お姿を拝見するたびに、顔つきが精悍になられているように感じます、と伝えると、「本当ですか?」と佐野勇斗はわずかに目を見開いた。が、「今、本当ですか?って言いましたけど、よく言われます。自分で見返していても、半年前はこんなに幼いのか、と思うぐらい」と茶目っけのある笑顔を見せる。そんな変化は彼自身の成長が内側からにじみ出てているのかもしれない。ドラマ、映画とさまざまな作品で活躍する佐野が今度出演するのがPrime Videoで世界配信されるオリジナルドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』だ。主人公の大学生・犬飼忠士、通称ハチを演じる。ハチと、ある一族への復讐を使命とする美しい妖怪の奇妙な関係を描く“妖怪ラブコメ”。日本ならではの「妖怪」に加え、バトルアクション、恋愛、ミステリーとさまざまな要素が組み込まれている。手がけるのは三木孝浩監督だ。脚本と制作総指揮を海外クリエイターのヤルン・トゥ氏、ザック・ハインズ氏が担当しており、そういったところにAmazonOriginalドラマの「らしさ」が感じられる。佐野も台本を見たときにちょっとした意外性があったという。「妖怪と恋をするってどういうことか、最初は全くイメージが湧かなかったんですけど、読んでいるうちに物語にも入り込めて。おもしろいな、とおもいました。ただ、海外の方が書いている台本はたぶん初めて。ト書きも日本のものとは違うので驚きました」現場では海外で撮影しているような気分を味わえたのだとか。「Amazon Studiosのアジアを統括する方……というか、実は僕もどういう方かよくわかってないんですけど(笑)お会いできる機会があり、色々とお話したのですが、とてもフランクな方で楽しみだよ、って言ってくれたり、脚本家の方も来てくださって一緒に食事をしたり。日本にいるのに、海外の方との絡みが多かったですね。みなさんはずっと英語で話すので、僕もちょっと英語で喋っていたりしました」完成映像を観て、初めて「こんなふうになっているんだ」と驚きました今回の佐野の役どころは吉川愛演じる妖怪・イジーと恋をするゲームオタクな大学生だ。意識したのは、ダサすぎないオタクを演じることだった。「作品の世界観自体がすごくオシャレなので、ビジュアルもダサすぎないようにしたい、ということはプロデューサーの方とも相談していました。愛されるキャラクターにもしたかったんです。僕自身、スポーツは好きなんですけど、インドア派で誰かに誘われないと出かけないタイプなので、そういう意味ではハチと似ているかもしれません」佐野にとって今回の撮影で新鮮だったのはCGが多用されているということだった。アクションシーンのほか、妖怪のいる世界観は、実写だけでは描き切れない奥深さを演出してくれている。「先日、完パケしたものを初めて観て『こんなふうになっているんだ!』とびっくりしましたね。ここまで現場と違うのが初めてだったので。現場ではすべてが想像。例えば、イジーが影を使って移動するシーンは普通にジャンプして、うわっ!と言っているだけだったり、トンネルのシーンでネズミが出てくるところも何もないところで叫んでいるだけ、とか。ここってこんなに大きい湖だったんだ、ということもありました。正解は監督の頭の中にあると思うので、監督がOKだったらOKということで監督を頼っていました。CGを想像して演じるのはすごく大変でしたけど、いい経験でしたね」佐野の印象に残っていたシーンとは一体どのようになっているのかは、ぜひ実際に観て確認してみてほしい。「はやちゃん」って呼ばれてました(笑)大変な現場である一方で、共演者との仲睦まじい様子についても語ってくれた。一緒のシーンが多かったイジー役の吉川愛、ハチの友人・田貫世凪演じるアントニーとはまず互いの呼び方を決めることから始めたと言う。佐野は「はやちゃん」と呼ばれていたそうで、そう打ち明けたあと、「めっちゃ恥ずかしいですね、はやちゃんって。おばあちゃんに呼ばれていた呼び方なんですけど」とはにかむ。「吉川さんとは監督も交えて何回か食事も行きました。いろいろ話していたんですけど……何を話してたっけ(笑)。あ!めちゃくちゃユッケが好きです。ユッケがあればニコニコしています。何かあったらユッケを渡せば大丈夫!」そう吉川について触れたあと、アントニーについては大仰に眉根を寄せた。アントニー演じる田貫はなんだかんだ言いながらも、イジーに振り回されるハチをサポートしてくれる無二の友人といったポジションだが……。「アントニーさんとは食事に行ってないんですよね。誘うよ、って言って誘ってくれてないし、焼肉も絶対に行こうね、って言っていたのに一度も連絡が来てないんです。口だけなんですよ、アントニーさん。これ、絶対に書いておいてください!(笑)」自分に対しては一番厳しく観てしまう今や、「役者・佐野勇斗」は欠かせない存在だ。特に2020年代に入ってからは話題作への出演が続いている。3月23日に誕生日を迎え、26歳となる佐野。役者としての20代前半を振り返ってみてどうかと尋ねると、「そうですね……」と考え込む表情を見せた。「役者のみなさんがよく言われているかもしれないんですけど、ただがむしゃらでしたね、いま思うと。たぶん、そのときどきの自分のベストは尽くしていたとは思うんです。グループ活動はもちろん、いろんな仕事をやりながら、吐きそうになりながらもやってたんですけど、ちゃんと向き合えていたのかな?という気持ちもあります。でも、まずは頑張ったな、と昔の自分を褒めてあげたいですね」ストイックさが垣間見えるが、役者としての自分に一番厳しい目線を向けているのはやはり佐野自身だ。「この発言が浅いのかもしれないんですけど、深みを出したいな、と思うことが多くて。表面上だけのような気がするんです。やっぱり、自分に対しては一番厳しく観てしまうので、今までの演技を観ていると『ちょっと軽いな』とは思います。頑張っているつもりなんですけど、深く台本を読み込むだけじゃなく、さらに役の人生を考えていったら芝居に深み出るのかな、ということは、最近よく考えますね」途上の最中だと、むしろ自分自身への成長には気づきづらいのかもしれない。今回、三木監督と仕事をするのは2回目となる佐野。デビュー作となる映画「くちびるに歌を」は三木監督が手掛けている。「監督とご一緒するのが楽しみだった」と言う佐野に監督にかけられて印象的だった言葉を聞くと……。「今回、何度か泣くシーンがあるんですけど、そこで三木さんが『本当に成長したね、なんだかパパの気持ちだったわ』と言って下さったんです。デビュー作のときには泣けなかったんですよね。とんでもない数の大人に囲まれて、その中で泣く演技でめちゃくちゃ苦しんだことが記憶に残っていて。そこで『本当にいろいろ経験して成長したんだな』と言ってくださったのは覚えています」発展を続ける彼を周りが放っておくはずがない。朗らかに話しつつも垣間見える自分に対する厳しさは、どのように自身に反映していくのだろう。最後に、今後の役者としての目標は?と問いかけると「アカデミー賞」と即答した。きっとその目標も実現させる姿を、遠くない未来に見せてくれるかもしれない。撮影:木村直軌取材・文:ふくだりょうこヘアメイク:望月光(ONTASTE)スタイリング:伊藤省吾(sitor)ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント佐野勇斗さんのサイン入りポラを1名様にプレゼント!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<作品情報>Amazon Originalドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』配信開始日:3月22日(金) よりPrime Videoにて世界独占配信話数:本編8話(1話約30分)制作総指揮・脚本:ヤルン・トゥ、ザック・ハインズ監督:三木孝浩キャスト:佐野勇斗、吉川愛ほか(C)2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』予告
2024年03月18日阿部サダヲが主演を務める「不適切にもほどがある!」第8話が3月15日に放送され、磯村勇斗演じる“W秋津”と怒涛のラストに「サプライズすぎ」と驚きの声が上がっている。本作は、阿部さん演じる妻を亡くした小川市郎が、ひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップするタイムスリップコメディ。宮藤官九郎が脚本を務め、市郎とそのひとり娘、そしてタイムスリップしたことで出会う人々との絆を描く、ヒューマンコメディとしての要素も持つ完全オリジナルストーリーとなっている。市郎の一人娘・純子を河合優実、純子が密かに想いを寄せる相手“ムッチ先輩”こと秋津睦実を磯村勇斗、令和で出会うシングルマザー・犬島渚を仲里依紗、市郎とは逆に2024年から1986年に息子と共にタイムスリップする、社会学者の向坂サカエ役に吉田羊が出演。さらに、山本耕史、古田新太、三宅弘城、袴田吉彦、中島歩、坂元愛登ら個性豊かなキャストが集結している。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。令和へタイムスリップしたムッチ先輩(磯村勇斗)は、息子である秋津と対面し、純子(河合優実)が入れ違いで昭和に帰ったことを聞かされる。ムッチ先輩は「未来に来た意味がない」と騒ぎだすが、井上(三宅弘城)は「これ以上タイムマシンの存在を知られては困る」とムッチ先輩がいるのは未来ではなく、目の前にいるのは「ドッペルゲンガー」だと脅す。井上の言葉をまんまと信じるムッチ先輩の姿に「純粋だから信じてるwww」「ムッチ先輩気の毒ww」と声が上がった。同じ頃、市郎のもとには過去に起こした不倫スキャンダルによって閑職に追いやられていた入社7年目のアナウンサー・倉持猛(小関裕太)が相談に来ていた。復帰の目処が立っていたにも関わらず、リスクマネジメント部の部長が栗田に変わったことで白紙に戻されたことを聞いた市郎は、渚も交え倉持の復帰を栗田とその部下・瓜生に直談判しに行く。試しに早朝の番組でアナウンサー復帰を試みた倉持だったが、世間の目はあまりにも厳しかった。リアルタイムでの投稿は2件だったものの、こたつ記事が拡散され、その拡散をキッカケに新たなこたつ記事が書かれそれも拡散。実際には見ていない人からの批判的な声が相次ぎ、番組のスポンサーの商品に対して不買運動が起こるという自体に。SNSでは「超時事ネタ!」「とってもタイムリー」「既視感しかない」「考えさせられる」という声が上がった。倉持の出演が認められないことや、相次ぐバッシングに納得がいかず「寛容じゃない」と訴える市郎を、栗田は自身の家でおこなわれるホームパーティーに招待する。招かれた市郎と倉持が目にしたのは、会社での姿とは別人の栗田の姿だった。パティオのホームパーティーに「金妻みたい」と浮かれる市郎だったが、パーティーの終盤でその日が栗田の結婚記念日であること、17年前に栗田が不倫をしたことが明かされた。山本さん演じる栗田の家での姿には、「小日向さん?」「小日向さんじゃん」と、ドラマ「きのうなに食べた?」での役柄を重ねる声が相次いだ。さらに、帰り道に倉持に不倫をしたことがあるのか聞かれた市郎は、結婚して3年目のエイプリルフールに、自分で口紅をワイシャツに付けたことを明かす。ここで恒例のミュージカルシーンが始まり、市郎と妻を演じるイワクラ(蛙亭)の姿に「3年目の浮気?」「ダメだ面白すぎる」「イワクラちゃんかわいい」という投稿で溢れた。現代のリアルに切り込んだ8話のラストでは、喫茶店SCANDALでムッチ先輩が窓際で本を読む女性に近づくと、小泉今日子が本人役で登場した。「ドッペルゲンガー?」と言い、後から来店した市郎に失礼な発言を連発。そこへ井上と秋津、さらにジャンパーを来た男性が現れ、ムッチ先輩を昭和に戻るバスに乗せる。ムッチ先輩が乗ったバスを見送った後、井上が「こちらは?」と秋津に訪ねると、秋津が「親父です」と答え、隣にいた男性が「ご無沙汰してます。ムッチです」と答える。令和のムッチ先輩を演じる彦摩呂の姿が映し出され、市郎が「なんて言っていいかわかんねーよ」と言い8話が幕を閉じた。「キョンキョン」もトレンド入りを果たしたほか、「サプライズすぎ」「情報量すごい」という声や「ほんとになんて言っていいかわかんないよw」「彦摩呂がムッチ先輩!」「彦摩呂さん!」「爆笑」と怒涛のラストに盛り上がりを見せた。第9話あらすじ社内報のインタビューを受けた渚(仲里依紗)。その記事を読んだ後輩・杉山ひろ美(円井わん)が渚の発言は自分に対するアウティングかつマタハラだ、と市郎(阿部サダヲ)の元に相談にくる。秋津(磯村勇斗)も交え、市郎から話を聞いた渚は、特定の誰かについて話したわけではないとショックを受ける。しかし、杉山の気持ちは治まらず…。そんな中、秋津が社内モニターとして登録しているマッチングアプリでマッチした証券会社勤務の矢野恭子(守屋麗奈)と待ち合わせをするため、市郎と秋津は「SCANDAL」へ。するとそこには昭和にいるはずのサカエ(吉田羊)の「ちょっと綺麗になった」姿があり…?「不適切にもほどがある!」は毎週金曜22時~TBS系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2024年03月16日俳優・阿部サダヲが主演を務める、TBS系金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』(毎週金曜後10:00)の第8話が15日に放送され、磯村勇斗が演じるムッチ先輩の50代の姿が判明。タレントの彦摩呂が演じていた。磯村勇斗マネージャー【公式】は、放送後にオフショットを公開。「どちらも秋津睦実です」と仲良くポーズを決める磯村と彦摩呂の2ショットを添えると、ファンからは「サプライズ出演びっくりしました」「本編では実現しなかった幻のオフショット」「彦摩呂さんデカッ」「声出して笑いましたw」「まさかの同一人物w」「流石に似てないってw」などの声が寄せられている。宮藤官九郎氏が書き下ろす、意識低い系タイムスリップコメディー。1986年から2024年の現代へタイムスリップした“昭和のおじさん”小川市郎(阿部)が、コンプラで縛られた令和の人々に考えるキッカケを与えていくストーリー。
