万が一、自分のうっかりミスが原因で水漏れを起こしてしまった場合、いったい何をどうすればいいのでしょうか。「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザー・穂積啓子氏に、「水漏れトラブル」に関する事例と対策法をうかがいました。■1に風呂場、2に洗濯機置き場からの水漏れが多い「水漏れトラブルには、1.入居者による不注意、2.建物や設備の構造・老朽化、という2つの原因が挙げられます。入居者の不注意が原因の水漏れによる弁償、賠償については、水漏れを起こした当事者=加害者が行うのが原則です」と穂積さん。また、「入居者の不注意による水漏れの場所は、私の経験データでは、もっとも多いのが風呂場、次が洗濯機置き場、続いてトイレの順になります」と説明し、次の事例を紹介します。・ケース1風呂の水を止め忘れていた「何やら肩が冷たいな……」。酔っぱらってリビングで寝ていたら、体が水に浸かっていることに気付いて目が覚めた。これは、風呂の湯船に湯を出していることを忘れていた、湯を出したまま寝てしまったために起こった例です。風呂場からあふれた水は部屋に流れ出します。風呂場以外は防水が施されていないので、水が風呂場を出た時点で階下にも水漏れは起こります。水は真下に流れるとは限らず、建物のあらゆる隙間から方々へ流れます。この例は毎月のように、多数発生しています。ただし、風呂の排水溝の掃除をしていれば、水が詰まってあふれ出ることはあまりありません。つまり、「排水溝の掃除をしているかどうか」、これが原因となることが多いのです。・ケース2洗濯機の給排水ホースが外れていた「天井から水がポタポタ漏れてだんだんひどくなってきています!」。先日も、管理するマンションの入居者の方から、慌てた電話がありました。その方が階上の部屋の玄関をどんどん叩いて水漏れを知らせると、「洗濯機を回していた」と眠そうな声で返事があったそうです。洗濯機のホースが排水管から外れていて、排水が部屋にあふれ、一面水浸しになっていた。昼寝をしていて気付かなかった、という例です。洗濯機をセットして外出する、寝る、大きな音でテレビを見ていて水漏れに気付かなかった例が多くあります。特に引っ越したばかりのころや、洗濯機回りを掃除していないなどでホースが排水溝に正しくセットされていなかったということがあります。また、ケース1同様、排水溝にゴミが溜まっていて水があふれたという例もあります。・ケース3トイレを詰まらせる「うっかり携帯電話やライターを落として流してしまった」、「オムツを流す」、「ラーメンの食べ残しなどの生ゴミをトイレに流して詰まらせた」……など、さまざまなケースがあります。異物が原因のトイレの詰まりは、水を複数回流すほどに奥の方へ押し流されて行くため、取り除くことが困難になります。また、むやみに水を流して水があふれることもあります。水漏れの対処について、穂積さんはこうアドバイスをします。「ついうっかり水漏れを起こしてしまうことはよくあるわけです。起きたあとは、謝罪と弁償になりますが、水漏れの賠償は数百万円となるケースもあり、借金を背負ってしまうことになりかねません。そこで、『借家人賠償付火災保険(借家人賠償責任保険)』という保険があることを知っておいてください。一般的に、火災保険と呼ぶ保険、部屋を借りるときに加入した覚えがある方も多いと思います。『賃貸している住宅が火災や事故によって生じた損害について賠償責任を補償する』という保険です。万が一、水漏れを起こした階上の住人が火災保険に加入していなくても、自分が加入していた場合は一時的に保険会社が被害に合った金額を立て替えてくれるケースもあります。この場合、保険会社から当事者へ被害額が請求されます。賃貸住宅の契約のときに保険の加入・継続が義務付けられていることも多いのですが、例え必須要件でなくても、必ず加入しましょう。また、「肝心のときに、火災保険の更新を忘れていて無効だった」という事例も複数あります。更新については、保険会社や管理会社、家主から早めに連絡が届きます。すぐに更新しておくようにしましょう」ついうっかりでも複数の部屋に水漏れを起こしてしまい、電化製品や高額品、部屋の内装までも弁償しなければならない可能性もあります。早速、風呂場の排水溝の掃除をし、洗濯機のホースを排水溝にセットしなおして、さらに保険の情報をチェックすることにしましょう。監修:穂積啓子氏「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た!