現在、口唇ヘルペスに有効とされる市販薬が販売されており、口唇ヘルペスに悩まされている人にとっては治療の幅が広がっているように思えますが、知っておかなければならないポイントがあります。口唇ヘルペスの市販薬について詳しく見ていきましょう。口唇ヘルペスとは口唇ヘルペスとは、唇や口の周囲に水ぶくれなどの症状を引き起こす皮膚の疾患です。単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因で起こり、このウィルスの初感染時やすでに感染したことのある人が風邪・疲労などの際に再発することで起こると考えられています。直接接触すること以外にも、感染者が使用したタオルや食器などの物を通じて感染が拡大する可能性もあり、感染力が強いといわれています。抗体がない人や免疫力が低下している人は、感染しやすいといわれていますが、子供のうちに初めて感染すれば、症状が重くなりにくく、感染しても症状があらわれないこともあります。しかし、大人になって初感染した場合は、重症化するケースがあるため、注意が必要です。口唇ヘルペスを治療できる市販薬の種類口唇ヘルペスの治療に用いられる薬は、ウイルスの増殖を抑える働きのある抗ウイルス薬が一般的とされています。薬の入手方法としては、医師が発行した処方せんによる「処方薬」と、ドラッグストアなどで購入できる「市販薬(一般用医薬品)」の2パターンあります。病院に行けないとき気軽に購入できる市販薬以前は、口唇ヘルペスを発症した場合、医師に薬を処方してもらうか、病院に行けない場合、自然に治るのを待つしかありませんでした。しかし現在は口唇ヘルペスに有効とされる市販薬が登場しており、治療の選択の幅が広がっています。市販薬の場合、購入の際に処方せんが必要ないため、病院に行けないときなどに手軽に購入できるというメリットがあります。一般用医薬品は、消費者への情報提供の必要性の程度によって「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の3段階に分けられますが、口唇ヘルペスの市販薬はそのうちの薬剤師対応により販売される「第1類医薬品」に属しています。軟膏やクリームなど塗り薬(外用薬)のみ現在のところ、市販薬として登場しているのは軟膏やクリームなどの外用薬のみで、以前に口唇ヘルペスと診断され、同じ症状があらわれた場合にのみ購入が限られています。そのため、初めて口唇ヘルペスになったケースでは使用はできないため、そのような場合で薬が欲しい場合は病院を受診しなければなりません。市販薬で再発を予防する方法口唇ヘルペスは、水ぶくれなどの症状が主とされていますが、その前に前駆期といわれる、症状が出そうな兆しが見られることがあります。具体的には、ピリピリ感やチクチク感といった皮膚の違和感、痛み、かゆみなどの症状で、これらはウイルスが活発に動いて増殖しているために起こると考えられています。そのため、このタイミングで増殖を抑えることができれば、症状の緩和や早期回復ができる可能性があります。市販薬は、初感染の場合には使用ができません。しかし、同じ症状をくり返す再発性の口唇ヘルペスに対しては使用を推奨されていますので、再発のサインを自覚したのに医療機関を受診することができない場合は、市販薬をうまく活用して早期治療をするのもひとつといえるでしょう。使用方法は薬によって異なりますが、1日1〜4回程度、患部へ適量を直接塗布するものが多く、水ぶくれがかさぶたとなり、幹部が乾燥すれば使用を止めるタイプがほとんどです。また、使用期間としては、約10日間が目安とされています。市販薬を使用する際の注意口唇ヘルペスは、水ぶくれだけでなく、湿疹のような症状や痛み、かゆみなどをともなう場合もあります。そのため、別の皮膚病に間違われるケースもあります。よく間違われる病気としては、唇の皮膚炎である口唇炎や毛穴に細菌が侵入し、炎症を起こすニキビなどです。口唇ヘルペスの初期は、これらの皮膚病との見分けがつきにくいため、見極めを間違うと、市販薬を使用しても治らないばかりか、別の病気を悪化させることにもなるので注意が必要です。また、逆のパターンとして、口唇炎やニキビを単純ヘルペスと思い込んで、それらの治療薬であるステロイドや抗菌薬を使用してしまうと、逆に口唇ヘルペスの症状を悪化させてしまう可能性があります。特に、ステロイドは症状を悪化させやすいため、自己判断での使用は控えましょう。監修:堀内祐紀
2017年04月30日背中ニキビの治療に薬が使われるのは一般的ですが、薬の種類によって効果が異なります。背中ニキビの治療に使う薬の効果と副作用背中ニキビに有効とされる薬は豊富です。その種類をあげて、その効果について解説していきます。抗生物質の効果と副作用通常の皮膚科でも一般的に処方される薬です。炎症した背中ニキビの原因菌であるアクネ菌をやっつけて、そのニキビを治すというものです。ニキビに有効とされる抗生物質は、リンコマイシン系抗生物質クリンダマイシンと、ニューキノロン系抗生物質ナジフロキサシンなどがあげられます。リンコマイシン系のほうが効果は強力ですが、その分の副作用がでやすいので注意が必要です。ニューキノロン系も副作用がでると考えられるのですが、医師や薬剤師などの指示に従って、適切に服用することを心がけましょう。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(1)抗生物質』 (をご覧ください。レチノイド製剤の効果と副作用表皮の顆粒細胞から角質細胞に変わるのを抑えて、角化異常を防止するという効果を持ちます。たとえるなら、毛穴周辺の肌を硬くせず、毛穴を小さくなるのを防いで、ニキビを抑えるというものです。抗生物質はアクネ菌をやっつけて、炎症したニキビの炎症を治療するのに対し、レチノイド製剤はニキビそのものを発生させないようにするという治療で、わかりやすくいえば、新しいニキビを起こさないようにするというものです。しかし、ピリピリとした刺激があり、発赤や乾燥肌などを起こすなどの副作用が存在しています。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(2)レチノイド製剤(ディフェリンゲル)』 (をご覧ください。硫黄製剤の効果と副作用硫黄はニキビの治療薬として古くから伝わっています。硫黄にはニキビに対する3つの効果があります。1つ目は殺菌作用で、ニキビの炎症を引き起こす要因となっているアクネ菌を減少させて除菌するという作用です。2つ目は角質の柔軟性で、角質を柔らかくして毛穴のつまりを防ぐというものです。3つ目は皮脂分泌を抑えて肌を乾燥させるというものです。しかし、肌の乾燥によって、肌のバリア機能の低下を招き、その結果、さまざまな皮膚症状が起きる可能性があります。詳しくは、『乾燥肌ってどんな肌? (乾燥肌の基礎知識』 (をご覧ください。実は硫黄製剤は大人ニキビに対して効果が期待できないどころか、悪化の要因になるという可能性があります。思春期ニキビの原因は皮脂が過剰に分泌されることにあるので、硫黄製剤は有効と考えられます。しかし、皮脂は肌を保護する役目を持っているので、肌の乾燥を防ぐために皮脂が過剰に分泌させるといわれているので、結果的に大人ニキビを悪化させる要因になるというわけです。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(3)硫黄製剤』 (をご覧ください。漢方製剤の効果漢方は東洋医学のひとつで、漢方によるニキビ治療に期待が高まっています。ニキビ治療に使われる漢方薬は、清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)、桂枝茯苓丸加苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)の4つです。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(4)漢方製剤』 (をご覧ください。ただし、漢方製剤だけではニキビが消える可能性は低いとされています。サリチル酸製剤の効果と副作用肌の角質層が硬くなるのを防いで、角栓の発生を抑えるという作用があるため、背中ニキビの初期症状の予防に期待が見込めるでしょう。若干ながら殺菌作用があるため、アクネ菌を減らすという効果もありますが、副作用があります。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(5)サリチル酸製剤』 (をご覧ください。過酸化ベンゾイル製剤の効果アメリカのニキビ治療では、過酸化ベンゾイル製剤が一般的に使われているといわれています。日本でも使われているのですが、アメリカほどではありません。その効果は強力な殺菌作用やピーリング効果、さらに乾燥を促進させる作用を持っています。詳しくは、『皮膚科で処方されるニキビ薬(6)過酸化ベンゾイル製剤』 (をご覧ください。背中ニキビ予防に効果的な化粧水や美容液の成分背中ニキビが重症化する前に皮膚科で診てもらうのが一番ですが、軽度の段階であれば予防は可能です。予防方法としておすすめなのがビタミンC誘導体の成分が入った化粧水や美容液を用いることです。ビタミンC誘導体は肌の浸透力が高く、背中ニキビの改善、もしくは予防につながるとされています。1日2回、朝と夜に使い分けることで効果は期待できるでしょう。詳しくは、『ニキビケアにおすすめ!ビタミンC誘導体とは?』 (をご覧ください。薬には副作用があるため注意が必要どの薬も副作用というのがあるので、医師や薬剤師の指示に従って、適切に使用するようにしましょう。監修:大久保真
2017年04月27日顔の中でも鼻はニキビができる確率が高いといわれています。鼻ニキビができてしまったときの治し方、およびその予防方法などについて、解説していきます。鼻ニキビができやすくなる原因ニキビは顔の隅々までにできるといわれていますが、鼻とその脇に現れたニキビは、たとえ治っても跡が残るだけでなく目立ちやすいため、早期の治療が求められます。鼻は顔の中で皮脂量が多く分泌する部位で、毛穴一つ一つに皮脂やアクネ菌などが溜まってしまい、その影響で炎症などを引き起こしてしまう可能性が高いとされています。洗顔料の洗い残し考えられる原因は、石けんや洗顔料などで顔を洗い、洗い流す際に残ってしまったとか、顔の化粧を落とすときに残ってしまったなどがあげられます。鼻とその周りは凸凹している場所でもありますので、残ってしまいやすい場所でもあります。残ってしまった場合、皮膚がダメージを受け、鼻ニキビがますますできやすくなります。普段からクセとして鼻を触るなどをしている場合、できるだけ触らないように努力しましょう。理由は、鼻に触ると刺激され、その刺激が鼻ニキビを引き起こす原因になると考えられるからです。ホルモンバランスの乱れもう一つ、考えられる原因としてあげられるのが、男性ホルモンに関するホルモンバランスです。男性ホルモンは男性自身が持つホルモンであると想像してしまうかもしれませんが、女性にも少なからず分泌されるといわれています。男性ホルモンは角栓を発生させて毛穴をつまらせる働きを持ち、皮脂の分泌を通常より多く促進させることによって、鼻ニキビを悪化させるといわれています。角栓については、『鼻の角栓と毛穴づまりの原因は?正しいケア方法まとめ』 (をご覧ください。ニキビの原因については、『ニキビが出来る原因とは - (ニキビの基礎知識』 (をご覧ください。鼻ニキビを治す方法鼻ニキビの原因を取り除く、もしくは改善することで期待が見込めるでしょう。しかし、状態によっては皮膚科の受診が求められます。セルフケアの方法ケアの目的は鼻ニキビを改善し、予防することにあります。その方法は、正しい洗顔方法、日常生活の見直し、メイク方法にあります。正しい洗顔方法洗顔用の石けんを用意します。その石けんでたくさん泡立て、肌に当てます。ポイントは、手と肌を接触しないようにして、泡を転がすというイメージを持つことです。ゴシゴシと手で顔を洗うと、物理的な刺激によって、鼻ニキビを余計に悪化させる可能性があるからです。洗い流すとき、お湯ではなくぬるま湯を使いましょう。お湯で洗い流すと、肌にある保湿成分まで洗い流してしまうことがあるので、ぬるま湯で洗い流すようにしましょう。このとき、肌に石けんの泡などを残さないのが重要です。顔を洗った後、化粧水などで皮膚を乾燥させないようにして、化粧水だけでは乾燥を防ぐことができない場合は、保湿成分などが含まれた乳液などを使用します。毛穴に蓋をするというイメージを持って使用するようにしましょう。日常生活の見直しホルモンバランスの乱れがニキビの原因のひとつとして説明しましたが、ホルモンバランスが乱れる最大の要因は、日常生活にあります。具体的には、ストレス、疲労、睡眠不足、そして偏った食生活などがあげられます。ストレス解消はさまざまですが、入浴や睡眠など、心身をリラックスすることが重要です。それにともなって、疲労の回復に期待が見込めるでしょう。食生活についても、1日3食を決まった時間に食べ、栄養バランスのとれた食事をとることも求められます。メイク方法化粧の厚塗りは毛穴をふさぐことになるため、可能なかぎり避けるようにしましょう。厚塗りせず薄くメイクするか、その顔の部分だけポイントメイクするなど、いろいろと工夫するといいでしょう。皮膚科での治療方法ニキビには種類というものがあります。白ニキビと黒ニキビ、赤ニキビと黄色ニキビなどさまざまです。ニキビの種類については、『ニキビの基礎知識(3)ニキビの種類と症状』 (をご覧ください。赤ニキビは、炎症を起こして腫れているニキビのことをいい、黄色ニキビはニキビ自体が膿んでいることをいいます。日常生活の中でケアだけ行っても改善は難しく、その場合は皮膚科で診てもらう必要があります。適切な治療を受けた後、処方された抗生物質などの薬で改善が期待できると考えられます。ただし、健康保険に適用されるのと適用されないという治療方法があります。治療にあたり、特別な理由がないかぎりは健康保険適用内の治療を選択しましょう。治療方法については、『ニキビを皮膚科で治療!治療の種類やメリットは?』 (をご覧ください。監修:大久保真