2024年03月16日『月』の磯村勇斗が、第47回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞。磯村さんは第45回新人俳優賞以来の受賞となったが、受賞スピーチでは曇りのない眼差しで「スクリーンで生きていきたい」と語っていた。助演男優賞には、磯村さんのほか、伊藤健太郎(『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』)、大泉洋(『こんにちは、母さん』)、加瀬亮(『首』)、菅田将暉(『銀河鉄道の父』)と新旧実力派がそろい踏み。誰が最優秀を受賞しても助演男優賞では初受賞という快挙が待っていた。『月』は、実際の障がい者殺傷事件を題材にした小説「月」を、石井裕也監督が同名映画化。磯村さんの演じたさとくんは、重度障がい者施設の職員で、殺傷事件の犯人となる青年。人当たりよく、入所者への対応も丁寧な一方で、“命”を裁こうとする。その原理、論理を見る者がどう感じるか、それぞれが思考する余白を残した。最優秀賞で窪田正孝から名前を読み上げられると、磯村さんはその場で一礼。壇上でブロンズ像をうけると、窪田さんとそっと握手を交わした。磯村さんは「ちょっとびっくり…」とブロンズ像を眺める。そして、「華やかな映画祭、アカデミーで賞をいただけて大変うれしく思います」とまずは感謝を口にした。その後、「『月』は参加にあたっても、作るにも、公開するにも、たくさんの壁があって。映画1本をお客さんに届けるのが、どれだけ大変か痛感した作品です。自分は今は亡きスターサンズの川村Pにお声をかけていただいて、石井監督とともに、スタッフ、キャストの皆さんと挑戦して覚悟をもって臨みました。この賞は自分でもらうというより、一緒に作り上げて最後まで公開することができた皆さんと一緒に喜びを分かち合いたいと思っています」と、作品への熱い思いを口にする。最後に、磯村さんは「まだ世の中不安定なことがたくさんありますけど、素足でしっかり、地に足をつけて、またスクリーンで生きていきたいと思っています」と力強くスピーチしていた。(シネマカフェ編集部)■関連作品:月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会
2024年03月08日俳優の磯村勇斗(31)が19日、マネージャーの公式X(旧ツイッター)に登場。出演するTBS系金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』(毎週金曜後10:00)の撮影で生じた“珍事件”が明かされた。磯村は同作に、“ムッチ先輩”こと秋津睦実と秋津真彦の1人2役で出演中。撮影に同行するマネージャーは、交通費の精算をする際に最近よく「『磯村不適切現場』『磯村の不適切にもほどがある現場』」と書いているそうだ。語弊を与えるようなパワーワードが並んでいることには「なんだか申し訳ない気分になる」というが、経理担当者にはドラマ名を略して「『ふてほど』現場」と書いても通じず。「今日も『磯村 不適切現場』と書いています」と紹介し、主演を務める阿部サダヲ(53)との撮影オフショットをアップした。この投稿に、コメント欄には「長くても短くても、いっそんがなんかやらかしたみたいになっちゃってますね」「なんか笑った」「吹きましたw」「マネージャーさん面白い~」「語弊にもほどがある笑」「不適切な現場、それは適切な申告ですな」など、さまざまな反応が寄せられている。
2024年02月21日俳優の磯村勇斗が、18日に都内で行われた「第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席し、助演男優賞を受賞した。○■磯村勇斗、キネマ旬報 ベスト・テン 助演男優賞受賞「非常に嬉しく思います」映画『月』『正欲』『渇水』『最後まで行く』『波紋』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-』6作品での好演が評価され、助演男優賞を受賞した磯村。磯村は「この度は歴史ある、そしてとてもこの重みの賞をいただけたことを非常に嬉しく思います。デビュー前から『キネマ旬報』を読んでいて、『キネマ旬報』に書いてあることは全てだと思って生きてきました。それぐらいいろいろ映画を教えていただいたりした素敵な場所に、今自分が建てていることは非常に感慨深いものがあります」と喜びを表現した。6作品での受賞となった磯村だが、『月』と『正欲』は間がなく撮影されたそうで「『月』で演じたさとくんというのは非常に難しい役でもあり、(撮影が)終わったら絶対時間を空けようと思っていたんですけど、『正欲』という素晴らしい企画を見てしまったがために、期間を設けなくても臨みたい! と……なんとかやりました!」と振り返る。また、『月』で19人を殺害するという犯人役を演じたことについて聞かれると「やると決めたら覚悟を持ってこの作品を最後まで撮り切りたい、と思っていた。もう作品に入ってしまったら、誰から何を言われようが背負っていくつもりでしたし、もし自分に何かがあったとしても、それは受け入れていこうという気持ちで臨んでいたので怖いものはなかったです」と話す。続けて「ただ1つ怖いなと思ったのは“第2のさとくん”が、この映画を見てもし誕生してしまったら危険だよなということ。そこは監督とずっと話し合いながらそうならないように、いろいろ試行錯誤しながら撮っていました」と明かした。同じく『月』で助演女優賞を受賞した二階堂とフォトセッションに応えた磯村。二階堂の印象について「劇中の役は嫌な女でしたけど、本人は本当に素敵な役者さんであるし、中身もとても柔らかくて非常に賢明であり、僕はとても尊敬する役者さん。今回初めての共演だったんですが、非常に嬉しかったです」と告白した。○■第97回キネマ旬報ベスト・テン 受賞・登壇者一覧助演女優賞:二階堂ふみ助演男優賞:磯村勇斗外国映画作品賞:『TAR/ター』外国映画監督賞:『TAR/ター』トッド・フィールド監督※代理…ギャガ 松下剛氏読者選出外国映画監督賞:『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』マーティン・スコセッシ監督※代理…東和ピクチャーズ 山田滋天氏読者選出日本映画監督賞:『Gメン』瑠東東一郎監督文化映画作品賞:『キャメラを持った男たち-関東大震災を撮る-』井上実氏読者賞:連載「映画を見ればわかること」川本三郎氏新人女優賞:アイナ・ジ・エンド新人男優賞:塚尾桜雅主演女優賞:趣里 ※代理…塚本晋也監督主演男優賞:役所広司(コメント映像での出演)日本映画脚本賞:『せかいのおきく』阪本順治氏日本映画監督賞:『PERFECT DAYS』ヴィム・ヴェンダース(コメント映像での出演)日本映画作品賞:『せかいのおきく』※登壇者…原田満生
2024年02月18日「2024年エランドール賞授賞式」が2月8日(木)、都内にて開催され、磯村勇斗、今田美桜、眞栄田郷敦、小芝風花、目黒蓮、堀田真由の6名が新人賞を受賞、喜びのスピーチを行った。「エランドール賞」は1956年にスタートした、優れた映画テレビの作品、プロデューサー、俳優を顕彰する制度。協会員は選考基準に基づき、候補者及び参考作品を投票によりノミネートし、エランドール賞委員会はその投票結果を参考に候補者を選出、理事会に答申。理事会はその答申を受けて、検討の結果、受賞者を決定する。なお、新人賞は一年を通じて最も活躍した将来有望な新人俳優に贈られる賞となる。磯村さんは、「昨年、たくさんの作品に携わることができて、たくさんの人たちと出会い、裏で今までお世話になったプロデューサー、製作陣と久々にお会いして。本当にここまでくるのに周りの人たちに助けていただいて、支えていただいて、この場に立てていると。本当に人との出会いを大切にしたいと改めて実感しました」と周りへの感謝をスピーチ。そんな磯村さんのお祝いに駆け付けたのは、『ヤクザと家族 The Family』以来、共演を重ねてきた綾野剛。満面の笑みで祝福し、驚く顔の磯村さんをぎゅっとハグ。綾野さんは、磯村さんのほうに「よいしょ」とマイクを向け、語り掛けた。「普段呼ばせていただいているお名前で話します、勇斗、おめでとう。あなたのあくなき姿勢と、いっときも諦めない精神力、何より心震わせるお芝居は、勇斗の作品に対する愛と、圧倒的な努力が生んだと心から思ってます」と磯村さんのお芝居への姿勢をたたえ、「敬愛と敬意と感謝をこめて。綾野剛でした」と結んだ。今田さんは「昨年は本当にたくさんの作品、スタッフの皆さまに出会って、あらためて振り返ると、とても愛ある皆さまに支えていただきながら、いろいろな作品に参加していたんだなと思います。まだまだ未熟ですが、皆さんに支えていただきながらですけど、自分のできること、丁寧に向き合って作品に携わっていけたらと思います」とスピーチ。ゲストには「ラストマン-全盲の捜査官-」で共演した同じ福岡出身の吉田羊が登場、今田さんへの愛を花束とともに送った。眞栄田さんは登壇後、深々と長く一礼。スピーチでは「正解のない表現の世界で、こうしてご評価いただけることはすごくうれしく、自信になります。またこうした場に立てるように、役と作品に丁寧に請け負っていきたいなと思います」と真摯に話す。ゲストでは「エルピスー希望、あるいは災いー」で共演した鈴木亮平が笑顔で登場。「彼の先には明るい未来しかないのではと信じて、今も出ている作品を楽しみに見ています」とエールを送っていた。続けて、小芝さんが登場し、「昨年は本当に学びの多い1年でした。賞をいただけて本当にうれしく思います!出会わせていただけた関係者の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。この賞に恥じないように、精進します」と誓う。お祝いゲストには、「波よ聞いてくれ」で共演した北村一輝が登場。とにかく小芝さんの台詞量と、NGの出さなさがすごかったとトークを繰り広げ、小芝さんもはじけた笑顔を見せていた。目黒さんは「歴史ある新人賞を受賞できたこと、本当にうれしく思っています。ここにくるまで、本当にたくさんのスタッフの皆さん、共演者の皆さん、何より作品を愛してくださった皆様に支えられてここまでこられたので、すべての方に感謝しています」とひたむきな瞳でスピーチ。ゲストには「silent」で共演した川口春奈が登場し、目黒さんを喜ばせた。川口さんは「ひたむきに向き合う姿、忙しくてもぶれない強い芯を持っていて、すごく刺激的でまぶしかったです。チャレンジングな作品でしたし、タイトなスケジュールの中4か月間一緒に走り切れて、勝手に戦友だと思っています」とお祝いの言葉にかえていた。最後に登場したのは堀田さん。「昨年はたくさんの作品に携わって、いろいろな経験・挑戦をさせていただきました。これまでは自分自身がお芝居が好きな気持ちがそばにあったんですけど、昨年は芝居をしていて楽しいなと思える瞬間がたくさんありました。支えてくださるスタッフさん、共演者さん、応援してくれている家族のおかげだと思っています」とスピーチし、これからも恩返ししていきたいと話した。ゲストには「大奥」で共演した福士蒼汰が登場、堀田さんを喜ばせた。また、プロデューサー奨励賞映画部門を受賞した『福田村事件』では、花束ゲストに主演の井浦新が登場。小林三四郎、井上淳一、片嶋一貴に向かって「最初、テアトル新宿で直接声をかけていただきました。僕一人だけ(キャストが)決まって、キャストは全員揃うのかと不安も最初はありました。でも蓋を開けたら、自ら手をあげて参加してきたスタッフ・キャストみんなが集まった」と少しずつ輪が広がり、全員で向き合った映画だと語った。そしてプロデューサー奨励賞テレビ部門は「大奥」が受賞。藤並英樹、船田遼介に、主演の冨永愛が花束を持ち華やかに登壇。富永さんは、「人生の中で絶対心に残る作品になったな、代表作になったなと確信しています。それほどこの作品が素晴らしかったですし、素晴らしいキャストとスタッフの皆さんで作り上げました。今思い返しても一瞬一瞬が鮮明によみがえってきます」と目を細めていた。なお受賞作品、受賞者は以下の通り。●プロデューサー賞・映画部門『怪物』川村元気、山田兼司・テレビ部門「VIVANT」飯田和孝●プロデューサー奨励賞・映画部門『福田村事件』小林三四郎、井上淳一、片嶋一貴・テレビ部門「大奥」藤並英樹、船田遼介●特別賞・『THE FIRST SLAM DUNK』Film Partners 松井俊之・「ブラッシュアップライフ」制作チーム水野格、小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基・『名探偵コナン 黒鉄の魚影』製作委員会近藤秀峰、汐口武史、岡田悠平・『ゴジラ-1.0』プロデュースチーム臼井央、山田兼司、岸田一晃、守屋圭一郎、阿部豪●新人賞磯村勇斗、今田美桜、眞栄田郷敦、小芝風花、目黒蓮、堀田真由(シネマカフェ編集部)
