、自分の感情についてそのまま受容していくという姿勢をもつことにより、症状だけに意識が向いている状態から、日常生活での自身のあり方へと視点を広げていくことができます。現代では、認知行動療法や薬物療法など他の治療行為とともに併用されることが多いです。医師と相談をしながらご自身に合う方法で治療を行っていけるといいですね。青木薫久/著『森田療法のいま―進化する森田療法の理論と臨床』2011年 批評社/刊北西憲二/著『はじめての森田療法』2016年 講談社/刊
2017年01月19日沢口靖子が警察の科学捜査研究所=通称・科捜研の研究員を演じて人気のミステリー「科捜研の女」の正月スペシャルが、新キャストに渡部秀を迎え1月3日(火・祝)今夜、テレビ朝日系で放送される。京都府警科学捜査研究所、通称・科捜研の法医研究員・榊マリコを沢口さんが演じ、マリコを中心とした、ひと癖もふた癖もある研究員たちが法医、物理、化学、文書鑑定などの専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描く「科捜研の女」シリーズ。99年の第1シーズン以来現在放送中の第16シーズンまで、17年の間人気を集め続けてきた。第16シーズンではさまざまな分野の“大物スペシャリスト”たちがゲストとして登場。尾美としのり演じる“微表情”研究のエキスパート・矢萩修武をはじめとしたバラエティーに富んだスペシャリストたちとマリコとの対峙や協力も見どころになっているが、そんななか2011年の放送から科捜研で銃器鑑定、機械・建造物の破損。交通事故解析などの物理担当をしていた長田成哉演じる相馬涼が、カナダの科学捜査センターで研鑽を積むことを決意し、惜しまれつつも科捜研を退職。今回の正月スペシャルとなる第9話から、新たな物理担当として渡部秀演じる橋口呂太が着任することになる。現在25歳の渡部さんは高校在学中の2008年に「第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリに輝き、その後「仮面ライダーオーズ/OOO」の主人公・火野映司を演じて注目を集めると、連続テレビ小説「純と愛」の狩野剛役や映画『進撃の巨人』のフクシ役などで着実にキャリアを重ねてきた期待の若手俳優。そんな渡部さんが今回演じる橋口呂太は、誰にでもタメ口でマイペースだがかわいげがあって憎めない性格。しかし鑑定の腕は抜群で物理研究員としては超優秀というキャラクターだといい、本編での活躍が楽しみだ。そんな渡部さんを迎えて送る今夜のストーリーだが、バイク便会社社長・間山悟(羽場裕一)の1歳の息子が何者かにさらわれる事件が発生。現場からバイクの痕跡が発見されマリコら科捜研のメンバーは犯人らしきバイクの男の行方を追うことに。滋賀県警刑事・岩内剛(六平直政)らと合同捜査を開始した直後、科捜研の新人研究員・橋口呂太(渡部さん)が国道で犯人のタイヤ痕を発見。近くからは犯人が落としたと思われる緑色の粘着テープも見つかり、テープから誘拐された赤ちゃんと間山の指紋が検出される。彼と妻・圭子(森尾由美)のやりとりに不自然なものを感じていた土門刑事(内藤剛志)らは父親の間山の犯行を疑いはじめる。ほどなく間山の会社に3000万円の身代金を要求する電話が入り、通話を分析した結果犯人は琵琶湖近くの公衆電話ボックスからかけたことがわかる。それを聞き激しく動揺する岩内。なんと今回の事件、24年前に起きた未解決の誘拐事件と酷似。未解決だったその事件、当時容疑者として浮上したのはなんと間山夫妻であり、岩内はその誘拐事件の捜査員だったという…。そんななか犯人からの2度目の指示が入り、マリコと呂太は身代金を運ぶ間山の車を極秘追跡する…というもの。果たして24年前の誘拐事件の真相は?そして赤ちゃんは無事救出できるのか!?新たな物理担当が加わった科捜研の活躍に注目。「科捜研の女 正月スペシャル」は2017年1月3日(火・祝)21時~テレビ朝日で放送。(笠緒)
2017年01月03日俳優の渡部秀が、テレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』(毎週木曜20:00~20:54)に新メンバーとして加わることが11日、明らかになった。来年1月3日(21:00~)の正月スペシャルから登場する。主演の沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所(科捜研)の法医研究員・榊マリコを中心とした、ひと癖もふた癖もある研究員たちが、専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描く同作。今月15日の放送で、物理担当研究員・相馬涼役を演じてきた長田成哉が卒業するが、この後任として渡部が加わることになった。渡辺演じる橋口呂太は、誰にでもタメ口で話しかけるマイペースな若者だが、物理研究員としては超優秀という設定。初登場する正月スペシャルは、父親が公衆トイレに入った一瞬の隙に赤ちゃんがさらわれるという事件が起こるが、急きょ科捜研に呼ばれた呂太は「あ、ボク遅刻しちゃった? ごめんなさーい。だって急に呼び出されたんだもん!」と、おにぎりをほおばりながら現れ、マリコたちをあ然とさせる。このほど、初めて東映京都撮影所内のセットを訪れた渡部は「ずっと受け継がれてきた作品に加わる緊張感は、とても大きかったです」とプレッシャーを感じた様子。それでも、沢口から温かく迎え入れられ、「呂太は突拍子もないキャラクターですが、皆さんから呂太への愛情を感じることができて、とてもうれしかったです」と感激していた。沢口も「渡部秀くんは現場で監督にいろいろ質問して、的確な芝居をしようと努めていらっしゃいました。頼もしい新メンバーを迎えた『科捜研の女』、引き続きご期待ください!」とコメントを寄せている。
2016年12月11日漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者・秋本治氏が、4日に放送されたフジテレビ系トーク番組『ワイドナショー』『ワイドナB面』(毎週日曜10:00~10:55/10:55~11:15)にゲスト出演し、連載が終了することについて心境を語った。連載40周年となる『週刊少年ジャンプ』42号(9月17日発売)をもって、終了することを3日に発表した秋本氏。単行本の最終巻が200巻になることに触れ、「1作1作書くのが精いっぱいで、気がついたらという感じですよね」と淡々と振り返りながら、「『こち亀』が40週年の42号で終了します」と報告した。スタジオが騒然となる中、松本人志は「最終回はゴルゴを捕まえてほしいなぁ」と『こち亀』と同じく長期連載が続いている『ゴルゴ13』の主人公・デューク東郷の逮捕を提案して笑いを誘い、秋本氏も「あー!いいアイデアですね!」「ちょっと書きたかった」とまんざらでもない様子。「ゴルゴを追って巻数を争ってた時期もありましたから」「(負けないように)がんばりたいと思っていました」とライバル作品だったことを打ち明けた。気になる最終話は「これから」で、すでに内容は決めているという。