「高所得者は、児童手当をもらえなくなる?」そんなニュースが、パパやママたちを困惑させています。政府が一部の高所得世帯の児童手当を廃止する法改正案が4月2日、衆院内閣委員会で審議入りしました。この改正案では、年収1200万円以上の世帯に支給している月5000円の「特例給付」が2022年10月から廃止されることになります。そんな児童手当の見直しについて、パパやママたちはどう思っているのでしょうか?■半数以上は高所得者の児童手当減額に「反対」児童手当は子ども1人あたり月1万円〜1万5千円が支給されていますが、一定以上の所得がある世帯は「特例給付」として、児童1人あたり一律月5千円の支給となっていました。しかし夫婦のうちの高い方の年収が1200万円程度を超える場合は、この特例給付がもらえなくなってしまいます。アンケート(ウーマンエキサイト×マチコミ調べ)では、児童手当の方針変更について聞きました。その結果、「反対」と答えた人が53.9%となり、半数以上は反対していることがわかりました。また、「賛成」と答えたのは35.5%でした。Q.児童手当の減額(廃止)の方針、どう思う?反対 53.9%賛成 35.5%その他 10.6%■反対派1、なぜ国民が我慢するの?まずは、高所得者の児童手当廃止(減額)について、国の対応にコメントが多く寄せられていました。「無駄に人数が多い国会議員に、無駄に支払われる税金のせいです。そこを是正し、浮いた財源で国民の生活支援をするべきです。まずはそこからだと思いますが?」(佐賀県 40代女性)「国から何の恩恵も受けない子育て世帯が出てくる。そして、その人たちには国を支えてもらうために働き、税金を納めなさいという。政府の懐は、いつになく変わらず、豪遊も可能なのはおかしい」(東京都 40代男性)「少子化なのに、子ども関係の手当ては減らさなくてもいいのではないかと思う。居眠りしてる議員さん。もらいすぎている給料をカットした方がよほど国民のためになると思う」(千葉県 40代女性)「手当てを受けることができれば、子どもに習い事とか子どもの将来に投資することができるのに、それを制限する意味はなんなんでしょう…。無駄な党ばかり増やして、国会では粗探ししてつぶしあい。いつになったらこの国は良くなるんですかね」(福島県 30代男性)児童手当は見直されるのに対して、国会議員の給料、人数が不公平と考える声が見られました。もし、国民にとって不要で、削減できるコストがあるならば、児童手当を見直す必要はなくなるのではないか? といった声も理解できます。■反対派2、子ども一人ひとりは平等に扱われるべきまた、子どもの権利として、児童手当は平等に支給されるべきというコメントも寄せられていました。「大人の事情に振り回され、『子ども一人』にきちんと平等に行き渡らない制度はおかしい!」(東京都 40代女性)「うちは3人子どもがいますが、なんとか頑張って働き続けて、日々暮らしております。ちょっと年収が高いくらいで税金は高くとられ放題で、いろいろな手当ても対象外。未来に貢献する者をたくさん送り出したのにな~と悲しくなります。子どもにかかることはみな平等に考えてほしい」(大阪府 50代女性)「『子育てしている』という状況は同じなので、減額しなくていいと思います。国は出生率を上げようと、待機児童解消や幼児教育無償化などの対策に熱心ですが、大学の学費や生活費は比べ物にならないほどの額です。未来ある子どもたちにもっとお金を回してもらえるよう望みます」(茨城県 40代女性)「収入に応じて親に支給するのではなく、子ども本人に支給してください。そうやって『子どもいじめ』しないで」(佐賀県 20代女性)親の収入によって、子どもがもらえる金額が変わるのは「不平等」という意見を多く目にしました。またそもそも、親の収入で「特例給付」としてすでに減額されていることに関しても、疑問を抱いている人がいることがうかがえます。「子どもいじめしないで」というコメントからは、児童手当の意義について、あらためて考えさせられました。反対派3、収入で差別しないで!さらに、高所得者の実情を訴える声や、高所得者を擁護する声も多く集まりました。「税金を取られて減らされて、医療費も3割負担…。正直、『ずるい』と思ってしまいます。頑張っても頑張っても持っていかれ、よその子を育てるために使われる…。わが子にお金を使いたい…」(兵庫県 40代女性)「収入で差別されたくない。『高収入だからなし』はあんまり。1人に5000円も少なすぎる。税金も多く払っているのに…」(福岡県 30代女性)「年収1200万円以下で子ども1人の家庭と、年収1200万円以上で3人の家庭では、どちらの家計が大変でしょうか。子育て中の家庭に線引きは不要に思います」(東京都 30代男性)「高額所得も努力の結果。中には死にものぐるいで働いてる方もいると思う。高い税金ばかり納めさせられて、もらえるものは何もない。おかしいと思う。高い税金を納める国民に恩恵なしでは、頑張ろうって思わなくなる」(神奈川県 40代女性)「所得の多い世帯は、累進課税で税金を多く払う負担をすでに負っているので、福祉を外すのは話が違うと思う。子育て世帯への援助は減らさない形で財源を確保してほしい。育児にお金がかかるのはみんな同じなのだから、親の経済状況で差を付けられるべきではないと思う」(愛知県 40代女性)収入が多い世帯は、税金を多く納めていたり医療費の負担が大きかったりします。さらに年収をあげる努力をしてきた人も多いだろうことを考えると、何の恩恵も受けられなければ、それまでの頑張りを国に否定されていると捉える人もいるかもしれません。さらに、年収が1200万円を超えている家庭が、一律にぜいたくな暮らしをできているわけではないでしょう。年収だけで線引きをしてしまう危険性にも目を向ける必要がありそうです。■賛成派 余裕のある家庭の子どもの将来は余裕それに対して、高所得者の児童手当廃止に賛成する人からも、意見が寄せられていました。「収入の多い方は、お金にはそんなに困っていないと思うので賛成です。その分、母子、父子家庭の人に回してもいいかなって思います」(静岡県 50代女性)「積極的に賛成するわけではありませんが、致し方ない部分はあると思います。痛みをわかちあえる社会になればいいですよね」(北海道 50代男性)「もらった児童手当を将来の子どものために貯蓄に回すことのできる家庭と、今の子どもの教育資金に回さないといけない家庭があるのは事実です。私は後者ですが、ひとり親で何の手当ももらえず、頑張って働いています。余裕のある家庭は子どもの将来にも余裕が生まれるのでしょう。それは、親が頑張っているからと言われればそうですが、金額の増減などあってもよいかと思います」(山口県 40代女性)収入を増やしたくても、さまざまな事情で難しい家庭があるのも事実なので、不平等感をどのように無くしていけるかは、大きな課題かもしれません。■児童手当廃止の方針から見えてくることここまで、児童手当廃止についてのさまざまな意見をみてきました。反対、賛成の意見は双方に子育て世帯の悩みを浮き彫りにしているように思います。その一部を、ご紹介します。パパママが抱える孤独感や不公平感「子どもを一人産むだけでも素晴らしい出来事。どの親も尊ぶべき存在です。これから日本を支える子供を子育て中の世帯で仕事を頑張っている現状において、手当減額をするのには反対です」(神奈川県 40代女性)「支援から外されること自体が、子育て中の母親のメンタルに堪えます。子育ての今後が不安で仕方ないです。手当の額がどうこうと言う前に、サポートされている安心感を奪わないでほしい」(愛媛県 40代女性)「高収入だからもらえないとなれば、高収入の人たちの出産率が低下するのでは? 子どもを産むタイミングも難しいのに、頑張って働いていた方がもらえないのなら、女性の就業率も減るのでは?」(茨城県 40代女性)「経済が失速すると、子育て世代への補償を充実しないと、実質的に子どもにかけられるお金が減っていくことになります。生活が厳しくなることや、子どもを育てる十分な環境が提供できないかもしれないといった不安から、子づくりを躊躇(ちゅうちょ)する夫婦も多い。今回の見直しには、政府の少子化対策の基本的な考え方が現れていて、不安にしかならないです」(神奈川県 50代男性)子どもの未来のことを考えよう!「結局、国としては子どもへの支出を増やす気はないんだろうなと思いました。自国の子どもは『未来』なのに。将来きっと貢献するのだから、大事にしてほしい」(青森県 30代女性)「私は10年間不妊治療をしてやっと授かった子どもが1人います。すでに高齢化社会になってきている世の中、これから未来のある子どもたちにお金をかけてあげて、これからの社会を引っ張って行ってもらうための投資として減額はしないでいただきたいと思っています」(静岡県 40代女性)児童手当の廃止にまつわるコメントを通じて、多くのパパやママたちが、孤独感や不公平感を抱えていることがわかりました。負の感情が生まれ、同じ子育て世帯間で対立を招きかねない構造には息苦しさを感じます。収入の違いや、環境の違いなどはあるにせよ、子どもたちを育んでいるということには変わりありませんよね。それぞれが、子どもたちの未来をどう守っていけばいいのか、その問いの手前に、児童手当の減額の是非もあるように思います。パパママ一人ひとりが、真剣に向き合って、子どもの未来を守るために国はどういった展望を持っているのか――そういった国の判断や方針については私たち一人一人が目を向けて、そして大きく関心を持っていく必要があると思います。Q.児童手当減額の方針、どう思う?(2021/02/05~2021/03/08)アンケート回答数:4612件 ウーマンエキサイト×マチコミ調べ
2021年04月23日4月1日、「70歳就業法」とも呼ばれる「改正高年齢者雇用安定法」が施行された。高齢者の働き方は変わるのだろうか。「改正高年齢者雇用安定法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■なぜ高齢者を働かせたいのかこれまで、会社員の方は希望すれば全員65歳まで働くことができました。企業には(1)定年を65歳に引き上げ、(2)定年制の廃止、(3)65歳まで継続雇用のどれかを、制度整備する義務がありました。4月1日以降はこれに加え、70歳まで就業できる制度の整備が「努力義務」となりました。企業は(1)定年を70歳に引き上げ、(2)定年制の廃止、(3)70歳まで継続雇用、(4)70歳まで業務委託、(5)70歳まで社会貢献活動での就業、どれかの制度を導入するよう努めることが義務付けられたのです。ただ、この法律には問題があります。“70歳まで働く”ことにだけ注目し、収入などに言及されていない点です。これまでも60歳以降は収入が大幅に減る方が多いのですが、70歳就業法にある業務委託や社会貢献活動での就業で、どれほどの収入になるかは不明。いくら働けても収入が少ないと暮らしていけないことを、国は考えているのでしょうか。また、こうした問題を、しっかり議論しなかったことも大問題です。この法律が成立したのは’20年3月。新型コロナの感染拡大が本格化し、とても怖くて、報道番組もコロナ一色だったころです。コロナショックのどさくさに紛れて、法律の不備を追求されるのを避けるため、早期成立させたのではと、疑いたくなります。65歳までの雇用義務の際も、’90年に努力義務と法律に明記されてから、実際に希望者全員が働けるようになったのは’12年。実に20年以上かけて法律を固めています。どんな形であれ70歳就業の文言を法律に盛り込めば、あとは時間をかけて法整備はできると踏んでいるのでしょう。ではなぜ、そこまでして高齢者を働かせたいのでしょう。背景にあるのは「年金問題」です。以前、65歳まで働ける環境づくりを進めたのも、年金の支給開始を60歳から65歳へ引き上げようとすることが発端でした。年金は65歳からしかもらえないのに、定年が60歳だと60〜65歳の間は収入ゼロでどうやって暮らすのか。