2024年02月08日FANTASTICS・八木勇征さんに質問!バレンタインの思い出も語ってくれました。八木勇征(FANTASTICS)Q. どんなチョコレートが好き?チョコは何でも好きです!!なかでも一番好きなのはホワイトチョコレートです。Q. チョコ以外でいまハマっているスイーツは?最近は一周回ってマカダミアナッツのアイスクリームをよく食べています(笑)。Q. バレンタインの思い出を教えてください。毎年お母さんがチョコブラウニーを作ってくれていたんです。“バレンタインになるとあれが食べられる!”というイメージでしたね。そのブラウニーを牛乳と一緒に楽しむのが大好きでした。Q. チョコのように甘~いメンバーといえば誰?けいちゃん(木村慧人)。見た目もそうですが、性格も優しくて全体的に甘いイメージです(笑)。Q. ドラマ『婚活1000本ノック』で幽霊役に挑戦されていますが、お化けになってメンバーを驚かすなら誰?(佐藤)大樹くんを一日中驚かせまくりたいです!大樹くんならどのタイミングでも新鮮なリアクションをくれそうです。めちゃくちゃビビリだから(笑)。Q. ファンの方に甘~いメッセージをお願いします。いつも応援してくれてありがとうございます!みなさんはバレンタインくれるのかな?もしくれるとしたら、ホワイトデーのお返しは僕で大丈夫?(ハート)Q. 体づくりのために食べるものは制限している?マジでしてないかも。お菓子もめっちゃ食べるし、ジュースも飲むし…。好きなものばっかり食べてますね。それでも特に太らないのは、やるべきこと(運動)をちゃんとやっているからっていうのがあると思います。Q. 俳優としても活躍を続ける今、グループに対して感じることは?お芝居の共演者の方と話していると、役者業一本でされている方たちは「どんなに現場で仲が良くなっても、作品が終わるとそれぞれがまた新しい現場に向かっていく。プライベートで関係を続けていく人もいるけれど、“自分の家”みたいな感覚を持つことはないんだよね」ってみなさん言うんです。でも僕の場合、作品が終わった時に必ず帰る場所がある。それがFANTASTICSなんです。戻ってくるたびに“あったかい場所だな”って改めて感じますし、そういう存在がいてくれることがすごくありがたいですね。Q. 人との出会いで大切にしていることは?人と出会った時は、相手のことをしっかりと見て“どういう自分でいたら、この人と繋がりを持てるだろうか”って考えます。といっても、キャラを変えたり偽ったりするわけじゃないですよ。相手に少しでも心を開いてもらうことを優先したいから、自分らしさはあとからちょっとずつ出していけばいいかなって。最近はたくさんの出会いに恵まれて年上の兄貴や可愛い後輩たちが増えましたが、振り返ると誰かと出会ったことで悪い意味で変わったことってひとつもないんです。自分にとって、全ての出会いがすごくプラスになっているなって感じます。やぎ・ゆうせい1997年5月6日生まれ、東京都出身。FANTASTICSのボーカル活動に加え、俳優としても活躍。ドラマ『婚活1000本ノック』(フジテレビ系 毎週水曜22:00~)に出演中。ジャケット¥148,500(エー レザー/エー ブティック TEL:070・3223・7530)イヤーカフ¥13,200(プリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777)ネックレス(上)¥38,500(スキャットscat.official.info@gmail.com)ネックレス、中¥12,100下¥23,100(共にミクシマイ)リング¥19,800(ユルイエ) 以上ショールーム シャルメール TEL:03・6384・5182その他はスタイリスト私物※『anan』2024年1月31日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・大貫希代美取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2024年01月31日東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーで、「キース・ヘリング展アートをストリートへ」がはじまりました。東京展のスペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、俳優の磯村勇斗さん。昔からへリングが大好きだったという磯村さんに、展覧会のご感想やアートについて、お聞きしてきました!磯村勇斗さんがスペシャルサポーター!磯村勇斗さん。キース・ヘリング作《ブループリント・ドローイング》の展示室にて【女子的アートナビ】vol. 320本展は、世界的アーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)のアートを体感できる大規模な回顧展です。キース・へリングは、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。1978年にニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学し、1980年代初頭にニューヨークの地下鉄駅構内にある広告板にグラフィティ・アートを描きはじめ、注目を集めます。やがて次々と展覧会が開かれて国際的にも評価が高まり、日本でも展覧会やワークショップを開催。精力的に制作を続けますが、1988年にエイズと診断されます。その後はエイズ予防のメッセージをアートで訴えるなど、31歳で亡くなるまで、アートをとおして社会的な活動も行いました。本展では、初期のサブウェイ・ドローイングや、誰もが見たことのある人気のモチーフが登場する《イコンズ》、6メートルもある大型作品など約150点を展示。絵画だけでなくオブジェクトもあり、展示空間もドラマチックに演出されています。そんな楽しい展覧会の東京展スペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、磯村勇斗さん。内覧会に登壇した磯村さんにインタビューも行い、展覧会やアートのことなど、いろいろお聞きしてきました!ビビッときました!――昔から、キース・へリングが大好きだったとのことですが、どんなきっかけで好きになられたのですか?磯村さん大学で美術を専攻していまして、アメリカのポップカルチャーを勉強していました。アンディ・ウォーホルや草間彌生さんなどのアーティストのなかにキース・へリングもいて、教科書に載っていたキースの絵を見て、ビビッときたんです。この絵好きだ!と思いました。そこから、彼の絵をどんどん見るようになりました。――どんなところにビビッときたのですか?磯村さん学生時代のことで、作品名をしっかり覚えてはいないのですが、人の集合体のような作品で、人がシンプルに描かれているだけで、絵は止まっているはずなのに、なんで人が動いて見えるのだろう?と思いました。線の効果や、人のちょっとした動き具合だと思うのですが、止まっている絵をこんなにも楽しく見せることができるのだな、と衝撃を受けました。――そんな大好きなアーティストの展覧会でスペシャルサポーターに選ばれて、いかがですか。磯村さん率直にうれしかったです。今まで取材などでキース・へリングが好きですという話をしていたのですが、それが今回このような形でオファーをいただけて、すごくうれしく思いました。はじめての展覧会スペシャルサポーターがキース・へリングなんて、光栄でありがたいです。好きな気持ちを乗せて…――今回、音声ガイドナビゲーターも担当されています。収録はいかがでしたか。磯村さん緊張しました。キース・へリング自身、自分の作品についてあまり説明していなくて、彼が当時どのような思いで生きていたのか明かされていないまま今に至ります。音声ガイドでは、そんな彼の言葉や思いをセリフのように自分が語る部分があります。自分の気持ちをどのくらい入れたらいいのだろうと悩みながら収録しました。特に、セリフの部分をキースに寄せるのか、自分自身の言葉でやるかを悩みましたが、そこはキースを好きな気持ちを乗せながら、自分らしくやりました。――音声ガイドで、印象に残っているストーリーなどはありますか?磯村さんキースの言葉で、「鑑賞者もアーティスト」というのがあり、それが僕たちの仕事も同じだと思いました。映画は映像として完成した時点では90パーセントで、劇場で公開して、お客さまに見ていただき、ようやく100パーセントになると思っています。それと一緒だなと思いましたし、キースの感覚と近いものを感じられました。すべて自分たちで解決して満足するのではなく、余白を残して、しっかり鑑賞者であるお客さまにゆだねるという心が大事だなと思いました。――今回の展示で、特にお気に入りの作品はありますか?磯村さん本当に絞るのが難しいのですが、特によかったのは《ブループリント・ドローイング》の作品群です。暗い展示室の中にモノクロ版画の作品が並んでいるのですが、展示空間づくりも含めてお気に入りです。キースが死の宣告を受けたあと、彼が今までやってきたアート人生を振り返りながら制作したもので、悲しい部分を感じつつも、パワフルで、皮肉な部分もあります。それらを暗く描くのではなく、明るく描いているのがすごく僕の中でしびれました。ぜひ注目していただきたいポイントです。友だちになれそう(笑)――本展では、キース・ヘリングの生涯についても詳しく触れられています。この点について、どう思われましたか。磯村さんキースはパートナーを亡くし、自分がエイズであることも知り、死を感じながら創作活動をしていました。死を知りながら、何かものづくりをするというのは、どんな気持ちだったのだろうか、とすごく考えます。当時描いていた絵を見ると、ものすごくエネルギーがありながらも、どこか寂しさもある。でも、それを悲しく描くのではなく、最後まで色を使って明るく描いて、明るく生きていこうとしていたのではないかと僕は感じました。鑑賞者の立場になり、アートはみんなのため、という想いを最後まで心の中に秘めながら描いたのではないかと思いました。――キースのアーティストとしての活動期間は約10年間でした。磯村さんもデビューして約10年ですが、今回彼の作品を観られて、改めてどう感じられましたか。磯村さん10年という短いなかで絵を描き、それが今の世界でみんなに知られている。彼がもし今生きていたら、どんなふうに作品を作って世の中にメッセージを届けていたのか気になります。キースの作品にはセクシャルな部分など社会的なメッセージもあり、現代でも通用するものです。彼の生きてきた時代と今は全然変わっていないし、彼の絵が僕らにも刺さるということは、今もその問題に向き合わなければならないことだと僕たちに教えてくれます。彼は20代で、すでにいろいろな問題が見えていた。それは、考えられないくらいすごいことだと思います。――磯村さんにとって、キースはどんな存在ですか?あこがれの人でしょうか。あるいは、友だちになりたい人ですか?磯村さん友だちになれそうな感じがします(笑)親しみやすい方なのではないかな、と思います。キースは、小さいころから絵を描くことが大好きで、親にやめなさいと言われても描き続け、どんどん手が止まらず描いてきた人だった。自分も、役者をやりたいといって、反対されながらもずっと口にしてやり続けてきたので、その辺のマインドみたいなものはすごく共感できます。もし今の時代にキースが生きていたら、こういう話をして「わかる、わかる!」と言い合いたいですね(笑)。いい友だちになれそうな気がします。――キースなどのアートを見ることは、役作りに何か影響していますか?磯村さん俳優業にどうつながっているかはわかりませんが、やはり絵は自分の世界を広げてくれるものでもあり、想像力を掻き立てられて豊かにしてくれるものです。役者も想像力が豊かでないとできないので、それを養う力がアートにはあると思います。グッズも持っています!――ちなみに、キースのグッズもお持ちですか?磯村さんグッズはいろいろ持っていて、ステッカーやファイル、ポーチ、Tシャツ、ジャケット、「光りを放つ赤ちゃん」と「吠える犬」のオブジェクトもあり、全部で十数点は持っています。――お部屋に飾って楽しんでいるのですか?磯村さん赤ちゃんと犬のオブジェクトは自分のなかのお気に入りで、それは部屋の観葉植物の下に置いています。配置を工夫して、気分によって犬に追われている赤ちゃんにしたり、赤ちゃんが追う犬にしたりしてシーンをつくり、寂しい遊びをしています(笑)。観葉植物はヤシ科の大きな葉があるもので、その下に置いているのですが、意外にかわいくて合います。――アートがお好きなんですね。磯村さん小さいころからアートは好きで、家族で旅行に行ったりするときは、必ず美術館に寄るくらいでしたので、その影響で自分も絵が好きになっていました。美術館で絵を見るのも好きですけど、その空間も好きなんです。部屋にアートを飾ると、その好きな空間を家の中で味わえて、自分のプライベートの時間が充実するし、落ち着きます。――最後に、展覧会を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。磯村さんキース・へリングの作品は、今の若い人たちも見たことがある人がほとんどだと思います。でも、キースがどんな人なのかを知っている人は少ないと思います。今回の展覧会では、彼がどういう人でどんな人生を歩んできたのか、みなさんが見たことがある絵の背景にはどういった思いがあるのか、といったことを知ることができるチャンスだと思います。ここまでキース・へリングの裏側を解説していく展覧会はなかったと思うので、ぜひ、みなさんに来ていただけるとうれしいです。――ありがとうございました!取材を終えて…キース・ヘリングのTシャツがお似合いだった磯村さん。ご自身でも絵を描いているそうで、アートにも大変詳しく、楽しいお話を聴かせてくださいました。取材後、会場で音声ガイドを聴きながら作品を観たのですが、キースの人生や彼の言葉が紹介され、まるでドキュメンタリー映画を見ているような感覚で作品を鑑賞できました。特に、エイズと診断されたあとのキースの想いや、死について語る部分では涙腺が崩壊。彼の作品と磯村さんの声が重なり、すばらしい鑑賞体験ができました。ぜひ音声ガイドを聴きながら、キースの作品をご覧になってみてください。All Keith Haring Artwork ©Keith Haring FoundationInformation会期:~ 2024年2月25日(日)会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)時間:10:00~19:00※金曜日・土曜日は20:00まで※年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00※入場は閉館の30分前まで休館日:会期中無休観覧料:一般・大学生・専門学校生¥2,200中高生¥1,700小学生¥700※事前予約制(日時指定券)音声ガイド貸出価格:¥650(税込)※お一人様一台につき撮影:山本倫子
