ソニーモバイルコミュニケーションズとZMPは8月24日、自律型無人航空機(UAV)向けのソリューションを扱う合弁会社「エアロセンス」の発足を発表した。社長にはZMPの社長兼CEOの谷口 恒氏が就任し、技術部門を担当するCTOにはソニーでAIBOやQRIOといったロボット開発を行っていた佐部 浩太郎氏が就任する。ZMPは、自動運転などのシステムをメインに開発を行なっている企業で、そのほかにもロボット技術などのノウハウを有している。これに、ソニーモバイルの通信技術や、クラウドを利用したデータの活用技術、カメラを含む各種センシング技術などを合わせて、自動操縦の無人航空機を開発していく。会見には、ソニーモバイル 社長の十時 裕樹氏も登壇。ソニーモバイルは、鈍化し始めたスマートフォン事業だけでなく、あらたな事業に投資して企業自体の成長を目標に据える。エアロセンスの谷口氏と十時氏は数年前から知己とのことで、「ZMPの自動運転、ロボット技術。そしてソニーとソニーモバイルのカメラ、センシング、ネットワーク、クラウドサービスの技術と経験。これらを融合することで、新たな価値が生み出せるのでは」(十時氏)とコメントしている。また、単純に無人航空機を販売するのではなく、無人航空機を使ったソリューションを開発していくところもポイントだ。たとえば、専用のソフトでフライトプランを組み立て、自動で写真を撮影し、地形などのデータを収集する。これにより、2D/3Dの地図データを作成したり、地形のモデリングなどが可能となる。具体的な利用例としては、採石場の砂利山の体積を計測したり、建築現場にある資材をチェックして工程を確認するといった利用方法が挙げられる。無人航空機自体をコンシューマー向けに販売するのではなく、ソリューションとして組み合わせたBtoB向けのビジネスとして展開する。事業化は2016年前半を目標としており、事業規模について谷口氏は「2020年頃には100億円」と語っていた。今回の発表会では、実機として4つのプロペラを搭載したマルチコプターモデルの無人航空機「AS-MC01-P」を紹介。本体は球状になっており、上部にはGPS用のアンテナを装備する。本体下部には、ソニー製のレンズスタイルカメラ「DSC-QX30」を搭載しており、飛行中の自動撮影に利用する。撮影データの転送はTransferJetを使って、ワイヤレス送信に対応している。あわせて開発中となる、飛行機型で垂直離着陸が可能な「AS-DT01-E」も紹介。こちらは本体中央部分に二重反転プロペラを装備しているが、このプロペラは角度が変わるようになっていて、上昇時は下方向にむけて、推進時は後方に向けて利用する。また、前方と左右の翼には姿勢制御用のファンも搭載している。飛行機型の方が、マルチコプターよりも高速かつ安定して飛ばせるとのことで、大型で重たいカメラの搭載にも対応する。AS-DT01-Eが製品化できれば、さらに広い用途で活用できるとしている。すでに無人航空機自体は中国メーカーなどが台頭しており、早々にスマホと同じように価格競争に突入するとみられている。その市場にエアロセンスが"ホビー"ではなく、「ビジネスソリューション」としての無人航空機の市場を築けるかが、今後の注目ポイントといえるだろう。
2015年08月26日ソニーモバイルコミュニケーションズとZMPは8月24日、両社が8月3日付で設立した自律型無人航空機(UAV)とクラウドサービスを組み合わせた産業用ソリューションを提供する合弁会社「エアロセンス」の設立および事業開始に関する会見を都内で開催した。エアロセンスのビジョンは、「私たちは、ソニーモバイルとZMP、それぞれの強みを生かし、自律型無人航空機(UAV)とクラウドサービスを組み合わせた産業用ソリューションの提供を通じて、より効率的なモニタリング・測量・管理・物流等を実現し、環境に配慮して安心して暮らせる社会の構築に貢献していきます」というもの。ZMPの代表取締役社長 兼 CEOで、エアロセンスの代表取締役社長 兼 CEOも兼任する谷口恒氏は、「これまでZMPでは、家庭用ロボットなどで培ってきたノウハウを鉱山・建設機械や物流支援、ロボットタクシーなどへと展開してきたが、これらはすべて陸上のロボット。エアロセンスを通じて、空にフィールドを広げ、陸上ではできなかった新たな価値の提供を目指す」と、新会社の位置づけを説明する。また、「ソニーでもZMPでもできない新たな挑戦ができる会社にしていきたい」ともしており、その事業領域は「鉱業・土木」「物流・運搬」「農業」「警備・監視」「建築・点検」といったものを想定しているとするが、すでにマンションデベロッパーなどと協議を進めており、そうした建築分野での活用は視野に入っているようだ。具体的なビジネスとしては、「重視するのは自律であるという点」(エアロセンスの取締役CTOを務める佐部浩太郎氏)というように、フライトパス、離着陸、飛行、そして撮影に至るすべてをUAVが自動で判断し、実行する点を活用し、熟練のオペレータを要せずに、現場はボタン1つ押すだけで、作業が完了することができる、という現場の簡略化によるコスト削減と、操縦ミスによる墜落といったヒューマンエラーをなくすことができるというメリットを最大の武器としていくほか、撮影した映像の活用なども含めたサービス、ネットワーク技術などを生かしたクラウドサービスなども含めたパッケージソリューションとして提供していくことを検討しているとする。こうしたビジネスに活用される独自のマルチコプター型UAV「AS-MC01-P(試作機)」の仕様はというと、コントロール用プロセッサのほかに、フロントおよび下方のカメラ(ソニー製レンズスタイルカメラ「DSC-QX30」)をリアルタイム処理して、マッピングや自己の位置特定を実現するビジュアルSLAM用プロセッサも別途搭載しながら、機体重量は約3.0kgに抑えている。対角モータ間距離は515mmで、飛行時間は約20分、耐風速は10m/s以上としており、悪天候下での飛行も可能としているほか、「ソニーの高感度イメージセンサを使って環境センシングし、データをリアルタイム処理し、環境を認識することで、GPSを用いないでも、自己の位置の同定を行い、自律飛行が可能なため、従来UAVが飛べなかったところでも活用可能」(佐部氏)とする。また、同社は、現在、垂直離着陸(VTOL)型UAV「AS-DT01-E(実験機)」の開発も進めていることを明らかにした。同UAVは、三井化学の金属樹脂一体化技術「ポリメタック」を活用することで炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とアルミジョイントの一体成形部品を骨格として採用。これにより、バッテリー込みで重量7kg、飛行時間2時間以上で最高飛行速度170km/h、耐風速15m/s以上を実現したとする。なお、同社としては、当面はマルチコプターを用いたビジネスを推し進めることで、「ざっというと2020年には売上高100億円を超す企業にしていきたい」(谷口氏)としているが、VTOL型は、法規制などの問題はあるとしつつも、実用化されれば、ビジネスとしての期待はマルチコプター型よりも大きいとの見方を示しており、より大きなビジネスチャンスを掴んでいきたいと意欲を示している。
2015年08月24日東陽テクニカは8月17日、日本テレビ放送網(日本テレビ)による長崎県五島列島沖の沈没潜水艦調査に協力し、東陽テクニカが取り扱っている自律型無人潜水機および遠隔操作水中ロボットなどを用いて、水深約200mに沈んでいる旧日本海軍の大型潜水艦「伊402」と推定される沈没潜水艦の発見・撮影に成功したと発表した。「伊402」は太平洋戦争中に旧日本海軍によって建造されもので、全長約122m、水中排水量約6600t、水上攻撃機を3機搭載する、当時世界最大の潜水艦だった。終戦後米軍が接収し、1946年4月に長崎県五島列島沖で海没処分された。今回、東陽テクニカは、日本テレビの「真相報道バンキシャ!」の取材チームによる調査に協力し、TELEDYNE GAVIA社製「自律型無人潜水機 GAVIA」におる艦影のスキャニングや、SEAMOR Marine社製「遠隔操作水中ロボット」による、ビデオ撮影を実施するとともに、データ解析を行った。その結果、水深200mの同海域に沈む24隻の潜水艦の中から、得られたスキャニング映像と水中撮影映像により「伊402」をほぼ特定することに成功した。同調査では「伊402」が船首と船尾の一部が破壊されているものの、ほぼ原形を保った状態で沈没していることや、格納筒の開閉扉が半開状態であること、上部木甲板の木部が朽ち鉄骨がむき出しであること、40口径14cm単装砲が原形のまま残されていることなどが判明した。