そうした反発を避けるためだったのです。とすると、70歳まで働ける環境づくりは、年金の70歳支給開始を見据えた布石だといえるでしょう。年金を65歳より遅く受け取る「繰り下げ」も、現在は70歳が最長ですが、’22年4月からは75歳まで選べるように拡大することが決まっています。国は着々と、年金の70歳支給開始に向かって手を尽くしているのです。70歳就業法はまだ努力義務の段階で、いますぐ何かが変わるわけではありません。ですが、国は年金制度変革の初めの大きな一歩を、確かに踏み出しました。今後の行方を注視したいと思います。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月09日瀬戸内海の水質改善や環境保全などを定めた「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正案が国会に提出され、小泉進次郎環境大臣(39)が3月13日、『中国新聞』のインタビューに答えた。廃棄物の再生について問われた進次郎氏は「瀬戸内海のごみで国産スニーカーを製造したらどうか」と発言し、ネットで批判が殺到している。同法案には、海洋プラスチックごみを含む漂流ごみの除去や発生源の抑制と対策も盛り込まれている。進次郎氏はインタビューの中で、「プラスチックは二酸化炭素(CO2)を大量に出す石油から作られる。使い捨てプラスチックを減らせば気候変動対策になり、瀬戸内海はモデル地域になる。閉鎖性海域で外洋から流れ着くごみはほとんどない。地域を挙げて排出抑制をすれば目に見える効果が出る。同時に『アップサイクル』を進めたい」と話している。「アップサイクル」とは、不要なものを単に資源として再利用するリサイクルに対し、それらをより価値の高いものに生まれ変わらせるというアイデアで、近年注目されている。そして、その「アップサイクル」の具体案として、進次郎氏は記事で次のように語っていた。「国内外のスポーツ用品メーカーは既に海洋プラごみから服や靴を作っている。瀬戸内海のごみで国産スニーカーを製造したらどうか。廃棄物を新たな資源として回す『サーキュラーエコノミー(循環経済)』を推進したい」これにはネットも総ツッコミ。《まーた変な事を言い出した》《もう大人なんだから思い付きで行動するのやめろ》《キッザニア感覚で大臣やってるのか》《余計にエネルギーと金がかかる》《大臣辞めてベンチャーでもやれば?》《もう喋らないほうがいい》《誰か周りに止める奴はおらんのか?》《レジ袋もスプーンもごみスニーカーもぜんぜん楽しくないしセクシーじゃない》昨年7月からレジ袋の有料化が始まり、今年度の国会で法案が成立すれば、早くて来年の春からコンビニのプラスチックスプーンなども有料化となる。「ゴミ袋やスプーン有料化の効果なんてたかが知れています。小泉氏本人も、『レジ袋有料化でプラスチックごみの問題は解決せず、目的でもない』と明言しています。国民の意識を変えるためだと言っていますが、本気で環境問題を解決したいならば、大臣としてやるべきはそんなことではないはず。プラスチックは低コストで利便性が高いので、人類が手放すのは難しいんです。例えば、フリースなどは洗濯すると大量のマイクロプラスチックが流れ出ます。しかし、メーカーには使いやすい。だから、本来は国家プロジェクトレベルで新素材の開発を支援するなど、プラに代わる選択肢を増やさないといけないんです。小泉氏が環境大臣としてすべきは、小手先のプラごみ対策ではなく、将来を見据えた抜本的な対策ではないでしょうか」(環境省担当記者)「まずは国民に負担を負わせる」だけでは、人の心は付いてこない。
2021年03月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナ改正特措法」です。政府のコロナ対策、長期的視点での支援も求めたい。新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法、検疫法の改正案が国会で可決され、2月13日に施行されました。1月に国会が開会してから、スピード審議・可決となりました。これまでは緊急事態宣言下で「営業自粛をお願いします」という「要請」だったのが、「勧告」や「命令」など、より強い措置がとれるようになります。また、感染対策の立ち入り検査や、従わなかった事業者の公表も政府ができるように。さらに「まん延防止等重点措置」が新設され、緊急事態宣言の発令前にも、感染拡大が想定される地域には、集中的に命令を出すことができるようになりました。命令に従わない事業者にはペナルティが科せられます。緊急事態宣言下では30万円以下、発令前は20万円以下の過料。また、改正感染症法により、コロナ感染者で入院を拒否した場合は50万円以下、保健所による感染経路調査を拒否した人には30万円以下の過料が科せられることになりました。当初は刑事罰を設けて、違反者には懲役刑や罰金を科すという厳しい案が出ていたのですが、野党から強い反発が出て、刑事罰はなしになりました。罰則を設けるからには、それに見合う補償も必要です。緊急事態宣言が出されている都道府県には、時短営業に協力した飲食店に対し、地域ごとに異なる協力金が支払われることになりました。厳しい罰則を設けているスペインのマドリードでは、補償金をもらい続けて店を開けられなくなってしまった飲食店と、緊急事態宣言下でも摘発を逃れて営業を続けている店と二極化しているのだそうです。日本政府は基本的に事業の継続をもとに支援策を出しています。ところが、諸外国では、業態が変化した場合にかかる職業訓練や開店資金の補充というサポートも行っています。アメリカの研究チームによると、新型コロナウイルス感染症が、普通の風邪と同程度に弱毒化されるにはあと10年かかるのだとか。長引くコロナ禍では、同じ事業形態を続けること自体が困難な業種もあります。長期的に見れば、新事業を始めるための支援という大胆なサポートも必要なのではないでしょうか。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『モーニングCROSS』(TOKYO MX 平日7:00~8:00)にメインキャスターとして出演中。※『anan』2021年3月10日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年03月07日2021年度の税制改正点を示す税制改正大綱が発表されました。そこには、住宅購入希望者にとってうれしいニュースが!「今回の改正で、2020年12月末で終わる予定だった住宅ローン控除の特例の1年間延長が決定しました。また控除条件であった床面積の下限も緩和するので、住宅購入希望者には朗報です」と話すのは、FP2級の資格を持つ海田幹子さん。さっそく2021年住宅ローン減税の詳細と耳寄りな改正のポイントを教えてもらいました。■ 住宅ローンを組む人にはうれしい住宅ローン減税の特例延長まずは住宅ローン減税がどんな制度なのかをみていきましょう。住宅ローン減税ってどんな制度?住宅ローン減税制度とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅取得者の金利負担を軽くするため、住宅ローンの残高に応じて税金を控除してくれる制度です。期間は住宅ローンを組んでから10年間で、年間最大40万円(長期優良住宅などは50万円)の控除が可能。年末の住宅ローン残高か住宅取得対価のどちらか低い金額の1%が、所得税から控除されます。もし、控除額が所得税よりも高い場合は、住民税からも一部控除可能です。新築住宅だけではなく中古住宅(一定の条件あり)の購入、増築・リフォームで補助金を差し引いた工事費が100万円以上の場合も適用されます。住宅ローン減税制度の特例って何?2019年10月1日、消費税を8%から10%に引き上げたことにより、控除期間が一時的に10年間から13年間へと3年間延長されました。この特例を受けるためには、2019年10月1日~2020年12月31日の間に住宅ローンを支払っている住宅へ入居することが条件です。11年目~13年目は、「建物取得価格(上限4000万円)の2%÷3」もしくは「年末ローン残高(上限4000万円)の1%」を比較して、低いほうの金額(3年間最大で80万円)が控除されます。■ 住宅ローン減税期間13年の特例の延長が決まり最大80万円戻ってくる2020年12月に発表された21年度税制改正の大綱で、2020年12月末で終わったはずの“住宅ローン減税が10年間から13年間に延長した特例”が延長し、2022年12月31日までの入居でも適用されることになりました!注文住宅の契約期限は2021年9月末まで、分譲住宅・中古住宅の契約期限は2021年11月末までとまだ猶予があります。住宅購入を考えている人にとって朗報ではないでしょうか。住宅ローン減税はどのくらいお得?年収別シミュレーションここで、控除期間10年間と13年間ではどのくらい控除に差があるか、年収別の目安を見てみましょう。【条件】借入額4000万円建物の取得価格4000万円借入金利1%(全期間固定金利)返済期間35年間元利均等返済扶養親族1人一般住宅■住宅ローン控除期間13年間だとどのくらいお得か?年収400万円年収500万円年収800万円年収1000万円控除期間10年間165.0万円237.0万円349.2万円349.2万円控除期間13年間214.5万円308.1万円429.0万円429.0万円差49.5万円71.1万円80万円80万円どの年収を見ても、控除期間13年間のほうがお得になることはいうまでもありませんが、「控除期間10年間」の制度時に住宅を購入するよりも、“控除期間13年間”の制度時に住宅を購入するほうが、最大80万円お得になります。年収によって控除金額に差が出てしまうのは、納めている所得税に差があるから。1~10年目までの住宅ローン減税額は、「最大控除額40万円」「住宅ローン残高の1%」「所得税+住民税の一部」の中の一番小さな値のものが採用されます。そのため年収が低い場合、高い場合よりも控除額が少なくなるのです。■ ローン控除対象住宅の条件が40㎡以上に緩和。より小規模な住宅もOKに!住宅ローン控除の特例適用が1年延長したことに加えて、住宅ローン控除を受けるための床面積条件も緩和されました。従来、「床面積は50㎡以上であること」が条件でしたが、世帯合計所得金額が1000万円以下の人に限り、下限が40㎡になります。40㎡といえば、1LDKや2DKでもよく見る広さ。単身世帯や二人暮らし世帯の方も当てはまりやすくなり、家がお得に買えるチャンスですね。住宅ローン控除の特例適用の延長、控除適応条件の床面積の緩和は、住宅購入希望者にとってうれしいニュース。注文住宅の契約期限は2021年9月末なので、まだ時間があるとはいえ、早めに動くほうがよいでしょう。所得税控除がより受けられる時期に、住宅購入を検討してみてはいかがですか?●教えてくれた人/海田幹子ファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を心がけている