2023年12月23日飛ぶ鳥を落とす勢いの若手俳優・磯村勇斗は、ここ数年で人気と実力が一致する稀有な俳優へと進化を遂げた。「きのう何食べた?」シリーズで、かわいさと絶妙な小憎たらしさを兼ね備えたジルベールを好演していたかと思えば、公開中の映画『月』では、心やさしいさとくんが一線を超えていってしまう工程を演じた。そのふり幅、作品によって使い分ける顔の違い、実力は推して知るべしと言える。最新出演映画『正欲』では、磯村さんは佐々木佳道を演じた。佳道は、両親の事故死をきっかけに、横浜から中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた男。新垣結衣演じる桐生夏月の中学時代の同級生で、夏月とは誰にも言えない秘密を共有している。なかなか人に理解されない、言えない指向を持ちながらも何とか大多数に混じろうと生きてきた佳道の葛藤、変化していくグラデーションの体現はさすがの一言に尽きる。(c) 2021 朝井リョウ/新潮社(c) 2023「正欲」製作委員会インタビューでは、悩みながらもまっとうした佳道という役についての解説と、自らを「ハングリーマン」と言い切る、お茶目な表現で俳優という職業への入れ込みまで語ってくれた。演じた役は「すごく理解と共感ができた」――『正欲』で演じられた佐々木佳道は、いわゆるマイノリティに属する人間として描かれていました。どう読み解き、演じていったんでしょうか?佳道の性的指向の部分に関しての理解が、やはり一番難しいところでした。岸監督、プロデューサーと「どういう感覚に近いんだろう?」と、ああでもない・こうでもないと話し合いました。結果、佳道が持っている指向に関して「コレ」というものは見つからなかったけれど、人には隠しているマイノリティというところに、僕はすごく理解と共感ができたんです。なので、その感覚を大事にしたほうがいいんじゃないかと、最初に佳道を作っていった…近づけていったような感じでした。――生きづらさを抱えながらも、マジョリティに寄っていこうとしていた佳道ですが、夏月と再会し彼女と対話を重ねることで移り変わっていきますよね。佳道は最初、生きる上でカメレオンのように周りに溶け込んで生活をしなければならないみたいなことを考えたと思うんです。(大多数に)染まらなければいけないというのは、おそらくマジョリティの圧だとは思うんですけれど。世間の目みたいな部分で、彼なりになるべく馴染もうと、頑張ろうとしていたと思うんですね。でもそれはやっぱり自分を苦しめてるだけであり、自分らしさはなくなってしまうので、葛藤はすごくあったと思います。その狭間でかなり闘っているんだろうし、そこで生きている人だな、というのは感じていました。新垣結衣、稲垣吾郎との共演――夏月を演じられた新垣さんと磯村さんの空気感が、すごくぴったりでした。初共演ですよね?はい、そうです。新垣さんは僕がデビューする前からテレビでずっと見てきた方なので、最初はちょっと幻かな?と思いました。僕たちはガッキー世代なので(笑)!そういう方と対面してお芝居する不思議さは、どことなくありましたね。新垣さんご本人は、ものすごく柔らかい空気感をお持ちの方なんです。誰にでも優しいですし、おそらく感受性がとても豊かな方なんだろうなと、お芝居を一緒にやっていてすごく感じました。特に受けのお芝居が魅力的だなと思っていました。(c) 2021 朝井リョウ/新潮社(c) 2023「正欲」製作委員会――主演の稲垣吾郎さんに関しては、少ないシーンでしたがご一緒していました。いかがでしたか?稲垣さんとの撮影は本当に1日だけだったんです。しかも、かなりヘビーなシーンでご一緒したので、挨拶を交わしたくらいでした。そしてお芝居の演出上、(セットの)テーブルを挟んで2人とも無言で座っていて、お互い集中し合っている、みたいな感覚で緊迫していたので「稲垣さんは怖い方なのかもしれない…」という印象だったんです。だけど、撮影が終わって最近取材でご一緒したときに、すごくフランクにお話しさせていただいて「あれ!?全然怖くなかった!」みたいな(笑)。趣味も似ていたのでお話も弾みました、すごく楽しい方という印象に変わりました。また共演できる機会をいただけたら、そのときはもっといろいろお話したいです。「自分は自分でいい」「今の自分自身を認めてあげよう」――夏月と佳道の関係性については、どう解釈していきましたか?佳道にとって、夏月が一番の理解者であり支えてくれる存在なので、やはり逢うべくして出逢ったような運命的な二人だと思いました。再会の仕方も、ちょっと変わった出逢い方をしているじゃないですか。必然性も感じたので、導かれているものを大事にして二人の時間を紡いでいきたいなとやっていました。佳道として演じていて、夏月といる間はやっぱりいい時間が流れていたんですよね。今まで佳道が歩んできた社会の棘のあるような空気とはまったく違って、なんか…まろやかな時間になっているなあと感じました。しかも、恋愛にいくわけでもなく、お互いの指向だけで理解し合えている。その不思議な感じが、居心地が良かったんですよね。そこだけでつながることもできるんだな、という発見もありました。――恋愛ではないが強固な結びつきということですよね。磯村さんご自身も感じるところがあったんでしょうか?そうですね。佳道と夏月の出逢い方は、僕の中でも新しかったんです。その感覚で通じ合えて一緒に過ごすことができるのは、今の時代だからこその形なのかもしれないなあって。ただ、すべては本人次第で他人がああだこうだいうことじゃないな、というのはすごく感じています。ここ数年、作品を通したり、出会った人と話す中で共通して思うのはそこです。すべて本人たちがよければ、それが一番の幸せなんじゃないかと感じています。――磯村さんご自身は『正欲』という映画を、どんな風に受け取りましたか?観終わった感覚で言えば、ものすごく温かい気持ちになったんです。「自分は自分でいいんだな」と思わせてくれたというか、救われるというか。観終わった後にホワーッとする感覚になれる映画でした。人とのつながりの大切さ、今の自分自身を認めてあげようというメッセージを僕は受け取りましね。常にハングリーマンで「貪欲さは大事に」――劇中では、「人生の通知表」という言葉が出てきました。磯村さんが現段階でご自身の人生に通知表をつけるなら、どうなりますか?「5」がマックスだったら、「2」「3」ぐらいじゃないかな?――え!どうしてそんなに低いんですか?だって「5」にしたら面白くないじゃないですか!――なるほど!伸びしろですね。そうです、伸びしろです!やっぱり、「5」にしちゃうと、先がないのでつまらないですよね。登っていくほうが面白いと僕は思うんですよ。なので今は「2」「3」がバーっといろいろある感じかなあと思います。そのほうが自分はまだ挑戦していけますし。…逆に「5」なんて作りたくないって思うんです。それぐらいがちょうど役者は楽しいんじゃないかなあと。ずっとなんかもうひとりの自分を追いかけている、みたいな。その追いかけっこみたいなのが楽しいと思ってます。僕は、ハングリーマンです(笑)。――「5」にならずずっとハングリーでい続けるために、今後の自分に期待したいことは何ですか?例えば、10年後に同じことを聞いていただいたときに「5ですね(きりっ)」とか言わない自分でいたいです。万が一、「5だね」とか言ったら、過去の自分が殴り行きますよ。「お前、そんなことを言うようになったか!!」って(笑)。それぐらいの貪欲さは、何年経ってもずっと取っておきたいというか、大事にしておきたいなとすごく思っています。【磯村勇斗】スタイリング:笠井時夢/メイク:佐藤友勝(text:赤山恭子/photo:You Ishii)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会
2023年11月13日稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗らが出演する朝井リョウ原作映画『正欲』が、11月10日(金)本日公開。この度、新垣さんと磯村さんが共演する、劇中の印象的なワンシーンが到着した。家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的な物語を映画化。今回公開されたのは、夏月(新垣さん)と佳道(磯村さん)、同級生のある会話シーン。大人になってから思わぬ形で再会し、やがて互いに“ある秘密”を抱えていることを共有する仲になるふたり。公開中の予告編で、「自分がどういう人間か、人に説明できなくて息ができなくなったことってありますか?」(夏月)、「誰にもバレないように、無事に死ぬために生きてるって感じ」(佳道)と語るように、ある秘密のためにどこか生きづらさを感じている。そこで佳道は、「これで擬態できないかな、世間並みに」と夏月に指輪を差し出し、「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」と提案し、夏月も笑顔で応える。今回の出演について磯村さんは、「非常に難しい役と出会ったという印象でした。岸監督やプロデューサーと何度も話し合ったぐらい、掴むのが難しかった。でもこの作品が届けたいメッセージは非常に今の時代に合っているし、何か救いになるのではないかと思いました」と苦労を明かす。新垣さんは「夏月ひとりの場面の撮影はずっと重くて、苦しいなという感覚でした」と語るも、「磯村さんがクランクインされて、佳道とふたりの場面になったら本当にホッとしたんです。夏月たちも実際にこういう気持だったのかもしれないなって、そのときにすごくリアルに感じました」と磯村さんとの充実した撮影をふり返っている。『正欲』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会
2023年11月10日本日11月10日(金) より公開された映画『正欲』より、新垣結衣と磯村勇斗の共演シーンが公開された。本作は、第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる同名小説の映画化作品。家庭環境、性的指向、容姿など“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何かというテーマを炙り出す。キャストに稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らが集結し、『あゝ、荒野』(2017)、『前科者』(2022) などを手掛けた岸善幸監督がメガホンを取った。公開されたのは、新垣演じる夏月と磯村演じる佳道のある会話シーン。中学時代の同級生だったふたりは大人になってから思わぬ形で再会し、やがて互いに“ある秘密”を抱えていることを共有する仲になる。“ある秘密”のためにどこか生きづらさを感じているふたり。そこで佳道は、「これで擬態できないかな、世間並みに」と語りながら夏月に指輪を差し出し、「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」と“提案”を持ちかけ、夏月も「いいね、それ」と笑顔で答えるのだった。この先、夏月と佳道を待ち受けるものとは──?本編が待ち遠しくなる映像となっている。磯村は今回の出演について、「非常に難しい役と出会ったという印象でした。岸監督やプロデューサーと何度も話し合ったぐらい、掴むのが難しかった。でもこの作品が届けたいメッセージは非常に今の時代に合っているし、何か救いになるのではないかと思いました」と役作りにおける苦労を語った。一方新垣は、「夏月ひとりの場面の撮影はずっと重くて、苦しいなという感覚でした」と語るも、「磯村さんがクランクインされて、佳道とふたりの場面になったら本当にホッとしたんです。夏月たちも実際にこういう気持だったのかもしれないなって、そのときにすごくリアルに感じました」と、磯村との充実した共演を振り返った。映画『正欲』本編映像「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」<作品情報>映画『正欲』公開中(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会関連リンク公式サイト::
2023年11月10日11月1日に閉幕した第36回東京国際映画祭で観客賞と最優秀監督賞の2冠に輝いた岸善幸監督の『正欲』が、10日(金) に全国公開される。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗はじめ、人気俳優が顔を揃える作品だが、多様性について改めて考えさせられるシリアスな群像劇。50万部を超える朝井リョウのベストセラー小説の映画化だ。『正欲』LGBTQのような性的マイノリティの人への偏見や差別をなくそうという考えが社会の主流になり、さまざまな性的指向を個性と認め合う多様性の時代だ。一方で、反社会的な小児性愛からみの事件や、スキャンダルも後をたたない。そんな中で、この映画は、「マイノリティの中のマイノリティ」を取り上げた。ここまで深い部分にスポットをあてた作品は、観たことがない。昔、酒席でたまたま高名なSM作家と話す機会があったときに「1000人いれば、1000人のフェチがある」といわれ、そんなものかな、とすこし違和感を覚えた記憶があるが、世の中の片隅で息を潜めていた人たちの存在が、SNS全盛となって、すこしずつ水面に浮かび上がってきた。この映画は、まさにそういう時流の象徴かもしれない。5人の男女をメインにした群像劇だ。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香が演じている。別々の場所で生活し、境遇も違う彼らの日々が並行して描かれ、時間の経過とともに、交差し、からみ合い、そして事件がおきる、という展開。この5人の日常のなかで、フェティシズム、同性愛、小児性愛、男性恐怖症、ルッキズム、そして不登校といった現代の諸相も、映し出す。脚本は、『あゝ、荒野』に続き岸善幸監督とタッグを組んだ港岳彦が手がけ、朝井リョウの原作小説とは少し構成を変えている。稲垣吾郎が演じる横浜地方検察庁の検事・寺井啓喜は、不登校で引きこもりの息子を抱え、妻との関係はあまりよくない。ごく“普通”の、つまり大多数の指向をもった中年男性、という設定だ。検察事務官(宇野祥平)と共に担当する事件の中で、世の中のさまざまなマイノリティと関わりを持つことになるが、今回の事件によって彼の中にも、ある変化が訪れる。桐生夏月(新垣結衣)は、地元広島のショッピングモールで働くアラサーの独身。