2015年08月18日ダッソー・システムズ(ダッソー)は8月5日、航空機設計・開発のスタートアップ企業である仏Elixir Aircraftが、ダッソーの航空宇宙業界向けソリューション「エンジニアド・トゥー・フライ」を採用したと発表した。「エンジニアド・トゥー・フライ」は、3Dエクスペリエンスプラットフォームを基盤とするソリューション。社員だけでなく取引先も、セキュリティの確保されたソーシャルな環境内で協業できるため、サイクルタイムの短縮やプロセスの手戻りを抑制することができる。また、同ソリューションには標準仕様でプロジェクトのテンプレートや、ITサポートも含まれているため、最低限のIT投資で、より迅速にプロジェクトを推進することができるとしている。Elixir Aircraftは同ソリューションの導入を決めた理由を「当社のような新しい会社でも、クラウドによるITの迅速な実装、使い勝手の良さ、データ・セキュリティ、万全のテクニカルサポート、といった各種のメリットを享受できる点にあります。このようなメリットを得られることで、当社は、設計やエンジニアリングといった本来の業務に集中できます。」と説明。今後、「エンジニアド・トゥー・フライ」を利用し、独自の翼構造を備えた2人乗り航空機の設計およびエンジニアリングを、クラウド上で行っていく。なお、同社の航空機は2016年中頃の初飛行を予定している。
2015年08月05日三菱航空機は8月4日、開発中の次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関して進捗を発表した。飛行試験機の初号機は9月~10月に予定している初飛行に向けて試験が進んでおり、各種試験ならびにフィードバックを実施しているところとなっている。そのほか、2号機は全機の機能試験中、3号機は艤装作業中で一部機能試験を実施中、4号機は艤装作業中、5号機は翼胴結合作業中となっている。なお、この5号機はANAの塗装仕様にて、国内での飛行試験を実施する見通しとなっている。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年08月04日三菱航空機は8月3日、米ワシントン州シアトルに子会社である米国三菱航空機の技術部門としてシアトル・エンジニアリング・センター(SEC)を開設したと発表した。SECでは、パートナーであるAeroTECと協働で適合性証明活動や、来年第2四半期から実施予定の飛行試験の支援などを行っていく。スタッフは、地元を中心に約100名のエンジニアを採用し、日本から派遣する約50名のエンジニアと合わせ、約150名のメンバーで運営するという。同社は「世界的な航空機産業の一大集積地であるシアトルに開発拠点を設けることで、航空機開発におけるエキスパートの知見を最大限に活用し、MRJの開発を加速します。」とコメントしている。
2015年08月04日三菱航空機は8月3日、米国ワシントン州シアトル市に子会社である米国三菱航空機の技術部門としてシアトル・エンジニアリング・センター(SEC)を開設し、本格的に業務を開始したと発表した。世界的な航空機産業の一大集積地であるシアトルに開発拠点を設けることで、航空機開発におけるエキスパートの知見を最大限に活用し、MRJの開発を加速するとしている。同日、SECの開所式典が行われ、式典には、ワシントン州のジェイ・インスリー知事、在シアトル日本国総領事館の大村昌弘総領事、パートナーである米AeroTECのリー・ヒューマン社長、三菱航空機から森本浩通社長、SECから本田健一郎所長などが出席したという。SECでは、米AeroTEC社との協働の下、適合性証明活動の加速、来年第2四半期から実施予定の同ワシントン州モーゼスレイク市に所在するグラント・カウンティ国際空港を拠点とした飛行試験の支援に取り組む。また、地元を中心に約100名のエンジニアを採用し、日本から派遣する約50名のエンジニアと合わせ、約150名のメンバーで運営していく。
2015年08月04日三菱航空機は現地時間の8月3日、米国ワシントン州シアトル市に子会社である米国三菱航空機の技術部門としてシアトル・エンジニアリング・センター(SEC)を開設し、本格的に業務を開始したことを発表した。同社は世界的な航空機産業の一大集積地であるシアトルに開発拠点を設けることで、航空機開発におけるエキスパートの知見を最大限に活用し、MRJの開発を加速するという。SECでは豊富な経験と実績を持つAeroTEC社との協働のもと、適合性証明活動の加速と、2016年第2四半期から実施予定の同ワシントン州モーゼスレイク市に所在するグラント・カウンティ国際空港を拠点とした飛行試験の支援に、迅速に対応していく。また、同センターは、地元を中心に約100人のエンジニアを採用し、日本から派遣する約50人のエンジニアと合わせ、約150人のメンバーで運営していく。今回のセンター開設についてワシントン州のジェイ・インスリー知事は、「部品供給を行うパートナー企業をはじめ、飛行試験開始後にモーゼスレイクにおいて支援を手がけるチーム、さらにはシアトルの新オフィスにおいて勤務する数多くのエンジニアと、MRJがワシントン州にもたらす経済効果は極めて大きなものになるでしょう。ワシントン州が今後もMRJを支援できることを光栄に感じるとともに、三菱航空機とワシントン州の関係が一段と深まることを期待しています」とコメントしている。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年08月04日調布飛行場の安全運航を求める立場の地元3市(調布市・三鷹市・府中市)の市長は7月28日、小型航空機墜落事故に関して調布飛行場の管理運営者である東京都に対して緊急要請を行った。また、同件に関して調布市議会からも東京都に対して要請を行っている。同件は、7月26日10時58分に調布飛行場を離陸した小型航空機が11時頃に調布市富士見町1丁目24番地の住宅地に墜落し、周辺住人を含む3人死亡5人重軽傷という事故に対して要請されたもの。今回の事故は調布飛行場に常駐する自家用機によるもので、これまで地元市から調布飛行場の管理運営者である東京都に対し、飛行場の安全対策の徹底を求めるとともに自家用機の削減について再三にわたり強く要請していたという。地元3市長の緊急要請では、「今回のような事故が起こったことは極めて遺憾」とした上で、当該事故の原因究明および再発防止策の徹底を早期に図る、原因究明および再発防止策の徹底が図られるまで自家用機の離着陸を自粛することを要請した。また、今後自家用機の運航停止を視野にさらなる削減を図る、地元住民に対して原因究明および再発防止策について丁寧に説明し不安解消に努める、引き続き地元3市と十分な情報共有を図り協議の機会を設けることも求めている。なお、2003年に公表された「東京都調布離着陸場の整備および管理運営に関する覚書」においては、日祭日における運用時間は10時から(高度に公共性のある飛行は8時30分から、緊急性のある飛行は日の出から)とし、遊覧飛行および調布管制圏内における訓練飛行のための使用は認めない、自家用機の離陸および着陸については1機につきそれぞれ1日1回以内と定められている。