2021年01月30日’21年1月、「改正育児・介護休業法」が施行された。コロナ禍であまり注目されないが、育児・介護と仕事の両立には欠かせない法律だ。読者世代に関わりの深い介護を中心に、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■より利用しやすくなった介護休暇まず基本を確認しましょう。働きながら介護を行う方は、「介護休業」と「介護休暇」という2種類の休日が取得できます。介護休業はまとまった期間の休業です。介護される方1人につき通算93日間を、最大3回に分けて取得できます。たとえば、自宅の改修や介護施設の選定など、まとまった期間が必要なときに利用できます。いっぽう、介護休暇は単発で取得するものです。介護される方1人につき年5日まで、通院の付き添いやケアマネジャーとの打ち合わせなどに利用できます。今回の改正法では、介護休暇について2点が変わりました。1点目は、これまで介護休暇は半日単位でしたが、今後は1時間単位で取得できるようになります。たとえば1日6時間働く方は、1時間の介護休暇なら6回、2時間なら3回とると、1日分とカウントされます。これまでは半日単位だったので、年5日間は回数にすると年10回。毎月通院する付き添いには足りませんでしたが、1時間単位だと、1回を短時間にし回数を増やすこともできるので、使い勝手がよくなったと思います。また、1日の就業時間がまちまちで決まっていない方は、年平均を基準にし、1日の就業時間が7時間30分など1時間未満の端数がある方は切り上げて、8時間で1日分とカウントされます。ただし、勤務時間の途中で職場を離れる「中抜け」は、認められていません。介護休暇は始業時間を遅くするか、終業時間を早くする形で取得するもの。たとえば10~17時まで勤務の方が13~14時といった途中の時間帯では取得できません。なかには、社内規定によって中抜けOKの会社もありますので、ご確認ください。法改正の2点目は、これまで1日の勤務時間が4時間以下の労働者には介護休暇がありませんでしたが、今後はだれでも取得可能になりました。介護休暇は原則として、パートでも介護休業制度のない勤め先でも取得できます。ただ、正社員であっても雇用期間が1年未満の方や週の労働日数が2日以下の方は、労使協定によって対象外となることがあります。最後に、介護休業・介護休暇とも、給料は出ません。有給の介護休業制度がある会社もありますが、有給休暇もあわせて介護休暇の取り方を工夫してください。新型コロナウイルスの感染を恐れて、介護サービスの利用を減らす方もいるようです。ますます介護する家族の負担は重くなりますが、介護休暇・介護休業などを駆使して、なんとか離職しないで済む方法を考えてほしいと思います。「女性自身」2021年2月2日号 掲載
2021年01月22日所得税・住民税(都道府県税・市区町村民税)は、所得がある限り毎年掛かる税金ですが、制度の変更が行われ前年と異なる基準で計算されることも少なくありません。また、所得税以外にも、消費税、固定資産税、贈与税など個人に関する税は、いくつもあります。今回は2021年(令和3年)の個人に関わる分野の主な税制の変更点について、お伝えします。 住宅に関する税金について土地に係る固定資産税の据え置き固定資産税は、3年ごとに評価額が見直され税額も変更されます。2021年からの3年間は、地価が上昇傾向の2020年1月の地価公示に基づいて税額が決まることになっていましたが、新型コロナウイルスによる景気減速も考慮され、2021年度に限って負担軽減措置が取られることになりました。対象は、住宅地だけでなく商業地や農地などを含むすべての土地となります。固定資産税が2020年度を上回る場合は2021年度の税額は据え置き、地価の下落によって課税額が減る場合はそのまま課税額を引き下げる形になります。 住宅ローン減税の主な変更点1.住宅ローン特例措置の延長2019年10月の消費税増税による住宅購入の負担緩和のために、住宅ローン減税の期間を通常は10年であるところを13年に延長する特例措置の適用があり、2020年末の入居者までが対象でしたが、2022年末までの入居を要件に期間が延長されます。なお、契約の締め切りは入居より早く、注文住宅は2021年9月末、分譲住宅は2021年11月末までとなります。 2.対象住宅の床面積緩和住宅ローン減税が適用される住宅の床面積は50㎡以上ですが、2021年から床面積40㎡以上に緩和されます。なお、通常の住宅ローン減税の適用できる世帯合計所得は3000万円以下ですが、今回新たな対象となる40㎡以上50㎡未満の住宅に住宅ローン減税を適用できるのは、世帯合計所得は1000万円以下となります。 生活に関する税金の変更住民税の基礎控除等の変更2020年の年末調整のお手続きをされた方のなかにはお気づきの人もいると思いますが、基礎控除や給与所得控除等が変更となっています。住民税は2020年の所得に基づき、2021年6月から課税されます。多くの給与所得者・年金受給者には影響ありませんが、基礎控除が10万円引き上げられることに伴い、自営業・フリーランスの方は、前年と同じ所得であれば1万円の減税となります。逆に年収850万円を超える給与所得者は、所得控除の上限となり前年と同じ所得であれば、増税となります。 エコカー減税等の延長・変更エコカー減税とは、自動車重量税の税率を燃費の良い車を対象に減免する制度です。 1.適用期限の延長2021年4月末から2023年4月末までと2年延長されます。 2.クリーンディーゼル車の基準変更一律の適用を廃止し、現在の燃費基準を達成しているクリーンディーゼルの車種のみ、2年間限定で免税を継続します。燃費基準を達成していない車種は1年間だけ免税を継続し、燃費測定試験で改めて基準を達成できれば、もう1年免税となります。 3.環境性能割の軽減措置期間延長自動車の燃費に応じて購入額の1~3%を課税する「環境性能割」(環境性能割と言っても割引ではなく、自動車取得税に代わる課税制度)の1%の軽減措置が2021年3月末まで適用される予定でしたが、2021年12月末まで延長されます。 その他の主な改正点【1】ベビーシッター・認可外保育所利用の助成が非課税になります。従来は、ベビーシッター・認可外保育所利用の助成は雑所得として所得税・住民税の課税対象でした。 【2】地方自治体が提供する、「母乳指導」や「心身のケア」といった産後ケア事業の利用料金についての消費税が非課税となります。 【3】セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の期間が2026年12月末まで延長されます。医療費控除の特例として、指定された市販の薬の購入費が1世帯当たり年間で1万2000円を超えた場合、所得控除となり所得税や住民税が軽減される制度です。 上記の内容はいずれも、2021年1月開催の国会で審議され、4月1日に施行される予定ですので、変更がある可能性もあります。最終的な内容は、2021年4月以降に国税庁・各自治体のホームページ等でご確認ください。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2021年01月12日「種苗法の改正は今年2月の国会で可決されるところでしたが、女優の柴崎コウさん(39)などが『慎重な審議を求めます』とツイッターで声を上げた(現在は削除済み)こともあり、反対する世論が高まった。全国の県議会からも意見書が届けられたので、審議が先送りされたんです。しかし、この臨時国会では審議が始まってしまいました。委員会で可決されたら、衆参の決議を経て今臨時国会中に成立してしまう可能性が高い」そう解説するのは、元・農水大臣で弁護士の山田正彦さん。「ふっくらおいしい日本のお米や、しっとりと甘いさつまいも。そんな、毎日のように口にしている食品の安全性や価格が、おびやかされる事態になっているのです」「種苗法」とは、植物の新しい品種を開発した者が、それを品種登録することで、利用する権利を独占できると定めた法律。ただし、これまでは、農家が自分でタネをとって育てる「自家採種」に関しては権利が認められていた。しかし、現在公開中のドキュメンタリー映画『タネは誰のもの』の中でも山田さんが指摘しているように、種苗法が改正されると、この自家採種も禁じられ、農家はタネを毎年購入しなければならなくなり、莫大な費用がかかることになる。当然、店頭に並ぶ米や野菜、果物の価格にも跳ね返ってくるだろう。「農水省はそれまでも、観賞用の花やきのこ類など82品目の自家増殖を禁じていました。ところが2017年に突然、コメや大豆、キャベツ、ナス、トマトなどメジャーな野菜を含む207品目も禁止に。いまでは約9,000品目に上っています」さらに種苗法が改正され、自家採種が全面的に禁じられると、農業を続けられなくなる農家は少なくない。山田さんが直接話を聞いた農家の多くも「農業を辞めろということか」と、種苗法改正を危惧しているという。一方で農水省は、「シャインマスカットなどの優良品種が、韓国や中国など海外に流出しないために必要だ」と種苗法改正の理由を述べている。しかし、山田さんは「それはウソだ」と断じる。「2005年に山形県のサクランボの苗がオーストラリアに流出したとき、現行の種苗法で差し止めの仮処分、刑事告訴して、解決できています」では、種苗法改正の本当の目的は何なのか――。「これまでタネの育成・管理をしていた地方自治体に換えて、グローバル種子企業に、コメや大豆といった私たちの命の源を売り渡そうということです。たとえば、遺伝子組み換え作物で有名な『バイエル(旧・モンサント)』といった企業に」実際にインドや中南米では30年ほど前に同じことが起こっている。「別名“モンサント法案”と呼ばれた自家採種禁止法案が可決され、農家は種子を毎年、多国籍企業から購入せざるをえなくなった。そのうえ農薬と化学肥料もセットで売りつけ、莫大な利益を得ようとしたんです。しかし、この法案は成立したあとにコロンビアやメキシコなどで農民の暴動が起きて、次々に廃止されました」じつは政府も、種苗法改正の目的は、企業にタネを渡すことが目的だと認めているという。「『農業協力支援法』という法律に『これまで国や県の農業試験場が管理していたタネの知見を民間企業に提供せよ』といったことが明記されています。この民間企業には『バイエル』のような海外の企業も含まれます」農業協力支援法とは2018年に廃止された「種子法」の代わりに作られた法律だ。「コメ、大豆、麦などは国民の命をつなぐ大切な食料だとし、農家が安定して安く作れるように、その種子は国や県が育成・管理することを義務づけていたのが、種子法です。この法律のおかげで『コシヒカリ』や『ゆめぴりか』といったおいしいお米ができました。しかし政府は、企業の農業への参入を促進するためという理由で、種子法を廃止。代わりにできた農業協力支援法は、これまで税金をつぎこんで開発・育成してきた種子の知的財産権を、積極的に企業に渡しなさいという、とんでもない内容の法律なんです」山田さんによると、現在すでに、世界のタネの約7割は「バイエル(旧・モンサント)」「コルテバ・アグリサイエンス(旧・ダウ・デュポン)」「シンジェンタ」という3大グローバル企業が製造しているという。そのうち、遺伝子組み換え種子は「バイエル」が90%だ。このまま種苗法が改正され、農家が自家採種を禁じられ、多国籍企業のタネしか購入できなくなったら、どうなるのか。いちばんの問題は私たちの“食の安全”が脅かされることだという。「主食のコメや大豆が、グローバル企業がつくる遺伝子組み換えやゲノム編集されたタネに、徐々にですが置き換わる可能性があります。すでに、かつての『日本モンサント』である『バイエル クロップサイエンス』などはその準備を進めています。遺伝子組み換え食物を食べ続けることで、アレルギーや、がんなどが発生しやすくなることは、アメリカの消費者団体や、フランスのカーン大学の研究によって明らかになっているのに、です」種苗法改正案の審議中は、参議院議員会館前で座り込み抗議を行うという山田さん。最後にこう話してくれた。「種苗法改正案が可決してしまっても、あきらめる必要はありません。地方自治法を改正して、タネのグローバル企業への流出に一定の規制をかけることはできます。タネは人類の“遺産”です。みんなで私たちの食を守っていきましょう」