彼女は、中学の同窓会で佐々木佳道(磯村勇斗)と再会し、中学時代から抱いていた不思議なシンパシーを思い出す。実は、ふたりには忘れられない鮮烈な過去の出来事があったのだ……。そして、横浜の大学に通う学生・神戸八重子(東野絢香)。性的トラウマを抱え、男性に嫌悪感を抱いているが、大学で行われるフェスで、ダンスサークルに所属する諸橋大也(佐藤寛太)と出会い、無機質な彼の魅力に惹きつけられていく……。観ているうちに引き寄せられ、目が離せなくなるのが、夏月と佳道。ふたりは再会して、実は性的指向が共通であり、お互いにとって初めての理解者だとわかるのだ。その後、彼らが選んだ生き方、ライフスタイルには、率直に言って驚かされてしまう。岸監督はあるインタビューで、「今の“多様性”ですくい取れないマイノリティーで、社会から疎外され、なじめない生き方をしてきたふたりがどう結ばれるか、大きなテーマだった」と語っている。原作のなかに、「社会からほっとかれるためには社会の一員になることが最も手っ取り早い」という一節がある。夏月と佳道は、ノーマルな市民生活に溶け込んでいたのだが……。思いもかけない展開。ラストは、希望が見えた、とはいわないが、ほんの小さな灯りがともる。ところで、『正欲』には『(ab)normal desire』という英語タイトルがついている。なるほど、これは面白い。(ab) という言葉が意味深だ。「ノーマルな欲望とアブノーマルな欲望、どちらも同じ欲望にほかならない……」と読み取った。自分ではごくノーマルと思える指向も、別の角度からみたらアブノーマルということはある。普通の男を演じた中で、稲垣吾郎がふっと見せる軽い狂気。難役にチャレンジし複雑な心のひだを絶妙に表現した新垣結衣。そして、まさに旬、ノリにのる磯村勇斗。年末年始発表される映画賞に、どんな風にからむかも楽しみ。文=坂口英明(ぴあ編集部)【ぴあ水先案内から】笠井信輔さん(フリーアナウンサー)「……人と違う生き方が否定され苦悩する“個性的”な人たち。「普通って何?」という問いかけが胸に刺さる……」笠井信輔さんの水先案内をもっと見る()中川右介さん(作家、編集者)「……稲垣吾郎演じる検事だけが、自分こそ普通だと確信しているのだが、一番異常に見えてくる皮肉……」中川右介さんの水先案内をもっと見る()平辻哲也さん(映画ジャーナリスト)「……出演者でも際立つのは、磯村勇斗だ……」平辻哲也さんの水先案内をもっと見る()(C) 2021 朝井リョウ/新潮社(C) 2023「正欲」製作委員会
2023年11月06日俳優の磯村勇斗が2日、都内で行われた映画『正欲』(11月10日公開)の学生限定試写会に出席。高校生や大学生などからの質問に真摯に回答した。本作は、累計50万部突破の朝井リョウ氏による同名小説を、映画『あゝ、荒野』や『前科者』などの岸善幸監督が映画化。家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出す。磯村は、両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月(新垣結衣)の同級生・佐々木佳道を演じた。高校生や大学生など学生85人が映画を鑑賞したあとのイベントに参加した磯村。昨日まで開催されていた第36回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、最優秀監督賞と観客賞をダブル受賞したことに「監督賞はイコール作品賞だと思う」と高い評価に笑顔を見せると「観客賞がとてもうれしい。観ていただいた人の評価が一番」と多くの支持を集めたことに喜びを見せる。この日は映画を観た学生たちが直接磯村に質問するコーナーも。「あってはならない感情なんて、この世にはない」という言葉が印象的な本作にちなみ、磯村にとって「こんな感情があったんだ、と思ったことは?」と質問されると「今まで一人でいることが好きなタイプで、人に誘われても嫌だと断りがちだったのですが、最近人恋しくなった。どこかに出掛けたいというよりは、誰かに会いたいという気持ちが湧いてくるようになった」と回答。さらに「呼吸のようになければならないものは?」という質問に磯村は「人」と即答。続けて「自分一人で生きていけるところもありますが、周りの人によって人格は形成されるもの。人との出会いはなくてはならないものだと思います」と語った。また芸能の仕事を「欲の対象になる側」と定義した大学生は、本作で磯村が演じた佳道を「欲を消費する側」とし、正反対の役柄を演じたことで感じたことについて問いかけると、磯村は「なんて鋭い質問なんだ」と驚き顔で「僕は自分を商品と呼ばれることが嫌いなのですが、消費されていく仕事であり、誰かの欲の対象になるという側面は理解しています」と述べる。さらに磯村は「敢えて“商品”という言葉を活かすなら、ちょっとフレーバーを変えつつ、長く愛される“商品”でいたい。消費される生き物であるならば、ゼロにはさせたくないです」と素直な気持ちを吐露していた。その後も、学生からの鋭い質問は続き、作品にちなみ「これまでかけてもらった言葉でうれしかったものは?」という質問には映画『ヤクザと家族 The Family』で作品を共にした藤井道人監督から「監督と役者は夫婦」と言われたことをあげる。磯村は「夫婦はぶつかるし理解し合える。そうやって歩んでいきたいと言われて肩の荷が下りた」と振り返ると「役者は監督の指示に従うものという面はありますが、相談してもいいんだと言ってくれているのだなと。それはスタッフ同士でも、役者の先輩でも。そうやって話し合える関係性でモノづくりができることは素敵ですよね。いまの若い子にもそういう場を作っていきたい」と思いを語っていた。
2023年11月02日俳優の磯村勇斗が25日、都内で開催中の「第36回東京国際映画祭」(TIFF)内で行われた映画『正欲』(11月10日公開)のワールドプレミア舞台挨拶に、主演の稲垣吾郎、新垣結衣、佐藤寛太、東野絢香、岸善幸監督とともに登壇した。コンペティション部門に選出されている『正欲』は、朝井リョウ氏による同名小説が原作。家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜を稲垣、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役を新垣、両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道を磯村、ダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也を佐藤、大也と同じ大学に通う神戸八重子を東野が演じた。磯村は本作で稲垣と初共演。「稲垣さんとのシーンはわずかだったんですけど、忘れられないぐらい、稲垣さん演じる寺井が空気も含めて怖かったです」と振り返り、「とても助けていただいたというか、あの空気を出していただいたので、もう何もしなくてよかったという感じでした。それぐらい引っ張っていただきました」と感謝した。稲垣も、新垣と磯村と初共演した感想を聞かれると「普段からいろんな作品で拝見している素晴らしい俳優さんたちなので共演できるというのは本当にうれしく思いました」と喜びを述べ、「普段見させてもらっている表情と違った、映画の登場人物になりきった、新垣さんなら夏月、磯村さんなら佳道としてそこに存在していたので、僕も自然とその世界に誘われて気持ちよく演じることができました」と称賛していた。
2023年10月25日映画『正欲』(11月10日公開)に出演する稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香が23日、東京・日比谷で行われた「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のレッドカーペットに登場した。コンペティション部門に選出されている『正欲』は、朝井リョウ氏による同名小説が原作。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。フォーマルな衣装でレッドカーペットに登場した5人。稲垣は「すごい華やかですね。華やかな映画祭の祭典、東京国際映画祭にお招きいただきありがとうございます」と挨拶し、本作について「出演者みんなそれぞれ覚悟の必要とした作品だったのですが、それが報われる素晴らしい作品に仕上げていただきました。ぜひ映画館で見ていただきたいと思います」と自信をのぞかせた。今年の「東京国際映画祭」は、10月23日から11月1日の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。上映作品数は昨年の174本から219本に増加し、海外ゲスト数も昨年の104人から600人以上と大幅に増える見込みとなっている。コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈&松田龍平主演)の3作品が選出されている。撮影:蔦野裕
2023年10月23日話題作への出演が続く俳優の磯村勇斗。映画『正欲』(11月10日公開)では、5人の中心人物の1人である佐々木佳道役を任され、自分の指向とは異なる人物を演じることに難しさを感じつつ、丁寧に役に寄り添って作り上げたという。岸善幸監督は磯村の演技を絶賛。「お願いできるのは磯村さんしか思いつかなかった」と絶大な信頼を寄せている。○■稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香が出演朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。本作に登場する5人の中心人物の1人である佐々木佳道を演じる磯村は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17)でヒロインの夫役を演じ脚光を浴び、『ヤクザと家族 The Family』(21)、劇場版『きのう何食べた?』(21)での演技が評価され、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も若者から絶大な支持を集める『東京リベンジャーズ』シリーズや、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品の『PLAN 75』(22)など話題作に出演、『ビリーバーズ』(22)では映画初主演も果たした。さらに2023年には『最後まで行く』、『波紋』、『渇水』、ドラマ『きのう何食べた? season2』と立て続けに注目作に出演、直近では『月』が今月13日に公開された。そんな磯村の今年最後の出演公開作となるのが『正欲』だ。『前科者』(22)に続き2度目の岸監督作品への出演となる本作では、両親の事故死をきっかけに中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道を演じている。本作の中心人物である桐生夏月(新垣結衣)とは中学時代の同級生で、2人は誰にも言えない“ある秘密”を共有している、という役どころだ。○■『前科者』に続き2度目の岸監督作品への出演で互いに信頼先日公開された予告編では、佳道は夏月に「この世界で生きていくために、手を組みませんか」と持ち掛けるシーンも明かされた。朝井リョウ氏の人気原作の映画化ということもあり、SNSでは「映画館で、磯村くん演じる佳道が見られるの楽しみだなあ」「佐々木佳道役で出ると聞いて嬉しい」「難しそうな役どころを磯村くんがどう演技するのか、楽しみにしています」と、磯村の佐々木役に対し期待の声が多数上がっている。磯村は本作の映画化決定にあたり、「今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体に馴染ませるのが難しかったです。ですが『前科者』でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います」と、岸監督への厚い信頼と役作りについて真摯に語っていた。岸監督は「磯村勇斗さんも難しい役柄――今回はどの役もみなさん難しいですけど――佳道役を豊かな感情のグラデーションで演じてくれたと思います。台詞の語り方、抑揚ももちろんですが、今回はとくに表情と身体全体で役の感情をとても繊細に表現してくれたと思います」と磯村の演技を絶賛。「初めから佳道役についてはそういうところが重要だと思っていたので、お願いできるのは磯村さんしか思いつかなかったです」と絶大な信頼を寄せている。劇中では冒頭から磯村が、生きることに空虚になっている佳道を持ち前の柔軟な適応力によって表現している。(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会