40周年の節目で終えることについては、「今もずっと楽しんで描いています。でも、長編作品はどこかで終わりにしないといけない。200巻というのも大きな節目になりました」と説明。「ちょうど40周年のお祝いの時。両さんはお祝いごとやお祭りがすごく好きだから、その時にお祭りをワーッとやって姿を消すのが、キャラ的にもエンディングかな」と主人公・両津勘吉への思いも口にした。また、「やっぱり止められました。続けてほしいということで」と編集サイドから説得されたことも明かす。『こち亀』終了後はしばらく休むが、秋本氏が「大きいポイント」と前置きして伝えたのが、「漫画家を辞めるつもりはなくて。両さんと同時並行で描いていた作品もあるのでそっちを続けようかなとも考えています」という衰えることのない創作意欲だった。番組の締めくくりにコメントを求められると、「40年と200巻ということなんですが、やっぱり読んでくれる人たちがいるからで。少年漫画で40年書かせてもらえるのはすごく幸せなこと。200巻ということは200冊。200冊まで出してくれるということは、漫画家にとってはすごくうれしいこと。決して悲しいことではなく、支えてもらったことにすごく僕はお礼を言いたいです。本当に」と読者や関係者に感謝。「1話完結の作品。続き物だと最終章で盛り上がっていくんですけど。極端に言うと"いつ終わってもおかしくない"状態の作品なので、なるべくだったらいつも通り自然のまま、最終回を迎えられた方がいいかなと思っています」と国民的長寿漫画の重みをうかがわせた。
2016年09月04日「自由になれる瞬間があるんですよね」――。森田剛は静かに、ポツリとつぶやくようにそう語った。こちらが投げかけた質問の内容は「いま、どんなところに役者という仕事、役を演じることに対する楽しさを感じているのか?」というもの。脚本に書かれている他人の人生を生きる。そこには当然、セリフだけでなく動きなども含め、約束事や縛りが存在する。そうした状況で“自由”を体感するというのは逆説的である。「そうなんですよね(笑)。特に舞台となると、立ち位置とか決まってることが多いんですけど…その中で、いろんなものを解放して自由になる感覚があるんです。それが楽しい」。ここ数年、V6での活動に加え、役者として舞台での経験を地道に積み重ねてきた森田さん。2010年の『人間失格』以来の映画出演となった『ヒメアノ~ル』では、自身と同じ森田という名の、連続殺人鬼の役を演じ、恐ろしいまでの存在感を放っている。今年度の映画賞レース…いや、日本の映画史にも名を刻むであろう稀有なる凶器の男をどのような思いで演じたのか?演じることで自由の翼を手に入れる男の胸の内に迫る。原作は「行け!稲中卓球部」で知られる人気漫画家・古谷実の“問題作”。清掃会社で働く青年・岡田(濱田岳)は、ひょんなきっかけで高校の同級生だった森田と再会する。岡田の知る森田は、高校で壮絶なイジメを受けていたが、いまでは欲望のままに人を殺める快楽殺人者となっており、あることがきっかけでその狂気が再び暴走し始め…。映画は、ごく平凡な青年・岡田の不器用な恋愛模様と殺人者・森田の凶行という2つの物語が展開し、徐々に絡み合っていく。自身が出演していないパートも含め、完成した作品を見て森田さんは「2つの両極端な世界が森田の色に徐々に染まっていく過程はすごくドキドキしたし、気持ち悪さを感じました」と明かす。森田が醸し出すこの気持ち悪さとは何なのか?決して『ダークナイト』のジョーカーのような、見た目からして“いかにも”な悪役ではない。「殺人鬼役だけど強烈なキャラでもないし、どこにでもいそうなヤツなんですよね。でもそういう“普通”の男に普通の人々が染まっていく…それがすごく怖いなと思います」。演じる上で意識したのは、まさに「いかにも『僕、殺人鬼やってます』という感じを出さないこと」だった。「監督(吉田恵輔)から言われたのが『人間、何考えてるかわかんないし、さっき考えていたことも忘れちゃうくらい、集中力なんて長続きしない。さっきまで人を殺してた人間が、普通に飯を食べていたりする』ということ。アパートで人を殺すシーンがあっても、それをなるべく引きずらないように、後ろに控えてる撮影のことなども考えずに、その瞬間を生きることに集中しました。通常であれば、その人物に起きたひとつの出来事は、その後に何かしら影響していくものだけど、この役に関してはなるべく影響されないように気をつけましたし、それは初めての経験で難しかったです」。近年、主戦としていた舞台では「金閣寺」、「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~」、「鉈切り丸」、「夜中に犬に起こった奇妙な事件」、「ブエノスアイレス午前零時」と様々な葛藤や苦悩、欲望を胸に抱えた主人公を見事に体現してきた。およそ6年もの間、映画から遠ざかっていたことについて、特に理由はないとしつつ「舞台でお芝居を勉強したいという気持ちはずっとあって、それをいつか映像の世界でチャレンジできたらと思ってました」とも。「これ!」と具体的にハッキリと、舞台での経験が今回の森田役に活かされたかを説明することはできないかもしれないが、その佇まいや向き合う過程の中に刻み込まれているはずだ。「蜷川(幸雄)さんの舞台で、首吊り自殺をした人間と会話をするシーンがあったんです。蜷川さんはその時『ハエが見える』って言うんですよ(笑)。『頭の中をハエが通って、それを振り払いながら会話をするんだ』って。森田を演じている時、なぜかそのことを思い出しましたね。こういう役に関しては、これまでも多かったので免疫はついてました(笑)」。とはいえ、殺人者を演じていく中で、自分なりに気持ちをコントロールすることも必要だった。ロケではこんな工夫も。「空き時間にペットショップに行って気持ちを落ち着かせるのが毎日のリズムになってました。最初は平気だと思ってたんですよ。でもひとり殺して、2人殺して…3人目、4人目を殺すシーンを撮影したくらいからだんだん重い気持ちになってきて。何かないか?と考えて、ペットショップは必ずどこかにあるので、事前にロケ地の近くのお店を探しておいて、動物たちを見て、また現場に戻るという。さっきも言ってた、シーンごとに忘れるという意味でもちょうどよかったです。『ちょっと重たいなぁ』という時は行ってました」。現場の雰囲気や共演者との関係性は?「現場は普通でした。ただ、やはりバカ騒ぎはできないし、(共演者と)一緒に並んで座っていても、黙る時間、集中する時間は多かったですが、監督の人柄もあって明るい現場でしたよ。そこでも、なるべくひとりの世界にグーッと入り込み過ぎないようにはしてました。なるべく人と目を合わせて…だんだん、合わせたくなくなっちゃうんですよ(苦笑)。どうしても下を向きたくなっちゃって」。ためらいも葛藤も、「なぜ殺すのか?」という理由もなく他人の命を奪っていく森田。行動原理が全く理解できないが、森田さんは「わからないことをやる方が楽しい」とも。いや、そもそも、世間の目からしたら、ジャニーズアイドルが、映画で連続快楽殺人者を演じるということ自体、大きなニュースだが、そこにためらいや、自身のイメージに対する心配などはなかったのだろうか?「それは全くなかったです。むしろ、こういう取材でそうやって聞かれることが多くて、だんだんそう思えてきたくらいで(笑)。語弊があるかもしれないけど、舞台をやっていても、正直、お客さんがどう思うか?という部分はあまり興味がないんですよね。ある意味、無責任に自分たちや演出家が『これが面白い』と思えるものをやれればという気持ちです。だから今回の映画に関しても、原作のファンの方に対しても『映画はこうなりました』と自信をもって言えます」。ジャニーズの俳優の中でも異彩を放つ37歳。「お芝居がどんどん好きになっていくし、楽しいなって思います。それは20代のころはあまり感じなかったことですね」。40代、さらに先とどんな姿を見せてくれるのか?その時、森田剛はどんな自由を手にしているのだろうか――?(text:Naoki Kurozu)
