アメリカの劇作家ニール・ラビュートの戯曲をもとに2012年に上演され、若い男女4人のリアルな会話劇が大きな話題を呼んだ『カワイクなくちゃいけないリユウ』。待望の再演となる今回は、その続編ともいうべき『シアワセでなくちゃいけないリユウ』との一挙同時上演が決まった。キャストは好評を博した前回と同じく、村井良大、植原卓也、吉川友、村川絵梨の4名で、演出も深作健太の続投となる。膨大なセリフが2倍という高いハードルに挑む村井良大に、意気込みを聞いた。公演チケット情報はこちら恋人のグレッグ(村井)が自分をどう思っているか気になるステッフ(村川)は、ある日、グレッグが他意なく言った「君の顔は並み」という言葉にコンプレックスを刺激され、大ゲンカになってしまう。友人カップルのケント(植原)とカーリー(吉川)はあきれ顔だが、どこか共感するところもある様子。“彼氏・彼女って何?”“本当の恋って?”“外見を気にする私ってバカみたい?”等々、複雑に揺れ動く4人は本音を吐き出しながら、少しずつ成長していくのだが…(『カワイクなくちゃいけないリユウ』)。続く『シアワセでじゃなくちゃいけないリユウ』は、その3年後。少しだけ成長した4人の、変わった部分と変わらない部分をテンポよく描く。多くの舞台作品でメインキャストを務める村井だが、初演時は特別な苦労があったようだ。「ラブコメディで4人芝居なので、スピーディーな会話のやりとりがメイン。でも日本語に訳してフィット感がないセリフだと気になってしまうから、どういう言い方で演技をするか皆ですごく考えました。たとえばケンカのきっかけとなる『並み』というのは、原作では『regular』なんです。“悪くないけど…”っていうなんとも絶妙な言い回しを(笑)、グレッグとしてどう表現するか。初演の稽古場では翻訳家さんに原文の意味を教えていただいたりして、かなり考えたので、終わった時は達成感を感じましたね」と村井は振り返る。グレッグのひと言が女子を敵に回してしまうのはいかにも納得だが、一方で村井は「グレッグは基本的に愛すべきヤツ。でも“浅いヤツが深いことを言おうとした結果、浅くなっちゃってる”って、誰でもあることですよね。そんなポイントは劇中でたくさん出てきますし、僕自身も“あっ”と感じることがありますよ(笑)」と話してくれた。それだけ本作がリアルな恋愛事情を描いているということだが、本作のもうひとつの魅力であるコメディ部分については、「見る側もやる側も笑って楽しんで幸せな気持ちになれるから、コメディは大好き。2作合わせて5時間の長丁場ですけど、楽しいパワーをお客様に伝えられたら」と村井。緊張のなかにも充実の表情が印象的だった。公演は2015年1月22日(木)から2月1日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケットの一般発売は11月8日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選も実施中、11月4日(火)午前11時まで受付。取材・文佐藤さくら
2014年10月30日河原雅彦が演出、劇団THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋が脚本を手がける『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』が9月21日、東京・本多劇場にて開幕した。ふたりがタッグを組むのは今回が初めて。初日にさきがけて、同日昼に公開舞台稽古が行われた。『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』チケット情報植原卓也や橋本淳をはじめとした若手俳優のほか、劇団拙者ムニエルの看板俳優・加藤啓や、映画『SR サイタマノラッパー』で主演を務めた駒木根隆介、劇団、本谷有希子でおなじみの吉本菜穂子、劇団猫のホテルの市川しんぺー、真面目な風貌にユーモアあふれる台詞回しで舞台やTVで活躍する伊藤正之といった、個性豊かなキャストが顔を揃えるのも見どころのひとつ。物語はとある田舎の村が舞台。祖父の代から続く金物屋を継いで暮らしている小峰春彦(橋本)は、わけあって入院している。入院中、春彦は不思議な夢をみるようになる。そんな折、村では連続通り魔事件が発生。ベテラン刑事の高橋国男(市川)は部下の石井秀樹(植原)とともに捜査にあたるが、手がかりといえば現場に残されたネジだけ。