2017年04月27日背中ニキビは皮膚科で治すのが最適といえるのですが、保険が適用された治療とそうではない治療というのがあります。皮膚科で行われるその背中ニキビの治療法について、解説していきます。背中ニキビを病院で治すタイミング背中のニキビは他の場所と違って見えにくいところにあるので、背中に違和感を覚えても確認することが困難です。気づいたときにはすでにニキビが大きくなっている、または炎症を引き起こしていることが多いとされています。背中ニキビに気をつけるため、外側だけでなく内側のケアを心がけても、治らない場合は皮膚科への受診が求められます。背中はニキビの発生率が高いです。背中に皮脂腺と呼ばれる皮脂の分泌腺が集中しているので皮脂の分泌量が多く、汗もかきやすく、衣服などで常に覆われているなど、さまざまな要因によってニキビができる環境が整っていると考えられます。上述したように、みえにくいのでケアも遅れがちになるのがほとんどです。ニキビができても、炎症や化膿などの重症化に至っていない場合は、日常的なケアなどで改善が見込めるでしょう。背中ニキビの皮膚科での治療方法と処方薬治療法を説明する前に、健康保険が適用されるかどうかについて、説明していきます。治療ですので基本的に健康保険が効きますので、経済的な負担も少なくて済みます。しかし、治療方法の種類によっては健康保険が効かず自由診療となります。保険適応の治療法と保険適応外の治療を次にあげて、解説していきます。保険適用の治療法毛穴につまっている皮脂などの内容物を取り除くという治療である面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)というのがあります。内容物を取り除くことによって、ニキビの治りを早くします。しかし、保険適用内に限定すると、一度に多くのニキビの面皰圧出ができないことが多く、5〜6個までが一般的とされています。外用薬は抗生物質が一般的に使われています。抗生物質で炎症を起こしたニキビの原因菌とされるアクネ菌を殺菌して治療します。もうひとつ、毛穴のつまりを解消してつまりにくくするという効果を持つ外用薬(アダパレンなど)があり、この外用薬もニキビの治療薬として使われています。内服薬も抗生物質が処方されますが、漢方製剤、また少ないのですが原因がホルモンバランスの乱れであることが判明している場合は、ホルモン治療として低用量ピルや抗男性ホルモン薬などが処方されます。ホルモンバランスの乱れによって、男性ホルモンが過剰に分泌され、男性ホルモンが持つ作用である、皮脂の過剰分泌や角栓の発生や毛穴の縮小などがあります。その作用の働きを抑えるには、ホルモンバランスを整えるなどの治療が求められます。しかし、ほとんどはホルモンバランスが崩れていないことが多いようです。改善のために皮脂のコントロールの意味で、ビタミン剤が処方されます。美容皮膚科などでは保険適用外の治療も一般的な治療法は、イオン導入、ケミカルピーリング、そしてレーザー治療などがあげられます。ほとんどの場合はクリニックで処置されます。イオン導入は微弱な電流を流して、ニキビに有効とされる成分を肌深くまで浸透させます。痛みなどはほとんどありませんが、ペースメーカーを装着している場合は、この治療を受けることができません。ケミカルピーリングは、簡単にいえば古い皮膚をはがして、新しい皮膚を蘇らせるという治療法です。これによって、ニキビやニキビ跡の改善、さらにシワやたるみなどにも効果が期待できるとされています。レーザー治療は、ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を殺菌し、ニキビ跡のケアなどを目的とした治療法です。ケミカルピーリングとレーザー治療は肌に負担がかかるので、肌の弱い人はクリニックで事前に申告し、受けられるかどうかを事前に相談するようにしましょう。背中ニキビの予防法食生活を含む生活習慣の乱れなどを改善することによって、背中ニキビの予防につながることに期待が持てますが、背中のケアも心がけることも求められます。入浴時、背中を洗うときにおすすめなのが一般の固形石けんです。抗菌作用のある石けんもありますが大きな効果の違いはありません。消臭効果もあるので、体臭の予防には効果的とされています。入浴後、汗をかかないようにすることが大切です。衣服など、背中に触れるものすべて清潔に保つことも求められます。また、背中の風通しのよい肌着や衣服の着用も心がけましょう。監修:馬野詠子
2017年04月25日F Treatmentが運営する「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は20~50代の女性を対象にインターネットで実施したもの。今回の調査の「不妊治療」とは、病院等の医療機関の診断・指示を受け、行う治療(定期的に通院するタイミング法も含む)のことを指している。不妊治療で実際に妊娠できる確率はどれくらいであると思うか尋ねたところ、不妊治療未経験者の回答は平均で47.3%だった。しかし、不妊治療経験者のうち、妊娠につながった人は全体の67.2%で、3人中2人は妊娠できていたことがわかった。不妊治療未経験者におけるイメージよりも、実際の妊娠成功率は高いことが明らかになった。不妊治療経験者に治療開始年齢を尋ねたところ、妊娠した人の41%は20歳代から不妊治療を始めていたことがわかった。一方、妊娠しなかった人のうちで20歳代から始めた人は28%だった。治療開始年齢の平均をみても、妊娠した人は30.5歳、妊娠しなかった方は32.8歳で、妊娠した人の方が2.3歳低かった。
2017年04月03日F Treatmentが運営する不妊症・不妊治療専門の情報サイト「不妊治療net」はこのほど、「不妊治療患者数及び病院数の調査」の結果を発表した。同サイトによると、病院等の医療機関の診断・指示を受け、不妊治療を行う(定期的に通院するタイミング法も含む)人は、女性だけでも全国に推定約40万人(※1)いるという。さらに、不妊治療をまだ始めていない潜在層(潜在的には不妊治療に対するニーズがある人)も含めると、女性だけで全国に約109万人いると考えられるとのこと。顕在化している患者数の約2.7倍(※2)いることが推測できるという。地域別の不妊治療患者数を見ると、32%(約13万人)が首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に集中している。近畿地方は23%だった。不妊治療患者数は、首都圏と近畿地方あわせて半数以上を占めることがわかった。不妊治療患者数を、エリア別の不妊治療病院数(同サイト調べ)で割り、1病院あたりの患者数を調べたところ、患者数が集中している首都圏では、不妊治療の病院・クリニック1件あたりの患者数は約525人だった。全国平均の436人と比べると約1.2倍で、首都圏は相対的に病院数が不足していることが明らかになった。また、近畿地方(1病院あたりの患者数: 552人)、九州地方(1病院あたりの患者数: 465人)も全国平均よりも多い。近畿地方・首都圏・九州地方は、相対的に病院数が不足していることがわかった。※1 不妊治療net調べ。定義は不妊治療を現在行なっていること。ここでの不妊治療とは、病院等の医療機関の診断・指示を受け、行なう治療(定期的に通院するタイミング法も含む)を指す※2 「(不妊治療患者数<女性>+不妊治療の検討者数<女性>+不妊治療を検討する可能性のある人数<女性>)÷(不妊治療患者数<女性>)」により算出
2017年03月01日脳性麻痺とは出典 : 脳性麻痺(のうせいまひ)は、妊娠中、出産前後もしくは生後4週間以内のあいだに、なんらかの原因で生じた脳の損傷が原因でおこる運動と姿勢の障害のことを指します。たとえば、脳性麻痺の赤ちゃんは、おすわりなどの姿勢、ハイハイ、もしくは立って歩くといった運動の発達への遅れや、これらのスキルを獲得できないことが起きてしまうことがあります。それではなぜ、脳が損傷すると姿勢や運動に問題が起きてしまうのでしょうか。人が体を動かすときには「筋肉をこんな風に使って、腕をあげなさい」など、脳の神経が筋肉に向かって常に信号を出しています。ところが、脳の損傷によって神経システムが損傷してしまうと、送るべき信号がうまく筋肉に伝わらず、考えたとおりに動けなかったり正しい姿勢をしたりすることが難しくなってしまうのです。脳の損傷部分や範囲は、一人ひとりまったく違います。したがって、子どもの発達過程にどの程度の影響があるのか、もしくはどんな症状が現れるのかも子どもによって異なります。参考書籍: 公益社団法人日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会、公益社団法人日本リハビリテーション医学会脳性麻痺リハビリテーションガイドライン策定委員会/編、公益社団法人日本リハビリテーション医学会/監修『脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版』 (金原出版株式会社、2014年)脳性麻痺の原因出典 : 沖縄小児発達センター小児科の當山医師が、2008年に沖縄県での脳性麻痺の発生率を調査したところ、1,000人に約2人の割合で脳性麻痺が発生することが明らかとなりました。発生原因はさまざまであるものの、現在では3つの症状が脳性麻痺の大きな原因であると分かってきました。1. 核黄疸・ビリルビン脳症・・・新生児にみられる黄疸が原因で起きる症状です。黄疸の原因となる物質「ビリルビン」が脳に損傷をもたらします。2. 低酸素性虚血性脳症・・・出産時に仮死状態でうまれてきた場合など、脳へ酸素が行き渡らないことで脳が傷いてしまうものです。3. 脳室内出血・脳室周囲白質軟化症・・・どちらも未熟児や早産が原因で起こることがあります。脳室内出血では新生児の脳内に出血がみられます。また、脳室周囲白質軟化症では脳の部屋の周りを囲む白質(はくしつ)とよばれる部分に血液が行き届かずに損傷してしまいます。参考文献:當山 真弓、當山 潤/著『沖縄県における脳性麻痺の発生率について』(脳と発達 (40巻5号)、2008年)387-392ページ参考書籍:梶浦一郎、鈴木恒彦/編集『脳性麻痺のリハビリテーション実践ハンドブック』(市村出版、2014年)上記3つ以外にも脳性麻痺を引き起こす原因があるので、その原因をみてみましょう。妊娠中の脳性麻痺になる原因には、脳の中枢神経系の奇形、遺伝子や染色体の異常、そして感染症です。