2016年05月30日「V6」の森田剛の初の単独主演映画『ヒメアノ~ル』が5月28日(土)に公開を迎え、森田さんをはじめ、共演の濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、吉田恵輔監督が舞台挨拶に登壇した。「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実の人気漫画を実写化。平凡な生活を送っていた岡田は、かつての同級生の森田と再会するが、徐々に彼の本性が明らかになり、森田の起こす連続殺人事件に巻き込まれていくことに…。森田さんら登壇陣は、客席通路を通って壇上へ。映画を観終えたばかりの観客からは拍手と歓声が上がる。この日、登壇陣はそれぞれ、本作における“初体験”を告白!森田さんはこの映画で“初”の単独主演を果たしたが「監督と地方を回ったり、イタリアの映画祭に行ったのも初めてで、映画っていいなぁと思いました」と充実の表情。作品に関しても「自信をもって『観てください』と言えます。いろんな角度から、いろんな感情がわく作品だと思います」と自信のほどをうかがわせる。連続殺人犯役とあって撮影は「緊張の連続でした」とも明かす。撮影の合間に、現場の近くにあるペットショップをたびたび訪れていたそうで「今日は一人、やっつけて、2人、3人と増えていくと、猫背になってきて、重い気持ちになる…(苦笑)。ペットショップに行って(動物たちに)癒されてました」と意外なテンションアップ術を明かしてくれた。濱田さんと佐津川さんは、全裸での激しいラブシーンを“初体験”に挙げる。濱田さんは「はだかんぼうになって、ああいうシーンに挑むのは初めて。服を着たままはあったけど…。誰が得するんだ?と思いましたが(笑)。佐津川さんの方が男前でおれの方が恥ずかしがってました」と告白。佐津川さんは、のちの展開にもつながる大事なシーンということで「いい角度でセクシーに映れたら…と思って密かに研究してました」と明かし「(濱田さんと比べて)私の方がパッと脱いでました!」とニッコリ。吉田監督は「エロかったよ!男らしかったです」と佐津川さんの肝の据わりっぷりを称賛していた。ムロさんは銃で撃たれる経験が初めてだったと述懐。撃たれる部位には“弾着”と呼ばれる仕掛けを服の中に仕込むが、ムロさんの場合、撃たれるのが「“ティンコ”だった(笑)」ということもあり、いろいろな難しさや恐怖があったよう。「スタッフさんも、この部分に着けるのは初めてで『どうなるか分からない』と言ってた」と、場合によっては大事な部分が吹っ飛ぶ(!)危険性もあったと匂わせる。「“ツヨシ”、ガーゼ、ガーゼ、弾着という感じで(装着し)、テストなしで本番に挑みましたが、ツヨシは無事でした!」と語り、会場は爆笑に包まれていた。『ヒメアノ~ル』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月28日森田剛の圧倒的な狂気の演技が絶賛を受けている、5月28日(土)公開の『ヒメアノ~ル』。このほど、「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の人気漫画家・古谷実による原作とは違う映画のラストに、涙する人が続出していることが分かった。平凡な毎日に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働いている青年・岡田(濱田岳)。ある日、同僚の先輩である安藤(ムロツヨシ)から、密かに思いを寄せるカフェ店員・ユカとの恋のキューピッド役を頼まれた彼は、ユカのカフェで高校時代の同級生・森田と再会する。その後、ユカの口から、彼女が森田らしき人物からストーキングされていることを知らされ、不穏な気持ちを抱き始める岡田。やがて物語は、岡田と安藤とユカの三角関係から、現在では快楽殺人者となった森田によって、変化のなかった日常が狂気に満ちていく――。蜷川幸雄、宮本亜門、いのうえひでのりなど、錚々たる演出家の舞台作品で培い、演技力を高く評価されている森田さんが、人間をターゲット(餌)としか思わない連続殺人犯・森田を怪演し、マスコミ関係者や先行上映でいち早く本作をみた観客の間では、「森田剛が恐すぎる!」と、とにかく話題となっている本作。だが、そんな声に反して、SNSでは「怖いよりも感動で泣いてしまった」「手のひらの中で手汗拭くために握られたハンドタオルが、まさか涙を拭くためのタオルになるとは」といった感想もあがっているという。もちろん「森田剛が恐すぎて泣いた」という声もあるが、その“泣き”の真相は、原作とは違うラストにあることが明らかになった。原作のラストといえば、森田が警察官に声をかけられるシーンで終わる。だが、本作の脚本も手掛けた吉田恵輔監督は、「クライマックスなど、個人的には映画には何かしらエンターテインメントな要素を入れなきゃいけない」と自論を述べ、「だから、原作のシュールな終わり方も好きだったのですが、あえて原作にはなかった森田と岡田が対峙するクライマックスを作ることにしました」と、大胆に脚色した理由を語る。さらに、「原作では森田の内面部分をかなり描いているのですが、それは映画的ではないと思ったし、それを中途半端に語ってしまうと、殺人犯を擁護してしまうものになってしまう恐れもある。分からないものは分からないし、共感できないものは共感できない。つまり、原作との大きな違いは、森田を突き放して、ある程度の距離感をとったこと」とも明かしている。そんな監督の見事な脚色と演出は、どうやら功をなしたようだ。「見終わってみたら、とっても切なく悲しいなと思った。まさか泣ける映画だとは思ってなかった」「狂気で意味不明でこんな奴、絶対許せない!って思ってたのに、最後自分の中に森田が入ってきた感じがしたぐらい、森田の気持ちが伝わってきた。最後、涙止まらなかった!」と、それまでの恐怖に反して、森田に心を寄り添わずにはいられないラストに心を動かされる人が続出。『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』「山田孝之の東京都北区赤羽」などを手がけるドキュメンタリー監督の松江哲明も、「笑いと恐怖を交差する原作とは異なり、初々しい恋愛と凄惨な殺人とを分割する演出に驚愕。