梅雨入りしましたね。鬱陶しい日々が続くと、人間の方は活動が鈍り、起き上がるのが億劫になります。朝が苦手なお子さんなら、なおさらです。もうグダグダではないでしょうか。私が聞く子供の困りごとでダントツ多いのは、この起床問題。友人たちは口を揃えて「ウチの子、朝、起きてくれないのよ~」というのです。どうしたら起きてくれるか、あれこれ試行錯誤を繰り返しているけれど、得策が浮かばないと。なので今日はどうやって目覚めてもらうか、かつて寝坊助だった息子を思い出しながら綴ってみたいと思います。大体、皆さんがトライしているのはこんな感じ。きょうだいも手伝って一家総出、あるいは入れ替わり立ち替わりで「寝坊助」を起こしに行き、何度も声をかける。時間をかけた末にやっと、どうにかこうにか起きてくれる、などという話には、「うちも」「うちも」という相槌が飛び交います。みんな同じなんですね。詳しく聞いてみると、声のかけ方も工夫しているとか。30分ぐらい前に小声で声をかけ、それから10分間隔で。だんだんと5分おきに、徐々に声量を上げてゆきタイムリミットを感じさせるのだとか。いきなり大声で起こすと子どもの機嫌が悪くなる。それにギリギリの時間になって初めて声をかけようものなら「なんでもっと早く起こしてくれないのー!」と大惨事が巻き起こる。だからそうしているのだそうです。細かい調整までしてお疲れさまです。あるご家庭では、とうとうリビングのソファーにシーツをかけて寝かすことにしたとのこと。朝の家族の動きやテレビの音で起きるかもしれないという試みです。その後、友人からは何も聞かないので成果があったのかもしれませんね。そのほかにも、時計を何個もセットするとか、冬なら布団を取っ払って寒さで起こすとか、濡れタオルで顔を拭いてあげるだとか。昭和の頃からの目覚まし作戦は「寝坊助」を持つ家庭の登竜門でしょう。中には、完全に本人任せにしているというママも。「もう、知らんぷりよ!」と。その肝っ玉ぶりには頭が下がります。慌てようが遅れようが、それは本人の責任だから、遠目に見守るしかないと言うんですね。確かに子どもが成長してきて、反抗期も影響してくると、本人に任せる方がずっと効果的なのかもしれません。当の本人は、ギリギリにせよ、学校には間に合っているようなので、この方法も成功してるのでしょう。我が家も然り。ちゃんと経験しましたよ。小さい頃から得意なことといえば「早起き」だという私からすると、不思議で仕方がありませんでした。でも不思議がってばかりいても、息子の寝起きの悪さが改善するわけでもないので、考えました。あれこれ試行錯誤もしました。そして手を尽くした甲斐あって、なんと6年生の今、平日はほぼ息子に声をかけることもなく、自分ですっくと起きます。早起きがしたい。なぜなら、やりたいことがたくさんある。だからなのだそうです。昔を思い起こしながら、その姿に感心しているこのごろです。では、ここに至るまでに我が家でどんなことをしたかというと、こんな風です。ふにゃふにゃ泣いて自分で目覚めていた乳児期を経て、1歳近くなったころです。保育園に通い始めると、親の仕事の時間と登園時刻の都合があるので、無理やり起こさないといけなくなりました。ここからが我が家の戦国時代。冒頭の友人たち同様、「起きてくれない」「機嫌が悪い」「無理やり起こせば大惨事」の悩みと毎朝戦いました。でも、やがて戦いにも疲れます。もっと楽しく起こしたい。そこで考えついたのが、目を覚ますと良いことがある、という雰囲気を作ってみようという案でした。そうすれば、きっともう少し早く目を覚ましてくれるだろう、少なくとも機嫌は良いはず、と。フランスで買い集めた童謡やわらべ歌集の一部。CD付きの美しい絵本で、言葉はわからないけれども擦り込むように息子に聴かせまました。寝かしつけにも寝起きにもとても効果的でしたよ。左から、ポルトガルとブラジルの童謡、アルメニア、ギリシャ、クルド、トルコのわらべ歌(どちらもDidier Jeunesse )。右はフランス語のわらべ歌集(Gallimard Jeunesse 社)。そこで持ち出したのは、擦り込むように効かせてきたモーツアルトや、世界の童謡、わらべ唄。フランス語、ロシア語、アルメニア語のものなど。異国の言葉だろうと、童謡やわらべ唄というものは、メロディーなのか、周波数なのかわかりませんが小さい子の心を癒す作用があるものだと身にしみて感じました。起床時間の少し前から小さめの音量でかけはじめ、それから息子を起こしてみると、泣き出してもすぐに止むので、毎朝この方法を取り始めました。きっと、起きてみると楽しい音が聞こえる、そんな風に感じたのかもしれません。やれやれと、肩をなでおろしましたが、子どもは成長します。やがてこの目覚ましも通じなくなりました。