~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子東京書籍1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。(岩田なつき/ユンブル)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月28日万が一、自分のうっかりミスが原因で水漏れを起こしてしまった場合、いったい何をどうすればいいのでしょうか。「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザー・穂積啓子氏に、「水漏れトラブル」に関する事例と対策法をうかがいました。■1に風呂場、2に洗濯機置き場からの水漏れが多い「水漏れトラブルには、1.入居者による不注意、2.建物や設備の構造・老朽化、という2つの原因が挙げられます。入居者の不注意が原因の水漏れによる弁償、賠償については、水漏れを起こした当事者=加害者が行うのが原則です」と穂積さん。また、「入居者の不注意による水漏れの場所は、私の経験データでは、もっとも多いのが風呂場、次が洗濯機置き場、続いてトイレの順になります」と説明し、次の事例を紹介します。・ケース1風呂の水を止め忘れていた「何やら肩が冷たいな……」。酔っぱらってリビングで寝ていたら、体が水に浸かっていることに気付いて目が覚めた。これは、風呂の湯船に湯を出していることを忘れていた、湯を出したまま寝てしまったために起こった例です。風呂場からあふれた水は部屋に流れ出します。風呂場以外は防水が施されていないので、水が風呂場を出た時点で階下にも水漏れは起こります。水は真下に流れるとは限らず、建物のあらゆる隙間から方々へ流れます。この例は毎月のように、多数発生しています。ただし、風呂の排水溝の掃除をしていれば、水が詰まってあふれ出ることはあまりありません。つまり、「排水溝の掃除をしているかどうか」、これが原因となることが多いのです。・ケース2洗濯機の給排水ホースが外れていた「天井から水がポタポタ漏れてだんだんひどくなってきています!」。先日も、管理するマンションの入居者の方から、慌てた電話がありました。その方が階上の部屋の玄関をどんどん叩いて水漏れを知らせると、「洗濯機を回していた」と眠そうな声で返事があったそうです。洗濯機のホースが排水管から外れていて、排水が部屋にあふれ、一面水浸しになっていた。昼寝をしていて気付かなかった、という例です。洗濯機をセットして外出する、寝る、大きな音でテレビを見ていて水漏れに気付かなかった例が多くあります。特に引っ越したばかりのころや、洗濯機回りを掃除していないなどでホースが排水溝に正しくセットされていなかったということがあります。また、ケース1同様、排水溝にゴミが溜まっていて水があふれたという例もあります。・ケース3トイレを詰まらせる「うっかり携帯電話やライターを落として流してしまった」、「オムツを流す」、「ラーメンの食べ残しなどの生ゴミをトイレに流して詰まらせた」……など、さまざまなケースがあります。異物が原因のトイレの詰まりは、水を複数回流すほどに奥の方へ押し流されて行くため、取り除くことが困難になります。また、むやみに水を流して水があふれることもあります。水漏れの対処について、穂積さんはこうアドバイスをします。「ついうっかり水漏れを起こしてしまうことはよくあるわけです。起きたあとは、謝罪と弁償になりますが、水漏れの賠償は数百万円となるケースもあり、借金を背負ってしまうことになりかねません。そこで、『借家人賠償付火災保険(借家人賠償責任保険)』という保険があることを知っておいてください。一般的に、火災保険と呼ぶ保険、部屋を借りるときに加入した覚えがある方も多いと思います。『賃貸している住宅が火災や事故によって生じた損害について賠償責任を補償する』という保険です。万が一、水漏れを起こした階上の住人が火災保険に加入していなくても、自分が加入していた場合は一時的に保険会社が被害に合った金額を立て替えてくれるケースもあります。この場合、保険会社から当事者へ被害額が請求されます。賃貸住宅の契約のときに保険の加入・継続が義務付けられていることも多いのですが、例え必須要件でなくても、必ず加入しましょう。また、「肝心のときに、火災保険の更新を忘れていて無効だった」という事例も複数あります。更新については、保険会社や管理会社、家主から早めに連絡が届きます。すぐに更新しておくようにしましょう」ついうっかりでも複数の部屋に水漏れを起こしてしまい、電化製品や高額品、部屋の内装までも弁償しなければならない可能性もあります。早速、風呂場の排水溝の掃除をし、洗濯機のホースを排水溝にセットしなおして、さらに保険の情報をチェックすることにしましょう。監修:穂積啓子氏「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た!~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子東京書籍1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。(岩田なつき/ユンブル)