感染症には風疹、サイトメガロウィルス、トキソプラズマなどが考えられています。遺伝子や染色体異常などは、妊娠中の女性がいくら頑張っても防げるものではありません。しかし、ワクチンなどで予防できる感染症もあるので、できる範囲で感染症などに気をつけることが大切です。ただし、これらの感染症にかかってしまったからといって、子どもが必ず脳性麻痺になってしまうということではありません。次に、出産時の脳性麻痺の原因としては、新生児の呼吸障害やけいれんでも引き起こされることが分かっています。また出産後にも、中枢神経感染症・頭蓋内出血・頭部外傷・呼吸障害・心停止・てんかんなどが原因で脳が損傷され、脳性麻痺を発症することがあります。おもに周産期と妊娠期間中に脳性麻痺が起きやすいことも分かっており、周産期に発生する場合が40~66%、出生前の妊娠中に起きてしまう割合が13~35%です。ただ、原因を特定することが難しい場合も多いため、脳性麻痺を完全に予防することは今のところできません。参考書籍: 穐山富太郎、川口幸義、大城昌平/編著『脳性麻痺ハンドブック療育にたずさわる人のために第2版』(医歯薬出版、2015年)脳性麻痺が起こる場所による分類出典 : 先ほどご紹介したとおり、脳性麻痺の症状は脳の損傷部位や範囲によってさまざまではあるものの、麻痺の起きる場所で5つに分類されています。1. 片麻痺:片側半身にだけ麻痺がみられます2. 四肢麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます3. 両麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます。上肢より下肢の麻痺が重度です4. 対麻痺:左右の下肢に麻痺がみられます5. 重複片麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられますが、下肢より上肢の麻痺が重度です脳性麻痺の症状による分類とその具体的症状出典 : 脳は、大脳・脳幹(中脳・橋・延髄)・小脳からできており、働きはとても複雑です。したがって、損傷部分によって麻痺の症状はさまざまであるため、どのように分類するかについてはいろいろな考え方があります。Upload By 発達障害のキホン1. 痙直型(けいちょくがた):脳の大脳部分には、錐体路系と呼ばれる運動指令を伝達する神経の道があり、この部分を損傷すると痙直型の脳性麻痺を発生するといわれています。脳性麻痺に最も多くみられるタイプで、脳性麻痺児の約80%が痙直型だといわれています。筋肉がずっと緊張しつづけているために、突っ張った状態となっていることが多いようです。参考書籍: Sieglinde Martin, M.S., P.T/原著、山川友康、上杉雅之/監訳『親と専門家のための脳性まひ児の運動スキルガイドブック』(医歯薬出版株式会社、2015年)痙直型の脳性麻痺では、自分の意思とは関係なく筋肉が高い状態がつづき、姿勢が固定されてしまいます。固定されたままの姿勢でいると、体が好ましくない形に変わってしまうことがあり、背骨がS字にのように曲がってしまう症状は側弯症(そくわんしょう)と呼ばれています。さらに、動かしていない関節は使われないために動かしづらくなってしまいます。関節が動かしづらくなると、さらに体を動かしづらく姿勢の固定させる状態につながり、体の変形がすすんでしまうという悪循環が生まれてしまいます。ただ、痙直型であっても筋肉の緊張が低い子どもも珍しくないようです。2. アテトーゼ型:大脳の奥深くには大脳基底核と呼ばれる場所があります。不随運動に関わっているといわれており、この部分を損傷してしまうとアテトーゼ型の脳性麻痺となります。筋肉の緊張度合いが突然変わってしまうため、姿勢を保つことが難しいのがアテトーゼ型の脳性麻痺の特徴です。また、自分の意志とは無関係に体が動いてしまう不随意運動もともないます。筋肉の緊張度合いが突然変わるとどのようなことが起こるのでしょうか。たとえば、きちんと座っていても、急におなかの筋肉の緊張がゆるんでしまって前に倒れてしまうことがあげられます。また、精神的な緊張の影響を受けやすく、人前で話そうとして緊張すると、全身の姿勢緊張が高まってしまってうまくしゃべれなくなったり、普段できることもできなくなってしまったりすることも多いようです。そのほか、嬉しいことなどで脳への刺激が高まり興奮すると、逆に筋肉の緊張が高まりすぎてしまって、自分の思いとは関係なく腕がピーンと伸びてしまうといったこともあります。アテトーゼ型は早産や未熟児が原因の脳性麻痺に多いことでも知られています。周産期医療の発達のおかげで、早産で未熟児であっても助かる赤ちゃんが増えました。そのため、脳性麻痺の発症が横ばいか減少傾向であるものの、アテトーゼ型は増加傾向にあります。参考書籍: 梶浦一郎、鈴木恒彦/編集『脳性麻痺のリハビリテーション実践ハンドブック』(市村出版、2014年)3. 失調型:小脳にも錐体路外系の神経伝達路があり、この部分を損傷すると失調型の脳性麻痺になります。脳性麻痺の分類で最も少ないタイプが失調型です。失調型は、筋肉の緊張が低く、正常と低緊張をいったりきたりするので、バランスを保つことが難しく姿勢が不安定となってしまいます。また、歩けるようになっても転びやすいことも、失調型の特徴にあげられます。4. その他:そのほかの分類には、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった混合型などがあります。参考書籍: 木舩憲幸/著『脳性まひ児の発達支援調和的発達を目指して』(北大路書房、2011年)脳性麻痺の合併症出典 : 脳が損傷をうけたときに、運動に関係した部位だけが損傷するということはまれで、他の部位も損傷している可能性が高いことが知られています。たとえば、知覚や認知、視覚や聴覚の部位にも損傷している場合は、脳性麻痺に付随した障害がみられます。具体的な障害には、聴力障害・視力障害・てんかん発作・知的障害・発達障害などがあります。トルコにあるイスタンブール大学のKILINCASLAN医師は、脳性麻痺の子どもが自閉症や発達障害を伴うケースは、決してまれではないことを2009年に発表しました。126人の脳性麻痺の子どもを調査したところ、自閉症などの広汎性発達障害(PDD)を合併している子どもが15%いたことを明らかにしています。参考論文:Ayse Kilincaslan and Nahit Motavalli Mukaddes,Pervasive developmental disorders in individuals with cerebralpalsy, Developmental Medicine & Child Neurology 2009, 51: 289–294脳性麻痺の治療・療育法は?出典 : 脳性麻痺は、脳が傷ついてしまったことが原因でおこるものなので、損傷した部分が直接治ることはありません。一方、てんかんなどが合併している場合を除いて、脳の損傷部分が悪化するということもありません。脳の損傷は治らないものの、治療・療育を通して運動機能の発達を促して、運動や姿勢の障害の改善が目指されます。筋肉を緊張したままにしておくと、筋肉が硬直してしまって改善しづらくなってしまいます。この状態は、さらなる筋肉や関節の硬直をもたらすので、早期からの治療・療育がとても大切になってきます。また、単にリハビリ等の療育を通して運動機能の発達・改善を促すばかりでなく、脳性麻痺のある人やその周囲の支援者が、自分自身の身体に合わせた運動方法や生活環境を模索しつくりあげていくというアプローチも大切です。脳性麻痺はいつ、どうやってわかる?出典 : 明らかに麻痺があるなど重度の脳性麻痺をのぞき、特に早期に脳性麻痺を診断することは、一般的にとても難しいと考えられています。おもな理由としては、発達は非常に複雑なものであることにくわえ、脳性麻痺ではない子どもでも、発達には個人差が大きいことが知られているからです。また、おすわりや立つなどの発達過程は、生後すぐにできるものではないことも早期診断を難しくする要因のひとつです。さらに、脳性麻痺の症状である痙性(筋肉の硬さ)は、通常生後数週間でみられるものではなく、7~9ヶ月たって気づくことも多いことで知られています。このように、脳性麻痺の診断は非常に難しいものであるものの、診断には以下の3項目から総合的に判断されます。〇出生歴:未熟児だったかどうか、分娩時に異常はなかったかなど〇子どもの観察:年齢相応の発達をしているかなど〇筋肉の緊張や反射異常をみる検査また、MRIやCTなど脳神経の画像検査は、脳性麻痺の原因を確定するための有効な手段としてよく使われています。参考書籍: 木舩憲幸/著『脳性まひ児の発達支援調和的発達を目指して』(北大路書房、2011年)保護者からの発達相談で脳性まひの診断を診断を行うことも多いようですが、発達には個人差が非常に大きいことから、発達がゆっくりだからといって脳性麻痺とは限りません。そのため、過度に心配しすぎる必要はありませんが、一般的には以下の状態の場合で脳性麻痺の可能性を考慮します。1.未熟児、または新生児脳症などの成育歴のある「リスク児」のフォローアップ.2.運動の発達指標の遅れ.とくに座る,立つ,歩くことの遅れ.3.左右両側のつり合いの取れない運動パターンの発達.たとえば,生後数ヶ月みられる,片方の手の顕著な優位性.4.異常な筋緊張,とくに痙縮(筋肉の硬さ)または弛緩性(フロッピー).出典:Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育原著第4版』(医歯薬出版、2014年)20ページたとえば、抱っこすると手足がピーンとなって筋肉の緊張がみられる、「首が座らない」「おすわりできない」「寝返りしない」などの運動スキルが一般的な発達過程にくらべてとてもゆっくりしているなど、心配なことがあれば医療機関などで相談しましょう。赤ちゃんは1歳半まで3月健診・6ヶ月健診・1歳半健診と健診回数が多いので、健診時を利用して相談することも可能です。参考書籍:Alfred L. Scherzer/原著編著、今川忠男/監訳『脳性まひ児の早期治療第2版[原著第3版]』(株式会社医学書院、2004年)52ページ脳性麻痺の治療・療育にはどんなものがあるの?出典 : 脳性麻痺は、すでに生じてしまった脳の損傷が原因でさまざまな症状があらわれます。残念ながら現時点の医療技術では脳の損傷そのものを治すことを望めません。そこで、あらわれている症状を緩和もしくは改善することや、運動機能を獲得するための治療が行われます。具体的な治療方法をみていきましょう。脳性麻痺の治療としては、リハビリテーションセンター病院や、リハビリ科のある病院で治療が行われることが多いです。ご紹介するサイトでは、リハビリ科の専門医やリハビリ科医師のいる施設を探せるようですので参考にしてください。参考リンク:公益社団法人日本リハビリテーション医学会ここでは、脳性麻痺に実施される代表的なリハビリテーションをいくつかご紹介します。ご紹介しているように、脳性麻痺の症状や程度は個人で大きく異なりますので、治療も一人ひとりに合わせて進めていきます。〇理学療法:理学療法は運動療法と物理療法をあわせて行います。運動療法では、運動や姿勢の障害を改善させるために、さまざまな種類の運動をします。物理療法では、電気刺激やマッサージ、温めたりすることで痛みを軽くします。〇作業療法:理学療法で改善されてすでに獲得しているスキルを、日常活動や仕事で生かせるように作業活動を通じて訓練します。たとえば、理学療法で肩関節の可動域を改善させたとします。作業療法では、獲得した可動域を最大限に有効に使えるように、実際の作業を通じて実用性を高めるようにします。〇言語聴覚療法:脳性麻痺で話すことが難しかったり、聞くことに障害があったり、ものをうまく飲み込めないなどの場合に、発声訓練や、飲み込む訓練などが行われます。具体的な方法などは関連記事を参考にしてください。〇装具療法:関節を固定させて保持することで、歩くことを手助けすることや、運動機能を向上させるために行われる療法です。姿勢を維持する、もしくは姿勢を矯正するために側弯症の治療にも使われています。