2023年10月14日今回、ご紹介するのは、映画『SOMEDAYS』。音楽を通して、家族の絆を描いた作品です。西尾まうさんとともにダブル主演を務めたBOYS AND MENの勇翔さん、勇翔さんとともにヒップホップ・グループ・SOMEDAYSのメンバーを演じた、BOYS AND MENの辻本達規さん、本田剛文さん、平松賢人さんの4人にお話をうかがいました。「13年間一緒だからこその会話の成り立ち方がありました」左から、平松賢人さん、勇翔さん、辻本達規さん、本田剛文さん【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 158映画『SOMEDAYS』で、物語の中心となるのは、家族とともに暮らせなかった児童養護施設出身の5人組ヒップホップ・グループ・SOMEDAYS。世間から冷たい目で見られていたSOMEDAYSでしたが、前向きな生き方で綻びかけた2組の家族の絆を、優しく結びます。脚本は『ViVA! Kappe(ビバ!カッペ)』(2010年)、『4/猫 ねこぶんのよん(一円の神様)』(2015年)、『棘の中にある奇跡 笠間の栗の木下家』(2018年)でHollywood Dreams Film Festival外国作品賞受賞、Action On Film Festivalベスト作品賞受賞を受賞した森田剛行氏。メガホンを取ったのは、撮影監督を務めた『カメラを止めるな!』(2017年)で第42回日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞、上海国際映画祭招待作品『透子のセカイ』(2020年)、『永遠の一分。』(2021年)などを手掛けた曽根剛監督。SOMEDAYSのメンバーを西尾まうさん、BOYS AND MENの勇翔さん、辻本達規さん、本田剛文さん、平松賢人さんが熱演。彼らを取り巻く人々を西村知美さん、倉野章子さん、大場泰正さん、東ちづるさん、渡辺徹さんが魅力的に演じています。ーー出演オファーを受けたときのお気持ちを教えてください。勇翔さん以前、別の作品でご一緒したスタッフ陣からお話をいただき、またご一緒することを楽しみにしていました。それからSOMEDAYSのメンバーはBOYS AND MENで行こうという流れになり、うれしく思いました。ーーご自身と演じた役柄に共通点を感じたところは?平松さんが演じた西川光のプロフィールに「御朱印集め」という記述がありました。勇翔さんあれはリアルな平松賢人です。遊び心ですね。ーーファンの方々はうれしいでしょうね。平松さん気が付くと思います。ーー西川光は、みんなをSOMEDAYSに巻き込んでいく、物語を大きく動かす役どころでした。平松さん普段、BOYS AND MENでもダンスリーダーのようなものをさせていただいていて。そういう意味ではダンスを教えたり、立ち位置や見せ方をアドバイスするシーンなど、アドリブのセリフにも対応できました。ーー辻本さんが演じた佐藤良太は、みんなの兄貴的な存在ですね。辻本さん前向きにみんなを引っ張っていくというか、根拠のない自信を持っているところは自分と似ていると思います。勇翔さん僕は母親の愛情を感じて育っていますが、BOYS AND MENへ加入する前に長野に住んでいた時は、母親が仕事の都合であまり家にいませんでした。ですから、僕が演じた松平勇人やSOMEDAYSのメンバーたちが感じていた母親との距離感や家庭環境が複雑なところは理解でき、演じる上で気持ちが入りやすかったです。本田さん今回、ホスト役ということで、ファンの方々から「本田くん、今回はホスト役なんですか?」とコメントをいただいていたのですが、実はホスト的なシーンはひとつもないんです(笑)。僕の演じた渡辺洋介は、クールで繊細な役で。自分ではあまり共通点を感じていなかったのですが、監督はメンバーそれぞれの本来の人間性によく似た役だとおっしゃっていて。僕はこういう繊細なイメージで見られていたのかなと思いました。ーーBOYS AND MENだからこそ、出せた空気感がありそうですね。本田さんそれはあるかもしれないですね。平松さん例えば、車内のシーンは結構アドリブで喋っているんです。自分がこういうふうに喋ったら、誰かがこういうふうにリアクションしてくれるかな、といった13年間一緒にいるからこその会話の成り立ち方はあったかもしれないです。ーー車内のシーンでは、かっこいい寝顔も披露されています。辻本さんかっこよかったですか?結構くずれていたと思いますが(笑)。本田さん撮影中、同じ車に乗っていたので、本当に落ち着く空間になっていました。マジ寝はしていませんが、連日撮影していたので、「寝るシーンを撮ります」と言われてじっとしていると、ウトウトしていまうんです。平松さん本当に心地よかったです。勇翔さん僕は運転をしていましたので、みんなを見守っていました。ーー本作は渡辺徹さんの遺作でもあります。辻本さんはがっちりと握手するシーンがありますね。辻本さんちょうどこのとき、僕はひざの前十字靱帯を切っていて。リハビリに1年ほどかかるケガだったので、少し落ち込んでいたのですが、徹さんが「ひざ、どうしたの?俺も18か20ぐらいのときに同じようなケガをしたんだよ」と、親身にお話してくださったんです。撮影は1~2日しか、ご一緒できなかったのですが、気に掛けてくださって、とても優しい方だなと思いました。本田さんとてもかっこよくて、温かい方でした。撮影の合間は、僕らが徹さんを囲んでお話させていただきました。台本にはなかったんですが、徹さんの役柄が洋介を妙に気に入っているという味付けをしてくださって。お芝居の上でもコンタクトが多かったです。勇翔さんリハのときは徹さんが剛文の耳を触られていて。本田さんかわいいね~って。勇翔さんいろんなパターンのかわいがりの演技を試されていました。ーー本田さんはいろんな人を落としてしまいそうですね。勇翔さんホスト役だけに(笑)。ーーなるほど!ーー撮影中、徹さんと交流して、印象に残っている言葉は?勇翔さん徹さんは「お芝居をするときは、気持ちが大事だよね」とおっしゃっていました。その言葉を聞いて、より気持ちを届けるお芝居を意識するようになりました。ーー最後に、映画のタイトル『SOMEDAYS』にちなんで、みなさんが印象に残っている日を教えてください。平松さんレコード大賞新人賞をいただいた日ですね。ずっと目標にしていた場所でしたのでうれしかったですし、最優秀新人賞をとれなかった悔しさもありました。もっと頑張ろうと思わせてくれた大切な日です。本田さん僕らの常設の小さなライブハウスに古舘伊知郎さんや木梨憲武さんがいらしてくれたことです。とてもありがたいことで、印象に残っています。勇翔さんBOYS AND MENに入りたてで、名古屋に行ったときです。集合場所のサンシャインサカエがわからなくて、駅までは電車で来れたんですが、しばらく違うところまで歩いていました。あのときは、このメンバーで13年間も活動するなんて全く想像していませんでした。辻本さんBOYS AND MENに加入したての頃にTGCのランウェイを歩けることになったんです。僕も出れるかなと思っていたら、選ばれたのは、勇翔と水野勝(元BOYS AND MEN)で。僕を含めて、選ばれなかったメンバーたちは、名古屋ドームの外で5000枚のチラシを配ったんです。しかも僕は生放送があったメンバーの代わりに、リハだけランウェイを歩いたんです。その悔しさは死ぬまで忘れません。今でもそのときのパスを部屋に飾っています。僕はうれしかったことよりも、心が折れそうになったり、苦しかったりしたことを、負けてたまるかというパワーに変えるタイプなんです(笑)。インタビューのこぼれ話インタビューを収録したのは、辻本さんの母校、岐阜市立岐阜商業高等学校の甲子園出場を左右する試合の勝敗が決まった日。取材中に号泣しはじめた辻本さんを勇翔さん、本田さん、平松さんがジョークを交えて励ます姿に、BOYS AND MENの絆の強さを見た気がしました!Information映画『SOMEDAYS』10月13日(金)より、池袋HUMAXシネマズほかにて全国順次公開出演:西尾まう、勇翔辻本達規、本田剛文、平松賢人伊藤一正、池田拓矢、田中杏、富安基晴、西村光久/大場泰正/倉野章子西村知美/東ちづる/渡辺徹監督:曽根剛脚本:森田剛行エグゼクティブプロデューサー:西尾友子プロデューサー:松坂利和、三石勇人音楽:Jam9(ユナイテッドミュージック)主題歌:「未来」SOMEDAYS配給:ベストブレーン/刈谷日劇共同配給:SUNRISE企画・製作:Yuu Promotion©Yuu Promotion写真・園山友基文・田嶋真理写真・園山友基 文・田嶋真理
2023年10月12日コンテンツパートナーとしてプロジェクトを始動中の「ABEMA」と「Netflix」。10月からは、「ABEMA」の作品が「Netflix」にて順次、世界独占配信される。ラインアップは、オリジナルドラマや映画の計8作品。まず、会社を通じて逆境に打ち勝つ若者を描いた、三浦翔平主演のリベンジサクセスストーリー「会社は学校じゃねぇんだよ」や、野村周平主演「会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編」。「会社は学校じゃねぇんだよ」は、世界配信に先駆けて先月国内配信され、配信初週に「今日のシリーズTOP10」(国内)2位を記録し、再び注目が集まっている。「会社は学校じゃねぇんだよ」また、好きと言えずに17歳でこの世を去った幼なじみが、季節外れの桜と共に戻ってくる、佐野勇斗&飯豊まりえW主演のファンタジーラブロマンス「僕だけが17歳の世界で」も登場。こちらは、第1話の見逃しを含めた総視聴数が3日間で100万回を突破した話題作。「僕だけが17歳の世界で」磯村勇斗、見上愛、岡山天音、須賀健太らが出演し、SNSの魅力に囚われた若者たちの心の闇や恐怖を、圧倒的緊張感で描き出すミステリー「箱庭のレミング」。森山未來、北村匠海、勝地涼が出演し、再起を賭ける3人の男たちを描くボクシング映画『劇場版アンダードッグ』(前編・後編)。「箱庭のレミング」そのほか、ティーンの間で話題となった、女子高生3人が恋にセックスに揺れ動く「17.3 about a sex」、酒によってあぶり出される人間の本当の弱さや愚かさ、現代社会の闇を描いた小出恵介主演「酒癖50」も配信される。▼Netflix配信概要「会社は学校じゃねぇんだよ」国内:配信中海外(韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):10月10日(火)~「会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編」国内:配信中海外(韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):10月10日(火)~『劇場版アンダードッグ』(前編・後編)国内:配信中「17.3 about a sex」国内:配信中海外(台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):10月20日(金)~「僕だけが17歳の世界で」国内:配信中海外(台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):10月20日(金)~「箱庭のレミング」国内:配信中海外(韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):10月20日(金)~「酒癖50」国内:10月20日(金)~海外(韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア):11月20日(月)~(シネマカフェ編集部)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2023年10月05日磯村勇斗のマネージャー公式Xが、新ドラマ「きのう何食べた? season2」において、ジルベールが登場すると投稿。過去のオフショットも合わせて公開された。西島秀俊&内野聖陽のW主演で描く人気シリーズ「きのう何食べた?」。2LDKのマンションで同居する、料理上手で几帳面・倹約家の弁護士・筧史朗(シロさん)と、その恋人で人当たりの良い美容師・矢吹賢二(ケンジ)のほろ苦くてあたたかな日々をリアルに描いている。2019年4月にseason1が放送され、その後もスペシャルドラマ、劇場版が製作。続く今回のseason2では、アラフィフに突入したシロさんとケンジの日常が描かれ、ちょっとした変化が訪れる。そんなシロさんとケンジと親交を深めてきたのが、原作でも人気の高いカップル、小日向大策(山本耕史)&“ジルベール”井上航(磯村さん)。今回の投稿には、本作にジルベールの登場はあるのか?とよく問われることについて、「安心してください。ふてぶてしさパワーアップで出てきます」と明言。これに放送を待つファンからは「今回も出るんですね。嬉しいです!」、「安心しました!!」、「すごく楽しみにしてます!!!!!」、「ジルベールのファッション楽しみです」、「早くジルベールに会いたいです!」、「ふてぶてしさパワーアップでって最高すぎる!!!」などと歓喜のコメントが多数寄せられている。第1話あらすじ筧史朗(西島秀俊)と矢吹賢二(内野聖陽)は恋人同士。史朗の日課は、定時に事務所を出たあと、近所の安売りスーパーへ向かうこと。お買い得食材を吟味しながら、夕飯の献立を構想する。月の食費を25,000円以内に抑えるのが重要課題だが、いよいよ限界が近づき、値上げを考え始める。さらに、それぞれの勤務先や暮らしにも徐々に変化が――。「きのう何食べた? season2」は10月6日より毎週金曜日24時12分~テレビ東京ほかにて放送。(シネマカフェ編集部)
2023年10月04日映画『若き見知らぬ者たち』が、2024年に公開される。主演は磯村勇斗、監督は内山拓也。監督・内山拓也の商業長編デビュー作映画『若き見知らぬ者たち』は、2020年公開の『佐々木、イン、マイマイン』で注目を集め、新人賞を総なめにした内山拓也が監督を務める商業長編デビュー作品。脚本も内山拓也自ら書き上げたオリジナル作品だ。企画段階から海外からも注目を集めており、『若き見知らぬ者たち』はフランス、韓国、香港、日本の共同製作映画となっている。家族の問題、自分の人生の間でもがく青年の物語物語の主人公は、介護や借金返済といった家族の問題と自身の人生とのはざまでもがき苦しみながらもささやかな幸せをつかもうとする彩人。弟・壮平も同居しささやかな日常を送るが、思いもよらない暴力が彼らの日常を奪ってしまう。主演は磯村勇斗、福山翔大と兄弟役主演を務めるのは、『正欲』『月』『東京リベンジャーズ』シリーズなど話題作への出演が続く磯村勇斗。また、主人公の弟役として、若手実力派の福山翔大が共演する。主人公・風間彩人…磯村勇斗亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。恋人との小さな幸せをつかみたいと考えている。壮平…福山翔大彩人の弟。家族と同居し、彩人同様に借金返済と介護を担いながらも、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れる。映画『若き見知らぬ者たち』あらすじ風間彩人は、彩人の弟・壮平とともに亡くなった父の借金返済と母の介護をしながら、昼夜働いている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、彩人の親友の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常は、思いもよらない暴力によって奪われてしまう。【詳細】映画『若き見知らぬ者たち』公開時期:2024年出演:磯村勇斗、福山翔大脚本・監督:内山拓也原案:内山拓也