幼児期ごろになると、はたまた寝起きが難しくなったのです。そこで、今度は音楽の代わりに本を持ち出しました。朝の読み聞かせをトライ。読み聞かせは寝る前にというイメージを払拭して、目覚ましにも使ってみようと思ったのです。やはり目的は、起きてみると楽しいことがある、と思わせることです。この年代の子には面白い話を聞かせるに限ると。もちろん「はい、読みますよ」と声をかければパキッと起きれるわけもなく、まだ目も開かなければ、意識も半分夢の中という状態です。まどろんでいても、少しずつ音楽の時と同じようにお話が耳から入れば良いわけです。絵が少ない昔話や児童文学のようなものは、ここにぴったりでした。起床時刻の10分ほど前に声をかけ、昔話を読み始めると、なんと想像以上に早く目をこすりながら耳を澄ませ、文字を追おうとしました。日本の昔話はもちろん、世界のさまざまな童話集は1話ずつ。長い長いお話は数日にまたがって読み進めました。するとどうでしょう。クズったり、腹を立てたりすることもなく、お話を読み終える頃にはすっかり目が覚めていましたよ。朝の慌ただしい時を削ってでも作ったこの10分は、今となっては掛け替えのない思い出です。使ったのは例えば、こんなお話集。『こどものに聞かせる世界の民話』(矢崎源九郎:編/実業之日本社)。世界のありとあらゆる国の民話がたっぷり集録されている、お話の宝箱のような本です。どこから読んでも良いので、私は偶然パッと開いたところをその日の朝の読み聞かせにしました。はじめに、今日はどこどこのお話ですと伝えると、フランスやロシアといえばなんとなくイメージが湧く息子も、ウルグアイ、セルビア、ガーナなど、聞き慣れない国名に、まず興味津々。もう、その時点からワクワク。早く起きたいという気持ちが高まるようです。ついでに地球儀で場所も確認してみたりもして楽しませました。当然お話自体も多種多様で、子供部屋にいながら世界の裏側までも旅できる素晴らしさがあります。一方でどこか日本の昔話にも通じるようなくだりもあり、そうした相違点や共通点を見つけるのも面白い。「読み聞かせる」とだけあってとても読みやすく、どのお話もすっと心に入ってきます。『世界のむかしばなし』(瀬田貞二:訳、太田大八:絵/のら書店)。どのページにも挿絵があり、文字も大きめ。小学生なら一人読みにもオススメですが、もちろん読み聞かせても。北ヨーロッパで語り継がれた14話のみですが、5分ぐらいで読める短くて愉快なものばかりです。時間のない朝でも、親子の間にすぐ笑いが生まれるでしょう。思い出せば、集録されているロシアの民話『だれがいちばん大きいか』の、常識をはるかに超えた展開に、「ええ!」「ええ!!」と驚きながら息子と大笑いしましたよ。小さいお子さんには『おねぼうさんはだあれ?』(片山令子:文、あずみ虫:絵/学研プラス)。春の訪れに心を躍らせたウサギのミミナちゃんは、お寝坊のともだち達を起こしに出かけます。「もうはるよ」。そう声をかけ、シロツメクサやスミレの花を順々に置いていきます。ポカポカと柔らかなお日様の光に、優しい春の香りが漂い、動物のともだち達は目を覚ましていきます。一番のお寝坊は一体誰だったでしょう?何度見ても可愛い作品で、心が浮き立ちます。小さい子の朝に、是非(3歳から)。目覚めると、この世の中はたくさんの喜びで溢れている。そんな風に感じてくれたら。大人の貴重な朝の時間を少しだけ削ってみてはどうでしょう。もっと貴重なものが子供に届くはず、と思っています。(Anne)
2021年06月15日大ヒット上映中の映画『るろうに剣心 最終章 The Final』において、神木隆之介演じる瀬田宗次郎のサプライズ出演が明らかとなった。神木演じる宗次郎は、前作『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』で剣心(佐藤健)の前に立ちふさがった、志々雄真実の右腕にして十本刀最強の剣客。天賦の剣才を持ち、剣心と互角の速さで抜刀術を操るだけでなく、唯一剣心の逆刃刀を折った『るろうに剣心』ファンの中でも絶大な人気を誇るキャラクターだ。剣心VS宗次郎を彷彿とさせるサプライズ登場は本編中最も観客を驚かせ、SNSでは「最後の隠し玉は激アツ!!」「瀬田宗次郎の登場は鳥肌が立ちました!」「声が聞こえた瞬間、本当に号泣してしまった」「神木くん降臨でテンション上がった!」「るろうに剣心完璧すぎた。誰がなんと言おうと佐藤健くんも真剣佑も神木隆之介くんも天才すぎる!」と驚きと共に歓喜の声であふれている。併せて公開となった写真は、手に刀を持ち剣心の前に再び姿を見せる宗次郎の場面写真と、物憂げな表情で佇む宗次郎から不穏な空気が漂う場面写真の2点。かつて剣心を追い詰めた宗次郎は敵なのか、味方なのか。そして、剣心の前に再び立ちはだかった目的とはーー。『るろうに剣心 最終章 The Final』公開中『るろうに剣心 最終章 The Beginning』6月4日(日)より公開