なかなか犯人をみつけることができず事件は長期化。そんなある日、万引き常習犯として捕まった池田翼(駒木)は「犯人を知っている」と言いだし、奇妙なことを話し始める。タイトルの『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』はことわざで「愚か者がだらしなく伸ばしている鼻毛は、トンボを繋ぐことができるほど長く、大変愚かである」という意味。登場人物たちは、普通に生活しているのに全員何かが狂っている。その狂っている様子に一瞬、面食らってしまうものの、どこか共感してしまうのは、その狂気の中に、誰しもがうっすら感じている現代人の習性のようなものが重なって見えるからだろう。正義感はあるが自分の責任には尻込みしてしまう男、前に進むために考えるのを止めた男、思っていることを言えなくてつい変なことを口走ってしまう女、自分の権利を声高に主張する若者。人間のばかばかしくも哀しい業の深さを描き出す、まさに赤堀ワールド全開の一作だ。クロスワードパズルが象徴的に登場するように、さまざまなヒントが見え隠れし、それをつなぎ合わせていくことで全体像が見えてくる。心の深い部分を見せられるがゆえに直視したくはないけれど、見逃してしまったドラマがあったのではと、もう一度、その世界に潜りたくなる。そんな好奇心が駆り立てられる作品に仕上がっている。公演は本多劇場にて9月30日(日)まで。チケット発売中。文:大林計隆
2012年09月24日『飛び加藤~幻惑使いの不惑の忍者~』や『テキサス』等の演出を手がけ、今もっとも注目されている演出家のひとり河原雅彦と、劇団THE SHAMPOO HATの劇作家・演出家で、舞台以外でもTVドラマ『鈴木先生』や『モテキ』などで俳優としても活躍している赤堀雅秋。このふたりが初タッグを組み、演出を河原、脚本を赤堀が担当する舞台『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』が今秋上演される。タイトルの“阿呆の鼻毛で蜻蛉(トンボ)をつなぐ”はことわざで、愚かな者がだらしなく伸ばしている鼻毛はトンボを繋ぐことができるほど長い、大変愚かであるという意味。詳しい内容はまだ明らかにされていないが、赤堀雅秋が新作として書きおろすアイロニカルコメディーだという。キャストは、若手俳優で頭角を現している植原卓也、橋本淳、平田裕一郎、柳澤貴彦、板橋駿谷田島ゆみか、瀧内公美をはじめ、舞台で活躍している加藤啓、吉本菜穂子、市川しんぺー、映画『SR サイタマノラッパー』で主演を務めた駒木根隆介、真面目な風貌にユーモアあふれる台詞回しの役でおなじみの伊藤正之といった個性豊かな12名が揃う。公演は9月21日(金)から30日(日)まで東京・本多劇場にて上演。チケットは8月18日(土)より一般発売開始。
2012年07月23日昨年、『ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~』が向井理主演により舞台化されるなど、日本でも注目を集めている気鋭のアメリカ人脚本家、ニール・ラビュート。そんな彼が書いたちょっとブラックなラブコメディ、『カワイクなくちゃいけないリユウ』の上演が決定。初共演を果たす、村井良大と植原卓也に話を聞いた。「カワイクなくちゃいけないリユウ」 チケット情報登場するのはグレッグとステッフ、ケントとカーリーの2組のカップルのみ。ある日、些細なことをきっかけに、ステッフはグレッグへの怒りを爆発させ……というのが話の始まりだ。「たったひと言が原因で、ここまで怒りが膨れ上がるカップルっていうのもおかしいですよね(笑)。でも男女のすれ違いって、実際こういう小さなことから始まるんだろうなと。ちょっと哲学的な感じもしますね」(村井)、「僕は改めて、女性って強いな、怖いなって思いました(笑)。でも見た目とかをすごく気にする、そういった点はかわいらしいですよね」(植原)。村井演じるグレッグと、植原演じるケントは、職場の同僚にして親友という役柄。だがふたりの性格は大きく異なる。「グレッグってこの中で一番主張しない人というか、周りに影響をされて、結果少しずつ崩れていくような人。だから稽古場や本番でも、周りのキャストの方にいい意味で助けられながら、感じながら、演じていけたらいいのかなって思いますね」(村井)、「ケントはすごく自由ですし、自分勝手ですし、結構ひどい奴だなって(笑)。