2012年12月28日建物は古くなるほど、あちらこちらから不具合が生じます。なかでも、国土交通省が5年に1度実施する「平成20年度マンション総合調査結果」では、平成19年から平成20年の1年間の「建物の不具合に係るトラブル」の発生状況は、「水漏れ」が22.0%と最も多く、次いで「雨漏り」が14.4%という結果が明らかになりました。そこで、「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザーで宅地建物取引主任者である穂積啓子氏に、「建物や設備が原因の水漏れ」に関する事例と対策法をうかがいました。■家主が修理するが、借り主もすぐに通知する義務がある「突然、天井から水が漏れてきた!すぐに階上の住人に伝えたのですが、『えっ?今、水は何もつかってなけど……』という返事です。何が何だか分からないのですが!」先日、管理するマンションの入居者からこのような電話を受けたという穂積さん。「原因は何だったのでしょうか…水漏れの被害にあった入居者はどうすればいいのでしょうか」穂積さんはこう説明します。「階上の住人の不注意だと思ったけれど、実はそうではなかったという例はよくあります。この場合、マンションやアパートなど建物の給排水管の腐食や劣化など、設備そのものに原因があることが多いのです。水漏れに気付いたときは、何が原因でどう漏れているのかの特定が重要です。まずは落ち着いて、自分の部屋の被害が大きくならないよう、家財にレジャーシートをかぶせる、バケツで水を受けるなど可能な範囲で水漏れを防いでから、すぐに管理会社や仲介時の業者などに連絡してください」続いて穂積さんは、次のように事例を挙げて原因を説明します。・ケース1共用部分の排水管にヒビ「201号室から水漏れの連絡があり、階上の301号室から3階すべての部屋へ出向いて確認したけれど、水が漏れた形跡はなかった……。専門家を呼んで点検すると、排水管のつなぎ目が劣化して、そこから水が漏れていた」と判明しました。これは築年数が古い物件では非常に多いケースです。また、施工後10年以内とまだ新しいマンションでも、地震や大雨などの自然災害や、近隣で地下を掘る工事をしていたなどで何らかの大きな圧力がかかった、もしくはそのマンションの建築時の工事が原因で、排水管に不具合が生じることがあります。マンションの給排水管は、床下や天井裏など、建物の外からは見えない場所に張り巡らされています。ですから、水漏れが始まったとしても、なかなか気付かないものです。ポタポタとどこかから水漏れの音が聞こえ始めると、給排水管など建物の損傷がすでに進んでいると判断します。・ケース2老朽化による雨漏り「窓の隙間からポタポタ、雨の日に限って何度も水漏れが起きる……」この場合、建物の防水工事が耐用年数を超え、雨漏りを防げなくなっている可能性があります。防水工事の耐用年数は一般的に10年から15年と言われています。年数が経つごとに外壁のひびやタイルのずれ、パッキンの摩耗などによって小さな隙間から水が浸み込んできますが、それが初期症状です。その後、だんだんと雨漏り、水漏れが目立つようになります。雨漏りについて穂積さんは、次の説明を加えます。「特にここ数年は、豪雨による被害が増えています。換気扇の開口部分、エアコンの配管を屋外へ出す穴からの雨漏りに注意してください。また、古いマンションで屋上が平面の場合、排水溝にビニールなどのゴミがからまり水流が滞ってプールのようになっていた。防水が切れている場所から水が流れてひどい水漏れを起こしていた、というケースもあります。家主は、水漏れがあればすぐに修理回復をさせませよう。また、月に1度は、排水溝にゴミが詰まっていないかなどの屋上の点検を心がけましょう。借り主は、少しでも水漏れらしきことに気付いたら、一刻も早く家主に報告してください。賃貸契約書にも、「建物の不具合、異変を発見した場合は速やかに貸主に報告すること」という項目があります。穂積さんは最後に、こうアドバイスを加えます。「家主はオーナー向け火災保険へ加入することを強くお勧めします、なかには、『入居者が火災保険に加入しているのだから、家主は加入しなくてもいい』と主張する家主もいますが、そうではありません。