2021年05月14日こんにちは、保育士の中田馨です。5月の第2日曜日は「母の日」。2021年は、5月9日(日)になります。今日は、母の日に向けて読める絵本や、制作遊びを紹介します! 『きょうはなんのひ?』(福音館書店) 瀬田貞二さん(さく)、林明子さん(え)のお話です。このお話、母の意のお話ではなく、お父さんとお母さんの結婚記念日のお話。あさ、まみこは、げんかんをでるとき、「おかあさん、きょうはなんのひだか、しってるの? しーらないの、しらないの、しらなきゃかいだん三だんめ」と言って学校に行ってしまいます。お母さんが階段を見ると、手紙を見つけます。その手紙には「ケーキのはこをごらんなさい」と書かれています。そこから、お母さんは、まみこの仕掛けた手紙を次々に探すことになります。このお話、最後にはとっても素敵なプレゼントが届きます。 絵本を読んで親子で楽しむのももちろんOKですし、絵本のマネっこをして、母の日に、こんな楽しい宝探しのようなお祝いの仕方もあるのではと思いました。子どもと一緒に、このしかけを考えるのはお父さんです。お母さんがびっくりする、楽しいしかけを考えてみてもいいですね。 制作遊び「シールでカーネーション」 子どもと一緒に制作遊びをして、母の日を楽しんでみましょう。100円均一でそろう材料ばかりです。 【材料】⚫︎ハートのシール…適量⚫︎画用紙…1枚⚫︎レースペーパー…1枚⚫︎リボン…適量 緑のペンやクレヨン、テープ、のり、はさみ 【作り方】1.画用紙にレースペーパーをのりで張り付け、レースペーパーに沿って画用紙が1㎝ほど大きくなるように切る。2.1に緑のペン(またはクレヨン)で、茎を書き、花束になるようにたたんで、テープでリボンをつける。 3.ハートのシールを張り付けて、カーネーションを作る。 大人が手伝えば、シールをぺったんできるようになってくる、1歳過ぎごろから、一緒に作れるようになってきます。1歳ごろは物を口に入れて確かめる子もいますので、必ずそばで見守り、一緒に作りましょう。 制作遊び「お花紙でカーネーション」 こちらも、100円均一でそろう材料ばかりです。 【材料】⚫︎お花紙…2枚⚫︎画用紙…1枚⚫︎レースペーパー…1枚⚫︎リボン…適量⚫︎モール…2本 テープ、のり、はさみ 【作り方】1.画用紙にレースペーパーをのりで張り付け、レースペーパーに沿って画用紙が1㎝ほど大きくなるように切る。2.1にモールを張り付け茎を作り、花束になるようにたたんで、テープでリボンをつける。 3.お花紙をぐちゃぐちゃと握り、カーネーションを作り、2に貼り付ける。お花紙をグチャッと握りつぶせる月齢なら、大人と一緒に作れますね。0、1歳ごろは、物を口に入れて確かめる子もいますので、必ずそばで見守り、一緒に作りましょう。 「シールでカーネーション」「お花紙でカーネーション」は、基本の作り方は一緒で、お花の部分が違うだけ。茎は、画用紙や折り紙でももちろんOKですので、おうちにある材料で作ってみましょう。また、カーネーションの部分はスタンプで押した、子どもの手型にしてもOKですよ! 制作遊び「母の日写真たて」こちらも、100円均一でそろう材料です。 【材料】⚫︎デザインがシンプルな写真たて…1つ⚫︎ビーズやシールなどお好みの飾り…適量⚫︎カーネーションの造花…2輪⚫︎リボン…適量 木工用ボンド適量 【作り方】1.写真たてにボンドをつけ、ビーズやカーネーションなどを張り付ける。写真たてには、お子さんや家族の写真を入れて、「ママ、だ~いすき!」なんてメッセージとともにお母さんにプレゼントしたら、お母さん、大喜び間違いないですね!ビーズなど細かいものを使いますので、子どもが口に入れては危険です。作る前に、ビーズの数を数え、作る終わったときに数があっているかを確認してくださいね。パパと一緒に作ってママにサプライズしてみたり、母の日だけでなく、敬老の日などにじいじやばあばへのプレゼントにしてもよさそう。外出はできなくても、おうちの中で家族とできる遊びもありますので、ぜひ楽しんでください。 ※直径39mm以下(トイレットペーパーの芯を通るもの)は誤飲するおそれがあります。赤ちゃんに渡さないでください。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。お子さまが遊んでいる間はそばで見守るようにしましょう。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!