2015年07月29日三菱航空機は7月27日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関するWEB情報発信ツール「MRJ Newsletter」第3号で、MRJの疲労強度試験機の後部胴体後部が6月30日に最終組み立てラインに搬入され、飛行試験機5機を含め7機を製作する試験機の最後の機体が最終組み立て工程に入ったことを発表した。そもそも機体構造強度を検証する強度試験機には、「静強度試験機」と「疲労強度試験機」の2機がある。2014年より実施している静強度試験においては、機体運用中に予想される最大の力を静的に負荷し強度の確認・保証を行い、今回の疲労強度試験においては、機体運用中に予想される繰り返しかかる力を負荷し耐久性の確認・保証を行う。MRJの疲労強度試験は8万回の飛行回数を想定し実施。1日8回の飛行を想定した場合、1万日(27年以上)の運用年数に相当することとなる。なお、MRJの飛行試験初号機は、9月~10月に初飛行を予定している。また、1月に着工したMRJ量産工場(小牧南新工場)は現在、鉄骨の組み上げが急ピッチに進められている。建設中のこの工場では、各種装備品の取り付けや最終組み立てを実施し、機体は全てこの新しい工場で生産・納入となる。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年07月27日ヘリコプターは、ローターを回転させることで揚力を生み出しているので、空中停止(ホバリング)ができる。それが、前進速度がないと揚力を発揮できない固定翼機と異なるところだ。もちろん、垂直離着陸が可能だから、滑走路は要らない。ところが、これがヘリコプター特有の問題点につながる。○ヘリにはダウンウォッシュがつきもの飛ぶための原理の関係から、ヘリコプターにはダウンウォッシュがつきものである。ウォッシュといっても洗濯をするわけではなくて、要するにローターが引き起こす風の吹き下ろしだ。揚力の源につながるわけだから、当然ながら、大きくて重い機体ほどダウンウォッシュも強烈になる。それでも、常設のヘリポートや滑走路(駐機場でも良い)、あるいは艦船のヘリ発着甲板みたいな場所であれば、風で吹き飛ばされる心配だけしていれば済む。問題は、舗装も何もしていない地べたの上、あるいは雪の上などで発着する場面である。強烈なダウンウォッシュが発生すれば、舗装していない地べたでは土埃が舞い上がる。雪の上なら雪が舞い上がる。特に雪の場合、雪質による違いもあるだろうが、スキーヤーが大喜びする「軽い雪」ほど舞い上がりやすいだろうから厄介だ。その、土埃が舞い上がって視界を妨げる状況のことを、ブラウンアウト (brownout) という。具体例を写真で御覧いただくことにしよう。舞い上がった土埃がエンジンに吸い込まれれば、エンジンのパーツを傷めたり、摩耗させたりすることになりそうだ。そもそもそれ以前の問題として、土埃のせいで視界不良になったのでは、安全な降着が難しくなる。下の地上の状況がよく分からないままに、着陸操作を行わなければならないからだ。それで障害物に接触したのでは危険である。○ブラウンアウト対策いろいろでは、ブラウンアウトに対処するにはどうすればよいか。ダウンウォッシュが発生しなければ問題ないのだが、ヘリコプターでは動作原理上、それはできない相談である。特に軍用のヘリコプターは、任務次第でどこに降り立つかが決まるから、「整備された場所でしか降着しません」というわけには行かない。そんなことをいっていたら仕事にならないし、何のためにヘリコプターを使うのか分からなくなる。だから、土埃が舞い上がるのは致し方ないとして、それによって視界が妨げられて状況把握に困難を来たすことがないようにする、というアプローチをとらざるを得ない。土埃が舞い上がることで妨げられるのは、目視による、可視光線を使った視界の確保である。ということは、可視光線以外の手段で機体周囲の状況をセンシングすれば、何らかの支援手段を実現できるのではないか?という考え方が出てきた。たとえば、英国防省の研究部門・DSTL(Defence Science and Technology Laboratory)が、ヘリコプター・メーカーのアグスタウェストランド社と組んで、暗視ゴーグル(NVG : Night Vision Goggle)などから得た外部の映像をHUD(Head Up Display)に表示するシステムを研究した実例がある。単に赤外線映像などの映像データを表示するだけでなく、機体の高度・速度・動きなどを表示するシンボル表示を併用することで、状況認識を改善しようという考え方だ。アメリカのシエラネバダ社(Sierra Nevada Corp.)は米陸軍からの契約で、HALS(Helicopter Autonomous Landing System)を開発した。同社が用いたのは、mm波レーダーを用いる方法である。mm波レーダーは、波長が短い分だけ分解能が高いので、近距離で障害物を検知するには具合がよい。こちらもやはり、レーダーで得たデータはディスプレイ装置に表示する仕組みである。BAEシステムズ社が手掛けたBLAST(Brownout Landing Aid System Technology)もレーダー方式で、94GHz帯の電波を使用するフェーズド・アレイ・レーダーを装備する。フェーズド・アレイ・レーダーの利点は、固定式のアンテナ・アレイを使いつつ、電子的に「首を振る」ことで広い範囲をカバーできることだが、お値段は高くつくかも知れない。一方、レイセオン社が開発したのがADAS(Advanced Distributed Aperture System)で、機体の周囲をカバーするように6基の赤外線センサーを取り付けて、そこから得た映像をヘルメットに取り付けたディスプレイに表示する。このように、使用するデバイスはメーカーによって差異がある。ドイツではユーロコプター・ドイッチュラントとESGエレクトロニクシステムの両社が、ドイツ軍のCH-53Gヘリに装備する目的で、SeLa(Sensor-based Landing aid)を開発する契約を受注した。こちらは胴体下面にカメラを2基、高精度の電波高度計を2基、GPS(Global Positioning System)受信機、地磁気検知装置の組み合わせを使用する。SeLaで特徴的なのは、コックピットの操縦士だけでなく、キャビンにいる機付長のところにもディスプレイを設けていることだ。この手の支援手段がないときには機付長が目視しながらパイロットに口頭で指示を出しているので、その流儀に合わせる狙いがあるのかも知れない。どんなシステムでもそうだが、実際の運用形態との親和性を無視したのではうまくいかない。現場がソッポを向いてしまう可能性につながるからだ。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2015年07月27日ZMPとソニーモバイルコミュニケーションズは7月22日、自律型無人航空機による画像撮影とクラウドによる画像データの処理を組み合わせた、産業用ソリューションを開発・提供するための協業について合意したと発表した。両社は8月に、新会社「エアロセンス株式会社」を設立する。新会社「エアロセンス」は、ZMP の「自動運転」「ロボット技術」「産業分野へのビジネス経験」と、ソニーの「カメラ」「センシング」「通信ネットワーク」「ロボットの分野における技術」を活かし、「測量」「調査」「管理」「点検」等のトータルソリューションを開発するという。また、同社は2016 年より、法人に向けてサービスの提供を開始する予定だ。ZMP は、「Robot of Everything あらゆるものにロボット技術を応用し、安全で、楽しく、便利なライフスタイルを創造する」ことをミッションとし、様々な分野に自動運転技術を応用・展開してきたが、これらは全て陸上でのソリューションだった。同社はこの度、空へとフィールドを広げることで、陸上では出来なかった新たなサービスの創出を目指すという。一方、ソニーモバイルは、新規事業の創出に向け積極的に取り組んでおり、特に Internet ofThings(IoT)市場を見据えた事業展開に注力している。今回の協業も、その一環としてクラウドサービスを活用。パッケージングで開発・運用する事業展開を通じて、新しい価値を提案する。