しかも、地獄の果てに感動が待っているとは。マジでビビった」とコメントを寄せている。『ヒメアノ~ル』は5月28日(土)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月27日アイドルグループ・V6で俳優の森田剛が27日、NHKの情報番組『あさイチ』に出演し、生放送で涙を見せた。メンバーの井ノ原快彦が様々なトークテーマを振るなか、番組では森田の舞台活動の話に。12日に亡くなった演出家・蜷川幸雄さんが、森田出演の舞台『血は立ったまま眠っている』(2010年)の会見で、「森田くんって、ひねくれて隅っこにいるような感じがすごく良かったの。一を言えば百くらい答えが返ってくる」と語る映像が放送された。映像終了後、アップになった森田の目尻からは涙が流れた。森田は涙をおさえながら「実感がわかないですよね、まだ。まだ稽古場行ったら会える気がするし」と心情を吐露。「次ちょうど蜷川さんの演出の舞台(『ビニールの城』)が決まってたんですけど。きっと見ててくれてると思うので、恥ずかしくないような芝居をしなきゃなと思います」と決意を述べた。井ノ原は森田の涙には触れず、そっとしておきながら「僕は、外に出て戦ってきたメンバーが、外の人に本当に愛されているのは嬉しいなと思いますね」と声をかけた。また、16日放送の日本テレビ系バラエティ番組『しゃべくり007』に出演した森田が、井ノ原を「嫌い」と発言した件について、番組に質問が殺到。森田は「僕だって、嫌いだったら(『あさイチ』に)来ませんよ」とフォローし、井ノ原は、放送当日に森田から「今日、テレビ見ないでね!」と言われたエピソードを明かした。森田は真意を聞かれると「好き嫌いじゃないから、尊敬する人って感じ」と井ノ原の印象を語った。
2016年05月27日アイドルグループ・V6のメンバーで俳優の森田剛が主演する映画『ヒメアノ~ル』(5月28日公開)で、森田の演技に注目が集まっている。同作は、『行け! 稲中卓球部』作者として知られる古谷実氏の漫画『ヒメアノ~ル』を映画化した作品。ビル清掃会社のパートタイマー・岡田(濱田岳)とカフェ店員・ユカ(佐津川愛美)の恋愛物語と並行して、サイコキラー・森田正一(森田)の心の闇を描いていく。いのうえひでのり、宮本亜門、行定勲、鈴木裕美など多くの演出家の元で主演を務め、今月12日に他界した蜷川幸雄さんからも「得難い才能」と評された森田。映画初主演にして、連続殺人犯という難役に挑戦した。この森田の演技に、試写を見た各界のクリエイターからも森田のコメントが多く寄せられている。過去に森田の主演作品を手がけた劇団☆新感線主宰の演出家・いのうえひでのり氏は「それにしても森田剛は凄い。闇が演じられる稀有な俳優だ」と、改めてその才能を認めた。ダウンタウンのブレーンとして知られる放送作家・倉本美津留氏も「原作、監督、役者が三位一体となったことで、フィクションがノンフィクションになったのだ!」と、役者と作品の力を賞賛する。また、『タモリ論』『さよなら小沢健二』などの芸能人論、サブカルコラムも手がける作家・樋口毅宏氏も試写に参加。自身のTwitterで「映画『ヒメアノ~ル』観た。森田剛!森田剛!森田剛!森田剛!森田剛!森田剛!最高っっっ!!!次の映画賞で彼が総ナメしなかったら嘘だろうと言いたい」と森田の名前を連呼し、「濱田岳も巧いけど森田剛!最高っっっ!!!!!」と、ほぼ140字いっぱいになるまで字数を使って興奮を表した。メガホンをとった吉田恵輔監督は「(森田くんは)もともと芝居が巧いのは知っていたので、期待というか、安心感を持ってご一緒したんですが、とてもやりやすかったです」と撮影を振り返る。また、生々しさを追求するために森田というキャラを「どこにでもいそうなお兄ちゃん」に見せる必要があったが、森田の身体能力が高かったため、「セーブしてくれ」と頼んだことを明かした。共演のムロツヨシは「森田くんは大袈裟じゃなく、淡々と狂気めいた演技をしていて、無神経な安藤でもゾッとさせられるぐらい怖かったですし、相手役ができて光栄でした」と語り、濱田も「とにかく森田さんが理解しがたい役柄をここまでやり通したところが、この映画のみどころだと思います」と絶賛。これらの声に、SNSでも「演技派なのがお茶の間にバレる」「怖いけど見てみたい」「映画化は気になる」と映画公開への期待が高まっている。
2016年05月19日アイドルグループ・V6の森田剛(37)が、16日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『しゃべくり007 2時間スペシャル』に出演し、自分の中での俳優とアイドルの割合について「10:0」と明かした。番組では、森田はアイドルらしくないという話になり、くりぃむしちゅーの有田哲平は「ある時期からアイドルじゃない。ヒゲを生やした時点でアイドルじゃない」と言い切り、上田晋也は「ベテランの俳優さんという感じ」とコメント。森田自身も、自分の中での俳優とアイドルの割合は「10:0」だと言い、上田が「もうちょっと(アイドルとしての)自覚を持ちなさい」とツッコんだ。森田は、コンサートでファンに手を振るなどアイドルらしい振る舞いが苦手だそうで、「近くには行きたいと思うけど手は振れない」と告白。ファンの人が手を振ってきたら「ジロリですね」と見るだけだと説明した。そして、「ザ・アイドルといったNEWSの手越祐也をどう思う?」と聞かれると、「うらやましい」と答えた。スタジオの観客を相手に、アイドルらしい振る舞いの練習も実施。1回目は手を振る観客をジロリと見るだけで終わり、2回目の挑戦で「イエ~イ!」と手を振るなどアイドルらしく振る舞ったが、顔を手で覆って恥ずかしがり「頭痛くなっちゃった」と吐露した。
2016年05月17日「V6」の森田剛主演の映画『ヒメアノ~ル』のジャパンプレミアが5月9日(月)に開催。森田さんに加え、共演の濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、吉田恵輔監督が舞台挨拶に登壇した。「行け!稲中卓球部」などで知られる漫画家・古谷実の人気コミックの実写化。清掃会社でバイトをして暮らす岡田は、高校時代、いじめられっ子だった森田と再会するが、実は森田は冷酷な殺人犯になっており、しかも岡田が付き合い始めたばかりの彼女を次の獲物に狙っていた…。久々の映画出演で、冷酷な殺人鬼を演じた森田さんだが「このタイミングでやれて良かったです。もう少し前でもできなかったし、少し後でも無理でした。このタイミングは運が良かったと思います」とふり返る。ジャパンプレミアを前に、イタリア北部のウディネで開催された「ウディネ・ファーイースト映画祭」で本作が公式上映され、森田さんと監督が現地を訪れたが、観客の反応はかなり熱烈だったよう。特に森田さんに関して、監督は「森田さんのことをよく知らない現地の人は『あいつは本当に日本でアイドルやってるのか?メチャクチャ怖かったぞ』と驚いてました」と明かす。一方で監督は映画祭で垣間見た森田さんの意外な素顔についても暴露!