2021年05月01日数日前にオランダに住む妹から悲鳴のようなメッセージが届きました。「こっちは明日からロックダウン! 休校は1月中旬まで!」。子どもとたっぷり過ごせて幸せな反面、自分の時間は削られ大変です。この先、日本はどうでしょう。新型コロナの変異種は日本にも上陸することになるでしょうか。はたまた休校だって考えられます。そうなっても困らないよう、息子の通う公立小学校でもオンライン授業ができるよう準備を進めてくれているので、春の休校時のような学習面の滞りは軽減されそうです。とはいえ、やっぱり休校は困りますよ。そんなこんなで、この一年は本当に早く感じました。インパクトの強い春の後、思うように出かけられなかった消化不良の夏は過ごした記憶が薄い。2学期を息子と駆け足で二人三脚しながら、もう秋だと思っていたら、あっという間に年の瀬ですもの。1年をきちんと締めくくらなくては、と焦ります。そんな矢先にオランダからのロックダウン通知。それと同時に子供とクッキーを焼いただとか、リースを作っただとかの写真が添付されていました。家での時間を満喫しているようですが、リースとは!やはり1年を締めくくる慣習は国によってまちまちです。オランダではリースを手作りするのが当たり前のようです。私もおとずれた時に、門に飾られた個性あふれるリースに目を奪われて、一つ一つ写真に収めて歩いたのを思い出しました。年越し自体も衝撃的でした。夜中の12時がくると、街の人たちは一斉に花火を打ち上げるんです。この国では「煙火消費保安手帳」のような免許は必要ないのか、などと疑問に思うゆとりもありません。凄まじい爆音。閃光の嵐。まさに腰が抜けそうになりました。反対に人の声や音楽はほとんど聞こえてきませんでした。一方、長年過ごしたフランスでは、夜を徹してのパーティーがいたるところで催されます。会場もありますが、大概は個人宅。我が家でも50人ぐらい迎えたこともあります。おしくらまんじゅう状態の中、いろんな人とのおしゃべりを楽しんだり、一緒に踊ったりしながら夜中の12時を迎えます。カウントダウンしてシャンパンで乾杯。一通りお祝いのキスをし終わると、帰る組はそっちのけで再びおしゃべりや踊りが始まります。とにかく、騒々しいわけです。反対に静かなのは日本の大晦日ですね。大勢の人がお寺に集まりますが、一部の地方のお祭りを除けば、どんちゃん騒ぎをするわけではなく、お焚き上げを見て、静かに並んでお参り。甘酒飲んで、大きな鐘の音を聞いて、大人しく帰る。その日ばかりは子どもも遅くまで頑張って起きています。私の幼少期は、大晦日はフランス風の過ごし方をしていたので、日本に住んでいた時、除夜の鐘を聞きにお寺に連れていってもらったことはありません。近所の幼馴染たちは、おこたで年越し蕎麦を家族で食べ、紅白を観て、半纏を着て、私の知らない夜中の路上に繰り出していました。除夜の鐘を聞きに行くんだと。夜中まで起きて、お寺で甘酒を飲んだと聞くと、同じ年頃なのに、ものすごく大人な感じがしたものです。怖くなかったのだろうか。一体どうやって眠気をこらえていたのだろうか。私は9時には眠くなっちゃうのに、なんだか素敵。子どもが生まれると、息子には、あの、大人びた静かな年越しを経験させたい。そう思いました。長い間、私は日本らしい年越しに憧れていたんですね。ですから、息子が初めて迎えた31日は、静かな夜道の中を抱っこ紐姿で、お寺に向かいました。間近で見るお焚き上げの神々しかったこと。鐘の響きが澄んでいたこと。甘酒があたたかかったこと。そして眠いと思ったこと。ぱっちり目を開けて周囲を見つめている赤ちゃんの息子とは対照的に、抱っこしている私の方が早くお布団に入りたいと思ったのも、新鮮でした。以降、日本で年越しを迎える時は、できるだけ日本風にしようと心がけています。でも今年は、お寺の除夜の鐘は混み合うから画面越しかな。1年が過ぎるのが早くてもゆっくりでも、時は確実に刻まれていきます。どんな時も誰のところにも平等に。その「時」に彩りをつけるのは、どう過ごすかなのでしょうね。画面越しでもなんでも、除夜の鐘が刻む時を、まずは天ぷら付きの年越し蕎麦とともに楽しもうと思います。ということで、お寺に出向くのを控えたとしても、年越しらしさを味わいたいものですね。こんな絵本はどうでしょうか。お蕎麦にちなんだ落語絵本、『ときそば』(川端誠:作/クレヨンハウス)一般的によく知られる落語の演目ですが、やっぱり可笑しいものです。屋台の蕎麦をただ食いしようと企んだ男が、うまいこと店主をちょろまかすテクニックは手品師のよう。お見事と唸ってしまいます。そして、おなじみのパターンに続きます。その様子を傍で見ていた男がいざ真似しようとすると…、です。薄暗がりの中に人の顔が屋台の灯りで浮き上がり、湯気が立つそばを啜る描きっぷりに、こちらの食欲も掻き立てられます。落語系のお話は、絵本を手に取らなくなった高学年にもウケがいいので、おすすめです。『かさじぞう』(瀬田貞二:再話、赤羽末吉:絵/福音館書店)貧しい暮らしをしている老夫婦のお話。ある年の瀬に、お正月を迎える餅に替えようと、少しの傘を持っておじいさんは出かけます。ところが市では一つも売れません。