入居者の火災保険でカバーされるのは、借り主に過失があった場合に限られます。一方で、家主だけが火災保険に入っている場合は、建物の被害は補償されますが、入居者の家財道具は補償されません。ですから、家主は借り主に対し、『借家人賠償付火災保険に加入・継続すること』を契約時の要件に入れるようにしましょう。万が一のときに安心して十分な補償を受けるには、家主と借り主がともに、火災保険に加入する必要があります。入居者と建物など、共有の財産を守ることにつながります」(穂積さん)少しの水漏れであっても拭けばいいのではなく、「知らず知らずのうちに自分の部屋の周囲で水が漏れている」と考えましょう。借り主は早期発見に協力して家主にすぐに通知し、貸主は早期修理に務めるべきトラブルなのです。監修:穂積啓子氏「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た!~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子東京書籍1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。(岩田なつき/ユンブル)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月15日建物は古くなるほど、あちらこちらから不具合が生じます。なかでも、国土交通省が5年に1度実施する「平成20年度マンション総合調査結果」では、平成19年から平成20年の1年間の「建物の不具合に係るトラブル」の発生状況は、「水漏れ」が22.0%と最も多く、次いで「雨漏り」が14.4%という結果が明らかになりました。そこで、「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザーで宅地建物取引主任者である穂積啓子氏に、「建物や設備が原因の水漏れ」に関する事例と対策法をうかがいました。■家主が修理するが、借り主もすぐに通知する義務がある「突然、天井から水が漏れてきた!すぐに階上の住人に伝えたのですが、『えっ?今、水は何もつかってなけど……』という返事です。何が何だか分からないのですが!」先日、管理するマンションの入居者からこのような電話を受けたという穂積さん。「原因は何だったのでしょうか…水漏れの被害にあった入居者はどうすればいいのでしょうか」穂積さんはこう説明します。「階上の住人の不注意だと思ったけれど、実はそうではなかったという例はよくあります。この場合、マンションやアパートなど建物の給排水管の腐食や劣化など、設備そのものに原因があることが多いのです。水漏れに気付いたときは、何が原因でどう漏れているのかの特定が重要です。まずは落ち着いて、自分の部屋の被害が大きくならないよう、家財にレジャーシートをかぶせる、バケツで水を受けるなど可能な範囲で水漏れを防いでから、すぐに管理会社や仲介時の業者などに連絡してください」続いて穂積さんは、次のように事例を挙げて原因を説明します。・ケース1共用部分の排水管にヒビ「201号室から水漏れの連絡があり、階上の301号室から3階すべての部屋へ出向いて確認したけれど、水が漏れた形跡はなかった……。専門家を呼んで点検すると、排水管のつなぎ目が劣化して、そこから水が漏れていた」と判明しました。これは築年数が古い物件では非常に多いケースです。また、施工後10年以内とまだ新しいマンションでも、地震や大雨などの自然災害や、近隣で地下を掘る工事をしていたなどで何らかの大きな圧力がかかった、もしくはそのマンションの建築時の工事が原因で、排水管に不具合が生じることがあります。マンションの給排水管は、床下や天井裏など、建物の外からは見えない場所に張り巡らされています。ですから、水漏れが始まったとしても、なかなか気付かないものです。ポタポタとどこかから水漏れの音が聞こえ始めると、給排水管など建物の損傷がすでに進んでいると判断します。・ケース2老朽化による雨漏り「窓の隙間からポタポタ、雨の日に限って何度も水漏れが起きる……」この場合、建物の防水工事が耐用年数を超え、雨漏りを防げなくなっている可能性があります。防水工事の耐用年数は一般的に10年から15年と言われています。年数が経つごとに外壁のひびやタイルのずれ、パッキンの摩耗などによって小さな隙間から水が浸み込んできますが、それが初期症状です。その後、だんだんと雨漏り、水漏れが目立つようになります。雨漏りについて穂積さんは、次の説明を加えます。「特にここ数年は、豪雨による被害が増えています。換気扇の開口部分、エアコンの配管を屋外へ出す穴からの雨漏りに注意してください。