参考書籍:椿原彰夫/編著『PT・OT・ST・ナースを目指す人のためのリハビリテーション総論-要点整理と用語解説改定第2版』(株式会社診断と治療社、2011年 )そのほか、リハビリテーション以外の治療には、筋肉の緊張部位にボツリヌス菌を注射するボツリヌス療法などがあります。ボツリヌス療法では、筋肉の痙縮が改善されている間に、運動療法を積極的に行います。このほか、変形してしまった腕などを手術して、日常生活の動作を改善させる手術療法もあります。参考書籍: 穐山富太郎、川口幸義、大城昌平/編著『脳性麻痺ハンドブック療育にたずさわる人のために第2版』(医歯薬出版株式会社、2015年)家庭で療育をするときに大切なことって?出典 : 前の章でご紹介した以外にも、遊びを通じていろいろな姿勢をさせてあげるなど、家庭でも療育的支援を行うことができます。この家庭での療育を成功に導くためにはいくつかの原則があるようです。「座ることはできても、座った状態からうつぶせになれない」脳性麻痺の子どもへの家庭療育を例にとって、この原則を考えてみましょう。この場合、どのようにしたら転ばないでスムースにうつぶせになれるかどうかを念頭において療育をすることになります。最適な遊びや介助については、理学療法士などの専門家と相談して決定するとよいでしょう。練習の頻度や時間は、運動や遊びの種類ごとに異なります。もちろん、脳性麻痺の程度によっても練習内容などさまざまです。したがって、理学療法士と相談してすすめることが非常に重要です。〇新しい運動スキルの学習は能動的であることが大前提です介助の方法については、理学療法士から学べますが、子ども本人が自分から行動しようとしたときに、その運動スキルを身につけようとする学習が生まれます。今回の例では、おすわりからうつぶせをなるためのスキルを学習することが目的です。子どもが床にあるおもちゃで遊びたくて、お座りの姿勢から介助を受けながらでも自分から動こうとしたときに、学習がはじまります。〇子どもが「●●したい」という動機づけをおこなう子どもが自分から動こうとするような動機づけが重要です。たとえば、子どもが楽しく座って遊んでいるときなどに、無理矢理うつぶせになるような運動を練習させることはやめましょう。その代わり、子どもの大好きなおもちゃを床において、興味を示すのを待つのです。子どもがおもちゃに興味を示せば、自分からうつぶせになって取ろうとするはずです。このとき、おすわりからうつぶせへのスキル学習への動機づけが生まれます。〇子ども自身で取り組める環境をつくるスキル学習の促進には、子どもが自分自身で取り組み試行錯誤できる環境づくりが大切です。お座りからうつぶせになる動きを大人が全て手助けするのではなく、たとえば床にクッションなどを敷いて、転んでも痛くないような仕組みをつくるなど、ことがスキル学習をすすめる秘訣です。子どもは失敗から学んでいくからです。〇人形を使うなどして、動き方のイメージを促す人形を使うなどして、実際の体の動かし方を見せる方法は、子どもにも理解しやすいと言われています。この例では、人形を床に座らせ、そのままうつぶせにさせる動作をゆっくりと見せながら、床のおもちゃに手を伸ばさせます。〇さまざまなやり方を試してみる同じ方法だけでずっと遊ばせたり、介助したりすることは避けます。スキルを学習するためには、多様な方法を経験することが重要だからです。遊びがマンネリにならないように、いつも決まった場所におもちゃをおかないようにしたりすることも考えましょう。〇反復してもスキル獲得を促す何度も練習することを通じて、子どもはいつでも好きなときに動けるようになります。そこで、成功した動きを獲得できるまで、子どもの様子を見ながら反復練習をすると良いでしょう。〇肯定的な働きかけをする保護者や周りの笑顔や肯定的なうなずきは、脳性麻痺の子どもがスキル学習を行う時の一番の励ましとなることがわかっています。おもちゃに手を伸ばそうとして頑張っている姿に、笑顔や拍手をするなど励ましの対応をするようにしましょう具体的にどのような遊びがあるのか、またやり方については、理学療法士などの専門家に相談したり、詳細を紹介している書籍もありますので参考になさってください。参考書籍: Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育原著第4版』(医歯薬出版株式会社、2014年)参考書籍: Sieglinde Martin, M.S., P.T/原著、山川友康、上杉雅之/監訳『親と専門家のための脳性まひ児の運動スキルガイドブック』(医歯薬出版株式会社、2015年)脳性麻痺の人が受けられる支援にはどんなものがあるの?出典 : 脳性麻痺のある人には、たくさんの支援制度が整備されていますのでご紹介します。ぜひ活用してください。先天性の脳性麻痺ではなく、分娩時が原因でおきてしまった脳性麻痺は、産科医療保障制度が活用できます。医療ミスなど、脳性麻痺になった理由を問わず3,000万円が支給され、原因の究明と情報提供をおこなってくれます。申請期間が定められており、満1歳から満5歳の誕生日までに申請します。なお、産科医療保障制度に加入している医療機関で出産しなければならないことに注意が必要です。加入医療機関は以下のサイトで検索が可能です。加入分娩機関検索|公益財団法人日本医療機能評価機構また、脳性麻痺の症状によっては、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳などの取得も可能です。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。さらに、障害のある子ども本人への支援制度だけでなく、家庭への支援制度「特別児童扶養手当」の活用も可能です。精神、または身体に障害がある児童について特別児童扶養手当を支給することで、生活の豊かさの増進を支援することを目的とした制度で、児童が20歳になるまで、障害の等級に応じて一定の金額が保護者もしくは養育者に支払われます。詳細は下記の記事を参考になさってください。このほか、脳性麻痺では障害年金の申請も可能です。障害の程度に応じて、一定の金額が毎月支給される年金制度ですが、受給要件や金額などは、個人で異なりますので、以下のリンクを参考にしてみてください。参考リンク:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構また、障害のある人の税は優遇されていますので、こちらも参照してみましょう。なお、金銭面の支援だけでなく移動支援も整備されています。移動支援とは、移動が困難な人に対してガイドヘルパーによって行われる地域生活支援事業です。自治体によっては、重度脳性麻痺者介護助成が行われているところもあるので、お住まいの地域の自治体に問い合わせてみましょう。他にも脳性麻痺の障害支援についての関連記事があるので、参照してみてください。一人で頑張りすぎないで、困ったときは支援してもらいましょう出典 : 脳性麻痺のある子の保護者は、「子どもの世話は私にしかできない」とすべてを抱え込んでしまう人が多いようです。しかし、まわりの人の中には、何か支援できることがあれば、お手伝いしたいと考えている人も少なくありません。もしかしたら、支援の必要があるか分からないために声をかけられないでいるだけかもしれません。脳性麻痺のあるなしにかかわらず、社会では一人ひとりが関わり合い、支え合って生きています。自分ひとりで抱え込まず、活用できる支援は積極的に受け入れるようにしましょう。「こんなことで相談して良いのかな」と支援を頼むか迷ったときには、「困っているか」どうかで判断してみましょう。もし、本人や家族が何か「困っている」ことがあれば、まずは医療機関や保健センターなどで、自分の困りごとを相談してみてください。治療やリハビリテーションなど、専門家との関わりにはコミュニケーションをうまくとることで成功しやすいことも多いものです。良好なコミュニケーションをとるためには、自分も療育をする当事者の一人として、専門家とともに参加することが重要です。もしかしたら、専門家は難しい専門用語をつかって説明をするかもしれません。そのような場合には遠慮せずに質問して言葉の意味を教えてもらい、専門家の使う言葉を共有するようにしましょう。また、受診やリハビリの際には事前に質問事項をメモしていくことで、聞き忘れることも防げます。参考書籍: Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育原著第4版』(医歯薬出版株式会社、2014年)学校はどうしたら良いの?出典 : 学校に通う場合にはいくつかの選択肢があります。普通学級のほかに、障害のある子どもは特別支援教育を受けることができます。特別支援教育には、特別支援学校のほか、特別支援学級や通級指導教室があります。○特別支援学校脳性麻痺の症状や程度で異なるものの、特別支援学校であれば肢体不自由児の指導を受けることができます。また、知的障害を伴う場合には、重複障害学級に在籍して教育を受けることができます。参考リンク:(1) 重複障害児の概念(重度・重複障害を含む)|独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所○普通学級に在籍する子どもも多数また、2014年に福島県で行われた調査では、肢体不自由の特別支援学級が設置された小学校に通う肢体不自由児のうち、70.6%が普通学級に在籍し、29.4%が特別支援学級に在籍していることが明らかになっています。なお、肢体不自由の小学生児童のうち、脳性麻痺を含めた脳性疾患の児童は45.3%であったことから、数多くの脳性麻痺の子どもが普通学級に通っていることが分かります。参考リンク:肢体不自由特別支援学級を対象とした悉皆調査 調査内容の概要|独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所特別支援学校については特別支援学級との違いも含めて、発達ナビで解説していますので是非読んでみてください。それ以外にも、児童発達支援や放課後等デイサービスなど、施設に通って受けられる支援制度もあるので、参考にしてください。l障害あるなしにかかわらず、必要な配慮を受けながらすべての子どもたちが同じ場所で教育を受ける「インクルーシブ教育」の実現にむけて、日本の教育も日々変化を続けています。上記のような多様な学びの選択肢を提供していくことも、その流れの一環です。脳性麻痺の人の将来の生活は?出典 : 「子どもは将来自立して生活できるのでしょうか」―これは、脳性麻痺の子どもを育てる多くの保護者が医師などの専門家に投げかける共通の質問だそうです。これまで、脳性麻痺は脳の損傷が原因で起こるもので、その症状は一人ひとりさまざまであることをお伝えしました。したがって、自立して生活できるかという問いにも、その道筋は一人ひとりさまざまであると答えなくてはなりません。ただし、脳性麻痺がどの程度であったとしても、共通している保護者の役割があります。それは、「できるだけ多くのことを子どもが自分でできるように励ましサポートすること」です。また、脳性麻痺の子どもに理学療法や作業療法など専門家が連携する目的も同様です。したがって、脳性麻痺の程度にかかわらず、家族だけでなく周りの人たちとともに自立に向けての支援をしていくことがとても大切です。脳性麻痺の方と家族の手記のなかに「自立」について当事者の目線で書かれた部分があったのでご紹介します。私は身障者手帳の1種の1級を持っています.アテトーゼ型の脳性麻痺で四肢と言語に比較的重度の障害があります.移動は車いすを利用しています.食事も完全には自分一人ではできず,一部介助が必要です.2002年に結婚をし、2005年には子どももできて,現在は両親を含め家族5人で自宅で生活をしています.普段は1988年からつとめている佐世保市にある臨床検査会社でプログラミングの仕事をしています.中略私は今までの経験から「自立」とは,自分の意思を決定づけられることだと思っています。自分がやりたいことややるべきことを,いろいろな方法や手段を使って実現できるなら,それは立派に自立していることになると思います.そして自立というのは最終目標ではなく,自分の夢ややりたいことを実現するための1つの手段に過ぎないと思うのです.そして最も大切なことは,たった1度の人生をいかに幸せに過ごすかということだと思います.