2015年07月23日民事再生手続き中のスカイマークは現在、スカイマークと投資ファンドのインテグラルが提出したANAホールディングスが支援する再生計画案と、最大債権者で米航空機リース会社のイントレピッド・アビエーションが提出したデルタ航空が支援する再生計画案が両立した中で、8月5日の債権者集会を迎えようとしている。この新生スカイマークに向けて、スカイマークの社内でも「団結」「組織力」「サービス向上」を目指し、同社では初となる「アンガーマネジメント」研修会が7月22日に実施された。○社外満足度向上のために社員満足度向上をアンガーマネジメントは1970年代に米国で開発された怒りの感情をコントロールするプログラムのことで、現在では米国をはじめ、教育機関や企業、スポーツ界等に幅広く導入されている。このプログラムを今、スカイマークに導入する狙いとして、総務課人事部研修課の井上弥緑さんは"社員の満足度向上"と言う。「スカイマークの理念として、社員が一丸となって顧客サービス向上や社外顧客への満足度向上に取り組むことを掲げています。そしてそのためには、社内の環境づくりや社員の満足度を高めることが必要だと考えています」と井上さんが語るように、同社は現在、社外顧客の満足度向上と並行して社員の満足度向上を目指している。○怒りを知ってコミュニケーションを知る今回の研修は羽田本社で実施し、本社部門のスタッフや整備士や客室乗務員などの現場スタッフなど約70人が初対面の人を含めた6人1グループとなり、エッセンスを詰め込んだ90分の研修に参加した。講師を担当した日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏によると、アンガーマネジメントは3カ月に1回程度を半年~1年かけて実施するのが好ましいという。そもそもアンガーマネジメントは怒らないくなることが目的ではなく、怒る必要のあることとないことをしっかり区別できるようになることを目的としている。また、怒りが生じる原因や怒りの表現方法など、怒りと向き合うことでコミュニケーション能力を高める狙いがある。加えて安藤氏は、怒りの感情はイラッとしてから6秒までが一番強く、それを過ぎれば段々と感情は静まっていくと考察している。研修を受けたスカイアテンダント担当者は、「この6秒を自覚できていれば、お客さまとのトラブルも回避できていたかもしれません」と振り返っていた。また、業務で無線でのやり取りが多いランプハンドリング担当者も、言葉を整えることの大切さを実感したようだ。同社はこれまで、コミュニケーション能力に関する研修を実施していなかったが、今回のアンガーマネジメント研修での意見を広く社員から求め、今後の研修につなげていくとしている。
2015年07月23日ソニーモバイルコミュニケーションズ(ソニーモバイル)とZMPは22日、自律型無人航空機を用いた産業用ソリューションを開発・提供する合弁会社を設立すると発表した。設立は8月初旬の予定。ソニーモバイルとZMPは、自律型無人航空機(ドローン)による画像撮影と、クラウドによる画像データの処理を組み合わせた、産業用ソリューションを開発・提供する協業について合意。合弁会社「エアロセンス株式会社」を設立する。資本金は1億円。出資比率はソニーモバイルが50.005%、ZMPが49.995%。エアロセンスは、ソニーのカメラ、センシング、通信ネットワーク、ロボットの分野における技術と、ZMPの自動運転、ロボット技術、産業分野へのビジネス経験を活かして、測量や調査、管理、点検などのトータルソリューションを開発していく。これらサービスの提供は2016年より開始する計画。
2015年07月22日ZMPとソニーモバイルコミュニケーションズ(ソニーモバイル)は7月22日、自律型無人航空機(自律型UAV)を用いた産業用ソリューションを提供する合弁会社「エアロセンス」を8月初旬に設立すると発表した。資本金は1億円で、出資比率はソニーモバイルが50.005%、ZMPが49.995%。代表取締役社長には、ZMP代表取締役社長の谷口恒氏が就任する。「エアロセンス」ではZMPの自動運転、ロボット技術、産業分野へのビジネス経験とソニーのカメラ、センシング、通信ネットワーク、ロボット分野における技術を活かし、測量、調査、管理、点検などのトータルソリューションを開発し、2016年より法人向けサービスの提供を開始する計画だ。
2015年07月22日Hondaの航空機事業子会社のホンダ エアクラフト カンパニー(以下、HACI)は現地時間の7月20日、ブラジル・サンパウロ市で8月11日~13日まで開催される南米最大の航空ショー「2015 LABACE(Latin America Business Aviation Convention and Exhibition)」(ブラジル)において、小型ビジネスジェット「HondaJet」の受注を開始することを発表した。HondaJetにとって、今回の2015 LABACE出展は南米初公開となる。これに合わせ、ブラジル国内におけるHondaJetのデモフライトも計画している。また、HACIはブラジルの顧客にHondaJetの販売および各種サービスを行うため、リダーアビエーション社(以下、Lider社)を新たにHondaJetディーラーとして加えることを決定した。ブラジル・ベロ オリゾンテ市に本社を置くLider社はブラジル全土に23拠点を有し、プライベート航空機に関する南米最大かつ世界有数の運航・サービス会社となっている。HondaJetの開発責任者であり、開発・製造・販売を担当するHACI社長の藤野道格氏は、「ブラジルにおける民間航空産業の成長は著しく、ビジネスジェット機の新規販売数では世界第二の市場になっています。我々はHondaJetのグローバル販売戦略に基づき、今回、この重要な市場に販売網を拡大することを決定した。Lider社はビジネスジェット機のサービス分野などで確固たる地位を築いており、ブラジルにおけるHondaJetのサービス提供に向けて万全の体制を整えています。ビジネス航空業界をより発展させようとする我々の情熱を共有できるLider社が、HondaJetのディーラーネットワークに加わったことをうれしく思います」とコメントしている。なお現在、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるHACIの本社工場では、20機のHondaJetが製造ラインで組み立てられている。
2015年07月22日本田技研工業の航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company : HACI)は米国現地時間の20日、ブラジル・サンパウロ市で8月11日~13日の期間に開催される南米最大の航空ショー『2015 LABACE(Latin America Business Aviation Convention and Exhibition)』において、ブラジルでの「HondaJet(ホンダジェット)」の受注を開始すると発表した。また、ブラジルでのHondaJet販売および各種サービスを行うため、リダーアビエーションを新たにHondaJetディーラーとして加えることも発表している。ブラジル・ベロ オリゾンテ市に本社を置くリダーアビエーションは、ブラジル全土に23拠点を有し、プライベート航空機に関する南米最大かつ世界有数の運航・サービス会社。今回の『2015 LABACE』出展がHondaJetの南米初公開となり、これに合わせて、ブラジル国内におけるHondaJetのデモフライトも計画している。なお、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるHACIの本社工場では、現在20機のHondaJetが製造ラインで組み立てられている。