仕方なく傘を持ち帰る帰り道。吹雪の中を進むと、野原の石地蔵様たちが寒そうに並んでいます。気の毒に思った男は、お地蔵様に手持ちの傘をかぶせていき、一つ足りないと自分の分も使ってしまいます。すると、その夜になんとも不思議なことが。大晦日に欠かせない心温まる昔話ですが、様々な作者の絵本がある中で、本作品は私の一押しです。語りのように生き生きとした文は読みやすいですし、赤羽末吉さんの絵で昔話の世界にどっぷりと浸れますから。(4才から)。『じょやのかね』(とうごうなりさ:さく/福音館書店)これぞ私がイメージする日本の年越し。こういう雰囲気に憧れていました。新しい年が始まるときを見ようと、眠気をこらえて男の子がお父さんとお寺に出かけるお話です。いつもと違う、寒さと緊張感が漂う街並みを白黒の版画で描いています。同時に、温かみも伝わってきます。暗がりを照らす街灯の明かり、おばさんたちの甘酒、ぴったりとくっついたお父さんの手、お線香の煙…。そしてお腹に響く大きな鐘の音が聞こえてくるようです。とても神聖な気持ちにさせてくれる逸品です。(4才から)。みなさま、今年もお付き合いありがとうございました。良いお年をお迎えくださいね。 (Anne)
2020年12月25日この連載は……モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。息子、初めてのパン作り息子がパン教室で作ったパン4つ。高級食パンブームと言われていますが、私にとってパンは日常品。日常品は、高級である必要がないと思っているので、1000円もする食パンは買ったことがありません。パンの流行りはお構い無しで生活をしていますが、とはいえ、パンに興味がないわけではありません。家のすぐそばにお気に入りのパン屋さんがあるのが当たり前という、フランスでの生活があったからか、むしろ、東京に住んでいても、近所を歩き回って、子供用のパンが美味しいところやバゲットが美味しいところなどを見つけて、行きつけにしています。もちろん買うのは、お札を出して買うようなセレブパンではなく、小銭でジャラジャラと買える普段着のパンです。理想は徒歩3分以内にあるといいのですが、今住んでいるところに越してきた当初は、見渡せる範囲にバゲットを買えるお店がなく、我が家で食事会をするときには、来客の手土産にリクエストしていたほどでした。ところが数年経った、ある時、ワンブロック先の空き店舗が工事中になりました。どんなお店が入るのかと気になってみていると、なんとパン屋さんのようです。美味しいといいな、バゲットがあるといいなと期待して、オープンを待ちました。いざオープンしてバゲットがあると分かると早速食べて見ました。ものすごく好みの味でした。その時は本当に嬉しかった。それからというもの、私は来客にリクエストをしなくても良いようになったというわけです。そのパン屋さんには、子どもが好きそうな、アンパンやカレーパン、メロンパンやチョココロネなども売っています。子どもがまだ小さかった頃は、こうしたおやつパンや食事パンはお出かけの際の必需品でしたが、小学生にもなると小腹が空いたからと言って泣きわめくこともないですし、そもそも3食きちんと食べるので、小腹も空かず、そういうわけで、大人のお腹を満たすパンしか買っていませんでした。ところが、年齢が上がるに連れて、お稽古の時間も遅くなり、流石に帰宅時間が8時を回るようになると、家を出る前のおやつはしっかり目が良さそうだ、ということになり、またパン屋さんへ。今度は、息子のお腹を満たす何かを求めて行くようになりました。最初に買ったおやつパンは、ハムチーズパン。それを一口食べた息子は、その美味しさに感激し、それ以来、このパン屋さんが息子の大のお気に入りとなったのです。そんなある日のこと。いつものようにパン屋さんに入ると、パン教室のチラシが置いてありました。よくみると、小学生向け、とあります。私は早速息子に「こんなのあるよ」と見せてみました。すると、返事は間髪をいれず「やってみたい」。実際にパンの工房に入れもするし、あのお兄さんの作る美味しいパンと同じものを、なんとこの自分が作れちゃうんだ、というところにワクワクしたようです。当日は、張り切って出かけて行きました。迎えに行くと、満面の笑みで『楽しかった』と。4個作って、家に持って帰りましたが、私には何一つくれなかったばかりか、味見さえもさせてもらえませんでした。こんなことは初めてです!赤ちゃんの時からずっと、自分が食べてる美味しいものは、必ず少なくとも一口は分けてくれていたのに…。というわけで、私は、(2月にもご紹介した)お気に入りのパンの絵本を眺めて満足することにしました。『パンどうぞ』(彦坂有紀、もりといずみ:作/講談社)です。1ページずつ、馴染みのあるパンが登場する作品です。あんパン、ロールパン、クリームパン、カレーパン…。「どうぞ」と勧められて、ページをめくり、「ぱくっ!」と食べると、中身が少し顔を出します。ふわふわだったり、サクサクだったり、出てくるパンは様々ですが、その食感や香ばしさまでが、まるで目の前に置いてあるかのように伝わってくる、お腹のすく作品です。