「現地でチヤホヤされて嬉しかったのか、(映画祭公式グッズの)マグカップとかを買ってました(笑)」と語り、森田さんは「ベルトやTシャツまで買いました(笑)」と明かしてくれた。現場では森田さんは完全に役になり切っていたよう。濱田さんは森田さんについて「現場で森田さんに『(連続殺人犯役で)気が滅入ったりしないですか?』と聞いたら、(役柄の)森田のままの空気で『(暗いトーンで)そりゃ滅入りますよ…』と返ってきて、飛んだ軽口叩いちまった!とビビりました」と苦笑交じりに明かし、笑いを誘っていた。ムロさんは、自身が演じた“キモイ先輩の安藤”について、「濱田くんと森田くんが『安藤役はどうしてもムロさんじゃないとイヤだと言っていた』とマネージャーから聞いたんですが…」と嬉しそうに明かし、その発言の真偽を直接2人に確認!だが濱田さんは「え?言いました?」と驚いた表情を見せ、森田さんにいたっては冷たく「おれは全然、誰でも良かったんで」と言い放ち、この仕打ちにムロさんも「誰でもいいわけないでしょ!」と怒り心頭!コミカルな壇上での掛け合いに会場は爆笑に包まれていた。『ヒメアノ~ル』は5月28日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月09日V6の森田剛が9日、都内で行われた主演映画『ヒメアノ~ル』ジャパンプレミア舞台挨拶に、共演の濱田岳、ムロツヨシ、佐津川愛美、吉田恵輔監督とともに登場した。同作は、『行け! 稲中卓球部』作者として知られる古谷実の漫画『ヒメアノ~ル』を映画化した作品。ビル清掃会社のパートタイマー・岡田(濱田)とカフェ店員・ユカ(佐津川)の恋愛物語と並行して、サイコキラー・森田正一(森田)の心の闇を描いていく。イタリアで4月25日(現地時間)に行われたウディネ・ファーイースト映画祭に正式出品され、ワールド・プレミアを終えたばかりだが、吉田監督は現地での森田の行動に「萌えっとした」と発言。撮影中もストイックなキャラクターだった森田だが、吉田は「イタリアの映画祭では俺たち、すごくちやほやされたんですよね。それでうれしくなっちゃったのか、物販コーナーに行ってマグカップみたいなのを買ったりしてた」と森田の行動を明かした。森田が購入したのは映画祭の名前の入ったグッズ。吉田監督が「『いらなくない?』みたいな空気あるじゃない。でも買いに行ってるから、かわいい」、「うれしかったんだね~と思って。ギャップに萌えっとしましたね」と話すと、森田は「Tシャツとか、ベルトも買ったかな。いろいろ」と照れ笑いを浮かべた。また、ムロは脚本を渡された際のエピソードを披露した。マネージャーから「森田さんと濱田さんが『絶対この役はムロさんじゃなきゃやだって』と言って、あの2人がムロさんじゃなきゃ降りるかもしれない」と言われたことを明かすと、森田は目を丸くして「ええ!?」と驚き、「誰が!? 誰から聞いたの!?」と初耳の様子。濱田は「大人の嘘ってやつじゃないの?」と怪訝そうに答えた。さらにムロが「気持ちはどっちだったの? 『ムロさんが出る』って聞いた時は」と聞くと、森田は「俺は全然誰でもよかったですよ」とバッサリ切り捨て、ムロが「馬鹿じゃねえの!? 誰でもいいわけないじゃん! 口を慎みなさいよ!」と抗議を入れるなど、仲の良い姿を見せていた。
2016年05月09日現在、開催中の第6回北京映画祭で、2011年にこの世を去った森田芳光監督の特集が行われる。劇場デビュー作『の・ようなもの』や遺作『僕達急行 A列車で行こう』など7作品が上映され、プロデューサーとして森田作品に携わってきた三沢和子氏が現地でトークを行う。その他の情報森田監督は、1978年に現在のPFFの前進にあたる“第2回自主製作映画展”に『ライブイン茅ヶ崎』が入選して注目を集め、1981年に劇場デビュー。その後は文芸大作やコメディ、ミステリーなど幅広いジャンルの作品を発表した。今回、北京で行われる特集では『の・ようなもの』『家族ゲーム』『それから』『(ハル)』『失楽園』『阿修羅のごとく』『僕達急行 A列車で行こう』の7作品と、森田監督がこの世を去った後に監督に縁のあるスタッフ・キャストが集結して製作された『の・ようなもの のようなもの』が上映される。
2016年04月20日古谷実の人気コミックを森田剛主演で実写化した映画『ヒメアノ~ル』の予告編映像が公開になった。映像には人をターゲット=餌としか思わない連続殺人鬼・森田正一が登場。緊迫感のある内容になっている。その他の画像/予告編が公開映画は、冴えないビル清掃員の岡田、その先輩の安藤、カフェ店員のユカ、そしてかつて過酷ないじめを受け、現在は快楽殺人者になっている森田を登場人物に、日常と狂気あふれる時間を交錯させながら描くもの。このほど公開された予告編では、前半に岡田、安藤、ユカの三角関係が軽快なタッチで描かれるが、森田正一が登場すると映像のトーンやカメラワークが大きく変化。脚本も手がけた吉田恵輔監督は「現場も編集も、まるで2本の作品を撮っているような感覚」と制作過程を振り返っている。『ヒメアノ~ル』5月28日(土)、TOHOシネマズ 新宿ほか全国公開
2016年03月22日松山ケンイチ主演が主演する『の・ようなもの のようなもの』の公開を記念し、その“原点”である森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』の1週間限定上映が1月23日(土)、東京・ 角川シネマ新宿が始まり、好調な滑り出しを見せている。同日、本編上映後に、同作の主演を務めた秋吉久美子、 伊藤克信、杉山泰一監督がトークイベントを実施。日本映画界の若き旗手として、熱い視線を集めていた森田監督の下、俳優として、助監督として、現場に立った35年前の思い出をしみじみと語った。秋吉さんが演じたのは、主人公である駆け出しの落語家が恋に落ちるソープ嬢という役どころ。「当時、森田監督が天才だと気づかなくて…」と笑いを誘ったほか、撮影中に森田監督から呼び出されたエピソードも披露。「正直、当時はワンシーン、ワンシーン考えながら、カメラの位置もコロコロ変えるし、面倒くさいなって(笑)。そしたら、ある日、森田監督に『監督への尊敬のまなざしが欠けている』って言われてしまって」と屈託なくふり返った。また、共演した伊藤さんについては、「35年ぶりに見ると、才能があって演技もうまいなって思う」と再びぶっちゃけ。「青春の輝きや不安定さ、悲しさが自然と表現されていて、まるでアル・パチーノみたい」と“時空を超えた”絶賛で、当の伊藤さんも「それがうれしいですね」と笑顔を見せていた。現在公開されている『の・ようなもの のようなもの』は、30歳で脱サラし、落語家になった主人公・出船亭志ん田(松山さん)をはじめ、彼を取り巻く個性豊かな面々が不器用ながらも懸命に生きる姿を軽やかに描いている。伊藤さんが兄弟子を演じ、当時助監督だった杉山監督がメガホンをとっている。杉山監督は「当時は、台本を読んでもよくわからなくて…。でもよくわからないのに、いざ映画になるとジーンときてしまう。僕のなかで、映画の価値観が大きく変わった」とふり返り、改めて“森田マジック”に敬意を表していた。『の・ようなもの のようなもの』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:の・ようなもの のようなもの 2016年1月16日より新宿ピカデリーほか全国にて公開2016,日本,松竹