2015年07月21日アメリカ航空宇宙局(NASA)は7月14日(現地時間)、無人探査機「New Horizons」が冥王星へ最接近し、観測に成功したと発表した。同探査機と冥王星の距離は約1万2472kmで、これはニューヨークからインド・ムンバイまでの距離に相当する。New Horizonsは2006年1月に打ち上げられて以来、9年半かけて約49億kmを飛行し冥王星に到着。打ち上げ時に想定していた到着時間との誤差はわずか1分だったという。最接近後、同探査機は「観測モード」に入ったため地球との通信が行われていなかったが、その後、観測の成功が確認された。New Horizonsの観測データは今後、16カ月かけて地球へと送られてくる予定だ。
2015年07月15日国土交通省は7月14日、ドローンなどの無人航空機※における飛行空域や飛行方法を規制するため、航空法の一部を改正する法律案を閣議決定した。無人航空機は今後、様々な分野で活用されることで新たな産業・サービスの創出、そして、生活の利便や質の向上に資することが期待される一方で、落下事案が発生するなど安全面における懸念が高まりつつある。そのため、国際的な状況も踏まえた緊急的な措置として、基本的な飛行のルールを定めることが必要であるという背景から、今回の法律案が決定された。法律案では、「空港周辺など航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域」「人または家屋の密集している地域の上空」では、国土交通大臣の許可なしに無人航空機を飛行することを禁止する。また、無人航空機を飛行させる際は、国土交通大臣の承認を受けた場合を除いて、「日中において飛行させること」「周囲の状況を目視により常時監視すること」「人または物件との間に距離を保って飛行させること」を守っての飛行を義務付ける。これらの飛行エリア・飛行方法に反した場合は罰金となる。なお、事故や災害時の公共機関等による捜索・救助等の場合は除外となる。今後については、技術の進歩や利用の多様化の状況等を踏まえ、関係者との十分な調整の上で無人航空機の機体の機能や操縦者の技量の確保、無人航空機を使用する事業の発展等を図るために、必要な措置を講じるとしている。※飛行機・回転翼航空機等で、人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの。超軽量のものなどを除く
2015年07月14日帝人は7月13日、同社グループ会社の東邦テナックスが、航空機や自動車用途において求められる高強度と高弾性率を両立した新たな炭素繊維「XMS32」を開発したと発表した。一般的にPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維は、弾性率を一定以上に高めると強度が低下する傾向があることが知られていた。今回、同社では、炭素繊維の原料であるプリカーサーの構造設計や、炭素繊維の製造プロセスの最適化を図ることで、均一な構造を有する高強度・高弾性率の炭素繊維を開発したという。このXMS32は、従来、航空機用途を中心に使用されてきた炭素繊維「IMS65」に比べ、強度・弾性率ともに10%以上の向上を達成したとするほか、炭素繊維表面の化学的特性と平滑性をナノレベルで制御する表面改質技術を開発したことで、樹脂との接着性が向上したという。なお東邦テナックスでは、すでに航空機用途に向けて同繊維シートに樹脂をしみこませたプリプレグの開発を進めており、将来的には、自動車用途やハイエンドスポーツレジャー用途に向けてもこれを展開していく予定としている。
2015年07月13日国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたロシアの無人補給船「プログレス」がISSにドッキングし、食品や飲料水のほか、補給用推進剤、酸素、クルーの衣服、実験ペイロードなどを届けた。同補給船は日本時間7月3日午後1時55分にカザフスタン共和国にバイコヌール基地からソユーズUロケットによって打ち上げられた後、同7月5日午後4時11分にロシアのドッキング室「ピアース」へのドッキングに成功した。ISSへの補給は、4月末にプログレスが制御不能によりドッキングを断念、6月末に米スペースXの無人補給船「ドラゴン」を搭載したファルコン9ロケットが打ち上げ直後に爆発し、失敗が続いていた。
2015年07月07日総務省は29日、小型の無人航空機(ドローン)による撮影映像などに関する、インターネット上での取扱いに関するガイドライン案を発表。これに対する意見を公募すると発表した。同ガイドライン案は、ドローン撮影を行うユーザーが注意すべき事項をまとめたもの。災害調査や救助活動から、宅配サービスまでさまざまな分野で活用が見込まれるドローンだが、一方で被写体の許可無く映像を撮影し、ネット上に公開できることから、プライバシーや肖像権など個人の権利を侵害する恐れもある。ガイドライン案では、Google ストリートビューと思われる、公道撮影の写真をネット公開するサービスが提供された際、プライバシーに関する指摘があった事例に触れつつ、ドローンによる撮影と個人情報保護法との関係を整理するとする。ガイドライン案では、具体的な注意事項として、1)住宅地にカメラを向けないようにする、2)プライバシー侵害の可能性がある撮影映像にはぼかしなどの配慮をする、3)撮影映像をネット上で公開するサービスを提供する通信事業者は削除依頼への対策を適切に行なうこと、といった項目が挙げられている。意見の募集期間は2015年6月30日から同年年7月29日まで。
2015年06月29日三菱航空機は6月26日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関するWEB情報発信ツール「MRJ Newsletter」第2号で、9月~10月に予定している初飛行前には離陸時と同じ時速200km程度での高速滑走試験を行うことを発表した。同社は6月8日に、飛行試験機初号機による走行試験を愛知県営名古屋空港(愛知県豊山町)で開始した。今回の走行試験では最高10ノット(時速18km)の低速状態においてブレーキの確認、ステアリングによる方向制御の確認を行い、走行試験を担当したパイロットも「とても素直でキチッとしている。非常に乗り心地の良い機体」とコメントしている。初飛行前には、離陸時と同じ時速200km程度での高速滑走試験を行う。飛行試験機2号機に関しては、6月に全機振動試験(Ground Vibration Test :GVT)を実施している。試験によって航空機の構造、とりわけ振動特性が計画通りになっているかを検証し、実際の飛行において機体の構造(ハード)と電子制御による操縦系統(ソフト)が調和の取れた機能を発揮することを地上で確認し、飛行の安全を保証していくという。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年06月26日●世界最高性能の再使用ロケット・エンジンの開発に成功ロケットが航空機のように宇宙を飛び交う。そんなSFのような、そしてかつて一度砕かれた未来が、ついに現実のものになるかもしれない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)では、何度でも使用できる観測ロケットを開発する構想を持っており、現在はその前段階として、機体形状の検討をはじめ、再使用ロケット・エンジンや軽量タンクなど、再使用観測ロケットの実現に向けて必要となる技術の実証が行われている。そのうち、最も難しい技術のひとつである、再使用ロケット・エンジンの技術実証試験が完了したことを受け、2015年6月15日に報道関係者向けに説明会が開かれた。今回は、再使用観測ロケット計画や、現在進められている技術実証プロジェクトの概要、そしてこの研究の先に待つ未来について見ていきたい。