2023年09月25日俳優の磯村勇斗が主演を務める、映画『若き見知らぬ者たち』(2024年公開)が公開されることが18日、明らかになった。同作は『佐々木、イン、マイマイン』(2020年公開)で新人賞を総なめした内山拓也監督の商業長編デビュー作。亡くなった父の借金を返済し難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている風間彩人(磯村)。彩人の弟・壮平も同居し、同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人との小さな幸せを掴みたいと考えているが、親友の結婚を祝う夜、彼らのささやかな日常は思いもよらない暴力によって奪われてしまう。本作は企画段階から、海外配給会社の注目を集め、フランス、韓国、香港そして日本の4つの国と地域での共同製作で9月14日にクランクインした。脚本は、監督自ら書き上げたオリジナル作品となる。主演はクリエイターたちからの信頼も厚く、今年も出演映画が既に5作品公開と話題作の出演が後を絶たない磯村勇斗。父の借金返済そして難病の母の看病、重くのしかかる家族の問題と自身の人生とのはざまでもがき苦しみながらも、ささやかな幸せを掴もうとする主人公・彩人を演じる。その弟で同じく亡き父の借金返済を担いながら、父の背中を追って始めた総合格闘技の練習に明け暮れる壮平を若手実力派として注目を集める福山翔大が演じる。○磯村勇斗コメント今回はタイトルにもあるように、同世代の若いキャスト・スタッフさん達が多く、みんなで一緒に作品を創り上げていく現場になりそうなので、今から撮影が楽しみです。既に、内山監督のオリジナルな発想と、仲間を大切にする想いを、撮影前からひしひしと感じています。皆さんのお力をお借りしながら、この作品が最後まで完走できるよう自分自身も向き合い、育んでいきます。○福山翔大コメント何が何でも、この物語を届けたい。お話をいただいた時に、そう感じました。本作が描く、突きつけられる死生観に何度台本を読んでも、うなだれ、立ち上がりたくなりました。僕が演じる壮平は、総合格闘技の選手ということで昨年から約1 年間、様々な方のサポートのもとジムに通い、トレーニングしてきました。日々の食事が変わり、過ごし方が変わり、生活そのものが一変しました。その全てを懸けられる作品に出逢えた喜びと情熱を胸に、最後まで演じ抜きたいと思っています。本作の生みの親である内山拓也監督、兄の彩人役を演じられる磯村勇斗さんをはじめ、素晴らしいキャスト、スタッフのみなさまと世界に届く熱を生み出せればと思います。宜しくお願いいたします。○内山拓也(原案・脚本・監督) コメント脚本は、2016年のPFFで「ヴァニタス」の上映が終わった後に描き始めました。この7年間は、ころころと変化する天気のように、灼熱の太陽にさらされ、雨は激しく降り注ぎ、時に嵐が巻き起こる、ついていくだけでもやっとな毎日でした。それでも、どんなに時代が移り変わっても変わることのない核が、この企画にはずっとありました。本作は、わたし自身と同じような、名もなき戦士の物語です。わたしたちはずっと、常に若き見知らぬ者たちです。皆さまにお届けできる日を想像しながら、大切に撮影していきます。(C)2024 The Young Strangers Film Partners
2023年09月18日主演に宮沢りえ、共演にオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみを迎えた石井裕也監督・脚本の映画『月』。10月4日より開催予定の第28回釜山国際映画祭ジソク部門(Jiseok部門)への出品も決定した本作から、衝撃の予告編映像が解禁された。作家・辺見庸が実際の障害者殺傷事件をモチーフに、事件を生み出した社会的背景と人間存在の深部に小説という形で切り込んだ原作「月」を映画化した本作。コロナ禍を生きる親子を描いた『茜色に焼かれる』、新作『愛にイナズマ』などで知られる石井監督は原作を独自に再構成した。解禁された予告編は、重度障害者施設の日常から始まり、40歳を超えて新たな命を宿した主人公・洋子(宮沢りえ)と、「二人で頑張ろう!」と胸を張る夫の昌平(オダギリジョー)の姿が映し出される。そして新生活が始まるや、「知ってる?施設は森の中にあるの。隠されているのよ。本当は誰も現実を見たくないからでしょ」という陽子(二階堂ふみ)の言葉から、不穏な空気が漂い始める。洋子が見た障害者施設の現実は、暴力と虐待。次第に疲弊していく洋子に声をかけたのは、さとくん(磯村勇斗)だった。「変えたほうがよくないですか?」と真っ直ぐに洋子を見つめ、衝撃的な行動に出るさとくんと、取り乱しながら「私はあなたを絶対に認めない」と否定する洋子。両者の「いのち」をめぐる戦いが展開していく。目を背けたくなるが目が離せない衝撃の描写から、最後に語られる洋子の「生きててよかった」というひと言が後を引く映像となっている。『月』は10月13日(金)より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会
2023年09月14日稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、朝井リョウによる小説を映画化した『正欲』から、主要キャストが登場する新場面写真が解禁された。本作から新たに解禁されたのは、稲垣さん、新垣さんら主要キャストたちのワンシーンを切り取った場面写真。稲垣さんが演じるのは、検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人で暮らす寺井啓喜。息子が不登校になり、教育方針を巡って妻とは度々衝突している。今回解禁された場面写真では、戸惑いの表情で誰かをまっすぐ見つめる寺井の姿が。彼の視線の先にいるのは、一体誰なのか。新垣さんが演じるのは、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月。実家暮らしで変わり映えのしない日々を繰り返している磯村さんが演じるのは、両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道。新たな場面写真では、夏月と佳道が、無言で前後に並びバスに揺られる姿が写し出されている。また、佐藤さんが演じるのは、ダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれた諸橋大也。東野さんは、そんな大也と同じ大学に通い、学園祭実行委員としてダイバーシティフェスを企画し、彼が所属するダンスサークルに出演依頼をする神戸八重子を演じている。微妙な距離感の2人の間に、何が起きたのか?それぞれに人生を歩んできた5人だが、少しずつ彼らの関係は交差していく。なお、本作のムビチケカードが9月15日(金)より発売決定。稲垣さん演じる寺井と新垣さん演じる夏月が交錯するかのようなデザインに。さらに、ムビチケの前売り特典となる「クリアしおり」は、主要キャラクターたちの印象的な表情を切り取ったものとなっている。『正欲』は11月10日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会
2023年09月05日映画『正欲』の主要キャストである稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香の新たな場面写真が公開された。原作は、第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる同名小説。家庭環境、性的指向、容姿など“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリーとなっている。稲垣が演じるのは、検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人で暮らす寺井啓喜。息子が不登校になり、教育方針を巡って妻とは度々衝突している。このたび公開された場面写真では、戸惑いの表情で誰かをまっすぐ見つめる寺井のほかに、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月(新垣)と、両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道(磯村)が無言で前後に並び、バスに揺られる姿も。さらに、ダンスサークルで活動し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也(佐藤)と、学園祭実行委員としてダイバーシティフェスを企画し、諸橋が所属するダンスサークルに出演依頼をする神戸八重子(東野)の姿も映し出されている。また、本作の前売り特典付きムビチケが9月15日(金) より発売されることが決定。ムビチケカードは、稲垣演じる寺井と新垣演じる夏月が交錯するかのようなデザインとなっている。さらに、ムビチケを購入すると前売り特典として「クリアしおり」がプレゼントされる。<作品情報>映画『正欲』11月10日(金) 公開(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会関連リンク公式サイト::
2023年09月05日中森明菜、チェッカーズ、菊池桃子などに数々のヒット曲を提供し、スターを輝かせ、時代を変えた。初めはコピーライターとして、しだいに作詞家として頭角を現した彼は、曲の中で「人間の本質を描きたい」と語る。多くのアーティストたち、そして妻が創造力を高めてくれた。40周年コンサートを控えた72歳のいまも、ペンが止まることはない。令和の時代に新たな一曲を紡いでいく。■チェッカーズとの出会い「ヤマハのライトミュージックコンテストで賞を取った、チェッカーズっていうバンドがデビューするんだけど」売野のもとに新たな仕事が舞い込んだ。作業にとりかかったのは、ちょうど映画『アメリカン・グラフィティ』から着想を得た、稲垣潤一が歌う『夏のクラクション』を書き終えたときだった。「映画には実在するウルフマン・ジャックというラジオDJが登場するんですが、それで『ミッドナイトDJ』というワードがふっと思い浮かんできて“おもしろいな”と。1時間45分ほどで書き上げた作品が『涙のリクエスト』だったんです」『ギザギザハートの子守唄』や『涙のリクエスト』『哀しくてジェラシー』などが候補となり、どの曲をデビュー曲にするのかが話し合われたという。「『涙のリクエスト』はデビュー曲には弱い、『ギザギザハート』くらいアクが強いほうがいいんじゃないかということに。じつはボクも『ギザギザハート』には詞をつけたんだけど、康珍化さんの書いた歌詞のインパクトにはとてもかなわなかったんですね」だが『ギザギザハートの子守唄』のセールスは期待どおりには伸びなかった。だからこそ、チェッカーズのメンバーにとって、2曲目となる『涙のリクエスト』にかける気持ちは強かったという。レコード会社のディレクターの結婚式会場のロビーで、チェッカーズの鶴久政治と武内享、藤井尚之と顔を合わせたとき、鶴久が話しかけてきたという。「売野さん、次の『涙のリクエスト』は売れますか?」「売れるよ」「ボク、売れなかったら、久留米に帰って八百屋やらなくちゃいけないんですよ」「八百屋もいいんじゃないの、おもしろいじゃない」「いやですよ、チェッカーズのほうが千倍いいですよ」「そりゃそうだよね、大丈夫、売れるから。ビートルズだって『Love Me Do』で全然売れなかったじゃない。次の『Please Please Me』で売れたんだよ」「そうっすよね。でもビートルズなんて、話がデカすぎです」「ちょっと待てよって。中森明菜だって、2枚目の『少女A』で売れただろ。俺たちがやるとそうなるから期待してて」その言葉どおり『涙のリクエスト』が爆発的にヒットすると、『ギザギザハートの子守唄』、3枚目のシングル『哀しくてジェラシー』の3曲が同時に『ザ・ベストテン』にランクインした。「もちろん売れる歌を書いたって自信はあったけど、それ以上に反響がすごい。ライブを見た芹澤さんから電話がかかってきて『すごいことになってるよ。みんなペンライト振っちゃってさ、感動したよ。あれ、やばいかもね』って驚いていました」藤井フミヤも、こう振り返る。「売野さんの歌詞の世界観がそのまま“ちょっとヤンチャで、ナイーブで、ハートブレークな少年たち”というチェッカーズのイメージを作り上げたと思います」’86年に発表した『Say Yes!』を歌った菊池桃子は、こう述懐する。「当時、同世代に向けた応援メッセージという気持ちで歌っていました。ずいぶん大人になった’23年のいま歌っても、歌詞が心に寄り添うので、売野先生の普遍性のある創造力に感謝しています」アーティストたちをも魅了した売野は’86年、’87年に2年連続で、作詞家としてのレコード売上げ枚数1位を記録したのだった。表舞台では華やかな活躍をしていた売野だが、一方では家族と向き合っていた。「プライベートはあまり見せたくないんですよね」と、前置きして、売野は少しずつ語り始めた。「妻はすごく楽しくて明るい人。料理がうまくて、ボクはほとんど外食はせず、家で食べていたんですね。その妻が、子供が生まれて1〜2年たってから、パニックになると感情を抑えられなくなったりした時期があるんです。人間って、ふだんは遠慮して言わないことも多いものですが、パニック状態となると、虚飾が一つもなく、むき出しの感情をぶつけられるんです」それは言葉のナイフや棘となって、売野の心を傷つけたこともあったという。「ともかく耳を塞いでその場を凌ぎたいと、嵐が去るのを待つような感覚になったりしました。でも、作詞家である以上、人間の本質を描きたいって思うものですよね。深いところまで考える回路っていうんですかね、それがないと、いい詞は書けない。ボクはのほほんと育って、おおらかで明るい性格。人間の陰の部分を考えることってなかったんですね。