2020年11月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「検察」です。権力を持つからこそ、独立した存在であるべき。著名人も含め多くの反対の声がTwitter上にあがった「検察庁法改正案」は、今国会では廃案となりました。定年延長が問題になっていた黒川弘務東京高等検察庁検事長は、緊急事態宣言のさなかに新聞社記者らと賭け麻雀をしていたことが発覚し、5月に辞職しました。検察官とは、検事と副検事を指します。法律違反を犯した人を逮捕するのが警察官。逮捕された人が、本当に罪を犯したのか、裁判にかけるに値するかを調べるのが検察官。法律に照らし合わせて刑を定めるのが裁判官です。日本では、犯人を起訴できるのは検察官のみ。日本の裁判は無罪率が低いといわれますが、それは、検察が裁判に勝てると踏んだものしか起訴しないからです。性犯罪のように、密室で行われて証拠をそろえるのが難しいものは起訴されないことが多い。伊藤詩織さんの例がまさにそうです。刑事訴訟で争うことができず、民事訴訟を起こし、ようやく一審で勝訴できました。かつて、郵便不正事件で厚生労働省の元局長の村木厚子さんが無実の罪に問われ、長期間拘留された事件もありました。検察が事前に用意したストーリーに沿って裁かれていくというのは、とても怖いことですよね。それくらい検察官の権限はすごく大きいんです。その検察庁の人事を、時の政府が強く握るというのはやはり危険です。そうなれば検察官は自分の生活や出世のために、政権に擦り寄る可能性があります。また政府が敵とみなした人を、検察が簡単に起訴することもできるようになってしまいます。それらを憂慮し、多くの人が反対を述べ、改正案は見送られました。一方で、国家権力にも相対してメスを入れることもできる存在なので、検察はやはり独立した存在でなければいけません。正義の検察が暴走しないよう、私たち国民は常に監視しておく必要があります。実際の監視役はメディアが担うべきでしょう。それなのに、雀卓を囲み、検察と新聞記者がずぶずぶの関係だったというのは残念でなりません。一緒に食事をしようが麻雀をしようが、正義に反することが起きたときには、ペンの力で刺してほしかったと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年07月16日「先日、新しい年金改正法が公布され、’22年4月から施行されます。今回の大きな改正は、“年金の受給開始年齢を75歳まで延長可能にする”ということです」そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで保険のプロ・長尾義弘さん。年金の受給開始のタイミングが拡大することで、何が変わるのか?長尾さんに詳しく解説してもらおう。現行の制度では、65歳を起点に、それより早く年金をもらい始めることを“繰り上げ受給”、66歳以降に遅らせることを“繰り下げ受給”という。改正により、この繰り下げ可能な期間が5年広がることになる。「ここでは、“65歳のときの年間受給額が、厚生年金と基礎年金を合わせて150万円になる会社員”のケースを想定。60歳で受給を開始すると、受給額は年間約36万円の減額となります。すると、80歳の時点で、65歳から受給を開始したときの総受給額の2,400万円と比べて、総受給額は2,394万円と少なくなってしまうのです。日本人の65歳時点での平均余命は男性19.7歳、女性24.5歳。この数字を考えると、繰り上げ受給は損をしてしまう選択と言えるでしょう」いっぽう、繰り下げたケースをみてみるとーー。「繰り下げ受給は年に8・4%の増額となるので、70歳まで繰り下げると、最大42%の増額です。65歳で年額150万円のケースだと、年間の受給額が213万円にアップ。月額にして約18万円になります。この金額であれば、年金だけで夫婦2人の生活費をなんとかカバーすることができます。そのため私は、これまで70歳からの受給開始をすすめてきました」それが、75歳まで繰り下げが可能となることで、長尾さんがすすめる受給開始のタイミングも変わってくるという。「がんなどで余命を宣告された人は60歳から受給を開始するという選択もあります。しかし、多くの人にとっては、“72歳で受給開始”がベストな選択というのが私の試算です」長尾さんはその理由として、3つの観点を挙げる。【1】長生きしたときの“受給総額”「95歳時点での総受給額を見ると、72歳以降の総額はすべて5,700万円台。それほど大きな差は発生しないのです」【2】65歳からの“平均余命”「年金は受給を遅らせれば遅らせるほど、月々の支給額が多くなります。その損益分岐点は11~12年。つまり、受給開始から11~12年で、65歳で受給開始したよりも総額がアップする、ということです。受給開始を72歳にすると、損益分岐点が、ちょうど男性の平均余命と近くなります。しかも月々受け取れる金額は65歳から受給した場合の金額に比べて約6割の増額。これならば、ある程度ゆとりのある生活が保障される金額になります。年金の役割を、“長生きをしたときの保険”と考えれば、72歳まで繰り下げをして受給額を増やすほうがいいでしょう」【3】元気に働ける“健康寿命”「何歳まで元気に日常を過ごせるかを表したのが健康寿命です。厚労省の統計では、男性が72歳、女性は75歳。男性が無理なく働ける平均年齢は72歳と考えることができます」定年後もまだ働けるうちはイキイキと働くことで健康的に過ごし、その後は繰り下げ受給により増額した年金で老後の生活を豊かにしようというのが、長尾さんがすすめるライフプランだ。「繰り下げ受給の手続きは、日本年金機構に繰り下げ請求を提出することで可能となります。繰り下げの場合は、いつ繰り下げるのをやめるのも可能。生活具合に応じて支給を開始することができる自由度の高い制度です」生活の支えとして年金が必要になったら、無理せず申請する。その最終目標は72歳。それを安心できる老後生活の指針にしてみては。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日「年金財政を延命させるため、6月に年金制度改正法が公布されたばかり。しかし、早くも’25年に予定されている次の年金改正に向け、厚生年金と国民年金の積立金統合案が持ち上がっています。会社員などの年金受給額が減額する可能性もあるため、大きな議論となるでしょう」(経済誌記者)将来の年金給付の財源として積み立てられてきた「年金積立金」。サラリーマンや公務員などの給与所得者を対象にした厚生年金と、自営業者やパート従業員などを対象にした国民年金で、別々に計上されている。年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんはこう語る。「集まった保険料のうち、年金の支払いにあてられなかったぶんを、将来に備える資金としたのが積立金の始まりです。現役世代が多く、景気も右肩あがりだったバブル期、年金受給者に支払う額を大きく超えた保険料が集まりました。その結果、圧倒的に加入者が多く、給与から自動的に保険料が差し引かれる厚生年金の積立金は膨れ上がってきたのです」これまでほかの公的年金の財政が悪化するたび、財政に余裕のある厚生年金が救済役となってきた。「’97年には、持続困難となった旧三公社(NTT、JT、JR)の共済年金を厚生年金に統合。’15年には公務員共済、私立学校教職員共済を統合してきた経緯があります。今回の国民年金の統合案も、この流れに沿うものです」(北村さん)厚生年金の被保険者は約3,980万人、積立金は国家予算の1.5倍にあたる157兆円超にのぼる。一方、国民年金のみに加入している自営業者などは1,462万人。積立金は9兆円にとどまる。経済評論家の平野和之さんはこう語る。「厚生年金は収入に応じて保険料が上がりますが、国民年金は一律約1万6,000円。さらに、“将来、もらえないんじゃないか”という年金不信も広がっていて、未納率も3割を超えています」厚生労働省「平成30年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、収入が少なく、不安定な若い世代ほど未納が多く、25~34歳では、約4割が未納だという。「今後、コロナ不況が深刻化すれば、この傾向はさらに高まり、未納率が上昇してしまうことも懸念されています」(平野さん)はたして、われわれの年金はどうなるのか。次の年金改革は5年後だが、議論はすでに始まっている。自分の老後のために、その行方を注視しよう。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日2019年6月19日に公布された改正動物愛護法の一部が、2020年6月1日に施行されました。どのような点が改正されたのでしょうか。改正された内容の中から、いくつかをご紹介します。ペットの殺傷や虐待の厳罰化、『多頭飼育崩壊』なども虐待に殺傷、虐待の罰則が厳罰化ペットなどの愛護動物に暴行を加え、殺したり傷つけたりした者に対する罰則がより厳しくなりました。・愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者の罰則【改正前】2年以下の懲役または200万円以下の罰金【改正後】5年以下の懲役または500万円以下の罰金そのほかにも、虐待や遺棄した場合の罰則が、改正前は『罰金100万円』のみでしたが、改正後には『懲役1年または罰金100万円』となっています。『多頭飼育崩壊』など、著しく適正を欠いた密度での飼育も虐待に虐待については、詳しく内容が記されています。愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律ーより引用中でも、『飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること』の文から、多頭飼育で動物たちを衰弱させた場合も、虐待とみなされ罰せられることになったようです。また、虐待の恐れがある場合や、不適切な飼育によって近隣住民の生活環境が損なわれた場合についても改正されました。・虐待の恐れ、または不適切な飼育をする者、施設に対して【改正前】勧告や命令、任意の立ち入り検査が可能【改正後】勧告や命令に加え、指導や助言、立入検査が可能また、犬や猫の繁殖制限についても…。・犬または猫が繁殖してしまい適正に飼養できない場合【改正前】繁殖を防止するための生殖を不能にする手術そのほか措置に、努めなければならない【改正後】繁殖を防止するための生殖を不能にする手術そのほか措置に、講じなければならない『多頭飼育』し、動物を衰弱させている疑いのある人の家や施設に立入検査ができるようになりました。これにより、『多頭飼育崩壊』を防げる可能性が高くなることでしょう。虐待の疑いのある動物を診察した獣医師による通報を義務化虐待の疑いのある動物を診察した獣医師による通報についても、このように改正されています。・獣医師がみだりに傷つけられた疑いのある動物を診察した場合【改正前】通報するよう努める【改正後】遅延なく、通報しなければならない近年、ペットをいじめる様子をインターネット上に投稿する例も確認されており、相次ぐ悪質な虐待事件の早期発見と防止のための改正です。これらのほかにもさまざまな点が改正されました。気になった人は環境省のウェブサイトを確認してみてください。動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律改正動物愛護法について、ネットではさまざまな声があがっています。・こういう法律がなくても、ちゃんと愛情を持って飼うことが何より大事で、それが当たり前のはずなんだけどな。・やっぱり、殺傷や虐待に関する罰がまだ軽いなとも感じます。人も動物も同じだよ。ペットも家族。・まだ十分ではないけれど、大きな一歩だと思う。改正について称賛する声もある中で「まだまだ、改善してほしい点がある」という声も多く寄せられていました。これからも、動物と人間のよりよい関係を築いていくために、改善してほしい点については声をあげていきたいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月02日5月18日、検察庁法改正案を含む「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の採決が今国会では見送られると報じられた。