○再使用観測ロケットISASは現在、超高層の大気の観測や天体観測、微小重力実験などを行う目的で、小型の観測ロケットを年に1機から2機ほど打ち上げている。観測ロケットというのは、H-IIAロケットなどの大型ロケットのように地球の周回軌道に人工衛星を投入するのではなく、高度150kmから300kmほどまで上昇し、観測や実験を行った後、そのまま海上に落下する。この到達高度150kmから300kmというのが絶妙で、気球では高すぎて到達できず、逆に人工衛星にとっては低すぎるため、観測ロケットでしか到達できないという大きなメリットがある。また、システムとして小回りが利くため、実験提案から打ち上げまで短期間で実現可能で、理学・工学それぞれの実験でさまざまな研究成果が挙げられている。しかし、ロケットや観測機器は使い捨てることになるため、打ち上げのたびにロケットと観測機器を新たに製作する必要があり、実験や観測が失敗した場合に修理して再挑戦といったこともできない。また、観測ロケットの需要は高く、現時点でも1年間に10回程度の実験が求められおり、さらにもっと多くの利用需要が眠っているとも考えられている。さらに、観測機器や実験試料の回収をしたい、観測する方向を自在にコントロールしたい、もっとゆっくり飛んでほしい、もっと低く、あるいは高く飛べ……といった多くの要求があるという。そうした需要に応えるために計画されているのが「再使用観測ロケット」である。その名の通り、今までのように1回ごとに機体を使い捨てるのではなく、まるで航空機のように何度も再使用できる観測ロケットだ。観測ロケットが再使用できるようになれば、実験装置を繰り返し使用できるため、今までより高価で精密な装置が積みやすくなり、試料を回収できることで地上の高性能な装置で分析ができるようにもなる。また、今まではロケット内の実験データを電波で地上に送ったりしていたが、機体内の記録装置に保存できるので、大容量のデータが得られるという。そして何より、機体を毎回造り直す必要がないため、高頻度の打ち上げができるようにもなる。現在の検討では、再使用観測ロケットは全長13.5m、直径3.0m、打ち上げ時の質量は11.5tになるという。現在の使い捨て型の観測ロケットと比べると大きくなるが、これは地上に帰還するための推進剤を積む必要があることなどが関係している。ロケット・エンジンは底部に4基あり、そのうち1基が故障しても安全に帰還できるようにするとされる。最大到達高度は100kmから150kmで、打ち上げ頻度は1日に2回以上を目指すとされ、同一の機体で、メンテナンスしつつ、100回以上の再使用を可能にしたいという。開発費は70、80億円ぐらいが見込まれており、また打ち上げ1回あたりの運用費は数千万円ほどで、これは1機あたり数億円かかる現在の使い捨て型観測ロケットからすると約10分の1ほどになる。現時点では再使用観測ロケットそのものには予算は付いておらず、いつ運用が始まるかなどの目処は立っていない。ただ、その前段階にあたる技術実証プロジェクトには予算が付き、2010年度から研究が行われている状況にある。○再使用観測ロケット技術実証プロジェクトところで、宇宙開発が好きな方なら、かつてISASが「RVT」という小さなロケットの飛行実験を行っていたことを憶えておられるかもしれない。RVT(Reusable Vehicle Testing)は1990年代後半から開発が始まり、2000年代の前後に複数回、垂直に離陸して上昇した後、垂直に地面に着陸するという飛行実験を行っている。再使用観測ロケット技術実証プロジェクトは2010年度から始まったが、そこにはRVTで得られた知見が多く活かされており、再使用観測ロケットはまさにこのRVTの直系の子孫にあたる。再使用観測ロケット技術実証プロジェクトでは、再使用観測ロケットの実用化に向けて必要となる、さまざまな技術要素の研究開発が行われている。プロジェクトにはJAXAを中心に、三菱重工業などが参画している。その中で開発されているもののひとつが、再使用ロケット・エンジンだ。再使用観測ロケットでは、まずフルパワーで上昇し、続いてエンジンを止めて慣性飛行を行い、そして着陸のためにふたたびエンジンに点火し、最終的には停止さたりと、何度も始動と停止を繰り返さなくてはならない。さらに、推進力を降下速度や姿勢に合わせて調整する必要もあるなど、通常のロケット・エンジンとはまったく違う動きを要求される。また1回限りではなく、簡単なメンテナンスだけで、何度も使えなくてはならない。成尾助教は「スペース・シャトルのロケット・エンジンの設計寿命は55回とされている。しかし、実際には宇宙から帰ってくるたびに、エンジンを機体から降ろして、全部分解して点検するようなことをしていた。そこで私たちは、簡単な点検だけで100回再使用できるようなエンジンの開発を目指すことにした。スペース・シャトルから得た教訓というのは、単に再使用ができるというだけではだめで、頻繁に運用できなければ、結局はコストを下げることができない。私たちの開発したエンジンでは、航空機のようにロケットを繰り返し運用ができると考えている」と説明した。同プロジェクトで開発されたエンジンは、推進剤に液体酸素と液体水素を使用する。推力は40kNで、また22%から109%の間で自由に可変させる(スロットリング)ことが可能だという。エンジンの開発はプロジェクト開始と同じ2010年度から始まっており、設計や製造、部品単位での試験が繰り返された後、2014年度にエンジンのシステム全体の性能を確認する試験が実施された。この試験は、短時間の燃焼の1回の打ち上げに相当する量の負荷をかけられる「寿命加速試験方法」という手法を使用して行われ、今年2月までに、エンジンの起動と停止の累積回数は142回を記録、累積燃焼時間は3785秒にも達している。これにより、100回の打ち上げに相当する負荷に耐えられることが実証されたという。またその中で、垂直離着陸時や、飛行を中断しなければならない時などに推力を制御する性能と、応答性も実証され、さらに最短で24時間後に再打ち上げが可能な能力を持つことも実証されたという。エンジン以外にも、たとえばタンクの中の推進剤の動きを制御する技術も必要となる。飛行中のタンク内の推進剤はちゃぷちゃぷと揺れ動いており、そのままロケット・エンジンに送り込もうとすると空気が混じってしまい、エンジンが破壊されることもある。そこで推進剤の液面を制御し、推進剤がしっかりエンジンに送り込まれるようにしなくてはならない。またロケット・エンジンのノズルには、高度によって(周囲の大気圧によって)最大の性能が出せる最適な形というのがあるため、飛行中にノズルの大きさを変えられる仕組みも必要となる。さらにエンジンなどが故障した際に、ロケットの判断でミッションを中断し、地上まで安全に帰還させるシステムも必要となる。その他にも、機体の形状をどうするか、軽くて頑丈な推進剤タンクをどうやって造るかなど、いくつもの技術開発が進められている。これらが実際の再使用観測ロケットで採用されるかはまだわからず、別の技術を使うかもしれないし、あるいは運用を続ける中で改良が加えられるため、後々になってから実装するといったことが考えられている。今年度には、新たに着陸脚の試験や、センサー類の試験なども予定されている。また、まだ具体的な日程や場所は未定なものの、実機よりやや小型の模型を使った滑空飛行試験も計画されているという。今はまだ再使用観測ロケットそのものを開発する予算は認められていないが、もし開発が決定され、予算が付けば、最短で4年間で開発できるとしている。稲谷教授は冗談交じりで「2020年の東京オリンピックの会場の上空で飛ばせるようにしたい」と語った。●「ロケットの次のゴール」を迎えるか、または「詐欺師ペテン師の世界」か○再使用観測ロケットにまつわる疑問点この再使用観測ロケットについては、いろいろと疑問点がある。まず、なぜ燃料に液体水素を使うのか、という点だ。水素は密度が低いため、たくさん積もうとするとタンクの大きさがかさばり、機体のサイズや質量がどうしても増えてしまう。