出典:穐山富太郎、川口幸義、大城昌平/編著『脳性麻痺ハンドブック療育にたずさわる人のために第2版』(医歯薬出版株式会社、2015年)351ページ脳性麻痺のある小児科医・研究者の熊谷晋一郎氏は、あるインタビューの中で「自立は、依存先を増やすこと」であると述べています。リハビリ等を通して自分自身の身体で出来ることを増やすことばかりが自立への道ではありません。それだけではなく、支援をしてくれる人との繋がり・関係を育んでいくこと、車椅子をはじめ、自分の身体の延長として日常生活・社会生活を営むための手段を増やしていくことなど、自分自身が頼り依存できる先を増やしていくことも、自立した生活に向けて大切な視点です。インタビュー「自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと」TOKYO人権第56号(平成24年11月27日発行)まとめ出典 : 脳性麻痺について、原因や治療方法などをご紹介しました。脳の損傷部位や範囲によって、症状のあらわれ方や程度、さらには治療の進め方も一人ひとりさまざまです。医師や実際にリハビリを進めていく専門家などと、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。また、支援制度も十分に活用することで、保護者だけでなく周りの人たちとともに治療を進めていきましょう。参考書籍: Eva Bower/原著編著、上杉雅之/監訳『脳性まひ児の家庭療育原著第4版』(医歯薬出版、2014年)参考書籍: 木舩憲幸/著『脳性まひ児の発達支援調和的発達を目指して』(北大路書房、2011年)参考書籍: 穐山富太郎、川口幸義、大城昌平/編著『脳性麻痺ハンドブック療育にたずさわる人のために第2版』(医歯薬出版、2015年)参考書籍: 梶浦一郎、鈴木恒彦/編集『脳性麻痺のリハビリテーション実践ハンドブック』(市村出版、2014年)参考書籍: 公益社団法人日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会、公益社団法人日本リハビリテーション医学会脳性麻痺リハビリテーションガイドライン策定委員会/編、公益社団法人日本リハビリテーション医学会/監修『脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版』 (金原出版、2014年)
2017年01月31日歯が溶ける「う蝕」「酸蝕歯」に歯肉の一部が急に腫れる「妊娠性エプーリス」、口腔衛生の悪化で生じる「歯肉炎」など、妊娠時にはさまざまな歯のトラブルが起こりうる。特に、歯周病菌が原因で起こる「歯周病」を抱えていると、早産のリスクが約7倍にもなるとされている。「妊娠前にちゃんと治療しておきたかった……」という人もいるだろうが、実際、妊娠中でも歯の治療は可能だ。そこで今回、歯科医師の倉治ななえ先生に妊婦が受けられる歯の治療はどんなものなのかうかがった。○レントゲンも麻酔もOKまず、どんな治療が受けられるのか聞いたところ、「大概の治療は全部できます」とのこと。ただし、歯科治療は安定期(妊娠5~9カ月頃)に実施することを推奨しているため、妊娠が分かった段階で歯科検診を受け、治療が必要となれば安定期に入ってからということになる。歯の治療に関して、妊婦からは「レントゲンを撮ると胎児に影響があるのでは? 」「麻酔注射をしても大丈夫? 」「鎮痛剤や抗生物質は服用できる? 」などの質問があるという。倉治先生によると、これらは全て妊娠中もOKとされている治療であり、抜歯も問題ないとのこと。レントゲン撮影に関していうと、実際に放射線(X線)を照射するのはおなかから離れた歯だけであり、放射線の保護用に鉛のエプロンを着用するため、おなかの胎児が被爆する量は限りなくゼロに近い。麻酔に関しても、全身麻酔ではなく局所麻酔であるため、麻酔薬は歯の周辺に停滞するのみ。抗生物質の投与は、原則として治療の効果が危険性よりも高いと判断された場合に限り、産婦人科医も推奨している抗生物質に限定し、最小限の投与量で処方・治療される。○妊娠中に子どもの歯は形成される妊娠中も歯科治療ができることが分かっていても、実際に身重の身体で治療を受けることに不安を感じる人もいるだろう。そんなニーズに応えるべく、全国には妊婦も安心して治療を受けられる歯科医院が多数ある。2010年4月にマタニティ歯科外来を日本で初めて開設した日本歯科大学附属病院では、歯科医師も含め全スタッフが女性であり、リラックスして治療ができるように個室を設けている。なお、妊娠中の治療で歯科疾患が見つかった場合は保険対象の診療になるが、歯科疾患が見つからなかったもののクリーニングを希望する場合は自費となる。また、乳歯の形成は胎生期7週目から始まる。そのため、子どもの歯を守るためには、妊娠中から母親自身も口腔管理をし、生活習慣を整える必要がある。「お子さんの歯を診ていると、妊娠中にお母さんがどんな状態だったのか分かるんですよ。妊娠7週目くらいからお子さんに歯の芽ができ始め、その後、成長が歯に"刻印"されます。お子さんの歯にエナメル形成不全があれば、その時にお母さんが体調を崩していたということです。永久歯の石灰化は出生後に始まりますが、乳歯はお母さんのおなかの中で形成されます。そう考えると、妊娠中もお子さんの歯を守る対策が必要です」(倉治先生)。○行政を活用するのも手とは言え、自分の周囲でマタニティ期の治療を扱う歯科医院がどこにあるか分からないという人もいるだろう。そんな時には相談してみよう。例えば東京都大田区では、妊娠届を提出すると「母子健康手帳」と「母と子の保健バック」が手渡される。このバッグの中には妊婦歯科健康診査受診票も入っており、同受診票を区が指定する医療機関に持って行くと、無料で歯科検診が1回受けられるようになっている。ここまでのサポートではなくとも、行政では妊婦向けの歯科衛生指導や歯の健康相談にものってくれるところもある。一度、自分の市町村ではどのようなサービスが受けられるか調べてみると、いざという時にも安心できるだろう。※写真はイメージで本文とは関係ありません○記事監修: 倉治ななえ歯学博士。日本歯科大学附属病院臨床教授、日本フィンランドむし歯予防研究会副会長、日本アンチエイジング歯科学会理事(認定医)、東京都大田区学校保健会副会長。「クラジ歯科」(現在院長)と「テクノポートデンタルクリニック」を開設。著書として『魔法の口もと美人スティック』(学研パブリッシング)、『むし歯・歯周病の最新知識と予防法』(日東書院)など。また、「Drななえの予防歯科」を通じて、はじめての歯磨きから予防歯科まで、歯のケア情報を発信している。
2016年03月11日アラフォー世代になると、足の爪がすべてキレイに整っている人はほとんどいません。特に「巻き爪」で苦しんでいる人は10人に1人とも言われます。その痛さは経験した人にしかわからないほど! しかも、いったん痛みが出るとなかなか治りにくく、矯正などをしても再発してしまうことが少なくありません。巻き爪を治すのってやはり難しいのでしょうか?「多くの方は、巻き爪の原因は “爪そのもの” にあると思っています。でも、実は原因のほとんどは爪ではなく “足” にあるんですよ! それを無視して爪への対処療法をするだけでは再発するのも当然なんです」と教えてくださるのは、「足のクリニック 表参道」の院長、桑原靖先生。今回は、正しい巻き爪の知識と、再発しにくい治療法を伺いました。「なぜ巻き爪になったの?」本当の原因とは・・・?そもそも巻き爪(陥入爪) とは、爪が内側へ弯曲し、巻き込んでいる状態のこと。周囲の皮膚に爪が食い込み、痛みや炎症・膿みなどを伴うこともあります。その結果、靴が履けない、上手く歩けない、爪が切れない、何もしなくても痛い…などの悩みを抱えることに。放っておくと傷口から菌が進入し、感染を起こすこともあるほどです。「巻き爪になる原因はいろいろありますが、第一には爪が受ける圧力が弱すぎる場合。爪は元々内側に巻きやすい性質があるのですが、立ったり歩いている時に圧がかかることで地面と平行の形を維持しています。ですから、体重をかけないでいると曲がっていくのはあたりまえ。長期間寝たきりになった途端、巻き爪になるなんていうのもよくある話です。また、爪にかかる圧力が均等でない場合によく起こります。つまり、足が変形している外反母趾や、足のアーチが落ちて扁平足になっている方は、痛い、痛くないは別としてほとんどと言っていいほど巻き爪になっていますね」(桑原先生)外反母趾などのトラブルがある人で、今はまだ痛みがなくても、爪の端を押すと痛む、先が細い靴を履いた時だけ痛いなどの場合、見えない部分に爪が食い込んでいることがあります。これはもちろん、放っておくと徐々に巻き爪が悪化する可能性大! また、足の指の先端の骨(末節骨)の形態異常や爪下外骨腫という良性腫瘍により、骨の形が変形してしまうなど、爪が原因ではない場合が本当に多いのだそう。巻き爪は遺伝だとか、そもそもなりやすい爪の形があると思っている人も多いものですが、違いましたね! ちょっとビックリです。巻き爪はれっきとした病気。原因にあった治療法を!ただ、先天的に巻き爪になりやすい人も確かにいるようです。それは、爪の幅が広い人、爪が大きい人など。オーバーサイズネイルと呼ばれる爪で、そもそも皮膚に爪が食い込みやすい形です。「巻き爪の原因は一概には言えないため、まずは原因を見極めることが大切です。爪の医療に詳しいドクターなら、その方の爪の形、歩き方・立ち方の癖などを総合的に見て、原因を特定することができるはずです。巻き爪はれっきとした病気です。原因を特定できないまま、やみくもに矯正などの対処療法をしても完治は望めないと思いましょう」(桑原先生)もちろん、単純に爪が原因だった場合、桑原先生のクリニックでは巻き爪専用のワイヤー矯正治療を行います。「VHO巻き爪矯正ワイヤー」と呼ばれるもので、従来のワイヤー治療に比べ、爪が短くても装着することができ、付けていても邪魔にならないのが特徴。ワイヤー挿入の際、痛みが少ないのもメリットです。 「膿んで痛みがある人は、初回は爪を切っておしまい、ということもありますね。正しく爪を切ってあげるだけで痛くなくなることも多いもの。再発予防のために正しい切り方の指導もします。また、外反母趾が原因でも、軽い巻き爪なら、きちんとした機能性インソールを入れてもらうことで改善されることもあるんです。クリニックの治療用インソールでなくとも、市販のインソールで治る人もいます。もちろん、小さすぎる靴、大きすぎる靴、つま先がきつい靴などは足に負担をかけ、巻き爪を助長してしまいますから、靴そのものにも気をつけてもらいます。こういった指導でも治らない、再発してしまう方には、根本治療の『NaOH』療法をオススメしています。痛みも少なく、歩いて帰っていただけますよ!」(桑原先生)さて、『NaOH』とはどんなものでしょう?再発しにくい、巻き爪の新治療!『NaOH』とは?桑原先生のクリニック「足のクリニック 表参道」で行っている『NaOH』は、日本ではまだあまり行われていませんが、アメリカなどではポピュラーな手術です。「手術と聞くと『え〜、巻き爪で手術までするの?』と思うかもしれませんが、1カ所5〜10分で終わり、手術直後に歩いて帰れる治療方法です。その日の入浴も可能なんですよ。手術は、巻いている爪の端を根元まで切除し、その部位から爪が伸びてこないように薬品を塗るというもの。NaOHとは、爪になる細胞を焼くための薬品の名前です。爪になる前の細胞を取ってしまうため、そこからはもう爪が生えてきません。なので、多少は爪の形が細長くなります」(桑原先生)施術する際には局所麻酔をし、十分に効果が現れてから実施するため、痛みを感じない方がほとんど。術後に痛み止めの処方をすることもあります。手術時間は合計20分程度。完治までの期間が短く、通院日数が少なくて済むのもメリットです。手術は健康保険が適用になり、料金は3割負担で10,000円程度。なお術前に別途血液検査が必要なこともあります。巻き爪で長い間悩んでいた人、さまざまな治療をしたけれど効果がなかったという方は、このNaOH手術を選択肢のひとつにしてみてはいかが? 今年の夏こそ、自信を持ってサンダルが履けるようになりましょう!桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」