2016年01月24日大日本印刷(DNP)は12月24日、日常のさまざまなシーンで利用されている秀英体の魅力をより多くの生活者に発信していくため、大正3年に発行した『活版見本帖 Type Specimens』のイラストと最新の秀英体デジタルフォントを組み合わせて、明治期に活版印刷で使用していたオリジナル書体『秀英体』を、LINEで使えるスタンプ「レトロな活版印刷秀英体見本帳」(全40種類、税込120円)に加工して発売開始した。秀英体は、同社が明治時代から100 年以上にわたり開発を続けているオリジナルの書体。同社は、創業130 周年(2006年)の記念事業の一環として、秀英体リニューアル事業「平成の大改刻」 に取り組み、デジタルフォントである「秀英細・中・太明朝」の改訂、金属活字で使用されていた「秀英初号明朝」のデジタル化、 新書体としての「角ゴシック」や「丸ゴシック」の開発を行ってきた。その成果である最新のデジタル書体をより多くの方に利用してもらえるよう、2009年からDTP (Desk TopPublishing) 環境のほか、 ワープロソフトやWebフォントサービスなどに提供している。『活版見本帖 Type Specimens』は、DNPの前身の秀英舎が発行した活字の総合見本帳で、秀英体のほか、さまざまな欧文書体や飾り罫、地紋、イラストなど、当時の印刷物で使用していたデザイン素材が400ページ以上にわたって収録されている。今回、その中から秀英舎が明治期より使用していたイラストをピックアップしてLINEスタンプにした。同社は今後、レトロでユニークなイラストとともに秀英体の認知向上を図るという。
2015年12月24日大日本印刷(DNP)は、明治期に活版印刷で使用されていたイラストとDNPのオリジナル書体秀英体」を組み合わせたLINEスタンプ「レトロな活版印刷秀英体見本帳」を発売した。発売形態は「クリエイターズスタンプ」で、価格は120円(全40種類)。このスタンプは、大正3年に発行された「活版見本帖 Type Specimens」のレトロなイラストと、最新の「秀英体」デジタルフォントを組み合わせて制作されたものだ。「秀英体」には「秀英初号明朝」、「秀英角ゴシック金/銀」、「秀英丸ゴシック」などがあり、スタンプの種類ごとに異なる書体が採用されている。なお、「活版見本帖 Type Specimens」は、DNPの前身である秀英舎が発行した活字の総合見本帳。秀英体の他、さまざまな欧文書体や飾り罫、地紋、イラストなど、当時の印刷物で使用していたデザイン素材が400ページ以上にわたって多数収録されている。
2015年12月24日故・森田芳光監督なじみのスタッフとキャストが集結して製作された『の・ようなもの のようなもの』の公開を前に、監督の命日である12月20日(日)、新宿の末廣亭の高座に主演の松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、杉山泰一監督が登壇した。その他の画像森田監督が落語をテーマに35年前に撮ったデビュー作『の・ようなもの』の続編として製作された本作。脱サラして落語家となった志ん田が、落語を捨てて気ままに生きる兄弟子を探し出し、共に過ごす中で自らの生き方を見つけていくさまを描く。登壇陣は、和服姿で登場。松山は、初めて本作で落語家を演じるに際し、勉強のためにこの末廣亭に客として足を運んだというが、この日は高座からのお出ましとあって勝手が違うよう。「こっち側にいると(客席が)広く見えて怖い!『面白いこと言わなきゃ』と緊張してきて……」と顔を引きつらせる。映画の中で披露している落語は、この日の司会進行を務めた古今亭志ん丸の指導を仰いだが「(ネタを)見せたら『いいんじゃないですか?それで』しか言わないから怖い!自分次第なんだと思って練習しました(笑)。いい指導法だと思います。子どもが習い事を始めたらそうやって指導しようかと」と高座とあって口調も滑らかだった。北川はそんな松山の劇中での落語について「本物の落語家さんみたいでした」と絶賛。「長回しで1本の噺をやったんですが、直前まで私世間話をしてるんです。大丈夫かな?と思ってたけど、いざ(高座に)上がると憑依したみたいでした」と唸る。松山の姿に感化されてか、落語をやる男性について「カッコいいです!」とうっとりと語っていた。松山は謎かけのネタを振られると「青春と掛けて、エスプレッソのようなものと解く。その心は……最後に苦みが残ります」とキレイにまとめる。北川も負けじと「落語と掛けて、オシャレのようなものと解きます。その心は、どちらもセンス(扇子)が必要です」とこちらも見事にまとめ、会場は拍手喝采だった。伊藤は『の・ようなもの』出演のきっかけにもなった学生落語時代に、末廣亭の高座に上がった経験があり「35年ぶりにこちらに帰ってきて感無量です」と感慨深げ。「人生と掛けまして、ボウリングのようなものと解きます。その心は…まっすぐ行ったり曲がったり」と自身、そして映画で演じた役柄そのままを示すかのようなネタで会場をわかせた。『の・ようなもの のようなもの』2016年1月16日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開
2015年12月21日「現代の名工」と称される職人達がいる。これは国が認めた「卓越技能者」に送られる表彰制度の通称であり、そのうちの一人がジュエリークラフトマンの首藤治氏だ。首藤氏は名古屋に店舗兼工房を構えながら、日本の名だたるジュエリーブランドのハイジュエリー作品を製作し続ける、まさしくジャパニーズジュエリー界における最高峰の技術を擁する一人。七宝や金、プラチナ、そして数々の宝石が織り成す美しい世界に思わず息を飲み、吸い込まれて目が離せなくなる不思議な魅力を持つ首藤氏の作品の数々。七宝で再現された葉の透き通るような瑞々しさ、葉脈までも表現する繊細な地金のライン。あるいは、まるで息遣いを感じるような動物達の愛らしいフォルムや瞳。作品はすべて表も裏も同じように緻密に細工が施され、どの角度から見ても優美な趣を感じられる構造となっている。どうしてここまで巧緻を極められるのだろうか。作品を生み出す首藤氏のジュエリーへの想いとは? またその発想を生み続ける首藤氏のルーツとは? 初の個展を行ったばかりの首藤氏に話を伺った。ー技術の素晴らしさはもちろん、一つのジュエリーにこれだけの力を注ぎ、美を追求する首藤さんの情熱はどこから生まれたものなのでしょうか?私は幼少時代から絵を描くことが大好きで、いつかは絵描きになりたいと思っていた程です。ただ、家業の都合もあり日々猛然と働くうちに、夢から遠のいていました。20歳になったときに「やはり美術の仕事に就きたい、自分の作りたいものを作れる道に進むしかない」と決意し、金属装身具制作の仕事に就きました。