また、古いマンションで屋上が平面の場合、排水溝にビニールなどのゴミがからまり水流が滞ってプールのようになっていた。防水が切れている場所から水が流れてひどい水漏れを起こしていた、というケースもあります。家主は、水漏れがあればすぐに修理回復をさせませよう。また、月に1度は、排水溝にゴミが詰まっていないかなどの屋上の点検を心がけましょう。借り主は、少しでも水漏れらしきことに気付いたら、一刻も早く家主に報告してください。賃貸契約書にも、「建物の不具合、異変を発見した場合は速やかに貸主に報告すること」という項目があります。穂積さんは最後に、こうアドバイスを加えます。「家主はオーナー向け火災保険へ加入することを強くお勧めします、なかには、『入居者が火災保険に加入しているのだから、家主は加入しなくてもいい』と主張する家主もいますが、そうではありません。入居者の火災保険でカバーされるのは、借り主に過失があった場合に限られます。一方で、家主だけが火災保険に入っている場合は、建物の被害は補償されますが、入居者の家財道具は補償されません。ですから、家主は借り主に対し、『借家人賠償付火災保険に加入・継続すること』を契約時の要件に入れるようにしましょう。万が一のときに安心して十分な補償を受けるには、家主と借り主がともに、火災保険に加入する必要があります。入居者と建物など、共有の財産を守ることにつながります」(穂積さん)少しの水漏れであっても拭けばいいのではなく、「知らず知らずのうちに自分の部屋の周囲で水が漏れている」と考えましょう。借り主は早期発見に協力して家主にすぐに通知し、貸主は早期修理に務めるべきトラブルなのです。監修:穂積啓子氏「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た!~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子東京書籍1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。(岩田なつき/ユンブル)
2012年12月15日家賃の未払い、水漏れ、ペット、事件事故……マンションでの生活では、さまざまなトラブルがあると耳にします。では、最も多いトラブルとは何なのでしょうか。国土交通省がまとめた、『平成20年度マンション総合調査』(によると、過去1年間のトラブルの発生状況は、「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が63.4%と最も多く、そのなかでも「生活音」(37.1%)が1位ということが判明しています。トラブルナンバー1は、つまり「騒音」だったのです。そこで、「快適で安全な女性の一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザー・穂積啓子氏に、詳しいお話を伺いました。■子どもの生活音が裁判で敗訴――統計では「騒音」トラブルが1位とのことですが、管理の現場ではどうなのでしょうか。穂積さん:「騒音」に関する相談は日々、寄せられます。最近の裁判の例として、2012年3月15日に東京地裁で、「上の部屋に住む男児が跳びはねてうるさい」として、階下の夫婦が騒音の差し止めなどを求めた訴訟がありました。裁判では、「我慢の限度を超えている」として、男児の父親に一定以上の騒音を出さないよう、また、夫婦が求めた慰謝料計60万円のほか、妻が頭痛で通院した治療費や騒音測定の費用も請求通り支払うように命じる判決を言い渡しています。このケースでは、業者に依頼して騒音を測定した結果に基づいて、「男児が跳びはねたり走り回ったりする音は生活実感としてかなり大きく聞こえ、相当の頻度であった」と指摘、配慮すべき義務を父親が怠った、と判断されました。これはほんの一例ですが、騒音問題は訴訟に発展するケースも少なくありません。――入居前に騒音トラブルを避けるポイントはありますか。穂積さん:騒音の起こりようには、建物の構造が大きく影響します。木造や鉄骨造(S造)の建物よりも、8階くらいまでの中低層のマンションに多い鉄筋コンクリート造(RC造)や、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の方が頑丈で遮音性が高くなります。室内の音だけでなく、廊下を歩く音、階段の昇り降りの音、話し声が響くかどうかも大きく違ってきます。引っ越しビギナーによくある失敗は、「内見のときは静かだった。こんなに隣の音が響くとは……」と、入居後に気付くというパターンです。