安倍晋三首相(65)は会見で「公務員の定年延長法案に批判があった」と発言したが、「話のすり替えだ」との指摘が相次いでいる。各メディアによると、安倍首相は会見で「公務員の定年延長法案や公務員制度の改革は、国民の声に耳を傾けていくことが不可欠。理解なくして前に進めることはできない」と語った。「どのように国民の理解を得るのか」という質問には「この法案については様々な批判があった」「公務員制度の改革について丁寧に説明していくことが大切なんだろうと思う」とコメント。そして「法解釈の変更が今回の見送りに影響を与えたのでは」との問いに、こう答えた。「今回の法案は公務員の定年延長の法案であり、公務員制度の改革でございます。その中でご説明してきたところでありますが、様々なご批判をいただく中で、先ほど申し上げましたように、大切なことは国民の皆様のご理解をいただきながら進めていくことが肝要と考えております」安倍首相は「公務員の定年延長法案に批判があった」と繰り返したが――。その認識は正しいだろうか?「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が問題視されたのは公務員の定年延長に関する箇所ではなく、ともに束ねられた検察庁法改正案だった。その内容から「内閣によって恣意的な人事が可能となるのでは」「黒川検事長の定年延長を後から合法化するのか」といった声が上がり、Twitterデモ「#検察庁法改正案に抗議します」を筆頭に多くの人たちが異議を唱えた。日本弁護士連合会も4月6日に「検察官の政治的中立性や独立性が脅かされる危険がある」との声明を発表し、今月15日にはロッキード事件を担当した検察OBたちが「検察を弱体化して時の政権の意のままに動く組織にしようとしており看過できない」との意見書を法務省に提出している。つまり世論も法のスペシャリストたちも、公務員の定年延長法案を批判したわけではない。会見で最後まで、検察庁法改正案について触れることのなかった安倍首相。ネットでは「話のすり替えだ」として、こんな声が上がっている。《理解を得られず、多くの反対をいただいてるのは「検察庁改正案」なのに、また得意の論点すり替え》《何勝手に『公務員制度の改革』にすり替えてやがんだ。問題視されてたのは『検察官の定年延長における特例』だろうが!公務員の定年延長については誰も反対してねえよ》《検察庁法改正案にみんな反対してたのであって公務員の定年延長に反対してたわけじゃない。すでに事実のすり替えがはじまってる》検察庁法改正案は世論や法曹界のみならず、海外メディアからも批判されているが――。その声は、安倍首相の胸にどう響いているのだろうか?
2020年05月20日《もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないでください。この国を壊さないでください#検察庁法改正案に抗議します》5月10日、ツイッターでこうつぶやいたのは、NHK連続テレビ小説『なつぞら』にも出演した俳優の井浦新(45)。この投稿は、国会で審議されていた検察庁法改正案についてつぶやかれたものだ。内閣の判断で検察幹部の定年を延長できる条項が盛り込まれている同改正案。検察の中立性と独立性を揺るがしかねないとして、連日、日本中から強い批判が寄せられていた。そして5月18日、与党は国民の理解なしに国会審議を進めることは難しいとして、今国会での成立見送りを決定した。「5月9日にツイッター上で『#検察庁法改正案に抗議します』のハッシュタグとともに抗議の声が拡散。タグを使った投稿数は2日で700万件近くにものぼったといいます」(全国紙・社会部記者)冒頭の井浦をはじめ、芸能界からも賛同者が続出。小泉今日子(54)、西郷輝彦(73)、浅野忠信(46)、オアシズの大久保佳代子(49)、きゃりーぱみゅぱみゅ(27)など、俳優からミュージシャンまでさまざまな著名人がツイッターで抗議の声を上げた。なぜ、これだけ多くの芸能人が声を上げたのか。その一因を、ある芸能プロの幹部はこう見る。「コロナウイルス感染拡大によって、コンサートや舞台などエンタメ業界では数千億単位の損害が出ています。しかし、政府からは抜本的な補償の話はいまだ出ていない。そんな状況下で正当性が疑われている法案を強行採決しようとしている政府に対して、タレントたちも思わず声を上げたのでしょう」実際、2,600人の俳優が所属する協同組合「日本俳優連合」の理事長でもある西田敏行(72)も現状を憂う一人だ。「自粛要請によってキャンセルになった舞台などの出演料を受け取れない俳優が続出。西田さんは早くから俳優たちの窮状をさまざまなメディアで訴えていました。3月5日には内閣府と厚生労働省に収入が激減した俳優たちへの支援を求める要望書を連合を代表して提出していました」(前出・社会部記者)西田は“同志たち”が声を上げた今回の改正案に何を思うのか。5月14日、仕事終わりの西田に話を聞いた。――コロナ禍で俳優さんたちも苦しい状況にあると聞いています。「みんなつらい思いをしながらも、我慢して自粛しています。“この時期を乗り切れば、幸せがくる”そういうふうに信じています」――自粛中の俳優さんたちの生活は大丈夫でしょうか?「舞台とか“密”になって稽古しなければできないところで暮らしている俳優たちはやっぱりつらいでしょうね。政府に要求したけど、歯牙にもかけない感じだしね……。残念ながら、われわれ表現者はあまり優遇されていないので」苦境に立つ俳優たちを慮りつつ、政府への不満を漏らす西田。続けて、検察庁改正法案についても聞いた。――多くの俳優が改正案に反対を表明しています。「改正案はおかしい!私もそう思います。果たしてそれをコロナが蔓延しているこの時期に、政府が率先してやるべきですか!?」――優先順位が違うとみなさんおっしゃっています。「まったく同じ気持ちです。腹立ちますね、本当に!」俳優たちの代表として不要不急の法改正に“絶対反対の意思”を示し、西田は去っていった。次々と“声を上げる”芸能人たち。今後こうした流れは加速していくという。エンタメ界に詳しい江戸川大学の西条昇教授はこう語る。「今回の動きは、エンタメ界にシビアな政府への憤りだけではありません。アメリカの俳優やアーティストは自身の支持政党といった政治的コメントをします。アメリカでは、著名人の作品への評価と、そういった発言は別物として受け止められているからです。これまで日本では、事務所やスポンサーが気にするため政治的発言はリスクと考えられていました。しかし、SNSが発達したことで自分の意見を言える機会も増えた。事務所側も、タレント本人の考え方も尊重していくようになっています。日本のエンタメ界がアメリカのように変わっていく転換期を迎えていると思います」変革の時を迎えつつある日本の芸能界。政府は彼らの“声”とどう向き合っていくつもりだろうか。「女性自身」2020年6月2日号 掲載
2020年05月19日2020年5月8日頃から、検察庁法改正案への抗議を表明する投稿がTwitter上で相次いでいます。芸能人も巻き込んでの一大論争を巻き起こしている検察庁法改正案とは、検事総長以外の検察官の定年を、現在の63歳から65歳に段階的に引き上げるというもの。これに対し、世間からは検察への政府の介入を懸念する声や、新型コロナウイルス感染症がまん延する中での審議に不信感を表す声など、反対意見が多く上がりました。そんな中、情報番組『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)での、安住紳一郎アナウンサーの発言が反響を呼んでいます。「これぞ報道のあるべき姿」の声も同月16日放送の同番組では、検察庁法改正案について特集。世の中からは圧倒的に抗議意見が多く上がっている印象の中、安住アナは今回の論争について番組中でこのように語りました。WEBメディアなどを中心に、当初反対意見が非常に注目が集まったということもありまして、バランスのとれた議論ができていないのではと感じています。法案の中身含めてしっかり読んで説明すると2時間近くかかるという問題なんですけれども。私が昨晩ネットサーフィンを4時間ほどしまして、世の中にあふれているさまざまな人たちの疑問をボードにまとめましたので、これで全体の輪郭をつかんでいただければと思います。新・情報7daysニュースキャスターーより引用持ち出されたボードには、検察と政治家の関係性、内閣に対する反応をはじめ、賛成派と反対派それぞれの指摘がまとめられていました。視聴者に対して今回の改正案の論点を、自ら分かりやすく伝えようとする姿勢が伝わる安住アナ。その姿に、視聴者からは「これぞ報道のあるべき姿」との声も上がっています。・ニュース番組は賛否両論、バランスよく取り上げるべき。・報道とはこういうことですね。自身の信念がしっかりされているからこそだと思います。・賛否両論、どちらかの意見しか重視しないところが多い中、両方の意見を出しているのが素晴しいです。過去には、台風の情報をより分かりやすく視聴者に伝えるため、手書きの地図を自ら用意し称賛を浴びた安住アナ。ただ情報を伝えるだけでなく、視聴者の目線に立った解説を心がける姿勢もまた、安住アナが支持される理由の1つなのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年05月17日公明党の山口那津男代表(67)が5月12日、Twitterで検察庁法改正案について言及した。しかし、その内容を疑問視する声が相次いでいる。同日、Twitterで《検察官の定年延長を含む検察庁法改正案の趣旨が国民に伝わるよう、政府として丁寧に説明していただきたい》と切り出した山口代表。さらに《検察官は一般職の国家公務員でもあり、一方で司法の担い手の一翼でもあることを踏まえて制度化を図っているという趣旨がよく理解できるよう、説明責任を尽くしてもらいたいと考えます》とつづった。検察庁法改正案は、内閣の判断で検察幹部の役職定年を延長できるようにするもの。そのため「内閣による恣意的な人事が可能になることで、検察官の政治的な独立性や中立性が脅かされるのでは」と懸念されている。また「黒川弘務検事長の定年延長を後追い的に合法化するのか」という見方や、何より「コロナ禍にある今、国会審議を急ぐべきことなのか」と批判されている。そうした多くの疑問をはらみながらも、今国会で採決をするという意向に異論を示さない公明党。12日に開かれた「検察庁法改正案に関する緊急記者会見」には、自民党とともに「会議」を理由とし不参加を表明していた。公明党は「与党のブレーキ役」ではなかったのかーー。Twitterでは山口代表の投稿に対し、厳しい声がこう上がっている。《政権側にいるからブレーキ役になれるというなら、本気の姿勢を見せていただきたいです。その為に、議員という職に押し上げた有権者もいるはずです》《このまま押し切られるなら公明も傍観者にすぎない》《単なる、「公明党は政権の暴走を止めるブレーキ役やってる感」アピール》また「山口代表にも説明責任があるのでは」とし、こんな声も上がっている。《貴方も与党の一部です。ご自身でも、きちんとご説明なされてはいかがですか?》《説明責任を自民党だけに求めるのはおかしいです》《他人事のように言ってますが、与党党首なのだから自分の言葉で趣旨を説明すべきでしょう。しかも自身も弁護士なのですから、日弁連や全国の弁護士会が示している反対の声に正面から向き合い回答すべきです》13日に衆院内閣委員会で行われた検察庁法改正案に関する質疑で、野党が森まさこ法務大臣(55)の出席を求めたが与党は拒否。代わりに自民党・武田良太行政改革担当相(52)が答弁に立ったものの、「法務省の職員でもないので具体的に言えない」などと連発。また同日、強行採決に反対を表明した自民党・泉田裕彦議員(57)は内閣委員を外されることとなった。「至誠一貫」を政治信条とする山口代表はどう考えているのだろうか?