2016年01月21日今や2人に1人ががんになるといわれる時代。がん治療では、信頼できる医師のもと最善の治療法を選択することになる。日本のがん治療では、手術や放射線治療、化学療法といった標準治療が一般的だが、自分の細胞でがんを治療する方法もあることをご存じだろうか。今回は、"がんの最先端治療"といわれる免疫細胞治療について、瀬田クリニックグループ 統括院長の後藤重則医師にお聞きした。○がん細胞は細胞分裂のコピーミスで起こる!人間の体は毎日、新しい細胞が生まれるとともに古くなったものが死滅している。入れ替わる細胞の数は1日に約8,000億個。新しい細胞は生まれつき持っている細胞情報(DNA)をコピーして作られるが、細胞分裂の過程でコピーミスが起こると異常細胞ができてしまう。その異常細胞の1つが「がん細胞」だ。がん細胞は健康な人の体内でも1日に数千個発生しているといわれているが、免疫細胞の働きによって排除されている。「免疫力を高めてがんを防ぐ」などといわれるのは、こういった理由からだ。では、日頃からどんなことに気をつけて生活をすれば、免疫力を高められるのだろうか。「免疫力を高めるためには、栄養バランスの整った食事、運動や睡眠など規則正しい生活を意識することが大切です。喫煙やストレスは免疫力を下げ、がんのリスクを高めるので注意しましょう」と後藤医師。○がんの最先端治療「免疫細胞治療」とはがんの標準治療は、手術、化学療法、放射線治療の3つが代表的だ。患者のがん細胞の性質や進行度、再発リスクなどによって、医師は適切な治療法を提案する。一方、患者の体内にある免疫細胞を体外で強化したうえで再び体に戻し、がん細胞を攻撃するのが「免疫細胞治療」。つまり、"自分の細胞でがんを治す"という治療法だ。自分の細胞を使うため大きな副作用がないことがメリットの1つで、QOL(生活の質)を下げない全身的な治療法として注目されている。後藤医師が統括院長を務める瀬田クリニックグループは、1999年に国内初のがん免疫細胞治療専門医療機関として東京に開院。現在は全国4カ所(東京・神奈川・大阪・福岡)で展開するとともに、同クリニックと同様の免疫細胞治療が受診できる連携医療機関も全国で44カ所存在する(2015年12月時点)。免疫細胞治療は現在のところ、その多くは自由診療として行われている。○免疫細胞治療の種類免疫細胞治療では、一部(HIV抗体陽性の人、臓器・同種骨髄移植を受けた人など)を除くほぼすべてのがん種が治療対象になる。また、早期から再発・転移を伴う状況まで病期にも関わらず治療可能だが、外来通院での治療になるため、無理なく通院できる程度の健康状態が必要としている。瀬田クリニックで行っている免疫細胞治療は次の5つだ(瀬田クリニックホームページより)。■樹状細胞ワクチン療法樹状細胞は、がん細胞を直接攻撃するT細胞にがんの目印(がん抗原)を伝え、攻撃の指示を与える免疫細胞。樹状細胞ワクチン療法では、樹状細胞に体外でがん抗原を取り込ませてから(教育してから)体内へ戻し、T細胞にがんを攻撃するよう指示させる。■アルファ・ベータT細胞療法がんに対する攻撃力が最も強い細胞のひとつであるT細胞を全般的に活性化し、増殖させてから体内へ戻す治療法。T細胞の多くが「アルファ・ベータT細胞」という種類のため、この名前がついている。がん細胞の目印が分からないとき、がん細胞が目印を隠している場合に、早期がんから進行したケースまで幅広く適用。また、免疫の働きにブレーキがかかっている患者のブレーキを外す働きもあり、化学療法や放射線治療の効果が増すことも期待されている。■ガンマ・デルタT細胞療法がん細胞を攻撃する力を持つ免疫細胞(リンパ球)のうち「ガンマ・デルタT細胞」を用いた治療法。ガンマ・デルタT細胞には、細菌やウイルスなどに感染した細胞やがん化をはじめた細胞の変化を素早く感知して攻撃をしかけるといった特徴がある。抗体医薬を使っている場合や、骨腫瘍・骨転移などの治療にゾレドロン酸を使っている場合、併用することで相乗効果を期待できる。■NK細胞療法NK(ナチュラルキラー)細胞は、末梢血中のリンパ球の10~20%を占め、極めて強い細胞殺傷能力を持った細胞の一種。体の中を常時パトロールし、がん細胞やウイルス感染細胞などの異常な細胞をいち早く発見して攻撃する役割を持つ。NK細胞療法では、患者のNK細胞を体外に取り出し、高度に安全管理された環境下で大幅に増殖・活性化して体内に投与する(治療開始前の患者の免疫状態等により、NK細胞の増殖度合いは異なる)。■CTL療法T細胞を活性化・増殖させる際に、患者のがん細胞を使ってT細胞を増殖させ、そのがんのみを攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)を増やしてから、体内に戻す治療法。腹水や胸水などから、患者のがん細胞が入手できる場合に治療が可能。○標準治療と併用が可能これらの免疫細胞治療は、標準治療と併用できる点も重要だ。例えば、手術、放射線治療、抗がん剤などはがん細胞を大きく減らしたり、腫瘍を小さくしたりすることが可能だが、再発のもととなる隠れたがん細胞が残る可能性もある。一方、免疫細胞治療は、サイズの大きながんを縮小させる力は弱いものの、こうした隠れたがん細胞を探し出して攻撃する力を持っており、標準治療と併用することで再発リスクを下げたり、他の標準治療の効果を底上げしたりすることが期待できる。新しい治療法であるため、現状では高齢者よりも、インターネットなどで自ら情報を探すことに長(た)けている若い人に認知される傾向があるとのこと。「若い患者さんは、ご自分でいろいろと調べてから来院されます。また、ご高齢の患者さんの場合、お子さんやお孫さんが調べて連れて来られるケースも多いですね」。なお瀬田クリニックでは、次のような場合に免疫細胞治療を提案している。1. 手術などを行ったが再発の心配があり、体に負担をかけずそのリスクを下げたい場合2. 放射線治療や抗がん剤と併用して、プラスαの効果が期待できそうな場合3. いろいろな治療を試したが、標準的な治療方法が他にないと言われた場合「免疫細胞治療は、体への負担が少ないので、例えば仕事や趣味、食事など、これまでどおりの生活をしながらがんの治療が行えます。多くの人がさまざまながんの治療法があることを知って、ご自分のライフスタイルに合った治療法を選べるとよいですね」。以前と比べて「がんは治る病気」といわれることも多くなったが、やはり自分や家族、友人ががんを患った場合、まず感じるのは恐怖だろう。事前に治療法について知っておけば、いざ治療が必要になったときも、信頼できる医師や病院、治療法を見つける手がかりになる。健康に気をつけてがんを防げることが一番だが、もしものときに備えて、がん治療に関する知識を持っておくとよいだろう。※画像と本文は関係ありません○記事監修: 後藤重則(ごとう・しげのり)瀬田クリニックグループ統括院長1981年新潟大学医学部卒業1985年県立がんセンター新潟病院1989年新潟大学医学部助手、同年医学博士号取得1991年帝京大学生物工学研究センター講師、帝京大学医学部講師1995年医療法人社団弘生会霞ヶ関ビル診療所1999年瀬田クリニック(現・瀬田クリニック東京)、2001年より同院長2008年東京医科大学内科学兼任講師2009年より医療法人社団滉志会理事長
2015年12月24日世界初となる二日酔い治療専門病院が、オーストラリアに開業した。シドニーにあるこの病院では、30分から1時間で最悪な二日酔いも治せる治療を受けられるそうで、治療費は140豪ドル(約1万2,000円)からとなっている。一方でこのアイデアをよく思っていない意見も出ており、豪公衆衛生協会は「このことは人々の不適切なアルコールの消費を促すものであり、政府は十分に注意を払うべきだと思います」とコメントしている。(C)BANG Media International
2015年12月16日不眠症の治療にはどのようなものがあるのかご存知ですか? 専門家でなければ具体的な方法はわからないものだと思います。そこで今回は非薬物療法といわれる睡眠薬を使わない治療法の一部をご紹介したいと思います。非薬物療法っていったい何?不眠症の治療法には、大きく分けて薬物療法と非薬物療法の2つがあります。薬物療法とは睡眠薬を使う治療法で、非薬物療法とは薬を使わずに治す方法のこと。今回は、非薬物療法をご紹介したいと思います。非薬物療法には認知行動療法という方法があって、これは言葉の通り、「認知」と「行動」の両方からアプローチするという方法です。具体的には、不眠への不安などの認識の歪みを正常化し、それと同時に行動を制御するというものです。認知行動療法といっても、さまざまなタイプがあります。意識を変えて不眠症を治す●刺激制御療法ベッドに入っても眠れないという体験が続くと、ベッドに入る=目が冴えるという「条件不眠」が生まれることがあります。刺激制御療法は、その悪循環を断つことを目的とした方法で、寝室には寝る時間にしか入らないなどの対策を取ります。●自律訓練法自己暗示をかけていくことでリラックスした状態をつくり出し、睡眠を促すという方法です。室内の静かで、落ち着ける場所で行うことで効果がアップすると言われています。●睡眠制限療法布団に入ったものの眠れない場合、寝床にいる時間と実際の睡眠時間には大きな差が生まれてしまいます。その差を減らすことで、不眠を改善するのがこの方法。睡眠の記録(入眠時間など)をつけてもらい、そのデータをもとにコントロールしていきます。筋肉を緩めて不眠症を改善!●バイオフィードバック法私たちが自己認識しにくい体の変化を、機械を使うことで自らに認識させ、自分でコントロールできるようにさせるというものです。具体的には、筋電図を用いて筋肉の緊張を和らげる訓練を行うといった内容です。●筋弛緩療法交感神経系や筋肉の緊張が不眠の原因になっている場合に、筋肉を弛緩させて、入眠に導くという方法です。緊張と弛緩の状態を認識させることで、緊張を和らげる方法を学ぶことができると言われています。ひと言で「不眠症の治療」と言ってもさまざまなものがあることがわかりますね。これもほんの一部に過ぎません。どの方法が効果的なのかは人それぞれ。不眠症かなと思ったらひとりで抱え込まずに、すぐにお医者さんに相談するようにしましょう。photo by vincent Angler
2015年06月23日新潟大学は6月18日、糖尿病治療で使われるインスリンなどの血糖降下薬による低血糖脳症に対し、新たな動物モデルを作成し、用いることで低血糖脳症の治療薬を発見したと発表した。同成果は新潟大学脳研究所神経内科の下畑享良 准教授を中心とする研究グループによるもので、6月18日の国際科学誌「PLOS ONE」に掲載された。低血糖脳症は、糖尿病の治療でインスリン注射や内服の血糖降下薬を用い血糖値を下げたときに、薬が効きすぎることで起きる。糖は脳にとってのエネルギー源であるため、低血糖脳症は重度の脳障害や認知症の原因となる。近年、その数が増えていることが問題となっているが、ブドウ糖注射を除くと治療薬がなく、治療薬の開発が望まれているが、良い動物モデルがないという課題があった。従来の動物モデルは低血糖におる脳のダメージによって呼吸が止まるため、人工呼吸器を使用していたが、難易度が高いという問題があった。今回の研究では、脳波をモニターしながら脳の傷害をチェックする方法を用いることで、人工呼吸器を使用しないで済む動物モデルを確立した。また、このモデルを用いることで、低血糖の治療として行うブドウ糖注射のあとに、脳内にアルデヒドのひとつである4HNEという物質が蓄積し、神経細胞を傷害すること、その障害の程度は低血糖の時間が長いほど高度になることを発見。アルデヒドを分解する酵素を刺激する薬剤「ALDH2 アゴニスト」をブドウ糖と一緒に注射したところ、脳内のアルデヒドが減少し、神経細胞の障害も抑制されることを確認した。このアルデヒド分解酵素刺激薬が実用化されれば、低血糖脳症患者の一部の予後を改善する可能性がある。同研究グループは今後、今回開発した動物モデルを用いて、さらに低血糖脳症の治療薬候補の同定を進め、最も効果が期待される治療薬を用いた治療の実用化を目指すとしている。