騒音が気になる方は、 部屋を探す段階で、「閑静な部屋」という条件を掲げて意識してください。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を選び、より静かな環境を望む場合は、上の階の音が気にならない最上階の角部屋がいいでしょう。――騒音で悩んだとき、どうすればいいでしょうか。穂積さん:隣や階上の住人だと原因が分かっていても、自分で苦情を言いに行くとトラブルになる可能性があるので、まずは管理人、管理会社、家主らに相談してください。おさまらない場合は、騒音を感じた日時、どのような音なのか、何分間続いたのか、ボイスレコーダーで録音するなどして、記録をとってください。相手は「生活の音だ」と主張することがあるので、それに備えて証拠を集め、家主らに伝えましょう。――小さい子どもがいて、こちらが隣近所への騒音になるのでは……と気になります。何かよい方法はありますか。穂積さん:階下が店舗など、入居者がない1・2階の角部屋を選びましょう。また、隣の部屋との壁側にたんすを置くなどのバリアをつくることで、音は緩和されます。階下に住民がいる場合、床素材は、フローリングは高音が響きやすく、カーペットや畳の方が響きにくいということも知っておいてください。子どもは歩幅が小さいので、親にとってはただ歩いているつもりでも、階下の人にはドタンバタンと走り回っているように聞こえるものです。音を吸収しやすい、できるだけ厚手、毛足の長いタイプのカーペットを敷く、床とカーペットの間に防音用のマットを敷くなどの対策を採ることもお勧めします。防音の方法はさまざまありますが、最も大切なことは、「引っ越し時のあいさつ」です。特に子どもやペットがいる場合はいっしょに、少なくとも上下階と両隣の人にあいさつをしておきましょう。騒音トラブルとは、「見知らぬ誰かが出す、得体のしれない音に対し、違和感や脅威、平穏な日常を妨げられることへ怒りや不安がわく」ことから発生します。日ごろからあいさつを交わす関係であれば、「どんな人たちがどのような暮らしをしているのか」が垣間見え、同じ音でもなぜか気にならない、多少は許してあげよう、という気持ちにもなるでしょう。――ありがとうございました。まずは騒音を感じにくい物件を探し、次に、隣近所との良好な関係づくりを心がける。騒音トラブルとは、これだけで相当に避けられるのではないでしょうか。監修:穂積啓子氏「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た!~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子東京書籍1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。(岩田なつき/ユンブル)
2012年09月14日メドピアは5月2日~8日、同社が運営する医師コミュニティサイト「MedPeer」で「指示漏れの対策と対応」に関する調査を実施し、2,638件の回答を得た。「翌日の点滴指示について、指示漏れ対策(システム)があるか」という問いに対して、「対策あり」と回答した医師は34%、「対策なし」は59%だった。対策としては、「注射切れ・処方切れは担当医と病棟看護師で二重チェック」、「日勤帯に看護師がチェックする」といった例がみられる。対策のあるなしにかかわらず、指示漏れ対策の対応として最も多いのは、「当直医が対応」だった。いずれも半数以上を占め、「主治医が対応」は2割以下にとどまっている。全体のコメントの中には、「お互いさまなので」という表現が所々に見受けられた。基本的には当直医が対応するが、「判断に迷うものは主治医に連絡して確認」というスタンスが一般的なようだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月22日自動車保険で支払い漏れ損保ジャパンは21日に、自動車保険の1部で支払い漏れがあったことを発表した。支払い漏れが判明したのは搭乗者傷害特約、初期の保険金を支払った後、症状が悪化した際に発生する追加の保険金を支払っていなかった。時事ドットコムによると書類が残る2003年4月以降で1700件、計5億6000万円に上る。同社は5月に定期的な内部調査でこれを把握していたが、「社内の保存資料があれば追加支払いが可能」として公表していなかった。と、公表していなかった理由も明かした。1700件・5億6000万円の支払い漏れとなっているが、まだ半数程度調査が残っており、今後も増加する見込み。社内調査で発覚したことを公表しており、来年4月までの調査終了を目指すとしています。
2010年12月23日