実はこの作品、浮世絵の技法を使った木版画なのだそうです。小学校の読み聞かせでも、そういうエピソードを加えると、高学年も関心を持ってみてくれます。2歳から。『おだんごぱん』(ロシアの昔話、わきたかず/福音館書店)。このお話は、ヨーロッパ各地に類話があり、作者さまざまの絵本が出版されているので、幼少期に一度は触れる機会があると思います。焼きたての堅焼きパンがコロコロ転がっていく場面や、動物たちに捕まるまいとかわして逃げていく場面など、あ、知ってる、と子どもは思うかもしれませんね。今回は、この瀬田貞二さんの訳の作品を選びました。理由は、単純に、私も小さい頃何度も読んでもらい、思い入れがあるからです。全体的に地味な感じのする絵ですが、温かみがあり、そこがまた、お話のおかしさや力強さを強調してくれているよう。最後のシーンは、幼少期の私にとってとてもインパクトがありました。読んでもらう度に、他人に騙されまい、と思ったものです。4歳から。最後に。中~高学年向けの児童書に、『世界を救うパンの缶詰』(管聖子:文、やましたこうへい:絵/ほるぷ出版)というものがあります。大人が読んでも発見があって面白く、こうした児童書は、慌ただしい中にあっても短時間で読めるし、息子の後を追うように、または先取りして読むことがよくあります。今ではパンの缶詰といえば非常食として普通に知名度がありますが、もともとはパンを缶詰にするなんて、突飛な発想。それがなぜ生まれたのか、どうして非常食として親しまれるようになったのか、またどのようにして世界に広まったのか、といったプロセスがわかりやすく書かれています。まさに、缶詰によって「パンどうぞ」と世界中に言える、実話に基づいたサクセス物語。元気をもらい、心の栄養にもなります。パン教室の後、息子は「パンどうぞ」とは言ってはくれませんでしたけどね。(Anne)「絵本とボクと、ときどきパパ」連載一覧
2019年11月15日この連載は……モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。「次男坊」のしつけと猫の絵本うちの「次男坊」は、猫です。うちの「次男坊」タンタン割と人間嫌い。あまり触って欲しくないようです。本人の気持ちが乗らないタイミングで撫でたり抱っこしたりしようものなら、すぐに猫パンチしてくるは甘噛みしてくるはで、夏休み前は私の手足の傷がやたら増えていました。家猫暮らしでは、面白い虫や、狩りたい鳥や、咥えたい子ネズミにも出会えませんよね。たまに、窓際でスズメの気配を見つけては歯をガチガチと鳴らして、捕らえたくてたまらない様子です。でも、家の中にいては捕まえられない。きっとストレスが溜まって仕方がないのでしょう。だからパンチや甘噛みが増えていったのかもしれません。猫とはいえ、ちゃんとしつけをせねばと思いつつ、家の中という環境が環境だけに不憫に思えてつい甘やかしてしまっていました。そんな中、フランスに行って、久しぶりに実家の猫に会ってきました。道端で拾われた気荒いストリート猫で、去勢前には雄猫を飼ってる来客に飛びついて、血だらけにさせてしまったという「黒歴史」もありますが、なぜかその子がすっかり大人しくなっていて驚きました。猫は年とともに性格が変わると聞いたことがありますが、成長したからしょうか。近づいて恐る恐る触ってもパンチしないし、思い切って抱っこしても噛んでもきません。撫でられるのが好きな方ではない筈ですが、じっと我慢してくれます。大きなあくびをすると、錐のように鋭い牙がひときわ目立ってドキッとしますが、凶器として使うこともなく、ご飯を要求するときだけダミ声で「ミギャーゴ!」と一言鳴くだけです。大人しいものです。そして、ちょうだいちょうだい、のポーズをします。賢いものです。この猫は、ご飯をあげるとき、フランス語で「アッシ!(おすわり)」と言うと、犬のようにしっかりとお座りもします。感心しました。実家の「ストリート」猫と妹の子。触られてもじっと我慢しています。そういえば、実家の猫は三代に渡って、みんなこの「アッシ!」ができていました。1代目のアメショもどきは賢かったので、できて当たり前。2代目のおっとり美人も問題なくできました。3代目のストリート猫だって、こんな感じでお行儀が良いものです。ところが、ウチの「次男坊」ときたら、お座りなんて、まるで無理。最初こそ「アッシ!」「アッシ!」としつけてみましたが、出来たしつけはトイレのみで、結局それでよしとすることにしていました。でもこうして改めて実家のストリート猫のお行儀を見ていると、やはりトイレ以外にもきちんともう一度しつけをしてみよう、そうすれば私のことも少しはリスペクトしてアタックしてこなくなるかもしれない、と思うようになり、帰国早々、再び「アッシ!」を試みました。お尻を床につけさせて頑張りましたが、やはり、難しい。すると、それを見兼ねた「長男」の息子がやってきました。「フランス語じゃ、分かんないよ。日本語で言わないと」と提案してきます。猫に母国語も外国語もあるものか、と思いましたが、否定しきれず、じゃあとばかり、日本語で、「おすわり!」と命じてみました。