ただこういうチャラさをストレートに表現する役を今までやったことがなかったので、そこはすごく楽しみですし、勢いよくやれたらなって思います」(植原)。客席数約400の小さな劇場で、たった4人の役者が繰り広げる、激しい会話劇。しかもステージを取り囲むように客席が配置されるので、観客はより濃密な劇空間を楽しむことができるはずだ。「僕らとお客さんの距離が近いので、すごくリアルですし、会話劇ならではの熱も伝わりやすいんじゃないかなと。笑える部分もたくさんあるので、ぜひ多くの方に楽しんでいただけたらなと思いますね」(村井)、「やっぱり言葉で勝負していくしかないと思うので、絶対に気合いは入りますよね。まわりが全て客席なので、寝ぐせにも気をつけないとなって(笑)。作品としてはすごくエッジの効いたものになると思いますし、僕らと同年代の方はもちろん、幅広い世代の方に楽しんでいただけたらなと思います」(植原)。公演は6月2日(土)から10日(日)まで東京・新国立劇場小劇場、6月23日(土)・24日(日)まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて開催される。東京公演のチケットは3月17日(土)より、兵庫公演は5月13日(日)より一般発売する。なお、東京公演はチケットぴあにて先行抽選の予約を3月13日(火)午前11時まで受付中。取材・文:野上瑠美子
2012年03月02日ヒット映画の続編『リアル鬼ごっこ2』の撮影現場がこのほど、東京・千代田区内で初公開され、続投で主演の石田卓也、新加入の三浦翔平らが前作超えを誓った。人気作家、山田悠介氏の同名小説を原作に、現実世界と無数に併存するパラレルワールドに迷い込んだ主人公の佐藤翼(石田さん)が、“佐藤”姓の人々を狩る謎の殺戮集団と捕まれば処刑という命がけの“鬼ごっこ”に巻き込まれるサバイバルアクション第2弾。昨年公開の前作は、当初の36館から100館以上に拡大公開され、興行収入約5.5億円とミニシアター系では異例の大ヒットを飛ばした。今作は、前作のラストの続きから物語が始まり、“鬼”を率いる“将軍”と“佐藤”姓らのレジスタンスの壮絶な戦いが展開する。撮影の合間の会見に姿を見せた石田さんは「続編をやると知った瞬間は正直、『あーまたやるのか』と思いました、撮影もハードだったので」とふり返りつつ「前作の反省点を踏まえて体力作りをして今回の撮影に入りました。受け身、殴り方、殴られ方、銃の構え、ラックルジャンプなど前作以上にアクションがスケールもスピードもアップしています」と精悍な顔つき。翼の幼なじみ・洋役に前作の大東俊介からバトンタッチして演じる三浦さんは「『あっち(前作)がよかった』と思われないよう、どうしようかと悩みに悩みましたが、いまはもうこれでいいんだと思ってやっている、自分のモノになっています」と気持ちが乗っている様子。同じく翼の妹・愛を谷村美月からバトンタッチして演じる映画出演2作目の吉永淳は「前作を見ていましたが、撮影で実際に追いかけられると本当に怖い。体力的にも精神的にも映画に追いかけられている感じ」と苦笑い。前作から続いてメガホンを取り、今回オリジナルストーリーを練り上げた柴田一成監督は「怒濤のアクションにキャラの掘り下げ。前作以上にこんな所へ逃げるのかよ、となっているし、あとラブストーリーを盛り込みました。かなり力を入れてバッチリです」とパワーアップを強調した。この日、石田らは自動車に乗って逃げる場面を撮影。暗闇の中、それぞれの役柄の緊張感を体現してみせる一方、合間には和気あいあいと会話しチームワークの良さをうかがわせた。年内いっぱい撮影予定。映画『リアル鬼ごっこ2』は2010年、6月公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:リアル鬼ごっこ 2008年2月2日よりテアトル新宿にて公開©「リアル鬼ごっこ」製作委員会リアル鬼ごっこ2 2010年6月、全国にて公開■関連記事:“佐藤”を待ち受ける次なるゲーム…『リアル鬼ごっこ』前作の大ヒット受け続編決定!「どこか人と違うことをやっていきたい」『グミチョコ』石田卓也の役作りと映画“鬼は内!”&恵方巻でヒット祈願!『リアル鬼ごっこ』初日舞台挨拶「気持ちの奥の奥の僕の根本的なものを出し切った」大東俊介『リアル鬼ごっこ』を語る世の“佐藤さん”に朗報!『リアル鬼ごっこ』“佐藤さん割引き”実施
2009年12月16日