2015年06月18日結婚、出産の高齢化が進み、不妊治療を望むカップルが増えています。そこでネックになるのが、高額な治療費。子どもを授かるまで治療を続けたくても、治療費が捻出できず諦めるケースも多いようです。ですが、一定の要件に当てはまれば、「特定不妊治療」という国の助成制度を利用することができます。○平成26年度に変更になった「特定不妊治療」不妊治療には、いくつかのステージがあります。まずは排卵日を予測して自然妊娠を目指す「タイミング法」。次にチューブで精子を子宮に送る「人工授精」となり、最後のステップとして、体外で受精させた受精卵を子宮へ戻す「体外受精」「顕微授精」があります。タイミング法は数千円、人工授精で1万円~2万円程度ですが、体外受精になると、1回30万円~50万円程度の負担になり、資金面で治療の継続が難しくなってきます。治療の負担を軽くするために使えるのが、体外受精と顕微授精を対象にした「特定不妊治療」という国の助成制度ですが、助成を受けるにはいくつかの条件があります。対象者は、特定不妊治療以外の方法で妊娠の見込みが無い、または極めて少ないという医師の診断を受けた夫婦で、戸籍上の夫婦に限られます。また、夫婦合算の所得が730万円以内という所得制限が設けられています。助成制度を実施するのは、各都道府県、指定都市、中核市なので、利用の際は、住所地の自治体に申請をします。また、特定不妊治療ができるのは、各自治体が指定した指定医療機関に限られるので、事前に確認をしておきましょう。この特定不妊治療、平成26年度から制度が変更され、少々ややこしくなっているので注意が必要です。従来は年齢に関係なく、初年度3回、通算5年度で最大10回まで助成が受けられましたが、平成26年度以降、39歳までの女性は通算最大6回までと回数が減りました。40歳以上の女性は、平成27年度までに申請すれば、従来通り通算10回の助成が受けられるのですが、平成28年度以降の申請では、40歳~42歳が通算3回まで、43歳以上になると、制度の対象外となります。年齢が上がると体外受精や顕微授精の成功率が下がり、妊娠、出産のリスクが高まることから、このような見直しがなされたようです。助成額は、A~Fまでの治療ステージによって変わり、治療1回につき最大7万5,000円~25万円です。特定不妊治療は国の制度のため、どの都道府県でも同様の助成となりますが、自治体ごとに、独自の不妊治療支援を実施している場合もあります。例えば、東京都港区では年30万円・通算5年間の助成制度があります。独自の助成制度の有無で、東京都港区の場合では費用負担が150万円も変わってきます。不妊治療に本格的に取り組みたいという夫婦は、各自治体の助成制度について、調べてみるとよいでしょう。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール武田明日香エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)
2015年03月10日今や国民病といえるがんの診断と治療技術は、日進月歩で進歩しています。最近のがん治療は通院(外来)で行われることが増えてきました。そのため、入院治療主体の従来型のがん保険では、治療実態と乖離(かいり)し、十分な保障が得られない可能性があります。そこで、最近のがん治療や最新のがん保険について考えてみました。国民の約2人に1人はがんにかかる!?がんは国民病といっていいほど、身近な病気になりました。一生涯のうちにがんと診断される人の割合は、男性58.0%、女性43.1%。約2人に1人ががんにかかるのです。そして、がんは昭和56年(1981年)から日本人の死因第1位を占めています。平成25年のがんによる死亡者数は36万5,000人で、全死亡者のうち28.6%でした。がんは30年以上にわたって死因の第1位を占めていますが、医療技術の進歩によって徐々に治る病気になりつつあります。ただ、治療は長期にわたることもあり、公的医療保険が適用される治療だけを受けても、毎月の医療費負担は家計の重荷になります。もし、高額な先進医療の技術を受けることになると、経済的なダメージはさらに大きくなります。また、がんにかかると、通院のために職場の配置転換や離職を余儀なくされることもあり、収入減や収入途絶が追い打ちをかけます。こういった経済的ダメージへの備えとしてがん保険があるわけですが、最近、保障内容に変革が起きています。それは、治療方法が変わってきたからです。では、最近のがん治療はどう変わったのでしょうか。がん治療は「集学的治療」が主流以前のがん治療は、「入院して手術」が主流でした。現在でも、手術はがん治療の有効な治療法ですが、最近はこれに、放射線治療や抗がん剤治療を効果的に組み合わせる治療法が主流となっています。これを「集学的治療」といいます。放射線治療や抗がん剤治療は通院だけで行われることもあり、手術も技術の進歩で日帰りや短期間の入院ですむケースがあります。こういった治療法の進歩で、がん治療は入院から通院にシフトしているのです。下表は、がんの受療率の年次推移ですが、平成17年を境に、通院治療の方が増えています。ところが、入院・手術を前提とした従来型のがん保険では、通院だけの治療では受け取れる給付金はがん診断給付金くらいで、通院については十分な保障が得られるとは言い難いのです。そこで、最近のがん治療に合わせた保障内容を盛り込んだ新しいがん保険が登場してきています。このタイプをここでは新型がん保険と呼ぶことにします。大きく、「通院重視型」と「一時金重視型」に分かれる新型がん保険の傾向をみてみると、通院だけでも給付金が支払われる「通院重視型」と、診断給付金・治療給付金などまとまったお金の給付を重視した「一時金重視型」に大別されます。通院重視型は、文字通り、手術・放射線治療・抗がん剤治療などの治療を受けるために通院すれば、日数分の給付金が支払われます。入院の有無にかかわらず、がんの治療のために通院すれば給付されるのが通院重視型の新型がん保険の特長です(経口投与による治療は対象外になる等、保障内容は保険商品により異なります)。もちろん、入院治療でも給付金は支払われます。一時金重視型は、診断給付金や治療給付金としてまとまったお金を受け取って、自由に治療費、あるいは生活費の補填等にあてられるタイプの保険です。どちらのタイプがいいかは、その人の考え方によります。入院・通院のどちらの治療を受けても日数分の給付金を受け取りたい人は通院重視型、まとまったお金をもらって治療費などにかかる費用を賄う方がいいと考える人は一時金重視型がいいでしょう。新型がん保険を検討する際は、がん診断給付金の内容もチェックしてください。診断給付金はがんと診断されると支払われるがん保険がほとんどで、入院を伴わなくても受け取れます。ただ、最初のがん診断時に1回のみしか受け取れないがん保険と、複数回(2年に1回が限度の商品が多い)受け取れるがん保険があります。がんは再発や転移が心配な病気なので、複数回の方が安心でしょう。ただ、保障が手厚い分、保険料は高くなるので、1回のみしか受け取れないがん保険でもいいと割り切ることも必要かもしれません。先進医療の保障は、どちらのタイプのがん保険にもセットされているか、特約でつけられるようになっています。がんに関する先進医療の技術料は高額なものがあるので、今や必須の保障といっていいでしょう。通算限度額は1,000万円、2,000万円などがあり、2,000万円が主流になりつつあります。これは、1,000万円か2,000万円あればよいでしょう。ただし、現在ご加入の医療保険に先進医療の保障がセットされていたら、がん保険にはなくてもいいでしょう。医療保険の先進医療でがんの先進医療もカバーしているので、両方につけると重複してしまうからです。なお、公的医療保険適用、自由診療(海外では治療に使われているが、日本国内では承認がおりていない抗がん剤を使用する治療などのこと。治療費が公的医療保険対象部分も含めて全額自己負担になる)のどちらの治療を受けても、先進医療の治療費を含めてかかった治療費の全額が支払われるがん保険もあります。5年以上前にがん保険に加入した人は、保障内容は従来型のがん保険のケースが多いので、この機会に見直しをしましょう。コラム執筆者プロフィール 小川 千尋(おがわ ちひろ)ファイナンシャルプランナー/子育て・教育資金アドバイザー/終活カウンセラー/整理収納アドバイザー1994年AFP資格取得。独立系ファイナンシャルプランナーとして、主にマネー誌、一般誌、新聞などのマネー記事の編集・執筆・監修、セミナー講師などで活動。オールアバウト「生命保険」ガイドも務めている。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年12月09日美容外科ガーデンクリニック 池袋院は、切らずに20分で治療が終わる、最新ワキガ・多汗症治療『ビューホット』を、11月より開始いたしました。ガーデンクリニック『ビューホット』 ■『ビューホット』サービス開始背景従来、ワキガ・多汗症を改善する治療法はメスを使用する手術が主流であることから、傷跡が残ったり、一定期間のダウンタイムが必要という問題がありました。また、薬物療法やボトックス法という治療法は効果が永続的でなく、定期的な通院・施術が必要であるため、「手術はしたくない、定期的な通院をせずにワキガ・多汗症を治したい…」という声が多くありました。この声を受け、ガーデンクリニックは、皮膚を切らずに片脇10分・合計20分で治療が終わる最新ワキガ・多汗症治療『ビューホット』を11月より開始いたしました。■『ビューホット』について<極細針で切らない治療法>『ビューホット』は、高周波を発生させる多数の極細針でワキガ・多汗症の原因である汗腺だけを効果的に破壊する最新の治療法です。カートリッジに内蔵されている極細の針を、深さを変えながら汗腺がある層まで到達させ、熱を発する高周波により臭いの元となるアポクリン汗腺、汗の元となるエクリン腺の二つを同時に破壊します。<局所麻酔で痛みにも安心>また、当院では局所麻酔を用いた「完全無痛」の状態で治療を行うため、痛みに不安がある方でも安心して治療いただけます。ダウンタイムもほとんどなく、翌日からシャワーも可能ですぐに日常生活にお戻りいただけます。従来のワキガ・多汗症治療では効果が出なかった方や、気になっているが手術までは踏み出せない方にとって画期的な治療法です。■『ビューホット』治療メニュー<特徴>・高周波を発生させる極細針を装着したカートリッジによる切らない治療法・局所麻酔を用い、冷却システムで冷やしながら行う痛くない治療法・片脇10分・両脇で20分程度の治療時間・治療1~2回で改善率98%の効果が立証済み・圧迫固定なし、翌日からシャワー可能の短いダウンタイム<価格>通常料金:385,000円(税込) → モニター価格:330,000円(税込)※その他各種治療も行っております。詳しくはお問い合わせください。【クリニック概要】美容外科 ガーデンクリニックTEL : 0120-008-219URL : ・池袋院:東京都 豊島区南池袋2丁目26-6 島倉ビル 4階・品川院:東京都 港区高輪4丁目24-58 サマセット品川東京 2階・横浜院:神奈川県 横浜市西区北幸2丁目10-40 横浜西口TYビル 3階・名古屋院:愛知県 名古屋市中区栄3丁目27-18 ブラザー栄ビル 6階・大阪院:大阪府 大阪市北区梅田1丁目11-4 大阪駅前第4ビル 6階・福岡院:福岡県 福岡市中央区大名1丁目15-35 大名247ビル 5階※『ビューホット』の施術は、池袋院のみでご提供致します。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2014年11月11日不妊治療もしたけれど…最終的に下した「産まない」選択不妊治療でもっとも難しいのは、なかなか授からない場合に“やめどき”を決めることかもしれません。この記事を読んでいる人の中にも、今まさに悩んでいる人もいることでしょう。今回は、不妊治療をやめ、「産まない選択」をした女性の体験談を聞きました。●仕事がおもしろくなり、執着がなくなったAさんのケースAさんは38歳で離婚。前夫は家庭を築くというより自由に生きたいタイプで、子どもを持つことにも乗り気ではなく、その意識の違いが離婚の原因の1つにもなったそう。「40歳で再婚し、すぐにタイミング療法(*1)で子づくりを始めたものの授からず、1年経った時点で人工授精(*2)に変更。