2020年05月14日連日、各界から批判が相次いでいる国会で審議中の検察庁法改正案。内閣の判断で検察幹部の定年延長を可能とする同法案は、恣意的な運用が可能な側面から“検察組織の独立性、中立性を損なう”と法曹界を中心に懸念されていた。5月9日にはTwitterで生まれた「#検察庁法改正案に抗議します」というタグがたちまち拡散。浅野忠信(46)、漫画家のゆうきまさみ(62)、コピーライターの糸井重里(71)といった各界の著名人がハッシュタグとともに反対の意思を示していた。Twitterでの抗議は500万ツイートにものぼると見られ、大きなうねりを見せている反対運動。そして、遂に自民党内からも批判の声が。同法案の審議があった13日、自民党の泉田裕彦議員(57)はTwitterでこうつぶやいた。《私、国家公務員法等改正案を審議している衆議院内閣委員です。今、一部委員退席のため休憩中です。検察庁法の改正案は争点があり国民のコンセンサスは形成されていません。国会は言論の府であり審議を尽くすことが重要であり強行採決は自殺行為です。与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました》与党議員ながら、強行採決に明確な反対意思を表明した泉田議員。しかし、この呟きの3時間後、事態は急転する。泉田議員はTwitterでこう明らかにした。《「強行採決をすべきでない。」との声が届くのかわかりませんが、内閣委員をはずされることになりました》前述した恣意性や検察幹部の定年延長を可能とする条項が今年2月に急遽、追加されたことなどから正当性が疑問視されている同法案。与党内とはいえ、強行採決に反対した泉田議員への“重すぎる処罰”には批判があがっている。《泉田議員の件、「法案に反対です」じゃなくて「強行採決すべきでない」で委員外されるって、他の自民党議員への見せしめでもあるのだろうね。議論なんてハナからする気ないのだろうね…》《泉田議員の内閣委員はずしで「恣意的な人事をしない」って言葉を完全に信用できなくなってしまったのウケる法改正が本当に正しいと思っているなら強行採決などせずにしっかりと議論してほしい》13日の審議には、同法を管轄する森まさこ法務大臣(55)が欠席。仲間の“勇気ある異議”も無視し、このまま強行採決するつもりなのだろうか――。
2020年05月14日5月12日、「検察庁法改正案に関する緊急記者会見」が開催された。渦中にある検察庁法改正案について議員たちが、YouTubeの生配信を通してリモートで討論するというもの。しかし参加した日本維新の会・足立康史議員(54)が持論を展開するたびに、総ツッコミを食らうこととなった。今回の討論には立憲民主党・枝野幸男代表(55)や国民民主党・玉木雄一郎代表(51)、共産党・志位和夫委員長(65)や社民党・福島瑞穂党首(64)、そして日本維新の会からは足立議員が参加した。いっぽうで与党である自民党や公明党の議員は、会議を理由に不参加だった。当初、「『官邸が黒川弘務氏を検事総長にしたがってる』と考えるのは陰謀論過ぎる。現在の稲田総長が辞めない限り、黒川氏を総長にすることはできない」と述べた足立議員。黒川氏の定年を延長するという閣議決定について「法令の解釈を閣議決定でひっくり返すのは日本の統治機構が認めている」と発言。しかし、枝野代表は「閣議決定で勝手に解釈を決めることは正しいことではない」「合理的な説明もなく変更できる権限は内閣にない」と反論。そして「検事総長にするかどうかに関わらず、黒川氏の問題は違法だ」と釘を刺した。さらに足立議員は「定年延長ごときで左右されるほど検察はヤワじゃない」「内閣がおかしな形で検察の任命権をコントロールしたなら、国民が内閣を倒せばいい」などと発言。すると枝野代表は「制度として公平中立性が確保されるかどうか、それが立法府である我々の役目だ。検察がヤワかどうかという印象論は関係ない」と指摘。そして「検察は権力の犯罪に対して事実上、唯一の捜査機関。国民は強制捜査できない」「民主主義の手続き論では済まない」と強い口調で語った。また「丁寧に議論をしなければならない。野党の皆様がネットに便乗してやってる作業は雑すぎる」と述べたところ、玉木代表から「2月の予算委員会でも取り上げた」「民意の力も借りて、従来からやってきた問題が明らかになっている。便乗ではない」とたしなめられた足立議員。威勢良く持論を展開するものの、ことごとく反論がーー。そんな彼にネットでは厳しい声がこう上がっている。《正直、維新足立さんの根本的な捉え方、考え方と話し合い方の稚拙さが大変目立つ》《印象操作と論点ずらし 他の党首から正論で返されてばかり》《「定年延長ごとき」という足立議員の言葉に、ルールや制度を何のために定めるのかを根本的に理解されていないことが表れているかと思います》《「何も知らない足立くんに教えてあげる会」になってるじゃん。視聴者でも知ってることを知らなかったり、論理的におかしいこと主張してみたり》
2020年05月13日歌手のきゃりーぱみゅぱみゅ(27)が5月11日、自身のTwitterを更新。「検察庁法改正法案」に抗議した投稿を削除し、その発言の真意を説明した。同法改正案については、これまでも“検察庁の独立性がゆがめられる”との危険性が指摘されていた。そのため、芸能界からも小泉今日子(54)や井浦新(45)、浅野忠信(46)らが「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけてツイートしていた。ネット上で続々と支持表明が上がるなか、特に話題になったのがフォロワー523万人を抱えるきゃりーのツイート。彼女を批判する投稿に対しても怒りの矛先が向けられるなど、コメント欄が大荒れとなっていた。そんななかできゃりーは投稿を削除し、長文を投稿。《今コロナの件で国民が大変な時に今急いで動く必要があるのか、自分たちの未来を守りたい。自分たちで守るべきだと思い呟きました》とツイートした意図を説明した。削除した理由は《ファンの人同士で私の意見が割れて、コメント欄で激論が繰り広げられていて悲しくなり消去させて頂きました》と説明。《今後は発言に責任感を持って投稿していきます。失礼致しました》と結んだ。このツイートに対して《彼女の発信を機会に少しでも政治に関心が向けばいいと》《政治的な事も含めてぱみゅさんが関心を示した事をTwitterで呟いていいと思います》《勇気ある行動だと思います》などの声が上がっていた。
2020年05月11日国会で審議されている検察庁法改正案への反対運動の勢いが増している。内閣の判断で、本来なら定年を迎えるはずだった検察幹部の任期を延長することができる本法案。判断基準が曖昧なことから検察の独立性を揺るがしかねないとして、野党からは批判の声が相次いでいる。5月9日にはTwitter上で「#検察庁法改正案に抗議します」というタグが生まれ、たちまち拡散。タレント、漫画家、ミュージシャンなど様々な著名人にも広がりを見せ、同タグは500万件以上(5月11日15時時点)も呟かれる事態に。俳優の城田優(34)は《大事なことは、ちゃんと国民に説明してから、順序に則って時間をかけて決めませんか? そんなに急ぐ必要があるんですかね》と違和感を綴った。ハマカーンの神田伸一郎(43)、くるりの岸田繁(44)、声優の緒方恵美(54)、漫画家の羽海野チカなど多くの著名人が反対の声をあげていた。こうした著名人の意見表明に《声を上げてくれてありがとうございます》《尊敬します》といった称賛の声が上がるいっぽうで、批判する声も寄せられている。《もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい》と投稿した俳優の井浦新(45)には《悪いことは言いません 干されますよ。 もうここまで広がったんで取り消しようはありませんが》《本当に法律をよく読んで言ってか?》と、批判の声が。複数回にわたって同タグを投稿した小泉今日子(54)にも《鬱陶しいわ 歌も上手くないんだから黙ってれば良いのに》と、中傷する声も見られた。さらに、同タグを投稿した『映像研には手を出すな!』で知られる漫画家の大童澄瞳(27)に対して《次は「映像研には手を出すな!」の大童を潰す!》と脅迫めいた投稿をする者も。この投稿に対して大童は《ワシ今名指しで「潰す」って言われておりますが、これって脅迫ですかね》と綴っていた。なお同法案は、昨年秋に内閣法制局で審査されていた時のものに条文が追加されている。昨年秋時点の内容は「検察官の定年を65歳に引き上げ、次長検事及び検事長は、63歳に達した翌日に検事になる」というシンプルなもの。しかし今年2月末に改正された内容では前述した「検察幹部の定年延長を内閣が決めることができる」といった条文が追加されている。コロナ禍によって日本中が不安な日々を送っている真っ最中に、政権にメリットのある条文が追加されているのだ。そんな状況に声をあげた著名人たちへ心ない声を浴びせることは、議論の芽を摘む行為ではないだろうか?