電話帳をめくっては電話をかけ、ようやく師となる岡村光也氏に出会えた。どうしてもここで働きたいとお願いして採用されました。鉛筆を削るテストなんかもありましたね(笑)。ー美術を一時は離れ、再び美術に立ち返った首藤さんがジュエリーに魅了されたのは何故でしょう?やはりジュエリーしかないと感じたのは、師匠である岡村氏の仕事ぶりや作品を見た時です。ー師との出会い、貴金属装身具制作の仕事は現在に大きな影響をもたらしているのですね。では、首藤さんの考えるジュエリーとは?流行に押されて同じようなものが大量生産され消費されてゆく、ジュエリーというのはそのような商業的なものではないと思っています。大切なのは身につける人の「その人らしさ」を表現すること。師である岡村氏から学んだことは「最後に笑顔になることをイメージしてつくる」という、作品に思いを込める大切さです。ジュエリーには、その人らしさを発揮させる力があると学びました。ーまさしく笑顔を引き出す作品ばかりです。これらを生み出すインスピレーションというのはどこからくるのでしょうか?生まれ育った熊本県阿蘇の大自然が原風景でしょうか。子どもの頃の景色を思い出して湧いてきたイメージを描きとめています。細かく見すぎないほうが思ったままを容にできる。たとえば動物なら、しぐさや表情は頭の中のイメージから直接デッサンに起こし制作しています。心がけているのは「優しさ」「品のよさ」「おしとやかさ」などが漂うようにということでしょうか。ー植物や動物の自然の営みを表した「ピクチャーシリーズ」や、貴石が煌めく「デコラティヴジュエリー」、アンティークな魅力の「クラシックジュエリー」など、趣向は違えどもすべての作品に通じる美しさがあります。首藤さんが考える美しさとは?どの作品でも根底にあるテーマは「静から動へ」。静止しているものが動き出すときの躍動感、放たれるエネルギーを表現し、見た人にそれを感じてもらう作品を作りたいと思っています。古くから使われる伝統技巧も用いますが、それは宝石をいかに美しく見せるかという方法を追求していくと自然と古代の技法に戻ってしまうから。やはり数千年にも渡り続いてきた技法は理にかなっているのだと思います。ただ、現代ならではの制約もあり、たとえば「プリカジュール」の葉の透け感を表すための七宝は、薄さを追求すると気泡が目立ち濁って見えてしまう。なのに、どうしてルネ・ラリックの作品はあんなに透き通って美しいのかと調べたら、現在では使用できない薬品が使われていました。そんな制約のある中で現代の技術、技巧を最大に生かした作品づくりに挑戦することも大切にしています。ー先日、生涯に一度だという個展「首藤治展~静から動への軌跡~」がイセタンサローネで開催されました(現在は終了)。いま、このタイミングで個展を行った気持ちはどんなものでしたか?いつかは個展を開きたいという気持ちでいました。ただ、商業的な個展を何度もやるものではないという考えもあり、一生に一度、自分の道が定まったときに行いたいという思いもありました。20歳でこの道に入って40年、還暦という区切りもありましたね。昔の作品を振り返ると、それぞれ満足ではありますが、今ならこうするとか、やりすぎたところや足りないところが見えてくるものです。ー首藤さんの工房では若手職人の育成にも力を注がれています。どのような思いでお弟子さん達と向き合っているのでしょう?若手育成というと大仰ですが、「全てを隠さず教えよう」というのが私の考えです。見て覚える昔の時代なら習得まで10年かかったことも、いまのように説明しながら教えれば3年でできるようになるでしょう。しかし、何より大切なのは技術と同時に「心」も教えることです。技術が成熟していても、心のないジュエリーは、“作っては売る商業的なジュエリー”と同じで人の心にも手元にも残りません。「心」を教えることを意識しながら、弟子達の目線にまで降りて一緒に「どう感じるか」を考えています。優しく、時には厳しく「飴、飴、鞭」で接しています(笑)。ー最高峰の技術を持ちながら、次の世代の職人に技や心を伝えようという熱意はどこから湧いて来るのでしょう?私自身、師の教えから現在の基礎をつくり、その後2代目の元から独立していつか認められるまで頑張ろうとしてきました。続けるうちにようやく、師匠がやりたかったこと、言いたかったことが分かるようになった。若い職人達も育ってきて、今はチームでスクラムを組んで作品作りに向き合っている状態です。私が彼らと共に、世に作品を出すことでその教えを繋いでいけると思っています。そして、若い職人達にも技術と心が生み出す「これだ!」という表現を身につけてほしいと願っています。【プロフィール】首藤 治(しゅどう おさむ)1955年熊本県生まれ。1975年より故・岡村光也氏に従事。1984年に国家技能検定一級技能士を取得し1986年名古屋にジュエリークラフトシュドウ開業。その後も第12回一級技能士全国大会「技能グランプリ」金メダル及び労働大臣賞受賞や卓越技能者表彰(現代の名工)など数々の受賞歴がある。2015年秋の黄綬褒章受章。アイビーファッションVANのコレクターという一面のほか、幼少期から犬や鳩、カエルなどを飼う動物好き。現在の愛犬はペコちゃんとゴマちゃん
2015年12月16日2011年12月20日の急逝から、早4年。故・森田芳光監督の伝説の幕開けとなった劇場デビュー作『の・ようなもの』の35年後を、森田作品ゆかりの松山ケンイチ、北川景子ら豪華キャストとスタッフにより完全オリジナルストーリーで描く『の・ようなもの のようなもの』。このほど、森田組でおなじみのキャストや生前の監督と親交のあった各界の著名人から、 “ひと言コメント”ではおさまり切らない、もはや“寄せ書き、の・ようなもの”が続々と到着した。生真面目でさえない落語家・出船亭志ん田と、師匠の娘であるヒロイン・夕美、かつて一門にいた兄弟子・志ん魚など、人間味あふれる人々の不器用ながらも懸命に生きる姿を、『の・ようなもの』へのオマージュもたっぷりに、ふんわり温かく映し出していく本作。森田監督が一貫して追求した「人間ってやっぱり面白い!」というテーマを踏襲し、本作を作り上げたのは、『の・ようなもの』以降、森田作品を助監督として支え続けた杉山泰一。主演を、森田監督の遺作『僕達急行A 列車で行こう』の松山ケンイチ、ヒロインを『間宮兄弟』で森田監督に見出された北川景子が務め、そして『の・ようなもの』と同じ役で伊藤克信が登場。同作の尾藤イサオ、でんでんらも顔を揃えるほか、森田作品ゆかりの超・豪華キャストも「まさか」の役どころで登場する。そして今回、そんな森田監督と親交のあった各界著名人からも、映画の感想コメントを超えた熱い思いが続々と寄せられている。<森田監督ゆかりの著名人コメント>■高田文夫(放送作家)あの森田芳光と、まばゆいおかしな青春が私の銀幕高座に帰ってきた。 我々の人生のようなもののオチはどこなの?教えてくれよ、なぁモリタ…。■秋吉久美子(女優)いやぁ、良かった、グッときた。消えた落語家の弟子、志ん魚(伊藤克信)を現弟子(志ん田)が探す。その道筋が、もう落語だ。『の・ようなもの』の伊藤克信は、役者ではなかった。