すると、3回目でしっかりおすわりをするではありませんか!しつけができた喜びで、私の持ちうる限りの高くて甘い声でウチの猫を褒めまくりました。それが伝わったのか、猫の方もとても嬉しそうな穏やかな表情を浮かべてくれました。母国語で言うのが正解だったのかどうかはさておき、今ではすっかりおすわりが得意になりましたよ。それから、しばらくして、うちの猫を連れてお盆のころに山小屋に行きました。そこでは、ネズミや鳥を捕らえるほどの贅沢はできませんでしたが、古い家の隙間からは様々な虫が入ってきてくれて、それをいじったりくわえたりと、「次男坊」にとって至福の時を過ごしていました。これでストレス発散できたのでしょうか。猫パンチも甘噛みも、その間は全くしませんでした。子どもと同じですね。しつけも大事。しつけの仕方を工夫するのも大事。そして、環境も。というわけで、以前にも数冊ご紹介しましたが、再び、猫の絵本をご紹介します。『アンガスとねこ』(マージョリー・フラック:さく・え/福音館書店)スコッチ・テリアの子犬、アンガスが主人公のシリーズ第2作目。好奇心旺盛なアンガスは、今度は猫を追いかけます。構って欲しくてたまらないアンガスを、猫がツンデレのごとく振り回します。その犬と猫のやりとりがとても表情豊かで可愛らしく、また、思わずクスリと笑ってしまうシーンもありで、味わい深い傑作です。アンガスをちょっとなめてる感じの猫の様子がたまりません。瀬田貞二さん訳の日本語が丁寧で綺麗です。4歳から。『ねこってこんなふう?』(ブレンダン・ウェンツェル:さく/講談社)。最近私がたまたま図書館で見つけた作品ですが、大人でも面白いと思える、想像力を掻き立てられる絵本です。様々な生き物の視点に立って猫を見たところ、こんな感じ、というのが描かれています。例えば、子どもから見ると、目が大きくて可愛い表情。犬から見ると、手足長くて身軽そう。ネズミから見ると鬼のようで、ハチから見るとスーラの点画のよう、というように。1ページめくるたびに驚きがあって楽しく、また、みんなそれぞれの視点があって面白い。様々な意見があって、それが良い。そういうようなことが当たり前として、小さいうちから感じることができそうな、素晴らしい科学絵本です。4歳ぐらいからでも。最後に、『ルドルフとイッパイアッテナ』(斎藤洋:作/講談社)シーリーズを小学生のために。これは絵本ではなく読み物ですが、斎藤洋さんの作品はどれもこれも息子にとって面白くて仕方がないようで、この夏一気に読み上げたこのシリーズも、クスクス、ゲラゲラ、と笑い声を出しながら読みふけっていました。東京に出てきた黒猫ルドルフが主人公の物語です。ボス猫のイッパイアッテナと出会い、愉快なノラ猫生活が綴られています。2作目の『ルドルフといくねこくるねこ』、3作目の『ルドルフともだちひとりだち』と続き、『ルドルフとスノーホワイト』の4巻まで今のところ出ています。人生において大切なことが、さらりとしたタッチでそこここに散りばめられているので、小学生だけでなく、大人にもオススメしたくなる傑作です。それでは、また。(Anne)Anne (アンヌ)モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。「絵本とボクと、ときどきパパ」連載一覧
2019年09月15日絵本作家・林明子の絵本原画が一堂に会する“はじめての展覧会”「絵本のひきだし 林明子原画展」が、松屋銀座にて7月19日から29日まで開催。昨年より開始した全国巡回のラストを飾る展覧会となる。『はじめてのおつかい』(1976年) 筒井頼子・作、林明子・絵、福音館書店刊、原画は宮城県美術館蔵林明子は、1976年の『はじめてのおつかい』を始め、『こんとあき』『あさえとちいさいいもうと』など、時代を超えて愛される名作を生み出してきた。同展は、昨年より全国を巡回している、林の初めての大規模な原画展。絵本の中の子どもたちがみせるほんのわずかな心の揺らぎや、葉っぱ一枚一枚のみずみずしさまで優しく繊細に描き出した、林作品の美しい原画約200点が並ぶ。展覧会は6つの章に分かれており、各章で設定されたテーマから、絵本作家としての林を様々な角度から感じることが出来る。『かみひこうき』(1973年) 小林実・文、林明子・絵、福音館書店刊、原画は宮城県美術館蔵第1章「若きイラストレーターとして」では、『かみひこうき』や『しゃぼんだま』などといった初期作品の原画や、デビュー以前にイラストレーターとして活動していたころの初々しい作品を展示。絵本作家としての林の“はじめの一歩”が感じられる。第2章「はじめてのおつかい」では、林にとって初めての物語絵本『はじめてのおつかい』の文を担当した筒井頼子とのエピソードなど、作品の背景に触れつつ、懐かしい場面が原画で展示される。林と筒井は同作以降にも、数々の名作をコンビで生み出してきた。2人が作品にこめた思いや、絵本のモデルになった子どもたちとの制作秘話も紹介する。第3章「ふくらむ作品世界」では、瀬田貞二による『きょうはなんのひ?』や角田栄子による『魔女の宅急便』など、様々な作家との共作によって生み出された作品を紹介。