2020年05月11日歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが11日、自身のツイッターを更新。10日に「#検察庁法改正案に抗議します」とツイートした真意と、投稿を削除した理由を説明した。検察官の定年を延長できるようにする検察庁法の改正案をめぐり、ツイッター上では抗議の投稿が続出。きゃりーも「#検察庁法改正案に抗議します」と投稿したが、コメント欄でさまざまな議論が繰り広げられ、当該ツイートを削除した。きゃりーは「なぜ今回私が発言したのかと言いますと、周りの信頼している友達がこの話をしていて政治に詳しくない私のところまで話が降りてきました。私も自分なりに調べた中で思ったのは今コロナの件で国民が大変な時に今急いで動く必要があるのか、自分たちの未来を守りたい。自分たちで守るべきだと思い呟きました」と真意を説明。「そして若い方でもわかりやすいように画像を掲載させて頂きました(この画像は間違えてる等の指摘も頂きました。ごめんなさい)」と伝えた。そして、削除した理由について「ファンの人同士で私の意見が割れて、コメント欄で激論が繰り広げられていて悲しくなり消去させて頂きました」と説明し、「いろんな意見があって良いとは思います。私に対してのイメージ、理想それぞれあるとは思いますがファン同士で喧嘩するのは嫌だなぁ」と吐露。「逃げるな!とか消すなら最初から書くんじゃねー!とか色々言われるだろうなと思ったので理由を書かせて頂きました。今後は発言に責任感を持って投稿していきます。失礼致しました」とつづった。
2020年05月11日《歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、》ツイッター上で、そう憤ったのは歌手のきゃりーぱみゅぱみゅ(27)だ。内閣の判断で検察幹部の「役職定年」を延長できるようにする検察庁法改正案。内閣による恣意的な人事が可能になることで、検察官の政治的な独立性や中立性が脅かされるのではないかと批判の声が高まっている。5月10日、ツイッター上では《#検察庁法改正案に抗議します》というハッシュタグがトレンド入りした。芸能人もこのハッシュタグを使って改正案に反対を表明。浅野忠信、井浦新、秋元才加、オアシズの大久保佳代子、城田優、高田延彦、綾小路翔、小泉今日子(ツイッターは事務所名義だがツイートは本人)などなど、多数が声をあげていて、きゃりーもその1人だ。10日午前11時ごろ、きゃりーは《#検察庁法改正案に抗議します》というハッシュタグとともに、検察庁法改正案の問題点を相関図形式でまとめた画像をツイートする。だが、これに噛みついたのが、政治評論家の加藤清隆氏(67)だ。過去に「安倍総理の手で憲法改正を」と訴えたことがあるなど、安倍政権に好意的なスタンスで知られている加藤氏は、きゃりーのツイートにこんなコメントをつけてリツイートした。《歌手やってて、知らないかも知れないけど、検察庁法改正案は国家公務員の定年を65歳で揃えるため。安倍政権の言いなりになるみたいな陰謀論が幅をきかせているけど、内閣が検察庁を直接指揮することなどできません。デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい。》あたかも歌手という職業についている人間は無知であるかのような物言いにきゃりーは抗議。《歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、》とリプライで反論した。現行の検察庁法では、検察官の定年は、職務の特殊性を鑑み、ほかの国家公務員と異なる63歳(検事総長のみ65歳)と定められている。だが、これまでの法解釈を捻じ曲げ、安倍政権は政権に近しいとされる黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長を強行した。検察庁法が改正されれば、検察官の定年が65歳になるだけではなく、内閣の判断で検察幹部の「役職定年」を延長することができるようになる。そうすれば、黒川氏の例のように、内閣にとって都合のいい幹部の定年だけを延長して、逆に気に入らない幹部は定年通りに役職を解くという運用も法的に可能になってしまう。内閣が検察幹部の生殺与奪権を握ることで、検察が内閣の不正の追及をできない構造になってしまうのではないかと懸念されているのだ。新型コロナウイルスで国中が混乱する中、自国の司法制度を歪めかねない法改正が強行されつつあるのに抗議せずにはいられなかったきゃりー。職業はまったく関係ない話だ。
2020年05月10日昨年夏の参院選で“ウグイス嬢”に規定以上の報酬を支払っていたとして、公職選挙法違反の疑いで広島地検から家宅捜索を受けた自民党・河井案里議員(46)。疑惑について説明せず適応障害を理由に国会を休んでいたが、1月15日に記者団の取材に応じた。約2カ月半ぶりに、公の場へと姿を見せた河井議員。各メディアによると「洗いざらい調べていただき、真実を明らかにしていただきたい」と発言したものの、疑惑については「お答えすることを差し控えたい」と繰り返し返答。辞職はしないと明かし、「国会議員をどのような思いで続けるのか」という問いに対しては「日本を変えたいからです」とコメント。その後も「日本を変えたいといっているが、2カ月半経っても説明できていない時点で責任を果たしていないのでは」と投げかけられたが、会見を切り上げたという。16日の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)など、テレビ各局は河井議員の“表情”を伝えた。それは会見を後にし、背後にあった建物に入ったときのこと。会見では神妙な面持ちの河井議員だったが、建物の中では打って変わって笑顔を見せていたのだ。そして報道陣の姿を窓から確認した途端、再び顔を戻した河井議員。その変わりように、記者たちからも思わず「笑ってたね……」と驚きの声が上がったという。「騒動の影響で、夫である河井克行議員(56)が法務大臣を辞任。国政にも影響を与えた上に他にも疑惑が報じられているのですが、会見の案里議員には立場を理解していないような言動が目立ちました。2カ月半経ってからの登場というのも、家宅捜査の段階に入れば『何も答えなくていい』という戦術が見え隠れします」(全国紙記者)また克行議員と同時期に経済産業大臣を辞任した菅原一秀議員(58)も、“雲隠れ”を続けている。昨年10月、菅原議員はメロンやカニを選挙区内の有権者に配ったという疑惑などを問われ、「国会で説明する」と発言していた。しかし、突如辞任した。「『説明する』と話した翌日に、説明することなく辞任を発表。その突然の舵きりは『一晩考えて今朝決めた』という自己中心的なものでした。ですが、その直後のブログには『本日、自らの決断をした』と一行だけ投稿。まるで英断のように見せていますが、その認識ははたして正しいものでしょうか」(前出・全国紙記者)それぞれの疑惑が報じられた後、河井夫妻や菅原議員は国会を1カ月以上も欠席した。しかし昨年12月の西日本新聞によると、通常の歳費に加えて菅原議員と克行議員には323万円強、そして案里議員には194万円強のボーナスが満額で支給されたという。そのためTwitterでは3議員への批判の声が。また彼らに厳しい態度を示さない自民党に対しても、《税金払ってる側からすると仕事せずに貰うものもらって休むって腹が立つなぁ。減給は?それを放置してた自民党は何してるの?》《自民党も甘すぎる》と姿勢を問う声が上がっている。
2020年01月17日改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さん、弁護士の外岡潤さんが解説!【ケース】父とともに遺言状の作成を行っているE子さん。遺言状は自筆である必要があるので、父に書かせているが、資産家の父は財産が多岐にわたっているうえ、一筆でも間違えば、訂正印を押して、何文字直したまで記載しなければならない。手元がおぼつかない父はイライラが募り、もう書きたくないと言いだした【新ルール】財産目録は自筆じゃなくてもOKに「遺言書は、日付、署名、押印がなければ認められず、すべて手書きでなければいけませんでしたが、今年1月から『財産目録』に限り、自筆でなくても認められるようになりました」(外岡さん)遺言作成の手間が大幅に軽減したことになる。「パソコンやワープロを使って作成した文書や、不動産登記事項証明書、通帳のコピーも目録として使用してもよいことに。ただし各ページに署名押印する必要はあります」(外岡さん)日本は現在、亡くなる人が年間で130万人を超えている。「つまり、その数だけ『相続』事案は発生しています。高齢者同士の相続が増えたことや、配偶者保護の必要性が出たことなどから、今回40年ぶりに相続法が改正されたのです」(松下さん)配偶者居住権や、生前贈与の持ち戻し免除が認められるようになったのも、超高齢社会で残された配偶者が困窮しないための措置だ。妻にとって、有利なことが多い今回の法改正。知らなければ、大きな損。逆に知ってさえいれば、大きく得ができるのだ!