そして、『の・ようなもの のようなもの』の伊藤克信は、もっとすごいもの、人間のまま、出演してしまう。人間とは人の間と各、と誰かがいう。人間とは、人生の間か?とこの映画で思った。軽く楽しい独特の人情映画?のようで、とても深く壮絶な『の・ようなもの のようなもの』。■貫地谷しほり(女優)あの世界の・ような、また新たな違う世界のような。優しくて可愛くて強い人たちが居ました。バランスを取ることばかり考えず、思いやり片手に、自分の人生を、自分らしく、思い切り。■吉田大八(映画監督)年々、人生なんかより落語のほうが好きになっていくので、そしてもっとそういう人が増えてくれたほうが何かと有り難いので、志ん魚さんにまた会えて幸せです。■ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)30数年という、現実の年月を経たキャラクターたちとの驚くべき再会。そして、次世代への軽やかなバトかなバトンタッチ……これはまさしく、モリタ映画版『フォースの覚醒』だ!■犬山紙子さん(エッセイスト)ポンコツだしこじらせてるしバカだし人に迷惑かけるけど、人生楽しくってやめられないそんな自分にピッタリの映画。■津田寛治(俳優)晴れの日も雨の日も風の日も森田監督が貫き通してきた雰囲気がここにある。自分は監督“のようなもの”だといった杉山監督が、この作品の監督として森田監督を必死に迎えようとしていることに気づいた瞬間、号泣してしまった。なりふり構わず森田芳光を愛する人が、ここにもいる。『の・ようなもの のようなもの』は2016年1月16日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:の・ようなもの のようなもの 2016年1月16日より新宿ピカデリーほか全国にて公開2016,日本,松竹
2015年12月07日この秋、黄綬褒章を受章した現代の名工・首藤治氏が自身の還暦を記念し、六本木・東京ミッドタウン内にあるイセタンサローネで2日から8日まで個展を行う。「還暦の年に生涯に一度の個展をしたいと長年考えていた」という首藤氏。この個展を「首藤治展ー静から動への軌跡ー」と題し、新作17点に加え、個人蔵の作品も含めたアーカイブ作品29点を展示及び一部販売する。首藤氏は日本のハイジュエリーブランドの逸品を多く手がける、知る人ぞ知る現代の名工であり、作品を長年待ち続けるファンも多い。国家技能検定一級技能士でもあり、「技能グランプリ」全国大会での金メダル・大臣賞受賞という圧倒的な技術力を誇る。その作品は、流れるような葉のモチーフなど自然の営みをモチーフにした「ピクチャーシリーズ」、細かなパーツを一つ一つ組み立てる楽器シリーズ、愛らしい表情の動物をモチーフにしたものなど多岐に渡る。宝石や地金といった素材のもつ輝きを引き出しつつ、細やかな表情を導く精巧なつくりは、首藤氏以外では実現できないといわれるほど。緻密で技術が詰まる崇高な美術品でありながらもどこか優しく、首藤氏の想いや人柄が伝わる。同展では、実際に購入できる作品の他、個人蔵の作品もオーナーから借り受けて展示。約50点が一同に会する初の大型展示会であり、首藤氏が還暦を迎えた節目となる今、これまでの軌跡を辿るという趣向。首藤氏が美意識をつきつめたコレクションの数々は、一見する価値あり。ジャパニーズジュエリーの細やかな手仕事の魅力を存分に味わえるこの機会にぜひ足を運んでほしい。同時期イセタンサローネでは、フランク ミュラー(FRANCK MULLER)が手がけるテーブルウェアコレクション「フランク ミュラー フューチャーホーム」や、クロエ(Chloe)のクリスマスエクスクルーシブコレクションなど、ホリデーシーズンを華やかに彩る企画が目白押し。美しいものに包まれた空間で贅沢な気分に浸るのはいかがだろう。【イベント情報】「首藤治展ー静から動への軌跡ー」会場:東京ミッドタウンイセタンサローネ2階住所:東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン・ガレリア1階・2階会期:12月2日から8日営業時間:11:00~21:00
2015年12月01日4年前に急逝した森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』の続編として監督ゆかりのスタッフ、キャストで製作した『の・ようなもの のようなもの』が10月29日(木)に東京国際映画祭でお披露目。松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、杉山泰一監督が舞台挨拶に登壇した。『の・ようなもの」から35年の時を経て製作された本作。生真面目でサエない落語家の志ん田(しんでん)が落語を捨てて気ままに生きる兄弟子の志ん魚(しんとと)との出会いをきっかけに、自分らしくを生きる術を知っていくさまを描く。松山さんが演じた志ん田は、森田監督の遺作『僕達急行 A列車で行こう』で松山さんが演じた役を作品の枠を超えてベースにしている。松山さんは「台本では“志ん田”としか書いてないんですが、衣裳合わせに行ったら、どこかで見た衣裳があって…(笑)。でも、現場に入ったら、(過去の森田作品の)いろんな役を引きずっている人ばかりで『こういうことか!』とこれもひとつのオマージュ、ラブレターかと感動しました」と語る。北川さんが演じたのは役も名前も全くそのまま、北川さんにとっては記念すべき映画初出演作となった『間宮兄弟』で演じた夕美!「台本を読んで“夕美”とあって『そういうことなんだ!』と森田組のシャレなんだと思ってフィッティング(衣裳合わせ)に行ったら、10年前と同じ衣裳がありました」と嬉しそうに振り返る。伊藤さんは35年前の『の・ようなもの』で演じた志ん魚の35年後をそのまま演じているが「35年経っての続編というのが普通はあり得ないしビックリしました。尾藤イサオ、でんでんなど、全員が生きていたからこそ!一人でも亡くなってたらなかったと思うので、長生きに感謝です」と語った。杉山監督は35年前からずっと森田作品の助監督を務めてきたが、最初に今回の話を聞いた時「尻込みしました」と明かす。それでも「森田監督ならこんな時に何て言うか?黒澤明監督のリメイク(『椿三十郎』)をやるくらいだから、自分の作品の続編くらい『やっちゃえ!』と言うだろうと、居直って撮ってみようと決意しました」と明かした。志ん田が北川さん演じる師匠の娘・夕美に背中を叩かれつつ…という恋模様のようなもの(?)が展開するが、松山さんは「『サウスバウンド』で監督と景子ちゃんと3人で舞台挨拶した時、次は『(松山さんと北川さんの)2人でラブストーリーを撮りたい』と言ってて、それがこういう形で実現したのかな?」としみじみ。北川さんも感慨深げにうなずいていた。『の・ようなもの のようなもの』は1月16日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:の・ようなもの のようなもの 2016年1月16日より新宿ピカデリーほか全国にて公開2016,日本,松竹
2015年10月29日