そういった意味で、妻はボクを人間として成長させてくれたと思います」親しい知人のなかには「なんで離婚しないの」「売野さんって仏様みたいな人だね」と言われることもあったというが、離婚を考えたことはなかった。その理由を聞くと、うーんと少し考えながら、照れくさそうに、こう語るのだった。「まあ好きなんだと思うんですよ。プラス、マイナスを含めて、根源的に好きな人なんですよ。ふだんは明るくて、笑ってばかりいる人です。でも、ちょっと浮世離れしていて興味深い。具体的に彼女のことを書いた詞はないんですけど、ボクの創作活動に精神的にも寄り添ってくれた、コーチみたいな存在なんですよね」売野が出会い、大事に思っていた人がすべて、作詞家として成長させてくれたのだった。■「こんなに仕事をするの!?」というほどハイペースで創作を続けている「本やCDの解説の原稿の締切りが5月末にあったんですが、じつはまだ終わっていなくて、大幅に遅れているんですよ。朝7時くらいから、夜の9時、10時まで、ずっと自宅にこもっています。さすがに自分でも“こんなに仕事をするの!?”って驚いているんです」6月中旬に行われた取材では、疲れた様子を見せず、いつものように飄々としていた。’15年には心臓病で倒れ1カ月ほど入院したこともあるので、健康には気をつけているという。「睡眠を取らないと調子が悪いから、睡眠時間を取るように。食べ物は、なるべくオーガニックのものを食べて添加物は取らない。週に2回、筋トレのためにジムに行く日は外食ですが、オーガニック野菜を使うお店に行くようにしています」健康に留意して、万全の体調で仕事に臨む。7月15日には、作詞家デビュー40周年を記念したライブが控えているのだ。「40周年は’21年なんですけど、コロナ禍だったのでイベントは延期していたんです。でもボクは、“いつか元に戻るだろうから”って、延期することにためらいはなく、あたふたすることもありませんでした」これも自然体で流れに身を任せる売野らしい考え方。そしてようやく実現に漕ぎ着けたコンサートには、藤井フミヤ、山本達彦、稲垣潤一、荻野目洋子など、これまでに出会ったアーティストが20組も出演してくれる。「3時間半を超えるようなコンサートになりそうです。すべてみなさんが知っているようなヒット曲ばかりだから、盛り上がりますよ。ボクも客席で聴きたいくらいです」売野が紡いできた詞が、時代を超えて、再び人々の心に響き渡るーー。
2023年07月02日主演に宮沢りえ、共演にはオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみを迎え、辺見庸の小説「月」を石井裕也監督が映画化。『新聞記者』のスターサンズ、故・河村光庸が企画・エグゼクティブプロデューサーを務めた。辺見庸による原作小説「月」は、実際に起きた障害者殺傷事件がモチーフ。事件を起こした個人を裁くのではなく、事件を生み出した社会的背景と人間存在の深部に切り込まなければならないと感じたという著者は、“語られたくない事実”の内部に潜ることに小説という形で挑戦した。この問題作を映画化したのは、『舟を編む』以降も、コロナ禍を生きる親子を描いた『茜色に焼かれる』、新作『愛にイナズマ』など、常に新しい境地へ果敢に挑み続ける映画監督、石井裕也。10代の頃から辺見庸の作品に魅せられてきたという彼は、原作を独自に再構成して自ら脚本を執筆、渾身のパワーと生々しい血肉の通った表現としてスクリーンに叩きつける。本作は、スターサンズの故・河村光庸プロデューサーが最も挑戦したかった題材でもあったという。日本社会に長らく根づく、労働や福祉、生活の根底に流れるシステムへの問いであり、複眼的に人間の尊厳を描くことへの挑戦。オファーを受けた石井監督は、「撮らなければならない映画だと覚悟を決めた」と、このテーマに目を背けてはならないという信念のもと、キャスト・スタッフと共に作り上げる決意をした。宮沢りえそんな監督のもとに集った宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみといった第一級の俳優陣たちもまた、ただならぬ覚悟で参加していたという。オダギリジョー公開決定とともに解禁された場面写真は、まるで何かを隠そうと生い茂る森に囲まれ、佇む宮沢さん演じる洋子。その表情からは、様々な悩みや不安を抱えていることが読み取れる1枚となっている。物語深い森の奥にある重度障害者施設。ここで新しく働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は“書けなくなった”元・有名作家だ。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平(オダギリジョー)と、ふたりで慎ましい暮らしを営んでいる。施設職員の同僚には作家を目指す陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)らがいた。そしてもうひとつの出会い――。洋子と生年月日が一緒の入所者、“きーちゃん”。光の届かない部屋で、ベッドに横たわったまま動かない“きーちゃん”のことを、洋子はどこか他人に思えず親身になっていく。しかしこの職場は決して楽園ではない。洋子はほかの職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだ。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく。そして、その日はついにやってくる――。「宮沢りえさんがとにかく凄まじい」監督・プロデューサーよりコメント到着監督・脚本:石井裕也この話をもらった時、震えました。怖かったですが、すぐに逃げられないと悟りました。撮らなければいけない映画だと覚悟を決めました。多くの人が目を背けようとする問題を扱っています。ですが、これは簡単に無視していい問題ではなく、他人事ではないどころか、むしろ私たちにとってとても大切な問題です。この映画を一緒に作ったのは、人の命や尊厳に真正面から向き合う覚悟を決めた最高の俳優とスタッフたちです。人の目が届かないところにある闇を描いたからこそ、誰も観たことがない類の映画になりました。異様な熱気に満ちています。宮沢りえさんがとにかく凄まじいです。プロデューサー:長井龍目の前の問題に蓋をするという行為が、この物語で描かれる環境に限らず、社会の至る所に潜んでいるのではないか、という問いが映画『月』には含まれています。障害福祉に従事されている方にも本作をご覧頂き「この映画を通して、障害者の置かれている世界を知ってもらいたい」という言葉も預かりました。本作を届けていく必要性を改めて噛み締めています。そして、映画製作を通して、この数年で障害福祉の環境が変わろうとしている現実も目の当たりにしました。そのこともまた、社会の持つ可能性のひとつだと信じています。磯村勇斗なお、本作をいち早く鑑賞した編集者・見城徹は「この社会に蔓延る[嘘と現実]、[善と悪]、[建前と本音]の判断を宙吊りにしたとてつもない映画だった」と語り、作家の高橋源一郎は「『月』は、あまりに強烈なテーマを扱っているので、もしかしたら観客は、そちらに視線を奪われるかもしれない。そうではない。もっとずっと繊細で、実はおぼろげなものが、そこにある。それは『生きる』ということなのかもしれない」とコメント。映画評論家・森直人は「石井裕也が命がけでぶん投げてきた灼熱の問題提起の豪球。我々にできるのは、火傷しながらも全身で受け止めること」と本作を評している。『月』は10月13日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会
2023年06月30日俳優の磯村勇斗が14日、都内で行われた映画『渇水』(公開中)の舞台挨拶に出席し、同作で共演した女優・山崎七海と柚穂の今後に期待を寄せた。河林満氏による同名小説を、刊行から30年の時を経て初の映画化。日照り続きの夏、給水制限が発令されていた市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回っての料金徴収と、水道を停止すること。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々で、妻・子供とも別居中の俊作はある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹(山崎、柚穂)と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作は、自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる。この日のイベントには磯村のほか、主演を務めた生田と高橋正弥監督が参加。磯村は、「『渇水』が公開されてから、たくさんの方に嬉しいコメントをいただいたりと、多くの方に観ていただいております」と周囲の反響に触れ、「今日こうして生田さんと登壇できたことを嬉しく思います」と心境を伝える。上映後のイベントということもあり、生田と磯村がラストシーンの撮影秘話を語る場面も。劇中の関係性を意識した制作陣から山崎・柚穂との会話を控えるよう指示があったが、ラストシーンの撮影から徐々に会話することができたそう。生田は「このシーンの後から、彼女たちも“この人と話していいんだ”という感じで、学校であった話とか夏休み中の話をしてくれたのが印象に残っています」と振り返り、磯村も「妹役の柚穂ちゃんは、本当に天真爛漫で、お姉ちゃん役の山崎さんはしっかりしていた」と印象を告白した。さらに磯村は、「とてもいい女優さん。僕はこれからがすごく楽しみですね。いい目してますから」とその存在感を絶賛。生田も「本当そうだよね! 今後が楽しみな2人」とうなずく、2人のこれからの活躍に期待を寄せていた。
2023年06月14日映画『渇水』(公開中)の舞台挨拶が14日に都内で行われ、主演の生田斗真をはじめ、磯村勇斗、高橋正弥監督が登壇した。河林満氏による同名小説を、刊行から30年の時を経て初の映画化。日照り続きの夏、給水制限が発令されていた市の水道局に勤める岩切俊作(生田)の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回っての料金徴収と、水道を停止すること。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々で、妻・子供とも別居中の俊作はある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹(山崎七海、柚穂)と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作は、自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる。今回のイベントでは、メイキング写真をスクリーンに投影しながら、生田らがトークを展開。今作で初共演となる生田と磯村だが、撮影を通してすっかり打ち解けたそう。磯村のことをどのように呼んでいるかと聞かれると、生田は「勇斗……って呼んでます……羨ましいだろっ!」と誇らしげ。これに磯村も「フゥ~!」と乗っかり、会場を盛り上げた。また、映し出されたメイキング写真の生田の姿勢が気になった磯村は、「めちゃめちゃコンパクト。あんなに縮こまってましたっけ(笑)?」と思わずツッコミ。「わかんない! なんでこんな……(笑)」と不思議がる生田に、磯村は「かわいい……体育座りがこんなに似合う人います?」と笑顔を向けていた。タイトルに反し、雨に悩まされることが多かったという今作の撮影。当時を振り返った2人が、「いける? これ」(生田)、「いや~今日は無理じゃないですかね?」(磯村)と撮影現場でのやり取りを再現する姿も見られた。終始、仲睦まじいやり取りを披露していた生田と磯村。イベント終盤には、生田が磯村の活躍に触れ、「なに見ても磯村勇斗が出てるからね、いま! すごくないっすか? どんな映画にも出てる!」と絶賛する。さらに、生田のインスタグラムにも磯村が度々現れるそうで、「おすすめに磯村勇斗がめちゃくちゃ出てくる! すごいんだよ!」と興奮。これに対し、磯村が「俺の愛が出ちゃっているみたいです。支配し始めてますね、生田さんの携帯まで(笑)」と返すと、生田は「そういうこと言うんだよなぁ~」とまんざらでもない表情を浮かべていた。
2023年06月14日お笑いコンビ・EXIT(りんたろー。、兼近大樹)が13日、都内で行われたAmazon Original『ラブ トランジット』配信記念マスコミイベントに、磯村勇斗、大久保佳代子とともに登壇した。6月15日22時よりプライム会員向けに独占配信される本作は、韓国の大手エンターテインメント企業であるCJ ENMが製作し、世界中で人気を誇る恋愛リアリティ番組のフォーマットを元に日本で製作された新番組。かつて恋人だった5組の元カップルたちが、約1カ月間のホカンス(ホテルでの共同生活)を通して、過去の恋と新たな出会いの間で揺れ動く姿に迫る。イベントには、番組スタジオMCを務めるEXIT、磯村、大久保が登壇。りんたろー。は「以前のパートナーが次の恋愛に向かうところって本来見なくていい。そこをあえて目の前で展開しようという、なんていじわるな番組だと思いましたが、パートナーや恋愛と必死に向き合う出演者の皆さんを見ていたら、僕が浅はかだったんだなと思って、すぐスタッフさんに謝罪させていただきました。スライディング土下座で」と番組に対する印象の変化を語った。また、気になっている女性を誘うデートプランについてトーク。りんたろー。が「すぐ結果を求めたいタイプなので実家に連れて行きたい」と話すと、大久保が「怖いよ! 追い込みが早い」とツッコんだ。一方、兼近は「自分がテレビとかでウケたやつを家でずっと見せる。で、自分が行ったロケの場所に連れて行って、ここでああいうボケしてウケたんだよって。自分のいいところを」と自身のプランを説明。こちらも大久保が「0点です。自分大好きなんだなと」とダメ出ししていた。イベントには、番組主題歌「happy ending」を手掛けるeillも登場し、会場で生歌を披露した。
2023年06月13日