また水素エンジンはスピードは出せるが、大きなパワーは出しにくい。最終的に第一宇宙速度(秒速7.9km)ものスピードを出さなくてはならない人工衛星打ち上げ用ロケットにとっては、スピードが出せるという点が大きなメリットとなるが、単に高度100km前後まで飛んでそのまま戻ってくる観測ロケットにとっては不向きだ。しかも帰還のための推進剤も積まなければならないため、タンクの大きさも、衛星打ち上げロケットより割合としては大きくなる。にもかかわらず再使用観測ロケットで採用された理由は、開発した技術を、より将来のロケットに活かしたいためだという。また、最近の世の中が水素社会になりつつあり、液体水素を使うロケットと接点があることから、それらの大学や企業などと共同研究ができるメリットもあるという。再使用することで本当に安くなるのかという疑問もある。スペース・シャトルは安価に運用するために部分的な再使用方式を採用したが、再使用のためのメンテナンスにかかる費用が非常に高くなってしまったという歴史がある。再使用観測ロケットはスペース・シャトルとは異なり完全再使用で、また機体の規模も目的も異なるが、同じ轍を踏まないとは限らない。これについて、小川准教授は「部品レベルで検討した結果、運用費用について、10分の1ぐらいは確実に安くなるという試算が出ている」と、低コスト化への自信を語った。もうひとつ、なぜ垂直離着陸方式を採用したのか、という点だ。米国では「スペースシップトゥ」のように、航空機に吊られて上空まで上がり、そこからロケット・エンジンで高度100kmまで上がり、飛行機のように滑空して帰ってくるという機体がある。またスペース・シャトルも打ち上げは垂直に上がっていくが、帰還時には翼で舞い戻ってくる。これに対しては、1日に複数回飛ばすことを考えると、垂直離着陸式の方が手間がかからないのではないかと考えられていること、また日本には広い場所がないので、滑走路などを確保するのが難しいという問題があり、垂直離着陸方式であればその点を解決でき、また既存の発射施設を使える利点もあることが挙げられていた。○さらにその先の未来へ現在、世界のロケットは、機体を再使用することで打ち上げコストを引き下げようという動きが主流になりつつある。たとえば米国のスペースX社は、ロケットの第1段を再使用することを目指し、「ファルコン9-R」ロケットの試験を繰り返している。また米国のユナイテッド・ローンチ・アライアンス社は、打ち上げ後に第1段のロケット・エンジンのみを分離し、パラシュートで降下させて空中で回収し再使用する「ヴァルカン」ロケットの開発をすると明らかにしている。フランスでも、第1段エンジン部分だけを分離し、プロペラを展開させて飛行機のように帰還し再使用する「アデリン」というシステムの開発が行われている。さらに米国のブルー・オリジン社では、まさにISASの再使用観測ロケットのように、液体酸素と液体水素を推進剤とする垂直離着陸型の再使用ロケットの開発が進められており、今年4月には高度約100kmへの飛行に成功している。一方日本では、現在三菱重工業とJAXAが共同で、H-IIAロケットやH-IIBロケットの後継機となる「新型基幹ロケット」の開発を進めているが、今のところ再使用化の計画はない。はたして、この再使用観測ロケットと新型基幹ロケットが融合し、新型基幹ロケットの第1段が地上に舞い戻ってくるような日はくるのかということは、誰でも期待を抱くところだろう。質疑応答でも当然、そうした質問が飛び出した。それに対して稲谷教授は「スペースX社のように、新型基幹ロケットの1段目を再使用にする可能性はありうるだろう。そのときに、このエンジンでやってきたことは役に立つだろうとは思う。ただ、今のところ新型基幹ロケットはそのような設計開発はされていないと思うし、思考実験としてやったらどうなるか、ということは、(三菱やJAXAで)考えてられているとは思うが、まだ形になるような話にはなっていないと思う。将来とりうるチョイスのひとつとは思うが、これはなかなか難しいところで、スペースX社がやっているから日本も同じことをするのか、あるいはもっと先を行くべきのか、国の税金を使っていることなので、どういう道を行くのかはしっかり議論した上で決めるべきことだと思う」とのことであった。また小川准教授は会見後、「これからのロケットは再使用化が主流になると思われるか」という質問に対して、「たしかに、世界はふたたびロケットの再使用化に向けて動き出しているようだ。ただ、私たちはさらにその先の未来を見据えて、私たちのやり方が世界の主流になるようにやらなければならないと思う」と語った。さらにその先、というのは、完全な再使用ロケットのことだ。ファルコン9-Rやヴァルカン、アデリンは部分的再使用、つまり機体の一部を再使用しているにすぎない(スペース・シャトルも同様)。しかし、本当に航空機のようにロケットを飛ばしたいのであれば、当然ながら航空機と同じように、ロケットの機体すべてを再使用することが望ましい。そうした機体の構想は古くからあり、ロケットの全段をそのまま再使用する単段式ロケットや、2段式ながら上段が別々に帰還して再使用できるロケットなどが考案され、たとえばNASAでは、1980年代から90年代にかけて、X-30やDC-X、X-33、ヴェンチャースターといった機体の開発が行われた。しかし、どれも技術的な障壁にぶち当たり、結局実現することなく消えている。だが、それから技術も発達し、またスペースX社などがロケットを実際に再使用することを試みつつあり、完全再使用の衛星打ち上げロケットの開発に、ふたたび挑むべき時代がやってきているのかもしれない。稲谷教授は「誰でも行ける宇宙旅行や、太陽発電衛星の建設といった事業が経済的に成り立つためには、1日に何十回も飛べたり、機体を1000回ほど再使用できたりできる航空機のようなロケットを実現し、今より打ち上げコストを2桁ほど下げないといけない」と語る。また稲谷教授は「最終的にはスペース・シャトルよりも、もっと良いものを造りたい。たとえば羽田空港では、1日1000回ほど飛行機の離発着がある。再使用観測ロケットが目指しているのは1日10回程度であり、まだ2桁も少ない。それでも飛行機のように運用できるロケットが実現できないはずはない。それをゴールとして、若い人も含めて、そうしたロケットの実現に向けた活動が活発になればと思う」と期待を語った。○『「ロケットの次のゴール」または「詐欺師ペテン師の世界」』ところで、稲谷教授は今から10年前、2005年のお正月に、ISASニュースに『「ロケットの次のゴール」または「詐欺師ペテン師の世界」』と題した記事を寄稿している。その主張は今回の説明会と変わわらず、宇宙旅行や太陽発電衛星の建設などを実現するには打ち上げ費用を安くすることが重要であり、そのためには高い頻度で繰り返し打ち上げができる、使い捨て型のロケットとはまったく異なる思想のロケットが求められることが解説されている。そのユニークな題名は、稲谷教授と、糸川先生の弟子でもあった長友信人名誉教授との間で交わされた、「もし再使用ロケットを造ろうとお金を集めるも、失敗に終わった場合、詐欺師やペテン師の仲間入りをしてしまうことになる」という内容の会話から採られている。ちなみに長友教授もまた、考えが時代の先を行きすぎていたため、山師と呼ばれることがあったという。この記事が書かれた2005年というと、スペース・シャトルの後継機となるはずだった新型シャトルの計画はすべて消え、また2年前にはスペース・シャトル「コロンビア」の事故も起き、スペース・シャトルは失敗作だったという見方が広がり、再使用ロケットというものの実現性に疑いの目が向けられていたころだ。一方でロシアは、半世紀近く形の変わらない古めかしい使い捨てロケットを使い、安価に、そして安定した打ち上げを続けていた。それを背景に、当時は「ロケットを安くするには、使い捨てロケットを大量生産してコストダウンすることが正解」という風潮が強かった。あれから10年が経った今、世界のロケットはふたたび、やり方はさまざまなれど、機体を再使用する方向へ舵を切りつつある。そしてその流れはおそらく止まることはないだろう。もし将来、稲谷教授を詐欺師やペテン師などと呼ばねばならない日が来るとしたならば、それは日本のロケット産業の敗北を意味することになろう。