内容や趣はそれぞれ異なるが、林が物語に合った技法や表現を用い、鮮やかに世界を描き出してきたことが感じられる。『こんとあき』(1989年) 林明子・作、福音館書店刊、原画は宮城県美術館蔵第4章「林明子のものがたり」では、文・絵ともに林自作の絵本を紹介。1984年の『はじめてのキャンプ』を始め、『はっぱのおうち』『こんとあき』『まほうのえのぐ』など、愛らしい女の子を主人公に、何気ない日常に訪れるファンタジーが魅力の物語を描き出した。林作品の真骨頂ともいえる繊細な描写を原画で楽しむことが出来る。第5章「様々な技法で」では、様々な技術を駆使し、作品に寄り添う表現を模索してきた、林の技術の高さと多様さを紹介。1986年の『おつきさまこんばんは』では、印刷の色版ごとに原画を描き分ける「描き分け」の手法、『でてこい でてこい』では切り絵の手法を用いるなど、繊細な水彩画の他、様々な手法で絵本制作に取り組んだ。第6章「そして、ひよこさん」では、夫で児童文学者の征矢清との共作で、林の最新作となる『ひよこさん』を紹介。ふわふわとしたひよこの羽毛や、ページごとに刻々と色を変える空の色の鮮やかさなど、林の繊細な技術が光る。【展覧会情報】絵本のひきだし 林明子原画展会期:7月19日~7月29日会場:松屋銀座8階イベントスクエア時間:10:00~20:00(7月22日は19:30まで、7月27日は20:30まで、最終日は17:00まで)※入場は閉場の30分前まで料金:一般1,000円(700円) 高校生700円(500円) 中学生500円(400円) 小学生300円 ※( )内は前売り料金、前売り券は6月末よりローソンチケット他で7月18日まで販売予定
2018年07月04日待ちに待った夏休み!いつもよりも親子で過ごす時間がぐっと増える夏休みに、山や海へ遠出して過ごすのも良いけれど、お家でひんやりかき氷を食べながらまったりした一時を満喫することも素敵な夏の思い出になるはず。そこでFASHION HEADLINEでは、夏休みに大人も子どもも楽しめる絵本を、本を愛する書店の皆さまに聞きました!目で見て楽しめるアートブックのような絵本、思わず声に出して読みたくなる絵本、頭に残るリズミカルな絵本、じっくり読める絵本など、より感性を豊かにしてくれる個性豊かなラインアップ。連載第2回目の今回は代官山 蔦屋書店がオススメする5冊をご紹介。『すばらしいとき』(ロバート・マックロスキー 訳:渡辺茂男/発売:福音館書店)家族とのかけがえのない夏の想い出。見渡すかぎり雄大な島での自然。終わりのない喜びと、不思議さに驚嘆する感性を人智を超えた荘厳なる視点で語られています。美しい季節のうつろいを五感で味わえる絵本。1957年作。『すばらしいとき』ロバート・マックロスキー(Robert McCloskey)訳:渡辺茂男『アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ』(ジェニー・ブルーム 絵:ケイティ・スコット/発売:汐文社)サイエンスとアートを兼ね備えた大型ビジュアル絵本。英国発世界20ヶ国以上で翻訳された邦訳が発売されます。博物館を親子で巡るように、38億年の進化の歴史や生物多様性について160種類以上の動物の美しい細密画から学べます。装丁も秀逸。『アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ』ジェニー・ブルーム(Jenny Broom)絵:ケイティ・スコット(Katie Scott)『せかいで いちばん あたまのいい いぬ ピートがっこうへいく』(マイラ・カルマン 訳:矢野顕子・坂本美雨/発売:リトル・ドッグ・プレス)MOMA収蔵作品でコラージュした「GIRLS STANDING ON LAWNS」や新作「Beloved Dog」等カラフルでウイットに富む作品を放つ著者の絵本。自由でやんちゃでおちゃめな愛すべき犬のピートの物語。矢野顕子坂本美雨母娘のユーモラスでビートのきいた共訳も魅力的。『WHERE'S WARHOL?』(キャサリン・イングラム,アンドリュー・レイ/発売:Laurence King Publishing)「Where's Karl?」のように『ウォーリーをさがせ!』パロディー版にもかかわらず、アンディ―・ウォーホール(Andy Warhol)の伝記だけではなく絵画史も俯瞰するユニークな構成。STUDIO54からスタート。表紙にバスキアも!巻末にある交遊録や解説も圧巻。『WHERE'S WARHOL?』Catherine Ingram(キャサリン・イングラム)Andrew Rea(アンドリュー・レイ)『チムとゆうかんなせんちょうさん』(エドワード・アーディゾーニ 訳:瀬田貞二/発売:福音館書店)チムシリーズは、大人の温かなまなざしのもと、好奇心や冒険心を燃やしひたむきに毎日を生きる子どもの本質が描かれているため愛される少年の成長航海記。簡潔な瀬田貞二の文章と、詩情溢れる水彩画から潮の香りも!『チムとゆうかんなせんちょうさん』エドワード・アーディソニー(Edward Ardizzone)訳:瀬田貞二
2016年08月14日