それでも授からず、体外受精(*3)も試しました。でもやっぱりダメで、不妊治療をストップしたのは44歳の時でした。治療をやめてもいいと思えたのは、仕事がうまくいくようになったからです。子どもが欲しくてたまらなかった時期って、今思えば仕事に行き詰まっていた時期だったんです。そんなつもりはなかったけど、心のどこかで、妊娠を、人生を変えるきっかけにしたかったのかもしれない。年齢的に出産がいよいよ厳しくなる時期と、仕事が充実しだした時期が重なったのは、私にとってラッキーだったかもしれません。『子どもがいなくても人生を楽しめる、無理しなくていい』って、自然に思えるようになりました」また、Aさんは治療をやめて精神的に楽になった、と言います。「治療中は、期待と失望の繰り返しがつらかったし、不妊治療のことしか考えられなくなっていました。検査薬をたくさん買い込んで、生理予定日が近づくとトイレのたびにチェックしたりして。でも不思議なもので、治療から離れた今は、もう執着していません。急な出張があっても思い切り仕事ができるので、これはこれでいいかなと思っています」●夫婦で旅行を楽しむことが生きがいのBさんのケースBさん夫婦は、旅行が趣味。結婚前から2人で毎年旅行に出かけていたそうです。「でも、37歳から不妊治療を始めて、そんな経済的余裕はなくなりました。有名なクリニックに通って何度も体外受精をしたので、治療代がかなり負担になっていましたから。精神的にも旅行を楽しめなくなっていましたね。このお金で体外受精ができるとか考えていましたし、妊娠しているかもしれないと思うと、温泉は良くないかもとか、この食べ物は大丈夫なのかとか、気になってしまって…」Aさん同様、不妊治療中は、そのことしか考えられなくなってしまったという人は多いようです。「治療をやめたのは43歳の時です。たまには旅行にでも、と誘ってくれた夫に『もし妊娠してたらどうするの!』と怒鳴ったところ、『そんな怖い顔をしているお母さんのところに、赤ちゃんも来たくないよ』って言われたんです。その時はひどい夫だと思って大泣きしましたが、その後、夫婦で何度か話し合って、治療をやめました。今はまた、夫婦で旅行を楽しんでいて、老後は海外移住もいいかなって話してるんです。子どもや孫の心配がないぶん、身軽にどこへでも行けますからね」●ペットと生活しながら“ゆる妊活”を続けるCさんのケース完全に不妊治療をやめる人がいる一方で、「治療はやめても完全に諦めたわけではない」というCさんのような人もいます。「タイミング療法、人工授精、体外受精、冷えとり、漢方薬、サプリメントなど、さまざまな不妊治療を行ってきたのですが、残念ながら授かりませんでした。私は、ズルズル続けるのはつらいと思っていたし、『治療をやめたとたんに授かった』という話もありますから、最初から42歳までって決めていたんです。ただ、まだ可能性があるかもとは思っていて、卵子に良いというサプリメント療法だけ続けています。あとは、体を冷やさないように気をつけているくらい。赤ちゃんが授からなかったとしても、美容や健康のためにいいので、気は楽ですね」子どもへの思いもありながら本格的な治療をやめるのは、勇気がいる決断だったのでは?「治療をやめたのと同時に犬を2頭飼い始めたので、この子たちが癒やしになってくれている部分は大きいです。もちろん子どもとは違うけれど、夫婦2人だけよりはだいぶ違いますね。子どもは、できたらうれしいけど、できなくても大丈夫だと思えます」今回、3人の女性にお話をうかがって、「子どもがいる、いないが女性の幸せを左右するのではない」と改めて気づかされました。不妊治療をしていると「子どもを授かる」ことだけに意識がいきがちですが、授かってから子育ての大変さ、子を持つことの責任という壁にぶつかって悩む女性も多いでしょう。子ども以外の生きがいや楽しみを持つのは、子どもを授かっても授からなくても、大事なことなのかもしれません。(*1)タイミング療法:エコーで排卵時期を測定し、タイミングを合わせて性交する方法。軽微な排卵誘発剤を処方されることもある(*2)人工授精:精子を排卵時期に合わせて女性の膣内に戻す方法(*3)体外受精:卵子を体内から取り出し、シャーレで精子と受精させて体内に戻す方法<取材・文/島田彩子>
2014年10月13日メスもいらない熱治療美容スキン治療の世界的市場リーダーであるSolta Medical, Inc.から、全く新しい、シワ取り治療法Thermage Total Tip 3.0を発表した。同社は美容医療の拡大に向けて、患者に対して安心安全で効果的なソリューションを提供し、肌のリサーフェシングと若返り、ニキビ減らし、ボディーコントゥアリング、肌の引き締め用の美容エネルギー機器および最新の脂肪吸引技術を最適化するツール、付属品を開発している。Thermageと呼ばれる治療法は、非侵襲の高周波処置を利用して、しわを取り除き、なめらかでハリのある肌を取り戻すというもの。メスや注射などを一切使わず、治療部位に高周波による熱処理を行うことで、目元のシワや顎、首のたるみに効果的な治療を施すことが出来る。肌質を選ばず安全にまた、Thermageは均一で大容量の熱を施すために、顔面治療に効果的で、1回の治療でも目に見える違いを感じやすいという特性を持っている。Total Tipは2度程度の大量の熱量を安全に照射し、一時的にセルライト(堆積脂肪)の出現を減らす高周波技術を使うことで、肌のなめらかさを取り戻すというもの。この治療法は、患者への治療を通して10年の技術的改善が行われ、より持続的な結果をもたらすよう開発された。2002年以来、100万回を超えるThermage治療が、80カ国余りで行われ、あらゆる年齢層、肌質、治療部位を選ばずに患者に施され、これまで前例を見ないほどに顕著な治療結果があったと多くの医師に受け入れられている。的確な高周波エネルギーによって即効性のある結果を経験することができる上に、全てのスキンタイプに対して安全であるというこの治療法は日本でも数多くのクリニックで取り入れられている。元の記事を読む
2013年05月15日歯のブラッシング指導、レントゲン写真を撮って説明する、歯を抜かないといけないかもと勧められる……、よくある歯科医院での一幕ですが、これらの治療はいい方法なのでしょうか。歯学博士で歯科・口腔衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に検証をお願いしました。・歯のブラッシング指導を頻繁に行う筆者が複数の歯の治療に通っていたとき、2カ月に一度ぐらいの割合で歯のブラッシングの指導を受けていました。少し回数が多いのでは?これはよい治療ですか?江上先生とてもよい治療です。まず、歯のブラッシング指導は、歯科衛生士が一人ついて20分程度行いますが、歯科医院からすれば診療点数があまり高くなく、つまり収益面でのメリットはないのです。それを何度もされるというのは、誠意的だと感じます。回数が多いのは、「歯がうまく磨けていない患者さんだから」と判断されたのでしょう。歯磨きはむし歯対策や歯周病予防の基本で、とても重要です。われわれ歯科医や歯科衛生士は、歯を診ればすぐに、「きちんと磨けているか」が分かります。よって、治療のたびにその歯科医は歯磨きの具合をチェックされていて、指導が必要と思われたのではないでしょうか。・レントゲン写真を撮って、説明するのは?筆者の経験では、レントゲン写真を撮影してから、説明する医師としない医師がいるように思います。どちらがどう、いい治療でしょうか。江上先生説明をする歯科医です。レントゲン写真は、歯の治療方針を決めるうえで、また進める過程で、歯の状態の客観的事実を見る重要な資料となります。例えば、むし歯が歯髄(しずい。神経が通っている歯の中心部)まで達しているのか、根元にうみがないか、また、痛みを訴えておられるけれど歯も神経も、歯ぐきも根もどこも悪くない患者さんもいらっしゃいます。この場合は、耳鼻科疾患や歯科心身症の疑いがありますが、それらのことがレントゲン写真で読み取れるわけです。写真を撮って治療方針を説明し、質問を受け、了承を得るインフォームド・コンセントはとても大事です。このあり方次第で、その後の患者さんの心理的負担も変わってきます。一方、写真は撮ったけれど、自己判断でさっと治療に入られた場合、患者さんは何をされるのか分からず、治療中に痛んだりすると原因不明でつらい思いをすることになるでしょう。レントゲン撮影の費用は、パノラマサイズ(歯ぐきの右端から左端まで)が3割負担で1,210円です。デンタルサイズ(3センチ×4センチ)では150円になります。パノラマサイズはそう頻繁に撮りませんが、デンタルサイズは、痛む歯だけを撮影するなど、状況に応じて活用します。・抜歯を勧めるのはいい方法?歯がぐらぐらしてとても痛むと歯科医に訴えると、「この歯は抜いたほうが楽になる」と説明されました。抜歯はよくないと聞くので、自分の歯はそれほど悪いのかとがく然としました。江上先生歯科医は抜歯を勧めてはいけません。高齢になっても自分の歯を残そうという時代です。抜歯を促されることについて想定できるのは、次の2点です。一つ目は、抜歯をせずにおくと、それ以上の悪影響が出ると判断した。二つ目は、インプラントを勧めたいがために抜歯を促した、ということです。インプラントは骨があるほど施術しやすく、土台が完全にダメになっていない、ややしっかりしている歯のほうが施術しやすいのです。しかしながら、高額なインプラントのために早期に抜歯するのは本末転倒です。江上先生は、次のアドバイスを加えます。「もしも治療法に疑問を感じたら、率直にその場で医師に質問をしましょう。それが難しいようでしたら、セカンドオピニオンを求めるという方法があります。別の医師の意見を聞くことで、自分で治療法を選びましょう」多岐にわたる歯の治療法。江上先生は、「歯科医の質は、技術力+誠意で決まる」と言います。確かに医師の誠意が伝わって来たとき、痛みが緩和されるような気がします……。監修:江上一郎氏。歯学博士。専門は口腔(こうくう)衛生。歯科・歯科口腔外科の江上歯科院長。江上歯科大阪市北区中津3-6-6阪急中津駅から徒歩1分、御堂筋線中津駅から徒歩4分TEL:06-6371-8902藤井空/ユンブル)
2012年11月08日経済的理由で治療中断38%景気に明るい兆しが見えず、失業率の上昇や派遣切りなどが問題視されている一方で、患者が治療費を払うことが困難となり、治療を途中でやめるケースが増えていると報告されます。鳥取県保険医協会が、全国保険医団体連合会の呼びかけに応じて、医師・歯科医467人を対象に115人から回答を得た実態調査で、下記のような調査結果が報告されています。毎日.jpによると「患者の経済的理由で治療を中断した」と答えた医師数は44人(38・3%)▽「なかった」が32人(27・8%)▽「わからない」が39人(33・9%)だった。と、回答した医師のうち38%にあたる44人が「患者の経済的理由で治療を中断した」と答えています。中断した患者の病気は高血圧12人▽糖尿病11人▽高脂血症7人▽虫歯7人▽前立腺肥大3人など。が挙げられており、通院をしいられる慢性的な病気が多く報告されています。調査結果では、治療を継続する上での費用がかさみ途中で治療を断念する様子が伺えます。命に関わるケースが存在する場合もあり、治療費の補助を行政が行うなど、なんらかの形で対処が必要と指摘されます。
2010年11月09日通院による治療費も保障損保ジャパンひまわり生命保険は11月、通院による治療費も保障するがん保険を発売する。入院を伴わない通院治療を制限なく保障するのは、生命保険業界初となる。新しく販売されるのは、「勇気のお守り」で、販売開始は11月2日。初の「がん外来治療給付金」を創設がんの治療は入院から通院に大きくシフトしており、がん保険において通院保障の充実を求める声が多い。損保ジャパンひまわり生命保険では、こういった実態を調査したうえで「勇気のお守り」を開発した。「勇気のお守り」では、生命保険業界初の「がん外来治療給付金」を創設しており、「がん先進医療特約」をはじめとするオプションが用意されている。さらに、医療保険『健康のお守り』用に「がん外来治療給付金」「がん診断給付金」を特約化している。同社は、がん治療に立ち向かう勇気を守りたいとしている。
2010年10月02日