2015年06月25日ジャストシステムは17日、ドローン(小型無人航空機)に関するアンケート調査の結果を公表した。これによると、ドローンの規制に賛成するユーザーが64%、反対するユーザーが11.1%となり、規制へ賛成する人が多いことがわかった。どちらでもない、わからないと回答したユーザーは25%に上った。調査は同社のセルフ型アンケートサービス「Fastask」にて実施し、10代から60代までの552名(男性282名、女性270名)から回答を得た。なお、調査では小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計が100とならない場合がある。調査によると、ドローンの規制について「規制に賛成する」と回答した人は32.8%、「どちらかというと規制に賛成する」が31.2%と、賛成派が全体の6割超を占めた。一方、「規制に反対する」と回答した人は4.0%、「どちらかというと規制に反対する」が7.1%となり、規制への賛成が反対を大きく上回る結果となった。「どちらでもない」と回答した人は15.6%、「わからない」と回答した人は9.4%となった。規制の程度についての賛否を尋ねた質問(n=353)では、「使用禁止区域を定める」が"非常に賛成""どちらかというと賛成"の合計が最も多い計87.5%、続いて「購買者情報の登録を義務づける」が86.4%、次いで「撮影データに関してプライバシーの配慮を義務づける」が計84.7%という結果となった。また、規制のメリットとしては、「ドローンが安全に有効活用される」が最も多い38.2%、続いて「ドローンのイメージが改善され、普及しやすくなる」が20.1%、次いで「ドローンの事故が減る」が16.7%となり、今後ドローンを活用していく上で規制が必要という見方が多い結果となった。一方、ドローン規制に「反対」とした人(n=61)に対し、規制反対の理由を尋ねたところ、「各領域での活用を期待しているから」が最も多い31.1%、次いで「利便性が高いものだから」と「用途が制限されるから」が同数の19.7%、次いで「自由に使いたいから」が8.2%となった。ドローンに関しては、地方の成長戦略として活用するドローン特区に設ける議論が高まる一方で、2014年4月に発生した首相官邸への落下事件をきっかけに首相官邸や皇居など重要施設の上空での飛行を禁じる法案が提出されたり、都内の一部の区の公園などでドローンの飛行が禁止されるなど、運用について試行錯誤が続いている。
2015年06月18日三菱航空機はフランス時間の6月17日、パリ・エアショーにおいて次世代のリージョナルジェット機であるMRJ(Mitsubishi Regional Jet)に関するメディアブリーフィングを実施した。会場では同社の森本浩通社長よりMRJの進捗を発表。飛行試験機初号機は6月8日に走行試験(Low Speed Taxiing Test)を開始するなど、種試験ならびにフィードバックを実施中であり、続く2号機は全機の機能・技術試験を、3号機は脚の取り付けを終えて艤装作業を、4号機は翼胴結合作業を、5号機は胴体結合を終えてANAカラーの塗装が完了していることを伝え、9~10月に予定されている初飛行に向けて開発は順調に進んでいることをアピールした。MRJは現在、日米とアジアの航空会社から合計407機(確定223機、オプション160機、購入権24機)を受注している。飛行試験機初号機による走行試験の様子(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年06月18日エアバス(本社: 仏トゥールーズ)はフランス時間の6月15日、米ロサンゼルスを拠点とする航空機リース会社のエア・リース・コーポレーション(ALC)がA350-900を1機と、A320ファミリーを4機(A321ceoが1機、A320ceoが3機)を発注したことを発表した。今回確定発注された分を合わせると、ALCのエアバス機に対する合計発注数は262機となる。そのうちワイドボディ機が66機(A330ceoが15機、A330neoが25機、A350-900が21機、A350-1000が5機)で、単通路型が196機(A320ceoが30機、A320neoが31機、A321ceoが26機、A321neoが109機)となる。A350XWBはエアバスの最新の長距離用中型ワイドボディ機。多くの革新技術を取り入れ、乗客の快適性、運航効率性、コスト効率性を高めた。また、A320ファミリーはこれまでに1万1,700機以上の受注を獲得し、300社を超える顧客に6,500機以上を引き渡している単通路型機となっている。幅広い客室を備え、エコノミー・クラスで標準18インチの快適な座席を装備。なお、新型エンジンを搭載するA320neoは大型のウイングチップであるシャークレットを装備し、合わせて燃費を15%削減する。
2015年06月16日エアバス(本社: 仏トゥールーズ)はフランス時間の6月15日、ゼネラル・エレクトリックの航空機リースおよびファイナンス事業を担うGEキャピタル・アビエーション・サービシーズ(GECAS)が、A321neoを含むA320neoファミリーを合計で60機発注したことを発表した。発注された60機のA320neoファミリーは全て、CFMインターナショナル社製「LEAP-X」エンジンを搭載する。今回の発注により、GECASのA320ファミリーに対する合計発注数は465機となり、そのうち120機がA320neoとなっている。A320ファミリーはこれまでに1万1,700機以上の受注を獲得し、300社を超える顧客に6,500機以上を引き渡している単通路型機。幅広い客室を備え、エコノミー・クラスで標準18インチの快適な座席を装備している。新型エンジンを搭載するA320neoは大型のウイングチップであるシャークレットを装備し、合わせて燃費を15%削減する。今回のGECASによる発注分を合わせると、世界72社からのA320neoファミリーの合計受注数は3,800機を超える。
2015年06月16日三菱航空機と三菱重工業は6月8日、次世代のリージョナルジェット機であるMRJ(Mitsubishi Regional Jet)の飛行試験機初号機による走行試験(Low Speed Taxiing Test)を県営名古屋空港(愛知県豊山町)で開始した。Taxiing(タキシング)は航空機が自らの動力で地上を移動するもので、航空機は離陸前と着陸後の移動をほとんどタキシングによって行う。今回の走行試験では、低速自走状態における制動確認およびステアリングによる方向制御の確認を実施する。三菱重工業と三菱航空機は現在、9~10月の初飛行を目指し、各種地上試験や量産段階への移行準備など一体となった事業展開を進めている。(c)2015 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
2015年06月08日三菱航空機と三菱重工業は6月8日、リージョナルジェット機・MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の飛行試験機初号機による走行試験(Low Speed Taxiing Test)を、県営名古屋空港で開始したと発表した。Taxiing(タキシング)とは、航空機が自らの動力で地上を移動することを指し、今回の走行試験では、低速自走状態における制動確認およびステアリングによる方向制御の確認を行う。MRJは70~90席クラスの次世代民間旅客機で、大幅な燃費性能向上と騒音・排出ガスの削減が図られている。現在、407機(確定223機)を受注しており、今年9月~10月の初飛行を目指し、各種地上試験や量産準備などが進められている。
2015年06月08日