2019年11月02日改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さん、弁護士の外岡潤さんが解説!【ケース】生前贈与で夫から資産価値2,000万円の自宅を贈与されていたD子さん。夫が突然亡くなり、3,000万円の金融資産が遺された。あまり仲がよくない夫の前妻の子と1,500万円ずつ分割するものだと思っていたら、自宅の2,000万円も加えた5,000万円で遺産分割することを求められた。2,500万円ずつということになるので、現金は500万円しか相続できず、老後の生活設計が狂ってしまうことに【新ルール】夫婦間の自宅の贈与は遺産分割の対処外に「これまでの法律では、夫から自宅を『生前贈与』されていた場合、夫が遺したお金(この場合3,000万円)に、自宅の不動産価格(同2,000万円)を“持ち戻した”金額(同5,000万円)から遺産分割をしなければなりませんでした」(外岡さん)遺書に特段の記載がない限り、妻が夫の生前に贈与された自宅でも、遺産に「持ち戻して」遺産分割するというのが基本だった。しかし、今年7月から、「婚姻期間が20年以上の配偶者」は、自宅の贈与に限り、「持ち戻し」が、“免除”されることになった。「改正法により、遺言がなくても、生前贈与された自宅に関しては『相続財産に加えない旨を被相続人が意思表示した』、つまり故人に『持ち戻し免除の意思表示があったもの』として考えられるようになりました」(外岡さん)このケースの場合、D子さんが生前贈与で受けていた自宅の2,000万円は相続財産に含めないでよくなるため、夫の死後に残ったお金である「3,000万円」のみを、夫の前妻の子と2分の1ずつ分ければよいということになる。「さらに、婚姻期間20年以上の夫婦間では、自宅の贈与に限って2,000万円まで贈与税はかからないという特例がある。つまり、これらのルールを知っていれば、贈与税も払わず、ほかの遺産の取り分を減らすこともなく、D子さんは夫から自宅を継承できるのです」(松下さん)
2019年11月02日改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さん、弁護士の外岡潤さんが解説!【ケース】C子さんの夫は認知症を発症し、遺言状を書くことはできない。夫が亡くなった場合、評価額2,000万円の自宅だけが遺される。遺産は、C子さんに1,000万円、折り合いが悪く没交渉になっている娘に1,000万円という計算になるが、娘からは遺産分割のため、自宅の売却を求められる可能性が高い。このまま、住み慣れた家に住み続けたいが……【新ルール】’20年4月から夫の死後も居住権を主張できる「夫の死後、土地を妻と子どもたちで遺産分割する場合、所有権を子どもたちが取得すれば、年老いた妻が家を追い出される可能性があります。『高齢の配偶者の自宅を確保する』ために、改正相続法では『配偶者居住権』が新設され、’20年4月から施行されることになりました」(外岡さん)自宅の権利が「所有権」と「居住権」に分けられ、妻が居住権を相続すれば、所有権の有無にかかわらず、妻は自宅に住み続けることができるようになる。居住権の価値の算出は、築年数や耐用年数などから複雑な計算をする必要があるが、価値を仮に1,000万円とした場合、C子さんは居住権1,000万円、娘は“居住権のない所有権”1,000万円を相続することになる。居住権は売ることはできないが、C子さんはなくなるまで、自宅に住み続けられるのだ。「さらに、『配偶者短期居住権』というのも新設されます。遺産分割協議成立まで一定期間(早期に成立した場合は最低6カ月)、妻は家賃を払うことなく自宅に住み続けられることに」(松下さん)
2019年11月01日改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さんが解説!【ケース】夫が亡くなり、葬儀をしないといけないのに、B子さんと息子には貯金がない。夫の口座には葬儀費用ぐらいありそうだけど、口座が凍結されてしまって……【新ルール】150万円まで故人の口座からお金をおろせる「被相続人(夫)が亡くなると、金融機関の預貯金は凍結されて、遺産分割の協議が終わるまで、引き出せなくなってしまいます。しかし『葬儀のお金がない』というのは重大な問題です。そこで、今年7月から、相続人が適切な手続きを行えば、被相続人の預貯金を引き出せるようになりました」(松下さん)引き出せる限度額は、被相続人の預貯金残高の「3分の1」に、相続人の法定相続分(妻=2分の1、子=2分の1をきょうだいの数で割った額)をかけた金額。仮に夫が600万円の貯金を遺した場合、B子さんは6分の1にあたる100万円まで引き出せる。「ただし、1金融機関での払い戻しの上限は『150万円まで』と定められています。『用途』は限定されていません。なかには、被相続人の負の遺産、つまり借金を返済するという目的で払い戻す人も。いずれにせよ、何に使ったのか記録を残しましょう。葬儀費用など故人のためではなく、自分のために使った場合は、相続額から引き出した金額分が引かれることになります」(松下さん)
2019年11月01日改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さん、弁護士の外岡潤さんが解説!【ケース】夫が亡くなった後も、義母の世話を長年してきたA子さん。実子である夫のきょうだいは何もしてくれない。だが、認知症を発症している義母は遺言状を書くことができず、これだけ介護に励んでいるのに、1円も遺産をもらうことができないのか、と悩んでいる【新ルール】義理の娘も“介護の報酬”を要求できる!「夫の死後も“お嫁さん”の立場で義母の世話に献身してきたA子さんですが、これまでの法律ではその貢献度は認められず、遺産は1円ももらえませんでした。しかし、今年7月に施行された改正相続法により、子どもの配偶者などを含む親族にも、『特別寄与』として遺産を請求できる権利が、与えられることになったんです」(松下さん)これまで、配偶者や子などの「法定相続人」が、亡くなった人(被相続人)の事業を手伝うことや、「療養看護その他の方法」によって、「被相続人の財産の維持」に貢献すると、寄与分として多めに遺産相続ができることがあった。7月1日から、法定相続人以外の親族にも「特別寄与」として、遺産を請求する権利ができた。外岡さんが解説する。「親族とは『6親等内の血族、配偶者、3親等以内の姻族(血族の配偶者や配偶者の血族のこと)』のことです。『子の配偶者』であるA子さんは、1親等の姻族で特別寄与が認められます。手続きする場合には『各相続人』に対し、特別寄与料の支払いを請求することになります。協議が成立しなければ、家庭裁判所に調停してもらう流れになるでしょう」ところで、A子さんのような場合、どれくらいもらえるの?「これまでの『寄与分』の基準が参考になるでしょう。たとえばA子さんのような介護だと、1日4,000〜8,000円×日数が相場です。ただし、大事なのは証拠の有無。いちばんの証拠は日々の記録ですので、日ごろから送り迎えの燃料費などの出費も含めて“介護日誌”を記しておくといいでしょう」もちろん、遺言があれば、相続人以外でも財産を受け取れるので、遺言書を書いてもらうのがもっとも確実な方法なのは変わらない。
2019年11月01日40年ぶりに「相続」に関する法律が改正され、一部を除き今月から施行されている。相続は「富裕層の問題」と思いがち。だが、裁判所に持ち込まれた相続事件の、実に3分の1が遺産1,000万円以下(’17年・最高裁判所)。“争続”を避けるため、早めの準備が必要だ。ただ小さな思い違いで、取り返しのつかない事態を招くことも。そこで経済ジャーナリストの荻原博子さんが、相続の落とし穴を解説してくれた――。【1】息子の妻も寄与分を請求できるこれまで、いくら介護を支えても息子の妻などに相続権はありませんでしたが、今後は貢献に応じた「特別寄与料」が請求できます。これが大きく報道されたため、期待する方も多いでしょうが、特別寄与料が法定相続人1人分より多いとは思えません。相続財産の1割程度と考えておきましょう。【2】自筆遺言書を法務局で保管自筆遺言書には紛失や隠匿、偽造などの不安がありましたが、法務局保管であれば安心でしょう。ただ死亡届を出したら自動的に、「遺言状があるよ」と連絡が入るわけではありません。家族が遺言書の存在を知らなければ、預けただけで開封されない可能性も。遺言書の存在や保管場所を、必ず家族に伝えておきましょう。【3】仏具は相続対象ではないが……相続税はすべての財産にかかるのではなく、墓地や墓石、仏壇仏具などは相続税がかかりません。以前は、これを“抜け道”として、純金製の仏具や骨とう価値の高い仏像などを子孫に残す方もいましたが、今ではNG。税務署に税逃れと判断されます。【4】借地なら「借地権」を相続借地に故人名義の家がある場合、土地は他人のものだから相続には関係ないと思う方が多いでしょう。しかし、借地には「借地権」があり、相続財産に含まれます。借地権は、借地年数にもよりますが土地の相続税評価額の6~7割が一般的。都心だと地価が数億円、借地権も億単位というケースもあります。早めに専門家にご相談を。【5】賃貸住まいに思わぬ費用が故人が賃貸住まいなら、荷物をすべて撤去し、借りる前の状態に原状回復して、賃貸契約を解除するまで賃貸料が必要です。家財の処分を遺品整理業者に依頼すると、広さによりますが2DKで10万~25万円かかります。【6】相続税は10カ月以内に現金で相続税がかかるのは、相続財産が、3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えた場合です。法定相続人が妻と子2人なら、4,800万円が判定ライン。まずは、相続財産を計算してみましょう。相続税を払う方は、故人の死後10カ月以内に現金払いが原則。自宅など換金しづらい財産が多い方は、生命保険の活用も一手です。生命保険の死亡保険金は、現金で支給されるうえ、500万円×法定相続人の数以内は相続税がかからないからです。「相続財産は持ち家だけ」という家族が、“争続”に発展することも少なくありません。親が元気なうちに、相続の話を始めたいものです。
2019年07月19日NGT48劇場支配人の早川麻依子氏が1日、公式サイトを通じ、今年5月に卒業した山口真帆への暴行事件に関連する対策案を発表した。冒頭では、「昨年12月から当グループに関わる一連の出来事で、大変なご心配やご迷惑をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪し、「縁あってNGT48として集ったメンバーそれぞれの夢を預かり、花開く場を提供していくことに最善を尽くすことが、私どもの役割ではございますが、今回、一連の出来事を通じて、かけがえのない存在であるメンバーを苦しい立場に立たせてしまったことは、支配人としても忸怩たる思いでございます。今後は二度とこのような事態を招かぬよう、改善にベストを尽くしていく所存です」と表明している。対策案は「NGT48メンバーのセキュリティ対策の強化について」「送迎対策」「つながり防止対策」「NGT48メンバーへのメンタルケアの体制強化」「NGT48メンバーと運営のコミュニケーション」「運営面での意識改善の機会創出」「活動の安心・安全のための毅然とした対応」の計7項目。「セキュリティ対策」は、防犯用のGPS通報専用端末の配布、警備会社による劇場周辺やメンバーの自宅周辺の巡回の強化、緊急連絡網の見直し、地元警察との連携の強化、メンバーからの不審者情報等の集約と当該情報に基づく迅速かつ適切な対応、チケット受付における生体認証(顔)認証システムの導入の検討を具体案として掲げている。「つながり防止対策」については、「メンバー本人及びご家族の同意・協力の下、つながり防止対策として以下を実施して参ります」とし、「私的領域(プライベートな空間)において特定のファンを優遇すること」等ファンとの私的なつながりの定義の明確化と禁止ルールの遵守の徹底化、SNSのDM返信のチェック体制構築、プライベートな環境でファンと遭遇した場合の運営への即時連絡、握手会レーンへの防犯カメラ設置、まとめ出し時のスタッフの対応強化など。また、最後の7つ目に書かれている「活動の安心・安全のための毅然とした対応」は、「今回の出来事に関する民事訴訟の提起」、「メンバーの名誉やプライバシーの保護として、SNS等における脅迫ないし誹謗中傷の投稿や書き込みに対する民事上及び刑事上における法的措置の実施を含む厳正な対処」の2点を挙げている。そのほか、「一連の出来事に対する反省を踏まえ、企業としての社会的責任に対する取り組みの強化の一環」として、運営会社・AKSのコーポレートサイトを開設したことを告知。早川氏は今回の発表の締めくくりとして、「上記を実施し改善することにより、皆さまからの信頼を取り戻しながら、NGT48が多くの皆様に笑顔を与える存在となれます様、努力してまいりますので、ご支援の程よろしくお願いいたします」と呼び掛けている。
2019年07月01日